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栗原康『アナキズム』『ナイチンゲールから“近代的個人を超える人”を考える』

1:777 :

2024/10/21 (Mon) 05:30:49

ゲスト:栗原康氏  テーマ:アナキズム!(2023年9月12日放送)ゲスト:栗原康、出演:島田雅彦・白井聡、司会:ジョー横溝
エアレボリューション
https://www.youtube.com/watch?v=XqJC9Y-t_6k

アナキスト・大杉栄と伊藤野枝らが殺害された<甘粕事件>から来る9月16日で100年が経つ。

大杉栄、伊藤野枝の生きざま、思想に触れながら<アナキズム>について徹底的に語り合う。
けれど…そもそも今、アナキズムについて語り合う意味ってあるだろうか?

8月末百貨店大手「そごう・西武」のストライキが話題になったが、実はストライキは大杉栄が推奨していた社会運動だ。
そんな大げさな話じゃなくても、わたしたちは今、社会や会社の作った価値観・規範に沿うように自分を殺して生きている。
もっとわがままに精神を爆発させることが大杉栄にとってのアナキズムの神髄であり、こうしたアティチュードは現代の社会に欠けるエネルギーにも思えるし、権力に抗い波乱万丈な人生を送りながら生きたいように生きた伊藤野枝の「あなたは一国の為政者でも私よりは弱い」という言葉も今こそとても重く響くのではないだろうか?

ゲストは政治学者でアナキズム研究の第一人者にしてアナキズムを実践する栗原康さん。
栗原康×島田雅彦×白井聡というアナキズムを地で行く(?)3人が、アナキズムの歴史から、現代での有効性まで熱く語ってくれる。


■参考テキスト

 ①栗原康著『大杉栄伝 永遠のアナキズム』(角川文庫)
https://www.amazon.co.jp/%E5%A4%A7%E6%9D%89%E6%A0%84%E4%BC%9D-%E6%B0%B8%E9%81%A0%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%8A%E3%82%AD%E3%82%BA%E3%83%A0-%E8%A7%92%E5%B7%9D%E3%82%BD%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%A2%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%A0%97%E5%8E%9F-%E5%BA%B7/dp/4044003351

 ②栗原康著『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』(岩波現代文庫)
https://www.amazon.co.jp/%E6%9D%91%E3%81%AB%E7%81%AB%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%91%EF%BC%8C%E7%99%BD%E7%97%B4%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8C-%E4%BC%8A%E8%97%A4%E9%87%8E%E6%9E%9D%E4%BC%9D-%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%A0%97%E5%8E%9F-%E5%BA%B7/dp/4006023162

 ③栗原康『アナキズム』(岩波新書)
https://www.amazon.co.jp/-/en/%E6%A0%97%E5%8E%9F-%E5%BA%B7/dp/4004317452


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栗原康氏出演!『ナイチンゲールから“近代的個人を超える人”を考える!?』
エアレボリューション
https://www.youtube.com/watch?v=TqhESn8ZWYo

ゲストはアナキズム研究家の栗原康氏。

伊藤野枝、大杉栄と、アナキストたちの評伝を書いてきた栗原氏が、新刊の主人公に選んだのはナイチンゲール!
“ランプを持った天使”“戦場の天使”の異名を持つナイチンゲール、その名前ぐらいみな知っていると思いますし、子どものころに偉人伝で彼女の業績を知っている人も多いかと。
ところが、栗原氏の新刊『超人ナイチンゲール』を読んでビックリ!
ナイチンゲール…想像を超える人でまさに超人!
看護のために理由は不要と、あらゆる枠を飛び越え、奇跡を起こしまくります。
そんなナイチンゲールの偉業・奇跡を通して、“近代的個人を超える人”について考えちゃいます!!

以下、栗原氏の近著『超人ナイチンゲール』から。
『それは聖女でもなく合理主義者でもなく、「近代的個人」の設定をやすやすと超える人だった。
「永遠の今」を生きる人だった。救うものが救われて、救われたものが救ってゆく。そんな新しい生の形式を日常生活につくりだせ。ケアの炎をまき散らせ。看護は集団的な生の表現だ。そう、看護は魂にふれる革命なのだ!』

ナイチンゲールが起こした奇跡は・・・
●平等なケア
●枠を超えた行動
●女性解放
●革命
●etc・・・

ん?
これって今の日本に足りないものばかり。
どうやら、ナイチンゲールから学ぶべきことがたくさんありそうです。
さらに・・・息苦しさを感じて生きている方も必見です!?

