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若者に数百万もの借金を負わせて社会へ放り出す大学。学生はあこぎな大人たちの食い物

1:777 :

2023/01/25 (Wed) 21:05:02

若者に数百万もの借金を負わせて社会へ放り出す大学の無責任。学生はあこぎな大人たちの食い物にされている=鈴木傾城
2023年1月22日
https://www.mag2.com/p/money/1275005

高齢化が加速し18歳人口も加速度的に減っていく。その中で今、日本の大学に何が起こっているのかというと「外国人留学生まみれ大学の誕生」と「学生の質の劣化」と「学費の高騰」である。そして、これからは「大学の経営破綻」が次々と起きていくことも予測されている。(『 鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編 』)

地方の大学の2割くらいは潰れてしまうだろう
リクルート進学総研は「2021年に18歳人口は2032年に102.4万人となり、2020年から14.3万人減少する」という予測を出している。

だから今、日本の大学に何が起こっているのかというと「外国人留学生まみれ大学の誕生」と「学生の質の劣化」と「学費の高騰」である。そして、これからは「大学の経営破綻」が次々と起きていくことも、すでに予測されている。

何しろ現在でも約37%近い大学が財務状況がマイナスになっている。地方の中小大学は特にひどい状況に陥っている。私立大学の約4割以上が定員割れになっていて、規模の小さな大学が特に窮地に落ちている。



2020年からのコロナ禍によって留学生も激減しているので、財政ダメージは相当蓄積されているはずだ。「大学の経営破綻」連鎖は待ったなしである。10年以内に地方の大学の2割くらいは潰れてしまうだろう。

人口動態は将来を正確に予測しやすいデータでもある。戦争や巨大災害に見舞われない限り、人口がどのように増えるのか、減るのかはあらかじめ確定している。

その日本の人口動態では、2018年から18歳人口がじわじわと減り始めているのが確認されているのだから、この流れは止められない。

18歳人口が消えるというのは、単純に言えば大学進学者が減るということだ。大学進学者が減るとどうなるのか。当然ながら、学生が足りなくなって経営が成り立たない大学が出現して当たり前だ。

しかし、大学も座して崩壊するわけではない。あの手この手で生徒の頭数を増やそうともがく。日本人の学生が減るので外国人留学生で穴埋めし、学力の低い学生も受け入れ、学費もひたすら上げていく……。

大学は外国人留学生まみれになった
最近の大学はどこも外国人留学生まみれとなった。著名な右翼・保守活動家を輩出する国士舘大学ですらも「中国人でいっぱいになっている」と学生やOBが嘆くほどである。

日本政府や地方自治体は外国人を受け入れたら補助金を出すという方針なので、補助金欲しさにどこの大学も留学生を大量に入れる。外国人留学生で頭数を増やせて、国や地方から金を引き出せるのであれば、どこの大学でも外国人留学生まみれにしてしまうだろう。



そして、本来は大学に受かる学力のない学生も取り込み、それが「学生の質の劣化」にもつながっている。字も書けない、計算もできない、常識も知らない大学生が爆増しているのはそういうわけだ。

大学の経営を成り立たせるために、馬鹿でも何でも授業料を払ってくれる「頭数」が必要だったのである。

官僚にとって学生とは「自分たちに貢がせる道具」
今の大学は別に子どもたちの学力を向上させて良き日本を創ろうとか、日本の将来のために国を担う人材を育てようというような崇高な社会的意義に燃えているわけではない。

ただ単に、大学の経営維持のために授業料を払ってくれる人が必要だから、金を出してくれる人間なら誰でもいいから取り込んだ。



しかし、外国人留学生を取り込むのも質の低い学生を取り込むのも限度がある。そのために「学費の値上げ」も避けられない。頭数が減ったので学生ひとりに過大な学費を背負わせるのだ。

その結果として大きな社会問題になっているのが貸与奨学金問題である。生き残りをかけた大学が学生に高額の学費を押しつけて、今度は学生が地獄を見るようになっているのだ。

