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2023/11/05 (Sun) 05:34:58
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ヒグマ“激やせ”緊迫の北海道 記録的不漁 市街地に出没相次ぐ(2023年11月2日)
2023/11/02
https://www.youtube.com/watch?v=6lgd3Hwy0Yc
かつてない異変が起きているのが「北海道」です。番組では、痩せこけたヒグマの映像を入手しました。北の大地で一体、何が起きているのでしょうか。
■写真家「初めて見た 驚きと悲しみ」
2日も北の大地にクマが出没。観光客なども通る国道に現れたのは親子のヒグマです。
羅臼町役場 産業創生課 田澤道広主任:「親子が道路際に」「(Q.どのくらいの大きさ?)親は100キロぐらい」「全然、道路から出てくれなくて苦労した」
世界遺産に登録されている北海道の知床半島。海岸沿いを走る船の上からの映像です。北海道在住の写真家がカメラを向けた先には海岸に現れた黒い生物の姿が。ズームしてみると、岩場の水際を歩きながら何かを探しているように見えます。ガリガリに痩せこけた姿。実はヒグマです。
写真家 齋藤一馬さん:「あのレベルの痩せ細ったクマは初めて見たので、本当に餌(えさ)がないんだなと驚いた。これから冬眠に向けて蓄える時期だが、無事に冬を越せるのかなと悲しくなる。あの姿を見ると」
急増する都市型クマの実態に迫ります。
■カラフトマスの遡上が“激減”
毎日のようにクマが市街地に出没している北海道東部の羅臼町です。世界遺産に登録されている知床半島にはヒグマは400頭から500頭、生息しているといわれています。
冬眠に備えて秋は餌をたくさん食べて栄養を蓄える時期です。ところが、今年は痩せ細ったクマの目撃が相次いでいます。ヒグマの写真を知床半島でこの秋に撮影したのは北海道在住の写真家・齋藤一馬さんです。
写真家 齋藤一馬さん:「船の上からヒグマを撮影するツアーに参加した」
山から海岸に下りてきたクマを観察することができます。
写真家 齋藤一馬さん:「一番最初に出てきたのは海岸で昆布をあさっているヒグマ。大体ヒグマのとる餌をカラスが横取りするシーンがよくある。サケが遡上(そじょう)しているとヒグマがサケをとって、落としたサケをカラスが狙う」
3年前の9月に撮影された映像です。知床半島の海を泳ぐヒグマ。口にくわえたのは、オホーツク海など北の海に生息するカラフトマスです。
秋の時期、カラフトマスは産卵のため海から川を遡上してきます。ヒグマは遡上してくるカラフトマスやサケを狙い、冬眠に向けて栄養を蓄えているのです。
ところが、今年の秋は様子が違います。ヒグマが川の水面をのぞいていますが…。
写真家 齋藤一馬さん:「サケがそもそもいなかったのでずっと探していた。サケが遡上していないから他の何か打ちあがった魚とか甲殻類とか探していたんじゃないかと。あまり餌は見つけられていない様子だった」
海岸には、ガリガリに痩せ細ったヒグマの姿も…。
写真家 齋藤一馬さん:「今まで見てきた太ったヒグマの方が活気があるイメージだが、あそこまで痩せちゃってると表情からも悲しい感じが伝わってきた。痩せて肉がないので、むしろ爪はすごくはっきり見えた」
実はクマの貴重なタンパク源となっているサケやカラフトマス。ただ、北海道では今年、漁獲量が激減しています。
羅臼漁業協同組合 竹内勉参事補:「今年は全く駄目。皆無に近いくらい。近年カラフトマスは本当に取れなくなった」「(Q.少ない理由は?)地球温暖化による海水温の上昇が一番大きいと思う」
カラフトマスは、これまで豊漁と不漁の年が交互になっていましたが、この3年は不漁続きで今年は過去最低の記録に。
■記録的不漁 市街地に出没 相次ぐ
酪農学園大学 佐藤喜和教授:「冬眠明け後も春から夏にかけて、この秋に蓄えたエネルギーで賄っているところがある。人の生活圏まで出てしまった結果、駆除も多く行われている」
2日、親子のヒグマが国立公園を通る国道に出没。町の職員が対応に追われています。羅臼町では今年、ヒグマの目撃情報が500件を超え、すでに過去最多を記録しています。
羅臼町役場 産業創生課 田澤道広主任:「若い2、3歳のクマが非常に多い。親とはぐれたのか親が死んだのか、ちょろちょろしている状況がいくつもあった」
ガソリンスタンド店員:「フェンスの上、普通に歩道にいるとたまに歩いている。知床峠もそうだが、街中で普通に道路に座ってたりする。山に餌がないのか、餌を探しに来るクマもいるからおっかない」
羅臼町では電気柵を設置するなど、ヒグマが町へ近付かないよう対策をしています。
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2023/11/08 (Wed) 05:11:49
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【ヒグマ】史上最多の被害…都市の“住宅街出没”の真相とは『every.特集』
2021/12/12
https://www.youtube.com/watch?v=NUCC68HzI48
ことし6月、札幌市の住宅街でヒグマに人が襲われ4人が重軽傷をおった。 なぜヒグマが都市の住宅街に現れたのか。その足取りを追うと、ある可能性が浮かびあがってきた。山からおりて、都会に迫るヒグマ。その実態を追った!
