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1:保守や右翼には馬鹿しかいない
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2023/04/27 (Thu) 15:56:51
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PSD社製の磁気フローティングボード
2022.12.29
https://philm-community.com/wankata/user/diary/2022/12/28/13621/
今年のお盆前にPSD社にオーダーメイドした磁気フローティングボード内蔵のオーディオラックを導入して以来、磁気フローティングボードのパイオニアメーカーであるイタリアSAP社のRelaxa2+とこのPSD社が製作した磁気フローティングボードの比較をしたことは以前日記にしました。
その時の感想と考察は『音の広がりが増して発音がより明瞭になり、ともすれば混濁したように聞こえる場面もある低音域の明瞭さが際立ったようです。
もちろん、文章で書くとRlaxa2+に載せている時とは雲泥の差のように捉えられるかも知れませんが決してそうではなく、比較すればそういう印象であるということですが、この違いを聞いてしまうと元に戻すと不満が残るほどの差であることは事実です。
では同じ磁気フローティング機構なのに何がこの違いを生んでいるのでしょうか?
一つは、磁気フローティング機構を産む磁石についてはPSD社が使用している磁石がより強力なものであること。
もう一つは、ボードの材質がRelaxa2+が脚部、フローティングボード共に樹脂製なのに対して、PSD社のは鋼管フレームに固定された厚い積層合板の下部とその上に浮かぶボードも厚みのある積層合板に突板仕上げであることで、樹脂と木材という素材の差が大きいのでは?と推察しますね?』というものでした。
その後オーディオで音楽を聞く度に機器のスイッチ類を触った時に機器が揺れるのを見ていると両者の違いが見えてきました。
それは、Relaxa2+では機器の上下動の振幅が小さく揺れも直ぐに収まるのに対しPSD社製のは振幅が大きくしかも揺れの収まり方がゆっくりしているという違いです。
車に例えればRelaxa2+が普通のエアサスペンションならPSD社のはハイドロサスペンションのシトロエンのよう。
下から伝播してくる振動を柔らかくいなしてドライバーに不快な振動を与えないように機器への振動の伝播を上手く減衰させているからだと思い至りました。
PSD社に製作をお願いした磁気フローティングボードの条件は、現在SD05を載せているRelaxa2+の置き換えとするのでサイズは投影サイズがRelaxa2+とほぼ同じ、ボード面の高さはSD05を載せた状態で最大70〜75ミリ以内とコンパクトに収めること、とやや制約の厳しいものでした。
試作検討の結果出来上がったサイズは(SD05が載った状態で)W×D×H=480×450×85ということで、ボードのフレームに堅牢な鋼材が使用されることとフローティングボードの積層合板突板仕様も剛性を保つため厚さを削るわけにはいかないということで、高さが希望よりも5〜10ミリ高くなるということでした。
それでも、今までGRF邸の重量級真空管アンプ用に製作されたボードに比べるととてもコンパクトに出来上がっています。
ボードの高さが当初条件よりも高くなったことでSD05の背面にあるテレビ画面に干渉するのを解消するためにテレビ台の下に5.5ミリ厚合板を敷いて嵩上げしました。
そして先日クリスマスの日に待望のPSD社製磁気フローティングボードが到着しました。
オーディオラックが木目を活かしたクリア塗装と交換フレームがブラック塗装なのにカラーコーディネートされたブラック塗装されていますが、とても似合います。
水準器を使ってベースのフレームが水平にガタ無く設置されるように四隅にあるアジャスター付き足を調節してから上部にフローティングボードを載せ、更にSD05を載せて全てのケーブル類を取り付けた状態で水平になるようSD05のボード面に置く位置を調整します。
Relaxa2+はオーディオラック下段のデジタルFMチューナーを載せました。
SD05の足元がPSD社製磁気フローティングボードに変わったことで出音が想像以上に変わりました。
以前比較試聴した時はオーディオラック中段に内蔵された磁気フローティングボードだったので上段のボードに囲まれた位置だったのが、上段では周囲の影響が少ない環境になることもあるでしょう。
何が変わったのか?
それは低音部の基音が確かになり量感も格段に拡大したうえにアンビエンス成分も豊かになり音場が形成される深さが今までよりも拡大しました。
この感覚、印象はどの音源でも同様に感じることが出来ます。
今までフルレンジユニットのユニコーンでは再生が苦手だったパイプオルガンの低音も難なく再生するのに感激しています。
勿論フルオーケストラのコントラバスからエンドピンを伝わりステージを覆う低音も!
