777投稿集 4313715


世界の旅 _ 中南米

1:777 :

2023/12/15 (Fri) 09:43:43

777投稿集
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世界の旅関係投稿集
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世界の旅 _ 中南米


Ori and Kaito _ 南米バイク旅 - YouTube
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Ori and Kaito _ 南米コロンビアの旅 - YouTube
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【アコンカグア】標高約7000mの頂を目指して…!2週間の長期登山 かほの登山日記
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かほの登山日記 アルゼンチン料理は美味しい

【アコンカグアへ向けて出国】30時間超の大移動で登山口へ…!
https://www.youtube.com/watch?v=1j_H5qmWVTg


【アコンカグア①】標高約7000mの頂を目指して…!2週間の長期登山がスタート!
https://www.youtube.com/watch?v=rItT1M1xPEs


【アコンカグア②】吹雪と急登に苦戦!4300mのベースキャンプを目指す!!
https://www.youtube.com/watch?v=K-tCK5CO48w

【アコンカグア③】富士山より高いベースキャンプ!料理・テント・設備をレポートしてみた!
https://www.youtube.com/watch?v=oKzFe__kPV0&t=55s

【アコンカグア④】標高5,000mで高山病の症状が出て大ピンチ…!
https://www.youtube.com/watch?v=wnGJ2LDVcuo&t=31s

【アコンカグア⑤】登頂に向け5500m超のキャンプへ…!体力の限界がついに来てしまったかも…
https://www.youtube.com/watch?v=_n9cj27LcKw&t=40s

【アコンカグア最終回】高山病と体力の限界で歩けない…!?迫るタイムリミット!!登頂なるか??
https://www.youtube.com/watch?v=YIAw3EYcWNQ


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【日本人初】ついにアマゾン川の奥地の村へ到着。猿やピラニアを食べました。
https://www.youtube.com/watch?v=plTozFjYDNU


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ブラジル人おススメ!日本で食べられる母国飯【しらべてみたら】
https://www.youtube.com/watch?v=yeMq4HoJNV8

スペイン人が絶賛する 本格パエリア。
ブラジル人おすすめの家庭料理フェイジョア―ダ。


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ジョーブログ【CRAZY CHALLENGER】

【片道1週間】世界一遠いアマゾン川に行ってきます!
2023/08/04
https://www.youtube.com/watch?v=kQDFRX2reE8&t=1762s

【悲報】アマゾン川で船が故障して遭難しました。助けてください。
https://www.youtube.com/watch?v=PkkSGaEkTbU

【日本人初】ついにアマゾン川の奥地の村へ到着。猿やピラニアを食べました。
https://www.youtube.com/watch?v=plTozFjYDNU&t=363s

【命がけ】ちんやがアマゾン川で謎の病気にかかりました。伝説の植物を探しにジャングルへ
https://www.youtube.com/watch?v=vLgbZFSoktQ

【危険動物発生】ワニ、ピラニア、アナコンダが居るアマゾン川に転落しました。
https://www.youtube.com/watch?v=9Ij7ovqxHGc


【南米縦断】第1話~46話
ジョーブログ【CRAZY CHALLENGER】
https://www.youtube.com/playlist?list=PLdfjtOZHSuVvhg-h7SU_y5tHvtisAuFXE

【南極】世界最南端の大陸に上陸!!
ジョーブログ【CRAZY CHALLENGER】
https://www.youtube.com/playlist?list=PLdfjtOZHSuVtkNLdELUVSG9hxLIMJV2sJ


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アルゼンチン、緩和のやり過ぎで自国通貨を廃止する破目に
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16827761
2:777 :

2023/12/15 (Fri) 19:49:00

youtube で見るブラジル映画

マルセル・カミュ『黒いオルフェ Orfeu Negro』1959年
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14005546
3:777 :

2023/12/21 (Thu) 14:07:28

youtube で聴く南米音楽

南アメリカの作曲家の主要作品とその評価

エイトル・ヴィラ=ロボス Heitor Villa-Lobos(ブラジル リオ・デ・ジャネイロ 1887 - 1959)
https://classic.wiki.fc2.com/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%A9%EF%BC%9D%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%82%B9
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16830702

アルベルト・ヒナステラ Alberto Evaristo Ginastera(アルゼンチン ブエノスアイレス 1916 - 1983)
https://classic.wiki.fc2.com/wiki/%E3%83%92%E3%83%8A%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A9
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16830719
4:777 :

2024/01/22 (Mon) 18:24:13

【海外の反応】「まるで俺の子供時代だ...」日本の名作アニメに現地アルゼンチンの人々から絶賛の声が殺到!!
2024/01/18
https://www.youtube.com/watch?v=OqgvG_hxr1U

1:00 大絶賛の「母をたずねて三千里」、 どんな物語?
4:31 「母をたずねて三千里」の誕生秘話
7:13 海外から絶賛されたもう一つのアニメ、そして大絶賛された理由
12:13 海外の反応
5:777 :

2024/01/22 (Mon) 18:27:53

海外感動!!「まるで俺の子供時代だ...」日本の傑作アニメ作品をアルゼンチンが絶賛!!【海外の反応】
https://www.youtube.com/watch?v=O7FZ7WhdMK8
6:777 :

2024/01/24 (Wed) 19:21:03

中南米の文学者

ホルヘ・ルイス・ボルヘス Jorge Francisco Isidoro Luis Borges Acevedo(アルゼンチン ブエノスアイレス 1899年8月24日 - 1986年6月14日)
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16836718

ガルシア・マルケス Gabriel José de la Concordia García Márquez(コロンビア カリブ海沿岸 1928年3月6日 - 2014年4月17日)
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16836728
7:777 :

2024/02/15 (Thu) 17:09:27

アマゾン川上流域 の2500年前頃にさかのぼる都市化
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16839851



ゲノム革命で明らかになる人類の移動と混血の歴史(ヨーロッパ人の起源&アメリカ先住民の起源) - YouTube
https://www.youtube.com/playlist?list=PLCFG6UvfbQfmuxgnoEeSvAbii1WEnJh0F

アメリカ先住民の起源
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16833139
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/353.html

人類最初のアメリカ到達は16,000年以上前であったことが判明
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/613.html

1-9. 多民族国家 アメリカのY-DNA遺伝子調査
http://garapagos.hotcom-cafe.com/1-9.htm

カリブ海諸島の3200~400年前頃の古代ゲノムデータを報告した研究や、
https://sicambre.at.webry.info/202006/article_12.html

カリブ海諸島の古代ゲノムデータをさらに拡張した研究や、
https://sicambre.at.webry.info/202012/article_34.html

先コロンブス期カリブ海における2回の大きな人類集団の移動
https://sicambre.at.webry.info/202012/article_34.html

アメリカ・インディアンの遺伝子 _ ハプログループ Q (Y染色体)
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/179.html

北アメリカ北西海岸 トーテムポール
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16831890

なぜ日本食は世界で人気があるのか _ ネイティブアメリカン料理
http://www.asyura2.com/12/idletalk40/msg/487.html
8:777 :