ナレーター:槇大輔
(2021年12月10日「news every.」特集より)
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2024/04/29 (Mon) 17:34:55
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ヒグマが車に体当たり フロントガラスがひび割れ 北海道根室市の林道|TBS NEWS DIG
2024/04/29
https://www.youtube.com/watch?v=FKxshJRNMCo
きのう、北海道根室市の林道で、突然現れたヒグマが軽トラックを襲いました。その瞬間の映像です。
この映像はきのう午後1時ごろ、北海道根室市の林道を走る軽トラックのドライブレコーダーの映像です。
画面の左、1頭のクマが林の中に姿を消すと、右からもう1頭のクマが現れ、車に体当たり。フロントガラスもひび割れます。車を急発進させますが、熊が追いかけてきます。
根室市内では、先週から クマの目撃情報が相次ぎ、警察が注意を呼びかけています。
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2024/06/21 (Fri) 08:40:52
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「馬鹿にしているのか」ヒグマ駆除 町と猟友会が交渉決裂「高校生のバイト以下」【羽鳥慎一モーニングショー】(2024年6月17日)
2024/06/17
https://www.youtube.com/watch?v=6QU9JqV9zm8
北海道でクマの出没が相次いでいます。猟友会のハンターらが、報酬の低さなどを理由に出動を辞退している奈井江町では、連日クマの親子が目撃されて、町民から不安の声が上がっています。
■ヒグマが現れた!人が襲われる事態も
15日、北海道上砂川町で撮影された映像です。林道を走る車がカーブに差し掛かると、数十メートル先で、木の枝が大きくしなります。
落ちてきたのは、ヒグマ。よく見ると、落下しながらも枝に捕まろうと前足を伸ばしています。道に落ちた後、ヒグマの姿はすぐに見えなくなりました。
陸別町にある天文台の駐車場です。建物の影から出てきたのは、ヒグマ。辺りを見回し、悠然と道路を歩いていきます。周りには車がとめられていて、人の生活圏にヒグマが現れたことが分かります。
銀河の森天文台 津田浩之館長
「まさか天文台の敷地内、しかも建物のすぐ下に出てきたというのは、(今までに)無かったものですから、驚いたというところです」
天文台によると、ヒグマの体長はおよそ1.5メートル。このヒグマによる被害はありませんでしたが、天文台は来館者に注意を呼び掛けています。
住宅街にほど近い林で撮影された映像には、体長およそ2メートルのヒグマが映っていました。二本脚で立ち、ダンスするような動きで、木に背中をこすりつけています。設置されたカメラが気になるのか、近付く様子も…。
観光客が通る車道に現れたヒグマ。人間を怖がる様子もなく、車の中を伺うそぶりを見せながら、ゆっくりと歩きます。
北海道ではヒグマの出没が相次ぎ、雨竜町では人が襲われる事態も…。周辺には今も、ヒグマ注意報が出されています。
■交渉決裂「日当8500円」町と猟友会対立
その雨竜町からおよそ30キロ。4800人ほどが暮らす奈井江町では、ヒグマ駆除を巡り“ある問題”が浮上しています。
奈井江町 三本英司町長(69)
「去年、おととしと、クマが山里じゃなくて、市街地まで出てくるようになってしまった。そこ(ヒグマ駆除)の体制を再構築しようということですね」
これまで奈井江町では、山に出ることが多かったヒグマをボランティアのハンターと協力して駆除してきました。
しかし、人里に降りてくるヒグマが増えたため、町は4月、猟友会に新たにクマの駆除などを行うチームへの参加を呼び掛けました。
北海道猟友会
砂川支部 奈井江部会
山岸辰人部会長(72)
「高校生のコンビニのバイトみたいな金額でやれ。ハンターばかにしてない?って話ですよ」
しかし、町が提示した金額は日当8500円、発砲を伴う場合でも1万300円。札幌市と比べると、半額以下だといいます。
山岸さん
「(Q.提示された金額について)冗談だろと思いましたよ」
猟友会は、1回の出動につき4万5000円を提示しましたが…。
山岸さん
「『予算がない。条例を変えなきゃならない、時間がない』と。後日、仲間内で全員で話し合ってお断りしようと」
町と猟友会の交渉は決裂。猟友会は、町のヒグマ駆除に協力しないことになりました。
そんななか、奈井江町で先週、3日連続で住宅街のすぐ近くで、ヒグマの目撃情報が相次ぎました。
根室市で4月、車を襲うヒグマが撮影されました。左には子グマがいて、襲ってきたのは子グマを守ろうと攻撃的になった母グマとみられています。
奈井江町のヒグマ目撃情報は、半分以上が親子連れのため、住民は不安を口にします。
近隣住民
「やっぱりドキドキしますね。畑なんかやってる時に、もしひょっとすると近いからね。来るんじゃないかとか、そういうのはありますけどね」
近隣住民
「奈井江川のほうにも出たっていうからさ。散歩をたまにしてたんだけど、今はこっちの方を歩いてるね」
「(Q.やっぱり出くわさないように?)うん、言われたもん。歩いてたら、どっかのおばさんに『危ないよ』って」
