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共産主義は全体主義なのか?

1:777 :

2024/05/12 (Sun) 08:53:43

壺齋散人 今こそマルクスを読む
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ハンナ・アーレントとユダヤ主義の精神 落日贅言
続壺齋閑話 (2024年5月12日 08:17)
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ハンナ・アーレントの著作「全体主義の起源」三部作については、小生は若い頃ペンギンブックスの合本版を買い求めたところだ。そのうち第一巻の「反ユダヤ主義 Antisemitism」は、購入後すぐに読んだが、残りの部分は棚ざらしのままにしておいた。その残りの部分のうち、第三巻の「全体主義 Totalitarianism」を今回読んだ。第二巻の「帝国主義Imperialism」についてはいまさらという気持ちがあったのに対して、全体主義については、まだ時事的な問題意識にのぼるという判断があったからだ。何が時事的なのかというと、いまイスラエル国家が世界に突き付けている問題が、アーレントがこの書物の中で展開している全体主義批判に相通じるものがあるからだ。アーレント自身は、ナチスとボリシェビキを批判するつもりであり、当時できたばかりのイスラエル国家を批判する意図はまったくもたなかったのだが、彼女の死後、イスラエル国家はますます好戦的・反人道的な姿勢を強めており、その姿勢が、小生にはナチスに通じるものを感じさせるのである。そんなわけで、アーレントがもし生きていたら、いまのイスラエル国家をどのように考えるか、ということが小生の関心を搔き立てた次第である。

「全体主義の起源」三部作は、非常に大きな影響力を発揮した。大戦後、反ユダヤ主義とか全体主義という言葉が非常に流行したが、それはこの書物のおかげであったといってよい。反ユダヤ主義という言葉は、いまでも欧米諸国で強烈なインパクトをもって受け取られている。反ユダヤ主義的とみなされる言動は、民主主義への驚異であるとして、厳しく断罪されている。当事者のユダヤ人コミュニティは、この言葉を自分たちの自衛権の根拠の一つとして利用してもいる。今般、イスラエルのガザに対するジェノサイドをめぐって、アイヴィーリーグなど有力大学の学長らが、反ユダヤ主義に対して毅然たる対応をしなかったという理由で、激しく攻撃された。反ユダヤ主義という言葉は、いまでも非常に政治的な意味合いを帯びているのである。一方、全体主義という言葉は、民主主義のアンチテーゼとして、専制主義と同じような意味合いで使われている。アーレント自身は、全体主義と専制主義を区別していたが、いまの欧米社会では、ほぼ同義的に用いられている。

アーレント以前にも全体主義という言葉はあったのかもしれないが、この言葉が政治学の用語として定着するのは、彼女のおかげではないか。彼女はこの言葉を、ナチスとボリシェビキの運動を説明するためのキーワードとして用いた。ナチスとボリシェビキへの批判的な意識がまずあって、その意識を整然と説明するために、全体主義という言葉を用いたということだ。ナチスとボリシェビキを同じようなものとして説明するのが彼女の目的であって、その目的を整然と説明するものとして全体主義という言葉を利用した。だから、イタリアのファシズムや日本の超国家主義は論外にされている。だいたい彼女は、全体主義という概念を厳密に定義しているわけではない。ナチスとボリシェビキの運動が全体主義だといっているだけである。なぜ、ナチスとボリシェビキなのか。

ナチスがユダヤ人に対して行ったことを踏まえれば、ユダヤ人であるアーレントがナチスに強烈な嫌悪を覚えるのは当然のことであろう。ナチスは、ユダヤ人だけを殲滅の対象にしたわけではない。政治的な対抗者やさまざまな心身の障害を抱えた人々も殲滅の対象にした。また、ユダヤ人を殲滅したあとには、ポーランド人を殲滅の対象にするつもりでいた、とアーレントは指摘している。その殲滅政策は非常にシステマチックなもので、かつドイツ国民の支持を得ていた。そうしたシステムは、生半可な運動では確立されない。国家全体を改造しなければできることではない。その改造は国家・社会を根こそぎ変えるものであり、全体を権力者の意図にかなうように変えるものである。そうした全体に及ぶ運動だという意味で、アーレントは全体主義という言葉を使っている。そうした意味での全体主義という言葉を、ボリシェビキにもあてはめている。ナチスにとってのユダヤ人に相当するものは、トロツキストであり、政治的な対抗者たちである。そうした対抗者を根こそぎ殲滅することがボリシェビキの目的であり、その点で、ナチスに似ているというのである。

