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銀行を助けて物価高騰かインフレを退治して株価暴落か、どちらかしかない。

1:777 :

2023/03/20 (Mon) 02:08:51

利上げをすることはインフレを抑えると同時に銀行危機を悪化させることであり、利下げをすることはインフレを悪化させると同時に銀行問題を和らげることである。
インフレ退治を断行し、かつ銀行問題を解決するような選択肢は存在しない。


サマーズ氏、シリコンバレー銀行破綻後も利上げ継続を訴える
2023年3月19日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34785

アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏がBloombergのインタビューで、シリコンバレー銀行の破綻とアメリカの金融政策について語っている。

シリコンバレー銀行破綻と利上げ

長らく続く物価高騰を抑制するため、Fed(連邦準備制度)による金融引き締めが続いており、それがシリコンバレー銀行破綻の原因になったことを以下の記事で説明した。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
米国時間22日にはFedは次の利上げに関する決定を下すが、シリコンバレー銀行破綻の後、今後の利上げ動向についての市場の見解は大きく揺れている。

市場は元々前回の倍の利上げ幅となる0.5%利上げの可能性も織り込んでいたのだが、シリコンバレー銀行破綻後にはまずその可能性が消えて利上げなしの可能性まで織り込まれ始めた。

しかしその後ECB(欧州中央銀行)のクリスティーヌ・ラガルド総裁がクレディスイス問題など欧州内の銀行危機にもかかわらず0.5%利上げを決定すると、アメリカでも利上げなしの織り込みが少なくなり、現在では62%の確率で0.25%の利上げ、38%の確率で利上げなしとの織り込みになっている。

サマーズ氏はまずラガルド氏の利上げ断行について次のように述べている。

ラガルド女史は素晴らしかった。

彼女は金融システムに問題がある時にでも必要なインフレ抑制政策を遂行できることを示した。

また、インフレと金融システムの安定という2つの問題に対しては別々の方法で対応でき、インフレの問題を犠牲にしなくて済むということを示した。

そしてサマーズ氏のこの見解は当然ながらアメリカの利上げについても同じである。サマーズ氏は次のように続ける。

多くの意味でこれがFedの手本になることを願う。

次の会合ではFedが0.25%利上げを出来れば良いと思う。

利上げは銀行問題を加速しないのか?

だが考えてほしい。そもそもこの銀行問題を引き起こしたのはインフレ退治のための利上げであり、もっと詳しく言えば以下の記事で説明したようにマネーサプライの減少という金融引き締めの目的自体が銀行の預金を干上がらせている。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
だから利上げをすることはインフレを抑えると同時に銀行危機を悪化させることであり、利下げをすることはインフレを悪化させると同時に銀行問題を和らげることである。

しかしそれでもサマーズ氏は利上げを推奨する。そして利上げをしなければ物価と銀行システム両方にとって悪い結果になると主張する。彼は次のように述べている。

もしFedが怖気づけば、人々も怖気づくことになるだろう。だから利上げをしなければインフレ期待を悪化させ、かつ経済を弱体化させる可能性がある。

だがこの理屈は厳しいだろう。この理屈では経済がどんな悪い状況にあっても「利上げを止めればFedが怖気づいたことになるから利上げを止めるべきではない」ということになる。

インフレか銀行問題か、どちらかは犠牲になる

結局のところ、インフレ退治を断行し、かつ銀行問題を解決するような選択肢は存在しないのだ。

だがサマーズ氏はそれでも利上げすべきだと言う。それはサマーズ氏の過去の発言と一貫している。彼は去年次のように述べていた。

サマーズ氏: 金融危機が起こっても利上げを継続せよ (2022/10/11)
金融市場の安定に関する懸念を口実に、インフレが長期化することを避けるために必要な金融政策を止めるよう主張するのは間違っている。

サマーズ氏は去年から利上げが経済に大きな問題を引き起こす可能性に言及していた。そしてまさにその状況が起こったわけだ。

だが実際に起こってしまった今、銀行危機など無視して利上げすべきだと言うと過激になる。だから言い方を変えているだけだ。サマーズ氏は銀行問題よりインフレ退治を取るべきだと言っているのだ。

何故ならば、インフレを悪化させると後で更に酷い問題になって帰ってくるからだ。1970年代の物価高騰時代には、インフレ退治を10年も後回しにし続けたために最終的には金利を20%まで上げる羽目になった。

ポール・ボルカー氏、1980年のインフレ打倒がどれだけ厳しかったかを語る
インフレは今退治して酷い目に遭うか、後で退治してもっと酷い目に遭うか、どちらかである。

もう何度も言っているが、アメリカ経済は詰んでいる。インフレ政策でインフレになった時点で詰んでいるのである。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
銀行を助けて物価高騰かインフレを退治して株価暴落か、どちらかしかないだろう。

2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34785
2:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/20 (Mon) 02:15:14


アベノミクスのツケ「地銀含み損3兆円」…破綻シリコンバレー銀行とビジネスモデル酷似
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シリコンバレー銀行(SVB)破綻の原因と株式市場への影響
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14094256

銀行を助けて物価高騰かインフレを退治して株価暴落か、どちらかしかない。
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14096858

「賃金上がらず予想外」アベノミクス指南役・浜田宏一氏証言 トリクルダウン起こせず…
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14095196

米国の長短金利差-1% の意味
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14093815

ついに始まる世界金融恐慌
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14009793

40年続いた米国株強気相場が崩壊する、米国株は30年上がらない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14007513

これから起きる超円高によるバブル崩壊と預金封鎖
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14091470




エリオット波動分析では米国株も日本株も今年から大暴落して最高値の1/10まで下がりそうですね。 1929年の大恐慌に匹敵する下がり方ですね:

日経平均1年間のカウントの振り返りとナスダック100とS&P500の進行想定/有川和幸さん 2022/12/19 にライブ配信
https://www.youtube.com/watch?v=MGFhLQnPOf4


日本エリオット波動研究所の相場予測は凄い、宮田直彦のエリオット波動分析はデタラメ
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14081932

3:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/21 (Tue) 02:52:19

世界最大のヘッジファンド、銀行危機の株価暴落と金融緩和への発展を予想
2023年3月20日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34804

シリコンバレー銀行の破綻が世界的な銀行危機へと発展しているが、今日は世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏のブログから、株価と金融政策の予想を書いた部分を紹介したい。

世界的な銀行危機に

シリコンバレー銀行とシグニチャー銀行の破綻に続き、アメリカではファーストリパブリック銀行、ヨーロッパではクレディスイスの危機が話題になっている。

一気に金融危機の様相である。何故こうなったのか? 以下の記事でも説明したが、まず第一の理由は、インフレ対策の金融引き締めの目的そのものが世界に存在する預金の量を減らすことにあるからである。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
もう何度も説明したことだが、現在の物価高騰の本当の原因はコロナ後の現金給付であり、ウクライナ情勢ではない。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
お金をばら撒いてインフレになったのだから、それを解決するにはばら撒いたお金を金融引き締めで回収するしかない。だがそうすれば経済全体に存在する預金の総量(より正確にはマネーサプライ)が減ってゆく。そして銀行は資金不足に陥る。

債券暴落が銀行株暴落に繋がっている

だが銀行の問題はそれだけではない。彼らは預かった預金で債券などの資産を買っている。そして去年には金融引き締めで債券価格は大きく下がった。

ダリオ氏は次のように説明している。

銀行のような金融の仲介者たちは崩壊しつつある資産バブルに対してもっとも大きく信用買いしているので、現在の状況に特に影響されやすい。

信用買い、つまり人から借りたお金で資産を買っていることが問題となる。そしてそれは銀行のビジネスそのものである。

金融引き締めは資金の借り手に大きな影響を及ぼす。買っている資産が暴落する一方で、借りている借金には大きな金利が付いてしまうからである。こう書けば今銀行が危機に瀕している理由が分かるだろう。

だから筆者もずっと言い続けているように、アメリカの歴史上2番目の規模の銀行破綻となったシリコンバレー銀行の破綻は氷山の一角に過ぎない。ダリオ氏も次のように言っている。

現在はまだ経済縮小トレンドの序盤なので、世界中で信用買いされている資産の量を考えると、シリコンバレー銀行の破綻の後に多くの問題が続く可能性が高い。

まだ序盤なのである。問題は始まったばかりであり、何も終わっていないし、何もほとんど始まってすらいない。にもかかわらず巷では大騒ぎになっている。

暴落相場の始まり

これからどうなるか。財政不安に陥ったシリコンバレー銀行のような企業はどういう行動を強いられるか。彼らは保有資産を売って現金を確保することになる。実際、シリコンバレー銀行はそうしたが、現金は結局足りなかった。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
だがここで考えなければならないのは、こうした瀕死の企業が資産をどんどん売れば、資産価格は更に下落するということである。

この問題がどういう結末を迎えるについて、ダリオ氏はいくつか箇条書きにしている。彼は次のように続ける。

多くの経済主体が資産を非常に低い価格で売ることを強いられ、多くの損失が報告され、資金の貸し出しの更なる縮小に繋がる。

この意味で、この暴落トレンドは「自己強化的」なのである。資産価格が下落するほど銀行や企業が窮地に陥り、銀行や企業が窮地に陥るほど資産は更に売られてゆく。

そして株式投資家に重要なのは次の部分だろうか。

株価の価値低下。例えば株価が将来のキャッシュフローの現在価値を保守的に評価した価格よりもかなり低い値段で売られる。

米国株の動向

現在、米国株は次のように推移している。


筆者の計算では、この株価にはまだ現在の高金利どころかこれまでの低金利による底上げ分が乗ったままである。

リーマンショックから10年以上続いた低金利相場では、株価は「保守的な評価」からかなり底上げされた形で取引されてきた。だがダリオ氏は株価が今度は保守的な評価よりもかなり低い値段で売られると言っている。

他のファンドマネージャーの従来からの見方と同じである。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
中央銀行はどう動くか

こうした状況に対してFed(連邦準備制度)はどう動くだろうか。インフレ打倒のためにこれまで続けてきた金融引き締めはどうなるのか?

ダリオ氏は次のように結論している。

問題がシステム全体を脅かし、Fedは緩和、銀行規制当局は資金と信用と保証を余儀なくされる。

これまでは金融緩和よりも金融引き締めが適切のように見えた。だがこれから問題が持ち上がり、Fedと銀行規制当局が救済に動かなければならなくなるまでそれほどかからない可能性がある。

ダリオ氏の結論は緩和である。シリコンバレー銀行の預金者の預金を保護したことが既に緩和になっているというジェフリー・ガンドラック氏の議論もある。

ガンドラック氏、シリコンバレー銀行破綻でインフレ悪化予想
Fedはこの件でGDP1%分の貸付を行なっており、それだけでも結構な額なのだが、それはまだ局所的な緩和である。

それは利下げと量的緩和という本格的な金融緩和に発展し、例えばジョン・ポールソン氏の言うような金価格高騰へと繋がってゆくのだろうか。

ポールソン氏: ドルからの離脱が今のトレンド、資金逃避で金価格上昇へ
ダリオ氏は次のように纏めている。

経済縮小の今の段階ではFedが緩和するには早いが、 システム全体への脅威と救済の副作用のトレードオフが難しくなるにつれて彼らがどうするかを注視しよう。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34804
4:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/22 (Wed) 13:59:34

クレディ・スイスショック回避へUBSが買収
2023.03.22
有名なセリフも変わるのかも知れない


画像引用:https://dukupartner.com/bank/ ゴルゴ13の金を預かるスイス銀行も大変だ・決めセリフはこれ! _ デュークPRESS
クレディ・スイスショック