■ハンターのリスクと負担 高齢化も
野生動物の捕獲や駆除に協力することが多いハンターの団体「猟友会」。奈井江町の猟友会が「今回は協力できない」としたのには、報酬金額以外にもリスクの問題がありました。
山岸さん
「ひざ丈まで草があれば、彼らは体重200キロあって、5メートル離れた所に身を隠しても分からないですよ。だから、特殊部隊を相手にして、ハンターが勝負を挑むようなもんですよね」
実際に3メートル近いヒグマと対峙(たいじ)した北海道猟友会・砂川支部の池上治男支部長 (75)は、次のように述べました。
池上さん
「(Q.かなり鋭いですね?)だいたい275キロ、2メートル75センチ。手脚合わせたら、3メートルくらいのヒグマの爪なんです。これが手についてるわけ。5本!これ5つ!これで頭をドーンとやられて、犠牲になった人がたくさんいる」
さらに、自身の生活や猟友会の高齢化も…。
山岸さん
「正直、私たち仕事してるんで。それほど暇じゃないです」
介護関係の仕事をしているという山岸さん。奈井江の猟友会は5人が所属していますが、全員仕事をしながら、ハンターとして活動しています。さらに、5人中3人が70代だといいます。
山岸さん
「町民のためとか、住民のためとか。それは自分たちの生活あっての話で、余力でやる話で。自分たちの生活犠牲にしてまでやりますかって話です」
■途絶えたまま…猟友会との交渉
三本町長は、猟友会から協力を断られたことについて、次のように述べました。
三本町長
「たたき台でしか、まだなくてですね。残念ながら、そこの段階できちんとした意思の疎通が出来なかったということでしょうね」
1万300円という報酬額については?
三本町長
「どのくらいの報酬が妥当なのかっていうことでの議論が、おそらく全国でもされていないと思っていて、それを協議するということだと思うんですよ。そういう意味では見直しありきというよりも、それを作り上げていくということが協議の始まりであってほしかったという気はしますよね」
町が提示している1万300円というのは、予算で出せる最大の額なのでしょうか?
三本町長
「そういうことじゃなくて。だから、隣町と一緒のベース。それをベースに予算を組んだというだけの話ですよ。上がる可能性は全然あるし、上げることは一つも、やぶさかでないので。一回も上げるつもりないと言っていませんから」
町は「提示額は隣町を参考にしたベースの額で、安全確保の話についても、話し合いを進めていくつもりだった」ということです。
三本町長
「私たちとしては、町としての担当からの思いが伝わらなかったのかなと思って。そこのところは本当に反省しなきゃいけないなと思っています」
現在、猟友会との交渉は途絶えたままです。
町は「当面、猟友会に所属していないハンターにボランティアとして協力を仰ぐ」ということです。
■猟友会頼みに限界…どうすべき?
奈井江町側は、クマの駆除で発砲を伴った場合、1万3000円を支払うつもりだったとしています。これはあくまでも三本町長とのたたき台だったということです。「報酬・安全面についての協議の始まりであってほしかった。対応の仕方に反省はある」としています。
一方、猟友会側の主張です。
山岸さんは、緊急出動の場合、実際にクマを駆除した場合も含め、4万5000円の報酬を要求しています。町側の提示額については「高校生のバイト代以下」としています。
さらに、報酬だけでなく「クマ駆除の枠組みがない。罠の仕掛けから片付けまで丸投げ。やる気が感じられない」ということです。
他の自治体の例としては、幌加内町では昨年、釣り人がクマに襲われて死亡した事故をきっかけに報酬が増額され、1日1万5000円。札幌市では1日2万5300円、捕獲や運搬を行った場合は3万6300円になっています。
島牧村では1日2万6900円で、 緊急時には4万300円に引き上げられます。さらに、実際にクマを捕獲した場合は10万円がプラスして支払われるということです。
今後の自治体と猟友会との関係について、酪農学園大学の佐藤喜和教授は「クマの駆除については猟友会頼みの自治体が多いが、高齢化・後継者不足により今後困る地域が出てくる。猟友会頼みのクマ対策を考え直す時期に来ているのでは」と指摘しています。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年6月17日放送分より)
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2024/11/14 (Thu) 23:26:12
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クマの専門家に聞く!登山者のためのクマ対策
山と溪谷ch. 2024/11/10
https://www.youtube.com/watch?v=qhYidHkZwdE
登山者が知っておきたい「クマ対策」について、東京農業大学の山﨑晃司教授に教えていただきました。
クマは増えているのか?クマはどんなところにいるのか?
クマに遭わないようにするには?襲われそうになったらどう対処したらいいのか?
人を襲うクマが増えないようにするために、私たちにできることは?
クマに関するさまざまなギモンに答えていただきました。
【目次】
00:00 OP
01:14 2024年の登山における主なクマ被害と近年の傾向
11:45 クマは1年をどのように過ごしているのか (クマは森林限界まで上がってくる?)