2024/05/20 (Mon) 09:28:09

アルゼンチン映画「ルイーサ」:地下鉄を舞台にした弱者の仕事ぶり
続壺齋閑話 (2024年5月20日 08:17)
https://blog2.hix05.com/2024/05/post-7821.html#more

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2008年のアルゼンチン映画「ルイーサ(Luisa ゴンサロ・カルサーダ監督)」は、孤独な初老の女の悲惨な暮らしぶりを描いた作品。ブエノス・アイレスの地下鉄を舞台に、押し売りや乞食のまねをしながら、必死に生きようとする老女の姿が印象的な作品だ。こういう映画を見せられると、アルゼンチンは厳しい格差社会であり、白人といえども、いったん転落するとなかなか浮かび上がることができない過酷な社会だと思わせられる。

猫と一緒にブエノス・アイレスのアパートで暮らしながら、霊園管理の仕事とメードの仕事をかけもって生活している初老の女が主人公だ。その猫が死んでしまい、また、二つの仕事もクビになってしまった老女は、とりあえず猫の葬式をやりたいと思うのだが、金がない。雇い主たちは、退職金をくれないばかりか、給料まで未払いだったのだ。そこで老女は、金をかせぐためにさまざまな苦労をする。とはいえ、彼女は長い間職場とアパートとの間をバスで往復するだけの生活になれ、都会で生きるために必要な知識を持ち合わせていないのだった。何しろ地下鉄の乗り方も知らないのだ。だが、なんとか努力して、町の中を一人で歩けるようになると、手っ取り早く金を稼げる道をさぐる。最初は、地下鉄の社内でカードを押し売りする仕事をするが、これが全くうまくいかない。誰からも相手にしてもらえないのだ。

そのうち、地下鉄駅のホームで乞食の様子をうかがっていると、結構いい稼ぎをしているのに気づく。アルゼンチンの市民は、押し売りには冷たくても、身体に障害のある乞食には慈悲深いようなのだ。そこで老女は、その乞食のいた場所を横取りし、自分が布施をもらうようにすると、結構実入りがよいのに満足する。前にいた乞食が抗議すると、ではコンビを込んで一緒に仕事をしようと持ちかける。男のほうは脚がないことを売り物にしているので、老女は盲目を売りものにすることを考える。

かくして夫婦を装った二人は、なんとか二人仲良く生きていく道を見つけるというような内容だ。小銭ができた老女は、長い間冷凍庫に保存していた猫の遺体を焼却し、その灰を、自分の夫と子供の墓の傍らに埋めてやるのだ。

こんなわけで、アルゼンチン社会が弱者にとって生きにくい社会であることを徹底的に皮肉っている。この映画は、ブエノス・アイレスの地下鉄会社が事業PRのために実施したキャンペーン事業に応募した脚本を映画化したものだ。地下鉄会社としては、地下鉄が弱者のために役立っているよう描かれていることに満悦したのかもしれない。
https://blog2.hix05.com/2024/05/post-7821.html#more
9:777 :

2024/05/22 (Wed) 10:11:48

アルゼンチン映画「瞳は静かに」:少年の見た社会と人間関係
続壺齋閑話 (2024年5月22日 08:58)
https://blog2.hix05.com/2024/05/post-7823.html

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2009年のアルゼンチン映画「瞳は静かに(Andres no quiere dormir la siesta)」は、一少年が社会のありかたや人間の生き方について、しだいに学んでいく過程を描いている点では、一種の教養映画といえる。だが、主人公のアンドレスは、まだ十歳ほどの年齢で、社会や人間関係について学べるような柄では本来ない。ところがその幼い少年がいやでもそれらを学ばざるを得ないのは、彼の生きている社会が過酷なためである。そんなふうに感じさせる作品である。

アンドレスは、母親と兄との三人暮らし、父親は別居している。夫婦の仲が悪いからだ。母親は、別の男を家に連れ込んだりするので、おそらく婚外性交をしているのであろう。だが、経済的には夫に依存し、生活費をもらいに子供を使ったりしている。アンドレスは友達もいるし、性格的にもとくに問題はない。問題は不仲な両親がもたらすのだ。その両親のうち、母親が車にはねられて死んでしまう。なぜかアンドレスは、深い悲しみを感じないようだ。かれが感じるのは、父親と一緒に暮らすことの不都合さだ。彼は父親を愛していない。父親は粗暴だし、また抑圧的にふるまう。アンドレスは抑圧されるのがいやなのだ。唯一慰められるのは、父親と一緒に住んでいる祖母だ。祖母はやさしい。息子には遠慮があるが、アンドレスとその兄、つまり自分の孫たちは大事にする。そこがアンドレスにとって救いになる。

たいした変化は起こらない。もっともショッキングな出来事は、家の前で女性が暴力を振るわれる場面を、アンドレが窓越しに見ることだが、それはアルゼンチン社会の宿痾の象徴のようなシーンだった。この映画の中のアルゼンチン社会は、治安が乱れており、政治が混沌とし、人々が政府とか秩序といったものを信じられない社会なのだ。そうした社会で生きるには、相応の覚悟がいる。ちょっとした暴力は日常茶飯事だから、いちいち反応してはいられない。自分や家族を守ることが肝心な振る舞いなのだ。

この映画には、白人しか出てこない。先住民は影さえもうつらない。小生は、アルゼンチンについてほとんど知識がないが、メキシコやブラジルと比較して、アルゼンチンは白人の割合が飛びぬけて多く、有色人種や混血の人間は無視できるほど少ないのであろうか。それとも、有色人種がいることはいるが、映画で取り上げるほどの価値はないと思われているのか。その辺が知りたいところだ。

なお、原題は「アンドレスは昼寝をしたがらない」という意味だが、この映画の中の普通のアルゼンチン人は、昼寝が好きなようである。
https://blog2.hix05.com/2024/05/post-7823.html
10:777 :

2024/05/24 (Fri) 09:38:02

アルゼンチン映画「瞳の奥の秘密」 正義の自力での実現
続壺齋閑話 (2024年5月24日 08:15)
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2009年のアルゼンチン映画「瞳の奥の秘密(El secreto de sus ojos フアン・ホセ・カンパネラ監督)」は、殺人事件の犯人を捜すサスペンス映画。とはいえ、実際の時間に沿ったものではなく、ある人物の回想と絡み合った話に仕立ててある。サスペンスの進行に、過去のシーンがフラッシュバックされて回想されるのである。

裁判所を定年退職した元下級判事エスポシトが主人公。かれは25年前にある殺人事件を担当したのだが、その事件を小説に書きたいと思っている。そしてその計画を元上司に持ち掛ける。女性判事である元上司イレーネを執筆計画に巻き込むことで、過去に起きた殺人事件の真相を明らかにしたいと思っているのだ。その殺人事件というのは、若い女性が自室で強姦されたうえ、無残に殺されたというもの。その事件の容疑者二人を警察が割り出すが、エスポシトは一目で、でっち上げだと見抜く。どうもアルゼンチンの警察は、自分らの仕事をうまくみせるために、無実の人間に罪をなすりつける体質があるらしい。