2023年3月10日にアメリカのシリコンバレー銀行が経営破綻したのを皮切りに影響が波及し、クレディ・スイスが事実上経営破綻し買収先が決まった

買収するのは同じスイスのUBS銀行だが、クレディスイスの損失に対してスイス政府が60億ドルの保障を求め、スイス政府は巨額の資金供給を約束した

クレディ・スイスは先週急に経営危機に陥ったのではなく数年に渡って不祥事や失敗を積み重ね、シリコンバレー銀行破綻がトドメの一撃になった

クレディ・スイスは富裕層向けに特別サービスを提供する銀行として150年の歴史を持ち絶大な信用を得ていたが、その地位を揺るがす事件が起きていた

2022年6月にはブルガリアの非合法組織によるマネーロンダリング(資金洗浄)を阻止できなかったとして、スイスの大手銀行として初の有罪が言い渡された

今までスイスの銀行は顧客の情報を守る事で知られていたが2001年の911テロをきっかけにマネーロンダリングへの批判が強まっていた


武装組織や非合法組織はスイスの金融機関にお金を預ければ秘密を保護されたが、今では通用しにくい考え方になり修正を余儀なくされている

ゴルゴ13は仕事を受ける時スイスの銀行に300万ドルを前払いさせていたが、これからはビットコインで受け取るようになるかも知れない

スイス連邦金融市場監督機構(FINMA)は23年2月に、破綻した英金融ベンチャーのグリーンシル・キャピタルに絡む投資で深刻な違反があったと認定した

クレディ・スイスのリスク管理手法に落ち度があり、投資先の利害関係者に業務を担当させるなどしたため多額の損失を被った

21年7月には投資銀行部門で最高リスク責任者(CRO)を務めたラルフ・ハフナー氏がアルケゴス・キャピタル・マネジメント問題で退社した

21年に破綻した米投資会社アルケゴスに絡みクレディ・スイスは業界最大44億スイス・フラン(約5200億円)の損失を被っていた

それまで秘密のベールに隠されていた部分が明るみに出てみると、クレディ・スイスは投資のプロとは言い難い事を色々しでかしているのが分かってきた


戦々恐々とする金融界
情報開示によってスイスの銀行もアメリカやイギリスの銀行と同じ基準で比較されるようになり、投資家や監査機関の評価によって株価や経営状態が左右された

クレディ・スイスは23年3月19日、UBSによる買収の一環としてスイス当局の指示の下、160億スイスフラン(172億4000万ドル)相当のAT1債を無価値化すると発表した

買収するUBSは債務を「買う」気はさらさらないので、当局は負担を軽減する為に投資家が持っている債権の一部を払わなくて良い事にした

同債券を保有している投資家や投資機関からは怒りの声が出ているが、スイス当局は「クレディ・スイスの資本増強につながる」と意に介していない

UBSはクレディ・スイスを買収する条件としてスイス政府に60億ドルの保証を要求していたが、スイス財務省は90億スイスフラン(約1兆2000億円)の政府保証を約束した

UBSのケレハー会長は会見で 「クレディ・スイスの投資銀行業務を縮小しわれわれの保守的なリスク管理に合わせていく」と発言した

リーマンショックの再来と懸念されたクレディ・スイスショックを回避できたのに欧米の金融関係者は安堵しているが、スイスとUBSはクレディスイスというゾンビ銀行を抱え込むかも知れません

わずか10日で米シリコンバレー銀行、クレディスイスという2つの世界的の地位を持っていた金融機関が破綻した事で、影響の拡大が懸念されている

来週にはどこか別の有名金融機関の問題が表面化しているかも知れず、各国の担当者や金融機関責任者は戦々恐々としている

https://www.thutmosev.com/archives/2550045.html
5:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/23 (Thu) 18:47:35

737回シリコンバレー銀行破綻 【中・上級編】
髙橋洋一チャンネル
2023/03/23
https://www.youtube.com/watch?v=NkMQcVUtzSg
6:保守保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/04/02 (Sun) 19:41:36

サマーズ氏: ソフトランディングは非常に難しい
2023年4月1日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35302

アメリカの元財務長官でマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏が、Bloombergのインタビューで銀行危機とFed(連邦準備制度)の金融政策について語っている。

インフレと銀行危機

市場では今2つのことが注目されている。1つはシリコンバレー銀行の破綻に始まる世界的な銀行危機で、もう1つは短期的には弱まりつつあるものの長期的には懸念されているインフレだ。

インフレは複雑な状況になっている。最新の状況については以下の記事を参考にしてもらいたい。

2月の米インフレ率はサービスの加速示す、利上げで抑えればハードランディングへ
Fedは難しい状況に置かれている。インフレを懸念するならば高金利継続、銀行危機を懸念するならば金利を下げなければならない。

この状況についてサマーズ氏は次のように述べている。

経済はいま分岐点にある。1つの可能性は、銀行危機が波及せず信用に大きな影響を与えずに過ぎ去り、インフレが深刻化してFedが市場の織り込みよりも大きく引き締めをすることになること、もう1つの可能性は経済の減速が深刻になることだ。

どちらも起こり得る可能性に見える。

これはなかなか珍しい議論のように見える。何故ならば、筆者や著名投資家たちは全員が景気悪化を予想しているからだ。

世界最大のヘッジファンド: シリコンバレー銀行破綻はドミノ倒しのように伝染する
ガンドラック氏: アメリカは数ヶ月で景気後退、利上げ撤回へ
銀行危機がこれだけでは終わらないというのは筆者には予想というよりは事実のように思える。

銀行危機における議論で多くの人が間違っているのは、シリコンバレー銀行が今後経済にどういう結果をもたらすかを考えていることだ。シリコンバレー銀行の破綻は危機の原因ではない。結果である。

そして危機の原因は高金利である。高金利がシリコンバレー銀行の顧客であったシリコンバレーのスタートアップを苦しめ、預金を引き出したことが危機の発端となった。以下の記事で解説した通りである。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
だからシリコンバレー銀行の破綻が経済に何をもたらすかではなく、高金利がどういう結果をもたらすかを考えなければならない。

そして高金利がシリコンバレー銀行とその顧客を破綻させたのならば、高金利が続く限り他の銀行も破綻してゆくはずだ。当たり前ではないか。

サマーズ氏は天才的な経済学者だが、投資家ではないので市場の力学を軽視する傾向にある。高金利が市場経済にとってどういうものかは経済指標には出にくい。だが投資家は経済の裏で動いているそういう力学を重視する。GDPや失業率にそれが表れる時には危機はすべて終わっているからである。

逆に市場の動向を追求し、債券市場が景気後退を示唆し続けていたことを根拠に今の状況を当て続けているのが債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏である。

ガンドラック氏: アメリカは数ヶ月で景気後退、利上げ撤回へ
2022年序盤にはサマーズ氏はインフレ予想について誰よりも正確だった。だがここからは投資家のターンかもしれない。経済動向の予想というよりは金融危機の予想が必要となるからである。

1度では終わらない経済危機

だがサマーズ氏は銀行危機がこのまま終わる可能性を考えながらも、実際にはそうではない可能性を懸念しているらしい。ただの経済学者ではないところが彼の凄いところである。彼は次のように述べている。

過去の金融危機を深く研究すれば、逆風は大きなものが一度だけ起こるわけではないことが分かる。

ベアスターンズの破綻からリーマンブラザーズの破綻まで6ヶ月あった。

リーマンが破綻した週でさえ株式市場は上昇に向かっており、Fedは利下げをしなかった。その週のFedの声明文ではインフレが大きく懸念されていた。

スコット・マイナード氏の次の言葉が思い出される。

エビデンスに基づけば、Fedの予想は常に間違っている。

リーマンショックの時は、もっと厳密に言えばリーマンブラザーズの破綻の1年半前に危機の兆候は表れていた。住宅価格がピークを迎えたからだ。以下の記事で詳しく説明している。

リーマンショック時における米国株、政策金利、住宅価格の推移
それが既にアメリカ経済にとってのチェックメイトとなっていた。だが誰もがそれを無視した。ジョージ・ソロス氏は当時の著書『ソロスは警告する』の中で次のように述べている。

2007年春、ついに終わりのはじまりがやって来る。住宅ローン大手のニュー・センチュリー・ファイナンシャル社が、サブプライム問題が原因で倒産したのだ。そこから先は、私のバブルのモデルでいう「黄昏の期間」である。住宅価格が下がりはじめているにもかかわらず、ゲームの終了が読み取れない参加者が、まだ大勢残っている段階だ。

リーマンブラザーズの破綻は2008年の秋である。

アメリカ経済の行方

銀行危機とインフレという二重苦に迫られたアメリカ経済について、サマーズ氏は次のように纏める。

ソフトランディングは最良の状況下でも非常に難しいだろう。

筆者は2022年の始めからずっと言っているが、アメリカ経済は既に詰んでいる。現金給付などのインフレ政策が見事にインフレを引き起こした時点ですべて終わりなのである。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
それが銀行の破綻などの個々の問題に表れているに過ぎない。だが株式市場はここ数日上昇している。以下はS&P 500のチャートである。


銀行危機前の水準を上回って推移している。

だがこの状況についても筆者は事前に次のように書いて予想しておいた。

世界最大のヘッジファンド: 経済クラッシュで量的緩和再開まであと1年以内 (2023/3/22)
投資家は馬鹿なのでシリコンバレー銀行の破綻ももう少しすれば忘れるだろうが、2008年にベアスターンズの次にリーマンブラザーズが破綻したように、また次の事故が起こることで頭をもう一度叩かれるのである。

まさにその通りになっている。

だがいつ頭を叩かれるか、 その日付を厳密に予想することは不可能である。だから短期的な動きは無視して粛々と長期トレンドに賭けることだ。

今の状況は『ソロスは警告する』におけるソロス氏の言葉をもじって次のように言えるかもしれない。

シリコンバレー銀行の破綻がアメリカ経済に対する高金利の影響を明らかに物語っているにもかかわらず、ゲームの終了を読み取れない参加者がまだ大勢残っている。

そろそろリーマンショック前の状況を復習しておいた方が良いだろう。


ソロスは警告する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35302


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35302
7:保守保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/04/03 (Mon) 04:35:00

04-01 中国の金融機関は資金流出を怖れて預金引き出し妨害中
妙佛 DEEP MAX
2023/04/01
https://www.youtube.com/watch?v=PjDNGR4PI3E
8:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/04/18 (Tue) 05:28:52

世界最大のヘッジファンド: 銀行危機は世界経済全体に波及して物価高騰か倒産危機で終わる
2023年4月17日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35881

世界最大のヘッジファンドBridgewaterを運用するレイ・ダリオ氏がImpact Theoryのインタビューでシリコンバレー銀行の破綻に始まる銀行危機について語っている。

銀行危機は予想できたか

3月のシリコンバレー銀行の破綻は金融業界全体を驚かせた。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
だがこの一件はまったく予想できなかったのだろうか? 何の兆候も無かっただろうか。インタビューでそう聞かれてダリオ氏は次のように答えている。

そうなることは明らかだった。

シリコンバレー銀行に起こったことは銀行に限らず世界中のあらゆる組織や人に起こったことだ。

何故そう言えるのか。筆者も解説したが、まずはダリオ氏にシリコンバレー銀行の破綻について解説してもらおう。

ダリオ氏は次のように述べている。

銀行はどういう商売をするか? 銀行は預金を預かる。借金をすることもあるかもしれない。そのお金で負債を買う。

負債の購入はローンの貸し出しという形で行われるかもしれないし、国債などの債券を買うことで行われるかもしれない。

銀行の仕事は基本的に預かったお金を他の人に貸してローン金利を取ることである。

だから銀行には借りたお金と貸しているお金がある。そして中央銀行による金融引き締めによって金利が上がり、資産価格が下落した時、その両面に問題が生じた。

ダリオ氏は次のように説明している。

だが金利が上がった時、銀行が持つ債券の価値が下がった。

預金者の要求も高まった。市場の金利や他の金利を見て銀行から預金を引き出し、別の投資先を見つけようとした。

預金者はお金を引き出し、持っている債券の価値は下がった。それで彼らは破産した。

金融引き締めが資産と負債に影響を及ぼす

しかし考えてもらいたいのだが、これは銀行だけの問題ではない。何故ならば、世界中の多くの企業が投資をするためにお金を借りているからである。

ダリオ氏はこう続ける。

この銀行危機はシリコンバレー銀行だけの問題ではない。銀行だけの問題ですらない。これは世界規模の問題だ。

何故ならば、年金基金や保険会社など世界中のあらゆる組織や人が国債を持っていて、それらの価格は下がっている。そして借金のためのコストは上がっている。

多くの組織が借金をしてまで投資をしている。どうしてそうなったか。1980年から始まる過去40年の低金利政策の成果である。アメリカの金利はコロナ後にインフレになるまで40年間下がり続けていた。


