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日本もアメリカも政府債務はインフレで解決されるしかない

1:777 :

2024/10/27 (Sun) 01:05:49

財務省を解体すると日本はハイパーインフレになる
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16895028


「財務省陰謀論に反論する」【金子勝】2025年3月14日(金)【紳士交遊録】
【公式】大竹まこと ゴールデンラジオ! 2025/03/14
https://www.youtube.com/watch?v=5Fw6bZFkI3o

【金子勝/立花氏への襲撃 尾形が現場からの緊急報告/「財務省解体論」を考える/インフレで一番困るのはだれ/物価上昇、苦しい生活】3/14(金) 18:00~ ライブ(尾形)
Arc Times 2025/03/14
https://www.youtube.com/watch?v=IUwqZ4jK2Ts


財務省解体デモについてどう思いますか?

【ズレてる論点】財務省は本当に悪なのか?デモ支持者の主張とその裏側
経済クラブ keizaiclub 2025/03/14
https://www.youtube.com/watch?v=vyKBk69QMUg

【陰謀論が表に】USAID解体で暴かれたアメリカの闇… それでもバレない日本のヤバさ
プライマリーバランスを黒字にしないとハイパーインフレになる
経済クラブ keizaiclub 2025/02/25
https://www.youtube.com/watch?v=R0xAZQFf6Fk


【大西つねき氏 豈プロジェクト特別講演】経営者が絶対に知るべき、財政金融の真実。
国債発行を政府紙幣発行に変えないとハイパーインフレになる
https://www.youtube.com/watch?v=zR3wC3vwp9k

大西つねきがやろうとしていること(第49回衆議院選挙に向けて)
国債発行を政府紙幣発行に変えないとハイパーインフレになる
https://www.youtube.com/watch?v=Z0aesmYcl0U


金子勝 _ 保守・右翼の経済評論家(伊藤貫、中野剛志、藤井聡、三橋貴明、髙橋洋一)は経済が全くわかっていない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16886615

レイ・ダリオ _ 基軸通貨を持つ世界一の大国でも 政府債務増加で破綻する
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16887650

日本の労働者の方がアメリカの労働者より裕福だった _ マンハッタンのダイソーは270円
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ポール・チューダー・ジョーンズ氏: 日本もアメリカも政府債務はインフレで解決されるしかない
2024年10月25日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55567

引き続き、1987年のブラックマンデーを予想したことで有名なポール・チューダー・ジョーンズ氏のCNBCによるインタビューである。

今回は日本とアメリカが政府債務を解決する方法について語っている部分を紹介したい。

アメリカ大統領選挙と財政赤字

大統領選挙が1週間と少し後に迫り、ハリス氏もトランプ氏も財政赤字をほぼ気にしていないことから、ジョーンズ氏やスタンレー・ドラッケンミラー氏などの投資家はこのままでは米国債の価格が大きく下落すると予想している。

ポール・チューダー・ジョーンズ氏、大統領選挙でインフレ再加速を予想、米国債を空売り
ドラッケンミラー氏が米国債空売り、アメリカのインフレは10%を超えて再燃する可能性


ジョーンズ氏はトランプ政権時代の減税を延長せず期限切れにするべきだ(そうでなければ米国債は大幅下落する)と主張するが、仮にそれを行なってもアメリカの財政は黒字にはならない。

金利上昇と政府債務

ゼロ金利時代にはそれで良かったかもしれない。だがアメリカでは自らの現金給付によってインフレが起こり、金利が上がってしまっている。

トランプ氏: 現金給付でインフレを引き起こしたのはバイデン氏だ
つまり、国債に利払いが発生し、それを新たな国債発行で賄わなければならなくなっている。

こうなれば政府債務はねずみ算式に増えてゆき、遠くない未来に持続不可能になる。

だからインフレ政策でインフレを引き起こしてはならなかったのである。

レイ・ダリオ氏: 日本経済は最悪だ、米国の政府債務は5年以内に破綻する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/50221


ゼロ金利が維持できた間は人々はそれが永遠に続くように思っていたが、ひとたびインフレが起こってしまえばそこから国家の破綻までは比較的早い。

ジョニー・ヘイコック氏の以下の言葉を思い出したい。

ヘイコック氏: アメリカの財政問題はもう長くはもたない


歴史を振り返れば、大国において負債への利払いが国防費を上回るとき、もうその国は長くはもたない。

そしてそれが今のアメリカの状況だ。

政府債務をどう解決するか

だからインフレは起こしてはならなかった。しかし同時にインフレこそが債務をチャラにする鍵である。

ジョーンズ氏は次のように述べている。

この状況から脱するためにはどうすれば良いか。日本がいまどうなっているかを見れば分かる。インフレは2%、短期金利は0.3%で、彼らは金利を上げたくない。

ここから脱出するための方法はインフレーションだ。消費税は低い。金利はインフレ率より低くし、名目成長率がインフレ率より高くなれば、GDP比で債務は減ってゆく。

日本ではインフレが起こったが、金利は上げたくなかった。

あるいは上げることが出来なかった。アメリカ以上に政府債務が多いので、少しの金利上昇で国債の利払いがとんでもない数字になってしまうからである。

日銀の植田総裁が円安を止められない理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/47910


その結果日本がどうなったかと言えば、通貨の下落が止まらなくなった。ここ数ヶ月はドルの下落によってドル円のトレンドは一時停止しているが、ドル安サイクルが終われば円安が戻ってくると筆者は予想している。

今のドル円下落は円相場崩壊前の最後の円高サイクル
通貨安は輸入物価の高騰に繋がる。そして外国から見て大安売りとなった日本に外国人観光客が大挙してやって来て、日本では日本人ではなく外国人が幅を利かせるようになるのである。貧しい国ではすべてそうなっているではないか。

アメリカも日本のようになる

だがジョーンズ氏はアメリカもそうなるべきだと主張する。ジョーンズ氏は次のように言う。

Fedは緩和的になるべきだ。

利下げすべきだということだ。アメリカのGDP比の政府債務を考えれば、金利1%は年間900億ドルに相当する。

何故ならば、それ以外に道はないからだ。ほぼ1年分のGDPに相当するアメリカの政府債務を普通の方法で返済するためには、文字通り1年間一切の支出をせずに断食するしかない。債務が更に増えてしまえば状況はそれよりも悪化する。

日本人の場合は2年間の断食か、通貨安によるインフレのどちらかを迫られている。他人が作った債務のせいで、今の若い世代の選択肢は1つしかない。

結論

それはインフレで債務をなかったことにするということだ。それはドイツが第1次世界大戦後に戦後賠償金をチャラにした方法である。そしてその代償として、国民の預金はすべて文字通り紙切れになった。紙幣では何も買えなくなった。

ジョーンズ氏は、それをマイルドにやることだけが債務問題の唯一の脱出路であると言う。彼は次のように纏めている。

政府債務をGDPに対して安定させたければ、インフレが国民にとって苛酷過ぎる税金とならない範囲で出来る限り金融政策を緩和的することだ。

すべての道はインフレに通じる。歴史的にはそれが解決策だ。あらゆる文明が債務を解決した方法は、インフレで債務をなかったことにすることだ。

それは単に歴史的事実である。過去の大国、大英帝国もオランダ海上帝国も債務膨張でインフレになって衰退していったことは、レイ・ダリオ氏が『世界秩序の変化に対処するための原則』で詳しく解説している。

つまり、政治家が積み上げた政府債務は国民の預金がチャラになることで解決されるほかない。それが自民党の言う「借金しているのは政府で、国民ではない」の意味である。

だからジョーンズ氏は紙幣や国債以外のものを保有することを奨めている。

ポール・チューダー・ジョーンズ氏がインフレ再燃予想、ゴールドとビットコインとNasdaqを推奨


何故こうなったのか? これまで国民が一切文句を言わなかったからである。自分で受け入れた未来なのだから、自分で受け入れることだ。筆者のようにインフレを回避できる投資家には関係のないことである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55567

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大西つねき : 資本主義がダメな理由
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大西つねき : 資本主義の仕組みは既に破綻している
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「銀行が潰れる理由」大西つねきのパイレーツラジオ2.0(Live配信2023/03/20)
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「大西つねきはMMT派ではない」大西つねきのパイレーツラジオ2.0(Live配信2023/04/10)
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大西つねき : MMTは詭弁、赤字国債大量発行は貧富の差を拡大し階級社会を完成させる
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大西つねき : 政府通貨の疑問に答える
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/764.html

政府紙幣発行政策の誤解 経済コラムマガジン
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大西つねき :日本一まともな年金の話
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大西つねき :正しいベーシックインカム
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大西つねき : 日本の戦後について
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/767.html

大西つねきが三橋貴明の間違いを正確に指摘しています。政府がいくら財政出動しても絶対にデフレから脱却できません。
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/135.html
2:777 :

2024/10/27 (Sun) 01:18:04

史上最高の経済学者ハイエクの警鐘
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ハイエク: コストプッシュ型インフレは政府の責任回避の言い訳に過ぎない
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MMT論者はネズミの巣穴に帰ってもう出て来ない
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「賃金上がらず予想外」アベノミクス指南役・浜田宏一氏証言 トリクルダウン起こせず…
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政治とは税金を集めて政治家の裁量でそれをばら撒くこと
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低金利の間に大量生産されたゾンビ企業は高金利にして一掃しないといけない
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倒産する企業はそのまま倒産させるのが正しい
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インフレを退治するというのは株価の下落と景気後退を受け入れるということ
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日本、金利上昇で経済崩壊の可能性
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利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29198

何故日銀はインフレに応じて金利を上げないのか?
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これから起きる超円高によるバブル崩壊と預金封鎖
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銀行のバランスシートと銀行破綻
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アベノミクスのツケ「地銀含み損3兆円」…破綻シリコンバレー銀行とビジネスモデル酷似
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シリコンバレー銀行(SVB)破綻の原因と株式市場への影響
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14094256

