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日銀金融緩和が終わった、円安は日本人にとって何の得にもならなかった

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2022/12/21 (Wed) 10:44:04

日銀がYCC変更で長期金利の上昇を許容、日本も金利上昇による景気後退へ
2022年12月20日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/31979

12月20日、日本銀行は金融政策決定会合の結果を発表し、長期と短期の金利を操作するイールドカーブコントロールにおいて、長期金利の変動幅を目標値(ゼロ金利)の「プラスマイナス0.25%程度」から「プラスマイナス0.5%程度」に変更した。

日本の長期金利はインフレを受けて長らく上限の0.25%に張り付いていたので、その上ブレを許した形で、実質的な利上げである。

金融緩和の終わり

これは2013年のアベノミクス以来行われてきた日銀の金融緩和の終焉である。日銀は緩和によって金利を低く保ってきたが、ついに金利を低く保つことができなくなった。

何故できなくなったかと言えば、最初の理由は円安である。ドル円のレートは最近になって下落を始めているが、それまで今年のドル円相場は急激な上昇が話題になっており、財務省と日銀は長期的に無意味な為替介入によってドル円の上昇(つまり円安)を止めようとした。

全国旅行支援で日帰りの旅行を楽しむドル円
サマーズ氏: 為替介入でドル円が急落したらドル円は買い場
ドル円が上昇すれば、輸入物価がどんどん高くなり、日本人は海外の製品が買えなくなる。日銀が金融緩和をしてきた理由の1つに、円安になれば海外から見て日本の製品が安くなるので数字の上では輸出で儲かるというものがあった。だから紙幣を刷りまくって円の価値を薄め、円安にしようというわけである。

だがこうした考えのリフレ論者が見落としていることが1つある。その戦略によって、価値が薄まった円で換算すれば儲かっているように見えるかもしれないが、ドルなど海外の通貨を基準に考えれば、外国人が日本の製品に払っている対価(つまり日本人が得ているもの)は別に何も変わっていないということである。

例えば1ドル=100円の時に600万円(=6万ドル)の日本車があり、6万ドル持っている外国人が購入を考えているとしよう。

これが円安になり、1ドル=120円になったとする。600万円の日本車は、ドル換算では6万ドルではなく5万ドル(=120円 x 5万)になる。予算が1万ドル余ったので、ついでに軽自動車も買えるかもしれない。

これで日本人は自動車だけでなく軽自動車も売れたと喜ぶかもしれない。だが実際には、元々6万ドルを日本車1つと交換していたものを、円安によって同じ報酬で日本車と軽自動車をセットで譲り渡す羽目になっただけで、得をしているのは外国人のほうである。

一方で日本円の価値が下がるので、日本国民は外国の製品が買えなくなる。円安の何が良いのか誰か説明してくれないだろうか?

円安政策という自殺行為

円安によって得をしているのは、同じ対価で多くの日本製品を手にする外国人である。それが円安の意味である。

だが2013年に自民党によって円安政策が開始されて以来、こんな簡単な誤謬に誰も気が付かなかった。円安は単なる自殺行為である。だが誰も気が付かなかった。

そして円はどんどん安くなっていった。それは円から見たドルの値段が上がるということなので、2013年以降どれだけ円の価値がなくなったかは、ドル円がどれだけ上がってきたかを見れば分かる。


通貨安の意味にようやく気付いた日本人

円安が日本人にとって何の得にもならないという事実は、上で説明した通り2013年から何も変わっていなかったが、日本人は10年近く経過した2022年になってようやくそれに気付いたらしい。恐るべき頭の回転の速さである。

今年に入ってからのドル円上昇は、ドルの金利が上がり、高金利に惹かれた投資家がドルを買ったというドル高の側面も勿論ある。だが例えば世界的に見ればユーロも今年下落した通貨の1つだが、日本円はそのユーロに対しても下落(ユーロ円は上昇)している。今年のユーロ円のチャートは以下である。


それどころか今年日本円はインドネシアルピアなどの東南アジアの通貨と比べても下落しており、円がドル以外の通貨に比べてもどれだけ下がったかということである。

その原因は海外の要因ではなく日本国内の要因にある。そしてその要因とは、インフレが問題になっている現状においてさえ、日銀がインフレを目指して金融緩和を継続してきたということである。黒田氏は一体何を目指していたのか。

いまだにインフレを目指していた日銀

世界中が物価高騰に苦しみ、日本人もついに始まった物価高に喘ぎ始めた2022年、平均的な日本人の年収の何倍もの報酬を貰いながら黒田総裁が何を目指してきたかといえば、インフレを引き起こすことだった。

そしてインフレは起きた。おめでたいことである。彼らはずっとインフレを目指してきて、自民党に投票した有権者はそれを支持してきたのだから、喜んで当然の結果ではないのか。

もうここでは何度も言っているが、インフレとは物価高のことである。それ以上の意味は一切ない。辞書を引いてほしい。インフレとは物価高のことである。日銀はそれを目指し、実際にインフレになった。そうしてようやく日本人はインフレとは物価高という意味だということを理解した。

ちなみに何故日銀がそれを目指してきたかということは、まだあまり理解されていない。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
あまりに大きなコストに対し、得られた学びがそれだけだというのは、あんまりではないか。それが自民党と日銀の撒き散らした完全なデマを無批判に信じたことの対価である。

世界最大のヘッジファンド: インフレになって驚いているリフレ派は馬鹿じゃないのか
日銀は今やそれを巻き戻そうとしている。インフレではなくデフレを引き起こすために長期金利を上昇させようとしている。

マクロ経済学上、インフレとは供給過少・需要過多を意味し、デフレとは供給過剰・需要過少を意味する。簡単に言い直せば、インフレとはものが足りないこと、デフレとはものが余っていることである。

前者の方が良いというデマを流したのは誰か。20世紀の大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏は、それがデマであるということを何十年も前に警告していた。だが正しい意見は決して主流にはならない。人々は間違った意見を自分から求めてゆく。

ハイエク: 緩やかなインフレが有益であるという幻想
結論

ということで、今日は日本が無事にインフレターゲットを達成した記念すべき日である。おめでたいことではないか。お陰で消費者はものが買えなくなり、日本円は長期的にどんどん価値がなくなり、日本経済は沈んでゆくだろう。

世界最大のヘッジファンド創業者のレイ・ダリオ氏の予想通りである。

世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
ところで一部の人が言っていたように、日本のインフレは「コストプッシュインフレ」なので金融引き締めは必要ないのではなかったのか? マクロ経済学の完全な素人である黒田氏を虐めるのも、ここまでにしておこう。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/31979


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ハイエク: コストプッシュ型インフレは政府の責任回避の言い訳に過ぎない
2022年11月29日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/31363

今回の記事では

20世紀最大の経済学者、フリードリヒ・フォン・ハイエク氏の『貨幣発行自由化論』
https://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E7%B5%8CBP%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%B7%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E8%B2%A8%E5%B9%A3%E7%99%BA%E8%A1%8C%E8%87%AA%E7%94%B1%E5%8C%96%E8%AB%96-%E6%94%B9%E8%A8%82%E7%89%88%E2%80%95%E2%80%95%E7%AB%B6%E4%BA%89%E9%80%9A%E8%B2%A8%E3%81%AE%E7%90%86%E8%AB%96%E3%81%A8%E5%AE%9F%E8%A1%8C%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E5%88%86%E6%9E%90-%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%92%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%82%AF-Friedrich/dp/4822288846?&linkCode=sl1&tag=globalmacrore-22&linkId=fcbc06c8fcdd215c08c6315e02ba46cd&ref_=as_li_ss_tl

より、いわゆるコストプッシュインフレについて書かれた箇所を紹介したい。

この本は何度読んでも2022年のために書かれた本にしか見えない。

インフレの原因は何か

2022年は世界的に物価高騰が話題になっている年となっているが、その原因は何だろうか。

世の中では一部の人が、原材料価格の高騰を原因に挙げている。金融についてまったく何も知らない日銀の黒田総裁が好例である。彼らによれば、原材料価格の高騰は政府の政策とは何の関係もないので、財政出動や金融緩和を続けても良いということらしい。

こうした主張は100年近くケインズ経済学によって下支えされてきたが、ケインズ氏の存命時に彼に対して常に批判を加え続けたハイエク氏は別の意見を持っている。彼は次のように述べている。

インフレが長引くと、物価の継続的上昇は政策の誤りではなく原価の上昇が原因であると主張することによって、政府の無罪を立証しようとする見方がいつも現れるが、こうした見方に注意を払う価値はない。

このような主張に対しては、厳密に言えばコストプッシュインフレなるものなど存在しないということを断固として言うほかないだろう。

はっきり言っておきたいのだが、コストプッシュインフレという主張は、そもそも何故原材料価格が上がったのかという一番重要な論点を完全に避けなければ成立しえない。

「コストプッシュインフレ」などと言っている人にそれを聞いてみると良い。彼らは答えられないだろう。何故ならば、原材料価格の上昇理由を知らない人間だけがそういう架空の概念を持ち出せるからである。

原材料価格上昇の理由

原材料価格は何故上がったのか。2022年の例で考えてみたい。まず間違いなく言えるのは、ロシアのウクライナ侵攻ではないということだ。

ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由


原油価格は上昇してきた。だがいまだにインフレの原因にウクライナ情勢を持ち出す人は、原油価格がいつから上昇してきたのかを知らない。原油価格のチャートを掲載しよう。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2022/11/2022-11-29-wti-crude-oil-chart.png


原油価格の上昇は2020年には既に始まっており、2021年にはコロナ前の水準を上回っている。2022年2月末のウクライナ侵攻直前の水準は90ドル前後であり、今の原油価格は77ドルである。

筆者の言いたいことは書くまでもないだろう。原油価格の上昇はウクライナ情勢の大分前から始まったものであり、しかも現在の価格はウクライナ情勢前よりも低い。今の原油価格を「高い」とする一方でその原因をウクライナ情勢に求めるのは論理的に無理である。

金融系のメディアがウクライナ情勢でインフレと言っているのを見る度に、彼らは原油価格チャートさえ見ずにインフレについて記事を書いているのかと呆れてしまう。彼らはもう少しまともに仕事をするべきではないか。

実際には原油価格はその前から上がっていた。しかもロシアからの原油の輸入停止という経済制裁は実際には転売により迂回されており、原油価格に長期的な影響をもたらさなかったという因果関係にも触れておくべきだろう。

制裁で安くなったロシア産原油、欧米に転売される


原油だけではないインフレ

更に言えば、こうしたインフレは原油価格だけの話ではない。2020年からエネルギー資源や金属、農作物などのコモディティの価格はほとんどすべて上がっている。

筆者がここで一番最初にインフレについて取り上げた記事が、2020年10月のものであることを思い出したい。

金融市場にインフレの兆し: 金、原油、穀物価格が高騰 (2020/10/14)


この記事にはこう書いておいた。

米国政府と日本政府による現金給付が日用品の価格を上げ始めている。株式市場のバブルが金相場だけにとどまらず、普段人々が使うような品物の価格までも上げ始めているということである。

最大の問題はバブルが日用品に波及してインフレになっても人々は困窮し、バブルが崩壊して株式と日用品の価格が暴落しても人々は困窮するということである。行くも地獄、帰るも地獄ということになる。

完全に2022年の状況ではないか。これこそがウクライナ情勢とは何の関係もない物価高騰の本当の姿である。

ハイエク氏は次のように書いている。

それが上昇する賃金であれ原油価格であれ輸入品全般であれ、消費者が余分に多くの資金を与えられたりしない限り、それが物価全体を押し上げることはない。

原材料価格が上がったならば、上がった理由があるはずである。それが2020年と2021年に大きく上がったならば、その原因はその年にあるはずである。

その年に行われたのは現金給付である。それは世界各国の政府によって行われた。それはまず金融市場に流れ込み、株価を押し上げると同時に原油や天然ガスや大豆や小麦や金や銀や銅などの価格を押し上げた。

世界最大のヘッジファンド: インフレになって驚いているリフレ派は馬鹿じゃないのか
サマーズ氏: ガソリンの価格高騰対策でインフレ悪化へ 現金給付の悪夢を人はもう忘れている

ばら撒かれた紙幣を人々は使った。ただそれだけの話である。だがインフレは始まってしまえば自己強化的に悪化してゆく。人は物価がどんどん上がっていることを理由により多くのものを買い込もうとするからである。それを止めるためには、引き締め政策で経済を犠牲にしてでも消費を抑え込むほかない。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
ポジャール氏: 政策金利は5%以上に上がって景気後退ではなく恐慌を引き起こす


結論

ということで、現在のインフレがコストプッシュインフレであるなどという主張は、そもそも何故原材料価格が上がったかを考慮していない馬鹿げた主張である。

まるで原材料価格が自然に上がったとでも言わんばかりのこの主張は、要するに「インフレの根本原因を無視すればインフレに原因はない」と言っているに等しい。

だが実際にはそれを引き起こしたのは馬鹿げた規模の現金給付と財政出動を行なった世界中の政府と、それを支持した有権者である。

日銀の黒田氏は明らかにその片棒を担いだ張本人であるにもかかわらず、経済学的に完全に間違った主張をして、しかもクビにならないのだから、素晴らしい身分ではないか。

日銀が経済について何も知らないということ、そして金融庁が資産運用について何も知らないということ、その馬鹿げた状況のツケを払うのは日本国民である。自分で選んだ政府なのだから、自分で責任を取るほかないだろう。

世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
だが驚くべきは、ハイエク氏の『貨幣発行自由化論』が1976年に書かれたということではないか。ここに書かれていることはほとんどそのまま2022年の状況に当てはまっている。天才の言うことは永遠に価値を持ち続けるのである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/31363


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世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
2022年11月8日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/30502

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がLinkedInのブログで莫大な債務を抱えた日本経済の行く末について語っている。

現金給付の結末を予想したダリオ氏

ついに世界的なインフレが起こってしまった。思い返せば、この状況を一番早く予想していたのはレイ・ダリオ氏ではなかったか。このインフレを引き起こした現金給付について、ダリオ氏は早くも2020年5月には次のようにコメントしていた。

世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で人々はリッチになったような気がする (2020/5/8)


これはある意味モノポリー(訳注:人生ゲームのようなもの)でプレイヤーのほとんどが文無しになって怒り出したので銀行役の人が現金を配り始める瞬間と同じようなものだ。

人間はいくつになっても中身は子供と大して変わらない。現金給付を求める人も居れば、インデックスを保有して寝ているだけで金が儲かるという幻想にしがみつく人もいる。本質的には同じことである。

だが当時ダリオ氏が何をしていたかを思い出してほしい。人々が政府によるお金配りに熱狂していた一方で、ダリオ氏は淡々と紙幣印刷で滅んでいったかつての覇権国の研究をしていた。

世界最大のヘッジファンド: オランダ海洋帝国が繁栄した理由 (2020/5/22)
世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の繁栄と衰退 (2020/5/25)


当時、何故ダリオ氏が突然オランダ海上帝国や大英帝国の研究をし始めたのかを本当の意味で理解した人はほとんどいなかっただろう。

だが物価高騰と株価暴落が起こっている今、読者は2年前のこれらの記事をどう見るだろうか。

ガンドラック氏の景気後退予想: 現金給付のツケを払うことになる
先進国の衰退の段階

いずれにせよ、インフレは起こってしまった。紙幣をばら撒き過ぎたので紙幣の価値がなくなり、紙幣ではものが買えなくなってしまった。

だがダリオ氏によれば、それは先進国に起こる典型的なサイクルの一部の過ぎないという。ダリオ氏は次のように語っている。

多くの国、特に主要な通貨を保有する国々は、経済の長期サイクルのうち縮小・再整理の段階に近づいている。

縮小・再整理の段階とは何か。アメリカも日本も、かつて栄えた国である。アメリカは辛うじてまだ栄えていると言えるだろうか。少なくとも2021年まではそうだと言えただろう。

しかしダリオ氏の経済理論によれば、栄える国は大抵の場合債務を増やしながら栄える。そして最初のうちは生産力の向上によって栄えてきたこれらの国は、徐々に債務に頼らなければ経済成長できなくなる。

どのような国でも永遠に栄えることはないので、そのタイミングはいずれやってくる。つまりは債務の力に頼ってももはや経済成長できないタイミングがやってくるのである。

ダリオ氏は次のように言う。

縮小・再整理の段階とは、債務の水準と成長率が1930年から1945年のように持続不可能な規模になった場合に起こる。

より具体的には、債権者を惹きつけられるだけの金利水準が、支払い義務を履行しようとする債務者にとって耐えられないほど高くなってしまった時にそれは生じる。

アメリカはまさにそういう状態にあると言えるだろう。アメリカの金利は4%程度であり、これまでゼロ金利に慣れ親しんできた借金漬けの企業にとっては耐えられないほど高い。

一方でアメリカのインフレ率は8%なので、4%の金利では債券の保有者は債券を持っていると差し引きで実質4%損をしてしまう。

どちらにしても滅ぶしかない

ダリオ氏は次のように続ける。

この状況になれば中央銀行は難しい立場に置かれる。(債券が投げ売りされて)金利が高騰し、資産価格や経済にダメージが及ぶことを許すか、紙幣を印刷して債券を買い支え、紙幣の価値が下がることを許すかのどちらかしかない。

そしてこの選択に既に迫られている国がある。ダリオ氏はこう続ける。

例えばイギリスの債務をめぐる大混乱は一番典型的な状況だろうし、より目立ってはいないが日本の紙幣印刷と円の減価は同じ状況だと言える。

イギリスの状況は、それを引き起こしたトラス政権の退陣という形で一応は決着した。

ドラッケンミラー氏: 他の国がイギリスに続けば暗号通貨は暴騰へ


しかし日本の状況は続いている。そもそもこの状況は2012年のアベノミクスの頃から続いている。

市場がアベノミクスを織り込み始めた2012年11月16日の衆議院解散時の日本円の価値(対ドル)を100とした場合、その後の円の価値は以下のように推移している。


当時を100とした場合、今の円の価値はおよそ55である。


結論

人々は米国株が20%ほど下落したくらいで大騒ぎしているが、そもそも10年でほぼ半値になっているものを日本人の多くは保有しているではないか。

そして何故そうならねばならなかったのか? 何故債務は増えなければならなかったのか? 政治家が東京五輪やGO TOトラベルを行うためである。

日本政府の全国旅行支援で宿泊予約殺到してホテル代値上がり
それでも日本人は自民党に文句を言わない。彼らは永田町の中高年に貢ぐために生きているので、そっとしておいてあげるのが良いだろう。変わったキャバクラが日本では人気なのである。

投資家はただ市場の行方を予測するのみだろう。ダリオ氏は次のように言う。

中央銀行が強力な利上げを行ない流動性を引き締める場合、金融資産の価格は下がり、経済のうち金利に敏感な部分がダメージを受けるだろう。

一方で中央銀行が紙幣印刷を続ける場合、彼らの通貨の価値はより急速に落ちていくということが事実起こっている。

ドル円に関して言えば、短期的にはアメリカの利上げの限界はドル高の限界を意味する。円と同様にドルもゴミであるために、短期的には円が下がったりドルが下がったりするだろう。

ドラッケンミラー氏: 今後6ヶ月でドル空売りへ
だが長期的にはどちらも沈んでゆく。そして恐らく円の方が激しく沈んでゆく。

ドル円が150円というのは短期的には天井かもしれないが、長期的にはまだまだ通過点に過ぎない。財布の中に入っている日本円の価値をちょっと疑ってみるのが良いだろう。永田町のキャバクラよりも良い使い道があるはずである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/30502


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利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
2022年10月6日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29198

ここ数日、インフレ下における最良の投資方法は、株式の空売りを除けば預金であるということを説明してきた。

インフレ相場での最良の投資方法は株の空売りを除けば株式投資ではなく預金
何故ならば、インフレ対策で行われる利上げによって、預金者はインフレによる現金の減価とさほど変わらない金利収入が得られるからである。

インフレ率と政策金利

過去に物価が高騰した1970年代のアメリカのインフレ率と政策金利のチャートをもう一度掲載しよう。


インフレ率が最高で15%近くまで上がった時代であり、人々はものの値段が上がって苦労した。

だが注目してほしいのだが、上のチャートでインフレ率とともに金利も20%近くまで上がっているのである。つまり、インフレで預金の実質的価値が目減りした分は高くなった金利収入で補填されており、預金者の資産はインフレ下でも守られたことになる。

つまり、インフレは預金者にとって大した問題ではない。ただ、これはインフレを抑制するために政策金利を上げるまともな中央銀行を持った国に限った話である。

日銀の低金利政策

では何故日銀はインフレに応じて金利を上げないのだろうか? 利上げは悪なのだろうか? だが利上げがあれば、預金者はインフレで資産を目減りさせることはなかったはずだ。(「インフレで株式は買い」という完全に間違ったデマに騙されて株を買ったりしなければだが。)

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に


何故政府は金利を上げないのか? 利上げは預金者をインフレから守ってくれる。利上げさえあれば、一部の人々は「インフレ対策で株式投資を始めなければならない」と言いながら、インフレで大暴落する株式に突っ込んでいったりはしなかったはずである。

2022年インフレ株価暴落は個人投資家が全員退場するまで続く


何故日銀は利上げをしないのか。その理由は、預金者にとってインフレから身を守ってくれるものであるはずの利上げは、債務者にとっては借金がこれ以上できなくなる致命的な金融政策だからである。

金利が上がれば債権者(預金者は預金を通して実質的に国債を保有している)は金利収入が上がるが、それは同時に債務者の支払う金利が増えるということを意味する。

そして国内最大の借金を抱えた債務者は、言うまでもなく政府である。

政府債務

日本の政府債務は今どれくらいまで膨らんでいるだろうか。GDP比のチャートを掲載しよう。


2020年のデータで日本の政府債務はGDPの216%に達している。

預金者にとってはインフレから身を守ってくれる利上げだが、このような巨大な債務者にとってそれはどのような意味を持つか?

例えばアメリカでは利上げの結果、短期金利は利上げ前の水準(つまりゼロ金利)から4%上昇している。

同じことが日本で行われればどうなるだろうか? GDPの200%以上の債務を抱える日本政府にとって、それは単純計算でGDPの8%分の利払いの増加を意味する。

日銀が利上げを行わない理由

これこそが日銀が利上げを行わない理由である。そして日銀はインフレを望んでいる。

日本の消費者が現在物価上昇で苦しんでいるにもかかわらず、日銀がインフレを望んでいる? そんな残酷なことがあるだろうか? だが思い出してほしいのだが、日銀はインフレターゲットなるものを掲げてもう何年もインフレを実現しようとしてきた。

そしてインフレになった。2020年から既に始まっていた現在インフレの原因は2022年に始まったウクライナ情勢ではなく、コロナ後に世界中の政府が現金給付と量的緩和を行なったからであり、金額で言えば最大の戦犯はアメリカ政府だが、日本政府もその一部であることは単なる事実である。

ドラッケンミラー氏: インフレを引き起こした政府の間違いは長期にわたって貧困層を苦しめる


彼らの「インフレターゲット」は現実になった。そして実際に物価が上昇して初めて、人々はインフレとは物価上昇という意味だということを理解したらしい。馬鹿ではないのか? 辞書が無かったのか? インフレが他にどういう意味だと言うのだろうか?

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信


インフレとは物価上昇という意味であり、需要に対して供給が足りない、つまりものが足りないという意味である。

逆にデフレとはものが十分足りている、ものが余っている状況である。

ものが足りている状態よりもものが足りない状態が良いと何故信じたのか? 彼らは馬鹿なのか? インフレ政策という非科学的政策を理解不能の理由で支持した有権者の愚かさは脇に置くとしても、政府が何故インフレを望んだのかという理由は明らかである。

債務者の喜ぶ低金利とインフレ

何故政府は低金利とインフレを望んだのか。

まず低金利が借金をしている政府にとって有利であるのは明らかだろう。利払いが少なければ、より多くの借金をすることができ、東京五輪やGOTOトラベルを自由に行えるというわけである。1569億円を使って東京に打ち立てられた巨大な便器はところで今使われているのだろうか。インフレ政策という西洋発の国民総奴隷スキームを喜んで輸入する日本国民は便器も洋式を利用するというわけである。


出典:産経新聞

そして低金利と財政赤字を組み合わせた緩和政策は、アメリカでそうなったように、時間差でいずれ物価高騰を引き起こす。

ガンドラック氏の景気後退予想: 現金給付のツケを払うことになる


だが考えてもらいたいのだが、この物価高騰でさえも巨大な借金を抱えた政府にとってはプラスなのである。

インフレが政府の借金を帳消しにする

事実、日銀は日本でもインフレが始まっているにもかかわらず、それを支援する低金利政策を続けている。

それは何故か? 低金利が利払いを軽減するならば、インフレは借金の元本を実質的に帳消しにするからである。

極端なケースを考えれば分かりやすいのだが、例えば物価が上がり100円のりんごが100兆円になったとしよう。

そうすれば元々100兆円の借金を抱えていた人物はどうなるか? 借金がりんご1個分になるのである。

これは戦後のドイツがインフレによって借金を帳消しにしたスキームと同じである。インフレは借金を帳消しにする。

だが借金が帳消しになって債務者である政府は喜ぶかもしれないが、債務者の債務は債権者の資産である。そしてそれも帳消しになる。

日本国民は預金を通して実質的に国債を保有している。銀行が預金を使って国債を買っているからである。

もうお分かりだと思うが、インフレになれば目減りするのは借金だけでなく、預金も同じように減価される。中央銀行が利上げさえ行えば、インフレによる資産減は金利収入増で打ち消され、利上げが預金者の資産を守ってくれるはずなのだが、国民の預金を犠牲に自分の借金を帳消しにすることを始めから目的としている日本政府がそれをするわけがないだろう。

結論

世の中には日本政府の莫大な借金は日本国民の保有する資産を考慮すれば問題ないという天才的な意見があるらしい。しかしそれは国民の資産を税金として没収することによって政府の借金を帳消しにするという意味である。彼らにはそれが分かっているのだろうか。

だが実際、日本国民はそれを望んでいるのではないか。毎日働いて得た収入が所得税と社会保険税と消費税で半分以上消えてなくなり、日本の首都にふさわしい巨大な便器に生まれ変わること、そして最後に残ったなけなしの預金さえもインフレで消えてなくなること、すべて日本の有権者が自分で望んだことではないか。

それでも日本人は自民党に投票し続ける。前にも書いたが、日本国民とは殴られても次の日には忘れている民族である。そしてそういう人々はこれからも殴られ続ける。

何故日本の有権者はどれだけの仕打ちを何度受けても自民党をわざわざ選出するのか? その理由はウィキペディアに詳しく書いてあるのでそちらを参考にしてほしい。

ストックホルム症候群 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%A0%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29198
2:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2022/12/21 (Wed) 10:49:15

40年続いた米国株強気相場が崩壊する、米国株は30年上がらない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14007513

アメリカの政策金利はこれから 5%以上に上がって世界恐慌を引き起こす
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14009793

ユーロは破綻する
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14072241

宮田直彦 「エリオットView」ドル高の終わり
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14062433

日銀が 2011年から500兆円も ばら撒いたので「超円安・輸入物価高の時代」に変わった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14010201

円安、低賃金、ブラック労働で日本で生産する方が外国より安くなった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14052420

何故日銀はインフレに応じて金利を上げないのか?
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14052708

英国トリプル安-仕組みと構造
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14050631

ハイエク: コストプッシュ型インフレは政府の責任回避の言い訳に過ぎない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14068389

政府が救済する弱者と言うのは中小企業や零細経営者の事で、その会社の労働者は救済しない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14056768

景気後退で財政支出する国はイギリスの二の舞になる
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14056950

紙幣をばら撒けばインフレになるという単純な事実が多くの人々には難しすぎて理解できない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14054383

インフレが起これば金融緩和が出来ないので、低金利で資産価格バブルの時代は終わる。
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14055430

ハイエク、フリードマンのマネタリズムの世界
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/913.html

マルクスの貨幣論
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1119.html

マルクス経済学の世界
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/915.html

新古典派経済学の世界
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1531.html

信用貨幣論に基づく信用創造
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/919.html

商品貨幣論
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1751.html

信用貨幣論
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1750.html

現代貨幣理論(MMT)が採用している国定信用貨幣論
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1749.html
3:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2022/12/21 (Wed) 19:15:24

髙橋洋一 日銀利上げ!金融業界に媚びを売った政策転換
https://www.youtube.com/watch?v=4zIi9zFQiXM


高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
日銀「事実上の利上げ」は、黒田総裁の独断と考えにくい
2022年12月22日

日本銀行は2022年12月20日、容認する長期金利の上限と下限を0.25%から0.5%程度まで拡大した。会見で、黒田東彦総裁は、事実上の利上げだとの指摘に対し、利上げではないと強調した。また、金融緩和は維持しているとし、景気にプラスとした。

市場の反応は、長期金利が0.2%程度上昇し、為替は5円程度円高になり、株価は800円程度下落した。黒田総裁は利上げでないと言ったが、市場の反応は長期金利の急騰だった。黒田総裁は9月26日の会見で、長期金利の上限引き上げは利上げに当たるのかとの質問に「それはなると思う。明らかに金融緩和の効果を阻害するので考えていない」と明言していたので、そのとおりだった。

マクロ経済よりも金融機関を優遇した政策
その結果、急な円高になったが、黒田総裁は急な為替変動は好ましくないといっていたが、今回の円高は急な為替変動だ。

また、以前の本コラムで書いたように、円安は日本経済全体のGDP押し上げ要因だったが、円高になったので、株価が急落したのは当然だ。

円安で企業の経常利益は過去最高となっており、円高が景気悪化につながるだろう。生産拠点の国内回帰の動きにも冷や水を浴びせかねない。

今後、住宅ローンの金利も上昇し、企業が融資を受ける条件も厳しくなるだろう。一方で、銀行など金融機関の経営には恩恵が大きい。今回の事実上の利上げは、雇用、GDPなどマクロ経済よりも金融機関を優遇した政策だといえる。

いずれにしても、市場から見れば、従来の発言を翻した「黒田の乱」だ。しかし、これだけの政策方向の転換について、黒田総裁だけの独断とも考えにくい。岸田文雄首相の了解があったと考えるのが自然だ。

無理筋の防衛増税を押し込んだ岸田首相
岸田政権は、防衛費増に対して、防衛増税を打ち出した。あまりに唐突であったので防衛増税については自民党内でも反対が多い。しかし、自民党税調の税制改正大綱には書き込んだ。

結局、岸田政権は、財務省の言いなりで無理筋の防衛増税を押し込んだ。前回の本コラムをみれば、増税なしで防衛費を捻出することも出来るのに、増税をあえて選んだ。マクロ経済からみれば、増税も利上げも経済に悪影響で、このタイミングでやることではない。おそらく、黒田日銀総裁も、増税をする岸田政権を陽動作戦で側方支援しているのではないかとさえ思えてくる。

黒田日銀総裁は元財務官僚で税畑であるので、基本的に増税指向だ。利上げは金融機関には恵みの雨であり、財務官僚も日銀官僚も多く天下っているので、身内の評判は悪くないことも背景かもしれない。
https://www.j-cast.com/2022/12/22453108.html?p=all
4:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2022/12/22 (Thu) 07:16:53

中国の資産を海外に持ち出せる様になった

12-22 禁断の資金調達方法が解禁された理由
妙佛 DEEP MAX
https://www.youtube.com/watch?v=ZtV172XL2Rw


5:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2022/12/23 (Fri) 01:41:06

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
2022年12月6日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/31421

アメリカではインフレが減速し始めており、インフレ減速とともに失業率上昇などの景気減速が懸念されている。

そこで今回は、20世紀最大のマクロ経済学者、フリードリヒ・フォン・ハイエク氏の『貨幣論集』に収録されている論文から、インフレ減速後の失業増加について語っている部分を紹介したい。

インフレ抑制のための金融引き締め

2021年には既に始まっていたインフレの脅威は、多くの著名投資家らが警告していたにもかかわらず、Fed(連邦準備制度)のパウエル氏など中央銀行家には無視されていた。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ (2021/7/18)
そして物価高騰は手遅れとなった。パウエル氏が過ちに気付いた時点でアメリカのインフレ率は既に7%近くまで上がっていた。

パウエル議長、ついに「一時的」を撤回しテーパリング加速を示唆 (2021/12/1)
インフレとは供給に対して需要が多過ぎることであり、つまりは需要に対してものが不足している状況だが、ものの供給を急に増やすことは出来ない。

だからFedはそこからこれまでの低金利政策を撤回し、金融引き締めを行なってこれまでばら撒かれた紙幣を回収することでインフレを抑えようとしている。

インフレ減速と雇用

ここで問題になるのが、雇用である。これまで緩和政策は雇用を支えてきた。お金がばら撒かれているからこそ、企業は従業員を従来よりも多く雇い、その結果コロナ後に高騰していたアメリカの失業率はかなり急速に押し下げられた。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2022/11/2022-oct-us-unemployment-rate-chart.png


コロナ後のGDPの急回復もそうだが、この勾配がかなり急であることに着目してもらいたい。それは未曾有の財政支出によって実現された。このような政策に副作用はないのか。ないわけがないのである。

現代最高のマクロ経済学者であるラリー・サマーズ氏は、サービス業における物価高騰を抑えるためには賃金の減速が必要であり、失業率上昇は不可避であると言っている。

サマーズ氏: 経済へのダメージなしでインフレ抑制はできない
それは正しい。事実、1970年代の物価高騰を止めるためには、大量の失業が発生しても金融引き締めを続けるしかなかった。

ポール・ボルカー氏、1980年のインフレ打倒がどれだけ厳しかったかを語る
しかしサマーズ氏の言い方では、物価高騰を止めるために故意に失業率を上昇させなければならないと言っているように聞こえる。

だがハイエク氏の論理はそうではない。彼は次のように述べている。

失業はインフレが加速をやめたときに、過去の誤った政策の帰結として、非常に残念だが不可避の結果として出現せざるをえない。

ここで彼が「過去の誤った政策の帰結として」と言っていることが重要である。つまり、インフレ減速後(今の話では2023年以降)に起こる大量の失業は、引き締め政策が引き起こすものではなく、過去のインフレ政策が原因だとハイエク氏は指摘している。

何故そう言えるのか。彼は著書では当時の例を挙げており、それについては以下の記事で取り上げている。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
だが今回は彼の考えに従って現在のインフレの事例で考えてみたい。

2023年に起きる失業の本質

コロナ後には世界中で現金給付などの形で大量の紙幣がばら撒かれた。その結果として上記のように多くの人が雇用され、失業率は急速に低下した。

紙幣のばら撒きは同時に人工的な需要の急増をもたらしたので、需要が供給を大幅に上回り、インフレが起きた。

ここでハイエク氏が指摘しているのは、まず政府によって人工的に引き起こされた雇用とインフレは分離できないコインの表裏であり、片方だけを除去することはできないということである。

例えば日本でいまだに行われているインフレ政策で考えてみよう。全国旅行支援は旅行をする人に旅行代金の40%の補助金を出す政策だが、この政策によってホテルなどの需要が急増、インフレが起こっている。

日本政府の全国旅行支援で宿泊予約殺到してホテル代値上がり
この政策はただのジョークに過ぎないが、この例はインフレとは何かを説明する際に便利なのでよく使っている。この時にホテル側に何が起こっているかを考えてもらいたい。

通常、多くのビジネスは需要の急増にすぐに対応できるようには出来ていない。特に問題になるのは雇用である。従業員は簡単に増やしたり減らしたりすることができないからである。特に日本の法律では、一度雇った従業員は簡単に解雇することができない。

ホテル側は2つの選択肢を強いられる。1つは既存の従業員に無理をさせて需要の急増に対応することである。結果として経営者と従業員の関係は悪くなり、実際に全国旅行支援で激務になったために従業員が辞めた宿泊施設についての報道がなされている。

もう1つの選択肢は需要の急増に新たな従業員を雇うことで対応することだが、問題は需要増が終わったからといって従業員を辞めさせることができないことである。そしてその次には逆に供給過剰によるデフレが起こる。無理に増やされた分の従業員は、通常の需要量に戻った後には、本来不要な労働力だからである。

どちらにしても酷い結果である。そしてこの酷い結果は、ホテル業界に贔屓をした分、経済の別の部分で増税が行われるという生贄を捧げることで実現されている。

インフレ政策が害悪である理由

人工的なインフレは将来のデフレという犠牲によって実現され、ホテル業界の売上増加は別の業界からの(場合によっては別の世代からの)搾取によって実現される。

ドラッケンミラー氏、高齢者が若者から搾取する税制を痛烈批判
だがトータルで差し引きゼロかと言えば、そうではない。ハイエク氏は次のように述べている。

すべての世代の経済学者は、政府は短期的には貨幣数量を迅速に増加させることによって、とくに失業のようなあらゆる経済的悪から人びとを救済する力を持っていると教え続けてきた。

残念ながらこれは短期において妥当するにすぎない。短期的には有利な効果をもつように見えるそのような貨幣数量の拡大は、長期的にはさらに大きな失業の原因となる。

何故か。まずホテルの例における経営者と従業員の関係悪化が害悪でしかないことに異論はないだろう。経営者は通常、従業員が無理をすることのないように事前に計画しているものだが、いきなり決まった全国旅行支援ですべて台無しである。

一方で人工的な需要増のために新たに従業員を雇った場合、その従業員は全国旅行支援がなければ別の仕事についていたはずである。その人は全国旅行支援のためにホテルの従業員としての経験を強いられたわけだが、その経験が活かせる需要は、全国旅行支援による需要が引いた後の世界には残されていない。

一方で全国旅行支援がなければ、もともと自然に存在する需要に従事する労働者として別の業界で経験を積み、その経験は将来にわたって活かされることになるだろう。それがばら撒きで失われた本当の価値である。

より酷い例は全国旅行支援のために税金で行われているコロナ無料検査で、東京都の資料によればPCR検査1件あたり最大9,500円、抗原検査の場合4,000円の補助金が出されるとあり、本来何の需要もない事業が経済的に成り立つ構図になってしまっている。しかし本来需要のない事業に従事する経験を積んでしまった従業員の将来はどうなるのか。

このようにして人工的な雇用の増加は、インフレが終了する時、増加させた分以上の失業を吐き出すことになる。公共事業がなければ本来存在しないような仕事の経験が大量に生産されるからである。

政治家がこうした状況に疑問を感じない理由の1つは、彼ら自身が自然の需要では本来必要とされない仕事に就いているからである。

もう1つの理由については、ハイエク氏の言葉を引用しよう。

しかし、短期において支持を獲得することができれば、長期的な効果について気にかける政治家が果たしているだろうか。

結論

人為的に引き起こされたインフレは、例えそれが僅かであろうともすべて害悪である。

しかし何度も言っていることだが、人々が豊かになるためには紙幣をばらまくのではなく生産を増やさなければならない。レイ・ダリオ氏の言葉を何度でも引用しよう。

世界最大のヘッジファンド: 共産主義の悪夢が資本主義にのしかかる
われわれが消費をできるかどうかはわれわれが生産できるかどうかに掛かっているのであり、政府から送られてくる紙幣の量に掛かっているではない。

紙幣は食べられない。

しかしリフレ派の馬鹿たちにはこの理屈は難しすぎる。

厄介なのは、大量失業というインフレ政策の真の弊害はインフレが起こっている限りは起こらないということである。

ハイエク氏は次のように述べている。

将来の失業について責められる政治家は、インフレーションを誘導した人びとではなくそれを止めようとしている人びとである。

1970年代の例で言えば、インフレ減速後に発生した大量失業の責任を取らされたのは、1971年に紙幣印刷をしたニクソン大統領ではなく、1980年にインフレを退治し大量失業を表面化させざるを得なかったボルカー氏だった。

ポール・ボルカー氏、1980年のインフレ打倒がどれだけ厳しかったかを語る
アメリカでは今ちょうどインフレ減速からの失業増加が始まろうとしている。インフレは失業が始まってからが本番である。これから大量失業と大恐慌(そうでなければインフレ第2波)がアメリカ経済を待っている。

ポジャール氏: 政策金利は5%以上に上がって景気後退ではなく恐慌を引き起こす
そして日本でも日銀の黒田氏が、長年の緩和の弊害がちょうど出始めたタイミングで職を離れるらしい。彼は内心ほっとしているだろう。彼の作り出した害悪のために非難されるのは、彼ではないからである。

政府というあまりに酷い仕組みを廃止すべきである。そうでなければ日本国民はいずれ大損することになる。

世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/31421
6:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2022/12/23 (Fri) 20:29:20

マイナード氏: 日銀の持続不可能な緩和政策の破綻は他国の教訓的前例になる
2022年12月23日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32101

12月21日に亡くなったGuggenheim Partnersのスコット・マイナード氏が日米シンポジウムで日銀のイールドカーブコントロールとその行く末について語っていたので紹介したい。

突如心臓発作で亡くなったマイナード氏のニュースは、今週まで日常的に彼の意見を読んでいた読者にも驚きだろう。

スコット・マイナード氏、心臓発作で死去 63歳
今回紹介するマイナード氏の相場観は、自社サイトで公開されていたGlobal CIO Outlookの投稿としては最後のものとなる。そしてそのテーマは債券の専門家にふさわしく、日本政府の莫大な負債だった。

莫大な政府債務は問題ないのか?