何を聴いても新鮮というクリスマスプレゼントのような音楽体験はまだまだ続いています。
この記事はブログでもご覧になれます。
のびー名前:のびー :投稿日:2022/12/29(木) 06:13:10
椀方さん
おはようございます。
待望のボードが到着したのですね。てっきり白木仕上げと予想していました。でもブラックはカッコいいですね。
拙宅のSD05は超低域専用で、聴こえないけど感じるというレベルの低域までしっかりと駆動してくれています。
このアンプの足回りをフロートさせるだけで音が変わるというのは、その理屈をよく理解出来ないのですが、聴かせて頂くと確かに変わるのが不思議です。
ウチのSD05はラックに押し込んでいて、棚板のクリアランスを考慮するとボードの高さが70mmくらいだとそのまま入るのですが...
椀方名前:椀方 :投稿日:2022/12/29(木) 08:24:17
のびーさん、コメントありがとうございます。
ブラック仕上げいいですよ。
埃の付着が目立つので掃除をマメにするようになりました。
ラックの高さ制限があるのですね?
今実寸測定しましたらSD05載せた状態でボード面までの高さが85ミリ、ぜSD05天板までの高さが180ミリでした。
電話で製作状況を聞いた時のボードが80ミリと聞いたのはどうやら聞き間違いのようなので85ミリに訂正しておきます。
Relaxa2+の方は何も載せなくても70ミリ以下なので問題無さそうですが、PSD社のボードはフレーム構造やボードの厚みなどを考慮するとこれ以上薄くするのは無理のようです。
https://philm-community.com/wankata/user/diary/2022/12/28/13621/
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2:保守や右翼には馬鹿しかいない
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2023/04/27 (Thu) 15:57:48
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2023年 04月 26日
大型連休の第一日目はK&Kさん : GRFのある部屋
https://tannoy.exblog.jp/33022975/
コロナで開催できなかった大型連休のお客様の往来がようやく始まりました。先週末は連休一週間前ですが、第一弾としてK&Kさんをお迎えしました。K&Kさんには、2016年からほぼ毎年来ていただき、定点観測をお願いしているお一人です。前回の2022年の夏には、アナログ系もほとんど完成しており、今年との違いはターンテーブル用のモーターと、この半年、試行錯誤しながら開発してきた大山さんのフローティングボードのある無しです。
K&Kさんは、ピアノを教えておられた奥様が弾かれるシュタインウェイのピアノと同室で、日立のHS-500で構成した4チャンネルシステムで生の演奏会の響きを再現されている、いわば同行の士でもあります。オーディオでのお付き合いでも、同じ方向を向いて歩いておられる方は、少ないのです。
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まだデコラがあった頃です。
K&Kさんには今まで6回お見えになられていますが、後方のTW5を加えた現在の音の出し方になった2020年からも、今回で三回こられているので、音の傾向はお分かりですし、今回の違いもよくお分かりだと思います。前回との違いは、大山さん渾身のラックは6月に変わっていたのですが、熱を発する真空管アンプはラックに入れなかったので、独立したフローティングボードを作っていただき、少しづつ、そのボードに換えて行きました。音の変化は大きく新しい次元に入りました。
SPからの振動を遮断する効果だけでは無く、アンプ自体が発生している固有の微小信号を遮断して、信号本来の響に一段と近づいた様です。製作者の思いやこだわりも書いていただいたのですが、私自身が一番驚いたのは、10月に入ってから交換した、後方の50Hz以下を再生しているTW5駆動用のSD05の下に敷かれた時です。
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右が従来のフローティングボード、左が今回開発したものです
その変化は大きく、その時に聴きに行ったラトル・ロンドン響、マケラ・パリ管の迫力ある生演奏を聴いても、驚かなかったぐらいでした。このことが私自身にも大変な驚きでしたが、その変化を実際にお聞きになられた方にも、共感していただきました。
正月になりMolaMolaのプリの下にも敷かれ驚きは増しましたが、その変化の輪が完成したのは、今年の三月にプリばかりでは無くEMMのDACや光カートリッジ用のEQの下にも敷かれた時です。特にEMMのDACの下に敷かれた時の驚きは、いまだに全部を解明できていません。その音の差をご常連お方々に聞いていただこうというのが、今回の大型連休でのお客様をお迎えする理由なのです。
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MolaMolaにも、左のEMMのDAC2Xにも
