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過去数十年の上昇相場を前提に今後数十年の投資をしてはいけない

1:777 :

2023/02/28 (Tue) 17:57:40

ガンドラック氏: 過去数十年の上昇相場を前提に今後数十年の投資をしてはいけない
2023年2月27日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34012

引き続きDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏のYahoo! Financeによるインタビューである。今回は、過去数十年の相場を底上げしてきた金融緩和がインフレの発生によって終了するとき、資産価格がどうなるかという話である。

40年続いた低金利相場

2022年に人類がインフレについて騒ぎ始めるまで、先進国の金利はひたすら下がり続けてきた。正確に言えば、金利の天井は1980年だった。アメリカは1970年代の物価高騰を金利を上昇させることで乗り切った後、20%まで上昇した政策金利を40年かけて低下させてきた。

アメリカの政策金利を長期で見ると次のようになっている。


ガンドラック氏は次のように言っている。

2022年までの過去40年間、長期的に見れば金利はひたすら下がり続けた。経済サイクルによっては短期的に上がった時もあったかもしれないが、その時もすぐに下値を更新した。

そしてそれが金融市場にとって何を意味したか? 資産価格上昇である。金利が下がれば預金をしていても利息が少なくなる。少しでも多いリターンを求めて資金が預金から株式などのリスクの高い資産に流れ込む。

金利が下がるたびにこの資金の移動が起きるので、中央銀行は経済にショックが起こって株価が下落するたびに金利を下げてきた。アメリカではリーマンショックで金利がゼロになったので、その後は利下げを紙幣印刷に切り替えて金融緩和を続けてきた。そうやって米国株は40年間、多少の下落相場があっても長期的には上がり続けてきたのである。

これは日本株についても同じことが言える。日本株は1989年のバブル崩壊で金利をゼロまで下げ切ってしまったために株価がそれ以上上がらなくなった。だが2013年にアベノミクスで紙幣印刷が始まると、株価は上昇を再開した。以下は日経平均の長期チャートである。


株式市場はまさに金利に従って動いている。債券も同じである。金利低下は債券の価格上昇を意味しているので、金利が下がる限り株式も債券も上がり続ける。

40年間上がり続けた米国株

日本市場は上記のように紆余曲折あったが、問題は金利低下が始まってから40年間上がり続けている米国株である。アメリカでは金融緩和は2022年まで途切れることがなかったために、米国市場の上昇も40年間長期的には途切れたことがない。だからガンドラック氏は次のように言う。

だから誰も金利低下以外の相場を経験したことがない。

だが幸いにも日本人は金利低下のない相場がどういうものか経験している。上記の日経平均のチャートを見れば明らかである。金融緩和があれば株は上がり、なければ株は上がらない。

金融緩和がないだけならばまだ良い。だがインフレを抑制するためにアメリカは金利を上げることを強いられている。

経験ある投資家は誰もが金融緩和の力を実体験として知っている。緩和が株価や債券価格を押し上げてきた現場で何十年も働いてきたからである。だからこそガンドラック氏は次のように言う。

これまでの低金利という背景が、今のところそうなっているように高金利という背景に置き換えられるとき、今後数十年が過去数十年と同じような相場になるだろうか?

過去の相場を十分に研究した専門家であれば、その答えを既に知っている。

「でも米国株は金融緩和がなくとも実力で上がっていくのではないか」と言う人が居るかもしれない。だがそれはもう既に試した。1970年代、アメリカの物価高騰時代に金利が高騰し、結果として米国株の株価は半分に、インフレ分を差し引いた実質の数字ではほとんど1/3に下がり、その後実質ベースでその下げ幅を取り戻すのには数十年かかっている。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
結論

筆者はまず1970年代と同じような下落が株式市場に起きると予想している。

2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない
だが問題は、株式市場や債券市場にとって酷い状況が1回の下落で終わるのか、それとも今後数十年がそういう時代になるのかということである。

そして上記のように日本株と米国株の金融緩和のない時代の動きを知っている人間には、その答えはもう分かっている。この下落相場は長丁場になる。だから筆者は株の空売りを2022年の始めから一貫して行わずに利益確定しながら何度も繰り返しているのである。長丁場の間には比較的大きな反発もあるからである。

そうした反発が「株式はやっぱり大丈夫なのではないか」という勘違いを投資家にさせることもある。だが一貫して言えることは、インフレが起きてしまった2022年以降、もう過去40年のような金融緩和を行うことが出来ず、そうした相場における株式と債券の長期のパフォーマンスは酷いものだということである。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
だから、例えば銀行や証券会社を利するだけで投資家には何の得にもならないつみたてNISAなどを国民どころか高校生にまで押し付けようとしている金融庁が、過去数十年の株式のパフォーマンスを例に「株価指数に投資して寝ていれば儲かる」という趣旨の完全な出鱈目を広めようとしているとき、あまりに酷い詐欺だと思わずにはいられないのである。それが出鱈目であることは上記の説明で一発で分かるはずだ。

このようなことは筆者やガンドラック氏でなくとも、少しでも金融の知識のある人間なら分かるはずである。

つまり金融庁の人間には金融の知識がない。手数料が高いだけでETFに比べて投資家には何のメリットもない投資信託を、価値あるサービスを提供できない、手数料ビジネスしか生きる道のない銀行業界の利権のために個人投資家に押し付けるための組織なのだから、金融庁ではなく日本投資信託協会にでも名前を変えれば良いのではないか。

彼らは銀行業界や証券業界、それらに支えられている政治家のことを考えているのであって、国民のことを考えているのではない。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
大体、40年の緩和相場がちょうど終了する見事なタイミングで国民に株式を押し付けた自民党や金融庁の手腕は天才的である。

何度でも持ち出すが、金融庁のサイトには以下のように書いてある。

詐欺的な投資勧誘等にご注意ください!
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34012


▲△▽▼


ガンドラック氏: 年末年始の株価上昇は幻想だった
2023年2月26日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33947

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏がYahoo! Financeのインタビューで、年末年始に反発した株式市場についてコメントしている。

年末年始の上げ相場

2022年はインフレ抑制のためのアメリカの金融引き締めで株式市場が下落した年である。だが秋頃にインフレ率の急落が始まると、金融引き締めも必要なくなると織り込んだ株式市場が急反発を始めた。米国株は次のように推移している。


インフレ率が下がっているにもかかわらずGDP成長率はそれほど落ち込んでいないとして、ソフトランディング期待さえ囁かれた2ヶ月だったが、今ではそのソフトランディング期待も消えかかっている。

サマーズ氏、ソフトランディング期待を取り消し
だが投資家がソフトランディングに淡い期待を抱き、市場では上げ相場が続く中で、経済と株価に悲観的な従来からの見通しを維持した人物がいる。それがガンドラック氏である。

ガンドラック氏: 景気後退入りは保証されている
ガンドラック氏: 株価はまだ下落する、ハイテク株は30%暴落する
この2ヶ月に何が起こったのか。ガンドラック氏は次のように説明している。

多くの投資家や個人投資家が理解していないのは、相場は年末に方向転換することが多いということだ。それは何か天文学的な理由があるわけではなく、単に資金の流れだ。

上げ相場にしても下げ相場にしても、市場に大きな動きがあった時、年末にはポジションの再構成が起こることが多い。

損失確定の売り

どういうことか。投資家は年度末時点での利益(あるいは損失)に基づいて税金を支払うことになる。

だから年末に含み損を抱えている場合、利益を圧縮したい投資家はその銘柄を売却して損を確定させようとする。そうすれば税金が少なくなるからである。

ガンドラック氏は次のように続けている。

2022年はコモディティ以外すべてが下落した相場だったが、多くの投資家が損をしているときには、年末に損失確定の売りが出る。

それは2022年の11月と12月にはかなり激しい売りになった。それが全部終わった後、1月に向けて資金が再び振り分けられたわけだ。

このように年末には急激な資金の逆流が起こりやすい。

多くの投資家が「高金利による株価下落は終わった」と思っていたはずだ。筆者も市場のその雰囲気を感じ取ったから一時的に株の空売りを外していた。

その2ヶ月では2022年の下げ相場で売られた銘柄が反発した。ハイテク株が上がり、債券が上がった。だがガンドラック氏はこう続けている。

高利回り債が上がり、新興国市場が上がり、コモディティ以外のすべてが上がった。完全に2022年の逆だ。だが今の状況はと言えば、以前の状況に戻っている。

以前の状況に戻っている。つまりはインフレと高金利、そして株安である。

結論

インタビューで「リスク回避を始めるべきか」と聞かれ、ガンドラック氏は次のように返している。

われわれはリスク回避を2021年の第4四半期に始めている。

今更だと言いたいのだろう。

一部の投資家は、去年の終わりから新たな上げ相場が始まったかのように感じていただろう。だが終わってみれば、米国株は2022年の始めから一貫して下落しているだけである。


だが売り方にとっては、短期的であっても上げ相場は可能であれば避けたいだろう。だからソフトランディング期待のような怪しげな理論で株価が上がっている時に出来ることは、良いタイミングで空売りを仕込むことくらいである。

2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない
短期的なトレーディングは上手く行く時と行かない時がある。だが株式市場の利益確定のタイミングについては2022年の始めに空売りを仕込んだ時からかなり上手く行っており、天井から今までの下げ幅以上の利益を出せている。

