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何故日銀はインフレに応じて金利を上げないのか?

1:777 :

2022/10/07 (Fri) 18:57:20

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
2022年10月6日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29198

ここ数日、インフレ下における最良の投資方法は、株式の空売りを除けば預金であるということを説明してきた。

インフレ相場での最良の投資方法は株の空売りを除けば株式投資ではなく預金
何故ならば、インフレ対策で行われる利上げによって、預金者はインフレによる現金の減価とさほど変わらない金利収入が得られるからである。

インフレ率と政策金利

過去に物価が高騰した1970年代のアメリカのインフレ率と政策金利のチャートをもう一度掲載しよう。


インフレ率が最高で15%近くまで上がった時代であり、人々はものの値段が上がって苦労した。

だが注目してほしいのだが、上のチャートでインフレ率とともに金利も20%近くまで上がっているのである。つまり、インフレで預金の実質的価値が目減りした分は高くなった金利収入で補填されており、預金者の資産はインフレ下でも守られたことになる。

つまり、インフレは預金者にとって大した問題ではない。ただ、これはインフレを抑制するために政策金利を上げるまともな中央銀行を持った国に限った話である。

日銀の低金利政策

では何故日銀はインフレに応じて金利を上げないのだろうか? 利上げは悪なのだろうか? だが利上げがあれば、預金者はインフレで資産を目減りさせることはなかったはずだ。(「インフレで株式は買い」という完全に間違ったデマに騙されて株を買ったりしなければだが。)

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
何故政府は金利を上げないのか? 利上げは預金者をインフレから守ってくれる。利上げさえあれば、一部の人々は「インフレ対策で株式投資を始めなければならない」と言いながら、インフレで大暴落する株式に突っ込んでいったりはしなかったはずである。

2022年インフレ株価暴落は個人投資家が全員退場するまで続く
何故日銀は利上げをしないのか。その理由は、預金者にとってインフレから身を守ってくれるものであるはずの利上げは、債務者にとっては借金がこれ以上できなくなる致命的な金融政策だからである。

金利が上がれば債権者(預金者は預金を通して実質的に国債を保有している)は金利収入が上がるが、それは同時に債務者の支払う金利が増えるということを意味する。

そして国内最大の借金を抱えた債務者は、言うまでもなく政府である。

政府債務

日本の政府債務は今どれくらいまで膨らんでいるだろうか。GDP比のチャートを掲載しよう。


2020年のデータで日本の政府債務はGDPの216%に達している。

預金者にとってはインフレから身を守ってくれる利上げだが、このような巨大な債務者にとってそれはどのような意味を持つか?

例えばアメリカでは利上げの結果、短期金利は利上げ前の水準(つまりゼロ金利)から4%上昇している。

同じことが日本で行われればどうなるだろうか? GDPの200%以上の債務を抱える日本政府にとって、それは単純計算でGDPの8%分の利払いの増加を意味する。

日銀が利上げを行わない理由

これこそが日銀が利上げを行わない理由である。そして日銀はインフレを望んでいる。

日本の消費者が現在物価上昇で苦しんでいるにもかかわらず、日銀がインフレを望んでいる? そんな残酷なことがあるだろうか? だが思い出してほしいのだが、日銀はインフレターゲットなるものを掲げてもう何年もインフレを実現しようとしてきた。

そしてインフレになった。2020年から既に始まっていた現在インフレの原因は2022年に始まったウクライナ情勢ではなく、コロナ後に世界中の政府が現金給付と量的緩和を行なったからであり、金額で言えば最大の戦犯はアメリカ政府だが、日本政府もその一部であることは単なる事実である。

ドラッケンミラー氏: インフレを引き起こした政府の間違いは長期にわたって貧困層を苦しめる
彼らの「インフレターゲット」は現実になった。そして実際に物価が上昇して初めて、人々はインフレとは物価上昇という意味だということを理解したらしい。馬鹿ではないのか? 辞書が無かったのか? インフレが他にどういう意味だと言うのだろうか?

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
インフレとは物価上昇という意味であり、需要に対して供給が足りない、つまりものが足りないという意味である。

逆にデフレとはものが十分足りている、ものが余っている状況である。

ものが足りている状態よりもものが足りない状態が良いと何故信じたのか? 彼らは馬鹿なのか? インフレ政策という非科学的政策を理解不能の理由で支持した有権者の愚かさは脇に置くとしても、政府が何故インフレを望んだのかという理由は明らかである。

債務者の喜ぶ低金利とインフレ

何故政府は低金利とインフレを望んだのか。

まず低金利が借金をしている政府にとって有利であるのは明らかだろう。利払いが少なければ、より多くの借金をすることができ、東京五輪やGOTOトラベルを自由に行えるというわけである。1569億円を使って東京に打ち立てられた巨大な便器はところで今使われているのだろうか。インフレ政策という西洋発の国民総奴隷スキームを喜んで輸入する日本国民は便器も洋式を利用するというわけである。


出典:産経新聞
そして低金利と財政赤字を組み合わせた緩和政策は、アメリカでそうなったように、時間差でいずれ物価高騰を引き起こす。

ガンドラック氏の景気後退予想: 現金給付のツケを払うことになる
だが考えてもらいたいのだが、この物価高騰でさえも巨大な借金を抱えた政府にとってはプラスなのである。

インフレが政府の借金を帳消しにする

事実、日銀は日本でもインフレが始まっているにもかかわらず、それを支援する低金利政策を続けている。

それは何故か? 低金利が利払いを軽減するならば、インフレは借金の元本を実質的に帳消しにするからである。

極端なケースを考えれば分かりやすいのだが、例えば物価が上がり100円のりんごが100兆円になったとしよう。

そうすれば元々100兆円の借金を抱えていた人物はどうなるか? 借金がりんご1個分になるのである。

これは戦後のドイツがインフレによって借金を帳消しにしたスキームと同じである。インフレは借金を帳消しにする。

だが借金が帳消しになって債務者である政府は喜ぶかもしれないが、債務者の債務は債権者の資産である。そしてそれも帳消しになる。

日本国民は預金を通して実質的に国債を保有している。銀行が預金を使って国債を買っているからである。

もうお分かりだと思うが、インフレになれば目減りするのは借金だけでなく、預金も同じように減価される。中央銀行が利上げさえ行えば、インフレによる資産減は金利収入増で打ち消され、利上げが預金者の資産を守ってくれるはずなのだが、国民の預金を犠牲に自分の借金を帳消しにすることを始めから目的としている日本政府がそれをするわけがないだろう。

結論

世の中には日本政府の莫大な借金は日本国民の保有する資産を考慮すれば問題ないという天才的な意見があるらしい。しかしそれは国民の資産を税金として没収することによって政府の借金を帳消しにするという意味である。彼らにはそれが分かっているのだろうか。

だが実際、日本国民はそれを望んでいるのではないか。毎日働いて得た収入が所得税と社会保険税と消費税で半分以上消えてなくなり、日本の首都にふさわしい巨大な便器に生まれ変わること、そして最後に残ったなけなしの預金さえもインフレで消えてなくなること、すべて日本の有権者が自分で望んだことではないか。

それでも日本人は自民党に投票し続ける。前にも書いたが、日本国民とは殴られても次の日には忘れている民族である。そしてそういう人々はこれからも殴られ続ける。

何故日本の有権者はどれだけの仕打ちを何度受けても自民党をわざわざ選出するのか? その理由はウィキペディアに詳しく書いてあるのでそちらを参考にしてほしい。

ストックホルム症候群 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%A0%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29198
2:777 :

2022/10/10 (Mon) 22:13:19

サマーズ氏: 日本政府はドル円で1人綱引きをしている
2022年10月10日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29450

アメリカの元財務長官でマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏がBloombergのインタビューで引き続き日本の斬新な為替政策を皮肉っているので紹介したい。

半笑いのサマーズ氏

イギリスのトラス首相がインフレ対策でばら撒きを行うと宣言して英国債とポンドが急落した件も含め、最近の金融市場では面白いことが起こっている。

サマーズ氏: イギリス新政権のインフレ対策で暴落したポンドは更に下落へ
政治家や有権者は、お金をばら撒けばインフレになるという12才児でも分かる理屈がいまだに分からないらしい。

ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない
こうした状況を受け、サマーズ氏は半笑いで次のように言っている。

わたしは最近、毎朝普段より早めに起きてBloombergを見ることにしている。イギリスでの騒動や、イタリアの政治が興味深いからだ。

サマーズ氏は2021年からインフレの脅威を警告してきた。いまだに現在のインフレを2022年のウクライナ情勢が原因だと信じ込んでいる人々が、2021年のサマーズ氏の警告を一切聞かなかったのも当然である。

サマーズ氏: インフレは今や広範囲に燃え広がっている (2021/10/17)
しかし2022年のウクライナ情勢がインフレの原因ならば、何故サマーズ氏は2021年にインフレを警告できたのか? 少し考えればおかしいと分かるこの簡単なパズルが馬鹿には難しすぎるらしい。

だがイギリスの状況も少なくともサマーズ氏に朝の娯楽を提供する程度には役に立っているようである。良いことではないか。

最近、政治には面白いニュースが多い。ドイツやEUもそれに貢献している。戦争など暗いニュースが多いなか、少しでも人々を楽しませようというヨーロッパ的な心遣いである。

ドイツの政治家、カーボンニュートラルのために風呂に入らないことを推奨
EU、食料価格高騰の最中、代替食品としてトノサマバッタを推奨
自分たちを文化の中心地だと思っている人々のやることは一味違う。

日本の為替介入

しかしサマーズ氏によれば、彼に一番の楽しみを提供しているのは日本らしい。

日本では、アメリカが金融引き締めをする中、紙幣を印刷してイールドカーブ(長短金利を並べた曲線)を低位に維持する量的緩和政策を行なっているため大幅な円安となっており、国内から円安に不満の声が出始めたため為替介入を行なった。

この件はサマーズ氏をなかなか楽しませているらしい。彼は楽しそうに次のように述べる。

そして何より皆日本に注目すべきだと思う。日本では日本人が物凄いことをやっている。

彼らは通貨の下落を防ぐため、200億ドルの為替介入によって円の流動性を減らす一方で、他方では国債を市場から買い上げてイールドカーブを維持し、流動性を増やすということをやっている。

そしてサマーズ氏は日本政府のやっていることを的確なフレーズで表現する。

これはなかなか見ることのできない1人綱引き政策だ。どういう展開になるのか楽しみにしたい。

ドル円の動向

サマーズ氏は為替介入の直後、介入によるドル円の下落は投機家にとって絶好の機会だと言っていた。

サマーズ氏: 為替介入でドル円が急落したらドル円は買い場
そして結局、ドル円はその後このように推移している。


筆者も短期的なドル円の買いで少しばかり儲けさせてもらった。今年は株の空売り等で十分利益があるのでもう要らないのだが、日銀が短期トレーダーに給付金を出して経済を活性化させようと頑張っているので微力ながら協力させてもらったということである。

米国株の今後の見通し: 企業利益激減で株価は再び暴落へ、空売り再開 (2022/8/17)
結論

紙幣ばら撒きで物価高騰という当たり前のシナリオを去年から警告し続け、政治家も有権者も彼の言葉に耳を貸さなかったのだから、サマーズ氏はもはやこうした状況を笑って眺めるしかないだろう。

だが短期的なドル円の予想を的中させて日銀をからかうというお茶目なことが出来る元財務長官が他に居るだろうか。

サマーズ氏はクリントン政権で財務長官を務めた。クリントン大統領は大統領執務室で不倫相手の陰部に葉巻を突っ込み、9回性行為に及んで選挙に負けた稀代の大統領だが、サマーズ氏を財務長官にしたことだけは評価せざるを得ない。

通常、政治家が優れた人材を登用することはない。日本政府が黒田氏を選んだように、馬鹿には馬鹿しか選べないからである。

世界最大のヘッジファンド: インフレになって驚いているリフレ派は馬鹿じゃないのか

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29450
3:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2022/12/21 (Wed) 12:14:26

日銀金融緩和が終わった _ 円安は日本人にとって何の得にもならなかった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14074282
4:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2022/12/25 (Sun) 18:51:26

FX(外国為替証拠金取引)が1京円 突破! 日銀は介入で巨額利益
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14075349
5:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2022/12/26 (Mon) 10:19:40

黒田日銀総裁のスゴイ所は 「平気でウソをつく」ところ
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14009730
6:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2022/12/29 (Thu) 18:39:56

髙橋洋一 予算114兆円! 国債3割!日経の記事に騙されるな
https://www.youtube.com/watch?v=djt9v6F2Nx0
7:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/01 (Sun) 20:34:52


2023年01月01日
日本政府は個人資産2000兆円で政府の借金を返済するでしょう
https://www.thutmosev.com/archives/89722744.html

インフレになると個人は困るが国の借金が減り財務省は嬉しい

2000兆円は誰のもの?

岸田政権や最近の日本政府(財務省)などを見ているとインフレを利用して公的債務圧縮を計画しているように見えます

日本は1991年から30年間ほぼデフレで、平均の物価上昇率は1%未満で国債利回りは1%以上だったので毎年国債残高が膨らんだ

最近の国債利回り負担は国債残高の約1.3%なので、これよりインフレ率が低ければ毎年借金が増えている状態になります

話を分かりやすくするため金利10%でインフレ率ゼロと仮定すると毎年10%借金が増え、逆に金利ゼロでインフレ率10%なら毎年10%借金が減ります

デフレ状態や低インフレだと過去の借金が毎年重くなり、高インフレ率だと過去の借金が勝手に減っていきます

日本は敗戦後に莫大な政府債務を背負ったが、1945年から49年までに物価が70倍も上昇し債務残高は10倍程度しか上がらなかった


結果戦前の日本の借金はたった4年で返済し終わり、その後は朝鮮戦争から高度成長に入り日本は経済大国として復活しました

歴史を知る人は誰もが「これだ」と思うはずで岸田首相と財務省もインフレを利用して債務を減らそうとする筈です

1945年から49年に話を戻すと物価上昇率に比べて金利が非常に低かったので、過去の借金は目減りしたが現金の価値も目減りしました


1945年に白米1升は45銭だったが1950年には60円になっており、敗戦時に1円で2升買えたが5年後には飴玉しか買えなくなっていた筈です

このハイパーインフレによって戦前の借金が消えたので、戦後日本は人々の預金や現金を借金返済に使ったと言い換えられます

もし今の日本が同じ事をしたら今は100円ちょっとで買えるポテトチップが4年後の2026年は1万円になり、多くの銀行預金は無価値になる筈です

そうだインフレにしよう

日本の個人資産は2000兆円ありこのうち1100兆円が現金や預金ですが、これをそっくり政府債務1100兆円の返済に充てることも可能です

インフレによって国民の資産で政府債務を返済するというアイディアは、もっと長期間かけて穏やかに実施すれば人々は気づかないかもしれません

アメリカは建国以来借金に苦しんできて1929年大恐慌でも破産しかけたが、やっぱりインフレによって過去の借金を削減しました


イギリスなども同様で第一大戦時の借金を塩漬けにして、インフレで目減りさせたうえ金庫にしまって今も返済していません

日銀は今国債発行額の50%超の550兆円を保有していますが、これを金庫にしまってインフレを起こせば数十年後には取るに足らない金額になるかも知れません

4年間に物価を70倍にすれば政府の借金は減るが副作用もあるので、30年間で10倍としたらそれほど弊害は起きないでしょう


これが安倍首相や黒田日銀総裁が言っていたインフレ率2%だったのだが、結局7年以上やって一度もインフレ率2%を達成できなかった

皮肉にも2%を達成したのはロシアのプーチン大統領で、ウクライナに侵攻しエネルギー危機を起こして日本のインフレ率は3%を超えた

財務官僚は日本人が困ろうと自分は困らないので、 「そうだインフレを利用して日本の借金を減らそう」と考えます


おそらく今後の日本はこのような方向に進んでいくでしょう
https://www.thutmosev.com/archives/89722744.html
8:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/05 (Thu) 06:06:21

2023年の日経平均の推移予想: ドル円下落と金利上昇で二重苦に
2023年1月4日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32490

普段日本市場についてはほとんど書かないのだが、今回は久々に日本株の話である。そしてそういう時は大抵そうだが、今回も良い話ではない。

むしろ好調だった去年までの日本株

2022年、世界的なインフレとアメリカの金融引き締めで急落した世界の株式市場だが、実は日本株は米国株などに比べそれほど悪いパフォーマンスではなかった。

まずは米国株のチャートを掲載しよう。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2023/01/2023-1-4-s-and-p-500-chart.png


20%程度下落した米国株だが、それに対して日本株は実はそれほど下落していなかった。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2023/01/2022-1-4-nikkei-225-chart.png


もし年末からの急落がなければ、2022年はほぼ横ばいと言っても良いような状況だった。

「アメリカがくしゃみをすれば日本が風邪を引く」と言われるような、震源地がアメリカでも日本株の下落の方が大きいのが普通というのがこれまでの株式市場の常識だったのだが、何が起こったのか。

明暗分かれる2022年と2023年

年末からの急落については後で話すとして、2022年の日本株のパフォーマンスが比較的良かったのは、ドル円が急上昇していたからである。

何故ドル円が上がれば日経平均が上昇するのか。海外の投資家の目線で考えてもらいたいのだが、例えばドル円が100円で日経平均が24,000円ならば、日経平均はドル換算では240ドルということになる。

だがこれが円安ドル高になってドル円が120円になると、日経平均は海外の投資家から見れば200ドルになる。同じものがいきなりドル換算で安くなるので、日経平均に買いが入るわけである。

2013年に始まったアベノミクスでは円安と株高が進んで日本国民は喜んだわけだが、本来240ドルだった日経平均(という日本企業のかたまり)を200ドルで安売りすることになっているので、実は日本はまったく儲かっていない。儲かったのは外国人である。

以下の記事における円安と輸出の関係の話の時にも言ったが、円安には何も良いことがない。

日銀がYCC変更で長期金利の上昇を許容、日本も金利上昇による景気後退へ
だがそれでも円安で数字上日経平均は上がる。そして2022年のトレンドは、(少なくとも冬までは)円安ドル高だった。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2023/01/2023-1-4-usdjpy-chart.png


だから2022年の日本株は、世界的な株安というマイナスと円安というプラス要因が打ち消し合っていた。だから米国株が急落してもそれほど下がらなかった。

円高と金利上昇の二重苦の2023年

2023年はどうなるか? まず考えなければならないのは、アメリカのインフレ率が急落していることである。

11月アメリカのインフレ率は急減速継続で7.1%、ドル安加速へ
2022年にドル円が上昇した原因の1つは、アメリカの利上げである。アメリカではインフレ率が9%まで進んでいたので利上げをして景気を冷やす必要があった。

ドルの金利が上がれば高金利に惹かれて投資家はドルを買う。それがドル円上昇の理由の1つだった。

だが2022年の終盤からインフレが急減速し、利上げの必要性が薄れている。実際のところ筆者は遠からずアメリカが利下げに追い込まれると予想している。

アメリカは2年以内に利下げする、2年物国債の買い開始
アメリカの金融引き締めが緩和に転換すれば、既に進んでいるドル安は加速するだろう。

これに加えてドル円を更に押し下げるのが日本側の要因である。

日本では2022年に国民がインフレで苦しんでいるにもかかわらず、日銀は緩和政策を続けていた。理由は何故かというとインフレを引き起こすためだという。

黒田総裁も自民党もそれを支持する日本国民も馬鹿ではないかと思うのだが、日本のインフレ率が4%に近づいている今、黒田氏も流石にこの馬鹿げた緩和政策を撤回せざるを得なくなった。

日銀がYCC変更で長期金利の上昇を許容、日本も金利上昇による景気後退へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/31979


それで日銀は金利を上げたわけである。ドルの時に説明したように、金利上昇は通貨高に繋がる。

だから2023年のトレンドは円高ドル安である。ドル円の下落予想は今年の筆者のメイントレードの1つである。

日銀の長期金利の実質利上げを受けてドル円の空売りを開始
更に、金利上昇は日本経済を冷やす。あるいは2013年からマイナス金利でゾンビ企業に資金供給を続けてきた分がすべてひっくり返る。バブル崩壊である。

事実、先に利上げを行なっているアメリカでは、強烈な景気後退が予想されている。

ガンドラック氏の景気後退予想: 現金給付のツケを払うことになる
結論

今度は日本の番である。 2022年はドル円の上昇が日経平均の下落分をオフセットしていたが、2023年はドル円の下落と金利上昇という二重苦が日本株を襲う。年末の日経平均下落はその始まりである。

2022年は日本株は米国株に比べて良いパフォーマンスを維持していたが、2023年は逆になる。

基準となる米国株の見通しがどうかと言えば、スコット・マイナード氏のS&P 500の適正株価の計算が参考になるだろう。

マイナード氏の米国株の推移予想: 利益と株価収益率の下落で2023年は暴落へ
筆者は米国株を空売りこそしていないものの、マイナード氏の計算はある程度妥当だと考えている。そして日本株のパフォーマンスは、間違いなくそれよりも悪くなるだろう。

アベノミクス以来、何の価値もない円安政策によって日経平均を数字上底上げしてきた分のツケが一気に回ってくることになる。

逆に金利を上げなければ、円の下落が続くことになるだろう。金利を上げれば国債と株式が死ぬ。これからしばらくは、円を助けて国債と株式を殺すフェイズである。

だが長期的には通貨暴落も国債暴落も現実に近づいてきた。レイ・ダリオ氏の予想した通りである。おめでとう。日本国民は自民党と黒田氏に感謝すべきだろう。

世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32490
9:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/05 (Thu) 12:13:04


2023年01月05日
NYの蕎麦1杯3400円が引き起こす市場の報復

2つの蕎麦は「同じ物」ではないが、ビッグマック価格は日米で2倍違う
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https://news.ntv.co.jp/category/international/3690e1a335a8487182e1b664adfab1a8/image?p=2



