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2022/12/19 (Mon) 11:02:39
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Club SUNVALLEY/私のオーディオ人生
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio
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キット屋コラム「私のオーディオ人生」第28回 オーディオのパラレルワールド
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-028
今回はオーディオのパラレルワールドになります。テレビで大人気であったドラマ「仁」の中で南方医師が江戸にタイムスリップして現代に戻って来た時にパラレルワールドと云うセリフが出てきました、パラレルワールドとは今の世界と平行したもう一つの世界をパラレルワールドと云います。
オーディオで云うならば皆さんが使っているアルテック、タンノイ、JBLや現代の代表的なスピーカーは一般的な(A)の世界の音ですが(B)の世界はこのようなスピーカーとは隔絶したもう一つの世界の音である。
私が聴いた限り上手く鳴らされていたウェスタンエレクトリックのカールホーンを使ったホーンシステム、オイロダインやロンドンウェスタン及び直系の音こそ現代のサウンドとは異なる次元の違う(B)の世界と云えよう、
では私が体験したもう一つのパラレルワールドの音の世界をご紹介します。
ウェスタン13B 隣りにあるのはウェスタンの25Aホーンシステム
ウェスタン15Bシステムと25Aホーンシステム
正面に設置してあるのが有名なシーメンスオイロダインシステム、
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このサウンドもWEやロンドンウェスタンとは少し系統が違うが見事なサウンドを聴かせて頂いた、
三上先生宅のウェスタン15Bサウンド
今迄沢山のウェスタンシステムを拝聴させて頂きましたがすべてウェスタンだから良い音とは云えない酷い音も沢山ありますが三上先生宅で聴くウェスタンのシステムは石川県小松市にお住まいの中さんと双璧のお見事としか云いようの無いパラレルワールドの音がしている。
勿論スピーカーだけでこのようなサウンドが出るのではない、15Bを鳴らすアンプはWE-300BPPウェスタンの86Bのオリジナルと昇圧トランスは618Bがこの音作りに寄与しているのは云うまでも無い、
私は人様のシステムの音を褒めるタイプではないが三上先生宅で聴かせて頂いたチェロの響きと音色は実態感を伴った電気臭くなく木の香りが漂う素晴らしいの一言に尽きる、このサウンドをじっくり聴くと低域がどうだとか高域がどうだとか講釈を垂れる音ではない、また大型のホーンシステムなのに音像は大きくならずホーン臭さも無い、最近のテカテカした派手な喧しいサウンドとは違いこれぞ大人のサウンドと云える。多分低域用のユニットがエルタスの4181を使用しているからこそこのようなバランスの取れたサウンドになるのではないか、
ウェスタンを上手く鳴らすにはやはり4181を使わないとその良さが出てこないのではないだろうか、このウェスタンを試聴すると現代のサウンドは電気臭い音が蔓延していて何となく人工サウンドに聞こえてくる。
三上先生宅へは沢山のオーディオ評論家が訪れたり雑誌の取材で紹介されたりもしているがこの音作りこそ三上先生のご自身の「自分の音」と思うがただ高価な機器を接続しただけではこのような音にはならない、暗中模索で大変苦労をされたのではないだろうか、
正面に鎮座しているWE-15Bホーン
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で聴くチェロは現代のサウンドとは全く異なるこれこそパラレルワールドのサウンドであった、
ウェスタン25Aホーン+4181スピーカー
二つ目のウェスタンは25Aホーンシステムで低域用は4181になります。先程の15Bとは多少音が異なるのがわかる。音は勿論ウェスタンサウンドであるが音の抜けを比較すると好みとしては15Bのが好きかも、このホーンシステムは福井県の万月氏や石川県小松市の中さん宅でいつも聴いていますからそれ程ビックリしないがパラレルワールドのAの世界の音しか知らないマニアが聴けばおそらく言葉が出なく度肝を抜かれびっくりするだろう、25Aホーンを聴くと大変浸透力のある心地よいサウンドだ、
特に素晴らしかったのは女性ボーカルの歌声が目の前で歌っているような錯覚に捉われた、この25Aの音は小松の中さんと良い音での双璧であるがこのシステムも低域用の4181が寄与している、
贅沢な注文であるが私の好みからすると後ほど聴かせて頂いたロンドンウェスタンが好みに合うのとこのようなシステムは一般家庭では置けないのが残念だがこの25Aのサウンドもパラレルワールドの音である。
タンノイブラック
今迄沢山のタンノイシステムを聴いてきましたがこのモニターブラックこそ本来のタンノイサウンドと痛切に感じた、三上先生がおっしゃるにはタンノイはブラックとシルバーがタンノイの音であると云っていましたが私も同感です。シルバーは他で聴くことがありましたがブラックになるとまず聴くことも見ることもできない超が付くレアなユニットになる。
最近のタンノイのサウンドはこのモニターブラックと比較するとドンシャリ傾向の音になっているのが多い、タンノイのブラック、シルバーのユニットは低域も高域も欲張らず中域から音作りをしているのではないだろうか、特にあの中域の厚みのある心地よい響きと特徴のある音色は最近のタンノイでは聴いたことがない特筆すべき音であった、タンノイブラックを試聴すると現代のタンノイは低域も高域も伸ばしたため中域の薄い(中抜け)不自然な音に感じるがこの音が好みだと云われれば返す言葉も無いが一度でもよいからブラックやシルバーを聴いてみれば私の云っていることが理解できると思う、
又このモニターブラックも私が愛用しているロンドンウェスタン直系の音と非常に似通った音色が印象に残った、ボックスは多分オリジナルボックスのランカスターを流用されたと思うがユニットとボックスが大変マッチしているからこそ本来のタンノイの響きが出ているのではないだろうか、