銀行を助けて物価高騰かインフレを退治して株価暴落か、どちらかしかない。
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14096858

1万円銀行融資すればマネーサプライは1万円増える、財政支出はマネーサプライを増やす
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14035981

中央銀行が中央銀行自身を救済するという現金給付に次ぐ新たな緩和方法が既に始まっている
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14137906

3:777 :

2024/10/27 (Sun) 01:32:42

アメリカ帝国の崩壊!?
石原順チャンネル 2024/09/24
https://www.youtube.com/watch?v=SOnWv9zV8kg

<チャプター>
00:00 アメリカ帝国の崩壊!?
05:10 米国の銀行は6850億ドルの評価損に直面した
07:16 米国の銀行部門の脆弱性
09:13 連邦準備制度理事会は巨額の損失を被っている
09:42 巨大な債務の壁と金利の引き下げ
13:45 巨大な債務の壁が満期を迎える。
14:05 QTはQEの準備!
15:02 経済の仕組み
16:10 米国の負債総額
17:00 信用拡大は限界に達している!?
20:20 投資家行動と株式市場 S&P500は7000まで?
22:04 経済の仕組み
22:53 インフレ調整後の連邦赤字 大恐慌時のような経済政策
23:07 連邦債務 1900ー2020
27:09 NY原油CFD(日足)
28:23 CPI 1970年代vs2020年代
30:45 ゴールドCFD(日足)
31:48 ゴールドCFD(週足)
32:34 ローマ帝国の崩壊とアメリカ帝国



金融システム全体が崩壊 するとき
石原順チャンネル 2024/10/01
https://www.youtube.com/watch?v=fMlI_sr95dE

<チャプター>
00:00 金融システム全体が崩壊するとき
01:30 自民党総裁
10:20 ドル円(5分足)
12:52 日経平均CFD(5分足)
14:10 ドル円(日足)
16:15 日経平均CFD(日足)
17:10 S&P500CFD(日足)
18:20 借金を軽減するためにインフレが使われる
22:20 米国の負債総額
25:00 MMTは限界に達しているのか?
25:27 連邦負債 1900-2020
35:13 CPI 1970年代vs2020年代



米国の借金をみれば、相場がわかる!?
石原順チャンネル
https://www.youtube.com/watch?v=RCJ0liUeEYI

<チャプター>
00:00 米国の借金をみれば、相場がわかる!?
08:50 ナスダック100CFD(日足)
11:24 日経平均CFD(15分足)
14:11 日経平均CFD(日足)
18:33 ドル円(15分足)
19:27 ドル円(日足)
20:22 ポンド円(日足)
21:11 ゴールドCFD(日足)
22:20 9月の政府雇用者数と民間雇用者数の比較
27:23 米国の連邦債務 2018年~2024年
29:37 米国が覇権を維持して生き残る唯一の方法は
35:08 巨大な債務の壁と金利の引き下げ
35:26 CPI 1970年代vs2020年代
38:08 戦略石油備蓄を使い果たした米国
39:45 NY原油CFD(日足)



日経平均の上昇はいつまで続く?
石原順チャンネル
https://www.youtube.com/watch?v=Cy5foLCLgyg

<チャプター>
00:00 日経平均の上昇は いつまで続く?!?
03:17 日経平均CFD(日足)
08:50 日経平均CFD(週足)
09:00 日経平均CFD(月足)
11:26 ドル円(日足)
14:00 米国の連邦債務 2018年~2024年
15:37 米国のマネーサプライ(M2)
17:16 S&P500CFD(日足)
19:23 香港ハンセン指数CFD(日足)



【2024年10月22日】ゴールドへの投資はまだ0.5%?ゴールドの戦略(西山孝四郎 氏)
https://www.youtube.com/watch?v=5G257xPYx14&t=483s

0:00 オープニング
1:38 資産運用の究極の目的は「インフレヘッジ」
3:43 ゴールドCFD(米ドル建て)の日足チャート
5:24 ゴールドCFD(米ドル建て)の日足チャート
6:43 負債処理にはインフレが使われる!?
9:24 米国の財政赤字の推移
10:45 1971年以降の金価格の推移
13:03 巨大な債務の壁と米国債の償還
16:03 ゴールドCFDのチャート分析
18:04 ゴールドCFDの想定レンジと売買戦略




生き残る為のゴールド投資
石原順チャンネル
https://www.youtube.com/watch?v=b3ZuogXusfY

<チャプター>
00:00 生き残る為のゴールド投資
03:37 ゴールドCFD(日足)
09:44 ゴールドCFD(週足)
11:38 ゴールドCFD(月足)
13:14 ビットコイン/ドル(週足)
14:36 マイクロストラテジー(週足)
16:16 負債処理にはインフレが使われる!
20:19 米国の財政赤字の推移
24:08 S&P500CFD(日足)
18:20 借金を軽減するためにインフレが使われる
22:20 米国の負債総額
24:05 1971年以降の金価格の推移
28:35 巨大な債務の壁と米国債の償還



(10月18日収録)【セミナー動画】西山孝四郎氏 オンデマンドセミナー
MONEY SQUARE 2024/10/18
https://www.youtube.com/watch?v=7GYXKcReMRY


『ザ・マネー』~西山孝四郎のマーケットスクエア 2024年10月25日
https://www.youtube.com/watch?v=o3dHFf7uOGk
4:777 :

2024/10/31 (Thu) 06:18:10

金利上昇後の資産運用

日本もアメリカも政府債務はインフレで解決されるしかない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16875882

すべての紙幣の価値は最終的にゼロに向かってゆく
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16856204



ネイピア氏: 金利上昇の新時代では投資家はS&P 500と米国債を避けよ
2024年10月30日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55762

The Solid Ground Newsletterを発行しているアナリストのラッセル・ネイピア氏が、Skagen Funds主催の講演会で金利上昇後の資産運用について語っている。

世界経済は変わったのか

世界経済はコロナ前の低金利・低インフレ経済から、コロナ後の高金利・高インフレ経済に変わった。

少なくとも一部の著名投資家は、インフレは終わっていないと予想している。

ドラッケンミラー氏が米国債空売り、アメリカのインフレは10%を超えて再燃する可能性
ポール・チューダー・ジョーンズ氏がインフレ再燃予想、ゴールドとビットコインとNasdaqを推奨
ネイピア氏もその1人のようである。彼は世界経済のトレンドが変わったと主張している。

ネイピア氏は次のような例え話から議論を始める。

ある年寄りの魚が泳いでいたら、2匹の若い魚がやってきた。

年寄りの魚は言った。いい天気ですね。今日は水の具合はどうですか?

すると若い魚のうち1匹はもう1匹に言った。水って何?

ネイピア氏が言いたいのは、ある環境に長く居すぎると、それが当たり前になってしまうということである。

そして金融市場でこそそれは危ない。多くの投資家は、これまでの金利低下・インフレ率低下のトレンドが当たり前だと思っている。

それを頭では分かっていても、今の投資家の常識はデフレの状況下で作られたものであり、当たり前のように前提としていることでもインフレの時代では通用しないことがある。

ネイピア氏は次のように述べる。

水は永遠に変わらないと言うのは簡単だが、水は変わった。

新時代の世界経済

新たな時代とは何か。例えば政府債務が莫大になっていることである。

いや、厳密に言えば莫大な政府債務に金利が付き始めたことである。これまではゼロ金利で借金がどれだけ増えても利払いはなかったが、インフレで金利が上昇したことで、莫大な政府債務に利払いが生じてしまっている。

レイ・ダリオ氏: 日本経済は最悪だ、米国の政府債務は5年以内に破綻する
ジョニー・ヘイコック氏は今のアメリカの債務の状況について次のように言っていた。

ヘイコック氏: アメリカの財政問題はもう長くはもたない
歴史を振り返れば、大国において負債への利払いが国防費を上回るとき、もうその国は長くはもたない。

だから機関投資家たちは第1次世界大戦後のドイツのように、政府の借金がインフレで帳消しになるシナリオを想定している。それは日本も同じである。

ポール・チューダー・ジョーンズ氏: 日本もアメリカも政府債務はインフレで解決されるしかない
犠牲になるのは誰か。預金者と、そして国債の保有者である。ネイピア氏は次のように言う。

債務をインフレで帳消しにしながら債券の保有者に良い実質リターンを与えることはできない。

だからネイピア氏は米国債を保有してはならないと言う。金利低下・インフレ率低下の局面では国債は最良の投資対象だった。それが過去40年の経験である。だがその時代はもう終わった。

S&P 500に投資してはならない

さて、世界は他にどう変わったか。ネイピア氏は次のように述べている。

世界が変わったもう1つの理由は、中国が自分の債務をインフレで帳消しにしなければならないことだ。

ネイピア氏は中国経済について語っているのではない。世界の金融市場における中国の役割について語っているのである。

ネイピア氏は次のように続ける。

中国では農民の都市部への大移動という人類史上最大の人口移動があり、大量の資本投資が行われ、中国は経常黒字と資本移動等黒字を計上した。資本は流れ込んできたが、出てゆくことは許されていなかったからだ。

それでどうなったか? 中国政府は中央銀行に米国債やドイツ国債やフランス国債などの国債を大量に買わせる介入を行なうことになった。

急激な経済成長を遂げながらも、資本移動を規制したことで資本が国外に出られなかった中国では外貨をもてあました。

その帳尻を合わせたのが中央銀行である。結果として中国の外貨準備は物凄い金額になっている。

ネイピア氏は次のように続ける。

中国だけでなくアジア全体が同じことをしていた。アジア諸国は5兆ドルを越える規模の西側諸国の国債を買っていた。

それは西側諸国の金利低下に大きく貢献したはずだ。

それで西側諸国では何が起きたか? S&P 500のバリュエーションは上がった。ハイテク株のバリュエーションはもっと上がった。アメリカの企業はお金を借りた。ハイテク株はもっと借りた。