アーレントがボリシェビキをナチスと一緒くたにして全体主義だと決めつけたことには、どうも二つの理由がありそうである。一つは彼女自身の反共的な思想傾向に根差すものである。彼女は、コミュニズムを毛嫌いしていた。コミュニズムは人間の自由を抑圧するものだという信念が彼女にはあって、その信念が彼女を反共的にしていたのである。彼女にとってボリシェビキは、出来損ないとはいえコミュニズムを目指す運動であるから、やはり憎しみの対象となったのであろう。これは彼女の個人的な資質にかかわることで、ユダヤ人としての民族的な傾向を彼女が体現していたというわけではない。ユダヤ人の中にも、アイザック・ドイッチャーやローザ・ルクセンブルグをはじめコミュニストたちはいた。コミュニズムの始祖格のマルクスもユダヤ人である。だが、ユダヤ人の多くは、とくに経済的に成功したユダヤ人の多くはコミュニズムを敵視する傾向はあったようである。アーレントもその一人なのであろう。

もうひとつの理由は、歴史的・社会的な事情によるものである。アーレントがこの書物を執筆したのは、戦後間もなくの時期であり、その時期のアメリカでは反共の機運が高まっていた。その機運はやがてマーカーシズムといった形ですさまじい赤狩りに発展していくのだが、そうした風潮の中でこの書物が書かれたということは、この書物がアメリカの反共運動のプロパガンダ役をつとめる意義を持たされたということを意味する。というか、アメリカの反共機運に乗じた形でアーレントがこの書物を書いたといえなくもない。その時期に反共プロパガンダの役割を果たせれば、大いに拍手喝采され、また書物の評判も高まるというものだ。アーレントが、ボリシェビキをナチス並みの全体主義運動として描き出し、それによってアメリカ人の反共意識にこたえたということは、歴史的な事実として指摘できるのではないか。

アーレントは全体主義を、人倫に反したグロテスクな運動として描き出している。ナチスがやったことを具体的にとりあげながら、その反人倫的・暴力的な性格を指弾している。ナチスがやったことは、あまりにも常軌を逸しているので、アーレントのそうした指弾に反論できるものはおるまい。その反人倫的な行動をアーレントはボリシェビキについても指摘するのだが、ボリシェビキは、それ独自の性格をもった運動としてよりは、ナチスのコピーのようなものとして取り扱われている。この書物の目的は、ナチスがおこなった反人倫的な行為の分析と、なぜそのようなことが可能だったのかという疑問に答えることである。

アーレントはまず、全体主義が形成されるための、歴史的・社会的条件の分析から始める。彼女は、階級社会から大衆社会への変化が全体主義発生の条件だと考える。大衆社会においては、個人は社会的なよりどころを失い、なにものをも信頼することができなくなり、非常に孤独な存在になる。そうした大衆は、全体主義運動の格好の標的となる。つまり全体主義は、大衆社会に咲いたあだ花だというわけである。大衆社会は、彼女によれば階級社会の崩壊のあとにやってくるものである。ところでマルクスも階級の消滅を目指していた。階級が消滅すれば、大衆しか残らないわけだから、アーレントの考えに従えば、マルクスもまた全体主義の登場を阻止できないはずだということになる。マルクスのいう共産主義社会とは、アーレントにとっては、全体主義社会に見えるのである。アーレントの反共意識は非常に根が深いものがある。それには色々な事情があるが、ここでは触れない。

以上を踏まえたうえでアーレントは、全体主義の運動の特徴を分析していく。その分析はかなり手の込んだものである。それを読むと我々読者は、アーレントがナチスについて言っていることが、そのまま今日のイスラエル国家の行動にもあてはまるのではないかという感を抱かされるのである。そこに我々は歴史の皮肉を見る。そこでナチスのどんな行動が、今日のイスラエル国家の行動に通じるのか。それについて、いささか吟味を加えてみたい。紙幅の制約上、最小限にとどめたい。

