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「物価高で家計は火の車」 給料上がらず食費削って生活防衛

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2023/11/03 (Fri) 17:43:51

「物価高で家計は火の車」 給料上がらず食費削って生活防衛 増税メガネよ、これが庶民の現実だ
2023年11月3日
https://www.chosyu-journal.jp/shakai/28061


 食品の値上げラッシュが続いてきたこの2 年。最低賃金が数十円アップしたり、大手企業でわずかながらのベースアップがあったところで物価高騰に庶民の財布は追いつかない。どの家庭も日々の食費や日用品、電気代、ガス代などが上がっていくので節約に節約を重ねる日々だ。岸田首相が今月になってスーパーを視察し「確かに上がっている」とコメントしたが、庶民はもう2年、この状況のなかで預金をとり崩したり、生活を切り詰めながらやりくりし続けており、物が売れなくなっているスーパーも四苦八苦しているところだ。1回きりの「所得税減税」を表明して、国民の支持を得られると思っている政府のピントボケぶりはますます際立っている。



値上がりで食品買い控え、売上減も



 円安やウクライナ戦争の影響を皮切りに、これまで「値上げ」など口に出せずに耐えてきたメーカーがこぞって値上げを発表した。その数は昨年1年間で2万5768点にのぼったが、今年はそれを上回る3万点をこえる規模になっている。同じ商品が二度、三度と値上げになるケースも多々ある。当初は「値上げも致し方ない」という空気も強かったが、ここまですべての物が値上がりすると限られた家計からの支出を控えるほかない。



 調査会社インテージが全国約6000店舗のスーパーマーケットやドラッグストアの販売情報から、多くの食品に値上がりが波及する前の2年前(2021年9月)と今年9月を比較したところ、価格が上がった商品の多くで販売数量が大幅に落ちていた。2年前といえば、コロナ禍が始まり巣ごもり需要などもあってスーパーの売上が上昇していた時期なので、単純比較はできないものの、値上げ商品の販売不振は顕著だ【表1参照】。



 ダントツなのがキャノーラ油(菜種油)だ。今年に入り2020年の平均価格の190%前後に高止まりするなかで販売数量は2年前と比べると41%も減少した。その分の一部はサラダ油に切り替えたとみられ、こちらは97%増になっていた。小麦粉は30%減、マーガリンが23%減、砂糖が23%減など多くの調味料で2桁の減少となっている。主食では小麦粉が30%減、カップラーメンが20%減など大きく減少したほか、今や高級食材になったサバ缶や魚肉ソーセージも20%以上減少した。嗜好品でもレギュラーコーヒーが22%減など、幅広い商品での購入減が起きているという。



 一方、同じく高止まりしている日用雑貨について見ると、洗濯用洗剤が12%増、歯磨き粉が12%増、トイレットペーパーも5%増など、日用品は底堅い数字となり、どちらかというと食費を削って生活を防衛している様子が垣間見える結果となっている。



子育て世帯 食べ盛りの子ども抱えて



 小学生の子ども2人を育てる母親は、「高学年になると食べ盛りで、晩ごはんを食べたあと寝る前になって“うどんが食べたい”“肉が食べたい”といって四食目を食べている。たくさん食べてくれることはうれしいが、昨年からはとくに食費の膨らみ方が尋常ではない。考えた結果、晩ごはん時間を少し遅らせて、お風呂に入ってすぐに寝るようにした」と話す。



 お菓子は極力買わないようになり、4つ入りのヨーグルトを買って凍らせてアイスクリームのようにして食べている。日持ちもするしコスパもいいのでおススメだ。近所のスーパーが土曜日に新鮮野菜の安売りをしているのでまとめて買って1週間もたせている。肉は夕方の安くなるときを狙って買いに行き、小分けにして冷凍する。これまではスーパーに行けない日は牛乳や卵、パンなどをコンビニで買うときもあったが、コンビニにはまったく行かなくなった。



