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2023/02/19 (Sun) 07:41:14
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H3ロケット開発遅れ・ジェット旅客機挫折は日本の有能「理系人材」不足が原因
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https://news.yahoo.co.jp/articles/4820779f6f98237d92e35086f8e9a9f0ffafd7fa
H3「失敗ではない」と言ったところで
またしても日本の科学技術「神話」が揺らいでいる。2月17日に予定されていたH3ロケットの打ち上げができなかったのだ。主エンジンには着火したが、続いて着火するはずの固体ロケットブースターが作動しなかった。システムが異常を検知して着火信号を送らなかったためという。
【写真】このあまりの低給与、日本は流出する高度専門家を引きとめられるか
新聞の中には「打ち上げ失敗」と見出しを立てたところがあったが、宇宙航空研究開発機構 (JAXA)の担当者は「失敗ではない」と言う。専門家からすると、異常を検知し設計通りに停止したのだから、「失敗」ではなく「中止」だということらしい。
「失敗」と配信した共同通信の記者がネット上で炎上し、「失敗は成功のもと」と発言した永岡桂子文部科学相も釈明に追われた。担当者からすれば「失敗」と書かれるのは沽券に関わるということか。また、「失敗」という言葉に反応したネット民も「日本は失敗するはずがない」という思い入れがあるのか。背後には日本の科学技術は世界に冠たる水準だという「神話」があるように思う。
だが、現実は、H3ロケットの開発も苦難の連続と言っていい。H3はJAXAが三菱重工業と開発中の次期基幹ロケットで、設計・開発段階から民間企業である三菱重工が主体的役割を果たしてきた。運用後には商業利用のための打ち上げを「受注」することを狙っている。いわば新発想の開発ロケットだ。
当初は2020年度に初号機の打ち上げを目指したが、問題が見つかって2020年9月になって延期を決定。2021年度中の打ち上げへと時期が変更された。ところが2022年1月になって再度延期。ようやく今回の打ち上げにたどり着いていた。ところが残念ながら今回も「中止」ということで飛ばずじまいだった。それでもJAXAは「2022年度中の発射を目指す」との姿勢を変えていない。
もはや日本の科学技術は世界有数ではない
「中止ではなく失敗」したMRJ by Gettyimages
残念ながら、われわれは、最近似た光景を目にしている。
同じ三菱重工が2月7日、長年開発を進めてきた国産初の小型ジェット旅客機「スペースジェット」(旧MRJ)からの撤退を発表したのだ。事業化を決めたのは2008年。当初は「MRJ」、「三菱リージョナルジェット」と呼んでいた。ところが2020年6月までに6回も納入を延期。新型コロナウイルスによる航空需要の激変もあって、開発は事実上、停止。ついに事業化のメドが立たなくなり、撤退を表明した。
いやいや、これは技術力の問題ではなく、商用運行に必要な「型式証明」の取得が予想以上に難しかったためだ、という声もある。市場が変化して事業化が難しくなっただけで、日本の技術力が低いわけではない、という人もいる。しかし、参入から1兆円を投じて製品を出せなかったという事実は重い。
三菱重工は2016年に大型客船事業からも撤退している。海外のクルーズ会社から受注した船の契約納期を3度も延長するなど度重なる引き渡しの遅延を起こした。造船所の現場に人材が不足するなど、社内の「知見」が足らなかったためだとされた。
結局、2400億円に及ぶ損失を出している。もちろん、これは三菱重工という1つの会社の問題では片付けられない事態だろう。日本の科学技術は世界有数という「神話」が崩れ始めているのではないか。
OECD平均よりはるかに低い理系率
「現在 35%にとどまっている自然科学(理系)分野の学問を専攻する学生の割合についてOECD諸国で最も高い水準である5割程度を目指すなど具体的な目標を設定し、今後5~10 年程度の期間に集中的に意欲ある大学の主体性をいかした取組を推進する」