2022年のスタグフレーションに投資する方法 (2022/1/20)
だが重要なのは長期的トレンドを逃さないようにすることである。このソフトランディング期待というから騒ぎを一番的確に当てたのは、実はジム・ロジャーズ氏だったりするから面白いものである。彼は次のように述べていた。

ジム・ロジャーズ氏: 景気後退で紙幣印刷再開、インフレ第2波へ (2022/10/19)
一直線に上昇するものも一直線に下落するものも存在しない。調整を交えながら上げと下げを繰り返すのが普通だ。そしてインフレにも同じことが言える。

原油の価格が高騰し、その後落ち着く。人々は「インフレが収まった」と考える。だが多くの場合一時的なものだ。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33947
2:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/02/28 (Tue) 18:10:35

日本エリオット波動研究所の相場予測は凄い、 宮田直彦のエリオット波動分析はデタラメ
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14081932

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14042637

株価は長期金利と企業利益で決まる。
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14035593

株式投資は企業への投資ではない _ 外資が儲けたらそれと同額だけ日本が損する
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14008776


鈴木傾城 _ アメリカ株で儲けるほど簡単な事は無い
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/895.html

40年続いた米国株強気相場が崩壊する、米国株は30年上がらない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14007513

アメリカの政策金利はこれから 5%以上に上がって世界恐慌を引き起こす
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14009793

ついに始まる世界金融恐慌
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14009793

各国政府はインフレを歓迎し、むしろインフレ誘導している
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14078205

42年間続いた低金利の時代は終わった、2023年からは高金利の新時代へ
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14079077

紙幣をばら撒けばインフレになるという単純な事実が多くの人々には難しすぎて理解できない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14054383

インフレが起これば金融緩和が出来ないので、低金利で資産価格バブルの時代は終わる。
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14055430

ドルが基軸通貨ではなくなる
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14087403

日銀が 2011年から500兆円も ばら撒いたので「超円安・輸入物価高の時代」に変わった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14010201

日銀金融緩和が終わった、円安は日本人にとって何の得にもならなかった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14074282

日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14062048

日本円を借りてドルを買っていた円キャリートレードの巻き戻しが始まった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14080678

何故日銀はインフレに応じて金利を上げないのか?
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14052708

株で儲ける方法教えてあげる(こっそり)
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14005993

株式投資で常時監視すべき情報
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/349.html


3:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/01 (Wed) 08:48:46

ポールソン氏の2023年株価予想: 倒産が急増し株価は下落する
2023年2月28日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34065

引き続き、リーマンショックでサブプライムローンを空売りして巨額の利益を上げたヘッジファンドマネージャー、ジョン・ポールソン氏のアラン・エルカン氏によるインタビューである。

ジョン・ポールソン氏、サブプライムローンの空売りで大儲けした時のことを語る
今回はアメリカの利上げと株式市場について語った部分を取り上げたい。

株価下落をもたらした金融引き締め

前回のインタビュー記事では、現在の世界的な物価高騰の原因がウクライナ情勢ではなく現金給付と量的緩和であり、その兆候は2020年には既に金融市場に表れていたことを説明した。

ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした
だが紙幣印刷を行なったFed(連邦準備制度)のパウエル議長はその非を認めず、インフレが起こってからも長らく緩和を続けた。

だがそれが現在の問題を引き起こした。ポールソン氏は次のように言う。

だから彼らは非常に強烈な金融引き締めの加速を行ない、金利を非常に強烈に上げなければならなかった。

それが2022年の米国株の下落をもたらした。米国株のチャートは次のようになっている。


だが高値からの下げ幅は20%で、1970年代の物価高騰時代に起こった50%下落に比べればまだまだだ。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
また、アメリカのGDPは減速はしているもののまだ何とか持ちこたえている。

アメリカ経済は確実に減速している、2022年4QアメリカGDP
金利が上昇してから倒産が増加するまで

これは高金利の影響が意外と少なかったことを意味するのだろうか? それともそれがまだ来ていないことを意味するのだろうか?

ポールソン氏は次のように続ける。

高金利の影響はまだほとんど出ていない。

何故ならば、高金利が経済に影響を与えるまでにはタイムラグがあるからだ。

だがその主張には根拠が必要だ。そしてポールソン氏がここで取り上げる根拠は企業が倒産するまでの過程である。

ポールソン氏はまず次のように主張する。

2023年には債券のデフォルト率や企業の倒産率が上がると予想している。

だが何故それは金利の上がり始めた2022年ではなく、2023年に起こるのか? その理由は低金利によって延命されてきたゾンビ企業の延命のプロセスにある。

リーマンショック以降、ゼロ金利によって利息を払わずにお金が借りられるようになったことで、何の利益も生み出さないようなゾンビ企業でも、お金を借りて返済期限が来た時にはもう一度お金を借りる(つまり借り換える)ことによっていくらでも延命することができた。

だが金利が上がれば、お金を借りている間金利を払わなければならない。その金利が莫大であれば、本当に利益を上げている企業しか生き残れなくなる。

ポールソン氏は次のように説明する。

5%の金利でお金を借りても、返済期限にならない限り金利上昇は問題にならない。

だが返済期限になり、その時に12%や13%や15%の金利を払わないと借り換えが出来なくなっている時、あるいは借り換えがもうまったく出来なくなっている時には、債券は満期になった時点でデフォルトする。

これは経済学者ラリー・サマーズ氏が説明していたインフレと住宅価格の関係に似ている。

CPIの住宅インフレは住宅価格のピーク後最長3年近く続く
住宅価格はもう1年近く下落を続けているが、CPI(消費者物価指数)の住宅の要素はインフレが加速している。

これは何故かと言えば、住宅価格が下がっても、賃貸契約は契約更新の日が来ない限り同じ家賃で留まり続けるからである。

だから住宅関連のインフレは住宅価格よりも1年から3年ほど遅延することになる。

これは債券も同じで、市場の金利が上がっても借り換えを行わない限り借り手は契約で決まった金利を払い続けるので問題にならない。

だが返済期限が到来した時、高騰した金利で借り換えを行わなければならない時には、ゾンビ企業はようやく倒産することになる。

結論

ポールソン氏は次のように予想する。

今年にはより多くの債券が満期になるが、借り換えの選択肢は限られている。デフォルト率は上がり、倒産は増えるだろう。

そうなれば、今の市場の熱狂とFedが資金を引き揚げていることも考え、株式市場も恐らく第2四半期には調整し、今の水準から下落することになるだろう。

わたしの意見では、株価はそのまま今年中下落することになる。現在の株価上昇は持続可能ではない。

筆者も同意見である。筆者の株価下落予想については以下の記事を参考にしてもらいたい。

2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない
今年の市場には持続不可能なものが多い。もっとサステイナブルにすべきではないのかとサステイナブル好きな政治家に言ってやるべきだろう。

マイナード氏: 日銀の持続不可能な緩和政策の破綻は他国の教訓的前例になる


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34065


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ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした
2023年2月24日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33890

引き続き、リーマンショックでサブプライムローンを空売りして莫大な利益を上げたことで有名なジョン・ポールソン氏の、アラン・エルカン氏によるインタビューである。

ジョン・ポールソン氏、サブプライムローンの空売りで大儲けした時のことを語る
今回はコロナ後の緩和政策と現在のインフレの関係について語った箇所を取り上げる。

インフレと量的緩和

インフレの原因についてはここの読者には改めて言う必要はないだろう。ウクライナ情勢ではなく、コロナ後に行われた未曾有の現金給付である。

ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由
世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
国民に大金を振り込んで誰もがそれを使えば物価は高騰するという誰でも分かるはずの当たり前の話なのだが、メディアを鵜呑みにする人々にはウクライナがどうこうというナンセンスが横行している。だがそれは実際の経済統計に反している。

しかし現金給付の裏にあった量的緩和についてはきっちりとフォーカスされていないのではないか。ポールソン氏は今回、現金給付よりも中央銀行の量的緩和に重点を置いて話している。

彼はコロナ後の経済状況について次のように振り返っている。

コロナ危機が起こり、経済が沈んだ。だから彼らは2020年の第2四半期に非常に緩和的な金融政策を行なった。

コロナ後にすぐ、日本でもアメリカでも現金給付が行われた。債券投資家ジェフリー・ガンドラック氏などはそれを狂気の沙汰と呼んでいたが、誰も耳を傾けなかった。レイ・ダリオ氏は2020年の時点で淡々と過去のインフレの事例について研究を始めていた。

ガンドラック氏、新型コロナでの企業救済とヘリコプターマネーを痛烈批判 (2020/3/29)
世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨 (2020/5/23)
だが政府は既に莫大な政府債務を抱えていたのに、どうやって紙幣をばら撒いたのか? 中央銀行がそれを印刷したのである。

厳密に言えば、政府が国債を発行して投資家から現金をもらい、投資家はそれを中央銀行に売却して中央銀行が印刷した紙幣をもらうわけだが、要するに中央銀行が刷った紙幣が政府に行っているのである。それが量的緩和である。