ダリオ氏は言う。

これまで金融政策が緩和的だった。短期金利が非常に低かった。資金はばら撒かれていた。

インフレを引き起こす目的で行われたゼロ金利政策とは、お金を借りるコストがゼロだということである。その結果多くの金融機関がお金を無制限に借りてそれを少しでも金利の付く長期債や値上がりの期待できる株式などに投資するようになった。

これまではそれでも資産価格が上がり続けてきたから何の問題も生じないように見えた。だがコロナ後にインフレ政策が限界に来たとき、ついにインフレが起こった。

ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした
サマーズ氏: インフレは有権者が紙幣印刷を支持したせい
低金利バブルの崩壊

インフレが起こってしまったならば、もう低金利政策は出来なくなる。金融引き締めが始まり、資産価格が下落を始める。

資産価格の下落も、普通の状況ならば相応のダメージだったかもしれない。別に金融市場が適切に上下することは悪いことではない。だが、40年もの低金利政策の結果、世の中には資金がばら撒かれ過ぎてしまった。

ダリオ氏はこう続ける。

世界中の人々が多くの資産を保有しており、その資産を買うためにお金を借りている。そして資産価格は下がっている。

借金のためのコストは上がり、借金をして買った資産は下落している。低金利に依存した人々には最悪の状況である。その一端がシリコンバレー銀行の破綻だったに過ぎない。破綻のニュースのあとすぐに筆者がこう書いたことを思い出してほしい。

シリコンバレー銀行破綻で年内の利下げを予想し始めた金利先物市場
全部で31兆ドル存在する米国債の価格が利上げによって大きく下落しているのだから、数千億ドルや数兆ドル規模の損失はアメリカ経済に去年からずっと存在しているのであって、数百億ドルのキャッシュフローが尽きて死んだシリコンバレー銀行など氷山の一角に過ぎないし、今更そんなことはニュースでも何でもない。

いつものことだが、ここでは世界最高のファンドマネージャーの言うことを事前に先取りして読者に伝えている。

債務の量と貨幣の量

さて、今回一番考えてほしいのは、債務の量と貨幣の量である。

長年の緩和政策によって大量の借金が積み上がった。中には国債もあれば社債もある。

問題は、それを持っている人(お金を貸している人)は後でお金が返ってくることを前提にそれを持っているということだ。

だが、金融引き締め政策とは市中の貨幣量(マネーサプライ)を減らす政策である。お金をばら撒いてインフレになったのだから、インフレを抑制するためにはばら撒かれた貨幣を回収する必要がある。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
だが債務自体については人々が貨幣が全額返ってくることを想定しているのに、その貨幣の全体量が減ってしまえば、返ってくる貨幣を誰かが諦めなければならないということになる。

当たり前の話ではないか。そしてそれをデフォルト(債務不履行)と呼ぶ。

ダリオ氏はこう続けている。

債券を持っているということは、後でお金を受け取る権利があるということだ。だがその権利が世界中で多過ぎる。

だから債券保有者には2つの可能性がある。お金を満額受け取ることが出来なくなるか、紙幣印刷で価値の薄まったお金を満額受け取るかだ。

どう考えても避けられない二者択一

だから貨幣量を減らす政策(金融引き締め)を続けるのであればデフォルトや倒産は増え続けなければならず、貨幣量を維持するのであれば物価はこのまま高騰を続ける。

貨幣の量と債務の量がどうなるかということを考えればほとんど算数の問題に近い当たり前の結論である。だがシリコンバレー銀行の破綻後も余裕をかましている政府や中央銀行の役人たちにはそれが理解できない。基本的に彼らには経済のことは何も理解できない。

サマーズ氏 : 経済予想を間違い続けている中央銀行は自分探しの旅に出るべき
経済不況かインフレ継続か、どちらかしかない。まともな異論があれば聞いてみたいのだが、残念ながら存在しないだろう。

ポールソン氏の2023年株価予想: 倒産が急増し株価は下落する
アイカーン氏: 株価はここから30%暴落する


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35881

9:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/04/19 (Wed) 12:31:53

22年に続き高インフレで実質収入は減少している
2023.04.19
政府が自慢した満額春闘は労働者の1割の大企業だけだった


「満額春闘」、9割の労働者に関係なし

2022年の前年比消費者物価上昇率は4.0%だったので1年間で4%上昇し、21年12月の0.5%から跳ね上がり国民生活に打撃を与えている

植田日銀総裁は「今年度半ばに2%を下回る」と述べていて、日本のインフレは長続きせず沈静化するとの見通しを示している

インフレは生産に対して需要が大きいために起きるが今回はウクライナ侵攻などで原油や天然ガスの供給が減ったのが原因で、日本の景気が良くなったわけでは無かった

アメリカの場合は利上げしても6%以上のインフレが続いていますが、向こうは富裕層の爆買いが止まらず景気が良すぎてインフレになっています

アメリカは上下の所得の差が非常に大きいので、富裕層は毎日フェラーリを買える一方で平均以下の層は高騰する家賃を払えずホームレスが増えている

アメリカでは高収入な人ほどより所得が増えているのに対し低所得な人は物価上昇に賃金上昇が追い付かず、特に家賃は大都市だとワンルーム(2人用)30万円から50万円になっています



日本では23年1月の全国実質賃金が前年比マイナス4.1%になり、物価上昇率のプラス4.0%を丸ごと労働者が負担しているのが分かった

従業員5人以上のすべての事業所平均で、物価が4%上がったのに賃金上昇はゼロか微減だった

春闘などで大幅増が報道されていたが安倍首相時代から疑問に思っていたのは、政府は大企業正社員の賃金だけを上げようとし、ボーナスが出ないような労働者は「人間ではない」とでも思っているらしい

大企業の正社員は日本の全労働者の10%しかおらず、この人達のボーナスをどうしようが9割の労働者には何の関係もない話です

牛丼屋や回転ずしが給料やボーナスを引き上げても、店で働いているのはパートやバイトや個人事業主扱いなので、これも無関係な話です

そうした会社の給料引き上げて収入が増えるのは本社に所属している正社員の人達だけです



日本政府はインフレで債務圧縮
帝国データバンクによると23年の食品値上げが4月18日時点で2万品目になり、前年より3カ月早い2万品目突破になりました

同社では23年秋には値上げが3万品目を超えると予想しているが、植田総裁が正しければ夏をピークにインフレは沈静化する筈です

日銀はインフレ率が上がってもなるべく利上げしない方針を示しているが、その理由の一つは今回のインフレが需要が強まったのではなく原油価格上昇に過ぎないからです

景気が良すぎて物価が上がるなら良いですが景気は悪いまま賃金が上がらないのに物価だけが上昇しているので、今アメリカのように利上げしたらハイパー不況になるでしょう

もう一つは借金に苦しむ日本政府に低金利は都合が良いからで、インフレ率より国債金利が低ければ日本政府の債務は実質でインフレ分だけ圧縮されます

日本政府は防衛費倍増で5兆円、子育て支援でも数兆円を必要としているので、既存債務1000兆円を年数パーセント圧縮できるのは助かる筈です

毎年1%でも政府債務が GDPに対して圧縮されると10年で10%減るので侮れない数字になり、年10兆円も公的債務が実質目減りします

政府債務が減る分はインフレで苦しむ国民に押し付けられる訳で、何のことはない「政府債務の民間債務への付け替え」に過ぎません

GDP成長率予想は相変わらず実質1%前後(IMF予想は1.8%)に留まっていて、他の主要国より低い状態が今後も続く
https://www.thutmosev.com/archives/47654345j.html
10:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/04/23 (Sun) 04:21:06

銀行危機を引き起こした銀行という詐欺同然の仕組みを廃止すべき
2023年4月22日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36067

シリコンバレー銀行が取り付け騒ぎの後に破綻したとき、そもそも銀行という仕組みについて筆者が考えていたことがあるのでそれについて書いてみたい。よく考えてみれば、銀行という仕組みそのものがおかしいか、あるいは少なくとも不要なのである。

シリコンバレー銀行の取り付け騒ぎ

シリコンバレー銀行は取り付け騒ぎの後に破綻した。主な顧客だったシリコンバレーのスタートアップがアメリカの金融引き締めで資金調達に苦労し、そもそも貯金をすり減らしていたことに加え、シリコンバレー銀行自身も投資していた米国債の価値の下落により損失を出していた。

詳細は以下の記事で説明している。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
だが今回焦点を当てたいのは、預金者の大半が単に銀行に預けていると思っていた預金の大半が実際には別の場所に投資されており、しかも預金者の預かり知らぬところで損失を出しているということである。

銀行のビジネス

実際、預金者が銀行に預けた現金は9割方銀行には存在しない。銀行は預金者から預かった資金を貸し出して金利収入を得るビジネスなので、あなたの預けた預金の大半は別の個人や企業に貸し出されているか、国債などを購入するために使われており、銀行内には存在しない。

だが銀行が第3者に貸した金は返って来なかったり、購入した国債の価格は下落したりする。その時に預金者に金を返せと言われれば、銀行は金を全額持っていないので、破綻してしまうわけである。

大雑把に言えばこれがシリコンバレー銀行が破綻した理由である。特にコロナ以後のインフレを抑制するためにアメリカでは金融引き締めが行われ、債券価格が大幅に下落したので、損を出している銀行は多いはずだ。以前以下のように書いたことを思い出したい。

シリコンバレー銀行破綻で年内の利下げを予想し始めた金利先物市場
全部で31兆ドル存在する米国債の価格が利上げによって大きく下落しているのだから、数千億ドルや数兆ドル規模の損失はアメリカ経済に去年からずっと存在しているのであって、数百億ドルのキャッシュフローが尽きて死んだシリコンバレー銀行など氷山の一角に過ぎないし、今更そんなことはニュースでも何でもない。

本質的な問題点

ここで一番の問題が何かを考えてほしい。一部の素人からは債券価格下落をヘッジしておくべきだったという意見が出ているが、ヘッジのコストを考えればそれはそもそも不可能であり、ヘッジとは何かを理解していない上に本質からも外れた意見ということになる。

又貸ししていること自体も問題ではない。銀行とは元々そういうビジネスである。だがここで問題なのは、預金者が又貸しされていることを認識していないことである。

そもそも預金が預金と呼ばれているのだから、金融業について何も知らない預金者がそう考えるのは当然だろう。預金者はただ銀行に現金を預けただけである。それを勝手に別のところに又貸しして良いという同意を明示的に与えている預金者がどれだけ居るだろうか。

実際には預金者は債権者なのである。銀行が貸した金を失えば、そのお金が戻って来ないこともある。銀行にお金を「貸す」のではなく「預ける」という表現にしていることは、又貸しの事実を意図的に隠して人々が何も考えずにお金を「預け」に来るように仕向けており、あからさまに言えば詐欺的であり、控え目に言っても虚偽表示である。

だから銀行が自分の借金を「預金」と呼び続ける限り、人々が何も知らずに現金を預けに来て、それがいつの間にか消えているということが起き続ける。それが銀行危機の本質的問題である。銀行が「預かって」いるはずの現金は実際には9割方存在しないのだから。