手前に見えるのがタンノイのモニターブラック
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で後方のシステムは珍しいテレフンケンの085aモニタースピーカーでこのシステムは私も始めて見るシステムで音質、音色はカチッと締まった大変心地よいサウンドであった、
タンノイブラックのボックス内部の写真
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でユニット自体も大変状態の良いもので強力なアルニコマグネットを採用した初代ディアルコンセットリックスピーカーになる。タンノイファンなら一度は聴く価値はある。
家庭用のシステムに収めたロンドンウェスタン2080A、2090Aの2Wayシステム
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でこの音を聴くと米国ウェスタンとはベクトルが若干異なるが貴賓と渋さがプラスされた品位の高い音である。音質は一言で云うならば巷でよく耳にする枯れたサウンドとはこの音である。
ロンドンウェスタンの2080A、2090Aボックス内部の写真でスピーカーは強力なアルニコマグネットが使われている。ボックス内部と可愛いワンちゃんのツーショット写真
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ロンドンウェスタン2080A、2090A
最後に拝聴させて頂いたのは幻のスピーカーシステムでロンドンウェスタンだ、私が持参したいつもリファレンスで聴いているビバルディのヴァイオリンソナタのレコードが果たして私のシステムの音とどう違うのか本家の音とはどのような音なのだろうか、不安と期待が入り混じっていたのは間違いない、
自分のシステムと比較した場合まったく異質な音であれば私のユニットはニセモノになってしまうか上手く鳴らせない力量不足になってしまう、
早速聴かせて頂くと先程聴いたウェスタンの音とは多少音色も異なるのとスケール感も違う、目を瞑ってビバルディのヴァイオリンソナタをじっくりと聴くと音質、音色が同じイメージに重なり自分の家で聴いているような錯覚を覚えた、このロンドンウェスタンの音は言葉では云えない一種独特のサウンドで現代の一般的なHiFiサウンドとは異なりこれこそパラレルワールドの音だ、
ヴァイオリンの響きは電気臭くない木の香りすら漂ってくるのがわかる。オーディオを追求していくと最後はこの音に魅了されるのは私だけではないはず、
このロンドンウェスタンのサウンドを聴くと現代のHiFiサウンドは申し訳ないが長く聴いていると時間の経過と共につまらなくなり飽きが来てしまうがロンドンウェスタン系はオーディオマニア、音楽マニアを引き付ける魅力たっぷりのスピーカーと云えよう、ただこのような音を出すには相当レベルの高いアンプと高度なテクニックと肥えた耳を持っていないと上手く鳴らないのではないか、
三上先生に想う
今回はオーディオのパラレルワールドをご紹介しましたが現代のシステムは駄目とは云わないが(B)の世界の音を聴くとオーディオ観も音楽観も変わるような気がする。私もヴィンテージ愛好家ですから先生とは大変意気投合出来たのではと思う、
三上先生はもうお亡くなりになりました伊藤喜多男先生や池田圭先生と長年交流があったと云われています。またステレオサウンド誌、管球王国などに先生のシステムが紹介されオーディオ評論家も先生宅へ訪問されている。
三上先生は私より三つ年が上ですが大変(懐の深い)方で私はこの方こそオーディオの師匠、先生、教授と云える「器」を兼ね添えている方だと思う、
よくネットなどを拝見すると達人とか師匠、教授、先生と呼び名がついているコラム、ブログを時々見ますがこの方たちは本当に音がわかってそのような呼び名でやり取りしているのだろうか疑問に思うこともある。オーディオに関してはレベルの高い方が沢山いますからそのような方が読まれたら馬鹿にされるか笑い者になるだけですからその辺を弁えないと恥ずかしい思いをするのではないだろうか、
また真空管アンプ等は自由自在に設計製作が出来てオーディオのすべてを知り尽くしてその呼び名が付いているのなら納得する。
私は小さな「器」しか持ち合わせていないマニアです。先生、師匠、達人、教授と云われている方達がどれ程の「器」なのか見せて頂きたいものである。
あとがき
三上先生宅で特に良かったのは可愛い3匹のワンちゃんが私になつき傍で音楽を聴きながら居眠りをしていたのが音よりも印象に残りました、ワンちゃんも良い音はわかるんですね、
今回はオーディオのパラレルワールドを題材にしましたが皆さんも是非このパラレルワールドのサウンドを体験されると面白い、
ヴィンテージショップなどでウェスタンやその他ヴィンテージスピーカーを鳴らして店主は能書きばかりでまともに良い音で鳴っていないのが多いのとすべてヴィンテージスピーカーだからパラレルワールドのサウンドと思ったら大間違いである。やはりマニア宅で上手く鳴らされているのを聴くのがベスト、「百聞は一聴にしかず!」
確かにオーディオは進歩しているが最終的に判断するのは聴く人の感性と鳴らし方ではなかろうか、またパラレルワールドのサウンドは装置を忘れてじっくりと音楽が聴ける。
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キット屋コラム「私のオーディオ人生」第27回 ロンドンウェスタンの試聴
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-027
今回は幻のスピーカーと云われるロンドンウェスタンを題材に取り上げます。
ロンドンウェスタン
米国がウェスタンエレクトリックなら英国はロンドンウェストレックス、ドイツはクラングフィルムになります。
一口に云ってロンドンウェストレックス(ロンドンウェスタン)はアメリカのウェスタンエレクトリックとは多少異なります。
初期のロンドンウェスタンはアメリカ本国よりシステムを持ちこんでスタートでしたが英国の国策として海外からの輸入に制限を設けたためこのシアターシステムも対象になりロンドンウェスタンのシステムは自国での設計生産になったと思われる。
私が聴いた三上先生のロンドンウェスタンオリジナル
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ロンドンウェスタン直系スピーカー