現在の装置への変化の過程は、K&Kさんのご訪問記を読んでいただくと、経緯がよくお分かりいただけると思います。歩んできた方向は常に同じですが、その深化がどんどん深まって行きました。去年のレコード再生の大変化とともに、フローティングボードの果たした役割の大きさに驚いているからですね。装置の音では無く、テープ、レコード、CD、それぞれ固有の音の違いを乗り越えて、どのルートでも音楽が鳴り始めたからです。
(1回目)K&KさんのGRF邸訪問記 不思議な音響空間 {2016-08-20]
(a)関連記事 3Dステレオの再生 1 [2016-09-07]
(b)関連記事 3Dステレオの再生 2 [2016-09-11]
(c)関連記事 3Dステレオの再生 3 [2016-09-14]
(2回目)K&Kさんのご感想 [2017-05-30]
(3回目)K&Kさんの「GRF邸訪問記」 [2018-09-21]
(4回目)一日目の K&Kさんのご感想 [2019-05-13]
(5回目)K&Kさんに来ていただきました [2020-12-14]
(6回目)K&Kさんが来られました [2022-07-26]
これらのK&Kさんのご感想記が、2016年からの装置の変遷史でもあります。今回が第7回目で7年経っています。私にとっても貴重な実験の記録でもあります。K&Kさんのご感想が楽しみです。
https://tannoy.exblog.jp/33022975/
2022年 08月 23日
大山さん渾身の「Rack」は「 Luck」?
https://tannoy.exblog.jp/32788678/
5月に長年愛用してきた大山さんのラックを、鉄製のフレームで構成された剛性の高いタイプに変えました。その効果は大きく、音楽の基音の再生ができるようになって、低音の安定性が増しました。その効果は大きく、音場がひと回り大きくなったのです。レコードをかけても、本来レコードからは、聞こえなかった最低音が楽々と聞こえてきて、レコードの音の概念を変えます。もちろん、CD系の音も変わって、安定感が全く違いました。
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下の段は、ネオジウムの強力な磁石を使ったフローティングボードになっており、床から縁が切れた音は、このような堅固な床でも、床からのフィードバックは大きく、最低域の音に影響を及ぼします。実験で、下のフローティングの上においた真空管アンプの音は、大山さん自身も驚かれた具合です。
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高熱を発するパワーアンプでは上の板が近過ぎて、熱くなり危険ですが、実験で聞いてみると、これは独立して作らなければと二人とも思いました。それから3ヶ月、椀方さんのラックの製作ともに作ってくれたようです。椀方さんの台は二段目がフローティングになっています。
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この台は、大山さんの気配りが溢れています。私のアンプのように、片側に大きなトランスを積んでいるような場合、左右で重量のバランスが違います。位置調整をしているガイドは、三点支持なので、そのバランスを、四つのネオジウムの磁石の高さを変えて、反発力の違いを利用して水平を保つのです。
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まずは、頑固な下のフレーム付きの台を水平に設置します。これは重要な調整です。床との設置がしっかりとして、音のベースをが変わります。
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これは、ネオジウムの磁石を外したところです。丸い木のリングを調整して磁石の高さを変えます。その上に左右で重さの異なるアンプが来ても、磁石の反発力で水平に保たれるのです。
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よく考えられていますね〜。隅々まで気をくばって作られる大山さんのラックは、まさにオーダーメードで、仕上げの良さが、最後は音になって現れます。
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早速、近くにあったこのカラヤンのリハーサル盤を聞いてみました。カラヤン自身の席の上にセッティングされたマイクから聞こえるオーケストラの音が生々しく聞こえます。最初は第九の終楽章冒頭のコントラバスとチェロの有名な旋律が流れます。そのコントラバスの音の深い事、深い事・・・。
二人で顔を見合わせたほどです。思った通りの音がしました。とてもレコードから聞こえてくる音ではありません。4トラックテープからの音を、友の会でも何回もおかけしましたから、参加された方は覚えておられるでしょう。あのテープしか出ない音が、今、目の前のレコードから聞こえてくるのです。
レコードばかりではなく、SACDも聞いてみました。最近よく音の比較に聞いている、フォン・オッター のオルガンを伴奏にしたアルバムです。普段は、なっているかなっていないかわからない、後方のTW5がその存在を知らしめます。圧倒的なオルガンの壮麗な響きが、部屋中に響き渡るのです。この音は皆さんにお聞かせしたいのですが、まだ数えるほどの方しか聴かれていません。残念ですね。
