777投稿集 4379253


アメリカに逆らうと暗殺される? 農業政策から学ぶアメリカと日本の主従関係

1:777 :

2023/03/02 (Thu) 03:16:56

日本人が忘れ去った能力 _ 昔のおばちゃんは、米俵60kg x 5つを持ち上げてた
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16853689

60歳を過ぎてアレ食べてる人は、確実に病気になって寝たきりの人生を送ります
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16837571

甘い物を食べると脳の毛細血管が炎症を起こしブドウ糖を摂取できなくなる
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16868637

砂糖依存症 _ ドラッグの乱用と同じように、摂取するたびに毎回ドーパミンが放出される
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16856394

果糖ブドウ糖液糖は危険! 炭酸飲料やスポーツドリンクは飲んではいけない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16832927

吉野敏明 _ 日本人が病気になる原因は小麦・砂糖・牛乳と植物油
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14141482

吉野敏明 _ 白内障・緑内障・飛蚊症の原因は植物油
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16881198

吉野敏明 _ その食用油の選び方、間違っています。 体にいい油と悪い油とは?
https://www.youtube.com/watch?v=G77i1fKsOMQ
https://www.youtube.com/watch?v=G8SI4oiUvQ8

吉野敏明 _ 慢性鼻炎・花粉症・アトピー・関節リウマチの原因は小麦のグルテン
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16852903

吉野敏明 _ 戦後アメリカに強制された洋風の食事が日本人の病気の原因
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16850855

吉野敏明 _ 夜間頻尿、高血圧と むくみ は水分の摂り過ぎが原因
1日に飲料から摂取すべき水分量は1.2L、この1.2Lを1日7~8回に分けてこまめに補給するのが良い。
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16852464

吉野敏明 _ シャワーではなく浴槽に入らなければいけない理由
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16852411



牛乳・乳製品は女性ホルモンのエストロゲンを沢山含んでいて危険
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輸入肉は女性ホルモンのエストロゲンを沢山含んでいて危険
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16852463

大豆・豆腐・豆乳・大豆ミートは女性ホルモンのイソフラボンを沢山含んでいて危険
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プラスチック容器と缶詰は女性ホルモンのビスフェノールA を沢山含んでいて危険
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OK食材・NG食材リスト | レクチンフリーについて | ゆるレクチンフリー生活
本ページでは、「レクチンフリーかどうか」という観点から、OK食材・NG食材のリストを記載しています。
https://plus-minus.casa/lectin-free/ok-ng-list


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【三橋貴明】アメリカに逆らうと暗殺される?故・中川昭一議員と、農業政策から学ぶアメリカと日本の主従関係。【日本人のための教養】切り抜き
2023/01/17
https://www.youtube.com/watch?v=QLaaCvcq-wo
2:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/02 (Thu) 03:20:08

酪農家の窮地を国は救え!  放置すれば4割廃業の危機 血の通った財政出動を
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14066863

鈴木宣弘 _ 迫る食料危機! 私たちの食と農を守るためにできること
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14062214

鈴木宣弘 農業消滅!? アメリカの国家戦略に食い荒らされる「日本の食」
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14018404

昭和時代の「食生活」_ 米国の食糧輸出戦略
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14036563

日米合同委員会や年次改革要望書で日本政府の政策がすべて決まっている?
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14027436

明治維新以降、日本はイギリスやアメリカの手先として 動いてきた。
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14058621

日本は軍事大国 _ 射程1000キロの弾道ミサイルと巡航ミサイルを2000発以上保有
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14042059

アメリカの代理戦争_ 沖縄の自衛隊が続々強化‼
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14076455

アメリカ軍は日本国内のクーデターや共産革命を鎮圧する為に日本に駐留している
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14016725

「改憲」の黒幕はアメリカの支配層
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14016721

日本の政治家や官僚はエマニュエル駐日アメリカ大使に脅されて言う事を聞かされている
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14020338

大蔵官僚のノーパンしゃぶしゃぶ事件 _ 日本の国益を考える官僚は全員追放される
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14018037

ネオコンが留学生を洗脳してアメリカ金融資本のエージェントにする手口
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14017634

日本の官僚はアメリカのハニートラップ戦略によって動かされていた
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14017654

アメリカに逆らった政治家の運命
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14018205

伊藤貫 Terror Tuesday『オバマ大統領は火曜日夕方に必ず CIA のブレナンに暗殺指令を出した』
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14003152

3:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/09 (Tue) 03:37:06

うううう
4:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/19 (Fri) 06:05:26

猿人間のジャップには毒入り牛肉でも食わせておけ
http://www.asyura2.com/09/gaikokujin01/msg/516.html
5:777 :

2023/06/23 (Fri) 15:24:18

防衛費倍増「私がキシダを説得した」米バイデン大統領発言で岸田外交の情けなさ浮き彫り
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E9%98%B2%E8%A1%9B%E8%B2%BB%E5%80%8D%E5%A2%97-%E7%A7%81%E3%81%8C%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%83%80%E3%82%92%E8%AA%AC%E5%BE%97%E3%81%97%E3%81%9F-%E7%B1%B3%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%87%E3%83%B3%E5%A4%A7%E7%B5%B1%E9%A0%98%E7%99%BA%E8%A8%80%E3%81%A7%E5%B2%B8%E7%94%B0%E5%A4%96%E4%BA%A4%E3%81%AE%E6%83%85%E3%81%91%E3%81%AA%E3%81%95%E6%B5%AE%E3%81%8D%E5%BD%AB%E3%82%8A/ar-AA1cUJpj?cvid=08d2afaa9c9344269ffc645060622bd2&ei=44

やっぱり岸田首相はアメリカの言いなりだった。岸田首相が昨年に強行した防衛費倍増をめぐり、バイデン米大統領の衝撃発言が波紋を広げている。

「日本は長い間、防衛費を増やしてこなかった。しかし、どうなったか」──。バイデン大統領は20日、カリフォルニアで行われた支援者集会で、日本の防衛費について言及。日本の防衛費増額を岸田首相に説得したとして、次のようにアピールした。

「私は日本の議長、大統領、副……いや失礼、指導者と広島(G7サミット)を含め、確か3回会談した。そして彼(岸田首相)が……、私が彼を説得した結果、彼自身が何か違うことをしなければと思うに至ったのだ。日本は防衛費を飛躍的に増やした」

要するに、バイデン大統領の説得(命令?)があったから、岸田首相は防衛費増額を決めたというのだ。

さらにバイデン大統領は、「日本がヨーロッパの戦争に関心を持ち、ウクライナ支援に貢献しているのはいつ以来だ?」と投げかけ、日本からウクライナ支援を引き出したともアピールしていた。

この集会でバイデン大統領が発した「習近平は独裁者」発言が国内外のメディアで大々的に報じられたが、日本の安全保障にとっては「キシダを説得したのは私」の方が衝撃的である。防衛費増額をめぐる岸田首相の説明とまったく食い違うからだ。

■情けなさすぎる「岸田外交」

防衛費をめぐっては、昨年5月23日の日米首脳会談で岸田首相が「相当な増額」を表明。同月31日の参院予算委で野党議員から「(増額は)対米公約か」と問われると、岸田首相は「我が国の防衛費は我が国が主体的に決めるもの」「決して対米公約ではない」と否定していた。

ところがどっこい、バイデン大統領に「説得」された可能性があるというのだから大問題だ。国際ジャーナリストの春名幹男氏がこう言う。

「岸田首相は防衛費増額という目標を打ち出して以降、具体的な理由を明かさないまま突然、昨年末にNATO並みの『GDP比2%』への引き上げをブチ上げました。防衛費の大枠を示したものの、肝心の中身はスカスカ。必要な装備や人員などにかかる経費を具体的に積み上げた額ではなくアメリカに従っているだけだろうということは、以前から言われていました。バイデン大統領の発言は、案の定といった感じです。むしろ日本側から、アメリカを喜ばせるために『GDP比2%』という、アメリカの要求以上の数字を出したのではないか。対米追従は今に始まった話ではありませんが、改めて日本の防衛・外交の主体性のなさが浮き彫りになりました」

「岸田外交」なんてしょせん、 そんなもの。一国のトップとして、情けない限りだ。
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E9%98%B2%E8%A1%9B%E8%B2%BB%E5%80%8D%E5%A2%97-%E7%A7%81%E3%81%8C%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%83%80%E3%82%92%E8%AA%AC%E5%BE%97%E3%81%97%E3%81%9F-%E7%B1%B3%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%87%E3%83%B3%E5%A4%A7%E7%B5%B1%E9%A0%98%E7%99%BA%E8%A8%80%E3%81%A7%E5%B2%B8%E7%94%B0%E5%A4%96%E4%BA%A4%E3%81%AE%E6%83%85%E3%81%91%E3%81%AA%E3%81%95%E6%B5%AE%E3%81%8D%E5%BD%AB%E3%82%8A/ar-AA1cUJpj?cvid=08d2afaa9c9344269ffc645060622bd2&ei=44
6:777 :

2023/06/26 (Mon) 14:22:23

大東亜戦争敗北後、日本はアメリカの余剰穀物(当初は小麦)の「市場」とされました。


 小麦を食べる習慣がなかった日本を市場化するために、様々なマーケティングが「国家的」に推進された。


 子供たちの給食に、小麦と脱脂粉乳が「援助」され、小麦料理を教えるキッチンカーが全国を走り回り、慶応大学の林髞教授が、
「コメを食べるとバカになる」
 と主張する「頭脳―才能をひきだす処方箋 (1958年)」を書き、30万部も売れるベストセラーになった。


 結果的に、日本の食料自給率はひたすら低下していくことになりますが、国民は真剣に「危機」としてとらえようとしなかった。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12809499324.html
7:777 :

2023/06/27 (Tue) 09:09:30

アメリカのバイデン大統領が、日本に対し「防衛費を増やすよう、三度も説得した」と発言し、記事になっています。

 ちなみに、わたくしは政府の外交の内幕を知る立場にはありませんので、真相はわかりませんが、令和五年度予算における防衛費大幅増について、「背後にアメリカがいるのでは?」との発言を繰り返してきたのは事実です。


 何しろ、令和五年度の防衛関係費は、防衛力強化資金を除いても6.8兆円。GDPの1%を軽く超えています。


 正直、長年、防衛費の増額を訴え続けてきた身としては、
「こんなことがあるのかっ!」
 と驚愕せざるを得なかった。
「防衛費は対GDP比で1%」
 もまた、そもそも意味不明な上に(なぜ「1%」なのか?)、緊縮財政のツールの一つとして使われてきました。


 ロシア・ウクライナ戦争が勃発したとはいえ、財務省主権国家である日本国が、こうも簡単に防衛予算を増やせるのか。財務省のさらに「上」にいる権力者を思い浮かべても、不思議でも何でもないでしょ?

『バイデン氏、日本の防衛費増額を「説得」と主張 日本政府は「異論申し入れ」
 バイデン米大統領が選挙イベントで、日本の防衛費増額を首脳会談などで「説得した」と発言したことに対し、松野博一官房長官は23日の記者会見で、米政府に異論を申し入れたと明らかにした。「防衛費の増額はわが国自身の判断によるものであるとの事実について、発言は誤解を招き得るものだったとの日本の立場を説明した」と述べた。
 松野氏は、申し入れに対し米側から「日本の防衛費の増額は日本自身の判断だったという認識が示された」と説明した。いつ、どのような形で申し入れたかについては「詳細は差し控える」と言及を避けた。
 バイデン氏は20日のイベントで演説し、「日本は長い間、防衛予算を増やしてこなかった」と指摘。「私は広島を含めて3回、日本の指導者と会い説得した」と語り、自身が岸田文雄首相に働き掛けたと訴えた。(後略)』


 菅・前総理にせよ、岸田総理にせよ、アメリカを訪問するたびに「防衛費を拡大する」との声明を出しています(出していました)。とはいえ、令和四年度予算までは、まさに「なしのつぶて」でした。


 それが、ロ・ウ戦争勃発後の令和五年度、現実化した。アメリカの影響力を感じない方がおかしいでしょう。


 もっとも、わたくしは日米合同委員会における「圧力」があったのではないかと予測していましたが、大統領自ら、
「説得した」
 と発言してしまうとは、予想外でした。


 ちなみに、わたくしは日本の防衛費増額は「バイデン大統領の説得」で実現したと断定する気はありません。そもそも、「説得」という言葉が非常に抽象的です。


「いつ、どこで、岸田総理に、○○と言ったら、岸田が○○と答え、その後、防衛予算が彼の言った通り増えた」
 と、具体的に説明してくれるならば、それこそ「説得」力が出るのですが、さすがにその手の話は出てこないでしょう。


 バイデン大統領の発言の正否は分かりませんが、いずれにせよ日本がアメリカの属国であるのは確かです。何しろ、米軍に占領されている状況が続いている。


 占領軍のドンが「防衛費を増やせ」と指示・命令し、属国の首長が増やした。これが事実なのかも知れません。


 三橋TVで語った記憶がありますが、アメリカの圧力があったとはいえ、防衛費を増やした「事実」は評価したい。財務省の壁を突破することは、可能なのですよ。


 もちろん、 財務省の壁を突破するべきは、日本国民や政治家の「意志」でなければならない。


 今回、恐らくはアメリカのパワーにより、防衛予算については財務省の壁を突破した。「突破できる」という実績ができてしまった。この事実が、財務省にとって痛恨事であるのは間違いありません。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12809631058.html
8:777 :

2023/07/01 (Sat) 16:10:19

ニュースの核心 高飛車なバイデン政権に「言いなり」岸田政権は大丈夫なのか 「内政干渉」を疑わせる発言・発信、日本の主権や独立性を軽視
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%81%AE%E6%A0%B8%E5%BF%83-%E9%AB%98%E9%A3%9B%E8%BB%8A%E3%81%AA%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%87%E3%83%B3%E6%94%BF%E6%A8%A9%E3%81%AB-%E8%A8%80%E3%81%84%E3%81%AA%E3%82%8A-%E5%B2%B8%E7%94%B0%E6%94%BF%E6%A8%A9%E3%81%AF%E5%A4%A7%E4%B8%88%E5%A4%AB%E3%81%AA%E3%81%AE%E3%81%8B-%E5%86%85%E6%94%BF%E5%B9%B2%E6%B8%89-%E3%82%92%E7%96%91%E3%82%8F%E3%81%9B%E3%82%8B%E7%99%BA%E8%A8%80-%E7%99%BA%E4%BF%A1-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E4%B8%BB%E6%A8%A9%E3%82%84%E7%8B%AC%E7%AB%8B%E6%80%A7%E3%82%92%E8%BB%BD%E8%A6%96/ar-AA1dhp1k?cvid=555ecafb1a8e431989cd38fdcb6c7dc0&ei=32


ジョー・バイデン米政権による、「内政干渉」を疑わせる発言・発信が続いている。岸田文雄政権による防衛費増額や日韓関係改善について、バイデン大統領は「日本の指導者を(増額で)3回説得した」「私たちは、(日韓の)同盟国を1つにまとめようと懸命に働いた」などと公言し、ラーム・エマニュエル駐日米国大使は日韓関係改善やLGBT法成立などを歓迎するツイートを連発しているのだ。日本の主権や独立性を軽視した暴言。日本政府の異論を受けて、バイデン氏は一部の発言を訂正したが、岸田政権はなし崩し的に「日韓通貨交換(スワップ)協定」の再開で合意し、韓国を輸出手続き上優遇する「グループA(旧ホワイト国)」に再指定している。ジャーナリストの長谷川幸洋氏は「高飛車なバイデン政権」と、それを招いた岸田政権の姿勢を問題視した。



バイデン米政権が日本に対して高飛車な姿勢を続けている。エマニュエル大使がLGBT法の成立を各方面に働きかけたのに続いて、バイデン大統領は日本の防衛費増額をめぐって、「私は3回、日本の指導者を説得した」と自分の手柄のように語った。

私は16日発行の本欄でも警告したが、そんな「内政干渉」まがいの発言が、日本の保守派から強い反発を招いている事態にバイデン政権は気が付かないのだろうか。この調子では、肝心の安全保障にも悪影響を及ぼしかねない。

松野博一官房長官は23日、防衛費増額をめぐって会見で、「(大統領の)発言は誤解を与える」と不快の念を表明し、米側に「増額は日本自身の判断だ」と申し入れたことを明らかにした。

日本政府は27日の閣議で、韓国に対する輸出手続き優遇措置の復活を決めた。すると、エマニュエル大使は同日、ツイートで「岸田首相が示したのは、地域がまさに必要とするリーダーシップ」などと称賛した。

