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低金利政策や量的緩和政策は貧困層から富裕層へと富を移転させる政策

1:777 :

2023/03/27 (Mon) 08:01:50

低金利政策や量的緩和政策は貧困層から富裕層へと富を移転させる政策

サマーズ氏: インフレは有権者が紙幣印刷を支持したせい
2023年3月26日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35011

アメリカの元財務長官でマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏がジョン・スチュアート氏によるインタビューでインフレについて語っている。

インフレの原因

インフレは2022年にようやく食卓の話題になった。ファンドマネージャーや経済学者たちの話題になったのは2021年だった。ここで初めてインフレ危機について取り上げたのは2020年10月である。

金融市場にインフレの兆し: 金、原油、穀物価格が高騰 (2020/10/14)
インフレはウクライナ情勢ではなくコロナ後の現金給付が引き起こした。それは3度の現金給付で急増したアメリカ国民の可処分所得とインフレ率のチャートを並べてみれば分かる。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2022/10/2022-aug-us-disposable-personal-income-and-cpi-growth-chart.png


だからサマーズ氏はこう説明する。

これまで起こったことはこうだ。未曾有の景気刺激があった一方で、経済は生産量を上げられなかった。需要は急増し、急増した需要が物価と賃金を押し上げ続けた。

簡単に言えばこうだ。お風呂にお湯を入れ過ぎればお湯はあふれる。需要が急増し過ぎれば物価は上がる。

ここまではまともな経済学者や著名ファンドマネージャーならば誰もがするような当たり前の議論である。

だが今回のインタビューが少し違うのは、インタビューしているのがリベラル派のコメディアンであるスチュアート氏だということである。

リベラルと保守

スチュアート氏はコメディアンで経済の素人だが、政治的にリベラルでアメリカのリベラル派の有権者が好きそうな論説を好きに喋っている。

例えば最近の物価の急激な高騰は企業が強欲なせいだと主張してサマーズ氏に次のようにたしなめられている。

企業が最近急に強欲になったという議論は無理があると思う。

だがリベラル派を代表するアメリカ民主党の政治家、例えばエリザベス・ウォーレン氏などは平気でこういうことを言う。

しかしこのインタビューでスチュアート氏が的を射ていることが1つある。緩和政策が企業利益ばかりを押し上げて有権者を豊かにしないということである。

企業や株主が儲かれば労働者もいずれ儲かると何の根拠もなく考え、アベノミクスを支持したイェール大学名誉教授の浜田宏一氏は、結局労働者の得にはならなかったことについて東京新聞に次のように述べている。

予想外だった。僕は漠然と賃金が上がっていくと思っていた。

筆者は知らなかったのだが、経済学者の仕事とは漠然と考えることらしい。

更に酷いことには彼は次のように続けている。

普通の経済学の教科書には、需要が高まっていけば実質賃金も上がっていくはずだと書いてある。

教科書に書いてあったのでそうなると思ったそうである。

出来る限り控え目に言えば、彼のコメントはあまりにも酷すぎる。筆者の意見では、間違った通説(そんなものはいくらでもある)を正せる人間でなければ専門家と呼ぶことはできない。彼は素人である。だがそれでもイェール大学の教授にはなれる。そういうものである。

低金利政策の意味

話をサマーズ氏に戻そう。こういう偽物ばかりが世の中にいるなかで、サマーズ氏は自分で考える頭を持った本物の経済学者である。

彼はスチュアート氏にこう言っている。

例えばリーマンショック後の景気後退に利下げで対応するべきではなかったという議論は出来るかもしれない。

だがそれは当時リベラルたちが主張していたことではない。リベラルたちが当時言っていたことはこうだ。「低金利が必要だ、そうすればローンを組んで家を買える、車を買える、求人が増える」

だが低金利は労働者を豊かにはしなかったし、現金給付は酷いインフレをもたらした。緩和政策は人々をリッチになった気にさせる。だがそれだけである。

世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で人々はリッチになったような気がする
何故か。そもそも低金利政策や量的緩和政策がどういうものかを考えてほしい。

債券にとって金利低下は価格上昇を意味するので、低金利政策とは債券価格を上昇させる政策である。量的緩和政策はもっと直接的に中央銀行が債券を買い入れる政策なので、債券価格が上がる。

債券が割高になれば資金は株式市場に流れる。そうすれば株価は上がる。よって低金利政策とは資産価格を上昇させる政策である。その受益者は、当然ながら資産を持っている人間である。

そうして元々資産を持っている人間は低金利政策によってより豊かになる。だが実際には経済の中に存在する商品やサービスの量が変わったわけではないので、低金利政策で富裕層が豊かになった分は実際には貧困層の取り分から来ている。

つまり低金利政策や量的緩和政策はほとんど直接的に貧困層から富裕層へと富を移転させる政策なのであり、筆者にまったく分からないのは、何故そんな政策を株式などほとんどまったく持っていなかった中間層や貧困層が支持したのかということである。

結論

低金利政策や量的緩和政策は資産価格を上昇させる政策であり、それ以外の何ものでもない。それで豊かになるのは当然ながら資産を持っている人間であって、資産を持っていない人間ではない。

何故こんなことが多くの人には分からないのだろう。彼らは何故インフレ政策を支持したのだろう。筆者には永遠の謎である。インフレが物価上昇だという意味さえ彼らは理解していなかったのに、何故インフレ政策を支持することが出来たのだろうか。彼らは超能力者なのだろうか。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11992

ハイエク: 緩やかなインフレが有益であるという幻想
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/31597

そしてもう1つ付け加えれば、現在行われている利上げと量的引き締めは資産価格を下げる政策である。緩和政策が終わり、引き締めが行われる時期になってようやく株式を買い始めたつみたてNISA詐欺の被害者たちは真正のマゾなのだろう。

株式投資ブームに乗った時点で個人投資家の損失はほぼ確定している

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35011
2:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/27 (Mon) 08:17:26

紙幣をばら撒けばインフレになるという単純な事実が多くの人々には難しすぎて理解できない
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「賃金上がらず予想外」アベノミクス指南役・浜田宏一氏証言 トリクルダウン起こせず…
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14095196

「物価と失業率は逆相関の関係にある」というフィリップス曲線は疑似科学
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ジム・ロジャーズ 1970年代にはインフレを殺すために金利は21%まで上がった
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各国政府はインフレを歓迎し、むしろインフレ誘導している
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42年間続いた低金利の時代は終わった、2023年からは高金利の新時代へ
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1万円銀行融資すればマネーサプライは1万円増える、財政支出はマネーサプライを増やす
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史上最高の経済学者ハイエクの警鐘
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ハイエク: コストプッシュ型インフレは政府の責任回避の言い訳に過ぎない
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株式投資は企業への投資ではない _ 外資が儲けたらそれと同額だけ日本が損する
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世代間格差は存在しない、格差は資本家階級と労働者階級の間にだけある
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日本国民は政府のATM。給料の半分近くを税金と社会保険料で毟り取られる
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資本主義とは何か
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/125.html

大企業が破綻すると、一般社員は直ちに失業者となるが、経営陣は優雅な余生を過ごす。
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資本主義とは何か _ コロナ禍の3ヶ月間で米国富裕層の資産62兆円増 背景に大規模金融緩和
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/570.html

コロナ禍の3ヶ月間で米国富裕層の資産62兆円増 背景に大規模金融緩和
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/161.html

新型コロナウイルス対策による経済の麻痺は富豪への資産集中を促進する
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/228.html

GDPが増えると物価が上がるので、労働者は毎年貧しくなる
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1089.html

アメリカGDPのまやかし 富裕層以外はマイナス成長だった
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/877.html

GDPの半分以上は企業所得、さらに個人所得の半分は富裕層
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/954.html

GDPとは国民の給料ではないので、国民が貧乏で金持ちが資産を独占しても数字の上では「豊かな国」に見える
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1570.html

中央銀行による金融緩和と政府による現金給付を紙幣印刷で無理矢理支えるために金融市場に膨大な資金を流し込めば、噴き上がるのは株式だけではない
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/332.html

GDPでは国民所得はわからない _ 日本人の平均月収は15万円以下
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http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/697.html

GDP・経済成長率や株価の上昇に意味は無い _ 貨幣価値が下がったから GDP も株価も名目値が上がっているだけ
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/391.html

