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日本国債はこれから大暴落する

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2023/05/03 (Wed) 07:20:56

日本国債はこれから大暴落する

ドラッケンミラー氏、日本のインフレで日本国債を空売り
2023年5月2日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36355

ジョージ・ソロス氏のクォンタムファンドを運用していたことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏が日本の債券市場で筆者と同じポジションを取っている。NBIM Annual Investment Conferenceにおけるインタビューで語っている。

ドラッケンミラー氏の日本国債空売り

ドラッケンミラー氏が日本国債を空売りしている。彼はアメリカの金融引き締めの影響を見極めなければならない2023年の相場環境は難しいと言い、ドルは売りだと明言したが、株式市場でも債券市場でも大したことはやっていないと言う。

ドラッケンミラー氏、ドルを空売りしてゴールドを買い
だが彼は債券市場については次のように言っている。

債券市場では日本国債のトレードを除いて大したことはやっていない。

日本国債については大したことをやっているということである。

ドラッケンミラー氏は日本国債をどうしているのか。空売りをやっている著名投資家は空売りのことを明言したがらないが、彼の以下のコメントを聞けば、分かる人間には彼が何をやっているかが明らかである。

日本国債のトレードが報われるとは限らないが、少なくともリスク・リワード比は馬鹿げているほど良い。少しだが、2年前の2年物米国債に似ている。日本はインフレの問題を抱えている。

2年前の2年物米国債とは何だろう。ずっとインフレを追いかけているここの読者ならば大半が分かるのではないか。

2年物国債の金利は今後の政策金利の推移を先に織り込みながら動くが、アメリカの直近2年間の2年物国債の金利と政策金利を並べると次のようになっている。


政策金利の上昇に先んじてゼロ金利から大きく上昇しているが、これが日本国債にどういう意味を持つだろうか。

インフレ初期の米国債

2年前の2年物米国債についてドラッケンミラー氏は次のように語っている。

2年前はそれほど難しくなかった。2年物国債の金利は0.15%で、マネーサプライは30%の上昇率で増えていた。リスク・リワード比が良いトレードだということは天才でなくても分かっただろう。

お分かりだろうか。まずマネーサプライとは市中に存在する現金と預金の総量である。アメリカではコロナ後に3回行われた莫大な現金給付で市場は資金にあふれていた。

米国人の可処分所得とインフレ率を並べてみれば、3回の現金給付による所得の急上昇がインフレを引き起こしたことが分かる。


40年ぶりの物価高騰を引き起こした大量の資金は2年物国債の金利にどういう影響を与えたか。

2021年の時点で、大量の資金がインフレをもたらし、中央銀行はいずれ金利を上げなければならなくなるということが明白だったとドラッケンミラー氏は言いたいのである。それで2年物国債の金利が先に上がった。

実際、それが筆者が利益を得たトレードだった。金利の上昇は債券の価格低下を意味するので、筆者は2021年に2年物国債を空売りしている。このトレードについては以下の記事で説明している。

長短金利逆転を予測できた理由と今後の不況と株価暴落について
国債空売りのリスク・リワード比

さて、ここでポイントとなるのがドラッケンミラー氏の言うリスク・リワード比という言葉である。

何故国債の空売りはリスク・リワード比が良いのか? 金利が上がれば債券の価格は下がり、逆に金利が下がれば債券の価格は上がる。

空売りは下落に賭けるトレードなので、空売りが損を出す可能性とは国債の価格が上がる(金利が下がる)場合である。

だが考えてもらいたいのだが、コロナ直後の2年前、アメリカの金利はゼロだった。もう一度チャートを見てもらおう。


ここで問題である。2年物米国債の金利がゼロだった2年前、金利がそれ以上下がる可能性があっただろうか?

ほとんどあり得ない。当時すでにアメリカのインフレ率はかなり上がっており、Fed(連邦準備制度)のパウエル議長がインフレの脅威を無視していたために金利はゼロに保たれていたが、ドラッケンミラー氏や筆者などのファンドマネージャーにとっては金利上昇は不可避であり、下がることなどあり得なかった。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ (2021/7/18)
2年物国債の金利はゼロから5%まで上がる可能性はあっても、ゼロより下に下がる可能性はほとんど有り得なかった。マイナス金利にも限界があり、インフレ時にマイナス金利など自殺行為である。

だから2年物国債の空売りは成功すれば利益が大きい一方で、ほとんど損をすることが有り得ないトレードだったのである。株式市場ではほとんど有り得ないような、価格がほとんど一方向にしか動かないような状況が、債券市場にはたまに見られる。

日本国債は2年前の米国債か

そしてドラッケンミラー氏は、現在の日本国債はその状況に似ていると言っている。筆者も同意する。2年前の米国債空売りに成功した筆者は、現在日本国債を空売りしている。

日本国債の空売りを開始、植田新総裁で長期金利上昇を予想
グローバルマクロの投資家ならば当然の着眼点だろう。日本の10年物国債の金利は0.5%程度で推移しており、日銀のイールドカーブコントロールで0.5%に頭を抑えられているが、一方で日本のインフレ率は日本政府による粉飾を除外して考えれば4%程度で推移している。

日本のインフレ率の粉飾については以下の記事を参考にしてもらいたいが、ここでは触れないでおく。

日本政府の詐欺的な物価指数の計算方法がインフレを悪化させる
だがインフレ率と金利の状況はインフレ初期のアメリカとまったく同じである。

ただ1つ違うのは、アメリカが先にインフレ抑制のための金融引き締めを始めていることからアメリカ経済がこれから景気後退に入るだろうということである。

サマーズ氏: スタグフレーションの危険あり、高確率で景気後退へ
アメリカ発の世界的な景気後退になれば、日本のインフレ率には下方圧力がかかることになる。どちらにしても日本経済はインフレで死ぬか世界的不況で死ぬかどちらかしかないわけだが、筆者の見解では一時的にインフレ率が多少下がる可能性はあっても、海外要因のデフレでは国内要因のインフレは殺しきれないと予想している。

以下の記事で説明した通り、日本のインフレは日本政府のエネルギー購入補助や全国旅行支援などのインフレ政策のお陰で既に輸入物価以外の国内の物価にも飛び火している。

日本政府の詐欺的な物価指数の計算方法がインフレを悪化させる
世界的な不況があってもインフレ率はそれほどは下がらず、日本人はインフレ政策のお陰で不況とインフレの両方を享受することになり、不況が過ぎた頃にはまたインフレ率が上がり始めるだろう。