だから量的緩和がなければ現金給付は不可能だった。この意味で量的緩和はコロナ後の物価高騰の原因なのである。

インフレ後の量的緩和

さて、コロナ直後の現金給付はロックダウンによるデフレを止めた。だが何故かその後も中央銀行は量的緩和を続けていた。ポールソン氏は次のように説明している。

2021年の始めに緩和を止めていれば良かったのだが、彼らは2021年のあいだずっと緩和を続け、驚くべきことに2022年の4月までそれを止めず、経済を資金で溢れさせた。

2021年、バイデン大統領は就任直後に大規模な現金給付をやらかした。当時、アメリカ経済は既に正常に戻っていたのにである。そのような状況でコロナ後と同じような大規模な現金給付をすれば、当然物価は爆発する。

バイデン氏は最近「インフレは自分の就任前からあった」という発言して批判されている。

ガンドラック氏、バイデン大統領の「インフレは就任前から」発言を批判
何故か。政治家が現金給付をすれば票を取れるということを学んでしまったからである。

だが何より馬鹿げているのは、それを有権者が支持したことである。人間は自分が愚かな行いをやりたくなってしまったとき、それを正当化する理屈をあとから考え始める。ポールソン氏は次のように続けている。

彼らは幻想を見ていた。彼らは紙幣印刷はインフレに繋がらないという新種の金融理論さえ信じ始めた。

だから彼らは嬉々として2021年のあいだずっと毎月1,200億ドルもの紙幣を印刷し、それでもインフレにはならないと主張した。

いわゆるMMTである。だがMMTは実は新種の理論ではない。MMTは19世紀にもあった。MMTとは人々が紙幣印刷をやりたくなった時にだけ発生し、その後の物価高騰とともに消えてゆく歴史上のいつもの風物詩である。

そしていつも通りインフレが起こった。ポールソン氏は次のように続ける。

2021年にはインフレ率は既に6%に達していたのだが、実際にインフレが起こった時、彼らはインフレは彼らの金融政策ではなく供給不足によって起こったもので、一時的だと主張した。紙幣印刷のインフレへの影響を無視した完全な幻想だ。

彼らはインフレの原因を正しく診断せず、すべてを供給の制約のせいにし、紙幣印刷を続けた。

MMTはインフレが起こらない限り問題ない

「インフレが起こらない限り問題ない」とされていたMMTについてはガンドラック氏が次のように問題を指摘している。

ガンドラック氏: 永遠に追加緩和か、景気後退か
インフレが起こっている。

ポールソン氏は次のように続ける。

紙幣印刷をどれだけ続けてもインフレは起こらない。それがどれだけ馬鹿げたアイデアか考えてみてほしい。

実際にはコロナ後、日本円換算で合計40万円以上の現金給付で物価は高騰した。現実はそういうものである。

それで2021年に「インフレは一時的」と言い続けていたパウエル議長も非を認めざるを得なくなった。ポールソン氏は次のように説明する。

彼らは2021年の終わりに態度を変えて、一時的がどうとかいうナンセンスをようやく止めた。自分がインフレの火に油を注いでいることに気付いたからだ。

だが彼らは紙幣印刷の規模を毎月減らしただけで紙幣印刷を2022年4月まで続けた。その頃にはインフレ率は10%に近くなっていた。

結論

それで現在の物価高騰まで至るわけである。量的緩和と現金給付がなければインフレは起こらなかったし、現在株価を下落させており、2023年に景気後退を引き起こす金融引き締めもやる必要がなかったわけである。

2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない
だがすべて、インフレ政策を支持し、結果として見事その成果であるところのインフレを受け取った有権者が自分で選んだことである。

ハイエク: 緩やかなインフレが有益であるという幻想
また、量的緩和はそれ単体では金融資産の上昇率を賃金の伸びよりも高くする政策であるので、労働世代から高齢者へと資産を移転させる年金以外の政策でもある。

以下の記事で説明した通り、日本ではその量的緩和を支持したのが搾取される側である労働世代だということがまた興味深い。人は何でも自分の好きなものを選べるのである。

ドラッケンミラー氏、高齢者が若者から搾取する税制を痛烈批判


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33890

4:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/23 (Tue) 23:43:19

ドラッケンミラー氏: 今後10年の株式市場はバイアンドホールドでは勝てない
2023年5月23日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37011

ジョージ・ソロス氏のクォンタムファンドを運用していたことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏が、Sohn Conferenceでのインタビューで、今後10年の株式市場について語っている。

今後10年の株式市場見通し

以前にも報じたが、ドラッケンミラー氏は今後の長期的な株式市場の見通しに弱気である。今回のインタビューでも彼は次のように語っている。

株価見通しを聞かれたとき、20倍になっている株価収益率や、民間投資の縮小などの財政要因を考えると、株式市場が10年後に今より高いことは考え難いと答えた。

ドラッケンミラー氏の言う理由は単純である。株価は以下の計算式で計算できる。

株価 = 1株当たり純利益 x 株価収益率
だから純利益と株価収益率を予想できれば、株価を予想することができる。

ドラッケンミラー氏の株価収益率の話に少し付け足すと、高金利は株価収益率を下げる。株価収益率が高い状態とは投資家がリスクを取っている状態だから、高金利でリスクが取れなくなれば株価収益率は下がる。

これからがインフレで高金利の時代だとすれば、それは株価収益率にマイナスに作用するのである。

また、ドラッケンミラー氏が民間投資に言及しているのは、純利益に影響するのがGDPの要素のうち消費ではなく投資だからである。マクロ経済学的な話だが、以下の記事で説明しているので興味のある人は参考にしてもらいたい。

ドラッケンミラー氏、2023年の株式市場見通しを語る
いずれにせよGDPのうち投資は急降下しており、それは純利益にとって大きなマイナスだということである。

ますます弱ってゆくアメリカGDP、2023年第1四半期は予想以上の減速
「失われた10年」の投資戦略

そもそも、米国株がこれまで40年上昇してきたのは、これまで40年間金利が下がり続けたからである。上述したのとは逆の理由で、金利が下がると株価収益率が上がる。それが米国株の長期上げ相場の正体である。以下の記事で説明している。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
だからインフレの発生によって低金利の時代が終わるのであれば、それは40年間米国株を支えてきた株高トレンドの終わりを意味する。ドラッケンミラー氏の言いたいことはそういうことである。

だがドラッケンミラー氏によれば、それでも投資家は諦める必要はない。彼は次のように述べている。

株式市場が今後10年間横ばいになるとわたしが言ったからといって、投資家にとって失われた10年になる訳ではない。

何故か。ドラッケンミラー氏は、アメリカで以前物価高騰が起こった1970年代の話を持ち出して次のように言っている。

1968年から1982年の間にも、正しいタイミングで株式市場を買い持ちにし、正しい銘柄を買い持ちにすることで、投資家は大いに儲けることが出来ただろう。

1968年から1982年は、米国株が14年間高値を更新しなかった期間である。その中には1974年の株価が半分近くまで下がった大暴落を含んでいる。


ちなみにこの期間、アメリカはインフレで物価が2倍になっているので、100ドルが14年後に100ドルになったとしても、100ドルの価値がその間で半分になっているので、株式投資家は実際には横ばいではなく大損になったということは付け足しておこう。

ドラッケンミラー氏は、インフレが再び生じたことで同じことが繰り返されると懸念しているのである。

横ばいでも儲けられる

しかしこの状況でも投資家は利益を出せる。何故ならば、別に株式を常に持ち続けなければならないというルールはないからである。

ドラッケンミラー氏は次のように言う。

1970年から72年までに大きな上げ相場があった。

前にも言ったが、この期間に原油株や化学株などの銘柄で大儲けすることが出来ただろう。

1975年から77年にも勿論大きな上げ相場があった。

例えば、確かに1974年には株価が高値から半分に暴落したが、その後の反発で株価は50%以上上がっている。

当たり前の話だが、最初から最後までで横ばいになるとしても、その乱高下に最初から最後まで付き合わなければならない理由はない。

ドラッケンミラー氏は常に投資を続ける投資家ではない。むしろ絶好の機会があるまで投資をせず、待つことを好む投資家である。彼は同じインタビューで次のように述べている。

ドラッケンミラー氏、誰でも30%以上の利益を出せる方法を語る
長期的に良いパフォーマンスを上げるためには、打てるボールが来た時には大振りすることだ。そして打てない玉は打たないことだ。

だから株価が高い時に手を出す必要はないし、大暴落が来れば明らかに安いのに誰も株に手を出さないような状況が来るのだから、その時に買えば良いというドラッケンミラー氏の判断なのである。

タイミングを考慮しない投資は有り得ない

こう言うと、「でも自分は投資のタイミングは分からない」という投資初心者の声が聞こえてきそうだ。投資では自分が何を分からないかを理解するのは大切である。

だがはっきり言うが、タイミングを考慮しない投資は有り得ない。どういう買い方をしても、例えそれが積み立てたものであっても、買った株には買値が存在する。

そしてどれだけ優良株であったとしても買値が高すぎればその投資は損を出す。それは短期投資か長期投資かということも関係がない。むしろ長期投資は1回失敗すれば終わりの後がない投資である。

だから結局、投資家は「タイミングを考慮せずに買える投資などない」という現実を直視すべきだ。そうすれば積み立ての呪縛から自由になれる。

「株式の長期投資はほぼ儲かる」という幻想は金融庁の「基礎から学べる金融ガイド」から来た
そうすれば、ドラッケンミラー氏の言うように、「打てるボールが来た時にだけバットを振る投資」が出来るはずだ。