「学生が減るなら大学を無理に生き残らせるよりもむしろ減らせばいい」と誰でも思う。それが資本主義の自然淘汰でもある。日本は少子高齢化を放置してきて、大学側も日本政府に何の働きもしなかったのだから、学生が減った分だけ大学も減らすのは当たり前の話でもある。

しかし、日本はそうならない。文部科学省の官僚たちが自分たちの天下りルートを作るために後先考えないで大学を新設してきたからだ。官僚にとって学生とは「自分たちに貢がせる道具」でしかない。



大学の生き残りのために莫大な借金を負う学生
今でも大学経営はうまくいっていないというのに、これから着実に人口が減るわけで、大学経営が傾くのは目に見えている。地方の大学の破綻が、これから早い段階で表面化することになるというのは、このような事情があるからだ。

もちろん大学が破綻すると言っても、すべての大学が窮地に落ちるわけではない。都市部の知名度のある大学は生き残る。危ないのは地方の無名私立大学である。若者が減っていくうえに、減った若者の多くが都市部に出ていくので、地方私立大学は何をどうしても人員を揃えることができなくなってしまう。

もともと地方私立大学は財政的に脆弱なところが多いので、人員割れはすぐに経営危機に直面する。こうしたことから最近は私立大学が公立へ鞍替えする例も増えている。たとえば、鳥取環境大学、長岡造形大学、静岡文化芸術大学などはそうした道を選んだ。

自治体や国に財政負担させて生き残りをかけているのだが、それでも18歳人口の絶対数が減少するのだから、小手先の動きだ。自治体が財政破綻すれば一緒に崩れ落ちる。

知的能力が足りない人間でも、あるいは外国人留学生でも、誰でもいいから必死で人集めをして経営破綻しないようにもがいている大学だが、そのツケは学生が払う。たとえば、大学中退率も増えているのも、そうした問題のひとつでもある。

文部科学省の2012年度の大規模調査では大学、短大、高等専門学校の中途退学者数は7万9311人だった。「誰でもいい」と人数集めに狂奔した結果、結局は14.5%が勉強についていけなくなって学業不振に陥って中退している。



さらに20.4%が学費を支払うことができなくなって中退することになってしまっている。奨学金と言っても、返さなくてもいい給付奨学金ばかりではない。最近の奨学金は「卒業した後に働いて返せ」という貸与奨学金である。

貸与奨学金は、普通は奨学金と言わないで「学生ローン」と正確に呼ぶか、もしくは「借金」と分かりやすく言うべきだが、それでは世間体が悪いので「奨学金」と言うことになっているようだ。


これから日本を担う若年層に大人は何をしているのか?
若者たちは「大学に入って貸与奨学金という名の借金を抱えて社会に出る」か、それとも「大学卒業の肩書きはないが借金もない状態で社会に出るか」の二者択一を迫られている。

現代は学歴社会なので100人中100人が「大学は出たほうがいい」という結論を学生に説く。「学歴はないよりあった方がマシ」というわけだ。



しかし、莫大な借金を背負ってどこかの大学卒業の学歴を得たら一流の企業に終身雇用で就職できるという保障なんかとっくに消えている。すでに大卒の学歴は陳腐化しており、ブランド大学以外の学歴を持っていても役に立たないことが多いからだ。

つまり、そこらの大学を出ても何ら見返りがない。下手したら貸与奨学金の返済があるのに非正規雇用に落ちて、首が回らないような状況に追いやられる。

そもそも、20代前半の若者が数百万にのぼる莫大な借金を抱えて社会に出るということが許容されていることがおかしいのだ。

これから日本を担う若年層に、大人たちはこんな不条理に放り込んだままでいいのだろうか。



学生たちは400万円近い借金を抱えて社会に放り出される
大学の7割以上は私立大学なのだが、私立は私立であるがゆえに学費が高い。どれくらいかかるのか。

文科系学部の学費はだいたい385万円くらい、理科系学部の学費はだいたい520万円くらいかかる。これに、親元から離れて暮らすとなるとアパート代、通学費、生活費もかかってくる。