ナイチンゲールの生きざまを通してアナキスト・栗原康節が炸裂します!




超人ナイチンゲール (シリーズ ケアをひらく)– 2023/11/20
栗原 康 (著)
https://www.amazon.co.jp/%E8%B6%85%E4%BA%BA%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%83%81%E3%83%B3%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%AB-%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA-%E3%82%B1%E3%82%A2%E3%82%92%E3%81%B2%E3%82%89%E3%81%8F-%E6%A0%97%E5%8E%9F-%E5%BA%B7/dp/4260054422

★★誰も知らなかったナイチンゲールに、あなたは出会うだろう。★★

鬼才文人アナキストが、かつてないナイチンゲールを語り出した。
そのひとは聖女でもなく、合理主義者でもなく、
「近代的個人」の設定をやすやすと超える人だった。
「永遠の今」を生きる人だった。

救うものが救われて、救われたものが救ってゆく。
そんな新しい生の形式を、日常生活につくりだせ。
ケアの炎をまき散らせ。
看護は集団的な生の表現だ。
そう、看護は魂にふれる革命なのだ!


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栗原康 (政治学者) - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%97%E5%8E%9F%E5%BA%B7_(%E6%94%BF%E6%B2%BB%E5%AD%A6%E8%80%85)

栗原 康(くりはら やすし、1979年 - )は、日本の政治学者[1]。専門はアナキズム研究。著書に『大杉栄伝 永遠のアナキズム』や『学生に賃金を』などがある[2]。東北芸術工科大学非常勤講師を務める。

経歴
1979年、埼玉県に生まれる。高校時代は埼玉から千葉県市川市の市川高等学校[5]まで片道2時間半かけて通学していたが、満員電車で気分が悪くなって吐いてしまったところ、サラリーマンに背中をカバンで連打されたという経験がトラウマとなり、それからは満員電車を避け、途中駅の公園で読書をした。ある日公園で読んだ大杉栄の評論がきっかけでアナキズムを研究することになる。早稲田大学政治経済学部を卒業後、同大学院の政治学研究科の博士後期課程を満期退学。白井聡とは同じゼミであった[7]。

2014年、『大杉栄伝 永遠のアナキズム』で第5回いける本大賞を受賞する。2016年、6冊目の著書『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』が岩波書店より刊行された。2017年、池田晶子記念「わたくし、つまりNobody賞」を受賞。