東アジア3か国は地価を上げることで資産価値を上げ、GDPをかさ上げする手法でGDPを積み増してきました
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1476.html

手軽なGDP倍増方法 _ 日本は資産バブル政策に舵を切るか
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欧米政府は「労働者」を救済するのに対し、日本では倒産しかけたダメ企業を救済
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政府が救済する弱者と言うのは中小企業や零細経営者の事で、 その会社の労働者は救済しない
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倒産する企業はそのまま倒産させるのが正しい
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インフレが起これば金融緩和が出来ないので、低金利で資産価格バブルの時代は終わる。
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金融緩和するとデフレになる理由
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MMTは機能しない!超緊縮論を唱える元大蔵官僚 野口悠紀雄
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日銀が 2011年から500兆円も ばら撒いたので「超円安・輸入物価高の時代」に変わった
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日銀金融緩和が終わった、円安は日本人にとって何の得にもならなかった
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何故日銀はインフレに応じて金利を上げないのか?
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黒田日銀総裁のスゴイ所は「平気でウソをつく」ところ
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日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者
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日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
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日本円を借りてドルを買っていた円キャリートレードの巻き戻しが始まった
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三橋貴明には気をつけろ・・・「日本はこんなもんじゃない」という幻想」
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3:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/04/08 (Sat) 11:29:55

ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
2023年4月7日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35564

世界的なインフレが問題となっているなかで、いくつかの国ではいまだに補助金や現金給付といった政策が人気である。

このことについて20世紀の大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏の『貨幣発行自由化論』から彼の意見を取り上げよう。

紙幣印刷政策

リーマンショック以後、世界中の中央銀行が量的緩和政策、つまりは紙幣印刷によって金利を下げ、自国通貨の価値を下げる政策を行ってきた。

ハイエク氏は紙幣印刷政策について次のように述べている。

貸付のための紙幣を印刷することで人為的に貸付用の資金を安価にすることは、貸付先を助けるだけなく、他の人々を犠牲にすることによってではあるが、経済活動全体を少しの間刺激する。

一方でそうした紙幣発行が市場の操縦メカニズムを破壊する効果を持つことは理解されにくい。

そうして2008年以降、紙幣印刷と低金利政策が行われ続けた。それはインフレを目指すという名目のもと行われていた。

当時の未開人たちはインフレが物価上昇を意味するということを知らなかったので、インフレ政策は多くの人々に歓迎された。だがインフレが何を意味するかは誰も理解していなかった。

そしてコロナ以後にはついに人々の口座に直接資金を放り込む現金給付まで行われた。そしてそれはついにインフレを引き起こした。2021年には既に始まっていた現在の物価高騰がウクライナ情勢とは無関係であることは、ここでは何度も説明している。

ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由
そしてインフレになって初めて人々はインフレは物価上昇という意味だということを理解した。文明がようやく生じ始めたのだろうか。

いや、そうでもないらしい。何故ならば、インフレ対策に例えば日本政府が行っていることは、電気・ガスの購入支援や全国旅行支援などのインフレ政策だからである。

ハイエク氏は次のように続ける。

しかし商品の追加購入のためのそうした資金供給は商品の相対的な価格の構造を歪め、資源を持続不可能な経済活動へと引き込み、後に起こる不可避の反作用の原因となる。

例えば全国旅行支援は旅行者が殺到したことで宿泊料金の高騰を引き起こし、しかもホテル側は需要の急増に対応できずに既存の従業員を酷使して後の雇用に影響を与えている。

日本政府の全国旅行支援で宿泊予約殺到してホテル代値上がり
既存の従業員を酷使しても一時的な需要のために従業員を増やしても後で問題が生じる。それが歪みである。

だが日本政府はそんなことを気にしたりはしない。インフレにインフレ政策で対応するような人々にそれだけの頭脳があるわけがないのである。

紙幣印刷の本当の意味

果たして未開人はいつ文明化されるのだろうか。インフレの原因は需要に対してものが不足していることであり、ものの不足を紙幣印刷で解決することはできない。レイ・ダリオ氏はインフレが起こる前に次のように述べていた。

世界最大のヘッジファンド: 共産主義の悪夢が資本主義にのしかかる
われわれが消費をできるかどうかはわれわれが生産できるかどうかに掛かっているのであり、政府から送られてくる紙幣の量に掛かっているではない。

紙幣は食べられない。

世の中にあるものの量が同じであるとき、紙幣だけを増やして一部の人々に配れば、その効果は本来他の人々が買えたものをその一部の人々に与えることになるだけである。全体のパイは変わらないのだから、その人々に与えたものは本来他の人々の取り分である。

これは現金給付だけでなく紙幣印刷全般に言える。例えば量的緩和政策は中央銀行が債券を買い入れることで債券価格と株価を上昇させる政策だが、その結果は債券と株式を持っている人が他の人の取り分を奪いながらより多く消費できるようになることである。

これは若者から老人へと資金を転移させる政策の一部でもある。

ドラッケンミラー氏、高齢者が若者から搾取する税制を痛烈批判
紙幣印刷という窃盗

ハイエク氏は次のように語っている。

特定の人々に自分で得たわけでも他人が放棄したわけでもないものを得る権利を与えることは、本当に窃盗と同じような犯罪である。

だが世の中における一番の犯罪者は捕まらない。トランプ氏は口止め料を事業費として計上したことで捕まる可能性があるそうだが、オバマ政権下でウクライナ政府を自分の好きなようにしたバイデン氏や、虚偽の理由でイラクに戦争を仕掛けたブッシュ氏は捕まらない。

サマーズ氏、トランプ元大統領の起訴について語る
ロシアのウクライナ侵攻でバイデン大統領が犯した一番の間違い
そして実質的には明らかな窃盗である量的緩和や現金給付も、政府がそれを行えば政治家が捕まることはない。

ハイエク氏はこう述べている。

一般的な理解が不足しているために、紙幣発行の独占者による過剰発行という犯罪はいまだ許容されているだけではなく称賛さえされている。

ちなみに日本政府は窃盗を行うだけではなく、物価指数の計算を恣意的に変えることで自分のせいで起こっているインフレを隠蔽している。

日本政府の詐欺的な物価指数の計算方法がインフレを悪化させる
人々はどうするべきか。日本政府による窃盗の被害者になりたくなければ、経済と金融市場を知ることである。インフレは資産運用で回避できる。

世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
ちなみにハイエク氏の『貨幣発行自由化論』(『貨幣論集』に含まれている)は1976年の発行である。だがまさに今のために書かれたような内容となっている。

インフレの意味さえ知らずにインフレ政策を支持した未開の人々が居た一方で、現在の状況を50年前に予想していた天才も居る。
政府による窃盗を投資で避けられる人がいる一方で、喜んで自分から窃盗される人もいる。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
すべてはその人次第である。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35564
4:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/04/08 (Sat) 20:17:12

ハイエク氏: インフレを引き起こすインフレ政策を止めさせるには民間企業が通貨を発行すべき
2023年4月8日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35579

20世紀最大のマクロ経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏の『貨幣発行自由化論』より、政府がインフレ政策によりインフレを引き起こすことを止めさせるためにはどうすれば良いかを語った部分を紹介したい。

現金給付の本当の意味

前回の記事では、政府による現金給付や補助金をいった政策がそれを受けられない人々からそれを受ける人々へと購買力を恣意的に移転させる政策であるということを説明した。

ハイエク氏 : 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
インフレとは需要に対してものが不足している状態のことなので、そこに紙幣を印刷して配ったところでもの自体が増えるわけではなく、誰かが給付金で購入した商品は元々別の人が購入できるはずだったものである。そしてその別の人は給付金が引き起こしたインフレでものが買えなくなる。

事実、そうしたインフレが全国旅行支援によって日本の宿泊料金で起こっているのだから、その仕組みは経済が専門でない人々にも明らかだろう。だからこれを窃盗と呼ぶことは極めて適切である。

日本政府の全国旅行支援で宿泊予約殺到してホテル代値上がり
実際、ここでは何度も説明しているように、現在の物価高騰はコロナ後に世界中で行われた現金給付がもたらしたものである。インフレは2021年から始まっており、2022年のウクライナ情勢はインフレとは無関係であることは何度も説明しておいた。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
結局のところ、インフレ政策とは政治家が大半の人々を犠牲にして票田にばら撒きを行うための政策であり、しかもインフレになれば積み上がった政府債務が戦後のドイツのように帳消しになるのだから、政治家にとっては良いことしかない。

