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すべての紙幣の価値は最終的にゼロに向かってゆく

1:777 :

2024/06/08 (Sat) 20:58:40

経済・相場関係投稿集
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ド素人でも損しない株式投資のノウハウ
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フォン・グライアーツ氏: すべての紙幣の価値は最終的にゼロに向かってゆく
2024年6月8日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/49744

ジョージ・ソロス氏とともにクォンタムファンドを設立したジム・ロジャーズ氏のインタビューを見ていたのだが、その司会者であるフォン・グライアーツ氏がフランスの哲学者ヴォルテールを引用して面白いことを言っていたのでそちらを紹介したい。

どの通貨が安全か

ロジャーズ氏とフォン・グライアーツ氏はどの通貨を持つのが良いかという話をしている。

フォン・グライアーツ氏はスイスフランを推すが、ロジャーズ氏はドルが相対的に良いと考えているらしい。

だがゴールドやシルバーを保有するのと通貨を保有するのとではどちらが良いのか? そこでフォン・グライアーツ氏は次のように述べている。

すべての紙幣は最終的にはその本質的な価値に帰ってゆく。つまりゼロだ。

ヴォルテールは1729年にそう書いた。

ロジャーズ氏は笑いながら「ほんとに? 知らなかったよ」と返している。

通貨の価値

フォン・グライアーツ氏の発言は、普段日常的に通貨を財布に入れている人々にとっては直感に反する主張だろう。

そこでフォン・グライアーツ氏は実際の例を挙げる。彼は次のように述べている。

それは歴史上繰り返し起こってきた。ローマ帝国ではデナリウス硬貨が銀100%からほぼ0%になった。

厳密にはもともと純銀だったデナリウス硬貨の銀の含有量は最低で2.5%まで落ちている。

確かにあらゆる金貨や銀貨は歴史的に徐々に含有量が削減されてきた。含有量が多少減っても人々は同じ通貨だと思い込むので、削れば削るだけ政府側が得をするのである。

紙幣の価値

それは硬貨だけでなく紙幣でも同じことである。紙幣とはもともと銀行にゴールドを預けた時の預かり証のことだった。

だが1971年、アメリカ政府は国民から預かっていたはずのゴールドは返さないと宣言した。これがニクソンショックである。

レイ・ダリオ氏、「現金がゴミ」になったニクソンショックの経験を語る
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9645


このニクソンショックによって紙幣は正真正銘ただの紙切れとなった。ゴールドの預かり証ではなくなった紙幣には、基本的には紙切れ以上の本質的価値は何もない。それは紙切れである。

そうして金本位制は世界的に終わりを告げた。それでも人々は何も気にせず紙幣を使っているが、使っている人々は実際には大損している。フォン・グライアーツ氏は次のように言う。

知っての通り、1971年以来すべての通貨はゴールドに比べて97%から99%下落している。

つまりわれわれの通貨の価値はまだ1%から3%程度残っている。だがそれをもう一度100%と考えればまだ100%下落余地があるということになり、これからもそうなってゆくだろう。

目減りしたドルの価値

ドル紙幣によって買えるゴールドの量の歴史的変化を計算してみれば分かるが、フォン・グライアーツ氏の言っていることはデータによって裏付けられる事実である。

ゴールドに比べなくても、物価指数と比べたとしてもドルの価値は大幅に下落している。ニクソンショックのあった1971年のドルの価値を100として、物価変動によって目減りした今のドルの価値を計算すると、グラフは次のようになる。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2024/06/2024-apr-usd-to-us-cpi-chart.png



1971年を100とすればドルの価値は今13にまで減っている。87%の下落である。

結論

フォン・グライアーツ氏は次のように言っている。

政府が支出を増やしすぎ、多すぎる負債を抱えて通貨が暴落する。

歴史上それは間違いなく起きる。これまでに生き残った通貨は存在しない。

だから円の価値が下落しているからと言って、円をドルに替えて喜んでいる場合ではない。ドルもまた長期暴落トレンドの真っ最中だからである。

フォン・グライアーツ氏は次のように言う。

それは残念な事実だ。だが政府は貨幣に起こっていることについて人々に伝えたりは絶対にしない。

何故ならば、紙幣とは実際には国債だからである。銀行に預けられた貯金で銀行は国債を買っているので、預金者は実際には国債を買っていることになる。

だから紙幣の価値が減ることは政府にとって喜ばしいことである。それは借金が実質的に減ることと同じだからである。

インフレ政策とは国民の預金を犠牲にして政府の借金を減らす政策である。それに気付いた20世紀の大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏は『貨幣論集』で政府によらない通貨の発行を主張していた。

ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12051


だが人々は実際にインフレになるまでインフレ政策がどういうものかに気付かなかった。残念なことである。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/49744
2:777 :

2024/06/08 (Sat) 21:02:53

信用貨幣論に基づく信用創造
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/919.html

商品貨幣論
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1751.html

信用貨幣論
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1750.html

現代貨幣理論(MMT)が採用している国定信用貨幣論
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1749.html



世界最大のヘッジファンド: オランダ海洋帝国が繁栄した理由 2020年5月22日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10891

世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨 2020年5月23日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10903

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の繁栄と衰退 2020年5月25日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10922

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10953

世界最大のヘッジファンド: 豊かな国ほど借金まみれになる理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36175#more-36175

南海泡沫事件: バブル経済の語源となった近世イギリスの株式バブルを振り返る
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/3199



ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12051

MMT論者はネズミの巣穴に帰ってもう出て来ない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16825321

「大西つねきはMMT派ではない」大西つねきのパイレーツラジオ2.0(Live配信2023/04/10)
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14108096

大西つねきの世界
http://www.asyura2.com/21/reki7/msg/162.html

シルビオ・ゲゼルの世界
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/922.html

ミヒャエル・エンデの世界
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/846.html

大西つねき : 資本主義がダメな理由
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/766.html

大西つねき : 資本主義の仕組みは既に破綻している
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/658.html

「銀行が潰れる理由」大西つねきのパイレーツラジオ2.0(Live配信2023/03/20)
https://www.youtube.com/watch?v=9r5yYTN9yoY

大西つねき : MMTは詭弁、赤字国債大量発行は貧富の差を拡大し階級社会を完成させる
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/711.html

大西つねき : 政府通貨の疑問に答える
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/764.html

大西つねき :日本一まともな年金の話
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/712.html

大西つねき :正しいベーシックインカム
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/765.html

大西つねき : 日本の戦後について
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/767.html

大西つねきが三橋貴明の間違いを正確に指摘しています。政府がいくら財政出動しても絶対にデフレから脱却できません。
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/135.html

れいわ新選組 大西つねき
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/793.html

政府紙幣発行政策の誤解 経済コラムマガジン
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1106.html
3:777 :

2024/06/09 (Sun) 16:10:43

今や歴史的な円安 _ 円の購買力が1ドル360円時代を下回る
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日本円と日本の物価は異常に安過ぎる _ 1ドル=50円 が適正価格
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/189.html

【インバウンドの罠】日本の観光は楽しむのも稼ぐのも外国人
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14119377

外国人が増えると嬉しいか? _ 外人観光客誘致は日本を貧しくしている
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/185.html

訪日観光客3000万人でGDPは1円も増えなかった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14021350

美味しい弁当を500円で買えるのは日本だけ、欧州で外食すると3000円は取られる
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日本人にとって海外は「超ぜいたく」になってしまうのか…ニューヨーク旅行での“衝撃”
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海外に行かなく(行けなく)なった日本人
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円安、低賃金、ブラック労働で日本で生産する方が外国より安くなった
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“出稼ぎ”日本人…寿司職人は年収8000万円に バイトでも給料“倍以上”
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14056366

カナダが陥った収入2倍で物価も2倍という悪夢、ホームレスが数十万人
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スイスや北欧の物価が高すぎて 持続不可能
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14143748

日本、金利上昇で経済崩壊の可能性
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16856196

これから起きる超円高によるバブル崩壊と預金封鎖
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14091470

すべての紙幣の価値は最終的にゼロに向かってゆく
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16856204

ハイエク: コストプッシュ型インフレは政府の責任回避の言い訳に過ぎない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/31363

ハイエク氏: インフレを引き起こすインフレ政策を止めさせるには民間企業が通貨を発行すべき
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35579

ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12051

信用貨幣論に基づく信用創造
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/919.html

商品貨幣論
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1751.html

信用貨幣論
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1750.html

現代貨幣理論(MMT)が採用している国定信用貨幣論
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1749.html

世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/30502

日本国債の投げ売り急増、追加利上げがなければ日銀の量的緩和は半年で破綻する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32797

ドラッケンミラー氏、日本のインフレで日本国債を空売り
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36355

日銀植田総裁の曖昧なイールドカーブコントロール「運用柔軟化」を解説する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38378

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29198

MMT論者はネズミの巣穴に帰ってもう出て来ない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16825321

銀行のバランスシートと銀行破綻
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14037261

アベノミクスのツケ「地銀含み損3兆円」…破綻シリコンバレー銀行とビジネスモデル酷似
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14095230

銀行を助けて物価高騰かインフレを退治して株価暴落か、どちらかしかない。
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14096858

1万円銀行融資すればマネーサプライは1万円増える、財政支出はマネーサプライを増やす
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14035981

「賃金上がらず予想外」アベノミクス指南役・浜田宏一氏証言 トリクルダウン起こせず…
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14,095,196

GDP戦後最大の落ち込み 日経平均の金換算グラフ
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1001.html

株式投資は企業への投資ではない _ 外資が儲けたらそれと同額だけ日本が損する
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14008776

アメリカはソ連崩壊後に NO.2 になった日本をどうやって叩き潰したのか
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/573.html

日銀が平成バブルを潰して失われた30年を作った
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14037444

自動車産業が儲かるほど日本は貧しくなる
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14118307

トヨタの為に毒塗オレンジを食べさせられている日本人 _ 日本を農業の無い国にして良いのか?
http://www.asyura2.com/09/gaikokujin01/msg/518.html

吉野敏明 _ 戦後アメリカに強制された洋風の食事が日本人の病気の原因
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16850855

日銀が 2011年から500兆円も ばら撒いたので「超円安・輸入物価高の時代」に変わった
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日銀金融緩和が終わった、円安は日本人にとって何の得にもならなかった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14074282

「TOYOTA日本脱出?」日本を捨てるのか? 日本が捨てるのか?
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14081240

”輸出で食べている”幻想はやめろ
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14093223

これから起きる超円高によるバブル崩壊と預金封鎖
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14091470

時代錯誤の「比較優位の原理」を鵜呑みにしている自称経済学者 池田信夫
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14037511

自由貿易と輸出・インバウンドが日本経済を滅ぼす
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14026948

世界最大の対外純資産に惑わされるな!国が強くならないデフレ日本の 経常収支サイクル
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/989.html

日本の労働者の方がアメリカの労働者より裕福だった _ マンハッタンのダイソーは270円
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14027380
4:777 :

2024/06/11 (Tue) 18:33:01

フォン・グライアーツ氏: ゴールドとシルバーの本当の上げ相場はこれから
2024年6月10日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/49783

引き続き、ジョージ・ソロス氏とともにクォンタムファンドを設立したジム・ロジャーズ氏のフォン・グライアーツ氏によるインタビューだが、今回もフォン・グライアーツ氏のコメントに注目しながら報じたい。