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大山さんが帰られてから、いつものように一寝入りして、深夜にまた部屋のアンプに火を入れました。これから深夜なので、音をしぼり、アンプの位置があっているか、精密に調整しました。結果大きな台の上のアンプ類も、2センチほど位置をずらし、それに伴い、新しく設置しただいも少しだけ動かしました。1センチほどです。それでも音場は変わります。音のピントを合わせると、音場が明るく開けます。
本当のステレオで、音場が収録されている盤は、時代には関係なく収録したときの音響空間をそこに再現するのです。まるで魔法のようです。中学生の時に、その立体音を聞いて感動した少年が、ちょうど60年後にその時の音を聞き直しているのです。思えばずいぶん遠くまできたものです。
SD05をきっかけに始まった大山さんとの製品開発も、ユニークな無指向性スピーカー用の前後、または左右に同位相で放射される、TW3やTW5のオリジナルのウーファーの開発、そして圧倒的な剛性と気配りのきいたラックの製作へと底辺を広げて行きました。椀方さんのお宅でも、音は相当変わったそうです。いつか聞きに行く時の楽しみが増えましたね。
今週は、お盆の時に実験を頼んだ製品が沢山貸し出されてきました。その一つ一つを検証していかなければなりません。お盆のときは暇だったのに、仕事が始まるとビッシリ予定が入ってしまいました。でも、このように忙しい時の方が、オーディオは新しい発見があるようです。
Commented by プー博士 at 2022-08-23 21:24 x
このラックは無垢の材ですか?硬い材質なんでしょうね。
Commented by TANNOY-GRF at 2022-08-23 23:10
プー博士 中身は鋼材のフレームでできています。磁石のついている下の台の裏側は鉄材です。
Commented by TANNOY-GRF at 2022-08-23 23:38
ラックのお話を椀方さんが書いてくれました。彼の整理整頓されたインテリジェンスと拙宅の混雑の差が写されていました。
https://philm-community.com/wankata/user/diary/2022/08/23/6591/
Commented by 椀方 at 2022-08-25 10:22 x
拙宅もこのラックにして以来、機器のストレスが取れたかのような鳴り方をしています。
重くて頑丈なラックということなら大阪で使っていたハミレックスのもそうでしたが、違いはその土台に乗った磁気フローティングボードの効果なんでしょう。
αGEL使った簡易ボードに載せているFMチューナーにもRelaxa用意してやろうと思ってます。
https://tannoy.exblog.jp/32788678/
2022年 10月 15日
最終コーナーを曲がったようです。パグ太郎さんのご感想も
https://tannoy.exblog.jp/32852444/
先週金曜日、ラトルのロンドン交響楽団を聞きに行く日の午後、大山さんがSD05用のフローティングボードを持って来てくれました。そもそも、NFBタイプの真空管アンプ用の床からのフィードバックを遮断するために、フローティング型のボードを作ってもらったのです。これは大変効果があり、残るは50Hz以下用のTW5を駆動しているSD05の下だけになりました。SD05はNFBを使わないということを前提に石田さんがアンプを開発して、部屋の影響をSPが受けて戻ってくる逆起電力を遮断するために増幅を伴わないPWM方式のデジタルアンプになったのです。
そして、現在も同じ大山さんの開発された前のタイプのフローティングボードを使っています。しかし、先の真空管アンプでは、低域のフィードバックが完全に遮断されて低域の再生が全く変わりました。特定の音の振動がなくなり、生の演奏会場特有の柔らかく低域が響いていく様子が再現されたのです。
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そこで、大山さんとここまで来たら、悔いのないようにしようとSD05用のボードも頼んでいたのです。前回、このボードを聴かれたパグ太郎さんも驚き、従来のラックをやめてこのボードだけで床に置いてみようと頼まれたので、一緒に同じ大きさで作ってもらったのです。モノラルの真空管アンプ用から比べると深さが大きくなっています。一回り大きなステレオ用真空管アンプや、CDトランスポートも乗るからです。
前回と同じように、ベースの方の水準を取って、ガタがないように床にしっかりと起きます。隙間がなくなると、ベースが床と一体化しているのが分かります。
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そして、フローティングの方のバランスをとっておいてみました。かけた瞬間あまりに違うのでびっくり、次に何故!?が来ました。頭が混乱するほどの違いです。全く低音の出方、大きさ、柔らかさが違います。38/2トラを聞いた時のようにスケールが大きく、高さも奥行きも違います。
でもどうして?