価格差が経済の歪みを作る

23年の新年にマスコミは「アメリカで蕎麦1杯3000円になった」というニュースを報道し、アメリカのインフレや日本が後進国になったなどの解説をしていた

日本マスコミの特徴はこうしてニュースを独自解釈することで、過去には北朝鮮を「地上の楽園」と報道して多くの人を地獄に送り込んだりもした

夕日じゃないほうの新聞やテレビは円安になると「日本は後進国になった」と言い円高になると「円高で日本崩壊」と言う法則があります


日テレニュースによるとニューヨークマンハッタンで山菜たぬきそばを注文したところチップ込みで3400円(25ドル?)だった

これは為替レートの影響も受けていて1ドル100円なら山菜たぬき蕎麦2500円、1ドル80円なら2000円なので京都などの有名観光地なら日本でもままある価格です

京都の鯖街道では鯖寿司が一人前4500円ですがこれを高いという人はなぜか居ないし、京都の寺の前の蕎麦屋が2000円でも話題になりません


NYで蕎麦が3000円のような記事を書く人に限って、「アメリカでは宅配ピザが500円なのに日本は3000円でボッタくり」のような事を言うのが好きです

日本では40年ぶりのインフレ率となったが物価上昇率はたった3.7%、食料品に限ると1割から2割上昇した印象です

アメリカの物価上昇率は9%なのでこれも食料品に限ると2割から4割程度値上げされていると考えられます(政府は値上げされていない品目と平均して数字を下げるのが好きです)


有名なハンバーガー指数では世界1位はスイスでビッグマック単品925円、アメリカ710円、ユーロ圏627円、日本390円でした

ユーロ圏の中でも価格差はあるので先進国平均で700円台、22年7月時点で日本の2倍近い価格差がありました

これで思い出すのは2007年からの世界経済危機(リーマンショック)直前に「スイスや北欧で水が1000円」のようなニュースが流行っていた事です


日本の円安政策が世界経済危機を起こす

2007年春の時点でロンドン地下鉄の初乗り料金は800円など日本の2倍になっていて、ビッグマック指数でも日本はかなり安くなっていた

つまり日本自身が安くなっていた訳でマスコミはやはり「日本は後進国になった」「ニューヨークではマックセットが千円だ」などと言っていました

各国の物価は為替レートや各国金利、その時点での景気(景気が良いと物価は上がる)など多くの要素で決まり、軽々しく決めつけられない


日本、イギリス、フランス、アメリカなど同じような先進国同士では長期的には同じ物は同じ価格に収れんする筈で、2倍になるのはおかしい

コーラ700mlは日本のディスカウント店では100円で売られているが、それが別の国で500円だったら明らかにおかしいのです

2007年春ごろに日本と他の先進国の価格差が最大になり直後にリーマンショックが発生し1ドル124円から1ドル75円(2011年)になりました


コーラやビッグマックの値段から考えるとむしろ1ドル75円のほうが正常で、1ドル124円や1ドル150円は金利差や為替レート、物価上昇率などの影響と考えられます

日本の物価はゼロ金利政策や政府日銀が長期間続けてきた円安誘導(量的緩和など)、日本そのものを安くする政策の影響だと考えます

日本を安くする政策で日本人の賃金もドル建てで下がったが、 安くなると外国から見て非常に買い得になり投資が集まりやすい


同時に日本企業の競争力が強化され、インフレで1100兆円の政府債務が圧縮されるか少なくとも膨張しない効果が期待できる

逆に円高で日本が高くなると日本企業の競争力が低下し外国から投資はなくなり、デフレによって政府債務のGDP比は膨張します

日銀の黒田総裁は会見でうっかり「円安は日本経済にプラス」と本当の事を言ってしまい叩かれたが、政府日銀はわざと円安にしていると思います


もっと言えば最近の世界的インフレと不況の創出の何割かは、日本政府の日本安政策が関係した可能性が高いです

https://www.thutmosev.com/archives/89748597.html
10:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/06 (Fri) 19:44:52

2023年01月06日
各国政府はインフレを歓迎し、むしろインフレ誘導している

インフレが起きると過去の借金が軽くなるので、各国政府は意図的に高インフレにしています
1818904




コロナ対策で各国政府債務が膨張

経済学者のラッセル・ネイピアは世界的な高インフレと高金利が15年から20年続き、自由経済から政府主導経済に移行すると主張している

根も葉もない事ではなく今現在世界はインフレで苦しみ、インフレ対策として各国政府は利上げをし日本も利上げ政策に転換しようとしている

2010年にリーマンショックが終わってから2020年に新型コロナが流行するまでの10年間が自由主義市場経済の時代だったがそれはもう終わった


新型コロナ流行で主要各国の経済活動が縮小し、税収が減少したのに各国政府は莫大なコロナ対策費や経済対策費、生活支援などを支出した

米トランプ政権は数か月で300兆円ものコロナ経済対策をしバイデン政権でも同じくらい支出、おかげで多くのアメリカ人は働くより高収入になりました

日本も矢継ぎ早にコロナ支援を決め総額100兆円を上回り、欧州や中国など多くの政府は財政支出を大幅に拡大した


後に残ったのは膨大な公的債務だが各国政府は民間や地方行政府の債務に付け替えたり、証券化のような手法で(日本以外は)国の借金ではないかのように偽装している

日本政府は反対に国の借金ではないものまで国の借金に含めて借金を偽装しているが、それは今回の本題ではありません

2022年に世界で火を噴いた高インフレはラッセル・ネイピアによればロシアのせいなどではなく、各国政府が積み上げた公的債務を返済するために意図的にやっている


世界の主要国はどの国も民間債務と政府債務の合計がGDP比250%以上になっているので、このままでは借金を返すため増税を繰り返す事になる

日本政府が証明したように借金を返すために増税すると、増税によって消費が縮小しGDPが縮小し、結局増税しなかった場合より財政悪化を招く

そこで各国政府はインフレ率を上げて政策金利はインフレ率より低く保つことによって、公的債務のGDP比を縮小しようとしている

各国はインフレで政府債務を減らそうとしている

日本の公的債務が1100兆円でGDPは550兆円なのでGDP比200%、例えばインフレ率を10%にしてゼロ金利のままにし名目GDPだけを10%成長させます

このモデルでは実質GDPはゼロ成長だが名目GDPが10%成長し公的債務は1100兆円のままなので、あら不思議公的債務のGDP比は182%に下がりました

これは非常に極端な想定ですがインフレ率を上げると政府債務が圧縮されるので、各国政府はインフレを警戒しているどころか「インフレ大歓迎」なのです


でもインフレは国民生活を悪化させるので政府や政治家は表向き困ったような顔をしてみせ、まるでインフレを防止しているかのように演技をします

日銀黒田総裁は記者会見で「インフレは良い事だ」とうっかり本当の事を言ってしまったが、彼は正直に事実を言っただけだと思います

インフレ誘導で公的債務を圧縮するには15年から20年かかるので、それまで高インフレ高金利時代が続くというのがラッセル・ネイピアの主張です


彼の主張では2020年以降の新型コロナ対策によって経済の主導権が中央銀行や自由市場から、各国政府の手に移った

どう移ったかはアメリカ政府が3年で600兆円以上を国民に配ったのを見ればわかり、日銀による国債買い入れや日本国債買取を見ても分かります

世界経済はもはや自由市場で動いてはおらず、 この事が米中対立や東西陣営のブロック経済化を招いている疑いがあります


東西陣営やブロック経済は1991年に崩壊したが、世界は再び中ロイランなどと日米欧が対立する時代を迎えています

一般的に経済は自由なほど成長するが制限を加えるほど縮小するので、ブロック経済時代の成長率は自由主義時代より低くなるでしょう

第二次大戦前のブロック経済では米英仏の豊かな国が日独伊の「貧しい大国」を締め上げたが、今回締め上げられるのは中ロになるでしょう


日独伊が米英仏に噛みついたように、締め上げられた中ロやイランが何らかの戦いを挑んでくる可能性があります
https://www.thutmosev.com/archives/89761747.html
11:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/12 (Thu) 07:33:43

2023年1月11日
【藤井聡】甘利さんに「15%消費増税」発言をさせた「ザイム真理教」の「緊縮思想」。その社会心理学的メカニズムとは何か?
From 藤井聡@京都大学大学院教授
https://38news.jp/economy/23638

みなさん、こんにちは。表現者クライテリオン、編集長の藤井聡です。

皆様も既にご存じかと思いますが、甘利元自民党幹事長の発言には、誠に驚きましたですね。日本を救うためには消費減税が必要だと議論しているこの大不況状況にある現在の日本の状況の中で、甘利さんは、少子化対策のためには15%の消費増税が必要だと示唆する発言を行ったわけです。

理性ある人、常識ある人にしてみれば、こんなことを言う甘利という男は完全なる基地の外の人なんじゃないかとすら感ずるかと思いますが、彼にしてみれば至って真面目にそういう発言をしているのです。彼は本当に、日本の為に消費税15%が必要だと思っているのです。

甘利氏はなぜ、そんな事を考えているのでしょうか?

この問題について、当方のメルマガ『表現者クライテリオン・編集長日記』(https://foomii.com/00178)にて、数回にわたって詳しく解説差し上げましたので、その冒頭部分を下記にご紹介差し上げます。

まず……繰り返しますが、理性があれば、完全に基地の外としか解釈できない狂った信念ですが、

(基本認識1)今、日本の借金は凄まじく多く、このまま借金が膨らみ続ければ、日本は破綻して、日本が沈没する。
(基本認識2)だから、政府支出は削らなきゃならん。
(基本認識3)にもかかわらず政府支出を増やしたいなら、増税するしかない。

という三つの基本認識から構成される「緊縮思想」という思想を信じ込んだ人々にとっては、甘利発言というのは至って当たり前の理性的なものだと感じているわけです。

しかし、これらの3認識は完全に間違い。

日本政府は円建て債券では破綻しないし、したがって、政府支出カットも増税も要らないのです。しかも、こうして緊縮思想が蔓延すれば、日本は確実に滅び去る、ということも真実です。

したがって、こんな緊縮思想を蔓延させている財務省というのは、メチャクチャに悪い悪の組織であり、その職員たちも、超悪人達だ……という風に思えてくるのも当然だと思います。

しかし、そういう認識は半分正当ではありますが、半分間違っています。

まず、財務省は、「組織」としては、学者まで使って真実を歪め、メディアの論調まで支配して世論を歪め、それらを通して日本の政治を歪め、日本経済に深刻なダメージを与えているわけですから、「悪の組織」と言わざるをえません。

しかし、そこで働く財務省の職員は決して、反社会勢力の極悪人の様な人々とは決して言えない人々ばかりなのです。

かれらは概して優秀で、真面目で、日本を潰そうというよりはむしろ、日本にとって良いことをしたいという気分を僅かなりとも持っていることは間違いありません。一人一人とつきあえば、決して悪の権化の様な人格をしているのではなく、どこにでもいるような、普通の人間、むしろ、普通に優秀な人間達です。

しかし、彼らは、財務省という組織の中の「組織人」であることに相違はありません。彼らは東京大学をはじめとした難関大学に入れる程に優秀な人々です。そうした難関大学に入ろうとすれば、大人社会が用意した「問題」に何の疑問も挟まずに取り組み、同じく何の疑問も挟まずに、大人社会が用意したその問題の「答え」に辿り着こうと必死で努力し、より効率的、効果的にその「答え」に辿り着くための競争に、幼少期、青春期の貴重な時間を十年以上も費やして取り組み、そして勝ち残った方々です。

したがって彼らが優秀なのはあくまでも「大人社会が用意した問題に取り組み、大人社会が用意した答えに辿り着く」という〝ゲーム〟なのです。このゲームにおいて重要なのは、「真実」や「真理」を見いだす能力ではありません。あくまでも「大人が用意した答え」を見いだす能力なのです。したがって、彼らは、理性を働かせて実態を読み解く能力が秀でているとは限らないのです。彼らが秀でているのは、「大人社会が用意した答えは何かを〝忖度〟する能力」だけなのです。

そしてそんな「大人社会への〝忖度〟能力」なんてものは、「社会を救う」だの「社会をよくする」だの「幸せになる」「人を幸せにする」だのといった、正解のない問題を乗り越える能力とは全く別のものです。もちろん、両者が重なる部分というのはあるでしょうが、重なるとは限らないのです。というより、難関大学になればなる程、その両者の重なりは少なくなっていき、現実問題の対処能力とは無関係の能力が鍛え上げる様になっていくのです。

まさに日本の戦後教育の歪みそのものを体現している若者達が財務省にこぞって入ってくる、というわけなのですが、兎に角彼らは、財務省に入れば、まず最初に、

「この財務省では、どういう風に振る舞うことが正しい振る舞いなのでしょう?」

という忖度を必死になって行うのです。つまり、彼らは決して、「日本のために、時に上司や組織とも対立しながら戦う存在」になろうとは一切考えず、あくまでも、「善き、善良な財務省の役人」になろうと考えるのです(繰り返しますが、そういう風に20年以上の時間を費やして育て上げられてきたのが彼らなのです)。

そんな財務省の中に蔓延しているのは、言うまでも無く「緊縮思想」です。

そんな「緊縮思想」に徹底的に染め上げられた頭脳を持ち、ありとあらゆる言動を緊縮思想と整合させることができる役人こそが、「理想的な善き財務役人」であり、そうでない役人、つまり、緊縮思想に疑いを持ったり、そんな緊縮思想と調和しない言動をしてしまうような役人こそ「出来損ないの二流品の財務役人」と見なされる事になります。

こういう特定の思想が支配する組織に属する人々の精神は、オウム真理教や統一教会などの新興宗教のそれと何ら変わりません。したがって、こうした財務省における緊縮思想を巡る思想的共同体は、しばしば『ザイム真理教』と揶揄されています。

もちろん、ザイム真理教に染まりきらない役人も一定数程度は財務省には入省してくる筈ですが、残念ながら、そういう役人が役所の中で出世していく可能性は決して高くありません。やはり、敬虔なる『ザイム真理教』信者としてふる舞い続ける役人の方が出世していく可能性が高くなります。

その結果、財務省という組織は、より強固な「ザイム真理教」教団となっていくわけです。

……誠に恐ろしいメカニズムですが、このザイム真理教があるからこそ、甘利発言があるのであり、そして近未来においてホントに岸田総理によって消費税は15%にまで上げられてしまうのです。

何とかこのメカニズムを止める手立てを考えねばならないのです。

我々が直面している最大の問題はまさに、ここにあるのです。

追伸:本稿に続く続編記事として、下記を配信しています。

『ザイム真理教』の社会心理学分析 ~矢野康治氏は〝どうやって〟事務次官にまで上り詰め、〝なぜ〟文藝春秋でバラマキ批判せねばならなかったのか?~
https://foomii.com/00178/20230108100000104101

さらに、こうした議論の学術的な根拠についても、下記にて論じています。
財務省が、 マスメディア・政治家にどれだけ強大な影響を持ち、情報を歪めて来たのかについての客観的な〝学術研究〟をご紹介します。
https://foomii.com/00178/20230110105636104195

是非、ご一読下さい!
https://38news.jp/economy/23638
12:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/15 (Sun) 03:07:53

中央銀行家の言葉を文字通りに取ってはいけない

利上げ停止を議論し始めた連銀総裁たち
2023年1月14日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32774


先日発表されたアメリカのインフレ率が再び急減速だったことを受け、Fed(連邦準備制度)の連銀総裁たちが1年ほど続いている利上げの停止について話し始めている。

アメリカのインフレ急減速

12月のインフレ率が6.4%となり、去年のピークである9.0%からかなり急速に下落してきたことで、中央銀行のメンバーの態度も変わり始めている。

アメリカの12月インフレ率は6.4%に減速、ドル安継続へ

このままのペースで下落すれば(そう予想するわけではないが)、今年の後半には2%に達するほどの勢いである。

実際には少なくとも6月くらいまでは原油価格の下落効果でこのまま下落を続け、その後はまだ(CPI統計の上では)減速していない住宅とサービスのインフレ次第だろう。CPIの内訳について詳しくは前回の記事を参考にしてほしい。

アメリカの12月インフレ率は6.4%に減速、ドル安継続へ

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2023/01/2022-dec-us-cpi-growth.png


インフレ減速とアメリカの利上げ

さて、これでアメリカの利上げがどうなるかである。

CPI発表後、Fedの連銀総裁たちが次々に感想を表明している。例えばリッチモンド連銀総裁のバーキン氏は次のように言っている。

経済は確かに抑制されており、そのプロセスにおいてインフレは恐らく抑制されている。その意味では今後の利上げについてわたしはこれまでとニュアンスを変えることができるだろう。

中央銀行家らしく慎重な言い方ではあるが、下落しているインフレ率を明らかに歓迎している。

アトランタ連銀総裁のボスティック氏はもう少しあからさまに次のように語っている。

喜ぶべきニュースだ。

インフレが落ち着き始めていることを示している。利上げを緩めることが出来るのではないかという安心を与えてくれるものだ。

そしてフィラデルフィア連銀総裁のハーカー氏は更に具体的に利上げ幅について語っている。

これからは0.25%の利上げが望ましくなるだろう。

金利が5%以上になり、そこで金融政策が自分の仕事を果たすまで金利を留めれば、それで十分にインフレを抑制することができるだろう。

さて、これをどう考えるかである。

中央銀行家の言葉を文字通りに取ってはいけない

まず最初に言っておくべきなのは、中央銀行家の言葉を文字通りに取ってはいけないということである。

例えば「0.25%の利上げが望ましい」の部分だが、筆者は少し吹き出してしまった。現在の市場の状況を理解している人ならば同じように感じると思う。何故ならば、次回の利上げが0.25%であることはCPI発表前から市場が織り込んでいることであり、今更何を言っているのかということである。

では何故ハーカー氏がわざわざ「0.25%だ」と強調したかと言えば、Fed自身が0.5%の可能性について言い続けており、市場はそれをまったく信じていなかったが、あたかも「CPIが落ち着いたので0.25%にすると決めた」ように振る舞うことで市場の織り込みに合わせたのである。

だから、ジェフリー・ガンドラック氏が次のように言ったことはまったく正しい。

ガンドラック氏: アメリカの政策金利は5%以上にはならない
Fedが金利を決めてるんじゃない。

債券市場が金利を決めているんだ。

Fedが市場の織り込みを後追いしているのはもうずっと前からのことである。だからこう読み取るべきだ。彼らが「インフレは一時的で利上げは必要ない」(2021年)と言えばもうすぐ利上げするという意味であり、「力強い利上げを続ける」(2022年)と言えばもうすぐ利上げを停止するという意味であり、「利上げを停止して金利を高い水準で維持する」(2023年)と言えば利下げをするという意味なのである。

引き続き、短期金利は低下し、 ドルは下落を続けるだろう。それだけのことである。

アメリカは2年以内に利下げする、2年物国債の買い開始
日銀の長期金利の実質利上げを受けてドル円の空売りを開始

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32774
13:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/18 (Wed) 16:53:36

日本国債の投げ売り急増、追加利上げがなければ日銀の量的緩和は半年で破綻する
2023年1月17日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32797

アベノミクス以降、もう10年近く大規模な金融緩和を続けてきた日本銀行が、去年の12月に実質利上げを実行した。

日銀がYCC変更で長期金利の上昇を許容、日本も金利上昇による景気後退へ (2022/12/20)


その結果どうなったかと言えば、日本国債の投げ売りが急増している。日銀が買い支えなければならなくなっているが、このままではそれも破綻してしまいそうだ。

日銀の実質利上げ

年末の日銀の政策変更は、正確に言えば長期金利の許容変動幅の拡大である。以前まではゼロ金利を基準にプラスマイナス0.25%の変動を許容していたものを、プラスマイナス0.5%の変動まで許容するということにした。

アメリカなど海外ではインフレによる利上げで金利がどんどん上がっていた中で、日銀は長期金利に上限を設けるイールドカーブコントロールで金利を変動幅上限に押さえつけていた。

それは2022年の急激な円安の原因となっていた。そして円安は輸入品の物価を上昇させるため、日本ではガソリン価格や電気代が高騰した。

日本国民がインフレで苦しむ中でインフレを目指す日銀の摩訶不思議な緩和政策によって、めでたく日本はインフレになった。日本のインフレ率はついに約4%まで上がっている。おめでとう。インフレ政策の成功である。その成果は当たり前だがインフレである。

だがここで問題が生じた。実際にインフレになって初めて、日本国民はインフレが物価高という意味だということに気付いて騒ぎ始めたのである。愉快な人々である。

世界最大のヘッジファンド: インフレになって驚いているリフレ派は馬鹿じゃないのか


日銀の実質利上げ

ともかくそれが年末の日銀の政策変更に繋がった。0.25%としていた長期金利の上限を0.5%に変更したのである。

上限が上げられたため、長期金利は当然ながらすぐに上がった。だが新たな上限である0.5%にはすぐには達さずに、2週間ほどの間は0.45%付近を推移していた。

だがそれも長く続かなかった。日本国債はどんどん売られ、年明けの1月6日、ついに長期金利が上限の0.5%に達したため、日銀は金利の上昇を抑えるために国債の買い入れを余儀なくされるようになった。

しかし日本国債の売り圧力は激しく、金利は上限の0.5%を上回って一時0.55%で取引されるような状況で、結果として日銀の国債買い入れは6日以降爆発的に急増している。(※1/17誤植を訂正しました)

日銀による国債の買い入れ金額は以下のように推移している。

1月4日: 0.6兆円
1月5日: 0円
1月6日: 2.4兆円
1月10日: 0.3兆円
1月11日: 1.2兆円
1月12日: 4.6兆円
1月13日: 5.0兆円
1月16日: 2.1兆円

0.5%に達しなければ買わなくとも良いため日によって上下するが、6日以降どんどん増えてゆき、13日には5兆円に達した。

半年で破綻する日銀の量的緩和

1日で5兆円という金額がどれだけのものか、読者にはお分かりだろうか。この数字が危機的だとすぐに分かった読者は、経済の数字が頭に入っていると言えるだろう。

さて、日銀の保有する国債の総額は1月12日時点で547兆円で、日本の政府債務は約1,000兆円である。つまり、日本政府の発行している国債のうち、半分以上を既に日銀が保有しているということになる。