初期のロンドンウェスタンは多分米国ウェスタンの改良型を使用したシステムでしたが私の憶測と情報ではその後ウェスタンエレクトリックからのシステムの供給はやめてイギリス本国での製品開発が行われたと推測されます。英国はアメリカと違って大変保守的なお国柄で海外から輸入するよりも自国で開発して販売する方法を取っていた、
日本や米国と違ってロンドンウェスタンの立ち上げに当たってイギリス国内のスピーカーメーカーの第一線級のエンジニアが集まってロンドンウェスタンをスタートさせたと思われる。当時のスピーカーメーカーと云えばシアター専門のヴァイタボックス、民生用のグッドマン、ローラ、タンノイ、パルメコ等メーカーのエンジニアが共同開発に当たったのではないだろうか、この辺が米国のメーカーや日本のメーカーとは事情が異なる。
開発終了に伴い英国本土のすべてのシアターに供給するには生産量が問題になってくる。当時はヴァイタボックス社やタンノイ社では絶対数の生産ラインの供給システムがまだ確立されていなかった、
当時のスピーカーメーカーではグッドマン社が大掛かりな生産ラインを有していたから多分ユニットはグッドマン社が中心となって製造していたのではないだろうか、
当時の技術集団が開発した初期モデル(1950年代)のスピーカーユニットはすべてロンドンウェスタン直系のスピーカーになるので音質音色は同じである。またロンドンウェスタンのシステムには低域用にグッドマン、高域用はタンノイ、ケリー、ヴァイタボックスなどでの組み合わせによる混成システムが多かったのでは、
実際ロンドンウェスタンの2080,2090Aのシステムとパルメコ、私が所有しているユニット等は音質や音色は良く似ており私が聴かさせて頂いた三上先生宅のロンドンウェスタンと瓜二つの音に安堵感を覚えた、
また米国のウェスタンエレクトリックはすべて業務用でしか販売されなかったがロンドンウェスタンは家庭用のシステムも販売されていたがほとんど日本には入って来なかったからロンドンウェスタンを含めてロンドンウェスタン直系のスピーカーは幻のユニットと云える。
ロンドンウェスタンのスピーカーのサウンドは皆さんご存知のアルテック、JBL、タンノイ等のスピーカーと比較してまったく異なる音質、音色を持っているのがロンドンウェスタンの特徴でもある。私も沢山の英国ヴィンテージユニットを聴いてきたが今回手に入れたロンドンウェスタン直系のユニットはこれらの音とは違っていた、
ロンドンウェスタンのパルメコは初代BBC放送局のモニタースピーカーに採用されていたが有名なアルテックの604Eと外観的に非常によく似ているが音質音色は全く違う、パルメコはもっと浸透力があり音味は大変美味しいエレガントな音ですがアルテックの604Eは残念ながら上手く調教された音を一度も聴いた経験がありませんので比較するのは無理かも知れません。
またアルテックやJBLなどアメリカのスピーカーはジャズ向きと云われているがスピーカー開発者にとってこれはジャズ向きこれはクラシック向きとして設計はしていないはずですからやはり鳴らし方に問題がありそう、私の個人的な意見としてジャズが鳴ればクラシックも必ず鳴るはず、クラシックが上手く鳴らないのならジャズも鳴らない、ジャズが本当に上手く鳴れば大人のジャズサウンドになるはずだ、
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2022/12/19 (Mon) 11:04:14
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私のオーディオ人生 第30回パルメコスピーカーとウェスタン13A
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今回はロンドンウェスタン系パルメコスピーカーと米国ウェスタンの13Aの試聴と超ド級アンプ845PPとの鳴き比べのコラムになります。
また比較したメインアンプはメーカーのプライドがあるため○○○製としか書いていませんのでご了承していただきたい、
奥様が経営されている美容院の一角にウェスタン13Aが鎮座されている。
長いスロートの先にウェスタンの555ドライバーが付いている。
この13Aレプリカはオリジナルとは音質、音色ともまったく遜色がない、
ホーンの造りと仕上げのブラック塗装は素晴らしく美容室のインテリアとしても大変マッチしている。
メインのシステムの部屋にはアンティークなデザインのスピーカーボックスが置いてありこの中に幻のユニットのパルメコが入っている。ニッパー君が上から覗いて見ているのが今回持ち込んだPP5/400シングルアンプ
パルメコスピーカー
パルメコスピーカーはBBC放送局の検聴用に使用されたスピーカーで製作本数は数百本しか作られなかったと云われる数の少ない幻のユニットになる。ほとんどの方は音も勿論だがパルメコスピーカーの存在すら知らない方が多いのではないだろうか、ウェスタン系をやっている方やオーディオを長くやっている方はパルメコスピーカーを知っているはずだがこのユニットは巷には出てこないのでほとんど聴く機会は少ないと思う、
私が知る限りでは名古屋では西山氏、関西では今田氏と今回ご紹介する笹本氏の三人がこのユニットを所有していますが全国を探せばまだ使っている方は沢山いると思う、
本来このスピーカーにロレンツのツィーターとリークのアンプを内蔵したシステムでBBC放送局に納入されていたらしい、パルメコスピーカーは写真でもおわかりですがコアキシャルタイプですが外観はアルテック604Eのホーン部分が大変似ておりますが振動板はウェスタンと同じものを使用しています。
このユニットのホーン部分の形状が似ているのは皆さんご存知のアルテック604Eですが音味はまったく異なります。604Eは上手く鳴らされていない方が多いので残念ながら比較はできません。アルテックの604Eは38cmのコアキシャルですがパルメコはもう一回り大きい40cmのコアキシャルになります。またマグネットは強力なアルニコマグネットを使いクロスオーバーは多分1KHZぐらいと思われる。このパルメコのエンジニアもロンドン・ウェストレックスの開発に協力したと思われそのサウンドは本家のロンドンウェスタンと瓜二つの音色、音質を持っている。
正面から見たパルメコスピーカーで中音はマルチセラホーン
ウェスタン13A