17:05 クマに遭わないようにするには
24:05 クマに遭遇したときの対処法
30:34 さいごに
※訂正:20:59の ヨセミテ国立公園での例は、正しくはイエローストーン国立公園での例でした。
【山﨑晃司さんプロフィール】
東京農業大学地域環境科学部森林総合学科 教授。日本におけるクマ研究の第一人者。動物生態学・保全生態学を研究。日本クマネットワークの元代表で、現在は普及啓発委員会委員長。アフリカでのライオン研究の経歴も。著書に『ムーン・ベアも月を見ている クマを知る、クマから学ぶ 現代クマ学最前線』(フライの雑誌社)、『人を襲うクマ 遭遇事例とその生態』(分担執筆、小社刊)など。
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2024/11/29 (Fri) 18:29:56
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最強生物ヒグマに勝てる動物は誰だ?勝率別ランキングTOP5【ゆっくり解説】
動物の面白雑学【ゆっくり解説】2024/11/27
https://www.youtube.com/watch?v=-1vV65CRa4M
野生最強と謳われるヒグマ。しかし、自然界には意外にもヒグマと互角以上に渡り合える生物たちが存在します。本動画では、ヒグマとの一騎打ちで勝利する可能性がある驚異の生物たちを、その勝率とともにランキング形式で紹介します!
今回取り上げるのは:
・陸上最強の格闘家
・意外な弱点を突く狩人
・驚異的なパワーを誇る巨獣
・知能と技で勝利を収める猛獣
・圧倒的な体格差で支配する生物
それぞれの生物について:
・ヒグマとの体格差や筋力比較
・実際の戦闘能力と戦術
・勝利のための特殊能力や武器
・過去の遭遇・戦闘事例
・推定される勝率と勝利条件
などを、霊夢と魔理沙がわかりやすく解説していきます。
さらに、これらの生物たちの生態や習性、ヒグマとの 関係性についても詳しく解説。実際の野生での遭遇事例や、専門家の見解なども交えながら、科学的な視点から分析していきます。
野生動物ファンはもちろん、動物バトルや自然界の驚異に興味がある方にもおすすめの内容です。意外な結末に驚きと興奮が止まらない、知的好奇心を刺激する内容となっています。
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2025/06/02 (Mon) 10:31:21
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「クマや野生動物を知る――安全安心な暮らしのために」 日本熊森協会広島県支部がシンポ開催 改正鳥獣保護管理法成立を受け
(2025年5月23日付掲載)
https://www.chosyu-journal.jp/shakai/35040
熊森協会広島県支部が開催したシンポ「クマをはじめとする野生動物のことを知る」(5月17日、広島市)
日本全国でクマやイノシシの出没が急増し、これまではあらわれることのなかった市街地でも目撃されるようになっている。人身事故も増えるなか、4月には住宅が密集する市街地でも猟銃の使用を可能にする改正鳥獣保護管理法が成立した。クマをシンボルに水源の森を守る自然保護の活動をおこなっている日本熊森協会広島県支部が5月17日、広島市内で「安全安心な暮らしのために クマをはじめとする野生動物のことを知る」と題してイベントを開催した。兵庫県豊岡市農林水産課有害鳥獣主任対策員の岡居宏顕氏、広島大学生物生産学部の西堀正英教授、中国放送の戸倉真一氏、広島フィールドミュージアム代表の金井塚務氏が登壇し、それぞれの現場から見えてくるクマをめぐる現状について語った。
最初に日本熊森協会の室谷悠子会長が挨拶に立ち、「現在クマは市街地に出てきて人身事故を起こす凶悪犯というようなイメージが浸透しているが、長い歴史のなかで日本列島はクマと共存してきた。それが今、森から出てきて人とのトラブルが増えているということは、必ず原因があると思う。ただ怖いというだけでなく、共存するために何ができるのかを考えないといけない。今日の会をきっかけに自分たちにできることを考えたり、地域と一緒になってこの問題にとりくむきっかけになればと思う」とのべた。
現在出没が増えているクマだが、令和5年に人身被害が最多となったのは東北地域のみで、2065件の出没があった西中国地域の人身被害は2件であった。
中国放送の戸倉氏は、取材をするなかで見えてくるクマを取り巻いている環境について語った。戸倉氏は「一度人を襲ったクマは、人間がいかにもろいものかを学習し、人を恐れなくなるため駆除するしかなくなる。中国地方のクマはまだ人を恐れているため、この状態を保つことが大切だ」と話した。そして、秋田県でクマの出没やそれによる人身被害が急増していることについて、「取材に行くと秋田県の山の上は風車だらけだ。風車とクマとの関係について裏付けがとれていないから放送はできなかったが、あれだけ山に風車ができるとクマは住む場所がなくなって山を下りざるをえない」と指摘した。そしてクマが出没しても人的被害のない長野県軽井沢市では、ゴミ箱にふたをする、果物や残飯を置きっ放しにしないなどの対策を徹底していることを話し、「ここにクマと共存するヒントがあるのではないか」と語った。