そしてアメリカで実際にそうなっているように、4%のインフレは4%か5%まで金利を上げなければ殺すことができない。日銀はいずれ金利を上げ、国債価格を下落させることになる。

結論

日銀がアメリカの不況前に対応を迫られるか、不況後に対応を迫られるかは分からない。だが量的緩和で無理やり価格を押し上げられていた日本国債のバブルはついに終了しようとしている。残されている道は暴落である。

筆者のように日本国債を空売りする投資家にとって朗報であるのは、量的緩和でほとんど上限まで上げられた日本国債の価格がこれ以上上がる可能性がほとんどないことである。

現在0.5%の10年物国債の金利は最悪の場合でもゼロ近辺まで下がるだけである一方で、上がる場合は4%や5%まで上がる可能性がある。これほどリスク・リワード比が一方的なトレードもなかなかない。そしてそれまでずっと日本国債を空売りし続けてもほとんどコストがない。インフレ政策のお陰でインフレによって日本国債市場が崩壊するのを気長に待つだけだ。自民党様様ではないか。

世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
投資家はインフレを引き起こしたインフレ政策に感謝すべきだろう。日本政府は意図的にこの状況を引き起こしたのである。詳しくは以下の記事を参考にしてほしい。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36355


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日本国債の投げ売り急増、追加利上げがなければ日銀の量的緩和は半年で破綻する
2023年1月17日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32797

アベノミクス以降、もう10年近く大規模な金融緩和を続けてきた日本銀行が、去年の12月に実質利上げを実行した。

日銀がYCC変更で長期金利の上昇を許容、日本も金利上昇による景気後退へ (2022/12/20)


その結果どうなったかと言えば、日本国債の投げ売りが急増している。日銀が買い支えなければならなくなっているが、このままではそれも破綻してしまいそうだ。

日銀の実質利上げ

年末の日銀の政策変更は、正確に言えば長期金利の許容変動幅の拡大である。以前まではゼロ金利を基準にプラスマイナス0.25%の変動を許容していたものを、プラスマイナス0.5%の変動まで許容するということにした。

アメリカなど海外ではインフレによる利上げで金利がどんどん上がっていた中で、日銀は長期金利に上限を設けるイールドカーブコントロールで金利を変動幅上限に押さえつけていた。

それは2022年の急激な円安の原因となっていた。そして円安は輸入品の物価を上昇させるため、日本ではガソリン価格や電気代が高騰した。

日本国民がインフレで苦しむ中でインフレを目指す日銀の摩訶不思議な緩和政策によって、めでたく日本はインフレになった。日本のインフレ率はついに約4%まで上がっている。おめでとう。インフレ政策の成功である。その成果は当たり前だがインフレである。

だがここで問題が生じた。実際にインフレになって初めて、日本国民はインフレが物価高という意味だということに気付いて騒ぎ始めたのである。愉快な人々である。

世界最大のヘッジファンド: インフレになって驚いているリフレ派は馬鹿じゃないのか


日銀の実質利上げ

ともかくそれが年末の日銀の政策変更に繋がった。0.25%としていた長期金利の上限を0.5%に変更したのである。

上限が上げられたため、長期金利は当然ながらすぐに上がった。だが新たな上限である0.5%にはすぐには達さずに、2週間ほどの間は0.45%付近を推移していた。

だがそれも長く続かなかった。日本国債はどんどん売られ、年明けの1月6日、ついに長期金利が上限の0.5%に達したため、日銀は金利の上昇を抑えるために国債の買い入れを余儀なくされるようになった。

しかし日本国債の売り圧力は激しく、金利は上限の0.5%を上回って一時0.55%で取引されるような状況で、結果として日銀の国債買い入れは6日以降爆発的に急増している。(※1/17誤植を訂正しました)

日銀による国債の買い入れ金額は以下のように推移している。

1月4日: 0.6兆円
1月5日: 0円
1月6日: 2.4兆円
1月10日: 0.3兆円
1月11日: 1.2兆円
1月12日: 4.6兆円
1月13日: 5.0兆円
1月16日: 2.1兆円

0.5%に達しなければ買わなくとも良いため日によって上下するが、6日以降どんどん増えてゆき、13日には5兆円に達した。

半年で破綻する日銀の量的緩和

1日で5兆円という金額がどれだけのものか、読者にはお分かりだろうか。この数字が危機的だとすぐに分かった読者は、経済の数字が頭に入っていると言えるだろう。

さて、日銀の保有する国債の総額は1月12日時点で547兆円で、日本の政府債務は約1,000兆円である。つまり、日本政府の発行している国債のうち、半分以上を既に日銀が保有しているということになる。

日本国債の投げ売りは日増しに増えているため、5兆円という水準からどんどん増えてゆく可能性もあるのだが、仮に1日5兆円の買い入れをこのまま続けることになった場合どうなるだろうか。

ここまで言えばもう分かったはずである。日銀は100日足らずの内に残りの国債を全部買ってしまう。休日を含めても4ヶ月から5ヶ月程度の猶予しかなく、半年経たずにアベノミクス以来の量的緩和政策は破綻することになる。

国債買い入れは1日5兆円で済むのか

だがもしかするとこれでも保守的な計算かもしれない。

この状況を完璧に予想していた人物がいるのだが、読者は覚えているだろうか。債券投資家のスコット・マイナード氏である。

マイナード氏: 日銀の持続不可能な緩和政策の破綻は他国の教訓的前例になる


この記事でマイナード氏は、日銀の金融政策が次の順序を踏むと予想していた。

日銀は新たな金利ターゲットを設定する
日銀の保有する国債の価値が下がる
市場は新たな金利上限に挑戦する
日銀は国債買い入れで市場を安定化しようとする
円の供給量が増えインフレが悪化する

まさに3と4の状態が今起きているわけである。新たな金利上限を設けたことにより、投資家が今後の更なる利上げを心配するようになり、保有国債の価値が下がる前に売ってしまおうとする。

そうすると債券の価値が下がる。債券の価値下落は金利上昇を意味するため、金利は上限に達し、日銀は投げ売りされている日本国債を買い支えなければならなくなる。そうなれば買い入れ額が1日5兆円から大きく上昇する可能性もある。

日銀がこの状態から逃れるためには、金利上限を更に上昇させて買い支えなくても良いようにするしかないが、金利上昇は債券の価値下落を意味するため、投資家は更なる下落が起こる前に日本国債を売ろうとする。