笹本氏はパルメコ以外にウェスタンの13Aのホーンシステムもお持ちでこのホーンはオリジナルを真似たレプリカですが本人の説明によりますとオリジナルとはほとんど変わらない音と云っていました、事実この13Aを聴きますと神奈川の三上先生宅で聴かして頂いたウェスタンと同じ音色でドライバーは勿論WE-555にタンガーバルブを使ったものです。
音は木の香りが漂うシットリ感を伴った音作りでホーン臭さはまったくありません。ロンドンウェスタンと比較しますと若干音が煌びやかと云うか明るいサウンドになる。振動板がアルミ系にも拘らず冷たさもありません。ウェスタンサウンドのよさをたっぷり味合うことができる。
笹本氏の人柄
笹本氏は大阪府にお住まいで関西では笹本氏を知らない方はいないほどオーディオに関しては知名度と面倒見のある方で以前のコラムでご紹介した神奈川の三上先生とも交流があります。オーディオ以外では素敵な奥様とのジャズライブ演奏を趣味として楽しまれています。
笹本氏はオーディオに関しては長い遍歴があり人並み以上に苦労をされて最後は現在のシステムに落ち着いて装置を忘れて音楽を楽しまれている。聴く音楽はジャズ、ボーカル、クラシックでアナログとデジタルCDになりますが特に録音に関しての機器には人一倍拘りを持っている。
録音時のテープデッキはスチューダーよりもアンペックスのが音が良いとか、事実私が小松の中さん宅で聴かせていただいたアンペックスのプロ用デッキと2トラ38のオリジナルマスターテープのジャズはアナログやデジタルとは違う恐ろしい音であった、
スピーカーシステムは勿論ウェスタン555とウェストレックスのアンプだ、アンペックスのプロ用テープデッキで再生された音は国産のテープデッキで満足されている方がアンペックスのデッキで再生された音を聴くと哀れな物になってしまう程その差は歴然、このマスターテープの所有者が笹本氏とは相当恐ろしい耳の持ち主で今までのマニアの中では音に対して厳しいが人当たりの良い紳士で技術レベルも高く手強い相手である。
笹本氏の現有システム
メインシステム
CDプレーヤー CEC TL-0
コンバーター LAVRY
アナログプレーヤー ガラード 301
トンアーム オルトフォン RF-297
カートリッジ オルトフォン SPU-A
プリアンプ マッキントッシュ MX-110
メインアンプ ○○○製 845PP 100W
球は多分RCAかセトロンと思われる
スピーカー ロンドン・ウェストレックス系パルメコ
ツィーターのみエレボイのT-350
以上がメインシステムになります。
CEC製CDプレーヤーTL-0
ガラードとオルトフォンのアーム
プリアンプはマッキントッシュのMX-110
このアンプはチューナー付きですがアメリカではC-22より人気があるそうです。
笹本宅への訪問
笹本宅には1年前に一度訪問しています。この時は小松から中氏と同じ関西にお住まいの今田氏と私の4人でのOFF会になりました。この時初めて笹本氏のサウンドを聴かせていただいた、中氏は時々コラムに登場して頂いている石川県のオールウェスタン愛用のスーパーマニア、今田氏は笹本氏と同じパルメコスピーカーの愛用者です。
ジャズライブで歌っているのが笹本氏の奥様、左側でウッドベースを弾いているおじさんが 笹本氏です。
奥様の録音されたCDを聴かせて頂きましたが大変魅力的なジャズシンガーで甘い歌声はアマチュアとは思えないです。主人と一緒にライブを楽しまれているのは羨ましいですね、
笹本氏がライブ演奏に使っている愛用のウッドベース
笹本宅への訪問
パルメコスピーカーは西山宅で聴いていましたからそれ程の驚きはなかったのですが此処で鳴らされているパルメコはお見事しか云いようがない不満点のない音で鳴っていた、
多分スピーカーのエンクロージャーと使用している○○○製のアンプがこの音を決めているのか、あまり褒めると笹本節が始まるのでここは控え目に、
ボックスはアメリカ製の立派な作りで箱の響きが大変心地よく浸透力のあるサウンドだ、ただ残念な事にこのボックスは1本しかなく(現在探しているとのこと、)
ツィーターはエレクトロボイスのT-350を使い繋がりは不自然ではなくフルレンジ一発で鳴っているように感じ大変コクがあり中域の押し出し感は見事で大人のサウンドだ、
オールウェスタンで統一されている中氏もこの音には少なからずショックを隠しきれないのと私もこの音のまとめ方が上手いと感じた、早く名古屋に帰って私の音の違いを比較したい衝動に駆られてくるのは当然である。
オーディオマニアがよく云う低域、高域どうだとかピアノがハンマーで叩く音がどうのと講釈をたれる方がいるがこの音を聴くと馬鹿馬鹿しくなるぐらい音楽を楽しく聞かせてくれる。勿論ジャズ、ボーカル、クラシックも不満がないオールマイティーでパルメコスピーカーは上手く鳴らせば本当に恐ろしいスピーカーの一つでもある。
笹本氏はこの音を出すまでは長い年月をかけて大変苦労されて今に落ち着いてオーディオを忘れて楽しんでいますが音と云うものには必ず不満点や悩みが出てくるはずだが今の状況では大きな不満点がないが現在ユニットは2本あるがボックスがないためモノラル再生のみであるがこれがステレオ再生になればもっと苦労するのではないだろうか、
笹本氏、中氏、今田氏と私を囲んでのパルメコの試聴とオーディオ談義、
笹本氏は今田氏にスピーカーボックスの重要性を説明していた、
二度目の訪問(道場破り)
前回の訪問では笹本節をたっぷり聞かされた、笹本氏曰く「この845PPは今まで使った中では最高のアンプでこれ以上のものは無い!価格も2台セットで○○○万円はする海外製の品物だから自作アンプならいつでも相手になる!」と豪語していた、
また笹本氏は「今まで沢山の自作アンプを持ち込んで鳴らしたがどれ一つ良い音のアンプはなかった、今度のアンプも音が悪ければ一刀両断で評価してやるぜ」と名古屋から来る私たちを待ち受けていた、
今回は同じパルメコ愛用の鋭い耳の持ち主でもある西山氏を連れての道場破りだ!音源はCDとアナログで特に録音の悪いのを選んで持ち込んだ、録音の良いのは良い音で鳴って当たり前、悪い録音をいかに上手く鳴らすかがポイントだ!
本来はアンプ同士の鳴き比べ対決はしたくないが世界の一流アンプが相手では負けて当然かも?しかもオーディオ雑誌ではこのアンプを評論家が力強くエネルギー感のある最高の真空管アンプと評価していたがこちらも英国の名出力管PP5/400の直熱三極管でしかも交流点火を採用、パーツ類は拘りを持って製作、出力は845の10分の1しかないがアンプは出力や価格がすべてではない!出てきた時の音の勝負だ!相手がメーカー製なら負けても苦にならないがもし負ければ後ろに御大将のもう一台のアンプWE-300Bの91Bタイプで交流点火が控えているから何時でも受けて立つ!今度こそはギャフンと言わせたいなぁ~
