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世界の旅 _ 北欧

1:777 :

2023/12/15 (Fri) 09:38:59

777投稿集
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世界の旅関係投稿集
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Nord-Labo 北欧研究室 - YouTube
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こんにちは、ノードラボ北欧研究室のヨウコ&マホです!
スウェーデン在住の私たちが、北欧でゆるゆる井戸端会議をしながら
「幸せとは?」を考えています。

トピックは北欧の暮らしや食レポから
医療や介護、LGBTQなど社会問題まで。
なんでもオープンに取り上げます。

日本の常識は世界の非常識。
びっくりなスウェーデンの暮らしが、
自分らしい生き方を見つける
ヒントになればうれしいです。

北欧や海外生活に興味がある。
もっと自由で幸せな暮らしを手に入れたい。
育児や子育て、介護に悩んでる。
自分の生き方にインスピレーションがほしい。

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【Who are you? 私たちはだれ?】
ノードラボ「北欧研究室」は北欧現地から直接お届けする、情報深掘りチャンネルです。さまざまなトピックをとりあげ、在住者の視点で深掘りしていきます。

●ヨウコ:2006年結婚を機にスウェーデンに移住。スウェーデン人の夫と二人の子供を持ち「ゆりかごから墓場まで」をリアルに体験中。2007年に北欧雑貨の雑貨輸出会社を起業。2018から北欧雑貨ショップ「ソピバ北欧」店長もやってます。

●マホ:2018年結婚を機にスウェーデンに移住。スウェーデン企業でITコンサルタントとして働き、スウェーデンらしい社会でたくさんの発見をする日々。2020年スウェーデンで出産、1児の母。スウェーデン企業で正社員として働き、共働き子育て体験中!

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Nord-Labo 北欧研究室 _ 日本在住30年のスウェーデン人に聞いてみた
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サウナ付き賃貸・築100年超は当たり前!? 念願のフィンランドに移住した『北欧こじらせ日記』
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幸福度ランキング1位のフィンランドへの移住は幸せか?  北欧移住の現実
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北欧は最高!? 北欧を持ち上げ日本を批判するが全然日本の方がマシだった模様
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2:777 :

2023/12/16 (Sat) 19:21:38

雑記帳
2023年12月16日
Valerie Hansen『西暦一〇〇〇年 グローバリゼーションの誕生』
https://sicambre.seesaa.net/article/202312article_16.html

https://www.amazon.co.jp/%E8%A5%BF%E6%9A%A6%E4%B8%80%E3%80%87%E3%80%87%E3%80%87%E5%B9%B4-%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%AA%E3%82%BC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%AE%E8%AA%95%E7%94%9F-%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AC%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%B3/dp/416391370X


 ヴァレリー・ハンセン(Valerie Hansen)著、赤根洋子訳で、文藝春秋社より2021年5月に刊行されました。原書の刊行は2020年です。電子書籍での購入です。本書は、紀元後1000年頃(以下、年代について明記しない場合は紀元後です)には、16世紀や現代とはもちろん異なるものの、すでに「グローバリゼーション」が生まれていた、と主張します。確かに、たとえばアラビア半島からアジア南部とアジア南東部を経てアジア東部にいたる、ユーラシア南部沿岸の海上交易路を考えると、すでに1000年頃に「グローバリゼーション」は存在していた、とも言えるかもしれませんが、具体的に当時の世界がどのようにつながっていたのか、という関心から本書を読みました。

 本書は、1000年頃の「グローバリゼーション」は地域間移動の活発化で、それは新技術によりもたらされたのではなく、余剰農産物による人口増加にあった、と指摘します。この背景として、ヨーロッパでは温暖化があったようですが、地球全体がこの時期に温暖化したわけではなさそうです。当時の世界全体の人口は2億5千万人程度と推定されており、現在の中国や日本やインドやインドネシアを含むアジア地域の人口が最多で、その推定人口は1億5千万人程度です。

 本書の「グローバリゼーション」は、ユーラシアとアフリカだけではなく、アメリカ大陸も対象としています。ヴァイキング(本書はヨーロッパ北部の人々のうち略奪を行なっていた人々だけをヴァイキングと呼び、その他の人々をノース人と呼びます)が1000年頃にアメリカ大陸に到達していたことは、今では広く認められていると思います。最近の研究では、1021年にヴァイキング(ノース人)が北アメリカ大陸で活動していた、と示されています(関連記事)。本書は、これにより地球規模のつながりがその時に生まれた、と評価します。ただ本書は、ノース人とアメリカ大陸先住民との接触による長期的な影響は限定的だったとしており、やはり15世紀末以降のヨーロッパとアメリカ大陸との関係と比較するとその規模はかなり見劣りする感は否めません。

 また本書は、チチェン・イッツァの壁画に描かれた白い肌で金髪の捕虜がマヤ人に捕らわれたノース人だった可能性も指摘します。ノース人が到来した頃のアメリカ大陸において、マヤ文化圏と北アメリカ大陸の間に交易があり、南アメリカ大陸でも交易圏が形成されていたことを、本書は指摘します。すでに15世紀末のずっと前にアメリカ大陸には大規模な交易圏が成立しており、15世紀末以降になって、アメリカ大陸の交易路とヨーロッパの交易路がつながれた、というわけです。ノース人が1000年頃にはアメリカ大陸に到達していたとしても、アラスカはともかくとしてアメリカ大陸は全体的に他の大陸から孤立しており、 ここはやはり1000年頃の「グローバリゼーション」との主張の弱いところだとは思います。

 ノース人は東方へも向かい、ルーシ人と呼ばれてヨーロッパ東部ではスラヴ系集団に同化し、大きな交易圏を構築していくとともに、ノース人の影響を受けてロシアの祖型もこの頃に形成されていきます。本書はとくに、ヨーロッパ東部がキリスト教圏となったことを重視していますが、これは、1000年頃にその後の宗教分布の大枠が定まった、との大きな見通しの中に位置づけられています。たとえば、この頃にアジア中央部とアジア南部北方とアフリカの東西にイスラム教が拡散していきます。また、本書がキリスト教への改宗を重視するのは、支配者側にとっての利益として、聖職者の能力を統治に活かせるからで、国家運営に役立った、というわけです。
3:777 :