貨幣は長期的に価値を失ってゆく

以前の記事でフォン・グライアーツ氏は、貴金属の含有率を減らされたローマ帝国の硬貨から始まり、すべての通貨は政府によって価値を減らされてきたという歴史的事実について語っていた。

フォン・グライアーツ氏: すべての紙幣の価値は最終的にゼロに向かってゆく
そして実際、ドルの価値も1975年を100としてインフレによる価値下落を計算するとドルの価値はそれから87%下落しているというグラフを示しておいた。


通貨の価値が下落する理由

誰もが財布に入れている通貨の価値が長期的に下落するのは、それが莫大な政府債務を解決するための有効な方法だからである。

金利が上がったアメリカでは莫大な政府債務に利払いが付き始めており、インフレによる債務の無効化のほかにも投資家たちは債務の解決方法について議論している。

ガンドラック氏: 米国債が債務減免される可能性
少なくともインフレを起こしてしまえば、国民の貯金と同時に政府の借金も紙切れ同然となる。だから通貨は政府のインフレ政策によって長期的に価値を失ってゆくのである。

通貨の価値下落とゴールド

この状況をフォン・グライアーツ氏はどう見ているのか。彼は次のように述べている。

政府はいつもあなたの味方だ。政府は貨幣価値を台無しにするために日夜勤勉に働き、ゴールドの安定した購買力を維持してくれている。

政府はゴールドに興味のある投資家にとって最高のパートナーだ。

すべての通貨はいずれなくなるが、ゴールドだけは生き残る。これほど安全な賭けがあるだろうか。

これは勿論皮肉である。だが実際に、Bridgewaterのレイ・ダリオ氏は政府債務への不信感から貴金属が上昇していると言っている。

レイ・ダリオ氏: 金価格が上がっている理由
ゴールドかシルバーか

ではゴールドとシルバーではどちらの方が良いのか。これに関してはロジャーズ氏が次のように言っている。

ゴールドもシルバーも保有しているが、どちらかを今買うとすればシルバーを選びたい。シルバーの方が安いからだ。

これに関してはもう一度ゴールドとシルバーの長期チャートを持ち出すべきだろう。金価格の長期チャートは次のようになっている。


ほぼ史上最高値付近である。

銀価格の長期チャートは次のようになっている。


最近少し上がったが、以前のバブルの高値よりも大幅に低い水準で取引されている。

だが1970年代の物価高騰時代にはゴールドもシルバーも同じくらい上昇(ゴールドは25倍、シルバーは27倍)したということを以下の記事で解説しておいた。

1970年代の物価高騰時代における貴金属や農作物の価格推移
貴金属市場の動向予想

フォン・グライアーツ氏もシルバーの割安性を認めているらしい。彼は次のように述べている。

経済は紙幣印刷と債務増加が過熱する段階に来ている。だから金相場と、銀相場はもっとそうだが、加速する段階に来ている。

この予想には短期的には異論もあるだろう。景気後退が来れば貴金属であっても下落する。以下の記事で解説している通り、リーマンショックでは実際、金相場は一時的に下がっている。

リーマンショックで急落した金価格、上昇した米国債
だがその後、景気後退に対応するために政府が緩和を再開し、それでインフレ相場が戻ってくると予想する著名投資家は多い。

インフレ再燃のタイミングで真っ先に上がるのは貴金属だろう。フォン・グライアーツ氏は次のように予想している。

ゴールドとシルバーの本当の上げ相場はこれからだ。そして恐らくそれは遠い未来の話ではない。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/49783
5:777 :

2024/06/13 (Thu) 22:04:33

【緊急ライブ】ドル崩壊カウントダウン…サウジ,ロシア,中国のドル 排除が加速(マックス×石田和靖)
https://www.youtube.com/watch?v=64CjeaZVVug
6:777 :

2024/06/17 (Mon) 20:41:16

グリフィン氏: 米国債暴落でブラックマンデー再来の可能性
2024年6月17日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/50057

Citadel創業者のケン・グリフィン氏がBloombergのインタビューでアメリカの債務問題の深刻さを警告しているので紹介したい。

アメリカの債務問題

米国株も上昇を続け、今年の金融市場は上手く行っているように見えるが、機関投資家たちは年始から口を揃えて同じ問題について話し続けている。アメリカの政府債務の問題である。

ガンドラック氏: 米国債が債務減免される可能性
アメリカはGDP比122%の政府債務を抱えている。コロナ禍に行われた莫大な現金給付で急増したのは事実だが、コロナ以前から政府債務は100%を超えていた。

では何故それが今年問題になっているのか。それはコロナ後のインフレと金利上昇によって、その莫大な国債に利払いが発生しているからである。米国政府の国債利払い(GDP比)は以下のように急増している。


だが米国政府にはお金がない。だから国債を発行して国債の利払いを行おうとするのだが、そうすると更に利払いを持った国債が増えてしまうという借金のスパイラルに追い込まれている。

ガンドラック氏: 米国の年金はインフレ高金利であと4年で破綻する
アメリカの債務危機

著名投資家以外は誰も気にしていないが、これはかなりマズい状況である。ポール・チューダー・ジョーンズ氏は早くも2月に国債の供給過多による国債暴落の可能性を懸念していた。

チューダー・ジョーンズ氏: 今年中に米国債暴落、金利急上昇の可能性
そしてグリフィン氏も同じことを懸念しているようである。彼は次のように述べている。

何がきっかけになるのかは分からない。国債の入札が上手くいかなくなるのか、市場が急落するのか。

金融市場は通常、レールを踏み外して破滅に向かう直前まで調子が良いものだ。大惨事が起こるまでに十分な警告があるとは限らない。

これは金融市場ではよく言われる冗談だが、相場は下がり始めるまで上がり続ける。だが事前に警告があったにもかかわらず誰も気にせず危機まで突き進む場合もあれば、何の予兆もない場合もある。

突如起こったブラックマンデー

グリフィン氏は1987年のブラックマンデーを引き合いに出し次のように述べている。

1987年の暴落は良い教訓になる。

あの日の朝、その日がアメリカの金融市場の破滅になると予期させるような大きなニュースは何もなかった。

あの日のニュースの話題は、特にどういう結果も生まなかった中東での小競り合いと、ナンシー・レーガン大統領夫人の健康問題だった。

だがその日の終わりには株式市場は20%以上暴落していて、多くのアメリカの金融機関が瀕死になっていた。

それがたった1日で起きた。1日だ。

ブラックマンデー前後のS&P 500のチャートを掲載すると次のようになる。


2024年の債務危機

グリフィン氏は今回も同じようになるのではないかと懸念している。彼は次のように続ける。

今回の債務危機が同じようなシナリオになるのではないかと懸念している。例えば国債の入札が上手く行かず、そこから国債市場がパニックに陷る。

問題はFedの介入がどれくらい早いか、そしてそれがどういう結果をもたらすかだ。何故ならば、政府が無理に状況を解決しようとすればパニックは悪化することが多い。

そうなれば世界中の米国債保有者が国債を手放そうとするのではないか?

結論

アメリカの債務問題は遅かれ早かれ大きな問題になる。それは筆者や多くの著名投資家が同意するところである。

ガンドラック氏: 米国の年金はインフレ高金利であと4年で破綻する
グリフィン氏はそれがいつになるかは分からないと言う。

だが1987年のブラックマンデーも予想した人物が実は存在する。ポール・チューダー・ジョーンズ氏である。スタンレー・ドラッケンミラー氏はブラックマンデー直前にジョーンズ氏の株価下落予想をジョージ・ソロス氏から見せられた件について『新マーケットの魔術師』のインタビューで語っている。

そしてそのジョーンズ氏は、今回の債務危機が11月の大統領選挙をきっかけに起きる可能性を警告していた。

チューダー・ジョーンズ氏: 今年中に米国債暴落、金利急上昇の可能性


何の問題もない相場が長らく続いているが、そろそろ投資家はリスクシナリオについて本気で考えなければならないだろう。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/50057
7:777 :

2024/06/20 (Thu) 14:14:47

「日本の貧困化はアベノミクスに責任」有識者が怒り告発 年収500万円世帯は実質60万円の収入減に
6/20
https://news.yahoo.co.jp/articles/5927ff1098c58bf23dc18dc971f4b19145abd2d2

今年3月、日本銀行はマイナス金利政策の解除を決定。その3日後、政府の月例報告からアベノミクスの「3本の矢」の表記がひっそりと消えた。

【写真あり】脱アベノミクスをはかる日銀の植田総裁と、アベノミクスを推進した黒田東彦前総裁

日本経済団体連合会(経団連)も、十倉雅和会長が「(金融政策を)早く正常化すべき」と発言。実質的に、アベノミクスを否定したことになる。

〈大胆な金融政策〉〈機動的な財政政策〉〈民間投資を喚起する成長戦略〉の「3本の矢」を柱として、第二次安倍政権が発足した2012年末からスタートしたアベノミクスが終わりを迎えようとしている。

安倍晋三元首相の経済政策に疑問を投げかけ、近著『全検証 コロナ政策』(角川新書)でもアベノミクスを検証した弁護士の明石順平さんがこう解説する。

「アベノミクスは円の価値を落として円安にしただけの成果しか残しませんでした。昨今、急激な円安の動きが目立ちますが、アベノミクスがスタートしてから円安傾向が続き、日本はどんどん貧しくなっていったのです」

■アベノミクスで円の価値が暴落した

通貨の実力を示す「実質実効為替レート」を見ると、アベノミクスがスタートしてから円の価値は下がり始め、現在は1970年より低いレベルまで下落している。

「アベノミクスが提唱した異次元の金融緩和政策に従って、日銀は民間の金融機関の保有する国債を爆買いし、円を大量供給しました。円が大量に供給されれば、円の通貨価値は下がります。アベノミクス前は1ドル80円程度だったのが、2015年には120円台に。ドルに対する円の価値は3分の2に暴落したのです」(明石さん、以下同)

円安になると輸入品の価格が上がるため物価も上昇する。

「アベノミクスでは物価が上がっていなかったと思っている人が少なくありません。日銀の“前年比2%”という目標が達成されていないとさかんに報道されたからです。実は、アベノミクス開始前と比べるとコロナ禍の影響が出る前の2019年度までに消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合指数)は7.6%も上昇。2度の消費増税の影響もありますが、円安の影響が大きいのです。

そのあとも国債の爆買いが続けられました。今の円安と物価高は、アベノミクスの副作用なのです」

表を見てほしい。第2次安倍政権発足後から、消費者物価指数はうなぎ上りに。2012年を基準(100)とすると、物価指数は2023年には114.3まで上昇。一方で、名目賃金指数は104.8までしか上昇していない。名目賃金指数を消費者物価指数で割ることで求められる実質賃金指数は、なんと91.7まで急落したのだ。

同じ年収500万円でも2024年の価値は、2012年と比べると、購買力という点から考えると、実質的に60万円ほど目減りしたことになる。

「アベノミクスがいまだに成功だったと言っている人は“賃上げ2%達成”を理由に挙げますが、それは春闘に参加した組合員が対象で、労働者の全体から見ると5%ほどしかいません。

手取りが増えないのに物価が上がり続けているから、戦後最悪の消費停滞が起きているのです」


急激なインフレは増税されたのと同じ
とはいえアベノミクスでは、株価が上昇し、雇用も改善したともいわれるが……。

「株価上昇は、円安になって外国人投資家にとって日本株がお買い得になったこと、さらには日銀と年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の公的マネーが株式市場に大量に流れたからです。