大阪春の陣
今年の四月にPP5/400アンプを持参して西山氏と再度笹本邸の訪問であるが私はアンプを持ち込むのは正直良い気持ちではないがあの素晴らしいサウンドを聴けるのであればアンプの他流試合や道場破りなどはどうでもよいのだが・・・・・・
早速、笹本氏自慢の超ド級の845PPアンプでの試聴になった、聴くソースは私が持参したバッハの無伴奏パルティータで演奏はチョン・キョンファである。前回お邪魔したときよりもパルメコの良さが前面に出ているのがわかるが若干ではあるがヴァイオリンの胴鳴りが少し物足りない部分があるのと少しではあるが中域が薄い感じがしないでもない、多分トリタンの845アンプの特徴かコアキシャルの宿命かもしれない、
でもこのサウンドを聴くと他のマニア宅ではここまで鳴らしきっている方は少ない、ネットなどのコラムでジャズ喫茶、マニア宅の訪問を読むことがあるがよく読むとすべて誉め言葉ばかりか社交辞令なのか本当に音がわかっているのか疑問に思う、昔はジャズ喫茶と言えばアルテック、ジムランが多いが今はマニアのがもっと良いスピーカーで鳴らしているので魅力がなくなっているのとジャズ喫茶のオーナーもただシステムを置いて鳴らしているだけの所が多すぎる。
今回の大阪(春の陣)は誉め言葉だけでなく音の不満点を探して指摘したい、(どうせ俺は嫌われ者)笹本氏は常々「俺はオーディオを忘れて音楽を聴きたい」と口癖に云っていたが果たして?どうだろうか、
845PPの音をじっくり聴いた後いよいよPP5/400の出番である。接続終了後先ほどのチョンキョンファのパルティータを聴く、出てきた音は中域が大変膨らみを持った豊かな響きで音楽のエキスが前面に出てくる。先程のバイオリンの胴鳴りもふくよかに再現され高域も透明感のある聴き疲れしない、しかも重心が下がったためパルメコが生き返ったように躍動感に満ちた説得力を持って鳴り出した、笹本氏、西山氏もこの違いに驚いた、笹本氏もたかが5Wのアンプがこれだけ鳴るとはショックを隠せない、
笹本氏の言った言葉「オーディオはエンドレスだ!」
自分のアンプを自画自賛してしまったが私だけの評価ではなく笹本氏、西山氏の共通の評価は私と同じである。私の好みは91Bタイプの300Bのがより音楽の聴かせ所が優れているのだがこれはあくまで好み・・・・・
オーディオは一流メーカーの高額なアンプを使えば音が良いと思いがちだが現実は違う、その辺を弁えないと高い買い物になるから目利き、耳利きが重要である。
あとがき
今回はWE-13Aとパルメコの試聴と道場破りがメインでしたが欲を云えばパルメコをステレオで聴いてみたかった、モノラルの場合はどうしても広がりに少し不満が残るがボーカル、ピアノ、バイオリンなどはモノラルの 方のが定位が良く奥行き感もリアル感も出ていたような気がします。
パルメコも素晴らしいがこれを収納しているスピーカーボックスを笹本氏が自慢するだけあって見事にマッチしているからこれだけの素晴らしい音が出てるのではないだろうか、笹本さん今度は名古屋でお会いしましょう
※写真の一部分は笹本氏のブログから拝借させていただきました。
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VAITAVOX も AXIOM80 も特徴のあるロンドンウェスタン系のサウンドでよく似た音には間違いない。
AXIOM80 の中高域の音色はロンドンウェスタン系の特徴のある個性のある音で、巷ではこのスピーカーの虜になるのがわかる。
音色を一言で云うならセピアカラーの音とHMVの蓄音器に近い一種独特のサウンドと云える。特にバイオリン、ピアノの響きと音色は特筆すべき良さが感じ取れる。
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私のオーディオ人生 第35回 GOODMANS AXIOM-80を鳴らす。
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-035
このコラムももう35回目になりました、35回の節目としてマニアの間では究極のユニットとか伝説のユニットと云われているGOODMANS社のAXIOM-80フルレンジスピーカーを取り上げます。
今回ご紹介するユニットはレプリカではなく1950年製の最初期オリジナルユニットになります。巷ではAXIOM-80はマニアを引き付ける麻薬的なサウンドで魅力的な音だとかこのスピーカーで聴く弦楽器の再生はこれ以上ない!とか云われ一度このスピーカーの虜になるとタンノイ、アルテック、JBL等では味わうことの出来ないスピーカーと云われていますが果たしてどれ程のユニットなのか実験を行いながら試聴しましたので興味がおありの方は最後までお付き合いください。
1950年前後の超レアなユニット、状態も大変よくコーン紙の補修もありません。
AXIOM-80
AXIOM-80をネットで検索しますと色々な方が評価していますからあえて私が詳しく述べる必要はないのとAXIOM-80に関して自分はそれ程詳しくはありませんが使われた方のコメントを読みますとAXIOM-80は大変気難しく簡単には鳴らないと云われている、
私のコラムでも以前に書きましたが故瀬川冬樹氏がこのユニットを使っていたと紹介しましたがこのユニットはオリジナルと復刻(レプリカ)がありその違いを比較したわけではありませんが今はないヒノオーディオでヒノ製のボックスに入ったレプリカのAXIM-80を聴いたことがあります。その時の印象として大変指向性が強よくて高域は耳に付くきつい音でこれが噂のAXIOM-80の音かとがっかりした覚えがある。
皆さんもAXIOM-80を聴かれた方はオーディオショップがほとんどと思われますがショップの場合は適当にセッティングして展示してあるアンプを繋いでの音出しがほとんどですから本来の実力は見えてこないのとこのような簡易的な鳴らし方ではAXIOM-80が可哀そうに思える。ショップで鳴らすAXIOM-80は魅力が乏しく他のスピーカーのが良く聴こえて来る。
残念ながら適当に接続してセッティングしたAXIOM80は本来の音とは程遠いサウンドでこれがAXIOM-80の実力かと思われるとこのユニットは哀れである。
AXIOM-80のオリジナルBOXは存在しない!