2023/12/21 (Thu) 13:56:40

youtube で見るスウェーデン映画


イングマール・ベルイマン 第七の封印 (1957年)
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イングマール・ベルイマン『野いちご Smultronstället』1957年
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イングマール・ベルイマン『沈黙 Tystnaden』1963年
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イングマール・ベルイマン『仮面/ペルソナ Persona』1966年
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イングマール・ベルイマン『叫びとささやき Viskninger Och Rop』1973年
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イングマール・ベルイマン『モーツァルト 魔笛 Trollflöjten』1975年
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イングマール・ベルイマン『ファニーとアレクサンデル Fanny och Alexander 』 1982年
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4:777 :

2023/12/21 (Thu) 13:57:41

クラシック音楽の名曲と歴史的名盤
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クラシック音楽の名演奏家の録音への youtube リンク
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youtube で聴く北欧音楽

北欧の作曲家の主要作品とその評価

グリーグ(Edvard Hagerup Grieg、1843 - 1907)
https://classic.wiki.fc2.com/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B0
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16830554

シベリウス(Jean Sibelius, 1865 - 1957)
https://classic.wiki.fc2.com/wiki/%E3%82%B7%E3%83%99%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%82%B9
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16830678


その他の作曲家

北欧 - クラシック音楽 一口感想メモ
https://classic.wiki.fc2.com/wiki/%E5%8C%97%E6%AC%A7

その他ヨーロッパ - クラシック音楽 一口感想メモ
https://classic.wiki.fc2.com/wiki/%E3%81%9D%E3%81%AE%E4%BB%96%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%91


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北欧の作曲家(出生年順)の主要作品とその演奏への youtubeリンク

ニルス・ゲーゼ Niels Wilhelm Gade(デンマーク コペンハーゲン 1817年2月22日 - 1890年12月21日)
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エドヴァルド・グリーグ Edvard Hagerup Grieg(ノルウェー ベルゲン 1843 - 1907)
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クリスティアン・シンディング Christian August Sinding(ノルウェー コングスベルグ 1856年1月11日 - 1941年12月3日)
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ヨハン・ハルヴォシェン Johan Halvorsen(ノルウェー ヴィーケン県ドランメン 1864 - 1935)
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ジャン・シベリウス Jean Sibelius(フィンランド カンタ=ハメ県ハメーンリンナ 1865 - 1957)
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カール・ニールセン Carl August Nielsen(デンマーク フュン島 1865 - 1931)
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ヴィルヘルム・ステーンハンマル Carl Wilhelm Eugen Stenhammar(スウェーデン ストックホルム 1871 - 1927)
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クット・アッテルベリ Kurt Magnus Atterberg(スウェーデン イェーテボリ 1887 - 1974)
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ウーノ・クラミ Uuno Klami (フィンランド東南部 ヴィロラハティ 1900年9月20日 - 1961年5月29日)
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16831042

エドゥアルド・トゥビン Eduard Tubin (エストニア カラステ 1905-1982)
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16830852

アラン・ペッテション Gustav Allan Pettersson(スウェーデン 1911 - 1980)
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5:777 :

2024/01/04 (Thu) 19:06:06

世界の名画・彫刻
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北欧の画家・彫刻家(生年順)

エドヴァルド・ムンク Edvard Munch(ノルウェー ロイテン 1863年12月12日 - 1944年1月23日)
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6:777 :

2024/01/16 (Tue) 14:18:49

一年を通して人に会うのは数えるほど…それでもフィンランド人は「孤独」を全く感じない
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サウナ付き賃貸・築100年超は当たり前!? 念願のフィンランドに移住した『北欧こじらせ日記』
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14107585

幸福度ランキング1位のフィンランドへの移住は幸せか? 北欧移住の現実
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14096863

北欧は最高!? 北欧を持ち上げ日本を批判するが全然日本の方がマシだった模様
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14031637
7:777 :

2024/01/24 (Wed) 19:22:10

北欧の文学者

イプセン Henrik Johan Ibsen(ノルウェー シェーエン 1828年3月20日 - 1906年5月23日)
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ストリンドベリ Johan August Strindberg(スウェーデン ストックホルム 1849年1月22日 - 1912年5月14日)
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ミカ・ワルタリ Mika Toimi Waltari(フィンランド ヘルシンキ 1908年9月19日 - 1979年8月26日)
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16836723
8:777 :

2024/02/14 (Wed) 15:30:49

欧州高福祉・男女平等国家の出生率が急降下
2024.02.14
https://www.thutmosev.com/archives/33247.html

幸せでも子供は産まない


https://honto.jp/netstore/pd-book_31615000.html フィンランド幸せのメソッドの通販_堀内 都喜子 集英社新書 – 紙の本:honto本の通販ストア
男女平等国家の出生率が低下

