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2023/09/05 (Tue) 00:23:12
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エネルギー不足で脱原発を後悔するドイツ人とウラン価格の推移予想
2023年9月4日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39553
2011年の東日本大震災を受け、ドイツは脱原発を決定した。17基あったドイツの原発は現在すべて停止されている。だが昨今のエネルギー事情を受けてドイツ人はそれを後悔しているようだ。
脱原発を完了したドイツ
9月2日にドイツのショルツ首相は脱原発が既に終わったことを再確認するように次のように言った。
原子力エネルギーは終了した。原子力エネルギーの議論はドイツでは死んだ馬だ。新たに原子力発電所を建てたければ15年の月日と1基につき150億ユーロから200億ユーロの予算が必要になる。
何故そんなことを今更言わなければならなかったかと言えば、エネルギー不足が問題となるなかでドイツ国民の中で脱原発を後悔する声が強くなっているからである。
その声はロシアのウクライナ侵攻が始まった後から上がり始めた。そしてそれは今も続いている。ドイツでは今年の4月に可動していた最後の原子炉が停止されたが、その直前にYouGovが行なった世論調査によれば、たった26%が原子炉の即時停止を支持したのみで、32%は原子炉停止の延期を支持、33%は原子炉の可動継続を支持した。
つまりドイツ人のうちおよそ3分の2が、2011年に東日本大震災を見た後で自分が感情的に行なった脱原発の決定を後悔しているわけである。脱原発が正しいか間違っているかはここでは議論しないが、自分でそれを後悔している以上、当時のドイツ人の結論が感情的だったことに異論の余地はない。
ヨーロッパのエネルギー問題
何故ドイツ人が脱原発を後悔しているかと言えば、エネルギーが足りないからである。きっかけはウクライナ情勢である。
ロシアのウクライナ侵攻後にアメリカ主導で行われた対ロシア制裁によって苦しんだのはロシアではなかった。それはヨーロッパだった。何故ならば、ヨーロッパはパイプライン経由でロシアから大量の天然ガスを輸入していたからである。
日本を含む西側諸国は制裁によってロシア産のエネルギー資源を禁輸した。ヨーロッパは大量のエネルギー供給を失った。ロシアは代わりに中国やインドに原油などを売った。西側以外に流れたロシア産の原油は結局は高値になって西側にも転売された。
制裁で安くなったロシア産原油、欧米に転売される
それだけの話である。この馬鹿げたロシア制裁のお陰でヨーロッパの天然ガス価格は冬場に何倍にも膨れ上がった。本来ならば、ロシアから輸入していた分のエネルギーを別の供給源から補えば良いだけの話なのだが、ドイツにはそれが出来なかった。脱原発と脱炭素によって原子力発電も火力発電も自分で制限していたからである。
ロシア制裁と脱原発と脱炭素
ここでは何度も言っているが、脱炭素政策は単にいわゆる再生可能エネルギーを推進するだけの政策ではない。融資の制限などを通して、化石燃料を採掘する会社の資金源を絶ち、原油や天然ガスを掘らせないようにする政策である。
それに加えてドイツは脱原発まで行なってしまっている。原油も天然ガスも原子力も嫌ってしまっては、もうあとはろうそくしか残っていない。
中国、電力不足深刻化でろうそくが大人気
冗談はさておくが、太陽光や水力だけで国内のエネルギー消費を賄えないのも、太陽光や水力が環境に優しいとは言えないのも単なる事実である。リベラルな人々とは、温暖化によって海岸近辺の町を海の底に沈めないためにダムの建設地にある山中の村を平気で水没させる人々である。
更に言えば電気自動車は大量のレアメタルを消費するため、アフリカの山々では大規模な自然破壊が行われている。だがリベラルな人々は気にしない。ドイツ人が脱原発を後悔したのが自分のエネルギー消費が危うくなった時であったように、彼らが間違いを認めるのは他人に害が及んだ時ではなく、自分に害が及んだ時だからである。
脱炭素とウラン価格
いずれにせよ、原油と天然ガスと原子力のすべてを嫌うことはできない。ドイツ人でさえ脱原発を後悔しているということがそれを証明している。すべてを嫌ったドイツ人は風呂に入らないという選択を推奨していたが、流石に限界のようだ。
ドイツの政治家、カーボンニュートラルのために風呂に入らないことを推奨
原油も天然ガスも原子力も嫌って風呂を沸かすエネルギーさえ賄えなくなったドイツ人は、菜食以外のすべての食事を嫌って病院に放り込まれているヴィーガンに似ている。