雇用も、2019年と2012年の産業別雇用者数を比較すると、もっとも雇用者数を増やしたのは医療・福祉。高齢者人口が増えたからで、アベノミクスとは無関係です。雇用の改善をもたらしたのは円安の影響を受けた宿泊業や製造業などごく一部に限られています」

円安、物価高、賃金が上がらない、という現状から早く抜け出すべきだが……。

「日本は、国債と借入金現在高が1200兆円以上という借金大国です。しかも現状では、国は、借金を借金で返している詐欺のような資金繰りをしています。この巨額の借金を処理できないことが激しい円安を招いている一因。国の借金が膨らみすぎれば、どこかで市場の信用が失われ、国債と円が暴落し、モノの値段が高騰する、ハイパーインフレが懸念されます」

インフレは“インフレ税”という別名を持っているという。

「たとえば物価が100倍になった場合、100万円は1万円の価値に。これは99万円を没収されたのと同じです。逆に国の借金も実質的価値が減少。没収された99万円が国の借金返済に充てられるのと同じだからインフレ税と呼ばれるのです。インフレを放置することは、気づかないうちに増税されているのに等しいのです」

そんななか日銀は、6月13~14日に行われた金融政策決定会合で、国債買い入れの減額を決めた。アベノミクスから続けてきた“国債の爆買い”をやめる方向にかじを切ったわけだ。

「国債の価格と金利は逆に動くので、日銀が国債の購入を減らすことで金利を上げることができます。日米の金利差が縮み、円安に一定の歯止めがかかるかもしれません。しかし、国債という国の借金の処理ができなければ、いずれ円は信用を失って、異常な円安が起こり、ハイパーインフレになる可能性は高いのです」

株高 を享受したのは一部の資産家だけ。多くの庶民にとって、アベノミクスは、生活を貧しくしただけで終わりそうだ。

「女性自身」2024年7月2日号
8:777 :

2024/07/19 (Fri) 04:45:01

【トランプほぼ確】1ドル=160円だった円安相場が今後どうなるか髙橋洋一さんが全てを話してくれました(虎ノ門ニュース切り抜き)
真相深入り! 虎ノ門ニュース 2024/07/18
https://www.youtube.com/watch?v=gVepCJzxa-8

<出演>
髙橋洋一(嘉悦大学教授)
松原 仁(衆議院議員)
長谷川幸洋(ジャーナリスト)


高橋洋一「日本の円安はアメリカの悲劇?!」
2024/06/29
https://www.youtube.com/watch?v=owYMvyJRgWM

髙橋洋一 ひろゆきも知らない近隣窮乏化を解説
2024/06/25
https://www.youtube.com/watch?v=Gdxvp-DqIi0

円安がー!まだ日経が言う。あまりにも…
髙橋洋一チャンネル 2024/06/10
https://www.youtube.com/watch?v=8TC6-MfZxAs

髙橋洋一 円安で外貨を売ればボロ儲け!財務省が決して言わない事実
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14046992


今や歴史的な円安 _ 円の購買力が1ドル360円時代を下回る
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16856288

日本円と日本の物価は異常に安過ぎる _ 1ドル=50円 が適正価格
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/189.html

40年間続いた「円高の時代」は既に2011年10月に「円安の時代」へとパラダイム・シフトしていた
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14004475

日銀が 2011年から500兆円も ばら撒いたので「超円安・輸入物価高の時代」に変わった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14010201

日銀金融緩和が終わった、円安は日本人にとって何の得にもならなかった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14074282

世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/30502

これから起きる超円高によるバブル崩壊と預金封鎖
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14091470

すべての紙幣の価値は 最終的にゼロに向かってゆく
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16856204

ハイエク: コストプッシュ型インフレは政府の責任回避の言い訳に過ぎない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/31363
9:777 :

2024/07/27 (Sat) 10:28:31

ポジャール氏: 世界的なドル離れの結果はドル円下落ではなくアメリカの財政危機
2024年7月3日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/50785

Ex Uno Plures創業者のゾルタン・ポジャール氏のBudabest Eurasia Forumにおける2023年11月のインタビューを見逃していたので紹介したい。

金利と通貨のスペシャリストであるポジャール氏がドルとアメリカの財政について面白いことを語っている。

世界的なドル離れ

基軸通貨ドルの衰退をメインテーマとしたリサーチ企業を創業したポジャール氏が今回語っているのはやはり世界的なドル離れである。

金利市場の天才ゾルタン・ポジャール氏、ドルの崩壊を予想するためのリサーチ企業を創業
だがポジャール氏が言う「ドル離れ」とは必ずしもドル下落のことではない。

どういうことか。ポジャール氏はドルの現状について次のように語っている。

元々は資源の売買や貿易にはアメリカのドルが独占的に使われていた。インドと中国、インドとブラジル、中国とブラジルのような、ドルとは一切関係のない2国間の取引でもドルで決済が行われていた。

だがそれは変わろうとしている。しかもその変化は急速だ。

きっかけはウクライナ戦争だった。米国はロシアに対してドル資産凍結などの経済制裁を行い、インドなど対露制裁に協力的でない無関係の国々に対しても制裁をちらつかせて協力を強要しようとした。

結果として欧米以外の国々はこぞってドルの保有を避けようとしている。BRICSはこれまでドルが使われていた貿易の決済に自国通貨を使うよう呼びかけており、中東では遂に比較的親米なサウジアラビアまでも原油取引のドル決済を減らす動きを見せている。

プーチン大統領: ドルを使った経済制裁はアメリカの自殺行為
こうして西側と東側の経済分離が進んでいる。欧米諸国がロシアの資源を輸入したがらない一方で、その他の国々はドルを避けている。

ポジャール氏は次のように言っている。

西側諸国が東側の実体経済や資源の供給網から身を引こうとしている一方で、東側諸国は西側の金融システムから身を引こうとしている。

それがドルの役割を変えようとしている。

ドル離れがどういう結果を生むか

その結果どうなるか。多くの人々が考える次のシナリオはドルの下落だ。しかしポジャール氏の考えはそうではない。ポジャール氏は次のように述べている。

世界はドルやユーロの次へと移行しようとしている。人民元やインドルピーやアラブ首長国連邦のディルハムの役割がもっと大きくなってくる。

こうした状況の結果として一番重要なのは、米国の資金調達が困難になるということだ。

ドルの利用が減ると何故アメリカが資金調達できなくなるのか? そこが国債や金利のエキスパートであるポジャール氏の観点である。

ポジャール氏は次のように説明している。

これまでアメリカの財政赤字には上限がなかった。誰もが米ドルで決済していたため、ドルの預金を積み上げている人々が常にいた。そしてその資金は最終的に米国債へと流れていった。

この変化について投資家が十分に熟慮しているかどうかは微妙だ。誰もがドル離れという現象をユーロや円に対する為替レートがどうなるかという意味で考えがちだが、それは間違った考え方だ。

ドル離れの最終的な結果は決済や精算に関するものだ。そして決算や精算の方法が変わるということは、政府の資金繰りに影響が及ぶということだ。

アメリカはコロナ後に世界的なインフレを引き起こすような規模の現金給付を行なった。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
それほどの規模でドルをばら撒いたのだが、ドルは下落しなかった。アメリカはそんなことができた唯一の国である。同じ規模のばら撒きをしようとしたイギリスのトラス元首相は、ほとんど首相に就任しただけでポンドと英国債を暴落させ辞任した。

サマーズ氏: 景気後退で財政支出する国はイギリスの二の舞になる
また、インフレになった後も量的緩和というインフレ政策を続けている日本では通貨が暴落している。

日銀の植田総裁が円安を止められない理由
だがアメリカだけはドルを暴落させずにばら撒きを行なうことができた。それはこれまでドルをどれだけ刷ってもドルを買おうとする人々が世界中に居たからである。

ドル離れとアメリカの財政問題

しかしアメリカは自分でそうした人々を追い払ってしまった。そしてBRICS諸国や中東諸国では急速にドル離れが進んでいる。

だがポジャール氏によれば、問題の本質は人々がドルを買わなくなることではない。

これまで諸外国によって買われたドルは当然銀行に預けられ、銀行はそのドルで国債を買っていた。だからドルを買うというのは米国債を買うことと同じである。

ここに問題の本質がある。ドルを買う人がいなくなるということは、米国債を買う人がいなくなるということなのである。

ドル離れで米国債が暴落する

米国債の買い手不足はまさに今年に入って多くの機関投資家が警告していることである。

レイ・ダリオ氏: 米国債が投げ売りされて次の経済危機が始まる
グリフィン氏: 米国債暴落でブラックマンデー再来の可能性
ガンドラック氏: 米国債が債務減免される可能性
何故ならば、インフレによる金利上昇から米国債にこれまでほぼゼロだった利払いが発生しており、米国政府は借金の利払いのために借金をしなければならなくなっているが、それは市場に大量の米国債がばら撒かれることを意味する。

そこで大量に発行される米国債に対して、十分な買い手がいるのかということを機関投資家は懸念しているのである。

とはいえ中央銀行が紙幣印刷で国債を買い入れればインフレが再燃する。

米国債は買い手が見つからず暴落してしまうのか? ポジャール氏によればその兆候は既に見られているという。ポジャール氏は以下のように述べている。

アメリカの金利市場を注視している人なら誰でも、アメリカの長期国債の発行が上手く行っていないことに気づくはずだ。それでアメリカは長期国債ではなく短期国債で資金調達することを強いられている。

国債のオークションに参加する機関投資家は既に長期国債には手を出さず、すぐに逃げられる短期国債にシフトし始めているらしい。期間の長い国債ほど困難に直面しやすくなるだろう。

結論

米国債の問題を指摘したこの手の警告で一番早かったのはポール・チューダー・ジョーンズ氏の2月の警告である。

チューダー・ジョーンズ氏: 今年中に米国債暴落、金利急上昇の可能性 (2024/2/24)
だがこのポジャール氏のインタビューは去年11月なので、それよりも早いことになる。さすがは金利市場の天才といったところだろうか。

さて、米国債はいつ暴落するのか。タイミングについてはレイ・ダリオ氏が5年以内とする一方で、ジョーンズ氏は今年11月のアメリカ大統領選挙がきっかけとなる可能性を指摘している。

レイ・ダリオ氏: 日本経済は最悪だ、米国の政府債務は5年以内に破綻する
サマーズ氏: トランプ氏が大統領選挙勝利ならインフレ悪化で金利上昇
いずれにしてもあまり良い話ではない。筆者は 超長期米国債の空売りを既に始めている。投資家は経済危機になっても利益を得られる唯一の職業である。

トランプ氏が大統領再選なら株価やドルはどうなる? 2016年のトランプ相場を参考に

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/50785
10:777 :

2024/10/27 (Sun) 01:35:58

日本もアメリカも政府債務はインフレで解決されるしかない
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世界最大のヘッジファンド: オランダ海洋帝国が繁栄した理由 2020年5月22日
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世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨 2020年5月23日
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世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の繁栄と衰退 2020年5月25日
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世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
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世界最大のヘッジファンド: 豊かな国ほど借金まみれになる理由
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南海泡沫事件: バブル経済の語源となった近世イギリスの株式バブルを振り返る
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シルビオ・ゲゼルの世界
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ミヒャエル・エンデの世界
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大西つねきの世界
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れいわ新選組 大西つねき
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/793.html