 習い事で週末には子どもたちの弁当をつくっているが、品数を減らし、唐揚げの肉はモモ肉からムネ肉に変わった。油の値段も倍ほどに上がっているので、揚げ物の回数も減らしているところだ。子どもの食費と衣類にかかるお金は削れない。なので自分にかけるお金を減らし、衣類などはほとんど買わなくなったという。値上がり幅の大きな日用品はドラッグストアで20%オフの日に買いに行く。これほど節約しても出費を維持することは難しい。いざというときのために手を付けないでいた児童手当も少しずつとり崩すようになっている。「出ていくばかりで、貯金がなくなっていく」と話していた。



 ゼロ歳児を育てる20代の夫婦は、「今までは“要るもの”を買っていたが、今ではスマホを片手に1週間の予算をこえないように計算しながら買い物をして、それからはみ出すものは週をこえるまで我慢する。成長とともにミルク代は減ってきているけど、離乳食の進行とともにお米代がかかるようになっており、一生懸命やりくりをしている。野菜が高く、ほうれん草は手が出ないので、かわりに小松菜を愛用するようになった」と話す。食材の買い物とは別に、飲み物はドラッグストアのほうが安いのでそちらで買いに行く。食器洗い洗剤は水で薄めて増量をして使い、本当は使いたいが芳香剤ビーズを買うのをやめた。赤ちゃん用の無添加洗剤も高いのでやめようと考えているところだという。



 小さな子どもを育てる家庭では紙オムツなども必需品であるほか、成長期であれば1年前に着た服は小さくなって更新も必要だ。通学のための交通費もかかる。そうした子どもの成長段階に応じて必要なものは削ることはできないから、結局、食費を削るようになっている。



 40代の単身男性は、この物価高のなかで朝食を食べることをやめた。日用品類は少しでも長く使えるようにとの工夫で、シャンプー・ボディソープは水で薄めて使っている。衣類もほとんど買わずに、とくに春・秋の合い物は買わなくなった。食事をコンビニで済まそうと思っても、以前はおにぎりは100円程度だったものが今では170円ほど、弁当を買えば500円以上になっているうえ弁当箱の「底上げ」がひどく、お腹を満たそうと思えば1000円近くかかる。とても毎回は買えない。



 70代の単身男性は、近所のスーパーに買い物に行き、安売りの鮮魚を買って帰り、冷凍庫に保存して必要なときに使うという。弁当・惣菜類も買っていたが、最近は商品の数が減り、夕方の安くなる時間に買いに行っても棚にないこともしばしば。値引きになってもせいぜい2割で、「安い」と感じられない。これから寒い季節がやってくる。暖房を使えば光熱費がさらにのしかかってくる。「今年の冬はパチンコ屋で過ごそうかな」と一言。結局お金を使ってしまうとはわかっているが――。



 男性も女性も、若者世帯も高齢世帯も、生活を維持していくためにみなが生活をきりつめており、「楽しみだったお菓子を買わなくなった」「外食するのをやめた」「ポイント10倍デーにまとめて買い物をして次回以降にポイントを使って買う」「美容院(床屋)に行く頻度を減らした」「美容院に行くときに自分でシャンプーしていけば700円浮く」などといった節約話で巷はもちきりだ。子育て世帯にいたっては、「子どもを空腹状態にするわけにはいかない」「支払い関係は滞らせられないから、食費をどうにかするしかない」と親たちが身を削って一日一日を乗り切っている。家庭でのさまざまな節約術に加え、何曜日が安いか、なんの品目が安いかといったスーパーごとの特徴を調べて走り回っている主婦も少なくない。「走り回るガソリン代を考えるとどっこいどっこいかもしれない…」といいながらも、量を減らすことなく食事を準備するのに精一杯だ。そうしたなかでは外国産か国産かなどにもこだわっておれない。材量を買って自宅で「手作り」するよりも安いからと、値引きとなった弁当を求める母親たちの姿がスーパーに増えている状況に心を痛めている人もいる。一方で、生活のために日々忙しく働いている人ほど時間に追われ「節約をする間もない」という皮肉な実情もある。