ナチスの行動原理は、プロパガンダとテロルである。プロパガンダを通じて大衆を洗脳し、自陣営の結束を強める。テロルを通じて、被支配者に抵抗する意欲をなくさせる。その結果、被支配者は人間性を奪われて人間動物というべき状態にさせられる。テロルという言葉は、今日西欧諸国においてかなり恣意的に用いられているが、アーレントのテロル概念は、被支配者を暴力で屈服させることを意味している。そうした意味でのテロルは、今日のイスラエル国家がパレスチナ人を相手に行っていることである。欧米はパレスチナ人であるハマス以下の抵抗勢力をテロリストと呼んでいるが、アーレントの定義に従えば、イスラエルこそテロ国家なのである。

ナチスの暴力を担っていたのは軍と警察(時に秘密警察)である。軍が対外的な暴力の担い手となり、警察が国内的な暴力の担い手となる。秘密警察SSは、後には外国でも暴力を行使するようになる。ヒトラーの権力がSSによって支えられていたことを、アーレントは強調している。イスラエル国家の場合には、軍と秘密警察モサドは一体となって行動している。軍はパレスチナ人に対して日常的に暴力を振るっており、モサドのほうは外国での諜報活動も担っている。両者が一体となって、反イスラエルと目されるものに暴力を振るっているのである。

ナチスは強制収容所や絶滅収容所に、生きている価値のないものを集めた。イスラエル国家は、占領地の狭い範囲にパレスチナ人を集めている。それをアパルトヘイトと呼ぶものがいるが、実際には強制収容所にほかならない。そこでイスラエル国家はパレスチナ人に対して日常的な暴力を振るっている。

ナチスは自分の行動を合理化するためのイデオロギーをもっていた。独特の人種理論に裏うちされたものである。イスラエル国家のイデオロギーはシオニズムである。ナチスがドイツ人の優秀性を強調したように、イスラエル国家はユダヤ民族の優越性を強調する。イスラエルがパレスチナ人の犠牲のうえに存続するのは、ユダヤ人が神によって選ばれた民族だからである。そうした特権意識を、ここではユダヤ主義の精神と定義したい。

このあたりで打ち切っておくが、イスラエルのやっていることは、多くの点でナチスのやっていることをまねたものにほかならない。要するに人倫に反したアンチヒューマニズムというべきものである。そんなわけなので小生は、ナチスとシオニズムをアンチヒューマニズムの双生児だといいたい。
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2:777 :

2024/05/12 (Sun) 08:58:17

ファシズムとは巨大資本が支配する統制経済の事
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史上最高の経済学者ハイエクの警鐘
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資本主義の基本原理が富の独占である以上、貧富の格差が広がるのは必然
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1929年世界大恐慌の原因は高累進所得課税を止めた事
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政治とは税金を集めて政治家の裁量でそれをばら撒くこと
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経団連会長「献金なにが悪い」発言!ズブズブの癒着関係
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【マルクス主義】暴力!革命!世界が変わるには何が必要なのか?
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マルクスがイギリスで共産主義を考えた理由
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高校生で人生がほぼ決まってしまうフランスの超学歴社会…日本人ははるかに幸せ
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階級社会イギリスは、オーウェルの「1984年」監視社会を実現した、最初の国だった
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/889.html

欧州で増える貧困層 イギリスではフードバンク難民が100万人以上
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新自由主義を放置すると中間階層が転落してマルクスの預言した階級社会になる理由
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/350.html

アメリカGDPのまやかし 富裕層以外はマイナス成長だった
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/877.html

アメリカの富裕層の税負担が貧困層より低い理由
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国家を亡ぼす「狂った税制」
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“独立”する富裕層  政府による所得再分配は努力して金持ちになった人の金を盗む行為だから許せない
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/701.html

アメリカの闇 政治を金で買う超富裕層
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/634.html