日本の負債について語ったマイナード氏のプレゼンテーションのタイトルは、「持続不可能なものは持続されない」だった。

マイナード氏はスライドの中で「日本の政府債務は別次元の水準だ」と述べ、日本と他国のGDP比政府債務の水準を比べている。

先進国の数値は、2021年から2022年のもので次のようになっている。

日本: 168%
米国: 100%
ユーロ圏: 92%
イギリス: 84%
しかし政府債務は何故問題なのか? 東京の中心に打ち立てられた巨大な便器は、単に1569億円も要したというだけでなく、誰も使い手がいないこの便器は今でも莫大な維持費という赤字を垂れ流し続けている。


出典:産経新聞
何度も言うがこの便器はあなたの給与から自民党が盗んだ金で維持されているのである。

それでも問題がないのだろうか。無駄なものに大量のコンクリートと労働者の人生が浪費されたということを除けば、財務的には債務はゼロ金利が続いていた間は何の問題もなかった。何故ならば、借金も利払いがなければ一生借りていられるからである。

だが問題がある。低金利政策は長期的にはインフレを引き起こし、インフレが起これば低金利は続けられないということである。

世界最大のヘッジファンド: インフレになって驚いているリフレ派は馬鹿じゃないのか
マイナード氏は次のように述べている。

政府の利払い費用は下落傾向にあるが、金利が上がってGDP成長が弱まるにつれて再上昇するだろう。

インフレ政策が何の問題もなかったのはデフレで有り続けた間だけだというのは、あまりに皮肉な話ではないか。

ハイエク: 緩やかなインフレが有益であるという幻想
ついに始まった日本の金利上昇

まず最初に2021年にアメリカがインフレになり、その後利上げを開始した。そして2022年にはついに日銀も利上げをしなければならなくなった。

日銀がYCC変更で長期金利の上昇を許容、日本も金利上昇による景気後退へ
2022年12月に行われた政策変更は0.25%の利上げに相当するが、アメリカはもう4%も金利を上げている。

だが利上げはアメリカよりも日本に弊害が大きい。何故ならば、政府債務が日本のほうが大きいからである。

政務債務がGDPの100%で、国債の金利が1%上がれば、政府の年間利払いは単純計算でGDPの1%分増える。

だが日本の政府債務はGDP比168%なので、金利が1%上がると利払いは1.68%増える。

それは政府が東京五輪や全国旅行支援のような政策が出来なくなるということなので、それはそれで良いことなのだが、実際には日本政府は増税によってその利払いを国民に転嫁しようとするだろう。(実際、岸田政権による増税が議論されている。)

「日本の政府債務は国内の貸し借りだから問題ない」という議論はまったく正しい。何故ならば、政府債務はこのように増税によって国民に転嫁されるから、国外から見れば何の問題もないのである。そう主張し続けてきた自民党を日本人はずっと支持してきたのだから、日本人はそういう状況を自ら望んでいるのだろう。

崖っぷちの日本の財政

マイナード氏は次のように述べている。

日銀は日本国債を買い支える限界に達しつつあるかもしれない。

日銀、ECB、イングランド銀行は発行済み国債の約半数を保有している。

ただ、保有残高自体は問題ではないかもしれない。筆者の見解では、実際には限界とはインフレが起こったということである。今日発表された日本のインフレ率は3.8%だ。欧米のような物価水準になる日も遠くない。そして日銀はいまだに低金利を続けている。

マイナード氏は日銀が国債を買い支えている今の状況は持続不可能だと言う。何故ならば次のことが順番に起きるからだという。

日銀は紙幣を印刷して日本国債を買い、金利目標を維持する
日本円の供給量が増え、円の価値が下落する
日銀は円を支えるために外貨準備を消費して円買いを行う
円の供給量が減り、日本国債の金利に上昇圧力がかかる
1に戻る
ここには様々な限界が見え隠れする。まず外貨準備は無限ではない。ドル円を短期的に数円操作するだけの為替介入ならまだしも、長期的にドル円の水準に影響を与えるような為替介入を継続的に行うことはできない。

また、インフレが起こってしまった現状、紙幣印刷を続ければ円安でインフレが悪化し、金利を上げてインフレを抑制しようと思えば今度は景気が沈み込む。

イールドカーブコントロールの今後

2022年12月に打たれた日銀の第一手目は長期金利の利上げだった。

日銀の長期金利の実質利上げを受けてドル円の空売りを開始
長期金利に上限を設けていたイールドカーブコントロールは、少なくとも上限が0.25%上げられたわけだが、今後どうなるのか。マイナード氏はこの措置によって状況は次のように推移すると言っている。

日銀は新たな金利ターゲットを設定する
日銀の保有する国債の価値が下がる
市場は新たな金利上限に挑戦する
日銀は国債買い入れで市場を安定化しようとする
円の供給量が増えインフレが悪化する
この状況はどういう形で解決されるのか。マイナード氏は3つのシナリオを挙げている。

選択肢1: 日銀が金利の上限を撤廃する

そもそも長期金利を抑えておくことを諦めるほかないというのが第一のシナリオである。その場合、次のことが起こるとマイナード氏は言っている。

日本国債の金利が上がる
金融市場が不安定化する
日銀はマネーサプライを減らすために日本国債の保有を減らそうとし、金利に更なる上昇圧力がかかる
2023年に大不況が起こると想定されているアメリカと同じシナリオである。

ポジャール氏: 政策金利は5%以上に上がって景気後退ではなく恐慌を引き起こす
また、イールドカーブコントロールが持続不可能であることは経済学者ラリー・サマーズ氏が7月に予想していた。

サマーズ氏: 日銀はイールドカーブコントロールを止めざるを得なくなる (2022/7/16)
選択肢2: 日銀の債務が資産(日本国債)を上回り債務超過に陥る

また、マイナード氏は日銀の債務超過を心配している。利上げ局面で中央銀行にとって困難なのは、短期金利を上げると債務超過に陥りかねないことである。

中央銀行の資産と負債が何かということを読者は知っているだろうか。資産は主に買い入れた国債であり、負債は主に市中銀行などが中央銀行に預けている預金である。中央銀行から見ればこれは預かっているお金なので負債にあたる。

そして負債には金利を払わなければならない。つまり中央銀行は保有する国債の金利を受け取りながら、預かっている預金に対しては金利を払っている。つまり長期金利を受け取りながら短期金利を支払っているのである。

だからアメリカのように利上げによって短期金利が長期金利を上回るような状況では、受け取る金利よりも支払う金利が大きくなる危険がある。

それで日銀が債務超過に陥れば政府はどうするか? マイナード氏は次のように説明している。

日銀は政府に救済を求める
政府は増税で資金を集めようとし、経済活動に下方圧力がかかる
政府は国債を発行し、日本国債の価格に更なる下方圧力がかかる
日銀の負債であろうが政府の負債であろうが要するに国民が支払うということである。

現状では、日銀は長期金利しか上げていないが、その大きな理由は債務超過懸念にあるだろう。だが短期金利をマイナスに保ったままでインフレは抑制できるのか?

選択肢3: 日銀がリバースレポを行う

最後の選択肢はリバースレポの設定で短期金利まで利上げする場合である。

リバースレポとは簡単に言えば日銀が保有する国債を市場参加者が短期的に現金と交換する取引で、一時的とはいえ現金を市場から吸い上げるので引き締め効果を生む。

だがこのシナリオは本当に日銀の債務超過を誘発しかねない。マイナード氏はその結末を次のように説明している。

リバースレポ金利がマネーマーケットの金利を上昇させ、経済活動に下方圧力がかかる
日本国債の金利よりも高いレポの金利は日銀の資本を更に減らしてゆく
結論

マイナード氏の最後のGlobal CIO Outlookは、債券の専門家にふさわしい厳密な議論だった。テーマが日本の政府債務だったことも日本の読者には趣深いだろう。彼は次のように述べている。

日銀が政策変更に動き、日本の財政状況は厳しいが、これは他の先進国にとっても例外ではない。むしろ非常に緩和的な金融政策を取る他の国にとっての教訓的な前例となり、またこれから起こるべきことの前触れとなるだろう。

この言葉はマイナード氏の遺訓と取っても良いのではないか。

上記のマイナード氏の議論をもっと簡単に言えば、円安とインフレを止めるには金利を上昇させるしかないが、金利を上昇させると資産価格と経済が死ぬということである。レイ・ダリオ氏が言っていたではないか。

世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
インフレもそうだが、著名投資家が事前に警告していたことに、人々はすべてが手遅れになってから気付き始める。そして彼らの正しい意見に耳を貸す者はほとんどいない。

だが結局日銀も利上げをしなければならなくなった。「貯蓄から投資へ」の掛け声で国民をリスク資産に誘導しておきながら、金利上昇によってリスク資産を殺すのだから、岸田首相の詐欺の手腕は褒められてよい。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
自民党を信じる者は常にふさわしい結果を手にする。いつもながらおめでたいことである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32101
7:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2022/12/24 (Sat) 09:35:33


2022年12月23日
ハイパーインフレが日本を救う?

これより遥かに深刻な財政危機を、日本はたった4年で解消した事がある
004



自分で借金して自分に返済している

政府は2023年度予算案の一般会計総額を114兆円台前半とし、22年度当初予算に比べて6兆円以上増やす方針を決めました

約5.4兆円から6.8兆円に増える防衛予算など、2012年から11年続けて過去最大予算を更新する

政府は23年度から5年間の防衛費の総額を43兆円程度とする方針で、今後も年間数千億円から1兆円のペースで増額していく

歳出で最大は社会保障費の36兆円台後半で、次いで地方交付税は15.9兆円から16兆円台半ばに伸びる

税収も過去最大の69.4兆円を見込み、株価が2万円台後半を維持すればこの程度になり、日経が3万円を越えたり下落すれば変動します

35兆円台半ばの国債を新たに発行するが、国債費(国の支払い)も25兆円台前半なので10兆円ほど国債発行額は増える


日銀によると国債発行残高に占める日本銀行の割合が初めて5割を超え、9月末に1066兆円に対し536兆円となった

政府はこの536兆円に対して償還し金利を支払うが、日銀は受け取った金でまた日本国債を購入するので政府は実質的に自国の国債を買っている

国債1066兆円のうち利用者が有料道路利用料などで支払う建設国債を除くと735兆円兆円、日本国債の70%以上を日銀が保有しています


このほとんどの日本国債は日本政府が支払って日本政府の日銀が受け取っているので、理論上は実質的に借金は存在しない事になる

お父さんがお母さんから借金して毎月小遣いから3万円返済しているような事で、家計全体として借金は存在せずお金が動いていません

個別に見れば日本政府の借金がどんどん増えて日銀は日本国債という資産をどんどん増やしています


日銀がため込んだ国債をどう処理するか

日銀が保有する日本国債を燃やしてしまえば日本政府は536兆円を返済しなくて済むが、日銀は倒産し日銀が発行した日本銀行券(お金)が無価値になります)

日本中の銀行に預金されてる数百兆円とか土地の評価額になっている「お金」が消滅するのでそれも大問題になります

良い解決法としては日本が金利を上回るインフレを起こし経済成長をする事で、長期間かけて国債残高のGDP比を減らせば特に打撃を受けません


例えば国債金利1%でインフレ率が2%なら国債のGDP比は毎年1%減少し、30年後には目立たないレベルになっているでしょう

今までの日本は物価がマイナスで金利だけが発生していたので、毎年借金が増えていく構造でした

日本は1945年までの戦争と敗戦で莫大な借金を背負い込み現在と似たような状況でしたが、皮肉にも敗戦によるハイパーインフレが政府を救いました


敗戦後の日本は金利よりインフレ率がかなり高い状況だったので、1950年に朝鮮戦争が始まり経済成長が始まって戦前の借金は胡散霧消しました

その後高度経済成長で成長率が2桁になり、国債金利は10%より低く財政は好転したので戦前の借金はどうでも良くなりました

敗戦後4年間での65倍の物価上昇があったが戦前の借金は3倍しか増えなかったので、たった4年で膨大な借金が胡散霧消したのでした



この辺に日本の財政を劇的に好転させるヒントがありそうで、とにかく高インフレで経済成長を起こさなくてはならないのが分かる
https://www.thutmosev.com/archives/89658734.html
8:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2022/12/25 (Sun) 18:49:33

FX(外国為替証拠金取引)が1京円突破! 日銀は介入で巨額利益
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14075349
9:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2022/12/26 (Mon) 10:18:11

黒田日銀総裁のスゴイ所は「平気でウソをつく」ところ
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14009730
10:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2022/12/29 (Thu) 18:40:36

髙橋洋一  予算114兆円! 国債3割!日経の記事に騙されるな
https://www.youtube.com/watch?v=djt9v6F2Nx0
11:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/01 (Sun) 20:33:42


2023年01月01日
日本政府は個人資産2000兆円で政府の借金を返済するでしょう
https://www.thutmosev.com/archives/89722744.html

インフレになると個人は困るが国の借金が減り財務省は嬉しい

2000兆円は誰のもの?

岸田政権や最近の日本政府(財務省)などを見ているとインフレを利用して公的債務圧縮を計画しているように見えます

日本は1991年から30年間ほぼデフレで、平均の物価上昇率は1%未満で国債利回りは1%以上だったので毎年国債残高が膨らんだ

最近の国債利回り負担は国債残高の約1.3%なので、これよりインフレ率が低ければ毎年借金が増えている状態になります

話を分かりやすくするため金利10%でインフレ率ゼロと仮定すると毎年10%借金が増え、逆に金利ゼロでインフレ率10%なら毎年10%借金が減ります

デフレ状態や低インフレだと過去の借金が毎年重くなり、高インフレ率だと過去の借金が勝手に減っていきます

日本は敗戦後に莫大な政府債務を背負ったが、1945年から49年までに物価が70倍も上昇し債務残高は10倍程度しか上がらなかった


結果戦前の日本の借金はたった4年で返済し終わり、その後は朝鮮戦争から高度成長に入り日本は経済大国として復活しました

歴史を知る人は誰もが「これだ」と思うはずで岸田首相と財務省もインフレを利用して債務を減らそうとする筈です

1945年から49年に話を戻すと物価上昇率に比べて金利が非常に低かったので、過去の借金は目減りしたが現金の価値も目減りしました


1945年に白米1升は45銭だったが1950年には60円になっており、敗戦時に1円で2升買えたが5年後には飴玉しか買えなくなっていた筈です

このハイパーインフレによって戦前の借金が消えたので、戦後日本は人々の預金や現金を借金返済に使ったと言い換えられます

もし今の日本が同じ事をしたら今は100円ちょっとで買えるポテトチップが4年後の2026年は1万円になり、多くの銀行預金は無価値になる筈です

そうだインフレにしよう

日本の個人資産は2000兆円ありこのうち1100兆円が現金や預金ですが、これをそっくり政府債務1100兆円の返済に充てることも可能です

インフレによって国民の資産で政府債務を返済するというアイディアは、もっと長期間かけて穏やかに実施すれば人々は気づかないかもしれません

アメリカは建国以来借金に苦しんできて1929年大恐慌でも破産しかけたが、やっぱりインフレによって過去の借金を削減しました


イギリスなども同様で第一大戦時の借金を塩漬けにして、インフレで目減りさせたうえ金庫にしまって今も返済していません

日銀は今国債発行額の50%超の550兆円を保有していますが、これを金庫にしまってインフレを起こせば数十年後には取るに足らない金額になるかも知れません

4年間に物価を70倍にすれば政府の借金は減るが副作用もあるので、30年間で10倍としたらそれほど弊害は起きないでしょう


これが安倍首相や黒田日銀総裁が言っていたインフレ率2%だったのだが、結局7年以上やって一度もインフレ率2%を達成できなかった

皮肉にも2%を達成したのはロシアのプーチン大統領で、ウクライナに侵攻しエネルギー危機を起こして日本のインフレ率は3%を超えた

財務官僚は日本人が困ろうと自分は困らないので、「そうだインフレを利用して日本の借金を減らそう」と考えます


おそらく今後の日本は このような方向に進んでいくでしょう
https://www.thutmosev.com/archives/89722744.html
12:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/05 (Thu) 12:14:34


2023年01月05日
NYの蕎麦1杯3400円が引き起こす市場の報復

2つの蕎麦は「同じ物」ではないが、 ビッグマック価格は日米で2倍違う

https://news.ntv.co.jp/category/international/3690e1a335a8487182e1b664adfab1a8/image?p=2



価格差が経済の歪みを作る

23年の新年にマスコミは「アメリカで蕎麦1杯3000円になった」というニュースを報道し、アメリカのインフレや日本が後進国になったなどの解説をしていた

日本マスコミの特徴はこうしてニュースを独自解釈することで、過去には北朝鮮を「地上の楽園」と報道して多くの人を地獄に送り込んだりもした

夕日じゃないほうの新聞やテレビは円安になると「日本は後進国になった」と言い円高になると「円高で日本崩壊」と言う法則があります


日テレニュースによるとニューヨークマンハッタンで山菜たぬきそばを注文したところチップ込みで3400円(25ドル?)だった

これは為替レートの影響も受けていて1ドル100円なら山菜たぬき蕎麦2500円、1ドル80円なら2000円なので京都などの有名観光地なら日本でもままある価格です

京都の鯖街道では鯖寿司が一人前4500円ですがこれを高いという人はなぜか居ないし、京都の寺の前の蕎麦屋が2000円でも話題になりません


NYで蕎麦が3000円のような記事を書く人に限って、「アメリカでは宅配ピザが500円なのに日本は3000円でボッタくり」のような事を言うのが好きです

日本では40年ぶりのインフレ率となったが物価上昇率はたった3.7%、食料品に限ると1割から2割上昇した印象です

アメリカの物価上昇率は9%なのでこれも食料品に限ると2割から4割程度値上げされていると考えられます(政府は値上げされていない品目と平均して数字を下げるのが好きです)


有名なハンバーガー指数では世界1位はスイスでビッグマック単品925円、アメリカ710円、ユーロ圏627円、日本390円でした

ユーロ圏の中でも価格差はあるので先進国平均で700円台、22年7月時点で日本の2倍近い価格差がありました

これで思い出すのは2007年からの世界経済危機(リーマンショック)直前に「スイスや北欧で水が1000円」のようなニュースが流行っていた事です


日本の円安政策が世界経済危機を起こす

2007年春の時点でロンドン地下鉄の初乗り料金は800円など日本の2倍になっていて、ビッグマック指数でも日本はかなり安くなっていた

つまり日本自身が安くなっていた訳でマスコミはやはり「日本は後進国になった」「ニューヨークではマックセットが千円だ」などと言っていました

各国の物価は為替レートや各国金利、その時点での景気(景気が良いと物価は上がる)など多くの要素で決まり、軽々しく決めつけられない


日本、イギリス、フランス、アメリカなど同じような先進国同士では長期的には同じ物は同じ価格に収れんする筈で、2倍になるのはおかしい

コーラ700mlは日本のディスカウント店では100円で売られているが、それが別の国で500円だったら明らかにおかしいのです

2007年春ごろに日本と他の先進国の価格差が最大になり直後にリーマンショックが発生し1ドル124円から1ドル75円(2011年)になりました


コーラやビッグマックの値段から考えるとむしろ1ドル75円のほうが正常で、1ドル124円や1ドル150円は金利差や為替レート、物価上昇率などの影響と考えられます

日本の物価はゼロ金利政策や政府日銀が長期間続けてきた円安誘導(量的緩和など)、日本そのものを安くする政策の影響だと考えます

日本を安くする政策で日本人の賃金もドル建てで下がったが、安くなると外国から見て非常に買い得になり投資が集まりやすい


同時に日本企業の競争力が強化され、インフレで1100兆円の政府債務が圧縮されるか少なくとも膨張しない効果が期待できる

逆に円高で日本が高くなると日本企業の競争力が低下し外国から投資はなくなり、デフレによって政府債務のGDP比は膨張します

日銀の黒田総裁は会見でうっかり「円安は日本経済にプラス」と本当の事を言ってしまい叩かれたが、政府日銀はわざと円安にしていると思います


もっと言えば最近の世界的インフレと不況の創出の何割かは、日本政府の日本安政策が関係した可能性が高いです

https://www.thutmosev.com/archives/89748597.html
13:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/06 (Fri) 19:43:01

2023年01月06日
各国政府はインフレを歓迎し、むしろインフレ誘導している

インフレが起きると過去の借金が軽くなるので、各国政府は意図的に高インフレにしています
1818904




コロナ対策で各国政府債務が膨張

経済学者のラッセル・ネイピアは世界的な高インフレと高金利が15年から20年続き、自由経済から政府主導経済に移行すると主張している

根も葉もない事ではなく今現在世界はインフレで苦しみ、インフレ対策として各国政府は利上げをし日本も利上げ政策に転換しようとしている

2010年にリーマンショックが終わってから2020年に新型コロナが流行するまでの10年間が自由主義市場経済の時代だったがそれはもう終わった


新型コロナ流行で主要各国の経済活動が縮小し、税収が減少したのに各国政府は莫大なコロナ対策費や経済対策費、生活支援などを支出した

米トランプ政権は数か月で300兆円ものコロナ経済対策をしバイデン政権でも同じくらい支出、おかげで多くのアメリカ人は働くより高収入になりました

日本も矢継ぎ早にコロナ支援を決め総額100兆円を上回り、欧州や中国など多くの政府は財政支出を大幅に拡大した


後に残ったのは膨大な公的債務だが各国政府は民間や地方行政府の債務に付け替えたり、証券化のような手法で(日本以外は)国の借金ではないかのように偽装している

日本政府は反対に国の借金ではないものまで国の借金に含めて借金を偽装しているが、それは今回の本題ではありません

2022年に世界で火を噴いた高インフレはラッセル・ネイピアによればロシアのせいなどではなく、各国政府が積み上げた公的債務を返済するために意図的にやっている


世界の主要国はどの国も民間債務と政府債務の合計がGDP比250%以上になっているので、このままでは借金を返すため増税を繰り返す事になる

日本政府が証明したように借金を返すために増税すると、増税によって消費が縮小しGDPが縮小し、結局増税しなかった場合より財政悪化を招く

そこで各国政府はインフレ率を上げて政策金利はインフレ率より低く保つことによって、公的債務のGDP比を縮小しようとしている

各国はインフレで政府債務を減らそうとしている

日本の公的債務が1100兆円でGDPは550兆円なのでGDP比200%、例えばインフレ率を10%にしてゼロ金利のままにし名目GDPだけを10%成長させます

このモデルでは実質GDPはゼロ成長だが名目GDPが10%成長し公的債務は1100兆円のままなので、あら不思議公的債務のGDP比は182%に下がりました

これは非常に極端な想定ですがインフレ率を上げると政府債務が圧縮されるので、各国政府はインフレを警戒しているどころか「インフレ大歓迎」なのです


でもインフレは国民生活を悪化させるので政府や政治家は表向き困ったような顔をしてみせ、まるでインフレを防止しているかのように演技をします

日銀黒田総裁は記者会見で「インフレは良い事だ」とうっかり本当の事を言ってしまったが、彼は正直に事実を言っただけだと思います

インフレ誘導で公的債務を圧縮するには15年から20年かかるので、それまで高インフレ高金利時代が続くというのがラッセル・ネイピアの主張です


彼の主張では2020年以降の新型コロナ対策によって経済の主導権が中央銀行や自由市場から、各国政府の手に移った

どう移ったかはアメリカ政府が3年で600兆円以上を国民に配ったのを見ればわかり、日銀による国債買い入れや日本国債買取を見ても分かります

世界経済はもはや自由市場で動いてはおらず、 この事が米中対立や東西陣営のブロック経済化を招いている疑いがあります


東西陣営やブロック経済は1991年に崩壊したが、世界は再び中ロイランなどと日米欧が対立する時代を迎えています

一般的に経済は自由なほど成長するが制限を加えるほど縮小するので、ブロック経済時代の成長率は自由主義時代より低くなるでしょう

第二次大戦前のブロック経済では米英仏の豊かな国が日独伊の「貧しい大国」を締め上げたが、今回締め上げられるのは中ロになるでしょう


日独伊が米英仏に噛みついたように、締め上げられた中ロやイランが何らかの戦いを挑んでくる可能性があります
https://www.thutmosev.com/archives/89761747.html
14:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/18 (Wed) 16:51:58

日本国債の投げ売り急増、追加利上げがなければ日銀の量的緩和は半年で破綻する
2023年1月17日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32797

アベノミクス以降、もう10年近く大規模な金融緩和を続けてきた日本銀行が、去年の12月に実質利上げを実行した。

日銀がYCC変更で長期金利の上昇を許容、日本も金利上昇による景気後退へ (2022/12/20)


その結果どうなったかと言えば、日本国債の投げ売りが急増している。日銀が買い支えなければならなくなっているが、このままではそれも破綻してしまいそうだ。

日銀の実質利上げ

年末の日銀の政策変更は、正確に言えば長期金利の許容変動幅の拡大である。以前まではゼロ金利を基準にプラスマイナス0.25%の変動を許容していたものを、プラスマイナス0.5%の変動まで許容するということにした。

アメリカなど海外ではインフレによる利上げで金利がどんどん上がっていた中で、日銀は長期金利に上限を設けるイールドカーブコントロールで金利を変動幅上限に押さえつけていた。

それは2022年の急激な円安の原因となっていた。そして円安は輸入品の物価を上昇させるため、日本ではガソリン価格や電気代が高騰した。

日本国民がインフレで苦しむ中でインフレを目指す日銀の摩訶不思議な緩和政策によって、めでたく日本はインフレになった。日本のインフレ率はついに約4%まで上がっている。おめでとう。インフレ政策の成功である。その成果は当たり前だがインフレである。

だがここで問題が生じた。実際にインフレになって初めて、日本国民はインフレが物価高という意味だということに気付いて騒ぎ始めたのである。愉快な人々である。

世界最大のヘッジファンド: インフレになって驚いているリフレ派は馬鹿じゃないのか


日銀の実質利上げ

ともかくそれが年末の日銀の政策変更に繋がった。0.25%としていた長期金利の上限を0.5%に変更したのである。

上限が上げられたため、長期金利は当然ながらすぐに上がった。だが新たな上限である0.5%にはすぐには達さずに、2週間ほどの間は0.45%付近を推移していた。

だがそれも長く続かなかった。日本国債はどんどん売られ、年明けの1月6日、ついに長期金利が上限の0.5%に達したため、日銀は金利の上昇を抑えるために国債の買い入れを余儀なくされるようになった。

しかし日本国債の売り圧力は激しく、金利は上限の0.5%を上回って一時0.55%で取引されるような状況で、結果として日銀の国債買い入れは6日以降爆発的に急増している。(※1/17誤植を訂正しました)

日銀による国債の買い入れ金額は以下のように推移している。

1月4日: 0.6兆円
1月5日: 0円
1月6日: 2.4兆円
1月10日: 0.3兆円
1月11日: 1.2兆円
1月12日: 4.6兆円
1月13日: 5.0兆円
1月16日: 2.1兆円

0.5%に達しなければ買わなくとも良いため日によって上下するが、6日以降どんどん増えてゆき、13日には5兆円に達した。

半年で破綻する日銀の量的緩和

1日で5兆円という金額がどれだけのものか、読者にはお分かりだろうか。この数字が危機的だとすぐに分かった読者は、経済の数字が頭に入っていると言えるだろう。

さて、日銀の保有する国債の総額は1月12日時点で547兆円で、日本の政府債務は約1,000兆円である。つまり、日本政府の発行している国債のうち、半分以上を既に日銀が保有しているということになる。

日本国債の投げ売りは日増しに増えているため、5兆円という水準からどんどん増えてゆく可能性もあるのだが、仮に1日5兆円の買い入れをこのまま続けることになった場合どうなるだろうか。

ここまで言えばもう分かったはずである。日銀は100日足らずの内に残りの国債を全部買ってしまう。休日を含めても4ヶ月から5ヶ月程度の猶予しかなく、半年経たずにアベノミクス以来の量的緩和政策は破綻することになる。

国債買い入れは1日5兆円で済むのか

だがもしかするとこれでも保守的な計算かもしれない。

この状況を完璧に予想していた人物がいるのだが、読者は覚えているだろうか。債券投資家のスコット・マイナード氏である。

マイナード氏: 日銀の持続不可能な緩和政策の破綻は他国の教訓的前例になる


この記事でマイナード氏は、日銀の金融政策が次の順序を踏むと予想していた。

日銀は新たな金利ターゲットを設定する
日銀の保有する国債の価値が下がる
市場は新たな金利上限に挑戦する
日銀は国債買い入れで市場を安定化しようとする
円の供給量が増えインフレが悪化する

まさに3と4の状態が今起きているわけである。新たな金利上限を設けたことにより、投資家が今後の更なる利上げを心配するようになり、保有国債の価値が下がる前に売ってしまおうとする。

そうすると債券の価値が下がる。債券の価値下落は金利上昇を意味するため、金利は上限に達し、日銀は投げ売りされている日本国債を買い支えなければならなくなる。そうなれば買い入れ額が1日5兆円から大きく上昇する可能性もある。

日銀がこの状態から逃れるためには、金利上限を更に上昇させて買い支えなくても良いようにするしかないが、金利上昇は債券の価値下落を意味するため、投資家は更なる下落が起こる前に日本国債を売ろうとする。

分かるだろうか。日本国債はもう詰んでしまっている。マイナード氏の予想通りである。

結論

ちなみにマイナード氏のこの予想は12月1日のスピーチの内容であり、日銀の実質利上げの前ということになる。スピーチのタイトルは、「持続不可能なものは持続できない」であった。残念ながら年末に急逝してしまったマイナード氏は、日銀の政策変更前からすべてを予想していたのである。

スコット・マイナード氏、心臓発作で死去 63歳


ここからはどうなるだろうか。円の投げ売りが原因で日銀は実質利上げを行わなければならなくなった。お陰で円は上がっているが、今度は日本国債が破綻の危機である。

ここからのシナリオは、恐らくはまず日銀は更なる実質利上げを行わなければならなくなるだろう。それで買い入れ額を減らそうとする。だがそうすれば日本国債は更に売られ、利上げのスパイラルに突入する。

1月18日に日銀は金融政策決定会合の結果を発表する。2回連続の実質利上げがあるかどうかは分からないが、ここに書いた長期的なデッドエンド自体は避けることができない。

そうしてある時点で日銀は緩和転換しなければならなくなるかもしれない。しかしそうなれば今度は強烈な円安になり、インフレが止まらなくなるだろう。

ということで、もうどうにもならない。国債の暴落、日本円の暴落、物価高騰、強烈な増税による政府債務の帳消し、どれかは絶対に避けることが出来ない。そしてどれを選んでも日本国民は死ぬ。

これが1,000兆円の政府債務を抱えた日本経済の末路である。莫大な政府債務は問題ないと誰が言ったのだったか。

この状況を作り出した日銀の黒田なにがしは颯爽と職場を離れようとしている。その後に日本経済は利上げによる不況で大量の失業者が出るだろう。

この状況もすべて、何十年も前にマクロ経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏が予想していたことではないか。彼は次のように言っていた。

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない


将来の失業について責められる政治家は、 インフレーションを誘導した人びとではなくそれを止めようとしている人びとである。

そして黒田氏が去った後に日本経済は当然の帰結として死んでゆく。自民党を支持した日本国民が自分で望んだことなのだから、彼らにとっては本望なのだろう。

世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32797
15:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/20 (Fri) 07:38:43

ここではエリオット波動の宮田さんと反対に今年の日経平均暴落を予測しています:

日本政府、金融緩和終了に言及  連続利上げなら日経平均は暴落へ
2023年1月19日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32865

年末に日本銀行が実質利上げを行なったことで、2013年のアベノミクス以来の金融緩和政策が危機に瀕している。

実質利上げをしている黒田総裁自身は、記者会見で自分は金融緩和を続けているという意味不明な供述を続けているが、今度は政府の側から金融緩和の終了に言及する声が上がっている。