日本国債の投げ売りは日増しに増えているため、5兆円という水準からどんどん増えてゆく可能性もあるのだが、仮に1日5兆円の買い入れをこのまま続けることになった場合どうなるだろうか。

ここまで言えばもう分かったはずである。日銀は100日足らずの内に残りの国債を全部買ってしまう。休日を含めても4ヶ月から5ヶ月程度の猶予しかなく、半年経たずにアベノミクス以来の量的緩和政策は破綻することになる。

国債買い入れは1日5兆円で済むのか

だがもしかするとこれでも保守的な計算かもしれない。

この状況を完璧に予想していた人物がいるのだが、読者は覚えているだろうか。債券投資家のスコット・マイナード氏である。

マイナード氏: 日銀の持続不可能な緩和政策の破綻は他国の教訓的前例になる


この記事でマイナード氏は、日銀の金融政策が次の順序を踏むと予想していた。

日銀は新たな金利ターゲットを設定する
日銀の保有する国債の価値が下がる
市場は新たな金利上限に挑戦する
日銀は国債買い入れで市場を安定化しようとする
円の供給量が増えインフレが悪化する

まさに3と4の状態が今起きているわけである。新たな金利上限を設けたことにより、投資家が今後の更なる利上げを心配するようになり、保有国債の価値が下がる前に売ってしまおうとする。

そうすると債券の価値が下がる。債券の価値下落は金利上昇を意味するため、金利は上限に達し、日銀は投げ売りされている日本国債を買い支えなければならなくなる。そうなれば買い入れ額が1日5兆円から大きく上昇する可能性もある。

日銀がこの状態から逃れるためには、金利上限を更に上昇させて買い支えなくても良いようにするしかないが、金利上昇は債券の価値下落を意味するため、投資家は更なる下落が起こる前に日本国債を売ろうとする。

分かるだろうか。日本国債はもう詰んでしまっている。マイナード氏の予想通りである。

結論

ちなみにマイナード氏のこの予想は12月1日のスピーチの内容であり、日銀の実質利上げの前ということになる。スピーチのタイトルは、「持続不可能なものは持続できない」であった。残念ながら年末に急逝してしまったマイナード氏は、日銀の政策変更前からすべてを予想していたのである。

スコット・マイナード氏、心臓発作で死去 63歳


ここからはどうなるだろうか。円の投げ売りが原因で日銀は実質利上げを行わなければならなくなった。お陰で円は上がっているが、今度は日本国債が破綻の危機である。

ここからのシナリオは、恐らくはまず日銀は更なる実質利上げを行わなければならなくなるだろう。それで買い入れ額を減らそうとする。だがそうすれば日本国債は更に売られ、利上げのスパイラルに突入する。

1月18日に日銀は金融政策決定会合の結果を発表する。2回連続の実質利上げがあるかどうかは分からないが、ここに書いた長期的なデッドエンド自体は避けることができない。

そうしてある時点で日銀は緩和転換しなければならなくなるかもしれない。しかしそうなれば今度は強烈な円安になり、インフレが止まらなくなるだろう。

ということで、もうどうにもならない。国債の暴落、日本円の暴落、物価高騰、強烈な増税による政府債務の帳消し、どれかは絶対に避けることが出来ない。そしてどれを選んでも日本国民は死ぬ。

これが1,000兆円の政府債務を抱えた日本経済の末路である。莫大な政府債務は問題ないと誰が言ったのだったか。

この状況を作り出した日銀の黒田なにがし は颯爽と職場を離れようとしている。その後に日本経済は利上げによる不況で大量の失業者が出るだろう。

この状況もすべて、何十年も前にマクロ経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏が予想していたことではないか。彼は次のように言っていた。

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない


将来の失業について責められる政治家は、インフレーションを誘導した人びとではなくそれを止めようとしている人びとである。

そして黒田氏が去った後に日本経済は当然の帰結として死んでゆく。自民党を支持した日本国民が自分で望んだことなのだから、彼らにとっては本望なのだろう。

世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32797
14:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/20 (Fri) 07:40:23

ここではエリオット波動の宮田さんと反対に今年の日経平均暴落を予測しています:

日本政府、金融緩和終了に言及 連続利上げなら日経平均は暴落へ
2023年1月19日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32865

年末に日本銀行が実質利上げを行なったことで、2013年のアベノミクス以来の金融緩和政策が危機に瀕している。

実質利上げをしている黒田総裁自身は、記者会見で自分は金融緩和を続けているという意味不明な供述を続けているが、今度は政府の側から金融緩和の終了に言及する声が上がっている。

円安とインフレ

日銀は12月20日の金融政策決定会合で実質利上げを決めた。

日銀がYCC変更で長期金利の上昇を許容、日本も金利上昇による景気後退へ (2022/12/20)
日銀が利上げに踏み切らなければならなかったのは、日本のインフレ率が急上昇しているからである。12月の東京都区部の速報値ではインフレ率は遂に4.0%まで上がっており、しかもこの数字は9月以降どんどん加速している。

その一因は明らかに日銀の緩和によってもたらされた円安である。インフレが問題となる中でインフレを目指す日銀の量的緩和によって、2022年の為替相場では日本円はドルやユーロどころかインドネシアルピアなどよりも弱い最弱通貨の1つとなっていた。(※1/19誤りを訂正しました)

日本円が下がり、日本人から見てほとんどすべての外貨が上昇すると、当然ながら輸入品の価格が上がる。そもそも「インフレ政策」とはそれを目指す政策だったというのに、自民党の支持者たちは何が不満なのだろうか。

ハイエク: 緩やかなインフレが有益であるという幻想
インフレ政策を支持しながらインフレの意味を今年まで知らなかった彼らの卓越した頭脳はさておき、もうすぐ任期が終了する黒田氏は、「緩和には何の問題もなかった」という顔をして逃げ切りたかったのだろうが、最後の最後に利上げをやらされたのである。それが恐らくは、金利を上昇させながら「これは利上げではない」などという意味不明な黒田氏のコメントに繋がっていると思われる。

金融緩和を終わらせたい日本政府

その意図が恐らくは政府から来たのだろうということは、1月の会合後の西川経産相の発言から読み取れる。

世界経済フォーラム(通称ダボス会議)において、彼はまず次のように発言した。(Reutersの英語記事の直接引用からの翻訳である。)

政府の多様な政策によって日本のインフレは他国よりも緩やかなものに留まっている。

ちょっと笑ってしまうような奇妙な話である。自民党はインフレを抑制するような政策は一切行なっていない。例えば全国旅行支援である。

日本政府の全国旅行支援で宿泊予約殺到してホテル代値上がり
更に言えば、ガソリンに対する補助金は最悪の悪手であり、エネルギー資源が足りないからインフレが起きているのに、エネルギーの購入に補助金を出すことはまさに火に油を注ぐことに等しい。

サマーズ氏: ガソリンの価格高騰対策でインフレ悪化へ 現金給付の悪夢を人はもう忘れている
だが自民党の政治家の卓越した頭脳はマクロ経済学の常識など軽々と飛び越えてゆく。

そしてこういう人々が最初にやることは、自分を棚に上げてまず他人から批判することである。西村氏は次のように言う。

当然ながら、金融政策は将来正常化されなければならない。

投資が行われて賃金が上がり、経済が回り始めれば、金融緩和は将来停止させることが出来るだろう。そしてその段階に近づきつつある。

2013年のアベノミクス以来の日本政府としては異例の発言ではないか。こうした発言になった原因は、日本のインフレの状況である。

日本のCPI(消費者物価指数)のデータを見れば、日本のインフレ率の上昇ペースは危機的であり、このままではすぐにでも5%や6%に上がっていくだろう。

しかも円安による輸入物価の上昇が国内物価に波及している様子が見られ、ドル円が下がったとしても国内物価の方はそれだけでは下がってくれないだろう。

だから黒田氏は逃げ出せば良いかもしれないが、日本政府の方はこのままでは物価が高騰し国民に責められる。インフレ政策を有権者も支持したではないかという突っ込みは正論なのだが、馬鹿に正論は通用しない。

ここでは何度も言っているが、インフレとは物価上昇という意味である。それ以外の意味はない。インフレ政策はそれを目指してきたのである。その理由については以下の記事で解説している。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
2023年は利上げの年に

よって2023年は日本にとって利上げの年となるだろう。それが投資家にとってどういう意味を持つかと言えば、まずはドル円の下落である。


去年はドル高かつ円安の年だったが、アメリカと日本の両方でそのトレンドがひっくり返り、今年はドル安かつ円高の年になりそうだ。アメリカ側の事情については以下の記事を参考にしてもらいたい。

日銀の長期金利の実質利上げを受けてドル円の空売りを開始
そして日本株については、以下の記事で纏めてある。

2023年の日経平均の推移予想: ドル円下落と金利上昇で二重苦に (2023/1/4)
だがその後のインフレ統計や日本政府の発言を見ていると、2023年には黒田総裁の退任後に新総裁のもとで連続利上げが行われる可能性がある。

今年の株式市場は、アメリカでは金利の低下が始まっており、去年の利上げ効果による企業利益の減少と金利低下による浮揚効果が相殺し合う状況になるとここでは説明してきた。

だが日本が世界的な景気後退のもとで連続利上げを行うならば、企業利益の減少と日本の長期金利の急上昇という状況のもとで、日本株はかなり急激な下落相場になるだろう。日経平均は現状では次のように推移している。


結論

ということで、新体制の日銀が連続利上げに踏み切れば、ドル円と日経平均は仲良く暴落してゆくだろう。

だが金利を上げなければ日本は恐らくアメリカやヨーロッパ並みの物価高騰に突入してゆく。欧米の物価高騰が地獄絵図であることは、以下の記事などで紹介してきた。

ドイツの政治家、カーボンニュートラルのために風呂に入らないことを推奨
EU、食料価格高騰の最中、代替食品としてトノサマバッタを推奨
自民党が国民の生活を慮って本気でインフレ退治をするかどうかはかなり怪しいところだが、少なくとも多少の利上げは強いられることになるだろう。

そこで問題となるのは、コロナ後に大流行りしたつみたてNISAなどの、金融の専門家から見て何の根拠もないギャンブル的な素人投資法である。

「株式の長期投資はほぼ儲かる」という幻想は金融庁の「基礎から学べる金融ガイド」から来た
金融庁などは高校生にまで日本株や海外株のETFなどを買うことを推奨してきたから、それに乗せられて投資をした人のポートフォリオは日本株や海外株のETFで構成されているだろう。

だが2023年、彼らのポートフォリオはどうなるか。日本政府が主導する利上げによって日本株は死に、海外株はドル円の下落によって価値が大幅に毀損することになるだろう。

何度も言っているが、何故彼らはわざわざこのタイミングで投資を奨めたのか。しかも単に投資理論が間違っていただけではなく、日本政府自身が国民のNISA口座にそうした商品を放り込み、その後でそれらの価値を暴落させようとしている。

この件については何度も語ったので、ここまでにしておこう。 詳しい議論が知りたい人は以下の記事を参考にしてほしい。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
だが、他人に買わせた投資商品の価値を意図的に下落させることは、控え目に評価しても詐欺である。

岸田首相にはその才能がある。還付金詐欺などを本業にするタイプのプロの方々は、是非お上の優れたやり方を学ばせてもらうと良いだろう。これこそが本物である。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32865



参考

日本エリオット波動研究所の相場予測は凄い、宮田直彦のエリオット波動分析はデタラメ
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14081932

宮田直彦 エリオット波動レポート - YouTube動画
https://www.youtube.com/results?search_query=%E5%AE%AE%E7%94%B0%E7%9B%B4%E5%BD%A6+%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%83%E3%83%88%E6%B3%A2%E5%8B%95&sp=CAI%253D

エリオット波動・宮田レポート(短期アップデート)
https://www.m2j.co.jp/market/report/20525/list

エリオット波動でみると日経平均は2050年まで上昇 _ 宮田直彦 日本株はもうすぐ大暴騰する
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14031612

エリオット波動 宮田直彦 半導体株の出直り期待と日経平均の強気保ち合い
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14056708
15:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/20 (Fri) 08:22:29

同じエリオット波動でも日本エリオット波動研究所は、宮田直彦さんとは反対に、今年からの日経平均株価の大暴落を予測しています:

一般社団法人  日本エリオット波動研究所
https://jewri.org/

日経平均1年間のカウントの振り返りとナスダック100とS&P500の進行想定/有川和幸さん【キラメキの発想 12月19日】 | 一般社団法人 日本エリオット波動研究所
https://www.youtube.com/watch?v=MGFhLQnPOf4
https://jewri.org/news/news-3333/


エリオット波動
http://www.asyura2.com/13/ban6/msg/591.html
16:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/20 (Fri) 18:10:53

為替については

一般社団法人  日本エリオット波動研究所
https://jewri.org/

エリオット波動原理から見た ドル円と日経平均 /有川和幸さん【キラメキの発想 9月12日】 | 一般社団法人 日本エリオット波動研究所
https://www.youtube.com/watch?v=0I_beldwtXE&t=119s
https://jewri.org/news/news-3250/
17:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/02/11 (Sat) 20:24:21

日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者
2023年2月11日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33440

2月10日、日本政府は経済学者で元日銀審議委員の植田和男氏を日銀の次期総裁に任命する方針だということが報じられた。正式に就任したわけではないのでこのまま確定かは分からないが、投資家としては直ちに情報を集めておかなければならないので、就任前に植田氏の経歴や考え方について簡単に纏めておきたいと思う。植田氏はどんな人物だろうか。

次期総裁はマクロ経済学者

まず、筆者には珍しいことだが、植田氏を選んだ岸田首相には褒められて良いことが1つあると考えている。それは少なくともマクロ経済を専門としている人間を日銀のトップに選んだということである。

国の経済全体に影響を与える中央銀行のトップにマクロ経済が分かる人間を選んだことがそれほどに快挙なのか? 実はそれほどに快挙なのである。

例えばアメリカのFed(連邦準備制度)の議長であるジェローム・パウエル氏は、Fedで働くようになるまで個別企業の買収を行うプライベート・エクイティ・ファンドで働いていたため、企業買収の専門家ではあってもマクロ経済については一切の経験がなく、トランプ大統領から「共和党員だから」というだけの理由でFed議長に据えられた人物である。

当然ながら現在のアメリカのインフレなどをことごとく読み間違え、インフレを正しく予想した債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏などに酷評されている。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ (2021/7/18)
ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない (2022/1/14)
そして日銀の黒田総裁に至っては大蔵省の役人である。読者の周囲に官僚がいるかどうかは分からないが、彼らは国民ではなく政治家に尽くすことを至上の生きがいにしている(そうでない人間は出世できない)ので、彼の量的緩和政策が政治家の支持率のために株価を一時的に押し上げ、副作用として円安による輸入物価高を引き押して国民を苦しめたのは当然の帰結である。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
そして彼の政策に、日本経済にとって良い政策はマクロ経済学的にどういうものかという観点はそもそもなかった。だから円安が日本国民にインフレをもたらしても平気でいられるのである。

だから日銀の総裁がマクロ経済を専門にしているというのは存外に贅沢なことなのである。素晴らしいではないか。手放しで岸田首相を褒めるしかない。経済について何も知らない彼にそれ以上を期待することなどそもそも出来ないのだから。

経済学者植田和男氏

だからここからはマクロ経済学者としての植田和男氏がどういう人物かを評価してゆくことになる。

植田氏はまず東京大学の理学部数学科を卒業してから院では経済学を研究し、マサチューセッツ工科大学で博士号を得てからブリティッシュコロンビア大学や大阪大学で教鞭をとり、1989年から2017年まで古巣の東京大学で経済学を教えた。退官後は東大名誉教授、共立女子大学教授である。

キャリアを見ればまっとうな経済学者である。だがそれで安心できるわけでもない。贅沢と言っておきながら申し訳ないが、経済学者の大半は経済が予想できない。

たとえばパウエル氏の前にFedの議長だったジャネット・イエレン氏(現財務長官)は生粋のマクロ経済学者だが、彼女も経済を予想できない中央銀行の歴史を折り目正しく数年延長したに過ぎない。ジョージ・ソロス氏らファンドマネージャーが数年前から警告していたリーマンショックを「住宅市場に限られた問題」と軽視していたFedの姿勢を、当時サンフランシスコ連銀総裁だった彼女は支持していた。

議長となった後も、筆者が以前から表明していた見解に周回遅れで追いついていたイエレン議長の姿を、当時からの読者は覚えているだろうか。

明らかに長期停滞論を意識しているイエレン議長 (2016/10/18)
だから経済学者であることは、パウエル氏やましてや黒田氏のようなマクロ経済学の完全な素人ではないことは示してくれるものの、それだけである。黒田氏は日本のインフレが4%に及んでいる今なお「インフレが達成できなくて残念」と供述している。彼は馬鹿なのだろう。

ガンドラック氏、日銀の量的緩和を皮肉る
マイナード氏: 日銀の持続不可能な緩和政策の破綻は他国の教訓的前例になる
植田氏の経済理論

では植田氏はどうだろうか。彼の選出が発表されてからすぐに記事を書き始めているためまだ情報が少ないが、植田氏が日経新聞に寄稿した記事がいくつかあったので、それを読んだ感想を書いてみよう。

彼は2018年の記事で緩和政策の限界と副作用について語っており、彼がこれから日銀の低金利政策をどうするのかを予想する上でその内容は参考になるだろう。

植田氏はまず、日銀が量的緩和によってマネタリーベースを増やしてもインフレ率が上がっていなかった当時の状況を指摘している。

日本は失業率が低いにもかかわらずインフレ率が上がっていないとして、失業率とインフレ率が反相関になるはずだと(根拠なく)主張したフィリップス曲線に言及し、「フラットなフィリップスカーブの謎」と呼ばれていると指摘した上で、その原因についてはインフレ期待、ITなどの技術革新による価格低下などの通説をいくらか挙げるも、現代で数少ない本物のマクロ経済学者であるラリー・サマーズ氏のように独自の分析を披露することもなく、「十分な解明がなされるには至っていない」で済ませている。あなたは経済学者なのだから、解明はあなたの仕事だろう。何を言っているのか。

そもそも筆者に言わせればフィリップス曲線などは言及にも値しない疑似科学である。だが少なくとも、彼が通説を纏めることを好み、あまり自分で考えないタイプの研究者であることは見えてくる。それでも教授にはなれる。そういう世界である。

緩和の副作用に言及

より重要なのは金融緩和の副作用に言及している部分だろう。植田氏は長年の量的緩和によって債券市場の機能不全、金利収入を得ている銀行の利ざや低下、機関投資家の投資機会の減少などの副作用を挙げ、緩和の継続を薦めながらもこれらの副作用を減らす必要性について語っている。

副作用は誰でも減らしたいからこれも当たり前の議論なのだが、当時日銀がETFの買い入れ額を減らすために定額の買い入れを止めた措置について、「購入量削減につながればよい」と言っているあたりは、国債の買い入れ額を実質利上げで減らそうとしている今の日銀の状況とかなり似ており、彼が日銀総裁として金利をどうするかを予想するにあたり非常に示唆に富んでいる。

日本国債の投げ売り急増、追加利上げがなければ日銀の量的緩和は半年で破綻する
また、現金を国民にばら撒くヘリコプターマネー(つまりは実際に行われてしまった現金給付)については、「効果も副作用も強い」としながら「2%のインフレで止まらないリスク」があるとしている。

実際、そのリスクについてはコロナ後の現金給付と物価高騰で証明されてしまったのだが。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由
結論

ということで、植田氏はあまり独自の見解のない平凡な経済学者であるようだ。研究者を評価するならば本来論文を読むべきなのだが、まだ手元にないので、読んだ上で語るべきことがあれば記事を書くつもりだ。

だが今回取り上げた植田氏の2018年の寄稿記事と筆者による分析は、読者にとっても日銀のこれからの政策がどうなるかについて一定量の情報をもたらしてくれたのではないか。日銀の現状については以下の記事を再確認しておいてほしい。

日本国債の投げ売り急増、追加利上げがなければ日銀の量的緩和は半年で破綻する
また、彼は最近になって総裁就任を意識したのか、2021年の寄稿ではいきなり気候変動について語り始めたり、自民党安倍派に配慮したかったのか2022年には「拙速な引き締め避けよ」などと言い始めている。その辺りも含めて平凡な人間のようである。ちなみにサマーズ氏は真逆のことを言っている。

サマーズ氏: 物価高騰は中央銀行が環境問題にかまけてインフレ抑制を怠ったせい
だが彼は少なくともある程度マクロ経済学を理解する能力があるだろうから、輸入物価だけではなく国内物価にも波及しつつある日本のインフレを低金利で支援し続けたらどうなるかぐらいは分かりそうである。

以下の記事で表明したドル円の推移予想に変化はなしと考えている。とりあえず植田氏について纏めてみた。

日銀の長期金利の実質利上げを受けてドル円の空売りを開始

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33440
18:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/02/14 (Tue) 23:30:38

サマーズ氏、日銀の新総裁によるイールドカーブコントロール廃止を示唆
2023年2月12日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33487

アメリカの元財務長官でマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏が、Bloombergのインタビューで日銀の新総裁となる植田和男氏について語っている。

植田和男日銀新総裁

2月10日、日銀の黒田総裁の後釜にマクロ経済学者で東大名誉教授の植田和男氏が選ばれることが発表された。

日銀の新総裁は当然日本の金利を左右するので、筆者は前回の記事において速報として植田氏の金融政策に関する考え方を簡単にレビューしておいた。

日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者
筆者は植田氏について、大蔵省の役人だった黒田氏やプライベート・エクイティ・ファンド出身のパウエル議長などのマクロ経済学の門外漢である中央銀行家とは違い、マクロ経済学を専門とする学者である点を評価したが、一方で経済学者としては通説以上の独自の考えがない平凡な人物であると評しておいた。