つまり、これまでの世界では中国が(そしてアジア諸国が)米国債を買っていたことでアメリカの金利低下に貢献していたということである。

だが今度は中国が不動産バブル崩壊によって自国の金利を下押ししなければならない状況に陥っている。

レイ・ダリオ氏が中国の不動産バブル崩壊を説明する
中国は米国債を買っている状況ではなくなっているが、同時に買いたいとも思っていない。ウクライナ戦争以後、ドル資産を持っていればアメリカの都合で資産を取り上げられると分かったからである。

プーチン大統領: ドルを使った経済制裁はアメリカの自殺行為
米国債はアジア諸国による買い支えを失いつつある。それは金利上昇に繋がり、米国株にとっても下押し圧力になる。

製造業を中国に取られたアメリカ

更に、ウクライナやパレスチナの情勢は各国を貿易から遠ざけている。中国はアメリカの半導体を買えなくなった。自由貿易がこれまでのトレンドであれば、ブロック経済がこれからのトレンドである。

これまでのトレンドである自由貿易はアメリカに何をもたらしたか。ネイピア氏は次のように語っている。

米国企業は製造業から手を引いた。工場はすべて中国に行った。米国企業は最新鋭のビジネスに集中した。そしてS&P 500の季節調整済み株価収益率は34倍まで上がった。

それがこれまでわれわれが泳いでいた水がもたらした結果だ。

だがその水は変わっている。だからS&P 500には投資をしてはならないということだ。S&P 500は古いシステムから最大の利益を得た企業なのだ。

中国は半導体を買えなくなった。アメリカはそれで喜んでいるかもしれないが、それは中国が反撃をしない間だけである。

ネイピア氏は次のように語っている。

彼らは半導体チップを自分で作ろうとしている。そしてわれわれは製造業をやらなければならなくなる。

その時代の抱える問題を解決する企業に投資しなければならない。それがこれまで15年の歴史だ。では今後15年を見た場合には、今後15年の問題を解決するのはどういう企業か?

そういう銘柄は株式市場にたくさんある。だがそれらはインデックスには入っていない。当然だ。過去30年で中国の過剰投資によってほぼ完全に打ちのめされたからだ。

S&P 500は大型株インデックスである。つまり、これまで成功してきた企業しか入っていない。

それはトレンドが変わらない間は上手く行くだろう。環境が変わらない限り、これから成功する企業はこれまで成功してきた企業である。

それがS&P 500が過去40年上がり続けている理由である。

しかしそれは「環境が変わらない限り」という条件付きであり、この重要な条件をほとんどの投資家は真剣に考えていない。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
コロナ初期のロックダウンにおいて各国政府が即座に現金給付を決定した時、Bridgewaterのレイ・ダリオ氏はすぐに著書『世界秩序の変化に対処するための原則』の執筆を開始し、インフレと債務問題がどのように過去の覇権国家を衰退させたかを説明して、新たな時代はどのような時代になるかを予想した。

その後、多くの識者がダリオ氏の意見に賛同し、今や著名投資家の間では共通認識となりつつある。

S&P 500を盲目的に買っている人はそこから乗り遅れているのである。投資をするときには、その根拠をしっかり確認することだ。


世界秩序の変化に対処するための原則 なぜ国家は興亡するのか – 2023/9/23
レイ・ダリオ (著), 斎藤聖美 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%96%E7%95%8C%E7%A7%A9%E5%BA%8F%E3%81%AE%E5%A4%89%E5%8C%96%E3%81%AB%E5%AF%BE%E5%87%A6%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%89%87-%E3%81%AA%E3%81%9C%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E3%81%AF%E8%88%88%E4%BA%A1%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B-%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%80%E3%83%AA%E3%82%AA/dp/4296116185?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=TDM09MVBZJYL&dib=eyJ2IjoiMSJ9.2qGKODN6BuEkRGN66w2lk5c7tiDRWnjw8QLPf8q8a4_lBi1_BZsYeLlqKq40XOphncuWPFl1F2t9xsgXoBkP3KJZtXtzyxctA4LTs9rv921NiLX1BPDxa4TnhoMsscmhn6UucyuTZ6A4qham6cIM8w07-1Xo4QFNrXd-0FQDD5mKyIStvOhbFihdu6RlizxhM_0XBGrfr47Mn_Gvh615MpmzvZiEFocTDRK2vOyaUGU.JUyDI1IllWDpBrm9koD1ocXqqBMm8byeXtcgoOzKRro&dib_tag=se&keywords=%E3%83%80%E3%83%AA%E3%82%AA&qid=1711598966&rnid=2321267051&s=books&sprefix=%E3%83%80%E3%83%AA%E3%82%AA,aps,173&sr=1-1&linkCode=sl1&tag=globalmacrore-22&linkId=d4a908bef2263415ca7a8de1463662c1&language=ja_JP&ref_=as_li_ss_tl


世界最大のヘッジファンド: オランダ海洋帝国が繁栄した理由 2020年5月22日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10891

世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨 2020年5月23日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10903

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の繁栄と衰退 2020年5月25日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10922

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10953

世界最大のヘッジファンド: 豊かな国ほど借金まみれになる理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36175#more-36175

南海泡沫事件 : バブル経済の語源となった近世イギリスの株式バブルを振り返る
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/3199


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55762
5:777 :

2024/11/02 (Sat) 12:55:57

ネイピア氏: 米国債はあと27年下落し続け、金利は上がり続ける
2024年11月1日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55868

引き続き、The Solid Ground Newsletterのラッセル・ネイピア氏のSkagen Funds主催の講演を紹介したい。

今回はアメリカの金利の長期トレンドについて語っている部分である。

中国のバブル崩壊と米国債

前回までの記事でネイピア氏はインフレの動向と中国による米国債購入の変化が世界の金融市場の新たなトレンドを決めると主張していた。

ネイピア氏: 金利上昇の新時代では投資家はS&P 500と米国債を避けよ


これまでの債券市場では誰もが米国債を買っていた。アメリカの中央銀行も米国債を買い入れていた。中国も貿易で稼いだ外貨をもてあまし、大量の米国債を買っていた。

だがネイピア氏によれば、そのトレンドは逆流する。

アメリカではインフレが生じたことで金利を上げなければならなくなり、中国も不動産バブル崩壊によって他国の国債を買っている状況ではなくなった。

レイ・ダリオ氏が中国の不動産バブル崩壊を説明する

それだけでなく、ウクライナ戦争以後、他の国々も米国債を避けている。

プーチン大統領: ドルを使った経済制裁はアメリカの自殺行為

買い圧力が弱まり、米国債の価格が下落して金利が上昇すること自体が米国債の利払いを増やし、新たな国債発行によって米国債は更に下落してゆく。ジョージ・ソロス氏の『ソロスの錬金術』で解説されている投資理論で言うところの「自己強化的なトレンド」である。

米国債下落は長期トレンド

ソロス氏によれば、自己強化的なトレンドはそれを止める別の要因がなければそのままどんどん加速してゆく。そしてネイピア氏もそう思っているようである。

ネイピア氏は次のように言っている。

投資をする上での結論はこうだ。長期の国債を買わないこと。

実際、米国債がこれから下落すると予想して空売りしている機関投資家は多い。

ドラッケンミラー氏: 米国が0.5%利下げをした日に米国債を空売りした


ポール・チューダー・ジョーンズ氏、大統領選挙でインフレ再加速を予想、米国債を空売り


だがネイピア氏によれば、米国債の下落はここから来年にかけてだけの話ではない。ネイピア氏は次のように続けている。

米国債のこれまでのリターンについてのチャートを見れば、30年の上げ相場と30年の下げ相場があることに気づく。

債券相場の歴史を見れば、上げ相場も下げ相場も非常に長期にわたる傾向にある。

アメリカの長期金利は長期的には以下のように推移している。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2024/11/2024-11-1-us-10-year-treasury-bond-yield-chart.png



金利は何十年もかけて上がって下がっている。金利上昇は債券の価格下落を意味するので、債券の価格は下がって上がったのである。

そしてコロナ後に金利は再び上がっている。これが30年続く新たな相場の始まりだとすれば、ネイピア氏の結論は次のようになる。

今の下げ相場は3年前に始まった。残っているのはあとたったの27年だ。

ちなみにネイピア氏は債券の価格下落が必ずしも名目のものではない可能性、つまりインフレによって名目価格ではなく実質的価値が下落する可能性にも言及している。

ポール・チューダー・ジョーンズ氏などは日本の債務もアメリカの債務もそうなるしかないと予想している。

ポール・チューダー・ジョーンズ氏: 日本もアメリカも政府債務はインフレで解決されるしかない


ネイピア氏はその可能性を踏まえて次のように結論している。

債券保有者の損失は必ずしも名目のものではない。金利を抑圧すれば名目の損失は避けられる。

金利の固定は債券価格を固定することだからだ。その場合損失は実質のものになる。だがとにかく債券は保有するな。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55868
6:777 :

2024/11/03 (Sun) 08:24:26

ネイピア氏: 日本の政府債務は円安で解決される、円を空売りして日本株を買え
2024年11月2日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55871

引き続き、The Solid Ground Newsletterのラッセル・ネイピア氏のSkagen Funds主催の講演である。今回は日本の政府債務と金融市場について語っている部分を取り上げたい。

日本の債務問題

ネイピア氏はこれまでの記事で、コロナ後の金利上昇は長期のトレンドで、莫大な政府債務に多額の利払いが生じている多くの先進国ではツケを払う瞬間がついに来ると予想していた。

ネイピア氏: 米国債はあと27年下落し続け、金利は上がり続ける
ネイピア氏: インフレと債務問題で最大の危機はヨーロッパ、共通通貨ユーロは破綻する
アメリカとヨーロッパの話はもうしている。では日本はどうか? ネイピア氏は日本の話もしている。

ネイピア氏が注目しているのは、単に政府債務だけではなくその国の経済に存在するすべての負債の合計金額である。それを踏まえてネイピア氏は次のように言っている。

日本の債務はGDPの414%だ。

今のところは日本は逃げ切れているが、この問題を解決するには最終的にはインフレで債務を帳消しにするしかない。

借金と金利上昇

それはポール・チューダー・ジョーンズ氏も言っていたことである。

ポール・チューダー・ジョーンズ氏: 日本もアメリカも政府債務はインフレで解決されるしかない
政府債務の問題は、金利がゼロである間は大した問題にはならない。どれだけ借金があっても利払いがないからである。

だがインフレ政策が本当にインフレを引き起こし、国債に利払いが発生すると、大国は急激に没落してゆく。レイ・ダリオ氏が『世界秩序の変化に対処するための原則』で予想していたシナリオである。

特に日本の債務の額は莫大であり、アメリカのように金利を5%に上げることさえ許されないだろう。債務がGDPの414%ならば、それらの債務に5%の金利が付けば利払いだけでGDPの20%以上になってしまうからである。

日本は低金利政策から逃れられない

だからネイピア氏は日本が低金利政策から逃れられないと予想している。実際、日銀の植田総裁も既にかなり苦労しているが、まだ何も始まってさえいない。

日銀の植田総裁が円安を止められない理由
だからネイピア氏は次のように言う。

今後20年、日本の年金ファンドが金利を低く維持するために日本国債を買い支えなければならなくなったらどうする?