事実、日本で(インフレが懸念されている今でさえ)行われている現金給付の対象が住民税非課税世帯に限られているのは、非課税世帯の多くを占める引退した高齢者の票を得るためである。だからそれは労働世代には回ってこない。

ドラッケンミラー氏、高齢者が若者から搾取する税制を痛烈批判
インフレ政策を止めさせるために

ハイエク氏の『貨幣発行自由化論』は50年近く前の本であるにもかかわらず、その内容が今の政治家にも適用できるということは、政治家のやることはいつの時代も変わらないということである。

だからハイエク氏は利己的な政府に対して人々が自衛する方法も書いている。彼はばら撒き政策を窃盗と呼んだ上で次のように述べている。

通貨発行の独占者、特に政府によってこの犯罪が犯された場合、それは非常に儲かる犯罪となり、しかも紙幣印刷の帰結が理解されていないためにそれは一般に許容されており罰を受けないままとなっている。

何故そうなるか。まず前提条件として、歴史上これまで発行されたほとんどすべての通貨は発行者による減価によって長期的には価値が下落し最終的には無価値になってきた。これについてはレイ・ダリオ氏が研究している。

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨
現在でも紙幣印刷を窃盗と同じものとして批判できる頭のある人々がほとんどいないために、紙幣印刷は政治家にとって捕まらない窃盗となっている。レイ・ダリオ氏が次のように言っていたことを思い出したい。

世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな
歴史を見れば明らかだが、政府が経済的に国民を守ってくれると信頼してはならない。実際は逆であり、ほとんどの政府はあなたが同じ立場だったらそうするであろう同じ理由で、貨幣と債務の創造者かつ使用者としての特権を乱用するだろう。

恐らくダリオ氏はハイエク氏の著作を読んでいると思う。

だから歴史上ほぼすべての通貨は長期的には減価する。そして金融の知識のある人間は、例えばゴールドなどを買うことで紙幣が紙切れになる(あるいは紙幣は元々紙切れである)ことによる被害を避けられるかもしれないが、ほとんどの人々は他に通貨の選択肢がないと思い込まされているため、政府による自国通貨の減価(これはインフレ政策と完全に同義である)によって資産を失ってしまう。日本でもアメリカでもインフレによって事実そうなっている。

通貨の民営化

他に通貨の選択肢がないと「思い込まされている」とはどういうことか? 今生きているすべての人は、通貨とは政府が発行するものだというバイアスを埋め込まれている。生まれた頃から法定通貨が普通の世の中に生きているからである。

だが歴史的にはこれは新しい概念である。現代の法定通貨の概念は、大英帝国がイングランド銀行に政府債務の肩代わりをさせる代償に通貨発行業務を独占させたことに端を発している。以下の記事で少し触れている。

南海泡沫事件: バブル経済の語源となった近世イギリスの株式バブルを振り返る
大英帝国の政治家たちは政府債務を中央銀行に押し付け、中央銀行に紙幣印刷させることで(暴落した紙幣の保有者の犠牲のもとに)積み上がった政府債務を解消できたので、この成功を見た他の国の政治家も同じことをやり始めたのである。読者も知っての通り、この方法は今でも各国政府によって実際に使われている。それが量的緩和である。

世界最大のヘッジファンド: ドルは既に紙くずになっている
政府の通貨独占を止めさせる

さて、国民はどうすれば良いか。勘の良い読者は気づいたかもしれないが、この話のポイントは政府が通貨発行をまず独占しなければならなかったということである。

何故政府は通貨発行を独占しなければならなかったか。他に使われている通貨があれば、少しでも法定通貨の価値が下がり始めると、多くの人が他のより堅調な通貨に移ろうとしただろうからである。

現在の話に照らして言えば、もし人々が法定通貨を含む複数の通貨を日常的に使っていれば、現在のインフレは物価の上昇ではなく法定通貨の下落ということになるだろう。そして法定通貨以外の通貨で見た物価は影響を受けない。

分かるだろうか。だからハイエク氏は、イングランド銀行以前にそうだったように、民間企業の通貨発行の権利を復活させることを主張している。元々紙幣とは、銀行にゴールドなどを預けていた預かり証だった。法定通貨もそうだった。だが政府が預かっていたゴールドを勝手に使ってしまい返せなくなった。それが金本位制の廃止である。アメリカではこの出来事はニクソンショックと呼ばれる。

レイ・ダリオ氏、「現金がゴミ」になったニクソンショックの経験を語る
通貨発行業務を独占した政府はやりたい放題である。だが様々な企業が通貨を発行するようになれば、その企業は自分の利益の源泉である自分の通貨の価値を守ろうとするだろうとハイエク氏は言う。彼は次のように述べている。

通貨の発行者同士が競争しなければならない場合、発行者にとって自分の通貨の減価は自殺行為になるだろう。人々がその通貨を使いたいと思っていた理由そのものを破壊してしまうからである。

結論

こうした最近の試みは、言うまでもなく暗号通貨だろう。中央銀行が緩和に転換すれば暗号通貨が暴騰すると見ているファンドマネージャーもいる。

チューダー・ジョーンズ氏: 利上げ停止でインフレ相場再開、ビットコイン暴騰へ
暗号通貨には実質的価値は何もない。だが法定の紙幣にも本質的には紙以上の価値などないのである。「政府が価値を保証している」と馬鹿げたことを言う人もいるが、政府は実際に通貨の価値を意図的に薄めている。それが金融緩和である。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
ハイエク氏は通貨の発行者はそのサービス提供の然るべき対価を受け取るべきだと言っている。だがその業務を誰かが独占するとき、その利益は国民の大部分の資産をインフレで食い潰すほどに過剰になる。

それがハイエク氏の論点である。 いずれにしても、ハイエク氏の著書やダリオ氏の考察などから歴史を学ぶことで自分の生きている時代のバイアスを取り払うことは読者にとって助けになるだろう。別に通貨は政府だけが発行すべきものではないし、紙幣も暗号通貨も本質的には等しく無価値である。

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨


頭を柔らかくしてから今のインフレとその原因である紙幣印刷をもう一度考えてもらいたい。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35579
5:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/04/19 (Wed) 12:32:58

22年に続き高インフレで実質収入は減少している
2023.04.19
政府が自慢した満額春闘は労働者の1割の大企業だけだった


「満額春闘」、9割の労働者に関係なし

2022年の前年比消費者物価上昇率は4.0%だったので1年間で4%上昇し、21年12月の0.5%から跳ね上がり国民生活に打撃を与えている

植田日銀総裁は「今年度半ばに2%を下回る」と述べていて、日本のインフレは長続きせず沈静化するとの見通しを示している

インフレは生産に対して需要が大きいために起きるが今回はウクライナ侵攻などで原油や天然ガスの供給が減ったのが原因で、日本の景気が良くなったわけでは無かった

アメリカの場合は利上げしても6%以上のインフレが続いていますが、向こうは富裕層の爆買いが止まらず景気が良すぎてインフレになっています

アメリカは上下の所得の差が非常に大きいので、富裕層は毎日フェラーリを買える一方で平均以下の層は高騰する家賃を払えずホームレスが増えている

アメリカでは高収入な人ほどより所得が増えているのに対し低所得な人は物価上昇に賃金上昇が追い付かず、特に家賃は大都市だとワンルーム(2人用)30万円から50万円になっています



日本では23年1月の全国実質賃金が前年比マイナス4.1%になり、物価上昇率のプラス4.0%を丸ごと労働者が負担しているのが分かった

従業員5人以上のすべての事業所平均で、物価が4%上がったのに賃金上昇はゼロか微減だった

春闘などで大幅増が報道されていたが安倍首相時代から疑問に思っていたのは、政府は大企業正社員の賃金だけを上げようとし、ボーナスが出ないような労働者は「人間ではない」とでも思っているらしい