著書
『G8サミット体制とはなにか』以文社、2008年6月。ISBN 978-4-7531-0262-4。
『増補 G8サミット体制とはなにか』以文社、2016年4月。ISBN 978-4-7531-0331-7。
『大杉栄伝 永遠のアナキズム』夜光社、2013年12月。ISBN 978-4-906944-03-3。
『大杉栄伝 永遠のアナキズム』KADOKAWA〈角川ソフィア文庫〉、2021年2月。ISBN 978-4-04-400335-7。
『学生に賃金を』新評論、2015年2月。ISBN 978-4-7948-0995-7。
『はたらかないで、たらふく食べたい 「生の負債」からの解放宣言』タバブックス、2015年4月。ISBN 978-4-907053-08-6。
『はたらかないで、たらふく食べたい 「生の負債」からの解放宣言 増補版』筑摩書房〈ちくま文庫〉、2021年2月。ISBN 978-4-480-43720-4。
『現代暴力論 「あばれる力」を取り戻す』KADOKAWA〈角川新書〉、2015年8月。ISBN 978-4-04-082034-7。
『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』岩波書店、2016年3月。ISBN 978-4-00-002231-6。
『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』岩波書店〈岩波現代文庫〉、2020年1月。ISBN 978-4-00-602316-4。
『死してなお踊れ 一遍上人伝』河出書房新社、2017年1月。ISBN 978-4-309-24791-5。
『死してなお踊れ 一遍上人伝』河出書房新社〈河出文庫〉、2019年6月。ISBN 978-4-309-41686-1。
『菊とギロチン やるならいましかねぇ、いつだっていましかねぇ』タバブックス、2018年7月。ISBN 978-4-907053-25-3。 瀬々敬久(原作)、相澤虎之助(原作)。
『何ものにも縛られないための政治学 権力の脱構成』KADOKAWA、2018年7月。ISBN 978-4-04-106125-1。
『無支配の哲学 権力の脱構成』角川新書、2024年8月。ISBN 978-4040825137。
『狂い咲け、フリーダム アナキズム・アンソロジー』筑摩書房〈ちくま文庫〉、2018年8月。ISBN 978-4-480-43535-4。
『文明の恐怖に直面したら読む本』Pヴァイン〈ele‐king books〉、2018年8月。ISBN 978-4-909483-04-1。 白石嘉治との共著。
『アナキズム 一丸となってバラバラに生きろ』岩波書店〈岩波新書 新赤版〉、2018年11月。ISBN 978-4-00-431745-6。
『平成遺産』淡交社、2019年2月。ISBN 978-4-473-04298-9。 川島小鳥、川添愛、栗原康、最果タヒ、武田砂鉄、田房永子、ブレイディみかこ、みうらじゅん(共著)
『執念深い貧乏性』文藝春秋、2019年4月。ISBN 978-4-16-390934-9。
『奨学金なんかこわくない!』新評論、2020年4月。ISBN 978-4-7948-1149-3。
『アナキスト本をよむ』新評論、2020年12月。ISBN 978-4-7948-1167-7。
『サボる哲学 労働の未来から逃散せよ』NHK出版新書、2021年7月。ISBN 978-4-14-088658-8。
『超人ナイチンゲール(シリーズ ケアをひらく)』医学書院、2023年11月。ISBN 978-4260054423。
『思想としてのアナキズム』以文社〈(長崎大学多文化社会学叢書4)〉、2024年3月。ISBN 978-4753103829。森元斎、森啓輔、清水知子、栗原康、髙橋采花、近藤和敬、中西淳貴、渡辺一樹、近藤宏、成瀬正憲、川上幸之介、東志保(共著)
『幸徳秋水伝: 無政府主義者宣言』夜光社、2024年9月。ISBN 978-4906944231。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%97%E5%8E%9F%E5%BA%B7_(%E6%94%BF%E6%B2%BB%E5%AD%A6%E8%80%85)
2:777 :

2024/10/21 (Mon) 05:47:34

アナーキストが誰にも相手にされない理由 _ 一般大衆は自由であるよりも支配されることを望んでいる
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/737.html
3:777 :

2024/10/21 (Mon) 08:16:30

【栗原康】「生の負債」からの解放 アナキズムで考える制度や奴隷根性、負債感からの解放と相互扶助
2023/04/17
https://www.youtube.com/watch?v=KEbfNTbxv5U

目的のために有用な生きかたをしなくてはならない、と思いがちな私たちですが、ともするとそれは負債感となり、「役に立つ人、使える人でいなければ」という発想になってしまいがちです。

しかし、そうだろうか? 働かざる者食うべからず、のほうがおかしいのではないか?、これだけ仕事がなくなっているのだから、みんなで助け合って働かないで食べていく道を探ったほうがいいのではないか? とアナキズム研究者の栗原康さんは著書『はたらかないで、たらふく食べたい』で疑問を呈しています。

使えるか使えないかの判断軸は、人間の人間による支配からきていると指摘する栗原さん。また、政府が必要だと考えてしまう背景には、社会契約論、そして個人主義があると言います。

そんなに強い個人かね?、政府の転覆などが叶わずとも相互扶助は今ここでできる! などの言葉を噛み締めたいアナキズム論です。 痛快で元気が出てくる下記書籍と併せてどうぞお楽しみください!

◆栗原康さん著『はたらかないで、たらふく食べたい 増補版 ――「生の負債」からの解放宣言 』(ちくま文庫)
https://amzn.asia/d/eRdoEgZ

◆栗原康さん著『サボる哲学 労働の未来から逃散せよ 』(NHK出版新書 658)
https://amzn.asia/d/f7VQIkE

◆栗原康さん著『大杉栄伝大杉栄伝 永遠のアナキズム 』(角川ソフィア文庫)
https://amzn.asia/d/4ykw0XF
4:777 :

2024/10/21 (Mon) 08:17:39

栗原康×鈴木邦男『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』【後半】
2016/04/16
https://www.youtube.com/watch?v=uKaLXyYpBk4