低金利を維持すること自体は可能である。日銀にでも年金ファンドにでも日本国債を買わせれば良い。だがその代わりに犠牲になるのがインフレ率と為替レートである。

つまり、ネイピア氏は円の下落が不可避だと考えているのである。

では投資家はどうすれば良いのか? ネイピア氏は次のように言っている。

ウォーレン・バフェット氏は頭が良い人物だ。彼は数年前に大量の日本円を借り入れ、日本企業の株式を買った。

国家が債務をインフレで帳消しにしなければならないときにはその国の通貨で借り入れをしてその国の株式を買え。これはマクロな投資戦略だ。それは現状とても上手く行っている。

バフェット氏はコロナ後に日本円を借り入れて三菱商事など日本の商社の株式を大量購入した。

「日本円を借り入れた」というところがポイントである。何故ならばアメリカの投資家にとって、借り入れた日本円を売って株式市場で株式を買うことは、日本円の空売りと株式の買いを同時に行なっていることと同じだからである。

そうすれば円建てで株価が上がる限り、日本円がどれだけ下落してもバフェット氏はダメージを受けない。

インフレと株式市場

だからバフェット氏もネイピア氏も円建てで見れば日本株は上がると考えているのである。

それは興味深い観点である。何故ならば、インフレで金利が上昇するとき、株式市場には2つのシナリオがある。

インフレを抑えられるほど急激に金利が上がれば、(インフレ調整後の実質の)株価にとってはマイナスになる。それは1970年代のアメリカの物価高騰時代における米国株の値動きであり、2022年に米国株が下落した理由でもある。

だが一方で、インフレで株価が上がった事例もある。例えばトルコである。何十パーセントものインフレを引き起こし、しかも十分に金利を上げなかったトルコでは、実質でも名目でも株価は上昇した。

つまり、ネイピア氏はこう予想しているのである。日本の政府債務はインフレで帳消しにされなければならないが、日本はインフレと通貨安をまともに抑えられるほどの利上げが出来ないので、日本株は上がる。

こう考えるとネイピア氏の以下の結論がなかなか恐ろしく聞こえるのである。

日本経済全体のインフレを引き起こすことは日本株にとってプラスになる。

ちなみにネイピア氏はS&P 500については買うなと言っている。理由 は以下の記事を参考にしてもらいたい。

ネイピア氏: 金利上昇の新時代では投資家はS&P 500と米国債を避けよ

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55871
7:777 :

2024/11/25 (Mon) 05:43:17

ガンドラック氏、長期の米国債から逃避、アメリカの財政赤字拡大で
2024年11月24日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/56601

DoubleLine Capital のジェフリー・ガンドラック氏がCNBCのインタビューでアメリカの金利と債券市場についてコメントしている。

利下げで国債金利上昇

アメリカの金利はどうなっているか。パウエル議長は物価高騰後初めての利下げを開始し、金融緩和でインフレ再加速を懸念した金融市場では皮肉なことに国債の金利は上昇した。

政策金利と2年物国債の金利を並べると次のようになっている。


ガンドラック氏は次のように述べている。

2年物国債の金利は0.6%上がり、政策金利は0.75%下がった。結果として政策金利が2年物国債の金利に1.35%近づいたことで、パウエル議長はたった2回の会合によって債券市場の意見に歩み寄っている。

ガンドラック氏はインフレ率下落とアメリカ経済の減速を予想してきたから、利下げは予想通りだろう。ガンドラック氏は次のように続けている。

12月にはもう一度利下げがあるだろう。それで政策金利は2年物国債の金利の水準に一致するからだ。

利下げでも長期国債は買えない

利下げは行われており、ガンドラック氏の意見ではアメリカ経済は減速を続けている。

ガンドラック氏: アメリカのインフレ率は2.5%まで更に下落する
金利低下は債券価格の上昇を意味するから、この状況で普通ならば債券投資家は国債を買う。

だがガンドラック氏は少なくとも長期の国債は買えないという。その理由はアメリカ政府による国債の大量発行である。

ガンドラック氏は次のように説明している。

国債の発行量がやや驚異的な規模になってきている。アメリカは過去12ヶ月で2兆ドルの財政赤字を出しており、それはGDPのおよそ6%に相当する。経済成長が続いているにもかかわらずだ。

国債の利払いについてはいつも話しているが、3年前には年間3,000億ドルだった。今では年間1.3兆ドルだ。

国債が発行されるということは、国債が債券市場に供給されるということである。需要と供給の関係から、供給が急増すれば国債の価格は下落する。だから多くの識者が米国債の価格下落を警告しているのである。

ドラッケンミラー氏: 米国債が暴落するまであと1年の可能性
サマーズ氏、米国債の暴落を警告
また、もう1つの問題は、コロナ後の金利上昇によって大量の政府債務に利払いが生じていることであり、この利払いをGDP比で計算すると次のような推移になる。


GDPの3.8%程度であり、ガンドラック氏の言うように財政赤字自体が6%程度だから、アメリカの財政がかなりまずい状態だということは素人でも分かるだろう。

雪だるま式に増える政府債務

しかもガンドラック氏によれば、米国債の利払いの増加は留まるところを知らない。ガンドラック氏は次のように説明している。

しかも5年前や3年前に発行された低金利の国債が大量にあって、それらが大幅に高い今の金利で借り換えられている。

利払いは急増しているが、それでも金利が低かった時代に発行された国債の金利は今でも低いままである。

だが借金には期限がある。ここから来年にかけてかなりの米国債が期限を迎え、高くなった今の金利で借り換えられることになる。

そうすれば米国債の利払いは更に増えてゆく。アメリカの財政はかなり詰んでいると言っていい。

借金を借金で返すアメリカ

勿論米国政府には増加する利払いを行なう資金はない。どうするか? 新たに国債を発行するのである。

つまり、アメリカはどうしようもない勢いで増加している借金を、借金で返済しようとしている。債券市場には大量の米国債がばら撒かれることになる。

ガンドラック氏は次のように述べている。

それは債券市場にとって供給過剰の問題であり続ける。

この理由により、アメリカ経済は徐々に減速しているにもかかわらず、われわれは長期国債に強気ではない。国債の発行量は極めて大きな問題だ。

投資家としてはどうしているのか。ガンドラック氏は次のように続けている。

だから投資家には中期の国債に留まるように忠告している。20年物や30年物を買ってはならない。

実際、われわれの債券ファンドの多くでは、何週間か前に金利が低かった時に保有国債の期間を短くした。アメリカの財政問題に巻き込まれたくないからだ。

景気後退時の金利上昇

ここまでの話でアメリカの財政は十分に危機的なのだが、ガンドラック氏は更に最悪のシナリオを想定している。

ガンドラック氏は次のように言っている。

この問題は景気減速中の金利上昇に繋がる可能性がある。

景気後退では普通金利は低下する。しかしガンドラック氏は、景気後退による金利低下圧力よりも国債の発行過多によって国債価格が下落し、金利が上昇する可能性を指摘している。

そうなればアメリカは本当に終わりである。景気後退時に金利が上がれば、景気後退は更に酷くなってゆくだろう。

Bridgewaterのレイ・ダリオ氏は著書『世界秩序の変化に対処するための原則』で、アメリカ以前の覇権国家である大英帝国やオランダ海上帝国を例に挙げ、歴史上の大国はインフレと政府債務によって衰退していったことを説明した上で、アメリカも同じ運命を辿る可能性に言及している。

コロナ後にこの本を書き始めたダリオ氏は、現在の アメリカの状況を予想していたのである。

その状況がかなり近づいている。機関投資家たちはその準備をしている。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/56601
8:777 :

2024/12/10 (Tue) 16:26:23

レイ・ダリオ氏: 日本人は日本政府の低金利政策のせいで年間7%の資産を失っている
2024年12月9日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57066

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が日本やアメリカの政府債務とマネタイゼーションについて語っている。

政府債務の意味

アメリカでは政府債務が大いに話題になっている。アメリカではコロナ後に金利が上がり、GDPの129%という莫大な政府債務に多額の利払いが発生しているからである。

米国政府は借金の利払いのために借金を増やしている。政府債務が雪だるま式に増えるプロセスが開始しており、利払いの金額はGDP比で見て次のように増えている。


だがアメリカのこのプロセスは始まったばかりだ。まだ利払いがGDPの1%ほど増えたに過ぎない。上がり方が急速だから非常事態ではあるのだが、まだこれから始まる話に過ぎない。

政府債務はなぜ問題か

アメリカで政府債務が雪だるま式に増えるプロセスが始動していることはただの事実である。だが政府債務はなぜ増えてはいけないのか?