ちなみにこの投資方針はクォンタムファンドの伝統でもあるのかもしれない。クォンタムファンドにおけるドラッケンミラー氏の先輩にあたるジム・ロジャーズ氏も、『マーケットの魔術師』に載っているインタビューで次のように述べている。

私は道ばたにカネが落ちているまで待っている。私はそこへ行って、拾い上げるだけだ。

「樽の中の魚を釣る」という格言のような状況を待っているんだ。

仮に今後数十年がインフレ高金利で株式市場にとって不毛の時期となろうとも、正しいタイミングが来るまで待つことが出来る投資家は、買いだけでも問題なく利益を上げることが出来るだろう。例えば今年、少なくともコモディティ市場にはそのチャンスがあると筆者は考えている。

2023年はコモディティ底値買いの年: 原油、天然ガス、農作物、金相場の推移予想
だが、特に根拠なく株式の長期投資にこだわる人々には、彼らにふさわしい未来が待っているだろう。ドラッケンミラー氏は次のように纏めている。

だから10年間全体で横ばいであったとしても、投資機会はある。

ただ、今後10年、バイアンドホールドで年率9%のリターンが得られると思ってほしくないだけだ。

より詳しいことについては以下の記事に載っているので、そちらを参考にしてもらいたい。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37011
5:777 :

2023/06/02 (Fri) 07:02:11

金融引き締めはどのように株価を下げるのか
2023年5月31日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37164

シリコンバレー銀行の破綻に始まる銀行危機で金融市場は悲観的になってみたり、銀行の破綻が一定期間起こらなければ楽観的になってみたり、市場は忙しいものである。

現在は相場の踊り場のような状況だと思うので、ここで一度金融引き締めと株価という基本的なことを再確認してみよう。

株価と金融引き締めの関係

コロナ後の紙幣印刷と現金給付が世界的なインフレをもたらし、アメリカはそれを抑制するために金融引き締めを行っている。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
株価は次のように計算される。

株価 = 1株当たり純利益 x 株価収益率
だから、金融引き締めが株価に影響を与えるとすれば、企業利益と株価収益率のどちらか(あるいは両方)に影響を与えることによって行われることになる。

実際には金融引き締めはその両方に影響を与える。株価収益率に関しては簡単である。株価収益率は株式の実際の価値(つまり将来の純利益)に対してどれだけ高く(あるいは低く)評価されているかを示している。

金利が高くなれば、株式を保有するリスクを取らなくても金利収入が多くなるので貯金や国債の保有などに資金が流れる。逆に金利が低くなればお金を預けていても金利が得られないので株式にお金が流れる。

だから株価収益率は第一に(実質)金利に影響される。金利が高ければ株価収益率が低くなるので、株価も低くなる。アメリカの実質金利の推移を見れば、2022年に株価が下がった理由も、2023年に株価が横ばいになっている理由も分かるだろう。


株価収益率は他にも市場のセンチメントなどにも影響されるが、金利が基本になるので、予想がしやすい。ドル円に関する記事で書いたように、筆者はアメリカの実質金利がこの辺りで天井だと思っているので、今後の推移に関して言えば、実質金利は株価に不利な方向へは動かないと筆者は予想していることになる。

最近のドル高の理由とドル円の今後1年の推移予想
企業利益はどうなるか

あとは企業利益の問題である。こちらは予想が難しいのだが、企業利益に影響を与える要素はいくつかある。例えばGDPで言えば消費は企業利益には直接的には無関係であり、投資は企業利益に影響を与える。

このことについては以下の記事で説明しているので詳しくはそちらを参照してほしいが、重要なのは投資がどうなっているかである。

ドラッケンミラー氏、2023年の株式市場見通しを語る
アメリカのGDPの構成要素のうち投資は次のように推移している。


コロナ後の現金給付の影響で急上昇した後、その上昇分をすべて消しそうな勢いで急降下している。

その理由はアメリカの金融引き締めである。金利が上昇すれば企業は投資がしにくくなる。もっとマクロ的に言えば、借金がしにくくなって市中に存在する現金と預金の総量(マネーサプライ)が減少し、それが投資を行う金銭的余裕を失わせているのである。

だから投資がこのまま下降を続けるのかを予想するためには、マネーサプライがどうなるのかを考える必要がある。そしてマネーサプライは次のように推移している。


銀行危機を受けての銀行の貸し渋りなどもマネーサプライの減少に拍車をかけている。銀行危機も金融引き締めによって起こったことである。

世界最大のヘッジファンド: 銀行危機は悪化しインフレは止まらずスタグフレーションになる
そしてマネーサプライは、アメリカが政策金利を5%程度の水準に維持し続ける限り減少を続けるだろう。

結論

もちろん企業利益に影響を与えるのは投資だけではなく、米国株を考えるならば海外要因も考慮しなければならないわけだが、投資がこのような勢いで急降下を続けるのであれば、ここのところ既に下がっている1株当たり利益もやはり下落を継続すると見るべきだろう。

また、現在の米国株の水準は企業利益の減少と金利の上昇という要因を十分に織り込んでおらず、これらの要素を考えるとかなり割高な状態に位置している。米国株は以下のように推移している。


これら2つは米国株にとってマイナスの要因である。

だが一方で、 実質金利の低下による株価の上昇の可能性は排除できない。だから株価の下落に賭ける投資家は、実質金利の低下をヘッジする必要がある。

筆者は基本的に金利低下に賭けているので、2年物米国債の買いとドル円の空売りが両方ともアメリカの金利低下に賭けた大きなポジションである。

最近のドル高の理由とドル円の今後1年の推移予想


ただ、1つだけ言えるのは、金利上昇と株価上昇が両方来るシナリオはないということである。それは以上の理屈を読めば理解できるだろう。それが起こっている限り、市場は本当の方向へは向かっていない。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37164
6:777 :

2023/06/05 (Mon) 15:08:38

米国が没落し日本が繁栄する「転換期」 5大総合商社をまとめ買い、バフェット氏が示した日本の可能性 国際投資アナリスト大原浩氏が緊急寄稿1/2ページ
2023.6/5
大原浩
https://www.zakzak.co.jp/article/20230605-47RH2AV3EBJU5LYAJFBTH577NE/

市場が混乱を懸念した米国の「債務上限問題」は回避されたが、米国が抱えている問題はそれだけではないと指摘するのは国際投資アナリストの大原浩氏だ。緊急寄稿で大原氏は、米国が「没落」していくのと対照的に、日本は「繁栄」に向かう転換点が来ているとの見方を示す。

米国では大統領選以来続く政治的混乱、インフレに対抗するための急速な利上げの副作用、金融機関の経営不安問題などがめじろ押しだが、本質的原因は、1971年のニクソン・ショック(金・ドル交換停止)にさかのぼる。金やその他の資産の裏付けがない、いわゆる「ペーパーマネー」を野放図に刷ってきた結果、ドルの価値が大幅に下落したのだ。

また、「借金をして自社株買い」をしたり、「(事業活動という中身がない)箱だけの会社」(SPAC=特別買収目的会社)が上場し、まだ何も活動をしていないのに巨額の資金を集めてきた。

これも、ぺーパーマネーがいくらでも刷れることから、「過大な金融緩和」が行われた結果だ。


その結果として生じたインフレに対抗するために米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が大胆かつ急速な利上げを行った。それでもインフレの脅威は収まっておらず、「景気崖落ち」のリスクを背負いながらも、現状維持あるいは引き上げを行わざるを得ない状況である。


投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット氏は、米国の将来に対して「万年強気」であることで有名だ。だが、そのバフェット氏が「シリコンバレー銀行をはじめとする金融機関の経営」を憂慮し、「米国経済の『信じられないような時期』が終わりつつある」との趣旨の発言をした。

バフェット氏の海外への本格的な投資は2003年の中国・ペトロチャイナが初めてだが、国際的な石油大手の中の一社として割安であるから購入した。電気自動車やバッテリーを製造するBYDも、創業経営者をバフェット氏や相棒のチャーリー・マンガー氏が高く評価したから購入したのであり、決して中国への投資ではない。台湾の半導体メーカーTSMCは有望な企業だが、いわゆる「地政学リスク」の問題から購入直後に売却したと明言している。

それに対して、 日本の5大総合商社の株式の購入は、明らかに「日本そのもの」を購入した事例だ。総合商社は日本の産業の川上から川下までを網羅しており、日本の将来に自信を持てなければ到底購入に踏み切れないからである。5大総合商社を「まとめ買い」したことも日本の将来に対する信頼の表れであろう。


バフェット氏はさらなる「日本企業」への投資の可能性を示唆している。個別企業ではなく、「国単位」での投資の可能性に言及するのは、母国である米国以外では初めてのことだ。バフェット氏は現在92歳だが、20~30年単位で投資判断を行うのが基本だ。彼が120歳になるまで日本は成長を続けるとの自信があると思われる。

1990年頃のバブル崩壊後「日本は駄目だ」と繰り返し洗脳され日本人は自信を失っているが、約30年ぶりに日本と米国の立場が逆転し、米国が没落し、日本が繁栄へと向かう転換点がすでにやってきているのではないだろうか。