エスポシトは同僚のパブロと組んで事件の解明に乗り出し、犯人のめぼしをつける。そして被害者の同郷人だという若い男ゴメスに狙いをつける。古い写真に被害者と一緒に写っているゴメスは常に被害者を見つめている。そこからかれらは、ゴメスの欲情が殺害の動因だろうと見当をつけるのだ。がむしゃらになってゴメスを捕まえるが、逮捕の決め手がなく釈放せざるを得なくなる。ゴメスの背後には、不気味な力が働いているらしい。というのも、同僚のパブロが何者かに殺されるからだ。パブロはどうやらエスポシトの身代わりになったようである。

こうして事件は迷宮入りした。なぜそんなことになったのか、エスポシトは改めてこの事件を追い、それを小説に書きたいというのだ。それにイレーネが協力する。エスポシトは、被害者の夫モラレスにも連絡をとる。モラレスがこの事件に異常なかかわりをみせ、犯人を見つけたいという執念に燃えていたからだ。ところが会ってみると、過去のことは忘れたほうが良いと、意外なことをいう。あの事件はもう片付いたというのだ。エスポシトが不審に思うと、実はゴメスは、モラレスによって監禁されていたのだ。モラレスはかつてエスポシトに向かって、犯人を終身刑に服させたいと語っていた。その思いを自分が実行したというのだ。無能な司法当局に期待できないのであれば、自分が自ら実行せざるをえないというのである。アルゼンチンでは、正義は自力で実現することが必要だ、というわけだ。

そんなわけで、単なるサスペンス映画ではなく、アルゼンチンの腐敗した司法機関を強烈に批判した作品である。
https://blog2.hix05.com/2024/05/post-7825.html#more
11:777 :

2024/05/27 (Mon) 08:35:18

笑う故郷:アルゼンチン流人情劇
続壺齋閑話 (2024年5月27日 08:16)
https://blog2.hix05.com/2024/05/post-7831.html

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2016年のアルゼンチン・スペイン合作映画「笑う故郷(El ciudadano ilustre  ガストン・ドプラット監督)」は、アルゼンチンの小さな地方都市が舞台のアルゼンチン流人情劇というべき作品。アルゼンチンにかかわりのある映画はそれまでほとんど知られていなかったので、ヴェネツィアをはじめ世界の各地で紹介された際には大きな反響を呼んだ。日本でも東京映画祭で上映され話題になった。東京映画祭では原題の「名誉市民」がタイトルとされた。

ノーベル文学賞を受賞した高名な作家が、40年ぶりに故郷の街に錦をかざり、思いがけない事態に巻き込まれるさまを描く。この気むつかしい作家は、滅多に招待に応じないのだが、年老いたせいもあって無性に故郷が恋しくなり、一人で出かけていくのだ。彼には、名誉市民の称号が用意されていて、市民から大歓迎される。その上、昔の恋人とか親友に会い、大いに歓待されてよき思い出にふける。さらに若い女性が投宿先のホテルにやってきて、豊満な肉体で歓待される。すっかり恐れ入った作家は、次第に町の空気が変わっていくのに気づく。町の住人には彼に反感を持つものがあって、講演会に押しかけてはかれを罵倒したり、物理的な脅威感を与えたりする。あまつさえ、親友の態度が一変する。この親友は、妻が昔の恋人である作家に夢中になっているのが気にいらないばかりか、どうやら自分の娘まで作家に寝取られたことを知るに及び、作家への攻撃を仕掛けるのだ。作家はほうほうのていでヨーロッパに逃げ帰るが、故郷の街で受けた仕打ちに怒ることはない。むしろよい人生経験になったと満足するのだ。

こういう設定は、日本を含めてあり得ないことと思うのだが、アルゼンチンでは不思議ではなく、人々は、この作家の小説の中の世界同様、不可思議な現実を生きている、といったようなメッセージが伝わってくるように作られている。ちなみに主人公の作家は、さも実在の人物のように描かれているが、アルゼンチン人でノーベル文学賞を受けた作家はいないはずなので、これはあくまで創造された人物像のようである。そこまでして、こんな映画をなぜ作ったのか、それは製作者に聞かなければわからない。

アルゼンチン人というのは、激しやすい国民性だと伝わってくる。激すると何をするかわからない。しかもそこから冷静な状態に戻ることがない。激しっぱなしなのである。こういう国民性の人々とは、すくなくとも小生のようなものにとっては、非常に接しづらいものを感じる。
https://blog2.hix05.com/2024/05/post-7831.html
12:777 :

2024/05/29 (Wed) 13:11:20

アルゼンチン映画「家へ帰ろう」  ユダヤ人のホロコーストの記憶
続壺齋閑話 (2024年5月29日 08:19)
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2017年のアルゼンチン・スペイン共同制作映画「家へ帰ろう(El último traje パブロ・ソラルス監督)」は、一ユダヤ人のホロコーストの記憶をテーマにした作品。そのかれの人生最後の行動を、ロード・ムーヴィー風に描きながら、自分自身のホロコースト体験を回想の形で再現する。

主人公はブエノスアイレスに暮らす老人。高齢になって娘たちから厄介者扱いされる。老人施設に入れたうえで、遺産の取り分をもらおうというのだ。あきれ返った老人は、人生最後の日々を自分のために過ごそうと決意する。かれには果たしていない約束があった。ホロコーストを生き延びた時に、仲のよかった友人に世話を受けたことで、ポーランドからアルゼンチンへ移住するに際して、かならず連絡すると約束していながら、まだそれを果たしていなかった。そこでかれは、それを果たしてから死にたいと思い、一人ポーランドを目指すのだ。

そのポーランドへ向かう旅が、この映画の大部分を占めるから、形式的にはロード・ムーヴィーである。単純なロード・ムーヴィーでないことは、その旅の途中に、折に触れてホロコースト体験が回想されるところだ。そのためこの映画は、ナチスによるホロコーストを厳しく追及する内容になっている。ホロコーストを糾弾する映画は、それこそ星の数ほど作られ、もはや語り尽くされた感がないでもないが、21世紀になってもまだ、こんな映画が作られるのは、それほど深刻なものだったわけだ。

老人のナチスへの憎しみは深い。かれは自分の目の前で父親が頭を打ちぬかれるのを見、幼い妹が始末されるのを見た。だから、その憎しみのために、ポーランドへ向かう途中ドイツの地を踏むことに拒否感を覚える。そんなかれを、さまざまな人々が支えることで、ようやくポーランドのワルシャワにたどり着き、そこで知り合った病院の看護婦につきそわれて、かつて自分の暮らしていた家(ウッジにある)を訪ねる。そこには、もし今でも生きていたら、友人がいるはずなのだ。その友人は生きていた。二人は数十年ぶりに感動の再会をはたす、といった内容だ。

アルゼンチンは、もともとユダヤ人が多く住んでいたようで、ホロコーストへの関心は高かったようである。また、戦後ナチスの残党が多数身を寄せたという経緯もある(アイヒマンはアルゼンチンでイスラエル警察につかまった)。だからホロコースト問題は、簡単には風化しなかったのだと思う。

なお、老人が娘たちから虐待されるところは、「リア王」をモデルにしているのだろう。
https://blog2.hix05.com/2024/05/post-7834.html#more
13:777 :