韓国海軍駆逐艦による海上自衛隊哨戒機に対する火器管制レーダー照射事件では、岸田政権は事実関係を棚上げしたうえで、実務者同士で再発防止策を協議する方針を決めた。

韓国が照射した事実を認めていないのを容認してしまったのだから、再発防止も何もあったものではない。「なかった」事件の再発を心配する人が、どこにいるのか。

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バイデン氏は19日の演説で、日韓関係改善を念頭に「私たちは同盟国を再び、1つにまとめようと懸命に働いた」と語っている。レーダー照射事件でも、バイデン政権が水面下で岸田政権に圧力をかけたのは間違いない。

だが、これで本当に地域の安全保障が強化されるとは思えない。肝心の自衛隊関係者に強い不満が残っているからだ。信頼関係が傷ついたままで、表面だけを繕っても、何の役にも立たないだろう。軍事力の核心を理解していない証拠である。

《バイデン氏は27日、東部メリーランド州での集会で、『彼(岸田首相)は既に決断しており、防衛費を大幅に増やした』『私が日本を(日韓関係改善で)説得したと言ってしまったが、誤解を招いた』と訂正した。発言録を米政府が28日に公表した》

そんな米国の圧力も、「自由と民主主義を守り、中国やロシアのような独裁国と戦うためには、黙って目をつぶるしかない」という見方があるかもしれない。だが、この大前提も実は怪しい。

バイデン政権は独裁傾向を強めるインドのナレンドラ・モディ政権と、軍事経済面での連携を強化したからだ。

モディ首相は22日、米国を公式訪問し、ゼネラル・エレクトリック(GE)製の戦闘機用エンジンをインドで合弁生産することや、米国が軍事用ドローンを供与することでバイデン政権と合意した。これについて、米国内でも「独裁と対決するために、別の独裁者と手を握るのか」という声が出ている。

日本では、あまり知られていないが、 モディ氏はイスラム教徒や政敵、ジャーナリストに対する迫害で批判を浴びているのだ。米国が「宗教の自由に対する深刻な侵害」を理由に、モディ氏に対する入国査証の発給を停止していたのが、何よりの証拠である。実は、バイデン政権も「ダブルスタンダード」なのだ。

岸田政権がそんな政権の言うことを、「はい、はい」と聞いてばかりいるようでは、いつまでたっても、日本の自立は達成できない。

https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%81%AE%E6%A0%B8%E5%BF%83-%E9%AB%98%E9%A3%9B%E8%BB%8A%E3%81%AA%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%87%E3%83%B3%E6%94%BF%E6%A8%A9%E3%81%AB-%E8%A8%80%E3%81%84%E3%81%AA%E3%82%8A-%E5%B2%B8%E7%94%B0%E6%94%BF%E6%A8%A9%E3%81%AF%E5%A4%A7%E4%B8%88%E5%A4%AB%E3%81%AA%E3%81%AE%E3%81%8B-%E5%86%85%E6%94%BF%E5%B9%B2%E6%B8%89-%E3%82%92%E7%96%91%E3%82%8F%E3%81%9B%E3%82%8B%E7%99%BA%E8%A8%80-%E7%99%BA%E4%BF%A1-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E4%B8%BB%E6%A8%A9%E3%82%84%E7%8B%AC%E7%AB%8B%E6%80%A7%E3%82%92%E8%BB%BD%E8%A6%96/ar-AA1dhp1k?cvid=555ecafb1a8e431989cd38fdcb6c7dc0&ei=32
9:777 :

2023/09/09 (Sat) 06:50:23

【討論】壊滅に進む日本農業-危機の食糧安保[桜R5/9/8]
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14148121
10:777 :

2024/05/04 (Sat) 15:50:44

ダボス会議で進む日本の食の危機【東京大学大学院 農学生命科学研究科教授 鈴木宣弘氏①】
【公式】吉野敏明の政経医チャンネル〜日本の病を治す〜 2024/04/07
https://www.youtube.com/watch?v=saLZz5Ds1N0

戦後から失われた?日本の食問題【東京大学大学院 農学生命科学研究科教授 鈴木宣弘氏②】
【公式】吉野敏明の政経医チャンネル〜日本の病を治す〜 2024/04/11
https://www.youtube.com/watch?v=TjRNK1-rjwM

戦後仕組まれた?日本の食料自給率の低下 【東京大学大学院 農学生命科学研究科教授 鈴木宣弘氏③】
【公式】吉野敏明の政経医チャンネル〜日本の病を治す〜 2024/04/13
https://www.youtube.com/watch?v=5HgunY1Sv-4

国際基準の食の安全とは?日本の食はおかしい【東京大学大学院 農学生命科学研究科教授 鈴木宣弘氏④】
【公式】吉野敏明の政経医チャンネル〜日本の病を治す〜 2024/04/14
https://www.youtube.com/watch?v=FkopkPjowYs


政府が進める昆虫食の危険性|吉野敏明
2023/05/26
https://www.youtube.com/watch?v=2j7xTMcCpPg
11:777 :

2024/08/17 (Sat) 11:30:03

ヤバすぎる日本…「農家は自分たちで稼げ!国は何もしません」 |室伏謙一
ChGrandStrategy 2024/08/16
https://www.youtube.com/watch?v=l-a81POF44s
12:777 :

2024/08/23 (Fri) 06:38:00

店に行ってもコメが買えない!  日本の食糧危機はすぐそこ 気づいたときには後の祭り
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16865741

米不足の根本原因は猛暑や地震ではない!抜本的に見直すべき日本の農政【朝香豊の日本再興チャンネル】
2024/08/22
https://www.youtube.com/watch?v=pDwVwTr4mE4



【討論】日本人の命と安全 食糧とエネルギー危機[桜R6/7/22]
https://www.youtube.com/watch?v=iEmWgsKL2CY

パネリスト:
 石井孝明(ジャーナリスト)
 柴田明夫(資源・食糧問題研究所 代表) 
 鈴木宣弘(東京大学大学院教授)※スカイプ出演
 竹村公太郎(日本水フォーラム代表理事・事務局長)
 藤和彦(経済産業研究所 上席研究員)
 山田正彦(元農林水産大臣・弁護士)
司会:水島総


農業の余命はあと5年?!トンデモナイ中身!食料・農業・農村基本法の改正法|原口一博
ChGrandStrategy 2024/07/16
https://www.youtube.com/watch?v=6IchwTQKjsc

ヤバすぎる日本…「農家は自分たちで稼げ!国は何もしません」|室伏謙一
ChGrandStrategy 2024/08/16
https://www.youtube.com/watch?v=l-a81POF44s

鈴木宣弘 _ 迫る食料危機! 私たちの食と農を守るためにできること
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14062214

ダボス会議で進む日本の食の危機【東京大学大学院 農学生命科学研究科教授 鈴木宣弘氏①】
【公式】吉野敏明の政経医チャンネル〜日本の病を治す〜 2024/04/07
https://www.youtube.com/watch?v=saLZz5Ds1N0

戦後から失われた?日本の食問題【東京大学大学院 農学生命科学研究科教授 鈴木宣弘氏②】
【公式】吉野敏明の政経医チャンネル〜日本の病を治す〜 2024/04/11
https://www.youtube.com/watch?v=TjRNK1-rjwM

戦後仕組まれた?日本の食料自給率の低下【東京大学大学院 農学生命科学研究科教授 鈴木宣弘氏③】
【公式】吉野敏明の政経医チャンネル〜日本の病を治す〜 2024/04/13
https://www.youtube.com/watch?v=5HgunY1Sv-4

国際基準の食の安全とは?日本の食はおかしい【東京大学大学院 農学生命科学研究科教授 鈴木宣弘氏④】
【公式】吉野敏明の政経医チャンネル〜日本の病を治す〜 2024/04/14
https://www.youtube.com/watch?v=FkopkPjowYs



吉野敏明 _ 戦後アメリカに強制された洋風の食事が日本人の病気の原因
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60歳を過ぎてアレ食べてる人は、確実に病気になって寝たきりの人生を送ります
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16837571

日本人が忘れ去った能力 _ 昔のおばちゃんは、米俵60kg x 5つを持ち上げてた
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猿人間のジャップには毒入り牛肉でも食わせておけ
http://www.asyura2.com/09/gaikokujin01/msg/516.html

トヨタの為に毒塗オレンジを食べさせられている日本人 _ 日本を農業の無い国にして良いのか?
http://www.asyura2.com/09/gaikokujin01/msg/518.html

終戦後、アメリカは わざと日本人を飢えさせた
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アメリカの食料戦略
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/140.html

補助金なしの価格では日本の農作物はアメリカや欧州より安く、日本の農業は欧米より効率的
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/528.html

農業補助金が収入の5割 アメリカ農業は競争社会ではない
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/601.html

昭和時代の「食生活」_ 米国の食糧輸出戦略
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14036563

アメリカに逆らうと暗殺される? 農業政策から学ぶアメリカと日本の主従関係
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14091466

梅干し、漬物などの生産農家の9割が廃業? 設備投資に高額な費用が… その背景は【大石が深掘り解説】
https://www.youtube.com/watch?v=0lcnqGE1rJU

猛暑で高級「佐藤錦」シワシワに…生産者の悔し涙 シャインマスカットは日焼け、実割れ
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16859712

米と山 日本の根幹である米農業と林業をどうするべきなのか?
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14090380

価値のある野菜を市場に 「スマート」農業、生命線はデータとハチ
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14112516

全国で5万店以上あった「魚屋」=鮮魚専門店が1万店を切った。激変する日本の水産流通
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16855206

酪農家の窮地を国は救え!  放置すれば4割廃業の危機 血の通った財政出動を
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14066863

牛を殺せば助成金 …酪農家 過去最悪レベルの「牛乳ショック」で毎日生乳廃棄
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16855435



政府が進める昆虫食の危険性|吉野敏明
2023/05/26
https://www.youtube.com/watch?v=2j7xTMcCpPg

日本の食料危機を救うのはコオロギだ
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14049790

EU、食料価格高騰の最中、代替食品としてトノサマバッタを推奨
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14036783

21世紀はゴキブリのから揚げがご馳走になる時代
http://www.asyura2.com/13/lunchbreak53/msg/182.html
13:777 :

2024/08/31 (Sat) 15:25:49

元金融マンがコメ農家に!/日本のコメ農業はなぜ衰退したか?
もぎせかチャンネル 2024/08/30
https://www.youtube.com/watch?v=LtDWJa96xR8

NPO法人「見沼の里」(埼玉県さいたま市)
https://minumanosato.com
会員になると、有機米作りを応援できます。 政府が守らないなら、国民が守りましょう!

【訂正】
23:23 テロップが「見沼の郷」になっていますが、正しくは「見沼の里」です。
14:777 :

2024/09/17 (Tue) 06:53:26

労働人口が92万人→18万人に激減!?日本国民全員に関係する農業の経営について徹底解説します。
脱・税理士スガワラくん 2024/07/ 21
https://www.youtube.com/watch?v=QgyobG99PYI
15:777 :

2024/09/17 (Tue) 06:55:42

小泉進次郎氏から読み解く日本政治の腐敗~アメリカ支配への対抗策とは?:前編【農を語るシリーズ】(藤井聡✖️内田樹)
藤井聡チャンネル 『表現者クライテリオン』2024/09/14
https://www.youtube.com/watch?v=wNh6BW20Ipo&t=10s

能登半島は復興せず捨てるべき?~地方切り捨てを良しとする政治家の腐敗:後編【農を語るシリーズ】(藤井聡氏✖️内田樹氏)
藤井聡チャンネル『表現者クライテリオン』2024/09/15
https://www.youtube.com/watch?v=tyTodhS57Q4
16:777 :

2024/10/15 (Tue) 01:48:00

コメの自給を手放してはならない――対米従属の果ての農業と食の危機 食政策センター・ビジョン21代表 安田節子
2024年10月15日
https://www.chosyu-journal.jp/shakai/32236

 日本の食料自給率は1965年に73%あったものが、現在38%と低迷が続いている。人口1億人以上を擁する国で、これほど自給率の低い国はない。だが、政府にこれを向上させ、食料の国内自給を実現させようという意志はあるのか、強い疑問を持っている。



 今、農業の衰退に拍車がかかっている。農家数も農業人口もこの50年で5分の1に減少した。農地は最大だった1961(昭和36)年の609万㌶から2019年には439万㌶へと約169万㌶も減少した。このうち水田の減少が大きく、1961年から100万㌶もの減少となっている。農業経営体はすでに100万人を割っている【グラフ①】。





 2050年には、農家戸数は2023年2月比でなんと8割減少すると予測されている。現在、農家の平均年齢は70歳。あと10年で80歳になり、高齢化で廃業していく。それは村落が消滅することを意味する。このような状況を作り出してきた日本政府は衰退に手をこまねいている。意図的に放置していると思わざるを得ない。



 内田樹氏が、過疎地が無住地となることにビジネスチャンスを見出す財界を政府は傍観していると指摘した(農業協同組合新聞8月19日)。だれも住まなくなれば原発を建てようが、放射性廃棄物を持って来ようが、メガソーラーを持って来ようがなんでもできる。そのような見方もあると思う。



 そして、コメに危険信号が灯り始めた。コメ農家はこの20年で急減し、100万戸も廃業した(2003~21年)。それによりコメの作付け面積はこの50年で半減している【グラフ②③】。





 今年、コメの不足が騒がれた。単年度の需給調整によるぎりぎりの生産量のため、なにかのきっかけがあればコメ不足に陥る。そして来年以降、生産量が需要量を下回るようになり、コメ不足は顕在化するといわれている。シンクタンクの三菱総合研究所と農水省は、16年後の2040年には156万㌧のコメが不足するという試算も出している。コメという基礎的な食料の持続的な生産と安定供給が脅かされている。



米国余剰穀物のはけ口に  自由貿易協定の下で



 日本農業をこのように衰退させた元凶は、アメリカが主導した自由貿易協定にある。ガット・ウルグアイラウンド、WTO、TPPと、強化されてきたアメリカ主導の自由貿易協定のもとで日本は関税撤廃を余儀なくされ、輸入増大によって食料自給率は低下し続けた。



 アメリカは日本を余剰穀物のはけ口にした。日本人の食生活をパンや肉食、すなわちアメリカの小麦に依存させ、家畜飼料のトウモロコシを買わせ、食用油の大豆を買わせる形にした。大豆の生産は激減し、自給率は2%まで落ち込んだ。今、わずかに盛り返して6%になっているが、全国津々浦々でつくられていた大豆がそのような惨状に至った。小麦も生産の減少が加速し、自給率は現在15%。国内で流通しているほとんどが輸入小麦という事態だ。



 そして、ミニマムアクセスが1993年のガット・ウルグアイラウンドで合意された。関税化と合わせて、輸入量が消費量の3%に達していない農産物(日本の場合はコメ)に「低関税での輸入機会を開いておく」というものだ。「コメを死守せよ」「一粒のコメも入れるな」という農協を中心にした大きな運動によってコメだけは守られていたが、それが対象になったのである。だが、あくまでも「輸入機会を開いておく」というものであり、どこにも「輸入義務」と書いていない。



 ところが日本政府は、これは義務であるかのようにいい、マスコミもそのように書いた。現在、日本は77万㌧(消費量の10%以上)のコメを輸入しており、そのうち半分はアメリカから買うという密約がある。同様に乳製品も「輸入機会を開いておく」というカレントアクセスを義務のように扱い、13・7万㌧(生乳換算)も輸入し続けている。



 現在、肥料・飼料価格は2倍近く、燃料費は5割高と暴騰する一方で、乳製品は過剰在庫で価格が低迷しているにもかかわらずだ。酪農家の苦境に対して政府が出した政策は「乳牛1頭殺せば15万円払うから、全部で4万頭殺せ」というものだった。現在、酪農家の廃業がコメ農家の廃業を上回る勢いで続出している。



 ミニマムアクセス、カレントアクセスの枠を満たしている国は日本だけだ。WTO加盟国の関税割当枠(MA、CA)品目に対する実際の輸入比率は52~55%であり、おおむね半分だ。だが、日本のコメのミニマムアクセスは100%、乳製品はなんと236%と、倍以上も輸入し続けている(WTO資料2022年9月)。



 自由貿易で「障壁」とされたのが食品安全規制だ。輸出国は輸入国の基準に合ったものを輸出し、輸入国の基準に違反のものは輸入拒否がルールだった。ところがウルグアイラウンドから農産物が自由貿易対象になり、自由貿易を妨げない食品安全規格を標ぼうする国際規格や米国基準に合わせるハーモナイゼーションがルールとなった。それまで厳しい食品安全基準のある日本だったが、貿易障壁とならないよう規制緩和に励むことになったのだ。