大西つねきがやろうとしていること(第49回衆議院選挙に向けて)
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大西つねき : 資本主義がダメな理由
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大西つねき : 資本主義の仕組みは既に破綻している
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/658.html

「銀行が潰れる理由」大西つねきのパイレーツラジオ2.0(Live配信2023/03/20)
https://www.youtube.com/watch?v=9r5yYTN9yoY

「大西つねきはMMT派ではない」大西つねきのパイレーツラジオ2.0(Live配信2023/04/10)
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大西つねき : MMTは詭弁、赤字国債大量発行は貧富の差を拡大し階級社会を完成させる
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大西つねき : 政府通貨の疑問に答える
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/764.html

政府紙幣発行政策の誤解 経済コラムマガジン
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1106.html

大西つねき :日本一まともな年金の話
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/712.html

大西つねき :正しいベーシックインカム
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/765.html

大西つねき : 日本の戦後について
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/767.html

大西つねきが三橋貴明の間違いを正確に指摘しています。 政府がいくら財政出動しても絶対にデフレから脱却できません。
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/135.html
11:777 :

2024/10/31 (Thu) 06:18:22

金利上昇後の資産運用

日本もアメリカも政府債務はインフレで解決されるしかない
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すべての紙幣の価値は最終的にゼロに向かってゆく
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ネイピア氏: 金利上昇の新時代では投資家はS&P 500と米国債を避けよ
2024年10月30日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55762

The Solid Ground Newsletterを発行しているアナリストのラッセル・ネイピア氏が、Skagen Funds主催の講演会で金利上昇後の資産運用について語っている。

世界経済は変わったのか

世界経済はコロナ前の低金利・低インフレ経済から、コロナ後の高金利・高インフレ経済に変わった。

少なくとも一部の著名投資家は、インフレは終わっていないと予想している。

ドラッケンミラー氏が米国債空売り、アメリカのインフレは10%を超えて再燃する可能性
ポール・チューダー・ジョーンズ氏がインフレ再燃予想、ゴールドとビットコインとNasdaqを推奨
ネイピア氏もその1人のようである。彼は世界経済のトレンドが変わったと主張している。

ネイピア氏は次のような例え話から議論を始める。

ある年寄りの魚が泳いでいたら、2匹の若い魚がやってきた。

年寄りの魚は言った。いい天気ですね。今日は水の具合はどうですか?

すると若い魚のうち1匹はもう1匹に言った。水って何?

ネイピア氏が言いたいのは、ある環境に長く居すぎると、それが当たり前になってしまうということである。

そして金融市場でこそそれは危ない。多くの投資家は、これまでの金利低下・インフレ率低下のトレンドが当たり前だと思っている。

それを頭では分かっていても、今の投資家の常識はデフレの状況下で作られたものであり、当たり前のように前提としていることでもインフレの時代では通用しないことがある。

ネイピア氏は次のように述べる。

水は永遠に変わらないと言うのは簡単だが、水は変わった。

新時代の世界経済

新たな時代とは何か。例えば政府債務が莫大になっていることである。

いや、厳密に言えば莫大な政府債務に金利が付き始めたことである。これまではゼロ金利で借金がどれだけ増えても利払いはなかったが、インフレで金利が上昇したことで、莫大な政府債務に利払いが生じてしまっている。

レイ・ダリオ氏: 日本経済は最悪だ、米国の政府債務は5年以内に破綻する
ジョニー・ヘイコック氏は今のアメリカの債務の状況について次のように言っていた。

ヘイコック氏: アメリカの財政問題はもう長くはもたない
歴史を振り返れば、大国において負債への利払いが国防費を上回るとき、もうその国は長くはもたない。

だから機関投資家たちは第1次世界大戦後のドイツのように、政府の借金がインフレで帳消しになるシナリオを想定している。それは日本も同じである。

ポール・チューダー・ジョーンズ氏: 日本もアメリカも政府債務はインフレで解決されるしかない
犠牲になるのは誰か。預金者と、そして国債の保有者である。ネイピア氏は次のように言う。

債務をインフレで帳消しにしながら債券の保有者に良い実質リターンを与えることはできない。

だからネイピア氏は米国債を保有してはならないと言う。金利低下・インフレ率低下の局面では国債は最良の投資対象だった。それが過去40年の経験である。だがその時代はもう終わった。

S&P 500に投資してはならない

さて、世界は他にどう変わったか。ネイピア氏は次のように述べている。

世界が変わったもう1つの理由は、中国が自分の債務をインフレで帳消しにしなければならないことだ。

ネイピア氏は中国経済について語っているのではない。世界の金融市場における中国の役割について語っているのである。

ネイピア氏は次のように続ける。

中国では農民の都市部への大移動という人類史上最大の人口移動があり、大量の資本投資が行われ、中国は経常黒字と資本移動等黒字を計上した。資本は流れ込んできたが、出てゆくことは許されていなかったからだ。

それでどうなったか? 中国政府は中央銀行に米国債やドイツ国債やフランス国債などの国債を大量に買わせる介入を行なうことになった。

急激な経済成長を遂げながらも、資本移動を規制したことで資本が国外に出られなかった中国では外貨をもてあました。

その帳尻を合わせたのが中央銀行である。結果として中国の外貨準備は物凄い金額になっている。

ネイピア氏は次のように続ける。

中国だけでなくアジア全体が同じことをしていた。アジア諸国は5兆ドルを越える規模の西側諸国の国債を買っていた。

それは西側諸国の金利低下に大きく貢献したはずだ。

それで西側諸国では何が起きたか? S&P 500のバリュエーションは上がった。ハイテク株のバリュエーションはもっと上がった。アメリカの企業はお金を借りた。ハイテク株はもっと借りた。

つまり、これまでの世界では中国が(そしてアジア諸国が)米国債を買っていたことでアメリカの金利低下に貢献していたということである。

だが今度は中国が不動産バブル崩壊によって自国の金利を下押ししなければならない状況に陥っている。

レイ・ダリオ氏が中国の不動産バブル崩壊を説明する
中国は米国債を買っている状況ではなくなっているが、同時に買いたいとも思っていない。ウクライナ戦争以後、ドル資産を持っていればアメリカの都合で資産を取り上げられると分かったからである。

プーチン大統領: ドルを使った経済制裁はアメリカの自殺行為
米国債はアジア諸国による買い支えを失いつつある。それは金利上昇に繋がり、米国株にとっても下押し圧力になる。

製造業を中国に取られたアメリカ

更に、ウクライナやパレスチナの情勢は各国を貿易から遠ざけている。中国はアメリカの半導体を買えなくなった。自由貿易がこれまでのトレンドであれば、ブロック経済がこれからのトレンドである。

これまでのトレンドである自由貿易はアメリカに何をもたらしたか。ネイピア氏は次のように語っている。

米国企業は製造業から手を引いた。工場はすべて中国に行った。米国企業は最新鋭のビジネスに集中した。そしてS&P 500の季節調整済み株価収益率は34倍まで上がった。

それがこれまでわれわれが泳いでいた水がもたらした結果だ。

だがその水は変わっている。だからS&P 500には投資をしてはならないということだ。S&P 500は古いシステムから最大の利益を得た企業なのだ。

中国は半導体を買えなくなった。アメリカはそれで喜んでいるかもしれないが、それは中国が反撃をしない間だけである。

ネイピア氏は次のように語っている。

彼らは半導体チップを自分で作ろうとしている。そしてわれわれは製造業をやらなければならなくなる。

その時代の抱える問題を解決する企業に投資しなければならない。それがこれまで15年の歴史だ。では今後15年を見た場合には、今後15年の問題を解決するのはどういう企業か?

そういう銘柄は株式市場にたくさんある。だがそれらはインデックスには入っていない。当然だ。過去30年で中国の過剰投資によってほぼ完全に打ちのめされたからだ。

S&P 500は大型株インデックスである。つまり、これまで成功してきた企業しか入っていない。

それはトレンドが変わらない間は上手く行くだろう。環境が変わらない限り、これから成功する企業はこれまで成功してきた企業である。

それがS&P 500が過去40年上がり続けている理由である。

しかしそれは「環境が変わらない限り」という条件付きであり、この重要な条件をほとんどの投資家は真剣に考えていない。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
コロナ初期のロックダウンにおいて各国政府が即座に現金給付を決定した時、Bridgewaterのレイ・ダリオ氏はすぐに著書『世界秩序の変化に対処するための原則』の執筆を開始し、インフレと債務問題がどのように過去の覇権国家を衰退させたかを説明して、新たな時代はどのような時代になるかを予想した。

その後、多くの識者がダリオ氏の意見に賛同し、今や著名投資家の間では共通認識となりつつある。

S&P 500を盲目的に買っている人はそこから乗り遅れているのである。投資をするときには、その根拠をしっかり確認することだ。


世界秩序の変化に対処するための原則 なぜ国家は興亡するのか – 2023/9/23
レイ・ダリオ (著), 斎藤聖美 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%96%E7%95%8C%E7%A7%A9%E5%BA%8F%E3%81%AE%E5%A4%89%E5%8C%96%E3%81%AB%E5%AF%BE%E5%87%A6%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%89%87-%E3%81%AA%E3%81%9C%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E3%81%AF%E8%88%88%E4%BA%A1%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B-%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%80%E3%83%AA%E3%82%AA/dp/4296116185?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=TDM09MVBZJYL&dib=eyJ2IjoiMSJ9.2qGKODN6BuEkRGN66w2lk5c7tiDRWnjw8QLPf8q8a4_lBi1_BZsYeLlqKq40XOphncuWPFl1F2t9xsgXoBkP3KJZtXtzyxctA4LTs9rv921NiLX1BPDxa4TnhoMsscmhn6UucyuTZ6A4qham6cIM8w07-1Xo4QFNrXd-0FQDD5mKyIStvOhbFihdu6RlizxhM_0XBGrfr47Mn_Gvh615MpmzvZiEFocTDRK2vOyaUGU.JUyDI1IllWDpBrm9koD1ocXqqBMm8byeXtcgoOzKRro&dib_tag=se&keywords=%E3%83%80%E3%83%AA%E3%82%AA&qid=1711598966&rnid=2321267051&s=books&sprefix=%E3%83%80%E3%83%AA%E3%82%AA,aps,173&sr=1-1&linkCode=sl1&tag=globalmacrore-22&linkId=d4a908bef2263415ca7a8de1463662c1&language=ja_JP&ref_=as_li_ss_tl


世界最大のヘッジファンド: オランダ海洋帝国が繁栄した理由 2020年5月22日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10891

世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨 2020年5月23日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10903

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の繁栄と衰退 2020年5月25日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10922

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10953

世界最大のヘッジファンド: 豊かな国ほど借金まみれになる理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36175#more-36175

南海泡沫事件: バブル経済の語源となった近世イギリスの株式バブルを 振り返る
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/3199


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55762
12:777 :

2024/11/02 (Sat) 12:56:53

ネイピア氏: 米国債はあと27年下落し続け、金利は上がり続ける
2024年11月1日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55868

