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2024/01/31 (Wed) 11:02:30
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堤中納言物語 つつみちゅうなごんものがたり (平安時代後期以降)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A0%A4%E4%B8%AD%E7%B4%8D%E8%A8%80%E7%89%A9%E8%AA%9E
堤中納言物語 - YouTube
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『堤中納言物語』は、日本の平安時代後期以降に成立した短編物語集。編者は不詳。10編の短編物語および1編の断片からなるが、成立年代や筆者はそれぞれ異なり、遅いものは13世紀以後の作品と考えられる。
10編の物語の中のいずれにも「堤中納言」という人物は登場せず、この表題が何に由来するものなのかは不明である。
以下の10編、及び未完の断片で構成される。
「逢坂越えぬ権中納言」
唯一筆者と成立年代が確認されている。天喜3年(1055年)成立、筆者は小式部(小式部内侍とは別人)。「六条斎院物語合」(天喜三年五月三日物語歌合)のために新作された作品で、いわゆる「薫型」の貴公子の恋を描いたもの。
諸事にわたって完璧な貴公子である中納言が、恋する女宮の側まで参上するが、遠慮のためについに契ることは出来ずに終わる。
「花桜折る少将(中将)」
主人公の少将は「あたら夜の月と花とを同じくは心知れらむ人に見せばや」(もったいない。こんな美しい月と花を趣を知る人だけに見せたい)と詠う美しい姫君に恋をし、彼女が入内する前に盗み出そうとする。しかし、誤って姫の祖母を連れてきてしまう。
「虫愛づる姫君」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%99%AB%E3%82%81%E3%81%A5%E3%82%8B%E5%A7%AB%E5%90%9B
按察使大納言の姫は美しく気高いが、裳着(元服に相当)を済ませたにもかかわらず、化粧せず、お歯黒を付けず、ゲジゲジ眉毛のまま、引眉せず、平仮名を書かず、可憐なものを愛さず毛虫を愛する風変わりな姫君だった。その様子を屋敷に入り込んだ風流な貴公子が覗き、歌を詠みかける。「かは虫の毛ぶかきさまをみつるよりとももちてのみまもるべきかな」。返事をしないので女房が返歌「人に似ぬ心のうちはかは虫のなをとひてこそいはまほしけれ」。これを見ていた貴公子は「かは虫にまぎるるまゆの毛の末にあたるばかりの人はなきかな」と詠う。突然話が終わり、<二の巻にあるべし>となり、第二巻はない。
「このついで」
中宮(または女御)の無聊と徒然を慰めようと薫き物を試みたことをきっかけに、中宮の弟である宰相の中将と、中納言の君・少将の君といった女房らが今まで見聞きしたしみじみとする話を語り合う。
「よしなしごと」
ある僧が他人から品物を借りるために書いた長い手紙は、驚き呆れるようなものだった。
「はなだの女ご(花々の女ご)」
ある屋敷に集った姉妹達が、それぞれ仕えている女主人のうわさ話をする。姉妹達の大半と関係がある風流男が、そのさまをこっそりと覗き見る。
「はいずみ」
新旧二人の妻を持った男が、新しい方の妻を家に迎えて同居しようとするが、もとの妻の哀しむ様子を見て思いなおす。ある日新しい妻の所へ行くと、慌てた妻ははいずみ(眉墨)を白粉と間違えて顔に塗ってしまう。せっかちな男はそれに幻滅し、もとの妻のもとへ戻る。両親がやってくると黒い娘にびっくり。娘も鏡を見て「かかりけるものを、『いたづらになり給へる』とてさわぎけるこそ、かへすがえすをかしけれ」。
「ほどほどの懸想」
女童と小舎人童の恋から、侍と女房、頭中将と宮の姫、という主従3組、それぞれの身分(「ほど」)相応の恋が進んでゆく。
「貝合はせ」
蔵人少将は、偶然ある姫君とその腹違いの姉が貝合をすることを知る。母の居ない姫君の境遇に同情した少将は、こっそりと素晴らしい貝を用立てて、味方してやる。
「思はぬ方にとまりする少将」
姉妹の姫君にそれぞれ通って相婿となっている二人の少将が、ふとした取り違えで、妻ではない方の姫君とそれぞれ契ってしまう。と見せかけてー
未完断片
「冬ごもる……」という書き出しで始まる、数行程度の断片。物語の冒頭部分と見られる。しかし、これがただの断片の混入なのか、意図的に置かれたものなのか、あるいは写本時の書きさしなのかについては不明である。