それは国債市場にも需要と供給があるからである。買い手に対して供給が多すぎれば国債の価格は下落するだろう。

グリフィン氏: 米国債暴落でブラックマンデー再来の可能性
ましてや今はインフレによって中央銀行が量的緩和を出来なくなっている。だから政府債務だけではなくて、インフレ政策によるあらゆるツケが回ってきているのである。

では国債の価格が下落すれば誰が困るのか。ダリオ氏は次のように言っている。

誰かの負債は誰かの資産だ。

困るのは国債の保有者である。では国債の保有者とは誰か? 銀行である。

だが銀行はもともとお金を持っていない。お金を預かっているに過ぎない。銀行は預かったお金で国債を買っている。ではそれは誰のお金か? 預金者である。

麻生太郎氏も言っていたではないか。借金をしているのは政府であって国民ではないと。

だから国債価格が下がって困るのは政府ではない。国民の方である。

国債価格が下落しない代わりに

預金者は銀行を通して大量の国債を保有している。だからダリオ氏は次のように言っている。

通貨が富の貯蓄手段だと言うとき、実際にはそれは債務が富の貯蓄手段だということを意味している。

そしてそこに大きなリスクがある。

だが実際には、先進国で国債価格が大幅に下落する可能性は低い。多くの人は漠然とそう思っているだろうし、それは正しい。

しかし国債の需給問題は事実として存在する。では政府はこの問題をどうするのだろうか?

ここで登場するのが日本である。国債価格を下落させられないなら、量的緩和で日銀に国債を買わせたり、低金利を維持させて債務負担を減らすしかない。

ダリオ氏は次のように述べている。

日本は非常に良い例だ。

日本が過去15年ほど行なってきたことは、平均してアメリカよりも3%低い金利を維持することである。そして自国通貨の価値を年率4%下落させている。だから日本人は年間7%を失っている。

誰も気付いていないが、低金利政策で得をするのは金利を払う側である政府であり、損をするのは金利をもらう側である国民である。

更に2022年まで誰も気付いていなかったが、政府のインフレ政策もまた、債務(イコール日本円)の実質的な価値を下落させ、日本円の保有者の犠牲によって債務者である政府の借金を実質的に帳消しにする政策である。

数年前まで誰も知らなかっただろうが、インフレとは物価上昇という意味なのである。インフレ政策を支持していた人にとっては何という驚きだろうか。その結末は名前に書いてある。

ダリオ氏は次のように言う。

インフレは通貨の保有者から少しずつ資金を奪う。人々は名目の金額で物事を考えすぎだ。インフレを差し引いた実質ではお金のことを考えない。

マネタイゼーションのために債務の保有者を犠牲にしているのだ。

結論

更に日本人にとって物悲しいのは、ダリオ氏が次のように述べていることである。

同じことがわれわれアメリカ人にも起きる可能性がある。

お分かりだろうか。ダリオ氏にとっては日本人の資産減少は既に起きた話なのである。アベノミクス以来、日本円の価値は半分になっている。

減価された日本円で計算した日本のGDPが上がって喜んでいるような国民が気付けるわけのない話なのだが、減価した通貨で計算したGDPや株価が上がるのは当たり前の話である。それはGDPや株価が上がったのではなく、円が下がったのである。

恐らく日本人はこのまま自分が資産を失っていることにさえ気づかずに、日本政府によるマネタイゼーション完了を見届けるのだろう。まさにダリオ氏が『世界秩序の変化に対処するための原則』で予言した、衰退してゆく先進国の典型的なシナリオである。

すべてはこれまで数十年の選挙の結果である。日本国民が自分で望んだ ことなのだから、他人がどうこう言えることではないのである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57066
9:777 :

2024/12/16 (Mon) 03:11:41

トランプ政権の政策は1930年代に右派が取った政策に似ている。保護主義と関税の大幅な引き上げだ。
1930年代というのは第2次世界大戦前夜である。
ダリオ氏が、覇権国家の債務問題は世界的な戦争に繋がると著書で主張していることを考えれば、この発言は不気味である。
ラッセル・ネイピア氏は原油の禁輸が戦前の日本に戦争拡大への動機を与えたことを指摘していた。



レイ・ダリオ氏: 政府が紙幣印刷を濫用しないと信じるのは賢明ではない
2024年12月14日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57258

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がThe National Newsのインタビューで、アメリカの債務問題について語っている。

アメリカの債務問題

年末に差し掛かり、アメリカの債務問題が著名投資家の話題の的になっている。アメリカでは金利上昇によって国債の利払いが急増しており、米国政府はそれを国債の発行によって支払っているからである。

つまりアメリカは借金を払うために借金を増やし、その新たな借金に4%程度の金利が付くことになる。

自転車操業である。だが問題はそれだけに留まらない。ダリオ氏は次のように述べている。

債務が急速に増加するとき、政府は国債を売らなければならない。それはつまり、誰かが国債を買わなければならないことを意味する。

金利が4%だというのは、国債市場が現状のままであればという条件付きである。しかし国債の発行残高が増えてゆく、つまり国債市場の需給のうち供給が増えてゆくのに、需給の結果である価格がそのままというわけにはいかない。

国債の金利(と価格)を維持するためには、供給が増える分国債の買い手も増えなければならないが、その買い手は何処から現れるのか。しかし実際にはドルや米国債から人は離れている。というか真っ先に逃げているのがファンドマネージャーたちである。

ドラッケンミラー氏が米国債空売り、アメリカのインフレは10%を超えて再燃する可能性
レイ・ダリオ氏: 米国債から投資家が逃げている
ダリオ氏は次のように続けている。



そのバランスが崩れるとき、中央銀行は紙幣を印刷する。

国債を下落させられないとき、中央銀行が紙幣を印刷して国債を買い支える。量的緩和である。

だが今はどの国も量的緩和ができない。インフレが再発しかねないからである。

トランプ新大統領はインフレを引き起こさずに景気刺激できない
国債暴落かインフレ再発か

だが量的緩和が出来ずに国債価格が下落するとき、困るのは誰か? ダリオ氏は次のように言う。

ある人の負債は別の人の資産だ。

麻生太郎氏も借金をしているのは政府であって国民ではないと言っていた。その通りである。国民は銀行を通して国債を資産として保有している。だから国債が暴落して危機に陥るのは政府ではなく国民である。

この問題に対する根本的な解決策は、政府が支出せず負債を増やさないことである。実際、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領はそれを実行してアルゼンチンのハイパーインフレを解決し、経済成長を実現した。

ミレイ大統領: 政府は国民への納税の強要によって成り立っている


政府債務の究極的な解決方法

だがアメリカに関してはダリオ氏は次のように言っている。

どちらの政党もこうしたバランスの崩壊に対処しようとしているようには見えない。

来年からはトランプ政権であり、財務長官に指名されたスコット・ベッセント氏は財政赤字を2%に下げるという目標を掲げているが、年金には触れないなど具体的な方法論は見えてこない。


ベッセント氏: 米国の債務問題にはアメリカの覇権がかかっている


赤字が削減されなければ、アメリカには方法は2つしかない。インフレか国債暴落である。

量的緩和によるインフレになれば、国民の預金は文字通りの紙切れになる。国債が暴落しても銀行が無一文になるので預金は返ってこないのだが。

いずれにしても、紙幣を持っているということは、政府がその価値を維持すると信仰することである。

ダリオ氏は現実主義のファンドマネージャーとして次のように言っている。

政府は信用できるか? 政府債務を軽減するために政府が紙幣印刷を利用しないと信じることは賢明ではない。

ダリオ氏は著書『世界秩序の変化に対処するための原則』で、歴史上債務問題に陥ったほぼすべての大国がインフレによる債務解決を選んだという事実を説明している。

だから賢明な人間は紙幣を捨てて別のものを富の貯蔵手段にしようとしている。例えばゴールドである。


ポール・チューダー・ジョーンズ氏がインフレ再燃予想、ゴールドとビットコインとNasdaqを推奨
ポールソン氏: 紙幣からの資金逃避で金価格の上昇は続く


ちなみに来年からのトランプ政権についてはダリオ氏は次のように言っている。

トランプ政権の政策は1930年代に右派が取った政策に似ている。保護主義と関税の大幅な引き上げだ。

1930年代というのは第2次世界大戦前夜である。

ダリオ氏が、覇権国家の債務問題は世界的な戦争に繋がると著書で主張していることを考えれば、この発言は不気味である。

ラッセル・ネイピア氏は原油の禁輸が戦前の日本に戦争拡大への動機を与えたことを指摘していた。

ネイピア氏: 欧米と中国の対立は第2次世界大戦前の欧米と日本に近い


ブロック経済が戦争に繋がるというのはまさにダリオ氏の『世界秩序の変化に対処するための原則』のシナリオである。果たしてどうなるだろうか。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57258



レイ・ダリオ著 「変わりゆく世界秩序」
Principles by Ray Dalio 2023/10/03
https://www.youtube.com/watch?v=y3oy8y0EljY

世界最大のヘッジファンド: オランダ海洋帝国が繁栄した理由 2020年5月22日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10891

世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨 2020年5月23日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10903

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の繁栄と衰退 2020年5月25日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10922

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10953

世界最大のヘッジファンド: 豊かな国ほど借金まみれになる理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36175#more-36175

南海泡沫事件: バブル経済の語源となった近世イギリスの株式バブルを振り返る
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/3199




日本もアメリカも政府債務はインフレで 解決されるしかない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16875882

すべての紙幣の価値は最終的に ゼロに向かってゆく
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16856204
10:777 :

2024/12/29 (Sun) 05:00:20

ミレイ大統領、インフレ政策を永遠に続けるとどうなるかを語る
2024年12月28日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57641

アルゼンチンのハイパーインフレを打倒した大統領でオーストリア学派の経済学者でもあるハビエル・ミレイ氏が、レックス・フリードマン氏のインタビューで大統領就任時のアルゼンチン経済の状況について語っている。