本質的問題を解決するために

話をもう一度整理しよう。実質的に言えば、人々が銀行にあずけているお金は実際には国債などに投資されている。

これは実際には預金者が国債に投資をしていることに等しい。だが銀行の虚偽の表示により、預金者はそれを意識していない。

この状況により預金者は2つの不利益を被っている。1つは自分のお金がどうなっているかを十分に知らされていないこと、もう1つは入ってくるはずの国債の金利を銀行に中抜きされていることである。

アメリカでは政策金利は4.75%まで上がっているので、本来預金者は普通預金に対しても4%以上の金利をもらって良いのだが、アメリカの多くの銀行では預金者に十分な金利を支払っておらず、ゼロ金利に慣れてしまった預金者の多くはその中抜きに気づいていない。

この状況を解決する方法は簡単である。銀行という仕組みを廃止して、預金者が直接国債やMMF(マネー・マーケット・ファンド)に投資すれば良いのである。

この議論において、証券会社と銀行の違いは1つである。顧客が自分で投資をしているのか、顧客は自分の知らない間に自分の資金を勝手に投資されているのかである。そして証券会社においては(売買手数料は払うものの)国債の金利を中抜きされることもない。

本質的に考えれば銀行など要らないではないか。彼らが中抜きに対して証券会社以上にどういう価値を提供しているというのか。

結論

世間で金融のリテラシーが云々と言うからには、少なくとも国民は1ヶ月物国債などを自分で理解して買うぐらいの知識を持っても良いはずだ。だが日本政府の言うような金融教育は、そういう本当に必要な教育ではなく、プロは絶対に買わないような、銀行や証券会社が手数料で儲けるために設計された投資信託のようなものを盲目的に買わせるという教育である。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
更に言えば、日本は政府だけではなく証券業界もどうしようもないので、個人投資家が債券を自由に売買できるような証券口座がほとんど存在していない。

こういう状況を誰も疑問に思わないのだから、 日本では金融庁にも金融業界にもまともな見識を持った人間がいないのである。それでつみたてNISAのようなものが流行ることになる。

ちなみにつみたてNISAは既に詰んでいる。まさにつみたてである。

株式投資ブームに乗った時点で個人投資家の損失はほぼ確定している

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36067

11:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/04/27 (Thu) 20:17:57

ファーストリパブリック銀行の株価、2日で6割暴落、銀行危機は悪化へ
2023年4月27日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36234

シリコンバレー銀行に続いてまた銀行の破綻危機である。

ファーストリパブリック銀行の株価が急落している。シリコンバレー銀行の取り付け騒ぎに続き、やはり預金が急速に流出しているらしい。

ファーストリパブリック銀行の株価暴落

銀行危機はやはり続いている。まずは株価を見てもらおう。ファーストリパブリック銀行の株価は次のように推移している。


そもそも3月のシリコンバレー銀行の危機の時に既にかなり落ちているので見づらいが、直近の2日で16.0ドルから5.69ドルまで64%下落しているのが分かるだろうか。

3月の暴落では不十分だったということだが、今週に何があったのかと言えば、決算発表である。

決算発表で株価暴落

4月24日に発表された決算の何が悪かったのか。例えば売上高と純利益は2023年1-3月と2022年1-3月で次のように変化している。

売上高: 10億ドル -> 16億ドル
純利益: 4億ドル -> 3億ドル
それほど悪くないではないか。売上高は急増しており、金利上昇による借り入れコストの増加などで純利益は下がっているが、別に赤字になっているわけでもない。

何故この決算で株価チャートが上記のようにならなければならないのか? それは資産と負債の部分を見れば分かる。特に預金の部分である。貸借対照表には以下の表な変化が書かれている。今度は年末から3月末までの変化を見てみよう。

預金: 1,764億ドル -> 1,045億ドル
短期借入金: 67億ドル -> 804億ドル
預金が3ヶ月で700億ドル減っている。ちなみに預金は大手銀行に緊急で預けてもらった300億ドルを含めても700億ドル減っているので、実際には1,000億ドル減っていることになる。

それをFed(連邦準備制度)から短期借入金として借りてカバーしたわけである。だから短期借入金が700億ドル増えている。

ほとんどなくなった預金

ちなみにファーストリパブリック銀行の総負債はこれらの緊急融資の結果大幅に膨らんでおり、しかも預金は急激に減ったので、他行からの預金を除く通常の顧客からの預金は、総負債2,150億ドルに対して446億ドルしかない。

つまり、普通は銀行業とは顧客から預かった預金を他に貸し出す商売であるはずであるのに対して、ファーストリパブリック銀行の資産・負債構成はその75%以上が大手銀行や中央銀行に借りたお金で出来上がっているということになる。

銀行は政府や他行にお金を貸してもらう商売ではない。もはや銀行としての体裁を保てていないのである。それで株価がこうなった。


銀行危機は何も終わっていない

以前のFOMC会合でFedは次のように言っていた。

3月FOMC会合結果、パウエル議長に2018年世界同時株安の影が見え始める
アメリカの銀行システムは健全で強靭だ。

リーマンショックやインフレの脅威を何の根拠もなく無視した政府や中央銀行の予想のでたらめさがまた明らかになったというだけのことである。

何故こうなるのかということについては、以下の記事で既に説明しておいたのでそちらを参考にしてほしい。銀行業という時代遅れの商売がそもそも間違っているのである。それがインフレ危機で露呈したに過ぎない。

銀行危機を引き起こした銀行という詐欺同然の仕組みを廃止すべき
だがもっと重要なのはこの状況がアメリカ経済全体について示唆することである。

銀行危機は何も終わっていない。シリコンバレー銀行はFedの利上げで破綻したのだから、金利が高止まりする限り同じような破綻は銀行に限らず何度でも起き続ける。これについては以下の記事などで既に何度も説明しておいた。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
世界最大のヘッジファンド: シリコンバレー銀行破綻はドミノ倒しのように伝染する
その状況がそのまま起こり続けている。

アメリカ経済は既に詰んでいる

その原因が金利高なのだから、金利が下がらない限り危機はこのまま悪化してゆくだろう。

そして金利がどうなるかと言えば、不動産価格が上昇し、高騰している家賃も下がらないということになれば、Fedは金利を高く保たなければならないだろう。それが前回の記事の意味である。

下落し続けていたアメリカの住宅価格が上昇に転じる、インフレ再燃か
不動産など一部の市場が過熱したままインフレに寄与し続ける一方で、銀行業や中小企業などの破綻は止まらない。過熱と不況が同時に来るのがインフレの後始末である。1970年代もそうだったではないか。

ポール・ボルカー氏、1980年のインフレ打倒がどれだけ厳しかったかを語る
そしてインフレが収まるまで株式市場も何度でも頭を叩かれ続ける。米国株は以下のように推移している。


長期見通しは年始に語った通りである。インフレの後始末をする限り、そうならざるを得ないのである。株価の見通しについては以下の記事を参考にしてもらいたい。

アイカーン氏: 株価はここから30%暴落する
ポールソン氏の2023年株価予想 : 倒産が急増し株価は下落する
2023年の株価予想 : 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36234
12:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/04/30 (Sun) 05:12:44

「銀行が潰れる理由」大西つねきの パイレーツラジオ2.0(Live配信2023/03/20)
https://www.youtube.com/watch?v=9r5yYTN9yoY
13:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/06 (Sat) 09:54:52

ガンドラック氏: 5月の利上げは間違い、銀行はこれからも破綻し続ける
2023年5月5日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36492

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏がCNBCのインタビューで、5月のFOMC会合におけるFed(連邦準備制度)の利上げとアメリカで続いている銀行破綻について語っている。

5月のアメリカ利上げ

5月のFOMC会合ではFedは市場の予想通り0.25%の利上げを行なった。アメリカの政策金利はついに5%となった。

5月FOMC会合結果、金利低下で株価下落となった理由
だがパウエル議長は次回6月の会合で利上げを継続するのかについてはデータ次第だとした。

ガンドラック氏はこの会合について次のように語っている。

態度をはっきりさせない会合だった。市場もそれを想定していた。次の会合でやることについて決定も予想も何もしないという態度は、国債市場のこれまでの入り込みと一致している。

2021年に既に上がっていたインフレ率をパウエル議長が何の根拠もなく無視したように、中央銀行の経済予想はどうせ当たらないのだから、予想しないのが正しいというわけだ。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ (2021/7/18)
会合後のパウエル議長の記者会見については次のようにコメントしている。

多少タカ派であったか、それを匂わせる態度であったとも思う。パウエル議長はインフレ退治を固く決心しているように聞こえたし、2%のインフレ目標を堅持しているようだった。

インフレ率はこれまでに大きく下落した一方で、これからは同じ速度では下がらないと彼が言ったのも正しい。

アメリカのインフレ率は去年の秋以降大きく下がっている。それを一番正しく予想したのもガンドラック氏である。

アメリカのインフレ率は次のようになっている。

3月米インフレ率はサービスのインフレが減速、経済急降下確定へ

インフレ率の見通し

だがここ半年のインフレ率の下落は大きく原油価格の下落に依存している。以下は原油価格のチャートである。


だが原油価格の下落も徐々に緩やかになってきているので、CPI(消費者物価指数)への影響も緩やかになってくる。

去年にはインフレ率の急落を予想したガンドラック氏は、今後のインフレ率について次のように予想している。

われわれの予想ではCPI(消費者物価指数)のインフレ率は今年、前年同月比で4%までしか落ちないだろう。それはFedが経済に何かが生じない限り金利を今の水準に保つことを意味する。

だが銀行破綻が続く中、経済に何かが生じる可能性が低くないことは間違いない。

「何かが生じなければ」インフレ率はそれほど下がらない。だが「何か」は起きないのだろうか。

銀行危機の今後

何故そう言うのかといえば、アメリカではそこそこの規模の銀行が立て続けに破綻しているからである。最初はシリコンバレー銀行だった。最近ではファーストリパブリック銀行である。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
ファーストリパブリック銀行の株価、2日で6割暴落、銀行危機は悪化へ
そして今ではパックウェスト・バンコープが危うくなっている。株価は次のようになっている。


絶体絶命ではないか。

これらの銀行は顧客が預金を引き出していることで破綻している。ガンドラック氏は次のように解説している。

人々は預金を引き出している。何故ならば、銀行にお金を預けておく理由がまったく存在しないからだ。

アメリカでは政策金利が5%まで払っているにもかかわらず、当座預金(日本の普通預金に相当)に対して十分な金利を払っていない銀行がある。

そういう銀行の預金者は、本来ならば5%近い金利が得られるにもかかわらず、預金に対して十分な金利を得ていない。銀行が中抜きしているのである。以下の記事で解説している。

銀行危機を引き起こした銀行という詐欺同然の仕組みを廃止すべき
ガンドラック氏は次のように続ける。

Fedが5%利上げしたお陰で、預金者はもっと大きな金利がいくらでも手に入る。数ヶ月物の国債の金利は5.2%だ。

2年物国債の金利は銀行危機を経て1%以上下がったが、それでも預金は流出を続けているようだ。今が銀行危機の最終章ということにはならないだろう。

以下の記事でシリコンバレー銀行の決算書を見ながら説明したように、これらの銀行が破綻しているのはFedの利上げが原因に他ならない。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
利上げをしなければならなくなったのはインフレのせいだから、すべてはインフレのせいなのだが、いずれにしても原因である高金利がなくならない限り、銀行破綻はなくならないだろう。

ハイエク: 緩やかなインフレが有益であるという幻想
銀行危機の結末

ちなみに銀行破綻の何が悪いかと言えば、銀行が破綻することの他に、破綻していない他の銀行も破綻しないように手元に現金を置いておこうとすることである。

つまりは銀行が中小企業への融資を渋るようになる。実際そうなっているというデータをガンドラック氏が以下の記事で指摘している。

ガンドラック氏: 銀行危機後に中小企業はお金が借りられなくなっている
だが中小企業が融資を受けられないと資金繰りが厳しくなって預金を引き出すことになるので、結局は銀行が苦しむことになるという悪循環である。