2024/05/31 (Fri) 11:02:17

アルゼンチン映画「アルゼンチン1985」 軍事独裁政権の指導者に対する裁判
続壺齋閑話 (2024年5月31日 08:12)
https://blog2.hix05.com/2024/05/1985.html#more

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2022年のアルゼンチン映画「アルゼンチン1985(Argentina, 1985)」は、1976年から1983年まで権力を握っていた軍事独裁政権の指導者に対する裁判をテーマにした作品。裁判の対象となった軍事政権は、ペロン政権をクーデターによって倒すと、批判勢力への弾圧を強化し、おびただしい数の市民が殺害されたり行方不明になったりした。1983年に軍事政権が倒れて急進党が政権を握ると、大統領のアルフォンシンが、軍事独裁政権の首謀者たちを、殺人や拷問などの犯罪容疑で裁く方針を示した。この方針に基づいて、1985年に裁判が開かれ、容疑者たちは有罪になった。その裁判の過程を描いたのがこの映画である。

一応事実から着想したとアナウンスしているから、裁判の過程の大枠は事実なのだろう。だが、裁判を具体的に担当した当事者たちの思考とか行動については、ドラマ化に必要な範囲でフィクションが混じっているのかもしれない。

裁判は、順調に進んだわけではなく、検察官をはじめ当事者たちには多大な心理的負担がのしかかった。その理由は、政治権力を失ったとはいえ、軍はまだ強大な力をもっており、その指導者たちを裁くことは、軍全体を敵にまわしかねない。当時は、民政が成立したばかりで、アルゼンチンの政情は安定しておらず、いつなんどき軍政が復活しないともかぎらず、軍を敵にまわすことは多大なリスクがともなった。また、軍は警察をはじめ、各方面に影響力をもっていて、裁判官や検察官を脅迫する能力も持っていた。そういう状況の中で、軍の幹部を裁判にかけるのは、無謀なことにも思えたし、また、具体的な犯罪を軍の幹部に結びつけるのも、膨大な努力を要することだった。

そんな状況を前提として、検事と副検事が結束し、大勢の若者をスタッフに加えて、膨大な数の犠牲者について、犯罪の内容を詳しく実証し、裁判を有利に進行させねばならない。検事は、家族への脅迫など、心理的な負担が高まるのをこらえながら、強靭な意思を保ち続け、ついには裁判に勝利する、といったような内容である。

この映画を見ると、アルゼンチンの軍事政権がいかに凶暴だったかということを感じさせられる。これは軍事政権に限ったことなのか、あるいはアルゼンチンの政治権力全般に少なからず認められる特徴なのか、小生にはわからない。なお、当時の軍事政権が倒れたのは、対英フォークランド戦争に敗れ、国民の支持を失ったからだといわれる。

主役の検事を演じたリカルド・ダリンは、「瞳の奥の秘密」(2009)で、判事の部下を演じていた。こういう役柄が似合うようである。
https://blog2.hix05.com/2024/05/1985.html#more
14:777 :

2024/06/17 (Mon) 11:59:30

【チリ】この国はなぜこんなにも細長いのか?領土を拡大していったチリの歴史!
世界史解体新書 2024/06/16
https://www.youtube.com/watch?v=imA8tA2Xxro
15:777 :

2024/07/13 (Sat) 21:46:00

ハイパーインフレのアルゼンチン大統領、紙幣印刷が経済を悪化させる理由を語る
2024年7月13日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/51206

アルゼンチン大統領にしてオーストリア学派の経済学者であるハビエル・ミレイ氏がMilken Instituteにおけるインタビューでインフレと紙幣印刷について語っている。

転落したアルゼンチン経済

ミレイ氏が大統領を務めるアルゼンチンはかつて経済大国だった。ミレイ氏は次のように語っている。

アルゼンチンは、1860年に自由主義的な憲法を採用してからたった35年で世界に名だたる大国となった。

野蛮人の国からGDPがブラジル、メキシコ、パラグアイ、ペルーの合計よりも多い国となり、ラテンアメリカ諸国にある鉄道網の合計よりも巨大な鉄道網を有する国になった。

ブラジルはBRICSの一角であり、世界8位の経済大国だが、元々はアルゼンチンの方が大国だったのである。

しかし今やアルゼンチンはハイパーインフレと債務不履行の国として知られ、そうした社会的混乱のさなか経済学者のミレイ氏が大統領として選出された。

繁栄していたアルゼンチン経済に何が起きたのか。ミレイ氏は次のように説明している。

しかしこの絶頂の最中、アルゼンチンの指導者たちは手に入れた富をすべての人に分け与えるという善意の考えから、人々の限りない需要を政府が満たし続けるべきだという誤った社会正義の教義を実行し始めた。

アルゼンチンがハイパーインフレと通貨暴落を味わうようになったのは、際限のない政府支出と紙幣印刷が原因である。

政府支出は通常経済的に困っている人々を助けるという名目で行われる。だが日本でもガソリンへの補助金が消費者ではなく業者の懐に消えてゆくように、それはしばしば経済的に困っている人々のところへは届けられない。

だがミレイ氏はそもそも経済的に困っている人々を政府支出で助けるという考え方自体が国の経済に貧困をもたらすと主張する。

ミレイ氏は次のように述べている。

そうした考えに現実は味方していない。好む好まざるにかかわらず、人々の需要は無限で、資源は有限だ。

政府がいくらでも紙幣を印刷すれば経済問題は解決するという考え方がある。だが考えてほしいのだが、例えば国中のすべての人が紙幣を印刷する以外の仕事を辞めたらどうなるだろうか?

明らかに国民は紙幣以外のものを手にできなくなる。この程度の思考実験で明らかになる通り、経済の問題とは供給される商品とサービスの量の問題であり、流通する紙幣の量の問題ではないのである。

アルゼンチン経済の没落

このように、何でも政府が解決するという考え方を政治家と国民の両方が支持した結果、ミレイ氏によればアルゼンチンには次のようなことが起きた。

政府と経済に関するこうした考えの結果、政府支出は劇的に増加した。

だから政府はまずアルゼンチン国民を税金で窒息させようとした。それで十分でなければアルゼンチンの黄金時代に蓄えた外貨準備を取り崩し始めた。

アルゼンチンはデフォルトを繰り返し、誰もアルゼンチンにお金を貸してくれなくなった時、政府は無制限の紙幣印刷を開始した。

政府債務は何らかの形で返されなければならない。徴税か、紙幣印刷か、あるいはデフォルトである。

ガンドラック氏: 米国債が債務減免される可能性


アルゼンチンはそれらすべてを経験した。上記のうち紙幣印刷に問題がないと主張したのがインフレ主義者たちだが、アメリカでは物価が高騰し、日本では通貨暴落が起きた。

日銀の植田総裁が円安を止められない理由


日本では税率も有り得ないほど高い水準になっている。だが政府支出の恩恵は苦しむ国民とは別のところにだけ流れて行っている。

レイ・ダリオ氏: 日本経済は最悪だ、米国の政府債務は5年以内に破綻する


「先進的」なアルゼンチン経済

アルゼンチンは日本やアメリカの先を行っているという点で先進的である。そのアルゼンチンがどうなったかと言えば、ミレイ氏によれば次のようになった。

当然の結果として、アルゼンチン国民は構造的な貧困から逃れられなくなり、1人当たりGDPは世界140位にまで転落した。

税金の増加、通貨の下落、インフレ、そしてGDPの順位の凋落。まるで何処かの国のようではないか。これでも自分の国はアルゼンチンとは違うと主張できるだろうか。

だからこそアルゼンチンの大統領であるミレイ氏は、西側諸国に同じ失敗をしないように語りかけているのである。

そのために必要なことは政府支出に依存しない自由な経済である。どういう商品やサービスが必要かを政府ではなく消費者が決める自由主義経済である。

だが政府支出を支持する人々には自由主義経済は敵視される。貧しい人々を助けないのかということである。

だがミレイ氏がダボス会議で言っていたように、自由主義経済による経済成長こそが世界人口の大半を貧困から救い、政府支出がもたらすインフレや通貨下落が貧困を増やしているのである。