エネルギーに話を戻そう。ドイツで原発が再開することがなかったとしても、西側と東側の対立が進む限り、西洋人が脱炭素を諦めない限り、西洋人が原子力発電を選ぶというトレンドは避けられないだろう。だから、ウラン価格は長期的には東日本大震災前の水準を大きく上回ってゆくはずだ。
ウラン価格は実際、筆者がウラン投資を推奨した記事以来上昇を続けている。
ウラン投資のポテンシャル: 気候変動と原子力発電
結論
西洋人は何もかもを後悔している。自分で移民を入れてそれを後悔し、自分で脱炭素をしてそれを後悔し、自分でロシア制裁をしてそれを後悔している。筆者はこれを西洋の長期自殺トレンドと呼んでいる。
移民危機からウクライナまで: 西洋文明は自殺しようとしている
金融市場では長期トレンドを見つけさえすればほとんど何にでも投資ができる。西洋の長期自殺トレンドに投資するための方法は、ウラン投資とユーロスイスフランの空売りである。
対ロシア制裁で死にゆくヨーロッパ経済と上昇するスイスフラン
ただ、ウラン投資についてはAI銘柄のNVIDIAと同様、長期的な展望は明るくとも来年に予想されている景気後退にはネガティブな影響を受ける。
ドラッケンミラー氏: それでも米国経済はハードランディングする
避ける方法についてはNVIDIAの記事に書いているので、参考にしてもらいたい。
AI銘柄のNVIDIA株は最初のiPhone発表直後のApple株と同じ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39553
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2023/09/05 (Tue) 00:26:28
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菅、枝野、北沢が妨害しなければ福島原発事故は起きなかった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14007221
http://www.asyura2.com/17/lunchbreak54/msg/747.html
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/424.html
原子力発電は本当に危険なのか?
http://www.asyura2.com/17/lunchbreak54/msg/148.html
北海道停電で露呈した「原発を稼働しないリスク」
http://www.asyura2.com/17/lunchbreak54/msg/261.html
太陽光発電は国家経済を破綻させ環境も破壊する
http://www.asyura2.com/17/lunchbreak54/msg/144.html
太陽光発電・風力発電等の再生可能エネルギー発電は国家経済を破綻させ環境も破壊する
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/435.html
電力自由化失敗、太陽光は迷惑施設に
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14038565
電力自由化 地方では弊害
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/962.html
新電力の契約プランによって「突然電気代が10倍になった」などのトラブルが多発
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1573.html
風力発電の低周波問題を提起 日本科学者会議が独立分科会を初設置
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14071559
風力発電は環境を破壊するだけでなく低周波音で風車病・睡眠障害を引き起こす
http://www.asyura2.com/17/lunchbreak54/msg/145.html
バイオマス発電のウソ 森林伐採しCO2増加を招く
http://www.asyura2.com/17/lunchbreak54/msg/322.html
バイオマス発電の為に放火による森林火災が世界中で激増
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1038.html
調査報告/原子力発電所における秘密
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/363.html
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2024/10/08 (Tue) 10:28:26