 みなが食費を削っている様子は、10月12日に帝国データバンクが発表した特別企画「『食品主要195社』価格改定動向調査―23年度家計負担額推計」でも顕著にあらわれている。今年4~9月の食品値上げ分を計算して試算したところ、1世帯当りの月の家計負担額(生鮮食品を除く)は22年度より平均で4058円増える計算になった。ところが、総務省の「家計調査」(2人以上世帯の消費支出データ)では、1カ月の増加額は平均373円とごくわずかな額にとどまった。値上げされた分、家計で月当り約3700円の節約をしているということだ。それでもこれまでの生活を維持できないほど、お金が飛んで行く。



高齢者 医者に行くのも控える





 さらに厳しいのが年金暮らしの高齢者世帯だ。2カ月に1回の年金だけでは食べて行けず、この物価高のなかで行政機関や支援団体への駆け込みも少なくない。



 支援団体の関係者は、「コロナになって生活保護を担当する生活支援課からの支援要請の数が急激に増えた。生活保護の申請・決定から支給までに2週間かかるそうだが、その間のお金がないからと食料援助の要請がある。コロナ以降もその状況が続いている」と話す。ケースワーカーから要請があれば、本人の状況に合わせて物資を選ぶが、電気・ガス・水道を止められている人もおり、煮炊きができない人にはパンや乾パンを支給し、お湯が沸かせるのであればカップ麺やフリーズドライの味噌汁などを提供する。お湯が沸かせずに近所の人からお湯をもらったという人もあった。「コロナで生活福祉資金の貸付を受けた人のなかでは、返済にあてるお金がないため食料を支援してほしいといわれて、定期的に支援をしている」と肌身に感じる生活困窮の実態を話していた。



 子ども食堂の関係者は、「地域の高齢者にお弁当を1食200円で配っているが、食材の物価高騰で価格の維持が大変になっている。弁当箱も値上がりしていて50円ほど値上げをしたいが、それすら難しい。この辺りは生活に困窮している高齢者ではないのにその状況なので、生活が厳しい高齢者はもっと大変なのではないだろうか」と話した。乳製品なども大幅に値上がりしており、スーパーでの買い物で1万円があっという間になくなる。子ども食堂の運営も厳しくなっていると話した。また、「知り合いの子持ちのお母さんが、最低賃金が40円上がったが、扶養に入っているからその範囲内で抑えなければならないので、勤務時間が減っただけでうれしいことはなにもないと話していて、若い人も高齢者もみんな大変になっていると感じている」と話していた。



 さらに高齢者のなかでは医療機関にかかることを控える動きも出ている。ある高齢女性は病気が見つかり、手術をすすめられている。高額医療費の限度額は2万4600円だが、入院すれば食費、ベッド代などは保険適用外だ。今手元にある使えるお金は3万円で、それらの支払いが足りるのか、使ってしまえばその後の生活はどうなるのか、不安は尽きないなかで治療そのものをやめようと考えているという。



 別の70代女性は、けがをして整形外科にかかったが、治療のための補装具については金銭的負担感から断った。気力といえばそれまでだが、まずは食べていくことが最優先だと自己処置をして我慢して過ごしている。



消費者と接する商店 値上がり分は自己負担



 こうした消費者と日々接する業者側もぎりぎりの経営だ。あるパン屋では、小麦粉はもとより、その後のバターなどの乳製品の高騰で原料価格が高くなった。添加物の入っていないこだわりのパンをつくっているが、そこで必要なバターが急騰し、かといって国産のバターも手に入らない。昨年からの酪農危機の影響だ。メーカーは代用品をすすめてくるが、それでは品質がかわってくる。高いなら安い物にすればいいという問題ではないし、値上げしてお客さんに押しつけることもしたくない。「値上げをしたくてもドーナツ1個を200円、300円もすると買う側になるとやはり高い。日常的に買ってもらえる値段でなければ商売にはならない」。値上がり分は負担をしながらやっていくしかない状況だ。



 こうしたなかで政府がまったく無策であることへの怒りも強い。経営者の女性は、「とにかく消費税を今減税するべきだ。みんなの生活が厳しいのだから差別なくみんなを救うには消費税減税しかない。非課税世帯、子育て世帯という線引きなく、みんなが平等に恩恵を受けられる仕組みにせずになにをしているのか」と語気を強めていた。