大企業の正社員は日本の全労働者の10%しかおらず、この人達のボーナスをどうしようが9割の労働者には何の関係もない話です

牛丼屋や回転ずしが給料やボーナスを引き上げても、店で働いているのはパートやバイトや個人事業主扱いなので、これも無関係な話です

そうした会社の給料引き上げて収入が増えるのは本社に所属している正社員の人達だけです



日本政府はインフレで債務圧縮
帝国データバンクによると23年の食品値上げが4月18日時点で2万品目になり、前年より3カ月早い2万品目突破になりました

同社では23年秋には値上げが3万品目を超えると予想しているが、植田総裁が正しければ夏をピークにインフレは沈静化する筈です

日銀はインフレ率が上がってもなるべく利上げしない方針を示しているが、その理由の一つは今回のインフレが需要が強まったのではなく原油価格上昇に過ぎないからです

景気が良すぎて物価が上がるなら良いですが景気は悪いまま賃金が上がらないのに物価だけが上昇しているので、今アメリカのように利上げしたらハイパー不況になるでしょう

もう一つは借金に苦しむ日本政府に低金利は都合が良いからで、 インフレ率より国債金利が低ければ日本政府の債務は実質でインフレ分だけ圧縮されます

日本政府は防衛費倍増で5兆円、子育て支援でも数兆円を必要としているので、既存債務1000兆円を年数パーセント圧縮できるのは助かる筈です

毎年1%でも政府債務がGDPに対して圧縮されると10年で10%減るので侮れない数字になり、年10兆円も公的債務が実質目減りします

政府債務が減る分はインフレで苦しむ国民に押し付けられる訳で、何のことはない「政府債務の民間債務への付け替え」に過ぎません

GDP成長率予想は相変わらず実質1%前後(IMF予想は1.8%)に留まっていて、他の主要国より低い状態が今後も続く
https://www.thutmosev.com/archives/47654345j.html
6:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/04/29 (Sat) 01:40:18

ガンドラック氏: 量的緩和は権力者と中国を裕福にし貧乏人をより貧乏にする
2021年5月20日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13619

引き続きYahoo! Financeによるジェフリー・ガンドラック氏のインタビューである。今回は量的緩和と現金給付が貧富の差を是正するかという議論だが、ガンドラック氏の論点は示唆に富んでいる。

コロナと財政政策

コロナで職を失ったり商売が立ち行かなくなった人が大勢いる。それで現金給付のような政策が支持されており、アメリカでは増税と景気刺激の組み合わせを行おうとしているバイデン政権が選ばれたのである。

しかし国民から多く徴収して多くばらまくという政策には経済学的には疑問も残る。増税をすればその分国民は消費が出来なくなるだろう。その分を政府が代わりに投資するというコンセプトなのだが、これは実際にはライブのチケットを買おうとする音楽ファンの国民からチケット代を取り上げ、代わりに五輪のチケットを渡す政策に等しい。

日本で自民党が行なっている増税・財政支出の組み合わせも同じである。このような経済政策が機能するだろうか。それを考えるためには、歴史上同じような政策が採用された例を探せば良い。ガンドラック氏は次のように論じている。

現在のような節操のない金融・財政政策を行なった結果を歴史上の例から探すと、かなり悲惨な結果となる。その結果は大体内戦か革命だ。

歴史的に著名な例はフランスの王政である。ガンドラック氏はフランス革命の時にも現在と同じような経済政策が取られたとし、次のように述べる。

例えばフランス革命だろう。フランスは1770年代に金本位制度から離脱したが、1780年代には食糧を求めて暴動が起きた。パンが不足してパンの価格が高騰したので、女性たちはヴェルサイユ宮殿にいるルイ16性と王妃マリー=アントワネットに対してデモを起こした。

金本位制度からの離脱とは、元々中央銀行が紙幣と金を交換する約束をしていたのをその約束を反故にし、紙幣を持ってきても金は渡さないと宣言することである。

つまり金本位制度からの離脱は中央銀行の債務不履行であり、紙幣の価値を下落させる量的緩和と基本的に同じである。アメリカでは1970年代に同じことが起こり、ニクソンショックと呼ばれた。

レイ・ダリオ氏、「現金がゴミ」になったニクソンショックの経験を語る
それと同じことがフランス革命においても起こった。当時パンの価格が高騰したことは、現在金融市場において物価高騰が懸念されている状況と重なる。

ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
現金がばら撒かれたにもかかわらず、何故フランスの人々はデモを起こさなければならなかったのか。ガンドラック氏はこう語る。

何故それが起こったか。紙幣印刷と現金給付によって中流階級が貧乏になり、貧困階級は死ぬほど飢えた。一方で紙幣印刷のレバーを握っている側は更に裕福になった。

量的緩和がどういう理由で行われているかを考えればそれは明らかだろう。量的緩和は政府債務を支えるために行われている。金利を低く抑えられなければ政府は膨大な借金の利払いで他の支出が出来なくなる。他の支出が出来なくなれば何故困るのか。政府予算に依存して利益を得ている人々が利益を得られなくなるからである。

だからばら撒き政策は既得権益層をますます裕福にし、その恩恵は中間層には返ってくることはない。

アメリカの消費と中国の輸出

ガンドラック氏は今の状況に照らし合わせてより具体的な話もしている。

こうした政策はアメリカの消費を促進している。だがアメリカの生産者にはほとんど関係のない話だ。消費は増えたが、消費されるものは中国から来ている。アメリカ人が中国のものを大量に消費しているので中国のGDPはどんどん上がっている。

現金給付によりGDPの構成要素である個人消費は上がった。現金給付によって毎月の消費が押し上げられる様子は以下の記事で解説している。

アメリカの現金給付の威力を確認する
しかし消費される商品は何処から来ているのか。これらの商品の多くは現代においては中国で作られている。つまりアメリカの資金が中国に流れているのである。アメリカは借金をしてこれらの政策を行なっているので、アメリカは実質的には借金をして中国に貢いでいることになる。

更に言えばその資金は何を通して中国に流れてゆくのだろうか。ガンドラック氏によれば、その資金はAmazon.comなどのオンラインストアを通して中国に流れてゆく。

こうした消費はどうやって起こるか。 単純化して言えばこうした消費はアマゾンを通して行われている。アマゾンはこうしたビジネスで大きなシェアを獲得している。だからジェフ・ベゾス(訳注:Amazon.comのCEO)のようなシリコンバレーの億万長者が政府の現金給付によって相当に豊かになる。

しかしその資金は中流階級の自国民には返ってこないのである。中間層に何が起こるかと言えば、後に残った莫大な政府債務を返すために増税のくびきに掛けられることになる。

大きな政府と小さな政府

増税と財政出動を組み合わせ、国民から大きく吸い取り大きく吐き出す政府のことを大きな政府と言うが、予算の大きな政府の政治家達が資金を吐き出す時には当然ながら彼らの利益となる場所に資金吐き出すことになる。

日本政府が消費増税を行いオリンピックやGO TOトラベルを強行する理由は何か。一般国民から吸い取って自分の票田である宿泊業界や大手メディア、広告代理店などに吐き出すためである。保守派とは伝統的にこうした政府の利権を認めず政府の予算を縮小しようとする立場のことを言うので、自民党は保守ではない。何度も言っているのだが大半の日本人にはこれが分からないらしい。

純粋に資本主義的な存在であるガンドラック氏やドラッケンミラー氏などの大物ファンドマネージャーらが、政治家たちの政治的な言い分とは距離をおいて本当に国民のためになる政策とは何かという話が出来るのは興味深い。実力のある人間は利権がなくとも金を儲けられてしまうので反利権派になるのである。

ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶
ガンドラック氏、インフレ無視の中央銀行を痛烈批判

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13619
7:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/04 (Thu) 16:04:47

2023年5月4日
【藤井聡】現代日本『五公五民』の真実~ 政府/財務省は今、貧しい国民に重税を課す過酷な政(まつりごと)を繰り返している(前編:かつて日本は二公八民で高度成長を実現した)
https://38news.jp/economy/24593

こんにちは。表現者クライテリオン、編集長の藤井聡です。

今わたしたちの国民負担率は、「五公五民」と呼ばれてしまう程に高くなってしまっています。国民負担率とは、国民所得に対する税金と社会保険料の合計値の割合を意味するもの。で、その水準が今47.5%に至っており、そんな「重税」に対して多くの国民が憤り、「五公五民」という言葉がトレンドワードになったわけです。

「五公五民」とは要するに、私たちが働いて手にしたおカネの半分が税金や社会保障にもっていかれる、ということを意味します。

この「五公五民」とは、江戸時代に使われた言葉で、「高い年貢を取り立てる、理不尽かつ過酷な江戸幕府」の時代ですら「四公六民」が一般的で「五公五民」になると農民がもう生きていけなくなるということで一揆が頻発する、と言われていた程の代物です。