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スリーマイル島原発再稼働で米エネルギー会社の株価が暴騰
2024年10月7日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/54688
アメリカのスリーマイル島原子力発電所を保有するConstellation Energyの株価が大幅に上昇している。AIのための電力消費などでアメリカではエネルギー需要が急激に高まっており、スリーマイル島では原発の再稼働が決定したからである。
スリーマイル島原発
東日本大震災以来、原発は日本ではよく聞くテーマだが、アメリカの原発事情についてよく知っている日本人はあまり居ないかもしれない。
だがそれでもスリーマイル島の原子力発電所については聞いたことのある人もいるかもしれない。何故ならば、スリーマイル島は1979年の原発事故で有名だからである。
1979年、スリーマイル島の原子力発電所の原子炉の2号機がメンテナンス上のミスによりメルトダウンした。スリーマイル島は島という名前ではあるが、ペンシルバニア州を流れる川の中洲に立てられた原子力発電所であり、周辺には人も住んでいて、周辺住民が被爆しニュースになった。
その後、事故を起こさなかった方の1号機は2019年まで稼働していたが、当時はシェールガスの産出量増加などによってエネルギー価格が低迷していたため閉鎖され、廃炉が行われる予定だったものを今回再稼働することになったのである。
Microsoftとの契約
再稼働のきっかけになったのは、Microsoftとの契約である。Constellation EnergyはMicrosoftと20年間の契約を結び、スリーマイル島原発の1号機を再稼働してその電力をMicrosoftに供給するという。
Microsoftが電力を欲しがっている理由はAI需要である。AIには膨大な計算量が必要であり、膨大な計算を行なうためには膨大な電力が必要となる。
MicrosoftはChatGPTを運営するOpenAIにも出資し、AI関連サービスを提供しており、データセンターに電力が必要だったのである。
Microsoft創業者のビル・ゲイツ氏なども原子力発電によるエネルギーをAI需要に充てるべきだと主張するなど、原発推進派である。それで今回の決定に繋がったのかもしれない。
株価上昇
東日本大震災後の原発再稼働が日本の電力会社の株価を上げたように、スリーマイル島の原発再稼働もその所有者であるConstellation Energyの株価を高騰させている。株価は次のように推移している。
再稼働と電力供給は2028年からスタートする見込みである。
原子力発電とSDGs
こうした流れは脱炭素政策とも関連している。AIで電力需要が増加するなか、欧米人は火力発電を嫌うが、水力や風力では国全体のエネルギー需要を賄えないため、苦肉の策として原子力発電が注目されている。
日本人には大気を汚す火力発電と、自然をダムの底に沈めて作る水力発電や山を切り開いて作る太陽光発電の違いがよく分からないが、この西洋の政治的混乱から利益を受けるのはウランだとして、筆者は長らくウランの長期投資を推奨してきた。
ウラン投資のポテンシャル: 気候変動と原子力発電 (2023/7/25)
ウラン価格は次のように推移している。
今回のスリーマイル島原発再稼働は、こうしたトレンドの上にあるものである。
そこに更にAIのトレンドが加わってくる。AIについては元々NVIDIAを推奨していたが、NVIDIAが大幅に上がったので今では次の銘柄としてCoherentとLumentumを推奨しており、そちらも株価が上がっている。
NVIDIA株、筆者の推奨記事後に66%上昇
NVIDIAの次のAI銘柄Coherent、予想通り25%以上の株価上昇
去年から個別銘柄の推奨の調子が良過ぎる。まだそれほど上がっていないのはプラチナだが、プラチナはインフレ対策であり、インフレ低下局面でもこれだけのパフォーマンスだということを喜ぶべきだろう。
EVの需要減速はプラチナ価格を復活させられるか
だがそちらもインフレの状況によっては火を吹く可能性がある。スタンレー・ドラッケンミラー氏はインフレ再燃を予想している。
ドラッケンミラー氏が米国債空売り、アメリカの インフレは10%を超えて再燃する可能性
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/54688
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2024/11/14 (Thu) 07:21:10
