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2024/12/03 (Tue) 06:45:07
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サマーズ氏: インフレを甘く見た政党は選挙で敗北する
2024年12月2日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/56905
アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏がハーバード大学でのインタビューで、ドナルド・トランプ氏が勝利した11月のアメリカ大統領選挙について語っている。
民主党が敗北した原因
クリントン政権の財務長官を務めたサマーズ氏は、もちろん民主党の支持者である。だが政敵のトランプ氏でさえも敬意を公言しているアメリカ最大の頭脳の1人でもある。
トランプ氏、自分の経済政策がインフレを再発させるというサマーズ氏の批判に反論 (2024/6/25)
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/50406
だからハリス氏が負けた今回の選挙では色々言いたいこともあるだろう。日付が近いCNNでのインタビューでは感情的な言い方が目立ったが、こちらのインタビューではいつもの冷静な分析が戻っているので、こちらを紹介したい。
ハリス氏は何故負けたか。筆者の分析はハリス氏の人格によるものであり、その分析は選挙の前に終わらせている。
不倫で成り上がったハリス副大統領がトランプ氏に大統領選挙で勝利する方法 (2024/9/6)
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/53069
民主党敗北の理由
だがサマーズ氏の分析はもっと経済学者らしいものである。
サマーズ氏は次のように始めている。
民主党政権がインフレを十分に重要視しなかったために選挙で右派が大きく勝利したことは、過去75年で3回ある。
1968年のリチャード・ニクソン大統領の選挙、ベトナム戦争におけるリンドン・ジョンソン大統領の選挙、そしてジミー・カーター大統領がロナルド・レーガン大統領に負けた1980年の選挙だ。
ニクソン大統領は、金融業界ではドル紙幣を無制限に刷りたいがために金本位制度を終わらせた人物として有名である。
レイ・ダリオ氏、「現金がゴミ」になったニクソンショックの経験を語る
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9645
そしてその後インフレ政策はカーター大統領にも引き継がれてインフレが頂点に達し、レーガン大統領の時代にポール・ボルカー議長がそれを終わらせたのである。
ポール・ボルカー氏、1980年のインフレ打倒がどれだけ厳しかったかを語る
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/27377
何故その話をするのか? サマーズ氏は今年の選挙もそれと同じだと言いたいのである。
サマーズ氏は次のように続けている。
そして今回、ほとんどすべての出口調査で物価高騰と高金利は、人々が民主党を支持しなかった最大の理由だった。
インフレと有権者
2022年にはインフレはウクライナ情勢のせいだというデマがマスコミを席巻したが、少なくともアメリカではもはや誰もそんなことを信じてはいない。原因はコロナ後の現金給付である。
世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33013
だが原因を厳密に分析することは議論を要するだろう。サマーズ氏は次のように述べている。
インフレのどれだけが景気刺激策のせいで、どれだけが金融政策のせいで、どれだけがパンデミックのせいで仕方なかったのかという細かい議論はある。
だが今物価が高くなっている理由は2021年の緩和政策のせいだということは合理的に言えるだろうし、2021年の過激な緩和がなければ、インフレが起こったとしても民主党はもっと非難を避けやすかっただろう。
珍しくサマーズ氏がトランプ氏を責めていないが、筆者はコロナ後の現金給付の規模とタイミングから、インフレの3割がトランプ氏、7割がバイデン氏のせいだと考えている。以下の記事で詳しい分析を書いている。
トランプ氏: 現金給付でインフレを引き起こしたのはバイデン氏だ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/50460
また、量的緩和がなければアメリカ政府はそれをファイナンスすることができなかっただろうから、中央銀行もまた原因の1つなのである。
ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33890
更にサマーズ氏は、インフレが政治家にとって毒となりうる別の理由も説明している。サマーズ氏は次のように解説している。
心理的な問題もある。賃金が7%上がって、物価も7%上がった場合、人々は「これで実質賃金の変化はゼロだ」とは言わない。人々は「仕事を頑張って給料が7%上がったのにすべてインフレに取られた」と言う。
失業率が2%上がれば、失業した人は全体の2%だ。だが物価が上昇すればそれを感じる人は100%だ。
これは興味深い観点だ。ニクソン氏やカーター氏を含め、インフレを引き起こした政治家が選挙で負けている理由の1つだろう。
そうした大統領の時代の物価高騰から40年が経過し、インフレが遠い昔のこととなっていた2021年、政治家も国民もインフレを軽視し、インフレ政策などと言って自分からインフレを引き起こそうとした。
その結果がこれである。何度も言うが、例えば日銀の植田総裁も言っている通り、インフレ率はゼロである時が経済にとってもっとも効率的である。インフレを自ら引き起こそうとする考えは、自分の預金を自分でドブに捨てる考えにほかならない。
レイ・ダリオ氏が『世界秩序の変化に対処するための原則』で説明していたように、大英帝国など歴史上の大国は債務とインフレで衰退し、国民もその犠牲となった。
日本も円安によって既に国民から多くのものが失われているが、それほど気にしているようには見えない。
日銀の植田総裁が円安を止められない理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33890
現実を見ない国民からは更に多くのものが失われるだろう。歴史上の大国でもそうなってきたのである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/56905
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2024/12/03 (Tue) 07:00:21
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ドラッケンミラー氏: インフレを引き起こした政府の間違いは長期にわたって貧困層を苦しめる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/28780
レイ・ダリオ著 「変わりゆく世界秩序」
Principles by Ray Dalio 2023/10/03
https://www.youtube.com/watch?v=y3oy8y0EljY
世界最大のヘッジファンド: オランダ海洋帝国が繁栄した理由 2020年5月22日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10891