つまり、現状の日本の国民に対する態度の過酷さは、まさに前近代的なレベルにあるということでネットで炎上したわけです。

じゃぁ、いつからこんなことになったのかというと、実はそれほど古い話ではありません。

その点を確認するためにここで、国民負担率の過去半世紀の間の推移グラフを見て見ることにしましょう。



ご覧の様に、国民負担率は今でこそ5割近くまで上がってきていますが、20年前には30%台前半、つまり「三公七民」程度だったわけです。

さらに遡れば、半世紀前の高度成長期の1970年代には、国民負担率は今の半分以下の20%台前半で、二公八民とも言いうる状況だったのです。

つまり、日本の国民負担率は、どんどん上がってきているのです。

なぜこんなことになったのか…先のグラフを見ながら、その経緯と背景をたどってみることにしましょう。

まず結論から申し上げると、1997年の消費増税「以前」の「成長期」には、その成長に伴って「自動的」に上がってきた一方で、1997年の消費増税「以後」の「衰退・停滞期」には、「重税を課す」という過酷な方法で、政府によって無理矢理、強権的に引き上げられてきたのです。

まず、1970年代から1980年代にかけて、国民負担率はどんどん高くなっていきましたが、これは、日本の税制に「累進制」があり、国民が裕福になればなる程、税率が自動的に高くなっていくシステムがあったからです。

例えば今日ですら、200万円以下の人々の所得税率は5%ですが1000万円前後の人々の税率は33%もあるのです(さらには、利益が出る企業が増えれば必然的に、利益にかかる法人税を払う企業が増える、というのも累進制の一種です)。

つまり、累進制がある所得税や法人税が基幹税である場合、不況時の場合には「自動的」に「減税」となり、好況時には「自動的」に「増税」がされることになるわけです。こうした自動的な増税減税のメカニズムは、「税制度に埋め込まれた安定化装置だ」という趣旨で、しばしば「ビルト・イン・スタビライザー」機能と言われます。

日本の成長に伴って国民負担率が上がっていったのは、このビルト・イン・スタビライザー機能が発揮されたからこその帰結であったわけです。

で、そもそもこういう機能が税制に組み込まれているのは、次のような発想があるからです。

すなわち、貧しい国民は苦しいのだから重税は課さず、税負担を軽くすることが必要だ、しかし豊かな国民は、たくさんの税を払うことができるのだから、ある程度重税を課しても大丈夫だ、というものです。

この考え方が日本の税制度にはあったからこそ、高度成長によって日本が豊かになるにつれて、国民負担率が上がっていったのです。

…ところが、その長く続いた高度成長も、1990年のバブル崩壊で終わりを告げることとなります。

そして、所得が下がる国民が大量に生ずることとなります。その結果、所得税率は平均的に引き下がることになりました。同じく、黒字を出す企業が減り、法人税を払う企業が激減することになりました。

こうした経緯を経て、バブル崩壊で日本が不況に突入することで国民負担率は「自動的」に下落することになっていきました。いわば、先ほど述べた「ビルト・イン・スタビライザー」機能が健全に働いたわけです。

実際、上記図に示したように、バブル崩壊以後、国民負担率は3~4%も引き下がったのです。

言うまでも無く、この「国民負担率の下落」を通して、バブル崩壊による深刻な経済的ダメージが徐々に癒やされていくことになります。

しかし、そのダメージが完全に癒え、再び自力で力強く成長することができる状態に戻る前の1997年、政府/財務省は「消費増税」を断行してしまうのです。

(以下、後編に続く。後編では、上記グラフからも明らかな通り、政府/財務省が「PB規律」を導入することで、社会保障の支出が上がれば上がる程、「自動的」に増税・社会保険料引き上げができるような状況をつくりあげたからですが…その「極悪非道」な財政運用を、詳述しています。詳細は下記をご参照ください。
『現代日本『五公五民』の真実~ 政府/財務省は今、 貧しい国民に重税を課す過酷な政(まつりごと)を繰り返している(後編:集団的サイコパス組織による犯罪的行政)』
https://foomii.com/00178/20230430105707108521

https://38news.jp/economy/24593
8:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/04 (Thu) 21:02:44

岸田文雄の大増税
2023年05月04日
https://ameblo.jp/tokaiama20/entry-12801440872.html

 ここ数年の、食品や建材などの凄まじい物価高で、生活が窮迫していない人は少ないと思うが、岸田政権は「民のカマド」でなく財務官僚の顔色だけを見て、恐ろしい大増税を計画しているとの記事がある。
 以下、現代ビジネスより引用。

 2023.05.04 退職金も相続金も全部強奪される…「岸田ノート」に書かれた財務省主導・大増税計画のヤバすぎる中身
https://gendai.media/articles/-/109777

 江戸時代の年貢は「五公五民」といわれ、領主に反発する一揆も起きた。現代の日本はより酷い状況になりつつある。景気を無視し、税の徴収だけに執心する宰相に、この国を任せていていいのか。

 搾りとるしかない
 10年で30冊、国民の声を書き記してきた—。'21年9月の総裁選で、岸田文雄が紺色のノートを掲げて「聞く力」をアピールしたことを覚えているだろうか。総理就任後、ノートはほとんど話題に上らなくなり、周囲からも「ノートはただの日記帳になった」という声が聞かれるが……。

 「最近、岸田さんがノートを持っているのを見かけるようになったんです。何やら細かい字でびっしり書き込んでいるようです」(岸田派中堅議員)
 岸田がノートに書いている中身—それは「増税計画」である。

 広島サミット後の解散で議席を減らすものの、政権の座は維持できる見込みだ。
次は選挙で掲げるであろう「次元の異なる少子化対策」に取り組むが、財源が必要になる。国債か、歳出削減か、それとも増税か……岸田に策があるわけではない。
 ノートの中身を決めるのは、岸田という「ポチ」の飼い主、財務省だ。

 「焦点は6月に策定される『骨太の方針』です。昨年は安倍晋三元総理の抵抗にあって、財務省は『財政規律を守る』という内容を盛り込むことができなかった。財務省にとって、予算の赤字を出さず、国債を発行しないことは最重要課題です。今年の骨太の方針では、リベンジを狙っているとみられます」(クレディ・アグリコル証券チーフエコノミスト・会田卓司氏)

 目指すのはただひとつ「増税」
 財務省にとって最大の敵だった安倍元総理は泉下の客となった。岸田政権の中枢にいる内閣官房副長官・木原誠二、税調会長・宮沢洋一、さらに首相秘書官の宇波弘貴と中山光輝はみな財務省出身である。彼らと密に連絡をとっている財務事務次官・茶谷栄治によって、官邸が支配されていると言っても過言ではない。

 財務省が目指すのはただひとつ、「増税」である。
 2024年以降、防衛費増額のために法人税、所得税、たばこ税の3つを上げることが決まっているが、これは序章にすぎない。

 政権が掲げる少子化対策をすべて実現するには、年8兆円規模の予算が必要とされている。これを賄うための「秘策」を財務省は用意している。
そ れが社会保険料の増額だ。健康保険や介護保険のために徴収しているカネを、「子育てを社会全体で支えていく」という錦の御旗を掲げて増額しようとしているのだ。

 「給与や年金から天引きされ、『料』という言葉が使われていますが、海外でいう『社会保険税』に相当するものです。つまり実質的な増税と同じなのです」(会田氏)
 多くの企業経営者が、この社会保険料のアップを恐れている。静岡県浜松市で造園業を営む有限会社「一十園」の代表・小林健氏は語る。

 「働く人の手取りが減り、消費は冷え込むでしょう。経営者の目線から言えば、社会保険料は給与に応じた額の半分を会社が出しているので、賃上げも難しくなる。うちは社員12名ほどで、私が代表になってから20年経ちますが、昨年初めて赤字を出しました。儲けがなければ納めずに済む法人税と違い、社会保険料を払わないわけにはいかない。増額されれば、経営は苦しくなります」
 他の多くの経営者からも「増税と言いたくないから、社会保険料を上げるのは卑怯だ」「社員数を減らすしかない」といった声が上がっている。

 税が足りなように見せかける
 一方、岸田と財務省は公的医療保険、介護保険の自己負担も増やしていく。'22年10月から一定の収入がある75歳以上の人の医療費負担は2割に上がったが、これでは終わらない。介護保険も'24年に改訂があり、利用者負担が原則1割から2割に上がる可能性が高い。