スーパーの実情 値上げで販売数量減る



 あるスーパーでは、揚げ物に使う油の価格が倍加しているため、節約のために油かすをとり除くさいに徹底的にかすと油を分離させ、とり除いた油を再利用して大事に使うようになった。価格転嫁はすでにしていて、唐揚げは1個100円ほど、弁当も以前は一番安いもので398円だったが、今は428円に上がっている。単価が上がっているから売上は前年ごえしているが、買い上げ点数は下がっており、電気代なども含めて経費が増大しているので、利益が上がっているとはいい難い状況だ。



 高額商品が売れないのも特徴で、ウナギがとにかく高すぎて、今年は大量に売れ残ってしまった。クリスマスやおせちの時期が近づいているが、とくにおせちは1万円をこえるので、需要がなくなるのではないかと心配されている。おせち文化もなくなるのではないか? という情勢だ。スーパーの顔である野菜が高いので、かわりに漬け物を売り出そうという方針をうち出しているスーパーもあるとか。



 本社からは「人件費を抑えるために残業をしてはいけない」というお達しが来ているが、人を増やさずに残業を減らすのは無理な話だ。結局、正社員の手取りがどんどん減少していくようになっている。



 食品スーパーは、比較的価格転嫁できているといわれているが、消費者の買い控えに直面して、「特売」など値下げ戦略をとらざるを得なかった中小のスーパーが苦境に立たされている。消費者と直接対面する店舗での値上げは限界に来ており、コスト削減によってみなの給料がまた下がる。そして、資金力の弱い地方の中小スーパーの閉店があいついでいる。



 この状況のなかで、即家計の足しになるのは消費税の減税と食べていくための現金給付だ。しかし岸田政府が出してきた「減税」案は、所得にかかわらず一定額を差し引く定額減税というもの。21年度と22年度の2年間で増えた所得税と個人住民税3・5兆円を「国民に税の形で直接還元する」として、24年度分の所得税3万円、住民税1万円の計4万円の減税が1回ぽっきりということで収まろうとしている。しかも大変なのは今なのに、来年6月以降になりそうな呑気さだ。児童手当の増額も当初予定の2025年2月を2024年12月に前倒しするといっているが、それも1年以上先の話。岸田の財布でもないのに、ちびちびとけちくさい対策しか出てこない。非課税世帯のみへの現金給付ばかりがクローズアップされ、支援を受けられない人との分断を煽ることにもなっている。



 国民の窮状を理解する術も気もないパフォーマンスは、むしろ国民の怒りに油を注いでいる。

https://www.chosyu-journal.jp/shakai/28061
2:777 :

2023/11/03 (Fri) 17:50:45

日本人の本当の平均年収は250万円
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日本国民は政府のATM。給料の半分近くを税金と社会保険料で毟り取られる
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円安、低賃金、ブラック労働で日本で生産する方が外国より安くなった
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「賃金上がらず予想外」アベノミクス指南役・浜田宏一氏証言 トリクルダウン起こせず…
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ハイエク: コストプッシュ型インフレは政府の責任回避の言い訳に過ぎない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14068389

妙佛 DEEP MAX _ 日本の税制とジニ係数
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14132501

ポジャール氏: 中央銀行は金利高騰か通貨下落かを選ぶことになる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29314

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29198

ドラッケンミラー氏: インフレを引き起こした政府の間違いは長期にわたって貧困層を苦しめる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/28780

資本主義の基本原理が富の独占である以上、貧富の格差が広がるのは必然
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14150799

1929年世界大恐慌の原因は高累進所得課税を止めた事
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14144412
3:777 :

2023/11/20 (Mon) 20:31:08

嘘八百だった岸田政権2年 「新しい資本主義」はどこへ? 所得倍増のはずが増税ラッシュ 来年にはさらなる負担増
2023年11月20日
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/28247

 岸田政府の支持率低迷が止まらない。強権政治が目立った安倍カラーからソフト路線にイメチェンを図るように「新しい資本主義」「聞く力」「所得倍増」などと謳って発足してから2年が経つが、これらのトピックは完全に消滅し、国内ではコロナの打撃や物価高に加えて、インボイス制度や社会保険料値上げなどで国民負担は増すばかりだ。アメリカの要求に応えて防衛費を5年間で43兆円(従来の約1・6倍)確保するための増税スケジュールを示し、「増税メガネ」と批判を浴びると「税収の伸びを国民に還元」「所得税減税」などと詐欺師的なアナウンスで目先を誤魔化そうとするものだから、その異名も最近では「減税ウソメガネ」に進化した。解散時期をめぐる憶測も流れるなかで、自民党政治のなれの果てともいえる岸田2年の現在地と次期総選挙の展望について記者座談会で論議した。