ミレイ大統領: 政府主導の経済が自由市場の経済に勝てない経済学的証拠
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/48815


自由主義経済を敵視する「倫理的な」人々

だからミレイ氏は、貧しい人々を助けるべきだと主張し、自由主義経済に反対する人々に次のように問いかける。

なぜ学者たちや国際機関、政治家たちは地球の人口の90%を酷い貧困から救った経済システムを敵視するのだろうか?

なぜ西側諸国は歴史的に何度も失敗している実験にこだわり続けるのだろうか?

インフレ主義者たちはデフレが問題だと言う。だがなぜデフレになったのか? デフレとはものが売れない状態である。なぜ売れないのか? 政府支出によって消費者が欲しくもないものが大量に作られたからである。

海外の左派のように、政府支出によって貧しい人々を助けようとする人々に対して、ミレイ氏は次のように言っている。

自由市場では資本主義者が絶え間ない利益追求によってより良い商品やサービスをより安い価格で提供するようになっている。

政府の介入を好む人々は、この市場の大切な役割を阻害するだけに留まらず、互いに自画自賛して社会正義のメダルを与え合い、最終的には共産主義に通じる価値観を推進して経済を酷い状態にする。

自由主義経済ならば、消費者が欲しくもないものは作られない。だがインフレ主義者たちは政府支出によって不要なものを経済にばら撒き、デフレを引き起こし、デフレを是正するために紙幣をばら撒いてインフレを引き起こす。

そういうことをしながら海外の左派たちは自分たちは財政支出で貧困層を救ったと主張する。日本はやや特殊である。日本では口実などなくとも政治家が好き放題やることを国民が認めるからである。

結論

いずれにしてもそのようにして経済は沈んでゆく。それはまさに共産主義の最期と同じである。インフレ主義が本質的には共産主義と同じものであることは、インフレになるよりも前にレイ・ダリオ氏が指摘していた。

世界最大のヘッジファンド: 共産主義の悪夢が資本主義にのしかかる (2020/5/17)
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10831


このプロセスで得をするのは政治家だけである。政治家(とそのばら撒きを受ける業者)だけは利益だけを得て罰せられることなく颯爽と去ってゆく。

ミレイ氏と同じオーストリア学派の経済学者であるフリードリヒ・フォン・ハイエク氏が『貨幣論集』において次のように言っていたことが思い出される。

しかし、短期において支持を獲得することができれば、長期的な効果について気にかける政治家が果たしているだろうか。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/51206
16:777 :

2024/12/02 (Mon) 23:05:11

【ペルー】日系人が多い南米の観光大国!なぜこんなに日系人が多いのか
世界史解体新書 2024/12/02
https://www.youtube.com/watch?v=Zp8twhN93Sc
17:777 :

2024/12/22 (Sun) 19:11:18

アルゼンチン経済 奇跡の復活へ アルゼンチンのトランプ ミレイ大統領の経済政策【朝香豊の日本再興チャンネル】
朝香豊の日本再興チャンネル 2024/12/22
https://www.youtube.com/watch?v=iBw4LMTkhjk
18:777 :

2024/12/26 (Thu) 21:04:51

ミレイ大統領: トランプ政権は限界まで政府支出を削れ
2024年12月26日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57557

アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領がレックス・フリードマン氏の動画配信で、アメリカの新トランプ政権に対して助言を送っている。

ハイパーインフレを退治した大統領

アルゼンチンのミレイ大統領は、アルゼンチンが200%を超えるハイパーインフレに襲われている中で当選し、インフレ率を2.7%にまで押し下げた傑物である。

ミレイ氏はそれをどうやってやったか? 政府支出を極限まで押し下げたのである。ミレイ氏が当選して最初にやったのは閣僚の数を半分にすることだった。

新アルゼンチン大統領のミレイ氏、経費削減のため閣僚の半分を削減する
それはインフレを引き起こしたインフレ政策を討ち滅ぼすことだった。

更にはミレイ大統領は最近、税金の9割を廃止し、最高でも6種類の税金だけを残すことを表明した。これは税額の話ではなく、税金の種類の話である。税制を簡素化することで煩雑な事務手続きを撤廃し、政府の支出を極限まで減らそうというわけである。

ミレイ氏は本気だ。無駄な政府支出を切り落とし、ハイパーインフレを退治した上に、IMFは2025年のアルゼンチンの経済成長率を5%と見積もっている。

ミレイ氏は政府の経済への介入を悪と見なすオーストリア学派の経済学者であり、自分の学説を自分の経済政策で証明したわけである。

ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
ミレイ大統領: 政府は国民への納税の強要によって成り立っている
トランプ政権とミレイ大統領

さて、トランプ政権は今、アメリカのインフレを悪化させずに経済成長を実現させるという難事業を強いられている。

大統領選挙後のトランプ氏、インフレを起こさずに株価上昇を引き起こす余地があるか?
そんなトランプ政権にとってインフレを退治して経済成長を実現したミレイ氏は師のような存在である。トランプ氏から政府効率化省(DOGE)の設立を任じられたイーロン・マスク氏とヴィヴェック・ラマスワミ氏はミレイ氏の改革を賞賛している。

マスク氏とミレイ氏はTwitter上でよく交流しており、4月にはテキサス州のTeslaの工場で顔を合わせている。

政策でトランプ政権の先を行くミレイ氏はトランプ氏について何と言っているか。

ミレイ氏は先ずトランプ氏はリベラル派の価値観に抵抗していることを称賛し、次のように述べている。

トランプ大統領についてわたしが尊敬することがいくつかある。

トランプ氏は現在行われている文化的な闘いの本質を理解している。トランプ氏は社会主義に反対することを公言している。彼の主張は公に社会主義を敵としている。彼はリベラル派のウィルスを理解しており、その本質を理解していることは大きな価値をもつ。

ミレイ氏はよほどのリベラル嫌いらしい。それは彼の経済学上の信念と結びついている。オーストリア学派の経済学では、公共事業や政府による規制には何の倫理的根拠もないからである。それは他人から金や権限を盗んで自分(あるいは自分の票田)の政治的目的のために自由に使うことである。

ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
彼らは「貧しい人々に補助金を与えずに放置するのか」と言うだろうが、その資金源は常に他人の財布である。自分の金でやれば誰も文句を言わないのだが。