 相続税も、より広く、より多くとるための改悪が控えている。ターゲットは、節税の王道である生前贈与だ。
 「これまでは亡くなった日から3年以内の贈与まで『持ち戻し』として相続税がかかると決められていました。しかし'24年1月1日からは、この期間が7年に延びる。つまり生前贈与が無効になる期間が長くなるのです。

 この期間は、さらに延長される恐れがあります。税制調査会では『諸外国の制度も参考に』という意見が出ましたが、ドイツは持ち戻し期間が10年、アメリカは無制限です。生前贈与で節税という方法すら使えなくなる日が来るかもしれません」(税理士・橘慶太氏)

 退職金も狙われている。これまでは、勤続20年を超えると退職金にかかる所得税と住民税の負担が軽くなる優遇措置があったが、早ければ'26年に廃止されることになる。これも岸田流の「新しい資本主義」のひとつで、転職を促進するための政策だという。

 35年勤務して2000万円の退職金を受け取る場合、これまでは税金が約11万円で済んだ。ところが、優遇措置がなくなれば約51万円をとられることになる。
 岸田と財務省は、制度の細部をいじくりまわし、分かりにくい形で国民から税を吸い上げようとする。しかしいずれは、はっきりと「これでは足りない」と言い出すはずだ。

 「財務省には、税収の見込みを少なく見せることで『増税するしかない』という流れを作りだすテクニックがあります。たとえば'22年度の税収は当初約65兆円と予測されていましたが、最終的には約72兆円まで増える見込みです。経済が成長し続けるなかで、通常、税収はこのように増えていくものですから。ところが財務省はあえて低く見積もることで、税が足りないように見せかける。これが彼らの常套手段なのです」(自民党中堅議員)

 この前編記事では財務省の「ポチ」として扱われている岸田総理がいかにして操られているかを解説してきた。続く後編記事「消費税増税で小さな企業から順に倒産に追い込んでいく…広島サミット後の「岸田大増税」で日本経済が直面するヤバすぎる事態」ではその結果招きかねない惨事や、岸田の思い込みについて引き続き解説していく。
 消費税超増税で小さな企業から順に倒産に追い込んでいく…広島サミット後の「岸田大増税」で日本経済が直面するヤバすぎる事態
https://gendai.media/articles/-/109778

 会社がバタバタ潰れる
 あの手この手を使いながら、財務省は消費税アップを狙っている。1%上げれば確実に約2兆円の税収が増える消費税は、景気にも左右されにくい理想的な「安定財源」だからだ。「少子化を食い止めるラストチャンス」といった理由で、消費税アップに踏み切らない保証はない。

 消費税が上がると、消費が冷え込むだけではない。売り上げ減以上に、企業を直撃する「構造的な問題」がある。
 「消費税は商品を買った人が払うものだと思っている方が多いですが、実質的には企業が納める税金です。通常、企業は消費税を価格に上乗せしますが、売り上げが下がることを恐れて価格転嫁できない企業もある。

 つまり競争力が弱い小さな会社は、消費税アップによって経営的に追い込まれてしまうのです」(元国会議員で税理士の安藤裕氏)
 日本国内で働く人の約7割は中小企業に勤めている。消費税は消費を冷やすだけでなく、小さい企業から順に倒産に追い込んでいくのだ。
 さらに消費税アップには、意外な副作用もある。

 財務省の「負け組」
 「消費税がアップすると、正社員を減らして派遣社員に切り替える企業が増えます。消費税には、売上げにかかる消費税から仕入れにかかった消費税を差し引ける制度がある。派遣社員への人件費はこの制度の対象となるため消費税の納税額が減り、得になるのです」(元財務官僚・元国会議員で公認会計士の桜内文城氏)
 選挙後、岸田は「国民の信を得た」と言い張り、増税への道をひた走るはずだ。日本経済がダメージを受けようとも、岸田の背中を押す財務省は「我関せず」という態度をとり続ける。

 「そもそも財務官僚たちは東大法学部出身が多く、経済のことを学んでいる人は少数派。財務省には『平家、海軍、国際派』という陰口があり、すべて『負け組』を意味しています。つまり留学して経済を学ぼうという人は、財務省では平家や海軍のような敗北者であり、出世が望めないのです。

 なのでかつては有望な若手の留学をわざと妨害するために、英語の試験前日に深夜まで飲みに連れまわし、落第させる上司もいた。茶谷財務次官も、そうして勝ち残った財務官僚中の財務官僚なのです」(財務省OB)
 岸田ノートにはおそらく、「消費税を5%上げれば、10兆円税収が増える」といった皮算用しか書かれていない。本来ここに書き記されるべきだった「国民の声」は、岸田の耳には届かない。
「週刊現代」2023年5月6・13日号より
******************************
 引用以上

 物価、とりわけ食品価格の極端な上昇は、私のような年金生活者も直撃している。
 私は、もともとスーパーには午後5時以降の値引きタイムだけに行くようにしていたが、今は閉店1~2時間前に行っても、値引き食品が消えている。
 老人たちが夕方に押しかけて、値引き食品をありったけ買い占めてゆくからだ。以前は、結構、余裕を持って買えたのだが……。

 私は、肥料高騰による食糧危機から、さらなる食品価格暴騰に備えて、我が家の小さな畑を完全活用するために、畑を隅々まで拡張した。
 持病の間質性肺炎のため苦しい作業だったが、現在は、ジャガイモ、サツマイモを中心に、さまざまな野菜類を育てている。
 この食料価格暴騰のご時世で、自分の畑を作っておいて大正解だったと思う。

 今の官僚と自民党政権は、いまだに1980年代バブル時代の金儲け競争の発想を引きずっていて、国民が生活苦に喘いでいる姿がまるで見えていない。
 何が何でも国民からなけなしのカネをむしり取って、自分たちの利権につなげることしか考えていない。
 国が滅びる前には、こんなことが起きるのだ。

 半世紀前だったなら、上に紹介したような岸田政権の恐ろしい目論見に対して全国民的な抗議活動が巻き起こっただろうが、今の若者たちは違うのだ。
 抗議どころか、戦争を推進するために改憲することを多くの若者達が求めているほどだ。
 「戦争で何が起きるのか?」、若者たちの大半に想像力が働いていない。YouTubeの、ドワンゴコンテンツ、ゆっくりシリーズなどは、好戦主義に満ちている。
 なんとかして日本国を核武装させて、核兵器製造でボロ儲けしたい意図が見え透いている。

 平和を拒否する、こんな若者たちの姿勢では、まちがいなく戦争がやってくる。
 それも核戦争だ。とてつもなく恐ろしい結末が待ち構えている。大都会の住民は、正真正銘の地獄に落ちてゆくと私は思う。
 田舎暮らしは、畑で食料を作れること、山の素晴らしい水が利用できることで、とりあえず生き延びる条件があるが、大都会では無理だ。

 これから日本では、1940年代のような恐ろしい時代が再現されるのだろう。読者諸氏には十分に覚悟召されたい。
 なお、宮古島の自衛隊ヘリ墜落だが、機体が引き上げられて、ほぼ攻撃による墜落が確定的になっている。
 http://hirukawamura.livedoor.blog/archives/6027827.html
 https://news.yahoo.co.jp/articles/241d4cbdb596c6340ad6227b3923ba970f68f854
 何を意味するかといえば、 若者たちの願い通り、中国との戦争が始まると思った方がいい。我々の生活に何がもたらされるのか、各自、想像力を働かされたい。

https://ameblo.jp/tokaiama20/entry-12801440872.html
9:777 :

2023/06/01 (Thu) 20:30:54

世界最大のヘッジファンド: 富裕層に資産税を課すべきか
2023年6月1日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37171

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が、The Hustleのインタビューで富裕層への課税と世代間格差について語っている。

資産税

アメリカは世界有数の貧富の差が大きい先進国である。誰でも能力さえあれば大儲けできることをアメリカンドリームと言ったが、それもアメリカ経済にもっと余力があった時代の話かもしれない。

貧富の差が問題になるのは、それが倫理的に問題だからではない。実務的な観点から言えば、貧富の差は暴動や内戦に発展するから問題なのである。この観点から言えば、貧富の差が正当に生まれたものかどうかは問題にならない。それが妥当であろうがなかろうが、社会的問題を生むから対処すべきなのである。