円安とインフレ

日銀は12月20日の金融政策決定会合で実質利上げを決めた。

日銀がYCC変更で長期金利の上昇を許容、日本も金利上昇による景気後退へ (2022/12/20)
日銀が利上げに踏み切らなければならなかったのは、日本のインフレ率が急上昇しているからである。12月の東京都区部の速報値ではインフレ率は遂に4.0%まで上がっており、しかもこの数字は9月以降どんどん加速している。

その一因は明らかに日銀の緩和によってもたらされた円安である。インフレが問題となる中でインフレを目指す日銀の量的緩和によって、2022年の為替相場では日本円はドルやユーロどころかインドネシアルピアなどよりも弱い最弱通貨の1つとなっていた。(※1/19誤りを訂正しました)

日本円が下がり、日本人から見てほとんどすべての外貨が上昇すると、当然ながら輸入品の価格が上がる。そもそも「インフレ政策」とはそれを目指す政策だったというのに、自民党の支持者たちは何が不満なのだろうか。

ハイエク: 緩やかなインフレが有益であるという幻想
インフレ政策を支持しながらインフレの意味を今年まで知らなかった彼らの卓越した頭脳はさておき、もうすぐ任期が終了する黒田氏は、「緩和には何の問題もなかった」という顔をして逃げ切りたかったのだろうが、最後の最後に利上げをやらされたのである。それが恐らくは、金利を上昇させながら「これは利上げではない」などという意味不明な黒田氏のコメントに繋がっていると思われる。

金融緩和を終わらせたい日本政府

その意図が恐らくは政府から来たのだろうということは、1月の会合後の西川経産相の発言から読み取れる。

世界経済フォーラム(通称ダボス会議)において、彼はまず次のように発言した。(Reutersの英語記事の直接引用からの翻訳である。)

政府の多様な政策によって日本のインフレは他国よりも緩やかなものに留まっている。

ちょっと笑ってしまうような奇妙な話である。自民党はインフレを抑制するような政策は一切行なっていない。例えば全国旅行支援である。

日本政府の全国旅行支援で宿泊予約殺到してホテル代値上がり
更に言えば、ガソリンに対する補助金は最悪の悪手であり、エネルギー資源が足りないからインフレが起きているのに、エネルギーの購入に補助金を出すことはまさに火に油を注ぐことに等しい。

サマーズ氏: ガソリンの価格高騰対策でインフレ悪化へ 現金給付の悪夢を人はもう忘れている
だが自民党の政治家の卓越した頭脳はマクロ経済学の常識など軽々と飛び越えてゆく。

そしてこういう人々が最初にやることは、自分を棚に上げてまず他人から批判することである。西村氏は次のように言う。

当然ながら、金融政策は将来正常化されなければならない。

投資が行われて賃金が上がり、経済が回り始めれば、金融緩和は将来停止させることが出来るだろう。そしてその段階に近づきつつある。

2013年のアベノミクス以来の日本政府としては異例の発言ではないか。こうした発言になった原因は、日本のインフレの状況である。

日本のCPI(消費者物価指数)のデータを見れば、日本のインフレ率の上昇ペースは危機的であり、このままではすぐにでも5%や6%に上がっていくだろう。

しかも円安による輸入物価の上昇が国内物価に波及している様子が見られ、ドル円が下がったとしても国内物価の方はそれだけでは下がってくれないだろう。

だから黒田氏は逃げ出せば良いかもしれないが、日本政府の方はこのままでは物価が高騰し国民に責められる。インフレ政策を有権者も支持したではないかという突っ込みは正論なのだが、馬鹿に正論は通用しない。

ここでは何度も言っているが、インフレとは物価上昇という意味である。それ以外の意味はない。インフレ政策はそれを目指してきたのである。その理由については以下の記事で解説している。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
2023年は利上げの年に

よって2023年は日本にとって利上げの年となるだろう。それが投資家にとってどういう意味を持つかと言えば、まずはドル円の下落である。


去年はドル高かつ円安の年だったが、アメリカと日本の両方でそのトレンドがひっくり返り、今年はドル安かつ円高の年になりそうだ。アメリカ側の事情については以下の記事を参考にしてもらいたい。

日銀の長期金利の実質利上げを受けてドル円の空売りを開始
そして日本株については、以下の記事で纏めてある。

2023年の日経平均の推移予想: ドル円下落と金利上昇で二重苦に (2023/1/4)
だがその後のインフレ統計や日本政府の発言を見ていると、2023年には黒田総裁の退任後に新総裁のもとで連続利上げが行われる可能性がある。

今年の株式市場は、アメリカでは金利の低下が始まっており、去年の利上げ効果による企業利益の減少と金利低下による浮揚効果が相殺し合う状況になるとここでは説明してきた。

だが日本が世界的な景気後退のもとで連続利上げを行うならば、企業利益の減少と日本の長期金利の急上昇という状況のもとで、日本株はかなり急激な下落相場になるだろう。日経平均は現状では次のように推移している。


結論

ということで、新体制の日銀が連続利上げに踏み切れば、ドル円と日経平均は仲良く暴落してゆくだろう。

だが金利を上げなければ日本は恐らくアメリカやヨーロッパ並みの物価高騰に突入してゆく。欧米の物価高騰が地獄絵図であることは、以下の記事などで紹介してきた。

ドイツの政治家、カーボンニュートラルのために風呂に入らないことを推奨
EU、食料価格高騰の最中、代替食品としてトノサマバッタを推奨
自民党が国民の生活を慮って本気でインフレ退治をするかどうかはかなり怪しいところだが、少なくとも多少の利上げは強いられることになるだろう。

そこで問題となるのは、コロナ後に大流行りしたつみたてNISAなどの、金融の専門家から見て何の根拠もないギャンブル的な素人投資法である。

「株式の長期投資はほぼ儲かる」という幻想は金融庁の「基礎から学べる金融ガイド」から来た
金融庁などは高校生にまで日本株や海外株のETFなどを買うことを推奨してきたから、それに乗せられて投資をした人のポートフォリオは日本株や海外株のETFで構成されているだろう。

だが2023年、彼らのポートフォリオはどうなるか。日本政府が主導する利上げによって日本株は死に、海外株はドル円の下落によって価値が大幅に毀損することになるだろう。

何度も言っているが、何故彼らはわざわざこのタイミングで投資を奨めたのか。しかも単に投資理論が間違っていただけではなく、日本政府自身が国民のNISA口座にそうした商品を放り込み、その後でそれらの価値を暴落させようとしている。

この件については何度も語ったので、ここまでにしておこう。詳しい議論が知りたい人は以下の記事を参考にしてほしい。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
だが、他人に買わせた投資商品の価値を意図的に下落させることは、控え目に評価しても詐欺である。

岸田首相にはその才能がある。還付金詐欺などを本業にするタイプのプロの方々は、是非お上の優れたやり方を学ばせてもらうと良いだろう。これこそが本物である。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32865



参考

日本エリオット波動研究所の相場予測は凄い、宮田直彦のエリオット波動分析はデタラメ
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14081932

宮田直彦 エリオット波動レポート - YouTube動画
https://www.youtube.com/results?search_query=%E5%AE%AE%E7%94%B0%E7%9B%B4%E5%BD%A6+%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%83%E3%83%88%E6%B3%A2%E5%8B%95&sp=CAI%253D

エリオット波動・宮田レポート(短期アップデート)
https://www.m2j.co.jp/market/report/20525/list

エリオット波動でみると日経平均は2050年まで上昇 _ 宮田直彦 日本株はもうすぐ大暴騰する
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14031612

エリオット波動 宮田直彦 半導体株の出直り期待と日経平均の強気保ち合い
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14056708
16:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/20 (Fri) 08:24:05

同じエリオット波動でも 日本エリオット波動研究所は、宮田直彦さんとは反対に、今年からの日経平均株価の大暴落を予測しています:

一般社団法人 日本エリオット波動研究所
https://jewri.org/

日経平均1年間のカウントの振り返りとナスダック100とS&P500の進行想定/有川和幸さん【キラメキの発想 12月19日】 | 一般社団法人 日本エリオット波動研究所
https://www.youtube.com/watch?v=MGFhLQnPOf4
https://jewri.org/news/news-3333/


エリオット波動
http://www.asyura2.com/13/ban6/msg/591.html
17:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/20 (Fri) 18:08:14

為替については

一般社団法人 日本エリオット波動研究所
https://jewri.org/

エリオット波動原理から見た  ドル円と日経平均/有川和幸さん【キラメキの発想 9月12日】 | 一般社団法人 日本エリオット波動研究所
https://www.youtube.com/watch?v=0I_beldwtXE&t=119s
https://jewri.org/news/news-3250/
18:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/24 (Tue) 12:44:44

ガンドラック氏、日銀の量的緩和を皮肉る
2023年1月23日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32998

世界中が日銀に注目している。何故ならば、日銀のイールドカーブコントロールが破綻しかけているからである。

日本国債の投げ売り急増、追加利上げがなければ日銀の量的緩和は半年で破綻する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32797


DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が自社のRound Tableで日本の金融政策を皮肉っているので紹介したい。

日銀のインフレ政策と日本のインフレ

2013年のアベノミクス以来、日本銀行は大規模な量的緩和を行なってきた。

日銀の量的緩和は途中でイールドカーブコントロールに進化した。イールドカーブコントロールとは、長期金利に上限を設け、金利がその上限を超えないように長期国債を買い入れるもので、イールドカーブコントロールがある限り政策金利どころか長期金利についても永遠の低金利が実現されたかのように見えた。

だが40年続いた米国株上昇相場が終わるように、何事も永遠には続かない。

世界最大のヘッジファンド: 40年続いた米国株強気相場が崩壊する


何故ならば、アメリカの低金利がインフレで終わったように、日本の低金利もインフレで終わるからである。

日本のインフレ率は去年の半ばから上昇を始め、最新の数字では4%に達している。

その原因の多くは日銀のインフレ政策による円安経由での輸入物価高である。(ウクライナがどうこうと未だに言っている人に言うべきことはもはやない。)

ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由


去年の為替相場では日銀の緩和政策のお陰でドルやユーロどころか東南アジアなどの通貨に比べても円の価値は下がった。日銀が日本円を刷りまくっているからである。

インフレ下でインフレを目指す日銀の愉快な緩和政策がガソリンや食料品などの価格を上げ始めたため、インフレ政策が実はインフレを目指すものだったというアベノミクスの頃からの自明の事実に日本国民がついに気付いてしまった。

あまりに素早い頭の回転である。それで日銀はイールドカーブコントロールを修正し、長期金利の上限を0.25%から0.5%に上げた。当然ながら長期金利は上がった。2013年以来の低金利の終わりである。

日銀がYCC変更で長期金利の上昇を許容、日本も金利上昇による景気後退へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/31979


日銀の方向修正

ドル円はアメリカ側の状況もあり下がり始めている。ドル円の下落予想は2023年の筆者のメインのトレードである。

日銀の長期金利の実質利上げを受けてドル円の空売りを開始

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2023/01/2022-1-23-usdjpy-chart.png


輸入物価高だけが問題ならば、ドル円のレートが下がればインフレは収束する。

だが同じようなことを2021年にアメリカの中央銀行も言っていたではないか。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ (2021/7/18)


アメリカでもインフレの起源は2020年に行われた莫大な現金給付がエネルギーや農作物などコモディティ市場に流れ込んだことが原因の局所的なインフレだった。

伝播するインフレ

だがインフレは伝播する。エネルギー高が結局はアメリカのサービス業などのインフレに繋がったように、輸入物価高が長く続けばそれは日本のサービス業などのインフレに繋がってゆく。

そして日本のCPI(消費者物価指数)の内訳を見てみれば、それがもう始まっていることが分かる。今年の日本のインフレ率はドル円の下落で一時的には落ち着くかもしれないが、輸入物価高が引いた後にはサービス業などのインフレが明らかになる。

そうなれば日本もアメリカのようにインフレ抑制のためにどんどん金利を上げなければならなくなるだろう。

金利を上げれば、もう何十年も低金利に依存していた日本経済は不況に陥るだろう。上げなければどうなるか? イールドカーブコントロールによる金利上限により日銀は無尽蔵に国債を買い入れなければならなくなる。

Round Tableでガンドラック氏らが指摘しているのは、日銀が市場に存在する国債の半分以上を既に買い入れてしまっていることだ。

そして今後のインフレ指標でインフレの悪化が明らかになれば、国債の売り圧力が増え、日銀の買い入れ額が爆発的に増加する。これも既に起こっている。

日本国債の投げ売り急増、追加利上げがなければ日銀の量的緩和は半年で破綻する


だからこのまま行けば、金利が爆発的に上昇するか、日銀の国債買い入れが国債をすべて買い入れてしまうことで終了するか、どちらかである。

結論

どちらにしても緩和の終了には違いない。国債をすべて買ってしまえばもう緩和は出来ない。社債を買い入れることも出来るが、市場規模が国債よりも小さいため、すぐに終わってしまうだろう。

そもそも市場に国債が存在しない先進国など前代未聞であり、どういう事態が起きるのかもう少し精査してみる必要がある。単に緩和の終了では済まないかもしれない。

最初から分かっていたことだが、10年続いたアベノミクスの結末は、金利高騰か物価高騰である。そもそも物価高はアベノミクスの目的である。何故そうだったのかは、以下の記事で説明している。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29198


日銀の黒田氏は「目標がまだ達成できていないことが残念だ」などと供述しているが、もはや意味が分からない。日本経済は彼のお陰で十分に詰んでいる。

だがまだ詰んでいない。インフレ率はまだ4%で、国債もまだ暴落していない。日銀の緩和もまだ破綻していない。

日本国債の投げ売り急増、追加利上げがなければ日銀の量的緩和は半年で破綻する


インフレ政策は少なくとも8年間インフレを引き起こさなかった。 そして9年目でインフレになった。結局は当たり前の帰結に帰ってゆく。

ガンドラック氏は次のように言う。

日銀は賢明だ。80階の窓から飛び降りて、70階分落下したところで「今のところは良い状態だ」と言っているようなものだ。

世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/30502

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32998
19:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/25 (Wed) 19:49:36

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
2023年1月24日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33013

世界最高の、というよりは彼ぐらいしか存命でまともな経済学者はいないのだが、アメリカの元財務長官でマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏が世界経済フォーラム(通称ダボス会議)でインフレについて語っている。

インフレの原因

2022年、インフレがようやく話題になった。だがここの読者には「今更か」と思われたことだろう。

何故ならば、サマーズ氏のような経済学者や、筆者やレイ・ダリオ氏、ジェフリー・ガンドラック氏などの投資家は、2021年に既に起こっていた物価高騰について何度も警告していたからである。

サマーズ氏は2023年のダボス会議でインフレについて振り返っている。当たり前のことなのだが、インフレを語るこの優れた経済学者の口からは「ウクライナ」という単語は出ない。ウクライナ情勢はインフレとはほぼ無関係だからである。

ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由


その代わりに彼が持ち出すのは政府によるコロナ後の財政刺激である。彼は次のように説明している。

コロナ禍が生じ、アメリカはGDPの14%の規模の財政刺激を2年連続で行なった。この財政刺激はアメリカが第2次世界大戦時に行なった規模の半分を超えていた。

この規模の財政刺激は、それまでの長期停滞していた経済の需要不足を補って余りあることは明らかだった。

これこそがわたしが2021年前半に、インフレが深刻化するという予想に非常に自信を持っていた理由だ。

財政刺激の規模は、厳密には2020年に15%、2021年に12%である。そしてその多くは、合計で1人当たり40万円以上の現金給付に使われた。

1人当たり40万円をばら撒いておきながらインフレにならないと想定した政治家や中央銀行家は何を考えていたのだろうか?

インフレ率を押し上げた現金給付

データを見てみよう。以下のチャートはアメリカの可処分個人所得とインフレ率を並べたものだが、現金給付によって可処分所得が3回急増したことが、インフレ率を大きく持ち上げた様子が見て取れる。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2022/10/2022-aug-us-disposable-personal-income-and-cpi-growth-chart.png


そしてロシアのウクライナ侵攻があった2022年末以降、インフレ率は上がっていないどころかむしろ下がっている。

その事実は原油価格のチャートを見ても分かる。原油価格はウクライナ情勢のもっと前から上がっていた。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2023/01/2023-1-24-wti-crude-oil-chart.png


2022年2月末のウクライナ情勢で一度急上昇はしているが、全体から見れば僅かなものであり、しかも日本を含む西側のロシア産原油の禁輸措置が簡単に迂回できるザルな措置であることが明らかになってからは、急騰分をすぐに巻き戻し、その後はアメリカの金融引き締めもあり、ウクライナ前の水準よりも低い位置で推移している。

制裁で安くなったロシア産原油、欧米に転売される


以上により明らかなように、インフレの原因はウクライナ情勢ではなく、コロナ禍で行われた現金給付である。2020年、アメリカだけではなく世界的に行われた現金給付が原油や農作物などのコモディティ市場に流れ込み、世界的なインフレの素地を作ったことは、ここでは2020年に既に報じている。

金融市場にインフレの兆し: 金、原油、穀物価格が高騰 (2020/10/14)


2021年、インフレを否定した政治家や官僚たち

さて、上記のような状況のもと、筆者を含む投資家や、サマーズ氏などの専門家は、2021年にはインフレの脅威について何度も警告していた。サマーズ氏は2021年5月に次のように言っている。

ラリー・サマーズ氏: インフレリスクは本物、利上げで景気後退へ (2021/5/25)


コロナ禍において山のように積み上げられた2兆ドル以上のアメリカ人の貯金がインフレ圧力を生んでいる。

だが2021年、インフレを生み出した張本人である政治家や中央銀行家はインフレの脅威を否定し続けた。

合計でGDPの30%近い現金をばら撒いておきながら、Fed(連邦準備制度)のパウエル議長などはインフレは脅威ではないと主張し、ゼロ金利政策を継続した。それがインフレの火に油を注いだ。

例えばアメリカのインフレ率が7.7%に達していた2021年4月の段階でパウエル氏は次のように話していた。

4月FOMC会合結果: パウエル議長のインフレ無視は続く コモディティバブル継続へ (2021/4/30)


実体経済はまだ雇用と物価の目標からは程遠い所にある。

この時点でインフレ率は7.7%である。彼は例えば10%のインフレでも目指していたのだろうか。

こうした馬鹿げた発言は、例えば2023年の黒田なにがしの発言と完全に一致している。彼は緩和政策が問題を引き起こしたこの完璧なタイミングで職場を離れるにあたり、「インフレ目標を達成できていないことが残念」などという意味不明な供述をしている。日本のインフレ率は既に4%である。

ガンドラック氏、日銀の量的緩和を皮肉る
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32998


2021年のパウエル氏でも十分に愚かなのに、それから2年も経ってから同じ愚かさを踏襲している日銀の黒田氏は、まさに先進国アメリカに追いつき追い越そうとする戦後日本人の鏡ではないか。黒田氏がいれば、日本もインフレに関してはアメリカに勝てるかもしれない。

結論

リーマンショックの時もそうだったが、 金融や経済学の本物の専門家たちがこぞって警告を発していたにもかかわらず、政治家や中央銀行家はなぜ経済危機を予想できないのか。

彼らに比べてサマーズ氏らの頭が途方もなく良かったということなのだろうか。しかし筆者はむしろ、GDPの30%近いばら撒きをしてインフレにならないという結論に至ることのできる稀有な頭の方に解説の必要性を感じる。

インフレを予想できなかった人々は、次は間違えないことが出来るだろうか。サマーズ氏は彼らにこうアドバイスする。

経済学の秘伝のソースは算数だ。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33013
20:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/02/01 (Wed) 19:10:15

「物価が上がれば賃金も上がる」はどこへ…日銀・黒田総裁は発言を後退させた 異次元緩和は「失敗」か
2023年2月1日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/228535

 4月8日の任期満了を前に、賃金を巡る日銀の黒田東彦はるひこ総裁の発言が変節している。就任当初は「物価が上がれば賃金も上がる」としていたが、昨年からは物価が急騰しているのに「賃金の上昇が伴っていない」にすり替わった。物価上昇に伴って賃金も自然に増えるとした「経済の好循環」を実現できなかったと事実上認めた形で、10年に及ぶ金融緩和策の挫折を象徴している。(渥美龍太、原田晋也、畑間香織)
◆「普通起こらない」ことが現実に起きている
 黒田氏は物価が急騰した昨年前半から「賃金の上昇を伴う形で2%の物価安定の目標を実現していない」などと話す場面が目立つ。
 日銀は巨額のお金を流す異次元緩和により、消費者物価(生鮮食品を除く)の前年比が2%を上回る目標を掲げ、昨年12月に4%に達した。黒田氏の発言は、賃金が上がらない現状は好循環を伴う「良い物価上昇」ではないとの説明だ。

 緩和を始めたころの主張は違った。「賃金が上昇せずに物価だけ上昇することは普通起こらない」。緩和開始から1年近くたった2014年3月、黒田氏は講演でこう強調した。緩和で物価が上昇さえすれば、日本経済が好転するとしていた。
 だが、円安への誘導で輸出企業を中心に収益は改善したものの、成長期待が乏しい日本での賃上げに積極的ではなかった。賃金上昇が円安や消費税増税の物価上昇に追いつかず、物価の影響を反映させた実質賃金は14年に前年比2.8%下落した。

 15年以降も、物価が緩やかに上がる中で実質賃金の下落の傾向が止まらず、ロシアのウクライナ侵攻などに伴う最近の物価高で水準が一段と下がった。ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏が12年平均と比べると、物価は直近実績の22年12月までに12.5%上がったのに対し、実質賃金は同11月までに7.6%下落した。
◆「実際はほぼ1年で破綻」「的外れの政策だった」
 日銀元理事の早川英男氏は「物価が上がれば賃金が上がるとの狙いは、実際はほぼ1年で破綻していた」と指摘。想定していた好循環が起こらなかったため「総裁が言い方を変えたのは明らか」とみる。
 異次元緩和は、「日本停滞の原因は緩和の不足」という一部専門家の考えを野党時代の安倍晋三氏が取り入れ、首相就任後に黒田氏を総裁に任命して始まった。当時から、緩和ではなく賃上げの不足が停滞の原因と主張していた東京大の吉川洋名誉教授は「企業の活力を生み出す成長戦略などで地道に賃金を上げるしかない」として、黒田日銀の緩和策を「的外れの政策だった」と総括した。
 日銀の大規模金融緩和  2012年12月に発足した第2次安倍政権が掲げた経済政策「アベノミクス」3本の矢のうちの「第1の矢」と位置づけられた。黒田東彦氏が13年3月に日銀総裁に就くと、国債や上場投資信託(ETF)を大量に買い入れ、市場に資金を供給する金融緩和を主導。16年には金融機関が日銀に預ける当座預金へのマイナス金利の導入や長期金利の誘導水準を定める長短金利操作などの枠組みも追加した。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/228535
21:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/02/11 (Sat) 20:25:50

日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者
2023年2月11日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33440

2月10日、日本政府は経済学者で元日銀審議委員の植田和男氏を日銀の次期総裁に任命する方針だということが報じられた。正式に就任したわけではないのでこのまま確定かは分からないが、投資家としては直ちに情報を集めておかなければならないので、就任前に植田氏の経歴や考え方について簡単に纏めておきたいと思う。植田氏はどんな人物だろうか。

次期総裁はマクロ経済学者

まず、筆者には珍しいことだが、植田氏を選んだ岸田首相には褒められて良いことが1つあると考えている。それは少なくともマクロ経済を専門としている人間を日銀のトップに選んだということである。

国の経済全体に影響を与える中央銀行のトップにマクロ経済が分かる人間を選んだことがそれほどに快挙なのか? 実はそれほどに快挙なのである。

例えばアメリカのFed(連邦準備制度)の議長であるジェローム・パウエル氏は、Fedで働くようになるまで個別企業の買収を行うプライベート・エクイティ・ファンドで働いていたため、企業買収の専門家ではあってもマクロ経済については一切の経験がなく、トランプ大統領から「共和党員だから」というだけの理由でFed議長に据えられた人物である。

当然ながら現在のアメリカのインフレなどをことごとく読み間違え、インフレを正しく予想した債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏などに酷評されている。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ (2021/7/18)
ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない (2022/1/14)
そして日銀の黒田総裁に至っては大蔵省の役人である。読者の周囲に官僚がいるかどうかは分からないが、彼らは国民ではなく政治家に尽くすことを至上の生きがいにしている(そうでない人間は出世できない)ので、彼の量的緩和政策が政治家の支持率のために株価を一時的に押し上げ、副作用として円安による輸入物価高を引き押して国民を苦しめたのは当然の帰結である。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
そして彼の政策に、日本経済にとって良い政策はマクロ経済学的にどういうものかという観点はそもそもなかった。だから円安が日本国民にインフレをもたらしても平気でいられるのである。

だから日銀の総裁がマクロ経済を専門にしているというのは存外に贅沢なことなのである。素晴らしいではないか。手放しで岸田首相を褒めるしかない。経済について何も知らない彼にそれ以上を期待することなどそもそも出来ないのだから。

経済学者植田和男氏

だからここからはマクロ経済学者としての植田和男氏がどういう人物かを評価してゆくことになる。

植田氏はまず東京大学の理学部数学科を卒業してから院では経済学を研究し、マサチューセッツ工科大学で博士号を得てからブリティッシュコロンビア大学や大阪大学で教鞭をとり、1989年から2017年まで古巣の東京大学で経済学を教えた。退官後は東大名誉教授、共立女子大学教授である。

キャリアを見ればまっとうな経済学者である。だがそれで安心できるわけでもない。贅沢と言っておきながら申し訳ないが、経済学者の大半は経済が予想できない。

たとえばパウエル氏の前にFedの議長だったジャネット・イエレン氏(現財務長官)は生粋のマクロ経済学者だが、彼女も経済を予想できない中央銀行の歴史を折り目正しく数年延長したに過ぎない。ジョージ・ソロス氏らファンドマネージャーが数年前から警告していたリーマンショックを「住宅市場に限られた問題」と軽視していたFedの姿勢を、当時サンフランシスコ連銀総裁だった彼女は支持していた。

議長となった後も、筆者が以前から表明していた見解に周回遅れで追いついていたイエレン議長の姿を、当時からの読者は覚えているだろうか。

明らかに長期停滞論を意識しているイエレン議長 (2016/10/18)
だから経済学者であることは、パウエル氏やましてや黒田氏のようなマクロ経済学の完全な素人ではないことは示してくれるものの、それだけである。黒田氏は日本のインフレが4%に及んでいる今なお「インフレが達成できなくて残念」と供述している。彼は馬鹿なのだろう。

ガンドラック氏、日銀の量的緩和を皮肉る
マイナード氏: 日銀の持続不可能な緩和政策の破綻は他国の教訓的前例になる
植田氏の経済理論

では植田氏はどうだろうか。彼の選出が発表されてからすぐに記事を書き始めているためまだ情報が少ないが、植田氏が日経新聞に寄稿した記事がいくつかあったので、それを読んだ感想を書いてみよう。

彼は2018年の記事で緩和政策の限界と副作用について語っており、彼がこれから日銀の低金利政策をどうするのかを予想する上でその内容は参考になるだろう。

植田氏はまず、日銀が量的緩和によってマネタリーベースを増やしてもインフレ率が上がっていなかった当時の状況を指摘している。

日本は失業率が低いにもかかわらずインフレ率が上がっていないとして、失業率とインフレ率が反相関になるはずだと(根拠なく)主張したフィリップス曲線に言及し、「フラットなフィリップスカーブの謎」と呼ばれていると指摘した上で、その原因についてはインフレ期待、ITなどの技術革新による価格低下などの通説をいくらか挙げるも、現代で数少ない本物のマクロ経済学者であるラリー・サマーズ氏のように独自の分析を披露することもなく、「十分な解明がなされるには至っていない」で済ませている。あなたは経済学者なのだから、解明はあなたの仕事だろう。何を言っているのか。

そもそも筆者に言わせればフィリップス曲線などは言及にも値しない疑似科学である。だが少なくとも、彼が通説を纏めることを好み、あまり自分で考えないタイプの研究者であることは見えてくる。それでも教授にはなれる。そういう世界である。

緩和の副作用に言及

より重要なのは金融緩和の副作用に言及している部分だろう。植田氏は長年の量的緩和によって債券市場の機能不全、金利収入を得ている銀行の利ざや低下、機関投資家の投資機会の減少などの副作用を挙げ、緩和の継続を薦めながらもこれらの副作用を減らす必要性について語っている。

副作用は誰でも減らしたいからこれも当たり前の議論なのだが、当時日銀がETFの買い入れ額を減らすために定額の買い入れを止めた措置について、「購入量削減につながればよい」と言っているあたりは、国債の買い入れ額を実質利上げで減らそうとしている今の日銀の状況とかなり似ており、彼が日銀総裁として金利をどうするかを予想するにあたり非常に示唆に富んでいる。

日本国債の投げ売り急増、追加利上げがなければ日銀の量的緩和は半年で破綻する
また、現金を国民にばら撒くヘリコプターマネー(つまりは実際に行われてしまった現金給付)については、「効果も副作用も強い」としながら「2%のインフレで止まらないリスク」があるとしている。

実際、そのリスクについてはコロナ後の現金給付と物価高騰で証明されてしまったのだが。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由
結論

ということで、植田氏はあまり独自の見解のない平凡な経済学者であるようだ。研究者を評価するならば本来論文を読むべきなのだが、まだ手元にないので、読んだ上で語るべきことがあれば記事を書くつもりだ。

だが今回取り上げた植田氏の2018年の寄稿記事と筆者による分析は、読者にとっても日銀のこれからの政策がどうなるかについて一定量の情報をもたらしてくれたのではないか。日銀の現状については以下の記事を再確認しておいてほしい。

日本国債の投げ売り急増、追加利上げがなければ日銀の量的緩和は半年で破綻する
また、彼は最近になって総裁就任を意識したのか、 2021年の寄稿ではいきなり気候変動について語り始めたり、自民党安倍派に配慮したかったのか2022年には「拙速な引き締め避けよ」などと言い始めている。その辺りも含めて平凡な人間のようである。ちなみにサマーズ氏は真逆のことを言っている。

サマーズ氏: 物価高騰は中央銀行が環境問題にかまけてインフレ抑制を怠ったせい
だが彼は少なくともある程度マクロ経済学を理解する能力があるだろうから、輸入物価だけではなく国内物価にも波及しつつある日本のインフレを低金利で支援し続けたらどうなるかぐらいは分かりそうである。

以下の記事で表明したドル円の推移予想に変化はなしと考えている。とりあえず植田氏について纏めてみた。

日銀の長期金利の実質利上げを受けてドル円の空売りを開始

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33440
22:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/02/14 (Tue) 23:31:14

サマーズ氏、日銀の新総裁によるイールドカーブコントロール廃止を示唆
2023年2月12日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33487

アメリカの元財務長官でマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏が、Bloombergのインタビューで日銀の新総裁となる植田和男氏について語っている。

植田和男日銀新総裁

2月10日、日銀の黒田総裁の後釜にマクロ経済学者で東大名誉教授の植田和男氏が選ばれることが発表された。

日銀の新総裁は当然日本の金利を左右するので、筆者は前回の記事において速報として植田氏の金融政策に関する考え方を簡単にレビューしておいた。

日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者
筆者は植田氏について、大蔵省の役人だった黒田氏やプライベート・エクイティ・ファンド出身のパウエル議長などのマクロ経済学の門外漢である中央銀行家とは違い、マクロ経済学を専門とする学者である点を評価したが、一方で経済学者としては通説以上の独自の考えがない平凡な人物であると評しておいた。

サマーズ氏の評価はどうかと言えば、彼はインタビューで日銀新総裁について聞かれて次のように答えている。

植田氏は日本のベン・バーナンキのような人だと考えられるだろう。

ベンとほぼ同じ時期にMITで学び、論文アドバイザーもベンと同じだった。金融経済学の似た分野を専門とし、同じように学者のソフトな語り口ながら、決断力も持っている。

バーナンキ氏は2006年から2014年までFed(連邦準備制度)の議長を務めた人物である。前回の記事でも少し触れたが、ジョージ・ソロス氏やジョン・ポールソン氏などファンドマネージャーらが事前に警告していた2008年のリーマンショックを「住宅市場に限られた問題」として無視した張本人であり、彼と重ねられていることが褒め言葉なのかどうかは微妙である。

ジョン・ポールソン氏、サブプライムローンの空売りで大儲けした時のことを語る
サマーズ氏が同じ経済学者でありながら植田氏の研究の具体的内容に触れていないことから見れば、恐らくは経済学者としての植田氏についてほとんど知らないものと思われる。インタビューで司会者に聞かれたので、他国の新しい総裁にリップサービスを贈ったのだろう。

サマーズ氏は黒田氏とは知り合いらしく、黒田氏についても次のように世辞を贈っている。

植田氏は大人物の後を継ぐことになる。わたしは黒田さん(※原文ママ)を30年以上知っているが、彼は並外れて有能で分析力がありながら、計算高い中央銀行家になれる能力も持っている。

彼が辞めるのは残念だが、植田氏が後を継ぐのならこれからも安泰だろう。

日銀の政策はどうなるか

ここまでは大した内容ではない。本当に優れた人物ならば、アメリカ人はむしろ厳しいコメントを残すだろうということは、アメリカ人を知っている読者なら分かるだろう。

日本の国力がアメリカに届きかけていた時代には、アメリカ人はこぞって日本人を批判した。今では中国人が批判され、日本人は世辞を送られる。脅威にならないからである。

その意味で、サマーズ氏のコメントは筆者にとって日本の現状を思い出させるものだった。これは分かる人にしか分からないので、このくらいにしておこう。今回のサマーズ氏のコメントの中で、本音が表れていたのは新総裁がどういう問題に直面するかについて語った部分である。

サマーズ氏は次のように言っている。

日本はこれから非常に難しい問題に直面することになる。イールドコントロールを永遠に続けることが可能だとは思えない。

さらっと言っているが非常に重要な部分であり、要するに日銀は長期金利に上限を設定しているイールドカーブコントロールを続けられないと言っているのである。

日本のインフレと長期金利

2022年、日本国民がインフレに苦しんでいる中、誰も理由は分からないがインフレを目指して金融緩和を続けてきた黒田総裁は、量的緩和による円安を通して見事にインフレ悪化を実現した。日本のインフレ率は現在4%である。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
日銀はイールドカーブコントロールによって長期金利の上限を0.25%に設定してきたが、当然ながらこの低金利を続けるとインフレが止まらなくなる。それで黒田氏は、恐らくは政府の圧力によって、金利上限を0.25%から0.5%に上昇させることを余儀なくされた。

日銀がYCC変更で長期金利の上昇を許容、日本も金利上昇による景気後退へ
ちなみに黒田氏はその政策変更を「利上げではない」と主張しているが、はっきり言って意味不明である。彼はインフレ率が4%である現状を見て、インフレ目標が達成できていないことが残念とも述べており、誰か彼の言語を筆者向けに翻訳してほしい。

結論

いずれにせよ黒田氏は居なくなる。そしてサマーズ氏は、黒田氏に世辞を贈りながら、同時に黒田氏のやっていたことが持続不可能だと言っている。債券投資家のスコット・マイナード氏も言っている。

マイナード氏: 日銀の持続不可能な緩和政策の破綻は他国の教訓的前例になる
緩和を続ければどうなるか。インフレ下で緩和を行おうとしたイギリスに対してサマーズ氏が言ったことを、ここの読者は覚えているだろう。

サマーズ氏: 景気後退で財政支出する国はイギリスの二の舞になる
いずれにせよ、誰がどう言おうが、誰も何も言わなかろうが、インフレ時に緩和を行うのは狂気の沙汰である。

日本国債の投げ売り急増、追加利上げがなければ日銀の量的緩和は半年で破綻する
そして新総裁の植田氏はそれを知っている。

彼はアベノミクスの間違いを指摘されたくない自民党安倍派へのリップサービスとして「現在の金融緩和は適切」と言っているが、植田氏は少なくともある程度まともなマクロ経済学者であるので、金利を上げなければインフレが止まらないことを理解している。

投資家にとって重要な点はそこである。 それがドル円と日経平均を動かすからである。

2023年の日経平均の推移予想: ドル円下落と金利上昇で二重苦に
植田氏の考え方を知りたい人は、前回の記事を参照してもらいたい。

日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33487
23:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/02/23 (Thu) 16:54:24

世界最大のヘッジファンド: 金融引き締めで経済恐慌かインフレ第2波で経済リセット、どちらになるか?
2023年2月22日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33781#more-33781

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が、際限なく続けられた金融緩和の後始末について自身のブログで語っている。