アルゼンチンのハイパーインフレ

ミレイ氏はアルゼンチンのハイパーインフレを終わらせるべく当選したアルゼンチンの大統領である。

オーストリア学派の経済学者でもあるミレイ氏は、政治家の野放図な財政支出がインフレと政府債務の悪化をもたらしていると批判し、インフレ政策を停止してハイパーインフレを終わらせると公約した。

ミレイ氏は大統領に就任した2023年12月のアルゼンチン経済の状況を次のように振り返っている。

われわれが政権入りした12月の第1週には、インフレは1日で1%上昇しており、それはつまり年率に換算すると3,700%になる。そして12月の半ばには年率7,500%まで上がっていた。

去年の12月、卸売価格のインフレは1日に54%だった。それは年率では17,000%ということになる。しかもアルゼンチン経済はそれまで10年成長していなかった。1人当たりGDPはおよそ15%下落していた。そして人口のほぼ半分が貧困状態にあった。

自国通貨がまったく信用できない途方もない状況である。それはミレイ氏以前の政治家たちが自分と自分の票田を利するために財政支出を続けたことで起こった。

ミレイ氏は次のように述べている。

より細かい議論に入れば、財政赤字はGDPのおよそ15%に達していた。そのうち5%は政府のもので、10%は中央銀行のものだった。

15%の財政赤字と言えば、アメリカがコロナ禍に一度達した水準である。


ハイパーインフレは先進国には起きないか

こうした現象は小国だけのもので、アメリカや日本などの先進国には無縁の現象なのだろうか。しかし実際にアメリカは15%の財政赤字を経験し、コロナ後に物価が高騰している。

アメリカのインフレはその後一度収まった。だがそのレベルの財政赤字が一時的ではなく恒常的なものになれば、インフレも当然恒常的なものになるだろう。それで多くの機関投資家がアメリカの財政赤字を気にしているのである。

だからアルゼンチンのハイパーインフレは小国だけの現象ではない。それどころかアルゼンチンは元々先進国で、1人当たりGDPも日本より高かったのである。それが政治家による政府支出で途上国に転落した。

実際、日本経済はアルゼンチン化している。アベノミクス以来、日本円の価値はほぼ半分に下落している。自国通貨の価値が半分になったというのははっきり言って暴落である。

つまり輸入物価は当時の2倍になっているのだが、日本国民は気にしていない。では4倍になれば気にするのだろうか。輸入物価の上昇はいずれ国内物価のインフレに繋がってゆく。

税金として徴収され東京五輪や大阪万博などに使われる金が国民の手元に残っていれば、国民はもっと好きなものが買えただろう。

アルゼンチンへの道のりは長いというだけの話で、日本経済は事実としてその方向に向かっている。単に日本国民がいつ気づくかという問題でしかないのである。

インフレ政策の結末

国の借金が増えると、中央銀行が国債を買い支えなければならなくなる。量的緩和である。

しかし量的緩和は自国通貨の下落という結果をもたらす。それで日本はここ数年、為替介入で円の価値を維持するということを繰り返している。

経済学者のラリー・サマーズ氏は、量的緩和で円を下落させながら為替介入で円を買い支えようとする日本政府を「1人綱引き」と皮肉っていた。

サマーズ氏: 日本政府はドル円で1人綱引きをしている (2022/10/10)
だが為替介入は保有する外貨を売り払って自国通貨を買い支えることである。だから外貨準備がどんどんなくなってゆく。

日本も外貨準備を削りながら為替介入を行なっている。その先には何があるか。ミレイ氏は自国通貨の買い支えを繰り返したアルゼンチン経済の末路を語っている。

中央銀行の外貨準備はマイナスで、その金額は120億ドルだった。

中央銀行は利払いのある借金を抱えていて、1日にマネタリーベースの4倍の債務が満期を迎えていた。それはつまり、1日でマネタリーベースを5倍にしなければならなかったという意味だ。

単純だ。為替介入をすれば外貨がなくなる。それを繰り返せば外貨準備はマイナスになる。日本は着実にアルゼンチンに向かっているが、一部の日本人は「為替介入はドルを利確しただけだ」などと喜んでいる。

ドルが80円の時にドルを買い入れて、自分で量的緩和をしてドル円が160円になったから喜んでいるのである。馬鹿ではないのか。それはドルの価値が上がったのではなく、円の価値が下がっただけである。日本政府の手元に残ったのは価値の変わっていないドルではなく、自分で刷った円だけである。本当に馬鹿ではないのか。

結論

だから日本経済は着実にアルゼンチンに向かっている。レイ・ダリオ氏が『世界秩序の変化に対処するための原則』で説明したように、国家が経済成長から政府債務の増加の段階に移り、最終的にはインフレと自国通貨の下落によって衰退してゆくというのが国の一生なのである。

アルゼンチンが特異だったのは、普通は200年ほどかかるその国家の一生を50年の間に経験したということだけだ。速度が違うだけであって本質は変わらない。

それでアルゼンチンはインフレ政策の終着点、つまりハイパーインフレまで早々と行ってしまったので、ようやくミレイ氏のようなまともな経済学者を大統領に選ぶことが出来たのである。アルゼンチン国民も流石にインフレ政策に懲りたというわけだ。

ミレイ氏は次のように言っている。

だから財政赤字を何としても終わらせなければならなかった。

そしてミレイ氏はそれを1年で実現してしまった。ミレイ氏はアメリカにも同じことをやれと言っている。

ミレイ 大統領: トランプ政権は限界まで政府支出を削れ


トランプ政権はそれを実現できるだろうか。2025年が楽しみである。そして日本人はいつ気づくのだろうか。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57641
11:777 :

2024/12/31 (Tue) 06:09:26

ミレイ大統領: 政府が紙幣印刷で価値を薄める通貨は他のまともな通貨との競争に晒されるべき
2024年12月30日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57736

引き続き、ハイパーインフレを打倒したアルゼンチンの大統領でオーストリア学派の経済学者であるハビエル・ミレイ氏の、レックス・フリードマン氏によるインタビューである。

ハイパーインフレを終わらせた大統領

ミレイ大統領はアルゼンチンのハイパーインフレを終わらせた大統領である。政治家による無駄な支出は容赦なく削減され、GDPの15%あった財政赤字はゼロになった。しかもアルゼンチンの2025年の経済成長率は5%と見積もられている。

だがミレイ氏の功績はインフレと財政赤字をなくしたことだけではない。政治家が自分と自分の票田のために財政支出を行う政策、すなわちインフレ政策の結果は、日本人も知っての通りインフレと財政赤字だけではないからである。

インフレ政策のもう1つの大きな結果は通貨安である。

日銀の植田総裁が円安を止められない理由
アルゼンチンペソ

前回の記事でミレイ氏はこう言っていた。

ミレイ大統領、政府支出を削減してハイパーインフレを打倒した方法を語る
財政の均衡を達成し、支出のために紙幣印刷をしなくても良い状態になると、債務の利払いなども払えるようになり、そうすると国債市場が再び機能し始めた。

財政がまともになると国債市場に投資家が戻ってくるようになり、高騰していた国債の金利が下がり始める。

そうすれば政府の利払い負担も減り、財政が更に改善するという好循環が始まる。

だが投資家が戻ってきたのはアルゼンチンの国債市場だけではない。為替市場も同じなのである。

ハイパーインフレの結果、当たり前だがアルゼンチンの通貨であるペソは暴落した。日本とまったく同じように、中央銀行による紙幣印刷が自国通貨安を引き起こしたのである。

ネイピア氏: 日本の政府債務は円安で解決される、円を空売りして日本株を買え
だが2024年のペソのパフォーマンスはどうか。高金利通貨のパフォーマンスは多少ややこしい。何故ならば、新興国の為替市場に慣れている人ならば分かると思うが、数十パーセントの金利を持つ通貨は、他の通貨に対してその分だけ為替レートが下落するのが普通だからである。20%の金利があれば、為替レートが20%下落してようやく他の通貨とイーブンなのである。

さて、アルゼンチン・ペソは米ドルに対し、2024年の年始からおよそ21%下落した。

だがペソの金利はハイパーインフレの改善とともに下落してきたとはいえ、2024年の間は126%から32%の間で推移している(書き間違えではなく、それが2024年のペソの金利である)。

だから、2024年にドルを持っていた人とペソを持っていた人を比べれば、為替レートの下落分を補って余りあるペソの金利によって、ペソの保有者の方が大幅に得をしているのである。

ミレイ氏の為替政策

ペソの下落は高金利による当然の下落分を下回っているので、つまり2024年のペソ相場は強かったのである。ミレイ大統領がいなければジンバブエドルに並ぶ紙切れになりかかってたアルゼンチンペソに、投資家の資金が戻ってきている。

だがミレイ氏は、2023年の選挙戦では紙切れになりかかっていたペソに代わってドルをアルゼンチンの公定通貨にすると主張して話題になった。

ミレイ氏は今ではペソについてどう考えているのか。ミレイ氏は次のように述べている。

わたしの発言を再検証してもらえば分かるが、わたしは通貨同士の競争の話をしたのであって、ドルを公定通貨にしなければならないと言ったわけではない。

わたしの論点は通貨同士の競争と中央銀行の廃止だ。

繰り返すが、ミレイ氏はオーストリア学派の経済学者である。そしてオーストリア学派の経済学の一番有名な特徴は、中央銀行による通貨発行権の独占を批判していることである。

例えばコロナ後の物価高騰を引き起こした直接の原因は、現金給付である。だがジョン・ポールソン氏が言うように、中央銀行による紙幣印刷、つまり量的緩和がなければ、無一文の先進国政府には現金給付は出来なかった。

ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした (2023/2/24)
だから現金給付のようなインフレ政策の根本原因は中央銀行とその紙幣印刷なのである。

オーストリア学派と通貨発行権

だからミレイ氏を含むオーストリア学派の経済学者は、通貨の発行を政府と中央銀行が独占している状態を批判する。それこそがインフレの根源だからである。

しかし、例えば17世紀にヨーロッパで中央銀行という概念が誕生する前の世界でそうだったように、民間のあらゆる銀行が自分自身の通貨を発行するようになればどうか。

ある銀行の通貨は紙幣印刷によって価値が毎年下落しており、別の銀行の通貨は発行量の厳格な管理によって価値が安定しているとする。人々はどちらの通貨で貯金をしたいと思うだろうか?