ダリオ氏は、本人が世界有数の富裕層だが、富裕層に課税するための資産税の必要性について聞かれて次のように答えている。

富の移転は必要だろう。そしてそれは大部分が税によって行われることになる。富裕層にはそれを支払う能力もある。だからそれは不可避だと思う。富の移転は起きるだろうし、起きるべきだ。

しかしダリオ氏は資産税自体には反対のようだ。彼は次のように述べている。

だが、どういう税によって行うべきかは別の問題だ。資産税で億万長者から税金を取ろうとすると、資産にどう課税するかという技術的な問題がある。

資産税を課すときにはすべての資産の価格を評価できる必要がある。いくつかの資産は価格を評価することが難しい。家の価格はどう決める? 流動性がない。そして流動性がないことは、税金を支払うための現金がないことを意味する。

このように、税には種類によって障壁があることもある。富裕層に課税したければ、相続税はより効率的な課税方法だろう。

流動性がないとは、例えば不動産は株式のようにボタン1つでは売買できず、まったく同じものが2つあるわけではないので他の売買例から価格を正確に決めることができないということである。

資産税が難しい本当の理由

だがダリオ氏のこの回答は本音を言ったものとは言えないのではないか。資産税が難しい理由は、どう考えても評価額の決定が理由ではない。相続税にもまったく同じ問題が存在するので、相続税なら良いとする主張とも矛盾している。

資産税が難しい第一の理由は、まずアメリカでは特に富裕層が絶対にそれを通させないからである。

アメリカでは富裕層の多くは何らかの形で政治家と関わりを持っている。共和党あるいは民主党の寄付者であることがウィキペディアに書かれていることも多い。

資産税はアメリカで話題に登ることもあるが、いつもすぐにたち消えている。富裕層の政治的な力が強い限り、資産税は不可能だろう。

また、資産税が難しいもう1つの理由は、富裕層が持っている資産の在り処を特定できないからである。日本でもマイナンバーカードが話題になっているが、まったくの無駄である。これについては別の記事を書きたいと思う。

富裕層への課税はそもそも正当か

そしてそもそも富裕層への課税が正当かという問題についても話しておきたい。筆者は基本的には同じ公共サービスを受ける人間が異なる税金を支払うことを不当だと考えている。自分の努力で正当な報酬を受けた富裕層であれば、自由意志で貧困層に援助するのは自由だが、貧困層がそれを要求するのはただのたかりである。

一方で、現在の富裕層には自分の事業で稼いだ報酬ではなく、不当に得た報酬がある人が大半である。その不当な収入とは、金融緩和による資産価値の値上がりである。

量的緩和とは中央銀行が紙幣を印刷して債券や株式などの資産を買うことである。つまり量的緩和は資産価格を上げる政策であり、その受益者は当たり前だが資産を持っている人である。

筆者にはまったく理由が分からないのだが、この政策は何故か資産を持っていない人に大きく支持された。一方で筆者やファンドマネージャーら資産を持っている人は、紙幣印刷政策はインフレを引き起こすとしてばら撒きに一貫して反対していた。

ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした
ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない
そして資産を持っていない人は何の恩恵も得なかった上に、インフレに苦しむことになったというおまけまでついた。しかも過去40年間資産価格を押し上げてきた金融緩和がインフレで出来なくなってから、これまで投資をしていなかった人がつみたてNISAなどで株式市場になだれ込もうとしているのだから、何かの冗談かと思ってしまう。

株式投資ブームに乗った時点で個人投資家の損失はほぼ確定している
だから貧富の差を本当に拡大させたくなければ、単に緩和政策を止めれば良いのである。それは当然に資産のある人を富ませる政策であったのに、何故誰も気づかなかったのか。

結論

しかし現在の状況は自分にとって何の得にもならない紙幣印刷政策を支持した大多数の人々の自業自得だと考えれば、その結果については受け入れてもらうのも妥当な結論なのかもしれないが。

だがそれらの人々の将来設計がつみたてNISAによって更に詰もうとしていることについて はもうどうしようもない。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
ダリオ氏は次のように述べている。

今の世代、つまりわたしの世代は大量の借金を作り上げた。そして次の世代、つまり君たちの世代に壊れたインフラと負債を残した。

しかしそれもあながち自業自得だと思うのである。そういう政治家を自分で支持しているではないか。

ドラッケンミラー氏、高齢者が若者から搾取する税制を痛烈批判

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37171

10:777 :

2023/08/05 (Sat) 17:21:05

世界最大のヘッジファンド、量的緩和と現金給付に続く新たな金融緩和を語る
2023年8月4日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38616

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がLinkedInのブログで、世界的な物価高騰をもたらした現金給付に続く新たな金融緩和の方法について語っている。

過去40年の金融緩和

アメリカでは1970年代の物価高騰が終わって以来、金融市場の歴史は金融緩和の歴史である。

1970年代の物価高騰を止めるために20%以上に上がったアメリカの政策金利は、その後30年近くかけて低下してきた。以下はアメリカの政策金利のチャートである。


中央銀行は経済が弱るたびに利下げを行い、金融緩和によって実体経済を支えてきた。

だがその金利は2008年のリーマンショックでついにゼロに到達する。中央銀行はこれ以上金利を下げられなくなったが、それでも緩和をする方法が欲しかったので、紙幣を印刷して金融市場から国債などの証券を買い入れる量的緩和という方法に頼ることになった。

政策金利を操作する方法では国債の金利を直接下げることはできないが、紙幣印刷で中央銀行が有価証券を買い上げてしまえば、資産価格を人工的に押し上げ、国債の金利を押し下げることで更なる緩和を行うことができる。

だがこの方法では実体経済をコロナ危機から救うことは出来なかった。日本で実際にそうなっているように、資産価格を上げても得をするのは資産を持っている人々だけだという当たり前の事実に、アメリカも直面せざるを得なくなった。

そこで考案されたのが、国民の銀行口座に直接現金を注ぎ込む方法である。現金給付と呼ばれるこの方法は、家計の財政状況を見た目上改善した一方で、世界的な物価高騰を引き起こした。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
このように緩和の歴史を振り返ってみると、明らかに言えることは、緩和の副作用が強くなっていることである。利下げの副作用は、2000年にドットコムバブルを引き起こしたり、2008年のリーマンショックにつながる住宅バブルを引き起こしたりすることだった。

それだけも酷かったかもしれないが、利下げが量的緩和になり、量的緩和が現金給付になった今、緩和の副作用は雪だるま式に膨らみ、インフレという形で全国民に降り掛かっている。

だが緩和の極端化というこのトレンドは、もはや誰にも止められないだろう。人間にそれを止める頭があれば、そもそもインフレは起きていない。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
だから投資家は現金給付に続く新たな緩和方法が何かということを、そろそろ考え始める必要がある。

中央銀行はまず利下げによって金利を低下させ、経済における最大の債務者、つまり政府を救済し続けてきた。その次には量的緩和によって、金融危機で資産を失った資産家を救済した。コロナ禍におけるはロックダウンで収入を失った家計を救済した。

もう救済するものはあと1つしか残っていない。中央銀行による中央銀行の救済である。

中央銀行が自分自身を救済する

政府が国債を中央銀行に押し付け、中央銀行はシリコンバレー銀行などの破綻処理にあたって価格が下落していた債券を額面で引き受けているので、もはや中央銀行はさながらゴミ箱のような様相である。

政府はこのまま中央銀行をゴミ箱のように扱い続けることができるのか? 現代人は誰もその実験を経験したことはないが、歴史上には同じような事例は存在する。こうした疑問を尋ねるのに最良の人物は、やはりダリオ氏だろう。

ダリオ氏は次のように述べている。

長期的には、歴史を振り返ってこれから何が起こるかを描いてみると、政府の財政赤字が増大するのは実質的に確実で、利払いや他の予算の費用が増加している以上、増加の加速度は上がる可能性が高い。

アメリカのGDP比財政赤字は次のように推移している。


短期的には上下しているが、長期的には赤字は増え続けている。そしてこれが少なくなる見通しのないことは、誰もが同意するところだろう。

緩和も財政も悪化し続ける。だが緩和が利下げから現金給付まで指数関数的に進化してインフレという限界にぶつかったように、政府の財政も同じように指数関数的に進化して人々が思っているよりも早く限界にぶつかるだろう。