世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨 2020年5月23日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10903
世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の繁栄と衰退 2020年5月25日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10922
世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10953
世界最大のヘッジファンド: 豊かな国ほど借金まみれになる理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36175#more-36175
南海泡沫事件: バブル経済の語源となった近世イギリスの株式バブルを振り返る
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/3199
すべての紙幣の価値は最終的にゼロに向かってゆく
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16856204
紙幣をばら撒けばインフレになるという単純な事実が多くの人々には難しすぎて理解できない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14054383
日本もアメリカも政府債務はインフレで解決されるしかない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16875882
各国政府はインフレを歓迎し、むしろインフレ誘導している
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14078205
インフレが起これば金融緩和が出来ないので、低金利で資産価格バブルの時代は終わる。
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14055430
利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29198
なぜインフレでも日銀は動かない?2022年冬、さらなる円安進行で中流階級の生活崩壊=吉田繁治
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1537.html
日銀はいつまで「利上げしない」と言い張るのか。物価上昇も見ないふり、迫る“ゼロ金利”政策の限界=吉田繁治
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1491.html
史上最高の経済学者ハイエクの警鐘
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14040247
ついに始まる世界金融恐慌
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14009793
40年続いた米国株強気相場が崩壊する、米国株は30年上がらない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14007513
政府主導の経済は自由市場の経済に勝てない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16860493
ハイエク: コストプッシュ型インフレは政府の責任回避の言い訳に過ぎない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14068389
日本円と日本の物価は異常に安過ぎる _ 1ドル=50円 が適正価格
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/189.html
これから起きる超円高によるバブル崩壊と預金封鎖
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14091470
日本円を借りてドルを買っていた円キャリートレードの巻き戻しが始まった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14080678
MMT論者はネズミの巣穴に帰ってもう出て来ない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16825321
金融緩和するとデフレになる理由
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14038579
日銀が平成バブルを潰して失われた30年を作った
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14037444
日銀が 2011年から500兆円も ばら撒いたので「超円安・輸入物価高の時代」に変わった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14010201
日銀金融緩和が終わった、円安は日本人にとって何の得にもならなかった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14074282
日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14062048
日本、金利上昇で経済崩壊の可能性
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16856196
黒田日銀総裁のスゴイ所は「平気でウソをつく」ところ
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14009730
日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14087383
追い込まれた日銀!? 石原順チャンネル
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16848778
日銀の金融緩和はアメリカの出口戦略に協力していただけだった
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/596.html
平成バブルはアメリカの指示で小沢一郎が作り、日銀総裁が意図的に潰した
http://www.asyura2.com/21/reki7/msg/217.html
アメリカが日銀に異次元金融緩和させた目的は日本の銀行と大企業の乗っ取り
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/393.html
日銀のETF買い入れとテーパリング
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/529.html
「物価と失業率は逆相関の関係にある」というフィリップス曲線は疑似科学
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14087468
銀行のバランスシートと銀行破綻
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14037261
アベノミクスのツケ「地銀含み損3兆円」…破綻シリコンバレー銀行とビジネスモデル酷似