2022年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022」いわゆる「骨太の方針」にはこう書かれていた。岸田文雄首相が掲げる「新しい資本主義」に向けた改革の柱のひとつとして盛り込まれた。日本の科学技術力を支える理系人材を育てることが喫緊の課題だ、というわけだ。
実はこのベースとなる提言が、政府の「教育未来創造会議」から2022年5月に「1次提言」として出されている。タイトルは「我が国の未来をけん引する大学等と社会の在り方について」である。そこには、「人材育成を取り巻く課題」として、少子化の進行などと共に、「高等学校段階の理系離れ」「諸外国に比べて低い理工系の入学者」などを挙げている。
高校で理系を選択する生徒が2割にとどまっていること、学部段階の理工系入学者はOECD平均の27%に対して日本は17%であること、中でも女性は平均15%の半分以下の7%であることなどが指摘されている。
「骨太の方針」を受けて、教育未来創造会議は「工程表」を2022年9月にまとめている。そこには理系学生の割合を5割程度に引き上げることで、「高専を含めて毎年30万人程度を輩出する」という目標をいの一番に掲げた。
あまりにも「遅まきながら」
もっとも、残念ながら、そのための具体策は乏しい。学部の設置要件の大胆な緩和などを掲げており、理系学部の新設への補助金の積み増しなどを行う方向だ。
また、極端に少ない女子の理系選択者、いわゆる「リケジョ」を増やすために、シンポジウムや大学の出前授業を行うという。少ない女子の理系志願者を増やせば、全体の理系学生が増えるという狙いだろうが、そのための「ジェンダーバイアスの排除など社会的機運の醸成」となると、それでいつになったら理系人材が輩出されるのか、と思ってしまう。
遅まきながらも政府が動き出したのは「理系人材不足」「技術者不足」が日本社会に影を落とし始めているからだ。
H3ロケットや国産小型ジェット機、大型客船を作るのに苦労している理由が、人材不足だけだとは言わない。だが、そうした高度な技術者、科学者を生み出す母数を人口減少の中でどう確保し増やしていくのか、これは日本の大きな課題であることは間違いないだろう。
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2:保守や右翼には馬鹿しかいない
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2023/02/19 (Sun) 07:45:57
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日本の研究力の低下 - 内田樹の研究室
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14051677
内田樹 _ 「統御し、管理しようとする欲望」が今の学校教育の荒廃の主因
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14060400
大学でいま、起きていること
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14078866
若者に数百万もの借金を負わせて社会へ放り出す大学。学生はあこぎな大人たちの食い物
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14083035
日本人の3人に1人は日本語が読めない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14068776
日本の学校は、考えない人間を5つの方法で生み出している
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14004524
ゆとり教育を推進した三浦朱門の妻 曽野綾子がした事 _ これがクリスチャン
http://www.asyura2.com/09/bun2/msg/492.html
女は東大出でも思考力・判断力・知性すべてゼロ _ 通産官僚 宗像直子は何故こんなにアホなの?
http://www.asyura2.com/09/bun2/msg/544.html
体を売らなければ大学へ通えない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14047554