サマーズ氏の評価はどうかと言えば、彼はインタビューで日銀新総裁について聞かれて次のように答えている。

植田氏は日本のベン・バーナンキのような人だと考えられるだろう。

ベンとほぼ同じ時期にMITで学び、論文アドバイザーもベンと同じだった。金融経済学の似た分野を専門とし、同じように学者のソフトな語り口ながら、決断力も持っている。

バーナンキ氏は2006年から2014年までFed(連邦準備制度)の議長を務めた人物である。前回の記事でも少し触れたが、ジョージ・ソロス氏やジョン・ポールソン氏などファンドマネージャーらが事前に警告していた2008年のリーマンショックを「住宅市場に限られた問題」として無視した張本人であり、彼と重ねられていることが褒め言葉なのかどうかは微妙である。

ジョン・ポールソン氏、サブプライムローンの空売りで大儲けした時のことを語る
サマーズ氏が同じ経済学者でありながら植田氏の研究の具体的内容に触れていないことから見れば、恐らくは経済学者としての植田氏についてほとんど知らないものと思われる。インタビューで司会者に聞かれたので、他国の新しい総裁にリップサービスを贈ったのだろう。

サマーズ氏は黒田氏とは知り合いらしく、黒田氏についても次のように世辞を贈っている。

植田氏は大人物の後を継ぐことになる。わたしは黒田さん(※原文ママ)を30年以上知っているが、彼は並外れて有能で分析力がありながら、計算高い中央銀行家になれる能力も持っている。

彼が辞めるのは残念だが、植田氏が後を継ぐのならこれからも安泰だろう。

日銀の政策はどうなるか

ここまでは大した内容ではない。本当に優れた人物ならば、アメリカ人はむしろ厳しいコメントを残すだろうということは、アメリカ人を知っている読者なら分かるだろう。

日本の国力がアメリカに届きかけていた時代には、アメリカ人はこぞって日本人を批判した。今では中国人が批判され、日本人は世辞を送られる。脅威にならないからである。

その意味で、サマーズ氏のコメントは筆者にとって日本の現状を思い出させるものだった。これは分かる人にしか分からないので、このくらいにしておこう。今回のサマーズ氏のコメントの中で、本音が表れていたのは新総裁がどういう問題に直面するかについて語った部分である。

サマーズ氏は次のように言っている。

日本はこれから非常に難しい問題に直面することになる。イールドコントロールを永遠に続けることが可能だとは思えない。

さらっと言っているが非常に重要な部分であり、要するに日銀は長期金利に上限を設定しているイールドカーブコントロールを続けられないと言っているのである。

日本のインフレと長期金利

2022年、日本国民がインフレに苦しんでいる中、誰も理由は分からないがインフレを目指して金融緩和を続けてきた黒田総裁は、量的緩和による円安を通して見事にインフレ悪化を実現した。日本のインフレ率は現在4%である。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
日銀はイールドカーブコントロールによって長期金利の上限を0.25%に設定してきたが、当然ながらこの低金利を続けるとインフレが止まらなくなる。それで黒田氏は、恐らくは政府の圧力によって、金利上限を0.25%から0.5%に上昇させることを余儀なくされた。

日銀がYCC変更で長期金利の上昇を許容、日本も金利上昇による景気後退へ
ちなみに黒田氏はその政策変更を「利上げではない」と主張しているが、はっきり言って意味不明である。彼はインフレ率が4%である現状を見て、インフレ目標が達成できていないことが残念とも述べており、誰か彼の言語を筆者向けに翻訳してほしい。

結論

いずれにせよ黒田氏は居なくなる。そしてサマーズ氏は、黒田氏に世辞を贈りながら、同時に黒田氏のやっていたことが持続不可能だと言っている。債券投資家のスコット・マイナード氏も言っている。

マイナード氏: 日銀の持続不可能な緩和政策の破綻は他国の教訓的前例になる
緩和を続ければどうなるか。インフレ下で緩和を行おうとしたイギリスに対してサマーズ氏が言ったことを、ここの読者は覚えているだろう。

サマーズ氏: 景気後退で財政支出する国はイギリスの二の舞になる
いずれにせよ、誰がどう言おうが、誰も何も言わなかろうが、インフレ時に緩和を行うのは狂気の沙汰である。

日本国債の投げ売り急増、追加利上げがなければ日銀の量的緩和は半年で破綻する
そして新総裁の植田氏はそれを知っている。

彼はアベノミクスの間違いを指摘されたくない自民党安倍派へのリップサービスとして「現在の金融緩和は適切」と言っているが、植田氏は少なくともある程度まともなマクロ経済学者であるので、金利を上げなければインフレが止まらないことを理解している。

投資家にとって重要な点はそこである。それがドル円と日経平均を動かすからである。

2023年の日経平均の推移予想: ドル円下落と金利上昇で二重苦に
植田氏の考え方を知りたい人は、 前回の記事を参照してもらいたい。

日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33487
19:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/02/24 (Fri) 11:39:46

日銀新総裁誕生で大増税へ! 岸田政権を支持する米国は菅前首相・三浦瑠麗・電通を徹底攻撃=ジェームズ斉藤
2023.02.23
https://tocana.jp/2023/02/post_247382_entry.html


──新しい日銀総裁はサプライズ人事でしたけど、何か裏事情があったようですね。

ジェームズ:実はあの人事は発表の2日前の2月8日の午後に岸田総理と麻生(太郎)さんが二人で決めたということです。

──急遽そうなったのは副総裁だった雨宮正佳さんが日銀総裁就任を固辞したからですか?

ジェームズ:いえ、マスコミの報道ではそうなっていますが、麻生さんも岸田さんも最初から日銀関係者、財務省関係者ではない人から選ぼうという意向があったんです。ですから、最初から雨宮さんの日銀総裁はなかったのですが、マスコミには言わず、最後の最後でどんでん返しをしました。

日銀新総裁誕生で大増税へ! 岸田政権を支持する米国は菅前首相・三浦瑠麗・電通を徹底攻撃=ジェームズ斉藤の画像2
植田和男氏(画像は「Wikipedia」より)
──それにしてもなぜ“無名の学者さん”と言われる植田(和男)氏が新総裁なんですか?

ジェームズ:簡単な話ですよ。官僚じゃない、学者である植田氏のほうが麻生さんたちがコントロールしやすいんです。そもそも前の黒田(東彦)さんだって、安倍さんが連れてきた人ですよ。黒田さんは財務省では異端の思想である異次元の金融緩和をずーっと唱えていました。財務省といえば緊縮財政ですから本来であれば、黒田さんの日銀総裁はなかったはずなんです。しかし、積極財政を推進する安倍さんにとっては都合がいい人材だったので黒田さんが日銀総裁になったのです。ところが、いまの日銀はこんなに円安になっているのにそれでも異次元の金融緩和をやり続けていますよね。そのおかげでいまや日銀は中央銀行の本来の業務を放棄し、アベノミクスのばら撒き政策のために国債を買い取り続ける「国債買取マシーン」となってしまいました。

──しかも、その国債を買った金は最終的に海外ファンドに流れていたので積極財政にも寄与しなかったんですよね。

ジェームズ:その通りです。問題だらけだったんですよ。なので、岸田政権としてはそろそろ積極財政をやめさせたい……と言えば聞こえはいいですが、岸田さんは財務省の言いなりですから、緊縮財政をしたいだけなのです。黒田色を一切排して無名の学者をトップにし、副総裁も黒田さんとはあまり接点がない人を選んで、一気に緊縮財政に舵をきりたいのです。そしてもうひとつ重要なのが日銀によるヘッジファンドへの牽制です。

──えっ、黒田さんはずっと海外のヘッジファンドにお金を流していたじゃないですか!? あれはわかってやってたはずですから、今更牽制もなにもないんじゃないですか。

ジェームズ:いえ、世界のヘッジファンドはいま日本円に見切りをつけて大量の円売りに走っています。いま円は1ドル130円ぐらいですがこんなに安くなっているのはそのせいです。

──去年の10月にはジェームズさんが言っていた通り1ドル150円にまで下がりましたしね。

ジェームズ:1ドル150円なんてあり得ないんですよ。1ドル100円くらいが真っ当なんです。思い出してください。金融緩和をやる前は円高でしたよ。1ドル70円代なんて時代もあったんですよ。

──ありました。あの頃は勢いがありました。

ジェームズ:あれが日本の真の力です。ところが、政府や財務省、日銀が日本の力を削っていったのです。ですから、これからは徐々に円高に戻ると思います。また、そうしてもらわないと日本がどんどんガラパゴス化してしまいます。円安なので海外に若者が行けませんし、中国人が大量に日本の土地を買いに来ます。1ドル70円とは言わないまでも90円台ぐらいに戻せば、中国人の“静かなる侵略”もかなり食い止めることができると思いますし、逆にジャパンマネーの影響力拡大に繋がります。

──円安が中国人のためになっちゃっているんですね。

ジェームズ:アベノミクスのいう異次元の金融緩和=積極財政をすればお金の供給量が増えて公共事業も多くなり、経済成長するという理論はわかります。ただし、それは同時に円の価値を下げるので中国人が侵入しやすくなるんです。安倍政権そして黒田総裁はその面から見ると日本を中国に売ったようなところがあるんです。これを食い止めるために植田総裁が選ばれたという言い方もできます。

──功罪は常にあると。

ジェームズ:そこはバランス良くみないといけません。ですから、植田総裁になって緊縮財政になればそれでOKかというとそんなことはなくて、功罪の罪として大増税が待っているわけです。そして一番の罪は大増税を行う岸田政権です。というのも本来、保守主義というのは、「小さな政府」を支持し、目玉の政策は減税なんですね。ですから、安易に増税に舵を切る岸田政権というのは保守でもなければ、国民のことを思ってもいません。罪があると言うのであれば、それは岸田政権そのものです。

──結局、どこをどう応援していいかわからないですね。

ジェームズ:それはやっぱり国家観がない人たちが政権を握ってしまっているからです。結局は中国やアメリカの紐付きの人たちが政権を取っているので日本のことは考えられないのです。

──そうなってくると国民自体が国家観をもっと大事にしないとダメですよね。

ジェームズ:ダメですね。ところで、ここで恐ろしい話があります。実は、アメリカはもう岸田さんにすべてを賭けています。

──えっ? えーーっ!! それはどういう意味ですか!? 岸田さんってすべてを賭けられるような人じゃないでしょ!

ジェームズ:もちろん、そうです。ちょっと言い方がアレでしたね(苦笑)。アメリカもバカじゃないんで岸田さんに代わる次の総理は菅さんぐらいしかいないとわかっているということです。前の記事で言ったように、いま菅さんが岸田降ろしを活発にやっていますよね? アメリカはこれを警戒している一方で、「では、岸田に代わる人材はいるのか?」となった時に「菅に対抗できるのはいまは岸田しかいない」という結論を出しているということです。ですから、前回の記事で話したように東京地検特捜部が三浦瑠麗氏を追ったりしているんです。

──ここに来て地検が暗躍してますよね。ところで、ふと思ったのですが、いくらGHQが作ったからとはいえ、地検特捜部がいまだにアメリカの手先というのも不思議なんですけど。

ジェームズ:それはワシントンの日本大使館に行けばわかります。法務省からの出向組の外交官はだいたい特捜部の人間で、彼らのカウンターパートはほぼアメリカ中央情報局(CIA)か、アメリカの司法省です。CIAと米司法省の人間としか付き合わないので、アメリカにいる間にすっかり洗脳されてしまうのです。そんな彼らが日本に帰って特捜部になるのが伝統ですから、日本の間接統治はしやすいですよ。そして現在、地検特捜部は菅さんのお気に入りの三浦瑠麗氏と、菅さんの利権の一つだった電通に捜査のメスを入れています。それはつまりアメリカによる岸田さんへの援護射撃になるということです。

──構図は凄くよくわかりました。米中の戦いを日本で起こしてどうするんだって感じですね。

ジェームズ:そうです。 米中の大国間競争が日本の国会と官邸の中で毎日繰り広げられているというのが現状なのです(苦笑)。

 アメリカと中国は莫大な資金力を背景にどちらが官邸と国家を握るかの勝負に出ています。それが菅さんと岸田さんの戦いで、日銀総裁人事もそういう観点から見る必要があるのです。アメリカvs.中国、今後しばらくはこの観点で事件や政局を見ることをオススメします。
20:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/02 (Thu) 09:33:16

踏み絵のように緩和支持を言わされる日銀の植田新総裁と新副総裁たち
2023年3月1日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34101

日銀の新総裁に就任する予定の植田和男氏と、副総裁候補の内田真一氏と氷見野良三氏が、国会に呼ばれて次々に所信表明を行なっている。現在の日銀の状況も含めて、彼らの考えていることを解説したい。

アベノミクスとインフレ

2013年に始まったアベノミクス以来、大規模な量的緩和政策(つまり紙幣印刷)と長期金利を操作するイールドカーブコントロールによって日本にインフレをもたらすべく頑張ってきた黒田東彦日銀総裁が4月に退任することから、その後任として岸田首相に選ばれたのが長年東大でマクロ経済学者として教鞭を執ってきた植田氏である。

植田氏には黒田氏のインフレ政策の後始末が求められている。黒田氏は長年インフレを目指して金融緩和を行なってきた。そして日本経済はインフレになった。その原因はウクライナ情勢ではない。すべての優れた金融の専門家が、インフレの原因が量的緩和と現金給付であることを認めている。

ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由
世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした
日本でも2021年には既に生産者物価指数が高騰していた事実を無視して2022年のウクライナがどうのと言い始める無知な人々が居るが、彼らももう絶滅寸前である。それで日銀に批判の目が向けられている。

インフレ政策の何が悪かったのか。インフレが実際に実現されてしまい、日本国民が遂にインフレが物価高という意味だという衝撃的事実に気付いてしまったことが黒田氏の一番の誤算かもしれない。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
実際にはインフレには何の利点もない。インフレとは経済学的には需要過剰、供給過少という意味であり、平たく言えば人々が必要としている量に比べてものが不足している状況である。デフレとは逆にものが余っている状況である。

ハイエク: 緩やかなインフレが有益であるという幻想
ものが余っている状況よりものが不足している状況の方が良いと誰が言い始め、何故それを誰もが無批判に信じたのか。筆者のような愚かな人間にはまったく理解できない思考回路である。人類は本当に卓越した頭脳を持っている。

円安で輸入物価上昇

その根本的で致命的な問題点はさておき、もう少し実務的に言えば日銀の尻に火が着いている理由は主に2つある。

先ず1つは円安である。2022年、例えばドル円の為替レートは大きく上昇し、ガソリンを含む輸入物価の高騰を引き起こした。ドル円のチャートは次のようになっている。


このドル円の急上昇は、日本の長期金利が日銀の当時の長期金利の設定上限であった0.25%に達した2022年3月から始まっている。日銀は上限を守るために国債を買い入れなければならず、その緩和によって急激な円安が進んだのである。

ドル円だけに関して言えば、当然ながらアメリカの側で金利が上がり、ドル高に動いたことも非常に大きい。だが2022年、日本円はこの日銀の緩和政策によって世界最弱通貨の1つとなった。ドル高で新興国通貨も下がったが、日本円は例えばインドネシアルピアなどの東南アジアの通貨と比べても下落している。

こうした円安が輸入物価の高騰をもたらした。だがアベノミクスによれば、円安は良いことではなかったのか? 日銀はそれを目指してきたのではなかったのか?

だが実際には円安政策とは日本製品が安くなることで外国人を儲けさせるものの、日本国民には何の得もない政策である。筆者は以下の記事で次のように分かりやすく説明している。

日銀がYCC変更で長期金利の上昇を許容、日本も金利上昇による景気後退へ
例えば1ドル=100円の時に600万円(=6万ドル)の日本車があり、6万ドル持っている外国人が購入を考えているとしよう。

これが円安になり、1ドル=120円になったとする。600万円の日本車は、ドル換算では6万ドルではなく5万ドル(=120円 x 5万)になる。予算が1万ドル余ったので、ついでに軽自動車も買えるかもしれない。

これで日本人は自動車だけでなく軽自動車も売れたと喜ぶかもしれない。だが実際には、元々6万ドルを日本車1つと交換していたものを、円安によって同じ報酬で日本車と軽自動車をセットで譲り渡す羽目になっただけで、得をしているのは外国人のほうである。

一方で日本円の価値が下がるので、日本国民は外国の製品が買えなくなる。円安の何が良いのか誰か説明してくれないだろうか?

日銀の買い入れで国債がなくなる

インフレと円安、本当に何の得にもならないものを日銀はよく目指してきたなと思うが、日銀にとって最大の窮地は自分の国債買い入れで日本国債がなくなることである。

以下の記事で説明したが、日銀は量的緩和政策でこの世に存在する日本国債の半分以上を既に買い入れてしまっており、ペース次第では今年中に債券市場で国債が枯渇する。

日本国債の投げ売り急増、追加利上げがなければ日銀の量的緩和は半年で破綻する
だから新総裁になる植田氏は何とか買い入れのペースを減らす(つまり緩和を縮小する)ことを目指している。

新総裁植田氏の所信表明

以下の記事で説明したように植田氏は経済学者としてはそれほど優秀ではないものの、まともなマクロ経済学の知識を持った人物であるとは言えるので、日銀が既に詰んでいるということをよく分かっている。

日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者
日銀のインフレ政策、特に長期金利の上限を決めるイールドカーブコントロールは何とかしなければならない。だが普通の経済学の知識がある人間がアベノミクスはどうだったかと聞かれ、本音を漏らすとどう頑張っても酷評になってしまう。そうすると年頃の乙女のような自民党安倍派のプライドを傷つけてしまうので、日銀総裁になれなくなるのである。

そんな植田氏は、自民党安倍派の前で自分の見解を披露する所信表明をどのように乗り切ったか。彼は所信表明でインフレをもたらしたインフレ政策について何と言ったか。彼は次のように言っている。

デフレではない状況をつくり上げたと考えております。

かなり苦しいこの言い方の理由を、ここ読者はもう理解するだろう。日本のインフレ率は既に4%でしかも加速している。だが「インフレ政策がインフレをもたらした」という当たり前のことを言ってしまうと、インフレが物価高だという衝撃の事実に気付いてしまった国民に自民党安倍派が批判されてしまう。

だが植田氏はこの踏み絵を乗り切り、更に緩和政策は「必要かつ適切」だと言い切った。より具体的には彼は次のように言っている。

様々な副作用が生じていますが、先程お話しした経済物価情勢を踏まえますと、2%の物価安定の実現にとって必要かつ適切な手法であると考えます。

だが「様々な副作用」が何かということについて彼は一切語らなかった。

この言葉をどう解釈するかが、日本の金利を予想する投資家にとって非常に重要となる。植田氏は、副作用がある(どころではない)ということは言っておかなければならない(そうでないと後で緩和政策を修正できない)が、所信表明の場で「副作用」の詳細を長々と話して自民党安倍派の急所をえぐっても何の得にもならない。だから言わないのである。

また、植田氏は金融緩和を継続するという趣旨の話をするのを躊躇わない。だがそれは長期金利を上げないという意味ではない。長期金利は今0.5%だが、インフレ率が4%の状況で長期金利を1%に上げても2%に上げてもまだその政策は緩和である。4%、5%に上げなければならなくなれば、緩和政策は2023年初頭まで適切だったが状況が変わったと言えば良いだろう。

植田氏の所信表明はよく考えられている。だが彼の過去の文章を読めば、彼の狙いが国債買い入れの減額であることは明らかである。

植田戦法を真似て踏み絵に挑む副総裁候補たち

副総裁となる予定の内田日銀理事と氷見野前金融庁長官も植田氏の戦法を踏襲して所信表明に挑んでいる。

内田氏は異次元緩和が「デフレではない状況を実現した」という自民党安倍派に対して有効な呪文を繰り返した。

だが一方で彼も言うべきことは言っている。彼は「金融機関収益や市場機能などの面で悪影響が生じていることも事実」とした上で「副作用があるから見直すのではなく、いかに工夫を凝らして緩和を継続していくかが課題」という、さも副総裁に就任すれば金融政策を見直すがこれまでの政策が悪かったわけではないという、崖っぷちに追い込まれている緩和支持者をなだめるような言い方をしている。だがこの言い方は明らかに緩和政策の修正を前提としている。

氷見野氏も概ね同じ内容だが、黒田氏と同じ元大蔵官僚である氷見野氏よりも、日銀理事の内田氏の方が踏み込んだ内容に聞こえた。日銀内部にはアベノミクスに最後まで抵抗し実質的に安倍氏に首を切られた白川元総裁の恨みがアベノミクスに対して溜まっているという話も聞く。

結論

いつも通り何も分かっていない大手メディアでは「新総裁が緩和継続に言及した」などと報じられているが、緩和を継続すると宣言することはイールドカーブコントロールの修正をしないことをまったく意味しない。2%でも3%でもイールドカーブコントロールを続ける限り緩和である。

以下の記事のように植田氏のこれまでの言説を把握した上で彼の言葉を解釈するべきだが、原油価格の推移も調べないでインフレについて語っているほとんどのメディアにそんなことは望めないだろう。

日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者
いずれにしても日銀は詰んでおり、究極的には彼らの意向は市場にとって問題ではないとも言える。彼らがどうしようとも緩和は終わるからである。

日本国債の投げ売り急増、追加利上げがなければ日銀の量的緩和は半年で破綻する
インフレ政策の出口戦略はインフレである。始めから分かっていたことではないか。緩和を支持した人々は馬鹿ではないのか。あるいはそれでも緩和を続ければ、今度は円安が止まらなくなるだろう。Bridgewaterのレイ・ダリオ氏が予想していた通りである。

世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
じわじわと上がる日本のインフレ率が日銀をその状況に追い込んでいる。

このような日銀の状況を債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏は見事な例えで表現している。

ガンドラック氏、日銀の量的緩和を皮肉る


日銀は賢明だ。 80階の窓から飛び降りて、70階分落下したところで「今のところは良い状態だ」と言っているようなものだ。

植田新総裁に期待したい。また、何故日銀が金利を上げなかったかという理由については以下の記事を参考にしてもらいたい。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34101
21:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/03 (Fri) 07:29:07

日本国債の空売りを開始、植田新総裁で長期金利上昇を予想
2023年3月2日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34200

日銀の新総裁に経済学者の植田和男氏が就任すると見られることを受け、日本国債の空売り(価格が下落すれば利益が出るトレード)を開始する。筆者の意見では、このトレードはリスク・リワード比が非常に良い。以下に理由を説明したい。

遂に始まった日銀の実質利上げ

ことの発端は4月に現日銀総裁の黒田氏が退任する予定になっていること、そしてその黒田氏が去年12月、恐らくは岸田政権に迫られて長期金利の実質利上げを行なったことである。

日銀がYCC変更で長期金利の上昇を許容、日本も金利上昇による景気後退へ (2023/3/2)
イールドカーブコントロールと呼ばれる金融政策により、日本の長期金利はそれまで0.25%という低い水準に保たれていた。それが2022年の円安と、それにともなう輸入物価高騰をもたらしたことは、前回の記事で説明している。

踏み絵のように緩和支持を言わされる日銀の植田新総裁と新副総裁たち
黒田氏は恐らく「インフレ政策には何の問題もなかった」という顔をしながら退任期限まで逃げ切りたかったのだろうが、結局彼は長期金利の上限を0.5%まで上げるはめになった。

実質利上げは始まったばかり

だが日本のインフレ率は4%である。このインフレは0.5%の長期金利で止まるものではない。では何処まで利上げすればインフレは止まるのか。

過去の事例を探せば、1970年代のアメリカの物価高騰時代では金利がインフレ率を上回るまでインフレは止まらなかった。当時のインフレ率と政策金利のグラフを並べると次のようになる。


そして現在のアメリカでも、長期的にはインフレ率は5%に収束すると予想されており、金利は5%まで上がろうとしている。

1月のアメリカのインフレ率はソフトランディングが不可能であることを示している
1970年代とは状況が違うとは言っても、やはり金利はインフレ率と同じ水準まで上がらなければ止まらないらしい。

コストプッシュインフレ?