 食品添加物の場合、たくさんの食品添加物を認めているアメリカの食品を輸入するため、政府はアメリカとの差1000品目の添加物を次々と許可する作業を進めている。それまでは食品への使用を禁止していた抗生物質(ナイシン、ナタマイシン)を認め、アレルギー懸念のある着色料(コチニール)などもアメリカの要求に負けて認めた。



 食べた人の健康影響が懸念され、ほとんどの国が禁止している肥育ホルモン剤や赤身を増やす飼料添加物(塩酸ラクトパミン)を畜産物輸出国アメリカでは使用している。日本は検疫がモニタリング検査に緩和され、尻抜けのため、輸入肉への懸念がある。



 検疫検査も貿易障壁だ。1985年の中曽根内閣のとき「市場アクセス改善のためのアクション・プログラム」が発表され、検疫を弱体化させ、迅速化、簡略化が図られ、ほとんどがモニタリング検査になった。



 1991年のオレンジ・牛肉の輸入自由化のさいに、米国産柑橘類に日本が禁止するポストハーベスト農薬が使用されていたため、検疫が廃棄したことでアメリカから圧力がかかった。そこで日本政府はポストハーベスト農薬を「食品添加物の保存料」とする方便を使って現在も輸入し続けている。しかも近年ではアメリカから最大残留値が提示されるようになり、日本政府はその最大残留値が収まる値に規制を緩和している。日本はアメリカの植民地といわざるを得ない。




稲刈りをする農家(山口県)

遺伝子組換もゲノムも 日本人はモルモットではない



 もう一つバイオテクノロジー食品の扱いがある。TPP協定に「遺伝子組み換えの新規承認を促進すること」という条項が入った。日本は忠実に、申請を片っ端から認可し、現在、遺伝子組み換えの認可数は世界一となっている。



 そして新しく出てきたのがゲノム編集食品だ。2019年、トランプ元大統領が大統領令で「ゲノム編集食品の障壁をなくすこと」を指示した。日本政府はすぐさま、規制なしの方針を発表した。人類がこれまで食べたことのない新しい食品を規制なしとし、表示も安全性評価も不要とし、任意の届け出のみで流通可能としたのだ。食品安全性評価は動物実験が必要だが、ゲノム編集食品は動物に食べさせての実験はなされておらず、いまだ統一された評価法もない。日本人はこの新規のゲノム編集食品のモルモットなのではないかと思わざるを得ない。



 アメリカがゲノム編集食品に執着するのはグローバル種子農薬企業の利益のためだ。基本特許のクリスパーキャス9は、コルテバ(デュポン/ダウ)やバイエル/モンサントらが握っている。この基本特許を使って商品化した場合、ライセンス料の支払いが発生するため、商品化されればされるほど、永続的にバイテク企業の懐に入るというわけだ。アメリカではゲノム編集の開発に多額の投資がおこなわれており、現在、目白押しで商品化を待っている。だがアメリカの消費者はゲノム編集を嫌っている。売り先はゲノム編集食品が唯一流通する日本だ。



 日本政府が種苗法の改定で農家の自家採種を禁止したのはグローバル種子農薬企業のためだと思う。バイテク企業は「ゲノム編集食品は遺伝子組み換えではない。普通の作物と同じだ」と主張し、規制なしの流通を獲得した。しかし、遺伝子組み換えでないとしたので、農家の自家採種を特許で縛ることができず、タネ取りされてしまう。このジレンマを解決するために農家の自家採種を原則禁止とした「植物の新品種の保護に関する国際条約(UPOV)1991年改訂条約」を盾に、日本政府に種苗法を改定させたと思われる。



 安倍元総理が2013年に「世界で一番企業が活躍しやすい国を目指す」といった。そのもとで米国隷従と企業資本を優遇する政策の推進がおこなわれているわけだ。今いる農家の退場を促し、グローバル種子農薬企業やIT大手企業が提唱する農業モデルとして、AIとセンサーによる自動制御の農業や、ゲノム編集などのフードテックで企業が儲かる農業へと移行しようとしている。



コメの自給も奪う狙い 農業に関する日米対話



 私は、TPPで設置された規制改革推進会議は米国企業群の要求受け入れ窓口、すなわち売国窓口だと思っている。ここから次々出された提案によって、農協法や農地法が変えられ、種子法が廃止されて全国の農業試験場が持つ公的種子(コメ、麦、大豆)を民間に払い下げることになった。日本農業を衰退させる悪法が成立したわけだ。



 アメリカは1998年から2008年までの14年間、毎年、「年次改革要望書」という広い分野にわたる規制緩和の要求を突きつけてきた。まさに宗主国と植民地の関係をあらわすものだ。民主党の鳩山内閣のときに年次改革要望書の受け入れを廃止したが、それも束の間で、2011年10月に「日米経済調和対話」と看板を付け替えただけで再び規制緩和の要求書が突きつけられるようになった。食品関係では、残留農薬基準の緩和、ポストハーベスト農薬や食品添加物の承認、栄養補助食品の規制緩和などが要求された。



 そして、2023年4月、ビルサック米農務長官が来日し、「持続可能な農業に関する日米対話」が設置された。日本農業をターゲットにしたアメリカの直接要求の場だ。



 今年2月の会合で出されたのが温室効果ガスの削減の「見える化」だ。「見える化」とは、どれだけ温室効果ガスや農薬、化学肥料を削減したか、削減率を作物に星マークで表示することだ。これの本当の狙いは、水田が温室効果ガスのメタンを発生させるので、メタン削減、すなわち水田を減らさせることにあるのではないか。農政では今、水田を潰して畑に転換することや、中干し期間(イネの成育中に水を抜く期間)を長くするといったことが推進されている。私は、アメリカはコメの自給を日本から奪おうとしているのではないかと思う。



 食料・農業・農村基本法と同時に、「農業経営基盤強化促進法」「食料供給困難事態対策法」の二つが国会で成立した。農業経営基盤強化促進法は一八条で、「一〇年先の集落の農地をだれが耕すか決める計画を地域で来年三月までに策定すること」としている。今70歳の人は10年後は80歳だ。つまり、高齢農家に引導を渡し、農地の集約をはかり、大規模企業農業のための地ならしをすることになる。



 そして食料供給困難事態対策法では、有事に農家はコメ、麦、大豆、イモをつくれといい、違反には罰金を科すといっている。政府は農業の劣化で不測の事態が起こることを想定している。その場合は強権発動でしのげばいいと考えているということだ。



 政府の農業衰退の放置はアメリカ戦略の追随ではないだろうか。アメリカは日本を完全隷属させるために食料(コメ)自給ができない国にするという外交戦略を持つ。農業衰退は日本政府がアメリカに売国的隷従をしてきた結果と思う。アメリカ主導の自由貿易というくびきによってアグリビジネスの餌食にされ、農業の衰退を招き、食料や種の自給を奪われ、国民の健康と命を差し出している。日本は盲目的な米国隷従で食料自給の責務を投げ捨てた植民地なのだ。農業衰退の果てに日本人が飢えに直面する可能性が現実味を帯びている。



 食料自給こそが独立国の証であり、安全保障の礎だ。コメの自給を決して手放してはならない。



 種籾は何年も保存することができる。そして水田は、連作ができ、地下水を涵養し、田んぼダムは水害を減じ、空気を冷やし、多数の生物を養うすばらしい装置だ。先祖が営々と水田を築き、四季おりおりの美しい景観は日本の文化、精神を形作ってきた真髄だと思う。



 水田を潰してはならない。コメを守らなければ日本は独立国になることはできない。完全にアメリカに隷属する国になってしまうことを認識していただきたい。



 加えて、有機が重要だと考える。日本は単位面積あたり世界一の農薬使用大国だ。世界中が禁止に向かっている神経毒で問題のネオニコチノイド系農薬を逆に規制をゆるめて使用している。水田でも多量に使用され、秋田県で水道水から検出されて問題になった。食品や飲料水から私たちは農薬を体に取り込み続けている。子どもの発達障害も右肩上がりだ。



 私は有機自給国にしなければ日本は持たないと思っている。 まずは水田の有機化をはかることだ。有機水田の広がりは未来を拓く。同時に有機学校給食を軸にして、地域ごとの有機自給圏を創り出す。それが全国にできれば、日本は有機自給国になれる。絵に描いた餅と思う人もいるかと思うが、決して夢物語ではない。世界の潮流は有機へ向かっている。有機自給国となってアメリカから自立し、真の独立を実現する政治へと転換することが急がれる。
https://www.chosyu-journal.jp/shakai/32236
17:777 :

2024/11/13 (Wed) 18:49:36

【鈴木宣弘】オレンジ・牛肉騒動の深層(日刊ゲンダイ オンライン講座)
日刊ゲンダイ 2024/11/13
https://www.youtube.com/watch?v=GF6vFZHnEzA

コメ不足が深刻化して、大騒ぎになったが、同じような構造は牛肉やオレンジにもある。天候不順や中国の爆買い、買い負けなど、いろいろ言われるが、根底にあるのは米国からの自由化要求に応えて、輸入量の増加、関税の削減を飲み、結果、国内の農家を苦しめる選択を続けてきた結果である。米国は戦後、日本を食料で独立させないような対日政策を取ってきた。消費者も安いものに流れた。その結果がいまの惨状だ。輸入牛肉は成長ホルモンまみれである。



農業の余命はあと5年?!トンデモナイ中身!食料・農業・農村基本法の改正法|原口一博
ChGrandStrategy 2024/07/16
https://www.youtube.com/watch?v=6IchwTQKjsc


吉野敏明 _ 戦後アメリカに強制された洋風の食事が日本人の病気の原因
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16850855

昭和時代の「食生活」_ 米国の食糧輸出戦略
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14036563

なぜ、我々は小麦・乳製品を食べる様になったのか? 夏休み企画、親子で学ぶ 日本の食の近現代史
https://www.youtube.com/watch?v=bpayMROBuBw
https://www.youtube.com/watch?v=JRZDQM0cwzM

60歳を過ぎてアレ食べてる人は、確実に病気になって寝たきりの人生を送ります
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16837571

今では考えられない!大正時代の日常生活!!
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14035362

日本人が忘れ去った能力 _ 昔のおばちゃんは、米俵60kg x 5つを持ち上げてた
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16853689

猿人間のジャップには毒入り牛肉でも食わせておけ
http://www.asyura2.com/09/gaikokujin01/msg/516.html

トヨタの為に毒塗オレンジを食べさせられている日本人 _ 日本を農業の無い国にして良いのか?
http://www.asyura2.com/09/gaikokujin01/msg/518.html

終戦後、アメリカは わざと日本人を飢えさせた
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14139458

アメリカの食料戦略
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/140.html

補助金なしの価格では日本の農作物はアメリカや欧州より安く、日本の農業は欧米より効率的
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/528.html

農業補助金が収入の5割 アメリカ農業は競争社会ではない
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/601.html

鈴木宣弘 農業消滅!? アメリカの国家戦略に食い荒らされる「日本の食」
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14018404

鈴木宣弘 _ 迫る食料危機! 私たちの食と農を守るためにできること
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14062214

昭和時代の「食生活」_ 米国の食糧輸出戦略
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14036563

アメリカに逆らうと暗殺される? 農業政策から学ぶアメリカと日本の主従関係
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14091466

梅干し、漬物などの生産農家の9割が廃業? 設備投資に高額な費用が… その背景は【大石が深掘り解説】
https://www.youtube.com/watch?v=0lcnqGE1rJU

猛暑で高級「佐藤錦」シワシワに…生産者の悔し涙 シャインマスカットは日焼け、実割れ
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16859712

米と山 日本の根幹である米農業と林業をどうするべきなのか?
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14090380

価値のある野菜を市場に 「スマート」農業、生命線はデータとハチ
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14112516

全国で5万店以上あった「魚屋」=鮮魚専門店が1万店を切った。激変する日本の水産流通
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16855206

酪農家の窮地を国は救え!  放置すれば4割廃業の危機 血の通った 財政出動を
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14066863

牛を殺せば助成金 …酪農家 過去最悪レベルの「牛乳ショック」で毎日生乳廃棄
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16855435
18:777 :

2024/11/25 (Mon) 07:07:27

【金子勝】「経済のどん詰まりを打破するために」(日刊ゲンダイオンライン講座)
日刊ゲンダイ 2024/11/23
https://www.youtube.com/watch?v=NvhYhUAwLsk

多くの 国民は知らないが、今年の通常国会で食料・農業・農村基本法が改正された。この改正に金子教授は危機感を強くし、今度、改正法の問題点をえぐるブックレットを出した。なにしろ、戦時統制下のような発想で、いざとなれば、食糧を強制確保すればいい。あるいは、スマート農業で大規模化すればいい。そんな荒っぽい発想で、農家が直面している問題に真摯に向き合っていないのだ。日本の世帯は単身世帯、夫婦だけ世帯が多くなり、その食生活は生鮮食料品を買って調理するのではなく、加工食品で済ませるものに変わりつつある。この加工品の原材料は輸入品だ。これを国産にする発想が必要だと説く。
19:777 :

2024/12/04 (Wed) 06:40:39

新米「5キロ4000円」を尻目にカルフォルニア米は「1609円」…コメ高止まりで消費者は苦渋の“外国米シフト”、農家も「全く収入が増えない」負の連鎖
2024年12月03日
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/12031103/?all=1

 農林水産省は「国民の皆様に安全で安心な食料を供給する責任を負っている役所」なのだそうだ。確かに異論のある人は少ないだろう。ならば「コメの価格が急激に上昇し、全く下がりません。だが生産コストの上昇が原因の一つなので、特に何もしないつもりです」という農水省の方針はどうだろうか。

 ***

【画像】コメの“不都合な真実”を明らかにする極秘データ…「若い人がコメを食べなくなった」は大間違い。最もコメ離れが顕著な“意外な年齢層”とは

 今年8月、コメが店頭から消えた。記憶に新しい「令和の米騒動」だ。農水省は「新米が出回れば、コメは再び店頭に並ぶ」と説明した。それは間違ってはいなかったが、消費者は価格の“高止まり”に泣かされることになった。

 Xにも切実な声が投稿されている。一部をご紹介しよう。《米、高い!以前の10キロの値段が5キロの値段》、《新米5キロ4,000円超えで すっかり高級食材と化してるよ》、《なんで主食がこんなに高いのよ》──。担当記者が言う。

「昨年の秋、都内ならコメは5キロ2000円から2500円の間で販売されていました。ところが今年の9月は3500円まで上昇し、その後も全く下がりません。11月7日に実質賃金の9月分速報値が発表されましたが、2カ月連続のマイナスとなり、物価上昇に追いつけていません。特に人気銘柄の新米となると、5キロ4000円というケースさえあります。これを気軽に購入できるほど高収入の家庭は、それほどないでしょう」

 消費者にとって悪いニュースはさらに続く。農水省は11月19日、コメの出荷団体と卸売業者が売買する際の価格を示す「相対取引価格」を発表した。10月の全銘柄平均は玄米60キロあたり2万3820円で、これは近年稀に見る高値なのだという。

「コメは安くなる」と嘘をついた政府
「これまで年平均で最高価格を記録したのは1993年でした。大凶作が原因で、『平成の米騒動』と呼ばれた年です。40代以上の方なら、タイ米が緊急輸入されたことをご記憶でしょう。あの時は物理的にコメが足りなかったわけですから高値は理解できます。ところが今はコメがあるのに高値です。理解できない消費者がいるのは当然です」(同・記者)

 産経新聞は11月20日の朝刊に「コメ取引、10月も高値圏 1993年『米騒動』超え 政府予測外れる」との記事を掲載。「新米が出回れば価格は下がる」という政府の見通しは外れたと伝えた。全国紙のため「外れた」と上品な表現を使っているが、その背景を知れば政府・農水省が国民に嘘をついたと言われても仕方がない。

「廃止されたはずの減反政策は実質的には継続しており、これがコメ価格の高止まりの原因だと専門家も指摘しています。そして価格の高止まりは消費者物価指数にも影響を与えており、まさに全国の家庭の財布を直撃しています。総務省は11月22日に10月の消費者物価指数を発表しました。その中で『米類』は何と58・9%の上昇を示し、比較可能なデータがある1971年以来、過去最大を記録したのです。Xのコメが《高級食材と化している》という投稿は決してオーバーではありません」(同・記者)