そもそも、日本の「失われた○○年」の原因は、直輸入の米国型経営を無理やり風土が違う日本に当てはめようとしたことにある。今後日本が発展していく中で日本型(経営)の「本当の価値」が脚光を浴びることになる。われわれも、この30年ぶりのトレンドの「大転換」に乗り遅れないようにしたいものだ。

7:777 :

2023/06/06 (Tue) 09:03:06

日経平均がバブル後高値なのに、あなたの株はなぜ上がらない?
つばめ投資顧問の長期投資大学
2023/06/05
https://www.youtube.com/watch?v=6sRsTAS-PTo&t=20s

日経平均株価 がバブル後高値を更新しています。一方で、自分の株だけ上がらないと感じている人は多いのではないでしょうか?その理由と今後の方針を考えます。
8:777 :

2023/06/17 (Sat) 10:20:45

海外投資家は「これ」を見て日本株を買っている
つばめ投資顧問の長期投資大学
2023/06/15
https://www.youtube.com/watch?v=t9VQUazP2Gs

日本株が連日高値を更新しています。上昇を牽引しているのが 外国人投資家ですが、彼らは何を考えて日本株を買っているのでしょうか?その頭の中を除いてみましょう。
9:777 :

2023/06/23 (Fri) 06:59:01

ガンドラック氏: 米国株はバブルの様相、S&P 500は極めて割高
2023年6月21日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37635#more-37635

引き続き、DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏のCNBCによるインタビューである。

株価反発の理由

株式市場は反発している。米国株が今何処にいるかと言えば、2022年からの下げ幅の半分を超えたあたりである。


この動きについて、ガンドラック氏は一部の銘柄が大きく上昇したことが原因であると指摘している。

ガンドラック氏のいつもの表現だが、アメリカの株価指数S&P 500の上昇は実質的には資金が集中する7銘柄ほどの上昇であるとして、次のように言っている。

S&P 7はどう見てもバブルの動きだ。AI関連株は20%上がっている。そしてS&P 493は、最近少し上がったが、数週間前までは年始から変わらずだった。

残念ながらS&P 7のチャートもS&P 493のチャートもないのだが(そしてどの7銘柄なのかガンドラック氏が言及したわけでもないが)、アメリカに上場する株式のうち大型銘柄を除いた小型株指数であるRussell 2000のチャートをS&P 500と比べてみると状況が分かるだろう。

Russell 2000は次のように推移している。


こちらは上がっていないのである。

株式市場はバブルか?

この状況についてガンドラック氏は次のように述べている。

率直に言って、株式市場はバブルの様相を呈している。非常に限られたいくつかの銘柄が、指数全体を引っ張っている。結果としてS&P 500のバリュエーションは、Fedが利上げして長短金利が逆転していることを考えるとかなり恐ろしいことになっている。

長短金利の逆転とは、短期金利が長期金利よりも高くなっている状態のことで、歴史的にはその後かなりの確率で景気後退となる。詳しくは以下の記事を読んでもらいたい。

ガンドラック氏: アメリカはもう利上げしない、米国経済は悪化している
景気後退前にしてはバリュエーションが高過ぎるというわけである。具体的にはガンドラック氏は次のように言っている。

S&P 500の株価収益率は予想利益に基づいて19だ。だが経済が弱まり景気後退になるならば、予想利益自体がかなり楽観的な数字ということになる。

S&P 500は非常に割高だ。NVIDIAは年始から400%上がった。大きな上昇幅だ。そうした銘柄が指数を牽引している。

そして極めつけは以下のコメントである。

S&P500の動きは2022年1月4日までの雰囲気に非常に似ている。

現在の状況はバブル崩壊前に似ているか?

2022年1月と言えば、アメリカの金融引き締めが株価を下落させ始めた頃である。S&P 500のチャートをもう一度掲載しよう。


しかしガンドラック氏の指摘で筆者が思い出したのは、むしろ2018年である。現在と同じくアメリカの金融引き締めで株価が下落した2018年には、まず年始に株価が下落した後、一度大きく反発してから年末にかけてもう一度大きな下落があった。


当時からの読者は覚えているだろうが、2018年に一度下落してからの反発が本物の反発でなかったことを示す証拠は、S&P 500などの主要指数以外の指数、例えば新興国株式などが下落したままだったことである。

当時の記事にこう書いてある。

世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)
しかしここで指摘し続けた通り、世界の株式市場の中でまだ上昇相場を保っていたのは、アメリカや日本の株式市場の内、株価指数に採用されている少数の銘柄だけだったのである。

今の相場においてどうなっているかを考えてみる必要がありそうだ。ガンドラック氏の指摘はいつも示唆に富んでいる。

また、NVIDIAについてはバブルではないというスタンレー・ドラッケンミラー氏の指摘もあるので参考にしてもらいたい。

ドラッケンミラー氏の NVIDIAの株価予想: 暗号通貨と違ってAIは本物

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37635#more-37635
10:777 :

2023/09/07 (Thu) 23:10:21

米国株が完全に割高である理由と株価の推移予想
2023年9月7日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39671

アメリカで長期金利が上がっている。誰も大して気にしていないことだが、前回の記事でも言ったように、高金利こそが今年前半の銀行危機を引き起こしたのである。

アメリカ銀行危機の次の危機が株価を下落させる
それは銀行危機の継続を意味しているのに、誰も気にしていない。だが今回の記事では株式のファンダメンタルズについて話してみよう。

米国株の動向

米国株は2022年に下落し、その後上昇に転じた。S&P 500のチャートは次のようになっている。


下落の原因は前回の記事で説明したように長期金利の上昇である。


株安の原因となった長期金利が2022年の高値近辺にあるのに、株価が回復しているところに注目したい。

前回の記事で説明したように、これだけ見れば2022年の高金利で下落した株価が、今長期金利が同じ水準まで戻っているのに高値で推移していることは不合理に見える。

企業利益の推移

だが、株価に影響するもう1つの主な要因がある。企業利益である。こちらも考えなければ株価の動向は見えてこない。

そこで、S&P 500の1株当たり純利益を並べてみると次のようになっている。

2022年3月: 197.91ドル
2022年6月: 192.26ドル
2022年9月: 187.08ドル
2022年12月: 172.75ドル
2023年3月: 175.17ドル
2023年6月: 181.17ドル(予想値含む)
2023年9月: 187.59ドル(予想値)
2023年12月: 200.52ドル(予想値)
これは未来の数字を含んでいるので、当然予想値が含まれている。筆者の感覚では、直近2023年9月の数字はそれほど大きな誤差はなく大体当たるが、数ヶ月後の12月の数字はそれほどはあてにはならない。

だが最近の株価上昇は、金利は上昇しているのだから、1株当たり純利益の予想値が回復していること(及び株式投資家の楽観)に起因している。

企業利益の動向予想

だが企業利益はそれほど都合よく回復するだろうか。そもそも2022年から2023年にかけてS&P 500の企業利益が下落した理由は何だっただろうか。

企業利益が下落した原因は、これもまた高金利である。マクロ経済学的には、GDPの構成要素のうち企業利益に直結するのは投資と純輸出であって、例えば消費は企業利益と直接の関係性はない。

つまり、直感に反するかもしれないが、消費が増えてもそれだけでは企業利益は増えないのである。

また、投資と純輸出を比べると、規模で言えば投資の方が圧倒的に大きいので、基本的に投資が企業利益を決めるということになる。

そして例えば企業が設備投資を行なう場合、多くのケースではお金を借りて投資を行なうことになる。よって金利が高いか低いかが企業の投資意欲を大きく左右する。だから投資は金利で決まる。そして企業利益は投資で決まるので、高金利こそがそもそも企業利益が2022年に減少を始めた理由である。

上で数字を挙げたように、企業利益は回復の兆しを見せている。だがそれは、最近減速の気配を見せた住宅価格と同じではないのか。

米国の住宅価格が再び上昇、インフレは止まらないのか?
住宅価格も金利上昇によって下落に転じた後、一度金利が下がったことで再上昇したが、最新のデータでは最近の高金利によって減速している。

それは金利の推移に沿った動きである。金利はまた以前の水準まで上がっている。


だから、足元の企業利益の回復が、金利が一時的に低下したことによる回復なのだとしたら、金利はまた上がっているのだから、住宅価格のようにまた減速に転じると考えるのが妥当だろう。

また、米国企業の海外の売上や資産についても、金利上昇によるドル高にマイナスの影響を受けるはずである。

結論

だから、金利上昇は株価にとって2つの意味で重荷となる。1つには、安全資産とされる10年物国債の金利が4%を超える中、リスク資産である米国株はそれを超えるリターンを10年間出し続けなければ投資家にとって魅力を失う。

そしてもう1つが、今回の記事で説明した高金利の企業利益への影響である。こちらについても、金利は同じように上がっているのだから、企業利益もまた下がると考えるのが自然だろう。

だが仮にそうならないとしよう。アナリスト予想のようにS&P 500の1株当たり純利益は200ドルに向けて回復してゆくとしよう。その場合、株価の下落前と下落後における長期金利と1株当たり純利益はどうなっているか。


株価: 4,800ドル -> 4.500ドル(やや下落)
1株当たり純利益: 197.91ドル -> 200.52ドル(ほぼ変わらず)
長期金利: 1.5% -> 4.2%(大幅上昇)
おかしいではないか。誰も疑問に思わないのか? 誰がこの水準を妥当だと説明できるだろうか。そしてそもそも、上記の考察では1株当たり純利益が回復するという前提さえあやしいのである。だから実際には米国株は上記の数字で見て感じる以上に割高だということになる。