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2024/08/12 (Mon) 17:46:15
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2024年08月12日
「元朝日新聞記者」の学力と再就職 / 軍事と翻訳は難しい
https://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68972174.html
“新聞記者”上がりの“大学教師”
Tim Walz & Kamala Harris 3US Army 213
日本の大学は教育機関というより、“身分製造機”といった役割の方が多い。昔、小室直樹先生が述べていたけど、入学した大学のランキングが、そのまま卒業生の「属性(attribution)」になっているそうだ。“一流大学”の出身者は無条件で“優秀”と見なされ、“Fランク大学”の卒業生は問答無用で“劣等生”と思われる。筆者は小学生の時、弓月光(ゆづき・ひかる)先生の名作『エリート狂走曲』を読んで受験勉強の大変さを知ったが、令和の小学生は『ドラゴン桜』で世の“現実”を学んでいるようだ。原作者の三田紀房(みた・のりふさ)先生によれば、「世の中のルールは頭のいい奴によって都合良く作られている。勉強しない奴は一生騙され続ける」というから辛辣だ。でも、「本音」を語っているから、中学生や高校生の子供は納得するんだろう。
所謂“教育ママ”のみならず、世間のオッちゃんオバちゃん達も大学教授を尊敬する。こんな風潮なら、口先だけのボンクラどもが自惚れてしまうのも当然だ。しかし、大学の内情を知っている者からすれば、こうした一般人のメンタリティーは、宝塚歌劇団に憧れる女子中学生と同じである。派手な演劇だけを見て感動する少女は、劇団の先輩による陰湿な後輩イジメを知らないから、「私も宝塚に入りたい!」と叫んで夢を抱く。イジメられた末に自殺するかも、とは考えない。たとえ舞台に出ることができても、人気が出ないまま退団というケースもあるから大変だ。
大学にも陰湿なイジメが少なくない。長老教授には裏と表の顔があって、専任講師をイビリまくる大御所が居たりする。そもそも、教員の質なんてかなり怪しいし、有名校であっても学力不足の教授や赤色分子の活動家が珍しくない。「ゼミ」とか「講義」と称しても、カルト宗教の洗脳と変わりがない授業がある。慶應義塾で小林節の憲法学講義を取っていた学生は、「蛇に睨まれた蛙」のようだった。
雨後の竹の子みたいに出来上がった「駅弁大学」はもっと悲惨で、三流学者がやる気の無い”学生を教えているから、授業内容は高校の補習レベルだ。私立の「植民地大学」となれば、もはや教育機関じゃない。東大や京大から派遣される直弟子の就職先だ。新しい大学や学部には、大手企業に招かれないB級官僚が天下ってくる。ちょっと賢い学生なら、東京都立大学の教授になった木村草太なんかを思い浮かべてしまうが、まぁ、師匠が東大の長谷部恭男なんだからしょうがない。長谷部氏は東大法学部の札付き学者、芦部信喜の門下であるという。だから、長谷部氏や木村氏の憲法学が歪んでいても、それは当然で、ホルズワース(William Searl Holdsworth)やメイトランド(Frederic William Maitland)みたいな法学者を望む学生の方が非常識なだけである。
Ikegami 001(左 / 池上彰 )
日本は少子化社会なのに大学だけは腐るほどある。教育情報センターによれば、2022年の大学数は790校で、翌年の2023年から3校(793校)も増えていた。これなら、テレビ藝人の池上彰が大学教師になったのも頷ける。実際、池上氏は名城大学教授や東京工業大学特命教授、東京大学客員教授、日本大学理学部客員教授、立教大学グローバル教育センター客員教授、信州大学特任教授、愛知学院大学経済学部特任教授、順天堂大学特任教授になっている。NHKの番組で小学生を相手にしていた人物が、フリーになったら大学生相手の教師になっている、なんて喜劇だ。日本の高等教育は学問が目的じゃない。授業を聞いていた学生はどう思っていたのか?
Shiohara 5435(左 / 塩原俊彦)