広島大学の西堀教授は、空気中のDNA(環境DNA)を集めてツキノワグマをはじめとする野生動物や鳥類の生息域や生態について調査している。フィルターを通して空気を集め、そこに付いたDNAからどんな動物が生息しているのかがわかるという。
現在、中国地方のツキノワグマは、西中国山地集団と東中国山地集団とに分かれているが、最近はこの二つの集団がくっつき始めているという。生態調査でクマの糞を集めると、ほとんどが柿を食べたあとのものだったとし、西堀教授は「柿はクリやドングリに比べて栄養価が低い。食べても食べてもエネルギーの蓄積に繋がらない。その状態で冬眠に繋がるかというと難しい。メスはさらにこの間に出産をするため、冬眠するにはさらにエネルギーの摂取が必要になる。このエネルギーが十分にとれないときにはどうなるか」と指摘し、「クマに襲われない一番の方法はクマを知ることだ。だからこのような勉強会はとても重要だ」と話した。
次に兵庫県豊岡市農林水産課・有害鳥獣主任対策員の岡居宏顕氏が「市街地出没するクマと今後どのように共生してゆくべきなのか」と題して講演をおこなった【下に別掲】。
最後に金井塚務氏が「市街地出没の背景」として、これまで奥山の動物だったクマが近年は二次林を主たる生息地にしている現状を話した。1960年代から始まった大規模な広葉樹林の伐採によってクマの生息域が減少し、河川も大きなダメージを受けた。金井塚氏は「クマが奥山に帰れる環境を取り戻すことが大切だ。まずは奥山にサンクチュアリ(聖域)をつくるなど実験的なとりくみをしてみなければならない」とのべた。
最後の質疑応答では、実際にクマの被害を防ぐには電気柵が一番有効なことや、ハチミツはかなりクマを引き寄せることなど具体的なアドバイスもおこなわれた。
◇ ◇
【講演】市街地に出没するクマとどのように共存するか
豊岡市農林水産課有害鳥獣主任対策員
岡居 宏顕
岡居 宏顕氏
兵庫県豊岡市で野生動物と人との揉め事の解決をしている。生物学を専門的に勉強したことはなく、野生動物についてもクマやシカから直接教わった。方法はとにかく追跡して観察する。あとは長距離射撃や弾道法医学等が得意だ。
クマを知るために追跡し観察するなかで、今までに300回以上クマに山で出会っているが、そのうち出会い頭にばったり出くわしたのは50回、襲われたのは3回くらいだ。これがイノシシであれば、40%くらいの確率で襲ってくる。だからクマというのは、それほど突っかかってくる動物ではない。それなのになぜ最近事故が多いのか。
まずは、あるツキノワグマの秋の1日を紹介する。僕の家の近所に来るクマだが、夜中にやってきて柿の実を食べる。カキの実を食べ終わると、4時頃に集落外れの神社に移動する。寝そべったり手水の水を飲んだりいろんなことをして、6時頃に山に向かってフラフラと上がり始めた。最終的に山筋の少し手前にある植林の岩の上でお腹をつけて岩盤浴をしている。植林の中は涼しいのだ。
14時半くらいになると起き上がって、今度は山のてっぺんに行く。そこで匂いをかぐ。14時半くらいは日で暖まった空気が上昇気流となって上がっていく。クマというのは嗅覚の生き物だから、これによってどこにどんなご飯があるのかがわかる。これで美味しいものがある位置を確認すると今度は尾根筋をずっと使って歩く。尾根筋を使うことで谷の両側になにがあるのかがわかる。そして16時くらいにたどり着いた場所で、じっと集落が寝静まるのを待っている。
クマは本当によく観察しており、この集落で誰が何時くらいに寝るかというのをよく知っている。最近、都会から田舎に移り住む人が増えているが、そういう人は最初の数年はよく玄関先などでクマと出くわす。クマはその人が引っ越してきたことを知らないから、クマの方も「え、ここに人がいる」と驚いているのだ。だから数年経つとあまりそこに来なくなる。クマは自分が行動する範囲の環境や人を非常によく観察している。
里山と奥山のクマ その生態の違い
森の中にいるツキノワグマ(広島県内。金井塚務氏提供)
豊岡市は山に囲まれているが、すべての山が低く、ほとんどが二次林だ。二次林というのは燃料が薪だったころに利用されて、一度ほとんど刈り尽くされた山と考えてもらえるといい。広島もそういう地域が多いと聞いており、共通点が多いと思う。
里山を中心としたクマは、人を非常に観察しており事故が起こりにくい。つまりクマの方から避けてくれている。こういう山を再び利用しようと、山菜採りやきのこ採り、はたまたトレイルランニングなどで山に人が入るようになるとクマからするとびっくりだ。人間が街中でクマに会うようなものだ。それでも里山中心のクマは事故が起こりにくい。それほど人間に詳しく、人間に遠慮して生きている。
しかし、標高の高い場所を中心にして生活しているクマは、人間と触れる機会が里山で暮らすクマに比べ少ない。このような奥山型のクマは、奥山にエサが不足してくると里山側で食料を得るようになる。その里山にもエサが不足してくるようになると、今度はコメなどを食べにどんどん河川をおりてくる。そうやってコメを食べているうちに朝になってしまい、人と出くわす。東北の方ではこうして事故が起きてしまっている。