少子化対策の成功例とされてきた欧州で出生率が低下していて、中でも世界の模範と言われた北欧でも日本並みの出生率になっています

フィンランドは手厚い子育て支援などで2010年の出生率は1.89あり、1989年から2014年までは1.7を維持していたが最近急落した

2015年は1.65で翌年は1.57、翌年は1.49 、その後1.3人台になって23年の推測値は1.32だったが、日本や東アジアほどの危機感がない

それは欧州は移民が多いからでフィンランドは2022年に5万人の移民を受け入れたが、これは人口比では日本で113万人の移民を1年間で受け入れたのに相当する

移民のお蔭で少子化でも人口が増えているので欧州諸国では人口減少への危機感がなく、少子化対策にはあまり力が入っていない

日本で年50万人自然減少したとしても移民が100万人以上入ってきたら人口は大幅に増えるわけで、欧州はそうしたやりかたをとっています

移民は出生率が高いので移民が増えると出生率が上昇するが、移民を多く受け入れた国では先住民の出生率も上昇します

だがこの効果は永遠ではなく移民は定着するにつれ出生率が先住民と同じレベルになり、一時的に出生率が上がった先住民の出生率も低下します

北欧やフランスなど欧州の多くの国でそうなっていて、フィンランドも移民効果が縮小して本来の出生率が表に出てきたと見る事が出来る

フィンランドは若者の雇用が不安定で日本でいう非正規雇用が多く、結婚を躊躇する人が多く経済的な事情も影響している

欧州は2010年ごろから好景気だったがそうした国では住宅価格や家賃が高騰し、エネルギー価格や様々な費用も上昇しました

平均以上の収入がある人には問題ないが若者は平均より低収入で不安定なので、住宅費や生活費に加えて子育ての費用を負担できない

移民なしで成立しない少子化対策
出生率1.3で人口を維持するには移民を現在の2倍、日本に置き換えると毎年220万人の移民を受け入れる必要がある

フィンランドの高齢化率は約23%で世界4位、日本は約28%で世界1位だがフィンランドでは子供や高齢者への扶養義務がほとんどない

子供の扶養義務は18歳で終了するうえフィンランドは学費が無料で学生には生活費も支給されるので親の負担や義務は非常に小さい

子供は高校を卒業したら家を出るので親子は同居せず、自分を産んだ親とは「精神的な家族」ではあるが介護義務などはない

フィンランドには「近親者介護サービス」という制度があり子供や親せきが高齢者を自宅で介護すると、介護した人が報酬を受けとる事ができ、金額は5万円から10万円くらいです

このためフィンランドでは仕事の収入が減っても経済的負担が少なく親を介護するのも可能で、1995年以降この制度を利用する人がどんどん増えた

高齢化率が上昇しているが老人ホームは減少中で、入居を希望する人がすくなく自宅介護希望者が多いといわれている

老人ホームの代わりに増えているのは民間企業が運営する「介護サービスつき住宅」で、営利ビジネスとして外国企業も参入している

フィンランドの介護職員はかなり高収入で平均40万円以上(1ユーロ161円)、なお日本の介護職員も男性の平均年収は約400万円だがブラック労働や低賃金労働が指摘されている

フィンランドと並んで少子化対策のお手本と言われていたのがフランスで、2010年に出生率2.03になったのでマスコミは一斉に「フランスを見習え」と大合唱をした

フランスも2014年を最後に2.0を割り込んで下がっていき23年1.68人(速報値)で日本よりかなり高いが年々下落しています

戦後最低にまで低下していて「出産を強要する」ことが人権問題として意識され「産む、産まないは女性の自由」のような意識が定着している

フランスやフィンランドなど欧州の少子化対策はまず移民で、次に女性の社会進出や労働、次に高福祉で出産や子育ての費用負担を減らすことだった

移民と高福祉は良いとして女性を労働させるとどうして出生率が上がると思うのかは謎で、妊婦を強制労働させない限り両立は難しいと思える
https://www.thutmosev.com/archives/33247.html
9:777 :

2024/03/08 (Fri) 09:53:56

「『ニュルンベルク裁判史観』の嘘と誇張(前半)」宇山卓栄 AJER2024.3.8
https://www.youtube.com/watch?v=5qFA3b8KxiQ


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ヨーロッパ人から見たドイツ人は、覚醒剤を大量に摂取して寝ないでポーランド侵攻、フランス侵攻の電撃戦を行ったドイツ兵のイメージで捉えられてしまった

ノルウェー映画「ザ・ハント ナチスに狙われた男」:ノルウェー人の対独抵抗運動
続壺齋閑話 (2024年3月 8日 08:16)

2017年のノルウェー映画「ザ・ハント ナチスに狙われた男」は、第二次大戦中ナチスドイツに侵略されたノルウェーの対独抵抗作戦をテーマにした作品。事実に基づいているとのアナウンスがあるので、実際にあったことなのだろう。イギリスで訓練を受けたノルウェー人12人が、対独工作要因としてノルウェーで活動するが、一人を残して捕らえられ、捕らえられたものらは拷問を受けたうえで殺される。残った一人は、作戦の報告を目的に、スウェーデンへの脱出をはかる。それをナチスの一将校が執拗に追う、というような内容。見方によっては、対独レジスタンスとも、サバイバル・サスペンスとも受け取れる。

映画は、のっけから一人のノルウェー人(ヤン)の逃亡する様子を描く。逃亡は映画の全編を通じて続く。その合間に、回想という形で、12人の行動が描写される。それに彼らの受けた拷問とか、処刑される様子が挟まれる。ヤンが触れ合ったノルウェー人たちはみな、かれに対して同情的であり、また、中には彼の逃走を助けるものもいる。とりわけ重要なのは、フィヨルド地域で出会ったマリウスとその妹だ。そのマリウスの努力によって、ヤンはマンダーレンという人々の助力でスウェーデンへの脱出に成功するのである。マンダーレンとはノルウェーの少数民族か、くわしくはわからない。

見どころはヤンが必死になって逃走するシーンだ。凍った水や雪の中を逃げ回り、ひどい凍傷にも見舞われ、生きているのがつらいような状況のなかでも、なお生きることにヤンはこだわる。こんなに辛い思いをするより、死んだほうがましだと思うのがふつうではないか。しかしヤンは徹底的に生きることにこだわるのである。

そのヤンを追いかけるナチスの将校が異常なほどの執念を見せる。かれにかぎらずナチス側は、みな非人間的で残虐な生き物として描かれている。21世紀になってもドイツ人は、ナチスの残した負の遺産に振り回されていると思わざるをえない。そこは同じ敗戦国でも、日本はまだましだ。中国はじめ侵略した国からそんなにひどい反発を受けることはない。中国にも戦時中の日本軍の残虐さを描いた映画はあるが、そうした映画がアジア地域で数多く作られるということはない。ところがドイツは、ヨーロッパじゅうの国々において、いまだにナチス時代に犯したことの責任を問うような映画を作られているのである。
https://blog2.hix05.com/2024/03/post-7708.html#more


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ヒトラーとドラッグ:第三帝国における薬物依存 – 2018/9/26 ノーマン・オーラー (著)
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%92%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%81%A8%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%B0-%E7%AC%AC%E4%B8%89%E5%B8%9D%E5%9B%BD%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E8%96%AC%E7%89%A9%E4%BE%9D%E5%AD%98-%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%BC/dp/4560096511

内容紹介
「錠剤の形をしたナチズム」の実態に迫る

ヒトラーの主治医テオドール・モレルは、一本の注射で体調不良を解決する頼りがいのある医師だった。

ヒトラーはホルモン剤、鎮痛剤、覚醒剤、そしてモレルへの依存を深め、不調のたびに投薬や注射を求めるようになった。

第二次世界大戦が始まり、ヒトラーは誇大妄想にとりつかれ、現実遊離が目につくようになり、軍事作戦能力も徐々に失われていった。足を引きずり、腰も曲がって、くたびれた老人のように見えた。

一方、前線兵士は薬物によって「猛獣と化す」ことが目標とされ、無謀な作戦に投入され、総統大本営も制御を失い、もはや究極の破滅に突き進むしかなかった……。

ヒトラーとモレルの危険な関係は、大戦の命運を左右したのか?