○    ○



 A 「こいつは何がしたくて首相になったのか?」と、いまや右からも左からもいわれる始末の岸田文雄だが、マスコミの世論調査でも岸田内閣の支持率は28%台に落ち込み、2009年に民主党(当時)に大敗した麻生内閣末期の水準に迫っている。レームダック(死に体)もいいところだ。最近では、「所得税減税」「次元の異なる少子化対策」「低所得世帯向けに10万円給付」などのアドバルーンをあげつつ解散総選挙への色気を見せていたが、あまりの支持率の低さに怖じ気づいたのか、「年内解散はなし」とアナウンスするなど、首を出したりひっこめたりする亀みたいなことを繰り返している。



 街頭演説に出ると「増税メガネ!」と罵声が飛び、それがツボにはまったのかSNSでトレンド入りして、今ではすっかり定着した。メガネ以外にさしたる特徴も見られないという薄っぺらさがそう呼ばせるのだろうが、「増税クソメガネ」「ポンコツクソメガネ」「減税嘘メガネ」…こんなにメガネが悪口になるなんて小学生以来だな…と思わなくもないが、メガネやメガネを掛けている人みんなを巻き込んでいる意味でも、とことん迷惑な総理大臣だと思う。



 首相になってからというもの、首相官邸に一族郎党を呼び寄せて羽目を外してみたり、外遊先で秘書官だった息子にお土産買い付けツアーに行かせたり、国会でも批判だろうがなんだろうが「総理! 総理!」と呼ばれるたびに抑えきれない至福の感情が顔にあらわれているし、肩を左右に大きく振って歩く素振りを見ていても「自民党総裁の俺」「総理大臣の俺」に酔っている風がにじみ出ていて、やることなすことに閉口する。空っぽの国会答弁を聞いていても、総理大臣になって何がしたいかというよりも、夢に見続けてめぐってきた総理大臣という地位に浸り、味わい、一日でも長くポストに居座りたい、ただそれだけの男――という以外に感想がない。



 B そもそも「首相が岸田文雄」ということ自体、たるみきった自民党なり、国会の弛緩ぶりを象徴している。



 デフレ不況が30年も続き、コロナ禍とウクライナ戦争からこっち庶民は空前の物価高で値札やレシートとにらめっこしながら食費や日用品を削って生活を切り詰めているというのに、一国の首相が選挙を意識する時期になって、やおら下界をのぞき込むように酪農家やスーパーの視察を始め「農家の厳しさを実感した」「確かに高くなっている…」などとのたまう。この政治センスたるや末端の自民党関係者ですらずっこけるレベルだろう。「今まで何を見てきたんだよ!」と突っ込みが入るのも当然だし、山本太郎ではないが「まずメガネのピントから直してこい!」と、みんなが怒っている。



分配もなく成長もなし ただ増税あるのみ 





 C 当初は「新しい資本主義」「格差是正と分配」とか、宏池会(岸田派)の先達であるところの池田勇人(広島県出身)にあやかって「令和版所得倍増計画」とかいっていたが、一年もしないうちにすべて雲散霧消した。



 打ち上げては消えていった花火の中身を一つ一つみると枚挙に暇がないが、「新しい資本主義」の看板で打ち出していたこととしては、まず就任後の所信表明で「分配なくして次の成長なし。働く人への分配機能強化」などといっていたが、これが翌年の所信表明では「まずは成長」に変わり、「分配」の文言がさっぱり消えた。



 国内は30年もの不況が続き、実質経済はコロナと物価高でさらに冷え込んでいるが、大企業だけは過去10年間は毎年最高益をたたき出しており、ため込んだ内部留保は2022年には522兆円に達した。25年前と比べて約4倍だ。かれらの現預金も10年で127兆円増えて、昨年には295兆円という過去最高水準になり、これも25年前の2・2倍に膨らんでいる。従業員給与を削り、減税の恩恵を受けたためだ。