アメリカのロビイストは政治家に「この法案を成立させたら何億ドル差し上げますよ」と働きかける
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/530.html

米有名大学は金で学歴を「販売」 名門大学生の半分がコネと金入学
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/934.html

米大統領選の争点に浮上した大学生の巨額借金問題
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/532.html

アメリカの医療費は何故常識では考えられない程高額なのか?
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/254.html

誰も知らないアメリカ格差社会の実情
http://www.asyura2.com/13/lunchbreak53/msg/110.html

GDP・経済成長率や株価の上昇に意味は無い _ 貨幣価値が下がったから GDP も株価も名目値が上がっているだけ
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/391.html

シリコンヴァレーで加速する「カースト制度」の真実
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/609.html

ベーシックインカムは社会保障費を極小にする為の新自由主義的な制度
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/632.html

公的サービスの民営化には無理があり、資本主義の競争原理になじまない
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/631.html

アメリカの医療費は何故常識では考えられない程高額なのか?
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上級国民/下級国民 _ 『持てる者』は“事実上の一夫多妻”、『持たざる者』は生涯独身
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/689.html

アメリカの企業数が半減 寡占化進み新規起業は昔話
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/967.html

退任するCEOの半数、辞任ではなく解任
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/668.html

「AI社会」で中間層が消える? アメリカでは高学歴のワーキングプアが増加
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/328.html

アメリカ人の家計は火の車だった のしかかる住宅、医療、教育費
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/964.html

アメリカの田舎ではインターネットや電話さえ通じない _ 就職場所は農場しかない
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/972.html

アメリカに「寝たきり老人」が居ない理由_ 寝たきりになる人を助けないので、寝たきりにならない
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1180.html

ニュースは最初からすべてマスコミを経営する資本家が流すフェイクだった
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/308.html

新聞社、出版社、放送局などは支配層のプロパガンダ機関
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/140.html

マスコミの偽情報 _ CIA は有力メディアを情報操作のために使っている
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/330.html

CIAとメディア
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/347.html

ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズの正体
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/727.html

甘いバナナの苦い現実 _ フィリピンでは農業労働者が農薬の空中散布を浴び失明したうえに解雇された
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1186.html

「日本人は生産性が低い」という都市伝説に騙されるな _ 生産性が低いというのは賃金が安いというだけの事
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/198.html

藤井聡先生は 「日本人は生産性が低い」というデマを撒き散らしているデービッド・アトキンソンが完全なバカだと言い切ってくれました
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/694.html

国売り飛ばすTPP参加表明
http://www.asyura2.com/12/lunchbreak52/msg/679.html

亡国最終兵器 TPP の真実
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/429.html

中野剛志 TPP黒い条約
http://www.asyura2.com/12/lunchbreak52/msg/843.html

TPP賛歌 _ TPPに加入するとこんな甘美な世界が待っている。
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/204.html

安倍さん ありがとう、 これからいよいよ愉しい時代が始まるね
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/428.html

極悪外資「ローンスター」 が今度は病院の診療報酬を差押え
http://www.asyura2.com/09/gaikokujin01/msg/477.html

安くて従順な子供を、朝から晩までこき使う資本主義の裏の顔
http://www.asyura2.com/12/lunchbreak52/msg/413.html

グローバル経済では人間が商品として売買される
http://www.asyura2.com/13/lunchbreak53/msg/884.html

アフリカは西洋から強制されたのではなく、金儲けのため自国住民を「販売」した
http://www.asyura2.com/13/lunchbreak53/msg/911.html

主要企業・銀行の殆どが外資に乗っ取られてるとこういう社会になる
http://www.asyura2.com/12/lunchbreak52/msg/784.html
3:777 :

2024/06/27 (Thu) 02:18:03

【伊藤貫】人類の支配者について~資本主義と民主主義は両立しない【チョムスキー】
https://www.youtube.com/watch?v=pADY3NeMTnI
https://www.youtube.com/watch?v=WEnv5I8Aq4I&t=0s

超富豪オリガーキーに支配されるアメリカ帝国〜トップ0.01%層が牛耳る米国政治ー貧富の差は世界最悪!!!(伊藤貫)
https://www.youtube.com/watch?v=yvbIOYtbcV0&t=0s