本書は、ヒトラーと第三帝国が薬物に深く依存していたことを暴き、世界的ベストセラーとなった歴史ノンフィクションだ。歴史学者ハンス・モムゼンが本書の「あとがき」で、「これまでの全体像を変える本」と評したのをはじめ、イアン・カーショー、アントニー・ビーヴァーら専門家も賛辞を寄せている。著者は作家らしく、逸話を満載し、史料もきちんと渉猟し、早く続きを読みたくなるような、手に汗握る展開をみせる。


兵士には覚醒剤を、総統には麻薬を!  驚きのドラッグワールド・第三帝国
覚醒剤メタアンフェタミン(1893年に日本人長井長義が合成し1919年にこれまた日本人緒方章が結晶化に成功)が太平洋戦争中の特攻隊で使われていたという話はよく聞くが、これをさらに徹底的に使ったのがナチス・ドイツだった。あの電撃的なポーランド・ベルギー・フランスへの快刀乱麻ともいうべき進攻のスピードは兵士に大量投与された覚醒剤によるものだったとは!

一方で、ヒトラーは戦況の悪化とともに主治医モレルに投与されるオキシコドンに依存。軍首脳部もほとんどがジャンキー状態。暗殺未遂後はコカインまでも加わる。

こうして、上層部はジャンキーの集団となり安全な地下壕みたいとところから無茶苦茶な指示を乱発し、兵士は戦場で覚醒剤漬けにされ独ソ戦の頃にはダメダメな状態に。

最後にベルリンに籠った頃にはヒトラー用のドラッグも底を尽き彼は激しい離脱症状の中で自殺。

あまりにも戦況の変化と薬物乱用がきれいにシンクロするのに驚く。最高指導者がドラッグ依存だとしたら、だれも彼へのドラッグ投与を拒めない。世界史的な出来事がドラッグで突き動かされ得るという恐怖。

当時の日本の軍中枢にこんなことがあったとは聞かないが、本土決戦前に証拠が消されたのかもしれない。まあ、しらふでヒトラーと同じようになっていたと考えるとそれもまた怖い話だが。

オキシコドンはアメリカでは近年も安易に鎮痛薬として処方されてかなり問題になっていますね。日本に持ち込もうとして逮捕された某自動車メーカーの外国人役員も。決して過去の話ではない。


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ヒトラーも、最前線で戦っていたドイツ兵も、覚醒剤を大量摂取してこういう極端な被害妄想になっていた:

覚醒剤中毒者の極端な被害妄想を映像化した映画史上で最も怖い映画 コワイ女ーカタカタ

コワイ女 - YouTube動画
https://www.youtube.com/results?search_query=%E3%82%B3%E3%83%AF%E3%82%A4%E5%A5%B3
10:777 :

2024/03/08 (Fri) 09:55:54

ノルウェー映画「キング・オブ・トロール勇者と山の巨神」 トロール伝説
続壺齋閑話 (2024年3月 4日 08:35)
https://blog2.hix05.com/2024/03/post-7704.html#more

norway01.troll.jpg

2018年のノルウェー映画「キング・オブ・トロール勇者と山の巨神」は、ノルウェーの伝説に題材をとった作品。トロールというのは山の精霊のような動物で、北欧諸国の伝説に出てくるのだそうだ。ハイネの長編詩に「アッタ・トロル」というのがあるが、それもトロールのことだと思う。アッタ・トロルは熊の姿をしている。この映画の中のトロールも熊の怪物としてイメージされている。

この映画は、そのトロール伝説に、アスケラッデンのおとぎ話をからませている。アスケラッデンとは、怠け者ながら智慧者で、さまざまな困難を解決する愉快なキャラクターである。日本の「キッチョム」のようなものだ。この映画では、エスペンという名前で、二人の兄と共に冒険の旅に出る。

冒険の目的は、トロールにさらわれたお姫様を取り戻すことだ。そのお姫様は、お嫁に行くのが嫌で、とうとう十八歳になってしまったのだが、ノルウェーでは十八歳で結婚しない娘はトロールの奴隷にされてしまうのである。

そのお姫様とエスペンは、森の中であったことがあるので、お互い顔は知っている。エスペンは、自分の家を灰にしてしまったことで父親の怒りをかい、追放されてしまうのだが、気の優しい二人の兄と、冒険の旅に出る。かれらは様々な困難に直面しながら、それらを悉く乗り越え、ついにお姫様をトロールから取り戻す、というような内容である。

たいした工夫はなく、平凡な冒険物語にすぎない。それがノルウェーの伝説やおとぎ話を踏まえているということに、いささかの見どころがあるとはいえる。なお原題は「アスケラッデン」である。アスケラッデンとは、「灰小僧」というような意味だそうだ。自分の家を灰にしてしまったわけだから、そう呼ばれるのには道理がある。
https://blog2.hix05.com/2024/03/post-7704.html#more
11:777 :

2024/03/08 (Fri) 09:56:56

ノルウェー映画「ウトヤ島、7月22日」 右翼のテロ事件
続壺齋閑話 (2024年3月 6日 08:23)
https://blog2.hix05.com/2024/03/22-2.html

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2018年のノルウェー映画「ウトヤ島、7月22日」は、2011年7月22に日に起きた右翼の連続テロ事件のうち、ウトヤ島で起きた事件を描いた作品。この事件は、たった一人の右翼の男が引き起こしたもので、まずオスロ市内の政府庁舎を連続爆破したのち、夕刻にはウトヤ島でキャンプを張っていた数百人の青年たちに襲いかかり、無差別に銃殺したというもの。全体の規模としては77人の死者と319人の負傷者を出した。そのうち69人がウトヤ島で殺されたという。このショッキングな事件が、たった一人の男によってなされ、それに対して警察が有効な対応をとれなかったということで、世論の厳しい批判を巻き起こした。もっとも警察当局は、適切な対応をとったと強弁して、涼しい顔をしたそうである。