日銀は(これは新総裁の植田氏もそうだが)日本のインフレは輸入物価高騰によるコストプッシュインフレであり、緩和を止める理由にはならないと主張している。

だがここでは何度も論じたように、原油や農作物などが高騰した理由はコロナ後に世界中で行われた量的緩和と現金給付であり、2020年にはその兆候が既に表れていたことをここでは報じておいた。

金融市場にインフレの兆し: 金、原油、穀物価格が高騰 (2020/10/14)
コストプッシュではなく政府と中央銀行の政策によってもたらされた大量の資金が市場に流れ込んだ結果であり、2020年に緩和をしていた主要国の中央銀行(当然日銀を含む)はすべてその責任をしっかり負っている。

自らインフレを引き起こした政府と中央銀行がコストプッシュインフレという言い訳を使うだろうということは、大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏によって数十年前に予想されており、彼らはその通りの道を歩んだというわけである。

ハイエク: コストプッシュ型インフレは政府の責任回避の言い訳に過ぎない
大体輸入物価全般に関しては円安が原因であり、前回の記事で説明したように2022年の円安は日銀のイールドカーブコントロールによってもたらされているのだから、緩和政策を止めない理由にはならない。

踏み絵のように緩和支持を言わされる日銀の植田新総裁と新副総裁たち
彼らの言い分は論理的に破綻している。

また、CPI(消費者物価指数)統計を見れば、輸入物価のインフレが国内物価にも波及し始めていることが分かる。2021年に「コストプッシュインフレ」を繰り返し、インフレに対策を打たなかったアメリカのパウエル議長が何をするはめになったかは誰もが知っている。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ (2021/7/18)
アメリカやヨーロッパの例で既に見たように、インフレは一度始まると止めるまで永遠に加速し続ける。そして日本でもそれは始まりつつある。

植田新総裁は実質利上げを継続する

さて、そこで問題になるのが、植田新総裁が長期金利をどうするかである。

結論から言えば、植田氏の狙いは日銀の国債買い入れ額を減らすことである。そしてそのために長期金利の上限をある程度上げるだろう。

植田氏も副総裁候補たちも、今の日銀の金融政策には「副作用」があるということを強調している。そして私見によれば、そうした副作用のうち彼らが一番懸念しているのは、インフレでも円安でもなく日銀の国債保有額である。

日銀は現在既に市場に存在する国債の半分以上を買い入れてしまっている。イールドカーブコントロールで長期金利に上限を付ければ、金利が上限に達するごとに金利を抑えるために国債を買い入れなければならなくなる。

だがこのままでは日銀の買い入れによって年内に市場から国債が枯渇してしまう可能性がある。

日本国債の投げ売り急増、追加利上げがなければ日銀の量的緩和は半年で破綻する
筆者の考えによれば、これこそが日銀の審議委員として現在の緩和にもかかわった植田氏の一番の懸念点である。彼の懸念点は必ずしもインフレでも円安でもない。だが国債買い入れ額を減らすために金利上昇が必要ならば、金利を上昇させるだろう。

何故そう言えるか。植田氏は所信表明において「情勢において工夫を凝らしながら、金融緩和を継続することが適切」だと言っている。

「工夫」とは具体的に何か? もっと分かりやすいのは、副総裁候補の内田氏が緩和政策について「副作用があるから見直すのではなく、いかに工夫を凝らして緩和を継続していくかが課題」と言っていることである。

これは明らかに枯渇しかけている国債の残高のことを言っている。そしてその問題を解決するためには長期金利の上限を上げることが必要である。上限を例えば1%や2%に上げれば、現状の上限である0.5%を超えても国債を買い入れずに済むからである。

日本国債の空売りを開始

ということで、日本国債の空売りを開始する。債券の金利上昇は価格下落を意味するので、日本国債の価格が下がることを予想するからである。

日銀は長らくゼロ金利政策を続けてきた。そしてそれが維持不可能だと見込んで日本国債の空売りを行なったヘッジファンドもあったが、これまで日本の金利は結局上がらなかったため、日本国債を空売りする取引は金融市場でウィドウメイカー(寡婦を生み出すトレード)と呼ばれてきた。

だがこうした見方が見落としている点が1つある。日本国債の空売りはほとんど損をする可能性のない取引だということである。

何故か? 債券の金利上昇は価格下落、金利低下は価格上昇だということを考えてみてもらいたい。そして日本国債の金利は上がることはあっても、下がることはほぼ考えられない。今のケースで言えば、金利上限を下げると日銀は国債を更に買い入れなければならなくなる。筆者の予想ではその可能性は限りなくゼロに近い。

だから日本国債は価格が下がることはあっても上がることはない資産である。よって日本国債の空売りは、仮に失敗してもほとんど損をしない。

日銀は最近、これに対抗するために国債を借りる時に金融機関が支払う国債の品貸料を1%に引き上げた。空売りをするためにはまず国債を借りなければならないため、空売りのコストを上げようとしているのである。

だが金利がもし上昇すれば国債の価格がどれだけ下がるかを考えてもらいたい。債券は満期までの期限が長ければ長いほど金利上昇に対する価格の下落幅が大きい。10年物国債は1%の金利上昇で10%近く、2%でほぼ20%近くの価格下落となる。3%、4%になれば30%、40%である。

これはジョン・ポールソン氏がリーマンショック時にサブプライムローンを空売りした場合と似たようなリスク・リワード比だと筆者は考えている。ポールソン氏は当時のことについて以下のように語っている。

ジョン・ポールソン氏、サブプライムローンの空売りで大儲けした時のことを語る
空売りのコストは年間たった1ドルということになる。

しかしサブプライムローン債券がデフォルトすれば、空売り投資家は100ドルを得ることができる。

結論

ということで、筆者も遂に日本国債の空売りに手を出すことになった。大手メディアや金融市場はまだ分かっていないが、筆者の意見では植田氏の狙いは明らかである。以下の記事を読みながら彼の言葉を精査してみてほしい。

踏み絵のように緩和支持を言わされる日銀の植田新総裁と新副総裁たち
日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者
また、金利上昇は株価にとってもマイナスとなる。筆者は日本株の空売りも行なっている。アベノミクスのお陰で日本経済が滅ぶ時が来たようである。自業自得である。

2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、 ソフトランディングは有り得ない


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34200
22:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/04 (Sat) 06:55:12

世界最大のヘッジファンド: 金融引き締めで経済恐慌かインフレ第2波で経済リセット、どちらになるか?
2023年2月22日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33781

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が、際限なく続けられた金融緩和の後始末について自身のブログで語っている。

インフレ政策の後始末には2つの方法がある。だがどちらもあまり良い結果にはならないようだ。

インフレ後の経済政策

リーマンショック後際限なく拡大されてきたインフレ政策は、ゼロ金利、量的緩和、イールドカーブコントロールを経て現金給付によってついにインフレを引き起こした。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
インフレ政策がインフレを引き起こして何の驚きがあるのか筆者にはまるで分からないが、これまでインフレ政策を支持してきた有権者たちは突然うろたえ始め、自分たちが望んできたインフレに文句を言い始めている。見ていて楽しい人々である。

ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由
さて、ダリオ氏の歴史研究によれば先進国経済の終わりとはそういうものである。大英帝国もオランダ海上帝国も債務増大と紙幣印刷を経て衰退した。

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨
そして今、日本やアメリカの経済は帰路に立たされている。インフレが始まってしまった今、無尽蔵に紙幣を刷って緩和をすることはできない。緩和を続ければインフレが悪化するからである。

一方で紙幣印刷を止め、これまでの低金利を撤回して金利を上げれば、ゼロ金利に依存していたゾンビ企業などが軒並み倒産し(それは良いことなのだが)、経済成長率はマイナスまで落ち込んでゆくだろう。

インフレ後の2つのシナリオ

現在、アメリカはインフレ率が9%まで達したため少なくとも短期的には引き締めを選んでいる。日本はインフレ率が4%で紙幣印刷を継続しており、インフレ率は加速を続けているが、日銀の植田新総裁がどうするかが注目されている。

日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者
インフレ政策の後始末としての2つのシナリオは、簡単に言えばデフレかインフレかである。どちらにしても国民は死ぬのだが、有権者が何年もそういう政策を支持してきたのだからどうしようもない。

だが投資家としては、この2つのシナリオで投資対象がどのように動くのかを詳しく見てゆく必要がある。

デフレシナリオ

まずは金融引き締めでデフレシナリオからである。ダリオ氏は次のように説明している。

もし中央銀行が引き締めシナリオを選べば、債務者は収入の多くを債務返済に振り分けなければならなくなるため、クレジットスプレッドは開くだろう。

一方、政府と中央銀行の保証がある債券(訳注:国債など)は、パフォーマンスは悪くなるが他の債券よりはましだろう。

クレジットスプレッドについては、年末に亡くなった債券投資家スコット・マイナード氏が詳しく説明してくれている。

マイナード氏、国債と投資適格債とジャンク債の違いを語る
だが簡単に言えば、引き締めによって市場から資金が流出してゆくためリスクの高い資産から順番に下落してゆくということである。

一方、国債などの下落はジャンク債や株式などに比べて限られるだろう。インフレさえ起こらなければ、国債の価格は経済のクラッシュによってむしろ上がる。リーマンショックの事例を思い出したい。

リーマンショックで急落した金価格、上昇した米国債
また、安全資産と呼ばれるゴールドだが、リーマンショックにおいて価格がむしろ下落しているように、金融引き締めで経済がクラッシュする場合、ゴールドや原油、農作物などのコモディティ銘柄にはネガティブな影響となるだろう。

一方でドル円は円高に振れる。リスクオン時には投資家は高金利通貨に資金を入れているが、リスクオフで低金利通貨に資金が流入するからである。

ドル円の空売り(つまりはドルに対する円買い)とドル建て金価格の上昇への賭け(つまりはドルに対するゴールド買い)はどちらもドル売りという性質があるが、一番の違いはリスクオフ時の反応であるということに注意したい。

インフレシナリオ

では政府がインフレ退治をやらずに緩和を継続した場合、つまりインフレシナリオにおいて金融市場はどうなるか? ダリオ氏は次のように述べている。

もし中央銀行が緩和シナリオを選べば、クレジットスプレッドはそれほど開かず債券の種類による違いは少なくなるが、すべての債券の実質価値は下がるだろう。

つまりは物価が高騰するということであり、紙幣自体は経済全体にばら撒かれるので100ドル貸していれば100ドルは返ってくるが、その100ドルの価値はインフレで大きく目減りしているということである。

戦後にドイツが返済不可能な戦後賠償金を返済した方法であり、黒田日銀は日本の莫大な政府債務について同じことをやろうとしていた。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
このシナリオにおいては利益を出す見込みのないゾンビ企業さえも救済される。彼らはばら撒かれた紙幣で借金を返す。だがその時には誰も紙幣など欲しいとは思わなくなっている。紙切れは余っており、物資は足りない。それがインフレである。

世界最大のヘッジファンド: 金融資産から現物資産への怒涛の資金逃避が起こる可能性
このシナリオにおいて高騰するのはゴールドだろう。リーマンショックで大儲けしたジョン・ポールソン氏はそのシナリオを見込んでいる。

ポールソン氏: ドルからの離脱が今のトレンド、資金逃避で金価格上昇へ
また、株価がどうなるかと言えば、中央銀行が金利をどの水準に保つかにもよるが、実質金利(インフレ率を差し引いた金利)を極端に低い水準に保つ場合、株価も高騰する。2022年のインフレ率が60%台となったトルコでは株価は上がっている。以下はトルコの株価指数のチャートである。


だが実質金利がそれほど極端に低い水準にならない場合、1970年代の米国株のように株式はインフレで酷いパフォーマンスになる。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
そしてドル円のレートの行方は日本とアメリカ、どちらがよりインフレを野放しにするかにかかってくる。

コロナ後のインフレ

ではこれからどうなるか? 日本とアメリカそれぞれ考える必要があるが、とりあえずアメリカについて考えよう。

筆者の予想は、短期的にはデフレシナリオ、長期的にはインフレシナリオである。労働市場が強く、失業者が続出しない限り、パウエル議長は金融引き締めを続けるだろう。筆者の予想では、その引き締めの程度は株式市場を破壊するのに十分である。

2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない
だが大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏の言うように、いずれ引き締めによって大量の失業者が路頭に迷う状況が来る。以下の記事は必ず読んでおいてもらいたい。

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
その時にはパウエル氏は緩和に転じるというのが、今の筆者のメインシナリオである。2018年に引き締めを行なったが株価が急落すると緩和に転じ、2021年に緩和を行なったが世論がインフレを懸念し始めると引き締めに転じた彼は究極の日和見主義者だからである。

サマーズ氏: パウエル議長のインフレ退治が本気かどうか疑う理由
ドラッケンミラー氏: 経済が強い時に引き締めを続けるのは簡単だが
インフレとデフレの2つのシナリオにおいて大きく違うのはドル円と金価格の動向であり、今筆者が金価格上昇ではなくドル円下落に賭けているのはそれが理由である。今の金価格はソフトランディング期待をいくらか織り込んでいるが、筆者はソフトランディングが有り得ないと考えている。

日銀の長期金利の実質利上げを受けてドル円の空売りを開始
だがいずれゴールドの買いに転じる時が来るだろう。また、短期的な下落を無視すれば、超長期的には単にゴールドをホールドしていてもそれほど悪くはないのではないか。

結論

さて、ダリオ氏はどうなると予想しているか? 過去の様々な国家の衰退を研究した彼は次のように述べている。

過去の事例を研究した著書で説明したように、大きな債務危機が起こり、その債務が中央銀行が印刷できる通貨建てで積み上げられている場合、すべての事例において中央銀行は常に紙幣を印刷してその債務を買い入れている。それが債務再編のもっとも痛みの少ない方法だからだ。

厳密に言えば、それが政治家にとってもっとも痛みの少ない方法だからだ。彼らにとっては紙幣によって積み上げられた国民の預金を守るインセンティブは存在しない。

一方で彼らの積み上げた借金はなくなる。インフレ政策を選ぶのは、彼らにとって自然な選択である。筆者に理解できないのは、何故有権者がそれを支持したかである。

ハイエク: 緩やかなインフレが有益であるという幻想
いずれにせよ、最終的には物価高騰で終わるだろう。だが問題はそれまでの短中期的な動向である。まずは株価の下落、そして次に金利の下落と筆者は踏んでいるが、どうなるだろうか。

2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない
日銀の長期金利の実質利上げを受けてドル円の空売りを開始
ガンドラック氏: アメリカは2年物国債金利の警告通り利下げする、 中央銀行はまったく不要


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33781
23:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/04 (Sat) 22:13:19

ポールソン氏: 成功は紙幣印刷ではなく教育と勤勉さから生まれる
2023年3月4日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34278#more-34278

長らく続いていたアラン・エルカン氏によるジョン・ポールソン氏の長編インタビューの最後の記事となる。

今回はコロナ後の政府の経済政策について語っている部分を紹介する。

コロナ後の緩和政策

2020年、コロナ第1波におけるロックダウンで先進国経済は大きなダメージを受けた。これに対して日本でもアメリカでも、政府と中央銀行は紙幣印刷と現金給付で対応した。

アメリカでは、Fed(連邦準備制度)が3月23日に無制限の量的緩和を発表しているが、実はこの措置は当時の株価の暴落を止めることが出来ず、一定期間株価はそのまま落ち続けた。当時の相場を知らない読者には、当時の記事からリアルタイムの雰囲気を読み取ってみるのも面白いかもしれない。

米国、量的緩和の無制限化を発表も米国株は下落 (2020/3/24)
だが結局、この緩和措置は過剰だった。特に2021年、既にアメリカ経済は元の水準まで回復していたにもかかわらず、就任直後のバイデン大統領が人気取りのために莫大な現金給付を行なったことが一番まずかった。

ガンドラック氏、バイデン大統領の「インフレは就任前から」発言を批判
それで経済は強くなり過ぎた。ポールソン氏は次のように解説している。

Fedが紙幣印刷で未曾有の刺激策を行ない、それが政府に莫大な資金を使う余裕を与えた。財政支出と紙幣印刷の組み合わせが非常に強い経済を演出した。

中央銀行が印刷した紙幣を政府がばら撒いたことで需要が非常に強くなれば、経済に何が起こるか。需要と供給について少しでも知っている人ならばその答えを出すことは容易い。インフレである。

ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由
過剰な資金はまだ経済に残っている

ポールソン氏によれば、その効果は紙幣印刷を終了して1年ほどになる今でも続いているらしい。彼は次のように続けている。

今ではFedは引き締めを行なっているが、まだ経済の中に多くの余剰資金が残っており、それが消費と経済成長を支えている。

アメリカ経済は着実に減速しているもののまだ持ちこたえている。

アメリカ経済は確実に減速している、2022年4QアメリカGDP
インフレ率全体が下落しているなか経済成長は持ちこたえていることで、ソフトランディング期待も囁かれた。だがインフレの内訳を見てみれば、実体経済が持ちこたえているのは、サービスなど実体経済の核心にある部分のインフレがまだ止まっていないからだということが分かる。

サービスのインフレだけひとりで上がり続けるのか
この記事で詳しく説明したように、サービスのインフレが止まらない限りインフレは止まらず、そしてサービスのインフレと経済成長率は一蓮托生である。つまり、サービスのインフレを止めようと思えば、経済成長も止めるしかない。

よってソフトランディングは有り得ない。それが筆者が株を空売りしている論拠である。

2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない
副作用のない麻薬はない

ということで、紙幣印刷でリッチになれると思った多くの有権者はインフレで酷い目に遭っている。2020年に既に誰かが警告していたではないか。

世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で人々はリッチになったような気がする (2020/5/8)
ポールソン氏は次のように言う。

それはパーティのようなものだ。パーティに行き、たくさん飲みたくさん笑うが、パーティが終われば2日酔いが待っている。

だからアメリカ経済には大きな2日酔いが待っている。最終的には負債を支払うか、インフレで債務を帳消しにするかどちらかしかない。

債務はいずれ払わなければらない。そうでなければ債権者が損をするので、債務を払うか、債権者に損をさせるかのどちらかである。そして例えば日本の場合、国債の保有者は実質的には預金者なので、政府債務をきっちり支払うか、国民が損をするかのどちらかである。

だが負債を払わず預金者も紙幣を取り上げられない第3の道がある。ポールソン氏は次のように説明する。

それはもう始まっている。インフレは政府債務の実質的な量を減らしているが、それは賃金よりも大きく物価が上昇することに苦しむ平均的な国民の犠牲のもとに成り立っている。

敗戦後のドイツが支払い不可能な債務を何とかした方法である。

ここでは何度も言っているが、インフレ政策は最初からそれを目的にしている。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
インフレ政策とは国民の預金を犠牲に莫大な政務債務を帳消しにして、政治家が引き続き予算を票田にばら撒けるようにする政策であり、それを政治家が何としてもやりたかった理由は完全に理解できるが、それを有権者が支持した理由は理解不能である。

以下の記事で詳しく説明したが、あなたがたは騙されている。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
結論

ポールソン氏は紙幣印刷について次のように纏めている。

成功するための魔法など存在しない。成功は教育、勤勉さ、貯蓄、再投資によって得られる。そうすればあなたは成功するだろう。

結局のところ、2020年に現金給付を横目に見ながらインフレの歴史について淡々と研究していたレイ・ダリオ氏が言った次の言葉がすべてである。

世界最大のヘッジファンド: 共産主義の悪夢が資本主義にのしかかる (2020/5/17)
われわれが消費をできるかどうかはわれわれが生産できるかどうかに掛かっているのであり、政府から送られてくる紙幣の量に掛かっているではない。

紙幣は食べられない。

賢者は歴史から学び、愚者は経験から学ぶ。愚者はまさに今経験から学んでいる。いや、問題は恐らく、愚者は経験から学ぶことすらないということだろう。

だが市場経済の素晴らしいところは、債務のツケは誰かが払ってくれても自分の愚かさのツケだけは自分で払わなければならないということである。筆者は市場経済のその部分を本当に素晴らしいものだと考えている。

そう言えば自分で働くことなくお金が降ってくるように願った人々がはまった穴がインフレの他にもう1つある。つみたてNISAである。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
2023年、緩和に対するツケを払うための引き締めはアメリカでも日本でも始まっている。株価とドル円はともに下落することになるだろう。