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サマーズ氏、政府による原発の規制が原発推進に偏る理由を語る
2024年11月13日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/56222
アメリカの財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏がダートマス大学でのインタビューで、原子力に関する規制を例に、政府による規制について語っている。
サマーズ氏と銀行規制
このダートマス大学におけるインタビューでは、サマーズ氏は資本主義の本質について興味深い話題を語っていた。
サマーズ氏: 資本主義に反対することは自由に反対すること
サマーズ氏: 本当の資本主義国家では権力者が大衆にごまをする
そしてサマーズ氏はその後学生からの質問に答えているのだが、学生の1人が「クリントン政権下であなたがグラス・スティーガル法を規制緩和したことが2008年の金融危機を引き起こしたが、あなたはそれを後悔しているか」と質問した。
グラス・スティーガル法は、通常の銀行業務をする銀行とゴールドマン・サックスなどの投資銀行の業務を分離する法律で、サマーズ氏はこのグラス・スティーガル法の部分的な撤廃に関わっているのだが、サマーズ氏はその学生の質問を受け止めた上で次のように穏やかに反論している。
アメリカのどういう企業で当時の金融危機が起こったかを考えれば、そのほとんどは銀行業と投資銀行業が統合された組織ではなかった。
ファニーメイやフレディマックは投資銀行部門を持つ銀行ではない。リーマンブラザーズやベアスターンズは純粋な投資銀行だった。AIGは保険会社だ。
グラス・スティーガル法はリーマンショックの原因としてよくやり玉に挙げられるが、事実はサマーズ氏が述べる通りである。リーマンショックの大部分はグラス・スティーガル法とは無関係の場所で発生した。
銀行業と投資銀行業の両方をやる組織で、リーマンショックにおいて破綻しかけたのはシティグループぐらいだが、シティグループについてはサマーズ氏は次のように述べている。
シティグループはゴールドマン・サックスのライバルだったソロモン・ブラザーズを買収したが、それはわれわれがグラス・スティーガル法に修正を加える前の話だ。
1998年から2008年までの10年間、グラス・スティーガル法の部分的撤廃のあとに起こった事例で、それまでのグラス・スティーガル法のもとでは不可能だった事例は1つもない。
業界を規制する難しさ
明らかに学生の質問が雑だったのだが、サマーズ氏はハーバード大学の学長だった時代、学生が教授に自由に意見を言えることを大切にしていて、それを彷彿とさせる微笑ましいやり取りである。
サマーズ氏自身が自分の発言のせいで左派の教授たちに学長職を追い出されているから、気持ちが分かるのだろう。
サマーズ氏、大学教授が左翼ばかりである理由を語る
そしてサマーズ氏は規制緩和を批判した学生に次のように続けている。
そういうことを心配するのは正しいことだ。だが一方で、ある業界に対する規制は、その業界のことを知っている人物にやってほしいと思うはずだ。規制する業界について何の経験もない人物に規制をさせると、それはまた別の問題を生む。
規制の根本的な問題は、ある業界の規制はその業界に詳しい人物にさせるべきだが、その業界に詳しい人物は高い確率でその業界に同情的だということである。
それは金融業だけの話ではない。サマーズ氏は、自分とは無関係だという理由で、原子力の規制を例に次のように言う。
例えば原子力工学や原子炉についてどう考えるべきか。原子炉を規制する人物は、原子炉についてよく知っていて、しっかり研究してきた誰かであってほしいはずだ。
だが原子炉が本質的に安全ではないと考えている人は、そもそも原子炉について研究しようとは思わないだろう。
原子炉について研究した後はどうする? 原子炉や原子力発電の会社で働くか、原子力について教えるか、原子力に関するコンサルをやるか、どれにしても自分の人生が原子炉にかかっている。
そうして原発推進寄りの原子力の規制チームが出来上がるわけだ。一方で、反原発な原子力の専門家はどうやって作るのか?
結論
それが根本的な問題なのである。専門家はそもそもその業界に同情的だ。
この問題はどうすれば解決できるのか? サマーズ氏は次のように結論している。
だから専門家を利害から 隔離することは、この複雑な社会における非常に困難な問題だ。そして恐らく正しい答えは、専門家を確保した上でその人物をしっかり監査することだろう。
だがそれも完全ではないだろう。このように規制の問題は根本的な欠陥を完全には排除できないのである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/56222