インフレ政策の後始末には2つの方法がある。だがどちらもあまり良い結果にはならないようだ。

インフレ後の経済政策

リーマンショック後際限なく拡大されてきたインフレ政策は、ゼロ金利、量的緩和、イールドカーブコントロールを経て現金給付によってついにインフレを引き起こした。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
インフレ政策がインフレを引き起こして何の驚きがあるのか筆者にはまるで分からないが、これまでインフレ政策を支持してきた有権者たちは突然うろたえ始め、自分たちが望んできたインフレに文句を言い始めている。見ていて楽しい人々である。

ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由
さて、ダリオ氏の歴史研究によれば先進国経済の終わりとはそういうものである。大英帝国もオランダ海上帝国も債務増大と紙幣印刷を経て衰退した。

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨
そして今、日本やアメリカの経済は帰路に立たされている。インフレが始まってしまった今、無尽蔵に紙幣を刷って緩和をすることはできない。緩和を続ければインフレが悪化するからである。

一方で紙幣印刷を止め、これまでの低金利を撤回して金利を上げれば、ゼロ金利に依存していたゾンビ企業などが軒並み倒産し(それは良いことなのだが)、経済成長率はマイナスまで落ち込んでゆくだろう。

インフレ後の2つのシナリオ

現在、アメリカはインフレ率が9%まで達したため少なくとも短期的には引き締めを選んでいる。日本はインフレ率が4%で紙幣印刷を継続しており、インフレ率は加速を続けているが、日銀の植田新総裁がどうするかが注目されている。

日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者
インフレ政策の後始末としての2つのシナリオは、簡単に言えばデフレかインフレかである。どちらにしても国民は死ぬのだが、有権者が何年もそういう政策を支持してきたのだからどうしようもない。

だが投資家としては、この2つのシナリオで投資対象がどのように動くのかを詳しく見てゆく必要がある。

デフレシナリオ

まずは金融引き締めでデフレシナリオからである。ダリオ氏は次のように説明している。

もし中央銀行が引き締めシナリオを選べば、債務者は収入の多くを債務返済に振り分けなければならなくなるため、クレジットスプレッドは開くだろう。

一方、政府と中央銀行の保証がある債券(訳注:国債など)は、パフォーマンスは悪くなるが他の債券よりはましだろう。

クレジットスプレッドについては、年末に亡くなった債券投資家スコット・マイナード氏が詳しく説明してくれている。

マイナード氏、国債と投資適格債とジャンク債の違いを語る
だが簡単に言えば、引き締めによって市場から資金が流出してゆくためリスクの高い資産から順番に下落してゆくということである。

一方、国債などの下落はジャンク債や株式などに比べて限られるだろう。インフレさえ起こらなければ、国債の価格は経済のクラッシュによってむしろ上がる。リーマンショックの事例を思い出したい。

リーマンショックで急落した金価格、上昇した米国債
また、安全資産と呼ばれるゴールドだが、リーマンショックにおいて価格がむしろ下落しているように、金融引き締めで経済がクラッシュする場合、ゴールドや原油、農作物などのコモディティ銘柄にはネガティブな影響となるだろう。

一方でドル円は円高に振れる。リスクオン時には投資家は高金利通貨に資金を入れているが、リスクオフで低金利通貨に資金が流入するからである。

ドル円の空売り(つまりはドルに対する円買い)とドル建て金価格の上昇への賭け(つまりはドルに対するゴールド買い)はどちらもドル売りという性質があるが、一番の違いはリスクオフ時の反応であるということに注意したい。

インフレシナリオ

では政府がインフレ退治をやらずに緩和を継続した場合、つまりインフレシナリオにおいて金融市場はどうなるか? ダリオ氏は次のように述べている。

もし中央銀行が緩和シナリオを選べば、クレジットスプレッドはそれほど開かず債券の種類による違いは少なくなるが、すべての債券の実質価値は下がるだろう。

つまりは物価が高騰するということであり、紙幣自体は経済全体にばら撒かれるので100ドル貸していれば100ドルは返ってくるが、その100ドルの価値はインフレで大きく目減りしているということである。

戦後にドイツが返済不可能な戦後賠償金を返済した方法であり、黒田日銀は日本の莫大な政府債務について同じことをやろうとしていた。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
このシナリオにおいては利益を出す見込みのないゾンビ企業さえも救済される。彼らはばら撒かれた紙幣で借金を返す。だがその時には誰も紙幣など欲しいとは思わなくなっている。紙切れは余っており、物資は足りない。それがインフレである。

世界最大のヘッジファンド: 金融資産から現物資産への怒涛の資金逃避が起こる可能性
このシナリオにおいて高騰するのはゴールドだろう。リーマンショックで大儲けしたジョン・ポールソン氏はそのシナリオを見込んでいる。

ポールソン氏: ドルからの離脱が今のトレンド、資金逃避で金価格上昇へ
また、株価がどうなるかと言えば、中央銀行が金利をどの水準に保つかにもよるが、実質金利(インフレ率を差し引いた金利)を極端に低い水準に保つ場合、株価も高騰する。2022年のインフレ率が60%台となったトルコでは株価は上がっている。以下はトルコの株価指数のチャートである。


だが実質金利がそれほど極端に低い水準にならない場合、1970年代の米国株のように株式はインフレで酷いパフォーマンスになる。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
そしてドル円のレートの行方は日本とアメリカ、どちらがよりインフレを野放しにするかにかかってくる。

コロナ後のインフレ

ではこれからどうなるか? 日本とアメリカそれぞれ考える必要があるが、とりあえずアメリカについて考えよう。

筆者の予想は、短期的にはデフレシナリオ、長期的にはインフレシナリオである。労働市場が強く、失業者が続出しない限り、パウエル議長は金融引き締めを続けるだろう。筆者の予想では、その引き締めの程度は株式市場を破壊するのに十分である。

2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない
だが大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏の言うように、いずれ引き締めによって大量の失業者が路頭に迷う状況が来る。以下の記事は必ず読んでおいてもらいたい。

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
その時にはパウエル氏は緩和に転じるというのが、今の筆者のメインシナリオである。2018年に引き締めを行なったが株価が急落すると緩和に転じ、2021年に緩和を行なったが世論がインフレを懸念し始めると引き締めに転じた彼は究極の日和見主義者だからである。

サマーズ氏: パウエル議長のインフレ退治が本気かどうか疑う理由
ドラッケンミラー氏: 経済が強い時に引き締めを続けるのは簡単だが
インフレとデフレの2つのシナリオにおいて大きく違うのはドル円と金価格の動向であり、今筆者が金価格上昇ではなくドル円下落に賭けているのはそれが理由である。今の金価格はソフトランディング期待をいくらか織り込んでいるが、筆者はソフトランディングが有り得ないと考えている。

日銀の長期金利の実質利上げを受けてドル円の空売りを開始
だがいずれゴールドの買いに転じる時が来るだろう。また、短期的な下落を無視すれば、超長期的には単にゴールドをホールドしていてもそれほど悪くはないのではないか。

結論

さて、ダリオ氏はどうなると予想しているか? 過去の様々な国家の衰退を研究した彼は次のように述べている。

過去の事例を研究した著書で説明したように、大きな債務危機が起こり、その債務が中央銀行が印刷できる通貨建てで積み上げられている場合、すべての事例において中央銀行は常に紙幣を印刷してその債務を買い入れている。それが債務再編のもっとも痛みの少ない方法だからだ。

厳密に言えば、それが政治家にとってもっとも痛みの少ない方法だからだ。彼らにとっては紙幣によって積み上げられた国民の預金を守るインセンティブは存在しない。

一方で彼らの積み上げた借金はなくなる。インフレ政策を選ぶのは、彼らにとって自然な選択である。筆者に理解できないのは、何故有権者がそれを支持したかである。

ハイエク: 緩やかなインフレが有益であるという幻想
いずれにせよ、最終的には物価高騰で終わるだろう。だが問題はそれまでの短中期的な動向である。まずは株価の下落、そして次に金利の下落と筆者は踏んでいるが、どうなるだろうか。

2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない
日銀の長期金利の実質利上げを受けてドル円の空売りを開始
ガンドラック氏: アメリカは2年物国債金利の警告通り利下げする、 中央銀行はまったく不要

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33781#more-33781
24:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/02/24 (Fri) 11:40:25

日銀新総裁誕生で大増税へ! 岸田政権を支持する米国は菅前首相・三浦瑠麗・電通を徹底攻撃=ジェームズ斉藤
2023.02.23
https://tocana.jp/2023/02/post_247382_entry.html


──新しい日銀総裁はサプライズ人事でしたけど、何か裏事情があったようですね。

ジェームズ:実はあの人事は発表の2日前の2月8日の午後に岸田総理と麻生(太郎)さんが二人で決めたということです。

──急遽そうなったのは副総裁だった雨宮正佳さんが日銀総裁就任を固辞したからですか?

ジェームズ:いえ、マスコミの報道ではそうなっていますが、麻生さんも岸田さんも最初から日銀関係者、財務省関係者ではない人から選ぼうという意向があったんです。ですから、最初から雨宮さんの日銀総裁はなかったのですが、マスコミには言わず、最後の最後でどんでん返しをしました。

日銀新総裁誕生で大増税へ! 岸田政権を支持する米国は菅前首相・三浦瑠麗・電通を徹底攻撃=ジェームズ斉藤の画像2
植田和男氏(画像は「Wikipedia」より)
──それにしてもなぜ“無名の学者さん”と言われる植田(和男)氏が新総裁なんですか?

ジェームズ:簡単な話ですよ。官僚じゃない、学者である植田氏のほうが麻生さんたちがコントロールしやすいんです。そもそも前の黒田(東彦)さんだって、安倍さんが連れてきた人ですよ。黒田さんは財務省では異端の思想である異次元の金融緩和をずーっと唱えていました。財務省といえば緊縮財政ですから本来であれば、黒田さんの日銀総裁はなかったはずなんです。しかし、積極財政を推進する安倍さんにとっては都合がいい人材だったので黒田さんが日銀総裁になったのです。ところが、いまの日銀はこんなに円安になっているのにそれでも異次元の金融緩和をやり続けていますよね。そのおかげでいまや日銀は中央銀行の本来の業務を放棄し、アベノミクスのばら撒き政策のために国債を買い取り続ける「国債買取マシーン」となってしまいました。

──しかも、その国債を買った金は最終的に海外ファンドに流れていたので積極財政にも寄与しなかったんですよね。

ジェームズ:その通りです。問題だらけだったんですよ。なので、岸田政権としてはそろそろ積極財政をやめさせたい……と言えば聞こえはいいですが、岸田さんは財務省の言いなりですから、緊縮財政をしたいだけなのです。黒田色を一切排して無名の学者をトップにし、副総裁も黒田さんとはあまり接点がない人を選んで、一気に緊縮財政に舵をきりたいのです。そしてもうひとつ重要なのが日銀によるヘッジファンドへの牽制です。

──えっ、黒田さんはずっと海外のヘッジファンドにお金を流していたじゃないですか!? あれはわかってやってたはずですから、今更牽制もなにもないんじゃないですか。

ジェームズ:いえ、世界のヘッジファンドはいま日本円に見切りをつけて大量の円売りに走っています。いま円は1ドル130円ぐらいですがこんなに安くなっているのはそのせいです。

──去年の10月にはジェームズさんが言っていた通り1ドル150円にまで下がりましたしね。

ジェームズ:1ドル150円なんてあり得ないんですよ。1ドル100円くらいが真っ当なんです。思い出してください。金融緩和をやる前は円高でしたよ。1ドル70円代なんて時代もあったんですよ。

──ありました。あの頃は勢いがありました。

ジェームズ:あれが日本の真の力です。ところが、政府や財務省、日銀が日本の力を削っていったのです。ですから、これからは徐々に円高に戻ると思います。また、そうしてもらわないと日本がどんどんガラパゴス化してしまいます。円安なので海外に若者が行けませんし、中国人が大量に日本の土地を買いに来ます。1ドル70円とは言わないまでも90円台ぐらいに戻せば、中国人の“静かなる侵略”もかなり食い止めることができると思いますし、逆にジャパンマネーの影響力拡大に繋がります。

──円安が中国人のためになっちゃっているんですね。

ジェームズ:アベノミクスのいう異次元の金融緩和=積極財政をすればお金の供給量が増えて公共事業も多くなり、経済成長するという理論はわかります。ただし、それは同時に円の価値を下げるので中国人が侵入しやすくなるんです。安倍政権そして黒田総裁はその面から見ると日本を中国に売ったようなところがあるんです。これを食い止めるために植田総裁が選ばれたという言い方もできます。

──功罪は常にあると。

ジェームズ:そこはバランス良くみないといけません。ですから、植田総裁になって緊縮財政になればそれでOKかというとそんなことはなくて、功罪の罪として大増税が待っているわけです。そして一番の罪は大増税を行う岸田政権です。というのも本来、保守主義というのは、「小さな政府」を支持し、目玉の政策は減税なんですね。ですから、安易に増税に舵を切る岸田政権というのは保守でもなければ、国民のことを思ってもいません。罪があると言うのであれば、それは岸田政権そのものです。

──結局、どこをどう応援していいかわからないですね。

ジェームズ:それはやっぱり国家観がない人たちが政権を握ってしまっているからです。結局は中国やアメリカの紐付きの人たちが政権を取っているので日本のことは考えられないのです。

──そうなってくると国民自体が国家観をもっと大事にしないとダメですよね。

ジェームズ:ダメですね。ところで、ここで恐ろしい話があります。実は、アメリカはもう岸田さんにすべてを賭けています。

──えっ? えーーっ!! それはどういう意味ですか!? 岸田さんってすべてを賭けられるような人じゃないでしょ!

ジェームズ:もちろん、そうです。ちょっと言い方がアレでしたね(苦笑)。アメリカもバカじゃないんで岸田さんに代わる次の総理は菅さんぐらいしかいないとわかっているということです。前の記事で言ったように、いま菅さんが岸田降ろしを活発にやっていますよね? アメリカはこれを警戒している一方で、「では、岸田に代わる人材はいるのか?」となった時に「菅に対抗できるのはいまは岸田しかいない」という結論を出しているということです。ですから、前回の記事で話したように東京地検特捜部が三浦瑠麗氏を追ったりしているんです。

──ここに来て地検が暗躍してますよね。ところで、ふと思ったのですが、いくらGHQが作ったからとはいえ、地検特捜部がいまだにアメリカの手先というのも不思議なんですけど。

ジェームズ:それはワシントンの日本大使館に行けばわかります。法務省からの出向組の外交官はだいたい特捜部の人間で、彼らのカウンターパートはほぼアメリカ中央情報局(CIA)か、アメリカの司法省です。CIAと米司法省の人間としか付き合わないので、アメリカにいる間にすっかり洗脳されてしまうのです。そんな彼らが日本に帰って特捜部になるのが伝統ですから、日本の間接統治はしやすいですよ。そして現在、地検特捜部は菅さんのお気に入りの三浦瑠麗氏と、菅さんの利権の一つだった電通に捜査のメスを入れています。それはつまりアメリカによる岸田さんへの援護射撃になるということです。

──構図は凄くよくわかりました。米中の戦いを日本で起こしてどうするんだって感じですね。

ジェームズ:そうです。米中の大国間競争が日本の国会と官邸の中で毎日繰り広げられているというのが現状なのです(苦笑)。

 アメリカと中国は莫大な資金力を背景にどちらが官邸と国家を握るかの勝負に出ています。それが菅さんと岸田さんの戦いで、日銀総裁人事もそういう観点から見る必要があるのです。アメリカvs.中国、 今後しばらくはこの観点で事件や政局を見ることをオススメします。
25:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/02/25 (Sat) 19:23:14

2023年02月25日
米金利の天井は5.5%、ドル高の終わり見えた

1ドル1000円で日本崩壊と言っていた人達はどこに消えたんでしょうか?

画像引用:https://www.gaitame.com/media/entry/2022/10/20/164900 ドル円32年ぶりの150円台へ 為替介入への警戒高まる - 外為どっとコム マネ育チャンネル



米利上げの天井が見えてきた

米連邦準備理事会(FRB)は2月22日、前回の連邦公開市場委員会(FOMC)でほぼ全員が利上げ幅を0.25%に縮小するのを支持したと発表した

一方でインフレ率が2%に近づくまで金利上昇を続ける必要があるとの認識でも合意し、2月1日に米金利は4.75%に引き上げられた

23年1月の米CPI(消費者物価指数)は+5.6%で去年の8%以上より低くなったが、これを2%にするにはさらに政策金利を上げる必要があります


22年にインフレ率が最も高かった時にFRBの責任者は「インフレ率と政策金利が同じ数字になるまで利上げする」とはっきり断言していました

現在のインフレ率は5.6%で政策金利は4.75%なので、今年の春から夏には5%台前半で2つの数字が一致すると予測できます

数字が一致した後はインフレ率が金利より低い状態になるが、今度は利下げの必要性が認識されFRBは政策金利を下げます



利上げは景気を意図的に悪化させて物価を下げる事なので、そのまま高金利を続けるとアメリカ経済は不況に陥るからです

メディアの予想ではFRBは今年いっぱいは利下げに転換しないが、予想以上にインフレ率が低下し景気が悪化すれば利下げも早まります

いずれにせよもうアメリカの高金利は天井が見えてきたわけで、峠を越えれば利下げするのもはっきりしてきました



最近のドル高円安、他通貨のドルに対する下落は米高金利が原因だったので、ドル高円安の終わりも見えてきました

世界の投資家は米高金利で利ザヤを稼ぐために超低金利の日本で金を借り、ドルに換金して米国債や米株を買いドル高で利益を上げました

米金利が利下げに転じるとドル安になるが、円で借りた借金が円高で膨らむのでそのままでは破産します


円安ドル高のシーズンは終了

そこで投資家は一旦ドルから円に戻して借金を返済し利益を確定し、必要なら改めてドルに投資するでしょう

これが円キャリーの巻き返しで2007年から2011年にかけて1ドル124円から75円まで円高になったのも円キャリー巻き戻しでした

今回は経済危機下のパニックではないのでそこまでにはならないものの、円安ドル高の流れは変わると思った方が良いです



日本の政策金利0%でもう下げようがなく、日銀が金融緩和を修正して事実上の利上げに転換するのではないかという観測が多い

アメリカが利下げに転じ日本が利上げに転じると最大5%まで拡大した日米金利差が急速に縮小し、ドル円レートに大変動が起きるでしょう

日本が1%に利上げしてアメリカが3%の平常運転に戻っただけで日米金利差は5%から2%に縮小し円売りドル買いによる利ザヤ稼ぎは不可能になります


見逃せないのは日本の軍事力拡大で年5兆円軍事支出を増やすが、これは経済的には国民の消費が5兆円増えるのと同じになります

日本のGDPを毎年1%増やす効果を期待でき、今後日本の成長率は安定的に1.5%以上になると予想できます

アメリカや中国は軍事費(や関連費)に年100兆円使っていてGDPに加算されているが、日本は軍事費を1%に抑えた結果成長率も低かった


軍事費もGDPの一部なので理論上は軍事費を増やすほどGDPも増え、ロシアはまさにこの方法で経済崩壊を防いでいます

だが軍事費が国民生活を圧迫するほど増えると民間支出が減るので、こうなると逆に軍事費を増やすほどGDPが低下し始めます

その分岐点は規模が大きな先進国の場合はGDPの4%程度でしょう


日本の成長率が高まることで円は強くなり、 長期的(10年単位)に円高ドル安に向かうでしょう

https://www.thutmosev.com/archives/90081152.html
26:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/01 (Wed) 10:10:28

ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした
2023年2月24日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33890

引き続き、リーマンショックでサブプライムローンを空売りして莫大な利益を上げたことで有名なジョン・ポールソン氏の、アラン・エルカン氏によるインタビューである。

ジョン・ポールソン氏、サブプライムローンの空売りで大儲けした時のことを語る
今回はコロナ後の緩和政策と現在のインフレの関係について語った箇所を取り上げる。

インフレと量的緩和

インフレの原因についてはここの読者には改めて言う必要はないだろう。ウクライナ情勢ではなく、コロナ後に行われた未曾有の現金給付である。

ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由
世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
国民に大金を振り込んで誰もがそれを使えば物価は高騰するという誰でも分かるはずの当たり前の話なのだが、メディアを鵜呑みにする人々にはウクライナがどうこうというナンセンスが横行している。だがそれは実際の経済統計に反している。

しかし現金給付の裏にあった量的緩和についてはきっちりとフォーカスされていないのではないか。ポールソン氏は今回、現金給付よりも中央銀行の量的緩和に重点を置いて話している。

彼はコロナ後の経済状況について次のように振り返っている。

コロナ危機が起こり、経済が沈んだ。だから彼らは2020年の第2四半期に非常に緩和的な金融政策を行なった。

コロナ後にすぐ、日本でもアメリカでも現金給付が行われた。債券投資家ジェフリー・ガンドラック氏などはそれを狂気の沙汰と呼んでいたが、誰も耳を傾けなかった。レイ・ダリオ氏は2020年の時点で淡々と過去のインフレの事例について研究を始めていた。

ガンドラック氏、新型コロナでの企業救済とヘリコプターマネーを痛烈批判 (2020/3/29)
世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨 (2020/5/23)
だが政府は既に莫大な政府債務を抱えていたのに、どうやって紙幣をばら撒いたのか? 中央銀行がそれを印刷したのである。

厳密に言えば、政府が国債を発行して投資家から現金をもらい、投資家はそれを中央銀行に売却して中央銀行が印刷した紙幣をもらうわけだが、要するに中央銀行が刷った紙幣が政府に行っているのである。それが量的緩和である。

だから量的緩和がなければ現金給付は不可能だった。この意味で量的緩和はコロナ後の物価高騰の原因なのである。

インフレ後の量的緩和

さて、コロナ直後の現金給付はロックダウンによるデフレを止めた。だが何故かその後も中央銀行は量的緩和を続けていた。ポールソン氏は次のように説明している。

2021年の始めに緩和を止めていれば良かったのだが、彼らは2021年のあいだずっと緩和を続け、驚くべきことに2022年の4月までそれを止めず、経済を資金で溢れさせた。

2021年、バイデン大統領は就任直後に大規模な現金給付をやらかした。当時、アメリカ経済は既に正常に戻っていたのにである。そのような状況でコロナ後と同じような大規模な現金給付をすれば、当然物価は爆発する。

バイデン氏は最近「インフレは自分の就任前からあった」という発言して批判されている。

ガンドラック氏、バイデン大統領の「インフレは就任前から」発言を批判
何故か。政治家が現金給付をすれば票を取れるということを学んでしまったからである。

だが何より馬鹿げているのは、それを有権者が支持したことである。人間は自分が愚かな行いをやりたくなってしまったとき、それを正当化する理屈をあとから考え始める。ポールソン氏は次のように続けている。

彼らは幻想を見ていた。彼らは紙幣印刷はインフレに繋がらないという新種の金融理論さえ信じ始めた。

だから彼らは嬉々として2021年のあいだずっと毎月1,200億ドルもの紙幣を印刷し、それでもインフレにはならないと主張した。

いわゆるMMTである。だがMMTは実は新種の理論ではない。MMTは19世紀にもあった。MMTとは人々が紙幣印刷をやりたくなった時にだけ発生し、その後の物価高騰とともに消えてゆく歴史上のいつもの風物詩である。

そしていつも通りインフレが起こった。ポールソン氏は次のように続ける。

2021年にはインフレ率は既に6%に達していたのだが、実際にインフレが起こった時、彼らはインフレは彼らの金融政策ではなく供給不足によって起こったもので、一時的だと主張した。紙幣印刷のインフレへの影響を無視した完全な幻想だ。

彼らはインフレの原因を正しく診断せず、すべてを供給の制約のせいにし、紙幣印刷を続けた。

MMTはインフレが起こらない限り問題ない

「インフレが起こらない限り問題ない」とされていたMMTについてはガンドラック氏が次のように問題を指摘している。

ガンドラック氏: 永遠に追加緩和か、景気後退か
インフレが起こっている。

ポールソン氏は次のように続ける。

紙幣印刷をどれだけ続けてもインフレは起こらない。それがどれだけ馬鹿げたアイデアか考えてみてほしい。

実際にはコロナ後、日本円換算で合計40万円以上の現金給付で物価は高騰した。現実はそういうものである。

それで2021年に「インフレは一時的」と言い続けていたパウエル議長も非を認めざるを得なくなった。ポールソン氏は次のように説明する。

彼らは2021年の終わりに態度を変えて、一時的がどうとかいうナンセンスをようやく止めた。自分がインフレの火に油を注いでいることに気付いたからだ。

だが彼らは紙幣印刷の規模を毎月減らしただけで紙幣印刷を2022年4月まで続けた。その頃にはインフレ率は10%に近くなっていた。

結論

それで現在の物価高騰まで至るわけである。量的緩和と現金給付がなければインフレは起こらなかったし、現在株価を下落させており、2023年に景気後退を引き起こす金融引き締めもやる必要がなかったわけである。

2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない
だがすべて、インフレ政策を支持し、結果として見事その成果であるところのインフレを受け取った有権者が自分で選んだことである。

ハイエク: 緩やかなインフレが有益であるという幻想

また、 量的緩和はそれ単体では金融資産の上昇率を賃金の伸びよりも高くする政策であるので、労働世代から高齢者へと資産を移転させる年金以外の政策でもある。

以下の記事で説明した通り、日本ではその量的緩和を支持したのが搾取される側である労働世代だということがまた興味深い。人は何でも自分の好きなものを選べるのである。

ドラッケンミラー氏、高齢者が若者から搾取する税制を痛烈批判


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33890
27:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/02 (Thu) 09:32:50

踏み絵のように緩和支持を言わされる日銀の植田新総裁と新副総裁たち
2023年3月1日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34101

日銀の新総裁に就任する予定の植田和男氏と、副総裁候補の内田真一氏と氷見野良三氏が、国会に呼ばれて次々に所信表明を行なっている。現在の日銀の状況も含めて、彼らの考えていることを解説したい。

アベノミクスとインフレ

2013年に始まったアベノミクス以来、大規模な量的緩和政策(つまり紙幣印刷)と長期金利を操作するイールドカーブコントロールによって日本にインフレをもたらすべく頑張ってきた黒田東彦日銀総裁が4月に退任することから、その後任として岸田首相に選ばれたのが長年東大でマクロ経済学者として教鞭を執ってきた植田氏である。

植田氏には黒田氏のインフレ政策の後始末が求められている。黒田氏は長年インフレを目指して金融緩和を行なってきた。そして日本経済はインフレになった。その原因はウクライナ情勢ではない。すべての優れた金融の専門家が、インフレの原因が量的緩和と現金給付であることを認めている。

ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由
世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした
日本でも2021年には既に生産者物価指数が高騰していた事実を無視して2022年のウクライナがどうのと言い始める無知な人々が居るが、彼らももう絶滅寸前である。それで日銀に批判の目が向けられている。

インフレ政策の何が悪かったのか。インフレが実際に実現されてしまい、日本国民が遂にインフレが物価高という意味だという衝撃的事実に気付いてしまったことが黒田氏の一番の誤算かもしれない。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
実際にはインフレには何の利点もない。インフレとは経済学的には需要過剰、供給過少という意味であり、平たく言えば人々が必要としている量に比べてものが不足している状況である。デフレとは逆にものが余っている状況である。

ハイエク: 緩やかなインフレが有益であるという幻想
ものが余っている状況よりものが不足している状況の方が良いと誰が言い始め、何故それを誰もが無批判に信じたのか。筆者のような愚かな人間にはまったく理解できない思考回路である。人類は本当に卓越した頭脳を持っている。

円安で輸入物価上昇

その根本的で致命的な問題点はさておき、もう少し実務的に言えば日銀の尻に火が着いている理由は主に2つある。

先ず1つは円安である。2022年、例えばドル円の為替レートは大きく上昇し、ガソリンを含む輸入物価の高騰を引き起こした。ドル円のチャートは次のようになっている。


このドル円の急上昇は、日本の長期金利が日銀の当時の長期金利の設定上限であった0.25%に達した2022年3月から始まっている。日銀は上限を守るために国債を買い入れなければならず、その緩和によって急激な円安が進んだのである。

ドル円だけに関して言えば、当然ながらアメリカの側で金利が上がり、ドル高に動いたことも非常に大きい。だが2022年、日本円はこの日銀の緩和政策によって世界最弱通貨の1つとなった。ドル高で新興国通貨も下がったが、日本円は例えばインドネシアルピアなどの東南アジアの通貨と比べても下落している。

こうした円安が輸入物価の高騰をもたらした。だがアベノミクスによれば、円安は良いことではなかったのか? 日銀はそれを目指してきたのではなかったのか?

だが実際には円安政策とは日本製品が安くなることで外国人を儲けさせるものの、日本国民には何の得もない政策である。筆者は以下の記事で次のように分かりやすく説明している。

日銀がYCC変更で長期金利の上昇を許容、日本も金利上昇による景気後退へ
例えば1ドル=100円の時に600万円(=6万ドル)の日本車があり、6万ドル持っている外国人が購入を考えているとしよう。

これが円安になり、1ドル=120円になったとする。600万円の日本車は、ドル換算では6万ドルではなく5万ドル(=120円 x 5万)になる。予算が1万ドル余ったので、ついでに軽自動車も買えるかもしれない。

これで日本人は自動車だけでなく軽自動車も売れたと喜ぶかもしれない。だが実際には、元々6万ドルを日本車1つと交換していたものを、円安によって同じ報酬で日本車と軽自動車をセットで譲り渡す羽目になっただけで、得をしているのは外国人のほうである。

一方で日本円の価値が下がるので、日本国民は外国の製品が買えなくなる。円安の何が良いのか誰か説明してくれないだろうか?

日銀の買い入れで国債がなくなる

インフレと円安、本当に何の得にもならないものを日銀はよく目指してきたなと思うが、日銀にとって最大の窮地は自分の国債買い入れで日本国債がなくなることである。

以下の記事で説明したが、日銀は量的緩和政策でこの世に存在する日本国債の半分以上を既に買い入れてしまっており、ペース次第では今年中に債券市場で国債が枯渇する。

日本国債の投げ売り急増、追加利上げがなければ日銀の量的緩和は半年で破綻する
だから新総裁になる植田氏は何とか買い入れのペースを減らす(つまり緩和を縮小する)ことを目指している。

新総裁植田氏の所信表明

以下の記事で説明したように植田氏は経済学者としてはそれほど優秀ではないものの、まともなマクロ経済学の知識を持った人物であるとは言えるので、日銀が既に詰んでいるということをよく分かっている。

日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者
日銀のインフレ政策、特に長期金利の上限を決めるイールドカーブコントロールは何とかしなければならない。だが普通の経済学の知識がある人間がアベノミクスはどうだったかと聞かれ、本音を漏らすとどう頑張っても酷評になってしまう。そうすると年頃の乙女のような自民党安倍派のプライドを傷つけてしまうので、日銀総裁になれなくなるのである。

そんな植田氏は、自民党安倍派の前で自分の見解を披露する所信表明をどのように乗り切ったか。彼は所信表明でインフレをもたらしたインフレ政策について何と言ったか。彼は次のように言っている。

デフレではない状況をつくり上げたと考えております。

かなり苦しいこの言い方の理由を、ここ読者はもう理解するだろう。日本のインフレ率は既に4%でしかも加速している。だが「インフレ政策がインフレをもたらした」という当たり前のことを言ってしまうと、インフレが物価高だという衝撃の事実に気付いてしまった国民に自民党安倍派が批判されてしまう。

だが植田氏はこの踏み絵を乗り切り、更に緩和政策は「必要かつ適切」だと言い切った。より具体的には彼は次のように言っている。

様々な副作用が生じていますが、先程お話しした経済物価情勢を踏まえますと、2%の物価安定の実現にとって必要かつ適切な手法であると考えます。

だが「様々な副作用」が何かということについて彼は一切語らなかった。

この言葉をどう解釈するかが、日本の金利を予想する投資家にとって非常に重要となる。植田氏は、副作用がある(どころではない)ということは言っておかなければならない(そうでないと後で緩和政策を修正できない)が、所信表明の場で「副作用」の詳細を長々と話して自民党安倍派の急所をえぐっても何の得にもならない。だから言わないのである。

また、植田氏は金融緩和を継続するという趣旨の話をするのを躊躇わない。だがそれは長期金利を上げないという意味ではない。長期金利は今0.5%だが、インフレ率が4%の状況で長期金利を1%に上げても2%に上げてもまだその政策は緩和である。4%、5%に上げなければならなくなれば、緩和政策は2023年初頭まで適切だったが状況が変わったと言えば良いだろう。

植田氏の所信表明はよく考えられている。だが彼の過去の文章を読めば、彼の狙いが国債買い入れの減額であることは明らかである。

植田戦法を真似て踏み絵に挑む副総裁候補たち

副総裁となる予定の内田日銀理事と氷見野前金融庁長官も植田氏の戦法を踏襲して所信表明に挑んでいる。

内田氏は異次元緩和が「デフレではない状況を実現した」という自民党安倍派に対して有効な呪文を繰り返した。

だが一方で彼も言うべきことは言っている。彼は「金融機関収益や市場機能などの面で悪影響が生じていることも事実」とした上で「副作用があるから見直すのではなく、いかに工夫を凝らして緩和を継続していくかが課題」という、さも副総裁に就任すれば金融政策を見直すがこれまでの政策が悪かったわけではないという、崖っぷちに追い込まれている緩和支持者をなだめるような言い方をしている。だがこの言い方は明らかに緩和政策の修正を前提としている。

氷見野氏も概ね同じ内容だが、黒田氏と同じ元大蔵官僚である氷見野氏よりも、日銀理事の内田氏の方が踏み込んだ内容に聞こえた。日銀内部にはアベノミクスに最後まで抵抗し実質的に安倍氏に首を切られた白川元総裁の恨みがアベノミクスに対して溜まっているという話も聞く。

結論

いつも通り何も分かっていない大手メディアでは「新総裁が緩和継続に言及した」などと報じられているが、緩和を継続すると宣言することはイールドカーブコントロールの修正をしないことをまったく意味しない。2%でも3%でもイールドカーブコントロールを続ける限り緩和である。

以下の記事のように植田氏のこれまでの言説を把握した上で彼の言葉を解釈するべきだが、原油価格の推移も調べないでインフレについて語っているほとんどのメディアにそんなことは望めないだろう。

日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者
いずれにしても日銀は詰んでおり、究極的には彼らの意向は市場にとって問題ではないとも言える。彼らがどうしようとも緩和は終わるからである。

日本国債の投げ売り急増、追加利上げがなければ日銀の量的緩和は半年で破綻する
インフレ政策の出口戦略はインフレである。始めから分かっていたことではないか。緩和を支持した人々は馬鹿ではないのか。あるいはそれでも緩和を続ければ、今度は円安が止まらなくなるだろう。Bridgewaterのレイ・ダリオ氏が予想していた通りである。

世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
じわじわと上がる日本のインフレ率が日銀をその状況に追い込んでいる。

このような日銀の状況を債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏は見事な例えで表現している。

ガンドラック氏、日銀の量的緩和を皮肉る


日銀は賢明だ。80階の窓から飛び降りて、70階分落下したところで「今のところは良い状態だ」と言っているようなものだ。

植田新総裁に期待したい。また、何故日銀が金利を上げなかったかという理由については以下の記事を参考にしてもらいたい。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34101
28:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/03 (Fri) 07:28:53

日本国債の空売りを開始、植田新総裁で長期金利上昇を予想
2023年3月2日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34200

日銀の新総裁に経済学者の植田和男氏が就任すると見られることを受け、日本国債の空売り(価格が下落すれば利益が出るトレード)を開始する。筆者の意見では、このトレードはリスク・リワード比が非常に良い。以下に理由を説明したい。

遂に始まった日銀の実質利上げ

ことの発端は4月に現日銀総裁の黒田氏が退任する予定になっていること、そしてその黒田氏が去年12月、恐らくは岸田政権に迫られて長期金利の実質利上げを行なったことである。

日銀がYCC変更で長期金利の上昇を許容、日本も金利上昇による景気後退へ (2023/3/2)
イールドカーブコントロールと呼ばれる金融政策により、日本の長期金利はそれまで0.25%という低い水準に保たれていた。それが2022年の円安と、それにともなう輸入物価高騰をもたらしたことは、前回の記事で説明している。

踏み絵のように緩和支持を言わされる日銀の植田新総裁と新副総裁たち
黒田氏は恐らく「インフレ政策には何の問題もなかった」という顔をしながら退任期限まで逃げ切りたかったのだろうが、結局彼は長期金利の上限を0.5%まで上げるはめになった。

実質利上げは始まったばかり

だが日本のインフレ率は4%である。このインフレは0.5%の長期金利で止まるものではない。では何処まで利上げすればインフレは止まるのか。

過去の事例を探せば、1970年代のアメリカの物価高騰時代では金利がインフレ率を上回るまでインフレは止まらなかった。当時のインフレ率と政策金利のグラフを並べると次のようになる。


そして現在のアメリカでも、長期的にはインフレ率は5%に収束すると予想されており、金利は5%まで上がろうとしている。

1月のアメリカのインフレ率はソフトランディングが不可能であることを示している
1970年代とは状況が違うとは言っても、やはり金利はインフレ率と同じ水準まで上がらなければ止まらないらしい。

コストプッシュインフレ?