分かるだろうか。日本国債はもう詰んでしまっている。マイナード氏の予想通りである。

結論

ちなみにマイナード氏のこの予想は12月1日のスピーチの内容であり、日銀の実質利上げの前ということになる。スピーチのタイトルは、「持続不可能なものは持続できない」であった。残念ながら年末に急逝してしまったマイナード氏は、日銀の政策変更前からすべてを予想していたのである。

スコット・マイナード氏、心臓発作で死去 63歳


ここからはどうなるだろうか。円の投げ売りが原因で日銀は実質利上げを行わなければならなくなった。お陰で円は上がっているが、今度は日本国債が破綻の危機である。

ここからのシナリオは、恐らくはまず日銀は更なる実質利上げを行わなければならなくなるだろう。それで買い入れ額を減らそうとする。だがそうすれば日本国債は更に売られ、利上げのスパイラルに突入する。

1月18日に日銀は金融政策決定会合の結果を発表する。2回連続の実質利上げがあるかどうかは分からないが、ここに書いた長期的なデッドエンド自体は避けることができない。

そうしてある時点で日銀は緩和転換しなければならなくなるかもしれない。しかしそうなれば今度は強烈な円安になり、インフレが止まらなくなるだろう。

ということで、もうどうにもならない。国債の暴落、日本円の暴落、物価高騰、強烈な増税による政府債務の帳消し、どれかは絶対に避けることが出来ない。そしてどれを選んでも日本国民は死ぬ。

これが1,000兆円の政府債務を抱えた日本経済の末路である。莫大な政府債務は問題ないと誰が言ったのだったか。

この状況を作り出した日銀の黒田なにがし は颯爽と職場を離れようとしている。その後に日本経済は利上げによる不況で大量の失業者が出るだろう。

この状況もすべて、何十年も前にマクロ経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏が予想していたことではないか。彼は次のように言っていた。

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない


将来の失業について責められる政治家は、インフレーションを誘導した人びとではなくそれを止めようとしている人びとである。

そして黒田氏が去った後に日本経済は当然の帰結として死んでゆく。自民党を支持した日本国民が自分で望んだことなのだから、彼らにとっては本望なのだろう。

世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32797


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サマーズ氏、日銀の新総裁によるイールドカーブコントロール廃止を示唆
2023年2月12日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33487

アメリカの元財務長官でマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏が、Bloombergのインタビューで日銀の新総裁となる植田和男氏について語っている。

植田和男日銀新総裁

2月10日、日銀の黒田総裁の後釜にマクロ経済学者で東大名誉教授の植田和男氏が選ばれることが発表された。

日銀の新総裁は当然日本の金利を左右するので、筆者は前回の記事において速報として植田氏の金融政策に関する考え方を簡単にレビューしておいた。

日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者
筆者は植田氏について、大蔵省の役人だった黒田氏やプライベート・エクイティ・ファンド出身のパウエル議長などのマクロ経済学の門外漢である中央銀行家とは違い、マクロ経済学を専門とする学者である点を評価したが、一方で経済学者としては通説以上の独自の考えがない平凡な人物であると評しておいた。

サマーズ氏の評価はどうかと言えば、彼はインタビューで日銀新総裁について聞かれて次のように答えている。

植田氏は日本のベン・バーナンキのような人だと考えられるだろう。

ベンとほぼ同じ時期にMITで学び、論文アドバイザーもベンと同じだった。金融経済学の似た分野を専門とし、同じように学者のソフトな語り口ながら、決断力も持っている。

バーナンキ氏は2006年から2014年までFed(連邦準備制度)の議長を務めた人物である。前回の記事でも少し触れたが、ジョージ・ソロス氏やジョン・ポールソン氏などファンドマネージャーらが事前に警告していた2008年のリーマンショックを「住宅市場に限られた問題」として無視した張本人であり、彼と重ねられていることが褒め言葉なのかどうかは微妙である。

ジョン・ポールソン氏、サブプライムローンの空売りで大儲けした時のことを語る
サマーズ氏が同じ経済学者でありながら植田氏の研究の具体的内容に触れていないことから見れば、恐らくは経済学者としての植田氏についてほとんど知らないものと思われる。インタビューで司会者に聞かれたので、他国の新しい総裁にリップサービスを贈ったのだろう。

サマーズ氏は黒田氏とは知り合いらしく、黒田氏についても次のように世辞を贈っている。

植田氏は大人物の後を継ぐことになる。わたしは黒田さん(※原文ママ)を30年以上知っているが、彼は並外れて有能で分析力がありながら、計算高い中央銀行家になれる能力も持っている。

彼が辞めるのは残念だが、植田氏が後を継ぐのならこれからも安泰だろう。

日銀の政策はどうなるか

ここまでは大した内容ではない。本当に優れた人物ならば、アメリカ人はむしろ厳しいコメントを残すだろうということは、アメリカ人を知っている読者なら分かるだろう。

日本の国力がアメリカに届きかけていた時代には、アメリカ人はこぞって日本人を批判した。今では中国人が批判され、日本人は世辞を送られる。脅威にならないからである。

その意味で、サマーズ氏のコメントは筆者にとって日本の現状を思い出させるものだった。これは分かる人にしか分からないので、このくらいにしておこう。今回のサマーズ氏のコメントの中で、本音が表れていたのは新総裁がどういう問題に直面するかについて語った部分である。

サマーズ氏は次のように言っている。

日本はこれから非常に難しい問題に直面することになる。イールドコントロールを永遠に続けることが可能だとは思えない。

さらっと言っているが非常に重要な部分であり、要するに日銀は長期金利に上限を設定しているイールドカーブコントロールを続けられないと言っているのである。

日本のインフレと長期金利

2022年、日本国民がインフレに苦しんでいる中、誰も理由は分からないがインフレを目指して金融緩和を続けてきた黒田総裁は、量的緩和による円安を通して見事にインフレ悪化を実現した。日本のインフレ率は現在4%である。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
日銀はイールドカーブコントロールによって長期金利の上限を0.25%に設定してきたが、当然ながらこの低金利を続けるとインフレが止まらなくなる。それで黒田氏は、恐らくは政府の圧力によって、金利上限を0.25%から0.5%に上昇させることを余儀なくされた。