この映画は、そうした事件の背景にはほとんど触れておらず、ただただ正体不明の犯人が大勢の青年たちを無差別に銃殺する恐怖を描くばかりなので、事件の背景をわかったうえで見ていないと、ただのホラー映画に見えてしまうだろう。

映画は、島でキャンプを張っている青年たちの様子を写すところから始まる。このキャンプは、労働党政権の肝いりで行われ、それが右翼に狙われる原因となったのだが、映画はそうした背景には触れない。ただ、一人の女性が政治家を目指しているというところに、このキャンプの性格が垣間見られる程度である。映画は、その政治家志望の女性の視点から描かれる。

その女性は、妹を連れてきており、その妹になにかと干渉する。それに反発した妹がすねる真似をしたりする。そうしているうちに、キャンプ場がパニックになる。誰か正体不明のものが、銃を乱射して青年たちを無差別に殺害し始めたためだ。恐怖にかられた青年たちは、蜘蛛の巣を散らしたように逃げ惑う。主人公の女性カヤも仲間と一緒に逃げ惑うが、そのうち、妹の安否が気になって、探し回るうちに、銃弾が命中して倒れるのである。彼女が死んだかどうかはっきりさせないで映画は終わる。

そんなわけでこの映画は、パニックに陥った青年たちの恐怖感を描写することに主眼を置いており、事件全体を客観的に見ようとする視点はない。最後に、この島で死んだ青年たちの数が、字幕で紹介されるばかりである。
https://blog2.hix05.com/2024/03/22-2.html
12:777 :

2024/03/11 (Mon) 17:22:08

ノルウェー映画「キッチン・ストーリー」 ノルウェー人とスウェーデン人との奇妙な関係
続壺齋閑話 (2024年3月11日 08:31)
https://blog2.hix05.com/2024/03/post-7713.html

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2002年のノルウェー映画「キッチン・ストーリー(ベント・ハーメル監督)」は、ノルウェー人とスウェーデン人との奇妙な関係を描いた作品。スウェーデン側が、ノルウェー人を実験材料につかって商売上の研究を進めることに、材料にされたノルウェー側が複雑な反応をする。その反応ぶりを見ていると、ノルウェーにはスウェーデンへのコンプレックスがあるのではないかと感じさせられる。スウェーデンはデンマークに対しては劣等感を抱いているようなのだが、ノルウェーに対しては優越感情を持っているようである。そんなことが伝わってくる映画である。

スウェーデンの商業機関がある実験を始める。独身男性の台所における行動を研究して、商品開発に利用しようというもの。その実験の被験者には、どういうわけかノルウェー人がえばられる。スウェーデン人の実験スタッフが、ノルウェーの被験者の台所に乗り込んで、逐次被験者の行動を観察し、その記録を上部機関に送るというような設定。その実験のなかで、当然のことながら、さまざまな人間関係が生じる。その人間関係が、実験の馬鹿馬鹿しさを思い知らせる、というような内容である。

この映画では、お人好しらしいスウェーデン人の実験スタッフと、気むつかしそうなノルウェー人被験者との間に人間的なかけひきが生じる。ノルウェー人が実験の被験者に応募したのは、馬がもらえると思ったからだが、実際にもらえたのは人形の馬だった。その時点で腹をたてたが、いまさら実験を拒否することもできず、観察者を家に中に入らせる。観察者は、脚立の上に乗って、そこから見下ろすように被験者を観察するのだが、被験者は台どころではほとんど何もしない。自分の部屋に閉じこもることが多いのだ。ところが被験者は自分の部屋の底に穴をあけて、そこから観察者を逆観察していたのである。

要するに、ばかしあいのようなことをしているのだが、そのうち、互いに気持ちが打ち解けてくる。観察者は被験者との間に人間的な関係を一切結んではいけないという決まりなのだが、会話することはおろか、一緒に酒を飲む仲にまで発展する。それは職務違反なので、上に知られるとまずい。だが、観察者は、首になることよりも、被験者と人間らしく付き合うことを選ぶのである。

じつに荒唐無稽な設定で、まともに笑う気にもなれないが、ノルウェー人とスウェーデン人との複雑な関係の一端がわかるような映画である。
https://blog2.hix05.com/2024/03/post-7713.html
13:777 :

2024/03/13 (Wed) 08:44:39

ノルウェー映画「15歳、アルマの恋愛妄想」:思春期の少女の性衝動
続壺齋閑話 (2024年3月13日 08:25)
https://blog2.hix05.com/2024/03/15-2.html

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2011年のノルウェー映画「15歳、アルマの恋愛妄想」は、思春期の少女の性衝動をテーマにした作品。15歳のアルマが、性衝動に駆られて、マスターベーションに耽る一方で、好きな男子とのセックスを妄想するというような内容である。少女の性衝動の現れは常軌を逸しているように見えるので、母親は娘が色きちがいになってしまったのではないかと心配する。また、その色情が学校の同級生にも疎まれ、アルマは孤立を感じる。日本人にはちょっと考えにくい設定だが、発育が速い大柄なノルウェー人には珍しいことではないのだろう。

映画は、そのアルマがマスターベーションに耽る姿を映すことから始まる。とりあえず陰核を刺激しているように見えるが、時には指の匂いをかいだりもするから膣の中まで刺激しているのかもしれない。彼女は、マスターベーションをするかたわら、好きな男子とセックスするシーンを妄想する。ところがその男子が、学校で遊んでいるうちに、勃起したペニスをアルマの腰のあたりに押し付けてきた。これが現実のことなのか、彼女の妄想なのか、区別がつかない。だが、アルマはそのことを友人たちに話す。男子が自分にペニスを押し付けてきたと冗談交じりに話すのである。

話した相手の少女の中に、その男子を好きな子がいて、その子がアルマに嫌がらせをする。アルマは自分の妄想を言っているにすぎないというのだ。つまりアルマを色きちがい扱いするのである。そのことでアルマはシカトにあう。そのうえ、「チンチンアルマ」という不名誉なあだ名まで付けられる。小さな子供たちまで、アルマに向かって「チンチンアルマ」とはやしたてるほどである。