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14095230
シリコンバレー銀行(SVB)破綻の原因と株式市場への影響
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14094256
銀行を助けて物価高騰かインフレを退治して株価暴落か、どちらかしかない。
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14096858
1万円銀行融資すればマネーサプライは1万円増える、財政支出はマネーサプライを増やす
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14035981
GDP・経済成長率や株価の上昇に意味は無い
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16866187
GDP・経済成長率や株価の上昇に意味は無い _ 貨幣価値が下がったから GDP も株価も名目値が上がっているだけ
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/391.html
GDP というまやかし 物価が高い国ほど数字が増える
https://www.thutmosev.com/archives/33445.html
GDPでは国民所得はわからない _ 日本人の平均月収は15万円以下
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14042843
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/697.html
東アジア3か国は地価を上げることで資産価値を上げ、GDPをかさ上げする手法でGDPを積み増してきました
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1476.html
手軽なGDP倍増方法 _ 日本は資産バブル政策に舵を切るか
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14090370
GDPを増やすには不動産を高騰させればよい
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/996.html
GDPが増えると物価が上がるので、労働者は毎年貧しくなる
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1089.html
アメリカGDPのまやかし 富裕層以外はマイナス成長だった
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/877.html
GDPの半分以上は企業所得、さらに個人所得の半分は富裕層
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/954.html
GDPとは国民の給料ではないので、国民が貧乏で金持ちが資産を独占しても数字の上では「豊かな国」に見える
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1570.html
日本の労働者の方がアメリカの労働者より裕福だった _ マンハッタンのダイソーは270円
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14027380
「賃金上がらず予想外」アベノミクス指南役・浜田宏一氏証言 トリクルダウン起こせず…
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14095196
政治とは税金を集めて政治家の裁量でそれをばら撒くこと
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16841750
1929年世界大恐慌の原因は高累進所得課税を止めた事
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14144412
資本主義の基本原理が富の独占である以上、貧富の格差が広がるのは必然
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14150799
トランプの真の敵/ディープ・ステートとは何か?
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16878485
ファシズムとは巨大資本が支配する統制経済の事
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14125646
アメリカの闇 政治を金で買う超富裕層
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/634.html
アメリカのロビイストは政治家に「この法案を成立させたら何億ドル差し上げますよ」と働きかける
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/530.html
国家を亡ぼす「狂った税制」
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/730.html
ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35564
低金利の間に大量生産されたゾンビ企業は高金利にして一掃しないといけない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16852548
倒産する企業はそのまま倒産させるのが正しい
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14033162
インフレを退治するというのは株価の下落と景気後退を受け入れるということ
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16849802
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2024/12/10 (Tue) 16:23:19
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レイ・ダリオ氏: 日本人は日本政府の低金利政策のせいで年間7%の資産を失っている
2024年12月9日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57066
世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が日本やアメリカの政府債務とマネタイゼーションについて語っている。
政府債務の意味
アメリカでは政府債務が大いに話題になっている。アメリカではコロナ後に金利が上がり、GDPの129%という莫大な政府債務に多額の利払いが発生しているからである。
米国政府は借金の利払いのために借金を増やしている。政府債務が雪だるま式に増えるプロセスが開始しており、利払いの金額はGDP比で見て次のように増えている。
だがアメリカのこのプロセスは始まったばかりだ。まだ利払いがGDPの1%ほど増えたに過ぎない。上がり方が急速だから非常事態ではあるのだが、まだこれから始まる話に過ぎない。
政府債務はなぜ問題か
アメリカで政府債務が雪だるま式に増えるプロセスが始動していることはただの事実である。だが政府債務はなぜ増えてはいけないのか?