日銀がYCC変更で長期金利の上昇を許容、日本も金利上昇による景気後退へ
ちなみに黒田氏はその政策変更を「利上げではない」と主張しているが、はっきり言って意味不明である。彼はインフレ率が4%である現状を見て、インフレ目標が達成できていないことが残念とも述べており、誰か彼の言語を筆者向けに翻訳してほしい。

結論

いずれにせよ黒田氏は居なくなる。そしてサマーズ氏は、黒田氏に世辞を贈りながら、同時に黒田氏のやっていたことが持続不可能だと言っている。債券投資家のスコット・マイナード氏も言っている。

マイナード氏: 日銀の持続不可能な緩和政策の破綻は他国の教訓的前例になる
緩和を続ければどうなるか。インフレ下で緩和を行おうとしたイギリスに対してサマーズ氏が言ったことを、ここの読者は覚えているだろう。

サマーズ氏: 景気後退で財政支出する国はイギリスの二の舞になる
いずれにせよ、誰がどう言おうが、誰も何も言わなかろうが、インフレ時に緩和を行うのは狂気の沙汰である。

日本国債の投げ売り急増、追加利上げがなければ日銀の量的緩和は半年で破綻する
そして新総裁の植田氏はそれを知っている。

彼はアベノミクスの間違いを指摘されたくない自民党安倍派へのリップサービスとして「現在の金融緩和は適切」と言っているが、植田氏は少なくともある程度まともなマクロ経済学者であるので、金利を上げなければインフレが止まらないことを理解している。

投資家にとって重要な点はそこである。それがドル円と日経平均を動かすからである。

2023年の日経平均の推移予想: ドル円下落と金利上昇で二重苦に
植田氏の考え方を知りたい人は、 前回の記事を参照してもらいたい。

日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33487


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日本国債の空売りを開始、植田新総裁で長期金利上昇を予想
2023年3月2日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34200

日銀の新総裁に経済学者の植田和男氏が就任すると見られることを受け、日本国債の空売り(価格が下落すれば利益が出るトレード)を開始する。筆者の意見では、このトレードはリスク・リワード比が非常に良い。以下に理由を説明したい。

遂に始まった日銀の実質利上げ

ことの発端は4月に現日銀総裁の黒田氏が退任する予定になっていること、そしてその黒田氏が去年12月、恐らくは岸田政権に迫られて長期金利の実質利上げを行なったことである。

日銀がYCC変更で長期金利の上昇を許容、日本も金利上昇による景気後退へ (2023/3/2)
イールドカーブコントロールと呼ばれる金融政策により、日本の長期金利はそれまで0.25%という低い水準に保たれていた。それが2022年の円安と、それにともなう輸入物価高騰をもたらしたことは、前回の記事で説明している。

踏み絵のように緩和支持を言わされる日銀の植田新総裁と新副総裁たち
黒田氏は恐らく「インフレ政策には何の問題もなかった」という顔をしながら退任期限まで逃げ切りたかったのだろうが、結局彼は長期金利の上限を0.5%まで上げるはめになった。

実質利上げは始まったばかり

だが日本のインフレ率は4%である。このインフレは0.5%の長期金利で止まるものではない。では何処まで利上げすればインフレは止まるのか。

過去の事例を探せば、1970年代のアメリカの物価高騰時代では金利がインフレ率を上回るまでインフレは止まらなかった。当時のインフレ率と政策金利のグラフを並べると次のようになる。


そして現在のアメリカでも、長期的にはインフレ率は5%に収束すると予想されており、金利は5%まで上がろうとしている。

1月のアメリカのインフレ率はソフトランディングが不可能であることを示している
1970年代とは状況が違うとは言っても、やはり金利はインフレ率と同じ水準まで上がらなければ止まらないらしい。

コストプッシュインフレ?

日銀は(これは新総裁の植田氏もそうだが)日本のインフレは輸入物価高騰によるコストプッシュインフレであり、緩和を止める理由にはならないと主張している。

だがここでは何度も論じたように、原油や農作物などが高騰した理由はコロナ後に世界中で行われた量的緩和と現金給付であり、2020年にはその兆候が既に表れていたことをここでは報じておいた。

金融市場にインフレの兆し: 金、原油、穀物価格が高騰 (2020/10/14)
コストプッシュではなく政府と中央銀行の政策によってもたらされた大量の資金が市場に流れ込んだ結果であり、2020年に緩和をしていた主要国の中央銀行(当然日銀を含む)はすべてその責任をしっかり負っている。

自らインフレを引き起こした政府と中央銀行がコストプッシュインフレという言い訳を使うだろうということは、大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏によって数十年前に予想されており、彼らはその通りの道を歩んだというわけである。

ハイエク: コストプッシュ型インフレは政府の責任回避の言い訳に過ぎない
大体輸入物価全般に関しては円安が原因であり、前回の記事で説明したように2022年の円安は日銀のイールドカーブコントロールによってもたらされているのだから、緩和政策を止めない理由にはならない。

踏み絵のように緩和支持を言わされる日銀の植田新総裁と新副総裁たち
彼らの言い分は論理的に破綻している。

また、CPI(消費者物価指数)統計を見れば、輸入物価のインフレが国内物価にも波及し始めていることが分かる。2021年に「コストプッシュインフレ」を繰り返し、インフレに対策を打たなかったアメリカのパウエル議長が何をするはめになったかは誰もが知っている。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ (2021/7/18)
アメリカやヨーロッパの例で既に見たように、インフレは一度始まると止めるまで永遠に加速し続ける。そして日本でもそれは始まりつつある。

植田新総裁は実質利上げを継続する

さて、そこで問題になるのが、植田新総裁が長期金利をどうするかである。

結論から言えば、植田氏の狙いは日銀の国債買い入れ額を減らすことである。そしてそのために長期金利の上限をある程度上げるだろう。

植田氏も副総裁候補たちも、今の日銀の金融政策には「副作用」があるということを強調している。そして私見によれば、そうした副作用のうち彼らが一番懸念しているのは、インフレでも円安でもなく日銀の国債保有額である。

日銀は現在既に市場に存在する国債の半分以上を買い入れてしまっている。イールドカーブコントロールで長期金利に上限を付ければ、金利が上限に達するごとに金利を抑えるために国債を買い入れなければならなくなる。

だがこのままでは日銀の買い入れによって年内に市場から国債が枯渇してしまう可能性がある。

日本国債の投げ売り急増、追加利上げがなければ日銀の量的緩和は半年で破綻する
筆者の考えによれば、これこそが日銀の審議委員として現在の緩和にもかかわった植田氏の一番の懸念点である。彼の懸念点は必ずしもインフレでも円安でもない。だが国債買い入れ額を減らすために金利上昇が必要ならば、金利を上昇させるだろう。