そのうち、親友だった少女がアルマに心を開き、その少女を介してアルマは次第に自分を取り戻していく。その上、男子の愛まで回復することができる、といったような内容である。

映画に出てくる15歳の少女たちは、早く16歳になりたいと思っている。ノルウェーでは16歳が成人年齢とされているようで、タバコや酒を大っぴらで楽しみ、また、自分の意思で結婚もできる。だから性的にも一人前の大人としてふるまえるということらしい。
https://blog2.hix05.com/2024/03/15-2.html
14:777 :

2024/03/15 (Fri) 17:27:33

ノルウェー映画「バレエボーイズ」 プロダンサーを目指す少年たち
続壺齋閑話 (2024年3月15日 09:17)
https://blog2.hix05.com/2024/03/post-7719.html

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2014年のノルウェー映画「バレエボーイズ Ballettgutteneケネス・エルベバック監督」は、プロのバレエダンサーを目指す少年たちを追跡したドキュメンタリー作品。同じダンススクールに通っていた三人の少年たちの成長する様子を、四年間かけて記録したものを編集した。男子がバレエダンサーを目指すというのは、おそらくノルウェーでも珍しいのであろう。だから、その少年たちに注目して、時間をかけてドキュメンタリーに仕上げようというアイデアが出てくるのは、不自然ではない。


三人は、同じ中学校に通い、同じダンススクールに通っているので、兄弟のように仲が良い。一人アジア系の少年が含まれているが、その少年は、人種的な差別をあまり意識していないようなので、ノルウェーは人種の多様性に寛容な社会だというメッセージを読み取ることができるように作られている。じっさいにその通りなのかは、よくわからない。

そのアジア系の少年が、一時脱落するものの、すぐに戻ってきて、三人はダンサー養成の学校への入学をめざす。それに先立って、中学校の担任による進路指導があり、ダンサーで生きていくことのむつかしさを説明したりするが、かれらの気持ちはゆるがない。一緒にダンサー養成のアカデミーを受験して、みな合格する。

ところが、かれらの一人に、イギリスのローヤルスクールからのオファーがある。バレエ界では名門とされるスクールである。そこに一人が入学したことで、三人は二手に分かれる。だが、互いの友情は続く、というような内容である。

映画が始まる時点では、まだあどけない表情の少年たちが、中学校を卒業するころには、一人前の男になりかけている。この時点で身長が180センチになった少年もいる。かれの父親はそれよりずっと背が高いから、2メートル近くあるかもしれない。そんな大柄な人間を産み出すノルウェー社会で、バレエを目指す男子の存在は、おそらく珍しいのであろう。
https://blog2.hix05.com/2024/03/post-7719.html
15:777 :

2024/03/18 (Mon) 07:41:44

2024年03月18日
NATO加盟は誰のため? / 独立を棄てたスウェーデン
http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68956515.html

核開発を諦めた北歐の中立国

nuclear weapons 213Swedish Air Force 1

  ロシア・ウクライナ紛争が勃発したことで、長らく軍事的中立化を守ってきたスウェーデンとフィンランドが、ついにNATOへ加盟する事となった。歐米諸国のみならず日本でも、この転換を聞いた軍事評論家や地政学者はウキウキで、両国のNATO加盟でロシア包囲網が出来たと喜んでいた。しかし、もっと歓迎していたのはアメリカの国防総省や軍需産業から献金をもらう政治家、および兵器産業に投資する金融業者の大御所の方だ。たぶん、ロシアを挑発した闇組織には、軍需産業で儲ける連中が絡んでいたに違いない。

  というのも、両国が加盟したことで、米国主導のNATO軍はスウェーデンやフィンランドに軍事基地を展開できるし、米国製やNATO使用の武器も導入できるからだ。ロシアが非難するように、NATOの東方拡大は著しい。2009年にはクロアチアとアルバニアがNATOの加盟国となり、最近ではアルバニアのクチョヴァ(Kuçovë)にある空軍基地が話題となった。アルバニア政府とNATOは旧ソ連時代の基地にF-35戦闘機などを配置するため、5千万ドルの費用をかけて改装したそうだ。

  日本のNHKや民放は西側諸国のマスコミ報道を垂れ流すだけで、事態の本質を分析することがない。英国の王立国防研究所(Royal United Services Institute)のニール・メルヴィン博士(Dr. Neil Melvin)が、「北歐全体がNATOの領域になり、これはロシアの戦略にとって大打撃だ」とか、「NATOがバルト海の支配権を握るようになった」と指摘すれば、「お説ごもっとも!」と頷く。しかし、バルト三国と同じく、スウェーデンやフィンランドは元々“反ロシア”じゃないか! その対外戦略はロシアからの軍事侵攻に備えたものである。今更、NATOの脅威が迫ったところで、ロシアの将軍達が青ざめるのか?

  それよりも重要な事は、前々からNATOや米国との関係が深く、米軍への依存が高かったスウェーデンが、本格的に“アメリカの衛星国”になったということだ。確かに、NATOによる集団安全保障といった枠組みに入れば安心である。だが、その反面、自国の命運を外国に預けることになるから、独自の軍事・外政を貫くことはできない。敗戦後の日本人には独立国の気概が無くなってしまったからピンとこないけど、「自分の国は自力で守る」というのが正常な国家の鉄則だ。一般国民は日米安保条約があるから安全と思っているが、もしワシントンやウォール街の重鎮どもが、何らかの利益で軍事行動を拒めば、大統領やペンタゴンは親分に従うしかない。支那による沖縄侵掠といった「有事」になっても、在日米軍は兵隊を動かさないし、適当な口実を設けてグズグズする事もある。

  「中立国」を標榜しているスウェーデンであるから、第二次世界大戦後には英仏と同じく、「スウェーデンも核武装すべし」という主張が国防方針の中にあった。実際、1945年11月には原子力委員会(Atomkommittén / AC)が設置され、“民生用以外”の核開発が検討されていたという。ACの評議委員の中には、「スウェーデン国家防衛研究所(Försvarets forskningsanstalt / FOA)」のメンバーも含まれており、X線の研究で有名な物理学者のマンネ・シーグバーン(Karl Manne Georg Siegbahn)や磁気流体力学を研究した物理学者のハンネス・アルヴェーン(Hannes Olof Gösta Alfvén)がいた。産業界からは王立科学院のメンバーで、FOA議長を務めた通信技術者のホーン・スターキー(Håkan Karl August Sterky)や原発の開発に携わった技術者のラグナー・リジェブラド(Karl Ragnar Liljeblad)も加わり、ACの議長には社会民衆党のマルテ・ヤコブソン(Malte Jacobsson)が就いていた。