2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない
日銀の長期金利の実質利上げを受けてドル円の空売りを開始


金融庁に騙されて彼らの多くは資金を米国株に注ぎ込んでいるが、円建ての米国株の価値は株価下落とドル円下落の二重苦で酷いことになるだろう。つみたてNISAは既に詰んでいる。金融市場とは素晴らしい場所である。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34278#more-34278
24:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/04/19 (Wed) 12:29:34

22年に続き高インフレで実質収入は減少している
2023.04.19
政府が自慢した満額春闘は労働者の1割の大企業だけだった


「満額春闘」、9割の労働者に関係なし

2022年の前年比消費者物価上昇率は4.0%だったので1年間で4%上昇し、21年12月の0.5%から跳ね上がり国民生活に打撃を与えている

植田日銀総裁は「今年度半ばに2%を下回る」と述べていて、日本のインフレは長続きせず沈静化するとの見通しを示している

インフレは生産に対して需要が大きいために起きるが今回はウクライナ侵攻などで原油や天然ガスの供給が減ったのが原因で、日本の景気が良くなったわけでは無かった

アメリカの場合は利上げしても6%以上のインフレが続いていますが、向こうは富裕層の爆買いが止まらず景気が良すぎてインフレになっています

アメリカは上下の所得の差が非常に大きいので、富裕層は毎日フェラーリを買える一方で平均以下の層は高騰する家賃を払えずホームレスが増えている

アメリカでは高収入な人ほどより所得が増えているのに対し低所得な人は物価上昇に賃金上昇が追い付かず、特に家賃は大都市だとワンルーム(2人用)30万円から50万円になっています



日本では23年1月の全国実質賃金が前年比マイナス4.1%になり、物価上昇率のプラス4.0%を丸ごと労働者が負担しているのが分かった

従業員5人以上のすべての事業所平均で、物価が4%上がったのに賃金上昇はゼロか微減だった

春闘などで大幅増が報道されていたが安倍首相時代から疑問に思っていたのは、政府は大企業正社員の賃金だけを上げようとし、ボーナスが出ないような労働者は「人間ではない」とでも思っているらしい

大企業の正社員は日本の全労働者の10%しかおらず、この人達のボーナスをどうしようが9割の労働者には何の関係もない話です

牛丼屋や回転ずしが給料やボーナスを引き上げても、店で働いているのはパートやバイトや個人事業主扱いなので、これも無関係な話です

そうした会社の給料引き上げて収入が増えるのは本社に所属している正社員の人達だけです



日本政府はインフレで債務圧縮
帝国データバンクによると23年の食品値上げが4月18日時点で2万品目になり、前年より3カ月早い2万品目突破になりました

同社では23年秋には値上げが3万品目を超えると予想しているが、植田総裁が正しければ夏をピークにインフレは沈静化する筈です

日銀はインフレ率が上がってもなるべく利上げしない方針を示しているが、その理由の一つは今回のインフレが需要が強まったのではなく原油価格上昇に過ぎないからです

景気が良すぎて物価が上がるなら良いですが景気は悪いまま賃金が上がらないのに物価だけが上昇しているので、今アメリカのように利上げしたらハイパー不況になるでしょう

もう一つは借金に苦しむ日本政府に低金利は都合が良いからで、インフレ率より国債金利が低ければ日本政府の債務は実質でインフレ分だけ圧縮されます

日本政府は防衛費倍増で5兆円、子育て支援でも数兆円を必要としているので、既存債務1000兆円を年数パーセント圧縮できるのは助かる筈です

毎年1%でも政府債務がGDPに対して圧縮されると10年で10%減るので侮れない数字になり、年10兆円も公的債務が実質目減りします

政府債務が減る分はインフレで苦しむ国民に押し付けられる訳で、何のことはない「政府債務の民間債務への付け替え」に過ぎません

GDP成長率予想は相変わらず実質 1%前後(IMF予想は1.8%)に留まっていて、他の主要国より低い状態が今後も続く
https://www.thutmosev.com/archives/47654345j.html
25:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/18 (Thu) 07:10:36

サマーズ氏: 日銀の植田総裁はイールドカーブコントロールからの離脱プロセスを開始した
2023年5月3日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36397

アメリカの元財務長官でマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏がBloombergのインタビューで、就任後初めての金融政策会合を通過した日銀の植田総裁について語っている。

植田総裁の初登板

インフレ政策でインフレを引き起こした挙げ句、「インフレ目標を達成できなかったことが残念」と言い残して舞台を去った黒田なにがしに代わり、4月にはマクロ経済学者である植田氏が日銀総裁に就任した。以下の記事には就任前の彼の金融政策に関する主張が纏めてある。

日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者
植田氏には黒田氏が円安を通して引き起こしたインフレの後始末が求められている。本当は黒田氏の時代に副総裁を務めた雨宮氏らが新総裁候補の本命だったのだが、誰がやっても惨事にしかならないインフレの後始末をすることを雨宮氏らが嫌がったために植田氏が急遽浮上したと言われている。

4月28日には植田総裁になってから初めての金融政策決定会合が行われた。植田氏の初登板についてサマーズ氏は次のように語っている。

彼は用心深く抜け目のない人物だと思う。為替レートであれ金利であれ、レートの固定とはチェックインは簡単だがチェックアウトの難しいホテルだ。

予想通りだが、初回の決定会合では大した発表はなかった。日本のインフレ率が日本政府による意図的な粉飾を除けば4%を超えて推移する中、黒田氏の始めた大規模な紙幣印刷政策を維持し、緩和政策の有効性と副作用を検証すると発表した。

日本政府の詐欺的な物価指数の計算方法がインフレを悪化させる
緩和維持をどう見るか

初回の緩和維持をどう見るかである。そもそも日銀は何故緩和政策の撤回に追い込まれているのか。

先ず第一にインフレと円安である。2022年には日銀の量的緩和によって大幅な円安が進行した。2022年はドル高の年でもあったので分かりにくいが、2022年の日本円はドルだけではなく東南アジアなど新興国の通貨に対しても下落するなど世界最弱通貨の1つとなった。

その原因は日銀が長期金利に上限を設定するイールドカーブコントロールである。2022年には金利がイールドカーブコントロールの上限に達し、日銀が紙幣を印刷して国債を買い支え、金利を抑えなければならなくなった途端に円安が進んでいる。2022年春のことである。以下はドル円のチャートである。


円安が進むと輸入物価が上昇する。事実、原油価格はドル建てではもうかなり下がっているのに、日本のガソリン価格がまだ高いのは円安のせい(つまりは日銀のせい)である。ドル建ての原油価格は次のように推移している。


インフレの何がまずいのか

この状況の何がまずいのか。日銀がこのまま緩和を続けると円安を通してインフレが悪化し続ける。だから円安とインフレを止めたければ、日銀は国債の買い支えを止める必要がある。筆者やスタンレー・ドラッケンミラー氏が日本国債の下落を見込んで空売りを仕掛けている理由はそれである。

ドラッケンミラー氏、日本のインフレで日本国債を空売り
勿論日銀には永遠に紙幣を刷り続けて緩和を続けるという選択肢もある。だがそうなれば物価は青天井に上がり、日本人は自分の預金で何も買えない状態に陥るだろう。

そもそも日銀はそれを目指しているという話もある。結局はインフレと通貨暴落だけが日本政府の莫大な政府債務をチャラにする方法だからである。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
それはドイツが戦後の賠償金を完済した方法である。政府の借金はチャラになるが、同時に国民の預金は紙くずになる。

日本政府にとっては、自分で積み上げた債務の責任を何一つ取ることなく国民が勝手に犠牲になってくれるのだから、それ以上の方法はないだろう。だが日本国民がそういう目的の緩和政策を支持した理由はよく分からない。彼らは馬鹿なのだろう。少なくともファンドマネージャーの目からはそう見える。彼らは自分が何を支持したのかさえ分かっていない。

世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
植田総裁の優先順位

だが今の状況、植田総裁にとっては有利な点が1つある。インフレ抑制で先に利上げを行なっていたアメリカでは景気が減速し始めていることである。

サマーズ氏: スタグフレーションの危険あり、高確率で景気後退へ
それに連動して日本の金利高もやや収まっている。少なくとも日銀の設定した長期金利上限である0.5%を継続的に叩くような状況には陥っていない。

日銀は金利が上限に達しない限り国債を買い支えなくて良いので、植田氏が初回会合で金利上限を上げなかったのは、市場が催促しない限り自分から金利上限を上げる必要はないと考えているからだろう。

その判断自体は理にかなっている。植田氏は腐ってもマクロ経済学者である。単なるノーパンしゃぶしゃぶの省出身の黒田氏とは違うのである。彼は経済学など何も知らなかった。それでインフレ政策でインフレを引き起こし、そのまま逃げて行った。

日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者
実際、筆者が日本国債の空売りを始めた時から想定していたように、アメリカ経済が減速すれば日本経済にも一時的なデフレ圧力になるシナリオは存在する。筆者はアメリカ経済のハードランディングは不可避だと考えているので、それはメインシナリオですらある。

世界最大のヘッジファンド: 銀行危機は世界経済全体に波及して物価高騰か倒産危機で終わる
植田氏もそれを想定しているのだろう。今引き締めをすれば海外の減速で経済が落ち込みすぎる可能性があると指摘している。

日本のインフレ見通し

植田日銀はこのまま緩和を続けていくのか。ドル円の動きなどを見ても、市場のコンセンサスはそのようになっているように見える。

だが世界最高のマクロ経済学者であるサマーズ氏はまったく別のことを言っている。彼は次のように述べている。

日銀の緩和は目的よりも長生きし過ぎたと言うべきだろう。緩和政策の検証を開始したことによって、植田氏は金利の固定からの離脱プロセスを開始したのだとわたしは考えている。

日銀がこのまま金利を押さえつけ続けられる可能性など少しも考えていないことが彼のコメントから分かる。

既に利上げでインフレに対処しているアメリカやヨーロッパの人間から見れば、遅かれ早かれ日銀が金利を上げなければならない(国債の買い支えを止めなければならない)のは自明なのである。そうでなければ物価は青天井に高騰してゆく。

私見では、アメリカ発の世界的な不況があったとしても、日本の経済成長率には影響する一方で、海外要因ではインフレ率はそれほど下がらないだろう。日本のインフレは自民党のおかげで既に国内要因へと飛び火しているからである。

日本政府の全国旅行支援で宿泊予約殺到してホテル代値上がり
アメリカやヨーロッパは、大幅な利上げをしてもインフレ率はなかなか下がらないということを既に経験している。日本人だけがインフレの状況で紙幣印刷や全国旅行支援などのインフレ政策を続ける狂気が狂気であると気づいていない。馬鹿は本当に痛い目を見るまで状況を理解しない。

結論

だから、筆者は植田氏の理屈に多少の理があることを認めた一方で、植田氏が2021年にインフレ加速の事実を希望的観測から無視していたFed(連邦準備制度)のパウエル議長のように見えるのである。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ (2021/7/18)
インフレは放っておけば加速してゆく。金利が同じでも、名目金利からインフレ率を差し引いた実質金利が、インフレ率の上昇で自然に下がってゆくからである。

このままでは一部バブルになっている住宅価格も更に上がってゆくだろう。筆者は2021年にアメリカ経済に対して同じことを言ったが、住宅価格が例えば年に10%上がるような状況で金利がゼロだとしたら、誰もがコストゼロの住宅ローンを組んで値上がりを続ける資産を買うだろう。

そして誰もが家(や他のもの)を借りた資金で買うようになり、インフレ率はますます上がり、物価の上昇率と金利の乖離は更に進んでゆく。

このように、 金利が変わらない状況ではインフレは自己強化的にますます悪化してゆく。植田氏はそれを見逃している。

サマーズ氏は日銀が緩和を続けるシナリオは有り得ないと考えている。著名投資家たちも去年の時点で同じことを言っていた。特にガンドラック氏は長年インフレを目指した日銀のインフレ政策について傑作なジョークを述べている。

ガンドラック氏、日銀の量的緩和を皮肉る
日銀は賢明だ。80階の窓から飛び降りて、70階分落下したところで「今のところは良い状態だ」と言っているようなものだ。

だからあと10階分はまだ落ちられるかもしれない。だがもうすぐ地面である。日本の物価高騰がどうしようもなくなるまで、もうそれほど時間はないだろう。

マイナード氏: 日銀の持続不可能な緩和政策の破綻は他国の教訓的前例になる


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36397
26:777 :

2023/06/24 (Sat) 23:11:23

世界最大のヘッジファンド: アメリカの債務危機は終わっていない
2023年6月24日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37702

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がCNBCのインタビューで債務上限問題が解消された後の問題について語っている。

個人的な考えでは、この話は重要である。

債務上限問題の解決

1ヶ月ほど前に市場を騒がせていたアメリカの債務上限の問題は解決された。アメリカでは法律で債務の量に上限が決まっており、その上限が迫っていたが、与党民主党と野党共和党がこの上限を2025年1月1日まで棚上げにすることで合意した。

これでアメリカは再び借金が出来るようになった。これで問題が解決したかと言えば、そうでもない。何故ならば、両党の合意の結果、これから米国政府は年末までに1.3兆ドルの国債を発行することになるからだ。

これはかなり莫大な金額である。アメリカのGDPは26兆ドルだから、GDPの5%に相当する。

どの国でもそうだが、政治家は予算を増やしたがる。政治家の仕事とは国民から税金を徴収して票田にばら撒くことであり、予算が大きければ大きく票田にばら撒くことが出来るからである。

ちなみに票田どころか外国にばら撒いている首相もある国には居るようだ。保守派の人々は何故彼を売国奴と呼ばないのだろう。保守とは何だろう。

さて、政治家が国債を好きなだけ発行して好きなだけばら撒くことは永遠に続くのだろうか? ダリオ氏は政府が借金で支出を増やし続けることについて、以下のように述べている。

これを終わらせるものが2つある。1つは債券保有者に対する支払いだ。債券保有者は債券保有の対価を必要としている。彼らは元本に金利を乗せたものを要求する。

債務の支払いは政府の支出を圧迫している。

これは債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏も指摘していた問題だ。

ガンドラック氏: アメリカ経済に大幅な増税が来る
米国債の利払いは急増している。米国政府の利払いの推移をGDP比で見ると次のようになっている。


米国債の利払いが急増しているのは、インフレ対策でアメリカが金利を上げたからだ。

これを見れば日本政府が金利を上げたくない理由が分かるだろう。自分が票田にばら撒くお金が利払いに消えるくらいならば、国民がインフレで苦しむ方がましだからである。当たり前ではないか。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
だがアメリカでは金利を上げたので、利払いが政府支出を圧迫している。利払いが増えれば政治家が好きに金を使えなくなる。

米国債は買われなくなる?

そして増加し続ける債務には別の問題もある。ダリオ氏はこう続けている。

もう1つは債券の需給だ。言い換えれば、売る必要のある債券を買いたくないと人々が言い始めれば、より大きな危機に発展する。

しかし米国債が買われなくなるなどということがあるのだろうか? ダリオ氏はこう続けている。

これからアメリカは大量の国債を発行することになるが、多くの国債保有者は既に米国債を大量に保有している。

事実、現在の銀行などの主な問題は、下落している米国債を持ちすぎていることだ。シリコンバレー銀行や銀行システム全体の損失のことだ。

アメリカでは利上げによって金利が上がったが、債券にとって金利上昇は価格下落を意味する。だから世界に31兆ドル存在する米国債の保有者は損失を負ったということになる。

その1つがシリコンバレー銀行だった。シリコンバレー銀行の破綻の一因は、保有していた米国債の価格が下落したことである。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
そして31兆ドル存在する米国債を保有して損失を食らっている人は世界にいくらでもいる。

ダリオ氏はこう続ける。

中央銀行さえも例外ではないが、銀行の問題は主に保有している債券価格が下落して損失を出し、しかも調達したお金に支払う金利が高過ぎることによる。

そのような状況で1.3兆ドルの国債が新たに発行される。国債の保有者はその米国債をすべて買い切ることが出来るのだろうか? そもそも買いたがるのだろうか? 買い切れなければ国債の価格が下がることになるというのがダリオ氏の議論なのだろう。

彼はこう続けている。

この状況は、今後1、2年でかなりリスキーだ。

そしてその問題がなくても債務の支払いの問題がある。

国債発行とマネーサプライ

だがダリオ氏の議論には個人的に異論がある。

考えてほしいのだが、発行された国債で政府が支出を行なったとき、政府から支払いを受けた業者は新たにお金を手にするわけだが、その業者はそのお金を銀行口座に入れるので、銀行口座に入ったお金で銀行が国債を買うことになる。

だから国債を発行しても米国債の危機にはならない。だが筆者が気にしているのは、この国債発行がマネーサプライ(市中に存在する現金と預金の総量)に及ぼす影響である。

国債を発行しても米国債の危機に繋がらないのは、上述のように国債の発行と同時に貨幣の量も増える場合である。だから、この国債発行でマネーサプライがどうなるのかを考える必要がある。

この1.3兆ドルの資金はマネーサプライにどう影響するか? マネーサプライは下落しており、現在6.8兆ドル付近だが、1.3兆ドルの国債発行がマネーサプライの下落トレンドにどう作用するかは投資家にとって非常に重要な問題である。


それはインフレ問題の行き先を決める。ガンドラック氏の言うようにこのままインフレ率は下落コースなのだろうか? それが投資家にとって恐らく今一番重要な問いである。

ガンドラック氏: アメリカはデフレになりコモディティ価格は下落する


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37702
27:777 :

2023/07/29 (Sat) 10:00:24

日銀植田総裁の曖昧なイールドカーブコントロール「運用柔軟化」を解説する
2023年7月28日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38378#more-38378

7月28日、日銀は金融政策決定会合の結果を発表し、長期金利を操作するYCC(イールドカーブコントロール)の「運用の柔軟化」を決定した。実質的には利上げに該当するのだが、史上例がないほど曖昧な利上げとなっている。以下に説明する。

イールドカーブコントロール

メディアでは一斉に「運用を柔軟化」と報じているが、結局何がどうなったのか分からない人が多いのではないか。長期金利0.5%の上限は結局どうなったのか。

まずは背景の説明だが、日銀はもともと長期金利の目標をゼロに定め、プラスマイナス0.25%の上下変動を許容するという政策(YCC)を行なっていた。

中央銀行は通常短期の金利だけを操作するが、日銀は長期金利も操作しているので、短期から長期までイールドカーブ(利回りを期間順に並べたもの)全体に影響を与える緩和政策ということである。

2021年から始まっている世界的なインフレが日本には2022年辺りから到来しており、インフレ率が上昇するなかで長期金利上限が0.25%というほぼゼロ金利水準に抑えられていた。

これが円安と輸入物価のインフレを引き起こして問題となり、黒田前総裁は退任前に変動幅を0.5%に上げ、長期金利上限を0.5%に引き上げることを余儀なくされた。

日銀がYCC変更で長期金利の上昇を許容、日本も金利上昇による景気後退へ (2022/12/20)
インフレ下の紙幣印刷

それが去年12月のことである。だがそれでも日本のコアインフレ率(エネルギーと生鮮食品除く、日銀の奇妙な定義では「コアコア」などと呼ばれる)が現在4.2%であるのに対して、0.5%の長期金利はあまりに低く、極めて緩和的だった。

植田総裁が就任後この長期金利上限をどうするのかということが話題になっていた。量的緩和政策と呼ばれる紙幣印刷政策は行なうのは簡単だが止めるのは難しく、専門家の間では植田総裁の仕事はほとんど不可能なものとみなされている。

緩和政策で経済の本質的な生産性を変えることは出来ない。よって緩和は景気の先食いに過ぎず、マクロ経済学的には緩和で雇用を実現した分、緩和撤回時には失業が姿を現すことになる。

だから日本のように緩和によって長らく雇用を実現した場合、緩和撤回時に現れるのはそれ相応の大量失業ということになる。詳しくは以下の記事を参考にしてもらいたい。

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
緩和は撤回し始めるまで本当の問題は現れない。前任者の黒田なにがしはそれを知りながらか、あるいはそれを理解する頭もなかったのか、インフレの状況下において紙幣印刷を行ない続け、国民がインフレで苦しむ中でインフレに放火しながら「インフレが達成できなかったのが残念」と言い残して去っていった。

この日銀の態度を債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏などは次のように賞賛している。

ガンドラック氏、日銀の量的緩和を皮肉る
日銀は賢明だ。80階の窓から飛び降りて、70階分落下したところで「今のところは良い状態だ」と言っているようなものだ。

インフレが実現し、あとに残されたのは10階分の落下だけである。

植田総裁の就任

インフレ政策を喜んでいるのはもはや盲目な信者だけだ。元々次期総裁の本命として挙げられていた黒田時代の副総裁たちがこぞって総裁就任を拒否したのは、彼らもこの仕事が無理であることを知っていたからである。

自分でやったインフレ政策でありながら酷い話なのだが、ともかく植田総裁は彼らに代わって引き受けた。

日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者
植田氏にとって幸運であったのは、就任がドル安の時期と被ったことである。去年の秋からアメリカのインフレ率が下落しているので、アメリカの利上げも天井が見えてきたことからドルは半年以上下落しており、よってドル円は去年の秋から上昇が抑えられている。


これで世間的には円安は止まったかのように見えるわけだ。だがこれは円安の停止ではなくドル安になっただけであり、例えばユーロ円を見れば円安が止まっていないことが分かる。


為替レートの上昇はそのまま輸入物価の上昇なので、このチャートの上昇はそのまま、国民が苦しむ中で日銀が引き起こしたインフレそのものである。

だがともかく植田総裁が半年間何もせずに居られたのは、ドル側の要因が幸運だったからである。

遂に動いた植田総裁

だが結局のところ、4%のインフレで長期金利をゼロ近辺に固定する緩和政策は完全な自殺行為である。

インフレ政策がインフレを引き起こした後も化石として存在し続けているインフレ主義者が何を考えていたかは知らないが、マクロ経済学者のラリー・サマーズ氏も言っていた通り、植田総裁が遅かれ早かれ長期金利上限を引き上げなければならないのは、専門家には自明のことだった。