高い山があり、下流域に田んぼがあるところは危険だと思った方がいい。こういうところのクマは、上の方にエサがなければ下の方で活動する。コメを食べ始めたらかなり危険な状態だ。
危険度が高いか低いか クマの行動を知る
里山のクマは危険度が高くないとはいっても危険な個体もいる。絶対に安心というわけではない。まず大切なのはこちらがクマのことを知ること、どうやったら事故を避けられるのかを熟知することだ。
どのようなタイプが危険なクマになるのか。まずは交通事故にあった個体だ。クマは交通事故にあっても足の1本や2本が折れたくらいでは、なんとしても山に戻る。しかし、内臓に怪我をした場合や、クマが痛いと感じるような怪我をしたとき、さらに近くに落ち着ける場所を見つけた場合は、痛みが消えるまでそこに隠れてじっとしている傾向がある。
しかし、そういう個体に知らずに近づいたとしても襲ってくることは本当にまれだ。まれなのだが、たまたまそういう個体を見つけて警察に通報する。するとパトカーが回転灯を光らせ、「クマがいます」「離れて下さい」と大音量で警告しながら走ってくる。それによってクマがパニックになってしまい、自分で活路を開くために人に突撃しなければいけなくなる。
僕は、他の都道府県からクマの危険度を判定してくれといわれたときは、「ぱっと見、赤黒かったですか?」と聞く。赤黒いクマというのは疥癬(かいせん)という病気にかかっており、山から出てきて納屋などに籠もってしまう。ほとんど危険はないので、「できたら死ぬまで待ってあげてほしい。あと1週間くらいで死ぬから」と伝えている。ハンディキャップを負った個体や事故個体がいるのを知らずに近づいてしまい、襲われなくても「クマがいる!」と取り囲んでしまうとかえって危険だ。
また、出没原因が「そこにしかない何か」にクマが執着している場合も危険度が高い。執着しているものがそこ以外にもある場合や、単なる通りすがりの場合は危険度が低い。たとえば梅雨時期に蒸し暑くなってくると、クマは頻繁に水浴びをするようになる。これが雨や曇りの天気のときや夕暮れによく目撃されるようになる。しょっちゅう出てくるということでみんな戦々恐々となるが、水場はどこにでもあるため、これに関しては危険度が低い。ここの水場がだめなら他の水場へというように変えてくれる。
また、その執着物を得るためにどれだけ周りを警戒しているかで、その個体の危険度が判断できる。例えば民家の庭の柿を食べにくるときに、その民家が寝静まってから来るようであれば危険度は低い。しかし、起きているうちに来るようであれば危険度は高くなる。また、普段使われていない蔵などの裏にある柿の木にやってくるクマは危険度が低いが、母屋の前の柿にくるクマは危険度が高い。しかし、母屋の前の玄関の電気が常に消えていたり、センサーライトもついていないような家の庭に来るクマは意外と危険個体でないことが多い。
最前線で見た「共存」 捕獲か防除か
こうやって熊森協会と一緒に活動をしているが、僕は兵庫県内でもっともクマを殺してきている人間だ。とくに、僕が就任するまでは危険個体も放置されていたため、市内には危険個体があふれかえっていた。そういう個体を何年もかけて捕獲し尽くし、もうこれで安心だろうと思った矢先に人身事故が起きた。そのときに捕獲だけではだめだと痛感した。そして、これまで大喧嘩していた熊森協会に「防除を手伝ってもらえないか」と声をかけ、柿の木の除去などのボランティアをしてもらうことになった。
去年、豊岡市では全然柿がならず、コメを食べに来る個体も増えて非常に危険な状態となり、過去最高の出没件数となった。そのなかにあって熊森協会に防除をお願いしたところには、ほぼクマが出なかった。もしこの防除をしていなかったら人身事故が起こっていただろう。捕獲だけでは事故は防げないし、防除だけでも事故は防げない。問題個体を放置しておいて防除ばかりをしていても、問題個体はどんどん集落に入ってくる。両輪が必要ということだ。
どんなクマでも捕ってしまえというのが最近の秋田県などのスタンスだと思うが、これが逆効果になってしまうこともある。一例として、豊岡のある集落には僕が「ゴッドマザー」と呼ばれるメスのクマがいた。そのクマがいる間は、その集落は非常に柿が多いにもかかわらず、クマは集落外縁の山ぎわの柿は食べるが中には入ってこなかった。しかし、その個体が一昨年に死んでしまうと、去年はいろんなクマが集落の中に入ってきて真っ昼間から歩いているような状態になってしまった。そのため熊森協会に来てもらって防除をおこなうとまったく出なくなり、事故なく乗り切った。
具体的な事案の話に移るが、あるコンビニの裏にまったく手入れがされていない柿畑があり、人が入れないほどに下草も茂っていた。夜な夜なこの柿にクマが来ていると聞き、調査に行った。すると、中学生たちがたむろしている真上の柿の木にクマがいる。しかも、僕が近づいてお腹を叩いても逃げない。これは捕獲しかないかと思ったが、独立したばかりの大きさのクマを一発捕獲というのはかわいそうに思い、思いっきりお腹を殴ると飛んで逃げていった。それ以来、二度とこのクマとは会っていない。そして、この柿畑の下草を刈ってもらい、柿を収穫しやすいように木を低くしてもらった。これは単純防除といって、ある場所にくるクマ(“コンビニ”という人が集まってくるところに現れるクマ)を何とかしたという事例だ。