それは国債市場にも需要と供給があるからである。買い手に対して供給が多すぎれば国債の価格は下落するだろう。
グリフィン氏: 米国債暴落でブラックマンデー再来の可能性
ましてや今はインフレによって中央銀行が量的緩和を出来なくなっている。だから政府債務だけではなくて、インフレ政策によるあらゆるツケが回ってきているのである。
では国債の価格が下落すれば誰が困るのか。ダリオ氏は次のように言っている。
誰かの負債は誰かの資産だ。
困るのは国債の保有者である。では国債の保有者とは誰か? 銀行である。
だが銀行はもともとお金を持っていない。お金を預かっているに過ぎない。銀行は預かったお金で国債を買っている。ではそれは誰のお金か? 預金者である。
麻生太郎氏も言っていたではないか。借金をしているのは政府であって国民ではないと。
だから国債価格が下がって困るのは政府ではない。国民の方である。
国債価格が下落しない代わりに
預金者は銀行を通して大量の国債を保有している。だからダリオ氏は次のように言っている。
通貨が富の貯蓄手段だと言うとき、実際にはそれは債務が富の貯蓄手段だということを意味している。
そしてそこに大きなリスクがある。
だが実際には、先進国で国債価格が大幅に下落する可能性は低い。多くの人は漠然とそう思っているだろうし、それは正しい。
しかし国債の需給問題は事実として存在する。では政府はこの問題をどうするのだろうか?
ここで登場するのが日本である。国債価格を下落させられないなら、量的緩和で日銀に国債を買わせたり、低金利を維持させて債務負担を減らすしかない。
ダリオ氏は次のように述べている。
日本は非常に良い例だ。
日本が過去15年ほど行なってきたことは、平均してアメリカよりも3%低い金利を維持することである。そして自国通貨の価値を年率4%下落させている。だから日本人は年間7%を失っている。
誰も気付いていないが、低金利政策で得をするのは金利を払う側である政府であり、損をするのは金利をもらう側である国民である。
更に2022年まで誰も気付いていなかったが、政府のインフレ政策もまた、債務(イコール日本円)の実質的な価値を下落させ、日本円の保有者の犠牲によって債務者である政府の借金を実質的に帳消しにする政策である。
数年前まで誰も知らなかっただろうが、インフレとは物価上昇という意味なのである。インフレ政策を支持していた人にとっては何という驚きだろうか。その結末は名前に書いてある。
ダリオ氏は次のように言う。
インフレは通貨の保有者から少しずつ資金を奪う。人々は名目の金額で物事を考えすぎだ。インフレを差し引いた実質ではお金のことを考えない。
マネタイゼーションのために債務の保有者を犠牲にしているのだ。
結論
更に日本人にとって物悲しいのは、ダリオ氏が次のように述べていることである。
同じことがわれわれアメリカ人にも起きる可能性がある。
お分かりだろうか。ダリオ氏にとっては日本人の資産減少は既に起きた話なのである。アベノミクス以来、日本円の価値は半分になっている。
減価された日本円で計算した日本のGDPが上がって喜んでいるような国民が気付けるわけのない話なのだが、減価した通貨で計算したGDPや株価が上がるのは当たり前の話である。それはGDPや株価が上がったのではなく、円が下がったのである。
恐らく日本人はこのまま自分が資産を失っていることにさえ気づかずに、日本政府によるマネタイゼーション完了を見届けるのだろう。まさにダリオ氏が『世界秩序の変化に対処するための原則』で予言した、衰退してゆく先進国の典型的なシナリオである。
すべてはこれまで数十年の選挙の結果である。日本国民が自分で望んだことなのだから、他人がどうこう言えることではないのである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57066
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2024/12/17 (Tue) 08:57:59
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ハイエク氏: 通貨を政府がコントロールしなければならないというのは根拠のない幻想
2024年12月16日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57350
何十年ぶりにインフレが現実のものとなり、インフレを回避するためにビットコインなどの暗号通貨も盛り上がる中、今一度20世紀最大の経済学者であるフリードリヒ・フォン・ハイエク氏の著書『貨幣発行自由化論』から通貨に関する論考を紹介しよう。