『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』
(岩波書店)刊行記念 トークセッション
≪思想に自由あれ 大杉栄・伊藤野枝と現代≫
5:777 :

2024/10/21 (Mon) 08:19:04

注目の人直撃インタビュー・栗原康(アナキズム研究者) 百年前の女性活動家(アナキスト)伊藤野枝の魅力を語る。
2023/10/30
https://www.youtube.com/watch?v=rae8bg15Tsg

今年は関東大震災から100年の節目だった。震災直後の混乱のさなか、憲兵隊に虐殺されたのが女性活動家・アナキストの伊藤野枝(享年28歳)だ。没後100年を迎えるにあたり、野枝を題材にした小説やドラマが作られるなど、近年、再評価の機運が高まっている。傑作選「伊藤野枝セレクション」(平凡社)を編集したアナキズム研究者に野枝の魅力を聞いた。
(聞き手=高月太樹)
6:777 :

2024/10/21 (Mon) 08:21:11

『週刊かんべぇ』vol.13 『サボる哲学』発売記念 アナキスト 栗原康、かんべぇを叱る!!
LIFE WITH MUSIC ライフウィズミュージック 2021/09/08
https://www.youtube.com/watch?v=DBMKCrbzkkQ
https://www.youtube.com/watch?v=mpvtqml6w_A

今回はアナキズム研究で活躍をされている政治学者 栗原康さんをゲストに
2021年7月21日に東京音楽大学池袋キャンパスで収録した、
これまでになかった『かんべぇ』をお届けします。
7:777 :

2024/10/21 (Mon) 10:48:09

ぼくらといっしょに機械を壊そう~栗原康『サボる哲学』刊行記念・アナキスト鼎談~
丸善ジュンク堂オンラインコンテンツ 2021/11/13
https://www.youtube.com/watch?v=sqLIF0yR6ys

2021年10月18日に実施されたオンラインイベント ぼくらといっしょに機械を壊そう~栗原康『サボる哲学』刊行記念・アナキスト鼎談~を特別公開!


<イベント内容>
我々はなぜ心身を消耗させながら、やりたくない仕事、クソどうでもいい仕事をして生きるためのカネを稼ぐのか。社会からはいつでも正しい身の処し方を求められ、もっと頑張れ努力しろの大号令。原発が爆発してもコロナが感染爆発しても、会社に行くことに慣れてしまった機械のようなこの身体。いまこそ闘うべきだ、逃げるために! 資本主義下の屈折しきった労働のあり方から、私たちはいかに体をずらして生きることができるのか。今年7月に刊行された新刊『サボる哲学』の著者・栗原康さんが、里山に移住し体を動かしながら日常のアナキズムを考える森元斎さん、歴史社会学の視座から文化抵抗と民衆の歴史を研究するマニュエル・ヤンさんの旧知の2人を迎え語ります。荘子からセックス・ピストルズ、海賊、子育て、ブラック・ライブズ・マターまで。何が飛び出すかは当日のお楽しみ。縦横無尽に思考の火花を散らす貴重な鼎談です。

<登壇者紹介>
栗原康……1979年埼玉県生まれ。政治学者・作家。東北芸術工科大学非常勤講師。専門はアナキズム研究。著書に『大杉栄 永遠のアナキズム』(角川ソフィア文庫)『はたらかないで、たらふく食べたい~「生の負債」からの解放宣言』(ちくま文庫)『村に火をつけ、白地になれ~伊藤野枝伝』(岩波現代文庫)『死してなお踊れ~一遍上人伝』(河出書房新社)『アナキズム~一丸となってバラバラに生きろ』(岩波新書)などがある。

マニュエル・ヤン……1974年ブラジル・サンパウロ州生まれ。日本女子大学人間社会科学部現代社会学科教員。専門は歴史社会学、民衆史。アメリカと環太平洋/大西洋の歴史を階級闘争の観点から研究している。著書に『沈黙のエチュード~歴史的想像力の再生のために』(新評論)、共著に『経済的徴兵制をぶっ潰せ!~戦争と学生』(岩波ブックレット)がある。

森元斎……1983年東京都生まれ。長崎大学大学院学域人文社会科学域(多文化社会学系)/多文化社会学部教員。専攻は哲学・思想史。ホワイトヘッド哲学を中心とした現代思想やアナキズム思想の研究を行っている。著書に『もう革命しかないもんね』(晶文社)『アナキズム入門』(ちくま新書)『国道3号線~抵抗の民衆史』(共和国)などがある。
8:777 :