何故そう言えるか。植田氏は所信表明において「情勢において工夫を凝らしながら、金融緩和を継続することが適切」だと言っている。

「工夫」とは具体的に何か? もっと分かりやすいのは、副総裁候補の内田氏が緩和政策について「副作用があるから見直すのではなく、いかに工夫を凝らして緩和を継続していくかが課題」と言っていることである。

これは明らかに枯渇しかけている国債の残高のことを言っている。そしてその問題を解決するためには長期金利の上限を上げることが必要である。上限を例えば1%や2%に上げれば、現状の上限である0.5%を超えても国債を買い入れずに済むからである。

日本国債の空売りを開始

ということで、日本国債の空売りを開始する。債券の金利上昇は価格下落を意味するので、日本国債の価格が下がることを予想するからである。

日銀は長らくゼロ金利政策を続けてきた。そしてそれが維持不可能だと見込んで日本国債の空売りを行なったヘッジファンドもあったが、これまで日本の金利は結局上がらなかったため、日本国債を空売りする取引は金融市場でウィドウメイカー(寡婦を生み出すトレード)と呼ばれてきた。

だがこうした見方が見落としている点が1つある。日本国債の空売りはほとんど損をする可能性のない取引だということである。

何故か? 債券の金利上昇は価格下落、金利低下は価格上昇だということを考えてみてもらいたい。そして日本国債の金利は上がることはあっても、下がることはほぼ考えられない。今のケースで言えば、金利上限を下げると日銀は国債を更に買い入れなければならなくなる。筆者の予想ではその可能性は限りなくゼロに近い。

だから日本国債は価格が下がることはあっても上がることはない資産である。よって日本国債の空売りは、仮に失敗してもほとんど損をしない。

日銀は最近、これに対抗するために国債を借りる時に金融機関が支払う国債の品貸料を1%に引き上げた。空売りをするためにはまず国債を借りなければならないため、空売りのコストを上げようとしているのである。

だが金利がもし上昇すれば国債の価格がどれだけ下がるかを考えてもらいたい。債券は満期までの期限が長ければ長いほど金利上昇に対する価格の下落幅が大きい。10年物国債は1%の金利上昇で10%近く、2%でほぼ20%近くの価格下落となる。3%、4%になれば30%、40%である。

これはジョン・ポールソン氏がリーマンショック時にサブプライムローンを空売りした場合と似たようなリスク・リワード比だと筆者は考えている。ポールソン氏は当時のことについて以下のように語っている。

ジョン・ポールソン氏、サブプライムローンの空売りで大儲けした時のことを語る
空売りのコストは年間たった1ドルということになる。

しかしサブプライムローン債券がデフォルトすれば、空売り投資家は100ドルを得ることができる。

結論

ということで、筆者も遂に日本国債の空売りに手を出すことになった。大手メディアや金融市場はまだ分かっていないが、筆者の意見では植田氏の狙いは明らかである。以下の記事を読みながら彼の言葉を精査してみてほしい。

踏み絵のように緩和支持を言わされる日銀の植田新総裁と新副総裁たち
日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者
また、金利上昇は株価にとってもマイナスとなる。筆者は日本株の空売りも行なっている。アベノミクスのお陰で日本経済が滅ぶ時が来たようである。自業自得である。

2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、 ソフトランディングは有り得ない


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34200
2:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/03 (Wed) 07:33:57

日本エリオット波動研究所の相場予測は凄い、 宮田直彦のエリオット波動分析はデタラメ
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14081932

こちらが正しいエリオット波動分析

一般社団法人 日本エリオット波動研究所
https://jewri.org/
https://jewri.org/corporate-imformation/

日本エリオット波動研究所 有川和幸さんの動画 - YouTube
https://www.youtube.com/playlist?list=PLbeeewhOVN3ZOHGCnxY0IlcCNaWFxs2rI


▲△▽▼


個人向け国債は絶対に買ってはいけない!
http://www.world401.com/saiken/kojin_kokusai.html

債券投資の初歩 _ 国債と投資適格債とジャンク債の違い
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14075806

低金利政策や量的緩和政策は 貧困層から富裕層へと富を移転させる政策
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14099115

紙幣をばら撒けばインフレになるという単純な事実が多くの人々には難しすぎて理解できない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14054383

「賃金上がらず予想外」アベノミクス指南役・浜田宏一氏証言 トリクルダウン起こせず…
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14095196

「物価と失業率は逆相関の関係にある」というフィリップス曲線は疑似科学
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14087468

ジム・ロジャーズ 1970年代にはインフレを殺すために金利は21%まで上がった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14077211

各国政府はインフレを歓迎し、むしろインフレ誘導している
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14078205

42年間続いた低金利の時代は終わった、2023年からは高金利の新時代へ
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14079077

1万円銀行融資すればマネーサプライは1万円増える、財政支出はマネーサプライを増やす
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史上最高の経済学者ハイエクの警鐘
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ハイエク: コストプッシュ型インフレは政府の責任回避の言い訳に過ぎない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14068389
 
株式投資は企業への投資ではない _ 外資が儲けたらそれと同額だけ日本が損する
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欧米政府は「労働者」を救済するのに対し、日本では倒産しかけたダメ企業を救済
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14082503

政府が救済する弱者と言うのは中小企業や零細経営者の事で、 その会社の労働者は救済しない
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倒産する企業はそのまま倒産させるのが正しい
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インフレが起これば金融緩和が出来ないので、低金利で資産価格バブルの時代は終わる。
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金融緩和するとデフレになる理由
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MMTは機能しない!超緊縮論を唱える元大蔵官僚 野口悠紀雄
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日銀が 2011年から500兆円も ばら撒いたので「超円安・輸入物価高の時代」に変わった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14010201

日銀金融緩和が終わった、円安は日本人にとって何の得にもならなかった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14074282

何故日銀はインフレに応じて金利を上げないのか?
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14052708

黒田日銀総裁のスゴイ所は「平気でウソをつく」ところ
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14009730

日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14087383

日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14062048


3:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/03 (Wed) 08:24:14

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
2022年10月6日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29198

ここ数日、インフレ下における最良の投資方法は、株式の空売りを除けば預金であるということを説明してきた。

インフレ相場での最良の投資方法は株の空売りを除けば株式投資ではなく預金
何故ならば、インフレ対策で行われる利上げによって、預金者はインフレによる現金の減価とさほど変わらない金利収入が得られるからである。