伊藤貫セミナー Ito Kan Seminar (公式) - YouTube
https://www.youtube.com/@kpnews1216/videos
https://www.youtube.com/@kpnews1216/playlists

伊藤貫の真剣な雑談
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4:777 :

2024/10/29 (Tue) 15:32:35

サマーズ氏: 資本主義に反対することは自由に反対すること
2024年10月28日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55674#more-55674

アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏がダートマス大学でのインタビューで資本主義と社会主義の違いについて語っている。

社会主義とは何だったのか

社会主義がほとんど旧世代の遺物となってから長い時間が過ぎたが、恐らくそのためになぜ資本主義が成功しているのかということについて考える人は少ない。

そしてまさにそれが理由で日本やアメリカなどの資本主義国家とされる国に、実体経済を自由市場ではなく中央政府が支配する社会主義の影が忍び寄っていると筆者は考えているのだが、だからこそサマーズ氏に社会主義の国々がどういうものだったのかを語ってもらおう。

サマーズ氏は大学生たちに次のように語りかけている。

わたしはこの部屋にいる学生たちと同じくらいの年か、それよりも少し年上だった頃に、ここにいる学生がもう体験できないことを体験したことがある。

それは西ベルリンと東ベルリンを繋いでいたチェックポイント・チャーリーを通ったことだ。

チェックポイント・チャーリーとは、戦後に東西に分断されていた西ベルリンと東ベルリンを繋いでいた検問所のことである。第2次世界大戦後、アメリカと旧ソ連に分割統治されていたベルリンは、半分が資本主義、もう半分が社会主義によって運営されていた。

結局、ドイツは資本主義だった西ドイツが繁栄し、社会主義だった東ドイツが貧困に陥ったため、東ドイツが西ドイツに吸収される形で統合されたのだが、これはその前の話である。

サマーズ氏は次のように述べている。

それは2024年と1954年を繋ぐ門を通るような経験だった。その前後ではすべてが違った。西ベルリンと東ベルリンにはまったく共通点はなかった。

社会主義の失敗

当時、社会主義の国は次々に退廃していった。資本主義経済では起業家が消費者の需要に合わせてどのような商品を作るかを決め、需要が高い商品を作った起業家ほど高い対価を得る。

一方で社会主義の国ではどういう商品が作られるべきかを政府が決定する。

その結果は明らかである。資本主義国家では消費者が欲しがる商品がどんどん作られ、社会主義国家では消費者が欲しがらない商品がどんどん作られた。

そして西ベルリンは栄え、東ベルリンは貧困に沈んでいった。ソ連は崩壊した。中国は鄧小平氏の時代から資本主義をある程度受け入れていった。

今でもかなり社会主義的な小国はある。サマーズ氏は次のように言っている。

北朝鮮は人に出入りをさせないが、それは抜け出す人が出ないようにするためだ。だから韓国から北朝鮮に行くことはできない。

北朝鮮に自由に出入りできないことには理由がある。社会主義国と資本主義国では貧富の差が激しいために、北朝鮮の人々が韓国の豊かな暮らしを見れば、誰もが北朝鮮から逃げ出したいと思ってしまうだろう。

国民にチェックポイント・チャーリーを通らせてはならない。だから自国民を囲うしかないのである。

社会主義の本質

読者の多くは、こうした社会主義の話が過去の遺物であるか、または北朝鮮のような極端な国のものだと思うだろう。

元々、社会主義は裕福な起業家たちを羨んだ労働者や農民に支持されて始まった。起業家が株式を持つことを禁じ、株主の役割を政府が担った結果、政治家だけが豊かになる社会が出来上がったのである。

しかしそれは今の日本に似ていないだろうか? 給与所得の半分を政府に持っていかれる現状は本当に資本主義なのか。東京の真ん中に税金で作られた巨大便器は消費者が望んだ商品なのか。これは社会主義の製品と何が違うのか。


出典:産経新聞
社会主義の本質は、人々の自由な商業活動、自由な物品の売買を禁じ、政府の決めたように経済を動かすことである。

サマーズ氏は次のように述べている。

社会主義を望む人々の衝動を理解することは困難だ。

合意した2人の大人が寝室で何をしようと自由であるのに、なぜ合意した大人同士が市場経済のなかで、互いに合意した賃金で雇ったり雇われたり、合意した金利でお金を貸したり貸されたり、合意した価格で商品を売ったり買ったりを自由にしてはいけないのか?