生活費等は親が何とか負担するとしても、学生は場合によって4年間で400万円近い借金を抱える可能性がある。

10年で返済するとしても1年で40万円、つまり月約3万3400円近い金額を延々と返さなければならない。

滞納するとブラックリストに載ってしまう
年功序列、終身雇用の時代であればまだ何とかなったのかもしれないが、もうすでに世の中は変わってしまっている。普通の企業からは年功序列も終身雇用も消えていこうとしており、残る企業があったとしてもそんな安定した職業に就けるのはごく一部の人間だけである。

最近は、安泰と思われた企業でも経営者が判断を間違えて迷走すると、企業は急激に凋落してリストラの嵐と化す。いったんリストラされたら、次の就職先での待遇や賃金は普通は低下してしまう。

そうなれば貸与奨学金の返済はどんどんキツく厳しいものになる。

滞納すれば、どうなるのか。奨学金を出している日本学生支援機構(JASSO)は全国銀行個人信用情報センターに加盟しているので、基本的に3ヶ月以上滞納すれば個人信用情報に滞納情報が記録される。それがブラックリストになる。



ブラックリストに載ればどうなるのか。今後、クレジットカードが組めず、新たなキャッシングもできず、住宅ローンも組めなくなる。さらに滞納した分は年10%の延滞金まで取られる。

JASSOの2015年のデータでは、3ヶ月未満の遅延が発生している人は32万7,512人、3ヶ月以上の遅延となっている人は16万4,635人となっている。


学生はあこぎな大人たちの食い物にされている
借金地獄は想像以上に生活と精神を追い詰める。昔ほど役にも立たなくなった学歴のために、こんな状況になった。それは、大学の経営者や天下りの官僚が稼ぐために学生に負わせた借金である。

はっきり言おう。学生はあこぎな大人たちの食い物にされている。



大学生活の中で、愉快な仲間と楽しい想い出で目くらましされて気付いていないのかもしれないが、返済を要する奨学金は後の人生の地獄になる。

この地獄に耐えて奨学金を何十年もかけて返し終わった人は「貸与奨学金があったから大卒の肩書を得られた。この制度があって良かった」と擁護する。自分も苦労したのだからお前らも借金地獄をくぐり抜けろ、というわけだ。

しかし、弱者を食い物にするワナに自分が堕ちていないか、よくよく考える必要がある。20代前半の若者に数百万にのぼる借金を負わせて社会に放り出す姿が正しいなどと思ってはいけない。常識的に考えると、それは「異常」な光景でもある。

2:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/25 (Wed) 21:11:13

体を売らなければ大学へ通えない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14047554

日本人の3人に1人は日本語が読めない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14068776

日本の学校は、考えない人間を5つの方法で生み出している
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14004524

スティーヴ・ジョブズやビル・ゲイツは自分の子供には電子機器を与えない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14079927

スマホを使うとバカになる
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14055416

大学でいま、起きていること
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14078866

日本の研究力の低下 - 内田樹の研究室
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14051677

内田樹 _ 「統御し、管理しようとする欲望」が今の学校教育の荒廃の主因
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14060400

ゆとり教育を推進した三浦朱門の妻 曽野綾子がした事 _ これがクリスチャン
http://www.asyura2.com/09/bun2/msg/492.html

女は東大出でも思考力・判断力・知性すべてゼロ _ 通産官僚 宗像直子は何故こんなにアホなの?
http://www.asyura2.com/09/bun2/msg/544.html

米有名大学は金で学歴を「販売」 名門大学生の半分がコネと金入学
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/934.html

米大統領選の争点に浮上した大学生の巨額借金問題
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/532.html

金メダルは金で買うもの ゴールドマンサックスが指摘する五輪の現実
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/942.html

3:777 :

2023/11/21 (Tue) 19:40:32

学問探究投げ捨てる愚行 議論もなくスピード可決した国立大学法人法改正 国立大学まで政財界の利権の具に
2023年11月21日
https://www.chosyu-journal.jp/kyoikubunka/28277