 ところが農水省は、まるで他人事なのだ。

何もしない農水省
 江藤拓農水相は11月22日に記者会見を開いた。この日に消費者物価指数が発表されたため、記者は当然、コメの異常な価格上昇を質問した。

「江藤さんは『息子が3人います』と言い、子供が育ち盛りの時は1日に2回、ご飯を炊いたとの思い出話を語りました。さらに『米の値段の上昇を深刻に受け止められている方々がおられると思います』と理解を示すような発言もありました。しかし結局は農家で生産コストが上昇していることを強調し、コメの価格に農水省が一定の責任を負っていることは認めながらも、《民間の取引状況、需給状況、価格動向をこれからもしっかり見ていく必要がある》と述べるに留まりました。要するに何もしないというゼロ回答だったのです」(同・記者)

 庶民が悲鳴を上げても国は何もしない。こうなれば自衛の行動を取るのは当然だろう。これまでにもパスタなど麺類の購入を増やす「コメの買い控え」が指摘されていたが、最近は「外国米へのシフト」も鮮明だ。

「都内のスーパーを見ますと、1993年の『平成の米騒動』で緊急輸入されたタイ米、つまりジャスミンライスは意外に高いことに気づきます。2500円で買える店はほとんどなく、2000円台の後半から3000円というところでしょう。93年に比べると、家庭でエスニック料理を作ることが増えたことも原因の一つなのかもしれません。そのため『令和の米騒動』で注目を集めているのはカルフォルニア米と台湾米になります」(同・記者)

1609円と2797円
 TBS NEWS DIGは6月17日、「アメリカ産の米『カルローズ』日本産との違いは?国産米の価格高騰で「低価格帯のコメは品薄」【Nスタ解説】」との記事を配信した。

「カルフォルニア米の『カルローズ』に注目した記事です。TBS系列で平日の午後4時53分から放送されている『Nスタ』の放送が元ネタで、放送時間から分かる通り、主婦層を意識したニュース番組です。番組では6月16日、都内のスーパーでカルローズが5キロ1609円で販売されていたと報道。食べた出演者は『言われないと気づかない』と感想を述べ、ピラフや炒飯、カレーで食べるのがお勧めと伝えました」(同・記者)

 11月12日に台湾米の販売を発表したのは大手スーパーの西友だ。関東地域の138店舗で台湾産米「むすびの郷」を取り扱うという。

「日本のコメは短粒種で、ジャスミンライスは長粒種です。一方、カルローズは中粒種なので日本のコメとは食感が違うのですが、外食産業では日本米とカルローズを混ぜたブレンド米を使うところもあります。そのためジャスミンライスを食べたことがない人でも、実は知らずにカルローズを口にしている可能性があるのです。一方、西友が輸入した台湾米は日本と同じ短粒種です。西友も『ほぼ国産米に近い』と説明しており、国産米より2割程度、安い価格で店頭に並べるようです。Xには税込みで2797円の値札を撮影した写真が投稿されていました」(同・記者)

何もしない農水省
 江藤拓農水相は11月22日に記者会見を開いた。この日に消費者物価指数が発表されたため、記者は当然、コメの異常な価格上昇を質問した。

「江藤さんは『息子が3人います』と言い、子供が育ち盛りの時は1日に2回、ご飯を炊いたとの思い出話を語りました。さらに『米の値段の上昇を深刻に受け止められている方々がおられると思います』と理解を示すような発言もありました。しかし結局は農家で生産コストが上昇していることを強調し、コメの価格に農水省が一定の責任を負っていることは認めながらも、《民間の取引状況、需給状況、価格動向をこれからもしっかり見ていく必要がある》と述べるに留まりました。要するに何もしないというゼロ回答だったのです」(同・記者)

 庶民が悲鳴を上げても国は何もしない。こうなれば自衛の行動を取るのは当然だろう。これまでにもパスタなど麺類の購入を増やす「コメの買い控え」が指摘されていたが、最近は「外国米へのシフト」も鮮明だ。

「都内のスーパーを見ますと、1993年の『平成の米騒動』で緊急輸入されたタイ米、つまりジャスミンライスは意外に高いことに気づきます。2500円で買える店はほとんどなく、2000円台の後半から3000円というところでしょう。93年に比べると、家庭でエスニック料理を作ることが増えたことも原因の一つなのかもしれません。そのため『令和の米騒動』で注目を集めているのはカルフォルニア米と台湾米になります」(同・記者)

1609円と2797円
 TBS NEWS DIGは6月17日、「アメリカ産の米『カルローズ』日本産との違いは?国産米の価格高騰で「低価格帯のコメは品薄」【Nスタ解説】」との記事を配信した。

「カルフォルニア米の『カルローズ』に注目した記事です。TBS系列で平日の午後4時53分から放送されている『Nスタ』の放送が元ネタで、放送時間から分かる通り、主婦層を意識したニュース番組です。番組では6月16日、都内のスーパーでカルローズが5キロ1609円で販売されていたと報道。食べた出演者は『言われないと気づかない』と感想を述べ、ピラフや炒飯、カレーで食べるのがお勧めと伝えました」(同・記者)

 11月12日に台湾米の販売を発表したのは大手スーパーの西友だ。関東地域の138店舗で台湾産米「むすびの郷」を取り扱うという。

「日本のコメは短粒種で、ジャスミンライスは長粒種です。一方、 カルローズは中粒種なので日本のコメとは食感が違うのですが、外食産業では日本米とカルローズを混ぜたブレンド米を使うところもあります。そのためジャスミンライスを食べたことがない人でも、実は知らずにカルローズを口にしている可能性があるのです。一方、西友が輸入した台湾米は日本と同じ短粒種です。西友も『ほぼ国産米に近い』と説明しており、国産米より2割程度、安い価格で店頭に並べるようです。Xには税込みで2797円の値札を撮影した写真が投稿されていました」(同・記者)
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/12031103/?all=1&page=3
20:777 :

2024/12/15 (Sun) 17:31:47

日本農業・産業を守れ!「安いから」で買うのは農家を潰します 鈴木宣弘氏・吉野敏明 対談
【公式】吉野敏明の政経医チャンネル〜日本の病を治す〜 2024/12/13
https://www.youtube.com/watch?v=5Lpb8dzg1TA

0:00 はじめに
0:42 「安いから」で買うのは危険
6:16 田んぼが持つ重要性


農家の存在こそ安全保障!稲作は時給10円!?農家が報われる体制を! 鈴木宣弘氏・吉野敏明 対談
【公式】吉野敏明の政経医チャンネル 〜日本の病を治す〜 2024/12/15
https://www.youtube.com/watch?v=rWWmJhxkXUA

0:00 はじめに
0:24 農家が報われる体制を
7:22 鈴木氏が考える解決策は?
21:777 :

2024/12/17 (Tue) 09:14:47

内田樹の研究室
農を語る(前編)2024-12-16 lundi
http://blog.tatsuru.com/2024/12/16_1921.html

食料の自給自足は国の根幹である

藤井聡 今回は、神戸女学院大学名誉教授で武道家でもあられる内田樹先生にお越しいただきました。内田先生は文学や思想、社会科学などいろいろな側面から時勢的な問題について論じられていますが、以前この「農を語る」にもご登壇いただいた堤未果さんと食と農の問題について対談されていましたよね 。それを拝見したこともありまして、今回お越しいただいた次第です。どうぞよろしくお願いいたします。
 早速ですが、内田先生は現在の「農」についてどのようにお考えでしょうか。

内田 僕への講演依頼で一番多いのは教育関係ですが、次に多いのが医療と農業です。JAさんをはじめいろいろな団体から声がかかっていて、あちこちで講演しています。演題として多いのは人口減少についてですね。今農村は急激な人口減少で、もはや過疎地を通り越して無住地化しつつあります。農村の現場の細かいことは研究者じゃないのでよく知らないのですが、大風呂敷を広げるのは得意なので、人口減少の文明史的な意味とは一体どういうものなのかという話をした上で、農業従事者の皆さん方はどう対処すべきかについて意見を申し上げます。僕からの提言は絶対に里山や農業を捨ててはいけないということです。

藤井 愚問かもしれませんが、絶対に捨ててはいけないとご主張される理由はどういったところにあるのでしょうか。

内田 農業は国の基本だからです。エネルギーと食料の自給自足は国の根幹です。これはどちらも足りなくなったからといって、いつでも必要な量だけ、必要な時に市場で調達できるというものではありません。そのことはコロナでよく分かったはずです。サプライチェーンが途絶したら、お金がいくらあったって欲しいものが買えなくなる。アメリカはマスクや防護服のようなものは途上国に作らせて輸入した方が安いという理由でほとんどをアウトソーシングしていたせいで、輸入が途絶えたとたんに医療崩壊が起きて多数の死者が出ました。マスクや防護服や検査キットのような、シンプルで安価な医療資源は、賃金の高いアメリカ国内で作る必要なんかない、在庫も要らない。「要る時に金を出せばいい」という「賢い」経営判断のせいで、たくさんの人が死んだ。「こんなものはいつでも買える」と思っていたものが買えなくなることがある。それについての想像力の不足が一番怖いんです。今の日本だって、いつ南海トラフ巨大地震が来るのか分からない。米中戦争だって起こるかもしれない。何が起きても国民を守ることが国の責務なんですから、エネルギーと食料と医療の自給自足はどんなことがあっても最優先で目指すべき最重要課題だと思います。

藤井 アメリカなどの先進国、G7諸国は食料自給率一〇〇%、二〇〇%を目指して輸出産業としても育てているのが一般的で、そのためにかなりの国費を投入して自給率を上げていますが、日本はそういう雰囲気になっていませんよね。カロリーベースの自給率はたったの三八%しかありませんし。

内田 東京大学の鈴木宣弘先生によると、実際には十%を切るそうです。

日本の食料自給率が下がればアメリカの国益になる

藤井 自給率を高めるには二つの方法があり、一つは補助金をしっかりと出して農業所得を保障してあげることです。いわば「公共事業」として、農家の人たちを公務員のような格好でお雇いするという考え方です。もう一つ、「関税」を高めて農業を保護するという伝統的な方法もあります。
この二つの方法が基本ですが、前者の補助金はどんどん少なくなっていますし、後者の関税もTPPをはじめとする自由化を通じて下げるのが善であるかのような風潮があります。これは本当に由々しき事態ですよね。

内田 日本の国益を考えたら、あらゆる手立てを尽くして農業を守り、自給率を上げるのが最も合理的な解です。でも、そうなっていない。ということは、日本の農業が政府の補助で維持され、日本の食料自給率が上がることを望まない「外圧」が存在するということになる。誰が考えても、それはアメリカ以外にない。アメリカが政官財のさまざまなチャンネルを通じて、今の日本の農業政策をコントロールしている。そう考えるのが合理的だと思います。

藤井 いわゆる「ジャパンハンドラー」と呼ばれる人たちがアメリカにいますよね。CSIS(戦略国際問題研究所)などはジャパンハンドラーたちの巣窟であり、小泉進次郎さんもそこで研究されていましたからね。彼は自民党の農林部会の部会長をやっていた時期があり、農協の株式会社化や農林中金の自由化などを主張されています。しかもそれが「改革」と呼ばれ、何か良いものであるかのように言われていますよね。

内田 自民党の総裁選に出ている政治家たち、立憲民主党の代表選に出ている政治家たちの話を聴いていると、明らかに日本国民ではなく、ホワイトハウスに向けてシグナルを送っているということが分かります。例えば、「在日米軍の既得権には決して手を付けません」というような公約は国内的には支持率の向上にはつながるはずがない。それでも必ず公約するのは、それがアメリカ向けのジェスチャーだからです。「私が日本の首相になっても、アメリカの国益に抵触するようなことは決してしません。だから承認してください」とアピールしている。

藤井 多くの政治家は口には出さないでしょうけれども、アメリカを怒らせたら政治家として続かないという恐怖心があるのでしょうね。

内田 それは遠く田中角栄から、鳩山由紀夫、小沢一郎の前例から明らかですからね。

藤井 総理大臣としての政治生命を絶たれてしまうという、控えめな表現をすれば「都市伝説」があるわけです。事実であればもっと有効性がありますが、仮に都市伝説だったとしてもそれだけで一定の効果がありますよね。

内田 アメリカが実際に手を出して政治生命を奪うということはしていないと思いますが、日本の政治家と官僚とメディアがアメリカの意を「忖度」して、アメリカの国益に資するように動いている。

藤井 現在、自民党の総裁候補として小泉進次郎さんの名前が挙がっていますが、CIAやホワイトハウスが直接彼に電話して指示しているわけではないですからね。もしかしたら電話委しているのかもしれませんが(笑)。

内田 CIAかどこかのアメリカのシンクタンクから派遣された人が政策ブレーンとして政治家たちの周りにいて、アドバイスを求められたときに「こうすればアメリカは喜びますよね」と知恵を付けている可能性はありますね。あくまでそういう間接的なコントロールにとどまっていて、「ホットライン」でアメリカから指示が出ているということはないと思います。

インテリジェンス研究が軽視される日本

藤井 外国ではCIAやKGBなどを研究対象にした「インテリジェンス研究」というのがありますが、日本にはないんですよね。
 KGBの幹部がイギリスに亡命する際に持ち出したスパイ関連の機密文書が「ミトロヒンアーカイブス」という資料として残っているのですが、そこに「Japan」という章があります。でも、誰も訳していなかったので京都大学の僕の研究室で訳して、記事として公表しました。例えば○○新聞の誰がエージェントだとか、○○党のこの人はエージェントだとかいったことが全部書いてあります。エージェントにもいろいろなタイプがいて、事実上エージェントの人とか、単にソ連と仲が良いだけで勝手にソ連のために動いてくれる人とかもいるようです。おそらく、アメリカもそういう誘導の仕方をしているのでしょうね。

内田 そうでしょうね。エージェントも多種多様で、自分で気づかないうちにエージェントの役割を果たしてしまっている人も相当数いると思います。自民党と民社党には結党時点ですでにアメリカの情報機関の金が入り込んでいるし、岸信介も賀屋興宣もCIAのエージェントでした。共産党にはソ連のエージェントが入っていましたし、敗戦後から60年代にかけてはどの政党もそれぞれの「ボス」である外国と何らかのチャンネルを持っていたはずです。自分たちは日本のためだと思って、外国の工作員だという自覚はなかったんでしょうけれど。

藤井 日本テレビもそうやって作られたということもよく知られた事実ですよね。こういうことを言うと陰謀論者だと思われがちなのですが、外国では「インテリジェンス研究」が大学の研究機関に存在していますから、本来は政治学者がやるべき仕事です。ただ、日本の政治学会でそういうことをやると「やばい奴」扱いされてしまうので、なかなかできないですよね。

内田 本来なら歴史学者と政治学者の共同作業でやるべきことですよね。

公文書の隠ぺいが「陰謀論」を強める

内田 アメリカは公文書をどんどん公開しますよね。あの姿勢は素晴らしいと思います。僕は大学卒業後友だちと翻訳会社をやっていた時期があり、当時GHQの資料を大量に訳したことがあります。僕の遠い親戚に平野力三という政治家がいます。片山哲内閣で農林大臣をやっていた右派社会党の活動家でしたが、戦前軍国主義者だったという告発を受けて公職追放されました。それから数十年して、アメリカで公文書が公開されたのを機会に、自分にかかわるすべての公文書のコピーを取り寄せたんです。そしたら、誰が平野力三を「軍国主義者だ」とGHQに告げ口したのかが公文書に書いてあった。西尾末広と曽祢益という民社党の二人でした。彼らが政敵である平野を陥れるために、平野の戦前の経歴について明らかに虚偽の情報をGHQ提供して公職追放をそそのかしたのです。そのことが分かって、のちに平野はカーター大統領から名誉回復を勝ち取りました。

藤井 そうですね。アメリカは公文書に関してはフェアですよね。ちゃんと公開するというノーム(規範)があるのでしょうね。

内田 日本は公文書はすぐに廃棄しますからね。敗戦の時、市谷で陸軍参謀本部が公文書を全部燃やしてからの伝統ですね。東京五輪の財務資料なんかもう燃やしてしまっているんじゃないですか。

藤井 本当だったら捕まる人がたくさん出てくると言われていましたからね。

内田 大阪万博だって、終わった後に住民が監査請求をしても、「帳簿は全部廃棄しました」と言って逃げ出すと思いますよ。

藤井 噂レベルなので固有名詞は出しませんが、今回の総裁選で小泉進次郎さんを推しているある人は、自分の息のかかった人でないと捕まってしまうから実質的に子分である進次郎さんを推薦しているそうです。小泉純一郎さんは「五〇歳になるまでは総裁選に出たら駄目だ」と進次郎さんに言っていたのに、そのお父さんを説得して息子を総裁にさせようとしているとまことしやかに言われています。そういう不正がまかり通るんですよね。