色んな方のAXIOM-80のコラムを読みますとAXIOM-80をオリジナルボックスに入れて楽しんでいる方が沢山いますがGOODMANS社はユニットを装着したオリジナルボックスは存在しません。当時GOODMANSはシュロリ貿易が輸入元でこのユニットをヤマハがGOODMANS社からライセンスを受けて製作されたと聞いています。
ヤマハボックスはAXIOM-80の図面を元に後面がコーナーになっていて前面にARUを取り付けて販売されていた、時々写真で見るオリジナルボックスはすべてヤマハが製作したものですがこのボックスは評判が悪く本来のAXIOM-80の良さが出ないボックスと云われている、 もう一度はっきり云わせて頂くとAXIOM-80のオリジナルボックスは存在しません。仮にオリジナルと称して本国からユニットを装着した物が入荷したのであれば英国の箱屋が作ってユニットを入れたものと思われる。
タンノイの様なオリジナルボックス付きの場合100%失敗はしないがグッドマンズ社の場合はユニットだけの販売では一部マニアでしか使えない欠点がある。
私が高校生の頃名古屋の納屋橋にありましたヤマハビルのオーディオ売り場にこのAXIOM80がヤマハボックスに収納されて展示してあったのを覚えています。またシュロリ貿易が出していたGOODMANSの総合カタログがありこれを目に通すと一風変わったユニットが載っていました、これが現代でも幻の名器と云われるAXIOM80で真っ赤なマグネットを装備した見た目にも高級感があったのを覚えています。当時の販売価格は1本26,000円ぐらいだったと記憶しています。またこのユニットを装着したヤマハボックスに入れたのを聴いていますが当時の耳のレベルでは凄いとは思わなかったが国産品しか知らない私でしたから外国製と云うことで魅力はありました。
センターのサブコーンは薄いベークライトのような素材を使ってあるのが本来のオリジナルになります。
AXIOM-80のレプリカ
オリジナルとレプリカ、確か真空管の名器でマッキントッシュのC-22、マランツ#7もレプリカがありましたね、良質なオリジナルが無い為やむを得ずレプリカを購入された方が沢山いますがルックスは同じでも音質的にオリジナルとは似ても似つかない音ですがこれは仕方がないかも知れません。
AXIOM-80もオリジナルとレプリカタイプが存在しますが今の時代良質なオリジナルを手に入れることは至難の業かも、ヤフオクで時々AXIOM-80が出品されていますがユニット単体で30~40万ぐらいで落札されているのを見ますといかにこのユニットの人気があるのか伺えます。
良質なオリジナルが手に入らなければレプリカになりますがこのレプリカも曲者で外観はAXIOM-80と同じ作りですが音質的にはまったく違います。
またオリジナルの場合も初期型、後期型が存在する事がわかりました、
私が所有していますAXIOM-80は1950年代の初めのユニットですから完全な初期型になります。
AXIOM-80の使いこなし
今までステントリアン、ワーフェデール、グッドマン、パイオニア、コーラル、ヴァイタボックスなどのフルレンジユニットを使ってきましたがスピーカー遊びはフルレンジが一番面白いのとボックスに入れれば即鳴るのが魅力でしたがフルレンジ程上手く鳴らせないユニットはありません。
オーディオはフルレンジ派もいればマルチ派もいます。あるマニアが云っていた事ですがマルチを追求して鳴らしている時に俺は音を聴いているのか音楽を聴いているのか自己不信に落ちいって最終的にフルレンジに戻したと云っていましたが、
確かに3Way、4Wayの大型ホーンを使ったスピーカーの音を聴いていますと歪感の少ない良い音に聴こえますがじっくり聴きますと音の定位がバラバラで一つにならないのと楽器や人の声を聴きますと音像が大くなり不自然感は拭えません。
音楽を楽しむと考えたらフルレンジ型やコアキシャルスピーカーが自然体で音楽が楽しめる。どちらも一長一短があるからオーディオは面白いのではないだろうか、
早速ですが私なりにAXIOM-80の使いこなしになりますが良いスピーカーほど簡単には鳴らない、特にこのユニットは箱を選びアンプを選ぶ傾向があるのがわかった、ヤマハが販売したGOODMANSの指定箱では正直低域の量感が乏しくバランスがすべて上に行ってしまい高域がきつく疲れる傾向の音になってしまう、
また解決策として低域の量感を増やす為ウーファを追加して2Wayでやられている方がいますが理論的には正しいのですがウーファとAXIOM-80の繋がりに問題があるはずです。
AXIOM-80はフルレンジですからこのユニットを低域のみカットして使えば何処かの部分でディップが生じるのと音色が同じでない為不自然になってしまう、
では同じGOODMANSのユニットを低域で使用すれば解決するのかと云えばこれは難しくカット&トライで挑戦するしかない、
GOODMANSでもAXIOM-80は特別な音色を持ち合わせていますから音色は一致しない、
今回は私の所有しているタンノイGRFタイプのボックスにこのユニットを実装して試聴しました、このボックスの容積は約250?、ボックスの材質はフィンランドパーチで板厚は19mmでバスレフタイプなります。
他の方が書かれたブログを読みますと
AXIOM-80はバスレフ、バックロードではスピード感がなく付帯音がくっ付いて鳴らない
と書いてありましたがそれは本当なのか実証してみたいと思いますがその辺はカット&トライでやって見たいと考えています。
マグネットは17000ガウスもある強力マグネットで現代のスピーカーでは考えられない強力なアルニコマグネットを採用しているのは脅威でもある。
AXIOM-80音出し
早速このユニットを実装しての音出しですが取りあえずユニットのみ裸の状態で音出ししてみました、最初に出てきた音はどこにでもある特別な音ではなかったがこれをボックスに実装したらどんな音になるのか胸がわくわくしてくるのがわかる。世界の名器と云われたユニットが果たしてどんなサウンドを奏でてくれるのかスピーカーマニアならこの気持ちは理解していただけるのではないだろうか、
折角鳴らす以上比較対照するものがなければ評価のしようがない、
ここで片側の左側はAXIOM80を装着し右側をVITAVOXのDU-120コアキシャルを取り付けての比較試聴なら私の様な阿呆耳でもはっきりわかるはずだが未知の体験であるがため試聴には慎重にならないといい加減なレポートでは参考にならないとお叱りを受ける。
またこのAXIOM80は真空管アンプを選ぶらしいがWE-300Bを使えばきっと鳴るはずだが果たしてどうなのか、
早速であるが巷では最高の球と云われているWE-300Bシングルで試聴開始した、
試聴のシステム
プレーヤー ヤマハ GT-1000
トンアーム GRACE G-565 ロングアーム
カートリッジ オルトフォンSPU-GとSL-15E
昇圧トランス ゼンハイザー 1950年代のヴィンテージトランス
ブリアンプ マランツ#7
WE-300B シングルアンプ、メトロアンプ
試聴レコードとCD ビバルディのバイオリンソナタその他
以上のシステムでの試聴になります。
全体で聴くAXIOM80は高域の透明感は見事なのだがいかんせん低域の量感が薄くバランスが上に持ち上げた音になる。シングルアンプの場合はトランスの磁化の影響で低音が出にくいのかもこれは300Bアンプが悪いとは思えない、
答えはこのスピーカーにはシングルアンプは合わないではないか、
250リッターのボックスを使っても低域不足は不満が残るが