スケールが違うのは、床からの見えない?ハウリングがなくなると、打ち消している最低域の音が出て来て、下の音のバランスが出て来たのでしょうか?きわめて柔らかい豊かな音が部屋を満たします。これは意外でした。でも、考えてみると当然かもしれません。どの部屋にも固有の共振があると思います。磁気フローティング型のボードは、その固有の振動を断ち切ります。
まず、CDの音が変わりました。よくCDの音が硬いとか狭いとか言われます。SACDの方が音が良いという声もよく聞きます。しかし、CDもいったんDSDに変換してみると、SACDと同じ土俵に立ちます。すると後は、マスターリングの差が聞こえていると思います。うちではCDもSACDもあまり違いはありません。音の良し悪しはメディアではなく、演奏と録音の差です。CDの音が悪いと言って、高価なSACDを買っている方がおられますが、海外ではSACDだからといって特別に高いことはありません。ほとんど変わらない価格ですね。
CDよりSACDの方が、録音レベルが小さくなっているようです。その分、アンプ側のヴォリュームの位置が違い、大人しく聞こえますが、CDの96dbの規格のダイナミックレンジでさえ再現できない現状で、120dbのメリットは実際には出ていません。CDプレーヤーを長い間聴いていると、現在のSACD用のメカの読み込む時間の長さが面倒です。余談ですが、アルバムを探して、PCの中のリストをスクロールするのも、性に合いません。レコードやCDのように現物をプレーヤーをかける行為が実感がありますね。
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しかし、圧倒的な低域の豊かさが、聴く全てのCDが今までの音と違ってびっくりです。オーケストラのスケールだけではなく、ピアノの弦の唸りも聞こえます。打楽器群の実在感、金管楽器の豊かな胴間音、コントラバスの下支感、チェロやヴィオラの存在感、オーボエからフルートへのそしてクラリネット、ファゴットの風が通り過ぎる音、ハープの低弦の存在感、チューバやバストロンボーンの豊かなボリューム感。
私も、オーディオを六十年間もやっていますが、聴いたことのない音ですね。それが、フローティングボードだけで出てくるなんて、驚きます。この驚きをどのように表現して、お伝えしたら良いのかわからないまま、一週間が経ってしまいました。
パグ太郎さんのボードも、先日来お預かりしているのですが、設置の日がとれずにまだ玄関に置いたままです。その日程を決めるためにも、パグ太郎さんに少しだけお寄りしていただき、この衝撃の「差」をどのように表現するか書いていただきました。
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仕事の合間を縫って小一時間程、所用も兼ねてGRF邸をお邪魔して参りました。大山さんのフローティング・ボードをSD05の下に引いたら、フルオーケストラのコンサート・ホールの響きをそのまま再現できるようになったというメールを頂戴していたので、何が起きたのやらと好奇心に負けてしまったのです。
最初のブルックナーの7番の聴き比べ(カラヤン、ヤンソンス2種、ヴァント、、、)で、「これはマズイ」と悟りました。音楽の質がこれまでと違っています。躍動感、各パートの表現・表情の違いを際立たせ、その絡み合いを混濁することなくそのまま伝えてくることで、曲の躍動感や、演奏者の気持ちの昂ぶりがこちらに乗り移る、その力が飛んでもないことになっています。
これまでもGRF邸の進化を何度か体験させていただいて、その都度、その「力」が強まっていることを感じて来たのですが、その度、暫くの間は、拙宅で掛ける音楽が全て薄味に感じられてしまうのです。当方の記憶の持続力が無いことで、それが「暫くの間」なのは不幸中の幸いなわけですが、いきなり「マズイ」と思わずつぶやいたのは、その後遺症が今回は重く、長期化しそうだ直感してしまったからなのです。