 臨時国会でひっそりと審議入りした国立大学法人法改正案が17日、衆院文部科学委員会で採択され、与党の賛成多数で可決された。同法改正は、一定規模の国立大学を「特定国立大学法人」に指定し、最高意思決定機関として文科大臣の承認を要する委員で構成される「運営方針会議」の設置を義務づけるもので、大学運営のあり方を根本的に改変するものとなる。大学関係者は「大学の自治に死刑を宣告するものであり、日本の学術研究の衰退に拍車をかけ、国力をも損なうもの」として総反発している。学術レベルの著しい衰退を招いた一連の「大学改革」を見直すこともなく、大学を政治や財界の末端機関とする軽薄な法改正に批判が高まっている。



学術レベルの低下を招く「大学の自治剥奪」



 国立大学法人法の改正案が10月31日に閣議決定され、臨時国会に提出された。その内容は、内閣府が組織し、財界代表者らも参画する「総合科学技術・イノベーション会議」(CSTI)の有識者会合(9月7日)で初めておおまかな概要が明かされた。国民はおろか大学関係者にも知らされることなく、当事者間の開かれた議論もないまま、わずか1カ月で法案化された。



 改正の主な内容は、一定規模の国立大学に政令で「運営方針会議」という新たな合議体を置くことを義務付け、中期目標・中期計画の作成、予算決算に関する事項の決定権を持たせるというものだ【図参照】。これまで学長や理事など主に大学内の人員で構成される役員会が握っていた大学の運営権限を、この新たな合議体が握り、そこで決めた方針通りに大学運営を実行させるためのトップダウン体制の強化となっている。





 新たに各大学に設置される運営方針会議は、文科大臣の承認を得たメンバー(委員)で構成され、運営方針通りに大学運営がされているかどうかを学長に定期的(3カ月ごと)に報告させ、運営方針に従っていないと見なされる場合は、学長に改善措置を指示する権限を持つ。また、「学長選考・監察会議」に対して、学長選考の方針に意見したり、学長が運営方針会議と対立するなど解任事由に相当すると認められた場合は報告するという、実質的な解任権限まで持つことになる。



 学内の構成員は大学の運営や大学内部の資源配分について発言する権限を実質的に奪われることになり、大学の自治を担ってきた学内組織は形骸化せざるを得ない。



 さらに、これまで「国立大学の公共性や公益性を損なう」として認可制にしていた国立大学法人による土地貸付も届出のみで済むようにしたり、長期借り入れ・債券発行などの対象事業も拡大するなどの規制緩和も盛り込まれている。



 総じて、政府や経済界の意を汲んだ運営方針会議を使って学長(大学法人)をコントロールし、国立大学が保有する資産や教育組織(人間)を総動員して、学術研究よりも利益を生む「稼げる大学」へと邁進させるための体制づくりを促すものとなっている。



 現在、「特定国立大学法人」に指定される見通しにあるのは、東北大学、東京大学、東海国立大学機構(名古屋大学・岐阜大学)、京都大学、大阪大学の五法人となっている。これらの大学の職員組合は10日、改正案に反対する共同声明を発表。全国110の国立大学や関連機関の教職員組合連合体である全国大学高専教職員組合(全大教)中央執行委員会も六日に反対声明を発した【ともに別掲】。国は、大規模国立大学を皮切りに同様の仕組みを他の国立大学にも広げていく方針を示しており、すべての大学関係者にとって他人事では済まされない。



研究の自由奪う「司令塔」作り 大学教員らの指摘



 NPO法人「国立人文研究所」が11日におこなったオンライン会見で、北海道大学教育学研究院の光本滋准教授は、「“稼げる大学”は、昨年の国際卓越制度の議論の過程でたびたび使われてきた。古くは90年代ごろから始まっているが、直近では2015年当時の五神真(ごのかみ・まこと)東大総長が、財政制度審議会で“産業界が維持できなくなってきた中長期のための投資の受け皿を大学につくる”と表明し、大学内に産学一体のプラットフォームをつくるイメージを示した。今回の法改正は、“学術研究よりも経済社会に貢献する大学”(CSTI)を進めるために、研究・教育組織の上に“全学的な司令塔”をつくるものだ」と指摘した。