日銀は(これは新総裁の植田氏もそうだが)日本のインフレは輸入物価高騰によるコストプッシュインフレであり、緩和を止める理由にはならないと主張している。

だがここでは何度も論じたように、原油や農作物などが高騰した理由はコロナ後に世界中で行われた量的緩和と現金給付であり、2020年にはその兆候が既に表れていたことをここでは報じておいた。

金融市場にインフレの兆し: 金、原油、穀物価格が高騰 (2020/10/14)
コストプッシュではなく政府と中央銀行の政策によってもたらされた大量の資金が市場に流れ込んだ結果であり、2020年に緩和をしていた主要国の中央銀行(当然日銀を含む)はすべてその責任をしっかり負っている。

自らインフレを引き起こした政府と中央銀行がコストプッシュインフレという言い訳を使うだろうということは、大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏によって数十年前に予想されており、彼らはその通りの道を歩んだというわけである。

ハイエク: コストプッシュ型インフレは政府の責任回避の言い訳に過ぎない
大体輸入物価全般に関しては円安が原因であり、前回の記事で説明したように2022年の円安は日銀のイールドカーブコントロールによってもたらされているのだから、緩和政策を止めない理由にはならない。

踏み絵のように緩和支持を言わされる日銀の植田新総裁と新副総裁たち
彼らの言い分は論理的に破綻している。

また、CPI(消費者物価指数)統計を見れば、輸入物価のインフレが国内物価にも波及し始めていることが分かる。2021年に「コストプッシュインフレ」を繰り返し、インフレに対策を打たなかったアメリカのパウエル議長が何をするはめになったかは誰もが知っている。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ (2021/7/18)
アメリカやヨーロッパの例で既に見たように、インフレは一度始まると止めるまで永遠に加速し続ける。そして日本でもそれは始まりつつある。

植田新総裁は実質利上げを継続する

さて、そこで問題になるのが、植田新総裁が長期金利をどうするかである。

結論から言えば、植田氏の狙いは日銀の国債買い入れ額を減らすことである。そしてそのために長期金利の上限をある程度上げるだろう。

植田氏も副総裁候補たちも、今の日銀の金融政策には「副作用」があるということを強調している。そして私見によれば、そうした副作用のうち彼らが一番懸念しているのは、インフレでも円安でもなく日銀の国債保有額である。

日銀は現在既に市場に存在する国債の半分以上を買い入れてしまっている。イールドカーブコントロールで長期金利に上限を付ければ、金利が上限に達するごとに金利を抑えるために国債を買い入れなければならなくなる。

だがこのままでは日銀の買い入れによって年内に市場から国債が枯渇してしまう可能性がある。

日本国債の投げ売り急増、追加利上げがなければ日銀の量的緩和は半年で破綻する
筆者の考えによれば、これこそが日銀の審議委員として現在の緩和にもかかわった植田氏の一番の懸念点である。彼の懸念点は必ずしもインフレでも円安でもない。だが国債買い入れ額を減らすために金利上昇が必要ならば、金利を上昇させるだろう。

何故そう言えるか。植田氏は所信表明において「情勢において工夫を凝らしながら、金融緩和を継続することが適切」だと言っている。

「工夫」とは具体的に何か? もっと分かりやすいのは、副総裁候補の内田氏が緩和政策について「副作用があるから見直すのではなく、いかに工夫を凝らして緩和を継続していくかが課題」と言っていることである。

これは明らかに枯渇しかけている国債の残高のことを言っている。そしてその問題を解決するためには長期金利の上限を上げることが必要である。上限を例えば1%や2%に上げれば、現状の上限である0.5%を超えても国債を買い入れずに済むからである。

日本国債の空売りを開始

ということで、日本国債の空売りを開始する。債券の金利上昇は価格下落を意味するので、日本国債の価格が下がることを予想するからである。

日銀は長らくゼロ金利政策を続けてきた。そしてそれが維持不可能だと見込んで日本国債の空売りを行なったヘッジファンドもあったが、これまで日本の金利は結局上がらなかったため、日本国債を空売りする取引は金融市場でウィドウメイカー(寡婦を生み出すトレード)と呼ばれてきた。

だがこうした見方が見落としている点が1つある。日本国債の空売りはほとんど損をする可能性のない取引だということである。

何故か? 債券の金利上昇は価格下落、金利低下は価格上昇だということを考えてみてもらいたい。そして日本国債の金利は上がることはあっても、下がることはほぼ考えられない。今のケースで言えば、金利上限を下げると日銀は国債を更に買い入れなければならなくなる。筆者の予想ではその可能性は限りなくゼロに近い。

だから日本国債は価格が下がることはあっても上がることはない資産である。よって日本国債の空売りは、仮に失敗してもほとんど損をしない。

日銀は最近、これに対抗するために国債を借りる時に金融機関が支払う国債の品貸料を1%に引き上げた。空売りをするためにはまず国債を借りなければならないため、空売りのコストを上げようとしているのである。

だが金利がもし上昇すれば国債の価格がどれだけ下がるかを考えてもらいたい。債券は満期までの期限が長ければ長いほど金利上昇に対する価格の下落幅が大きい。10年物国債は1%の金利上昇で10%近く、2%でほぼ20%近くの価格下落となる。3%、4%になれば30%、40%である。

これはジョン・ポールソン氏がリーマンショック時にサブプライムローンを空売りした場合と似たようなリスク・リワード比だと筆者は考えている。ポールソン氏は当時のことについて以下のように語っている。

ジョン・ポールソン氏、サブプライムローンの空売りで大儲けした時のことを語る
空売りのコストは年間たった1ドルということになる。

しかしサブプライムローン債券がデフォルトすれば、空売り投資家は100ドルを得ることができる。

結論

ということで、筆者も遂に日本国債の空売りに手を出すことになった。大手メディアや金融市場はまだ分かっていないが、筆者の意見では植田氏の狙いは明らかである。以下の記事を読みながら彼の言葉を精査してみてほしい。

踏み絵のように緩和支持を言わされる日銀の植田新総裁と新副総裁たち
日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者
また、金利上昇は株価にとってもマイナスとなる。筆者は日本株の空売りも行なっている。アベノミクスのお陰で日本経済が滅ぶ時が来たようである。自業自得である。

2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、 ソフトランディングは有り得ない


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34200
29:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/04 (Sat) 06:54:58

世界最大のヘッジファンド: 金融引き締めで経済恐慌かインフレ第2波で経済リセット、どちらになるか?
2023年2月22日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33781

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が、際限なく続けられた金融緩和の後始末について自身のブログで語っている。

インフレ政策の後始末には2つの方法がある。だがどちらもあまり良い結果にはならないようだ。

インフレ後の経済政策

リーマンショック後際限なく拡大されてきたインフレ政策は、ゼロ金利、量的緩和、イールドカーブコントロールを経て現金給付によってついにインフレを引き起こした。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
インフレ政策がインフレを引き起こして何の驚きがあるのか筆者にはまるで分からないが、これまでインフレ政策を支持してきた有権者たちは突然うろたえ始め、自分たちが望んできたインフレに文句を言い始めている。見ていて楽しい人々である。

ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由
さて、ダリオ氏の歴史研究によれば先進国経済の終わりとはそういうものである。大英帝国もオランダ海上帝国も債務増大と紙幣印刷を経て衰退した。

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨
そして今、日本やアメリカの経済は帰路に立たされている。インフレが始まってしまった今、無尽蔵に紙幣を刷って緩和をすることはできない。緩和を続ければインフレが悪化するからである。

一方で紙幣印刷を止め、これまでの低金利を撤回して金利を上げれば、ゼロ金利に依存していたゾンビ企業などが軒並み倒産し(それは良いことなのだが)、経済成長率はマイナスまで落ち込んでゆくだろう。

インフレ後の2つのシナリオ

現在、アメリカはインフレ率が9%まで達したため少なくとも短期的には引き締めを選んでいる。日本はインフレ率が4%で紙幣印刷を継続しており、インフレ率は加速を続けているが、日銀の植田新総裁がどうするかが注目されている。

日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者
インフレ政策の後始末としての2つのシナリオは、簡単に言えばデフレかインフレかである。どちらにしても国民は死ぬのだが、有権者が何年もそういう政策を支持してきたのだからどうしようもない。

だが投資家としては、この2つのシナリオで投資対象がどのように動くのかを詳しく見てゆく必要がある。

デフレシナリオ

まずは金融引き締めでデフレシナリオからである。ダリオ氏は次のように説明している。

もし中央銀行が引き締めシナリオを選べば、債務者は収入の多くを債務返済に振り分けなければならなくなるため、クレジットスプレッドは開くだろう。

一方、政府と中央銀行の保証がある債券(訳注:国債など)は、パフォーマンスは悪くなるが他の債券よりはましだろう。

クレジットスプレッドについては、年末に亡くなった債券投資家スコット・マイナード氏が詳しく説明してくれている。

マイナード氏、国債と投資適格債とジャンク債の違いを語る
だが簡単に言えば、引き締めによって市場から資金が流出してゆくためリスクの高い資産から順番に下落してゆくということである。

一方、国債などの下落はジャンク債や株式などに比べて限られるだろう。インフレさえ起こらなければ、国債の価格は経済のクラッシュによってむしろ上がる。リーマンショックの事例を思い出したい。

リーマンショックで急落した金価格、上昇した米国債
また、安全資産と呼ばれるゴールドだが、リーマンショックにおいて価格がむしろ下落しているように、金融引き締めで経済がクラッシュする場合、ゴールドや原油、農作物などのコモディティ銘柄にはネガティブな影響となるだろう。

一方でドル円は円高に振れる。リスクオン時には投資家は高金利通貨に資金を入れているが、リスクオフで低金利通貨に資金が流入するからである。

ドル円の空売り(つまりはドルに対する円買い)とドル建て金価格の上昇への賭け(つまりはドルに対するゴールド買い)はどちらもドル売りという性質があるが、一番の違いはリスクオフ時の反応であるということに注意したい。

インフレシナリオ

では政府がインフレ退治をやらずに緩和を継続した場合、つまりインフレシナリオにおいて金融市場はどうなるか? ダリオ氏は次のように述べている。

もし中央銀行が緩和シナリオを選べば、クレジットスプレッドはそれほど開かず債券の種類による違いは少なくなるが、すべての債券の実質価値は下がるだろう。

つまりは物価が高騰するということであり、紙幣自体は経済全体にばら撒かれるので100ドル貸していれば100ドルは返ってくるが、その100ドルの価値はインフレで大きく目減りしているということである。

戦後にドイツが返済不可能な戦後賠償金を返済した方法であり、黒田日銀は日本の莫大な政府債務について同じことをやろうとしていた。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
このシナリオにおいては利益を出す見込みのないゾンビ企業さえも救済される。彼らはばら撒かれた紙幣で借金を返す。だがその時には誰も紙幣など欲しいとは思わなくなっている。紙切れは余っており、物資は足りない。それがインフレである。

世界最大のヘッジファンド: 金融資産から現物資産への怒涛の資金逃避が起こる可能性
このシナリオにおいて高騰するのはゴールドだろう。リーマンショックで大儲けしたジョン・ポールソン氏はそのシナリオを見込んでいる。

ポールソン氏: ドルからの離脱が今のトレンド、資金逃避で金価格上昇へ
また、株価がどうなるかと言えば、中央銀行が金利をどの水準に保つかにもよるが、実質金利(インフレ率を差し引いた金利)を極端に低い水準に保つ場合、株価も高騰する。2022年のインフレ率が60%台となったトルコでは株価は上がっている。以下はトルコの株価指数のチャートである。


だが実質金利がそれほど極端に低い水準にならない場合、1970年代の米国株のように株式はインフレで酷いパフォーマンスになる。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
そしてドル円のレートの行方は日本とアメリカ、どちらがよりインフレを野放しにするかにかかってくる。

コロナ後のインフレ

ではこれからどうなるか? 日本とアメリカそれぞれ考える必要があるが、とりあえずアメリカについて考えよう。

筆者の予想は、短期的にはデフレシナリオ、長期的にはインフレシナリオである。労働市場が強く、失業者が続出しない限り、パウエル議長は金融引き締めを続けるだろう。筆者の予想では、その引き締めの程度は株式市場を破壊するのに十分である。

2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない
だが大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏の言うように、いずれ引き締めによって大量の失業者が路頭に迷う状況が来る。以下の記事は必ず読んでおいてもらいたい。

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
その時にはパウエル氏は緩和に転じるというのが、今の筆者のメインシナリオである。2018年に引き締めを行なったが株価が急落すると緩和に転じ、2021年に緩和を行なったが世論がインフレを懸念し始めると引き締めに転じた彼は究極の日和見主義者だからである。

サマーズ氏: パウエル議長のインフレ退治が本気かどうか疑う理由
ドラッケンミラー氏: 経済が強い時に引き締めを続けるのは簡単だが
インフレとデフレの2つのシナリオにおいて大きく違うのはドル円と金価格の動向であり、今筆者が金価格上昇ではなくドル円下落に賭けているのはそれが理由である。今の金価格はソフトランディング期待をいくらか織り込んでいるが、筆者はソフトランディングが有り得ないと考えている。

日銀の長期金利の実質利上げを受けてドル円の空売りを開始
だがいずれゴールドの買いに転じる時が来るだろう。また、短期的な下落を無視すれば、超長期的には単にゴールドをホールドしていてもそれほど悪くはないのではないか。

結論

さて、ダリオ氏はどうなると予想しているか? 過去の様々な国家の衰退を研究した彼は次のように述べている。

過去の事例を研究した著書で説明したように、大きな債務危機が起こり、その債務が中央銀行が印刷できる通貨建てで積み上げられている場合、すべての事例において中央銀行は常に紙幣を印刷してその債務を買い入れている。それが債務再編のもっとも痛みの少ない方法だからだ。

厳密に言えば、それが政治家にとってもっとも痛みの少ない方法だからだ。彼らにとっては紙幣によって積み上げられた国民の預金を守るインセンティブは存在しない。

一方で彼らの積み上げた借金はなくなる。インフレ政策を選ぶのは、彼らにとって自然な選択である。筆者に理解できないのは、何故有権者がそれを支持したかである。

ハイエク: 緩やかなインフレが有益であるという幻想
いずれにせよ、最終的には物価高騰で終わるだろう。だが問題はそれまでの短中期的な動向である。まずは株価の下落、そして次に金利の下落と筆者は踏んでいるが、どうなるだろうか。

2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない
日銀の長期金利の実質利上げを受けてドル円の空売りを開始
ガンドラック氏: アメリカは2年物国債金利の警告通り利下げする、中央銀行はまったく不要

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33781
30:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/04 (Sat) 22:13:05

ポールソン氏: 成功は紙幣印刷ではなく教育と勤勉さから生まれる
2023年3月4日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34278#more-34278

長らく続いていたアラン・エルカン氏によるジョン・ポールソン氏の長編インタビューの最後の記事となる。

今回はコロナ後の政府の経済政策について語っている部分を紹介する。

コロナ後の緩和政策

2020年、コロナ第1波におけるロックダウンで先進国経済は大きなダメージを受けた。これに対して日本でもアメリカでも、政府と中央銀行は紙幣印刷と現金給付で対応した。

アメリカでは、Fed(連邦準備制度)が3月23日に無制限の量的緩和を発表しているが、実はこの措置は当時の株価の暴落を止めることが出来ず、一定期間株価はそのまま落ち続けた。当時の相場を知らない読者には、当時の記事からリアルタイムの雰囲気を読み取ってみるのも面白いかもしれない。

米国、量的緩和の無制限化を発表も米国株は下落 (2020/3/24)
だが結局、この緩和措置は過剰だった。特に2021年、既にアメリカ経済は元の水準まで回復していたにもかかわらず、就任直後のバイデン大統領が人気取りのために莫大な現金給付を行なったことが一番まずかった。

ガンドラック氏、バイデン大統領の「インフレは就任前から」発言を批判
それで経済は強くなり過ぎた。ポールソン氏は次のように解説している。

Fedが紙幣印刷で未曾有の刺激策を行ない、それが政府に莫大な資金を使う余裕を与えた。財政支出と紙幣印刷の組み合わせが非常に強い経済を演出した。

中央銀行が印刷した紙幣を政府がばら撒いたことで需要が非常に強くなれば、経済に何が起こるか。需要と供給について少しでも知っている人ならばその答えを出すことは容易い。インフレである。

ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由
過剰な資金はまだ経済に残っている

ポールソン氏によれば、その効果は紙幣印刷を終了して1年ほどになる今でも続いているらしい。彼は次のように続けている。

今ではFedは引き締めを行なっているが、まだ経済の中に多くの余剰資金が残っており、それが消費と経済成長を支えている。

アメリカ経済は着実に減速しているもののまだ持ちこたえている。

アメリカ経済は確実に減速している、2022年4QアメリカGDP
インフレ率全体が下落しているなか経済成長は持ちこたえていることで、ソフトランディング期待も囁かれた。だがインフレの内訳を見てみれば、実体経済が持ちこたえているのは、サービスなど実体経済の核心にある部分のインフレがまだ止まっていないからだということが分かる。

サービスのインフレだけひとりで上がり続けるのか
この記事で詳しく説明したように、サービスのインフレが止まらない限りインフレは止まらず、そしてサービスのインフレと経済成長率は一蓮托生である。つまり、サービスのインフレを止めようと思えば、経済成長も止めるしかない。

よってソフトランディングは有り得ない。それが筆者が株を空売りしている論拠である。

2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない
副作用のない麻薬はない

ということで、紙幣印刷でリッチになれると思った多くの有権者はインフレで酷い目に遭っている。2020年に既に誰かが警告していたではないか。

世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で人々はリッチになったような気がする (2020/5/8)
ポールソン氏は次のように言う。

それはパーティのようなものだ。パーティに行き、たくさん飲みたくさん笑うが、パーティが終われば2日酔いが待っている。

だからアメリカ経済には大きな2日酔いが待っている。最終的には負債を支払うか、インフレで債務を帳消しにするかどちらかしかない。

債務はいずれ払わなければらない。そうでなければ債権者が損をするので、債務を払うか、債権者に損をさせるかのどちらかである。そして例えば日本の場合、国債の保有者は実質的には預金者なので、政府債務をきっちり支払うか、国民が損をするかのどちらかである。

だが負債を払わず預金者も紙幣を取り上げられない第3の道がある。ポールソン氏は次のように説明する。

それはもう始まっている。インフレは政府債務の実質的な量を減らしているが、それは賃金よりも大きく物価が上昇することに苦しむ平均的な国民の犠牲のもとに成り立っている。

敗戦後のドイツが支払い不可能な債務を何とかした方法である。

ここでは何度も言っているが、インフレ政策は最初からそれを目的にしている。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
インフレ政策とは国民の預金を犠牲に莫大な政務債務を帳消しにして、政治家が引き続き予算を票田にばら撒けるようにする政策であり、それを政治家が何としてもやりたかった理由は完全に理解できるが、それを有権者が支持した理由は理解不能である。

以下の記事で詳しく説明したが、あなたがたは騙されている。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
結論

ポールソン氏は紙幣印刷について次のように纏めている。

成功するための魔法など存在しない。成功は教育、勤勉さ、貯蓄、再投資によって得られる。そうすればあなたは成功するだろう。

結局のところ、2020年に現金給付を横目に見ながらインフレの歴史について淡々と研究していたレイ・ダリオ氏が言った次の言葉がすべてである。

世界最大のヘッジファンド: 共産主義の悪夢が資本主義にのしかかる (2020/5/17)
われわれが消費をできるかどうかはわれわれが生産できるかどうかに掛かっているのであり、政府から送られてくる紙幣の量に掛かっているではない。

紙幣は食べられない。

賢者は歴史から学び、愚者は経験から学ぶ。愚者はまさに今経験から学んでいる。いや、問題は恐らく、愚者は経験から学ぶことすらないということだろう。

だが市場経済の素晴らしいところは、債務のツケは誰かが払ってくれても自分の愚かさのツケだけは自分で払わなければならないということである。筆者は市場経済のその部分を本当に素晴らしいものだと考えている。

そう言えば自分で働くことなくお金が降ってくるように願った人々がはまった穴がインフレの他にもう1つある。つみたてNISAである。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
2023年、緩和に対するツケを払うための引き締めはアメリカでも日本でも始まっている。株価とドル円はともに下落することになるだろう。

2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない
日銀の長期金利の実質利上げを受けてドル円の空売りを開始


金融庁に騙されて彼らの多くは資金を米国株に注ぎ込んでいるが、円建ての米国株の価値は株価下落とドル円下落の二重苦で酷いことになるだろう。つみたてNISAは既に詰んでいる。金融市場とは素晴らしい場所である。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34278#more-34278
31:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/04/08 (Sat) 11:33:13

ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
2023年4月7日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35564

世界的なインフレが問題となっているなかで、いくつかの国ではいまだに補助金や現金給付といった政策が人気である。

このことについて20世紀の大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏の『貨幣発行自由化論』から彼の意見を取り上げよう。

紙幣印刷政策

リーマンショック以後、世界中の中央銀行が量的緩和政策、つまりは紙幣印刷によって金利を下げ、自国通貨の価値を下げる政策を行ってきた。

ハイエク氏は紙幣印刷政策について次のように述べている。

貸付のための紙幣を印刷することで人為的に貸付用の資金を安価にすることは、貸付先を助けるだけなく、他の人々を犠牲にすることによってではあるが、経済活動全体を少しの間刺激する。

一方でそうした紙幣発行が市場の操縦メカニズムを破壊する効果を持つことは理解されにくい。

そうして2008年以降、紙幣印刷と低金利政策が行われ続けた。それはインフレを目指すという名目のもと行われていた。

当時の未開人たちはインフレが物価上昇を意味するということを知らなかったので、インフレ政策は多くの人々に歓迎された。だがインフレが何を意味するかは誰も理解していなかった。

そしてコロナ以後にはついに人々の口座に直接資金を放り込む現金給付まで行われた。そしてそれはついにインフレを引き起こした。2021年には既に始まっていた現在の物価高騰がウクライナ情勢とは無関係であることは、ここでは何度も説明している。

ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由
そしてインフレになって初めて人々はインフレは物価上昇という意味だということを理解した。文明がようやく生じ始めたのだろうか。

いや、そうでもないらしい。何故ならば、インフレ対策に例えば日本政府が行っていることは、電気・ガスの購入支援や全国旅行支援などのインフレ政策だからである。

ハイエク氏は次のように続ける。

しかし商品の追加購入のためのそうした資金供給は商品の相対的な価格の構造を歪め、資源を持続不可能な経済活動へと引き込み、後に起こる不可避の反作用の原因となる。

例えば全国旅行支援は旅行者が殺到したことで宿泊料金の高騰を引き起こし、しかもホテル側は需要の急増に対応できずに既存の従業員を酷使して後の雇用に影響を与えている。

日本政府の全国旅行支援で宿泊予約殺到してホテル代値上がり
既存の従業員を酷使しても一時的な需要のために従業員を増やしても後で問題が生じる。それが歪みである。

だが日本政府はそんなことを気にしたりはしない。インフレにインフレ政策で対応するような人々にそれだけの頭脳があるわけがないのである。

紙幣印刷の本当の意味

果たして未開人はいつ文明化されるのだろうか。インフレの原因は需要に対してものが不足していることであり、ものの不足を紙幣印刷で解決することはできない。レイ・ダリオ氏はインフレが起こる前に次のように述べていた。

世界最大のヘッジファンド: 共産主義の悪夢が資本主義にのしかかる
われわれが消費をできるかどうかはわれわれが生産できるかどうかに掛かっているのであり、政府から送られてくる紙幣の量に掛かっているではない。

紙幣は食べられない。

世の中にあるものの量が同じであるとき、紙幣だけを増やして一部の人々に配れば、その効果は本来他の人々が買えたものをその一部の人々に与えることになるだけである。全体のパイは変わらないのだから、その人々に与えたものは本来他の人々の取り分である。

これは現金給付だけでなく紙幣印刷全般に言える。例えば量的緩和政策は中央銀行が債券を買い入れることで債券価格と株価を上昇させる政策だが、その結果は債券と株式を持っている人が他の人の取り分を奪いながらより多く消費できるようになることである。

これは若者から老人へと資金を転移させる政策の一部でもある。

ドラッケンミラー氏、高齢者が若者から搾取する税制を痛烈批判
紙幣印刷という窃盗

ハイエク氏は次のように語っている。

特定の人々に自分で得たわけでも他人が放棄したわけでもないものを得る権利を与えることは、本当に窃盗と同じような犯罪である。

だが世の中における一番の犯罪者は捕まらない。トランプ氏は口止め料を事業費として計上したことで捕まる可能性があるそうだが、オバマ政権下でウクライナ政府を自分の好きなようにしたバイデン氏や、虚偽の理由でイラクに戦争を仕掛けたブッシュ氏は捕まらない。

サマーズ氏、トランプ元大統領の起訴について語る
ロシアのウクライナ侵攻でバイデン大統領が犯した一番の間違い
そして実質的には明らかな窃盗である量的緩和や現金給付も、政府がそれを行えば政治家が捕まることはない。

ハイエク氏はこう述べている。

一般的な理解が不足しているために、紙幣発行の独占者による過剰発行という犯罪はいまだ許容されているだけではなく称賛さえされている。

ちなみに日本政府は窃盗を行うだけではなく、物価指数の計算を恣意的に変えることで自分のせいで起こっているインフレを隠蔽している。

日本政府の詐欺的な物価指数の計算方法がインフレを悪化させる
人々はどうするべきか。 日本政府による窃盗の被害者になりたくなければ、経済と金融市場を知ることである。インフレは資産運用で回避できる。

世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
ちなみにハイエク氏の『貨幣発行自由化論』(『貨幣論集』に含まれている)は1976年の発行である。だがまさに今のために書かれたような内容となっている。

インフレの意味さえ知らずにインフレ政策を支持した未開の人々が居た一方で、現在の状況を50年前に予想していた天才も居る。
政府による窃盗を投資で避けられる人がいる一方で、喜んで自分から窃盗される人もいる。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
すべてはその人次第である。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35564
32:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/04/08 (Sat) 20:18:10

ハイエク氏: インフレを引き起こすインフレ政策を止めさせるには民間企業が通貨を発行すべき
2023年4月8日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35579

20世紀最大のマクロ経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏の『貨幣発行自由化論』より、政府がインフレ政策によりインフレを引き起こすことを止めさせるためにはどうすれば良いかを語った部分を紹介したい。

現金給付の本当の意味

前回の記事では、政府による現金給付や補助金をいった政策がそれを受けられない人々からそれを受ける人々へと購買力を恣意的に移転させる政策であるということを説明した。

ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
インフレとは需要に対してものが不足している状態のことなので、そこに紙幣を印刷して配ったところでもの自体が増えるわけではなく、誰かが給付金で購入した商品は元々別の人が購入できるはずだったものである。そしてその別の人は給付金が引き起こしたインフレでものが買えなくなる。

事実、そうしたインフレが全国旅行支援によって日本の宿泊料金で起こっているのだから、その仕組みは経済が専門でない人々にも明らかだろう。だからこれを窃盗と呼ぶことは極めて適切である。

日本政府の全国旅行支援で宿泊予約殺到してホテル代値上がり
実際、ここでは何度も説明しているように、現在の物価高騰はコロナ後に世界中で行われた現金給付がもたらしたものである。インフレは2021年から始まっており、2022年のウクライナ情勢はインフレとは無関係であることは何度も説明しておいた。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
結局のところ、インフレ政策とは政治家が大半の人々を犠牲にして票田にばら撒きを行うための政策であり、しかもインフレになれば積み上がった政府債務が戦後のドイツのように帳消しになるのだから、政治家にとっては良いことしかない。

事実、日本で(インフレが懸念されている今でさえ)行われている現金給付の対象が住民税非課税世帯に限られているのは、非課税世帯の多くを占める引退した高齢者の票を得るためである。だからそれは労働世代には回ってこない。

ドラッケンミラー氏、高齢者が若者から搾取する税制を痛烈批判
インフレ政策を止めさせるために

ハイエク氏の『貨幣発行自由化論』は50年近く前の本であるにもかかわらず、その内容が今の政治家にも適用できるということは、政治家のやることはいつの時代も変わらないということである。

だからハイエク氏は利己的な政府に対して人々が自衛する方法も書いている。彼はばら撒き政策を窃盗と呼んだ上で次のように述べている。

通貨発行の独占者、特に政府によってこの犯罪が犯された場合、それは非常に儲かる犯罪となり、しかも紙幣印刷の帰結が理解されていないためにそれは一般に許容されており罰を受けないままとなっている。

何故そうなるか。まず前提条件として、歴史上これまで発行されたほとんどすべての通貨は発行者による減価によって長期的には価値が下落し最終的には無価値になってきた。これについてはレイ・ダリオ氏が研究している。

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨
現在でも紙幣印刷を窃盗と同じものとして批判できる頭のある人々がほとんどいないために、紙幣印刷は政治家にとって捕まらない窃盗となっている。レイ・ダリオ氏が次のように言っていたことを思い出したい。

世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな
歴史を見れば明らかだが、政府が経済的に国民を守ってくれると信頼してはならない。実際は逆であり、ほとんどの政府はあなたが同じ立場だったらそうするであろう同じ理由で、貨幣と債務の創造者かつ使用者としての特権を乱用するだろう。

恐らくダリオ氏はハイエク氏の著作を読んでいると思う。

だから歴史上ほぼすべての通貨は長期的には減価する。そして金融の知識のある人間は、例えばゴールドなどを買うことで紙幣が紙切れになる(あるいは紙幣は元々紙切れである)ことによる被害を避けられるかもしれないが、ほとんどの人々は他に通貨の選択肢がないと思い込まされているため、政府による自国通貨の減価(これはインフレ政策と完全に同義である)によって資産を失ってしまう。日本でもアメリカでもインフレによって事実そうなっている。

通貨の民営化

他に通貨の選択肢がないと「思い込まされている」とはどういうことか? 今生きているすべての人は、通貨とは政府が発行するものだというバイアスを埋め込まれている。生まれた頃から法定通貨が普通の世の中に生きているからである。

だが歴史的にはこれは新しい概念である。現代の法定通貨の概念は、大英帝国がイングランド銀行に政府債務の肩代わりをさせる代償に通貨発行業務を独占させたことに端を発している。以下の記事で少し触れている。

南海泡沫事件: バブル経済の語源となった近世イギリスの株式バブルを振り返る
大英帝国の政治家たちは政府債務を中央銀行に押し付け、中央銀行に紙幣印刷させることで(暴落した紙幣の保有者の犠牲のもとに)積み上がった政府債務を解消できたので、この成功を見た他の国の政治家も同じことをやり始めたのである。読者も知っての通り、この方法は今でも各国政府によって実際に使われている。それが量的緩和である。

世界最大のヘッジファンド: ドルは既に紙くずになっている
政府の通貨独占を止めさせる

さて、国民はどうすれば良いか。勘の良い読者は気づいたかもしれないが、この話のポイントは政府が通貨発行をまず独占しなければならなかったということである。

何故政府は通貨発行を独占しなければならなかったか。他に使われている通貨があれば、少しでも法定通貨の価値が下がり始めると、多くの人が他のより堅調な通貨に移ろうとしただろうからである。

現在の話に照らして言えば、もし人々が法定通貨を含む複数の通貨を日常的に使っていれば、現在のインフレは物価の上昇ではなく法定通貨の下落ということになるだろう。そして法定通貨以外の通貨で見た物価は影響を受けない。

分かるだろうか。だからハイエク氏は、イングランド銀行以前にそうだったように、民間企業の通貨発行の権利を復活させることを主張している。元々紙幣とは、銀行にゴールドなどを預けていた預かり証だった。法定通貨もそうだった。だが政府が預かっていたゴールドを勝手に使ってしまい返せなくなった。それが金本位制の廃止である。アメリカではこの出来事はニクソンショックと呼ばれる。

レイ・ダリオ氏、「現金がゴミ」になったニクソンショックの経験を語る
通貨発行業務を独占した政府はやりたい放題である。だが様々な企業が通貨を発行するようになれば、その企業は自分の利益の源泉である自分の通貨の価値を守ろうとするだろうとハイエク氏は言う。彼は次のように述べている。

通貨の発行者同士が競争しなければならない場合、発行者にとって自分の通貨の減価は自殺行為になるだろう。人々がその通貨を使いたいと思っていた理由そのものを破壊してしまうからである。

結論

こうした最近の試みは、言うまでもなく暗号通貨だろう。中央銀行が緩和に転換すれば暗号通貨が暴騰すると見ているファンドマネージャーもいる。

チューダー・ジョーンズ氏: 利上げ停止でインフレ相場再開、ビットコイン暴騰へ
暗号通貨には実質的価値は何もない。だが法定の紙幣にも本質的には紙以上の価値などないのである。「政府が価値を保証している」と馬鹿げたことを言う人もいるが、政府は実際に通貨の価値を意図的に薄めている。それが金融緩和である。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
ハイエク氏は通貨の発行者はそのサービス提供の然るべき対価を受け取るべきだと言っている。だがその業務を誰かが独占するとき、その利益は国民の大部分の資産をインフレで食い潰すほどに過剰になる。

それがハイエク氏の論点である。いずれにしても、ハイエク氏の著書やダリオ氏の考察などから歴史を学ぶことで自分の生きている時代のバイアスを取り払うことは読者にとって助けになるだろう。別に通貨は政府だけが発行すべきものではないし、紙幣も暗号通貨も本質的には等しく無価値である。

世界最大のヘッジファンド : 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
世界最大のヘッジファンド : 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨


頭を柔らかくしてから今のインフレとその原因である紙幣印刷をもう一度考えてもらいたい。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35579
33:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/04/17 (Mon) 11:25:02

COMMENTARY
円安は日本のメガバンクに好悪両面の影響をもたらす
Mon 17 Oct, 2022
https://www.fitchratings.com/research/ja/banks/286fd537-ed73-4454-9f1a-718dab70b736-17-10-2022


Fitch Ratings-Tokyo/Hong Kong-17 October 2022: (本稿の英語版は、「Weaker Yen’s Impact Mixed for Japanese Mega Banks」(2022年10月12日付)として公表されています。)

フィッチ・レーティングス-東京/香港-2022年10月12日:
2022年における対米ドル円相場の下落は、日本の3メガバンク(株式会社三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)、株式会社三菱UFJ フィナンシャル・グループ(MUFG)及び株式会社みずほフィナンシャルグループ(みずほ))の営業利益にプラスの影響を及ぼすとみられるものの、各グループの信用力や格付の構造的な改善につながる可能性は低いとフィッチ・レーティングス(フィッチ)は述べている。

2023年3月期(2022年度)において、3メガバンクの営業利益における海外事業比率は約30%~50%にとどまるとフィッチは予想している。他の条件がすべて同じである場合、対米ドル円相場が2021年度末時点の水準から10円下落するごとに、営業利益は3%~6%増加するとフィッチは推定している。MUFGはMorgan Stanleyから多額の収入を得ており、増加が最も大きくなる可能性が高い。

外貨建て貸出が円換算されるため、総資産及びリスクアセット(RWA)も増加するとみられる。しかしながら、その増加分は営業利益の増加分より小幅であるため、営業利益/RWA比率は若干改善するにとどまるとフィッチは予想する。フィッチは、これらの信用力指標の改善が業績の構造的な変化を示すものではないとみていることから、それ自体が格付アクションにつながる要因となる可能性は低い。

普通株式等Tier 1(CET1)比率については、対米ドル円相場が2021年度末時点の水準から10円下落するごとに、10bp~20bp低下するとフィッチは予想している。この低下の一因として、RWAの計算には2022年度末時点の為替レートが用いられるのに対して、円換算された海外収益の寄与は1年間の平均為替レートが用いられることが挙げられる。SMFGの資本基盤及びレバレッジの評価値「a」のアウトルックは「弱含み」であるため、CET1比率が低下した場合には、最も大きな下方圧力にさらされる可能性がある。

