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覇権国家が没落するときに何が起こるか _ 国家没落前のメディアの姿

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2023/08/26 (Sat) 05:45:34

レイ・ダリオ氏: 没落する国家ではメディア上の私刑が法の裁きよりも強力になる
2023年8月25日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39265

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が、自身のブログで覇権国家が没落するときに何が起こるかを語っている。ダリオ氏によれば、その1つが誰かが法の裁きを受ける前にその人をメディア上で血祭りにあげるメディア上の私刑である。

国家没落前のメディアの姿

前回の記事では、ダリオ氏がブログ上で読者に大手メディアを信用できるかどうかを訪ね、その上で自分の意見も表明していた。彼は珍しくもメディアは信用できないとはっきり言っていた。

レイ・ダリオ氏、珍しくもメディアをバイアスだらけと批判


だが何故そんな問いかけをしたかと言えば、人々がメディアを信用しなくなるのは、ダリオ氏によれば国家の没落前に起こることだからである。歴史上、没落する国家の特徴の1つがそれなのである。

だがその話には続きがある。メディアは信用できなくなるだけではなく、偏向したメディアは利害が一致する人々と結託して対立する人々を引きずり降ろそうとする。

SNSが全盛となっている今、誰かがメディア上で袋たたきになっているのを見たことがあるだろう。ダリオ氏によれば、そうした動きは国家が没落してゆくにつれて歴史上何度も起こってきた出来事なのである。

ダリオ氏は大英帝国やオランダ海上帝国など、歴史上かつて栄えた国々の繁栄と没落を研究してきた。

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の繁栄と衰退
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10922

世界最大のヘッジファンド: オランダ海洋帝国が繁栄した理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10891


そのダリオ氏から見て、メディアが人々と結託して誰かのリンチを始める光景は、国家が衰退する直前に見られるものだという。

メディア上のリンチ

そうした光景についてダリオ氏は次のように描写している。

メディアは自警団のように野蛮に振る舞い始める。人々はメディア上で袋たたきにされ、実質的に審判を受けて有罪判決を下される。そして彼らの人生は裁判官や陪審員もなしに破滅する。

誰もが見たことのある光景ではないか。そしてダリオ氏にとっては「裁判官や陪審員もなしに」という部分が重要なのである。法の支配と民主主義が大好きな西洋人のダリオ氏は、それが軽んじられるところに国家の衰退を見る。

ダリオ氏はこう続ける。

法の裁きよりも人々の意見による裁きの力が強くなるこの古典的な現象のことを今の言葉ではキャンセルカルチャーと呼ぶ。それは対象となった人や組織を法律とは無関係に引きずり下ろそうとする中傷キャンペーンである。

実際、そうした動きは法の支配を迂回し、人を裁くことにおいて法律よりも強くなろうとする。

そしてダリオ氏は、それは単に法の支配の外にある私刑だから悪いと言っているのではない。それがアメリカの衰退を意味しているから悪いのである。彼はこう続けている。

歴史上、こうした動向の高まりはステージ5(訳注:ダリオ氏の言葉で、戦争が発生し覇権国家の後退が起きる直前の段階)に典型的な問題である。

結論

読者はどう思っただろうか。別に法の支配や民主主義を神格化していない日本人は、多少違う意見を持つのかもしれない。西洋人の理屈では、戦争も原爆を落とすのも合法である。合法かどうかなど、どうでも良いではないか。

だがいずれにしても、確かにこうした現象は西洋諸国の衰退を象徴している。アメリカやヨーロッパの政治は誰の目から見ても混乱している。リベラル派が移民受け入れを推進して右派がそれを止め、リベラル派が脱炭素を推進して右派がそれを止め、リベラル派がウクライナ戦争を推進して右派がそれを止める。

彼らは何がやりたいのか。結果として起こったのは移民による犯罪の増加と脱炭素によるインフレとヨーロッパにおける戦争である。

大晦日に移民が集団でヨーロッパ人女性に性的暴行、ドイツ、スイス、フィンランドで
サマーズ氏: エネルギー価格を高騰させる脱炭素政策は健全ではない
真珠湾攻撃に言及したゼレンスキー大統領が広島の原爆には言及できない理由
筆者はこれらの出来事をばらばらに見るのではなく、1つの超長期トレンドだと考えている。自分で移民を受け入れて自分で破滅した西洋人の自殺願望は脱炭素やウクライナ戦争に変わってまだ続いている。この点については以下の記事に詳しく書いている。