投資家は楽観を続けられるかもしれないが、今年の後半から来年の前半にかけて、アメリカ経済は減速を始める。失業率や住宅価格にその兆候が表れ始めている。

8月雇用統計は遂に失業率の上昇開始、インフレ後の大量失業の始まり
そして何より、銀行危機を引き起こした水準まで金利が再び上がっているのだから、 その水準の高金利が来年前半まで続けば、高確率で銀行危機のような新たな危機が何処かのセクターで起きるだろう。

アメリカ銀行危機の次の危機が株価を下落させる
何度も言うが、米国株の長期上昇トレンドはもう終わった話である。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
ドラッケンミラー氏: 今後10年の株式市場はバイアンドホールドでは勝てない

米国株は今年の後半から来年の前半に2回目のピークを迎える。それは先月の高値がピークであった可能性を排除しないが、アメリカ経済の減速は緩慢だから、また高値を更新する可能性もある。だが、結局重要なのは長期的見通しである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39671
11:777 :

2023/09/09 (Sat) 17:03:42

2024年新NISAの準備はOK? 豊かな投資のために、今すべきこと
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14148221



つばめ投資顧問の長期投資大学
https://www.youtube.com/c/Tsubame1045/videos

株で儲ける方法教えてあげる(こっそり)
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14005993

株式投資で常時監視すべき情報
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/349.html

これから起きる超円高によるバブル崩壊と預金封鎖
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14091470

日本エリオット波動研究所 _ 日経平均は本格的な上昇相場に入ったのか?
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14116908

日経平均の大相場は、残念ながら始まっていない/実践!エリオット波動 有川和幸
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14131375

日本エリオット波動研究所の相場予測は凄い、 宮田直彦のエリオット波動分析はデタラメ
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14081932

ドル建て日経平均株価は米国株価と連動している
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14123570

40年続いた米国株強気相場が崩壊する、米国株は30年上がらない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14007513

ついに始まる世界金融恐慌
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14009793

株価は長期金利と企業利益で決まる。
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14035593

今後10年の株式市場はバイアンドホールドでは勝てない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14115542

過去数十年の上昇相場を前提に今後数十年の投資をしてはいけない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14091142

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14042637

鈴木傾城 _ アメリカ株で儲けるほど簡単な事は無い
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/895.html

株式投資の神様「ウォーレン・バフェット」の言葉を真に受けると悲惨な結果になる
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/886.html

アホ個人投資家に高配当株投資が大人気
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14124805

【超高配当株】権利落ちで7%超 JT株の今後は?
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14076684

【銀行株×高配当】ゆうちょ銀行の売出しに応じるべきか?
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14091808

日本郵政グループ株(日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)を買ったらこういう目に遭った
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/981.html
12:777 :

2023/09/18 (Mon) 06:15:33

ガンドラック氏: 株価の長期上昇を支えてきた過去40年の低金利はもうない
2023年9月17日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39962

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、CNBCのインタビューでアメリカにおける金利の長期トレンドと、それが株価やデフォルト率に与えてきた影響について語っている。

コロナ後の経済サイクル

ガンドラック氏はこのインタビューで様々な議題について話しているが、どの議題について話すにしても、重要なのはコロナ以降、金融市場の環境が一変したということである。

そこでガンドラック氏は次のように問いかける。

これからの経済サイクルで起こることと、われわれの常識はどう違うだろうか?

「これからの経済サイクル」とは何か? ここの読者であれば言わなくとも分かるだろう。インフレによって金利が上がった後の経済サイクルという意味である。

金利低下時の金融市場と、金利上昇時の金融市場はまったく違う。ガンドラック氏はこう続けている。

われわれは金利がどう動くか知っていると思い込んでいる。マネーサプライの経済への影響について知っていると思い込んでいる。Fed(連邦準備制度)の金融政策について知っていると思い込んでいる。

だが1980年代前半から2020年代前半まで、われわれは低金利の環境下にあったのではなかったか? その期間金利はずっと下がっていなかったか? 勿論上がったり下がったりはしたが、長期的には金利は明らかに下がり続けた。

アメリカの政策金利は1980年にピークとなり、コロナ後の現金給付によってインフレが引き起こされるまで一貫した低下トレンドにあった。長期チャートを持ち出すと次のようになっている。


重要なのは、1980年から40年間金利は下がり続けたということである。そして投資家であれば誰でも知っているが、金利低下は株価にも経済にも大きな影響を及ぼす。

そして問題は、われわれのほとんどは金利低下の環境しか知らず、われわれの常識は金利低下の環境下における常識だということである。

だからガンドラック氏は次のように言う。

デフォルト率や企業が負債をどう扱うかについてのわれわれの常識は、時代錯誤の偏見ではないのか。

金利上昇と金利低下

ガンドラック氏は次のように言う。

金利上昇の環境は、金利低下の環境とは違う。

具体的にはどういうことか。例えば今のように金利が大幅に上がれば、お金を借りていた企業はどうなるか。

ガンドラック氏は次のように説明する。

米国企業は債務の期限を長期にして金利を非常に低く抑えた。だが期限が来て借り換えなければならなくなればどうなる? その時に金利が4%ではなく9%だったらどうなる?

小規模事業者にとって金利は現在その水準だ。3年前、小規模事業者にとって金利は4%だった。今では9%だ。Fedが更に利上げすれば更に高くなる。

Fedは2021年にインフレの脅威を無視した後、2022年に金利を急速に上げた。

経済に対する利上げの効果は強力である。だがその後、アメリカにはまだ景気後退は来ていない。だがその理由の1つは債務の乗り換えがまだ完了していないということだろう。

だが来年には多くの企業にとっての債務の期限が到来し、借金を借り換えなければならなくなる。その時に多くの企業が金利上昇の効果に直面することになる。

Fedのパウエル議長は金利を5%台の水準に長らく据え置くと表明している。だがそんなことが出来るだろうか。その馬鹿らしさについては以下の記事で既に指摘している。

米国インフレ率が下がれば下がるほど株価にはマイナス、株式の買い手は逃げるべき
だがパウエル氏にはそれが分からない。しかしガンドラック氏の上記の議論を読めば、それがどういう意味か分かるはずである。ガンドラック氏は次のように続けている。

Fedがこれから数年金利を5%か6%に保ったままにすれば、この国のすべてが倒産するだろう。

金利上昇と株式市場

そして金利低下が金利上昇になったことは、当然ながら株式市場にも影響を与える。ガンドラック氏は次のように述べている。

株式市場は1982年に底打ちし、2022年にピークを打ったように見える。この期間に金利が14%から0%になったことと関係があるだろう。

世の中にはインフレ対策で株式を買えという馬鹿げた議論もあるようだが、1970年代の物価高騰時代、米国株がどのような酷いことになったのかについては以下の記事で説明している。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
逆にその後の1980年から40年間の金利低下局面で米国株がどうなったかについても、多くの人が知っているだろう。

何故金利低下で株価が上がるのか。例えば米国債の金利が10%ならば、国債は無リスク資産と考えられているので、株式はそれを超えるパフォーマンスを出さなければ投資家を集めることが出来ない。逆に金利がゼロならば、投資家は少しでも値上がりを期待できそうな株式に殺到する。

だから他の条件が同じならば、金利低下はそのまま株高を意味し、金利上昇はそのまま株安を意味する。

株式市場はしばしばそれを無視する。2018年の金利上昇局面でも同じことが起きた。

バブルの頂点で日経平均は上昇、空売りを淡々と継続 (2018/9/20)
だがそれは長期的には続かない。長期的には、1980年から2020年まで金利低下によって米国株が上昇したこととまさに反対のことが、金利上昇局面においては起きるだろう。

結論

ガンドラック氏は次のように纏めている。

金利が上がれば株式にとって競争は激しくなる。債券と株式のリスクプレミアムを比べれば、株式のバリュエーションは現在、われわれの生きている間で一番高くなっている。

これは2024年には問題となるだろう。

世の中では金融庁にそそのかされ、金利低下局面で株式を買わなかった人が金利上昇局面で株式を買い始めている。それがどういう面白い状況か、この記事を読んだ人ならば分かるだろう。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
また、金融庁の資料に過去20年の株式や債券のパフォーマンスが乗せられ、それを根拠に投資が推奨されていることがどれだけ可笑しいことであるかも、この記事を読んだ人には分かるはずである。

「株式の長期投資はほぼ儲かる」という幻想は金融庁の「基礎から学べる金融ガイド」から来た
だが誰も気にしていない。

何故なのか。短期的には金利上昇を誰も気にしていないこととまったく同じように、金融庁の職員の多くは投資を仕事にしたこともない資産運用の素人であり、NISAは銀行・証券業界に手数料を落とす目的で出来上がったのだが、ガンドラック氏ら専門家の見解の真逆を行く彼らの見解を鵜呑みにすることに誰も何の疑問も抱かない。そもそも金融庁職員は多くの資産への投資を禁じられているため、もしかすれば自分よりも投資経験がないかもしれない彼らの投資推奨を人々は有難く聞いている。