2024/10/21 (Mon) 10:50:46

下層のアナキズム――「米騒動」と大杉栄
2015年12月10日
栗原康 (大学非常勤講師・アナキズム研究)
http://www.anerkhot.net/yama_jyoeii/?p=435

❖「誰からも支配されない」という思想

栗原康です。最初に簡単な自己紹介をします。

この 8 月と 9 月はなにもしなかったので無職だったんですけど、ふだんは大学で週 1 回非常勤講師 をやっています。それだけでは食べられないので、週に 2 回塾で先生もしています。それでもまだ食 べていけないのですが、幸いにも実家に住んでいて、父親の年金で暮らしているというのが実情です。 今、ぼくは 36 歳になるのですが、36 歳で早くも年金生活者というわけです(笑)。でも、ぼくみたい な人間が最近増えているみたいで、こういう講演を、ぼくと同じぐらいか、ちょっと年下の若い人た ちのまえで行うとき、「ぼくは年金生活者です」と自己紹介すると、「おれも、おれも」と声を上げる 人が 50 人中 10 人くらいいるんですね(笑)。それで、「あゝそれが一般化しているのかなあ…」とお もったりします。

まあ、ぼくの場合は、実家で親の年金で暮らしているので恵まれているのでしょうが、そういう援 護も受けられず、非正規労働やフリーターとして働いていてひどい状態で暮らしている若い人たちが 増えているんですね。そういう下層が拡がっているのです。

今日は機会をいただきましたので、「下層のアナキズム」というテーマで、大正時代のアナキスト・ 大杉栄の<暴動論>についてお話したいとおもいます。

まず、アナキズムとは、どんな思想かということですが、ぼく流の簡単な定義をすると、「誰からも 支配されない」そういう状態・社会を目指していこう、という思想です。もうすこしわかりやすい言 い方をすると、「やりたいことしかやりたくない」そういう思想と生き方です。

大杉栄という人は、まさにそういうアナキストだった。

ぼくは、実は趣味が詩吟なんですね。ちょっと自分自身のテンションをやわらげようとおもうとき、 詩吟をします。ぼくの好きな歌があるので、それをご紹介します。

〽身を捨つる捨つる心を捨てつれば 思いなき世に墨染の袖

今、吟じたのは鎌倉時代の捨聖(すてひじり)と尊称された一遍上人さんの歌です。「墨染めの袖」 というのは、僧衣の袖のことで、捨聖の心境を詠んだ歌です。

ぼく流に援用すると、墨染めというのは真っ黒のことで、黒という色は他の色に絶対に染まらない 色ですよね。黒はアナキズムの旗の色です。この黒という色には「誰にも支配されたくない。やりた いことだけしかやりたくない」というアナキズムの思想と生き方が象徴されているのです。

❖カネ・カネ・カネという時代の到来と下層の増大

先ほど皆さんとみた、映画『山谷―やられたらやりかえせ』には、山谷の下層労働者たちの暴動が 生々しく活写されていて、たぶん皆さんもそうだったとおもいますが、ぼくも、その暴動のシーンに 熱い共感を覚えました。

これからご紹介する大杉栄の暴動論は、彼が 33 歳の時に目撃した 1918 年の「米騒動」によって具 体的なイメージがかたちづくられたと見られています。この米騒動については、皆さんも歴史の教科 で学んでご存知のこととおもいますが、同年 7 月 22 日、米価の高騰に激怒して立ち上がった富山県 魚津町の主婦たちの行動に端を発し、燎原の火のように全国各地に拡がった暴動で、参加延べ人数は

1 千万人と言われています。当時の日本の人口は 6 千万人でしたから、実に日本人の 6 分の 1 の人び とが蜂起しているという規模で、日本最大の暴動と言われてきました。

では、米騒動はなぜ起きたのか?きっかけは 1917 年から 18 年にかけて米の価格がめちゃくちゃに 高騰したことでした。問題はこの時期に米価がなぜ高騰したのか?という理由です。第 1 は明治から 大正にかけて資本主義が発展して工業化・都市化が加速的に進み、その頃まで 8 割位を占めていた農 業人口がどんどん減少したことでした。それにより米の生産も減少したのです。ところが、そういう 現象に反比例して日本人の米食需要が増大しているのです。これが第 2 の理由です。この点について は説明が必要でしょう。