移民危機からウクライナまで: 西洋文明は自殺しようとしている
そして投資の話に戻せば、このトレンドに賭ける1つの方法はユーロスイスフランの空売りである。西洋の自殺トレンドによってまず死にゆくのは、アメリカよりヨーロッパだろう。ユーロスイスフランはユーロ圏の破滅を織り込んで、引き続き沈んでいる。

対ロシア制裁で死にゆくヨーロッパ経済と上昇するスイスフラン

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39265


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レイ・ダリオ氏、珍しくもメディアをバイアスだらけと批判
2023年8月24日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39213

世界最大のヘッジファンドBridgewaterを運用するレイ・ダリオ氏が自身のブログで現在のアメリカの政治情勢について語っている。

アメリカの政治と戦争

ダリオ氏は現在のアメリカの政治に危機感を感じている。アメリカではリベラル派と保守派が互いに相容れず、2016年の大統領選挙の時にはトランプ氏かヒラリー氏かで論争になって離婚した夫婦もあるほどにアメリカの政治は病んでいる。日本では政治の話で仲違いして離婚する夫婦などほとんど有り得ないだろう。

リベラル派を代表する与党民主党と、保守派を代表する野党共和党が互いに憎み合うような今の状況は、ダリオ氏によれば国家の発展と衰退の段階のうち内戦や戦争の直前に起きる状況である。

ダリオ氏はこれをウクライナ情勢前から警告していた。事実、2014年のマイダン革命時から続くアメリカのウクライナに対する干渉が現在のウクライナ情勢の少なくとも一因となったと認めるならば、ウクライナへの干渉に反対する共和党支持者と賛成する民主党支持者の軋轢の結果として実際に戦争が起こったのである。

真珠湾攻撃に言及したゼレンスキー大統領が広島の原爆には言及できない理由
だがアメリカの関わる戦争は徐々にアメリカに近づいている。戦争は儲かるがアメリカの民間人は犠牲にしたくないので、元々はベトナムや朝鮮やイラクなどアメリカとは縁遠い国で戦争をやるというのがこれまでのアメリカの流儀だった。ベトナムや朝鮮ならば荒れ地になっても構わないからである。だがそれが今回はヨーロッパで戦争が起こっている。

歴史上ほとんどの時間を戦争で過ごしている西洋人にとってもヨーロッパが荒れ地になることはショッキングらしい。彼らはヨーロッパで戦争が起こったことに驚き、ウクライナ戦争は西側のメディアによって大きく取り上げられているが、アラブやアフリカの諸国の人々は「アメリカがわれわれの国で戦争を起こしても対して憤らないのにウクライナだけが何故それほど重要なのか」という冷めた目で見ている。

サマーズ氏: 世界人口の半分以上が国連総会でロシア非難を拒否したことを覚えておくべき
自分を客観的に見られないことは日本を含む西側諸国の特徴である。そして自分に都合のよいストーリーを推し進めてゆく。それは世界大戦時に植民地支配の最後の目的地となった日本を含め、長い間非西側諸国を苦しめてきたが、ダリオ氏の言うように覇権国家にも寿命がある。そしてアメリカの寿命が近づくにつれ、アメリカの戦争はアメリカ本土に徐々に近づいてゆく。

それは良いことである。人々は「アメリカとロシアが戦争になったらどうするんだ」と言うが、それはアメリカが補助金漬けにしたウクライナ政府を使って無関係なウクライナ国民を対ロシア用の尖兵にしている状況よりもよほどまともである。アメリカが戦争をやりたければアメリカ人が戦えば良いのであって、ウクライナが戦争をするのはアメリカが戦争をするよりましだと思っているすべての人は、自分の政治的心情のためにウクライナの民間人を犠牲にしている。日本人は自分のウクライナへの感情を義憤だと思っているが、政治的心情とはそういうものである。