基本的に人々は何も気にせずに生きている。 だが金融市場は彼らに相応の結果を与える。来年の前半にはすべては終わっているだろう。

米国インフレ率が下がれば下がるほど株価にはマイナス、株式の買い手は逃げるべき

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39962
13:777 :

2023/09/19 (Tue) 03:13:15

レイ・ダリオ氏、投資で最悪の間違いは何かを語る
2023年9月18日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40002

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が、Milken Institute主催の会議で投資における最悪の間違いについて語っている。

多くの投資家の最大の間違い

多くの投資家が犯す最大の間違いは何か。この会議でダリオ氏は様々な議題について語っているが、いくつか簡潔な質問を並べられた中にあった質問がこれである。

読者ならどういう間違いを思い浮かべるだろうか。例えばNISAブームにそそのかされて投資を始めることだろうか。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
ダリオ氏は次のように答えている。

これまで良いパフォーマンスを出している投資を、割高だと考えずに良い投資だと思いこむこと。

良いパフォーマンスを出しているということは、価格が上がっているということである。

恐らくそのデータの受け取り方は、素人とプロで違う。多くの人は、これまで価格が上がっているのだから良い投資なのだと考えるだろう。だが実際には、他の条件が同じならば、価格の上昇は資産としての魅力が下がったこと以外の何物でもない。

価格上昇の意味

これは確かウォーレン・バフェット氏が言っていたことだと思うが、多くの人々は1ドルのりんごが2ドルになれば割高になったと考えるが、1ドルの株式が2ドルになれば買いたいと思い始める。

この冗談には多くの真理が含まれている。投資家もスーパーで野菜や果物を買う人の心理で投資に向き合うべきなのである。投資とは同じものを安く買って高く売ることである。高いものを買っても良いことなどない。

1ドルのものが2ドルになったならば、他の条件が同じならば、それは単に割高になったのである。

だが多くの投資家はそのようには考えられない。その典型的な例が金融庁の職員である。金融庁が素人に投資を推奨している「基礎から学べる金融ガイド」には、次のようなチャートが掲載されている。


過去20年間のパフォーマンスが誇らしげに載せられている。

だが、ここには資産運用を仕事にする人間であれば誰でも知っている事実が見逃されている。過去のパフォーマンスは、将来のパフォーマンスを占う上で何の役にも立たないということである。過去のパフォーマンスを見て良い投資が見分けられるならば、誰でもファンドマネージャーである。だが資産運用業はそれほど甘くない。

過去のパフォーマンスを押し出して素人に将来のパフォーマンスを夢想させるというのは、例えば銀行が何も知らない老人たちに投資信託(プロは決して買わないが素人は良く買う)を買わせるためによくやる手だが、だから彼らは老人しか騙せないのであって、まあ金融庁にも似たような人材しか居ないからこういう理屈で投資を薦めるのだろう。

過去のパフォーマンスの意味するところ

だが過去40年の株式の上昇相場は、1980年に始まる金利の長期下落が原因だということはここでは何度も指摘しておいた。DoubleLine Capialのジェフリー・ガンドラック氏も指摘している通りである。

ガンドラック氏: 株価の長期上昇を支えてきた過去40年の低金利はもうない
そして低金利はもうない。インフレが始まり、金利を上げなければならなくなったからである。金利低下時における株式市場のパフォーマンスは、コロナ以後のインフレ・金利上昇時における株式市場のパフォーマンスとは何の関係もない。

そして1970年代の物価高騰時代における米国株のパフォーマンスは、以下の記事で説明した通り酷いものである。これがインフレ・金利上昇時における株式のパフォーマンスである。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
だが、それでは過去のパフォーマンスは投資をする上で何の意味もないのだろうか。ファンドマネージャーは過去の株価チャートを見ないのだろうか?

当然過去のチャートを見る。だが、それが将来のパフォーマンスを決めるとは思っていない。では何のために見るのか? その資産がどういう時に上がり、どういう時に下がるのかを調べるためである。

その資産は1970年代のインフレ・金利高騰時代には上がったのか、下がったのか? その後の1980年から2021年までのデフレ・金融緩和時代にはどう動いたのか?

戦争があればどういう資産が上がり、どういう資産が下がるのか? パンデミックが起これば資産価格はどのように動くのか?

それを調べるための資料が過去の価格チャートである。 そして例えば、これからインフレ・高金利の時代が来るならば、デフレ・金融緩和で上がった銘柄ではなく、インフレ・高金利の時代に上がった銘柄を買うべきなのである。

結論

ということで、過去の価格チャートはその資産がどういう性質を持っているのかを調べるためのもので、今後のパフォーマンスが良いか悪いかとは何も関係がない。

金融庁の投資推奨がどれだけ馬鹿げたものか、この記事を読めば誰でも分かるだろう。また、金融庁が推奨しているもう1つの方針である「分散投資」については、世界最高のファンドマネージャーの1人であるスタンレー・ドラッケンミラー氏が次のように言っている。

ドラッケンミラー氏、個人投資家の投資スタイルを酷評
彼らは分散投資をすれば、集中投資をするよりリスクが低くなると言う。それが正しいとはまったく思わない。

金融庁の投資指南は控え目に言っても天才的である。彼らは本物の資産運用家の逆を行くことに関して稀有な才能を発揮しているので、是非読んでみてもらいたい。

「株式の長期投資はほぼ儲かる」という幻想は金融庁の「基礎から学べる金融ガイド」から来た

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40002
14:777 :

2023/12/22 (Fri) 21:46:59

レイ・ダリオ氏、投資にグローバルマクロ戦略が必要な理由を語る
2023年12月22日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/42723

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がFinimizeのインタビューで、普通の株式投資家からグローバルマクロ戦略のヘッジファンドマネージャーとなった理由と経緯について語っている。

グローバルマクロ戦略

ダリオ氏は世界中の株式、債券、為替、コモディティなどあらゆる銘柄に投資し、レバレッジをかけ買いも空売りもやるというグローバルマクロ戦略のファンドマネージャーとして現役もっとも有名な人物である。

このグローバルマクロ戦略はジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドが始めたものである。ソロス氏は自著『ソロスの錬金術』でその戦略について丁寧に説明している。

だがダリオ氏は最初からグローバルマクロの投資家だったわけではない。あらゆる資産クラスに関する知識が求められるグローバルマクロ戦略を最初から出来る人などいない。

だから誰でも何らかの資産クラスから始めなければならない。ダリオ氏が最初に投資したのは株式だったそうだ。彼は最初の投資経験について次のように述べている。

12歳の時だった。

ゴルフのキャディーをして、バッグ1つにつき6ドルを得た。バッグを2つ持って12ドルで、50ドル貯まる度に株式市場に投資した。

最初に買った株は当時わたしが知っていた唯一の銘柄で、株価は5ドルより低かった。たくさん買って値上がりすれば大儲けできると思った。

勿論それは馬鹿げた戦略なのだが、当時のわたしはそれを理解していなかった。

誰でも何も知らないところから始める。12歳のダリオ氏はその後大学に行き、そしてウォール街で働き始めた。最初のキャリアではコモディティを担当していたらしい。その辺りのことは以下の記事で報じている。

レイ・ダリオ氏、上司を殴って会社を辞めた時のことを語る



株式の買い持ちだけでは勝てない時

様々な資産クラスを見るなかで、ダリオ氏は株式市場を予想するためにも他の市場の知識が必要だということに気付くようになる。

多くの個人投資家は単に株式を買い持ちにするだけだろうが、例えばそれは株式全体が長期的に下がる相場では長期的に損失を出すトレードとなってしまう。

例えばダリオ氏は次のように言っている。

1966年から1984年まで米国株の実質リターンはマイナスだった。

1966年(の下げ相場)が1970年の景気後退を引き起こし、それによってアメリカ政府がドル紙幣とゴールドの交換の約束を反故にしなければならなくなった。通貨の減価だ。

それが1970年代の経済状況の原因となった。資産価格は下がり、1973年から1974年の下落相場やオイルショックなどが起こった。

これは1966年から始まり、1970年から1980年にかけてピークを迎えたアメリカのインフレ相場のことである。詳しくは以下の記事で説明しているが、物価の高騰と厳しい利上げによって米国株は実質的にほとんど3分の1の価値になった。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
株価を動かすマクロ要因

当たり前だが物価高騰には原油価格の上昇など様々な要因が絡んでいた。株式会社の業績だけではなく、コモディティなど様々な市場や為替要因、インフレ率やGDPなどマクロ経済の状況を考えなければ当時のインフレ相場を生き抜くことは出来なかった。

ソロス氏とともにクォンタム・ファンドを創業したジム・ロジャーズ氏は、著名投資家のインタビュー集『マーケットの魔術師』のなかで次のように言っている。

インドネシアのパーム油がどうなっているかを知らずにアメリカの製鉄株にどうやって投資できるだろうか?