もう一人、ジャーナリスト上がりの大学教師がいるので紹介したい。日本経済新聞社と朝日新聞社を経て高知大学の大学院准教授となった塩原俊彦だ。彼がどんな経緯で大学教師になれたのか判らない。しかし、何とも驚くべき人物だ。最近、彼はオンライン雑誌に記事を投稿し、副大統領候補になったティム・ウォルツ(Timothy James Walz)について書いていた。記事の内容は米国メディアで紹介されたニュースの和訳に過ぎないが、刮目すべきは彼の“翻訳”である。塩原氏はウォルツ知事の軍歴を紹介した。でも、ウォルツの階級に関する“和訳”が実に奇妙で、誰が読んでも首を傾げたくなる。例えば、
・2004年春に部隊がミネソタに戻った後、彼(ウォルツ)は高いレベルの司令部少佐たちから、第1-125野戦砲兵大隊の司令部少佐に抜擢された。
・2005年9月10日、条件付きで昇進したウォルツ少佐は曹長に格下げされた。少佐への条件付き昇進後、2年間勤務しなかったためである。
(塩原俊彦「米民主党ウォルツ副大統領候補の『闇の4年』が暴かれ、こりゃヤバッ!」現代ビジネス、2024年8月10日)
Tim Walz 3213(左 / ティム・ウォルツ)
副大統領候補になったウォルツは、1981年4月8日、17歳の時にミネソタ州の軍(Minnesota National Guard)に入隊し、2005年5月16日まで在籍したという。しかし、下院議員選挙に出馬するため、彼は24年間在籍した州軍を除隊した。2007年に連邦下院議員に当選したウォルツは、2018年にミネソタ州の知事選に出馬する。そして州知事になったウォルツは、2022年に再選を果たし、2024年7月にカマラ・ハリスのランニング・メイトになる。
州軍にいた時のウォルツは、第一大隊第125野戦砲部隊(1st Battalion, 125th Field Artillery)に配属となり、順調に行けば「最先任上級曹長(Command Sergeant Major)」になれるはずだった。しかし、ミネソタ州の軍事務所によれば、退役した時の階級は「上級曹長(Sergeant Major)」であったという。というのも、彼は「陸軍の上級曹長用アカデミー(U.S. Army Sergeant Major Academy」に入ったが、要求された750時間の課程を修了していなかったので、「最先任上級曹長(CSM)」に昇進できなかったのである。ところが、ウォルツは地元の有権者と話をする時、「CSM」の階級を口にしていた。これを共和党員から指摘され、「不誠実だ」と批判された訳である。FOXテレビもこれを話題にしたから、ローラ・イングラム(Laura Ingraham)が自身の冠番組で取り上げることにした。一方、元ミネソタ州知事のジェシー・ベンチュラ(Jesse Ventura)は、CNNに出演し、ウォルツ知事を擁護していた。たぶん、Navy SEALs出身のベンチュラ氏は、生意気なJ.D.ヴァンスが嫌いなのかも。
Tim Walz 213(左 / 州軍時代のティム・ウォルツ )
話を塩原氏の記事に戻す。彼はウォルツの階級を「司令部少佐」と訳していたが、おそらくこれは「Command Sergeant Major」の直訳だろう。しかし、これは誤訳だ。下士官の「Major」というのは、「大尉」よりも上の「少佐」を意味する言葉じゃない。塩原氏は「条件付きで昇進したウォルツ少佐は曹長に格下げされた」と書いていたが、もし陸海空の自衛官が耳にすれば「えっ、何だ?!」と驚愕するだろう。なぜなら、「少佐(Major)」だった者が、大尉→中尉→少尉→准尉→上級曹長にまで格下げとなれば、物凄い“降格”となるからだ。士官学校を出ていないウォルツは、准尉や少尉にはなっていないし、中隊を率いる「大尉(Captain)」になったこともない。
また、塩原氏は「2003年初め、彼はアメリカ陸軍少佐アカデミーに選抜された」と記事に書いたが、「アメリカ陸軍少佐アカデミー」というのは「U.S. Army Sergeant Major Academy」のことだろう。(ここは指揮官を目指す上級曹長が入る養成所で、色々な技能や知識を身に付けるクラスがある。) でも「少佐アカデミー」とは何なのか? 筆者は聞いたことがないけど、アメリカには「少佐を育成する学校」があるのか?