インフレ率と政策金利

過去に物価が高騰した1970年代のアメリカのインフレ率と政策金利のチャートをもう一度掲載しよう。


インフレ率が最高で15%近くまで上がった時代であり、人々はものの値段が上がって苦労した。

だが注目してほしいのだが、上のチャートでインフレ率とともに金利も20%近くまで上がっているのである。つまり、インフレで預金の実質的価値が目減りした分は高くなった金利収入で補填されており、預金者の資産はインフレ下でも守られたことになる。

つまり、インフレは預金者にとって大した問題ではない。ただ、これはインフレを抑制するために政策金利を上げるまともな中央銀行を持った国に限った話である。

日銀の低金利政策

では何故日銀はインフレに応じて金利を上げないのだろうか? 利上げは悪なのだろうか? だが利上げがあれば、預金者はインフレで資産を目減りさせることはなかったはずだ。(「インフレで株式は買い」という完全に間違ったデマに騙されて株を買ったりしなければだが。)

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
何故政府は金利を上げないのか? 利上げは預金者をインフレから守ってくれる。利上げさえあれば、一部の人々は「インフレ対策で株式投資を始めなければならない」と言いながら、インフレで大暴落する株式に突っ込んでいったりはしなかったはずである。

2022年インフレ株価暴落は個人投資家が全員退場するまで続く
何故日銀は利上げをしないのか。その理由は、預金者にとってインフレから身を守ってくれるものであるはずの利上げは、債務者にとっては借金がこれ以上できなくなる致命的な金融政策だからである。

金利が上がれば債権者(預金者は預金を通して実質的に国債を保有している)は金利収入が上がるが、それは同時に債務者の支払う金利が増えるということを意味する。

そして国内最大の借金を抱えた債務者は、言うまでもなく政府である。

政府債務

日本の政府債務は今どれくらいまで膨らんでいるだろうか。GDP比のチャートを掲載しよう。


2020年のデータで日本の政府債務はGDPの216%に達している。

預金者にとってはインフレから身を守ってくれる利上げだが、このような巨大な債務者にとってそれはどのような意味を持つか?

例えばアメリカでは利上げの結果、短期金利は利上げ前の水準(つまりゼロ金利)から4%上昇している。

同じことが日本で行われればどうなるだろうか? GDPの200%以上の債務を抱える日本政府にとって、それは単純計算でGDPの8%分の利払いの増加を意味する。

日銀が利上げを行わない理由

これこそが日銀が利上げを行わない理由である。そして日銀はインフレを望んでいる。

日本の消費者が現在物価上昇で苦しんでいるにもかかわらず、日銀がインフレを望んでいる? そんな残酷なことがあるだろうか? だが思い出してほしいのだが、日銀はインフレターゲットなるものを掲げてもう何年もインフレを実現しようとしてきた。

そしてインフレになった。2020年から既に始まっていた現在インフレの原因は2022年に始まったウクライナ情勢ではなく、コロナ後に世界中の政府が現金給付と量的緩和を行なったからであり、金額で言えば最大の戦犯はアメリカ政府だが、日本政府もその一部であることは単なる事実である。

ドラッケンミラー氏: インフレを引き起こした政府の間違いは長期にわたって貧困層を苦しめる
彼らの「インフレターゲット」は現実になった。そして実際に物価が上昇して初めて、人々はインフレとは物価上昇という意味だということを理解したらしい。馬鹿ではないのか? 辞書が無かったのか? インフレが他にどういう意味だと言うのだろうか?

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
インフレとは物価上昇という意味であり、需要に対して供給が足りない、つまりものが足りないという意味である。

逆にデフレとはものが十分足りている、ものが余っている状況である。

ものが足りている状態よりもものが足りない状態が良いと何故信じたのか? 彼らは馬鹿なのか? インフレ政策という非科学的政策を理解不能の理由で支持した有権者の愚かさは脇に置くとしても、政府が何故インフレを望んだのかという理由は明らかである。

債務者の喜ぶ低金利とインフレ

何故政府は低金利とインフレを望んだのか。

まず低金利が借金をしている政府にとって有利であるのは明らかだろう。利払いが少なければ、より多くの借金をすることができ、東京五輪やGOTOトラベルを自由に行えるというわけである。1569億円を使って東京に打ち立てられた巨大な便器はところで今使われているのだろうか。インフレ政策という西洋発の国民総奴隷スキームを喜んで輸入する日本国民は便器も洋式を利用するというわけである。


出典:産経新聞
そして低金利と財政赤字を組み合わせた緩和政策は、アメリカでそうなったように、時間差でいずれ物価高騰を引き起こす。

ガンドラック氏の景気後退予想: 現金給付のツケを払うことになる
だが考えてもらいたいのだが、この物価高騰でさえも巨大な借金を抱えた政府にとってはプラスなのである。

インフレが政府の借金を帳消しにする

事実、日銀は日本でもインフレが始まっているにもかかわらず、それを支援する低金利政策を続けている。

それは何故か? 低金利が利払いを軽減するならば、インフレは借金の元本を実質的に帳消しにするからである。

極端なケースを考えれば分かりやすいのだが、例えば物価が上がり100円のりんごが100兆円になったとしよう。

そうすれば元々100兆円の借金を抱えていた人物はどうなるか? 借金がりんご1個分になるのである。

これは戦後のドイツがインフレによって借金を帳消しにしたスキームと同じである。インフレは借金を帳消しにする。

だが借金が帳消しになって債務者である政府は喜ぶかもしれないが、債務者の債務は債権者の資産である。そしてそれも帳消しになる。

日本国民は預金を通して実質的に国債を保有している。銀行が預金を使って国債を買っているからである。

もうお分かりだと思うが、インフレになれば目減りするのは借金だけでなく、預金も同じように減価される。中央銀行が利上げさえ行えば、インフレによる資産減は金利収入増で打ち消され、利上げが預金者の資産を守ってくれるはずなのだが、国民の預金を犠牲に自分の借金を帳消しにすることを始めから目的としている日本政府がそれをするわけがないだろう。

結論

世の中には日本政府の莫大な借金は日本国民の保有する資産を考慮すれば問題ないという天才的な意見があるらしい。しかしそれは国民の資産を税金として没収することによって政府の借金を帳消しにするという意味である。彼らにはそれが分かっているのだろうか。