ダリオ氏はこう続けている。

そのときわたしは株価にとってマクロが非常に大きな意味を持つことに気づいた。マクロ要因を理解することが必要だった。

それで株をいつでも買い持ちにするのではなく、空売りもする必要があると学んだ。それがマクロの投資家になった理由だ。マクロの要因がすべてを動かすからだ。

個人投資家には空売りを危険だと思う人が多いかもしれない。だがグローバルマクロの投資家から言わせれば、空売りをしない方が危険である。下げ相場でも勝てる投資家にとっては、買いオンリーという下げ相場でほぼ確実に負ける戦略を取ることは考えられない。長期の下落相場を買い持ちにすることはほとんど死を意味する。

ダリオ氏が言っているのはそういうことである。そして今の投資家にとっての問題は、1970年代の米国株の推移が実証したように、インフレ相場での株式のパフォーマンスは非常に悪いということである。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/27644

NISA界隈の人々が株式は インフレに強いと言っているのを目にするが事実に反する完全な出鱈目である。1970年代の相場も勉強したことがないのだろう。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/28426

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/42723
15:777 :

2024/01/20 (Sat) 07:10:36

レイ・ダリオ氏: 2024年の金融市場で投資家はどうすべきか
2024年1月17日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/43492

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が、世界経済フォーラム(通称ダボス会議)においてCNBCのインタビューに答え、2024年において投資家はどのようなポートフォリオを持てば良いかについて語っている。

2024年の戦争リスク

ダボス会議におけるインタビューということもあり、やはり話題が行くのは地政学リスクである。ウクライナとパレスチナで戦争が起こっている。

こうした要因は金融市場にどういう影響を及ぼすのか? ダリオ氏はこう語っている。

地政学要因について考えると、地政学リスクは資産価格に反映されていない。市場参加者にとって地政学リスクを考えるのは難しいからだ。

史上最高値付近で推移する米国株が戦争を気にしていないのは明白だが、同時に下落している国債の金利水準も原油価格高騰によるインフレリスクをまったく織り込んでいないと言えるだろう。ポール・チューダー・ジョーンズ氏も同じことを言っていた。

チューダー・ジョーンズ氏: 金融市場はイスラエルリスクを過小評価している
資産価格の水準

だが全体的に見れば、ダリオ氏は資産価格の水準を高過ぎるとは思っていないようだ。彼は次のように述べている。

政治的要因を除けば、資産価格は現在非常に魅力的でもなければ、非常に魅力がないわけでもない。

これはダリオ氏にとって債券にも株価にも当てはまるようだ。ジェフリー・ガンドラック氏とは違った見方である。

ガンドラック氏の米国株予想: S&P 500はダブルトップを形成して下落する
ダリオ氏の相場観によれば、金融市場に買うべきものも空売りするべきものもないということになる。では投資家はどうするのか? ダリオ氏はこう続けている。

問題は、中立的なポジションがどういうものかということだ。わたしは今中立的なポートフォリオを保有している。

それは現金を多く持つということだろうか? ダリオ氏はそれを次のように否定する。

現金は中立なポートフォリオではない。多くの人は中立と言えば現金を思い浮かべるが、それは正しくない。現金は長期的にはゴミ同然の投資対象だからだ。

金本位制でなければ、政治家による紙幣印刷によって現金は長期的にはインフレで駄目になってゆく。それは歴史的事実である。「インフレになるから株式を買え」と政治家に言われて素直に従っている馬鹿たちは、誰がインフレを引き起こしているのかを理解していない。

世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな
ダリオ氏はこう纏めている。

だから中立なポートフォリオとは何かということを良く理解していなければならない。

中立的なポートフォリオ

ダリオ氏が個人投資家によく奨めるのが、どんな状況でも安定したリターンを生めるようなバランスの取れたポートフォリオを持てというものである。

世界最大のヘッジファンドが個人投資家に助言する
それは勿論株式を長期保有しろということではない。それでは長期の安定リターンを生むことはできない。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
バランスの取れたポートフォリオとは、株価が上がる局面でも下がる局面でも相場と無関係に利益を生むポートフォリオである。

本物の分散投資

だが個人投資家にそれを奨めるダリオ氏は、それが実際には資産運用において一番難しいことだということを見落としている。相場の上がり下がりとは無関係に利益を生むポートフォリオは、すべてのヘッジファンドマネージャーの夢だろう。

それは本物の分散投資である。だが本物の分散投資とは、例えば世界中の株式を保有することではない。それはむしろ偏っている。本物の分散投資とは、例えば株式を買い持ちにした場合には、株価が下がった場合に利益を生むようなポジションを同時に形成することである。

ヘッジファンドの始祖とも言えるジョージ・ソロス氏は著書『ソロスの錬金術』で、一見相反するポジションをポートフォリオに追加することについて次のように言っている。

1つの仮説にすべてを賭けるというのは、私にはめずらしい行為である。普通は、少なくとも部分的に矛盾する仮説に従って行動している。

原則として、妥当性を持つ仮説に基いてつくったポジションは手放さないことにしている。そして新しい仮説に基いて反対方向のポジションを追加する。その結果、調整する必要のある微妙なバランスを適宜調整できるようになる。

そしてすべてのポジションが互いにリスクを軽減し合うように計算された、理想的で分散されたポートフォリオが出来上がってゆく。

それは「長期分散投資」を単にインデックス投資だと思っている金融庁のド素人たちや、自分の頭で考えずに他人の個々のポジションを真似して儲けようと思っている馬鹿たちには理解できない、資産運用の分野における本物のアートである。


「株式の長期投資はほぼ儲かる」という幻想は金融庁の「基礎から学べる金融ガイド」から来た
ジム・ロジャーズ氏: 他人の意見で投資をするとほぼ間違いなく失敗する

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/43492
16:777 :

2024/01/28 (Sun) 18:39:07

ガンドラック氏: インド株は30年前の中国株と同じ状況、買って放置しておけ
2024年1月27日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/43749

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、自社主催の座談会で新興国株式、特にインド株について語っている。

米国株の長期上昇トレンド

米国株は過去40年間素晴らしいリターンを上げてきた。それは長期の上げ相場だった。

その上げ相場は1980年に始まった。何故ならば、1970年代のインフレ相場の後、長期的に上昇していた金利が1980年に遂にピークに達し、金利はそこから下落したからである。

その後40年に渡ってアメリカの金利は長期的に下がり続け、米国株を支え続けた。一方で日本ではバブル崩壊後に金利がゼロに達し、それ以上金利低下が得られなかったために株式市場は30年近く停滞した。

このように、金利の上下は株式市場に大きな影響を持っている。そして問題は、インフレによってアメリカでも金利の低下が終わり、むしろ金利を上げなければならなくなったことである。

そのような状況にある米国株について、ガンドラック氏は次のように述べている。

米国株は長らく他の国の株式、特に新興国株式よりも良いパフォーマンスを発揮してきた。それは長いトレンドだった。だがそのトレンドは壊れたようだ。

スタンレー・ドラッケンミラー氏も金利を理由に米国株の長期上昇トレンドは終わったと判断している。

ドラッケンミラー氏: 米国株が長期的には常に上昇するという信仰は間違い
逆に言えば、幸いなのはインフレがそれほど酷くなかったためにアメリカほどの利上げが必要ではなかった国々である。

アメリカでは莫大な現金給付によってインフレ率は2%程度から9%まで上がった。だがそれほどのばら撒きを行わなかったためにインフレがそれほど酷くない国もある。

また、アメリカでは金利上昇は莫大な政府債務への利払いが増加することを意味するが、政府債務が少ない国では利上げの悪影響も小さい。

何処の国に投資するべきか

だからガンドラック氏はアメリカ以外の国の株式を推している。だが具体的にどの国が良いのか。ガンドラック氏は次のように続けている。

これは毎年言っていることだが、現在はこれまで以上に確信している。

孫の大学の教育費のような長期的の話ならば、インド株式ETFを買ってただ放置しておけ。

最近、著名投資家の中でインド株が話題である。Bridgewaterのレイ・ダリオ氏もインド株を推奨していた。

レイ・ダリオ氏: インドにもっと投資できれば良いのだが
何故か。ガンドラック氏は次のように説明している。

インド株は上がる。10倍になる。インドは30年、35年前の中国とまったく同じ状況にある。

30年前、中国は地方から都市部への人口流入によって労働力が急増し、それに対応するために変化が起こらなければならなかった。それが今のインドの状況だ。

結論

多くの個人投資家が、ただ買って放置しておけば儲かると思って米国株をつみたてNISAに詰め込んでいる。だがプロの視点から見れば、現在は米国株を証券口座に詰め込むタイミングとしては最悪である。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より 酷い惨状に
だがガンドラック氏から彼らに朗報がある。ガンドラック氏は次のように言っている。

インド株だけがわたしの今のお気に入りだ。株価の動きを見ることさえない。何ヶ月も気にしていない。これは長期のシナリオだからだ。

ガンドラック氏によれば、インド株はただ買って何十年も放置できる銘柄だそうだ。

金利を理由に米国株に見切りをつけている著名投資家は多く、彼らは米国株の代わりを探している。ジョン・ポールソン氏はギリシャ株を推していた。

ポールソン氏: 奇跡の復活を遂げたギリシャ株はまだまだ上がり続ける
だがここに個人投資家にとっての問題がある。過去40年の米国株のようなパフォーマンスが欲しければ、過去40年の金利低下によって株価が上がったがその株高の原因がもはやなくなっている米国株を選ぶのではなく、過去40年の米国株と同じようなパフォーマンスに今後40年なるような国を自分で選ばなければならないということである。

結局、将来を予想できなければ投資で利益を得ることはできない。それだけの話なのである。それだけの話が分かる人間だけが利益を得、そうでない人間は損をするだろう。簡単な話ではないか。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/43749

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