中高域の音色はロンドンウェスタン系の特徴のある個性のある音で巷ではこのスピーカーの虜になるのがわかる。
音色を一言で云うならセピアカラーの音とHMVの蓄音器に近い一種独特のサウンドと云える。特にバイオリン、ピアノの響きと音色は特筆すべき良さが感じ取れる。
ケフェレックのバッハのピアノ曲はスピード感のある付帯音の付かない切れ味の鋭い日本刀のようなサウンドだが長い時間聴いていると低域不足の不満が見え隠れしてくる。
次にVAITAVOXのDU-120に切り換えると中高域はほとんど同じ音質と音色だが低域から中低域にかけてAXIOM80では出なかったふくよかさが出て品位の高さで差が出た、低域の量感は25㎝ユニットでは難しいかも知れないがAXIOM80はVAITAVOXに劣らず品位の高い音でタンノイ、アルテックでは味合う事のできないマニアを虜にするサウンドだが大編成のオーケストラの場合は口径が小さい分無理の様な気がするがジャズトリオをかけるとあのクソ喧しい一般的なジャズサウンドとは違うしっとりとしたコクのあるサウンドに変身する、ジャズもボーカルもグッドだが低域がもう少し出れば文句なしだ、またバッハなどの室内楽、器楽曲を聴くとこれ以上望む必要がないぐらい味のあるサウンドになる。
サブバッフルを取り付けての試聴
メトロアンプで鳴らすAXIOM80
WE-300Bシングルアンプで鳴らしたAXIOM80だがこのユニットを使っている方は良質のアンプを繋いで鳴らされていると思うがプッシュプルアンプを使うとどんな音になるのか、早速アンプを交換して再度試聴を試みた、
このメトロアンプは前回のコラムで紹介したトランスは米国製のシカゴ・スタンダード(スタンコア)トランスを使った自分では最高のアンプと思っているがAXIOM80はアンプを選びトランスまでも選ぶスピーカーでこんな気難しいユニットは聞いた事が無い、今回は出力管はGECのKT-66に交換しての試聴になる。
接続後最初に出てきた音はWE-300Bでは出なかった低域の量感が豊かになり中高域は刺激のない味のあるサウンドでピラミッドバランスに変身したのは驚きであった、やはりこのユニットはシングルアンプでは簡単には鳴らないことを痛切に感じた、
多分このサウンドこそ本来のAXIOM80のサウンドかも知れない、AXIOM80はダブルコーンのため高域がきつくなるのが当たり前ですがこのメトロアンプではトランスの影響で長時間聴いていてもまったくきつくならずに疲れない、
その後VAITAVOXに切り換えて試聴したが好みとしてはVAITAVOXのが自分には合うように思えるのとVAITAVOXのDU-120は日本には10セットぐらいしか入って来なかったスピーカーですからある意味AXIOM80より貴重に感じる。
最後に色々切り換えて試聴したがどちらがVAITAかAXIOM80かわからなくなってきた、どちらも特徴のあるロンドンウェスタン系のサウンドでよく似た音には間違いない、
最後にAXIOM80を上手く鳴らすには容積の大きなボックスで材質はフィンランドパーチ、米松合板辺りを使い吸音材を調整しながらバスレフでの使用がベスト、またアンプはプッシュブルが適合で出力トランスは有名なトライアッド、ウェスタン、シカゴ、スタンコア辺りを使用すれば本来のAXIOM80の良さが出てくるような気がしますが国産のトランスを使ったマニアが作った自作のアンプではまずは簡単にならないことをご報告しよう、名ばかりの国産のトランスではAXIOM80の良さを十分に引き出すのは難しいのと世界の名器に対して失礼である。
あとがき
今回はAXIOM80を取り上げての試聴でしたが私個人に云わせると巷で云う名器とは思わないのとこのユニットは価格がべらぼうに高くなってしまったがそれだけの価値は無いと思うがAXIOM80に恋こがれた方なら価格の問題ではない、AXIOM80もそうだが長年英国スピーカー遊びをしてきた私ですから特別凄いとは感じなかったが一般的に見ればこのユニットも名器の一つかも、
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-035
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ヴァイタボックスのサウンドはロンドンウェスタン系の渋い枯れた音でバッハを聴くならこの音しかない、それだけ素晴らしいサウンドで欠点が中々見当たらない、
ウェスタンエレクトリックの555ドライバーを使ったシステムはどちらかと云えばクレデンザの蓄音機の延長線上にある音だが、ヴァイタボックスはロンドンウェスタンの流れを組むHMV蓄音機に近い独特な響きで素晴らしい、
タンノイが英国サウンドと云われるが、本当の英国サウンドはタンノイではなくこのヴァイタボックスとグッドマンではなかろうか、
英国の1930年代のHMV蓄音機は電気臭くなく、ヴァイタボックスによく似たサウンドで、蓄音機なのに音圧レベルが高く遠くまで音の浸透力には脅威に感じる。
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私のオーディオ人生 第39回 VITAVOX CN-191で鳴らす喫茶「フィガロ」
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-039
今回のコラムはオーディオマニア、音楽マニアも一目置く英国VITAVOX社のCN-191コーナーホーンシステムを使ったクラシックがメインのミュージックカフェ「フィガロ」を紹介します。
(中川隆 註 : ミュージックカフェ「フィガロ」は既に廃業しています)
この階段を上に上がりますと2階がお店になります。
ミュージックカフェ「フィガロ」
今まで沢山のジャズ喫茶、音楽喫茶、ヴィンテージショップやマニア宅で色んなシステムを聴かせて頂きました、遠い昔京都の「ヤマトヤ」で聴いたVITAVOXのCN-191コーナーホーンまた東京は吉祥寺にもありますクラシック専門の音楽喫茶「バロック」でもこのCN-191コーナーホーンを聴きましたが本来のVITAVOXサウンドとは程遠く中々このスピーカーを上手く鳴らすのは難しい、
真空管アンプなら何でもなると思ったら大違い、このスピーカーはアンプを選びトランス、球まで選ぶ大変気難しいスピーカーシステムだ、
店内の全体の様子
スピーカーはヴァイタボックスCN-191コーナーホーンが左右に鎮座しています。
ヴァイタの横にあるのが珍しいRCAの電蓄で1930年代
男の隠れ家「ミュージックカフェ・フィガロ」
中部地方にも沢山のジャズ喫茶、音楽喫茶がありますが今回ご紹介する音楽喫茶「ミュージックカフェ・フィガロ」はオーナー自らオーディオマニアでもありレコードマニアでレコードは3000枚所有とのこと、また此処のオーナーで夏目店主は音楽も好きでオーディオも大好きな気さくな店主ですから是非行かれてオーディオ談義、音楽談義をされることをお薦めしたい、フィガロの場所は名古屋市千種区の東山公園の近くにあります。
ここのシステムは凄い
メインシステムがヴァイタボックスCN191コーナーホーンでここで鳴らされているヴァイタサウンドはおそらく日本ではトップクラスのサウンドでこのようなシステムが名古屋にあるとは気が付きませんでした、
以前のコラムでご紹介したジャズ喫茶DAYSもヴァイタボックスのコーナーホーンでしたが同じヴァイタでもこんなにも違うサウンドでフィガロは特にクラシックがメインですがお客様のご要望で歌謡曲ありジャズあり勿論自慢のアナログレコード及びCDを持ち込んで聴かせてくれます。