ガンドラック氏は今回の会合で利上げはしない方が良かったとした上で、次のように述べる。

Fedが利下げをするのでなければ、この危機を止められるものが一体何かあるだろうか。だが次の会合で利下げはないとFedは言っている。

インフレが起こった時点で筆者は既に言っていたことだが、アメリカ経済は既に完全に詰んでいる。インフレとはそういうものなのである。

ちなみに日本政府はいまだにインフレを目指して紙幣印刷や全国旅行支援などのインフレ政策を行なっている。それが既に利上げを終えようとしているアメリカ人にとってどう見えるかは、経済学者ラリー・サマーズ氏が以下の記事で語っている。

サマーズ氏: 日銀の植田総裁はイールドカーブコントロールからの離脱プロセスを開始した
誰もが脱出を試みている泥舟に乗り続けることにかけて日本人より優れた国民はない。世界大戦時、植民地政策に遅れてやってきてすべての罪を被せられた日本人の優れた先見性は今も健在らしい。彼らは天才だと思う。

ちなみに3月の会合でFedは次のように言っていた。

3月FOMC会合結果、パウエル議長に2018年世界同時株安の影が見え始める
アメリカの銀行システムは健全で強靭だ。

政府の金融関係者は基本的に何も分かっていないので全員解雇すべきだろう。何故彼らが必要なのか。一体何の役に立つのか。犬の餌にでもなるのか。誰かに教えてもらいたいものである。

ガンドラック氏 : 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36492
14:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/06 (Sat) 20:14:17

【教えて!ワタナベさん】 アメリカで相次ぐ銀行破綻 その理由は?[R5/5/6]
https://www.youtube.com/watch?v=zmeOULkXQDo
15:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/07 (Sun) 05:06:57

4月雇用統計はインフレ継続、銀行危機とのコラボでスタグフレーションへ
2023年5月6日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36530

インフレ相場における最重要指標の1つ、アメリカの雇用統計が発表された。4月分である。結論から言えばあまり良いデータとは言えない。

過熱の続く労働市場

つまりはインフレ的だったということだ。

まず失業率だが、3.4%となり3月の3.5%から低下した。グラフは次のようになっている。


本来ならば失業率低下は良いことだが、雇用の手が弱まらなければ賃金が上がり、賃金が上がるとサービス価格が上がる。

去年の秋から3.5%や3.4%を底として推移しているので、辛うじて底打ちしているようには見えるが、それでも労働市場の過熱はなかなか収まらず、よってサービスのインフレも根強く長く続くと考えなければならないだろう。

急上昇した時給

では平均時給の方はどうかと言えば、前月比年率(前月からの変化率が1年続けばどうなるかを示したもの)で5.9%の上昇となり、3月の3.3%から急上昇した。


どう見ても良くない数字である。違う年の同じ月同士を比べる前年同月比とは違い、前月比年率の数字は月の違いを打ち消すのを恣意的な季節調整に頼っているので、単月の数字が異常値になることはあるが、住宅価格の上昇と重ねて考えると、やはり利上げが足りていないのではないかと思う。

下落し続けていたアメリカの住宅価格が上昇に転じる、インフレ再燃か
板挟みになる中央銀行

さて、労働市場が堅調な一方で、アメリカでは銀行の方は着々と潰れていっている。

シリコンバレー銀行から始まり、最近ではファーストリパブリック銀行が潰れたが、今ではそれから1週間も経たないうちにパックウェスト・バンコープの破綻が懸念されている。レイ・ダリオ氏の予想した通りである。

世界最大のヘッジファンド: シリコンバレー銀行破綻はドミノ倒しのように伝染する
シリコンバレー銀行の破綻は高金利が原因なので、高金利が続く限り銀行は潰れ続ける。筆者も当時から言い続けているが当たり前である。

現在、アメリカの政策金利は5%である。この5%の金利は銀行にとっては致死量であるらしい。

一方で、労働市場や住宅市場は5%では死なないと言っている。

結論

さて、中央銀行は金利をどうするのか? インフレを抑制するために金利を更に上げるのか? それとも銀行や中小企業を救うために金利を下げるのか?

金利を上げれば、現在の金利水準で既に死んでいる銀行などのセクターは地獄絵図となるだろう。一方で金利を下げれば、恐らくアメリカのインフレ率は住宅価格やサービス価格を中心として再び上昇してゆく。

だからインフレを引き起こしてはならないと言ったではないか。何度も言うがインフレには物価上昇以外の意味はない。辞書を引いてほしい。それ以外のどんな妄想をこの片仮名4文字に見ていたのか。インフレとは物価上昇である。そして物価が上昇して喜ぶのは多額の借金が実質的にチャラになる政府とゾンビ企業だけである。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
ハイエク: 緩やかなインフレが有益であるという幻想
国民は何故そんなものを支持したのか。インフレを引き起こすと宣言し、インフレを引き起こした黒田氏は颯爽と逃げて行ったではないか。20世紀の大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏は『貨幣論集』においてインフレ政策について次のように言っていた。

短期において支持を獲得することができれば、長期的な効果について気にかける政治家が果たしているだろうか。

だがはっきり言っておく。 インフレの意味も知らずにインフレ政策を支持した国民が馬鹿なのである。そして日本にはいまだに状況を理解できない馬鹿が大量にいる。日本は終わりである。日本円で積み上げられた自分の預金が10年後に無事だとは思わない方が良いだろう。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36530
16:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/14 (Sun) 12:17:04

世界最大のヘッジファンド: 銀行危機は悪化しインフレは止まらずスタグフレーションになる
2023年5月12日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36793

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がModern Wisdomのインタビューでアメリカ経済の先行きについて語っている。

積み上がった債務とシリコンバレー銀行破綻

アメリカ経済はGDPで言えば減速はしているもののプラス成長を維持してはいる。

ますます弱ってゆくアメリカGDP、2023年第1四半期は予想以上の減速
だがアメリカ経済に不安があるのは何故か。シリコンバレー銀行などの地方銀行が次々に破綻しているからである。

アメリカ経済はいま非常にいびつである。全体としてはまだ減速してない一方で、地方銀行や中小企業などは悲鳴を上げている。

ダリオ氏はこの状況をどう見るだろうか。彼は次のように述べている。

大きな問題は大量の政府債務、そして企業の債務、それよりは少ないが家計の債務が積み上げられたことだ。

シリコンバレー銀行の問題は特定の銀行の問題ではなく世界規模の問題だ。

何故か? ダリオ氏がよく言っているように、誰かの負債は誰かの資産だからである。借金があるということは、誰かがお金を貸しているということである。お金を貸した人は貸したお金の代わりに債券を受け取る。政府にお金を貸せば国債を受け取る。そして貸し手は債券を当然ながら自分の資産だと思っている。

債券は金融市場で売買できるので、債券の保有者はそれを忘れがちだが、それは誰かの借金なのである。

膨大な借金が積み上げられたということは、世の中には大量の債券があり、それを多くの人が持っているということを意味する。そして問題は、それらの債券の価格が何十年もの低金利政策で人為的に押し上げられてきたということである。

特に2008年のリーマンショック以来、世界中の中央銀行が紙幣を印刷して買い入れ、債券価格を直接買い支えてきた。

それを買い支えられる間は良かったかもしれないが、インフレが起こると緩和政策はインフレを悪化させる。それでアメリカやヨーロッパは長年続いた緩和政策を撤回し、債券価格の人工的な買い支えを止めなければならなくなった。

インフレ退治と債券価格

それは債券価格の下落を意味する。債務が少なければその影響も少ないかもしれないが、残念ながら債務は世界中に大量に積み上がっている。

そしてそれは債券として誰かが保有している。それは世界中で資産価格が大きく下落していることを意味する。

破綻したシリコンバレー銀行も下落した米国債を持っていた。それが破綻の一因となった。だが米国債を持っているのはシリコンバレー銀行だけではない。アメリカの政府債務は31兆ドル積み上がっており、それは誰かの資産であり、しかもその大半は価格が大きく下落している。それが今の問題である。

ダリオ氏は次のように述べている。

同じことが何処でも起こっている。銀行だけではない。保険会社もそうだ。世界中で同じことが起こっている。ヨーロッパでも、そして日本でもドル建ての債券を持っている人は多い。

だがアメリカの中央銀行であるFed(連邦準備制度)次のように主張していた。

3月FOMC会合結果、パウエル議長に2018年世界同時株安の影が見え始める
シリコンバレー銀行の破綻は例外的な事例だ。銀行システム全体に広く存在する脆弱性ではない。

彼らはアメリカの中央銀行でありながら米国債の発行残高と価格推移を知らないらしい。日本の黒田なにがしを含め、中央銀行に期待できることは高々そのくらいである。

ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない
銀行危機は波及する

さて、銀行危機の問題はそれだけではない。シリコンバレー銀行が破綻したということは、それで損をした人がいるということである。シリコンバレー銀行の株主や債券保有者は当然だがシリコンバレー銀行破綻で大損した。それらの人々のうち何人かは、まだ表沙汰になっていない何処かで苦境に陥っているだろう。それが次のシリコンバレー銀行となり、その破綻が更に次のシリコンバレー銀行を作ってゆく。

ダリオ氏は次のように述べている。

金融引き締めがドミノを倒そうとしている。これから更に問題が生じることになる。

増えすぎた債務の帰結

結局のところ、債務の量が多すぎることが問題なのである。債券が多すぎるが、これまで買い支えていたFedはもう債券を買っていない。

ダリオ氏はこの問題の帰結についてこう述べている。

金利が上がるか中央銀行がまた紙幣印刷して買い支えるしかない。この問題は欧州中央銀行でも日本銀行でも同じだ。

一部のファンドマネージャーは後者を予想してゴールドを買っている。

ドラッケンミラー氏、ドルを空売りしてゴールドを買い
ポールソン氏: ドルからの離脱が今のトレンド、資金逃避で金価格上昇へ
だが問題は、どちらでも酷い問題が生じるということだ。ダリオ氏はこう続ける。

シナリオは2つある。 1つは価値の落ちていない通貨で普通に債務が支払われること、もう1つは紙幣印刷で簡単に返すことだが、その場合には通貨の価値は落ちているだろう。

借金を真面目に返せばこれまでの借金漬けの優雅な生活はできなくなる。借金で優雅な生活をしていたのは国民ではなく政治家とその票田なのだが、彼らは増税とインフレを通して国民に支払いを依頼するそうだ。日本人は投票を通してそれにイエスと言っている。

いずれにせよ不況かインフレ、あるいはその両方しかない。ダリオ氏はこう纏めている。

多分スタグフレーションになると思う。

日本ではいまだに国の借金が増えただの、政府の借金は国民の借金ではないから大丈夫だのという話をしている。本当に馬鹿ではないのだろうかと思う。この状況をどう読み取ればそういうお花畑な結論になるのだろうか。

世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
マイナード氏: 日銀の持続不可能な緩和政策の破綻は他国の教訓的前例になる

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36793
17:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/14 (Sun) 12:53:01

ドラッケンミラー氏: あと半年でハードランディング、米国経済に死体が積み上がる
2023年5月13日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36802

ジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを運用していたことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏がFed(連邦準備制度)の金融引き締めでハードランディングが起こるタイミングについて語っている。

史上最大の資産バブル

バブルが崩壊しようとしている。2008年のリーマンショック後に始まったゼロ金利と量的緩和という名の紙幣印刷政策は、中央銀行の緩和がある状態が当たり前だという意識をアメリカ経済に植え付けた。

更にはコロナ後に世界中で現金給付が行われ、特にアメリカ経済には未曾有の規模の資金が流れ込み、そして世界的な物価高騰が起こった。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした
インフレによって金融市場の状況は一変した。Fedはインフレ抑制のために大規模な緩和政策から一転して大規模な引き締め政策を強いられ、もはや緩和政策は出来なくなった。アメリカのインフレ率は2022年からの引き締めで下がってきてはいるが、緩和をするとインフレが再発するからである。