ブルックナーの後、オルガン、声楽など幾つかお聞きしましたが、一番の驚きはピアノの打撃音でした。ひと指ごとの音色の使い分け、右手と左手の絡み合いが、手に取るように見えます。そしてピアニストがそれによってどんな色面を織りなそうとしているのか、その意図とノリが伝わって来て、体が自然に動きだします。こんな風にこの曲を聞けるのはなんて幸せなことなんだろうと、心が沸き立ってきます。そして、音響的には、音楽を支える低弦の深く重い響き、唄を紡ぎ出す高弦の煌びやかな震えが、ここまで本物のピアノの様に鳴っているのを体験したのは初めての事です。
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その最高潮は、アラウのベートーヴェンのピアノ協奏曲でした。ドレスデン国立歌劇場管弦楽団の分厚い響きに圧倒されます。このオーケストラの有名な音色は生でしか得られないものと思い込んでいましたが、それがここで再現されています。何度も聴いているはずのこの演奏が全く別物に感じられます。そのオケの序奏に乗って登場するアラウのピアノの素晴らしさ。今まで聴いてきたのは一体何だったのだろうと、思わず下を向いてしまいました。本当に、暫くの間、ピアノ協奏曲は聞かない方が良さそうです。
「マズイ」。
次々にかけていただく曲はどれも楽しく、一つ一つに新たな発見に満ちていて、あっという間にお暇する時間になってしまいました。前回訪問時の衝撃も大きく、その進化の幅を表現するのにクオンタムリープなどという言葉まで持ち出してみたのですが、それからひと月も経たぬ今日は、音楽体験を心底揺さぶるような変化で、前回以上の言葉を使わないと収まりがつかないのですが、いやはやどうしたものか、思いつくことができません。「言葉は節約して使わなければいけない」というのが、本日のGRF邸の短い訪問で学んだことかもしれません。
パグ太郎
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パグ太郎さん
あ、ありがとうございます。やはり同じような驚きをされましたね。ようやく、自分が感じている驚愕に値する「差」が存在していると表現できます。今一度言いますが、SD05に敷いただけで、それも、50Hz以下だけを出している、ソリッドな全くアナログの再生を行なっていない、デジタルアンプの下に敷くだけで、音が全く違うのを聞いていただけました。「マズい」です。家のこの床の構造で、これほど違うのですから。大山さんに連絡したら、HさんのところのSD05の下にも敷いたら、うちと同じ音が出て、二人で驚いたといってました。
前のタイプのフローティングボードでも、リラクサでもこのような変化は起きませんでした。だからわからないのです。違いは、下のベースの強固な構造と、ガタのない置き方、ネオジウム磁石の磁力の違いなどでしょうが。ラックが入ってから、来ていただいた御常連の方たちには今一度来ていただく必要がありますね・・・何しろ、このボードの音を聞いてから出かけたロンドン響の圧倒的な低弦の響きやティンパニー、大太鼓の音を聞いても、驚かない自分に驚いていました。
2013年の11月にミューザで起こったコンセルトヘボウ、ベルリンフィル 、ウイーンフィルの三大オーケストラの競演の時に感じた、一流のオーケストラの分厚い響き、繊細な消えゆく時の音、曲が終わった時の至福の無音の時間・・・この感激の再現を目指して十年間、頑張って来ましたが、最終コーナーを回って、どうやらゴールが見えて来ました。このままゴールまで平坦な道を走れるのでしょうか、はたまた、東京競馬場のように、最後の急な坂が待っているのでしょうか?
Commented by 椀方 at 2022-10-15 19:51 x
ううむ、、、、
GRFさん宅のしやしにあるSD05用のボードですが、SD05が載った状態で床面からボード面までの高さが9.5センチに収まればTV画面に被らないのですが?