引き続き、The Solid Ground Newsletterのラッセル・ネイピア氏のSkagen Funds主催の講演を紹介したい。

今回はアメリカの金利の長期トレンドについて語っている部分である。

中国のバブル崩壊と米国債

前回までの記事でネイピア氏はインフレの動向と中国による米国債購入の変化が世界の金融市場の新たなトレンドを決めると主張していた。

ネイピア氏: 金利上昇の新時代では投資家はS&P 500と米国債を避けよ


これまでの債券市場では誰もが米国債を買っていた。アメリカの中央銀行も米国債を買い入れていた。中国も貿易で稼いだ外貨をもてあまし、大量の米国債を買っていた。

だがネイピア氏によれば、そのトレンドは逆流する。

アメリカではインフレが生じたことで金利を上げなければならなくなり、中国も不動産バブル崩壊によって他国の国債を買っている状況ではなくなった。

レイ・ダリオ氏が中国の不動産バブル崩壊を説明する

それだけでなく、ウクライナ戦争以後、他の国々も米国債を避けている。

プーチン大統領: ドルを使った経済制裁はアメリカの自殺行為

買い圧力が弱まり、米国債の価格が下落して金利が上昇すること自体が米国債の利払いを増やし、新たな国債発行によって米国債は更に下落してゆく。ジョージ・ソロス氏の『ソロスの錬金術』で解説されている投資理論で言うところの「自己強化的なトレンド」である。

米国債下落は長期トレンド

ソロス氏によれば、自己強化的なトレンドはそれを止める別の要因がなければそのままどんどん加速してゆく。そしてネイピア氏もそう思っているようである。

ネイピア氏は次のように言っている。

投資をする上での結論はこうだ。長期の国債を買わないこと。

実際、米国債がこれから下落すると予想して空売りしている機関投資家は多い。

ドラッケンミラー氏: 米国が0.5%利下げをした日に米国債を空売りした


ポール・チューダー・ジョーンズ氏、大統領選挙でインフレ再加速を予想、米国債を空売り


だがネイピア氏によれば、米国債の下落はここから来年にかけてだけの話ではない。ネイピア氏は次のように続けている。

米国債のこれまでのリターンについてのチャートを見れば、30年の上げ相場と30年の下げ相場があることに気づく。

債券相場の歴史を見れば、上げ相場も下げ相場も非常に長期にわたる傾向にある。

アメリカの長期金利は長期的には以下のように推移している。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2024/11/2024-11-1-us-10-year-treasury-bond-yield-chart.png



金利は何十年もかけて上がって下がっている。金利上昇は債券の価格下落を意味するので、債券の価格は下がって上がったのである。

そしてコロナ後に金利は再び上がっている。これが30年続く新たな相場の始まりだとすれば、ネイピア氏の結論は次のようになる。

今の下げ相場は3年前に始まった。残っているのはあとたったの27年だ。

ちなみにネイピア氏は債券の価格下落が必ずしも名目のものではない可能性、つまりインフレによって名目価格ではなく実質的価値が下落する可能性にも言及している。

ポール・チューダー・ジョーンズ氏などは日本の債務もアメリカの債務もそうなるしかないと予想している。

ポール・チューダー・ジョーンズ氏: 日本もアメリカも政府債務はインフレで解決されるしかない


ネイピア氏はその可能性を踏まえて次のように結論している。

債券保有者の損失は必ずしも名目のものではない。金利を抑圧すれば名目の損失は避けられる。

金利の固定は債券価格を固定することだからだ。 その場合損失は実質のものになる。だがとにかく債券は保有するな。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55868
13:777 :

2024/11/03 (Sun) 08:24:39

ネイピア氏: 日本の政府債務は円安で解決される、円を空売りして日本株を買え
2024年11月2日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55871

引き続き、The Solid Ground Newsletterのラッセル・ネイピア氏のSkagen Funds主催の講演である。今回は日本の政府債務と金融市場について語っている部分を取り上げたい。

日本の債務問題

ネイピア氏はこれまでの記事で、コロナ後の金利上昇は長期のトレンドで、莫大な政府債務に多額の利払いが生じている多くの先進国ではツケを払う瞬間がついに来ると予想していた。

ネイピア氏: 米国債はあと27年下落し続け、金利は上がり続ける
ネイピア氏: インフレと債務問題で最大の危機はヨーロッパ、共通通貨ユーロは破綻する
アメリカとヨーロッパの話はもうしている。では日本はどうか? ネイピア氏は日本の話もしている。

ネイピア氏が注目しているのは、単に政府債務だけではなくその国の経済に存在するすべての負債の合計金額である。それを踏まえてネイピア氏は次のように言っている。

日本の債務はGDPの414%だ。

今のところは日本は逃げ切れているが、この問題を解決するには最終的にはインフレで債務を帳消しにするしかない。

借金と金利上昇

それはポール・チューダー・ジョーンズ氏も言っていたことである。

ポール・チューダー・ジョーンズ氏: 日本もアメリカも政府債務はインフレで解決されるしかない
政府債務の問題は、金利がゼロである間は大した問題にはならない。どれだけ借金があっても利払いがないからである。

だがインフレ政策が本当にインフレを引き起こし、国債に利払いが発生すると、大国は急激に没落してゆく。レイ・ダリオ氏が『世界秩序の変化に対処するための原則』で予想していたシナリオである。

特に日本の債務の額は莫大であり、アメリカのように金利を5%に上げることさえ許されないだろう。債務がGDPの414%ならば、それらの債務に5%の金利が付けば利払いだけでGDPの20%以上になってしまうからである。

日本は低金利政策から逃れられない

だからネイピア氏は日本が低金利政策から逃れられないと予想している。実際、日銀の植田総裁も既にかなり苦労しているが、まだ何も始まってさえいない。

日銀の植田総裁が円安を止められない理由
だからネイピア氏は次のように言う。

今後20年、日本の年金ファンドが金利を低く維持するために日本国債を買い支えなければならなくなったらどうする?

低金利を維持すること自体は可能である。日銀にでも年金ファンドにでも日本国債を買わせれば良い。だがその代わりに犠牲になるのがインフレ率と為替レートである。

つまり、ネイピア氏は円の下落が不可避だと考えているのである。

では投資家はどうすれば良いのか? ネイピア氏は次のように言っている。

ウォーレン・バフェット氏は頭が良い人物だ。彼は数年前に大量の日本円を借り入れ、日本企業の株式を買った。

国家が債務をインフレで帳消しにしなければならないときにはその国の通貨で借り入れをしてその国の株式を買え。これはマクロな投資戦略だ。それは現状とても上手く行っている。

バフェット氏はコロナ後に日本円を借り入れて三菱商事など日本の商社の株式を大量購入した。

「日本円を借り入れた」というところがポイントである。何故ならばアメリカの投資家にとって、借り入れた日本円を売って株式市場で株式を買うことは、日本円の空売りと株式の買いを同時に行なっていることと同じだからである。

そうすれば円建てで株価が上がる限り、日本円がどれだけ下落してもバフェット氏はダメージを受けない。

インフレと株式市場

だからバフェット氏もネイピア氏も円建てで見れば日本株は上がると考えているのである。

それは興味深い観点である。何故ならば、インフレで金利が上昇するとき、株式市場には2つのシナリオがある。

インフレを抑えられるほど急激に金利が上がれば、(インフレ調整後の実質の)株価にとってはマイナスになる。それは1970年代のアメリカの物価高騰時代における米国株の値動きであり、2022年に米国株が下落した理由でもある。

だが一方で、インフレで株価が上がった事例もある。例えばトルコである。何十パーセントものインフレを引き起こし、しかも十分に金利を上げなかったトルコでは、実質でも名目でも株価は上昇した。

つまり、ネイピア氏はこう予想しているのである。日本の政府債務はインフレで帳消しにされなければならないが、日本はインフレと通貨安をまともに抑えられるほどの利上げが出来ないので、日本株は上がる。

こう考えるとネイピア氏の以下の結論がなかなか恐ろしく聞こえるのである。

日本経済全体のインフレを引き起こすことは日本株にとってプラスになる。

ちなみにネイピア氏はS&P 500については買うなと言っている。理由は以下の記事を参考にしてもらいたい。

ネイピア氏: 金利上昇の新時代では投資家はS&P 500と米国債を 避けよ

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55871
14:777 :

2024/11/25 (Mon) 05:43:27

ガンドラック氏、長期の米国債から逃避、アメリカの財政赤字拡大で
2024年11月24日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/56601

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏がCNBCのインタビューでアメリカの金利と債券市場についてコメントしている。

利下げで国債金利上昇

アメリカの金利はどうなっているか。パウエル議長は物価高騰後初めての利下げを開始し、金融緩和でインフレ再加速を懸念した金融市場では皮肉なことに国債の金利は上昇した。

政策金利と2年物国債の金利を並べると次のようになっている。


ガンドラック氏は次のように述べている。

2年物国債の金利は0.6%上がり、政策金利は0.75%下がった。結果として政策金利が2年物国債の金利に1.35%近づいたことで、パウエル議長はたった2回の会合によって債券市場の意見に歩み寄っている。

ガンドラック氏はインフレ率下落とアメリカ経済の減速を予想してきたから、利下げは予想通りだろう。ガンドラック氏は次のように続けている。

12月にはもう一度利下げがあるだろう。それで政策金利は2年物国債の金利の水準に一致するからだ。

利下げでも長期国債は買えない

利下げは行われており、ガンドラック氏の意見ではアメリカ経済は減速を続けている。

ガンドラック氏: アメリカのインフレ率は2.5%まで更に下落する
金利低下は債券価格の上昇を意味するから、この状況で普通ならば債券投資家は国債を買う。

だがガンドラック氏は少なくとも長期の国債は買えないという。その理由はアメリカ政府による国債の大量発行である。

ガンドラック氏は次のように説明している。

国債の発行量がやや驚異的な規模になってきている。アメリカは過去12ヶ月で2兆ドルの財政赤字を出しており、それはGDPのおよそ6%に相当する。経済成長が続いているにもかかわらずだ。

国債の利払いについてはいつも話しているが、3年前には年間3,000億ドルだった。今では年間1.3兆ドルだ。

国債が発行されるということは、国債が債券市場に供給されるということである。需要と供給の関係から、供給が急増すれば国債の価格は下落する。だから多くの識者が米国債の価格下落を警告しているのである。

ドラッケンミラー氏: 米国債が暴落するまであと1年の可能性
サマーズ氏、米国債の暴落を警告
また、もう1つの問題は、コロナ後の金利上昇によって大量の政府債務に利払いが生じていることであり、この利払いをGDP比で計算すると次のような推移になる。


GDPの3.8%程度であり、ガンドラック氏の言うように財政赤字自体が6%程度だから、アメリカの財政がかなりまずい状態だということは素人でも分かるだろう。

雪だるま式に増える政府債務

しかもガンドラック氏によれば、米国債の利払いの増加は留まるところを知らない。ガンドラック氏は次のように説明している。

しかも5年前や3年前に発行された低金利の国債が大量にあって、それらが大幅に高い今の金利で借り換えられている。

利払いは急増しているが、それでも金利が低かった時代に発行された国債の金利は今でも低いままである。

だが借金には期限がある。ここから来年にかけてかなりの米国債が期限を迎え、高くなった今の金利で借り換えられることになる。

そうすれば米国債の利払いは更に増えてゆく。アメリカの財政はかなり詰んでいると言っていい。

借金を借金で返すアメリカ

勿論米国政府には増加する利払いを行なう資金はない。どうするか? 新たに国債を発行するのである。

つまり、アメリカはどうしようもない勢いで増加している借金を、借金で返済しようとしている。債券市場には大量の米国債がばら撒かれることになる。

ガンドラック氏は次のように述べている。

それは債券市場にとって供給過剰の問題であり続ける。

この理由により、アメリカ経済は徐々に減速しているにもかかわらず、われわれは長期国債に強気ではない。国債の発行量は極めて大きな問題だ。

投資家としてはどうしているのか。ガンドラック氏は次のように続けている。

だから投資家には中期の国債に留まるように忠告している。20年物や30年物を買ってはならない。

実際、われわれの債券ファンドの多くでは、何週間か前に金利が低かった時に保有国債の期間を短くした。アメリカの財政問題に巻き込まれたくないからだ。

景気後退時の金利上昇

ここまでの話でアメリカの財政は十分に危機的なのだが、ガンドラック氏は更に最悪のシナリオを想定している。

ガンドラック氏は次のように言っている。

この問題は景気減速中の金利上昇に繋がる可能性がある。

景気後退では普通金利は低下する。しかしガンドラック氏は、景気後退による金利低下圧力よりも国債の発行過多によって国債価格が下落し、金利が上昇する可能性を指摘している。