日本人の主食は米と言われていますが、実はそれは嘘です。江戸時代までの庶民は、米ではなく粟 や稗を主食にしていたのです。米は年貢として作られていたもので、庶民の口には通常入らなかった。 米が主食として食べられるようになるのは、明治に入って洋食が普及するようになって以降のことで、 明治後半から大正前期にかけカレーライスやトンカツといった和風洋食の普及にともない白米のご飯 が庶民の主食として一般化するようになったのです。日本の食文化が大きく変わったという側面に留 意する必要があります。

つまり、工業化の促進と和風洋食の発展により、米の需要と供給のバランスが崩れ、米不足と米価 高騰をもたらし、米騒動が起きているのです。

もう 1 つ理由を挙げると、1918 年にロシア革命が起き、日本軍がシベリアへ出兵することになり、 軍に対して大量の米を供給しなければならなくなった事態も見逃せません。

しかし、米騒動が起きた要因がたんに米の価格が高騰したことに対する人びとの不満が暴発しただ けととらえるのは表層的な見方です。

工業化・都市化が進み、和風洋食文化が普及するようになったということは、工場や会社勤めをし て賃金を得て生活する人びとが増え、それにともない消費文化が形成され発展したということでした。 要するに、カネを稼いでモノを買い、暮らしていくという資本主義のライフスタイルを身に着けた市 民が形成され、そういう市民規範が、1920 年代になると定着してきたことを物語っています。つまり、 カネ・カネ・カネという時代が到来し、カネを稼ぐために生きなければならない、そんな市民規範が 定着するわけです。けれども、そんな市民規範の網の目から漏れた人びと、つまりカネが稼げない者 は落ちこぼれ、ダメな人間として位置付けられてしまいます。そういう下層も増大します。この下層 が 1918 年の米騒動を引き起こす深層の要因だったのです。

❖大杉栄が見た「米騒動」

大杉栄は、1918 年 8 月、大阪・釜ヶ崎界隈で米騒動を目撃しています。彼は著名な社会主義者と して東京を拠点に活動していたのですが、その頃きわめて困窮していたため、パートナーの伊藤野枝 の郷里である九州・福岡に身を寄せる旅に出ていたのですが、その帰路に大阪に立ち寄り、たまたま 米騒動に遭遇したのであって、この大暴動を引き起こそうと駆け付けたわけではなかった。各地に米 騒動の火の手が上がると、首都東京在住の大杉栄の仲間たちの社会主義者、アナキストたちはかたっ ぱしから危険人物として警察に予防拘束されていたのですが、大杉は幸いにも免れ、大阪で米騒動を 目撃することができたのです。

当時、社会主義者の巨魁として官憲から厳しくマークされていた大杉栄には、都落ちした旅先にも 尾行がつけられていたので、米騒動に参加することはできなかったから、野次馬として見物するしか なかったですが、その見聞に大杉栄は大いに興奮し「愉快、愉快!」と面白がり、「すっかり浮かれて いた」と、連れ添った仲間たちが伝えている。

実際、大阪の米騒動はもの凄いものだった。主婦たちを交えた群衆が米屋に押し入り、店主をつる し上げて廉売所を設けさせ、自分たちで勝手に値段を設定して販売させたり、米屋が言うことを聞か

なければ、米を略奪する者も現れたし、聞き入れない店主の米屋を投石して打ち壊したり焼き討ちす るといった事件も起きた。消防活動にあたっていた消防ホースを日本刀で切断したり、市外電車の線 路に丸太棒を置いて止めてしまったり、米屋以外の商店のショーウインドーや不在の交番を打ち壊し た。竹槍隊まで出現した。大阪の米騒動参加者は約 60 万人、騒動の発生地点は 500 ヶ所ともいわれ る。暴動に加わる群衆の数があまりにも多すぎて警察もお手上げ状態となり、遂に陸軍1個師団が投 入され鎮圧にあたっている。大阪の米騒動では、死者2人、重傷者9人、軽傷者 370 人、逮捕者 2300 人という記録が残されている。完全な騒乱状態だったわけです。