 またこの間の一連の「大学改革」をふり返り、「2004年の国立大学法人化で、国立大学では政府の政策を学長の権限によって実施させるトップダウン体制が決定づけられた。2014年の学校教育法等の改正によって多くの大学で教授会が教員の選考権を失った。そして、学長選考会議が学内投票に拘束されずに済むような規定改正もおこなわれ、学長と学長選考会議が一体となって大学を私物化する事態が頻発した。今回の法改正は、運営方針会議が学長を支配する体制をつくるものであり、政府や産業界が運営方針会議を支配することになれば、大学はそれらに従属せざるを得なくなる」とのべ、「国立大学の法人化は、研究水準の向上や発展のためとされていたが、20年たった現在、研究力低下がさかんに問題にされている。その反省もない法改正だ」と警鐘を鳴らした。



 特定国立大学法人への指定が名指しされている京都大学、東京大学、名古屋大学、大阪大学の職員組合も15日、声明発表とともに記者会見をおこなった。



 京都大学の高山佳奈子教授は、「京都大学職員組合は、国際卓越研究大学制度について、研究機関である大学を特定の利権の下に置こうとするものであるという観点から反対してきた。結局、東大も京大も国際卓越には認定されなかったが、その理由の一つとしてトップダウンがうまく機能していないということがいわれている」とのべた。



 国際卓越研究大学制度とは、国が10兆円規模の基金(ファンド)を設立し、その株式運用益を餌にして政府直結の「稼げる大学」をつくるという構想で、関連法が昨年5月に成立。9月に東北大学が初の認定候補に選出された。



 高山教授は、「京都大学では総長が各分野のボトムアップを重視して、(国際卓越を)ゴリ押ししなかったことから候補に入らなかったが、それを覆す形で今般の国立大学法人法改正案が出てきている。利権を持っている人たちはどうしても大学を従わせ、利権のための道具として利用したい。国際卓越大学という“お金”をちらつかせてもダメだったからこその朝令暮改であり、私たちとしては狙い撃ちにされているという感じを受けている」とのべた。



 また、日本学術会議が国によって解体されようとしていることにも触れ、「この状況下で、日本の学術研究や教育の国際競争力が低下しているというのは、当たり前のことだ。自由な研究のなかで、失敗から成功が生まれてノーベル賞につながるような発見が生まれるが、その自由な研究は、基盤的な研究費がある程度確保されたうえに成り立っている。私たち研究者は、自分たちの専門的知識は、学術全体から考えるとわずかな部分であるという認識のもとで研究に従事している。だが、今進められようとしているものは、その専門知識すらない人々、ごく少数の人々が思いつく範囲で、すぐに成果が上がるようなものについてだけお金を出すというものだ。目指すものは利権であり、その下に大学や学術会議を置くという制度だ。これでは人類の福祉に資するべき学術活動が実現できるはずもない。そもそも学術研究は、特定の範囲の人についてだけ考えておこなわれるものではない」と批判した。



 また「(日本で)もっと自由な研究活動ができれば、他分野と協力して新しいものが生み出されていくチャンスが広がる。海外で研究成果が上がっているのは、自由な研究ができる基盤的な資金が確保されているからだ。だが特定の狭い範囲の思いつきで、目先のお金を稼ぐことを学術の目的とするのなら、特定の人の利権になるだけで、国力はさらに低下していくことになる。日本で政治資金が厳しく規制されているのは、たとえ紐付き資金でなくても、寄附に頼るようになれば、寄附をくれそうな人にとって利益になるような活動にインセンティブが働いてしまうからだ。同じように特定の利権に縛られた大学になれば、人類的な課題に資する自由な研究は確保できるわけがない」と問題点を指摘した。