円安による営業利益の増加は、他の要因によって相殺される可能性が高い。例えば、米国の金利上昇により、米ドルの価値は上昇するが、米国債券価格は下落する。金利は先進国の多くで上昇しており、保有外国債券の時価評価による評価損が、近い将来にメガバンクの利益を圧迫するとみられる。



多くの海外市場における金利の上昇により、外貨建て貸出の資金調達コストが上昇することになるだろう。特にみずほは外貨の預貸率が他行より高いため、より影響を受ける可能性がある。資金調達コストの上昇を貸出先に転嫁が可能であることから、流動性リスクは対処可能な範囲にとどまるとフィッチは予想している。日本の銀行は引き続き債券発行と通貨スワップにより資金を調達するとみられ、必要時には日本銀行が提供する外貨流動性ファシリティによっても補完されている。

多くの海外貸出市場には景気後退が迫っており、日本の銀行は与信コストの増加にも直面する可能性がある。このような状況下で貸出先の信用力が低下する場合には、海外向け貸出のリスクウェイトに影響が及ぶ可能性が高い。しかしながら、メガバンク各行の海外向け貸出ポートフォリオは、特に先進国においては太宗がより耐久力のある高格付の貸出で構成されている。その一方、輸入中間財コストの上昇を顧客に転嫁することが困難である日本企業においては、円安が国内資産の質を圧迫する可能性がある。



フィッチは、円安により日本の銀行の貸出が若干増加するとみている。貸出の伸びは2022年2月の前年同月比0.3%から、8月には同2.2%に加速した。これは主に、原材料価格の上昇を受けて、地方の中小企業の借り手による資金需要が拡大したことを反映している。一方、フィッチは円安が有利に働く輸出業者については、資金需要が拡大すると予想していない。大手輸出業者は借入ではなく内部資金により投資を賄うことができるためである。

為替レートのボラティリティが高まると、外国為替取引及び為替ヘッジ業務による収益が増加するため、各グループの外国為替取引による収入も増加する可能性がある。

照会先:
西澤 かおり
ダイレクター
03-6897-8995
フィッチ・レーティングス・ジャパン株式会社
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岡田 一光
アソシエイト・ダイレクター
03-6897-9214

Duncan Innes-Ker
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(オーストラリア、ニュージーランド、台湾及び韓国のみ)Fitch Australia Pty Ltdは、オーストラリア金融サービス・ライセンス(AFSライセンス番号337123)を取得しており、本ライセンスに基づき法人利用者に対してのみ信用格付情報を提供することができます。フィッチが公表する信用格付情報は、2001年会社法が定める個人(retail clients)による利用を意図したものではありません。
https://www.fitchratings.com/research/ja/banks/286fd537-ed73-4454-9f1a-718dab70b736-17-10-2022
34:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/04/19 (Wed) 12:29:54

22年に続き高インフレで実質収入は減少している
2023.04.19
政府が自慢した満額春闘は労働者の1割の大企業だけだった


「満額春闘」、9割の労働者に関係なし

2022年の前年比消費者物価上昇率は4.0%だったので1年間で4%上昇し、21年12月の0.5%から跳ね上がり国民生活に打撃を与えている

植田日銀総裁は「今年度半ばに2%を下回る」と述べていて、日本のインフレは長続きせず沈静化するとの見通しを示している

インフレは生産に対して需要が大きいために起きるが今回はウクライナ侵攻などで原油や天然ガスの供給が減ったのが原因で、日本の景気が良くなったわけでは無かった

アメリカの場合は利上げしても6%以上のインフレが続いていますが、向こうは富裕層の爆買いが止まらず景気が良すぎてインフレになっています

アメリカは上下の所得の差が非常に大きいので、富裕層は毎日フェラーリを買える一方で平均以下の層は高騰する家賃を払えずホームレスが増えている

アメリカでは高収入な人ほどより所得が増えているのに対し低所得な人は物価上昇に賃金上昇が追い付かず、特に家賃は大都市だとワンルーム(2人用)30万円から50万円になっています



日本では23年1月の全国実質賃金が前年比マイナス4.1%になり、物価上昇率のプラス4.0%を丸ごと労働者が負担しているのが分かった

従業員5人以上のすべての事業所平均で、物価が4%上がったのに賃金上昇はゼロか微減だった

春闘などで大幅増が報道されていたが安倍首相時代から疑問に思っていたのは、政府は大企業正社員の賃金だけを上げようとし、ボーナスが出ないような労働者は「人間ではない」とでも思っているらしい

大企業の正社員は日本の全労働者の10%しかおらず、この人達のボーナスをどうしようが9割の労働者には何の関係もない話です

牛丼屋や回転ずしが給料やボーナスを引き上げても、店で働いているのはパートやバイトや個人事業主扱いなので、これも無関係な話です

そうした会社の給料引き上げて収入が増えるのは本社に所属している正社員の人達だけです



日本政府はインフレで債務圧縮
帝国データバンクによると23年の食品値上げが4月18日時点で2万品目になり、前年より3カ月早い2万品目突破になりました

同社では23年秋には値上げが3万品目を超えると予想しているが、植田総裁が正しければ夏をピークにインフレは沈静化する筈です

日銀はインフレ率が上がってもなるべく利上げしない方針を示しているが、その理由の一つは今回のインフレが需要が強まったのではなく原油価格上昇に過ぎないからです

景気が良すぎて物価が上がるなら良いですが景気は悪いまま賃金が上がらないのに物価だけが上昇しているので、今アメリカのように利上げしたらハイパー不況になるでしょう

もう一つは借金に苦しむ日本政府に低金利は都合が良いからで、インフレ率より国債金利が低ければ日本政府の債務は実質でインフレ分だけ圧縮されます

日本政府は防衛費倍増で5兆円、子育て支援でも数兆円を必要としているので、既存債務1000兆円を年数パーセント圧縮できるのは助かる筈です

毎年1%でも政府債務がGDPに対して圧縮されると 10年で10%減るので侮れない数字になり、年10兆円も公的債務が実質目減りします

政府債務が減る分はインフレで苦しむ国民に押し付けられる訳で、何のことはない「政府債務の民間債務への付け替え」に過ぎません

GDP成長率予想は相変わらず実質1%前後(IMF予想は1.8%)に留まっていて、他の主要国より低い状態が今後も続く
https://www.thutmosev.com/archives/47654345j.html
35:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/04/20 (Thu) 14:10:25

ヘッジファンド向け融資もOK、円押し下げ狙う-日銀が20日に新制度
日高正裕、藤岡 徹
2012年12月13日 10:02 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2012-12-13/MEW5KE6KLVTC01

日本銀行は近く詳細を発表する新た な貸出支援制度について、外国金融機関の日本法人・支店を対象に加え るほか、貸出増加額を算出する融資先として、ヘッジファンドを含む国 内外のノンバンクも加える。国内での貸出増加だけでなく、円で資金調 達して外貨に転換する円キャリー取引や、対外M&A(企業の合併・買 収)の増加を狙う。関係者への取材で明らかになった。

日銀は20日の金融政策決定会合で、10月30日に打ち出した貸出増加 を支援するための資金供給の詳細を公表する。日銀に当座預金口座を持 つ預金取扱金融機関が対象で、金融機関の貸出増加額について、希望に 応じてその全額を資金供給する。貸出増加額を算出する融資先は、金融 機関や公的部門、国債への投資を除き、幅広く認める。円建てだけでな く、外貨建ての貸し付けを含めているのが最大の特徴だ。

日銀によると、最近1年間の貸出が増加した金融機関の貸出残高の 合計額は約15兆円で、うち4兆円が外貨での貸し出し。新制度の創設に より、来年1年間で日銀が新たに供給するマネーは、資産買い入れ等基 金で購入する金融資産26兆円と合わせ、計41兆円を超える見込み。

金利は貸付実行時の政策金利(現在0.1%)で、最長4年まで乗り 換えが可能。資金供給の総額の上限は設定せず、「無制限」とする。貸 し付けには日銀が認める共通担保が必要で、同担保には日本国債や手 形、証書貸付債権など国内金融資産のほか、米国債も含まれる。年明け のできるだけ早い時期に1回目の入札を実施する。期間は1年程度とす るが、情勢次第で複数年の延長を視野に入れている。

円高圧力の緩和も期待

過去1年間の約15兆円の貸出残高の増加分について、西村清彦副総 裁は5日、新潟市内で行った講演で「これは実は、恐らく最低限だと思 う」と表明。金融機関の貸し出しがこれまで以上のペースで増加すれ ば、貸出支援基金の残高は15兆円を超えて拡大するとの見方を示した。

11月26日に公表された10月30日の決定会合の議事要旨によると、1 人の委員が新たな資金供給制度について「非居住者向けの円貸出を貸出 増加の算出対象に加えることは、円高圧力の緩和という副次的な効果も 期待できる」と指摘。早川英男理事は11月5日のブルームバーグ・ニュ ースのインタビューで、円キャリー取引が増加し、「結果として自国通 貨安につながる」可能性があるとの見方を示した。

新制度により、過去の一定時点から貸し出しを増やした金融機関 は、その増加額を限度に0.1%の金利で1-3年間の資金供給を受ける ことができ、最長4年まで乗り換えが可能。算出対象となる融資は金融 機関を除く民間に限るが、ヘッジファンドを含むノンバンクへの融資は 除外しない。金融機関が低利で得た資金を何に融資するかも自由で、再 びヘッジファンドに融資することも可能となる。

FRBは量的緩和を拡充

日銀が10日発表した貸出・資金吸収動向によると、11月の銀行貸出 平均残高は前年同月比1.3%増の397兆6836億円と14カ月連続で増加。原 発停止で火力用燃料費が増えた電力会社やM&A向けが押し上げ、2009 年10月(同1.5%増)以来、約3年ぶりの高い伸び率を記録した。

バークレイズ証券の山川哲史調査部長は11月15日のリポートで、日 銀の新制度について「円貨のみならず外貨による借り入れについても適 用範囲となることも含め、企業による対外M&Aに一段と拍車を掛ける 展開となることが予想される」と指摘。「対外M&A等の拡大を通じ、 円安に寄与することが期待される」としている。

また、大和証券の野口麻衣子シニアエコノミストは同月9日のリポ ートで「緩和的な金融環境の浸透という観点から、景気浮揚やデフレ脱 却に向けて貢献できる余地がますます少なくなる一方で、中央銀行の政 策対応に対する期待や要求は強まるばかりだ」と指摘。

その上で「こうした状況下、日銀が低金利環境を積極的に活用した 経済活動の活性化を促すのと同時に、為替に働き掛ける『一挙両得』の ルートを模索しようとする『動機』は十分にありそうだ」としている。

米連邦準備制度理事会(FRB) は今週開催した連邦公開市場委員 会(FOMC)で量的緩和を拡充。1月から米国債を毎月450億ドル購 入する方針を表明した。また、政策金利の見通しを失業率とインフレ率 に関連付ける方針も初めて示した。日銀は19、20日の金融政策決定会合 で、ぎりぎりまで情勢を見極め、追加緩和に踏み切るかどうか検討を行 う見込みだ。

--取材協力:. Editors: 小坂紀彦, 杉本 等
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2012-12-13/MEW5KE6KLVTC01
36:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/04/26 (Wed) 08:48:37

世界最大のヘッジファンド: 豊かな国ほど借金まみれになる理由
2023年4月25日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36175#more-36175

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がImpact Theoryのインタビューで、先進国がほとんど例外なく多額の負債を抱えている状況について解説している。

先進国の膨張する債務

奇妙なことだが、先進国の政府債務残高は軒並み高い。日本もアメリカもそうである。世界的には裕福であるはずの先進国が、例えばそれよりも貧しいはずの東南アジアやアフリカの国々よりも借金が多いのはどういうことか。

ダリオ氏は次のように問題提起している。

人々や社会が裕福になればなるほど負債を増やすようになることは興味深いことだ。これは逆説的だ。

100%や200%というGDP比の政府債務に慣れてしまった現代人は疑問に思わないかもしれないが、よく考えてみればほとんどすべての先進国の政府債務が軒並み高くなっているのは偶然でも当たり前の減少でもなく、何か隠された共通の原因があるはずだ。

個人のレベルで考えてみれば、富裕層が貧困層から借金をするという状況は考えられない。だが政府のレベルでは逆のことが起きている。

ダリオ氏は次のように指摘する。

アメリカが中国からお金を借りるようになったとき、アメリカ人の個人所得は中国人の40倍だった。そしてアメリカは中国からお金を借り始めた。

何故このようなことが起きるのか本当に不思議に思う。

ダリオ氏の仮説

それは何故だろうか。ダリオ氏は次のように仮説を立てる。

これは心理学的なものだ。お金がない人がお金を手に入れるとお金を貯めたいと思う。そして貯金とは誰かにお金を貸すことを意味する。

そして皮肉にも、よりお金を持つようになればお金が借りやすくなり、その人や社会や政府はより多くの負債を抱えるようになる。

裕福な人間の方が借金をしやすいというのは事実だろう。実際、富裕層は借金を自由に利用して投資を行なったり、節税対策をしたりする。

だがそれでも富裕層には資産があり、資産の総額を超えるような借金をすることはない。だが先進国の政府は資産がほとんどないにもかかわらず、借金だけを増やし続ける。

つまり、裕福な国の政府と、裕福な人間では別の行動をしている。ダリオ氏の仮説ではこの違いを説明できない。

国の一生

人間には一生がある。生まれてきて、学校に通い始め、卒業して労働するようになり、やがて肉体や知性が衰えて引退し、死んでゆく。

このように国にも一生がある。それがダリオ氏の言うスーパーサイクルである。

最初は小国であったものが、技術革新や人口増加によって徐々に豊かになり、成熟してゆくにつれて経済成長率が落ち始める。日本で言えば高度経済成長からバブル崩壊後だろうか。

そしてその頃から徐々に借金と紙幣印刷に頼るようになる。力が落ちてゆくのでそうならざるを得ないのである。ダリオ氏によればそれはサイクルであり、ほとんどの国が例外なくそのようになる。

そして最後には人が死ぬように、借金と紙幣印刷により物価が高騰して滅んでゆく。

少なくともそれが大英帝国やオランダ海洋帝国など、かつての大国に起こったことである。

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の繁栄と衰退
世界最大のヘッジファンド: オランダ海洋帝国が繁栄した理由
そしてこのサイクルを見れば、アメリカは衰退のフェイズに足を踏み入れかけている。だからインフレが起こったのである。

世界最大のヘッジファンド: 銀行危機は世界経済全体に波及して物価高騰か倒産危機で終わる
国が借金を増やす理由

だがそもそも何故政府は借金を増やせるのか。人間であれば、資産がほとんどないのにGDPの200%以上の債務を積み上げることはできない。

何故それが政府には可能なのか。ダリオ氏の見解によれば、有権者がそれを許可するからである。ダリオ氏は次のように述べている。

選挙前には政治家には借金を増やして支出を増やす動機がある。有権者は誰も借金の方には注意を向けず、そのお金が何処から来るのかは気にもせず、支出の方にだけ注意を向けるからだ。

負債の上でパーティをやっているようなものだ。

だから毎年税金で数百万自分から奪ってゆく政府に10万円を給付されただけで彼らは嬉しくなってしまうのだ。だがそれは元々自分の金である。彼らは馬鹿なのだろうか。

政府を選ぶ有権者は定義上国民の過半数なのだから、国民の過半数が借金を許せば政府は借金をするだろう。政治家の仕事は国民から税金を徴収して自分の票田にばら撒くことなのだから、その被害者がそれを許してくれる状況でそれを拒む理由がない。

だが状況としてそれが可能になっても、経済的に可能になるわけではない。100%しか資産がないのに借金をして200%消費しようとすればどうなるか。単純にものの値段が2倍になるだけである。実際今それが起こっている。

日本政府の全国旅行支援で宿泊予約殺到してホテル代値上がり
借金によって消費を無理やり増やすことは、インフレを生じさせるだけでなく、長期的には増税を増やす。国の借金はいずれ税金という形で国民から徴収されるか、紙幣印刷によって返済されるしかないが、紙幣印刷はインフレを悪化させるので、緩和政策の出口は結局は増税か物価高騰しかない。それが多くのファンドマネージャーらが指摘していることである。

ポジャール氏: 中央銀行は金利高騰か通貨下落かを選ぶことになる
世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
だが政治家には関係ない。自分は票田とともに利益を得られる上に、国の借金は自分が引退した後に誰かが何とかするものである。彼らに遠慮をする理由があるだろうか。だから東京五輪でも全国旅行支援でも好きにやったではないか。

経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏が次のように言っていたことを思い出したい。

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
しかし、短期において支持を獲得することができれば、長期的な効果について気にかける政治家が果たしているだろうか。

日本にはいまだに国の借金には問題がないなどと言う人間がいることには驚かされるが、事実日本では増税とインフレが降り掛かっているではないか。インフレ政策の当たり前の帰結に気付くことの出来なかった自民党支持者の知性には本当にいつも驚嘆せざるを得ない。彼らの頭脳は最高である。

ハイエク: 緩やかなインフレが有益であるという幻想
結論

何故こうなるのか。ダリオ氏はこう説明している。

人々は近視的なのだ。子供を育てるときのマシュマロ・テストと同じだ。

小さい子供に今マシュマロを1つ受け取るか、15分後にマシュマロを2つ受け取るかを選ばせる。賢明な子は15分我慢して2つのマシュマロを手に入れる。

だが現代の多くの社会では人々は今それがほしいのだ。

大半の日本人は 賢明な子供以下ということだろう。あるいは人間とはそういうものではないか。賢明な子供ほどの頭脳のある大人などほとんど見たことがないではないか。

お金をばら撒けばインフレになるという子供でも分かるような理屈さえ分からず、インフレになった今でさえエネルギー購入支援や全国旅行支援というインフレ政策を行う政治家をのさばらせ、どれだけ年金を減らされ税金と社会保険が増えようとも政治家という略奪者を自分で当選させる馬鹿ばかりなのだから、日本の将来はどうしようもなく明るいだろう。

良かったではないか。自分の欲しかったものを手に入れた彼らの将来を祝福したい。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36175#more-36175
37:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/04/29 (Sat) 01:36:55

ガンドラック氏: 量的緩和は権力者と中国を裕福にし貧乏人をより貧乏にする
2021年5月20日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13619

引き続きYahoo! Financeによるジェフリー・ガンドラック氏のインタビューである。今回は量的緩和と現金給付が貧富の差を是正するかという議論だが、ガンドラック氏の論点は示唆に富んでいる。

コロナと財政政策

コロナで職を失ったり商売が立ち行かなくなった人が大勢いる。それで現金給付のような政策が支持されており、アメリカでは増税と景気刺激の組み合わせを行おうとしているバイデン政権が選ばれたのである。

しかし国民から多く徴収して多くばらまくという政策には経済学的には疑問も残る。増税をすればその分国民は消費が出来なくなるだろう。その分を政府が代わりに投資するというコンセプトなのだが、これは実際にはライブのチケットを買おうとする音楽ファンの国民からチケット代を取り上げ、代わりに五輪のチケットを渡す政策に等しい。

日本で自民党が行なっている増税・財政支出の組み合わせも同じである。このような経済政策が機能するだろうか。それを考えるためには、歴史上同じような政策が採用された例を探せば良い。ガンドラック氏は次のように論じている。

現在のような節操のない金融・財政政策を行なった結果を歴史上の例から探すと、かなり悲惨な結果となる。その結果は大体内戦か革命だ。

歴史的に著名な例はフランスの王政である。ガンドラック氏はフランス革命の時にも現在と同じような経済政策が取られたとし、次のように述べる。

例えばフランス革命だろう。フランスは1770年代に金本位制度から離脱したが、1780年代には食糧を求めて暴動が起きた。パンが不足してパンの価格が高騰したので、女性たちはヴェルサイユ宮殿にいるルイ16性と王妃マリー=アントワネットに対してデモを起こした。

金本位制度からの離脱とは、元々中央銀行が紙幣と金を交換する約束をしていたのをその約束を反故にし、紙幣を持ってきても金は渡さないと宣言することである。

つまり金本位制度からの離脱は中央銀行の債務不履行であり、紙幣の価値を下落させる量的緩和と基本的に同じである。アメリカでは1970年代に同じことが起こり、ニクソンショックと呼ばれた。

レイ・ダリオ氏、「現金がゴミ」になったニクソンショックの経験を語る
それと同じことがフランス革命においても起こった。当時パンの価格が高騰したことは、現在金融市場において物価高騰が懸念されている状況と重なる。

ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
現金がばら撒かれたにもかかわらず、何故フランスの人々はデモを起こさなければならなかったのか。ガンドラック氏はこう語る。

何故それが起こったか。紙幣印刷と現金給付によって中流階級が貧乏になり、貧困階級は死ぬほど飢えた。一方で紙幣印刷のレバーを握っている側は更に裕福になった。

量的緩和がどういう理由で行われているかを考えればそれは明らかだろう。量的緩和は政府債務を支えるために行われている。金利を低く抑えられなければ政府は膨大な借金の利払いで他の支出が出来なくなる。他の支出が出来なくなれば何故困るのか。政府予算に依存して利益を得ている人々が利益を得られなくなるからである。

だからばら撒き政策は既得権益層をますます裕福にし、その恩恵は中間層には返ってくることはない。

アメリカの消費と中国の輸出

ガンドラック氏は今の状況に照らし合わせてより具体的な話もしている。

こうした政策はアメリカの消費を促進している。だがアメリカの生産者にはほとんど関係のない話だ。消費は増えたが、消費されるものは中国から来ている。アメリカ人が中国のものを大量に消費しているので中国のGDPはどんどん上がっている。

現金給付によりGDPの構成要素である個人消費は上がった。現金給付によって毎月の消費が押し上げられる様子は以下の記事で解説している。

アメリカの現金給付の威力を確認する
しかし消費される商品は何処から来ているのか。これらの商品の多くは現代においては中国で作られている。つまりアメリカの資金が中国に流れているのである。アメリカは借金をしてこれらの政策を行なっているので、アメリカは実質的には借金をして中国に貢いでいることになる。

更に言えばその資金は何を通して中国に流れてゆくのだろうか。ガンドラック氏によれば、その資金はAmazon.comなどのオンラインストアを通して中国に流れてゆく。

こうした消費はどうやって起こるか。単純化して言えばこうした消費はアマゾンを通して行われている。アマゾンはこうしたビジネスで大きなシェアを獲得している。だからジェフ・ベゾス(訳注:Amazon.comのCEO)のようなシリコンバレーの億万長者が政府の現金給付によって相当に豊かになる。

しかしその資金は中流階級の自国民には返ってこないのである。 中間層に何が起こるかと言えば、後に残った莫大な政府債務を返すために増税のくびきに掛けられることになる。

大きな政府と小さな政府

増税と財政出動を組み合わせ、国民から大きく吸い取り大きく吐き出す政府のことを大きな政府と言うが、予算の大きな政府の政治家達が資金を吐き出す時には当然ながら彼らの利益となる場所に資金吐き出すことになる。

日本政府が消費増税を行いオリンピックやGO TOトラベルを強行する理由は何か。一般国民から吸い取って自分の票田である宿泊業界や大手メディア、広告代理店などに吐き出すためである。保守派とは伝統的にこうした政府の利権を認めず政府の予算を縮小しようとする立場のことを言うので、自民党は保守ではない。何度も言っているのだが大半の日本人にはこれが分からないらしい。

純粋に資本主義的な存在であるガンドラック氏やドラッケンミラー氏などの大物ファンドマネージャーらが、政治家たちの政治的な言い分とは距離をおいて本当に国民のためになる政策とは何かという話が出来るのは興味深い。実力のある人間は利権がなくとも金を儲けられてしまうので反利権派になるのである。

ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶
ガンドラック氏、インフレ無視の中央銀行を痛烈批判

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13619
38:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/14 (Sun) 12:10:22

世界最大のヘッジファンド: 銀行危機は悪化しインフレは止まらずスタグフレーションになる
2023年5月12日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36793

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がModern Wisdomのインタビューでアメリカ経済の先行きについて語っている。

積み上がった債務とシリコンバレー銀行破綻

アメリカ経済はGDPで言えば減速はしているもののプラス成長を維持してはいる。

ますます弱ってゆくアメリカGDP、2023年第1四半期は予想以上の減速
だがアメリカ経済に不安があるのは何故か。シリコンバレー銀行などの地方銀行が次々に破綻しているからである。

アメリカ経済はいま非常にいびつである。全体としてはまだ減速してない一方で、地方銀行や中小企業などは悲鳴を上げている。

ダリオ氏はこの状況をどう見るだろうか。彼は次のように述べている。

大きな問題は大量の政府債務、そして企業の債務、それよりは少ないが家計の債務が積み上げられたことだ。

シリコンバレー銀行の問題は特定の銀行の問題ではなく世界規模の問題だ。

何故か? ダリオ氏がよく言っているように、誰かの負債は誰かの資産だからである。借金があるということは、誰かがお金を貸しているということである。お金を貸した人は貸したお金の代わりに債券を受け取る。政府にお金を貸せば国債を受け取る。そして貸し手は債券を当然ながら自分の資産だと思っている。

債券は金融市場で売買できるので、債券の保有者はそれを忘れがちだが、それは誰かの借金なのである。

膨大な借金が積み上げられたということは、世の中には大量の債券があり、それを多くの人が持っているということを意味する。そして問題は、それらの債券の価格が何十年もの低金利政策で人為的に押し上げられてきたということである。

特に2008年のリーマンショック以来、世界中の中央銀行が紙幣を印刷して買い入れ、債券価格を直接買い支えてきた。

それを買い支えられる間は良かったかもしれないが、インフレが起こると緩和政策はインフレを悪化させる。それでアメリカやヨーロッパは長年続いた緩和政策を撤回し、債券価格の人工的な買い支えを止めなければならなくなった。

インフレ退治と債券価格

それは債券価格の下落を意味する。債務が少なければその影響も少ないかもしれないが、残念ながら債務は世界中に大量に積み上がっている。

そしてそれは債券として誰かが保有している。それは世界中で資産価格が大きく下落していることを意味する。

破綻したシリコンバレー銀行も下落した米国債を持っていた。それが破綻の一因となった。だが米国債を持っているのはシリコンバレー銀行だけではない。アメリカの政府債務は31兆ドル積み上がっており、それは誰かの資産であり、しかもその大半は価格が大きく下落している。それが今の問題である。

ダリオ氏は次のように述べている。

同じことが何処でも起こっている。銀行だけではない。保険会社もそうだ。世界中で同じことが起こっている。ヨーロッパでも、そして日本でもドル建ての債券を持っている人は多い。

だがアメリカの中央銀行であるFed(連邦準備制度)次のように主張していた。

3月FOMC会合結果、パウエル議長に2018年世界同時株安の影が見え始める
シリコンバレー銀行の破綻は例外的な事例だ。銀行システム全体に広く存在する脆弱性ではない。

彼らはアメリカの中央銀行でありながら米国債の発行残高と価格推移を知らないらしい。日本の黒田なにがしを含め、中央銀行に期待できることは高々そのくらいである。

ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない
銀行危機は波及する

さて、銀行危機の問題はそれだけではない。シリコンバレー銀行が破綻したということは、それで損をした人がいるということである。シリコンバレー銀行の株主や債券保有者は当然だがシリコンバレー銀行破綻で大損した。それらの人々のうち何人かは、まだ表沙汰になっていない何処かで苦境に陥っているだろう。それが次のシリコンバレー銀行となり、その破綻が更に次のシリコンバレー銀行を作ってゆく。

ダリオ氏は次のように述べている。

金融引き締めがドミノを倒そうとしている。これから更に問題が生じることになる。

増えすぎた債務の帰結

結局のところ、債務の量が多すぎることが問題なのである。債券が多すぎるが、これまで買い支えていたFedはもう債券を買っていない。

ダリオ氏はこの問題の帰結についてこう述べている。

金利が上がるか中央銀行がまた紙幣印刷して買い支えるしかない。この問題は欧州中央銀行でも日本銀行でも同じだ。

一部のファンドマネージャーは後者を予想してゴールドを買っている。

ドラッケンミラー氏、ドルを空売りしてゴールドを買い
ポールソン氏: ドルからの離脱が今のトレンド、資金逃避で金価格上昇へ
だが問題は、どちらでも酷い問題が生じるということだ。ダリオ氏はこう続ける。

シナリオは2つある。1つは価値の落ちていない通貨で普通に債務が支払われること、もう1つは紙幣印刷で簡単に返すことだが、その場合には通貨の価値は落ちているだろう。

借金を真面目に返せばこれまでの借金漬けの優雅な生活はできなくなる。借金で優雅な生活をしていたのは国民ではなく政治家とその票田なのだが、彼らは増税とインフレを通して国民に支払いを依頼するそうだ。日本人は投票を通してそれにイエスと言っている。

いずれにせよ不況かインフレ、あるいはその両方しかない。ダリオ氏はこう纏めている。

多分スタグフレーションになると思う。

日本ではいまだに国の借金が増えただの、政府の借金は国民の借金ではないから大丈夫だのという話をしている。本当に馬鹿ではないのだろうかと思う。この状況をどう読み取ればそういうお花畑な結論になるのだろうか。

世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
マイナード氏 : 日銀の持続不可能な緩和政策の破綻は他国の教訓的前例になる

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36793
39:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/14 (Sun) 12:56:16

ドラッケンミラー氏: あと半年でハードランディング、 米国経済に死体が積み上がる
2023年5月13日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36802

ジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを運用していたことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏がFed(連邦準備制度)の金融引き締めでハードランディングが起こるタイミングについて語っている。

史上最大の資産バブル

バブルが崩壊しようとしている。2008年のリーマンショック後に始まったゼロ金利と量的緩和という名の紙幣印刷政策は、中央銀行の緩和がある状態が当たり前だという意識をアメリカ経済に植え付けた。

更にはコロナ後に世界中で現金給付が行われ、特にアメリカ経済には未曾有の規模の資金が流れ込み、そして世界的な物価高騰が起こった。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした
インフレによって金融市場の状況は一変した。Fedはインフレ抑制のために大規模な緩和政策から一転して大規模な引き締め政策を強いられ、もはや緩和政策は出来なくなった。アメリカのインフレ率は2022年からの引き締めで下がってきてはいるが、緩和をするとインフレが再発するからである。

ドラッケンミラー氏はこの状況について次のように述べている。

今の状況はわたしが見た中、あるいは研究した中で最大かつもっとも広範囲な資産バブルで、それは10年か11年続き、フィナーレとしてコロナ後にアメリカ政府は5兆ドルを支出し、Fedはその60%を融通した。

そして今や大幅な利上げが行われている。これらの要素と、1950年以来数えるほどしかソフトランディングは起こっていないこと、そしてそれらはすべてFedが事前に対処した結果であったことを考えると、ソフトランディングがあり得ると考えることは困難だ。

Fedはもはや事前に対処できない。もしかすると事後にも対処できないかもしれない。金融引き締めでアメリカ経済が壊滅状態に陥ったとしても、そのときにインフレ率が下がっているとは限らない。もしインフレ率が下がっていなければ、Fedはインフレ抑制のために引き締めを続けて既に壊滅状態のアメリカ経済を更に壊滅的にするのか、あるいは経済成長率を救うために緩和をして既に起こっているインフレの火に油を注ぐのかの選択を強いられることになる。

それがインフレ政策を煽った政治家たちの口からは語られなかったインフレの本当の意味である。つみたてNISAもそうだが、詐欺師が事前にリスクを説明することはない。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
ハードランディングのタイミング

だからドラッケンミラー氏はハードランディングは不可避だと考えている。だがそれ自体は筆者が2021年にインフレが起こったときからずっと予想していることだ。筆者が不況前に起きるアメリカ国債の長短金利逆転を予想し、それを的中させたのはもう1年も前の話である。

長短金利逆転を予測できた理由と今後の不況と株価暴落について
だが巨大なバブルは徐々にしか崩壊しない。リーマンショックも住宅価格の下落という終わりの始まりから完全な崩壊まで2年かかった。経済危機の歴史を振り返ると、ショックと言っても一瞬で起こるわけではないのである。

ドラッケンミラー氏はハードランディングのタイミングについてどう考えているのだろうか? 彼は次のように述べている。

タイミングについては、それがハードランディングかソフトランディングかということよりも不確実になる。

すべての状況を考慮すると、タイミングは今年の第4四半期から来年の第1四半期だろう。

これから半年ほどといったところだろうか。

現在のアメリカ経済と今後の見通し

まだ時間がかかる理由は、金融引き締めの影響はアメリカ経済の一部には既に深刻な状態となっているが、影響を受けるまでにまだ時間がかかるセクターもあり、経済がいびつな状態になっていることである。

ドラッケンミラー氏は次のように説明している。

データは強弱入り混じっている。住宅市場は歴史的には経済全体の先行指標だが、それは十分に強い。レストランや旅行も十分に強い。だが例えばトラック輸送は6ヶ月から8ヶ月ほど早い先行指標としてわたしの会社の創業以来経済予想に役立ってきたが、それは極めて弱い。小売からは非常に悪いニュースが聞こえてくる。

そして銀行の問題だ。

一番悲鳴を上げているのは地方銀行だろう。シリコンバレー銀行の破綻に始まり、もういくつもの銀行が破綻している。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
最初がシリコンバレー銀行だったことには恐らく意味がある。シリコンバレーにはゼロ金利にあぐらをかいて利益を永遠に出す気がなかった赤字企業が大量にいて、借金で延命されていたが、金融引き締めで借金が出来なくなって死んだのである。そうした企業が預金を引き出したのでシリコンバレー銀行も死んだ。

それはリーマンショック以来積み上げられたゾンビ企業を大掃除する過程なのである。ドラッケンミラー氏は次のように述べている。

資金があふれかえると人々は馬鹿げたことをする。資金が11年もあふれかえると人々は本当に馬鹿げたことをする。

だから水面下ではそれが始まっている。 地方銀行が良い例だ。

一部の人は銀行危機がもう終わったと嘯いている。だがドラッケンミラー氏は不吉な予想を口にしている。彼は次のように言っている。

だが死体はもっと積み上がるだろう。

それは以前から分かっていた。だがそろそろタイミングを予想する時期が近づいている。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36802
40:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/18 (Thu) 07:10:19

サマーズ氏: 日銀の植田総裁はイールドカーブコントロールからの離脱プロセスを開始した
2023年5月3日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36397

アメリカの元財務長官でマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏がBloombergのインタビューで、就任後初めての金融政策会合を通過した日銀の植田総裁について語っている。

植田総裁の初登板

インフレ政策でインフレを引き起こした挙げ句、「インフレ目標を達成できなかったことが残念」と言い残して舞台を去った黒田なにがしに代わり、4月にはマクロ経済学者である植田氏が日銀総裁に就任した。以下の記事には就任前の彼の金融政策に関する主張が纏めてある。

日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者
植田氏には黒田氏が円安を通して引き起こしたインフレの後始末が求められている。本当は黒田氏の時代に副総裁を務めた雨宮氏らが新総裁候補の本命だったのだが、誰がやっても惨事にしかならないインフレの後始末をすることを雨宮氏らが嫌がったために植田氏が急遽浮上したと言われている。

4月28日には植田総裁になってから初めての金融政策決定会合が行われた。植田氏の初登板についてサマーズ氏は次のように語っている。

彼は用心深く抜け目のない人物だと思う。為替レートであれ金利であれ、レートの固定とはチェックインは簡単だがチェックアウトの難しいホテルだ。

予想通りだが、初回の決定会合では大した発表はなかった。日本のインフレ率が日本政府による意図的な粉飾を除けば4%を超えて推移する中、黒田氏の始めた大規模な紙幣印刷政策を維持し、緩和政策の有効性と副作用を検証すると発表した。

日本政府の詐欺的な物価指数の計算方法がインフレを悪化させる
緩和維持をどう見るか

初回の緩和維持をどう見るかである。そもそも日銀は何故緩和政策の撤回に追い込まれているのか。

先ず第一にインフレと円安である。2022年には日銀の量的緩和によって大幅な円安が進行した。2022年はドル高の年でもあったので分かりにくいが、2022年の日本円はドルだけではなく東南アジアなど新興国の通貨に対しても下落するなど世界最弱通貨の1つとなった。

その原因は日銀が長期金利に上限を設定するイールドカーブコントロールである。2022年には金利がイールドカーブコントロールの上限に達し、日銀が紙幣を印刷して国債を買い支え、金利を抑えなければならなくなった途端に円安が進んでいる。2022年春のことである。以下はドル円のチャートである。


円安が進むと輸入物価が上昇する。事実、原油価格はドル建てではもうかなり下がっているのに、日本のガソリン価格がまだ高いのは円安のせい(つまりは日銀のせい)である。ドル建ての原油価格は次のように推移している。