内田 陰謀論が広がるのは、公文書や帳簿などのドキュメントが公開されないからなんです。全部隠すから、「本当は何が起きたのか」が分からなくなってしまう。

「反米世論」が弱まり、コントロールしやすくなった日本

藤井 TPPが典型ですが、アメリカが工作しているというよりも、アメリカが言っていることに日本が明確に従っているというのが実際のところなのでしょうね。
 政府機関が外国の国民世論を操作する「パブリック・ディプロマシー」と呼ばれる外交戦略があり、アメリカは日本の世論に対して散々そういうことをやってきました。内政干渉じゃないかという気もしますが、アメリカからすれば自国の国益の最大化を追求するのが当たり前ですから、彼らを責められないところもあります。そういう現実があるわけですから、それに対するカウンターを作らないといけないですし、我々もそういうことを正々堂々とやることが必要ですよね。
そう考えると日本の農業は本当に悲惨というか、アメリカに食われっぱなしの状況ですよね。

内田 アメリカの対日戦略の一環として「日本の農業を潰す」ことはアメリカにとっては合理的な解ですから、あって当然だと思います。

藤井 それは大航海時代や帝国主義の頃からそうですよね。当時に比べればやり口がソフィスティケート(洗練)されて合法的な見かけにはなってきていますが、基本的には他の国から奪えるものは奪おうとしているわけです。特に一九世紀後半や二〇世紀に入ってからは、需要を奪うのがメインになってきましたよね。最初は資源を奪っていましたが、途中から需要のある喜ばれそうなものを作って買わせるようになっていく。そうして買わせたうえで、さらにプランテーションで働かせたわけです。だから、労働も搾取するし需要も搾取するという二重の搾取を近代の帝国主義国家はやってきたわけです。
第二次世界大戦以降は、軍隊ではなく経済学者を宣教師のように使ってグローバリズムを広げ、マーケットを取るようになっていきます。その際にはその国の産業を潰すのが基本ですよね。自国で作れるものは買ってくれないからです。だから規制緩和で農家を潰して農産物を買わせたり、タクシー産業を潰してウーバーを参入させたりするわけです。アメリカは歴史的に考えれば当たり前のことをやっているわけで、それに対するカウンターを考えないといけないのに、小泉進次郎さんを筆頭に売国政策を嬉々として続けている状況があります。

内田 やっていることは植民地主義の時代と変わらないんですけれど、以前はそれでももう少しソフィスティケートされたやり方だったと思います。最近はそのやり方が露骨になってきた感じがします。たぶん日本側が全く抵抗しなくなったので、ハンドルするのに技巧や隠蔽が不要になったんでしょう。ジャパンハンドラーたちの手口が洗練されたものではなくなって、むしろ野卑で露骨になってきた気がする。

藤井 前はもう少し気をつけていたけれど、意外とアホだったということが分かってきたのでしょうね(笑)。

内田 これまではあまり露骨にハンドルすると、反米世論が高まってかえって日本がハンドルできなくなるかもしれないというリスクがあったので、多少は抑制的だったんですけど、そのリスクがなくなった。

藤井 八〇年代のオレンジと牛肉の自由化のときは大騒ぎでしたよね。

内田 六〇年安保以来、日本の反体制運動を駆動していた基本的な情念は「反米愛国」でしたからね。60年代末からの全国学園紛争も、もとはベトナム戦争に対する反対闘争でした。その頃は市民運動も労働運動も盛んでしたし、革新自治体が全国各地に広がっていました。だから、あの時代には日本国内の反米機運を鎮めることがアメリカにとっては急務だったのだけれど、うっかり露骨に日本の学生運動、労働運動を弾圧しようとするとむしろ日本の反米機運に火がついて、場合によってはソ連や中国の干渉を招く可能性もあった。ですから、対日工作はやるにしても丁寧にやろうという配慮はあったんだと思います。でも、二十一世紀に入ってからは「日本には反米世論を作るような力はもはやないから、何をやっても大丈夫だ」というふうに気が緩んできた感じがします。

藤井 そうですね。本誌の前身である『発言者』『表現者』は西部邁が始めたわけですが、彼はもともと東大で左翼の学生運動をやっていました。そしてその先輩には、森田実というあの砂川闘争を戦い抜いた男もいました。西部邁はその後左翼の運動をやめて経済学を勉強するのですが、二〇世紀の終わりごろから「保守」を名乗るようになります。なぜそうなったかというと、左翼にはいろいろな澱が溜まってきていたので、改めて日本国民のナショナリズムをベースに「反米」を展開しようとして左から右に旋回したわけです。つまり、独立のための「反米」が目的だったのです。

内田 まずは国家主権と国土の回復が基本だったということですよね。

藤井 生まれ落ちた以上奴隷ではないように生きていこうとするのは人として当然ですから、国家として隷属している状況があればそこから脱却するというのはすべてに優先する話です。そうでなかったら生きている意味は何にもないわけで、その意味でこの戦後空間は映画『マトリックス』のようにプログラミングされたまやかしだと言えるのでしょうね。
(『表現者クライテリオン』、10月号)

(2024-12-16 19:21)
http://blog.tatsuru.com/2024/12/16_1921.html


農を語る 中編 2024-12-16 lundi
http://blog.tatsuru.com/2024/12/16_1933.html

「対米自立」という気概の喪失

内田 「対米従属を通じての対米自立」というトリッキーな国家戦略が60年代までの自民党政治にはあったと思います。アメリカからの国家主権の回復、北方領土と南方領土(沖縄)の奪還がわが国の最優先目標であることについては、六〇年代ぐらいまでは左右問わずに国民的な合意がありました。けれども、ある時点から誰も「対米自立」を口にしなくなった。

藤井 それを言うと「アホか」という雰囲気になってきましたよね。特に現政府与党関係者達の中で対米自立を主張すると「藤井さんは青いな。中国や北朝鮮に対抗するためにはアメリカとうまくやらなきゃいけないじゃないか」と言われてしまいますから。中国や北朝鮮に対抗するためにはアメリカの「奴隷」であることが必要であり、「奴隷」と言うのが嫌だから「同盟」と言うんですよね。だから「日米安保」を「日米同盟」と言い始めるわけです。少女バイシュンを「援助交際」や「パパ活」と呼ぶのと同じですよ(笑)。日米同盟でも何でもないものを日米同盟とか言い出したことと、農業を守るという気概がなくなってきたことが完全に一致していますよね。

内田 文脈としては全く同じです。農業は国の基幹産業ですから、農業に手を突っ込んでくると激しい反米世論が巻き起こる可能性があった。だから手を触れなかった。けれども、日本の政治家から対米自立の気概がなくなったのを見てとってから対日戦略が一気に粗雑で、露骨になってきた。そういう感じがします。

藤井 誰か司令官がいて日本の隷属化を進めているというよりも、徐々に空気としてそう変わってきたということでしょうね。

内田 今の日本の総理大臣はもう「属領の代官」でしかありません。政権維持のためには、アメリカに朝貢して、ホワイトハウスから官位を「冊封」されるのが最も手堅いと信じている。

藤井 大岡昇平の『俘虜記』という小説がありますが、それと一緒ですね。この小説ではアメリカ人の若い将校がフィリピンの捕虜収容所を管理しているのですが、その収容所の捕虜達の中から一人日本人のリーダーを選ぶんです。勿論とくに明確な基準も無く適当に選ぶ。とはいえ、何の権限もなくて実際には若いアメリカ人が全部仕切っていて、ここで道徳の退廃がどんどん進んでいくという話です。大岡は最後にこれが日本なのだと書いています。つまりその収容所のリーダーが日本の総理大臣だということを、アメリカと戦った大岡は我々戦後日本人に伝えようとしたのだと思います。でも、そういう気概が本当になくなりましたね。

内田 戦後生まれの僕たちは実は主権国家の国民であった経験がないんです。親たちの世代までは大日本帝国の臣民だった。敗戦で帝国は滅びましたけれど、その国運を決定したのは自分たち自身です。他国に指示されたわけじゃない。でも、敗戦で国家主権を失った。そのことの喪失感の深さは戦後生まれの僕たちにはたぶん想像が及ばないと思うんです。彼らには「戻るべき原状」のイメージがあった。「国家主権の奪還・国土の回復」という言葉にリアリティーを感じることができた。でも、僕たちにとってその文字列はしだいに空語になりつつある。

藤井 サンフランシスコ講和条約で主権を取り戻したことにはなっていますが、「なんちゃって主権」でしかないですからね。沖縄のことも放置していますし。

内田 僕は子供の頃「日本国憲法は我々日本国民が作った」と教えられました。子どもですから、教えられるままそうなのかと思っていましたが、ある時期からそんなわけないということに気がつきました。これはほんとうに罪が深いと思うんです。日本人の自己認識の出発点は「われわれは主権国家の国民ではない」という欠落感でなければならないのに、まるで戦争には負けましたが、すぐに国家主権は回復しましたみたいな作話をした。

藤井 そうですそうです。僕もそうでした。ですが実際には国会の公式文書の中にも憲法がGHQによって押し付けられたという経緯が載っているくらい、明白な事実なわけです。なのにそれを子供の頃は知らなかった。でも、今の子供たちも押し付けられたということを知らないでしょうね。

内田 どういう歴史的経緯で日本国憲法が起草されたのかについての国民的合意がないんです。誰がどの条項をどういう意図で書き込んだのかについては諸説があって、どれも決定的ではない。憲法のある条項がどういう議論の末に決定され、なぜこの文言が採択されたかについては、条項そのものの当否とは別のレベルで「歴史的事実」として確定されていなければならないと思うんです。条項の適否についての議論はその先の話です。どうしてこんな条項が書かれたのかについて決定的なことを誰も知らないというところで憲法を議論できるはずがない。

日本の政治家はアメリカを怖がり過ぎている?

藤井 そうですね。昔の自民党、あるいは昔の社会党とかの政治家はそれなりにこういうことを議論していたと思います。しかし、今の政治家は派閥の論理の中で日和見して、どちらについたら得をするかということばかりに頭を使っていて、基本的な教養がなくなっていますよね。

内田 安倍晋三は原爆を落とされてからポツダム宣言が押し付けられたという程度の歴史認識でしたからね。こういう基礎的な事実を知らない人間が憲法について重要な決定を下すというというようなことはあってはならない。

藤井 今回の総裁選でも小泉進次郎氏が典型ですが、そういうことに関心がある人が少ないですよね。立憲民主党も先日代表選がありましたが、そういう議論をどこまで認識しているのか疑問です。

内田 認識していないと思いますね。立憲民主党も何とかして政権交代を実現したい。でも、政権与党であるためにはホワイトハウスから「属国の代官」として適格であるという許諾状を交付されないといけない。総理大臣としての適格性の最優先の根拠が「ホワイトハウスからの承認」であるというのはまことに悲しい話です。

藤井 実際には都市伝説的な部分もありますよね。要するに怖がり過ぎているということです。アメリカ人は、こちらがフェアであれば"That's make sense"(道理にかなっている)と納得してくれますから。核武装の問題に関しても、ちゃんと筋を通せばこちらの言い分をある程度は聞くはずですよ。なのに、進次郎みたいにポエムを言っていたら絶対に無理ですが(笑)。

内田 僕もそう思います。

藤井 場合によっては暗殺が起こることもあるでしょうし、実際にCIAはこれまで途上国で何度もそういうことをやってきましたが、G7の一角である日本でそう簡単にはできないはずです。だから、アメリカと対抗するために一番大事なのは、右だろうが左だろうが普通にロジックを展開してフェアに"make sense"できるような議論をすることだと思います。

内田 そうですね。アメリカといっても別に一枚岩ではありません。日米同盟に関してもさまざまな意見が併存している。日米安保条約を廃止した方がいいと言う人もいるし、在日米軍基地を撤収すべきだと言う人もいる。「日米同盟基軸」を言い立てている人たちはジャパン・ハンドラーの代理人ですから、彼らと異なるアメリカ国内世論を決して紹介しない。でも、トランプが大統領になったら、日米安保条約廃棄の「ブラフ」は仕掛けてくる可能性がありますよ。

藤井 トランプもホワイトハウスに入ったことで説得されて意見を変えたとは言われていますが、そう言い出す可能性は十分にありますよね。

アメリカの対日世論を変える外交努力をすべし

内田 アメリカの中にだって、今のように日本を収奪し過ぎると、日本そのものの国力が衰微して、結果的にアメリカの西太平洋秩序の維持が難しくなるから、日本を植民地扱いするのは止めて、国家主権を認めた方が長期的にはアメリカの国益にかなうという考え方をする人だって当然いるはずです。そういう人たちときちんとコミュニケーションをとって、アメリカの対日世論を変えていくというのが本来の外交だと思います。「アメリカ」とひとくくりにするのがよくない。

藤井 そうですね。田舎の人間が「東京って」と東京のことをひとくくりにして思っているのと一緒ですね。

内田 アメリカは今シリアスな国民的分断にさらされていて、「内戦の危機」だとまで言われています。だったら、その中で最も日本の国益を利する立場の人たちとコミュニケーションをとって、アメリカの対日国内世論を形成する。いわば「アメリカ・ハンドラー」をこそ育ててゆくべきだと思います。

藤井 もちろんそうですよね。「パブリック・ディプロマシー」によって相手の世論を変えることだってできますし、それが本来の政治主権ですよね。

内田 でも、そういうふうにして、アメリカの政治に日本がコミットしていくという発想は欠片もないですね。

藤井 僕は一時期アメリカの学会にかなり出ていましたし、ヨーロッパの心理学の研究会にも行っていて、英語は下手でも完全に対等に議論していたと思います。そうすることができれば認めてくれるわけですが、日本の先輩や後輩でそんな奴はほとんど見たことありません。"Tempura! Fujiyama!"とか言っているだけの田舎者なんですよ(笑)。アメリカ人やヨーロッパ人に引け目を感じているのだと思います。僕は三十歳ぐらいのときにスウェーデンに留学しましたが、当時は九〇年代だったから日本のほうが文化も上で、日本のIT機器や電気製品も勢いがあったから、ヨーロッパ人に対して「俺が教えたろうか」くらいの気持ちでいました。アメリカに行っても「アホばかりやんけ」という気持ちだったのですが、そう思っている人がほかにいなかったんですよね。
 たぶん、それと同じように誇りも何もない田舎者の外交がいろいろなところで展開されているのだと思います。進次郎なんて国連会議の記者会見で、日常英語を使えるのをみせてちょっとカッコつけたかったのか"gotta be......"みたいな大臣としては著しく相応しくない砕けた英語を使っていましたからね。

日米同盟以外のシナリオを想定しない政治学者や政治家たち

内田 だいぶ前ですけれど、日本のある高名な政治学者と対談したことがあって、「日本の安全保障戦略として日米同盟基軸以外にどういうシナリオがあるとお考えですか?」と聞いたことがあります。別に困らせるつもりじゃなくて、専門家の意見を知りたかったのです。でも、彼は絶句してしまった。日米同盟基軸以外にどんなシナリオがあり得るのか、考えたことがなかったらしい。でも、これはおかしいと思うんです。アメリカの政治学者に「西太平洋の安全保障戦略として、日米安保条約以外にどういうオプションがあり得えますか?」と訊いたら、いくつかのシナリオを答えてくれるはずです。ヨーロッパの学者に「NATO以外にどういうヨーロッパの安全保障の枠組みがあり得るか」訊いても、たぶんいくつかのシナリオを示してくれると思う。ところが、日本人は日米同盟基軸以外のシナリオについてそもそも考えない。でも、思考実験として、中国と同盟する、韓国と同盟する...などなどいろいろなシナリオについて、その現実性と効果について検討することはしてもいいと思うんです。

藤井 日本人は政治家も学者も延髄が切れているのでしょうね(笑)。ただ『俘虜記』の捕虜収容所のようなところに八十年間近くもいるとそうなる人が多数派になってくるのかもしれないですね。

内田 「対米従属を通じての対米自立」という国家戦略はその時点では十分な合理性があったと思います。それ以外に選択肢がなかったのだから仕方がない。でも、「対米自立」という目的を捨てて、「対米従属」が手段から目的になってしまったら、日本はこらから何のために存在するんですか。

藤井 「国が滅びる」という言葉にはいろいろな定義があると思いますが、もう滅んでいると言ってもいいかもしれませんね。

内田 滅びの道に向かってますね。

藤井 五十五年体制ができたときの最初の綱領に「外国駐留軍の撤退に備える」という条項があって、そのために憲法をどうするかとか、国内法をどう整備するかといった議論があったわけですが、二〇〇〇年ぐらいに綱領の見直しがあって、「日米同盟を基軸に」という文言が入ってしまいました。要するに、自民党は党として外国駐留軍の撤退に備える気がなくなってしまったわけです。