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2024/01/31 (Wed) 11:04:46
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壺齋散人 堤中納言物語を読む
https://japanese.hix05.com/Classic/tutumi.index.html
堤中納言物語は、現存するわが国最古の短編物語集であり、また、ショートストーリーズの祖形の一つとして、世界文学史上にユニークな地位を占める。10編の短編小説からなり、そのどれもが独特な味わいをかもし出す。物語の意外性や描写の細やかさなど、短編小説として優れたものが多い。そんなところから、21世紀のいま読んでも、新鮮さを感じさせる。日本文学史上の奇貨といってよい。
10篇の物語のそれぞれが、いつ、だれによって書かれたかについて、詳しいことは不明であるが、概ね、平安時代末期から鎌倉時代の前期にかけて、複数の人々によって書かれ、それらが一定の時期に一冊にまとめられたのだろうと考えられている。堤中納言物語という標題がそのときにつけられたか、あるいは後世になってそう呼ばれるようになったか、についても不明であり、いくつかの推測がなされているに過ぎない。
10篇の物語を比較考量すると、相互の類似や相違にもとづいて分類したくなる誘惑を感じる。おおまかに分類すれば、「このついで」「逢坂越えぬ権中将」「貝あはせ」のように王朝的なみやびをテーマにしたもの、「はいずみ」のように「伊勢物語」や「大和物語」同様の説話の形式をとっているもの、「花桜折る少将」「虫めづる姫君」のように猟奇性を押し出しているものなどに分けられよう。そして、王朝的な雰囲気の作品が平安末期に、猟奇的な作品が鎌倉時代に書かれたのだろうと推測される。
平安時代末に書かれたものには、物語合わせとの関連が指摘されている。物語合わせとは、貝合わせや根合わせと同様、宮中における遊戯の一種で、人々が二手に分かれてそれぞれ物語を披露し、その優劣を競うというものだ。遊戯の席上でのことだから、短いボリュームのなかにすぐれた趣向を盛り込んだほうが勝つ。そうした前提が、これらのいくつかの短編物語に独特のウィットを加えさせる推進力になったと考えるわけである。物語合わせからは大量の物語が生まれたと思われるが、それらは全くといってよいほど伝わっていない。その一部が、堤中納言物語のなかに取り入れられて、わずかに伝わったのだと思われる。
一方、「虫めづる姫君」に見られる猟奇性は、ほかに例を見ないユニークなものだ。猟奇性への趣味は、すでに平安時代末の今昔物語集に伺えるが、「虫」の猟奇性ははるかに常識の枠を超えた、意外なものだ。その意外性が、この作品に、日本文学史上独特の地位を与えるもととなっている。
ここでは、堤中納言物語所収の10篇の短編物語について、一つひとつ鑑賞していきたい。テクストには山岸徳平訳注「堤中納言物語」(角川文庫)を用い、管理人による現代語訳と鑑賞上のポイントを付した。
花櫻折る中将(一):堤中納言物語
花櫻折る中将(二):堤中納言物語
花櫻折る中將(三):堤中納言物語
このついで(一):堤中納言物語
このついで(二):堤中納言物語
蟲愛づる姫君(一):堤中納言物語
蟲愛づる姫君(二):堤中納言物語
蟲愛づる姫君(三):堤中納言物語
蟲愛づる姫君(四):堤中納言物語
蟲愛づる姫君(五):堤中納言物語
ほどほどの懸想(一):堤中納言物語
ほどほどの懸想(二):堤中納言物語
ほどほどの懸想(三):堤中納言物語
逢坂越えぬ權中納言(一):堤中納言物語
逢坂越えぬ權中納言(二):堤中納言物語
逢坂越えぬ權中納言(三):堤中納言物語
逢坂越えぬ權中納言(四):堤中納言物語
かひあはせ(一):堤中納言物語
かひあはせ(二):堤中納言物語
かひあはせ(三):堤中納言物語
思はぬかたにとまりする少將(一):堤中納言物語
思はぬかたにとまりする少將(二):堤中納言物語
思はぬかたにとまりする少將(三):堤中納言物語
思はぬかたにとまりする少將(四):堤中納言物語
花々のをんな子(一):堤中納言物語
花々のをんな子(二):堤中納言物語
花々のをんな子(三):堤中納言物語
花々のをんな子(四):堤中納言物語
はいずみ(一):堤中納言物語
はいずみ(二):堤中納言物語
はいずみ(三):堤中納言物語
はいずみ(四):堤中納言物語
はいずみ(五):堤中納言物語
よしなしごと(一):堤中納言物語
よしなしごと(二):堤中納言物語
よしなしごと(三):堤中納言物語