Manne SiegbahnHannes AlfvenHakan Sterky 2Ragnar Liljeblad 2
(左 : マンネ・シーグバーン / ハンネス・アルヴェーン / ホーン・スターキー / 右 : ラグナー・リジェブラド)

  スウェーデン政府は優秀な科学者や技術者を取り揃えて核開発に臨んだが、国防省の研究チームは幾つかの壁にぶち当たっていた。原爆の材料にはウランかプルトニウムが必要となるが、当時、高濃縮のウランは入手が難しかったので、プルトニュウムの方が好ましいという結論になったらしい。(Thomas Jonter, The Swedish Plans to Acquire Nuclear Weapons, 1945-1968 : An Analysis of the Technical Preparations, Science & Global Security, Vol. 18, 2010, p.64.)まぁ、技術的にもウラン235とウラン238の分離は難しいから、原子炉でも作って燃料棒からプルトニウムを取り出そうか、となるのも解る気がする。

  とはいっても、大きな原子炉となれば建設費用が嵩むし、原爆の製造だって直ぐには出来ない。開発チームの計画では、八年くらいかかってしまうという予測があった。しかも、FOAの計算では4億5千万クローネ(現在の価値だと約10億ドル)の予算が必要とされていたから溜息が出てしまう。核開発に向けて「Lプログラム」を発足させたスウェーデンは、必要不可欠な材料の獲得に奔走した。1957年、スウェーデンは英国から極秘裏に10gのプルトニウムを分けてもらったそうだ。* この程度だと少なく思えるが、研究者にとっては充分な量である。註*(Thomas B. Johansson, ‘Sweden's abortive nuclear weapons project ’, Bulletin of the Atomic Scientists, Vol.42, No.3, March 1986, p.32.)

  マンハッタン計画でも知られているように、当時、どの国も原爆開発には苦労し、国内最高の頭脳をかき集めて製造に取り組んでいた。日本でも帝國海軍が京都帝國大学の荒勝文策(あらさく・ぶんさく)教授に依頼し、理化学研究所の仁科芳雄(にしな・よしお)博士をはじめ、東京帝國大学、東北帝國大学、大阪大学などの研究者が脳漿を絞って取り組んでいたことは知られている。スウェーデンも必死に頑張ったが、どうしても核先進国のアメリカに頼りたくなったようだ。しかし、この最終兵器を独占したいアメリカは、スウェーデンの核開発には消極的であった。むしろ断念させるよう仕向けていたのだ。合衆国政府は高濃縮ウランや最新設備はもとより、製造の秘訣(know-how)などを与えてはならぬと考え、核兵器に使われる材料や製造器具の輸出に制限をかけていたのである。(Thomas Jonter, The Swedish Plans to Acquire Nuclear Weapons, 1945-1968, p.66.)

  スウェーデンの独立を望む軍人や愛国的な政治家は、独自の核開発に熱心であったが、抵抗する勢力も少なくなかった。何しろ“リベラル色”の強いスウェーデンだ。危険な軍事研究に反対する奴が多い。例えば、「Dagens Nyheter」紙の編集者であるヘルベルト・ティングステン(Herbert Tingsten)とか、国連大使になった社会民衆党のインガ・トーンソン(Inga M. Thornsson)、外相のアーステン・ウンデン(Östen Undén)が反対の声を上げていたし、首相のターゲ・エランデル(Tage Erlander)でさえ腰が据わって居らず、心が揺らいでいたのだ。只でさえ、スウェーデンの国民感情には左翼思考が強く、平和主義が猛威を振るっているのに、ここへソ連の工作員やエージェントが加わってしまえば、核武装は国民分断の火種となってしまうだろう。

Herbert Tingsten 2Inga Thornsson1Tage Erlander 1Osten Unden 1
(左 : ヘルベルト・ティングステン / インガ・トーンソン / ターゲ・エランデル / 右 : アーステン・ウンデン)

  1960年代や70年代、日本でもスウェーデンの反核運動は有名で、「スウェーデン反核行動グループ」に共鳴する学生や活動家も多かった。リベラル派の政治家で暗殺されたオロフ・パルメ首相とか、経済学者のグルナー・ミュルルダール(Karl Gunnar Myrdal)の女房であったアルバ・ミュルダール(Alba Reimer Myrdal) 、アナーキストでフェミニストの左翼画家たるモニカ・ショー(Monica Sjöö)といった面々を思い出せば判るじゃないか。亭主のグンナーは1974年、政治哲学にも精通した経済学者のフリードリッヒ・ハイエック(Friedrich August von Hayek)教授と共にノーベル経済学賞を受賞したが、女房のアルバは“いかがわしい”ノーベル平和賞の共同受賞者だった。ミュルダール夫妻はロックフェラー財団の招きで、米国の人種問題を研究したくらいだから、ゾッとするほどの左翼カップルだ。

Gunnar Myrdal 32Alva MyrdalOlof Palme 324Monica Sjoo 111
(左 : グルナー・ミュルルダール / アルバ・ミュルダール / オロフ・パルメ / 右 : モニカ・ショー )

  マスコミ業界や教育界からの妨害も酷かったが、軍内部からの不満や反感もあったので、スウェーデンの核開発は暗礁に乗り上げていた。陸軍や海軍の上層部は核開発に費やされる膨大な歳出により、自分たちの予算が削られるのではないかと恐れていた。しかし、空軍は違っており、どんなに予算が増えてもお構いなし。というのも、出来上がった核兵器は戦闘機や爆撃機に搭載されるので、核開発の成功となれば空軍の予算も増えるし、存在感も大きくなるから大歓迎。しかし、1945年以来、多大な努力を注いだにもかかわらず、スウェーデン政府は1968年に核開発を断念し、NPT(核不拡散条約)に署名することになった。