だが実際、日本国民はそれを望んでいるのではないか。毎日働いて得た収入が所得税と社会保険税と消費税で半分以上消えてなくなり、日本の首都にふさわしい巨大な便器に生まれ変わること、そして最後に残ったなけなしの預金さえもインフレで消えてなくなること、すべて日本の有権者が自分で望んだことではないか。

それでも日本人は自民党に投票し続ける。前にも書いたが、日本国民とは殴られても次の日には忘れている民族である。そしてそういう人々はこれからも殴られ続ける。

何故日本の有権者はどれだけの仕打ちを何度受けても自民党をわざわざ選出するのか? その理由はウィキペディアに詳しく書いてあるのでそちらを参考にしてほしい。

ストックホルム症候群 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%A0%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29198
4:777 :

2023/08/05 (Sat) 17:21:42

世界最大のヘッジファンド、量的緩和と現金給付に続く新たな金融緩和を語る
2023年8月4日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38616

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がLinkedInのブログで、世界的な物価高騰をもたらした現金給付に続く新たな金融緩和の方法について語っている。

過去40年の金融緩和

アメリカでは1970年代の物価高騰が終わって以来、金融市場の歴史は金融緩和の歴史である。

1970年代の物価高騰を止めるために20%以上に上がったアメリカの政策金利は、その後30年近くかけて低下してきた。以下はアメリカの政策金利のチャートである。


中央銀行は経済が弱るたびに利下げを行い、金融緩和によって実体経済を支えてきた。

だがその金利は2008年のリーマンショックでついにゼロに到達する。中央銀行はこれ以上金利を下げられなくなったが、それでも緩和をする方法が欲しかったので、紙幣を印刷して金融市場から国債などの証券を買い入れる量的緩和という方法に頼ることになった。

政策金利を操作する方法では国債の金利を直接下げることはできないが、紙幣印刷で中央銀行が有価証券を買い上げてしまえば、資産価格を人工的に押し上げ、国債の金利を押し下げることで更なる緩和を行うことができる。

だがこの方法では実体経済をコロナ危機から救うことは出来なかった。日本で実際にそうなっているように、資産価格を上げても得をするのは資産を持っている人々だけだという当たり前の事実に、アメリカも直面せざるを得なくなった。

そこで考案されたのが、国民の銀行口座に直接現金を注ぎ込む方法である。現金給付と呼ばれるこの方法は、家計の財政状況を見た目上改善した一方で、世界的な物価高騰を引き起こした。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
このように緩和の歴史を振り返ってみると、明らかに言えることは、緩和の副作用が強くなっていることである。利下げの副作用は、2000年にドットコムバブルを引き起こしたり、2008年のリーマンショックにつながる住宅バブルを引き起こしたりすることだった。

それだけも酷かったかもしれないが、利下げが量的緩和になり、量的緩和が現金給付になった今、緩和の副作用は雪だるま式に膨らみ、インフレという形で全国民に降り掛かっている。

だが緩和の極端化というこのトレンドは、もはや誰にも止められないだろう。人間にそれを止める頭があれば、そもそもインフレは起きていない。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
だから投資家は現金給付に続く新たな緩和方法が何かということを、そろそろ考え始める必要がある。

中央銀行はまず利下げによって金利を低下させ、経済における最大の債務者、つまり政府を救済し続けてきた。その次には量的緩和によって、金融危機で資産を失った資産家を救済した。コロナ禍におけるはロックダウンで収入を失った家計を救済した。

もう救済するものはあと1つしか残っていない。中央銀行による中央銀行の救済である。

中央銀行が自分自身を救済する

政府が国債を中央銀行に押し付け、中央銀行はシリコンバレー銀行などの破綻処理にあたって価格が下落していた債券を額面で引き受けているので、もはや中央銀行はさながらゴミ箱のような様相である。

政府はこのまま中央銀行をゴミ箱のように扱い続けることができるのか? 現代人は誰もその実験を経験したことはないが、歴史上には同じような事例は存在する。こうした疑問を尋ねるのに最良の人物は、やはりダリオ氏だろう。

ダリオ氏は次のように述べている。

長期的には、歴史を振り返ってこれから何が起こるかを描いてみると、政府の財政赤字が増大するのは実質的に確実で、利払いや他の予算の費用が増加している以上、増加の加速度は上がる可能性が高い。

アメリカのGDP比財政赤字は次のように推移している。


短期的には上下しているが、長期的には赤字は増え続けている。そしてこれが少なくなる見通しのないことは、誰もが同意するところだろう。

緩和も財政も悪化し続ける。 だが緩和が利下げから現金給付まで指数関数的に進化してインフレという限界にぶつかったように、政府の財政も同じように指数関数的に進化して人々が思っているよりも早く限界にぶつかるだろう。

このまま財政赤字が加速度的に増加すればどうなるか。ダリオ氏は次のように述べている。

そしてそうなれば、政府はより多くの国債を発行しなければならなくなり、自己強化的な債務スパイラルに陥ることになるだろう。

金融市場がそれ以上増やさないよう迫る一方で、中央銀行は紙幣印刷によってもっと多くの国債を買わなければならなくなる。そうしなければ損失が拡大し自分のバランスシートが毀損されることになる。

「金融市場がそれ以上増やさないように迫る」というのは、国債の発行増加を市場の投資需要が支えきれなくなり、国債価格が暴落してゆく状況だろう。

そうした要因での米国債の価格下落は、今の市場参加者にはほとんど想像もできないはずだ。だが少し前の市場参加者には、インフレも想像できなかったことを思い出したい。

ダリオ氏の言う通り、国債の発行が指数関数的に増加してゆくならば、量的緩和なしには国債価格を維持できない状況はいずれ必ず訪れる。そして「指数関数的」な増加によってその水準に到達する日はそれほど遠くないということは、少しの数学的素養のある人ならば分かるはずだ。

ダリオ氏によれば、そうした問題の典型的な解決策は、政府が中央銀行の損失を補填することだという。だが政府は中央銀行の紙幣印刷によって資金供給されているので、中央銀行は結局は自分に資金供給することになる。この空中でジャンプして空に浮き続けるような末期的状況の典型的な帰結は、金利高騰か通貨暴落かインフレ、あるいはその組み合わせだろう。