インフレの何がまずいのか

この状況の何がまずいのか。日銀がこのまま緩和を続けると円安を通してインフレが悪化し続ける。だから円安とインフレを止めたければ、日銀は国債の買い支えを止める必要がある。筆者やスタンレー・ドラッケンミラー氏が日本国債の下落を見込んで空売りを仕掛けている理由はそれである。

ドラッケンミラー氏、日本のインフレで日本国債を空売り
勿論日銀には永遠に紙幣を刷り続けて緩和を続けるという選択肢もある。だがそうなれば物価は青天井に上がり、日本人は自分の預金で何も買えない状態に陥るだろう。

そもそも日銀はそれを目指しているという話もある。結局はインフレと通貨暴落だけが日本政府の莫大な政府債務をチャラにする方法だからである。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
それはドイツが戦後の賠償金を完済した方法である。政府の借金はチャラになるが、同時に国民の預金は紙くずになる。

日本政府にとっては、自分で積み上げた債務の責任を何一つ取ることなく国民が勝手に犠牲になってくれるのだから、それ以上の方法はないだろう。だが日本国民がそういう目的の緩和政策を支持した理由はよく分からない。彼らは馬鹿なのだろう。少なくともファンドマネージャーの目からはそう見える。彼らは自分が何を支持したのかさえ分かっていない。

世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
植田総裁の優先順位

だが今の状況、植田総裁にとっては有利な点が1つある。インフレ抑制で先に利上げを行なっていたアメリカでは景気が減速し始めていることである。

サマーズ氏: スタグフレーションの危険あり、高確率で景気後退へ
それに連動して日本の金利高もやや収まっている。少なくとも日銀の設定した長期金利上限である0.5%を継続的に叩くような状況には陥っていない。

日銀は金利が上限に達しない限り国債を買い支えなくて良いので、植田氏が初回会合で金利上限を上げなかったのは、市場が催促しない限り自分から金利上限を上げる必要はないと考えているからだろう。

その判断自体は理にかなっている。植田氏は腐ってもマクロ経済学者である。単なるノーパンしゃぶしゃぶの省出身の黒田氏とは違うのである。彼は経済学など何も知らなかった。それでインフレ政策でインフレを引き起こし、そのまま逃げて行った。

日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者
実際、筆者が日本国債の空売りを始めた時から想定していたように、アメリカ経済が減速すれば日本経済にも一時的なデフレ圧力になるシナリオは存在する。筆者はアメリカ経済のハードランディングは不可避だと考えているので、それはメインシナリオですらある。

世界最大のヘッジファンド: 銀行危機は世界経済全体に波及して物価高騰か倒産危機で終わる
植田氏もそれを想定しているのだろう。今引き締めをすれば海外の減速で経済が落ち込みすぎる可能性があると指摘している。

日本のインフレ見通し

植田日銀はこのまま緩和を続けていくのか。ドル円の動きなどを見ても、市場のコンセンサスはそのようになっているように見える。

だが世界最高のマクロ経済学者であるサマーズ氏はまったく別のことを言っている。彼は次のように述べている。

日銀の緩和は目的よりも長生きし過ぎたと言うべきだろう。緩和政策の検証を開始したことによって、植田氏は金利の固定からの離脱プロセスを開始したのだとわたしは考えている。

日銀がこのまま金利を押さえつけ続けられる可能性など少しも考えていないことが彼のコメントから分かる。

既に利上げでインフレに対処しているアメリカやヨーロッパの人間から見れば、遅かれ早かれ日銀が金利を上げなければならない(国債の買い支えを止めなければならない)のは自明なのである。そうでなければ物価は青天井に高騰してゆく。

私見では、アメリカ発の世界的な不況があったとしても、日本の経済成長率には影響する一方で、海外要因ではインフレ率はそれほど下がらないだろう。日本のインフレは自民党のおかげで既に国内要因へと飛び火しているからである。

日本政府の全国旅行支援で宿泊予約殺到してホテル代値上がり
アメリカやヨーロッパは、大幅な利上げをしてもインフレ率はなかなか下がらないということを既に経験している。日本人だけがインフレの状況で紙幣印刷や全国旅行支援などのインフレ政策を続ける狂気が狂気であると気づいていない。馬鹿は本当に痛い目を見るまで状況を理解しない。

結論

だから、筆者は植田氏の理屈に多少の理があることを認めた一方で、植田氏が2021年にインフレ加速の事実を希望的観測から無視していたFed(連邦準備制度)のパウエル議長のように見えるのである。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ (2021/7/18)
インフレは放っておけば加速してゆく。金利が同じでも、名目金利からインフレ率を差し引いた実質金利が、インフレ率の上昇で自然に下がってゆくからである。

このままでは一部バブルになっている住宅価格も更に上がってゆくだろう。筆者は2021年にアメリカ経済に対して同じことを言ったが、住宅価格が例えば年に10%上がるような状況で金利がゼロだとしたら、誰もがコストゼロの住宅ローンを組んで値上がりを続ける資産を買うだろう。

そして誰もが家(や他のもの)を借りた資金で買うようになり、インフレ率はますます上がり、物価の上昇率と金利の乖離は更に進んでゆく。

このように、金利が変わらない状況ではインフレは自己強化的にますます悪化してゆく。植田氏はそれを見逃している。

サマーズ氏は日銀が緩和 を続けるシナリオは有り得ないと考えている。著名投資家たちも去年の時点で同じことを言っていた。特にガンドラック氏は長年インフレを目指した日銀のインフレ政策について傑作なジョークを述べている。

ガンドラック氏、日銀の量的緩和を皮肉る
日銀は賢明だ。80階の窓から飛び降りて、70階分落下したところで「今のところは良い状態だ」と言っているようなものだ。

だからあと10階分はまだ落ちられるかもしれない。だがもうすぐ地面である。日本の物価高騰がどうしようもなくなるまで、もうそれほど時間はないだろう。

マイナード氏: 日銀の持続不可能な緩和政策の破綻は他国の教訓的前例になる


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36397
41:777 :

2023/06/07 (Wed) 12:19:41

対外純資産が増えても日本は豊かにならない仕組み
2023.06.07
対外純資産が増えても「使えないお金」が増えるだけで日本のGDPは増えない


画像引用:https://www.yutaka-trusty.co.jp/market/blog_oogo/ 2022年末の日本の対外純資産、4年連続で過去最高を更新!日本が32年連続で最大の純資産国に!! – 豊トラスティ証券マーケット情報
国滅んで対外資産あり

財務省が5月26日に発表した2022年末の対外資産は円安で過去最高を更新し32年連続で世界一、418兆6285億円に達しました

なんだか誇りに思えるような気がしますが言い方を変えると「日本国外にあって日本人が使えないお金が418兆円で世界一」になっています

対外純資産の内訳は直接投資(海外企業の買収)で45.8%。外貨準備が39.3%、証券投資が26.1%、かつては証券投資が最大だった

海外企業の買収ではソフトバンクによるスプリントやArm買収、武田製薬によるシャイアー買収などが大型M&Aとして話題になりました

例えば武田はシャイアー株主に6兆円払いソフトバンクはアーム株主に3兆円を払い、利益が出れば配当を受け取ったり企業としての利益を得る事ができます

一見すると日本は儲かっているようですがもしこの10兆円を武田とソフトバンクが日本国内に投資し国内で成功したらもっと日本として儲かった筈です

日本国内のお金で外国企業を買収して利益を得ても、そのお金を日本国内に投資した場合と比べて日本の国内は貧困化していきます


バブル崩壊以前の日本はこうではなく企業は日本国内に投資して国内で利益を出していたので、全額が日本のGDPになり日本経済は不沈艦と呼ばれていました

分かりやすいのはバブル絶頂期の1986年の対外純資産が28兆円でバブル崩壊した90年は44兆円だったのが、阪神大震災の95年に84兆円に増えています

その後日本企業の日本脱出(あるいは海外進出)によってリーマンショックの2008年に225兆円、安倍政権発足の12年末に300兆円に達しました

対外純資産が増えたのは「日本のお金が海外に投資された」事ですが、その分日本国内への投資が減った事でもあります

日本の労働者や日本企業が稼いだ418兆が日本の為に使われず、米中欧や東南アジアや中東やアフリカなどで投資されました

一層日本を貧しくするのはここから先で、日本国内に投資したお金で利益をえるとそのお金は日本国内に再投資されます


一度出て行った金は日本に戻らない
例えば日本のアニメを日本で制作してヒットして利益が出たら「同じアニメスタジオでもう一本作ろう」という事になると思います

ところが一度海外に投資されたお金は海外で利益を挙げたのでまた海外に再投資され、2度と日本に戻ってくることはありません

ソフトバンクがアームやスプリントに投資した金はアームやスプリント事業に再投資されたり、別の海外事業に投資されます

武田製薬が6兆円もかけてシャイアーを買収したのは海外で販売する為なので、利益が出たら全額を海外事業に再投資します

対外純資産で最多は海外企業買収でしたが2番目は政府による外貨準備が39.3%、海外への証券投資が26.1%でした

日本政府は外貨準備のほとんを米国債で保有していて、米国政府は日本のお金で道路や橋や病院などを建設しています


これも日本人のお金なのに日本人のために使われておらず、配当があっても日本政府はそれで再び米国債を買い増すので永遠に日本に戻ってきません

3番目の証券投資はNY株式や中国や欧州など世界の株式市場に投資されていて、当然利益が出たら海外株式を買い増すので日本には戻ってきません

このように対外純資産とは『日本が失ったお金』なので何兆円あったとしても日本人が使う事はできないのです

一方で日本が投資した外国では日本のお金でインフラ整備したり工場を立てたり企業活動が活発になるので株価は上がりGDPもあがり生活水準も向上します

こうして新興国は先進国からの投資で急成長し韓国や中国企業は急成長して日本企業を次々に倒し、日本は自分が投資したお金を使って倒されるという滑稽な事態になりました

アメリカは国債を買っている日本のお金で生きているのに、日本に対して親分気取りで指図し巨大IT企業を作って日本企業を倒しました

もし日本が418兆円を外国に投資せず 月への有人飛行でもしていたら、今頃日本が世界のIT産業リーダーだったかも知れません

最近台湾のTSMCを筆頭に外国から日本への投資が増えていますが、対国内投資のGDPで日本は長く世界最下位(OECD加盟国)で北朝鮮と同程度だったと考えられます

もし外国から日本への投資が増えて日本企業の国内投資が増えると日本の対外純資産は半減するかもしれませんが、そうなった方が日本の成長率は倍増するでしょう

https://www.thutmosev.com/archives/27394.html
42:777 :

2023/06/13 (Tue) 18:45:14

796回  株価3万2000円超え!頼むから余計な事をしないでくれ
髙橋洋一チャンネル
2023/06/09
https://www.youtube.com/watch?v=WFFXh7tAAXA
43:777 :

2023/06/16 (Fri) 19:00:35

オーストラリアのバイト時給は2500円、日本との物価差
2023.06.15
オーストラリアでは小さい水が300円、ちなみにモヤシ1袋も約300円だという
https://www.thutmosev.com/archives/278687t.html

画像引用:https://ameblo.jp/blackjackaus/image-12798393287-15269818315.html オーストラリアのもやしの値段に驚くなかれ。の画像

関連動画が記事下にあります

先進国間の価格差に注目

少し前にオーストラリア移住で年収が4倍になるというニュースがあって、日本人が外国に出稼ぎに行く時代が来たと騒がれていました

オーストラリアに実際に住んでいる人の動画などを見ると学生のアルバイト時給が平均2500円で日本の2倍以上だということです

以前のオーストラリアは日本の半分程度の収入体系だったが2008年リーマンショック以降の世界的な資源バブルで一気に富裕国になりました

それまで「石ころしかない国」だったのが石ころ達の価格が何倍にもなり中国などが爆買いして高騰した為、オーストラリア人は働かずに富を得られるようになりました

リーマンショックで米FRBのバーナンキ議長は「空から金を撒けば景気は良くなる」と言って数百兆円もの金をばら撒き、その金は世界を駆け巡って経済危機を終息させました

この金ばらまきはあまりにも効果があったので経済危機が終わった後も継続し拡大され、以降10年間全世界がバブルマネーによる好景気を甘受しました


金融当局が金をばら撒いたので資産価値が上昇し、原油とか金属、土地価格や株など「資産」の価値は何倍にも上昇しました

一方で労働者の賃金や工業製品など資産ではない労働価値は低下し、地価が何倍にも上昇した同じ期間に賃金は少ししか上昇しませんでした

また中東やオーストラリアのように資産を持つ国が大儲けした一方で、日本のように労働価値によって経済活動していた国は経済縮小した

要するに汗水たらしてブラック労働する日本人よりも、石油や金属を機械が掘るのを眺めている人達が何倍もお金を儲けました

中国は2008年以前は輸出と労働で経済成長していたが2010年代は地価の値上がりや不動産投資など資産価値上昇で経済成長しました

韓国や台湾の首都マンションは東京23区より高い1億円以上になり、その資産価値上昇によって韓国全体のGDPを引き上げました


不自然な価格差は調整されるか
ここまでは良い話で「日本もそうすれば良かった」という事ですが、物事には始まりと終わりがありバブル経済もいつかは終わりが訪れます

2008年のFRBによるお金ばらまきで(日本を除く)全世界の資産価値が高騰したが、ソウルや北京や台北のマンション価格は年収の30倍以上なっています

どう考えてももう彼らの資産価値が上昇する余地がないので、今まで吊り上げた分は今後下落すると考えられます

下落は瞬間的に半分になるというよりも政府が暴落を食い止めるが、その後数十年上昇率が抑えられると思います

日米欧やオーストラリアや北欧なども含めた先進国では理論上物価は同じになる筈ですが実際は2倍以上も違う場合があります


有名なビッグマック価格は日本400円程度に対して欧米は700円以上の事が多く、ペットボトルの水は日本は高くても200円ですがその2倍する国もあります

実は2008年の世界経済危機の前もそういう状況で、 特に北欧やスイスは「ペットボトルの水が800円」とか報道されていました

当時もマスコミやネットは「日本がいかに衰退し物価が安くなったか」欧米は発展しているので物価も高いと言っていたが物価はそういう物ではないです

水の入手が困難などの事情がなければ同じような先進国で物の値段は同じになる筈で、2倍も違っていたらいつか修正されます

その修正が2008年世界経済危機で1ドルは120円台から70円台になり多くの先進国の物価は同じ程度になりました

その後世界資産バブルでまた日本の物価だけが安くなり他の先進国が高騰したが、いつか市場原理によって強制的に調整されます

その調整は日本の物価が上昇して欧米並みになるかも知れないし、1ドルが50円になるかも知れず、再び世界的な経済ショックが起きるかも知れません


動画:バイト時給がたった3000円しか貰えないので生活が苦しいと訴えるオーストラリアの女子大生
https://www.youtube.com/watch?v=CepSVdTYXNc&t=451s

https://www.thutmosev.com/archives/278687t.html
44:777 :

2023/06/18 (Sun) 04:03:13

時給2000円では暮らせない…給料も物価も高いアメリカ 平均時給は約4700円 FRBは利上げ見送りも“追加”に含み|TBS NEWS DIG
TBS NEWS DIG Powered by JNN
2023/06/15
https://www.youtube.com/watch?v=J79hHgbvZbE

アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会は、物価高を抑えるため1年あまり続けてきた金利の引き上げを見送りました。一方、物価を押し上げている賃金は高いまま。何が起きているのでしょうか。

アメリカ東部・メリーランド大学の4年生、イスマイルさん(23)。大学でIT機器の使用をサポートするアルバイトをしています。

イスマイルさん
「ITサポートの仕事で時給15ドルです」

時給は15ドル=日本円でおよそ2100円なのですが…。

イスマイルさん
「やりくりするのに精一杯です。家賃と食費を払うため、何度か父親に資金援助も頼みました」

実は、メリーランド州で時給2100円は最低賃金に近い水準。人手不足による賃金の上昇が続いていて、アメリカの正規雇用を含む平均時給はおよそ4700円に達しています。

学生に話を聞くと…。

学生
「時給23ドル50セント(約3300円)です。悪くないと思ったけど、食品やガソリン代に使うとあまり残りません」
「時給22ドル(約3100円)です。毎月家計はギリギリです」

平均時給は10年前からおよそ4割も増えています。

企業は人件費の上昇分をカバーするため、商品やサービスの価格を上げ「歴史的な物価上昇」となって市民生活を直撃してきました。

その一方で…。

記者
「賃金と物価が上がり続けてきたアメリカ経済ですが、こうした状況が変化しつつあるとの見方を中央銀行にあたるFRBが示しました」

物価高を押さえるために、去年3月から急ピッチで利上げを続けてきたFRB。一時、9%を超えていた消費者物価の伸び率が先月、4%まで下落し、物価上昇は落ち着いたとみて、去年から10回連続で続けてきた利上げを14日の会合で見送りました。

FRB パウエル議長
「急速に高い水準まで利上げしたので、効果を見極めるため、利上げを見送るのが適切と判断しました」

それでも 賃金そのものは5月も上昇が続き、パウエル議長は、物価の動向によっては年内に0.5%、追加で利上げをすることに含みを持たせました。

FRBが賃金に目を光らせる日々が続きそうです。
45:777 :

2023/07/29 (Sat) 10:00:05

日銀植田総裁の曖昧なイールドカーブコントロール「運用柔軟化」を解説する
2023年7月28日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38378#more-38378

7月28日、日銀は金融政策決定会合の結果を発表し、長期金利を操作するYCC(イールドカーブコントロール)の「運用の柔軟化」を決定した。実質的には利上げに該当するのだが、史上例がないほど曖昧な利上げとなっている。以下に説明する。

イールドカーブコントロール

メディアでは一斉に「運用を柔軟化」と報じているが、結局何がどうなったのか分からない人が多いのではないか。長期金利0.5%の上限は結局どうなったのか。

まずは背景の説明だが、日銀はもともと長期金利の目標をゼロに定め、プラスマイナス0.25%の上下変動を許容するという政策(YCC)を行なっていた。

中央銀行は通常短期の金利だけを操作するが、日銀は長期金利も操作しているので、短期から長期までイールドカーブ(利回りを期間順に並べたもの)全体に影響を与える緩和政策ということである。

2021年から始まっている世界的なインフレが日本には2022年辺りから到来しており、インフレ率が上昇するなかで長期金利上限が0.25%というほぼゼロ金利水準に抑えられていた。

これが円安と輸入物価のインフレを引き起こして問題となり、黒田前総裁は退任前に変動幅を0.5%に上げ、長期金利上限を0.5%に引き上げることを余儀なくされた。

日銀がYCC変更で長期金利の上昇を許容、日本も金利上昇による景気後退へ (2022/12/20)
インフレ下の紙幣印刷

それが去年12月のことである。だがそれでも日本のコアインフレ率(エネルギーと生鮮食品除く、日銀の奇妙な定義では「コアコア」などと呼ばれる)が現在4.2%であるのに対して、0.5%の長期金利はあまりに低く、極めて緩和的だった。

植田総裁が就任後この長期金利上限をどうするのかということが話題になっていた。量的緩和政策と呼ばれる紙幣印刷政策は行なうのは簡単だが止めるのは難しく、専門家の間では植田総裁の仕事はほとんど不可能なものとみなされている。

緩和政策で経済の本質的な生産性を変えることは出来ない。よって緩和は景気の先食いに過ぎず、マクロ経済学的には緩和で雇用を実現した分、緩和撤回時には失業が姿を現すことになる。

だから日本のように緩和によって長らく雇用を実現した場合、緩和撤回時に現れるのはそれ相応の大量失業ということになる。詳しくは以下の記事を参考にしてもらいたい。

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
緩和は撤回し始めるまで本当の問題は現れない。前任者の黒田なにがしはそれを知りながらか、あるいはそれを理解する頭もなかったのか、インフレの状況下において紙幣印刷を行ない続け、国民がインフレで苦しむ中でインフレに放火しながら「インフレが達成できなかったのが残念」と言い残して去っていった。

この日銀の態度を債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏などは次のように賞賛している。

ガンドラック氏、日銀の量的緩和を皮肉る
日銀は賢明だ。80階の窓から飛び降りて、70階分落下したところで「今のところは良い状態だ」と言っているようなものだ。

インフレが実現し、あとに残されたのは10階分の落下だけである。

植田総裁の就任

インフレ政策を喜んでいるのはもはや盲目な信者だけだ。元々次期総裁の本命として挙げられていた黒田時代の副総裁たちがこぞって総裁就任を拒否したのは、彼らもこの仕事が無理であることを知っていたからである。

自分でやったインフレ政策でありながら酷い話なのだが、ともかく植田総裁は彼らに代わって引き受けた。

日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者
植田氏にとって幸運であったのは、就任がドル安の時期と被ったことである。去年の秋からアメリカのインフレ率が下落しているので、アメリカの利上げも天井が見えてきたことからドルは半年以上下落しており、よってドル円は去年の秋から上昇が抑えられている。


これで世間的には円安は止まったかのように見えるわけだ。だがこれは円安の停止ではなくドル安になっただけであり、例えばユーロ円を見れば円安が止まっていないことが分かる。


為替レートの上昇はそのまま輸入物価の上昇なので、このチャートの上昇はそのまま、国民が苦しむ中で日銀が引き起こしたインフレそのものである。

だがともかく植田総裁が半年間何もせずに居られたのは、ドル側の要因が幸運だったからである。

遂に動いた植田総裁

だが結局のところ、4%のインフレで長期金利をゼロ近辺に固定する緩和政策は完全な自殺行為である。

インフレ政策がインフレを引き起こした後も化石として存在し続けているインフレ主義者が何を考えていたかは知らないが、マクロ経済学者のラリー・サマーズ氏も言っていた通り、植田総裁が遅かれ早かれ長期金利上限を引き上げなければならないのは、専門家には自明のことだった。

サマーズ氏: 日銀の植田総裁はイールドカーブコントロールからの離脱プロセスを開始した
それで筆者やスタンレー・ドラッケンミラー氏を含め、長期金利の上昇に賭ける日本国債の空売りをしていたファンドマネージャーが多いわけである。

ドラッケンミラー氏は次のように述べていた。

ドラッケンミラー氏、日本のインフレで日本国債を空売り
日本国債のトレードが報われるとは限らないが、少なくともリスク・リワード比は馬鹿げているほど良い。

何故なら日本国債の空売りは損を出す可能性がほとんどないトレードだからである。詳細は以下の記事を参考にしてもらいたい。

日本国債の空売りを開始、植田新総裁で長期金利上昇を予想
そして当然だが、植田総裁は今回そのシナリオに沿わなければならなかった。だが今回のYCCの「運用の柔軟化」はなかなかに曖昧である。

植田総裁の「運用柔軟化」

結局植田氏は今回何をしたのか。まず長期金利について、元々の目標値だったプラスマイナス0.5%は「目途」と表現されている。そして新たに1%を「厳格に抑制する」水準として追加し、これを越えることはないように長期金利をコントロールするそうである。

砕いて言えば、長期金利はプラスマイナス0.5%を一応目標とはするが、厳格な水準とはせず、プラスマイナス1%を厳格なコントロール水準とする、ということだろうか。

ちなみに長期金利は会合後、「目途」である0.5%を超えてじわじわと0.57%まで上がっている。

結局厳格なコントロール水準は1%ということで、0.5%とは一体何なのかまったくはっきりしない曖昧な政策決定である。

だが筆者のようなトレーダーの立場から見れば、何故植田氏がそうせざるを得なかったのかが分かる。

上でも言ったように黒田なにがしから植田氏へと押し付けられたイールドカーブコントロールの撤廃という後始末は、80階から落下してあと10階分しか残っていないような状況である。

この状況で一番危惧されるのは、将来的に日銀の国債買い支えがなくなると予想するトレーダーが大挙して押し寄せ、日銀が高値で買ってくれるうちに売ろうとし、日本国債が売り浴びせに遭うことである。自民党を支持する馬鹿たちは「ヘッジファンドが日本に対して云々」と言うだろうが、値段が下がることが分かっている資産を売るのはすべての投資家の自然な行動である。

国債にとって金利上昇は価格低下を意味するので、金利が0.5%から1%、1.5%、2%というようになっていくのであれば、売り手としては0.5%で買い支えてくれている間に売りたいのである。

だから単に金利上限を0.5%から1%に上げると言った場合、将来的に1.5%に上限が上げられると予想した売り手が殺到する危険がある。

だが0.5%を曖昧な「目途」として残したことによって、上限の明確な押し上げではなく、上がったのか上がっていないのか分からないような状況を作り出し、いわゆる連続利上げを想定させないようにしたのである。

結論

今回の植田氏の決定について筆者の個人的な感想を言えば、インフレを引き起こしたインフレ政策の後始末という無理な仕事を押し付けられた中で、連続利上げを想定させないように植田氏がまあよく考えたやり方だと言うべきなのだろう。

ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした
だが金融市場、特に債券市場は勘定で動くので、結局0.5%が意味のある目途なのかどうかは、日銀の今後の日々の国債買い入れ額によって明らかになってしまう。0.5%水準での買い入れがなければ、結局は上限を1%に引き上げたのと同じになる。

言葉を曖昧にはした植田氏だが、日銀の実際の行動によってその意味は結局明確にならざるを得ないのである。

工夫は評価しよう。だが結局は、サマーズ氏の言葉に代表されるように、日銀はゼロ金利政策の解除に動かざるを得なくなっているという長期トレンドは変わらない。通貨暴落とインフレを引き起こしたアベノミクスの低金利政策は終わったのである。

サマーズ氏: 日銀の植田総裁はイールドカーブコントロールからの離脱プロセスを開始した
そして最終的にはどうなるのか。植田氏には申し訳ないが、やはりこれは無理な仕事であり、日本経済にとって良い結果にはならない。他の専門家の意見も参考にしてもらいたい。

世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
マイナード氏: 日銀の持続不可能な緩和政策の破綻は他国の教訓的前例になる

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38378#more-38378
46:777 :

2023/08/05 (Sat) 17:15:24

世界最大のヘッジファンド、量的緩和と現金給付に続く新たな金融緩和を語る
2023年8月4日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38616

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がLinkedInのブログで、世界的な物価高騰をもたらした現金給付に続く新たな金融緩和の方法について語っている。

過去40年の金融緩和

アメリカでは1970年代の物価高騰が終わって以来、金融市場の歴史は金融緩和の歴史である。

1970年代の物価高騰を止めるために20%以上に上がったアメリカの政策金利は、その後30年近くかけて低下してきた。以下はアメリカの政策金利のチャートである。


中央銀行は経済が弱るたびに利下げを行い、金融緩和によって実体経済を支えてきた。

だがその金利は2008年のリーマンショックでついにゼロに到達する。中央銀行はこれ以上金利を下げられなくなったが、それでも緩和をする方法が欲しかったので、紙幣を印刷して金融市場から国債などの証券を買い入れる量的緩和という方法に頼ることになった。

政策金利を操作する方法では国債の金利を直接下げることはできないが、紙幣印刷で中央銀行が有価証券を買い上げてしまえば、資産価格を人工的に押し上げ、国債の金利を押し下げることで更なる緩和を行うことができる。

だがこの方法では実体経済をコロナ危機から救うことは出来なかった。日本で実際にそうなっているように、資産価格を上げても得をするのは資産を持っている人々だけだという当たり前の事実に、アメリカも直面せざるを得なくなった。

そこで考案されたのが、国民の銀行口座に直接現金を注ぎ込む方法である。現金給付と呼ばれるこの方法は、家計の財政状況を見た目上改善した一方で、世界的な物価高騰を引き起こした。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
このように緩和の歴史を振り返ってみると、明らかに言えることは、緩和の副作用が強くなっていることである。利下げの副作用は、2000年にドットコムバブルを引き起こしたり、2008年のリーマンショックにつながる住宅バブルを引き起こしたりすることだった。

それだけも酷かったかもしれないが、利下げが量的緩和になり、量的緩和が現金給付になった今、緩和の副作用は雪だるま式に膨らみ、インフレという形で全国民に降り掛かっている。

だが緩和の極端化というこのトレンドは、もはや誰にも止められないだろう。人間にそれを止める頭があれば、そもそもインフレは起きていない。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
だから投資家は現金給付に続く新たな緩和方法が何かということを、そろそろ考え始める必要がある。

中央銀行はまず利下げによって金利を低下させ、経済における最大の債務者、つまり政府を救済し続けてきた。その次には量的緩和によって、金融危機で資産を失った資産家を救済した。コロナ禍におけるはロックダウンで収入を失った家計を救済した。

もう救済するものはあと1つしか残っていない。中央銀行による中央銀行の救済である。

中央銀行が自分自身を救済する

政府が国債を中央銀行に押し付け、中央銀行はシリコンバレー銀行などの破綻処理にあたって価格が下落していた債券を額面で引き受けているので、もはや中央銀行はさながらゴミ箱のような様相である。

政府はこのまま中央銀行をゴミ箱のように扱い続けることができるのか? 現代人は誰もその実験を経験したことはないが、歴史上には同じような事例は存在する。こうした疑問を尋ねるのに最良の人物は、やはりダリオ氏だろう。

ダリオ氏は次のように述べている。

長期的には、歴史を振り返ってこれから何が起こるかを描いてみると、政府の財政赤字が増大するのは実質的に確実で、利払いや他の予算の費用が増加している以上、増加の加速度は上がる可能性が高い。

アメリカのGDP比財政赤字は次のように推移している。


短期的には上下しているが、長期的には赤字は増え続けている。そしてこれが少なくなる見通しのないことは、誰もが同意するところだろう。

緩和も財政も悪化し続ける。だが緩和が利下げから現金給付まで指数関数的に進化してインフレという限界にぶつかったように、政府の財政も同じように指数関数的に進化して人々が思っているよりも早く限界にぶつかるだろう。

このまま財政赤字が加速度的に増加すればどうなるか。ダリオ氏は次のように述べている。

そしてそうなれば、政府はより多くの国債を発行しなければならなくなり、自己強化的な債務スパイラルに陥ることになるだろう。

金融市場がそれ以上増やさないよう迫る一方で、中央銀行は紙幣印刷によってもっと多くの国債を買わなければならなくなる。そうしなければ損失が拡大し自分のバランスシートが毀損されることになる。

「金融市場がそれ以上増やさないように迫る」というのは、国債の発行増加を市場の投資需要が支えきれなくなり、国債価格が暴落してゆく状況だろう。

そうした要因での米国債の価格下落は、今の市場参加者にはほとんど想像もできないはずだ。だが少し前の市場参加者には、インフレも想像できなかったことを思い出したい。

ダリオ氏の言う通り、国債の発行が指数関数的に増加してゆくならば、量的緩和なしには国債価格を維持できない状況はいずれ必ず訪れる。そして「指数関数的」な増加によってその水準に到達する日はそれほど遠くないということは、少しの数学的素養のある人ならば分かるはずだ。

ダリオ氏によれば、そうした問題の典型的な解決策は、政府が中央銀行の損失を補填することだという。だが政府は中央銀行の紙幣印刷によって資金供給されているので、中央銀行は結局は自分に資金供給することになる。この空中でジャンプして空に浮き続けるような末期的状況の典型的な帰結は、金利高騰か通貨暴落かインフレ、あるいはその組み合わせだろう。

結論

実際、イギリスはその状況に到達しかけた。1つ前のトラス政権がインフレの状況下で大規模な財政緩和を行おうとしたとき、金融市場では英国債とポンドが両方急落した。

サマーズ氏: 景気後退で財政支出する国はイギリスの二の舞になる
結局はトラス氏が辞任に追い込まれることによって緩和は撤回されたが、他の先進国はそうした瀬戸際にある。日本では円安とその結果としてのインフレが大きな問題になっている(が、自民党支持者はストックホルム症候群によって緩和の引き起こした円安とインフレの関連を頭から消し去っている。)

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
アメリカは、基軸通貨ドルの恩恵によって今のところ日本やイギリスのような羽目にならないで済んでいる。だがスタンレー・ドラッケンミラー氏は、まさにそれが原因でアメリカはより大きな危機に陥ると予想している。

ドラッケンミラー氏: アメリカは基軸通貨ドルのお陰で致命傷を食らうまで緩和を続けられる
短期的な延命のために長期的な危機が許容される。いつものことである。しかし若者たちはそれで良いのだろうか。

ドラッケンミラー氏、高齢者が若者から搾取する税制を痛烈批判

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38616
47:777 :

2023/08/08 (Tue) 19:32:03

【アナリスト解説】 景気後退は起きる?日銀YCC修正の解説も
つばめ投資顧問の長期投資大学
2023/07/29
https://www.youtube.com/watch?v=1I4bcA3O83w
48:777 :

2023/08/09 (Wed) 20:27:52

アメリカのフリーターの給料 が高すぎた
2023/02/09
https://www.youtube.com/watch?v=hC7KIuOMhl8&t=54s

【インフレ】アメリカのフリーターの給料が高すぎる【円安/出稼ぎ】
49:777 :

2023/09/15 (Fri) 19:32:40

マイナス金利解除による銀行業績への影響額は?
つばめ投資顧問の 長期投資大学
2023/09/15
https://www.youtube.com/watch?v=8z54xEEfPGM

日銀・植田総裁が、年始にもマイナス金利を解除する可能性を示唆しました。これにより銀行株が上昇していますが、実際の業績への影響はどの程度なのでしょうか?
50:777 :

2023/10/01 (Sun) 11:10:39

世界最大のヘッジファンド: 中央銀行でもインフレで破綻する可能性
2023年9月30日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40262

引き続き、世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏の自社の動画配信におけるインタビューである。今回はインフレと中央銀行について語っている部分を紹介する。

インフレと銀行と中央銀行

インフレで銀行が破綻した。シリコンバレー銀行などのアメリカの銀行は、インフレによる金利高騰で倒産に追い込まれた。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
金利高騰で銀行が潰れた1つの理由は、保有する国債価格の下落である。金利上昇は債券にとって価格下落を意味するため、金利が上がれば債券は下落する。

銀行は預金者からお金を預かってその金で国債を買う。その国債の価格が下落し銀行が損失を被ったわけだが、ここで読者は気付くはずである。国債を大量に保有しているのは、普通の銀行だけではない。

ダリオ氏は次のように語っている。

中央銀行は皆、保有債券に大きな損失を抱えている。そしてそれがどのように処理されるかによって、財政上の問題が発生する。

中央銀行は、日本などの多くの先進国では国債の最大の保有者となっている。そして金利上昇によりその国債価格が下落するときに含み損が発生する。

中央銀行の損失は通常政府によって補填されなければならない。含み損を損失とみなすかどうかは財政というよりは法律の問題だが、例えば国債を売ることになれば含み損が確定損になり、また金利高騰で中央銀行が被る損失は債券価格下落だけではない。

金利上昇のもう1つの問題

アメリカで銀行危機が起こった原因はもう1つあった。銀行は預金者から預金を預かって国債を買っている。金利上昇で国債価格が下落した一方で、預金者には高い金利を払わなければならなかった。

つまり、金利上昇が銀行にとって2つの意味で打撃となったのである。

そして中央銀行といえどもお金を預かる業務を行なっている。預金者は市中銀行である。

だから金利、特に短期金利が上がれば、中央銀行は銀行に高い金利を払わなければならなくなる。銀行が苦しんでいる二重の問題が中央銀行にもそのまま襲いかかるわけである。

しかも、金利の支払いは、含み損のように会計上の問題ではない。金利を支払うためにはお金を何処からか持って来なければならない。そして実際にその問題に陥っている国が既に存在する。ダリオ氏はこう述べている。

例えばイギリスでは、イングランド銀行がGDPの2%に相当する損失を補填しなければならなかったので政府に補填を頼んだが、政府はお金を借りなければ補填できない。

だが政府の財政は中央銀行の紙幣印刷でもっているのではなかったか。中央銀行が政府の足を支え、その政府が中央銀行の足を支えることで空中浮遊をする世界が実現しつつある。オウム真理教か。

そしてドイツも同じ問題に直面していることは、以下の記事で報じておいた。ドイツでは中央銀行の財政問題で実際に利払いが停止されている。

ドイツの中央銀行、資金不足で政府の口座への利払い停止を決定
ダリオ氏は次のように纏めている。

だから、この状況における古典的な結末は、歴史上いつでも起こってきたように、中央銀行自身が財政上の困難に陥るということである。

だが読者はこう思うだろう。中央銀行には紙幣を印刷して利払いを行なうという選択肢もあるのではないか。

その通りである。だが紙幣印刷は要するに量的緩和である。そして今、中央銀行はインフレが起こったことによって量的緩和の撤回と、その逆回しである量的引き締めを強いられている。そうしなければ、インフレが収まらないからである。