日本では、西洋史を勉強する高校生だけじゃなく、国際関係論を専攻する大学生でも軍隊の階級については疎い。下士官(non-commissioned officer)のランクは以下の通り。(註 : 軍の階級に関する和訳は難しいので、一応、理解できる翻訳にした。)
Sergeant Major of the Army 陸軍先任上級曹長(最高位の陸軍下士官)
Command Sergeant Major 最先任上級曹長
Sergeant Major 上級曹長
First Sergeant 副上級曹長
Master Sergeant 曹長
Sergeant First Class 一等軍曹
Staff Sergeant 二等軍曹
Sergeant 三等軍曹
Corporal 伍長
Specialist 特技兵
Private 1st Class 一等兵
Private 2nd Class 二等兵
ついでに言うと、英文科や独仏の文学を専攻する学生でも、英米のアクション映画を理解できない者がいる。昔、筆者は英文科の女子学生と一緒にオリヴァー・ストーン監督の『プラトゥーン(Platoon)』や、007シリーズの『私を愛したスパイ』(ロジャー・ムアー主演)を観たことがある。ところが、彼女はジェイムズ・ボンドの階級が解らなかった。映画の設定では英国海軍の「Commander」となっており、日本語で言えば「海軍中佐」である。海軍の階級は陸軍と違い、「Captain」は「大尉」じゃなく「大佐」で、「Lietenant Commander」が「少佐」となる。また、日本の教育は軍隊組織を無視するから、大学生でもハリウッドの娯楽映画を理解できない。映画の中で「Division(師団)」とか「Brigade(旅団)」と聞いても、どれくらいの規模になる部隊なのか解らないのだ。ここで洋画を楽しみたい高校生のために軍隊の編成を紹介したい。
野戦軍(Field Army) 2個軍団から成り9万名の兵を擁する、統率者/大将か中将
軍団(Corps)は2~5個師団で編成 (2万~4万5千名)統率者/中将
師団(Division) 3~4個旅団で編成 (1万~1万5千名)統率者/少将
旅団(Brigade)か連隊(Regiment) 2~3個大隊で編成(3千~5千名)統率者/大佐
大隊(Battalion) 4~6個中隊で編成 (100~1000名)統率者/中佐
中隊(Company) 3~4個小隊 (60~200名)統率者/少佐か大尉または中尉
小隊(Platoon) 2~3個分隊で編成 (18~50名)統率者/中尉か少尉
分隊(Squade) 6~10名の兵から成る 統率者/軍曹
こうした基礎知識がないと戦争アクション映画を楽しめない。映画俳優が「師団長」や「旅団長」を演じていても、日本人の観客はどれくらいの兵を率いている指揮官なのか解らないし、「lieutenant」の言葉だけじゃ「中佐」なのか「中尉」なのか判らぬ場面がある。英国海軍の「Chief Petty Officer」が「曹長」で、米国海軍の「Ensign」が「少尉」を指すと知らぬ者は、ドラマのストーリー展開を理解できない。
ちなみに、米国の人気TVドラマ・シリーズ『NCIS』でマーク・ハモンが演じる捜査主任「リーロイ・ジェスロー・ギブス(Leroy Jethro Gibbs)」は、元海兵隊の「Gunnery Sergeant」のスナイパーである。一方、マニアの間でヒットした映画『山猫は眠らない(Sniper)』で、トム・ベレンジャーが演じた「トマス・ベケット(Thomas Beckett)」は、海兵隊の「Master Gunnery Sergeant」である。ベケットの方がギブスよりも階級と給料は上である。映画『Lone Survivor』でマーク・ウォーバーグが演じた「マーカス・ルトレル(Marcus Luttrel)」は、合衆国海軍特殊部隊(Navy SEALs)の「二等軍曹(Petty Officer, 1st Class)」である。
Mark Hammon 523Tom Berenger 424Mark Wahlberg 21John Wayne 1345
(左 : マーク・ハモン / トム・ベレンジャー / マーク・ウォーバーグ / 右 : ジョン・ウェイン )