Commented by TANNOY-GRF at 2022-10-15 22:00
> 椀方さん
測ってみました。今はSD05が上に乗っかって、11.5センチありますね。大山さんに相談してみましょう。
Commented by S.Y at 2022-10-16 15:45 x
GRFさま
また、お邪魔しなければならない状況ですね。(爆)
こうなると拙宅のユニコーンのみ三点セットのシンプル・プランでも大山さんのフローティング・ラックが有効か試したくなりますね。(ふふふ)
S.Y
Commented by パグ太郎 at 2022-10-17 15:42 x
GRFさん
この後に続くのは急な坂の九十九折りだと確信しています。なぜならクォンタムリープに続くのは「カーツワイルの法則(収穫加速の法則)」、即ち「 秩序が指数関数的に成長すると、時間は指数関数的に速くなる — つまり、新たに大きな出来事が起きるまでの時間間隔は、時間の経過とともに短くなる 」だと思われるからです。これからの進化を聴かせていただくのは、更に楽しみでもあり、恐ろしくもありです。先日の後遺症を引きずって、拙宅の音は薄味のままです。
Commented by TANNOY-GRF at 2022-10-17 15:46
S.Yさん もちろん有効です(笑)試すと戻れなくなりますが。
Commented by TANNOY-GRF at 2022-10-17 16:03
パグ太郎さん
収穫加速の法則はどんどん加速するそうですが、オーディオは、AIが判断するのではなく、人間のわかるところまでなので、そんなに心配していません。私の場合は、とっくに気付いてもいいことをようやく知って驚いているという段階ですね。
ほぼ、 三年ぶりに一流の生のオーケストラを聴いて、家庭のオーディオとの差を実感しました。今回の発展はそれの証明しています。でも、これで状況は随分と変わるでしょう。
https://tannoy.exblog.jp/32852444/
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3:保守や右翼には馬鹿しかいない
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2023/04/27 (Thu) 15:58:30
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2022年 08月 31日
開発者が語る 「フローティングボードについて」
https://tannoy.exblog.jp/32795797/
今回のフローティングボードは、去年の6月、Hさんからのオーダーで製作したReed 3C用ラックの完成が事の始まりです。私も初めて見るReed 3CがHさん宅にやって来ました。組み立て作業を見ていると、まるで機械式時計のムーブメントを思わせる削り出し部品の数々と精度の良い造りに感心させられます。
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3Cの設置時に行われる重要な作業としてプレーヤー本体の水平調整が有ります。3Cには電子傾斜計が内蔵されておりその精度は1mm/m、角度で言うと0.06度の精度で水平を出します。デザインも一般的なアナログプレーヤーとは全く違っていて円柱が3つ繋がっている様な特徴の有る外観をしています。HさんはReed 3Cに同社のアーム5Tを2本搭載し、ダブルアーム仕様で運用するとの事。ついては専用のラックを作って欲しいとのHさんからの依頼が有り、色々と頭を悩ます日々が続きました。
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まず伺ったのはラックに収める予定の機器です。最上段にReed 3C、その下には光カートリッジ専用のemm社製フォノイコ、その下にはフォノイコ内蔵プリMola Mola、最下段にはReed 5T用の電源が2基という布陣です。
重量の有るプレーヤーを最上段に据える事を考えるとラックには相当な強度が求められます。最初に4隅の足を太い角材にして強度を出そうと設計を始めましたが、思わぬ所で問題にぶつかります。
レコード盤に針を落とす動作を観察していると指先は非常に繊細な動きをしています。自然と体全体がプレーヤーに近づいていきます。その際に4隅の足が邪魔になるのです。太い足なら尚更です。実際にHさんにこの点を聞いてみると特に奥側のアームを操作する際に足が邪魔になる事が判りました。
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そこで大きく考え方を変え、4隅の足を無くそうと楕円形のラックを考えつきました。Reed 3Cの前衛的なデザインともうまくマッチし使い勝手の向上も狙った楕円形です。その楕円形ですが、強度の点では1歩も2歩も後退してしまいます。4隅で踏ん張っている足を廃止して2本で支える事になりますから、当然の結果です。デザインと強度の両立を実現する為、金属フレームと木材の融合に行き着きました。両サイドにH型鋼を立てH鋼同士を角パイプで繋ぐフレーム構造に木材を組み合わせて行くスタイルです。この金属フレームの効果は絶大で木製ラックとは比較にならない強度と設計の自由度を与えてくれました。
金属フレームの採用で一番恩恵を受けたのは、アジャスターが使える様になった事です。住宅の床は多少なりとも不陸が有り水平では有りません。そこでアジャスターの登場です。水準器を用いて完璧に水平とガタを取る事が出来ます。今回のラックでは8個のアジャスターを装備し、荷重の分散と水平の微調整に備えています。
全部で4段のラックですが、中2段はマグネットフローティング機構を組み込んでいます。木製ラックと比較すると金属フレームは内部損失が少なく振動を素早く伝えます。その振動を磁力を使い熱エネルギーに変換する仕組みです。金属フレームとマグネットフローティングの相性が思いのほか良く、効果の方向も今までのフローティングとは少し違う印象です。低域方向のレンジ拡大と音場の広がりに大きな違いが聴き取れます。