 反比例して低迷しているのが従業員給与だ。非正規雇用が労働者全体の4割にも増えて、労働者の実質賃金は下がり続けている。法人税は減税され、その穴埋めとして消費税が上がっても大企業には輸出戻し税がある。タックスヘイブンに富を逃がして納税回避もできる。負担はより貧困層にのしかかり、株主や資本家など一部の富めるものだけが富んでいく構図をさらに今後も継続するということだ。経団連がそれを求めているというだけの話だ。



 同じく、総裁選のときには「金融所得課税」を宣言し、分離課税によって税率が低く抑えられている富裕層の金融所得(株や為替取引による所得)に対しての税金のとり方を変えていくようなポーズをとったが、これもわずか1カ月で「金融所得課税は強化しない」に180度方向転換した。



 B 目玉だった「所得倍増計画」も、2022年11月の新しい資本主義実現会議では「資産所得倍増プラン」に変わり、「貯蓄から投資へ」というスローガンに変わった。金融庁の資料では「わが国の家計金融資産の半分以上を占める現預金を投資に繋げることで…“成長と資産所得の好循環”を実現させる」となっている。要するに、眠っている預貯金を株や為替などの金融投資に注いでハゲタカ外資の食い物にするということだ。



 消費税についても、総裁選時には「消費税を10年程度は上げることは考えていない」といっていたが、わずか8カ月後に「“当面”消費税について触れることは考えておりません」にトーンダウン。これも経団連が政策評価で消費税増税を求めており、連合もそれに同調するなかで、さらなる増税に踏み切るのも時間の問題だ。要は、岸田の「新しい資本主義」とは、弱肉強食を徹底する新自由主義をただ言い換えただけのものだった。



 C そのくせアメリカにいわれたらすぐにトマホークを買い、あれだけ「財源」「財源」といいながら防衛費増額43兆円をポンと決めるなど、ちょっと普通の人間の想像が追いつかないような方針を次々に決める。前述のように経団連に命令されたら、社会保険料値上げも防衛増税、消費税増税だって厭わない。こういう「聞く耳」はいくらでもあるようだが、インボイス中止を求める56万筆(オンライン署名では国内過去最多)の声にはまったく聞く耳はなく、食料をはじめとする物価高、産業を圧迫する燃料高騰もどこ吹く風だ。



 B 来年以降の増税スケジュール【下表参照】を見ても、お先真っ暗としかいいようのない増税・負担増のオンパレードとなっている。物価高は止まる気配がなく、モノの値段が上がるごとに10%の消費税負担も倍々ゲームで増していく関係だ。これのどこが「所得倍増」「分配と成長の好循環」なのか、「景気は確実に浮揚」などといっている経済アナリストたちにぜひ聞いてみたい。





庶民は年4万円減税? 首相や閣僚の報酬大幅増



 A これだけ見ても国民を小馬鹿にした大嘘つきということになるが、「増税メガネ」の汚名挽回を期してドヤ顔で提示しているのが、所得税4万円の定額減税と低所得者世帯への定額給付(7万円)だ。減税はしないくせに、過去最高額となった税収の増加分を「国民にわかりやすく還元する」というアピールにこだわり、所得税と住民税を1人当り4万円程度減額し、住民税非課税世帯に7万円を給付するというものだ。



 しかし、その後の検討内容を見てみると、所得税3万円、住民税1万円のあわせて4万円の減額で、それも月額ではなく「年額」という微々たるもので、所得が少なくて納税額が4万円に満たない人や、住民税非課税世帯でも所得税課税世帯でもない人たち(約900万人)にはなんの恩恵もない。



 その一方で、今月10日の衆院内閣委員会で自民、公明、国民民主の3党による賛成多数で可決したのが、岸田文雄首相や閣僚らの給与引き上げなどを盛り込んだ特別職給与法改正法案だ。現行の首相の報酬は年間4049万円、閣僚は2953万円、副大臣は2833万円だが、これら首相や政務三役、内閣法制局長ら特別職の給与を一般公務員の給与改定に準じて引き上げるというもので、首相は年間46万円、大臣や副大臣は年間32万円上がることになる。これも総スカンを受けている。政府は「増額分は国庫に返納するつもり」(松野官房長官)などといってお茶を濁しているが、ではなぜ可決したのか? だ。