1968年に公開された映画『Green Berets』では、西部劇で有名なジョン・ウェインが出演していた。ベテラン俳優のウェインは「マイク・カービィ(Mike Kirby)」役を任され、陸軍特殊部隊の「グリーン・ベレー」を率いていた。しかし、その階級が「大佐」だったので笑ってしまった。通常、敵地へ乗り込む特殊部隊の指揮官となれば、経験豊富な上級曹長(Sergeant Major / Master Chief Petty Officer)か少尉くらいだ。でも、看板俳優のジョン・ウェインが主役だから、やはり威厳のある「大佐」じゃないとイメージにそぐわない。日本の戦争映画だって同じである。萬屋錦之介や仲代達矢が「軍曹」役じゃ申し訳ない。やはり、海軍中将とか陸軍大将でなきゃ。これが伴淳三郎やガッツ石松なら「一等兵」でもOK。三國連太郎は脱走した二等兵が似合っている。(実際、若い頃の三國氏は徴兵忌避をしていた。)
予想を外した専門家
高知大学の大学院で准教授となった塩原氏だが、そのプロフィールによれば、一橋大学の大学院で経済学研究科の修士課程を修了し、北海道大学から学術博士を得たという。朝日新聞社時代にはモスクワ特派員を務めたそうで、ウクライナやロシアに関する著書を出している。例えば、『ウクライナ・ゲート』、『ウクライナ2.0』、『ウクライナ3.0』、『プーチン3.0』、『復讐としてのウクライナ戦争』、『サイバー空間をめぐる覇権争奪』(いずれも社会評論社)、『ロシアの軍需産業』(岩波新書)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(岩波書店)、『ビジネス・エシックス』(講談社現代新書)、『ウクライナ戦争をどうみるか』(花伝社)、『ネオKGB帝国:ロシアの闇に迫る』(東洋書店)などである。
「ウクライナ問題の第一人者」という肩書きの塩原氏は、陸海空およびサイバー空間の地政学・地経学に関しても詳しいようで、社会評論社からは『知られざる地政学』という本(上・下巻)を出版している。さらに、『すべてを疑いなさい:バカ学生への宣戦布告』という電子書籍まで出しているから、とても精力的な学者である。しかし、アメリカの軍事組織に関しては素人らしい。
日本の大学には“専門家”と称する“居候”が多く、外国で何らかのテロ事件や戦争が起これば、ワイドショーや雑誌に見たこともない“事情通”が登場する。塩原氏もその一人で、元「モスクワ特派員」という経歴を看板にしてウクライナ紛争について書いていた。まだロシア軍がウクライナに進撃する前、彼は米国による警告を“偽情報”と思っていた。ジョー・バイデンとアンソニー・ブリンケン国務長官が、ロシアは侵攻計画を進めていると公表したが、塩原氏は古巣の『論座』に寄稿し、「熊が来る」という嘘を米国が垂れ流している、と批判した。塩原氏は次のように述べた。
2022年2月16日に侵攻があるかのように米国政府が危機を煽(あお)っていたのはたしかだから、またしても嘘をついたことになると筆者には思われる。・・・・筆者がこのサイトで何度も主張しているのは、米国政府がリークしたロシアによる「ウクライナ侵攻計画」など存在しないということであり、それは米国政府によるディスインフォメーション(意図的で不正確な情報)にすぎないということである。このとき、米国政府が明らかにしたのは、全面的なウクライナ侵攻計画であったが、事実として、そんな全面侵攻はいま現在も行われていない。部分的な武力衝突の話であれば、ドンバスではずっとつづいているのであり、それが激化するか否かといった問題にすぎない。そしていま、ロシア軍の一部撤退の真偽をめぐる情報戦が展開されている。(塩原俊彦「ウクライナをめぐる『情報戦』:なぜ世界は米国を批判しないのか」、『論座』、2022年2月19日)
ところが、塩原氏の予想は大外れ。ロシア軍は2月24日にウクライナに侵攻した。未来予測というのはとても難しく、様々な要素が絡み合い、偶発的な事件も重なるから、優秀な専門家でも予想を外すことはよくある。しかし、ロシア軍がウクライナ侵攻を中止するとは断言できず、「もしかすると本当に侵掠するかも」と考えるのが普通だ。ところが、二月中旬に文章を書いた塩原氏は、自分の“情勢分析(判断)”にかなりの自信を持っていた。高知大学の小部屋にどんな“情報”が届いたのか判らないが、塩原准教授は最初からCIAの情報に対して疑念を抱いていた。
筆者(註:塩原氏)が不思議に感じているのは、なぜ世界は米国政府の「嘘」を批判しないのかということだ。スパイ情報が信頼できるのかもしれないが、米国政府は防諜(ぼうちょう)に失敗した経験をもつ国であり、アフガニスタンからの米軍撤退時の大混乱が示すように、近年、諜報活動は劣化の一途をたどっているのではないか。(上掲記事)