大杉栄の目撃した大阪の米騒動は、暴動がピークを迎える 1 日前の 1 日だけで、つまりほんの束の 間の体験だったのだけれど、そんな時間帯のなかで暴動に参加するため街中をもの凄い勢いで駆け巡 っていた勇敢な主婦たちに「××町の米屋でも今こんな騒ぎが起きているぞ」と扇動したり、市内の 新聞社を回って「今、釜ヶ崎で大暴動が起きているぞ」といったデマゴーグ的な情報を流している。

大杉栄にとって、大阪の米騒動はすごく重要な体験だったようで、その後の労働運動に関わってい くうえで大きな影響を与えているのですが、その体験に関しての著述は意外なことにほとんど残して いない。理由としては、大阪から帰京すると待ち構えられていたようにすぐに予防拘束され、全国的 な展開された米騒動が沈静化したため 6 日後に拘束を解除されるということもあって、その件に関し ての言動に注意を払っていたからではないかと考えられています。わずかに官憲側の資料(内務省警 保局「大杉栄の経歴及言動調査報告書」)のなかに、大杉が大阪から帰るまえに仲間たちに語ったとさ れる次のような言葉が残されているので紹介します。<自分は今回の暴動事件を目撃して、社会状態 はますます吾人の理想に近づきつつあると信ず。しかし今日の勢いをもって進めば、後幾年を経ずし て意外の好結果を来たらすかも計り難し。政府も今度ばかりは少々目を醒ましたるらん。貧者の叫び、 労働者の狂い、団結の力、民衆の声、嗚呼愉快なり。>

❖「ガラガラ・バラバラ・ドシン」

しかし、 ぼくが大杉栄の著作の中から見つけた、大杉栄の米騒動についての所感は、「一言で言 えば、ガラガラ・バラバラ・ドシンという印象だよ」といったはなはだ大思想家にふさわしくない表 現だった(笑)。大杉栄は、その言葉、表現で、一体何を言わんとしているのでしょうか?ぼくは次の ように解読しました。

米騒動という未曽有の大暴動が起きた要因は、先ほども指摘しましたけれど、たんに米の値段が高 騰したことに対する怒りの抗議からだけだったとはおもえません。では、他の要因とは何だったのか? この点も前述しましたが、それはこの時代になると日本人の暮らし向きが完全に資本主義経済(端的 に言えば、金を稼げ、稼いだ金で消費しろ!という市民規範)に律していかなければやっていけなく なるという社会が形成されているのですが、その網の目から漏れた下層の人びとにとっては、そんな 資本主義的なライフスタイルや市民規範などは無縁なものであったから、形式だけの押し付けに対し ては息苦しさを感じ、反発もあったにちがいない。そんなマグマが米騒動という形でブチ切れたのだ。 大杉栄は、そのように考えていたのです。

要するに米騒動という暴動で、下層の人びとが何を訴えたかったのかと言えば、資本主義のライフ スタイルや市民規範で律しられるような生き方ではない、もっと別な生き方があっていいのではない か、そんな生き方もあるのだということを示したかったのだろう。群衆がショーウインドーを叩き割 ったり、主婦たちが米屋に押し入って勝手に米の値段を決め、廉売所を設けたり、群衆が米屋の焼き 討ちをするといった暴動に走ったのは、労働者として賃金をもらい、消費者として生きる、そういう 市民規範を一度完全にブチ壊し、市民としての自分を捨て去り、ゼロになり、そして別の生き方をや っていくんだ、という意思表示だったというのです。大杉栄が米騒動の所感を「ガラガラ・バラバラ・ ドシン」という表現で評したのにはそんな意味が込められていたのだとおもいます。

そしてこんなことも言っています。暴動というのは酔っ払った時のような感覚かも知れない。それ は一時的なものかも知れない。だが、その酔い心地、酔うことが自分にも出来たという感覚は手放さ ないようにしよう。そして時が訪れたら先ずは酔っ払え!と。

こういう大杉栄のもの言いは、知識人の革命論といった類のものではない。ものすごく庶民感覚や 気持ちを掴んだ言葉であり、思想だった。何でかと言うと、大正期まで、いや昭和に入ってからも、 長屋で暮らしていたような下層の庶民たちには、食べものを分け合ったり、味噌や醤油の貸し借りを したり、隣近所の子どもの面倒を気軽にみたり……といったお互いに助け合って暮らしていくコミュ ニティがまだ存在したからです。だが、社会の趨勢は繰り返し指摘したように、カネを稼ぎ、消費す るというライフスタイルが急速に形成され、それが市民規範とされる社会へと雪崩を打つように変容 していくわけです。その波に乗り損ねた下層の人びとにとって、そんな社会は息苦しく、ムカつくも のだったに違いない。そこに暴動の起きる火種があるのだ。大杉栄は、そう確信していたのである。

❖暴動は下層労働者の自己表現だ!