次は集落防除といって集落全体を防除した事案だ。防除のためにむやみに柿を伐採すると逆に危険なこともある。行政にまかせるとよく補助金を出して伐採をするが、そうなると申し込みのあった伐採希望者の木から切っていくことになる。他府県の話になるが、伐採を進めたところ、逆に事故が起きてしまったという事例を少なくとも2例耳にしている。山裾の柿にクマが来るから山裾の柿を切ると、集落のなかにクマが入るようになった、ということだ。
本来、伐採というのは、クマの動きや生態を読んでおこなわなければいけない。ストーキングや痕跡調査でクマの動きを読んだあとは、集落の柿の木を調査し、例年クマが来ている木、例年は来ていないが今年は来た木、まったく来ない木などでランク付けしていく。毎年来ていて、今年も来ている木が一番危ない木だ。そうやって集落内をグループ分けし、危険な場所から切っていくことで集落にクマが出なくなった。
次は追い払いの事例だ。出石という蕎麦が有名な観光地にクマが出た。5月のことで、そのクマは町外れの畑にイチゴを食べに来ていた。クマが逃げても危険の少ないルートを探し、そのルート上に他のイチゴ畑がないか、クマが身を隠しながら移動できる植え込みがないかを探した。するといずれもあったため、そのルートを立ち入り禁止にして、クマを追い払った。追い払い方は、クマに嫌がらせをする。どうやって嫌がらせをするのかというと、少し危険なやり方なのでいいにくいが、安全距離をとって、ひたすらクマを見つめるだけだ。見つめられるとクマも居心地が悪い。クマからすると「なんか変な人がいるし、向こうの方に美味しそうなイチゴの匂いがしているからそっちに行こう」という感じだ。それをくり返して山に返す。この追い払い方をするには距離が必要で、爆竹などは絶対に使ってはいけない。爆竹など大きな音を出すものを使うとクマは逆に立て籠ってしまう。
住宅密集地での発砲 実際に経験した事案
今日の本題に入る。鳥獣法が改正されて、市町村判断で緊急事案等に住宅密集地でも発砲ができるようになった。実は僕は日本で唯一、住宅密集地で発砲を経験している。僕の事案が国会で法改正の参考事例になった。
これは豊岡市の岩中というところで起きた事案だ。明け方くらいに線路を歩いていたクマが路線チェックの電車とぶつかり、民家に逃げ込んだ。冬の朝で、中学生の男の子が玄関を開けて新聞をとろうとしたが、どうしても玄関が開かない。なぜだ? と横から覗くと、130㌔もある最大級のクマが玄関に寝転がっていた。
僕が到着したときには警察などに取り囲まれ、クマも相当に気が立っていた。まずはクマの興奮を収めるために全員を退避させ、本部を離れたところに置き、僕だけ残ってこのクマを見張った。この事案は、法的な解釈を巡って解決するまでに3日かかったが、その間、飲まず食わずでクマを見張った。そして、関係者全員で話し合い、非常に危険な案件で銃による射殺しかないということになった。というのも、麻酔銃は撃って効くまでに暴れる確率が高い。フリーな状態のクマを麻酔銃で撃つというのは、環境省も推奨していない。このときは、クマのすぐ後ろは扉で、横がプロパンという状況だった。もし貫通した玉がプロパンに行くと大惨事になる。それで射撃手として、弾道法医学の知識がある僕に警察からお鉢が回ってきた。
射殺に決定したものの、鳥獣法によって民家密集地での発砲は禁止されている。除外規定が二つあり、一つは警察官職務執行法第四条だ。警察官の命令によって「今まさに危険」と判断できるときのみ適用される。しかし、これは立てこもって動いていないときには使えない。次は緊急避難、いわゆる正当防衛という法律だ。しかし、これはこの行為が自他を守るためにやむを得なかったと認められる場合のみ適用される。この審理には6カ月かかるため、6カ月の間に撃った人は被疑者になり銃は没収だ。だから実際には撃てない。
銃を持っている人間は、発砲できるかどうかを自分自身で判断しろと銃刀法にあるため、警察官や行政の命令であったとしても罪と責任は発砲者が負わなければならない。そのためどうやって法を適用してこのクマを捕獲しようかとなり、最終的には警察官職務執行法が適用された。
さらに警察官職務執行法というのは、管轄である生活安全課の刑事が「警察官職務執行法を執行するから撃ってくれ」といっても撃てないことが多く、本庁にお伺いを立てて本庁がオッケーを出さないといけない。僕のケースはすごく特殊だったので、警察庁まで話が行き、3日後にようやく撃って良いとの指示が出た。
カメラを見つめてクマが頭をこちらに向けるまで待ち、僕がクマの前に飛び込んでいって、クマが何事かと顔を上げ、頭と背骨と骨盤が一直線になるのを狙って撃ち込んだ。
僕らからすれば、危険なときに僕の判断で撃つことができるようになるため、今回の法改正は万々歳だ。しかし、これで予想される影響がある。まず警察官からの命令ではなくなることだ。先ほど警察官職務執行法の命令といったが、この場合、なにか被害があったときは警察と被害者との係争だった。しかし、それが直接、市町村もしくは発砲者が責任をかぶることになる。現在、環境省は市がかぶれといっているが、おそらく最終的にはハンター個人にかかるようになるだろう。