 東京大学教職員組合の井上聡委員長は、「東京大学も国際卓越大学に応募して落選したが、応募に至る学内的議論はほとんどなかった。私たちがしっかりした方針が出せなかったのは、東京大学ではすでに年間60億~70億円という欠損が生じ、私たちの部局でも年間数千万円という赤字が出て、基礎的な資金が“兵糧攻め”でかなり追い込まれていることがある。どういう形であれ、お金が入ってくれば良いのではないか…という考えがなきにしもあらずだった」と自戒を込めてのべ、「そもそもの大学のあり方から考えなければならない。研究の自由度が上がらないまま、外の経営や行政の専門家が大学運営に入ってきてもうまくいくわけがない。そのようなことを次々と振りまかれ、次第に大学が弱っていくのを感じる」と現状を吐露した。



 名古屋大学職員組合の渡辺健史委員長は、「名古屋大学での国際卓越研究大学応募に向けた議論もトップダウン的に決まっていったのが実情だ。それ以外のことでも外部を意識してトップダウンで決まることが増え、運営費交付金も削減され、人事も思うように進まず、教員も時間がなく疲弊している。今回の改正案で採り入れようとしている合議体(運営方針会議)を置くことになれば、さらに外ばかりを意識しなければならなくなる」とのべた。



 続けて、「大学はすでに力を失っており、外に還元することばかり考えると、わずかに残っている貯金も使い果たして立ち直れなくなり、研究力を含めて大学の自律性が極度に低下するのではないかと危惧している。国が大学運営に介入しようとしていることが透けて見える。大学の自治を侵害する大きな問題だ」とのべた。



 大阪大学教職員組合の北泊謙太郎書記長は、「教職員給与削減をめぐる団体交渉の場で、大学理事が“国際卓越研究大学制度の選考に阪大が落ちたのは、大学の組織改革が足りないからであり、もっとドラスティックに組織を改革し、雇用もさらに流動的にして、次こそは国際卓越に採用されるように大学として一丸となってとりくむ”という趣旨の発言をした。今回、国際卓越に採用された東北大学では、テニュアトラック(一定の研究実績に基づいて研究環境や雇用が保証される資格)も付いていないような、任期付き雇用の若手教員が多いことが採用理由の一つだという。大阪大学でも短期で若手を雇い、どんどん入れ替えていく雇用の流動化を進める意志が表明されたものだと受け止めている。大阪大学は文科省と手を組んでトップダウンで決めていくことが多く法改正でそれに拍車が掛かるのではないか。大学の自治にとどめを刺すようなものだ」とのべた。



オンライン署名呼びかけ 各大学の研究者有志



 各大学の研究者有志でつくる「『稼げる大学』法の廃止を求める大学横断ネットワーク」は現在、国立大学法人法改正に反対するオンライン署名を募っている。そこでは、概略以下のように法案の背景と反対理由をのべている。



■国立大学の「失われた20年」


 今年は国立大学を法人化する法律が制定されてから20年目にあたる。大学の自律性を高めるための「改革」なのだという表向きの説明とは裏腹に、法人化後、国立大学の自治と自律性は段階を踏みながら破壊されてきた。



 第1段階として、国は、大学運営にかかわる基盤的経費(運営費交付金)を10年近くかけて1割以上カットした。第2段階として、国立大学のトップである学長の選考について、政財界の意向が及びやすい仕組みをつくった。第3段階として、「選択と集中」の名の下に国が一方的に定める評価指標の達成度に応じて、基盤的経費を増減することにした。そのため、多くの学長は、予算を少しでも増やすために文科省の意向を忖度するようになった。第4段階として、大学が株式市場やベンチャー企業に投資することを奨励しつつ、企業から投資を受けて「稼げる大学」に変身することを要求した。



 この20年間を振り返ってみると、政財界の狙いは、バブル崩壊後の産業界の国際競争力を立て直すために大学を「活用」することにあった。経済がクローバル化する中で、多国籍化した企業にビジネスチャンスを与えることが重視された。