このまま財政赤字が加速度的に増加すればどうなるか。ダリオ氏は次のように述べている。

そしてそうなれば、政府はより多くの国債を発行しなければならなくなり、自己強化的な債務スパイラルに陥ることになるだろう。

金融市場がそれ以上増やさないよう迫る一方で、中央銀行は紙幣印刷によってもっと多くの国債を買わなければならなくなる。そうしなければ損失が拡大し自分のバランスシートが毀損されることになる。

「金融市場がそれ以上増やさないように迫る」というのは、国債の発行増加を市場の投資需要が支えきれなくなり、国債価格が暴落してゆく状況だろう。

そうした要因での米国債の価格下落は、今の市場参加者にはほとんど想像もできないはずだ。だが少し前の市場参加者には、インフレも想像できなかったことを思い出したい。

ダリオ氏の言う通り、国債の発行が指数関数的に増加してゆくならば、量的緩和なしには国債価格を維持できない状況はいずれ必ず訪れる。そして「指数関数的」な増加によってその水準に到達する日はそれほど遠くないということは、少しの数学的素養のある人ならば分かるはずだ。

ダリオ氏によれば、そうした問題の典型的な解決策は、政府が中央銀行の損失を補填することだという。だが政府は中央銀行の紙幣印刷によって資金供給されているので、中央銀行は結局は自分に資金供給することになる。この空中でジャンプして空に浮き続けるような末期的状況の典型的な帰結は、金利高騰か通貨暴落かインフレ、あるいはその組み合わせだろう。

結論

実際、イギリスはその状況に到達しかけた。 1つ前のトラス政権がインフレの状況下で大規模な財政緩和を行おうとしたとき、金融市場では英国債とポンドが両方急落した。

サマーズ氏: 景気後退で財政支出する国はイギリスの二の舞になる
結局はトラス氏が辞任に追い込まれることによって緩和は撤回されたが、他の先進国はそうした瀬戸際にある。日本では円安とその結果としてのインフレが大きな問題になっている(が、自民党支持者はストックホルム症候群によって緩和の引き起こした円安とインフレの関連を頭から消し去っている。)

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
アメリカは、基軸通貨ドルの恩恵によって今のところ日本やイギリスのような羽目にならないで済んでいる。だがスタンレー・ドラッケンミラー氏は、まさにそれが原因でアメリカはより大きな危機に陥ると予想している。

ドラッケンミラー氏: アメリカは基軸通貨ドルのお陰で致命傷を食らうまで緩和を続けられる
短期的な延命のために長期的な危機が許容される。いつものことである。しかし若者たちはそれで良いのだろうか。

ドラッケンミラー氏、高齢者が若者から搾取する税制を痛烈批判

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38616
11:777 :

2023/08/10 (Thu) 20:18:10

アメリカの地価上昇は限度を超えていて都市部の一戸建てや新築マンションは1億円では買えず2億、3億ださないと購入できなくなっている

それではと賃貸マンションを借りると都市部で家賃が月50万円、ファミリー向けは月80万円などし、郊外の『格安トレーラーハウス』でも月40万円するので車中ホームレスが増加しています

RVパークやトレーラーハウスは電源やトイレやシャワーがあるが駐車場代が月20万円もするので、その辺の路肩やウォルマートの駐車場で生活する人が多い

この前夜中のテレビでハワイの中古物件情報をやっていましたが、「この部屋は1億円で格安。向こうに見える建物は3億円です」とやっていました

ハワイはレジャーには良いがあまり住みたい場所と思えないのだが、1億円以下の物件は存在せず家賃は米本土の大都市並みになっています

こうした地価上昇の原因は日本のバブル期と同じ投機マネーが引き起こしたもので、この10年ほどのアメリカの超好景気は実はバブルだった可能性が高い

地価のような資産価格が極限まで値上がりしたらもう上昇の余地がなく、「一体誰が3億円のマンションを買うんだ?」という話になります

アメリカの景気がもし今後も良いと仮定すると、例えばNYやLAのワンルーム家賃は数年後に「月100万円」になるが、それがあり得ないのは誰にでも分かると思います

今後10年から20年のアメリカは上昇し過ぎた資産価値を抑え込む必要があり、日本の失われた10年(30年になったが)と同じになります

2010年以降の全世界資産バブルに乗っって好景気を謳歌した中国、韓国、台湾、シンガポールや中東諸国なども同じ問題を抱えています

台北やソウルや北京はマンション価格が平均1億円になり東京の5000万円(中古含む)を大きく超えたが、住居としてそんな価値はありません

オーストラリアやニューヨークは「バイト時給4000円」などを誇っていますが、同じ仕事をするのに日本の4倍のコストがかかるので国際競争に負けます

資産バブルというキーワードで考えるとバブルで成功した国々の現在の状況は、まったく笑えないものだと判明するでしょう

NYやSFでおしゃれなマンションに住むと家賃年 1000万円です
https://www.youtube.com/watch?v=7W5kj7PZ5I8

https://www.thutmosev.com/archives/290562dgt.html

12:777 :

2023/12/13 (Wed) 21:38:35

新アルゼンチン大統領のミレイ氏、経費削減のため閣僚の半分を削減する
2023年12月11日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/42388

インフレ率が140%を超えるアルゼンチンで大統領選挙に勝利したハビエル・ミレイ氏が12月10日にアルゼンチンの新大統領に就任した。

インフレ危機のアルゼンチン

アルゼンチンではコロナ禍における放漫財政の結果、インフレ率が140%を超える事態となっている。


当然ながら通貨も暴落しているのだが、緩和政策の生み出したこの無茶苦茶な状況を収拾すべく当選したのがオーストリア学派の経済学者ミレイ氏である。

オーストリア学派はここでもよく取り上げている20世紀最大の経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏の流れをくむ学派であり、ハイエク氏はもう何十年も前から人々の緩和政策への依存がいずれはインフレをもたらし、国家はインフレを抑制するために引き締め政策で経済を破壊しなければならなくなると予想していた。

ハイエク氏は著書『貨幣発行自由化論』において、政治家が国民から徴税し自分の裁量で特定の人々や団体に財政出動する政策を次のように批判している。

ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
特定の人々に自分で得たわけでも他人が放棄したわけでもないものを得る権利を与えることは、本当に窃盗と同じような犯罪である。

そしてその結果大多数の国民にもたらされるものはインフレである。

政治家の放漫財政

これは当たり前のことなのだが、政治家は税金を自分と自分の票田に費やすこと以外に興味はない。特にそれでも選挙に落ちない状況においては、それ以外のことをしても自分にメリットがないからである。

ミレイ氏はハイエク氏の流れをくむオーストリア学派の立場から、こうした政治家の無駄遣いを批判してきた。そして大統領に就任したミレイ氏はまず何を行なったか。閣僚の数を18人から9人に半減させた。

政治家が「政治家は不要だ」として政治家の数を減らしている姿はなかなか痛快である。自民党の政治家には逆立ちしても出来ない芸当だろう。

だがミレイ氏にはより本質的な問題が待ち構えている。ハイエク氏が論じていたように、ばら撒きが可能になるそもそもの原因は中央銀行が自由に金利を操作できることで、国債に対する政府の利払いを恣意的に抑えられることにある。

ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ
ミレイ氏は自国通貨と中央銀行の廃止を公約に当選した。アルゼンチン人はインフレ率が140%に至る事態に陥ってようやく緩和政策への依存から離脱したのである。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
人間は本当に苦しまなければ現実を理解しない。しかしそのアルゼンチンにおいてもミレイ氏は困難に直面するだろう。何故ならば、彼は政治家から紙幣が無限に出てくる魔法の杖を取り上げる中央銀行の廃止という政策を、政治家の集まりである議会において通さなければならないからである。

ミレイ氏はまず政治家から仕事を取り上げた。だが彼は何処まで目的を果たせるだろうか。

そしてそれよりも疑問なのは、何処まで日本円の価値が劣化しインフレが悪化すれば日本人が同じことに気付くかである。日本経済は国民が状況を理解するまで永遠に沈んでゆく。楽しみに待っていたい。

レイ・ダリオ氏 : 金利を上げた米国でも低金利を続ける日本でも債務危機は生じる
日本国債の空売りを開始、植田新総裁で長期金利上昇を予想


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/42388

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