ミレイ氏を含むオーストリア学派の経済学者が主張するのは、政府の発行する通貨も経済内に流通するあらゆる商品と同じように競争にさらすべきだということなのである。

そうすれば、中央銀行が政治家の都合で紙幣印刷を行い、国民は全員その通貨を持っているので国民全体が犠牲になるということもなくなる。中央銀行は数ある銀行の1つに過ぎなくなる。

オーストリア学派の代表的な経済学者であるフリードリヒ・フォン・ハイエク氏は、『貨幣発行自由化論』で次のように書いている。

通貨の発行者同士が競争しなければならない場合、発行者にとって自分の通貨の減価は自殺行為になるだろう。人々がその通貨を使いたいと思っていた理由そのものを破壊してしまうからである。

アルゼンチンと通貨の競争

ミレイ氏も、ハイエク氏らの議論を継承しているようである。ミレイ氏は次のように言っている。

現在、アルゼンチンには通貨同士の競争がある。現在のアルゼンチンではどんな通貨でも決済できる。

それは単に法的に許されているという話ではない。アルゼンチンではミレイ氏の主導により、大手銀行がペソでもドルでも決済できるデビットカードが発行しようとしている。

だから国民はペソとドルを両方自由に使うことができる。ミレイ氏は、政府の発行する通貨を別の通貨との競争にさらすというオーストリア学派の理念を1つ実現しようとしているわけである。

ミレイ氏は次のように言っている。

国民が最終的にドルを選んだとすれば、それはそれで彼らの選択だ。

だがミレイ氏は国民にドルの使用を強制しているわけではない。国民がどちらでも好きな方を選べる環境を作っているだけだ。

ただ一方で、ミレイ氏の最終的な目標は中央銀行の廃止らしい。政府支出を増やすために自由に紙幣を印刷したいという願望がない政治家にとっては、中央銀行は別に利益のない組織だからである。

政治家が中央銀行の通貨発行独占を擁護するのは、自分の意志で紙幣を印刷し、国民の持っている通貨の価値を薄めたいからである。

そういう願望のないオーストリア学派の経済学者には、中央銀行は無用の長物である。

ハイエク氏: 通貨を政府 がコントロールしなければならないというのは根拠のない幻想

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57736
12:777 :

2025/01/16 (Thu) 01:56:18

レイ・ダリオ _ 基軸通貨を持つ世界一の大国でも 政府債務増加で破綻する
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16887650



日本もアメリカも政府債務はインフレで解決されるしかない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16875882

すべての紙幣の価値は最終的にゼロに向かってゆく
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16856204

ビットコイン相場が上がっている原因は中央銀行が紙幣を増やし続けている事
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16887076

40年続いた米国株強気相場が崩壊する、米国株は30年上がらない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14007513

ついに始まる世界金融恐慌
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14009793

金子勝 _ 保守・右翼の経済評論家は経済が全く わかっていない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16886615

トランプの真の敵/ディープ・ステートとは何か?
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16878485
13:777 :

2025/01/16 (Thu) 12:44:43

ドル崩壊? アメリカで起こる金融革命【アンダーワールド in Radio】
堤未果 / 月刊アンダーワールド / 公式チャンネル 2025/01/16
https://www.youtube.com/watch?v=ysUYjpJFeGc
14:777 :

2025/02/06 (Thu) 02:35:41

植草一秀の『知られざる真実』2025年2月 5日 (水)
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2025/02/post-cfdc87.html

インフレを渇望する財務省
2月4日の衆議院予算委員会で石破茂首相と植田和男日銀総裁の答弁に齟齬が生じた。

立憲民主党の米山隆一議員が質問。

現在の日本経済はインフレであるのかデフレであるのか。

植田日銀総裁は

「現在はデフレでなくインフレの状態にあるという認識に変わりはない」

と答弁。

これに対して石破首相は

「日本経済はデフレの状況にはない。

しかしながらデフレは脱却できていない。

いまをインフレと決めつけることはしない」

と答弁した。

日本の消費者物価指数上昇率推移は以下の通り(前年同月比:%)。


       総合  エネルギー&生鮮食品を除く 生鮮食品

2022年  2.5       1.1      8.1

2023年  3.2       4.0      7.4

2024年  2.7       2.4      7.0



生鮮食品は2021年から24年の3年間で24.2%上昇した。

23年のエネルギーと生鮮食品を除く総合は4.0%上昇した。

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この状況を見て

「デフレから脱却できていない」

「インフレと決めつけない」

と発言するのは異常。

石破首相は経済金融に疎いようだ。

自分の言葉で話していない。

背後で操っているのは財務省だと思われる。

2023年の「生鮮食品とエネルギーを除く総合」上昇率は4.0%。

中央銀行が最も重視するべきインフレ指標は「生鮮食品とエネルギーを除く総合」。

これが年平均で4.0%上昇。

月次では4.3%まで上昇した。

これをインフレと呼ばずに何と呼ぶのか。

日銀の責務は物価安定。

物価安定が損なわれれば、物価安定を実現するために行動しなければならない。

黒田東彦氏はインフレが進行しているのにインフレ推進を維持し続けた。

日銀総裁が植田和男氏に交代して、初めて政策修正が実行された。


誰がインフレ亢進を望んでいるのか。

答えは明白だ。

財務省である。

財務省にとってインフレは福音である。

インフレが進行すると政府債務の実質残高が減少する。

税収70兆円、政府債務1000兆円の仮定を置く。

債務は税収年額の14年分。

物価が10倍になるインフレが生じたとする。

税収は700兆円に膨張する。

すると政府債務は税収年額の1.4年分になる。

借金がほぼ消滅する。

インフレ進行で国税収入は実際に急増した。

2020年度の一般会計国税収入は60.8兆円だった。

23年度の一般会計国税収入は72.1兆円に膨張。

3年で11.3兆円の税収増が発生した。



財務省がインフレ誘導政策を主導している。

このからくりを石破首相が認識していない。

石破首相は財務省の悪行を見抜く補佐官に持つ必要がある。
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2025/02/post-cfdc87.html
15:777 :

2025/02/22 (Sat) 10:02:58

レイ・ダリオ氏: インフレと通貨安で最後まで紙幣を持っている人々が大損する
2025年2月20日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/60143

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が自身のブログで新著『国家はどのようにして一文無しになるのか?』(仮訳)の内容を紹介している。

今回は、政府債務の増加がインフレと通貨安に繋がった場合について語っている部分を紹介したい。

国家の衰退

ダリオ氏の新著は、繁栄した国家がインフレと債務増加で衰退してゆくまでのプロセスのうち、衰退の部分にフォーカスしたものである。

国家の繁栄から衰退までのサイクル全体については、前著『世界秩序の変化に対処するための原則』で解説されている。

前回の記事では、ダリオ氏は先進国の肥大化した債務がインフレや通貨安を引き起こし、中央銀行はそれを止めようとするが為替介入などは長期的な効果はなくやがて諦めると説明していた。

レイ・ダリオ氏: 通貨暴落を止めようとする中央銀行はやがて諦める


ダリオ氏のこの議論は未来の予想ではない。アメリカの前に覇権国家だった大英帝国やオランダ海上帝国などを含む歴史上の国家の衰退を実際に研究し、ほとんどのケースでそのシナリオを避けられないという歴史的事実を単に述べたものである。

だが現代のアメリカや日本だけがその運命を逃れられるという論拠が何か無い限り、日本やアメリカもおおむねその方向に進んでゆくと考えるのが論理的だろう。

通貨暴落のその後

通貨の暴落が止められないという状況は、アベノミクス以来日本円の価値がドルに対してほぼ半分になった日本の状況そのものである。だから予想どころか、それは既に起きている。

植田日銀総裁が長期的にはそれを止められないだろうというのも、恐らくその通りになるだろう。植田氏本人も恐らく分かっているはずだ。

さて、ダリオ氏が続いて説明するのは、中央銀行が通貨の防衛を諦めた後の話である。国債の発行が増加し、国債の価格が下落するが、中央銀行が紙幣印刷で国債買い入れを行えば急激なインフレになる。

中央銀行が通貨の下落を諦めた時点で通貨は大幅に下落しており、国民は輸入物価の高騰に苦しんでいるだろう(日本は既にそうなりつつあるが)。

だが国民の受難はそれだけではない。ダリオ氏は次のおように述べている。

この時点では、政府は資金繰りに困窮しており、多くの場合では資金を賄うために増税を行おうとする。

このような状況下で行われる増税とは、例えば資産税である。第2次世界大戦後の日本では日本国民の資産全体に対する課税が行われ、国民は資産の大半を政府に吸い上げられた。

それは戦争が原因だったわけではない。戦争によって生じた債務が原因だったのである。そして今の債務も結局はインフレか不況か増税で解決されるしかない。

資金の国外流出

この状況下では、政府も必死だが国民も必死である。ダリオ氏は次のように続けている。

個人や企業は増税の見込みが大きくなっていることを察知し、ますます資金を海外へ逃がそうとする。

だから政府は資本統制を実行し、資金流出を止めようとするが、その国や通貨から逃げようとする経済的圧力はあまりに大きく、政府はそれを止めることができない。

増税は資本統制と同時に実行されることが多い。資金の海外流出を止めるためである。

ここまで来れば政府と国民の本物の戦争である。元々政府がやってきた紙幣印刷や公共事業はそもそもそういうものだったのだが、インフレもそうだが、そういう政策の当然の結果が生じた後に国民は怒り出す。だが生じた後ではすべてが遅いのである。