ドラッケンミラー氏はこの状況について次のように述べている。

今の状況はわたしが見た中、あるいは研究した中で最大かつもっとも広範囲な資産バブルで、それは10年か11年続き、フィナーレとしてコロナ後にアメリカ政府は5兆ドルを支出し、Fedはその60%を融通した。

そして今や大幅な利上げが行われている。これらの要素と、1950年以来数えるほどしかソフトランディングは起こっていないこと、そしてそれらはすべてFedが事前に対処した結果であったことを考えると、ソフトランディングがあり得ると考えることは困難だ。

Fedはもはや事前に対処できない。もしかすると事後にも対処できないかもしれない。金融引き締めでアメリカ経済が壊滅状態に陥ったとしても、そのときにインフレ率が下がっているとは限らない。もしインフレ率が下がっていなければ、Fedはインフレ抑制のために引き締めを続けて既に壊滅状態のアメリカ経済を更に壊滅的にするのか、あるいは経済成長率を救うために緩和をして既に起こっているインフレの火に油を注ぐのかの選択を強いられることになる。

それがインフレ政策を煽った政治家たちの口からは語られなかったインフレの本当の意味である。つみたてNISAもそうだが、詐欺師が事前にリスクを説明することはない。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
ハードランディングのタイミング

だからドラッケンミラー氏はハードランディングは不可避だと考えている。だがそれ自体は筆者が2021年にインフレが起こったときからずっと予想していることだ。筆者が不況前に起きるアメリカ国債の長短金利逆転を予想し、それを的中させたのはもう1年も前の話である。

長短金利逆転を予測できた理由と今後の不況と株価暴落について
だが巨大なバブルは徐々にしか崩壊しない。リーマンショックも住宅価格の下落という終わりの始まりから完全な崩壊まで2年かかった。経済危機の歴史を振り返ると、ショックと言っても一瞬で起こるわけではないのである。

ドラッケンミラー氏はハードランディングのタイミングについてどう考えているのだろうか? 彼は次のように述べている。

タイミングについては、それがハードランディングかソフトランディングかということよりも不確実になる。

すべての状況を考慮すると、タイミングは今年の第4四半期から来年の第1四半期だろう。

これから半年ほどといったところだろうか。

現在のアメリカ経済と今後の見通し

まだ時間がかかる理由は、金融引き締めの影響はアメリカ経済の一部には既に深刻な状態となっているが、影響を受けるまでにまだ時間がかかるセクターもあり、経済がいびつな状態になっていることである。

ドラッケンミラー氏は次のように説明している。

データは強弱入り混じっている。住宅市場は歴史的には経済全体の先行指標だが、それは十分に強い。レストランや旅行も十分に強い。だが例えばトラック輸送は6ヶ月から8ヶ月ほど早い先行指標としてわたしの会社の創業以来経済予想に役立ってきたが、それは極めて弱い。小売からは非常に悪いニュースが聞こえてくる。

そして銀行の問題だ。

一番悲鳴を上げているのは地方銀行だろう。シリコンバレー銀行の破綻に始まり、もういくつもの銀行が破綻している。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
最初がシリコンバレー銀行だったことには恐らく意味がある。シリコンバレーにはゼロ金利にあぐらをかいて利益を永遠に出す気がなかった赤字企業が大量にいて、借金で延命されていたが、金融引き締めで借金が出来なくなって死んだのである。そうした企業が預金を引き出したのでシリコンバレー銀行も死んだ。

それはリーマンショック以来積み上げられたゾンビ企業を大掃除する過程なのである。ドラッケンミラー氏は次のように述べている。

資金があふれかえると人々は馬鹿げたことをする。資金が11年もあふれかえると人々は本当に馬鹿げたことをする。

だから水面下ではそれが始まっている。地方銀行が良い例だ。

一部の人は銀行危機がもう終わったと嘯いている。だがドラッケンミラー氏は不吉な予想を口にしている。彼は次のように言っている。

だが死体はもっと積み上がるだろう。

それは以前から分かっていた。だがそろそろタイミングを予想する時期が近づいている。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36802
18:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/15 (Mon) 06:31:54

ドラッケンミラー氏: リーマンショックより酷くなる可能性は否定できない
2023年5月14日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36808

引き続き、ジョージ・ソロス氏のクォンタムファンドを運用したことで知られるスタンレー・ドラッケンミラー氏のSohn Conferenceにおけるインタビューである。

ドラッケンミラー氏のインフレ率の推移予想

前回の記事ではドラッケンミラー氏がハードランディングまであと半年ほどだと予想している部分を取り上げた。

ドラッケンミラー氏: あと半年でハードランディング、米国経済に死体が積み上がる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36802

だが今回はこれまでの経済危機とは違い、インフレが起こっているという問題がある。

ハードランディングが起こった時、インフレ率は下がっているのか? 下がっていれば、普通の不況だ。下がっていなければ、不景気と物価高が両方来るスタグフレーションになる。

ドラッケンミラー氏は今後のインフレ率の推移について次のように語っている。

難しいのはマネーサプライをどう見るかだ。

エド・ハイマン氏はマネーサプライが史上最速の速さで縮小していることを指摘した。

だが話はそれほど簡単じゃない。マネーサプライは数年前と比べると30%後半から40%ほど拡大している。だから積み上がっているお金の量はそれでも極めて多いということだ。

マネーサプライとは市中に存在している現金や預金の総額である。コロナ後に現金給付によってばら撒かれた多額のお金は今どうなっているのか? 実質マネーサプライのグラフは次のようになっている。


Fed(連邦準備制度)の金融引き締めによってマネーサプライは急減している。だが絶対水準で言えばそれでもコロナ前よりもかなり多いのである。

そもそもコロナ後にマネーサプライが酷いことになったのがグラフから分かるだろう。それを押し上げたのは現金給付である。これでインフレにならないと言った馬鹿は今どうしているのか。ジェフリー・ガンドラック氏はそれくらいは12才児でも分かると述べていた。

ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない
ドラッケンミラー氏のインフレ率の推移予想

マネーサプライが急減しながらもまだ積み上がっていることは、恐らくアメリカに景気後退がまだ来ていないこと、特に消費がいまだに強いことの原因だろう。

以下の記事でGDPの内訳を分析しているが、それがなかったらアメリカ経済は既に景気後退しているはずだ。

ますます弱ってゆくアメリカGDP、2023年第1四半期は予想以上の減速
しかしそれでもマネーサプライは急減速している。

ドラッケンミラー氏は年末年始頃にアメリカ経済はハードランディングになると予想した。

ドラッケンミラー氏: あと半年でハードランディング、米国経済に死体が積み上がる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36802

ではその頃にはインフレ率はどうなっているのか? 彼は以上のことをすべて考慮に入れた上で次のように予想する。

インフレ率は今後6ヶ月から9ヶ月で恐らく3%から3.5%辺りまで下がるだろう。

現在アメリカのインフレ率は5.0%である。

サプライズなしの4月米国インフレ率発表でドル安に動いた理由

インフレ率の長期見通し

だが問題はその後である。ハードランディングに陥った時に中央銀行がどうするのかによってその後のシナリオが変わってくる。

ドラッケンミラー氏は次のように述べている。

そこからが難しい。Fedがどうするか予想しなければならないからだ。

Fedが緩和に逆戻りすればインフレ第2波になり、引き締めを続ければ経済恐慌になる。

前回の記事でも言っていたが、ドラッケンミラー氏は基本的にインフレ第2波をメインシナリオとしている。理由は歴史上緩和をやり過ぎて問題を引き起こしてきたFedの経歴である。彼は次のように述べる。

わたしは2000年や2021年から2022年前半までにおけるFedの対応に本当に驚いている。そして来年が大統領選挙の年であることを考慮すべきだ。

ドラッケンミラー氏はバイデン政権がパウエル議長に圧力を掛けることを想定しているのだろうか。

また、ドラッケンミラー氏は1970年代におけるFedの議長、ポール・ボルカー氏の前任者で緩和的な政策でインフレを悪化させたアーサー・バーンズ氏を持ち出して次のように述べている。

インフレ率が3%か3.5%まで下がった時に彼らがアーサー・バーンズ氏のように対応するならば、インフレが下がった時に即座に反応せず龍を殺しきらないならば、今後数年はインフレーションか、恐らくはスタグフレーションになるということを強調したい。

だが一方で、次のように現在の世界経済には巨大なデフレ圧力も存在することにも言及している。

あるいは現在の巨大な資産バブルが弾けた場合、もう経済はどうにもならないかもしれない。

結局はFedが物価高騰か経済恐慌かどちらを選ぶのかという問題に帰着する。だからドラッケンミラー氏は笑いながら次のように言っている。

先週社内で会議があったのだが、そこでわたしはこう言った。インフレ率は今後3年8%で推移するとも言えるし、デフレになるとも言える。

結論

だがインフレ第2波でも経済恐慌でも経済は酷いことになるだろう。それがインフレというパンドラの箱を開けてしまった紙幣ばら撒きの末路である。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした
それはどれくらい酷い結果になるのか。ドラッケンミラー氏は次のように続けている。

これは2007年や2008年とは違うということが繰り返し言われている。

だがそう言っている人々が2007年に危機を予想したという話を聞いたことがない。

わたしは2008年より悪い状況を予想しているわけではない。明日のニュースでわたしがそう言ったという見出しを付けてほしくはない。

だがこれだけの資産バブルの後であること、ゼロ金利のあとに史上もっとも急激な金利の上昇があったことを考えると、本当に酷いことが起きる可能性を除外するのは本当にナイーブだと思う。

一体どうなるだろうか。だがドラッケンミラー氏を含め、あと1年以内だと言い始めた専門家が多いのである。

世界最大のヘッジファンド: 経済クラッシュで量的緩和再開まであと1年以内


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36808
19:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/16 (Tue) 11:49:51

【Front Japan 桜】米債務上限問題と一連の銀行破綻 [桜R5/5/16]
キャスター :渡邉哲也
https://www.youtube.com/watch?v=1UAcSof_wMI
20:777 :

2023/06/02 (Fri) 07:03:39

金融引き締めはどのように株価を下げるのか
2023年5月31日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37164

シリコンバレー銀行の破綻に始まる銀行危機で金融市場は悲観的になってみたり、銀行の破綻が一定期間起こらなければ楽観的になってみたり、市場は忙しいものである。

現在は相場の踊り場のような状況だと思うので、ここで一度金融引き締めと株価という基本的なことを再確認してみよう。

株価と金融引き締めの関係

コロナ後の紙幣印刷と現金給付が世界的なインフレをもたらし、アメリカはそれを抑制するために金融引き締めを行っている。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
株価は次のように計算される。

株価 = 1株当たり純利益 x 株価収益率
だから、金融引き締めが株価に影響を与えるとすれば、企業利益と株価収益率のどちらか(あるいは両方)に影響を与えることによって行われることになる。

実際には金融引き締めはその両方に影響を与える。株価収益率に関しては簡単である。株価収益率は株式の実際の価値(つまり将来の純利益)に対してどれだけ高く(あるいは低く)評価されているかを示している。

金利が高くなれば、株式を保有するリスクを取らなくても金利収入が多くなるので貯金や国債の保有などに資金が流れる。逆に金利が低くなればお金を預けていても金利が得られないので株式にお金が流れる。

だから株価収益率は第一に(実質)金利に影響される。金利が高ければ株価収益率が低くなるので、株価も低くなる。アメリカの実質金利の推移を見れば、2022年に株価が下がった理由も、2023年に株価が横ばいになっている理由も分かるだろう。


株価収益率は他にも市場のセンチメントなどにも影響されるが、金利が基本になるので、予想がしやすい。ドル円に関する記事で書いたように、筆者はアメリカの実質金利がこの辺りで天井だと思っているので、今後の推移に関して言えば、実質金利は株価に不利な方向へは動かないと筆者は予想していることになる。