結論

実際、イギリスはその状況に到達しかけた。1つ前のトラス政権がインフレの状況下で大規模な財政緩和を行おうとしたとき、金融市場では英国債とポンドが両方急落した。

サマーズ氏: 景気後退で財政支出する国はイギリスの二の舞になる
結局はトラス氏が辞任に追い込まれることによって緩和は撤回されたが、他の先進国はそうした瀬戸際にある。日本では円安とその結果としてのインフレが大きな問題になっている(が、自民党支持者はストックホルム症候群によって緩和の引き起こした円安とインフレの関連を頭から消し去っている。)

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
アメリカは、基軸通貨ドルの恩恵によって今のところ日本やイギリスのような羽目にならないで済んでいる。だがスタンレー・ドラッケンミラー氏は、まさにそれが原因でアメリカはより大きな危機に陥ると予想している。

ドラッケンミラー氏: アメリカは基軸通貨ドルのお陰で致命傷を食らうまで緩和を続けられる
短期的な延命のために長期的な危機が許容される。いつものことである。しかし若者たちはそれで良いのだろうか。

ドラッケンミラー氏、高齢者が若者から搾取する税制を痛烈批判

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38616
5:777 :

2023/12/05 (Tue) 13:54:30

レイ・ダリオ氏: 国債の暴落トレンドが始まりつつある
2023年12月4日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/42178

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がFortune Magazineのインタビューで国債と金利の見通しについて語っている。

リーマンショック後の金融緩和

ダリオ氏はコロナ前までの金融政策を振り返っている。アメリカではリーマンショック時にゼロ金利と量的緩和が始まった。ダリオ氏は次のように述べている。

金融市場はこれまで金利がゼロになるような、資金の溢れている馬鹿げた状況になっていた。

この流れのなかでGDP比の負債は増加した。

政府が中央銀行に命じて金利をゼロにしたかったのは、国の借金を増やして支出を増やしたかったからだ。

政治家の商売は税金を集めてそれを票田に流し込むことで成り立っている。他人が正当に稼いだ金を無許可で徴収して自分の裁量で選んだ誰かにばら撒くことの本質はそこにしかない。

ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
だから政治家は国の借金を増やすことを好んだ。国の借金は政治家が返すわけではないからである。そしてそのためにはゼロ金利が必要だった。国債に大きな金利が付いてしまえば、政府はばら撒くのではなく借金返済にお金を使わなければならなくなるからである。

国債の需要と供給

だがその低金利を実現するために中央銀行が買い支えをしなければならなかったということは、その低金利では普通の投資家は国債を買いたがらなかったということである。ダリオ氏はこう述べている。

債券の需要と供給がマッチしなかったので、中央銀行が債券を買い支えた。債券に十分な買い手がいなかったということだ。だから中央銀行が来て買い支えた。そしてそれは自由な市場を捻じ曲げながら金利を低位に抑え続けた。

それでも米国債を買ったのは、国債を買わなければならなかった中央銀行や銀行と、ダリオ氏はあと1つ買い手のカテゴリーを挙げている。

だから今、中央銀行は大量の米国債を抱えている。市中の銀行も大量の米国債を抱えている。日本人も大量の米国債を抱えている。

そして今やどうなったか? コロナ後の現金給付によってインフレが起こり、インフレ抑制のために金利を上げなければならなくなり、更には量的緩和で国債を買い入れていた中央銀行が量的引き締めによって保有量をむしろ減らすようになった。

元々中央銀行の他にはほとんど買い手が見つからなかった国債市場で、アメリカ政府はむしろ国債発行を増やしているにもかかわらず、一番大きな買い手だった中央銀行が保有量を減らしている。

それが国債市場の状況である。それで国債価格が下落し、金利が上がっている。

チューダー・ジョーンズ氏: 米国債の大量発行で金利はまだまだ上がる
そしていまだ残っている買い手、つまり銀行と日本人はどうなっているか? ダリオ氏はこう言っている。

そして彼らは米国債の値下がりで損失を出している。

日本人とドル

だが米国債を保有している日本人にとっては、これまでドル高が国債下落の損失を補填してくれていたかもしれない。だが来年予想されている景気後退が来ればドルは下がることになる。

ガンドラック氏: アメリカの景気後退でドルは暴落する
このタイミングで筆者の周りの日本人でドル預金の話をする人が増えてきている。彼らはいつもナイスタイミングである。彼らがNISAの話をし始めた時がまさに米国株の天井だったように。

ジム・ロジャーズ氏: 他人の意見で投資をするとほぼ間違いなく失敗する
それでも米国債は米国株よりはマシな投資なのだろうが。

2024年の米国株予想: 株価は最大で50%下落する
国債下落のスパイラル

さて、国債に話を戻そう。デフレと低金利の時代が、インフレと高金利の時代に置き換わった。低金利の時代に増やし続けた莫大な政府債務に大きな金利が付き、アメリカ政府も日本政府もそれを支払わなければならなくなっている。

高い金利が大きな利払いを呼び、政府の利払いは国債発行で賄われるだろうから、金利が高くなるほど国債発行が増えてゆく。そして更に金利が高くなる。

ダリオ氏によれば、そのサイクルに入った時の典型的な兆候が最近の世界経済で見られるという。ダリオ氏は次のように述べている。

典型的なサインは、中央銀行が大きな損失を計上することだ。

最近、日本でも日銀の損失が報じられた。ドイツやイギリスでは中央銀行の損失をどう補填するかが問題となっている。

ドイツの中央銀行、資金不足で政府の口座への利払い停止を決定
人々は紙幣を刷ることのできる中央銀行は破綻しないと思っているが、歴史的に見ればそうではないことをダリオ氏は以下の記事で説明していた。

世界最大のヘッジファンド: 中央銀行でもインフレで破綻する可能性
結論

国債の利払い増加と高金利の負のスパイラルは一度突入すると止まらなくなり、どんどん加速してゆく。

ダリオ氏はこう述べている。

今、経済はそういう加速に非常に近い状況にある。そうなれば状況は悪化してゆく。

アメリカでは実際に金利上昇によって政府債務の問題が大きく議論されるようになっている。

だが日本も似た立場にある。むしろ政府債務は日本の方が大きいので、日本の方が大きな問題なのである。

日本国債の空売りを開始、植田新総裁で長期金利上昇を予想 (2023/3/2)
ドラッケンミラー氏、日本のインフレで日本国債を空売り (2023/5/2)

筆者やスタンレー・ドラッケンミラー氏など、 日本国債の下落トレンドに賭けている投資家のポジションは今のところ成功している。これからどうなるだろうか。楽しみに待ちたい。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/42178

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