トランプ政権は政府支出を削減できるか

さて、より重要なのは、トランプ政権がミレイ大統領のように、政府支出を削減した上で経済成長を実現できるかどうかである。

ミレイ氏は自分の友人でもあるマスク氏ら政府効率化省の職員に対して次の言葉を送っている。

限界まで支出を削減することだ。限界までだ。たったそれだけだ。

わたしの助言は最後までやり切ることだ。限界まで削減する。決して諦めてはならない。油断するな。

本当に限界まで支出を削減し、ハイパーインフレのアルゼンチンを財政黒字にしてしまったミレイ氏の言うことは違う。

だがミレイ氏と同じことがマスク氏らに出来るだろうか。アルゼンチンでは、ハイパーインフレという状況がミレイ氏の過激な経済政策に政治的な支持を与えた。

アメリカの大統領選挙ではトランプ氏と共和党は勝利したとはいえ、ミレイ氏と同じくらい過激なことが出来るだろうか。財務長官を任せられているスコット・ベッセント氏の支出削減に関する言葉はやや歯切れが悪い。

ベッセント氏: 米国の債務問題にはアメリカの覇権がかかっている
ミレイ氏もマスメディアなどの強烈な抵抗に遭ったように(ミレイ氏は「彼らはわたしの愛犬までも標的にする」と言っている)、もしマスク氏らが本気であらゆる政府支出を削減しようとすれば、あらゆる抵抗に直面するだろう。

だがミレイ氏は次のように言っている。

政府支出を削減する主義主張には決して政治的な目的はない。何故ならば、最後には自分の権力も破棄してしまうからだ。

もちろん不満を言う人々もいるが、それは特権を失う人々だ。彼らは何故自分たちがそういう特権を持つべきなのかを説明しなければならなくなる。そしてそれは彼らにとって気まずい状況だ。

興味深いのは、日本で自民党が多少その立場に置かれ始めていることだ。国民民主党が減税を主張し、自民党がそれに反対する度に自民党は自分の腹の中をさらけ出さなければならなくなっている。

だが国民民主党も減税は公約にしているが、支出の削減は公約にしていない。それが日本とアルゼンチンの大きな差である。

結局、アルゼンチンが緊縮財政に耐えられたのは、ハイパーインフレとどちらが良いかという現実を突きつけられたからである。

日本人もハイパーインフレを突きつけられるまで、同じ道を選ぶことは出来ないのだろうか。

レイ・ダリオ氏が 『世界秩序の変化に対処するための原則』で解説している通り、歴史上の多くの国はそのシナリオを辿っている。日本はどうなるだろうか。日本人の賢明さが問われている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57557
19:777 :

2024/12/28 (Sat) 07:08:44

ミレイ大統領: 自由と財産の権利を擁護し暴力に反対するならば政府はなくなる
2024年12月27日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57587

アルゼンチンをハイパーインフレから救った大統領であり、オーストリア学派の経済学者でもあるハビエル・ミレイ氏が、レックス・フリードマン氏のインタビューで自身の経済学的信念について語っている。

ハイパーインフレを打ち砕いたミレイ氏

アメリカでは新トランプ政権が政府効率化省を設立してイーロン・マスク氏をトップに据え、政府の無駄を削減し財政赤字の問題を解決しようとしている。

サマーズ氏: アメリカは財政赤字増加による軍事力減少で大英帝国の衰退に近づいている
だが世界にはそれを既に成し遂げている政治家がいる。マスク氏の友人でもあるミレイ氏である。

ミレイ氏は200%を超えるハイパーインフレとなっていたアルゼンチンで、それまでのインフレ政策を一層し政府支出を極限まで抑えることで、インフレ率を年率2%台にまで抑えた上で2025年には5%の経済成長率を達成すると予想されている。

これまでの政治家は政府支出を増やすことでGDPを増やすと標榜し、無駄な公共事業と政府債務を積み上げてきたのに、ミレイ氏は政府支出を削減することで経済成長を実現しようとしている。

ミレイ氏の経済思想

ミレイ氏はどういう考えのもとそれを行なっているのか? 例えば東京五輪やGO TOトラベルのように、政治家が行なう政府支出は経済改善のためではなく自分と票田を潤すためのものであり、それが無い方が経済はよく回るというのは、経済学者でもあるミレイ氏が信じるオーストリア学派の経済学の基本的信条でもある。

例えばオーストリア学派の代表的な経済学者であるフリードリヒ・フォン・ハイエク氏は無制限の政府支出の根幹にあるのは政府の通貨発行権だとして、通貨発行を民間にも許し政府の通貨と競争させるべきだと著書『貨幣発行自由化論』で主張している。

ハイエク氏: 通貨を政府がコントロールしなければならないというのは根拠のない幻想
だがミレイ氏自身はどう考えているか。彼は次のように述べている。

厳密に言えばわたしは無政府資本主義者だ。わたしは政府を軽蔑している。暴力を軽蔑している。

わたしはリベラリズムの定義として、アルベルト・ベネガス・リンチ氏の定義を取り上げたい。それはジョン・ロックによる定義とほぼ同じものだ。それは「リベラリズムとは人の生活と自由と財産の権利を擁護し、他者を侵害しない原則に基づき、他人の生活上の活動を無限に尊重することである」というものだ。

政治や経済の記事を普段から読んでいる読者は「リベラリズムとはそういうものだったか?」と思ったに違いない。だがミレイ氏の言うように、リベラリズム(自由主義)の本来の定義はこちらなのである。自由を擁護し、政府による政治家都合の税制や規制を悪とみなす。

しかしここ数十年の変化によっていつの間にかこの言葉は、SDGsなどの奇妙な政治的イデオロギーを持った一部の人々が政府を通してその考えを他人に強要するためのものに変わってしまった。

本当のリベラリズムとは

ミレイ氏は軽蔑の対象として政府と暴力を並べている。なぜこの2つが並ぶのか。それは、政府が人々が必ずしも同意していない資金の移動や規制を強制するからである。

ハイエク氏は、政治家による現金給付を他人から無許可に財産を取り上げて自分の票田にばらまくことだと主張していた。

ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
ミレイ氏は更に踏み込んで政府の本質は納税の強要だと述べたことがある。

ミレイ大統領: 政府は国民への納税の強要によって成り立っている
そしてこの強要は、究極的には警察という軍事力によって行われている。納税の強要に従わなければ武力で罰を与えるというわけである。だが政治家が誰かから資産を没収して勝手に他の誰かに与えることに何の正当性があるのか。

税制とは暴力である

だからミレイ氏の意見では、あなたが暴力に反対するとき、論理的には税制にも反対しなければならないのである。

ミレイ氏は次のように述べている。

この考えにたどり着いた時、あなたはもう既に事実上無政府資本主義者なのだとわたしは言いたい。

だがミレイ氏は本当に政府を完全になくしてしまおうとしているわけではない。ミレイ氏は次のように続けている。

この考えはわたしの理想の世界を表している。それは理想の世界なのだ。

だが現実には多くの制約がある。いくらかの制約は取り払える。いくらかは取り払えない。だから現実の世界では、わたしは最小国家主義者だ。政府の規模を最小化することを主張する。規制もできるだけ多く取り除く。