最近のドル高の理由とドル円の今後1年の推移予想
企業利益はどうなるか

あとは企業利益の問題である。こちらは予想が難しいのだが、企業利益に影響を与える要素はいくつかある。例えばGDPで言えば消費は企業利益には直接的には無関係であり、投資は企業利益に影響を与える。

このことについては以下の記事で説明しているので詳しくはそちらを参照してほしいが、重要なのは投資がどうなっているかである。

ドラッケンミラー氏、2023年の株式市場見通しを語る
アメリカのGDPの構成要素のうち投資は次のように推移している。


コロナ後の現金給付の影響で急上昇した後、その上昇分をすべて消しそうな勢いで急降下している。

その理由はアメリカの金融引き締めである。金利が上昇すれば企業は投資がしにくくなる。もっとマクロ的に言えば、借金がしにくくなって市中に存在する現金と預金の総量(マネーサプライ)が減少し、それが投資を行う金銭的余裕を失わせているのである。

だから投資がこのまま下降を続けるのかを予想するためには、マネーサプライがどうなるのかを考える必要がある。そしてマネーサプライは次のように推移している。


銀行危機を受けての銀行の貸し渋りなどもマネーサプライの減少に拍車をかけている。銀行危機も金融引き締めによって起こったことである。

世界最大のヘッジファンド: 銀行危機は悪化しインフレは止まらずスタグフレーションになる
そしてマネーサプライは、アメリカが政策金利を5%程度の水準に維持し続ける限り減少を続けるだろう。

結論

もちろん企業利益に影響を与えるのは投資だけではなく、米国株を考えるならば海外要因も考慮しなければならないわけだが、投資がこのような勢いで急降下を続けるのであれば、ここのところ既に下がっている1株当たり利益もやはり下落を継続すると見るべきだろう。

また、現在の米国株の水準は企業利益の減少と金利の上昇という要因を十分に織り込んでおらず、これらの要素を考えるとかなり割高な状態に位置している。米国株は以下のように推移している。


これら2つは米国株にとってマイナスの要因である。

だが一方で、実質金利の低下による株価の上昇の可能性は排除できない。だから株価の下落に賭ける投資家は、実質金利の低下をヘッジする必要がある。

筆者は基本的に金利低下に賭けているので、2年物米国債の買いとドル円の空売りが両方ともアメリカの金利低下に賭けた大きなポジションである。

最近のドル高の理由とドル円の 今後1年の推移予想


ただ、1つだけ言えるのは、金利上昇と株価上昇が両方来るシナリオはないということである。それは以上の理屈を読めば理解できるだろう。それが起こっている限り、市場は本当の方向へは向かっていない。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37164
21:777 :

2023/06/02 (Fri) 22:10:23

ポジャール氏: ファーストリパブリック銀行の破綻は自業自得
2023年6月2日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37187

クレディスイスの短期金利戦略グローバル責任者だったゾルタン・ポジャール氏が、Bitcoin 2023においてアメリカの破綻した銀行であるシリコンバレー銀行とファーストリパブリック銀行の違いについて語っている。

ポジャール氏のクレディスイス離脱

ポジャール氏の話に入る前に、まず何故彼の経歴が過去形になっているのかについて話そう。

ポジャール氏は去年8月の時点で、現在のアメリカの金利水準を的確に当てていた、筆者が推している天才アナリストである。

ポジャール氏: 政策金利は5%以上に上がって景気後退ではなく恐慌を引き起こす (2022/8/8)
だが筆者は彼の所属がクレディスイスであることをあまりに勿体ないと日頃から思っていた。そしてクレディスイスは潰れて同じスイスの同業であるUBSに買収された。クレディスイスの破綻については以下の記事に少し書いてある。

ガンドラック氏、無価値になったクレディスイス債券の保有者におむつ卒業を薦める
そしてポジャール氏はどうやらこのごたごたでクレディスイスから抜けたようなのだ。公式発表はないが、所属を「未定」と書いたネームタグを付けて会議に参加しているところを目撃されている。

それでポジャール氏がどうなるか(彼ならばすぐに良い職場が見つかるだろうが)気になっていたのだが、恐らく今回のインタビューはその後初めてのものだろう。

アメリカの銀行危機

さて、今回のインタビューは最近の銀行危機の話題から始まる。ポジャール氏にうってつけの話題だったのだが、上記のごたごたで彼はまだ銀行危機についてコメントしていなかったからである。

アメリカの銀行危機において一番最初に潰れたのが、シリコンバレー銀行である。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
その後に続いてファーストリパブリック銀行などの他の銀行が破綻した。

だが、ポジャール氏によれば、これらの銀行が潰れた理由は必ずしも同じではないという。

彼はまずシリコンバレー銀行について次のように語っている。

シリコンバレー銀行は、不幸な債務の構成を持ち合わせてしまった例だ。シリコンバレー銀行はベンチャーキャピタルやハイテク投資家を多く顧客に持っていた。

金利が上がり始めた結果爆発したセクターといえばグロース株で、その筆頭がハイテク株だ。だから主要な顧客がまず資金を銀行から引き上げ始めたわけだ。

アメリカはインフレ対策で金利を上げた。そして金利が上がって真っ先に死んだのが、これまでゼロ金利で延命されていた利益を上げられないゾンビ企業であり、アメリカのシリコンバレーにはそういうスタートアップが大量に存在していた。

だから銀行危機の最初がシリコンバレー銀行だったのは必然だったのである。

しかもシリコンバレー銀行の不幸はそれだけではなかった。ポジャール氏は次のように続ける。

一方で、シリコンバレー銀行はベンチャーキャピタル向け融資や長期の債券を抱えていて、それらをリスクヘッジすることもできずに価格は下がっていった。

だから資産と負債の両方の面で状況が悪化した。

金利上昇で特に価格が下がったのが、シリコンバレー銀行の抱えていた長期の債券である。

預金は引き出され、持っていた債券の価格が下落した。ハイテク企業と取引していたことも、元々低金利が続いていた状況で比較的金利の高い長期債を保有していたことも、どちらもそれほど愚かな行ないではない。シリコンバレー銀行はインフレと金利高騰の犠牲者である。

ファーストリパブリック銀行

だがポジャール氏によれば、その後に破綻したファーストリパブリック銀行は事情が違うという。彼は次のように述べている。

ファーストリパブリック銀行は別の話だ。金利オンリーローンについては聞いたことがあるだろう。

金利オンリーローンとは、少なくとも一定期間元本を返済せずに金利だけ支払っていれば良いローンのことであり、ファーストリパブリック銀行は富裕層を顧客に取り込むためにそうしたローンを提供していた。

一定期間元本が返ってこないわけだから、ファーストリパブリック銀行に現金が無くなったのは当然である。普通に営業していたらインフレと金利高騰が直撃したシリコンバレー銀行とは違うというわけである。

ポジャール氏にはファーストリパブリック銀行から不動産ローンを借りた友人がいたらしく、早速次のようにアドバイスしたらしい。

今度うますぎる不動産ローンを受けた時にはその不動産ローンをくれた銀行の株を空売りしよう。

結論

ということで、アメリカの銀行危機のちょっとした詳細について今回はお伝えした。ちなみに言っておくが、銀行危機は終わっていない。次に破綻するものが銀行か別のものかは分からないが、危機を引き起こした前提はそのまま存在しているからである。

世界最大のヘッジファンド: 銀行危機は悪化しインフレは止まらずスタグフレーションになる


一方でポジャール氏はこのインタビューで他の様々な話題について語っているので、次回以降それもお伝えするつもりである。楽しみにしていてもらいたい。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37187
22:777 :

2023/09/06 (Wed) 22:39:03

アメリカ銀行危機の次の危機が株価を下落させる
2023年9月6日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39630

2023年3月のシリコンバレー銀行破綻からほぼ半年が過ぎ、市場は平静を取り戻した。だが市場が平静を取り戻したことは必ずしも良いことばかりではない。

米国のマネタリーベース

筆者がそう思ったのは、アメリカのマネタリーベースのチャートを眺めた時である。アメリカのマネタリーベースのチャートは次のようになっている。


リーマンショック以後、そして近年ではコロナショック以後の量的緩和によって膨らんだアメリカのマネタリーベースは、2021年以降のインフレを受けて縮小されていた。

だがマネタリーベースは2023年3月に再び上昇に転じているのが分かる。シリコンバレー銀行などの破綻を受け、Fed(連邦準備制度)が紙幣印刷によって破綻した銀行の債務を買い取ったからである。だがそれが最新7月のデータでは再び下落に転じているのがお分かりだろうか。

マネタリーベースの下落再開

債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏などは、銀行危機後の一時的な紙幣印刷によってインフレ再発を懸念していた。銀行危機に対するFedの措置は事実上の量的緩和だからである。ガンドラック氏はこう述べていた。

ガンドラック氏、シリコンバレー銀行破綻でインフレ悪化予想
インフレ政策が戻ってきている。Fedは資金の貸出制度を通じて銀行システムに資金を注入している。去年の8月か9月からのパウエル議長のインフレ打倒の決意はもう何処かへ行ってしまったようだ。

実際、それはアメリカの金利を一定期間押さえつけていたのかもしれない。最近の長期金利の上昇は、3月以降の金利下落が元に戻っただけだと言うことも出来るからである。


銀行危機は落ち着いたかのように見える。そして金利は元に戻り、インフレ抑制のために行われている量的引き締め(つまりマネタリーベースの減少政策)が再開され、マネタリーベースも下落を再開し始めた。

銀行危機の原因

ここでそもそも何故シリコンバレー銀行などの銀行が破綻したのか、その原因をもう一度思い出してほしい。

銀行危機の原因は利上げと量的引き締めによる金利高騰である。金利高騰によってシリコンバレー銀行の主な顧客であったシリコンバレーの赤字企業はお金が借りられなくなり、シリコンバレー銀行の保有していた長期国債の価格が下落した。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
そして今や銀行危機は解決されたと誰もが思っている。もう一度長期金利のチャートを見てみよう。


一体何が解決したのだろうか。原因はまだそのまま残っている。

結論

市場の楽観は債券市場の状況を引き締める。金利は上がり、中央銀行の支援策は終わる。マネタリーベースと長期金利のチャートはそれを示している。

危機を通り抜けた結果、長期金利は変わっていないが、変わったものが1つある。人々の楽観である。

元々高金利に怯えていた人々が、実際には何も解決していないにもかかわらず、もう問題がないと思い始める。そしてより高い金利、より強い引き締めを受け入れるようになる。

そしていずれはマネタリーベースの減少が引き起こした2018年の世界同時株安の天井のような状況が訪れる。

バブルの頂点で日経平均は上昇、空売りを淡々と継続 (2018/9/20)
危機は徐々に大きくなってゆく。2008年のリーマンショックでは、ベアスターンズが破綻した後、リーマンブラザーズが破綻した。

何故危機は大きくなるのか。何故ベアスターンズが破綻した時に問題を根本的に解決できなかったのか。その原因は、危機の原因が継続しているにもかかわらず、危機を通り抜けるたびに人々の楽観が強くなるからである。何故か原因の継続には誰も注意を払わない。

米国株はなかなか天井を超えられない。それも当たり前である。米国株の長期上昇トレンドは終わったのだ。


米国株の長期上昇トレンドは1980年から2020年までの40年にわたる金利低下トレンドに支えられていた。だからそれはインフレで金利を上げなければならなくなった2022年に終わったのである。だが人々はそれを無視している。誰も原因と結果を考えない。

ドラッケンミラー氏: 今後10年の株式市場はバイアンドホールドでは勝てない
稀代のファンドマネージャー、ジョージ・ソロス氏は著書『ソロスの錬金術』で次のように言っていた。