内田 在日米軍はもともと政府から派遣されていた単なる現地軍だったはずなのに、八十年も巨大固定基地で暮らしているうちに気が大きくなって、横田や沖縄を「アメリカの海外領土」だと思うようになってしまった。ホワイトハウスが返せと言っても、在日米軍は返す気がないんじゃないですか。

藤井 本来であれば、政治家がきちんと議論をしていけば時間はかかるかもしれないけれど必ず返ってくるはずですよね。

内田 フィリピンは憲法を改正して、国内に外国軍は駐留できないという条項を入れて、スービック基地とクラーク基地から米軍を撤退させました。韓国だって在韓米軍基地を三分の一まで削減しています。地位協定も世界のどの同盟国でも改訂されている。在日米軍の言いなりで、何もしていないのは日本だけです。

壊滅しつつある日本の農業

藤井 今回は「農を語る」というテーマですが、この議論は「農を語る」ための根幹ですよね。

内田 対米従属文脈の中で、日本の農業が破壊され、食糧が自給不能になり、アメリカから農作物を輸入する以外に国民が食えなくなるという依存体質を作り込もうとしている、そういう理解でいいと思いますけど。

藤井 前編で申し上げたように、農業を守るためには公的資金をきちんと入れることと関税を高めることが必要ですが、現実にはTPPだとか自由化だと言って関税を下げていき、農業への補助金に関しても財務省の緊縮財政によって削減されている状況があります。つまり、「公助」が駄目になって農家の所得が下がっているわけです。最後の頼みの綱である農協という「共助」にしても、小泉進次郎が出てきて株式会社化を進めようとしたり、農林中金を自由化したりして解体しようとしています。
 僕はTPPの反対論を展開していたので、「藤井はTPPに入って日本は滅びるとか言っていたが、滅びていないやんけ」とよく言われます。でも、二〇四〇年に日本の農家は三分の一になり、二〇五〇年には五分の一になると言われているんですよ。しかも、今の農家の最新の平均所得(農業の収入と農業を行うのに必要な支出の差額)は一万円にまでなっているんです。ですから、今の農家の方は平均すると貯金を食いつぶしてお米を作ってくださっているわけで、さらに農家の平均年齢は令和五年で六十八・七歳になっています。

内田 皆さん、いずれ鬼籍にお入りになる年齢になっていますよね。

藤井 しかも若い人が入ってきていないですから、これは日本の農業の壊滅を意味しますよ。そのシグナルが今年スーパーで米が消えたことなのだと思います。昔は古米が大量に余っていて、多少高くてもいくらでも買えたはずなのに、それすらできなくなっている。つまり、日本人が米を食えなくなりつつあるわけですよね。だから、すでにこの国は滅びの道に完全に入っているのではないかと思います。

内田 このままだと滅びますよね。滅びる方向にまっすぐ向かっていて、誰も止めていないわけですから。

藤井 しかも、小泉進次郎だとかそのバックにいる菅義偉だとか、自民党のど真ん中にいる政治家連中がそう仕向けているわけですから、ホントに救いようがないですね。

「表現者 クライテリオン」11月号

(2024-12-16 19:33)
http://blog.tatsuru.com/2024/12/16_1933.html




農を語る 後編
2024-12-16 lundi
http://blog.tatsuru.com/2024/12/16_1941.html

地方を見捨てるようになった日本人

内田 かつての自民党の支持基盤は農村部でしたけれども、農村部は衰退しているから政治的な発言力がどんどんなくなっています。そうすると、地方にいい顔をしなくてもいいということになりますよね。能登半島地震にしても、元の姿に復興する気がありませんし。

藤井 農業の議論とも全く同じだと思いますが、二〇一一年の東日本大震災のときにも棄民的な発言が結構ありました。「東北なんて田舎だから放っておけばええやん」と経産省の役人が言っていて、それが大問題になって懲戒処分になりましたよね。当時は復興しないといけないという気持ちがあったわけですが、それから十三年経った今は平然と「あそこは田舎だから復興しなくていい。カネも無尽蔵にあるわけではないのだから復興するところとしないところを分けよう」という議論がなされています。そこで、僕はそんなことを政治家が言っているのはおかしいという記事を書きました。十三年前にも同じようなことを書いて、当時は賛同されていたのですが、今回は炎上したんです。「アホか。そんなところ復興してどうすんねん!カネもないのだから能登なんて放っておけばええやないか!」と批判されて、びっくりしましたね。

内田 この十数年の間にそういう世論形成が着実に進行していて、「人口過疎地に住んでいる人間は健康で文化的な生活をする権利なんかない。だからそこに住んでいるのは自己責任だ」と言われるようになってきていますよね。

藤井 過疎地に住んでいると準反社会的人間のような扱いを受けるということですね(笑)。

内田 そうです。「お前らのために道路やトンネルを通したり橋を架けたりしても、その道の先には人口が数百人しかいないじゃないか。そのために何億円も使うのは税金の無駄遣いだ」というわけです。少なくとも二〇一一年には、そういうことを平然と言う人はそこまでいませんでしたが、今は完全にそうなっています。

藤井 僕は能登に今住んでいる人のことも見ていますが、百年前、二百年前、五百年前、千年前の能登の風土も見ているわけです。輪島なんて江戸時代には北前船のおかげで豪商が生まれて、ものすごく栄えた町でしたよね。そこで輪島塗も生まれて、今や世界中の人が使っています。つまり、能登半島という先代から引き継いだ日本の宝を現代の人間はお守りする義務があるというイメージがあるんです。だから高速道路を通さないといけないし、農業も振興しないといけない。食料自給率の面でもそうですし、棚田のような伝統や文化を残す意味でもそうです。それに価値がないと思う奴は馬鹿ですよ。

人口減少よりも東京一極集中が問題

内田 全国津々浦々に固有の文化があって、かつてエネルギーも食料も自給自足していた二七六の藩があって、その全部に固有の文化があって伝統芸能があったわけですが、当時の日本の人口は三千万人ですよ。今は一億二千五百万人もいて、これで人口が少ないというのは違うでしょう。東京に一極集中しているだけであって、地方に人口を戻すのが最優先です。

藤井 昭和の日本まではそういう感覚があったと思いますし、ヨーロッパの国々には明確に残っています。僕はスウェーデンに留学していましたが、あんな広いスカンジナビアの国土に一千万人しか住んでいないんですよ。僕は第二の都市である四十五万人ぐらいのイェテボリに住んでいましたが、いろんなところにちゃんと町や村が残っていて、高速道路も繋がっていました。アウトレットみたいな近代的なものもありますが、地方の田園の風景がずっと広がっていて、それが無駄という議論はなかったですよ。だって、子供が五人生まれて「コイツは小さいから無駄やな」なんて言う親はいないじゃないですか。本来都市を守るというのはそのぐらいの感覚のはずですから、僕は今の日本人は人間ではないと思います。

内田 おかしいと思いますよね。一億二千五百万人で人口が少ないと大騒ぎしていますが、僕らが子供の時代は九千万人でしたからね。明治四十年の日露戦争の頃は五千万人ですよ。
 二十一世紀の終わりに五千万人まで減ると言っているけれど、明治四十年だって全国津々浦々にきちんと生業があって、高等教育機関も医療拠点もあって、文化的な発信をしている人もたくさんいたわけだから、人口が少ないという言い訳は通らないと思います。問題は分布ですよ。そして、人口を首都圏に集めているのは完全にビジネスマインドですよね。つまり金儲けのためです。普通は金儲けより国家の存続を優先するだろうという話です。

藤井 そうですよ。だって、陵辱され侮辱され、馬鹿にされてもお金があるからよろしいですねなんていう人生はあり得ないですからね。人として生きる基本はお金よりも前にあるわけで、それが国土であり田園であり、伝統であり文化であるという主張をしないといけないはずですよね。

内田 「国破れて山河あり」という言葉もありますからね。このままだと次に破れたとき山河はなくなっていますよ。

藤井 そうなりますよね。本誌は政治的には「保守思想誌」という立場ですが、保守もリベラルも関係ないですよね。

内田 共産党の人も今日の議論はほとんど賛成しますよね。

藤井 不思議なもので、自分のことを「保守」だと思っている奴ほどこういう議論に賛成しません。どちらかというと「左翼」と言われる共産党とかの人の方が賛成するんですよね。だから僕は共産党の人とも山本太郎とも喋りますし、左翼も右翼も関係なく話をします。「右」「左」ではなく「真っ当」か「真っ当」でないかという当たり前の話だと思います。

内田 パトリオットかどうかということですよね。僕はナショナリストではないですがパトリオットではあると思っています。「イズム」ではなくて愛郷心や愛国心ですね。ただこの国の山河を守りたいと思っているだけです。日本は山紫水明でご飯も美味しいし、植物相も動物相も豊かな国なのに、それをわざわざ暮らしにくくしているわけです。何を考えているのだろうと思います。

過疎地から人を排除しようとする「ビジネスマインド」

藤井 こういう議論をしていると、農業を守るのは当たり前のことだと誰でも思いますよね。

内田 最優先の政治課題として農業を守らなければいけないわけです。でも、過疎地に人がいるとビジネス的には困るんですよね。行政コストがかかるしあまり使い道がないですから。そこで全部無住地にすることで、一気にビジネスチャンスを広げようとするわけです。ソーラーパネルを敷き詰めたり原発を作ったり風力発電をしたり、あるいは産業廃棄物を捨てたりとか。地域住民がいないので、生態系なんかいくら壊してもいいわけですよね。
 今の日本のビジネスマンは「過疎地は金がかかってしょうがないのだから人口をゼロにしろ。そうすればコストをかけなくて済む」と考えているのでしょうし、僕がもし邪悪な性格のビジネスマンだったら絶対にそう考えます。今だって国土の六二%が無住地ですから、これが七〇%や八〇%になっても誰も気がつかないと思うでしょうね。

藤井 TPPとか自由化とか緊縮をやって、二〇四〇年に農家が三分の一に減ったら無住地だらけになりますよね。

内田 そうです。彼らは明確に全国の無住地化を目指していると思います。生態系を管理するコストは莫大にかかりますよね。川や森や海を管理しなければならないわけですから。そこに人が住んで生き延びるためには絶対必要だから、生態系の維持に膨大なコストをかけるのだけれども、人が住んでいなかったら生態系の維持にコストをかける必要がなくなり、破壊し放題なわけです。発電ビジネスをやっている人たちはそれを絶対に狙っていると思います。それで日本に住めなくなったら、「ハワイにコンドミニアムがあるからそこに移る」となるのでしょうね。

藤井 それこそ、自分の娘がべっぴんだからどこかに売ろうか、みたいな話と変わらないですよね。なぜこういう下品な比喩を申し上げたかというと、国土は有機物だと思うからです。和辻哲郎の風土論もそういうものですが、国土を無住地化するということは無機物化するということであり、それはレイプと一緒ですよね。女性に尊厳があるからレイプが駄目なのに、その尊厳を壊すのがレイプという行為だとすると、ソーラーパネルを山河に敷き詰めているのは国土をレイプしているのと同じですよ。

内田 実際に見るとそう感じますよ。普通の感受性なら、お金が欲しくてこんなことをするはずはなくて、明らかに自然を陵辱していますし、悪意ですよ。

藤井 そう思いますね。でも、そこに田園や畑があれば決してそう思わないですよね。気候と人間とが共存するのが農という営みで、雨が降ってきて水田を作って収穫して、また虫が育っていく。生態系と人間の営みが循環の中で溶け合っていくことが大切ですよね。

内田 それによって新しい価値が生まれてくるんですよね。

藤井 そうですね。太陽光発電もレイプも一回の行為で終わりじゃないですか。そうではなく循環することが大事で、家族で愛し合うだとか、国土と愛し合うとか、そういうものが人間の人間らしさであって、国土を道具として使うというのは友達や女性を道具として使っているのと一緒だと思いますね。

「農」の破壊の背後にある「悪意」

内田 僕の友達に想田和弘という映画監督がいて、彼は岡山県牛窓というところに住んでいます。この前彼の家に遊びに行ったら小高い丘の上に連れて行ってくれて、目の前に瀬戸内海が広がっていました。その北側に錦海湾という湾があるのですが、湾が一面真っ黒になっていました。錦海湾は、かつては浅海で豊かな漁場だったのですが、一九七〇年代に製塩業をやろうと言った奴がいて埋め立てたんです。その後、製塩業が全くビジネスにならなくて廃棄されてしまいました。一度製塩に利用した土地は農業に使えなくなるので、産業廃棄物の処分場や工場を建てたのですが、最終的にソーラーパネルを敷き詰めることになり、湾が真っ黒になってしまったわけです。それを見たときに「何と愚かなことをしたんだ」と思いました。
 短期的な金儲けのために埋め立ててビジネスをやったら大失敗して、その後ソーラーパネルを敷き詰めて、これも何年か経ったら全部産廃にされてしまうわけです。短期的にしかものを考えない人間たちが自然を壊している光景を見て、僕は悪意を感じましたね。

藤井 レイプする人はそこで欲望を満たそうとしているのでしょうが、それと同じような悪意を感じますよね。

内田 人が大事にしているものを破壊することによって全能感を感じるのでしょうね。皆が綺麗だと思っている海に土足で踏み込んで、皆が悲しむのを見て「俺はこれだけの人たちに悲しみを与えられるのだ」と思うのでしょう。イーロン・マスクがTwitterを買収して世界のユーザーがショックを受けましたが、あれもおそらく金儲けのためではなく、世界の何億人ものユーザーが絶望に打ちひしがれている姿を見て、自分の全能感を感じているのでしょう。ああいう人間っているんですよ。

藤井 僕は『エクソシスト』とかの悪魔映画が好きで山ほど観ているのですが、ホラー映画は現実の人々の行動の中にある悪魔を純化して描いているわけです。キリスト教の悪魔や日本の悪霊として出てくるのはそういうものだと思うのですが、日本が悪魔化、悪霊化していくと農は滅び去る運命にあるということですね。

内田 今の日本で農を破壊しているのは、ある種のすごく邪悪な意思だと思います。本人はおそらく気がついていなくて、最新のビジネスモデルに適合しているとか、あるいはアメリカの国家戦略、世界戦略に適合していると思っているのかもしれないけれども、実際に駆動しているのは非常にドロドロした邪悪な意思だと思いますね。

藤井 本誌では文芸批評家の浜崎洋介さんを中心に「文学座談会」をずっとやっていたのですが、そこで「国土の荒廃」というテーマで石牟礼道子さんの『苦海浄土』と富岡多恵子さんの『波うつ土地』を取り上げたことがあります。どちらも国土が陵辱されるというお話を描いている本で、この感覚を我々は忘れているんですよね。「金が儲かったらええやないか」というものではないんです。こういう感覚をちゃんと持っておくことが人として、そして真っ当な国として存在していく必要条件であって、その必要条件が満たされているかどうかというリトマス紙が、その国が農をどれだけ大事にしているかということになのでしょうね。

内田 全くその通りですね。

藤井 今日は内田先生に初めてお目にかかりましたが、非常に面白かったです。内田先生はどちらかというと「左翼」と言われることが多いと思われますし、僕は保守なので「藤井と内田先生は違うんちゃうか?」と思っている人もいるかもしれませんが、ほぼ同じことを考えていると思います。真っ当な保守と「ビジネス保守」がいるように、左翼も真っ当な左翼と「ビジネス左翼」的な人がいるのかもしれませんね。

内田 ビジネス左翼はあまりいないと思いますが、非常に教条主義的でものの見方が固定化している人は多いですね。

藤井 朝日新聞とかはかなりビジネス化しているところもあるでしょうが、教条主義的な人と、そうではなくしっかりと議論できる人がそれぞれにいるということが改めて見えましたし、こういった思想的な問題の果てに農の問題があるということを確認できたと思います。
 内田先生は前からお話ししたいと思っておりまして、お時間がありましたら食事でもご一緒できればと思いますし、これを機にいろいろなところでお話ができればと思います。どうもありがとうございました。

内田 こちらこそありがとうございました。

(2024-12-16 19:41)
http://blog.tatsuru.com/2024/12/16_1941.html


22:777 :

2025/01/05 (Sun) 07:47:26

鈴木宣弘 「食料安全保障」農家の保護こそが国防
【公式】日本誠真会 2024/12/29
https://www.youtube.com/watch?v=Sh3O1yM5dBM&t=30s
23:777 :