そしてミレイ氏はそれを実現した。トランプ政権の政府効率化省も、恐らくはミレイ氏の政策からの借用である。ミレイ氏は次のように述べている。

われわれには規制緩和省というものがあって、毎日1〜5個の規制を撤廃している。

結果どうなったか? 財政赤字を撒き散らしてハイパーインフレに陥っていたアルゼンチンは、ミレイ氏の政府支出の削減によって12年ぶりの財政黒字を達成している。

そして支出を減らしたにもかかわらずアルゼンチンは2025年に高い経済成長を実現しようとしている。

そして株価は大きく上がっている。アメリカに上場しているアルゼンチン株ETFは、2023年11月のミレイ氏の当選以来株価が倍に上がっている。


無駄を減らせば効率は良くなる。そういう当たり前のことをハイエク氏らオーストリア学派の経済学者はもう100年近く言い続けているのだが、これまで誰も耳を貸して来なかった。

だが世界がインフレになって始めて、人々はインフレ政策に反対してきたオーストリア学派の言葉にようやく耳を貸そうとしている。やや遅いのではないか。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57587
20:777 :

2024/12/29 (Sun) 04:57:07

ミレイ大統領、インフレ政策を永遠に続けるとどうなるかを語る
2024年12月28日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57641

アルゼンチンのハイパーインフレを打倒した大統領でオーストリア学派の経済学者でもあるハビエル・ミレイ氏が、レックス・フリードマン氏のインタビューで大統領就任時のアルゼンチン経済の状況について語っている。

アルゼンチンのハイパーインフレ

ミレイ氏はアルゼンチンのハイパーインフレを終わらせるべく当選したアルゼンチンの大統領である。

オーストリア学派の経済学者でもあるミレイ氏は、政治家の野放図な財政支出がインフレと政府債務の悪化をもたらしていると批判し、インフレ政策を停止してハイパーインフレを終わらせると公約した。

ミレイ氏は大統領に就任した2023年12月のアルゼンチン経済の状況を次のように振り返っている。

われわれが政権入りした12月の第1週には、インフレは1日で1%上昇しており、それはつまり年率に換算すると3,700%になる。そして12月の半ばには年率7,500%まで上がっていた。

去年の12月、卸売価格のインフレは1日に54%だった。それは年率では17,000%ということになる。しかもアルゼンチン経済はそれまで10年成長していなかった。1人当たりGDPはおよそ15%下落していた。そして人口のほぼ半分が貧困状態にあった。

自国通貨がまったく信用できない途方もない状況である。それはミレイ氏以前の政治家たちが自分と自分の票田を利するために財政支出を続けたことで起こった。

ミレイ氏は次のように述べている。

より細かい議論に入れば、財政赤字はGDPのおよそ15%に達していた。そのうち5%は政府のもので、10%は中央銀行のものだった。

15%の財政赤字と言えば、アメリカがコロナ禍に一度達した水準である。


ハイパーインフレは先進国には起きないか

こうした現象は小国だけのもので、アメリカや日本などの先進国には無縁の現象なのだろうか。しかし実際にアメリカは15%の財政赤字を経験し、コロナ後に物価が高騰している。

アメリカのインフレはその後一度収まった。だがそのレベルの財政赤字が一時的ではなく恒常的なものになれば、インフレも当然恒常的なものになるだろう。それで多くの機関投資家がアメリカの財政赤字を気にしているのである。

だからアルゼンチンのハイパーインフレは小国だけの現象ではない。それどころかアルゼンチンは元々先進国で、1人当たりGDPも日本より高かったのである。それが政治家による政府支出で途上国に転落した。

実際、日本経済はアルゼンチン化している。アベノミクス以来、日本円の価値はほぼ半分に下落している。自国通貨の価値が半分になったというのははっきり言って暴落である。

つまり輸入物価は当時の2倍になっているのだが、日本国民は気にしていない。では4倍になれば気にするのだろうか。輸入物価の上昇はいずれ国内物価のインフレに繋がってゆく。

税金として徴収され東京五輪や大阪万博などに使われる金が国民の手元に残っていれば、国民はもっと好きなものが買えただろう。

アルゼンチンへの道のりは長いというだけの話で、日本経済は事実としてその方向に向かっている。単に日本国民がいつ気づくかという問題でしかないのである。

インフレ政策の結末

国の借金が増えると、中央銀行が国債を買い支えなければならなくなる。量的緩和である。

しかし量的緩和は自国通貨の下落という結果をもたらす。それで日本はここ数年、為替介入で円の価値を維持するということを繰り返している。

経済学者のラリー・サマーズ氏は、量的緩和で円を下落させながら為替介入で円を買い支えようとする日本政府を「1人綱引き」と皮肉っていた。

サマーズ氏: 日本政府はドル円で1人綱引きをしている (2022/10/10)
だが為替介入は保有する外貨を売り払って自国通貨を買い支えることである。だから外貨準備がどんどんなくなってゆく。

日本も外貨準備を削りながら為替介入を行なっている。その先には何があるか。ミレイ氏は自国通貨の買い支えを繰り返したアルゼンチン経済の末路を語っている。

中央銀行の外貨準備はマイナスで、その金額は120億ドルだった。

中央銀行は利払いのある借金を抱えていて、1日にマネタリーベースの4倍の債務が満期を迎えていた。それはつまり、1日でマネタリーベースを5倍にしなければならなかったという意味だ。

単純だ。為替介入をすれば外貨がなくなる。それを繰り返せば外貨準備はマイナスになる。日本は着実にアルゼンチンに向かっているが、一部の日本人は「為替介入はドルを利確しただけだ」などと喜んでいる。

ドルが80円の時にドルを買い入れて、自分で量的緩和をしてドル円が160円になったから喜んでいるのである。馬鹿ではないのか。それはドルの価値が上がったのではなく、円の価値が下がっただけである。日本政府の手元に残ったのは価値の変わっていないドルではなく、自分で刷った円だけである。本当に馬鹿ではないのか。

結論

だから日本経済は着実にアルゼンチンに向かっている。レイ・ダリオ氏が『世界秩序の変化に対処するための原則』で説明したように、国家が経済成長から政府債務の増加の段階に移り、最終的にはインフレと自国通貨の下落によって衰退してゆくというのが国の一生なのである。

アルゼンチンが特異だったのは、普通は200年ほどかかるその国家の一生を50年の間に経験したということだけだ。速度が違うだけであって本質は変わらない。

それでアルゼンチンはインフレ政策の終着点、つまりハイパーインフレまで早々と行ってしまったので、ようやくミレイ氏のようなまともな経済学者を大統領に選ぶことが出来たのである。アルゼンチン国民も流石にインフレ政策に懲りたというわけだ。

ミレイ氏は次のように言っている。

だから財政赤字を何としても終わらせなければならなかった。

そしてミレイ氏はそれを1年で実現してしまった。ミレイ氏はアメリカにも同じことをやれと言っている。

ミレイ大統領: トランプ政権は限界まで 政府支出を削れ


トランプ政権はそれを実現できるだろうか。2025年が楽しみである。そして日本人はいつ気づくのだろうか。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57641
21:777 :

