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ミラノの住民の平均身長は過去2000年間ほとんど変化していなかった

1:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/16 (Thu) 11:57:20

雑記帳
2023年03月16日
ミラノにおける過去2000年間のヒトの身長の推移
https://sicambre.seesaa.net/article/202303article_16.html

 イタリアのミラノにおける過去2000年間のヒトの身長の推移を報告した研究(Biehler-Gomez et al., 2023)が公表されました。身長は、遺伝的要素と環境的要素の相互作用により直接決定される生物学的形質で、ヒトも同様です。そのため身長は、骨格の生物学的特性や過去の健康状態や人口集団の社会動態を復元するための指標として評価されることが多くなっています。日本史では、江戸時代の平均身長の低さがよく知られているように思いますが、これはタンパク質の摂取不足のためでしょうか。

 本論文は、人類学収集法医人類学・歯科法医学研究室 (Collezione Antropologica LABANOF、略してCAL。LABANOFとは「Laboratorio di Antropologia e Odontologia Forense」の略称)所蔵の549体の骨格の分析に基づいて、ローマ時代から現代までの約2000年にわたるミラノの男女成人身長の通時的傾向の研究を提示します。ミラノ社会の富裕層ではない人々のためのネクロポリス(大規模共同墓地)から得られた骸骨は、以下の5期間のいずれかに分類されました。それは、ローマ時代(1~5世紀)、中世初期(6~10世紀)、中世後期(11~15世紀)、近代(16~18世紀)、現代(19~20世紀)で、先行研究の回帰式にしたがって身長が推定されました。収集されたデータは、Rソフトを用いた単変量分散分析(ANOVA)によって統計解析が行なわれました。

 その結果、いずれの時代においても身長には充分な標準偏差が見られ、全体的に男性の身長は152.0~195.4cmの範囲内にあり、平均身長は157.8cmでした。しかし、統計解析の結果、ミラノでは男女とも身長に関して時代による有意な差は見られませんでした。これは、ヨーロッパにおける身長の傾向に通時的変化がないことを示す稀な事例です。この研究は、ミラノ市の住民の身長が時代を経ても安定している傾向について、市民の生活環境が他地域よりも比較的良好であることに関連している、と推測しています。また本論文は、ミラノ市が天然資源と食料資源に恵まれていたことは記録によって示唆されており、ミラノ市の城壁が潜在的な脅威に対する防御になっていた点を強調しています。イタリアについては、古代ゲノムデータを用いた長期の人類史も研究されており(関連記事1および関連記事2)、遺伝的構成の変化との関連でも注目されます。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


人類学:ミラノの住民の平均身長はローマ時代から変わっていないかもしれない

 ローマ時代から20世紀までにイタリアのミラノで埋葬された500人以上の遺骨の分析が行われ、ミラノの住民の平均身長が過去2000年間ほとんど変化していなかったことが示唆された。どの時代にも身長の個人差が見られたのに対し、さまざまな時代の平均身長の比較では、男女とも有意差が認められなかったのだ。今回の研究について報告した論文が、Scientific Reportsに掲載される。

 ヒトの身長は、遺伝や環境の影響によって決定され、ヒト集団の健康や社会的動態の指標として用いられることが多い。今回、Mirko Mattiaたちは、過去約2,000年の間にミラノに埋葬された男女(計549人)の遺骨を分析した。この分析では、ローマ時代(紀元1~5世紀)、中世初期(6~10世紀)、中世後期(11~15世紀)、近代(16~18世紀)、現代(19~20世紀)の時代区分が用いられた。また、これらの遺骨は、裕福でない人々のものであったことが、墓から見つかった物品や埋葬地の史料から判明した。

 全体として、男性の身長は152.0~195.4センチメートルの範囲内にあり、平均身長は168.5センチメートルだった。女性の身長は143.5~177.6センチメートルで、平均身長は157.8センチメートルだった。男性と女性の平均身長は、時代が変わっても安定しており、時代間の有意差は見られなかった。

 Mattiaたちは、ミラノ市の住民の身長が時代を経ても安定している傾向は、市民の生活環境が他の地域よりも比較的良好であることに関連しているという考えを示している。また、Mattiaたちは、同市が天然資源と食料資源に恵まれていたことが記録によって示唆され、同市の城壁が潜在的な脅威に対する防御になっていた点を強調し、今回の研究結果は、ヒト集団の身長が数千年にわたって変化しない珍しい例だと結論付けている。

 今回の分析に用いられたヒトの骨格の残骸は、ミラノ大学のCAL(法医人類学・歯科法医学研究所の人類学コレクション)の一部であり、新設されたMUSA(人権のための人類学・医学・法医科学の大学博物館)に展示されている。


参考文献:
Biehler-Gomez L. et al.(2023): The diachronic trend of female and male stature in Milan over 2000 years. Scientific Reports, 13, 1343.
https://doi.org/10.1038/s41598-023-28406-5

https://sicambre.seesaa.net/article/202303article_16.html

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