2025/01/23 (Thu) 14:32:39

沿岸漁業を守る――日本の食料危機と有明海の国民的価値 東京大学大学院特任教授・鈴木宣弘
2025年1月23日
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/33573

有明海のノリ漁場(佐賀県)

 佐賀市で13日に開催された「有明海地域再生シンポジウム2025~漁業被害に私たちはどう向き合うか~」(主催/同実行委員会)より、東京大学大学院特任教授で農業経済学者の鈴木宣弘氏の講演要旨を紹介する。(文責・編集部)



◇        ◇




有明海漁業の危機――既存漁家の排除ありき




鈴木宣弘氏

 私は三重県の志摩半島・英虞(あご)湾そばの半農半漁の家の一人息子なので、小さいころから田や畑もやってきたし、真珠や牡蠣の養殖、ウナギの養殖もやっていた。現在も伊勢農協の正組合員で、地元漁協の正組合員でもあるので漁業権も持っている。まさに農家、漁家そのものの立場で今の状況を皆さんとともに心配している。



 現在、有明海では諫早干拓による漁業被害が深刻さを極め、それが漁船漁業だけでなくノリ養殖にまでおよんでいる。鹿島や太良町など佐賀西南部は数年にわたって色落ち被害が続き、離婚、廃業、自己破産……本当に深刻な状況になっている。これまで獲れていた佐賀東部や福岡県なども2年連続で不作となり、漁船漁業に至っては、最後の頼みの綱だったクラゲも獲れなくなり、まったく漁に行けていない状態だという。



 国がこの事態を放置している根底には、既存の漁業者を「非効率」と位置付けて現場から追い出し、「成長産業化」の名目で一部の企業だけをもうけさせる構図に再編しようという意図があると思わざるを得ない。



 有明海のノリに対しては、独占禁止法の「違法」適用による脅しで漁協のノリ共販(共同販売)潰しが強められている。



 独禁法は、漁協の共販を対等な競争条件で漁家・農家が価格形成するための重要な行為として認めている。にもかかわらず、「共販は独禁法違反だ」という形で公正取引委員会が農業で摘発を始め、それが今漁業に広がり、有明海のノリが標的になってきた。



 一部の人たちの利益を増やすために、生産者側を不利な立場に追い込み、買い叩きをもっと強めることに繋がるような、いくつもの事例が重なって生産者を苦めている。このままでは近いうちに有明海での漁業(貝や魚を獲る漁船漁業や佐賀西南部のノリ養殖)がなくなってしまう瀬戸際にある。



 諫早干拓をめぐる判決もそのことを物語っている。2018年7月30日の諫早湾干拓をめぐる福岡高裁判決では、既存漁家の漁業権は更新時に失効しているとか、「最も高度に漁場を使用する者に免許する」という表現を連発して、既存漁業者を非効率な者として排除しようとする意図が明確に示された。これは漁業法の精神にも反する大問題であり、さすがに2019年9月に最高裁で棄却されて福岡高裁に差戻しになった。だが、2022年3月の差戻し審判決では、国はデータをいじっていかにも被害が出ていないように情報を操作し、その事実誤認に基づく事情変更論、権利乱用論などを主な理由として「諫早干拓の潮受堤防を開門する必要はない」という判決が確定した。



 この一連の流れには、意図的にみんなを追い込んでいく悪意が感じられる。多種多様な海の幸を私たちにもたらしてきた「宝の海」が、魚が捕れず、貝が育たず、ノリ養殖も極めて不安定な状況に置かれ、そのなかで漁業者は懸命な努力で漁業を維持しているが、昨今はそれも限界をこえていて廃業者が後を絶たない。



 有明海漁業は、豊かな資源を守り、地域経済・コミュニティを支える要であり、有明ノリの危機は日本のノリ産業全体の崩壊の危機だ。それは日本国民の食卓、食文化の危機、つまり、食料の安全保障の危機であり、国土を守る安全保障の危機である。われわれは豊かな有明海をとり戻すために一緒にたたかっていかなければならない。



食料自給の低下と米国の占領政策



 今、日本の食料は非常に心配される状況になってきている。米も「余っている」といわれていたが、今は「足りない」ということで大騒ぎになっている。バターが足りない、オレンジジュースが飲めなくなったとか、牛肉が高騰して焼肉屋が倒産したり、日本で食料をめぐる問題がニュースにならない日はない。



 そもそも日本の食料自給率がこれほど下がってきたのはなぜか?



 一番大きいのがアメリカの占領政策だ。戦後アメリカでたくさんの農産物が余った。それを日本人に食べさせることで日本は最終処分場のように位置づけられ、多くの農産物の関税がどんどん撤廃させられた。水産物は農産物以上に関税がどんどん引き下げられた。
 多くの農水産物をアメリカなどから受け入れることで、日本人をアメリカの余剰農産物で生きていくように仕向け、アメリカの企業が利益を得る。さらにアメリカは、もともと優秀な日本人が食料で独立し、また自分に刃向かうようになってきたら困るため、日本人を従属させるために食料(胃袋)をコントロールすることを占領政策の大きな目標に据えた。その流れにわれわれは乗せられたわけだ。



 もう一つは、日本自身の経済政策だ。経産省を中心に「食料はいつでも安く輸入できるのだから、日本は自動車などを売って利益を得る。アメリカを喜ばせるためには農業・漁業を生け贄に差し出せばいい」という形で、第一次産業をアメリカに差し出すことで経済発展を目指す流れができた。それによって経済発展が進んだのも確かだ。私は農水省に15年間いたが、農水省と経産省は犬猿の仲だった。



 さらに財務省の財政政策だ。1970年には農水予算は約1兆円あった。防衛予算の2倍だ。ところが50年以上たって一般会計予算は14・4倍(114兆円)に増えているのに、農水予算は約2・3倍の2兆円程度しかない。そのうち漁業関係は3000億円程度という少なさだ。



 かつて農水予算は総予算に対して12%ほどを占めていたが現在は1%台だ。かたや防衛予算は18倍にまで膨らみ、いまや年間10兆円をこえている。



 アメリカなどでは「食料・軍事・エネルギー」が国家存立の三本柱といわれるが、そのなかでも最も命を守る要は食料だ。これほど農林水産業予算が減らされているのは先進国でも日本だけだ。財務省はそれでも「まだ多すぎる。もっと減らせ」という議論をしているが、この事態の深刻さがわかっていない。



日本の食料危機の現在地



 そのようにして日本の食料自給率は下がり続け、現在、世界的危機に耐えられるのかという状態になってきた。



 私は「クアトロ(4つの)・ショック」と呼んでいるが、コロナ禍、中国の爆買いに対する完全な買い負け、異常気象、そしてウクライナや中東で紛争が勃発し、食料の世界的争奪戦が高まっている。



 中国の動向で気になるのが水産物だ。私は20年前、いずれ中国と日本は水産物をめぐって取り合いになるという論文を書いた。中国の食生活は経済発展とともに総カロリー摂取量が増加していくが、その向かう先は、タンパク質として肉・乳製品のウエイトが高い「西欧型」ではなく、魚介類のウエイトが相対的に高い「東アジア先進国型」に向かう傾向がある。だから近年日本はアメリカの影響で魚食から肉食に移りつつあるとはいえ、水産物消費の面で中国が脅威になってくると私は予測した。この論文は国際的にも話題になったが、今まさにそういう状態になっている。



 そういうことも重なって食料争奪戦が非常に厳しさを増し、日本の農林水産業はたいへん厳しい状況になってきた。



 穀物が手に入らない。酪農、畜産のエサの値段も2倍に上がる。水産養殖も同じだ。農業では肥料が十分手に入らない。日本は化学肥料の原料を約100%輸入している。一番頼っていた中国が売ってくれなくなり、カリウムを依存していたロシアやベラルーシは「敵国には売らない」という。値段も2倍だ。燃料価格も5割ほど上がり、燃料を多く使う漁業には影響が大きい。



 さらに中国は、アメリカとの緊張激化に備えて14億人の人口が1年半食べられるだけの食料を備蓄するため、国産だけでは足りないので世界中から穀物を中心に買い占めを始めている。こうなると事態改善の見込みは非常に薄いといわざるを得ない。



 こんなときに日本は何をやっているのか? 農業ではまだ減反政策だ。これだけ米騒動になっても、「米は余っているのだから来年も減反だ」という。牛乳も余っているのだから、乳を搾るな、牛を殺せみたいなことをいって、増産して備蓄することもしない。



 他の農水産物も同じだ。もっとみんなが生産できるような政策を拡充し、自給率を上げ、いざというときに国民の命を守れるようにすべきときなのに、日本の備蓄食料は米で人口の1・5カ月分しかない。海外からの物が止まったとき、米1・5カ月分の備蓄だけで、どれだけの期間みんなの命を守れるのか。今の日本の状況がどれほど危機的かということだ。どんどん増産して備蓄もし、そのためにしっかりと予算を使うことをなぜやらないのか――。



 そんな話をしても、財務省は「馬鹿たれ、そんな金どこにあるのか」といって終わりだが、馬鹿たれはどっちだ? という話だ。在庫処分のトマホーク等を買うのに43兆円、日本だけにたらい回しにされるオスプレイ(1機220億円)を十数機も買う予算があるのなら、なぜ農業や漁業を支えて生産を増やし、みんなの命が守れるようにすることにお金がかけられないのか。



 いざというときに国民の命を守るのが安全保障、国防だというのなら、役にも立たない在庫処分の武器に莫大なお金をかけるのではなく、日本の農林水産業、有明海の漁業を守るために何兆円使ったとしても、そちらの方が大事だ。こういう議論ができないことが現在の根本的問題だ。



農漁業を守れなければ国民の生命は守れない



 日本はアメリカにたたき込まれた新自由主義や市場原理主義に染まり、「規制撤廃で貿易を自由化すればみんな幸せになれる」という風潮がはびこったが、みんなを守るためのルールを破壊すれば、「今だけ、カネだけ、自分だけ」の一部の日米オトモダチ企業だけがもうかり、みんなの利益が収奪されることは目に見えている。その構造で、農林水産業だけでなく、社会全体で賃金も所得も下がり、みんな苦しんでいる。それでも国の方向性が全然変わらない。



 佐賀県、有明海でもみんなが農漁業を頑張っているが、上の方では「やっぱり日本で作るのはコストが高い。輸入すればいいだろ」という議論がいまだに出てくる。金を出せばいつでも食料が手に入る(輸入できる)時代ではなくなっていることがわかっていない。
 資源環境や地域コミュニティを守りながら食料生産を頑張っている人たちを支えるために、海外輸入品よりも少々コストがかかったとしても、それをしっかりみんなで負担することこそが安全保障のコストだ。



 日本はエサも肥料も輸入依存、種も9割が輸入だ。食料だけでなく、それを作るための生産資材・資源の輸入も非常に多く、それを考慮すると日本の食料自給率は実はもっと低い。



 現在、食料自給率は38%というが、肥料や種を含む生産資材の輸入依存を考慮すれば、最悪の場合、私たちの食料自給率は9・2%だ。これだけの人間しか生きられないのか……という状況になってきている。



 それに追い打ちをかけるように米ラトガース大学は、局地的な核戦争が起きた場合には被爆による死者よりも物流停止による餓死者が世界全体で3億人近く出て、その3割(7200万人)が日本に集中するという試算を出した。これでもまだ過小評価だという見方もある。「食料を自給できない人たちは奴隷である」(ホセ・マルティ)、「食うものだけは自給したい。個人でも、国家でも、これなくして真の独立はない」(高村光太郎)といわれる由縁だ。



 日本の現状では、いざという事態に国民の命を守れる独立国といえるのか――ということが厳しく問われている。



 世界はどうか? コロナ禍でもそうだが、農家や漁家が苦しくなったときに、アメリカは3・3兆円もの給付を出して国内の第一次産業を支えた。3300億円で生産者から食料を買い上げ、貧困層に届けた。それくらいの大胆な政策を他の国はやっている。



 多くの国では、普段から政府の責任で農産物を買い上げて、それを国内外の援助に使う政策をやっている。このような制度を一切なくしてしまったのが日本だ。



 さらにアメリカでは、農水予算を上乗せし、農家や漁家が赤字で事業を続けられない状態に陥らないように、農水産物の価格が生産コストに見合う水準よりも下がったり、不作で被害が出たりしたときの所得補償を直接払いでやっている。その点でも日本は非常に手薄だ。



 漁業については、日本には「積立ぷらす」(4分の1の積立金負担で減収分の八割が補償される共済制度)があるが、これは漁家にとって最低限必要な収入を基準にしていない。過去5年の平均よりも下がった分の8割補填だ。だから、有明海でも起きているように、被害が長期にわたり収入が減っていくと基準額がどんどん減っていく。低迷した収入の八割を払ってもらっても何のセーフティネットにもならない。底なし沼だ。



 さらに燃油などのコスト高をまったく見ていない。だから「積立ぷらすがあるから大丈夫」という議論はまやかしだ。これを改善しない限り、本当にみんなが漁業を続けられるだけの補償にはならない。



 とくに有明海では、国策である干拓の影響で被害が出たのだから、それに対する補償は、それ以前の段階でみんなが得ていた所得との差額部分を全額補填するという形にし、開門あるいは漁業被害がなくなるまでは出し続けるのが国の責任だ。それをうやむやにしたまま、毎年10億円ずつ(10年間で100億円)を有明海再生事業に出すということでお茶を濁されてもなんの役にも立たない。オスプレイは1機220億円だ。それを考えても、ごまかしにもならない話だ。



米国の第一次産業保護策



 アメリカは非常に積極的に自国の農水産業を支援している。たとえば米を1俵4000円で売るとしても、農家にとって最低1万2000円必要ならば、その差額を政府が支払っている。主要な農産物は全部そうなっている。米や穀物の3品目については輸出部分だけの差額補填で1兆円規模だ。それだけの予算を出して生産者を支え、その産物をできるだけ安く売ることができれば「食料こそ一番安い武器だ」と考えている。日本をはじめ他国の胃袋を支配する有効な武器になるという戦略だ。



 だからアメリカは競争力が高いから輸出国になっているのではなく、徹底的に補助金漬けにして安く売っているだけなのだ。そして、日本には関税を下げろ、撤廃しろといって丸裸にして潰しにくる。どこが自由貿易なのか? という話だ。アメリカのいう自由貿易とは、アメリカが自由にもうけられる貿易のことだ。自分の悪いところを棚に上げて他人を叩きまくるのが得意技だ。



 アメリカの政策のもう一つの特徴は、消費者が買えるようになれば生産者が助かるという考え方だ。なかでも驚異的なのは消費者支援策だ。



 米国の農漁業予算は年間1000億㌦近いが、その64%がSNAPという消費者の食料購入支援に使われる。10兆円を使ってEBTカードを発行し、貧困層が所得に応じて最大約7万円(月額)まで食品を購入でき、代金は自動的に受給者のSNAP口座から引き落とされる。これは農漁業支援政策としても重要であり、消費者の食料品の購買力を高めることによって農水産物需要が拡大され、農漁家の販売価格も維持できる。日本にはこういう政策もない。



 しかも、日本とアメリカは主要国(G7)で一番貧困率が高い国になっている。日本はアメリカを抜いて一位になった。そればかりか国連の「飢餓マップ」では、日本はアフリカ諸国と並んで世界でも最も栄養不足人口が多い国の仲間入りをしている。



 これだけ利権と結びついた一部の人たちだけが利益を得る一方で、多くの人たちが苦しむ状況が非常に顕著になってきている。貧困対策と生産者支援を結びつけるのも国の役割だ。





農漁業問題は消費者問題



 さらに消費者が考えなければいけないのは、これだけ生産コストが高騰しているのに生産者が価格転嫁できていない問題だ。「農業って大変だね…」と他人事のようにいっている場合ではない。この状態が続き、生産者が減り、海外から物が入らなくなったら、私たちはどうやって子どもたちの命を守るのか。そう考えると農漁業問題は、生産者の問題をはるかにこえて、国民一人一人(消費者)の問題だ。



 北海道の食料自給率は223%。佐賀県は95%をこえている。東京の自給率はゼロ%だ。世界で最初に飢えるのが日本なら、日本で最初に飢えるのは東京だ。誰のおかげでみんなの命が繋がれているのかをよく考えなければいけない。佐賀県で農業、漁業を頑張っている人たちがいるから、みんなの命が繋がっている。それを全体が認識しなければならない。