2024/12/31 (Tue) 06:10:30

ミレイ大統領: 政府が紙幣印刷で価値を薄める通貨は他のまともな通貨との競争に晒されるべき
2024年12月30日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57736

引き続き、ハイパーインフレを打倒したアルゼンチンの大統領でオーストリア学派の経済学者であるハビエル・ミレイ氏の、レックス・フリードマン氏によるインタビューである。

ハイパーインフレを終わらせた大統領

ミレイ大統領はアルゼンチンのハイパーインフレを終わらせた大統領である。政治家による無駄な支出は容赦なく削減され、GDPの15%あった財政赤字はゼロになった。しかもアルゼンチンの2025年の経済成長率は5%と見積もられている。

だがミレイ氏の功績はインフレと財政赤字をなくしたことだけではない。政治家が自分と自分の票田のために財政支出を行う政策、すなわちインフレ政策の結果は、日本人も知っての通りインフレと財政赤字だけではないからである。

インフレ政策のもう1つの大きな結果は通貨安である。

日銀の植田総裁が円安を止められない理由
アルゼンチンペソ

前回の記事でミレイ氏はこう言っていた。

ミレイ大統領、政府支出を削減してハイパーインフレを打倒した方法を語る
財政の均衡を達成し、支出のために紙幣印刷をしなくても良い状態になると、債務の利払いなども払えるようになり、そうすると国債市場が再び機能し始めた。

財政がまともになると国債市場に投資家が戻ってくるようになり、高騰していた国債の金利が下がり始める。

そうすれば政府の利払い負担も減り、財政が更に改善するという好循環が始まる。

だが投資家が戻ってきたのはアルゼンチンの国債市場だけではない。為替市場も同じなのである。

ハイパーインフレの結果、当たり前だがアルゼンチンの通貨であるペソは暴落した。日本とまったく同じように、中央銀行による紙幣印刷が自国通貨安を引き起こしたのである。

ネイピア氏: 日本の政府債務は円安で解決される、円を空売りして日本株を買え
だが2024年のペソのパフォーマンスはどうか。高金利通貨のパフォーマンスは多少ややこしい。何故ならば、新興国の為替市場に慣れている人ならば分かると思うが、数十パーセントの金利を持つ通貨は、他の通貨に対してその分だけ為替レートが下落するのが普通だからである。20%の金利があれば、為替レートが20%下落してようやく他の通貨とイーブンなのである。

さて、アルゼンチン・ペソは米ドルに対し、2024年の年始からおよそ21%下落した。

だがペソの金利はハイパーインフレの改善とともに下落してきたとはいえ、2024年の間は126%から32%の間で推移している(書き間違えではなく、それが2024年のペソの金利である)。

だから、2024年にドルを持っていた人とペソを持っていた人を比べれば、為替レートの下落分を補って余りあるペソの金利によって、ペソの保有者の方が大幅に得をしているのである。

ミレイ氏の為替政策

ペソの下落は高金利による当然の下落分を下回っているので、つまり2024年のペソ相場は強かったのである。ミレイ大統領がいなければジンバブエドルに並ぶ紙切れになりかかってたアルゼンチンペソに、投資家の資金が戻ってきている。

だがミレイ氏は、2023年の選挙戦では紙切れになりかかっていたペソに代わってドルをアルゼンチンの公定通貨にすると主張して話題になった。

ミレイ氏は今ではペソについてどう考えているのか。ミレイ氏は次のように述べている。

わたしの発言を再検証してもらえば分かるが、わたしは通貨同士の競争の話をしたのであって、ドルを公定通貨にしなければならないと言ったわけではない。

わたしの論点は通貨同士の競争と中央銀行の廃止だ。

繰り返すが、ミレイ氏はオーストリア学派の経済学者である。そしてオーストリア学派の経済学の一番有名な特徴は、中央銀行による通貨発行権の独占を批判していることである。

例えばコロナ後の物価高騰を引き起こした直接の原因は、現金給付である。だがジョン・ポールソン氏が言うように、中央銀行による紙幣印刷、つまり量的緩和がなければ、無一文の先進国政府には現金給付は出来なかった。

ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした (2023/2/24)
だから現金給付のようなインフレ政策の根本原因は中央銀行とその紙幣印刷なのである。

オーストリア学派と通貨発行権

だからミレイ氏を含むオーストリア学派の経済学者は、通貨の発行を政府と中央銀行が独占している状態を批判する。それこそがインフレの根源だからである。

しかし、例えば17世紀にヨーロッパで中央銀行という概念が誕生する前の世界でそうだったように、民間のあらゆる銀行が自分自身の通貨を発行するようになればどうか。

ある銀行の通貨は紙幣印刷によって価値が毎年下落しており、別の銀行の通貨は発行量の厳格な管理によって価値が安定しているとする。人々はどちらの通貨で貯金をしたいと思うだろうか?

ミレイ氏を含むオーストリア学派の経済学者が主張するのは、政府の発行する通貨も経済内に流通するあらゆる商品と同じように競争にさらすべきだということなのである。

そうすれば、中央銀行が政治家の都合で紙幣印刷を行い、国民は全員その通貨を持っているので国民全体が犠牲になるということもなくなる。中央銀行は数ある銀行の1つに過ぎなくなる。

オーストリア学派の代表的な経済学者であるフリードリヒ・フォン・ハイエク氏は、『貨幣発行自由化論』で次のように書いている。

通貨の発行者同士が競争しなければならない場合、発行者にとって自分の通貨の減価は自殺行為になるだろう。人々がその通貨を使いたいと思っていた理由そのものを破壊してしまうからである。

アルゼンチンと通貨の競争

ミレイ氏も、ハイエク氏らの議論を継承しているようである。ミレイ氏は次のように言っている。

現在、アルゼンチンには通貨同士の競争がある。現在のアルゼンチンではどんな通貨でも決済できる。

それは単に法的に許されているという話ではない。アルゼンチンではミレイ氏の主導により、大手銀行がペソでもドルでも決済できるデビットカードが発行しようとしている。

だから国民はペソとドルを両方自由に使うことができる。ミレイ氏は、政府の発行する通貨を別の通貨との競争にさらすというオーストリア学派の理念を1つ実現しようとしているわけである。

ミレイ氏は次のように言っている。

国民が最終的にドルを選んだとすれば、それはそれで彼らの選択だ。

だがミレイ氏は国民にドルの使用を強制しているわけではない。国民がどちらでも好きな方を選べる環境を作っているだけだ。

ただ一方で、ミレイ氏の最終的な目標は中央銀行の廃止らしい。政府支出を増やすために自由に紙幣を印刷したいという願望がない政治家にとっては、中央銀行は別に利益のない組織だからである。

政治家が中央銀行の通貨発行独占を擁護するのは、自分の意志で紙幣を印刷し、国民の持っている通貨の価値を薄めたいからである。

そういう願望のないオーストリア 学派の経済学者には、中央銀行は無用の長物である。

ハイエク氏: 通貨を政府がコントロールしなければならないというのは根拠のない幻想

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57736

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