資本主義に反対することは、合意した大人同士が第三者に害を与えないかぎり、互いに利益がある行為をやっても良いという考えに反対することだ。

資本主義の本質はこうである。人々に自由な経済活動をさせれば、優れた起業家のような非常に裕福な人々が出てきてしまう。それを羨んだ人々は政府がそれを止めてくれると思い、起業家から自由を奪って政府にそれを与えた結果、起業家ではなく政治家が豊かになり、人々はむしろ更に貧しくなったのである。

サマーズ氏は次のように言っている。

反資本主義という姿勢は、本質的には反自由なのだ。

だがそれはまさに日本の状況ではないのか。自分の力で金を稼いだ高所得者から、当選させてくれと乞食のように頼む政治家に金を移転するのが今の日本経済である。

そしてそれは与党を支持した国民の多数派には決して移転されない。それを期待している人々は、控え目に言っても間抜けである。

他人の自由を奪うと自分に返ってくる。ばら撒き政策とはそういうものである。

ハイエク氏: 現金給付や補助金は それを受けない人に対する窃盗である


現実には金融所得の税率は低く、給与所得の税率は高いのだから、多数派に支持された政府が多数派だけ損をする社会を作っているのである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55674#more-55674
5:777 :

2024/10/30 (Wed) 16:01:23

サマーズ氏: 本当の資本主義国家では権力者が大衆にごまをする
2024年10月29日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55715

引き続き、アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏のダートマス大学におけるインタビューである。

資本主義と社会主義

前回の記事では、資本主義とは売り手と買い手に自由に売買させることであり、起業家が豊かになるのは単にその結果だという話をした。

サマーズ氏: 資本主義に反対することは自由に反対すること
一方で社会主義とはその自由を奪うことであり、その結果起業家どころか社会全体も貧しくなる。世の中に出回る商品を政府が独占的に決定し、良い商品を作っても高値で売れないなら、誰も良い商品を作らなくなるからである。

誰が誰にごまをするのか

さて今回の記事である。サマーズ氏によれば、資本主義の国と社会主義の国を見分けられる簡単な方法がある。誰が誰に「ごまをすっているか」を見ることである。

サマーズ氏はアメフトのスタジアムを見学した時のことを次のように語っている。

ニューイングランド・ペイトリオッツの本拠地であるジレットスタジアムの見学に招かれた時のことだ。そこではスタジアムのオーナーが他のスタジアムのオーナーにスタジアム建設にあたっての課題について話していた。

ペイトリオッツのオーナーが話したすべての言葉は、チケットを買ってゲームを観に来る人々に「ごまをする」ためのものだった。

客を「ゲスト」と呼び、駐車場の除雪にかかる時間を5分減らし、ファーストフードの店の並び方を再設計して食べ物をより早く手に入れられるようにし、椅子の設計を変えて寒い日にも快適に座れるようにした。

アメフトチームのオーナーが、一市民である客に対してごまをすっている。なぜか? そこには資本主義が働いているからである。

サマーズ氏は次のように続ける。

すべては客にごまをすることだ。それはスタジアムのオーナーが優しくリベラルで親切で慈善的精神のある人間だからではない。客が快適になれば入場券にもっとお金を払ってくれるからだ。

それが資本主義のインセンティブの本質なのだ。

社会主義では大衆が権力者にごまをする

では社会主義の国ではどうなるのか。サマーズ氏は次のように説明している。

社会主義の国に行けば状況はまったく違う。社会主義の国では買い手が肉屋にごまをすろうとあらゆる努力をする。そうすれば良い肉を自分の家族に分けてくれるからだ。

社会主義の国では人々は電話会社にごまをする。そうすれば電話を6ヶ月ではなくて3ヶ月で手配してくれるからだ。

それが腐敗の温床である。何が作られるべきかを政府が決定する社会主義の国では、良い商品を作る人ではなく政府に権限を与えられた人に報酬が与えられる。竹中なんとかさんの顔が浮かんだのは筆者だけではないだろう。