その状況下で利払いのために中央銀行が紙幣印刷を強いられるようなことになればどうなるか? 物価上昇はもはや止まらなくなるだろう。

結論

インフレを良いものだと何の根拠もなく主張したアベノミクス以来のリフレ論者は、 まだ絶滅していないのかどうかは知らないが、それでも中央銀行が破綻することなど有り得ないと考えている。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
しかしもはやそれさえも間違っている。ダリオ氏はこう述べている。

われわれは中央銀行の財政が問題になるわけがないと思っているが、それは間違いだ。損失が発生すれば何処からか補填しなければならない。そして中央銀行は更にお金を印刷する必要に迫られるが、それが更に問題を悪化させる。

そしてダリオ氏によれば、インフレと現金給付の時代となった現代、歴史上何度も起こってきた中央銀行の破綻という問題が近づきつつある。

ダリオ氏はこう説明している。

注意して見なければならないのは、中央銀行が再び量的緩和を再開する時だろう。それはレッドフラグだ。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40262
51:777 :

2023/10/03 (Tue) 08:14:53

止まらぬ円安1ドル=150円に迫る 海外生活を円で換算すると…各支局員が取材(2023年9月27日)
2023/09/28
https://www.youtube.com/watch?v=83fcAFWyKVQ

円安が止まりません。27日は、一時、今年最安値を記録しました。1月には、1ドル127円台をつけていましたが、気づけば150円台に迫っています。

外国人観光客が戻ってきた日本。一方、日本からの海外旅行の数は、コロナ前まで戻ってないそうです。
阪急交通社広報部・鈴木毅部長:「円安がなければ、すぐにでも100%、120%の回復があったと思う。円安の影響もあり、現状(コロナ前の)6割くらい。徐々に上がってはきているものの6割程度です」

歴史的物価高に直面するアメリカ。そこに円安というダブルパンチです。
アメリカ・ニューヨークで在住邦人御用達の日本食スーパー『KATAGIRI』。長期滞在に欠かせないこの店の商品を円に換算してみました。卵が8ドル59セント、約1280円。カットされた長芋は約730円、えのきだけが約670円。豆腐は1パック約450円します。
現地在住者:「初めは円に換算していたんですが、最近は円に換算するのをやめました。1ドル=130円くらいになったときもキツイなと思ったんですが、さすがにここまでくるとは思ってなかったです」
現地在住者:「母がおやつやお金を送ってくるけど、円安の影響で送りにくいと」

7月に赴任したばかりのニューヨークの親松支局長。一番驚いたのが、ラーメンだといいます。
ニューヨーク支局・親松聖支局長:「家族4人でラーメンを食べに行った場合、ラーメン4杯、そして餃子3つ、ビール2杯を飲んだ場合、2万円を超えてしまうんです。日本円頑張ってほしい」

次は、ロンドン。赴任して1年半になる佐藤記者の報告です。
ロンドン支局・佐藤裕樹記者:「自宅から支局に炊飯器を持ち込んで、お米をラップに包んで、冷蔵庫に置いておきます。ランチに食べるご飯です。 ロンドンに来てからランチを外に食べに行くことは、ほとんどありません」

佐藤記者が赴任した当時は、1ポンド152円ほど。それから1年半で、180円を超えています。
ロンドン支局・佐藤裕樹記者:「ビール1杯、1年半ほど前は850円で飲めたが、物価高騰と円安が進み、今は、1杯1260円です」

円安の波は、タイにも押し寄せています。タイではいま、史上2番目の円安状態にあります。安く遊べる旅行先として日本人に人気でしたが、バンコクの繁華街でも、マッサージ店でも日本人観光客の姿は、ほとんど見られなくなったそうです。
マッサージ店オーナー:「(日本人は)前は多かったけど、すごく減っています。売り上げが減れば、店の存続も懸念されますし、従業員の収入も減ってしまいます」

終わりの見えない円安。こうしたなか、働き先を海外に求める日本の若者たちが増えています。
オーストラリアへのワーキングホリデーを希望(18):「円安だと、あっちで稼げば稼ぐほど日本のアルバイトより稼げて、貯金もできて、帰ってくればよりお金が増える。こっちでアルバイトするより良いかな。英語も学べるし」

ワーキングホリデーの相談件数は、1年前に比べて1.6倍に増加。実質賃金が下がり続ける日本で正社員になるより、海外でアルバイトをしたほうが収入もいいし、スキルも身に付くと考えるからです。
ワールドアベニュー・松久保健太社長:「(Q.円安の影響でさらに稼げる)正直言って、稼げるかなと思います。日本の給与と比べて、とても高い給料で、物価が高いのもあるんですけれども、円安になって厳しいところあるが、現地に行って稼げるところも踏まえて、ワーキングホリデー挑戦したいという方は増えている印象」

※気になるのが“為替介入”です。

去年9月に、1ドル=145円台に突入した際、政府は、24年ぶりに為替介入を実施し、10月と合わせて合計3回、行っています。このときの効果について、ニッセイ基礎研究所の上席エコノミスト・上野剛志さんは「年末にアメリカの利上げ幅が縮小する見通しが広がり、一時、ドルが下落した。この間、円安の進行を一定程度抑制した」としています。

為替介入はしないのでしょうか。

上野さんによりますと、 「為替介入は過度な変動を抑制するために行うもの」ということです。去年は、8月から9月にかけて急激に円安が進んでいます。一方、今年は、去年の同じ時期と比べて変動は緩やかに見えます。そのため、現段階では、介入の可能性は低いといいます。

また、上野さんは「円安のときの介入は“ドルを売って円を買う”介入。そのため、政府が持つ外貨が減る。将来の介入や、海外への支払いを考えると、外貨を持っていることが余裕につながる。介入せずに円安が収まるのなら、それがベスト」としていますが「今後1カ月くらいの間で、1ドル150円を超えてくれば、為替介入の可能性は高まってくる」といいます。

ただ「今後、円安は落ち着く可能性があるのでは」としています。「アメリカのインフレは、今後、おさまっていく傾向にある。そして、金利政策を決めるFRBの11月の会合で利上げは打ち止めになる可能性が高い。そうなれば、日米の金利差が、これ以上広がらなくなるので、為替も『1ドル・145円程度』ではあるが、落ち着くのでは」とみています。
52:777 :

2023/10/27 (Fri) 21:21:13

レイ・ダリオ氏: 金利を上げた米国でも低金利を続ける日本でも債務危機は生じる
2023年10月27日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/41082

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が、サウジアラビアで行われたFuture Investment Initiativeで高金利と世界経済について語っている。

買い手のいない米国債

アメリカで米国債の買い手不足が問題となっている。

アメリカではコロナ後に債務が膨らみ、しかも金利が上がったことで国債に対する利払いも増えたので、アメリカ政府は資金調達のため大量の国債を発行している。

だが買い手が見当たらない。これまで国債を買い支えていたFed(連邦準備制度)は量的引き締めで国債の保有量を減らしている。銀行も国債の価格下落で苦しんでいる状態で、国債を買い支える余裕がない。

ダリオ氏は次のように述べている。

債務が大きくなるとき、債券を売らなければならないが、誰が買ってくれるのかを理解しておかなければならない。買い手が十分に集まらないとき、買い手は思った値段で買ってくれず債券を投げ売りしなければならなくなる。

債券にとって価格下落は金利上昇を意味するので、それで長期金利が急騰している。それが米国株の下落の原因となっている。

世界最大のヘッジファンド: 株安の原因となっている長期金利上昇には大幅な上昇余地がある
巨額の債務がついに金利上昇という形で問題となっている。政府債務の増加は問題ないと言っていた馬鹿は誰だったか。

ユーロ圏の債務問題

だがそれはアメリカに限った問題ではない。ダリオ氏はヨーロッパについてもコメントする。

ヨーロッパで起きていることを例に取ってみよう。

利上げをしなければならないとき、イタリアの債務の利払いには何が起こるだろうか?

ユーロ圏でもインフレと利上げが起こっているが、ユーロ圏はそれに加えて独自の問題を抱えている。

共通通貨ユーロを持つユーロ圏では、各国が独自の金融政策を取ることができない。政策金利はECB(欧州中央銀行)によって一律で決められる。

しかしユーロ圏の国々のインフレ率はまったく異なっている。例えばオーストリアではインフレ率は7.4%と高いが、オランダでは0.2%とほとんどデフレに落ちかかっている。

この状況で、オーストリアにもオランダにも適切な政策金利など存在しない。低インフレ国に金利を合わせれば高インフレ国には低すぎ、高インフレ国に金利を合わせれば低インフレ国には高過ぎる。

この状況は無茶苦茶である。ユーロ圏はインフレとその後の景気後退でほとんど空中分解するだろう。

ここまでは筆者がこれまで指摘してきたユーロ圏の問題だが、ダリオ氏はイタリアの利払いに言及している。利上げの影響が各国の債務残高によって違うことに言及したいのだと思う。

例えば、政府債務がGDPの50%の国で金利が1%上がれば、年間の利払いは50%の1%なのでGDPの0.5%分だけ金利の支払いが増えることになるが、政府債務がGDPの100%の国で金利が1%上がれば利払いの増加はGDPの1%分である。

具体的に言えば、ドイツの政府債務はGDPの67%だが、イタリアの政府債務は145%である。ちなみにギリシャは177%である。債務残高の多い国ほど利払いの増加に苦しむことになる。

ユーロ加盟国の経済格差はインフレと利上げによってますます深刻化するだろう。このトレンドに賭けるため、筆者は超長期でユーロスイスフランを空売りしている。これは筆者のポジションの中でもっとも長期のものである。


日本の債務問題

一方で、インフレに対して金利をほとんど上げていない国がある。日本である。

ダリオ氏は次のように述べている。

日本の金融政策はどうなっているだろうか。完全に異なる金融政策だ。しかしそれもトレードオフだ。

人々が長年望んできたインフレは起きた。不思議な話だが、それで人々は慌てている。インフレに良いも悪いも存在しない。インフレと経済成長は無関係である。金本位制でゼロインフレでも産業革命は起こったではないか。当たり前の話なのだが誰も気付かない。

ハイエク: コストプッシュ型インフレは政府の責任回避の言い訳に過ぎない
だがどちらにしてもインフレは起きた。アメリカのように利上げで対応する国もあれば、日本のような国もある。自由にすれば良い。ダリオ氏によれば、どちらもトレードオフなのだから。

何故トレードオフなのか。利上げを行なった国では金利高騰と景気後退が起きる。行わなかった国では通貨が暴落する。

ダリオ氏は国債保有者の観点から次のように述べている。

それは国債自体の価格下落で国債の価値がなくなるのか、通貨の下落によって国債の価値がなくなるのかの問題だ。だが、どちらにしても価値は下がらなければならない。

海外の投資家の観点から考えてもらいたい。アメリカのように利上げで国債の価格が下落しても、日本のように国債の価格下落を抑える代わりに日本円の価値が暴落しても、日本国債を保有する海外の投資家にとっては同じことである。

結論

ほとんどの日本人は円建てでしかものを考えることが出来ないので、日本円で価値が下落していなければ価値が下落していないと思いこむ。

だが現実は迫ってくる。IMFの見通しでは日本のGDPは円安で減価したことによってドイツに抜かれ世界4位になるという。個人的には更なる凋落は近いと考えている。

もっと身近な話で言えば、インフレで日本人がものを買えなくなる中、円安で日本は安い国だと感じる外国人旅行客が自由に日本のものを買い漁っている。日本人が東南アジアの国々を安い国だと思っていたのと同じである。日本はそういう国になりつつある。

一方で日本人は日本円を持っていても海外からものを買うことができない。自国民に厳しく、外国人に優しいのが円安政策である。通貨安政策は完全な自殺行為だということを以下の記事で分かりやすく説明したにもかかわらず、日本人の大半は未だに理解していない。

日銀がYCC変更で長期金利の上昇を許容、日本も金利上昇による景気後退へ
アメリカのように利上げで国債が暴落しようが、日本のように低金利で通貨が暴落しようが、同じことである。

元々の元凶であるインフレ政策を行なってしまった時点で、 対価を支払うことは決まっている。自分の選択の結果なのだから、好きな方の結果を受け入れれば良いだろう。

世界最大のヘッジファンド: 無節操に支出し続けるメンタリティのお陰でスタグフレーションへ
ポールソン氏: 成功は紙幣印刷ではなく教育と勤勉さから生まれる

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/41082
53:777 :

2023/10/31 (Tue) 17:02:17

日銀植田総裁、10月決定会合でイールドカーブコントロールを実質的に有名無実化
2023年10月31日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/41212

10月31日、日本銀行は金融政策決定会合の結果を発表し、現在行なっている緩和政策であるイールドカーブコントロール(YCC)の更なる柔軟化を決定した。内容はやや複雑なので出来るだけ分かりやすく説明したい。

イールドカーブコントロール

イールドカーブコントロールは、日銀が長期金利の上昇を抑えるために行なっている金融緩和である。黒田前総裁が導入したこの政策が円安とその結果として輸入物価のインフレを引き起こしているため、後を引き継いだ植田総裁がその後始末をしている。

踏み絵のように緩和支持を言わされる日銀の植田新総裁と新副総裁たち
イールドカーブコントロールとは、長期金利の上限を決める政策である。植田氏が引き継いだ段階では、日銀の長期金利目標は0%で、プラスマイナス0.5%の変動幅を許容するという状態だった。

だが物価が上昇した後、長期金利はインフレ率に合わせて上に行こうとしていたため、実質的には下限に意味はなく、上限の0.5%だけが問題となっていた。

長期金利が上限の0.5%に当たる度に日銀は金利を抑えるために紙幣を印刷して国債を買い入れなければならない。それが円安とインフレを引き起こしていた。

7月の決定会合におけるYCC柔軟化

だから植田氏はまず7月の会合でプラスマイナス0.5%の変動幅を「目途」とし、それを超える変動を許容した上で、プラスマイナス1%を厳格に制限する水準として新たに設定した。

日銀植田総裁の曖昧なイールドカーブコントロール「運用柔軟化」を解説する
これはどういうことなのか一見分かりにくいのだが、植田氏自身も実質的には上限を1%に動かしたと思ってもらって良いと言っていたように、長期金利の上限が0.5%から1%に動いたと思えば良い。

ただ、これは債券投資家の心理を考えると普通に上限を1%に変更するよりも良い方法である。

国債にとって金利上昇は価格下落と同じ意味なので、金利が上がってゆくということは国債が売られているということである。上限の変更によって金利が上がってゆくとき、0.5%から1%までのレンジでは何もしないと宣言するよりは、1%に到達する前でも介入するかもしれないと思わせた方が、日本国債を売ろうとする投資家を牽制できる。

勿論、それは口先だけの効果に過ぎない。だが、実質的にはそれが1%への変更と同じだということをはっきり言ってしまった誠実さも含め、植田氏を評価して良いだろう。

今回の決定会合におけるYCC柔軟化

そして今回の会合である。7月の変更では0.5%を目途、1%を厳格にコントロールする水準としていたが、その後長期金利は1%に近づいていた。以下がチャートである。


1%に達すれば、日銀はまた紙幣を印刷して国債を買い支えなければならない。

それで日銀が1%の厳格コントロール水準をどうするのかが注目されていたが、今回の会合では0.5%だった「目途」を1%に上げ、厳格コントロール水準を撤廃した。

これは実質的にはどういうことだろう。目途は1%になったが、厳格コントロール水準がなくなり、元々意味を為しているのかよく分からなくなっていた「目途」がますます意味の分からないものになった。目途を超えても、日銀には介入する義務はないことになる。

結論

これをどう解釈するべきか。結論から言えば、これで良いのである。植田氏はまともなマクロ経済学者として、イールドカーブコントロールが円安と輸入物価インフレの原因となっていることを認識していた。更に言えば経済にとってもっとも効率的なインフレ率はゼロであるとして、2%のインフレ目標には実はマクロ経済学的な根拠がないという公然の秘密を暗に仄めかしていた。

ガンドラック氏: 2%インフレ目標は完全に恣意的な数字
だから目途が意味を為していないならば、それで良いのである。7月の決定会合と合わせ、この2回のイールドカーブコントロール柔軟化によってイールドカーブコントロールは実質的に有名無実のものとなった。

愚かな黒田氏の導入した円安の原因の第一層はこれでほとんど取り除かれたと言える。金利が上がれば経済には重しになり、失業率も上がるだろうが、それは植田氏の責任ではない。黒田氏が円安を引き起こした時点で、日本経済はインフレか景気後退かを受け入れなければならないことが確定していた。

世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
20世紀の大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏は著書『貨幣論集』でこう言っていた。

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
将来の失業について責められる政治家は、 インフレーションを誘導した人びとではなくそれを止めようとしている人びとである。

だから本来黒田氏の後継者として一番の総裁候補だった黒田氏時代の副総裁たちは就任を断って逃げ出したのである。植田氏が火中の栗を拾ったが、植田氏はこの誰もやりたがらない仕事をきっちりこなしている。誉められて良いだろう。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/41212
54:777 :

2023/12/13 (Wed) 21:40:37

新アルゼンチン大統領のミレイ氏、経費削減のため閣僚の半分を削減する
2023年12月11日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/42388

インフレ率が140%を超えるアルゼンチンで大統領選挙に勝利したハビエル・ミレイ氏が12月10日にアルゼンチンの新大統領に就任した。

インフレ危機のアルゼンチン

アルゼンチンではコロナ禍における放漫財政の結果、インフレ率が140%を超える事態となっている。


当然ながら通貨も暴落しているのだが、緩和政策の生み出したこの無茶苦茶な状況を収拾すべく当選したのがオーストリア学派の経済学者ミレイ氏である。

オーストリア学派はここでもよく取り上げている20世紀最大の経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏の流れをくむ学派であり、ハイエク氏はもう何十年も前から人々の緩和政策への依存がいずれはインフレをもたらし、国家はインフレを抑制するために引き締め政策で経済を破壊しなければならなくなると予想していた。

ハイエク氏は著書『貨幣発行自由化論』において、政治家が国民から徴税し自分の裁量で特定の人々や団体に財政出動する政策を次のように批判している。

ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
特定の人々に自分で得たわけでも他人が放棄したわけでもないものを得る権利を与えることは、本当に窃盗と同じような犯罪である。

そしてその結果大多数の国民にもたらされるものはインフレである。

政治家の放漫財政

これは当たり前のことなのだが、 政治家は税金を自分と自分の票田に費やすこと以外に興味はない。特にそれでも選挙に落ちない状況においては、それ以外のことをしても自分にメリットがないからである。

ミレイ氏はハイエク氏の流れをくむオーストリア学派の立場から、こうした政治家の無駄遣いを批判してきた。そして大統領に就任したミレイ氏はまず何を行なったか。閣僚の数を18人から9人に半減させた。

政治家が「政治家は不要だ」として政治家の数を減らしている姿はなかなか痛快である。自民党の政治家には逆立ちしても出来ない芸当だろう。

だがミレイ氏にはより本質的な問題が待ち構えている。ハイエク氏が論じていたように、ばら撒きが可能になるそもそもの原因は中央銀行が自由に金利を操作できることで、国債に対する政府の利払いを恣意的に抑えられることにある。

ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ
ミレイ氏は自国通貨と中央銀行の廃止を公約に当選した。アルゼンチン人はインフレ率が140%に至る事態に陥ってようやく緩和政策への依存から離脱したのである。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
人間は本当に苦しまなければ現実を理解しない。しかしそのアルゼンチンにおいてもミレイ氏は困難に直面するだろう。何故ならば、彼は政治家から紙幣が無限に出てくる魔法の杖を取り上げる中央銀行の廃止という政策を、政治家の集まりである議会において通さなければならないからである。

ミレイ氏はまず政治家から仕事を取り上げた。だが彼は何処まで目的を果たせるだろうか。

そしてそれよりも疑問なのは、何処まで日本円の価値が劣化しインフレが悪化すれば日本人が同じことに気付くかである。日本経済は国民が状況を理解するまで永遠に沈んでゆく。楽しみに待っていたい。

レイ・ダリオ氏: 金利を上げた米国でも低金利を続ける日本でも債務危機は生じる
日本国債の空売りを開始、植田新総裁で長期金利上昇を予想


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/42388
55:777 :

2023/12/21 (Thu) 18:43:59

円高は、いつまで続き、いくらになるのか?エリオット波動原理の視点/実践!エリオット波動 有川和幸さん
https://www.youtube.com/watch?v=B410mp3CBsM

<チャプター>
00:00 2011年ボトムからのジグザグが完成したか?
01:30 エリオット波動ではジグザグ完成後の動きは確定できない
02:59 8月15日の動画ではダイアゴナル進行中と説明
03:52 ダイアゴナル完成後に起きる急反転の動きを警告
04:29 12月5日の動画ではダイアゴナル完成の可能性ありと説明
05:20 コロナ安値以降、ドル円は日米の金利差に相関
09:19 日本の長期金利はコロナ安値以降、上昇中
10:30 日本の長期金利(コロナ安値以降、日足)
11:04 米国の長期金利はコロナ安値からインパルスが進行中か
12:20 それともジグザグが完成か?
13:58 下向きのジグザグ複合形か?
14:58 ダブルジグザグでの 進行想定例
15:45 下向きのインパルスか?
https://www.youtube.com/watch?v=B410mp3CBsM
56:777 :

2024/01/20 (Sat) 08:05:17

資本が海外流出して海外資産だけが増えると日本のようになる
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16835976



大西つねきがやろうとしていること(第49回衆議院選挙に向けて)
https://www.youtube.com/watch?v=Z0aesmYcl0U

大西つねきの世界
http://www.asyura2.com/21/reki7/msg/162.html

イギリスはどうやってインドの綿工業を壊滅させたのか
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/715.html

世界最大の対外純資産に惑わされるな!国が強くならないデフレ日本の経常収支サイクル
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/989.html

自由貿易と輸出・インバウンドが日本経済を滅ぼす
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14026948

英米を超大国にした近隣窮乏化政策とは
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/186.html

イギリスの手法は「まずブタを太らせて、後で食べる」
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/153.html

アメリカはソ連崩壊後に NO.2 になった日本をどうやって叩き潰したのか
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/573.html

日銀が平成バブルを潰して失われた30年を作った
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14037444

欧米は自由貿易ではない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16834363

株式投資は企業への投資ではない _ 外資が儲けたらそれと同額だけ日本が損する
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14008776

”輸出で食べている”幻想はやめろ
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14093223

自動車産業が儲かるほど日本は貧しくなる
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14118307

良いものを安く売る日本、粗悪品をより高く売る欧米
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/961.html

訪日観光客3000万人でGDPは1円も増えなかった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14021350

時代錯誤の「比較優位の原理」 を鵜呑みにしている自称経済学者 池田信夫
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14037511

平成バブル崩壊と ソロモン・ブラザース証券 相場師列伝3
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/258.html

1989年、CIA とソロモン・ブラザーズ証券は先物取引とデリバティブ売買を駆使して日本株式市場の「平成バブル崩壊作戦」を実行に移した
http://www.asyura2.com/21/reki7/msg/205.html

平成バブルはアメリカの指示で小沢一郎が作り、日銀総裁が意図的に潰した
http://www.asyura2.com/21/reki7/msg/217.html

日銀が 2011年から500兆円も ばら撒いたので「超円安・輸入物価高の時代」に変わった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14010201

日銀金融緩和が終わった、円安は日本人にとって何の得にもならなかった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14074282

これから起きる超円高によるバブル崩壊と預金封鎖
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14091470
57:777 :

2024/02/20 (Tue) 20:58:32

超円安の理由は日本政府が円安を歓迎しているから
2024.02.19
https://www.thutmosev.com/archives/75481156mmm.html

経常黒字と円高は今すぐにではなく、長期的な円高要因になる

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引用:会社四季報オンラインhttps://toyokeizai.net/mwimgs/5/6/1040/img_560b660ff3aa48e667693d940135215c346274.jpg
通貨の価値が上がるのは良くない

為替相場は再び1ドル150円の超円安になっていて、財務省や円安を防止する「ふり」をしているもののどう見ても意図的に円安を仕組んでいる

というのも円安は今の日本に好都合だからで、円安によって株価は史上最高値を伺うところに来たし円安によってインフレ率が上がり企業収益も過去最高になった

これらは円高の時には日本という商品の値段が高すぎたので商品価値に見合っておらず、外資の日本売りにつながり企業収益も株価も低迷していた

円高とは「日本という商品が値上げする事」なので外国人は高くなった日本を買わず、もちろん現実の日本製商品も割高なので買いませんでした

円安とは逆に「日本という商品の値下げ」なので外国人は「これはお買い得だ」と言ってどんどん買っていき、株価は上がるし企業収益も爆上げになった

これと同じ事が終戦直後にも起きていて1941年開戦時のドル円レートは1ドル4円、1945年終戦直後のドル円実効レートは1ドル15円前後だったとされている

戦時中日米には国交も貿易も無かったが両国とも自国通貨を金と交換することができ、実際には中立国スイスで金を介してドルと円の交換レートも存在していた

戦争に負けて円の価値は1/4程度になったが日本の産業は壊滅したのでこれでも円の価値が高すぎ、日本側の要請によって1949年(昭和24年)から1ドル360円の固定相場になった

これは日本の産業を再生するために円安が必要だったからで、日本の値段をほとんど1/10に値下げした事で日本製品は競争力を持ち高度成長へとつながっていきました

戦後もし1ドル360円にせず1ドル4円や1ドル15円のままだったら、日本は長く不況のままで再生できず史実のような先進国にはなれなかった可能性が高い

為替レートとはこのように流動的なものなのでアホの評論家が言うように「円高は日本の価値が高まった」「円安で日本が落ちぶれた」のような簡単な事では無い

日本は1990年バブル崩壊後1ドル70円台の超円高を2度経験したが、これは「日本が偉くなった」訳ではなく、超円高は日本の産業に打撃を与え衰退を加速した

円高は起きるべくして起きる
円高に成るか円安になるか、政府はそれをを防止するべきかがいつも議論されますが、円安や円高になるのは予め決まっています

為替相場には「国際収支黒字(経常黒字)の通貨は値上がりする」「金利の低い通貨ほど値上がりする」という法則があります

経常黒字は簡単にいうと「貿易などで儲けた」ことなので、日本企業がアメリカで500万円の車を1台売ったら、何割かがドルから円に交換されて円高になる筈です

中国人が日本旅行で10万円使ったら10万円分円高になり、アメリカのダイソーで150円の商品が売れたら、150円分円高になります。(実際は経常黒字分だけが交換される)

実際にはアメリカで得た利益は当分の間アメリカで再投資され、中国で稼いだ分は中国で再投資されるのですぐに円高にはならない

だがいつかは必ず日本が経常黒字で儲けた金額分だけ、ドルから円に交換され円高になる日が来るので、それが1995年や2011年の超円高でした

日本の国際収支は毎年平均10兆円から20兆円ほど稼いでいるが毎年10兆円以上が円に換金されるのではなく、突発的な事態が起きるまでは換金されない

巨大地震やリーマンショックのような世界恐慌になると日本本社は資金を外国に引き上げるので一気に円高に成り、これにヘッジファンドが加勢し超円高になる

日本本社の業績悪化やパニック的な動きで一斉にドルから円に交換されるので、10年周期くらいに超円高が発生しています

一見突発的に見えるが真の原因は 日本の経常黒字そのものなので、介入や政府の政策は円高を先送りにするだけで、円高そのものを防ぐことはできません

では最近なぜ超円安の1ドル150円になっているのかですが、これもアホ評論家が言うような「日本が弱くなった」のとは関係なく政府が意図的に円安にしています

アメリカの高金利と日本の低金利、金融緩和、インフレ率の差など色々な理由はあるものの結局は日本政府が円安を歓迎していてわざと円安になるように仕向けているという事です
https://www.thutmosev.com/archives/75481156mmm.html
58:777 :

2024/03/07 (Thu) 12:53:02

数年後の日本は『円高』で苦しむことになる
2024.03.07
https://www.thutmosev.com/archives/33727.html

現在の円の価値は1970年代前半の1ドル270円と同じ程度。この偏りは必ず修正されます


https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-09-21/S0HYEJDWLU6801 円の実力レートが53年ぶり低水準、固定相場時代に戻った日本の購買力 – Bloomberg
現在のドル円は「1ドル270円」だった

2023年後半から24年の日本は1ドル150円の空前の円安が進行しているがほんの1年前は1ドル127円で2年前は115円で3年前は1ドル103円でした

その頃の日本はまだデフレ気味で経済はゼロ成長で円高で輸出も振るわずエネルギー輸入価格の上昇で苦しんだりしていた

現在の1ドル150円がどのくらい異常かというと実質実効為替レートでは1995年の40%、1970年代と同等まで下がっています

実質実効為替レートは日銀が制作した「円の価値」を示す指標で、数字が上がると円が強くなり下がると円が弱くなったのを示しています

通常の為替レートは1ドル何円と表示しますが日米の物価上昇率が日本が低いために、同じ1ドル100円でも実際には円安が進行していきます

例えば基準年で1ドル100円、アメリカは1ドルのハンバーガーが日本で100円だったとして、20年後も1ドル100円で日本のハンバーガーは100円のままだがアメリカは1.5ドルに上がったら同じ額の円でアメリカのハンバーガーは買えなくなります

この日米価格差は為替レートが毎年2%くらい円高ドル安になるべきですが、最近は「円安ドル高」になっているので日米価格差は酷い事になっています

円の実質実効為替レートは71程度でこれは1970年代前半と同じくらいで、1973年に1ドル360円の固定相場から変動相場制に移行していました

1974年のドル円レートは1ドル270円くらいなので2024年の1ドル150円は「1974年の1ドル270円と同じ状態」という事ができます

70年代のできごとを振り返ると76年から急速な円高が進行し78年に1ドル189円の「超円高」になり、1985年のプラザ合意までは200円から250円程度で推移しました

この時から円高~円安を波のように繰り返すサーフィンのようなドル円レートになり、時々大波が来ては超円高や円安に振れるようになった

1973年から1995年まで大きな方向として円高が進行し95年には1ドル79円をつけて大不況になり、その後円高は収まったかに見えた2011年、再び巨大地震をきっかけとして1ドル75円をつけました

日本は円高になりやがて超円高になる
時限爆弾のような円高を引き起こすエネルギーは貿易黒字と経常黒字で、日本は毎年10兆円以上の黒字だがほとんどをすぐに円に交換せずドルやユーロや人民元として外国で再投資します

だから通常は円高にならないのだが、巨大地震や世界経済危機があると日本企業は円に交換して本社に資金を移すので突然円高になります

今も日本は毎年10兆円から20兆円の経常黒字なので問題は解決しておらず、なにかのきっかけがあれば企業は100兆円以上のドルを一斉に円に交換するでしょう

これが『有事の円』が値上がりする理由で、日本企業の動きを察知した外国の大手投資機関が便乗して円買いドル売りで儲けようとし、いつも超円高になっています

今1ドル150円の超円安になっているのは一つは日米金利差でアメリカは高金利で日本はマイナス金利、2つめは日本政府が円の切り下げで景気回復するため「わざと円安にしている」からです

企業もその流れに従って輸出などで大儲けしてもドルから円に交換せず外国で再投資するので、しばらくの間は円安が続くでしょう

さらに日本の低金利を利用して大手投資機関は円でお金を借りて外国で巨額投資しているので、より一層円安が進行しました

この円安はいわば祭りのようなもので永遠には続かず、アメリカはいつか利下げするし日銀はいつか利上げし、日本企業はいつか儲けた金をドルから円に交換します

外国の大手投資機関は円安で日本がマイナス金利だからお金を借りて海外投資していたが、日本が利上げしたり円高になると返済不能になるので”ある瞬間に”一斉に借金を返済してドル売り円買いをします

こうしてきっかけがあればスイッチが入ったように1995年や2011年と同じように雪崩のような円高が進行し超円高に至るでしょう

そのような大きな円高が起きる前に米利下げと日銀利上げによって現在のような超円安は修正される筈で、おそらく1ドル120円台に戻ると思います

その時「1ドル300円、いあ1000円になる」と得意げに語っていたアナリストや評論家は「1ドル50円、いや30円になる」と言うでしょう

経済評論家とは そのような連中です
https://www.thutmosev.com/archives/33727.html
59:777 :

2024/04/05 (Fri) 08:58:00

令和日本は追い風が吹いて国運が上昇している
2024.04.05
https://www.thutmosev.com/archives/34366.html

向かい風では頑張っても進まないが、風向きが変わるとすべてがうまく行き始める


日本経済はデフレからインフレに向かう

日銀は23年10月から12月の需給ギャップが0.02%プラスになり、3年9か月ぶりプラスに転じたと発表した

需給ギャップは生産力と需要の差で、生産力が100で需要が99だとマイナス1%なので、商品が売れず物価が下がり給料が下がりリストラが増える

反対に生産力が100なのに需要が101だったら商品が売り切れて物価が上昇し給料は増えて企業は新たな労働者を募集するでしょう

リーマンショックの2008年の受給ギャップはマイナス6で新型コロナの2020年もマイナス5、確かに大幅マイナスの時に日本経済は大打撃を受けていました

需給ギャップがプラスはいつだったかというとバブル崩壊後では阪神大震災復興景気の1996年、小泉景気の2006年頃、アベノミクスの2013年、訪日客が多かった2018年頃でした

だが需給ギャッププラスは数か月から3年程度で終わっていて、その後はまた長いマイナス期間に突入するのを繰り返してきました

日本は30年ほどデフレに苦しんできたが物価が下がる原因は供給より需要が少ないからで、弁当を100個作ったのに毎日売れ残ったら生産量を減らすか値下げするしかありません

日本中が売れ残った弁当屋みたいになって従業員を解雇したり給料を下げて値下げし、給料が下がったのでより一層安い商品しか売れないのを繰り返した

公共事業は国が消費者の代わりにお金を使うので需給ギャップは簡単にプラスにできるが、財政悪化を招くと財務省が反対し逆に消費増税を繰り返した

消費増税は消費する人から罰金を取る制度なのでどうしても需要が減り、当然のことながら消費税創設と増税はすべて景気を悪化させた

こうして日本は八方ふさがりになったが日銀の金融緩和は円安と株価上昇を招き、外国資本は「安い日本」を買い求めて対日投資額を増やした

株価が上昇すると企業収益やGDPや需要・消費が増えるのでやっと受給ギャップはプラスに転じ、インフレ率も2%前後に上昇した

日本に風が吹いている
1990年前後の日本にはあらゆる逆風が全て吹いたような状況で、戦後好景気の前提だった日米関係もソ連という敵の喪失でアメリカは日本を必要としなくなり敵視するようになった

ソ連圏崩壊で大量の共産主義国が安い人件費を武器に工業生産を初め日本の産業は低コストな新興国に敗れて長い衰退期に突入しました

同時に昭和天皇の崩御で精神的な支柱を失い、新天皇は「日本はこんなに酷い国です」と口を開けば日本の悪口を繰り返したので国家の威信も失われた

威信を失った国家はハゲの雄ライオンみたいなもので敬意を払ってもらえず、ハイエナや雌ライオンからもコケにされて退散するようになります

平成30年間を通じて日本が衰退しつづけたのはこういう理由もあり、国家元首が自国の悪口を世界に言い触らしたらどんな国も衰退します

令和になって天皇が代替わりし新天皇は「口害」をやめたので、平成30年で衰退した日本の国運は上向いていく可能性があります

新型コロナで日本経済はかなりの打撃を受けたがそれはコロナ前からで、中国は40年続いた好景気をゼロコロナで完全に破壊した

中国は経済が悪化すると国内の引き締めを強めて様々な規制を強化し、気に食わない外国人を逮捕したり出国禁止にしている

欧米人や日本人など中国制裁に加わった国を中心に、数十人から数百人の外国人が中国から出国禁止になっている

こんな事は中国経済にとって百害あって一利なしなのだが習近平は経済に無知なので、先進国を脅しては屈服させ服従姿勢を示せと訳が分からない事を言い続けています

外国企業や外資は中国から一斉に逃げ出していて逃避先はアジアでは日本とインドになっていて、日本は安全保障で中国と対立する役割が期待されている

中国が成長していた時欧米は「日本は中国に謝罪しなさい」と毎年365回くらい要求していたが、時代は変わって「日本は中国と対立しろ」と勝手な事を言っています

中国が欧米と対立するほど旧ソ連時代のように日本の役割が大きくなり、 ロシアと中国がナチス化するにつれて日本は漁夫の利を得ます

アメリカと言えども中ロを敵に回してユーラシア大陸とは戦えないが、日本とインド・欧州とアメリカが組めば十分に対抗する事ができる

こんな風に時代が変わった事で日本に追い風が吹いていて、中国ロシアには逆風が吹いています
https://www.thutmosev.com/archives/34366.html

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