そうなればアメリカは本当に終わりである。景気後退時に金利が上がれば、景気後退は更に酷くなってゆくだろう。

Bridgewaterのレイ・ダリオ氏は著書『世界秩序の変化に対処するための原則』で、アメリカ以前の覇権国家である大英帝国やオランダ海上帝国を例に挙げ、歴史上の大国はインフレと政府債務によって衰退していったことを説明した上で、アメリカも同じ運命を辿る可能性に言及している。

コロナ後にこの本を書き始めたダリオ氏は、現在のアメリカの状況を予想していたのである。

その状況がかなり近づいている。機関投資家たちはその準備を している。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/56601
15:777 :

2024/12/10 (Tue) 16:23:31

レイ・ダリオ氏: 日本人は日本政府の低金利政策のせいで年間7%の資産を失っている
2024年12月9日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57066

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が日本やアメリカの政府債務とマネタイゼーションについて語っている。

政府債務の意味

アメリカでは政府債務が大いに話題になっている。アメリカではコロナ後に金利が上がり、GDPの129%という莫大な政府債務に多額の利払いが発生しているからである。

米国政府は借金の利払いのために借金を増やしている。政府債務が雪だるま式に増えるプロセスが開始しており、利払いの金額はGDP比で見て次のように増えている。


だがアメリカのこのプロセスは始まったばかりだ。まだ利払いがGDPの1%ほど増えたに過ぎない。上がり方が急速だから非常事態ではあるのだが、まだこれから始まる話に過ぎない。

政府債務はなぜ問題か

アメリカで政府債務が雪だるま式に増えるプロセスが始動していることはただの事実である。だが政府債務はなぜ増えてはいけないのか?

それは国債市場にも需要と供給があるからである。買い手に対して供給が多すぎれば国債の価格は下落するだろう。

グリフィン氏: 米国債暴落でブラックマンデー再来の可能性
ましてや今はインフレによって中央銀行が量的緩和を出来なくなっている。だから政府債務だけではなくて、インフレ政策によるあらゆるツケが回ってきているのである。

では国債の価格が下落すれば誰が困るのか。ダリオ氏は次のように言っている。

誰かの負債は誰かの資産だ。

困るのは国債の保有者である。では国債の保有者とは誰か? 銀行である。

だが銀行はもともとお金を持っていない。お金を預かっているに過ぎない。銀行は預かったお金で国債を買っている。ではそれは誰のお金か? 預金者である。

麻生太郎氏も言っていたではないか。借金をしているのは政府であって国民ではないと。

だから国債価格が下がって困るのは政府ではない。国民の方である。

国債価格が下落しない代わりに

預金者は銀行を通して大量の国債を保有している。だからダリオ氏は次のように言っている。

通貨が富の貯蓄手段だと言うとき、実際にはそれは債務が富の貯蓄手段だということを意味している。

そしてそこに大きなリスクがある。

だが実際には、先進国で国債価格が大幅に下落する可能性は低い。多くの人は漠然とそう思っているだろうし、それは正しい。

しかし国債の需給問題は事実として存在する。では政府はこの問題をどうするのだろうか?

ここで登場するのが日本である。国債価格を下落させられないなら、量的緩和で日銀に国債を買わせたり、低金利を維持させて債務負担を減らすしかない。

ダリオ氏は次のように述べている。

日本は非常に良い例だ。

日本が過去15年ほど行なってきたことは、平均してアメリカよりも3%低い金利を維持することである。そして自国通貨の価値を年率4%下落させている。だから日本人は年間7%を失っている。

誰も気付いていないが、低金利政策で得をするのは金利を払う側である政府であり、損をするのは金利をもらう側である国民である。

更に2022年まで誰も気付いていなかったが、政府のインフレ政策もまた、債務(イコール日本円)の実質的な価値を下落させ、日本円の保有者の犠牲によって債務者である政府の借金を実質的に帳消しにする政策である。

数年前まで誰も知らなかっただろうが、インフレとは物価上昇という意味なのである。インフレ政策を支持していた人にとっては何という驚きだろうか。その結末は名前に書いてある。

ダリオ氏は次のように言う。

インフレは通貨の保有者から少しずつ資金を奪う。人々は名目の金額で物事を考えすぎだ。インフレを差し引いた実質ではお金のことを考えない。

マネタイゼーションのために債務の保有者を犠牲にしているのだ。

結論

更に日本人にとって物悲しいのは、ダリオ氏が次のように述べていることである。

同じことがわれわれアメリカ人にも起きる可能性がある。

お分かりだろうか。ダリオ氏にとっては日本人の資産減少は既に起きた話なのである。アベノミクス以来、日本円の価値は半分になっている。

減価された日本円で計算した日本のGDPが上がって喜んでいるような国民が気付けるわけのない話なのだが、減価した通貨で計算したGDPや株価が上がるのは当たり前の話である。それはGDPや株価が上がったのではなく、円が下がったのである。

恐らく日本人は このまま自分が資産を失っていることにさえ気づかずに、日本政府によるマネタイゼーション完了を見届けるのだろう。まさにダリオ氏が『世界秩序の変化に対処するための原則』で予言した、衰退してゆく先進国の典型的なシナリオである。

すべてはこれまで数十年の選挙の結果である。日本国民が自分で望んだことなのだから、他人がどうこう言えることではないのである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57066
16:777 :

2024/12/16 (Mon) 03:12:02

トランプ政権の政策は1930年代に右派が取った政策に似ている。保護主義と関税の大幅な引き上げだ。
1930年代というのは第2次世界大戦前夜である。
ダリオ氏が、覇権国家の債務問題は世界的な戦争に繋がると著書で主張していることを考えれば、この発言は不気味である。
ラッセル・ネイピア氏は原油の禁輸が戦前の日本に戦争拡大への動機を与えたことを指摘していた。



レイ・ダリオ氏: 政府が紙幣印刷を濫用しないと信じるのは賢明ではない
2024年12月14日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57258

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がThe National Newsのインタビューで、アメリカの債務問題について語っている。

アメリカの債務問題

年末に差し掛かり、アメリカの債務問題が著名投資家の話題の的になっている。アメリカでは金利上昇によって国債の利払いが急増しており、米国政府はそれを国債の発行によって支払っているからである。

つまりアメリカは借金を払うために借金を増やし、その新たな借金に4%程度の金利が付くことになる。

自転車操業である。だが問題はそれだけに留まらない。ダリオ氏は次のように述べている。

債務が急速に増加するとき、政府は国債を売らなければならない。それはつまり、誰かが国債を買わなければならないことを意味する。

金利が4%だというのは、国債市場が現状のままであればという条件付きである。しかし国債の発行残高が増えてゆく、つまり国債市場の需給のうち供給が増えてゆくのに、需給の結果である価格がそのままというわけにはいかない。

国債の金利(と価格)を維持するためには、供給が増える分国債の買い手も増えなければならないが、その買い手は何処から現れるのか。しかし実際にはドルや米国債から人は離れている。というか真っ先に逃げているのがファンドマネージャーたちである。

ドラッケンミラー氏が米国債空売り、アメリカのインフレは10%を超えて再燃する可能性
レイ・ダリオ氏: 米国債から投資家が逃げている
ダリオ氏は次のように続けている。



そのバランスが崩れるとき、中央銀行は紙幣を印刷する。

国債を下落させられないとき、中央銀行が紙幣を印刷して国債を買い支える。量的緩和である。

だが今はどの国も量的緩和ができない。インフレが再発しかねないからである。

トランプ新大統領はインフレを引き起こさずに景気刺激できない
国債暴落かインフレ再発か

だが量的緩和が出来ずに国債価格が下落するとき、困るのは誰か? ダリオ氏は次のように言う。

ある人の負債は別の人の資産だ。

麻生太郎氏も借金をしているのは政府であって国民ではないと言っていた。その通りである。国民は銀行を通して国債を資産として保有している。だから国債が暴落して危機に陥るのは政府ではなく国民である。

この問題に対する根本的な解決策は、政府が支出せず負債を増やさないことである。実際、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領はそれを実行してアルゼンチンのハイパーインフレを解決し、経済成長を実現した。

ミレイ大統領: 政府は国民への納税の強要によって成り立っている


政府債務の究極的な解決方法

だがアメリカに関してはダリオ氏は次のように言っている。

どちらの政党もこうしたバランスの崩壊に対処しようとしているようには見えない。

来年からはトランプ政権であり、財務長官に指名されたスコット・ベッセント氏は財政赤字を2%に下げるという目標を掲げているが、年金には触れないなど具体的な方法論は見えてこない。


ベッセント氏: 米国の債務問題にはアメリカの覇権がかかっている


赤字が削減されなければ、アメリカには方法は2つしかない。インフレか国債暴落である。

量的緩和によるインフレになれば、国民の預金は文字通りの紙切れになる。国債が暴落しても銀行が無一文になるので預金は返ってこないのだが。

いずれにしても、紙幣を持っているということは、政府がその価値を維持すると信仰することである。

ダリオ氏は現実主義のファンドマネージャーとして次のように言っている。

政府は信用できるか? 政府債務を軽減するために政府が紙幣印刷を利用しないと信じることは賢明ではない。

ダリオ氏は著書『世界秩序の変化に対処するための原則』で、歴史上債務問題に陥ったほぼすべての大国がインフレによる債務解決を選んだという事実を説明している。

だから賢明な人間は紙幣を捨てて別のものを富の貯蔵手段にしようとしている。例えばゴールドである。


ポール・チューダー・ジョーンズ氏がインフレ再燃予想、ゴールドとビットコインとNasdaqを推奨
ポールソン氏: 紙幣からの資金逃避で金価格の上昇は続く


ちなみに来年からのトランプ政権についてはダリオ氏は次のように言っている。

トランプ政権の政策は1930年代に右派が取った政策に似ている。保護主義と関税の大幅な引き上げだ。

1930年代というのは第2次世界大戦前夜である。

ダリオ氏が、覇権国家の債務問題は世界的な戦争に繋がると著書で主張していることを考えれば、この発言は不気味である。

ラッセル・ネイピア氏は原油の禁輸が戦前の日本に戦争拡大への動機を与えたことを指摘していた。

ネイピア氏: 欧米と中国の対立は第2次世界大戦前の欧米と日本に近い


ブロック経済が戦争に繋がるというのはまさにダリオ氏の『世界秩序の変化に対処するための原則』のシナリオである。果たしてどうなるだろうか。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57258



レイ・ダリオ著 「変わりゆく世界秩序」
Principles by Ray Dalio 2023/10/03
https://www.youtube.com/watch?v=y3oy8y0EljY