もちろん、CIAによる情報操作や偽情報の拡散というのは結構ある。しかし、当時のバイデン政権は何が何でもロシアをウクライナ紛争に引きずり込みたかったから、ロシアの内部情報をかなり摑んでいたはずだ。それゆえ、ロシアが着々と戦争の準備をしていてもおかしくはないし、プーチン大統領が腹を括っていても不思議じゃない。一方、ひょんな事からクレムリンが急に態度を変えてしまい、突然、特殊作戦を中止する、というハプニングだって有り得る。クレムリン内部でのクーデタという“ドンデン返し”もあるだろう。対外諜報組織や軍隊を持たない日本は、独自の情報分析はできないし、正確な現状報告も二有珠できないから、宗主国のアメリカに縋るしかない。「米国のATM」と化した日本は、上納金を差し出すだけの属国だ。
「ロシアの政治や地政学に詳しい」と称する塩原氏は、「リアル・ポリティックス」についても蘊蓄(うんちく)を述べていた。「マスコミを疑え!」とか「スパイによる偽情報に気をつけろ!」と警告する塩原氏は、次のように述べていた。
いま、高知新聞の記者から、情報に騙(だま)されないようにする方法について取材を求められている。ウクライナの情報戦を理解するためには、情報戦がスパイといった人間によって展開されているという、大元の部分に対する理解が必要だと言いたいと考えている。日本人の大多数は、自分の身の回りに外国のスパイがいるとは考えたこともないであろう。しかし、それはリアルポリティークの世界をまったく知らないことを意味している。(上掲記事)
元「朝日新聞の記者」から、こんな説教を受けるなんてチャンチャラ可笑しい。おそらく、大学教師になった塩原氏は、他の新聞記者や論説委員とは“格”が違うんだぞ、と言いたかったんだろう。でも、こんなのは「ドングリの背比べ」だ。テレビや新聞といった主流メディアには、子飼いにされた“ポンコツ”の専門家が矢鱈と多い。慶應義塾や早稲田大学といった有名大学にも、三流学者が雲霞の如く存在し、有害思想を垂れ流している。
例えば、衆院から早稲田大学に鞍替えした中林美恵子教授は、8月8日のTBS系「ひるおび」に出演し、「カマラ・ハリスが有利」と述べたそうだ。こんな解説は馬鹿らしいけど、地上波放送を観ている一般人を騙すには「ブランド名」と「肩書き」で充分だ。上智大学にも「アメリカ政治」の専門家がいて、前嶋和弘教授が有名だ。彼は7月29日放送のBS日テレ「深層NEWS」に出演し、「ハリスに追い風が吹いている」と述べたそうだ。(読売新聞2024年7月29日)
Nakabayashi 11Maejima 1Hidaka 1Tejima 1
(左 : 中林美恵子 / 前嶋和弘 / 日高義樹 / 右 : 手島龍一 )
一般の日本人は三ヶ月もすれば過去を忘れてしまうが、新聞の記事を集めたり、VTRを保存している人は、著名「専門家」の転職を知っているはずだ。例えば、NHKのワシントン支局長を務めた日高義樹は、英会話さえ未熟なのに、有名なハドソン研究所に就職できたし、同僚の手島龍一も退職後は民放の解説藝人となっていた。朝日新聞のワシントン特派員だった船橋洋一は、ブルッキングス研究所に雇われ、“アメリカ政治の専門家”と称していた。野田内閣で防衛大臣になった森本敏は、元々、航空自衛隊から外務省に出向した事務系公務員で、自衛隊を退官した時の階級は「三等空佐(空自少佐)」である。しかし、空軍士官のオーラは微塵も無い。雑誌『VOICE』に寄稿した論文はどれも駄文で、お金を払って読む代物じゃない。森本氏は「日米安保維持」が“売り”の一発藝人だ。これならダンディー坂野やムーディー勝山の方が、よっぽどマシである。
宮家邦彦(左 / 宮家邦彦 )
外務省出身の“研究員”という種族にもポンコツが多く、産経新聞に登場した宮家邦彦はその典型だ。退官後に宮家氏は「キャノン・グローバル戦略研究所」の主幹になるが、国際政治に関する解説は至って凡庸である。有料視聴の「ニコニコ動画」を開設しても、利益が出るほどの登録者数は望めまい。500円払って聞くような意見じゃないから、380円に値下げしても無理だ。それでも、宮家氏は立命館大学の客員教授になれた。彼は『産経新聞』で「World Watch」という連載を持っているが、こんなコラムを有料で読むのは、知能が低い保守老人くらいである。ただし、洗濯機の水流をジッと見つめている暇人なら読むかも。