その場合どうするのか。ハンターの保険は猟友会の共済とハンター保険と二つある。しかし、猟友会の共済は規定で、法的に適っていないものの発砲は認めないと書いてある。今回の法改正で法的に適うようになったが、最近になって猟友会のホームページでこれが強調されるようになったため、おそらく共済での適用はしないつもりだと思われる。では、ハンター保険はどうなのかだが、保険会社もこれは逃げ腰になるだろう。損害賠償はものすごい額になる。だから国はハンター保険などが本当に適用されるのかという保険会社との折衝が重要になるのだが、現実には「市がなんとかして賠償してやってくれ」といってきている。無茶苦茶だ。だれも彼もが、先ほどいったような方法で撃てるわけではない。
背を向け走って逃げる クマ遭遇時の対応
ツキノワグマ(広島県内。金井塚務氏提供)
そして、今日来ている人たちにとって一番大事な、クマに出会ったらどうするかという対処法だ。共通しているのは、絶対に大きい声を出してはいけないということだ。大声を出したことによって追い払ったという事例も確かにあるが、それはクマが行くぞと構えていて、やっぱりやめようかなと思ったピンポイントのタイミングで大声を出さなければいけない。それを狙うのは無理なので、とにかく悲鳴を上げないこと。
クマを見ながら後ずさりをするというのが推奨されているが、あれもやめた方がいい。それで転けて急な動きと見なされて襲われた人は何人もいる。転けて頭を打ってクマに襲われるよりも酷い怪我をした人もいる。僕は今まで50回ほど、出会い頭(がしら)にクマにあったことがあるが、そのときには全部背中を向けて走って逃げている。襲われたことは1回もない。クマからすれば「なんだコイツ」と感じている人間がずっと目の前に立って睨み付けている方が脅威だ。子熊がいた場合は特に。
どうやったら出会い頭の事故を防げるのかと思い、1、2年前から早朝に山裾でランニングを始めた。今までに17回ほどクマに会っているが、全部後ろを向いて逃げている。そして、そのなかで気付いた傾向としては、「固い靴底の靴」を履いているときには1回もクマに会わない。おすすめは、アシックスのターサーだ。分厚くクッションの入っている靴を履いたときにはよく会う。
確かに山伏の本には、山伏が使う錫杖(しゃくじょう)は「ヘビ避け、動物避け」だと書いてある。だから、できればトレラン用の細いポールではなく、棍棒のような杖をついて歩くと避けられる可能性がある。前から出くわしたときには、走って反対方向に逃げる。そして、通り過ぎたあとに後ろでガサガサガサと出てくるクマに対しては、スピードを落とさずにそのまま通り過ぎてほしい。もし攻撃されたときは、身構える暇などないくらいの速さのため、できることといえば鼻を蹴るくらいだ。蹴るというよりも前に足を出していれば突っ込んでくるクマの鼻先に当たる。僕は靴のつま先に鉄を入れている。
また、これからの時期は町中で出会うこともあると思う。そのときは電柱を探して欲しい。電柱の後ろに入りこんでクマと距離をとるようにして逃げる。電柱や立木を探すのが大事だ。あとは出会わないようにこちらの存在を知らせることが重要だ。
共存にむけた考察必要 なぜ野生動物増えたか
なぜ野生動物が急増したのか。僕らにとってクマというのはどんな存在なのか。
二次林というのは、燃料が薪だった時代に切り尽くされて、一時は日本全国ハゲ山だったと聞く。痩せた土地に、最初はススキ科の草が生えてきて、だんだんアカマツが生えていく。そしてアカマツは、アオハダやコナラなどが生えてくるとだんだん衰退していく。コナラなどが伸びていくと、次は照葉樹に置き換わっていく。クマは山を歩き回り、いろんな実を毛にくっつけたり、お腹のなかにためこんで歩いて行く。鳥などが配布する能力に比べるととても低いが、クマしか歩けない場所もある。そんな場所にクマは入っていく。そうすることによって山が再生していく。
クマは見通しがきく明るいところが好きで、マツなどが生える明るくて風の通る場所を好んで歩く。風が通ることでは、いろんなものの匂いがとれるからだ。そうして徐々に山が再生していく。豊岡市では、崖崩れや雪崩があったところに食べ物があるのだろう。そこにクマが好んで来る。現在、悪者になっているシカも、通常であれば下草を食べて植生の遷移を促す動物だ。イノシシは、地面の下のミミズやクズという植物の根を掘り返して食べることによって植生を攪拌(かくはん)していく。そうやって山は驚くべき速さでどんどん再生していく。人間が手を出すよりずっと早い。
里山は現在、野生動物 にとってエサに溢れた環境になっている。「昔は野生動物なんていなかった」という話をよく聞くが、当時の山は、刈り尽くされた後なので野生動物が来るはずもない。再生し、エサがあるから野生動物が来るようになっているのだ。
野生動物の一頭一頭に無駄な命はない。しかし、増えすぎると困ることもある。人間が自分たちの生活を維持しながら野生動物と共存しようと思ったら、どうしても適切な数を維持しなければならない。そのこと自体の是非、人間が生息数を調整することの是非、また、どういった手段が有効で適切なのか、みなさん自身に何ができるかをみなさんそれぞれに考えてほしい。(文責・編集部)
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