 国民生活になんの関心もなく、日本経済をここまで衰退させてきたくせに、自分たちの報酬の心配だけするという旧態依然の体質がもろに出ている。このKYぶりになんの疑問も感じず、ブレーキすらかからないのが現在の国会の姿だ。ふざけんな! とみなが思うのは当然だ。



 C そして10月からは、山田太郎文部科学兼復興政務官が20代女性との不倫で辞任。続いて柿沢未途法務副大臣が、応援する江東区長選の陣営のために動画投稿サイトで投票を呼びかける有料広告を出していた公選法違反の疑いで捜査を受け辞任。そして11月には、神田憲次財務副大臣(税理士)が、自身が代表取締役を務める会社の土地と建物が固定資産税の滞納で過去四回差し押さえられていたことが発覚するなど、立て続けに重要閣僚の不祥事が露呈している。岸田内閣への周辺からの風当たりの強さを感じさせるが、これが「一強」にあぐらをかき、ぬるま湯に浸った自民党のレベルだろう。安倍時代あたりから底が抜けている。



 B そもそも岸田のお膝元である自民党広島県連は、2019年の参院選で安倍晋三に手を突っ込まれ、安倍側近の河井元法相の妻・河井案里を通すために、政党交付金(税金)が原資と思われる1億5000万円の選挙資金を注いだ前代未聞の選挙買収事件まで起きた。足元の広島県連をさんざん掻き回され、カネを受けとった何十人もの地方議員が立件される事態にもなって、面目丸つぶれの岸田も当初は「自民党内の真相解明を」といっていたが、首相になったとたんに蓋をした。このケジメのなさをみても、つくづく度胸もなければ、節操もない人間というほかない。


 要するに、なんらかの実力で首相に這い上がったのではなく、あっちこっちの有力派閥と取り引きし、地元を売ることと引き換えに、ワンポイントリリーフとして登用されただけなのだ。



本気で闘う野党どうつくるか 目立つれいわ新選組



 A こういう人騙(だま)しの類いが自民党のトップなのだが、こうも続くとその手口がすっかり見透かされてしまい、やれ「減税だ」「還元だ」といっても、「またメガネがなんかいってるね…」という程度で支持率はウンともスンとも上向く気配はない。今のところ「年内解散なし」といっているが、ではいつになったら好機が到来するのかといえば確かなものはなく、支持率の下降マインドは止まらない。来年九月の総裁選が近づけば近づくほど選挙は「次の自民党の顔」選びになってしまうため、傷口が浅いうちに破れかぶれでいきなり解散ということもあるかもしれない。なにせすべてが嘘くさいのだから。



 C そこで問題は、野党がこの死に体の政権を脅かす存在になり得ているのか否かだ。



 最も目立っているのは、山本太郎率いるれいわ新選組だろう。この間の国会質疑や捨て身の抗議などの永田町での孤軍奮闘、街頭にくり出して市民を巻き込みながら消費税廃止・増税反対デモを全国各地で展開してきたことも共感を集め、メディアの世論調査でも支持率を以前の倍に伸ばしている。消費税廃止をはじめとする徹底した財政出動による生活の底上げ策、与党も野党にも群れることなく、あくまで有権者のなかに足場を置いて永田町に緊張感を与える、その行動力や気迫は抜きん出ているといっていい。



 B 菅義偉の選挙区神奈川2区では、元外務官僚で内調出身の若手新人の擁立を発表するなど、候補者予定者の顔ぶれでもインパクトを与えている。SNSでの拡散力やネットの世論調査では存在感が目立っているが、選挙はリアルの勝負であり、デモや街頭記者会見のような一般市民との直接対話や、ボランティアにとっても地域コミュニティのなかに根を張ったたたかいが求められる。すでに50人をこえる地方議員も生まれており、どれだけ地域に溶け込み、人々の生活要求を掴み、れいわの政策と結びつけて着実に足場を固めることができるかが鍵になるのではないか。