宮家氏はアメリカ政治にも詳しいというが、ドナルド・トランプとMAGA(Make America Great Again)旋風に関する評論は酷かった。彼はトランプ支持者を次のように説明していた。
トランプ支持者の中核は「白人・男性・低学歴・ブルーカラー」である。トランプ現象の原因は彼らの現状(とワシントン)に対する怒りと不信であり、社会の「影」の部分に溜まるマグマが噴出し始めた結果に過ぎない。・・・ドナルド・トランプが強い理由は、その知性でも行動力でも資金力でもない。トランプは21世紀の情報化社会が生んだ共和党の疫病神だ。彼を支持するのは米国の非エリート層、極論すれば、白人、男性、低学歴、ブルーカラーの落ちこぼれ組だ。(宮家 邦彦「日本はこれから和製トランプの登場に悩まされることになる」、PRESIDENT Online、2021年4月3日)
外務省の元役人だから鋭い分析は期待できないが、アメリカの歴史や社会情勢を知っている者なら、腹を抱えて笑ってしまうだろう。ここでは詳しく説明できないけど、異民族を引き入れてアメリカ社会を変質させたのは、高学歴の研究者や財閥・財団に雇われた知識人、安い労働力を求める企業経営者、HIASやAJC、JOINTのユダヤ人、リベラル派の政治家、「米国法曹協会(National Lawyers Guild)」の左翼弁護士、国境を壊したい大富豪たちである。こういった悪党は街頭に出て抗議デモなんかしないから、一般人はどんな勢力なのか判らない。
「トランプ現象と歐洲での醜い民族主義の再台頭は同根だ」と論ずる宮家氏は、「この種の現象は今後、世界中に拡散していくだろう」と述べていた。外務省で呑気な仕事をしていた元官僚に“現実の厳しさ”や“冷徹な英断”に関する見解を求めても無駄である。役人生活には「深い洞察力」や「別の角度から考える知能」なんて必要ない。役所勤めは実力主義とは関係無い“親方日の丸”の世界だ。こんな人生を30年も続けていれば、退官する頃には“役立たずの木偶の坊”になってしまうだろう。
岡本行夫( 右 / 岡本行夫 )
同じ外務官僚だった岡本行夫も、フジテレビの「ユア・タイム」でニュース解説者になっていたし、産経新聞の「正論メンバー」にもなっていた。宮家氏同様、岡本氏も立命館大学の客員教授となり、国際社会で活躍する人材を育てていたというが、いったい、どんな人材が輩出されたのか、ちょっとだけ教えてもらいたい。なぜなら、国連とか国際機関で働きたいという学生は、善意で地獄の道を築いてしまう愚者になってしまうからだ。たとえ真面目な青年でも、やがて国家を解体せしめる有害人物になってしまうケースがある。民主党の田島麻衣子とか東祥三、自民党の英利アルフィヤとか山本一太、あるいはWHOの手先となった武見敬三のような人物に育ったら、日本にとってマイナスでしかない。立命館大学は「岡本先生の意志」を継いでNGOやNPO、国際開発の援助団体で働く人材を育成すると謳っているが、厭な予感が湧いてくる。
廃棄場か精神病院みたいな日本の大学には、ジャーナリストや官僚上がりの“客員教授”、もしくは訳の解らぬ“特任教授”が矢鱈と多い。彼らの授業を取っている学生は、どんな利益があって受講しているのか? たぶん、大半の学生は卒業単位を揃えるために嫌々ながら受講しているんだろうが、中には容易に感化される者が出てくる。洗脳されたのか、元々バカだったのか、勝手な妄想を抱いて大学教授や国連職員を目指す。先進国は外敵よりも内部の腐敗によって瓦解する。
判断力 が乏しい若者は、駅弁大学で気楽な生活を楽しんでいる。だが、劣悪な教師からの刷り込みは、徐々に若年層の精神を蝕んで行く。没落する新聞社からは、これからも続々と“脱出組”が出てくるだろう。地方の国立大学や落ち目の私立大学は、元官僚や元論説委員を喜んで迎え入れる。立教大学や東工大、日本大学で客員教授を務めた池上彰が、東京大学でも客員教授になるくらいだから、日本の知的レベルは凋落の一途を辿っているようだ。まぁ、東京帝國大学も今じゃアジア人留学生の“溜まり場”となっているから、やがて「トンキン大学」と呼ばれるかもね。権力の座から滑り落ちた習近平が、ペキン大学じゃなくトンキン大学の「客員教授」になるのも夢じゃない。
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