先進国の財政赤字
コロナ後、先進国の政府債務は急速に悪化しており、更に悪いことにインフレ対策の金利上昇により国債に利回りが付き始めたことから、アメリカなどの各国政府は財政状況が急激に悪化している。
金利がゼロだった頃には、債務がいくら増えても利払いはゼロだった。だから債務はどれだけ増やしても問題ないということがまことしやかに言われていた。
しかしインフレ政策でインフレが発生し、金利が上昇し始めれば、政府は借金の利払いを新たな借金によって支払わなければならなくなり、乱発される大量の国債が国債市場を下落させる危険性が出る。
レイ・ダリオ氏: 日本経済は最悪だ、米国の政府債務は5年以内に破綻する
だから政府はインフレ政策などと言いながら、中央銀行に量的緩和で国債を買い入れさせたりすることで、死にものぐるいで金利を低く保ってきたのである。
低金利政策の意味
それが長年行われてきた低金利政策の意味である。ハイエク氏は次のように述べている。
政府の肥大化は主に紙幣印刷によって財政赤字を補填できることが原因だが、表向きはそれによって雇用を守れるからだという言い訳によって行われる。
完全雇用ということが経済学の世界で長年言われてきた。それがあたかも経済学の最大の目標であるかのように持ち上げられてきた。
だが実際には政治家はそれを自分の使える予算が国債の利払い費用に食われないようにするためにやっていたのであり、ケインズ氏の系譜に属する大量の自称経済学者たちがそれを支持してきたのである。
だがケインズ氏と同じ時代に生きたハイエク氏は次のように言う。
人類の歴史は大まかにいってインフレの歴史であり、インフレは政府によって政府の利益のために引き起こされた。
通貨の歴史を研究する者なら誰でも、政府が2000年以上もの長い間、人々を騙して搾取するために通貨を恒常的に使ってきたことを我慢しなければならなかったのかと疑問に思うことを避けられないだろう。
常に減価されてきた貨幣
少しでも勉強したことのある人なら、歴史上のあらゆる硬貨は金や銀の含有量を少しずつ減らされ、最終的には無価値になったことを知っているだろう。
こうした政策で一番有利となるのは債務者であり、実体経済で一番大きな債務者とは多くの場合政府である。
だから政府にとって、金を100g借金して50gしか返さなくても良いということになれば、それほど有難いことはないだろう。現代の紙幣印刷も同じことであり、政府は同じように紙幣の価値を薄めている。
そしてその政策で一番の犠牲者となるのは、(麻生太郎氏も借金しているのは政府であって国民ではないと正しくも言っていたが、)銀行にある預金を通して国債を買っている国民なのである。
政府による通貨発行権の独占
だがここで1つの疑問が生じる。そもそも何故通貨は政府だけが発行しているのか? ハイエク氏はその特権をそもそも疑っているのである。
ハイエク氏は次のように述べている。
このことは政府の特権が必要なのだという神話によってのみ説明できるが、この神話はあまりに深く根付いているので経済学の学徒であっても疑問に抱くことが少ない。
しかしその妥当性を一度疑問に思ってみれば、その根拠が薄弱であることはすぐに分かる。
ハイエク氏の上の議論をもう一度持ち出してみよう。
通貨の歴史を研究する者なら誰でも、政府が2000年以上もの長い間、人々を騙して搾取するために通貨を恒常的に使ってきたことを我慢しなければならなかったのかと疑問に思うことを避けられないだろう。
何故なのか? 誰か教えてほしい。それを疑問に思いつつある人々は増えており、そうした人々は日本円やドル紙幣を捨てて、ゴールドやシルバーやビットコインに逃げているのである。
レイ・ダリオ氏: 日本人は日本政府の低金利政策のせいで年間7%の資産を失っている
フォン・グライアーツ氏: ゴールドとシルバーの本当の上げ相場はこれから
ハイエク氏は何十年も前の人なのだが、政府だけが通貨を発行するのではないという話は、まさに現代のビットコインの話ではないか。
暗号通貨がドルや円の代わりになるためにはかなり大きな障害が存在する。それはかつてスイスの銀行業が直面した脅威である。
アメリカに壊滅させられたスイスのプライベート・バンキング
だがハイエク氏が指摘したように、政府とインフレの関係を人々が 意識し始めたのは良いことではないか。ゴールドや暗号通貨の行方をこれからも報じてゆく。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57350