強気相場は小爆発にときおり見舞われながら続いていく。そうしているうちに、だれも小爆発を恐れなくなる。このときこそ、大暴落の条件が整ったときなのである。

銀行危機を引き起こした高金利が帰ってきている。誰もそれを気にしていない。だがすぐに気にせざるを得なくなるだろう。原因が存在し続ける限り、危機も起こり続けるからである。

この楽観は誰もが本当に悲観しなければならないような状況が起こるまで止まらないだろう。 歴史上いつもそうなのである。

金利高騰による株価下落で米国経済ハードランディングの確率高まる

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39630
23:777 :

2023/10/01 (Sun) 11:08:18

世界最大のヘッジファンド: 中央銀行でもインフレで破綻する可能性
2023年9月30日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40262

引き続き、世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏の自社の動画配信におけるインタビューである。今回はインフレと中央銀行について語っている部分を紹介する。

インフレと銀行と中央銀行

インフレで銀行が破綻した。シリコンバレー銀行などのアメリカの銀行は、インフレによる金利高騰で倒産に追い込まれた。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
金利高騰で銀行が潰れた1つの理由は、保有する国債価格の下落である。金利上昇は債券にとって価格下落を意味するため、金利が上がれば債券は下落する。

銀行は預金者からお金を預かってその金で国債を買う。その国債の価格が下落し銀行が損失を被ったわけだが、ここで読者は気付くはずである。国債を大量に保有しているのは、普通の銀行だけではない。

ダリオ氏は次のように語っている。

中央銀行は皆、保有債券に大きな損失を抱えている。そしてそれがどのように処理されるかによって、財政上の問題が発生する。

中央銀行は、日本などの多くの先進国では国債の最大の保有者となっている。そして金利上昇によりその国債価格が下落するときに含み損が発生する。

中央銀行の損失は通常政府によって補填されなければならない。含み損を損失とみなすかどうかは財政というよりは法律の問題だが、例えば国債を売ることになれば含み損が確定損になり、また金利高騰で中央銀行が被る損失は債券価格下落だけではない。

金利上昇のもう1つの問題

アメリカで銀行危機が起こった原因はもう1つあった。銀行は預金者から預金を預かって国債を買っている。金利上昇で国債価格が下落した一方で、預金者には高い金利を払わなければならなかった。

つまり、金利上昇が銀行にとって2つの意味で打撃となったのである。

そして中央銀行といえどもお金を預かる業務を行なっている。預金者は市中銀行である。

だから金利、特に短期金利が上がれば、中央銀行は銀行に高い金利を払わなければならなくなる。銀行が苦しんでいる二重の問題が中央銀行にもそのまま襲いかかるわけである。

しかも、金利の支払いは、含み損のように会計上の問題ではない。金利を支払うためにはお金を何処からか持って来なければならない。そして実際にその問題に陥っている国が既に存在する。ダリオ氏はこう述べている。

例えばイギリスでは、イングランド銀行がGDPの2%に相当する損失を補填しなければならなかったので政府に補填を頼んだが、政府はお金を借りなければ補填できない。

だが政府の財政は中央銀行の紙幣印刷でもっているのではなかったか。中央銀行が政府の足を支え、その政府が中央銀行の足を支えることで空中浮遊をする世界が実現しつつある。オウム真理教か。

そしてドイツも同じ問題に直面していることは、以下の記事で報じておいた。ドイツでは中央銀行の財政問題で実際に利払いが停止されている。

ドイツの中央銀行、資金不足で政府の口座への利払い停止を決定
ダリオ氏は次のように纏めている。

だから、この状況における古典的な結末は、歴史上いつでも起こってきたように、中央銀行自身が財政上の困難に陥るということである。

だが読者はこう思うだろう。中央銀行には紙幣を印刷して利払いを行なうという選択肢もあるのではないか。

その通りである。だが紙幣印刷は要するに量的緩和である。そして今、中央銀行はインフレが起こったことによって量的緩和の撤回と、その逆回しである量的引き締めを強いられている。そうしなければ、インフレが収まらないからである。

その状況下で利払いのために中央銀行が紙幣印刷を強いられるようなことになればどうなるか? 物価上昇はもはや止まらなくなるだろう。

結論

インフレを良いものだと何の根拠もなく主張したアベノミクス以来のリフレ論者は、まだ絶滅していないのかどうかは知らないが、それでも中央銀行が破綻することなど有り得ないと考えている。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
しかしもはやそれさえも間違っている。ダリオ氏はこう述べている。

われわれは中央銀行の財政が問題になるわけがないと思っているが、それは間違いだ。損失が発生すれば何処からか補填しなければならない。そして中央銀行は更にお金を印刷する必要に迫られるが、それが更に問題を悪化させる。

そしてダリオ氏によれば、 インフレと現金給付の時代となった現代、歴史上何度も起こってきた中央銀行の破綻という問題が近づきつつある。

ダリオ氏はこう説明している。

注意して見なければならないのは、中央銀行が再び量的緩和を再開する時だろう。それはレッドフラグだ。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40262
24:777 :

2023/10/16 (Mon) 11:15:23

チューダー・ジョーンズ氏: 大統領選挙のアメリカ経済への影響
2023年10月15日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40639

引き続き、CNBCによるポール・チューダー・ジョーンズ氏のインタビューである。今回は来年のアメリカ大統領選挙と米国株およびインフレについて語っている部分を紹介したい。

米国株と政府債務

前回の記事では、ジョーンズ氏は今米国株に投資するのは難しいと語った。その理由は、莫大な国債の発行残高に対する利払いが金利上昇によって急増しており、その支払いのためにこれまで株価を支えてきた財政支出が不可能になるからである。

チューダー・ジョーンズ氏: 今は米国株に投資をするのが非常に困難
ジョーンズ氏はこう語っていた。

このままでは、あなたたちが支払う税金の恐らく20%近くがただ国債の利払いのために消えてしまうだろう。

GDPの100%を超える政府債務に対する金利が、ほとんどゼロに近かった状態から5%まで上がろうというのだから、それがどれだけの利払い増加になるのかはすぐに想像できる。

それがジョーンズ氏が米国株に弱気な理由である。そしてだからこそ彼はこう続ける。

だから政府債務は来年の大統領選挙の主な論点になるべきだ。

大統領選挙と政府債務

しかし来年の大統領選挙と、政府債務の問題について少し考えてほしい。筆者の言いたいことが、分かった人はもう分かったのではないか。大統領選挙の結果にはどういう可能性があり、その結果政府債務はどうなるだろうか。

ジョーンズ氏は半笑いで次のように言う。

だが、問題なのは、大統領としてわれわれが選ぶ選択肢が、まさにわれわれをこの状況に追い込んだ張本人2人だということだ。

債券市場は予備選挙が近づくほどにそれを織り込んでゆくと思う。

高金利はインフレ抑制のための措置であり、ではインフレを引き起こしたのが誰かといえば、まさにバイデン大統領とトランプ前大統領である。

彼らの行った莫大な現金給付がインフレを引き起こした。2022年のウクライナ情勢が2021年から始まっていたインフレの原因であるというマスコミによる完全なデマを信じている人でも、現金給付によって急増した可処分所得のグラフをインフレ率と並べて表示すれば、誰がインフレを引き起こしたのか一目で分かるだろう。


2020年初頭の所得急増と、2020年末の比較的小幅な所得増加がトランプ政権によるもの、その真横の2021年初頭の大幅な所得増加がバイデン政権によるものである。

結論

だからジョーンズ氏はこう述べる。

アインシュタインはこう言った。問題を生み出した人物は、それを解決する人物ではない。

だがこのまま行くと、バイデン氏とトランプ氏が両党の候補者になりそうだ。

それは金融市場にとってどういう意味を持つのか。大方の予想通り2024年に景気後退になれば、中央銀行のトップであるパウエル議長がどう対応するかについては複数の専門家が予想を出している。

サマーズ氏: パウエル議長のインフレ退治が本気かどうか疑う理由
ドラッケンミラー氏: 経済が強い時に引き締めを続けるのは簡単だが
だが投資家が考えなければならないことがもう1つある。来年の大統領選挙の結果、財政政策がどうなるかである。

そしてそれは、景気後退後のパウエル氏の対応よりもむしろ読みやすいのではないか。

ドラッケンミラー氏、アメリカ経済のハードランディングとインフレ第2波を予想
景気後退になれば様々なものが下落するだろうが、その後の財政・金融政策がどうなるかによって、その時に底値買いすべきものが決まる。楽しみに待ちたいものである。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40639
25:777 :

2024/01/29 (Mon) 13:35:07

米国の景気後退が遅れている原因のマネーサプライ、2ヶ月連続で上昇
2024年1月28日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/43784

アメリカではインフレ打倒のために利上げが行われたが、インフレ率は3%台まで下がったあと下落が止まっており、アメリカ経済もさほど停滞していない。

利上げとインフレ率

インフレ率を9%から3%まで下げるような高金利がアメリカ経済に大きなダメージをもたらさないことは考えづらく、2023年には多くの識者がアメリカの景気後退を予想していたが、そうはならなかった。正しく予想していたのはSoros Fund ManagementのCEOであるドーン・フィッツパトリック氏くらいだろう。

2022年のフィッツパトリック氏の経済予想が完全に当たっている

では何故景気後退にならなかったのか。ここではその原因として、アメリカでコロナ後に日本の何倍もの規模で行われた現金給付による資金がまだ実体経済の中に残っていることを何度も挙げてきた。

その度に掲載してきたのが、市中の現金と預金の総量を示すマネーサプライである。実質マネーサプライのグラフは次のようになっている。


マネーサプライは2020年から急騰している。コロナ後の現金給付によるものであり、この猛烈な紙幣のばら撒きで世界的なインフレが起きたのだが、インフレになって慌てた政治家たちは金融引き締めによってばら撒かれた紙幣を回収しようとした。

だからマネーサプライは下落していた。下落していたのだが、グラフをよく見れば2023年の春あたりから下落スピードが緩んでいるのが分かるだろう。

何故緩んでいるかと言えば、2023年春にシリコンバレー銀行を筆頭とするアメリカの銀行が高金利に耐えられずいくつも潰れたからである。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する (2023/3/13)
これに慌てたFed(連邦準備制度)は預金者救済の措置を講じたが、その救済措置がマネーサプライの減少を鈍化させたのである。

マネーサプライ減少と景気後退

その一件がなければ、マネーサプライは当初の減少スピードを維持し、恐らくアメリカ経済は2023年に景気後退に入っていただろう。もはや皆が忘れている去年の銀行危機だが、マネーサプライへの影響という形で今もアメリカ経済に影響を与え続けているのである。

そして今回何故マネーサプライをもう一度取り上げたかと言えば、今週発表された最新12月の実質マネーサプライが、前月11月から2ヶ月続いて上昇しているからである。

実質マネーサプライのグラフをもう一度載せよう。


分かりにくいかもしれないのだが2回連続で上昇しているのである。

結論

これは投資家にとって非常に重要な経済統計である。もちろん2回の上昇がこのまま上昇トレンドの継続を意味するわけでもないのだが、銀行危機以前には急激な速度で下落していたマネーサプライが、今では下落なのか上昇なのかを議論するようなトレンドに陥っている。

これは2つのことを意味する。まず、このままマネーサプライが明確な下落トレンドに戻らないならば、アメリカの景気後退が2024年にさえ来ない可能性があるということ、そしてもう1つは、3%台で横ばいとなっているインフレ率が上がるか下がるかという論争があるが、このグラフはインフレ加速側を支持するデータだということである。

インフレ率低下を予想しているのは債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏、上昇リスクを指摘しているのは経済学者のラリー・サマーズ氏である。

ガンドラック氏: アメリカのインフレ率は2.5%まで更に下落する
サマーズ氏: 米国経済リスクは景気後退よりもインフレ再加速
筆者はどちらかと言えばサマーズ氏寄りの意見を持っている。

インフレは果たして本当に収まったのか。来月発表される雇用統計とインフレ統計に注目したい。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/43784

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