資本主義と社会主義の違い

サマーズ氏は資本主義の本質について次のように語っている。

資本主義は売り手に対して買い手にごまをすることを要求する。

売り手とは誰だ? 権力のある人々だ。売り手は資金を持っている人々だ。資本主義は買い手、つまりすべての人々を幸せにするためにあらゆる努力をすることを企業に要求する。

だから本質的に、資本主義とは買い手である大衆の力を売り手である小数のエリートに対して増強するためのシステムなのだ。そして社会主義はその逆を行なっている。

この話はマクロ経済学の父と言うべきアダム・スミス氏の「神の見えざる手」の話と本質が同じである。彼の著書である『国富論』には次のように書いてある。

人は自分の利益を追求することで、意図的に公共の利益を促進しようとする時よりも効率的に公共の利益を促進することができる。

実際、人は一般に公共の利益を促進しようとしているわけでもなければ、自分がどれだけ社会に貢献しているのかを把握しているわけでもない。

しかし見えざる手に導かれ、自分が意図していない目的を実際には促進しているのである。

『国富論』は今なお有効な知識がつまったマクロ経済学の優れた入門書である。優れた経済学者の言うことは今も昔も変わっていない。

日本は資本主義か社会主義か

サマーズ氏は、資本主義国家では権力者が大衆にごまをすり、社会主義国家では大衆が権力者にごまをするという。

では日本は果たして資本主義なのか、社会主義なのか? 日本では(アメリカでも)政府支出が増大し、お金がどこに行くべきかを国民ではなく政府が決める状態が常態化している。

国民ではなく政府がお金を払う相手を決める社会ではどうなるのか? サマーズ氏は次のように言っている。

賭けてもいいが、もしジレットスタジアムが市に運営されていたら、同じように快適なものにはなっていなかっただろう。

ちょうど良いことに、日本にはコロナ禍における東京五輪のために作られ、その後ほぼ使われていない国立競技場という優れた例がある。


出典:産経新聞
その国が資本主義なのか社会主義なのかを見極めるためには、サマーズ氏いわく、誰が誰にごまをすっているのかを見ればいい。

日本の場合はどうかと言えば、簡単である。1行で終わるだろう。

人々が自民党にごまをすっている。そして その見返りは返ってこない。

アダム・スミス氏は200年以上も前に『国富論』に次のように書いている。

わたしは公共の利益を推進するとうそぶいている人によって大きな何かが成し遂げられた例をまったく知らない。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55715
6:777 :

2024/11/14 (Thu) 05:47:04

サマーズ氏: 資本主義に反対することは自由に反対すること
2024年10月28日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55674

アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏がダートマス大学でのインタビューで資本主義と社会主義の違いについて語っている。

社会主義とは何だったのか

社会主義がほとんど旧世代の遺物となってから長い時間が過ぎたが、恐らくそのためになぜ資本主義が成功しているのかということについて考える人は少ない。

そしてまさにそれが理由で日本やアメリカなどの資本主義国家とされる国に、実体経済を自由市場ではなく中央政府が支配する社会主義の影が忍び寄っていると筆者は考えているのだが、だからこそサマーズ氏に社会主義の国々がどういうものだったのかを語ってもらおう。

サマーズ氏は大学生たちに次のように語りかけている。

わたしはこの部屋にいる学生たちと同じくらいの年か、それよりも少し年上だった頃に、ここにいる学生がもう体験できないことを体験したことがある。

それは西ベルリンと東ベルリンを繋いでいたチェックポイント・チャーリーを通ったことだ。

チェックポイント・チャーリーとは、戦後に東西に分断されていた西ベルリンと東ベルリンを繋いでいた検問所のことである。第2次世界大戦後、アメリカと旧ソ連に分割統治されていたベルリンは、半分が資本主義、もう半分が社会主義によって運営されていた。