サマーズ氏: 日銀の植田総裁はイールドカーブコントロールからの離脱プロセスを開始した
それで筆者やスタンレー・ドラッケンミラー氏を含め、長期金利の上昇に賭ける日本国債の空売りをしていたファンドマネージャーが多いわけである。

ドラッケンミラー氏は次のように述べていた。

ドラッケンミラー氏、日本のインフレで日本国債を空売り
日本国債のトレードが報われるとは限らないが、少なくともリスク・リワード比は馬鹿げているほど良い。

何故なら日本国債の空売りは損を出す可能性がほとんどないトレードだからである。詳細は以下の記事を参考にしてもらいたい。

日本国債の空売りを開始、植田新総裁で長期金利上昇を予想
そして当然だが、植田総裁は今回そのシナリオに沿わなければならなかった。だが今回のYCCの「運用の柔軟化」はなかなかに曖昧である。

植田総裁の「運用柔軟化」

結局植田氏は今回何をしたのか。まず長期金利について、元々の目標値だったプラスマイナス0.5%は「目途」と表現されている。そして新たに1%を「厳格に抑制する」水準として追加し、これを越えることはないように長期金利をコントロールするそうである。

砕いて言えば、長期金利はプラスマイナス0.5%を一応目標とはするが、厳格な水準とはせず、プラスマイナス1%を厳格なコントロール水準とする、ということだろうか。

ちなみに長期金利は会合後、「目途」である0.5%を超えてじわじわと0.57%まで上がっている。

結局厳格なコントロール水準は1%ということで、0.5%とは一体何なのかまったくはっきりしない曖昧な政策決定である。

だが筆者のようなトレーダーの立場から見れば、何故植田氏がそうせざるを得なかったのかが分かる。

上でも言ったように黒田なにがしから植田氏へと押し付けられたイールドカーブコントロールの撤廃という後始末は、80階から落下してあと10階分しか残っていないような状況である。

この状況で一番危惧されるのは、将来的に日銀の国債買い支えがなくなると予想するトレーダーが大挙して押し寄せ、日銀が高値で買ってくれるうちに売ろうとし、日本国債が売り浴びせに遭うことである。自民党を支持する馬鹿たちは「ヘッジファンドが日本に対して云々」と言うだろうが、値段が下がることが分かっている資産を売るのはすべての投資家の自然な行動である。

国債にとって金利上昇は価格低下を意味するので、金利が0.5%から1%、1.5%、2%というようになっていくのであれば、売り手としては0.5%で買い支えてくれている間に売りたいのである。

だから単に金利上限を0.5%から1%に上げると言った場合、将来的に1.5%に上限が上げられると予想した売り手が殺到する危険がある。

だが0.5%を曖昧な「目途」として残したことによって、上限の明確な押し上げではなく、上がったのか上がっていないのか分からないような状況を作り出し、いわゆる連続利上げを想定させないようにしたのである。

結論

今回の植田氏の決定について筆者の個人的な感想を言えば、インフレを引き起こしたインフレ政策の後始末という無理な仕事を押し付けられた中で、連続利上げを想定させないように植田氏がまあよく考えたやり方だと言うべきなのだろう。

ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした
だが金融市場、特に債券市場は勘定で動くので、結局0.5%が意味のある目途なのかどうかは、日銀の今後の日々の国債買い入れ額によって明らかになってしまう。0.5%水準での買い入れがなければ、結局は上限を1%に引き上げたのと同じになる。

言葉を曖昧にはした植田氏だが、日銀の実際の行動によってその意味は結局明確にならざるを得ないのである。

工夫は評価しよう。だが結局は、サマーズ氏の言葉に代表されるように、日銀はゼロ金利政策の解除に動かざるを得なくなっているという長期トレンドは変わらない。通貨暴落とインフレを引き起こしたアベノミクスの低金利政策は終わったのである。

サマーズ氏: 日銀の植田総裁はイールドカーブコントロールからの離脱プロセスを開始した
そして最終的にはどうなるのか。植田氏には申し訳ないが、やはりこれは無理な仕事であり、日本経済にとって良い結果にはならない。他の専門家の意見も参考にしてもらいたい。

世界最大のヘッジファンド : 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
マイナード氏: 日銀の持続不可能な緩和政策の破綻は他国の教訓的前例になる

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38378#more-38378
28:777 :

2023/08/05 (Sat) 17:15:52

世界最大のヘッジファンド、量的緩和と現金給付に続く新たな金融緩和を語る
2023年8月4日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38616

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がLinkedInのブログで、世界的な物価高騰をもたらした現金給付に続く新たな金融緩和の方法について語っている。

過去40年の金融緩和

アメリカでは1970年代の物価高騰が終わって以来、金融市場の歴史は金融緩和の歴史である。

1970年代の物価高騰を止めるために20%以上に上がったアメリカの政策金利は、その後30年近くかけて低下してきた。以下はアメリカの政策金利のチャートである。


中央銀行は経済が弱るたびに利下げを行い、金融緩和によって実体経済を支えてきた。

だがその金利は2008年のリーマンショックでついにゼロに到達する。中央銀行はこれ以上金利を下げられなくなったが、それでも緩和をする方法が欲しかったので、紙幣を印刷して金融市場から国債などの証券を買い入れる量的緩和という方法に頼ることになった。

政策金利を操作する方法では国債の金利を直接下げることはできないが、紙幣印刷で中央銀行が有価証券を買い上げてしまえば、資産価格を人工的に押し上げ、国債の金利を押し下げることで更なる緩和を行うことができる。

だがこの方法では実体経済をコロナ危機から救うことは出来なかった。日本で実際にそうなっているように、資産価格を上げても得をするのは資産を持っている人々だけだという当たり前の事実に、アメリカも直面せざるを得なくなった。

そこで考案されたのが、国民の銀行口座に直接現金を注ぎ込む方法である。現金給付と呼ばれるこの方法は、家計の財政状況を見た目上改善した一方で、世界的な物価高騰を引き起こした。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
このように緩和の歴史を振り返ってみると、明らかに言えることは、緩和の副作用が強くなっていることである。利下げの副作用は、2000年にドットコムバブルを引き起こしたり、2008年のリーマンショックにつながる住宅バブルを引き起こしたりすることだった。

それだけも酷かったかもしれないが、利下げが量的緩和になり、量的緩和が現金給付になった今、緩和の副作用は雪だるま式に膨らみ、インフレという形で全国民に降り掛かっている。

だが緩和の極端化というこのトレンドは、もはや誰にも止められないだろう。人間にそれを止める頭があれば、そもそもインフレは起きていない。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
だから投資家は現金給付に続く新たな緩和方法が何かということを、そろそろ考え始める必要がある。

中央銀行はまず利下げによって金利を低下させ、経済における最大の債務者、つまり政府を救済し続けてきた。その次には量的緩和によって、金融危機で資産を失った資産家を救済した。コロナ禍におけるはロックダウンで収入を失った家計を救済した。

もう救済するものはあと1つしか残っていない。中央銀行による中央銀行の救済である。

中央銀行が自分自身を救済する

政府が国債を中央銀行に押し付け、中央銀行はシリコンバレー銀行などの破綻処理にあたって価格が下落していた債券を額面で引き受けているので、もはや中央銀行はさながらゴミ箱のような様相である。

政府はこのまま中央銀行をゴミ箱のように扱い続けることができるのか? 現代人は誰もその実験を経験したことはないが、歴史上には同じような事例は存在する。こうした疑問を尋ねるのに最良の人物は、やはりダリオ氏だろう。

ダリオ氏は次のように述べている。

長期的には、歴史を振り返ってこれから何が起こるかを描いてみると、政府の財政赤字が増大するのは実質的に確実で、利払いや他の予算の費用が増加している以上、増加の加速度は上がる可能性が高い。

アメリカのGDP比財政赤字は次のように推移している。


短期的には上下しているが、長期的には赤字は増え続けている。そしてこれが少なくなる見通しのないことは、誰もが同意するところだろう。

緩和も財政も悪化し続ける。だが緩和が利下げから現金給付まで指数関数的に進化してインフレという限界にぶつかったように、政府の財政も同じように指数関数的に進化して人々が思っているよりも早く限界にぶつかるだろう。

このまま財政赤字が加速度的に増加すればどうなるか。ダリオ氏は次のように述べている。

そしてそうなれば、政府はより多くの国債を発行しなければならなくなり、自己強化的な債務スパイラルに陥ることになるだろう。

金融市場がそれ以上増やさないよう迫る一方で、中央銀行は紙幣印刷によってもっと多くの国債を買わなければならなくなる。そうしなければ損失が拡大し自分のバランスシートが毀損されることになる。

「金融市場がそれ以上増やさないように迫る」というのは、国債の発行増加を市場の投資需要が支えきれなくなり、国債価格が暴落してゆく状況だろう。

そうした要因での米国債の価格下落は、今の市場参加者にはほとんど想像もできないはずだ。だが少し前の市場参加者には、インフレも想像できなかったことを思い出したい。

ダリオ氏の言う通り、国債の発行が指数関数的に増加してゆくならば、量的緩和なしには国債価格を維持できない状況はいずれ必ず訪れる。そして「指数関数的」な増加によってその水準に到達する日はそれほど遠くないということは、少しの数学的素養のある人ならば分かるはずだ。

ダリオ氏によれば、そうした問題の典型的な解決策は、政府が中央銀行の損失を補填することだという。だが政府は中央銀行の紙幣印刷によって資金供給されているので、中央銀行は結局は自分に資金供給することになる。この空中でジャンプして空に浮き続けるような末期的状況の典型的な帰結は、金利高騰か通貨暴落かインフレ、あるいはその組み合わせだろう。

結論

実際、イギリスはその状況に到達しかけた。1つ前のトラス政権がインフレの状況下で大規模な財政緩和を行おうとしたとき、金融市場では英国債とポンドが両方急落した。

サマーズ氏: 景気後退で財政支出する国はイギリスの二の舞になる
結局はトラス氏が辞任に追い込まれることによって緩和は撤回されたが、他の先進国はそうした瀬戸際にある。日本では円安とその結果としてのインフレが大きな問題になっている(が、自民党支持者はストックホルム症候群によって緩和の引き起こした円安とインフレの関連を頭から消し去っている。)

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
アメリカは、基軸通貨ドルの恩恵によって今のところ日本やイギリスのような羽目にならないで済んでいる。だがスタンレー・ドラッケンミラー氏は、まさにそれが原因でアメリカはより大きな危機に陥ると予想している。

ドラッケンミラー氏: アメリカは基軸通貨ドルのお陰で致命傷を食らうまで緩和を続けられる
短期的な延命のために長期的な危機が許容される。 いつものことである。しかし若者たちはそれで良いのだろうか。

ドラッケンミラー氏、高齢者が若者から搾取する税制を痛烈批判

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38616
29:777 :

2023/08/08 (Tue) 01:46:09

中央銀行が中央銀行自身を救済するという現金給付に次ぐ新たな緩和方法が既に始まっている
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14137906




利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29198

何故日銀はインフレに応じて金利を上げないのか?
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14052708

大西つねきがやろうとしていること(第49回衆議院選挙に向けて)
https://www.youtube.com/watch?v=Z0aesmYcl0U

「大西つねきはMMT派ではない」大西つねきのパイレーツラジオ2.0(Live配信2023/04/10)
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14108096

大西つねきの世界
http://www.asyura2.com/21/reki7/msg/162.html

シルビオ・ゲゼルの世界
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/922.html

ミヒャエル・エンデの世界
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/846.html

大西つねき : 資本主義がダメな理由
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/766.html

大西つねき : 資本主義の仕組みは既に破綻している
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/658.html

「銀行が潰れる理由」大西つねきのパイレーツラジオ2.0(Live配信2023/03/20)
https://www.youtube.com/watch?v=9r5yYTN9yoY

大西つねき : MMTは詭弁、赤字国債大量発行は貧富の差を拡大し階級社会を完成させる
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/711.html

大西つねき : 政府通貨の疑問に答える
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/764.html

大西つねき :日本一まともな年金の話
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/712.html

大西つねき :正しいベーシックインカム
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/765.html

大西つねき : 日本の戦後について
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/767.html

大西つねきが三橋貴明の間違いを正確に指摘しています。政府がいくら財政出動しても絶対にデフレから脱却できません。
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/135.html

れいわ新選組 大西つねき
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/793.html

政府紙幣発行政策の誤解 経済コラムマガジン
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1106.html

政府紙幣 _ アメリカで1兆ドル硬貨案が問題に
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14083831
30:777 :

2023/08/09 (Wed) 16:53:50

ドイツの中央銀行、資金不足で政府の口座への利払い停止を決定
2023年8月8日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38743

Bridgewaterのレイ・ダリオ氏が中央銀行の債務超過について警鐘を鳴らしたそばからこれである。ドイツの中央銀行であるドイツ連邦銀行は、ドイツ政府が自行に保有する預金への利払いを10月以降停止するとの決定を発表した。中央銀行の損失縮小が目的と推測される。

中央銀行の損失拡大

変な話だが、中央銀行にはお金がない。インフレ政策でインフレが起こってしまったために、世界中で利上げによって金利が上がったからである。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
何故中央銀行の利上げで中央銀行が損失を被るのか。まず第一の理由は、世界で多くの中央銀行が量的緩和によって大量の証券を保有しているが、その保有証券の価格が自分の利上げによって下がっているからである。

シリコンバレー銀行は保有国債の価格下落が一因で破綻した。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
だが多くの中央銀行も大量の国債を保有しており、そして自分の利下げによって国債の価格は下がっている。それが中央銀行の含み損を生んでいる。

もう1つの理由は、中央銀行内の口座に対する利払いが利上げによって増えたからである。今回のドイツ連邦銀行が食い止めたがっているのは、こちらの損失の方である。

そもそもドイツ連邦銀行の損失は以前から市場で話題になっていた。

レイ・ダリオ氏は次のように述べている。

世界最大のヘッジファンド: 中央銀行の損失に対する政府の資金注入は始まっている
ドイツは今や中央銀行の損失と債務超過を、政府の補填という伝統的な方法で解決すべきかどうかを議論している。

6月には、ドイツ連邦銀行が保有する債券の価格下落によって政府による損失補填が必要になる可能性についてFinancial Timesが報じ、ドイツ連邦銀行が否定する騒ぎとなっていた。

ドイツ連邦銀行はそれを否定はしたものの、今回の利払い停止で実質的にそれを認めたようなものである。

ドイツ連邦銀行の利払い停止

政府は中央銀行内に口座を持っている。それが口座であるからには通常金利が支払われる。このドイツ連邦銀行の事例ではその金利は現在3.65%となっているが、これが0%になるということである。

現状では中央銀行が政府に対して払っている利払いを停止するのだから、実質的には政府から中央銀行への資本移転が行われたも同然である。

だが結局、赤字だらけの政府の資金源は中央銀行の紙幣印刷なのだから、政府と中央銀行の間のやり取りに何の意味があるのかと思った読者がいたとすれば、それは正しい。

これが例えばドイツ連邦銀行が市中銀行への利払いを停止するとなれば大問題である。今回それがそれほどには問題にならないのは、実質的に政府と中央銀行が同じようなものだからである。

利払い停止の金融市場への影響

ではこの利払い停止は意味のないニュースなのか? それがそうでもないのが金融市場の難しいところである。

何故かと言えば、この利払い停止のニュースでドイツ国債の金利が下がったからである。

7月末時点でこの政府の口座にはおよそ540億ユーロの預金があったが、この預金への利払いが停止された場合、この口座にあった資金は金利を求めて国債市場へ向かうだろう。国債には金利が付くからである。

国債市場に資金が流れ込むことを予想した債券市場は、金利低下で反応したのである。

つまり、中央銀行から政府に対する資金移転という一見意味のなさそうな動きが、金融市場に対しては緩和として作用したのである。

よく考えれば当たり前のことである。預金口座の金利がゼロになったことで資金が国債や他の証券にシフトするというのは、通常の利下げや量的緩和の仕組みと同じである。そもそも3.65%あった金利が0%に下げられたのだから、それは利下げである。

結論

ヨーロッパはまだインフレを抑えられていない。そもそもユーロ圏は様々な国があり、ある国のインフレを抑えようとすれば別の国には過度な引き締めとなってしまうという共通通貨の致命的な問題がある。

筆者の予想では、ユーロ圏はインフレ問題を解決できない。

ユーロ圏内のインフレ率乖離でユーロ危機再発を予想、一部加盟国はハイパーインフレへ
今回の動きが予期せぬ緩和になったことは、ユーロ圏のインフレ抑制にとってマイナスである。

一方で、中央銀行の損失によって政府にお金が無くなれば、財政赤字は拡大し国債が発行されることになる。そうなれば逆に国債の金利上昇による不況が懸念される状況になる。

ダリオ氏が指摘した中央銀行の債務超過の問題は、過度な緩和にも過度な引き締めにもなり得る、今後5年ほどの世界経済にとってパンドラの箱となる可能性がある。

世界最大のヘッジファンド : 中央銀行の損失に対する政府の資金注入は始まっている


特に危機が起きていない今の状態でも不測の事態を引き起こしているこの問題は、コロナ後の現金給付が物価高騰をもたらした以上の問題を次の経済危機において引き起こす可能性がある。中央銀行の動きに今後も注目したい。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38743
31:777 :

2023/09/15 (Fri) 19:32:58

マイナス金利解除による銀行業績への影響額は?
つばめ投資顧問の長期投資大学
2023/09/15
https://www.youtube.com/watch?v=8z54xEEfPGM

日銀・植田総裁が、年始にもマイナス金利を解除する可能性を示唆しました。これにより銀行株が上昇していますが、実際の業績への影響はどの程度なのでしょうか?
32:777 :

2023/10/01 (Sun) 11:10:52

世界最大のヘッジファンド: 中央銀行でもインフレで破綻する可能性
2023年9月30日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40262

引き続き、世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏の自社の動画配信におけるインタビューである。今回はインフレと中央銀行について語っている部分を紹介する。

インフレと銀行と中央銀行

インフレで銀行が破綻した。シリコンバレー銀行などのアメリカの銀行は、インフレによる金利高騰で倒産に追い込まれた。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
金利高騰で銀行が潰れた1つの理由は、保有する国債価格の下落である。金利上昇は債券にとって価格下落を意味するため、金利が上がれば債券は下落する。

銀行は預金者からお金を預かってその金で国債を買う。その国債の価格が下落し銀行が損失を被ったわけだが、ここで読者は気付くはずである。国債を大量に保有しているのは、普通の銀行だけではない。

ダリオ氏は次のように語っている。

中央銀行は皆、保有債券に大きな損失を抱えている。そしてそれがどのように処理されるかによって、財政上の問題が発生する。

中央銀行は、日本などの多くの先進国では国債の最大の保有者となっている。そして金利上昇によりその国債価格が下落するときに含み損が発生する。

中央銀行の損失は通常政府によって補填されなければならない。含み損を損失とみなすかどうかは財政というよりは法律の問題だが、例えば国債を売ることになれば含み損が確定損になり、また金利高騰で中央銀行が被る損失は債券価格下落だけではない。

金利上昇のもう1つの問題

アメリカで銀行危機が起こった原因はもう1つあった。銀行は預金者から預金を預かって国債を買っている。金利上昇で国債価格が下落した一方で、預金者には高い金利を払わなければならなかった。

つまり、金利上昇が銀行にとって2つの意味で打撃となったのである。

そして中央銀行といえどもお金を預かる業務を行なっている。預金者は市中銀行である。

だから金利、特に短期金利が上がれば、中央銀行は銀行に高い金利を払わなければならなくなる。銀行が苦しんでいる二重の問題が中央銀行にもそのまま襲いかかるわけである。

しかも、金利の支払いは、含み損のように会計上の問題ではない。金利を支払うためにはお金を何処からか持って来なければならない。そして実際にその問題に陥っている国が既に存在する。ダリオ氏はこう述べている。

例えばイギリスでは、イングランド銀行がGDPの2%に相当する損失を補填しなければならなかったので政府に補填を頼んだが、政府はお金を借りなければ補填できない。

だが政府の財政は中央銀行の紙幣印刷でもっているのではなかったか。中央銀行が政府の足を支え、その政府が中央銀行の足を支えることで空中浮遊をする世界が実現しつつある。オウム真理教か。

そしてドイツも同じ問題に直面していることは、以下の記事で報じておいた。ドイツでは中央銀行の財政問題で実際に利払いが停止されている。

ドイツの中央銀行、資金不足で政府の口座への利払い停止を決定
ダリオ氏は次のように纏めている。

だから、この状況における古典的な結末は、 歴史上いつでも起こってきたように、中央銀行自身が財政上の困難に陥るということである。

だが読者はこう思うだろう。中央銀行には紙幣を印刷して利払いを行なうという選択肢もあるのではないか。

その通りである。だが紙幣印刷は要するに量的緩和である。そして今、中央銀行はインフレが起こったことによって量的緩和の撤回と、その逆回しである量的引き締めを強いられている。そうしなければ、インフレが収まらないからである。

その状況下で利払いのために中央銀行が紙幣印刷を強いられるようなことになればどうなるか? 物価上昇はもはや止まらなくなるだろう。

結論

インフレを良いものだと何の根拠もなく主張したアベノミクス以来のリフレ論者は、まだ絶滅していないのかどうかは知らないが、それでも中央銀行が破綻することなど有り得ないと考えている。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
しかしもはやそれさえも間違っている。ダリオ氏はこう述べている。

われわれは中央銀行の財政が問題になるわけがないと思っているが、それは間違いだ。損失が発生すれば何処からか補填しなければならない。そして中央銀行は更にお金を印刷する必要に迫られるが、それが更に問題を悪化させる。

そしてダリオ氏によれば、インフレと現金給付の時代となった現代、歴史上何度も起こってきた中央銀行の破綻という問題が近づきつつある。

ダリオ氏はこう説明している。

注意して見なければならないのは、中央銀行が再び量的緩和を再開する時だろう。それはレッドフラグだ。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40262
33:777 :

2023/10/26 (Thu) 05:08:48

ガンドラック氏: 2%インフレ目標は完全に恣意的な数字
2023年10月22日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40882