 佐賀県は、各都道府県の食料自給率を考慮して議員定数を配分し直すというおもしろい試算を発表している。人口が多いからといって偉そうにするな、食料をどれだけ供給できるのかが重要なのだから、国会議員定数も食料自給率に応じて再配分しろというものだ。そうすると、東京の国会議員定数(現30)はゼロ、北海道は(現12)は59、佐賀県(現2)は5に増えるという。いずれにせよ産地の危機的な状況が、現状どれだけ国政に反映されているのかは考えるべきだろう。



農業基本法改定のおかしさ



 そのなかで昨年、25年ぶりに“農政の憲法”と呼ばれる「食料・農業・農村基本法(農業基本法)」の改定がおこなわれた。だが、現状の悪化を踏まえて、もっと農業や漁業を頑張ってもらうためにしっかりとした政策を打ち、自給率を上げるための抜本策を出すのかと思いきや、中身はまったく逆だった。



 新基本法からは「食料自給率」の言葉は消えた。“これまで国は農林水産業をいろいろと支援してきたが、みんなどんどん辞めていっているじゃないか。だから潰れる方が悪いのだ”という基調で、苦境を放置して個人や小規模経営体がいなくなれば、どこかの企業に入ってきてもらって「輸出でバラ色」「スマート農業でバラ色」という発想だ。そのための規制撤廃を早めにやっておこうという話だった。農業の基幹従事者は、今後20年で120万人が30万人にまで減る見込みだ。そうさせないための政策を打ち出すのが本筋なのに、大多数の農家が潰れることを前提にして、輸出、スマート農業、海外農業投資、農外資本比率を増やすという問題のすり替えだ。



 そして、不測の事態に備えた有事立法だ。普段は支援しないが、有事になったら支援するから必死で頑張れというものだ。命令に従って作ったものは供出させ、それに従わない農家は処罰(罰金)する――かつての国家総動員法を彷彿とさせるようなバカなことを基本法で決め、法律まで作ってしまった。こんな発想しか出てきていない。



 以前、かの有名な経済学者が四国の中山間地に行って、「なぜこんなところに人が住むのか? こんなところに無理して住んでいるから、税金を使って行政もやらなければいけない。これを無駄という。早く原野に戻せ」といった。これがいかに間違っていたかはコロナ・ショックで明らかになったはずなのに、農業の憲法まで変えてそのような方向性を進めている。



 能登半島の復旧支援に行かれた方はわかると思うが、1年たっても復旧していない。国は金を切ってきている。「もう住むのはやめたらいいじゃないか。漁業も農業もやめてどこかに行け」と思わせるような状態だ。山口県でも聞いたが、各地の台風で田が被害を受けたときも、復旧予算を要求したら出さないといわれたという声もある。



 もっと驚いたのが、「消滅可能性自治体」(人口戦略会議)のレポートだ。よく読んでみると「消滅しろ」と書いてある。そんなところに無理して住むのは金がもったいないから早くどこかへ行けという論調だ。目先の効率性だけでみんなの暮らしを追いやり、農村・漁村を住めないような状態にしてしまえば、日本の地域の豊かな暮らしや人の命は守れるわけがないのに、こんなことが真顔で提唱されているのだ。



 国の方針がこんなひどい状況ではあるが、私たちは「宝の海」と呼ばれる有明海、この地域コミュニティを守り、未来の子どもたちにつなげていくために、自分たちの力でどうやって地域を守るかということについて関係者がしっかりと議論し、生産者、地域に住む消費者が支え合う仕組み作りを強化していかなければならない。



 財務省が最近、農水予算に対する考え方を出した。今こそ予算を付けて増産しなければいけないときに、「まだ農水予算は多すぎる」とし、米の備蓄が少なすぎるというのに「米の備蓄はもっと減らせ」という。極め付けは、食料自給率に金をかけるともったいないから、こんなことはやめて輸入しろという。これだけの発想しかない。税金をとるだけとって、この認識状況は非常に危機的だ。



農漁業悪玉論に世界中で怒りが爆発



 欧州でも農家の暴動に近い動きがある。SDGsを悪用して環境規制を強化し、農家、漁家を追い出しにかかる状況が今起きているからだ。日本でもそういう動きがあるが、それに対して欧州の農家たちは高速道路をトラクターで封鎖し、中心部から食料を消した。「ノーファーマーズ、ノーフード(農家なくして食料なし)だ」と。そこまでやっている。



 日本の農業や漁業もたいへんな状況だ。でもみんな我慢強い。先日、フランスの女性が私のセミナーを聞いて、「日本の皆さん、セミナーでよく勉強して頑張っているが詰めが甘い。フランスならパリに続く道路を封鎖して食料供給を遮断し、ちゃんと政策をやるというまでやめない。それくらいやらなければ、結局みんな頑張っていてもアリバイづくり、パフォーマンスで終わってしまうのではないか」といわれた。ここは私たちがさらに議論をしていかなければならないところだ。



 SDGsの悪用については、コオロギの話がある。まともな食料を支援しないで、コオロギを食べようという議論だ。



 「実は地球温暖化の一番の悪者は、田んぼのメタンガスと牛のゲップだった」という暴論もある。田は何千年も前からあるし、牛だってずっとゲップしている。温暖化したのは工業化が進んだからに決まっている。それを、悪いのは農業、酪農、漁業であり、こんなものはやめて人工肉やコオロギを食べればいいという議論にしてもうけようとしている人たちが動いている。日本でもイナゴは食べてもコオロギは食べていない。それには理由があるからだ。すでにコオロギはパウダー状にして食品に入れられている。



 2024年1月、スイスのダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)でも耳を疑う発言が飛び出した。



 「アジアのほとんどの地域では、いまだに水田に水を張る稲作がおこなわれている。水田稲作は温室効果ガス、メタンの発生源だ。メタンはCO2の何倍も有害だ」(バイエル社CEO)、「農業や漁業は『エコサイド』(生態系や環境を破壊する重大犯罪)とみなすべきだ」という論議だ。



 この論議には、工業化した農漁業や畜産を見直し、環境に優しい農漁業や畜産に立ち返ろうというのではなく、農漁業、畜産の営み自体を否定しようとする意図があらわれている。そして利益が得られる昆虫食や人工肉などのビジネス創出に持って行こうというのだろう。



 さらに関連して、スマート技術を使った「スマート農業」を広げようという動きがある。確かに大事な技術ではあるが、そこに目を付けたのが米IT大手のビル・ゲイツ氏などだ。なんと農家や漁家を追い出して、IT技術で無人農場を作り、投資家に売ってもうければいいではないかという議論を始めている。



 日本政府は今、フードテック(AIなど最先端テクノロジーを駆使して食の問題を解決する技術)を推進している。よい技術もあるかもしれないが、その論理は、農業や漁業は地球温暖化の悪者だったのだから、これからは代替的食料生産(遺伝子操作技術も活用)に変えていくというものだ。人工肉、培養肉、昆虫食、陸上養殖、植物工場、AIによる無人農場……などが全部書いてある。日本の農業や漁業をこういう形に変えるというのだから正気を疑う。そこまでしてでも一部の企業さえもうかればよく、今頑張っている人たちを非効率の一言で潰していこうとしている。



農地や漁場潰し、オスプレイ基地?



 今、安全保障といえば、敵基地攻撃能力強化や、増税してでも43兆円の防衛予算確保という方向の議論にしかならないが、その前に食べ物をどうするのか? これだけ自給率が下がっている日本がアメリカについて行って「攻めていくぞ」といった途端、中国のシーレーンを封鎖されたら、戦ってはいけないが戦う前に飢え死にして終わりだ。そんなことすら考えられないのか? ということだ。



 しかも買っている武器はトマホークなど型落ち兵器の在庫処分だ。在庫処分といえばオスプレイだ。危なくて仕方がないから世界中どこの国も買わず、日本だけが言い値で1機220億円とかで買い増ししてきた。そのアメリカさえも危ないからということで今年でオスプレイの生産を中止する。それなのに佐賀では40㌶もの優良な農地を潰し、漁場も心配があるのにオスプレイ発着基地を新たにつくっている。



 それだけのお金があれば、有明海の一次産業を守るためにどれだけのことができるか。有事のさいに、トマホークやオスプレイをかじって何日生き延びることができるか。私たちは生産者も地域も一緒になってこの流れを変えていかなければならない。



水産物は軒並み関税撤廃



 政府の計量モデルで私たちが試算すると、RCEP(地域的な包括的経済連携)やTPP11(環太平洋経済連携協定)などの大きな貿易自由化交渉がまとまるたびに、自動車は約3兆円もうかり、農業が大赤字になる。これをくり返している。



 農業を生け贄にしてもうけてきたトヨタなどの産業界も、その裏で何が起きてきたのかということにもっと責任を持つべきではないかという議論もある。



 また、日本の農漁業を生け贄にしやすくするために「日本の農漁業は過保護だから競争に晒さなければいけない」という誤解がメディアを通じて国民に刷り込まれてきた。日本の農漁業を「高関税で守られた閉鎖市場」だというのもまったくの虚構で、農産物の関税は平均11・7%しかなく、EUの半分だ。



 さらに水産物の平均関税率は4・1%にまで引き下げられ、米国抜きのTPP11では、水産物のほとんどの品目で関税撤廃している表参照。ノリなどの海藻類は15%の関税削減でとどめているが、その他は即時または段階的関税撤廃だ。こんなことを国民が知らないところで勝手にやっているのだ。輸入が増えれば価格は下がるのは当然で、その打撃の大きさを農水省も試算している。





 ノリについては資源管理の観点からもIQ(輸入数量割当)が残されており、IQ制度を前提にして、可能な輸入アクセス改善策を議論するのが現実的な選択肢だ。現状では、ノリは韓国と中国だけが日本への輸出国なので、日韓FTAや、韓国と中国を含む日中韓FTA、RCEPの動向が影響してくる。



 私は農水省時代に計8回の日韓FTA事前交渉に参加したが、農林水産物で一番こじれたのがノリ問題だった。韓国産の味付けノリの日本での人気が大きいのは確かで、韓国側は、いきなり枠の廃止は求めないとしつつ、より大胆な枠の拡大を要望してきていた。



 2019年段階で、韓国(18億枚)と中国(11億枚)あわせて29億枚の輸入枠があったが、それでもすでに日本の国産ノリの生産規模(80億枚)の36%にのぼっていた。それが2025年には43億枚に達し、国産に対する比率は54%という衝撃的な割合に達する。こんな枠を認めるというデタラメだ。向こうは品質は悪いが国産より3~5割安いため、近年流通が増えている。だが、そのために有明産のような香りも品質も良い国産ノリが失われていいのだろうか?



 「農漁業は補助金漬け」というのも虚構だ。日本の農業所得に占める補助金の割合はせいぜい3割台であり、先進国で最低だ。スイスやフランスなどは所得のほぼ100%が補助金。日本の漁業になると補助金の割合は農業の半分(15%)だ。



 要するに世界的に見ても、日本は漁業経営の保護をやっていないということだ。これだけの状況で頑張ってきた日本の漁業者というのは、どれだけのすごい力を持っているかということでもある。われわれは逆に誇りにしなければいけない。



 農業保護国として有名なフランスの農家の平均年齢は51歳。日本の農家の平均年齢は69歳だ。漁業はもう少し低いが、この状況を考えたらあと10年で農村・漁村、地域コミュニティや資源はどうなってしまうかは想像に難くない。これらを守る努力をすぐに強化・加速しなければ、私たちに残された時間は多くないことを認識する必要がある。



地域の生産を守る仕組みづくり強化を




収穫して機械で加工したノリの最終チェック(佐賀市川副町)

 そのためにも食べる側の消費者も輸入品に依存するのではいけない。輸入品がいくら安くても、禁止農薬や添加物などによる健康被害などのリスクがともなうことを考えれば、一番安いのは地元の安全安心な農林水産物だ。地元のものをいかに支えるかということが重要なのだ。



 そこで問題なのが、農水産物の買い叩きだ。産地vs.小売の取引交渉能力を推定すると、全品目で買い叩かれていることがわかる。仲卸業者に聞くと、産物の値段交渉は「基本はイオンさんがいくらで売るかで終わり」だと端的に答えた。そこから逆算して買ってくるので、農家や漁家のコストは関係ない。そんなことであっていいわけがないから、生産者も、農協、漁協、生協などの協同組合も頑張っている。



 試算すると、共販の力によって、米では60㌔当り3000円、牛乳では1㌔当り16円ほど農家の手取りが増加している。みんなが集まって共同体的に頑張ることがいかに重要かを物語っている。水産物は農業と比べても生産者団体の取り分が少ない。それはいろんな下ごしらえが必要だという点もあるが、買い叩きの構造についても考えなければならない。そんなときに冒頭のべた独禁法の違法適用による摘発が始まっているのだ。



 有明ノリの漁協での講演時にも聞いたが、入札をやっていても買い手側の談合的な行為があって買い叩かれ気味になっている実態は広く耳にしている。また、ある漁協の組合長さんは「最初に小売価格が設定されていて、そこから逆算で原価はいくらという方式で水揚げした魚の値段が決められるという流れが固定化しつつあるのは間違いない」とのべている。



 それを打破するために協同組合が頑張っている。その協同組合の共販の力を、「独禁法違反」という脅しと騙しで壊し、もっと生産者を買い叩けるようにしようとしているわけだ。共販は認めるが、共販のための出荷ルール(全量出荷など)は違反だというのも、出荷ルールがなくては共販は成立しないのだから、完全に破綻した論理だ。



 これは世界的にも恥ずべき行為だ。世界では、協同組合の共販は絶対に守るべき力として大事にされており、独禁法の適用除外になっている。日本でも共販は独禁法の適用除外と書いてあるのに、独禁法「違法」適用して摘発し始めるという異常なことがおこなわれている。漁協がこの脅しに萎縮すれば彼らの思う壺だ。



 一連の動きは根っこが繋がっているということを私たちは認識して対抗していかなければならない。



 たとえば、私も志摩半島でノリ養殖をやっていたが、私がやっても500万円にしかならないから、そんな小規模零細漁家は追い出して巨大企業にやらせれば10億円にできる――「成長産業化」とはこういう話だ。



 私たちは海のそばに住み、海を守りながら養殖や漁業を持続するために、みんなが平等に資源を管理するためのルールを作っている。有明海のノリ養殖での区割り替えもその一つだ。これが日本の地域コミュニティのすばらしい仕組みだ。こういうものが遅れたものであるかのようにして追い出そうとしている。



 それに対して、北欧デンマークの文化人類学博士アリーン・デレーニ氏(東北大学准教授)は、このような日本の資源や地域コミュニティを守る伝統的な仕組みについて今、欧州が注目していると指摘している。



 欧州では巨大企業に漁業をやらせて漁家を追い出したため、結局、資源管理もできなくなって地域まで崩壊した。これではいけないと欧州は今気がつき、日本のやり方を学ぼうとしているのに、日本の「水産改革」はその逆をやっているではないか。われわれが失敗したところになぜ向かってくるのか――彼女はそうのべている。



 日本の漁業資源管理が最良であることを実証してノーベル賞を受賞したエリノア・オストロム氏も、コモンズ(共同資源)の保全・利用は「共同管理」が大原則であり、それが長期的・総合的に見ても最も管理コストが安く、効率的であるということを日本の水産資源管理から学んで証明した。



 これだけ日本の地域コミュニティ、漁業共同体の仕組みが世界的に評価されているのに、それを潰してしまうのか? ということが今大きく問われている。



 また、日本の沿岸地帯は国境でもある。欧州は地続きなので国境は中山間地域にあり、そのため農林業などの一次産業を国がしっかりと支えている。日本は沿岸線や島嶼(しょ)部が、国境を守る大事な防波堤だ。



 そういう意味では、沿岸漁業は安心・安全な食料を供給するという安全保障とともに、国土・国境を守る安全保障という意味でも非常に重要だ。



 日本の沿岸部、島嶼部に豊かな漁業、農村の発展が持続されることは、漁村が崩壊したあとに自衛隊が駐屯するよりもはるかに優れた「国防」でもあるのだ。5年で43兆円防衛費を増やすのが国防だというのなら、日本の沿岸漁村、島嶼部漁村を守るのに10兆円規模を投入する方がはるかに実のある国防である。



 世界的にも 保護が少ない農業の、その半分の支援で頑張ってきた日本の漁家は精鋭中の精鋭であり、国民の希望の光だ。その底力を発揮して自身の経営と地域と国民の命を守る。また、消費者も、安くてリスクも多い輸入品に飛びつくのではなく、地域の安心・安全な作物を支えていく仕組みづくりをともにやっていく。そこに政治行政も巻き込んでいく流れを強化していくために、私も皆さんとともに頑張っていきたい。ともに頑張りましょう。
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/33573

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