世界最大のヘッジファンド: オランダ海洋帝国が繁栄した理由 2020年5月22日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10891

世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨 2020年5月23日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10903

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の繁栄と衰退 2020年5月25日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10922

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10953

世界最大のヘッジファンド: 豊かな国ほど借金まみれになる理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36175#more-36175

南海泡沫事件: バブル経済の語源となった近世イギリスの株式バブルを振り返る
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/3199




日本もアメリカも政府債務はインフレで解決されるしかない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16875882

すべての紙幣の価値は最終的にゼロに向かってゆく
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16856204
17:777 :

2024/12/17 (Tue) 08:58:11

ハイエク氏: 通貨を政府がコントロールしなければならないというのは根拠のない幻想
2024年12月16日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57350

何十年ぶりにインフレが現実のものとなり、インフレを回避するためにビットコインなどの暗号通貨も盛り上がる中、今一度20世紀最大の経済学者であるフリードリヒ・フォン・ハイエク氏の著書『貨幣発行自由化論』から通貨に関する論考を紹介しよう。

先進国の財政赤字

コロナ後、先進国の政府債務は急速に悪化しており、更に悪いことにインフレ対策の金利上昇により国債に利回りが付き始めたことから、アメリカなどの各国政府は財政状況が急激に悪化している。

金利がゼロだった頃には、債務がいくら増えても利払いはゼロだった。だから債務はどれだけ増やしても問題ないということがまことしやかに言われていた。

しかしインフレ政策でインフレが発生し、金利が上昇し始めれば、政府は借金の利払いを新たな借金によって支払わなければならなくなり、乱発される大量の国債が国債市場を下落させる危険性が出る。


レイ・ダリオ氏: 日本経済は最悪だ、米国の政府債務は5年以内に破綻する


だから政府はインフレ政策などと言いながら、中央銀行に量的緩和で国債を買い入れさせたりすることで、死にものぐるいで金利を低く保ってきたのである。

低金利政策の意味

それが長年行われてきた低金利政策の意味である。ハイエク氏は次のように述べている。

政府の肥大化は主に紙幣印刷によって財政赤字を補填できることが原因だが、表向きはそれによって雇用を守れるからだという言い訳によって行われる。

完全雇用ということが経済学の世界で長年言われてきた。それがあたかも経済学の最大の目標であるかのように持ち上げられてきた。

だが実際には政治家はそれを自分の使える予算が国債の利払い費用に食われないようにするためにやっていたのであり、ケインズ氏の系譜に属する大量の自称経済学者たちがそれを支持してきたのである。

だがケインズ氏と同じ時代に生きたハイエク氏は次のように言う。

人類の歴史は大まかにいってインフレの歴史であり、インフレは政府によって政府の利益のために引き起こされた。

通貨の歴史を研究する者なら誰でも、政府が2000年以上もの長い間、人々を騙して搾取するために通貨を恒常的に使ってきたことを我慢しなければならなかったのかと疑問に思うことを避けられないだろう。

常に減価されてきた貨幣

少しでも勉強したことのある人なら、歴史上のあらゆる硬貨は金や銀の含有量を少しずつ減らされ、最終的には無価値になったことを知っているだろう。

こうした政策で一番有利となるのは債務者であり、実体経済で一番大きな債務者とは多くの場合政府である。

だから政府にとって、金を100g借金して50gしか返さなくても良いということになれば、それほど有難いことはないだろう。現代の紙幣印刷も同じことであり、政府は同じように紙幣の価値を薄めている。

そしてその政策で一番の犠牲者となるのは、(麻生太郎氏も借金しているのは政府であって国民ではないと正しくも言っていたが、)銀行にある預金を通して国債を買っている国民なのである。

政府による通貨発行権の独占

だがここで1つの疑問が生じる。そもそも何故通貨は政府だけが発行しているのか? ハイエク氏はその特権をそもそも疑っているのである。

ハイエク氏は次のように述べている。

このことは政府の特権が必要なのだという神話によってのみ説明できるが、この神話はあまりに深く根付いているので経済学の学徒であっても疑問に抱くことが少ない。

しかしその妥当性を一度疑問に思ってみれば、その根拠が薄弱であることはすぐに分かる。

ハイエク氏の上の議論をもう一度持ち出してみよう。

通貨の歴史を研究する者なら誰でも、政府が2000年以上もの長い間、人々を騙して搾取するために通貨を恒常的に使ってきたことを我慢しなければならなかったのかと疑問に思うことを避けられないだろう。

何故なのか? 誰か教えてほしい。それを疑問に思いつつある人々は増えており、そうした人々は日本円やドル紙幣を捨てて、ゴールドやシルバーやビットコインに逃げているのである。

レイ・ダリオ氏: 日本人は日本政府の低金利政策のせいで年間7%の資産を失っている
フォン・グライアーツ氏: ゴールドとシルバーの本当の上げ相場はこれから


ハイエク氏は何十年も前の人なのだが、政府だけが通貨を発行するのではないという話は、まさに現代のビットコインの話ではないか。

暗号通貨がドルや円の代わりになるためにはかなり大きな障害が存在する。それはかつてスイスの銀行業が直面した脅威である。

アメリカに壊滅させられたスイスのプライベート・バンキング


だがハイエク氏が指摘したように、政府とインフレの関係を 人々が意識し始めたのは良いことではないか。ゴールドや暗号通貨の行方をこれからも報じてゆく。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57350
18:777 :

2024/12/25 (Wed) 08:05:46

空前の投機ブームと世界3大バブル
石原順チャンネル 2024/12/24
https://www.youtube.com/watch?v=eQW0UD-g8GA

<チャプター>
00:00 空前の投機ブームと世界3大バブル
10:50 ドル円(日足)
13:40 ユーロドル(日足)
15:20 ユーロ円(日足)
15:30 ポンドドル(日足)
17:00 日経平均CFD(日足)
18:32 S&P500CFD(日足)
20:04 ナスダック100CFD(日足)
22:46 NYダウCFD(日足)
23:40 ゴールドCFD(日足)
24:55 NY原油CFD(日足)
27:55 アマゾン(週足)
29:45 マイクロソフト(週足)
31:06 エヌビディア(週足)
32:06 パランティア(週足)
34:30 テスラ(週足)
35:07 ビットコインドル(週足)
36:47 マイクロストラテジー(週足)
38:53 ナスダック100CFD(週足)
39:44 S&P500CFD(週足)
41:13 世界3大バブル
43:20 チューリップバブル
44:06 南海会社の株価の推移
45:12 ドットコムバブル
45:55 バフェット指標
47:10 バークシャー・ハサウェイの総資産に占める現金ポジション の割合



【2024年12月24日】株高が進む中、注意すべき「バブルと狂気」(西山孝四郎 氏)
MONEY SQUARE 2024/12/24
https://www.youtube.com/watch?v=aNkb9gsUAws
19:777 :

2024/12/29 (Sun) 04:57:35

ミレイ大統領、インフレ政策を永遠に続けるとどうなるかを語る
2024年12月28日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57641

アルゼンチンのハイパーインフレを打倒した大統領でオーストリア学派の経済学者でもあるハビエル・ミレイ氏が、レックス・フリードマン氏のインタビューで大統領就任時のアルゼンチン経済の状況について語っている。

アルゼンチンのハイパーインフレ

ミレイ氏はアルゼンチンのハイパーインフレを終わらせるべく当選したアルゼンチンの大統領である。

オーストリア学派の経済学者でもあるミレイ氏は、政治家の野放図な財政支出がインフレと政府債務の悪化をもたらしていると批判し、インフレ政策を停止してハイパーインフレを終わらせると公約した。

ミレイ氏は大統領に就任した2023年12月のアルゼンチン経済の状況を次のように振り返っている。

われわれが政権入りした12月の第1週には、インフレは1日で1%上昇しており、それはつまり年率に換算すると3,700%になる。そして12月の半ばには年率7,500%まで上がっていた。

去年の12月、卸売価格のインフレは1日に54%だった。それは年率では17,000%ということになる。しかもアルゼンチン経済はそれまで10年成長していなかった。1人当たりGDPはおよそ15%下落していた。そして人口のほぼ半分が貧困状態にあった。

自国通貨がまったく信用できない途方もない状況である。それはミレイ氏以前の政治家たちが自分と自分の票田を利するために財政支出を続けたことで起こった。

ミレイ氏は次のように述べている。

より細かい議論に入れば、財政赤字はGDPのおよそ15%に達していた。そのうち5%は政府のもので、10%は中央銀行のものだった。

15%の財政赤字と言えば、アメリカがコロナ禍に一度達した水準である。


ハイパーインフレは先進国には起きないか

こうした現象は小国だけのもので、アメリカや日本などの先進国には無縁の現象なのだろうか。しかし実際にアメリカは15%の財政赤字を経験し、コロナ後に物価が高騰している。

アメリカのインフレはその後一度収まった。だがそのレベルの財政赤字が一時的ではなく恒常的なものになれば、インフレも当然恒常的なものになるだろう。それで多くの機関投資家がアメリカの財政赤字を気にしているのである。

だからアルゼンチンのハイパーインフレは小国だけの現象ではない。それどころかアルゼンチンは元々先進国で、1人当たりGDPも日本より高かったのである。それが政治家による政府支出で途上国に転落した。

実際、日本経済はアルゼンチン化している。アベノミクス以来、日本円の価値はほぼ半分に下落している。自国通貨の価値が半分になったというのははっきり言って暴落である。

つまり輸入物価は当時の2倍になっているのだが、日本国民は気にしていない。では4倍になれば気にするのだろうか。輸入物価の上昇はいずれ国内物価のインフレに繋がってゆく。

税金として徴収され東京五輪や大阪万博などに使われる金が国民の手元に残っていれば、国民はもっと好きなものが買えただろう。

アルゼンチンへの道のりは長いというだけの話で、日本経済は事実としてその方向に向かっている。単に日本国民がいつ気づくかという問題でしかないのである。

インフレ政策の結末

国の借金が増えると、中央銀行が国債を買い支えなければならなくなる。量的緩和である。

しかし量的緩和は自国通貨の下落という結果をもたらす。それで日本はここ数年、為替介入で円の価値を維持するということを繰り返している。

経済学者のラリー・サマーズ氏は、量的緩和で円を下落させながら為替介入で円を買い支えようとする日本政府を「1人綱引き」と皮肉っていた。

サマーズ氏: 日本政府はドル円で1人綱引きをしている (2022/10/10)
だが為替介入は保有する外貨を売り払って自国通貨を買い支えることである。だから外貨準備がどんどんなくなってゆく。

日本も外貨準備を削りながら為替介入を行なっている。その先には何があるか。ミレイ氏は自国通貨の買い支えを繰り返したアルゼンチン経済の末路を語っている。

中央銀行の外貨準備はマイナスで、その金額は120億ドルだった。

中央銀行は利払いのある借金を抱えていて、1日にマネタリーベースの4倍の債務が満期を迎えていた。それはつまり、1日でマネタリーベースを5倍にしなければならなかったという意味だ。

単純だ。為替介入をすれば外貨がなくなる。それを繰り返せば外貨準備はマイナスになる。日本は着実にアルゼンチンに向かっているが、一部の日本人は「為替介入はドルを利確しただけだ」などと喜んでいる。