ダリオ氏の政治観

さて、このように戦争は確かにアメリカに近づいている。かつてはアジアや中東、今はヨーロッパ、いつかはアメリカ本土だろう。

だがダリオ氏はアメリカ人なのでそれを憂慮している。それでアメリカの政治の現状を知るために読者にいくつかの質問をし、それに自分でも答えている。

その1つがこれである。「メディアの人々についてどう思うか? メディアの人々の多くは正確な報道をしていると思うか?」。

ダリオ氏の答えはNoである。出来るだけ客観的で中立であろうとするダリオ氏が自分の政治観を表明するのは珍しい。彼はこう述べている。

質の高い客観的なジャーナリストも確かにいるのだが、彼らはレアな人種になってしまったようだ。

ダリオ氏は元々辛辣な見解の持ち主だと筆者は思っているのだが、たまにそれが露わになる。ダリオ氏も今の西洋の政治状況を見て、限界が来ているのではないか。

今回、ダリオ氏は遠慮なくメディアを批判している。

メディアがバイアスのない正確な報道をしていると思うだろうか? メディアの人々によって伝えられる話が客観的かどうか判断するために、報道を注意深く読んで、対象となっている人や組織に対してメディアの人々が自分の価値判断を押し付ける願望やバイアスを持っていないかどうかを考えてみてほしい。そうすればほとんどの報道にバイアスがかかっていると分かるだろう。

わたしの見方では、あるいはあなたの見方でもそうなると考えているが、多くの記者の興味は正確で中立的な報道をするよりも自分が攻撃したい人や組織に対する悪意あるゴシップを書くことに置かれている。

結論

これを読んで読者はどう思っただろうか。筆者の考えでは、そもそも中立な報道なるものが存在すると考えていること自体が非常に西洋人的な誤りである。

そんなものは存在しない。事実について報じたとしても、事実の一部を切り取って報じた時点でバイアスは存在している。だが多くの人は「中立で客観的な報道」なるものが存在するという中立で客観的ではない意見にとらわれ、西洋人の多くは自分の立場こそが(例えばアメリカの都合のためにウクライナ国民をロシアと殺しあわせているウクライナ政府を支持する立場こそが)「中立で正義である」と考えるのである。

真珠湾攻撃に言及したゼレンスキー大統領が広島の原爆には言及できない理由
日本人は馬鹿なのでこうした西洋の見方をそのまま丸呑みにしている。だが結局、自分にだけ都合の良い見解を永遠に都合よく信じ続けてくれるのは馬鹿だけであり、アメリカ人でも世界有数の頭脳であるダリオ氏やサマーズ氏のような人々は、そうしたバイアスから外れつつある。

サマーズ氏: 中国は新興国に空港を与え、アメリカは新興国に説教を垂れる
世界最大のヘッジファンド: 台湾をめぐる戦争を始めるのは中国かアメリカか?
だが彼らの懸念も虚しく、戦争はアメリカに近づいてゆくだろう。そしてそれは以下の記事で説明したように自業自得である。

移民危機からウクライナまで: 西洋文明は自殺しようとしている
世界はまともになりつつある。インフレ政策を支持した人々がインフレを食らったように、世の中は本当に上手く出来ている。

世界最大のヘッジファンド: 無節操に支出し続けるメンタリティのお陰でスタグフレーションへ

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39213
2:777 :

2023/08/26 (Sat) 05:53:03

【アメリカを中心に見る世界情勢①】大手メディアでは報道されないウクライナ戦争 |伊藤貫
2023/07/13
https://www.youtube.com/watch?v=JkENcgtXS4w

【アメリカを中心に見る世界情勢②】大手メディアでは報道されない民主党の闇|伊藤貫
2023/07/17
https://www.youtube.com/watch?v=qRzjjW0l730

【アメリカを中心に見る世界情勢③】大手メディアでは報道されない崩壊するアメリカの現状 |伊藤貫
2023/07/19
https://www.youtube.com/watch?v=z_55h1wCMec

CIAとメディア
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/347.html

マスコミの偽情報 _ CIA は有力メディアを情報操作のために使っている
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/330.html

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