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このラックの完成を待ってGRFさんをHさん宅にご招待した話はGRFさんのブログに詳しく書かれておりますので、ここでは詳しく触れません。そのラックの構造と音の変化を注意深く観察されていたGRFさんが自身のラックを同じ構造で製作する決断をします。上下2段、機器が横に3台並ぶ大きさです。4隅に肉厚のLアングル材を配したフレームを持ち下段の3台分はフローティング構造を組み込んでいます。
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木部はTW3、TW5と同じバーズアイメープルで仕上げています。
このラックに変えての第一印象はS/Nが非常に良くなった事。分解能が上がり細かい音が聴き取れます。滲みがないというかピントが合い精緻な音場が展開されています。
トロバドール80とTW3を駆動している真空管アンプを下段のフローティングボードに乗せた際の驚きは思わずGRFさんと顔を見合わせた程の出来事でした。精緻な音場にダイナミックさが加わったからです。しかしその驚きも束の間、真空管が発する熱エネルギーが予想以上に大きく、決して狭くないラック内が熱で熱々です。金属フレームにも熱が伝わりラック全体が温められています。
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これは予想外の事態です。
音は抜群に良くなったのに、残念ながらラックから真空管アンプを下ろす事になってしまいました。しかし、この音を聴いてしまったからには後には戻れません。そこでラック外の床に単体で置けるボードを製作する事になりました。単体のボードながら基本構造は踏襲します。角パイプを溶接し、フレームを作ります。小さくてもアジャスターを4隅に配置してあります。
真空管アンプはトランス部分が重く、重量が偏っています。そこでマグネットの反発距離を個別に調整できる機構を組み込みました。真空管アンプに合わせたコンパクトなフローティングボードの完成です。
早速GRF邸に持ち込み設置してみます。ベースフレームで完璧に水平を出します。次にアンプの重心を考慮してマグネットの距離を調整します。慎重に天板を乗せ直動ベアリングにシャフトを通していきます。天板にアンプを乗せトランスに水準器を置き水平になる様調整していきます。この作業により直動ベアリングに掛かる荷重が最小になり、浮いている天板の動きもスムーズになります。
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ようやく設置完了です。早速音を聴いてみます。
GRFさんは瞬時に低域方向の変化を感じとられた様です。私は音場の広がりに大きな変化を感じました。最初にラック下段に設置した際の驚きが蘇ります。LPから2トラ38テープの様な低域が再生されています。この深く沈み込む音が小音量のLPから再生されているとは驚き以外有りません。個人的には音の広がりに加え、声の実在感にヤラレました。声が伝わる様子がハイスピードカメラで撮った映像を再生しているかの如く手にとる様に感じられます。私にとってこの感じは貴重です。ボーカリストをリアルに感じられる瞬間です。
勿論、このラックの効果だけでこの音が出てるとは微塵にも思っておりません。たまたまこのタイミングで音の進化を続けるGRF邸に持ち込んだのが功を奏しただけかも知れません。しかしながらこの進化した音を構成している1ピースになっている事は間違いなさそうです。金属と木の相乗効果が上手く引き出せた結果でしょうか。
人も物も巡り合わせが一番大事だったりします。今回も良い巡り合わせに恵まれたのだと思います。GRFさんはじめHさん、その他多くの方々に日々色んなヒントを頂いております。人との出会いと関わりに感謝しつつ今後も発展し続けて行けたらと思っております。
PSD 大山
Commented by TANNOY-GRF at 2022-08-31 06:01
大山さんとは、石田さんのSD05に合うスピーカーの開発時から共に歩んできました。彼の開発力、デザイン力は卓越しています。家のTWシリーズのキャビネットや、先日の横浜のMさんの斬新なプレーヤーキャビネットはじめ一品ものの製作もこなされています。
一見地味ですが、家の音もこの新しいラックが来てから、一段と磨きがかかりました。その上で、レコード関係のいろいろな実験ができるのだと思い、感謝しています。
Commented by S.Y at 2022-08-31 12:39
GRFさま
大山さんのラックは強力そうですね。
デコラの完全リストアの頃からの愛読者として感慨も無量でございます。
いつか今現在の到達点を聴きたいものだと思っています。
S.Y
https://tannoy.exblog.jp/32795797/
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4:保守や右翼には馬鹿しかいない
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2023/04/27 (Thu) 22:03:36
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音工房Z オーディオラック
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14107882
山本音響工芸 オーディオラック・プレート型ベース
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14108139