 たとえば2017年には、国立大学法人に土地の貸付を認める通知がなされ、今回の改正案では、これまで文科大臣の認可が必要であった土地の貸付を届出のみで可能にすると規定した。土地貸付によって国立大学法人が利益をあげ、これを利用した企業がその「有効利用」によって利潤をあげることもあるだろうが、そこでは、学生にとっての運動場や寄宿舎、学生食堂、保健管理センターなどのキャンパス空間がいかに重要であるかは度外視される。学生たちがリーズナブルで安全安心な生活をおくれることを優先していたら、「稼げない」からだ。



 これに限らず、大学を「稼げる大学」に変えようとする力は、学生を授業料の額に応じてサービスを受けるべきカスタマー(顧客)、教職員をコストカットに協力すべき従業員へと変質させた。大多数の国立大学で、学長を投票により選出する権利が剥奪されたことが象徴的だが、今改正案は、「運営方針会議」なる合議体を設置し、大学の運営・研究・教育にかかわる方針(中期目標・中期計画)や資源配分のあり方(予算・決算)を決定する権限を与えると定めている。しかも委員の任命にあたっては文科大臣の「承認」を必要とするとしている。


 これは、学生や教職員と、政府の方針に忠実な「経営判断」をおこなう少数者(運営方針会議委員、学長、学長選考・監察会議委員)とを分離し、学生や教職員の意見を無視また否定できる制度を完成させようとするものであり、「大学の自治」への死刑宣告にも等しい内容といえる。



■「稼げる大学」「稼げる自治体」の行く末


 わたしたちは、「大学の自治」だけが守られればよいと考えているわけではない。むしろ日本社会全体を多国籍企業にとって稼ぎやすい場にしようとする実践の一環として、今日の大学「改革」を捉えている。



 たとえば地方自治体も「稼げる自治体」となることを迫られてきた。具体的には「公共サービスの産業化」を合言葉として、地方行政や社会保障などの公共サービスを民間企業の市場として開放することが求められてきた。その結果として生じたのは、公務の外部委託や派遣社員雇用の拡大であり、地域社会内で循環するはずのお金が、東京に本社を置く大企業や多国籍企業に吸い上げられていく事態だった。その結果、公共サービスの担い手が減り、場合によっては自治体そのものが吸収合併により消滅させられた地域も少なくない。



 地方自治体の場合には、住民は主権者として首長を選挙により選出することができる。合併にかかわる住民投票でこれを否決することも可能だ。ところが、国立大学の場合には投票による歯止めがもともと慣行としてしか成立していなかったために、独裁的な体制がいとも簡単に形づくられてしまった。公立大学や私立大学の場合には大学により代表を選出する仕組みはそれぞれ異なるが、国立大学以上に「稼げる大学」になる圧力にさらされてきた。



 わたしたちは、研究が結果としてイノベーションにつながり、 新たな産業や文化を生みだすことの素晴らしさや、研究や教育の意義について市民社会に対して説明する責任は感じている。だが、研究や教育にまつわる創造性はつまるところ個々人の創意工夫と安定した環境に由来する以上、政財界の意向を体した人物がもっぱら経営的な判断に基づいて「計画」なり「目標」を定めていくことは、大学の研究力や教育力を低下させることにしかならないと確信する。国は、だれもが「大学で学び研究する権利」を保障するために大学政策を根本的に転換し、基盤的経費の充実と安定財源化に努めるべきだ。



 「稼げる大学」「稼げる自治体」「稼げる保育園」「稼げる公園」…というように、なにもかもが近視眼的に考えられた経済的利益に還元される社会の行く末には、いったいなにが待っているのか。それを透視し、その打開策を考えることも大学の重要な役割だ。大学人がその役割をきちんと果たせるようになるためにも、改正案に反対の意向を表明し、国の大学政策の根本的な転換を求める。
https://www.chosyu-journal.jp/kyoikubunka/28277

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