結局、ドイツは資本主義だった西ドイツが繁栄し、社会主義だった東ドイツが貧困に陥ったため、東ドイツが西ドイツに吸収される形で統合されたのだが、これはその前の話である。

サマーズ氏は次のように述べている。

それは2024年と1954年を繋ぐ門を通るような経験だった。その前後ではすべてが違った。西ベルリンと東ベルリンにはまったく共通点はなかった。

社会主義の失敗

当時、社会主義の国は次々に退廃していった。資本主義経済では起業家が消費者の需要に合わせてどのような商品を作るかを決め、需要が高い商品を作った起業家ほど高い対価を得る。

一方で社会主義の国ではどういう商品が作られるべきかを政府が決定する。

その結果は明らかである。資本主義国家では消費者が欲しがる商品がどんどん作られ、社会主義国家では消費者が欲しがらない商品がどんどん作られた。

そして西ベルリンは栄え、東ベルリンは貧困に沈んでいった。ソ連は崩壊した。中国は鄧小平氏の時代から資本主義をある程度受け入れていった。

今でもかなり社会主義的な小国はある。サマーズ氏は次のように言っている。

北朝鮮は人に出入りをさせないが、それは抜け出す人が出ないようにするためだ。だから韓国から北朝鮮に行くことはできない。

北朝鮮に自由に出入りできないことには理由がある。社会主義国と資本主義国では貧富の差が激しいために、北朝鮮の人々が韓国の豊かな暮らしを見れば、誰もが北朝鮮から逃げ出したいと思ってしまうだろう。

国民にチェックポイント・チャーリーを通らせてはならない。だから自国民を囲うしかないのである。

社会主義の本質

読者の多くは、こうした社会主義の話が過去の遺物であるか、または北朝鮮のような極端な国のものだと思うだろう。

元々、社会主義は裕福な起業家たちを羨んだ労働者や農民に支持されて始まった。起業家が株式を持つことを禁じ、株主の役割を政府が担った結果、政治家だけが豊かになる社会が出来上がったのである。

しかしそれは今の日本に似ていないだろうか? 給与所得の半分を政府に持っていかれる現状は本当に資本主義なのか。東京の真ん中に税金で作られた巨大便器は消費者が望んだ商品なのか。これは社会主義の製品と何が違うのか。


出典:産経新聞
社会主義の本質は、人々の自由な商業活動、自由な物品の売買を禁じ、政府の決めたように経済を動かすことである。

サマーズ氏は次のように述べている。

社会主義を望む人々の衝動を理解することは困難だ。

合意した2人の大人が寝室で何をしようと自由であるのに、なぜ合意した大人同士が市場経済のなかで、互いに合意した賃金で雇ったり雇われたり、合意した金利でお金を貸したり貸されたり、合意した価格で商品を売ったり買ったりを自由にしてはいけないのか?

資本主義に反対することは、合意した大人同士が第三者に害を与えないかぎり、互いに利益がある行為をやっても良いという考えに反対することだ。

資本主義の本質はこうである。人々に自由な経済活動をさせれば、優れた起業家のような非常に裕福な人々が出てきてしまう。それを羨んだ人々は政府がそれを止めてくれると思い、起業家から自由を奪って政府にそれを与えた結果、起業家ではなく政治家が豊かになり、人々はむしろ更に貧しくなったのである。

サマーズ氏は次のように言っている。

反資本主義という姿勢は、本質的には反自由なのだ。

だがそれはまさに日本の状況ではないのか。自分の力で金を稼いだ高所得者から、当選させてくれと乞食のように頼む政治家に金を移転するのが今の日本経済である。

そしてそれは与党を支持した国民の多数派には決して移転されない。それを期待している人々は、控え目に言っても間抜けである。

他人の自由を奪うと自分に返ってくる。ばら撒き政策とはそういうものである。

ハイエク氏: 現金給付や補助金は それを受けない人に対する窃盗である
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35564

現実には金融所得の税率は低く、給与所得の税率は高いのだから、多数派に支持された政府が多数派だけ損をする社会を作っているのである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55674

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