大阪市淀川区十三での増税反対デモ(10月6日)

 C 政治への不信感や憤りが鬱積するなかで、毎週のように全国各地でやっている減税デモは、どこでも予想以上に共感を集めている。駅前などの街宣では、そこを偶然通りかかる人たちが耳にする程度だが、デモは市街地を練り歩き、政策を広く訴えることができるし、れいわと直接繋がる機会のない人たちの反応も知ることができる。



 なにより「主権者が動かなければ政治は変わらない。みんなで声を上げよう!」と呼びかけて行動に移していることが、沈滞ムードのなかで悶々としている人々の心と響き合っているように思う。とくに中高生も含む若い人たちの反応がよく、「増税やめろ!」「税金下げろ!」と一緒に手を上げてコールする姿がどこでもみられる。新しい有権者の運動を作るという意味で一石を投じているように思う。



 A 他の野党をみると、立憲民主党は前回選挙で「消費税5%減税」に乗ったことを「反省」しているらしく、11日の会見でも泉代表が、コロナ禍で冷え込んだ消費が改善傾向にあるため「今の経済状況で、(消費税減税を)訴える状況にはない」といっている始末だ。自民・公明の消費税増税案に合意した旧民主党の末裔たちなのだが、その反省はないという時点でかなりの乖離がある。所属議員がみんな同じとは思わないが、もはや政権交代を目指す野党としては終わっている感が否めない。現状認識がずれすぎているし、対立軸が弱すぎる。



 共産党も立憲と一緒に「市民と野党の共闘」「野党の一本化」などといっているが、政権交代の実現に向けて無党派層をとり込むために野党再編を促すのではなく、新興勢力を牽制しつつ、先細りする現有議席を確保するという域を出ない。山本太郎などれいわ新選組の議員たちが「机の下でぬるっと手を握るな!」「本気でたたかえ!」と訴えている由縁だろう。こういう既存野党のインチキぶりが、れいわの登場によって可視化されている。



 現状では、たとえ自民党が議席を減らしたとしても、衛星政党の「維新」に票が流れるというのが大方の下馬評だが、それはあくまでの組織票の枠内であったり、従来の投票率40%選挙のなかでの話にすぎない。政治に失望している層、選挙にいかない4~5割の有権者の数%でも動かすことができたら、劇的な変化をもたらす可能性を秘めている。そのためにも彼らを動かす争点を明確にしていくことが必要だし、有権者としては弛緩した野党のケツもひっぱたく必要がある。



 B コロナ禍の「ゼロゼロ融資」の返済滞りが1兆円にのぼるという報道もあったが、今年1~9月の倒産件数は約500件にのぼり、前年同期比で70%の増加だ。それだけみんな崖っぷちに立たされている。インボイスによって中小零細企業や個人事業主からも悲鳴の声が聞かれるし、2024年問題では輸送業の運転手不足などが深刻化することが心配されているが、今後は後継者不足とあいまって「大廃業時代」に突入するとまでいわれている。中小企業の淘汰は、そのまま国力、生産力の低下を意味する。



 A コロナが来る前から、生活が「苦しい」と感じている世帯の割合は、全世帯の54・4%、母子世帯では86・7%だ。貯蓄なし世帯(2020年、日銀調べ)も20歳代で43・2%、30歳代で31・1%、そして「失われた30年(ロスジェネ)」世代である40歳代で35・5%、50歳代で41%、60歳台で29・4%だ。このまま推移すれば、本当に数年後の日本社会は、道端で人が倒れていても誰も助けられないような殺伐としたものになってしまいかねない。それは同時にこの世代が立ち上がれば、変えられる未来があるし、そういう有権者の政治的機運をどう作るかにかかっている。



 B 岸田批判については自民党内でも一定広がっているが、自民党の他の連中をみたところでさほどの大差はない。この衰退・縮小する国のなかで、誰が利権を握るかというだけの争いであり、まさに踊り子が変わっても振り付け師は同じだ。レームダックなのは自民党そのものだし、次期総選挙はそれにとってかわる新しい政治勢力を作り上げ、腐った政治に退場を迫るものにしなければならない。

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