大杉栄は、大正時代に活躍したアナキストの思想家ですが、暴動論は現代でも十分通用する思想で す。先ほど皆さんとみた『山谷―やられたらやりかえせ』は 1980 年代に制作されたドキュメンタリ ー映画ですが、60 年末から 70 年代にかけ山谷・釜ヶ崎で日雇労働者の労働運動を指導した伝説の活 動家・船本洲治さんという人物がいるのですけれども、彼は「暴動は下層労働者の自己表現なのだ!」 と定義しています。これはまさに大杉栄の思想を引き継ぎ、さらに一歩前進させた思想といえるでし ょう。

船本洲治が対象として規定している下層労働者というのは、映画の中に登場していた日雇労働者や 当時の用語でいうルンペン・プロレタリアート、現代ならフリーターや野宿者たちなんですね。暴動 は、そういう彼らの自己表現なのだと言っているのです。これはその時代にあってはとても画期的な 思想だった。

それはなぜかと言えば、当時山谷や釜ヶ崎では、年間何件も暴動が起きていたのですが、左翼の人 たちは極めて無関心だったり、「連中はただ暴れまわっているだけ」と否定的な意見が多かったからで す。社会党や共産党などの左翼政党も、日雇労働者ら下層労働者が組織化されていなかったことや、 毎日酒を浴びるように飲む自堕落な人が多いという理由から、まともに支援をしていませんでした。 そういう状況の中で船本洲治は、下層労働者の暴動を「彼らの自己表現」と、極めてポジティブに位 置付けたのです。

大杉栄と船本洲治に共通する点は、 従来、一般社会からだけではなく、革新を標榜する左翼陣営 からも、三流市民などと低く見做されてきた下層労働者に対して、「市民のカラや市民規範など全部ブ チ壊していいんだ!」と呼びかけていることです。そして「下層労働者であることに開き直ろう」と も言っている。これは下層として下に見られるのではなく、自分から下層に落ちて行け、という考え 方です。ぼくのちょっと好きな言葉で言うと「自己野蛮性」を獲得せよということになりますし、開 き直った言い方をするなら『水滸伝』の主人公のように山賊になろう!ということです。

ぼくたちは今、山谷化・釜ヶ崎化があまねく一般社会に拡がっているという危機的な情況の中に生 きているようにおもいます。それゆえぼくら自身も暴動を必要としているのかも知れません。暴動と いうものをたんに物を打ち壊す行動と捉えるのではなく、これまでとは別の生き方を探し求めていく ために暴れて生きること、そういう生き方も広い意味での暴動ではないかとおもいます。

結論は、「暴れる力を取り戻せ!」、こんなところで終わらせていただきます。

(2015・9・26 プランB)
http://www.anerkhot.net/yama_jyoeii/?p=435
9:777 :

2024/10/21 (Mon) 10:52:34

ダメになっておもうぞんぶん生きるアナキズム!  栗原康&だめ連(神長恒一、ぺぺ長谷川)
オルタライフTV 2018/03/23
https://www.youtube.com/watch?v=Mj4Gdqj-HMI
https://www.youtube.com/watch?v=9NNUUXWIv0s

だめ連ラジオ「熱くレヴォリューション!」、今回は『現代暴力論』『死してなお踊れ 一遍上人伝』などを書いた栗原康さんをゲストにお招きして熱くトーク!公開収録イベントを行います。どうぞご来場あれ。
いよいよますます煮詰まってきた資本主義社会。窮屈で退屈なことこの上ない。他人を蹴落としてほめられるなんてくだらない。
労働と消費で資本主義の役になんかたたなくていい。奴隷根性とはおさらば。「生の拡充」(大杉栄)というアナキズムを生きよう!
ダメになって、自由になって、「壊してさわいで、燃やしてあばれろ」。

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