ミレイ大統領: 政府は国民への納税の強要によって成り立っている


結論

ダリオ氏は、日本やアメリカの債務の状況が歴史上何度も起きてきた上記のシナリオに繋がる可能性が高いと考えているらしい。だから以下の記事のような議論もしている。

レイ・ダリオ氏: 政府による資産没収に備えてゴールドなど没収されにくい資産に投資せよ
20世紀の大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏が『貨幣発行自由化論』で次のように述べていたことを思い出したい。

ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である


一般的な理解が不足しているために、紙幣発行の独占者による 過剰発行という犯罪はいまだ許容されているだけではなく称賛さえされている。

インフレで預金の価値が無になった後に更に資産没収されるとすれば、散々ではないか。だがそんなことは歴史上何度も起きている。それがこれまでのインフレ政策の当然の結末なのである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/60143
16:777 :

2025/02/22 (Sat) 10:15:58

ガンドラック氏: アメリカの債務危機、次の景気後退で米国債はデフォルトする可能性
2025年2月21日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/60192

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏がトニー・ロビンズ氏のインタビューで、2025年のアメリカの債務危機と実体経済の関係について語っている。

高金利の時代

世界経済にとって、コロナ前とコロナ後の大きな違いは金利である。コロナ前まではインフレ政策による低金利の時代だったが、コロナ後はインフレで高金利の時代になった。

ガンドラック氏は次のように述べている。

あなたのこれまでの常識は金利が低下している環境下でのみ起こったことだ。だから金利が上がり始めると、状況は完全に変わる。そしてそれが始まっている。2022年から金利は上がり始めているからだ。

そして金利はもう二度と2016年から2020年までの水準にはもう戻らないだろう。

Bridgewaterのレイ・ダリオ氏は、金利は金融市場全体の屋台骨だと言っていた。だから金利のトレンドの変化は、金融市場全体に大きな影響を及ぼす。

例えばコロナ前の金利低下は米国株の何十年もの上昇トレンドを支えてきたのだから、それが逆転すれば株価はどうなるのかということである。

レイ・ダリオ氏、2025年の株価大暴落を予想か


米国債の利払いの問題

だが金利の一番大きな影響は株価に関するものではない。それでさえも一番重要なことに比べれば些事である。

ガンドラック氏は次のように言っている。

経済が減速するとき、米国債の利払いが危機的状況になるだろう。米国債の利払いはたった3年前と比べて大きく上がっている。3年前には米国債の利払いは年間3,000億ドルだった。今では1.4兆ドルだ。

そしてその金額は、GDP比では4%に達しようとしている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2025/02/2024-4q-us-federal-government-interest-payments-to-gdp-chart.png


ちなみにアメリカの財政赤字はGDPの7%程度である。つまり、財政赤字の半分以上がもはや借金の利払いなのである。

アメリカの債務危機

政治家がインフレ政策によって増やし続けてきた政府債務は、低金利政策が続けられる限り何の害もないように見えたが、彼らが見逃していたのは低金利政策はいずれインフレを引き起こすということである。

ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした


そして金利が上がって借金の利払いを新たな借金によって支払うようになる。だがそれが更なる利払いを生む。

ちなみにガンドラック氏は、状況がここから更に悪くなると予想している。金利が低かった頃に発行された米国債に期限が来ると、米国政府は今の高金利で借り換えを行わなければならないからである。

ガンドラック氏は次のように述べている。

金利が1%だった大量の米国債に期限が来て、4.5%の新たな米国債に借り換えられようとしている。

このままでは税収のすべてが利払いで消えることになる。

コロナ前のデフレの時代ならば、中央銀行が紙幣を印刷して国債を買い入れれば良かったかもしれない。

だがインフレが起こってしまった今では、紙幣印刷をすればインフレが悪化する。何人かのファンドマネージャーはそれを懸念している。

ポール・チューダー・ジョーンズ氏がインフレ再燃予想、ゴールドとビットコインとNasdaqを推奨
ドラッケンミラー氏: 米国の金利が7%まで上がる可能性


だから中央銀行がアメリカの債務危機を解決することは出来ないのである。

レイ・ダリオ氏: 中央銀行はいずれ緩和能力を失う



結論

アメリカの債務危機と書いたが、それは言いすぎだ、誰もそこまで騒いでないではないかという読者もあるかもしれない。

しかしガンドラック氏は次のように言っている。

何兆ドルものこうした米国債に期限が来るとき、アメリカ国民は議論を避けられない。現状の税制と債務状況が両立できなくなるからだ。

ガンドラック氏はこれから人々が騒ぐと言っている。インフレもそうだった。筆者が最初に物価高騰の可能性を警告したのは2020年である。

金融市場にインフレの兆し: 金、原油、穀物価格が高騰 (2020/10/14)


だが人々がインフレを騒ぎ始めたのは2022年になってからだった。

今回も同じである。多少のラグがあるだけだ。だが安心してほしい。すぐに人々も騒ぐようになる。

特に、アメリカが次に景気後退に入る時、状況は酷くなる。

ガンドラック氏は次のように述べている。

歴史的には、景気後退時には財政赤字はGDPの4%ほど増加する。直近3回の景気後退ではコロナ禍のために9%の増加が平均だ。

次の景気後退では仮にその間の6%ほどの増加になるとしよう。財政赤字はGDPの12%か13%になる。これは危機的だ。不可能だ。

だからガンドラック氏は、米国政府が結局借金を払いきれない可能性を指摘している。ガンドラック氏は次のように言っている。

利払いに対応するために米国債が再編されることも有り得るだろう。

アメリカの財政が債務とインフレで破綻に向かってゆくこのシナリオは、ダリオ氏が著書『世界秩序の変化に対処するための原則』で詳しく予想しているシナリオである。

驚くべきことに、ダリオ氏はこの本をコロナ後、インフレになる前に 書き始めた。各国政府が現金給付を行なった時点でそこまでのシナリオを見通していたのである。

ここまではきっちりダリオ氏のシナリオ通りに来ている。これからもそうなるのだろうか。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/60192
17:777 :

2025/02/23 (Sun) 14:42:18

ガンドラック氏: 米国は5年以内にデフォルトの危機に陥り、年金は削減される
2025年2月22日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/60246

引き続き、DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏のトニー・ロビンズ氏によるインタビューである。

今回はアメリカの債務問題がどのように解決されるかについて語っている部分を紹介したい。

政府効率化省

アメリカの債務問題は、ここの読者には周知の事実である。コロナ後の金利上昇によって大量の米国債に多額の利払いが発生しているが、米国政府はそれを新たな借金によって賄っている。

レイ・ダリオ氏: インフレと通貨安のリスクを考えれば政府がデフォルトするかどうかは問題ではない
トランプ政権は一応この問題を認識しており、財務長官に任命された元Soros Fund Managementのスコット・ベッセント氏は、財政赤字をGDPの3%まで下げることを目標としている。

ベッセント氏: 米国の債務問題にはアメリカの覇権がかかっている
実際に赤字を削減しようとしているのは、イーロン・マスク氏の率いるDOGE(政府効率化省)である。

DOGEは就任早々からSDGs系の補助金を凍結したり、政府職員を大量解雇したりして支出を減らそうとしている。

だがガンドラック氏はDOGEについて次のように述べている。

DOGEは、ある程度の赤字を減らせるかもしれないが、十分な金額になるとは思えない。米国債が再編される可能性のほうが高いと思う。

財政赤字の一番の問題

再編とは借金が払えないので債務を一部帳消しにしてもらおうということであり、つまりほとんどデフォルトである。前回の記事でガンドラック氏はアメリカは近い内にそこまで行くと予想していた。

ガンドラック氏: アメリカの債務危機、次の景気後退で米国債はデフォルトする可能性
なぜガンドラック氏はそう予想するのか。ガンドラック氏は次のように理由を述べている。

一番の問題は、借金以外の支払い義務が220兆ドルもあることだ。GDPの6.5倍ほどに相当する。

今の税制と債務状況でこれを支払うのは無理だ。

借金以外の支払い義務とは、例えば年金のことである。ガンドラック氏は次のように続けている。

一番単純な解決策はこれらの支払いを再編することだ。

つまりアメリカの年金もやはりデフォルトするらしい。

年金の再編方法

年金はどのように再編されるのか。ガンドラック氏の注目するのは年金の支払い開始時期である。

ガンドラック氏は次のように説明する。

年金の支払い開始年齢が65歳に設定されたとき、平均寿命は65歳よりも低かった。

だが平均寿命はそれから80歳近くまで上がった。

平均寿命が63歳の時に支払い開始を65歳にしたのに、平均寿命が79歳の今、65歳から支払い開始にするのは理屈に合わない。

だからこの解決策が可能になるように動き始めるべきだ。

つまりガンドラック氏は年金の支払い開始年齢を大幅に遅らせるべきだと考えているのである。

結論

スタンレー・ドラッケンミラー氏もそうだが、高齢者に分類されるヘッジファンドマネージャーは政治的に高齢者に厳しい傾向がある。ドラッケンミラー氏も若者から老人に資金を移転する年金という制度を批判していた。

ドラッケンミラー氏、高齢者が若者から搾取する税制を痛烈批判
自分が若者から搾取することなど考えられないのだろう。

トランプ政権は今のところ、年金に手を付けないと表明している。だがガンドラック氏によれば、アメリカの財政はそんな贅沢を言っていられないところまで行く。

そのタイムスパンはどれくらいだろうか。ガンドラック氏は次のように予想している。

3年から5年だろうとは思う。5年も現状を維持できる可能性は低いが。

そうして国家の財政は徐々に窮地に陥り、老人と若者、政府と国民はどんどん相争うようになってゆく。

それはレイ・ダリオ氏が 『世界秩序の変化に対処するための原則』で予想したディストピアである。だがそれは急速に現実に近づいている。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/60246

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