プリアンプはマッキントッシュ20とマランツ#7を使っている。
モノラルはマッキントッシュでステレオが#7を使い分けている。
下側にマランツ#9が2台あります。
プレーヤーはガラードの301が2台でモノラル用とステレオ用
フィガロのシステム
メインシステムはヴァイタボックス191コーナーホーンですが
この隣に設置してある1930年代のHMV蓄音機と、
同じ1930年代のRCAの電蓄、
プレーヤーはガラードの301が2台、
モノラル用はSMEのアームにオルトフォンのモノラルカートリッジと
オルトフォンのアームに同じオルトフォンのSPU-Aが実装されている。
アンプはすべて真空管アンプで
プリアンプはマランツ#7と
メインアンプは同じマランツの#9が2台
すべてオリジナルとのこと、
MCカートリッジの昇圧トランスは、夏目マスターは秘密と云っていましたが
私が見たところ一般のアナログマニアでは聴けない WE製618B を使って昇圧しているが
このようなシステムを揃えたレベルの高い喫茶店を私は見たことも聞いたこともない、
フィガロのサウンド
私が訪問した時ヴァイタボックスからシゲティのバッハ無伴奏が流れていました、
一聴してこのサウンドはロンドンウェスタン系の渋い枯れた音でバッハを聴くならこの音しかない、それだけ素晴らしいサウンドで欠点が中々見当たらない、
またこのお店の雰囲気がヴィンテージシステムにピッタリで壁には色んなアナログレコードのジャケットが並べられている。
トータルで考えるとマランツ#7と#9の実力が発揮されているようだ、
ヴァイタボックスのサウンドこそ英国を代表するサウンド、
タンノイが英国サウンドと云われるが本当の英国サウンドはタンノイではなくこのヴァイタボックスとグッドマンではなかろうか、
私の所有しているヴァイタボックスDU-120と比較しますと低域の量感は38センチのウーファを使っているためスケール感には差が出るが家庭で使うには30cmのDU-120で十分である。
ウェスタンエレクトリックの555ドライバーを使ったシステムはどちらかと云えばクレデンザの蓄音機の延長線上にある音だがヴァイタボックスはロンドンウェスタンの流れを組むHMV蓄音機に近い独特な響きは素晴らしい、
次に聴かせて頂いたのは英国の1930年代のHMV蓄音機、
レコード盤はすべてSP盤であるが、この音は電気臭くなく先ほど聴かせて頂いたヴァイタボックスによく似たサウンドで蓄音機なのに音圧レベルが高く遠くまで音の浸透力には脅威に感じる。
このようなサウンドを聴かされると現代のハイエンドオーディオは歪み感のない綺麗なサウンドだが必ず飽きが来るはずだ、特に現代のハイエンドは上も下も伸ばしたため中域が薄くなりがちで不自然に思う、
HMV蓄音機を聴かせて頂いた後は1930年代のRCAの電蓄だ、また特に良かったのは美空ひばりの子供の頃のSPレコードでこの歌声を聴くとタイムスリップしたような錯覚にとらわれる。
男の隠れ家ミュージックカフェフィガロの場所
車で行かれるのなら広小路線を東に向かって東山動物園の近くになります。 動物園の近くまで来ますと道路の反対側にスーパー「コノミヤ」がありますからこれを目印にして行けばすぐにわかります。コノミヤの隣の2階がフィガロです。駐車場は確か2台ぐらいあると云っていましたができれば近くのコインパーキングに置かれた方のがよいかも 遠方から電車で行かれる方は名古屋駅から地下鉄東山線に乗って東山公園で下車して徒歩で少し戻ればすぐにわかります。
是非仲間やご夫婦で訪問してください。店内は広いですから時間をかけてヴァイタボックスサウンドやHMV蓄音機の音楽性豊かなサウンドを満喫できます。
フィガロは日本でもトップクラスのサウンドを聴かせてくれますからY下のブログを読んだと云っていただければすぐに打ち解けると思います。
またフィガロから車で10分ぐらいの所に本山の交差点を北に行きますとジャズ喫茶DAYSもあります。
同じヴァイタボックスでも音の系統は違います。
二つのヴァイタボックスが聴けますからこちらも訪問すると面白いかも
あとがき
今回はミュージックカフェフィガロをご紹介しましたが、今まで色んなシステムをマニア宅、ジャズ喫茶などで聴かせて頂きましたが、マニアなら一度は聴きに行くべきです。
マランツ#7とマランツ#9の組み合わせは極上でまったくもって不満は感じないがメインアンプは西部電気の300Bより英国製の直熱3極管を使って良質のアンプで鳴らしたらより英国サウンドが満喫できるように思える。勿論出力トランスはパートリッジならグットだ、
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-039
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私のオーディオ人生 第22回 20㎝フルレンジスピーカーを鳴らす!
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-022
今回のコラムは私が最近購入した英国の名門スピーカーで20㎝ダブルコーンスピーカーWharfedaleのSuper8-RS/DDをご紹介します。
私の友人で究極のオールウェスタンとウェストレックスのアンプで楽しんでおられる石川県の小松市に住むスーパーマニアの中さんが久しぶりに名古屋に来られて早速このスピーカーを厳しいウェスタンの耳で評価をして頂いた、
中さん曰く
「20㎝のダブルコーンとは思えない豊な響きと枯れた音色が魅力的だ、
特にピアノと声楽が素晴らしく他のスピーカーではこの音は出ない、
同じイギリスのタンノイとは音色的な傾向と出音は随分違うけどこれこそが紛れもない英国サウンドの音ではないだろうか」
また
「自分が使っているウェスタンに近い音色を持ち合わせているから今後はワーフェデールを見習ってウェスタンも同じようにしっとりとした(いぶし銀)のサウンドを出したい」
とウェスタンレベルの目線で評価して頂いたがやはり当時のワーフェデールもHMV蓄音機やロンドンウェスタンの流れを汲む音色の一端が見え隠れするような気がする。
スピーカーに関しては今迄色んな英国ヴィンテージスピーカーを購入して聴いてきましたが
現代のハーベスやスペンドール等の同じ英国スピーカーのブックシェルフタイプはどちらかと言えばフロアータイプと比べるとこじんまり纏めた鳴り方で能率も低く個性のない無色透明なスタジオのモニター的な音が特徴ですが
同じ英国のヴィンテージスピーカーは一応に能率が高くメーカーのサウンドポリシーが前面に出て個性が主張されているのが面白い、
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-022
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3:保守や右翼には馬鹿しかいない
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2022/12/26 (Mon) 08:48:35
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オーディオで参考になるサイト
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Club SUNVALLEY/私のオーディオ人生
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