ドルが80円の時にドルを買い入れて、自分で量的緩和をしてドル円が160円になったから喜んでいるのである。馬鹿ではないのか。それはドルの価値が上がったのではなく、円の価値が下がっただけである。日本政府の手元に残ったのは価値の変わっていないドルではなく、自分で刷った円だけである。本当に馬鹿ではないのか。

結論

だから日本経済は着実にアルゼンチンに向かっている。レイ・ダリオ氏が『世界秩序の変化に対処するための原則』で説明したように、国家が経済成長から政府債務の増加の段階に移り、最終的にはインフレと自国通貨の下落によって衰退してゆくというのが国の一生なのである。

アルゼンチンが特異だったのは、普通は200年ほどかかるその国家の一生を50年の間に経験したということだけだ。速度が違うだけであって本質は変わらない。

それでアルゼンチンはインフレ政策の終着点、つまりハイパーインフレまで早々と行ってしまったので、ようやくミレイ氏のようなまともな経済学者を大統領に選ぶことが出来たのである。アルゼンチン国民も流石にインフレ政策に懲りたというわけだ。

ミレイ氏は次のように言っている。

だから財政赤字を何としても終わらせなければならなかった。

そしてミレイ氏はそれを1年で実現してしまった。ミレイ氏はアメリカにも同じことをやれと言っている。

ミレイ大統領: トランプ政権は限界まで政府支出を削れ


トランプ政権はそれを実現できるだろうか。2025年が楽しみである。そして日本人は いつ気づくのだろうか。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57641
20:777 :

2024/12/31 (Tue) 06:06:26

ミレイ大統領: 政府が紙幣印刷で価値を薄める通貨は他のまともな通貨との競争に晒されるべき
2024年12月30日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57736

引き続き、ハイパーインフレを打倒したアルゼンチンの大統領でオーストリア学派の経済学者であるハビエル・ミレイ氏の、レックス・フリードマン氏によるインタビューである。

ハイパーインフレを終わらせた大統領

ミレイ大統領はアルゼンチンのハイパーインフレを終わらせた大統領である。政治家による無駄な支出は容赦なく削減され、GDPの15%あった財政赤字はゼロになった。しかもアルゼンチンの2025年の経済成長率は5%と見積もられている。

だがミレイ氏の功績はインフレと財政赤字をなくしたことだけではない。政治家が自分と自分の票田のために財政支出を行う政策、すなわちインフレ政策の結果は、日本人も知っての通りインフレと財政赤字だけではないからである。

インフレ政策のもう1つの大きな結果は通貨安である。

日銀の植田総裁が円安を止められない理由
アルゼンチンペソ

前回の記事でミレイ氏はこう言っていた。

ミレイ大統領、政府支出を削減してハイパーインフレを打倒した方法を語る
財政の均衡を達成し、支出のために紙幣印刷をしなくても良い状態になると、債務の利払いなども払えるようになり、そうすると国債市場が再び機能し始めた。

財政がまともになると国債市場に投資家が戻ってくるようになり、高騰していた国債の金利が下がり始める。

そうすれば政府の利払い負担も減り、財政が更に改善するという好循環が始まる。

だが投資家が戻ってきたのはアルゼンチンの国債市場だけではない。為替市場も同じなのである。

ハイパーインフレの結果、当たり前だがアルゼンチンの通貨であるペソは暴落した。日本とまったく同じように、中央銀行による紙幣印刷が自国通貨安を引き起こしたのである。

ネイピア氏: 日本の政府債務は円安で解決される、円を空売りして日本株を買え
だが2024年のペソのパフォーマンスはどうか。高金利通貨のパフォーマンスは多少ややこしい。何故ならば、新興国の為替市場に慣れている人ならば分かると思うが、数十パーセントの金利を持つ通貨は、他の通貨に対してその分だけ為替レートが下落するのが普通だからである。20%の金利があれば、為替レートが20%下落してようやく他の通貨とイーブンなのである。

さて、アルゼンチン・ペソは米ドルに対し、2024年の年始からおよそ21%下落した。

だがペソの金利はハイパーインフレの改善とともに下落してきたとはいえ、2024年の間は126%から32%の間で推移している(書き間違えではなく、それが2024年のペソの金利である)。

だから、2024年にドルを持っていた人とペソを持っていた人を比べれば、為替レートの下落分を補って余りあるペソの金利によって、ペソの保有者の方が大幅に得をしているのである。

ミレイ氏の為替政策

ペソの下落は高金利による当然の下落分を下回っているので、つまり2024年のペソ相場は強かったのである。ミレイ大統領がいなければジンバブエドルに並ぶ紙切れになりかかってたアルゼンチンペソに、投資家の資金が戻ってきている。

だがミレイ氏は、2023年の選挙戦では紙切れになりかかっていたペソに代わってドルをアルゼンチンの公定通貨にすると主張して話題になった。

ミレイ氏は今ではペソについてどう考えているのか。ミレイ氏は次のように述べている。

わたしの発言を再検証してもらえば分かるが、わたしは通貨同士の競争の話をしたのであって、ドルを公定通貨にしなければならないと言ったわけではない。

わたしの論点は通貨同士の競争と中央銀行の廃止だ。

繰り返すが、ミレイ氏はオーストリア学派の経済学者である。そしてオーストリア学派の経済学の一番有名な特徴は、中央銀行による通貨発行権の独占を批判していることである。

例えばコロナ後の物価高騰を引き起こした直接の原因は、現金給付である。だがジョン・ポールソン氏が言うように、中央銀行による紙幣印刷、つまり量的緩和がなければ、無一文の先進国政府には現金給付は出来なかった。

ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした (2023/2/24)
だから現金給付のようなインフレ政策の根本原因は中央銀行とその紙幣印刷なのである。

オーストリア学派と通貨発行権

だからミレイ氏を含むオーストリア学派の経済学者は、通貨の発行を政府と中央銀行が独占している状態を批判する。それこそがインフレの根源だからである。

しかし、例えば17世紀にヨーロッパで中央銀行という概念が誕生する前の世界でそうだったように、民間のあらゆる銀行が自分自身の通貨を発行するようになればどうか。

ある銀行の通貨は紙幣印刷によって価値が毎年下落しており、別の銀行の通貨は発行量の厳格な管理によって価値が安定しているとする。人々はどちらの通貨で貯金をしたいと思うだろうか?

ミレイ氏を含むオーストリア学派の経済学者が主張するのは、政府の発行する通貨も経済内に流通するあらゆる商品と同じように競争にさらすべきだということなのである。

そうすれば、中央銀行が政治家の都合で紙幣印刷を行い、国民は全員その通貨を持っているので国民全体が犠牲になるということもなくなる。中央銀行は数ある銀行の1つに過ぎなくなる。

オーストリア学派の代表的な経済学者であるフリードリヒ・フォン・ハイエク氏は、『貨幣発行自由化論』で次のように書いている。

通貨の発行者同士が競争しなければならない場合、発行者にとって自分の通貨の減価は自殺行為になるだろう。人々がその通貨を使いたいと思っていた理由そのものを破壊してしまうからである。

アルゼンチンと通貨の競争

ミレイ氏も、ハイエク氏らの議論を継承しているようである。ミレイ氏は次のように言っている。

現在、アルゼンチンには通貨同士の競争がある。現在のアルゼンチンではどんな通貨でも決済できる。

それは単に法的に許されているという話ではない。アルゼンチンではミレイ氏の主導により、大手銀行がペソでもドルでも決済できるデビットカードが発行しようとしている。

だから国民はペソとドルを両方自由に使うことができる。ミレイ氏は、政府の発行する通貨を別の通貨との競争にさらすというオーストリア学派の理念を1つ実現しようとしているわけである。

ミレイ氏は次のように言っている。

国民が最終的にドルを選んだとすれば、それはそれで彼らの選択だ。

だがミレイ氏は国民にドルの使用を強制しているわけではない。国民がどちらでも好きな方を選べる環境を作っているだけだ。

ただ一方で、ミレイ氏の最終的な目標は中央銀行の廃止らしい。政府支出を増やすために自由に紙幣を印刷したいという願望がない政治家にとっては、中央銀行は別に利益のない組織だからである。

政治家が中央銀行の通貨発行独占を擁護するのは、自分の意志で紙幣を印刷し、国民の持っている通貨の価値を薄めたいからである。

そういう願望のないオーストリア学派の経済学者には、中央銀行は無用の長物である。

ハイエク氏: 通貨を政府がコントロールしなければならない というのは根拠のない幻想

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57736
21:777 :

2025/01/16 (Thu) 12:44:54

ドル崩壊?アメリカで起こる金融革命 【アンダーワールド in Radio】
堤未果 / 月刊アンダーワールド / 公式チャンネル 2025/01/16
https://www.youtube.com/watch?v=ysUYjpJFeGc
22:777 :

2025/02/06 (Thu) 02:36:38

植草一秀の『知られざる真実』2025年2月 5日 (水)
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2025/02/post-cfdc87.html

インフレを渇望する財務省
2月4日の衆議院予算委員会で石破茂首相と植田和男日銀総裁の答弁に齟齬が生じた。

立憲民主党の米山隆一議員が質問。

現在の日本経済はインフレであるのかデフレであるのか。

植田日銀総裁は

「現在はデフレでなくインフレの状態にあるという認識に変わりはない」

と答弁。

これに対して石破首相は

「日本経済はデフレの状況にはない。

しかしながらデフレは脱却できていない。

いまをインフレと決めつけることはしない」

と答弁した。

日本の消費者物価指数上昇率推移は以下の通り(前年同月比:%)。


       総合  エネルギー&生鮮食品を除く 生鮮食品

2022年  2.5       1.1      8.1

2023年  3.2       4.0      7.4

2024年  2.7       2.4      7.0



生鮮食品は2021年から24年の3年間で24.2%上昇した。

23年のエネルギーと生鮮食品を除く総合は4.0%上昇した。

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この状況を見て

「デフレから脱却できていない」

「インフレと決めつけない」

と発言するのは異常。

石破首相は経済金融に疎いようだ。

自分の言葉で話していない。

背後で操っているのは財務省だと思われる。

2023年の「生鮮食品とエネルギーを除く総合」上昇率は4.0%。

中央銀行が最も重視するべきインフレ指標は「生鮮食品とエネルギーを除く総合」。

これが年平均で4.0%上昇。

月次では4.3%まで上昇した。

これをインフレと呼ばずに何と呼ぶのか。

日銀の責務は物価安定。

物価安定が損なわれれば、物価安定を実現するために行動しなければならない。

黒田東彦氏はインフレが進行しているのにインフレ推進を維持し続けた。

日銀総裁が植田和男氏に交代して、初めて政策修正が実行された。


誰がインフレ亢進を望んでいるのか。

答えは明白だ。

財務省である。

財務省にとってインフレは福音である。

インフレが進行すると政府債務の実質残高が減少する。

税収70兆円、政府債務1000兆円の仮定を置く。

債務は税収年額の14年分。

物価が10倍になるインフレが生じたとする。

税収は700兆円に膨張する。

すると政府債務は税収年額の1.4年分になる。

借金がほぼ消滅する。

インフレ進行で国税収入は実際に急増した。

2020年度の一般会計国税収入は60.8兆円だった。

23年度の一般会計国税収入は72.1兆円に膨張。

3年で11.3兆円の税収増が発生した。



財務省がインフレ誘導政策を主導している。

このからくりを石破首相が認識していない。

石破首相は財務省の悪行を見抜く 補佐官に持つ必要がある。
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2025/02/post-cfdc87.html

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