兵器輸出で儲ける国家

  核兵器の保有は断念したけど、スウェーデンは小国ながらも、武器輸出で結構もうけている。一人頭の額でいえば53ドルくらいで、イスラエルの97ドルやロシアの57ドルに次ぐ第三位の武器輸出国だ。南アフリカと同じくスウェーデンも兵器産業に力を入れており、最新鋭の戦闘機や重火器の見本市では常連の生産国である。軍事オタクじゃなくても、スウェーデン陸軍の「ストリッツヴァグン(Stridsvagn) 103」戦車やサーブ社の「グリッペン(Saab JAS 39 Gripen)」戦闘機くらいは知っているだろう。

  ただ、アメリカやEU諸国からの技術供与も盛んになるから、米国兵器のライセンス生産も増えてくるし、外国の軍事会社がスウェーデンの市場に入ってくるから、政府がアメリカ製の武器を購入する場合も多くなる。例えば、ロッキード・マーチン社のパトリオット防衛システムを導入したが、その価格は40億ユーロだった。また、スウェーデンの軍需会社がアメリカやブリテン、ドイツの傘下になることもある。大手兵器会社の「サーブ(Saab)」は、巨大財閥のウォレンバーグ家(the Wallenbergs)が支配権を握っているけど、車輌生産の「スカニア(Scania)」はドイツのフォルクスワーゲン・グループに買収されたし、重火器やミサイルを生産する「ボフォーズ(Bofors)」は、元々スウェーデンの会社であったのに、2005年にブリテンのBAE Systems社に吸収され、子会社の「BAE Systems Bofors」となってしまった。
http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68956515.html
16:777 :

2024/04/21 (Sun) 11:49:36

Nord-Labo 北欧研究室 _ 日本在住30年のスウェーデン人に聞いてみた
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16849436

Nord-Labo 北欧研究室 - YouTube
https://www.youtube.com/@nordlabo/playlists
https://www.youtube.com/@nordlabo/videos
17:777 :

2024/04/22 (Mon) 08:08:51

【2024年最新】海外スーパーに潜入inスウェーデン!物価高はどうなってる?| 北欧在住ゆるトーク
Nord-Labo 北欧研究室
2024/04/20
https://www.youtube.com/watch?v=LAtqgIWg18o

【この動画のもくじ】
2.19 スーパーで値段調査①入り口付近
3.48 スーパーで値段調査②野菜コーナー
7.00 面白いものを発見!?
8.19 スーパーで値段調査③肉・魚コーナー
14.04 スーパーで値段調査④乳製品・卵コーナー
17:05 スーパーで値段調査⑤日本食コーナー
19:21 まとめ

在住日本人が嘆くあの値段!つっこみどころ満載なスウェーデンのスーパーでお買い物。リアルなお値段もチェックしました。みなさんからのコメントもお待ちしております♪


スウェーデンのスーパーレポ!エコ事情チェック。レジ袋はいくら?スウェーデンからお届け、北欧情報深掘りチャンネル!
Nord-Labo 北欧研究室
2020/07/17
https://www.youtube.com/watch?v=YNqSjxC7d2s&t=0s

エコ先進国としてしられる北欧。一般的なスウェーデンのスーパーマーケットを実際に訪問して、どのくらいエコが実践されているかチェックしてみました。スーパーのレジ袋の価格がびっくり。



スウェーデンのスーパーレポ。在住14年の日本人がびっくりするスーパーとは。実はとってもスウェーデンらしかった!北欧スウェーデンからお届け!
Nord-Labo 北欧研究室
2020/07/25
https://www.youtube.com/watch?v=nR0OGd_g2Eo&t=0s

スウェーデンのスーパーを実際に訪問して、現地で暮らす在住日本人の私たちが「驚くポイント」をまとめました。そのびっくりポイントを深掘りしたら、「スウェーデン」という社会や文化の本当の姿が見えてきました。
私たちと一緒に、実際の現地のスーパーの店内を見てみましょう。在住14年の室長が、びっくりポイントに隠されたスウェーデンをじっくり解説します!



スウェーデンの物価、日本と大比較!現地在住日本人がホンネトーク【食べ物編】
Nord-Labo 北欧研究室
2020/11/07
https://www.youtube.com/watch?v=ZgOcF-4B040&t=0s

【この動画のもくじ】
0:25 スウェーデンは物価が高い?
0:40 スウェーデンの消費税…実は高くない?
2:48 スーパーの野菜、果物は?
5:20 乳製品は?
7:09 肉、魚。ディスりまくる二人
8:27 パンはどうかな?
9:10 ポテチがやばい!
9:59 スウェーデンのXXに怒る在住者!
11:58 外食は?XXの価格にまた怒る!
12:56 酔えないお酒とは?
14:21 酒屋のお酒は意外と…

高いの?安いの?スウェーデンの食べ物のお値段は?スウェーデンと日本の物価を比較。気になるあれはスウェーデンでおいくら?
消費税が25%と知られるスウェーデン、実際、暮らして高いの?安いの?食べ物編ではスーパーや外食、お酒のお値段を日本と大比較!


【その他のオススメの動画】
ここまでスウェーデン化⁉︎|北欧No1チェーン店の人気お寿司|在住日本人が辛口食レポ!| 北欧在住ゆるトーク
Nord-Labo 北欧研究室
2024/03/09
https://www.youtube.com/watch?v=UybwXInYSiY&t=0s

日本食ブームのスウェーデン、お寿司のチェーン店なんかももあるんです。スウェーデン人に人気な、スウェーデン化されたチェーン店のお寿司の味は?今回は辛口でコメントしてます。ビーガン寿司(動物性の材料を一切使ってない)も食べてみたので、ぜひみてね!

【この動画の目次】
1:37 お寿司を買ったチェーンは...?
2:34 チェーン店のここがびっくり!
8:33 チェーン店&ビーガン寿司のお味は?
19:40 まとめ - このお店、おすすめできる?
18:777 :

2024/04/23 (Tue) 18:01:42

【北欧】北欧にならえば問題はすべて解決するというのは嘘です!"幸福の国"北欧諸国の抱える重大な問題!
世界史解体新書 2024/02/02
https://www.youtube.com/watch?v=J1Q7t5RIgos

本日のテーマは「北欧症候群」でした!


【北欧】ヴァイキングの故郷!北欧諸国の歴史と現在の問題を考える
世界史解体新書 2024/04/14
https://www.youtube.com/watch?v=vgpLrqYDVJY

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