引き続き、Grantの会議におけるジェフリー・ガンドラック氏の講演の紹介である。今回は当たり前のように言われてきた2%のインフレ目標について語っている部分を取り上げる。

2%インフレ目標の謎

少し前まで、人々はインフレが良いものだということを信じていた。インフレと円安を目指すインフレ政策を行なう政治家が当たり前のように当選し、人々はインフレと円安を待ち望んだ。

そして実際にインフレと円安が起こった時、人々は怒り始めた。インフレは実際には物価が上昇するという意味だったからである。

彼らは辞書さえ持っていなかったのだろうか。この件に関して政治家は悪いのか? 彼らは正々堂々とインフレを引き起こすと言っていたではないか。完全にフェアである。流石の筆者も政治家を責められない。

しかし疑問は残る。何故政治家はインフレを望むのか、そして何故インフレ目標は常に2%なのか、ということである。

何故それは2%なのか。それに根拠はあるのか。ガンドラック氏は次のように言っている。

もちろんそれは恣意的な数字だ。デフレを心配しているというのが彼らの理屈だったように思う。

だが、状況をマクロ経済学的に考えてみよう。物価は需要と供給で決まる。デフレとは需要に対して供給が多過ぎること、インフレとは需要に対して供給が少なすぎることである。

つまり、簡単に言えばデフレとはものが溢れていること、インフレとはものが不足していることである。ものが溢れている状況(デフレ)は、ものが不足している状況(インフレ)よりも悪いのだろうか? 誰がそんな馬鹿げた話を言い出したのだろうか。それよりも謎なのは、何故人々がそんな話を信じたかである。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
経済学的な説明

もう少し真面目な話をしよう。マクロ経済学的には、インフレもデフレも両方とも避けるべきである。経済のなかに需要があるのであれば、その需要分をきっちり生産することが一番効率が良いのであって、多すぎても少なすぎても経済学的には非効率である。

一応はまともなマクロ経済学者である日銀の植田総裁も、インフレ率はゼロであるのが一番効率的だと言っていた。

踏み絵のように緩和支持を言わされる日銀の植田新総裁と新副総裁たち
では何故2%ということが言われたのか? マクロ経済学の知識のある人間に対しては、もう少しまともな説明が与えられていた。ガンドラック氏は次のように言っている。

インフレ率の目標がゼロや0.5%なら、景気後退やコモディティ価格の下落など何らかの要因でデフレ圧力がかかったとき、インフレ率がマイナスになってしまう。それが彼らの理屈だった。

インフレ率がマイナスになって問題なのは、彼らの理屈では、金利による経済のコントロールが出来ないからである。金利はインフレ率よりも上か下かが問題なので、インフレ率がマイナスの状況で緩和を行なうためには、金利をそれよりも下にするしかない。

だが金利をマイナスにすると人々が預金しなくなるので、マイナス金利には限界がある。

そもそも政府が金利をコントロールしていることが現在のインフレの原因であるので、その理屈も実際には成り立たない。

ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした
ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない
だが政府が金利をコントロールするという前提を仮に認めたとしても、やはりその理屈は成り立たない。金利がゼロになっても緩和の手段は存在する。それはまさに、黒田前総裁による大規模緩和に反対した白川前総裁が以下の記事で指摘していたことである。

日銀の白川元総裁が経済学者サマーズ氏の講演で非常に興味深い質問をしていた
こう見ると黒田氏以外の日銀総裁は比較的まともなようにも見えてくるのだが、いずれにしてもやはりインフレ目標はゼロで差し支えなく、インフレ目標を2%にするマクロ経済学的理由は存在しない。

インフレ政策の本当の理由

だが政治的理由は存在する。だから政治家は常に2%目標を置き続けるのである。

インフレとは紙幣の価値が下落することである。そして紙幣を大量保有しているのは誰か? 国民である。だがそれだけではない。インフレによって変化するものがもう1つある。借金の実質的価値である。

仮にりんご1個の価値が1億円になれば、多くの人がそれを買えなくなる一方で、1億円の借金をしている人は逆にりんご1個分支払えば借金を完済できることになる。

ここにからくりがある。インフレは預金の価値を失墜させる一方で、借金の実質的価値を減らす。それが戦後に敗戦国ドイツが莫大な賠償金を支払った方法である。GDPの100%を超える政府債務のある国の政治家は、インフレによって国民の預金を犠牲に借金を帳消しにすることを考えている。

だが急に大幅なインフレを引き起こしては、国民の反発を招く。まさにそこに2%の理由がある。ガンドラック氏は次のように述べている。

2%はマイルドで段階的なドルの価値下落だ。

莫大な財政赤字を垂れ流し続けるためにはドルの価値下落が必要だが、年2%なら人々を驚かせない。だがいずれにせよこれは完全に恣意的な数字だ。

「マイルドなインフレは経済にとって良い」というマクロ経済学的に何の根拠もない出鱈目を信じている人は、「少額ずつ盗んでゆく強盗はウェルカムだ」と言っているに等しい。彼らは愉快な人々である。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40882
34:777 :

2023/10/31 (Tue) 17:02:31

日銀植田総裁、10月決定会合でイールドカーブコントロールを実質的に有名無実化
2023年10月31日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/41212

10月31日、日本銀行は金融政策決定会合の結果を発表し、現在行なっている緩和政策であるイールドカーブコントロール(YCC)の更なる柔軟化を決定した。内容はやや複雑なので出来るだけ分かりやすく説明したい。

イールドカーブコントロール

イールドカーブコントロールは、日銀が長期金利の上昇を抑えるために行なっている金融緩和である。黒田前総裁が導入したこの政策が円安とその結果として輸入物価のインフレを引き起こしているため、後を引き継いだ植田総裁がその後始末をしている。

踏み絵のように緩和支持を言わされる日銀の植田新総裁と新副総裁たち
イールドカーブコントロールとは、長期金利の上限を決める政策である。植田氏が引き継いだ段階では、日銀の長期金利目標は0%で、プラスマイナス0.5%の変動幅を許容するという状態だった。

だが物価が上昇した後、長期金利はインフレ率に合わせて上に行こうとしていたため、実質的には下限に意味はなく、上限の0.5%だけが問題となっていた。

長期金利が上限の0.5%に当たる度に日銀は金利を抑えるために紙幣を印刷して国債を買い入れなければならない。それが円安とインフレを引き起こしていた。

7月の決定会合におけるYCC柔軟化

だから植田氏はまず7月の会合でプラスマイナス0.5%の変動幅を「目途」とし、それを超える変動を許容した上で、プラスマイナス1%を厳格に制限する水準として新たに設定した。

日銀植田総裁の曖昧なイールドカーブコントロール「運用柔軟化」を解説する
これはどういうことなのか一見分かりにくいのだが、植田氏自身も実質的には上限を1%に動かしたと思ってもらって良いと言っていたように、長期金利の上限が0.5%から1%に動いたと思えば良い。

ただ、これは債券投資家の心理を考えると普通に上限を1%に変更するよりも良い方法である。

国債にとって金利上昇は価格下落と同じ意味なので、金利が上がってゆくということは国債が売られているということである。上限の変更によって金利が上がってゆくとき、0.5%から1%までのレンジでは何もしないと宣言するよりは、1%に到達する前でも介入するかもしれないと思わせた方が、日本国債を売ろうとする投資家を牽制できる。

勿論、それは口先だけの効果に過ぎない。だが、実質的にはそれが1%への変更と同じだということをはっきり言ってしまった誠実さも含め、植田氏を評価して良いだろう。

今回の決定会合におけるYCC柔軟化

そして今回の会合である。7月の変更では0.5%を目途、1%を厳格にコントロールする水準としていたが、その後長期金利は1%に近づいていた。以下がチャートである。


1%に達すれば、日銀はまた紙幣を印刷して国債を買い支えなければならない。

それで日銀が1%の厳格コントロール水準をどうするのかが注目されていたが、今回の会合では0.5%だった「目途」を1%に上げ、厳格コントロール水準を撤廃した。

これは実質的にはどういうことだろう。目途は1%になったが、厳格コントロール水準がなくなり、元々意味を為しているのかよく分からなくなっていた「目途」がますます意味の分からないものになった。目途を超えても、日銀には介入する義務はないことになる。

結論

これをどう解釈するべきか。結論から言えば、これで良いのである。植田氏はまともなマクロ経済学者として、イールドカーブコントロールが円安と輸入物価インフレの原因となっていることを認識していた。更に言えば経済にとってもっとも効率的なインフレ率はゼロであるとして、2%のインフレ目標には実はマクロ経済学的な根拠がないという公然の秘密を暗に仄めかしていた。

ガンドラック氏: 2%インフレ目標は完全に恣意的な数字
だから目途が意味を為していないならば、それで良いのである。7月の決定会合と合わせ、この2回のイールドカーブコントロール柔軟化によってイールドカーブコントロールは実質的に有名無実のものとなった。

愚かな黒田氏の導入した円安の原因の第一層はこれでほとんど取り除かれたと言える。 金利が上がれば経済には重しになり、失業率も上がるだろうが、それは植田氏の責任ではない。黒田氏が円安を引き起こした時点で、日本経済はインフレか景気後退かを受け入れなければならないことが確定していた。

世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
20世紀の大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏は著書『貨幣論集』でこう言っていた。

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
将来の失業について責められる政治家は、インフレーションを誘導した人びとではなくそれを止めようとしている人びとである。

だから本来黒田氏の後継者として一番の総裁候補だった黒田氏時代の副総裁たちは就任を断って逃げ出したのである。植田氏が火中の栗を拾ったが、植田氏はこの誰もやりたがらない仕事をきっちりこなしている。誉められて良いだろう。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/41212
35:777 :

2023/11/10 (Fri) 08:24:53

ガンドラック氏: 米国の高金利が絶対に持続不可能である理由
2023年11月9日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/41440

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏がCNBCのインタビューでアメリカの金利について語っている。

金利上昇の原因

ここの読者はよく知っているように、米国債は大量発行による買い手不足で暴落し、金利は高騰していたが、雇用統計とFOMC会合のあと少し持ち直し、金利は多少低下した。

米国の10月雇用統計、来年の景気後退に向け経済急降下
11月FOMC会合結果: 金利は維持、パウエル議長の利下げ否定を市場は信じず
ガンドラック氏は次のように述べている。

金融市場はパウエル議長の慎重な姿勢を好感したのだろう。株も債券も上がった。金利はおよそ0.25%低下した。

だがFed(連邦準備制度)はもう何ヶ月も利上げを停止しているのに、そもそも何故金利は上がっていたのか。ガンドラック氏によればFedが高金利を長く維持すると宣言したことが原因だという。

彼は次のように言っている。

金利をより高く上げ、それをより長く維持するという考えには大きな弱点があり、それが債券市場にここ6週間から8週間ほど影響を与えたのだろう。

Fedはインフレを打倒するためにそう宣言したのだが、その大きな弱点とは何か。

雪だるま式に膨張するアメリカ政府の利払い

ガンドラック氏はこう続けている。

政府債務の利払い費用が数千億ドルも増加しており、政策金利が5.38%に維持される限りその増加は続く。

Fedが少しでも金利を上げるかどうかはドットプロット公表時点に比べて今や不明瞭になったが、もし上げれば、利払いは莫大になる。

金利が上がったということは、債務者にとっては利払いが増えるということである。そして多くの先進国において、最大の債務者は政府である。

だからインフレが起こって金利が上がり始めると、政府は莫大な債務に対する利払い増加という悪夢に迫られる。

それはどれだけの金額になるのか。ガンドラック氏は次のように説明している。

実際、発行されている国債の50%が今後3年で満期になる。だから金利がこの水準に維持されれば、利払いは2兆ドルに達する。それは現在の財政赤字の額と同じだ。

金利が上がったとしても発行済みの国債に関しては金利が変わることはない。だが発行済みの国債は順番に満期になる。そして満期になれば、政府は高騰した今の金利で借金を借り換えることになる。

だから仮にFedがこれ以上利上げをしなくても、高金利を維持しているだけで政府の利払いはどんどん膨らんでゆく。

アメリカの債務危機に気づき始めた債券市場

ガンドラック氏は、最近の金利上昇は債券市場がこの問題に気づき始めたためだと言いたいのである。事実、多くの著名投資家がこの問題について次々に語っていた。

チューダー・ジョーンズ氏: 米国債の大量発行で金利はまだまだ上がる
ガンドラック氏はこう続けている。

利払いの問題が急激に押し寄せてくるということに人々が気づき始めている。財政赤字が最近のようにGDPの6%から8%のレンジであり続ければ、5年後には利払い費用は税収の半分に達するだろう。

アメリカ政府が財政赤字をこのまま垂れ流し続ければ、国債の量は今以上に増えてゆく。だが、今でさえ米国債は買い手不足だというのに、これ以上発行して誰が買うのだろうか。金利は上がるしかない。だが金利が上がると利払いの問題が更に大きくなるので金利は上げられない。

この矛盾はもうどうしようもないのである。世界トップの経済大国アメリカの債務危機が近づいている。金利は上がるのか下がるのか。恐らくはスタンレー・ドラッケンミラー氏の複雑な金利予想が正しいのかもしれない。

ドラッケンミラー氏、米国の大幅な利下げを予想
ガンドラック氏は次のように纏めている。

市場が直面しなければならない事実は、現在の金利と財政赤字の水準をこれ以上維持することは不可能だということだ。

そしてこの問題は日本にとっても他人事ではない。金利が上がり始めているのだから、アメリカより大きい負債を抱えた日本経済の方が金利上昇に耐えられないのである。

日銀植田総裁、10月決定会合でイールドカーブコントロールを実質的に有名無実化
何の根拠もなく政府債務は問題ないと言ったのは誰だったか。 世の中に流布されている経済の常識は本当に真実の真逆のものばかりである。

ガンドラック氏: 2%インフレ目標は完全に恣意的な数字

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/41440
36:777 :

2023/11/11 (Sat) 06:20:50

ガンドラック氏: 米国は既に債務超過に陥りかけている
2023年11月10日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/41463#more-41463

引き続き、DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏のCNBCによるインタビューである。今回はアメリカの負債と資産を比較している箇所を紹介したい。

アメリカの負債と資産

アメリカの政府債務は元々高かったが、コロナ後の現金給付などの支出により更に増加した。政府債務を増やして得られたものが物価高騰なのだから、インフレ主義者のやることは分からない。よほどインフレが好きなのだろう。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
結果、現金給付によってアメリカ経済には莫大な政府債務とインフレが残った。だが、莫大な政府債務についてはよく言及されるが、資産の方はあまり注目されない。

資産がたくさんあれば、負債が多くとも問題ないはずである。アメリカ政府には負債しかないが、家計や企業は資産を持っている。アメリカは金持ちが多いから、きっと資産も多いことだろう。

実際にアメリカの負債と資産を比べてみるとどうなるのか? ガンドラック氏は次のように言っている。

usdebtclock.orgによれば、アメリカには211兆ドルの負債があり、それと同時に219兆ドルの企業資産と家計資産、個人事業者などの資産がある。

つまり、アメリカの負債はアメリカのすべての資産とほとんど等しいということになる。

債務は増加しており、ほとんど資産の額を上回りかけている。ほとんど債務超過である。最近債務超過になった企業はと言えば、恒大集団が挙げられるだろうか。

恒大集団の倒産危機と中国不動産バブル崩壊懸念まとめ
ガンドラック氏はこう続けている。

もし負債が資産より大きくなれば、いわばヘッジファンドが追証を要求されるような状況だ。つまり、すべての資産を時価で売り払っても負債すべてをほとんど返しきれない。

投資家は資産を上回るような赤字を出した時に追加で資金を要求される。冗談のようだが、これが世界トップの経済大国アメリカが陥りかけている状況である。あるいは恒大集団に近づいているとも言える。どちらにしても不名誉極まりない。

だがそれは事実である。アメリカはもうすぐ資産をすべて売り払っても負債を返しきれなくなる。そしてこれからも負債が増えるのであれば、その状況は悪化するばかりである。

更に言えば、負債は政府のもの、資産は民間のものなので、資産を売り払って借金を返すというのは、政府が民間の資産をすべて徴収して自分の借金返済に当てるということである。そしてそれでも負債の全額は返せない状況まであと一歩である。

債務超過の問題に陥るアメリカ

アメリカは債務超過の瀬戸際にある。そうなれば、アメリカは物理的にもはや借金を返すことができない。つまり、アメリカ政府には倒産リスクがある。最近の金利高騰を単に国債の需給の問題と言ってもいられなくなったのではないか。

チューダー・ジョーンズ氏: 米国債の大量発行で金利はまだまだ上がる
この問題は金利上昇による利払い増加によって悪化を続けている。それが前回の記事のテーマである。

ガンドラック氏: 米国の高金利が絶対に持続不可能である理由
だからガンドラック氏はこう言う。

金利が下がらなければならない。あるいは財政赤字が下がらなければならない。だがFedが「金利をより長くより高く」と言っている間は、そのどちらも起こらない。しかもそれに加えてアメリカの出費を呼ぶ戦争が起こっている。

結局、債務超過に陥った国家が借金の問題を解決する方法は、紙幣印刷しかない。だが紙幣印刷は通貨の価値を暴落させる。だが紙幣印刷で国債を買い支えないと国債が暴落する。レイ・ダリオ氏が日本に関して的中させた予想が今度はアメリカを襲っている。

世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
あるいは、ガンドラック氏は以前、政府債務を何とかするための最後の手段について語っていた。

ガンドラック氏、現金給付の次の緩和政策を語る
日本では、日本には資産があるので政府債務は問題ないと誰かが言っていた。だがアメリカと同じく政府にはそれだけの資産がないので、それは国民の資産を徴収して政府の借金を返すから問題ないという意味である。そしてそれはもう行われているではないか。

経済に関して他人の意見を鵜呑みにする人は本当に酷い目に遭う。 自分の頭で考えることである。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/41463#more-41463
37:777 :

2023/12/05 (Tue) 13:53:34

レイ・ダリオ氏: 国債の暴落トレンドが始まりつつある
2023年12月4日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/42178

世界最大のヘッジファンド Bridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がFortune Magazineのインタビューで国債と金利の見通しについて語っている。

リーマンショック後の金融緩和

ダリオ氏はコロナ前までの金融政策を振り返っている。アメリカではリーマンショック時にゼロ金利と量的緩和が始まった。ダリオ氏は次のように述べている。

金融市場はこれまで金利がゼロになるような、資金の溢れている馬鹿げた状況になっていた。

この流れのなかでGDP比の負債は増加した。

政府が中央銀行に命じて金利をゼロにしたかったのは、国の借金を増やして支出を増やしたかったからだ。

政治家の商売は税金を集めてそれを票田に流し込むことで成り立っている。他人が正当に稼いだ金を無許可で徴収して自分の裁量で選んだ誰かにばら撒くことの本質はそこにしかない。

ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
だから政治家は国の借金を増やすことを好んだ。国の借金は政治家が返すわけではないからである。そしてそのためにはゼロ金利が必要だった。国債に大きな金利が付いてしまえば、政府はばら撒くのではなく借金返済にお金を使わなければならなくなるからである。

国債の需要と供給

だがその低金利を実現するために中央銀行が買い支えをしなければならなかったということは、その低金利では普通の投資家は国債を買いたがらなかったということである。ダリオ氏はこう述べている。

債券の需要と供給がマッチしなかったので、中央銀行が債券を買い支えた。債券に十分な買い手がいなかったということだ。だから中央銀行が来て買い支えた。そしてそれは自由な市場を捻じ曲げながら金利を低位に抑え続けた。

それでも米国債を買ったのは、国債を買わなければならなかった中央銀行や銀行と、ダリオ氏はあと1つ買い手のカテゴリーを挙げている。

だから今、中央銀行は大量の米国債を抱えている。市中の銀行も大量の米国債を抱えている。日本人も大量の米国債を抱えている。

そして今やどうなったか? コロナ後の現金給付によってインフレが起こり、インフレ抑制のために金利を上げなければならなくなり、更には量的緩和で国債を買い入れていた中央銀行が量的引き締めによって保有量をむしろ減らすようになった。

元々中央銀行の他にはほとんど買い手が見つからなかった国債市場で、アメリカ政府はむしろ国債発行を増やしているにもかかわらず、一番大きな買い手だった中央銀行が保有量を減らしている。

それが国債市場の状況である。それで国債価格が下落し、金利が上がっている。

チューダー・ジョーンズ氏: 米国債の大量発行で金利はまだまだ上がる
そしていまだ残っている買い手、つまり銀行と日本人はどうなっているか? ダリオ氏はこう言っている。

そして彼らは米国債の値下がりで損失を出している。

日本人とドル

だが米国債を保有している日本人にとっては、これまでドル高が国債下落の損失を補填してくれていたかもしれない。だが来年予想されている景気後退が来ればドルは下がることになる。

ガンドラック氏: アメリカの景気後退でドルは暴落する
このタイミングで筆者の周りの日本人でドル預金の話をする人が増えてきている。彼らはいつもナイスタイミングである。彼らがNISAの話をし始めた時がまさに米国株の天井だったように。

ジム・ロジャーズ氏: 他人の意見で投資をするとほぼ間違いなく失敗する
それでも米国債は米国株よりはマシな投資なのだろうが。

2024年の米国株予想: 株価は最大で50%下落する
国債下落のスパイラル

さて、国債に話を戻そう。デフレと低金利の時代が、インフレと高金利の時代に置き換わった。低金利の時代に増やし続けた莫大な政府債務に大きな金利が付き、アメリカ政府も日本政府もそれを支払わなければならなくなっている。

高い金利が大きな利払いを呼び、政府の利払いは国債発行で賄われるだろうから、金利が高くなるほど国債発行が増えてゆく。そして更に金利が高くなる。

ダリオ氏によれば、そのサイクルに入った時の典型的な兆候が最近の世界経済で見られるという。ダリオ氏は次のように述べている。

典型的なサインは、中央銀行が大きな損失を計上することだ。

最近、日本でも日銀の損失が報じられた。ドイツやイギリスでは中央銀行の損失をどう補填するかが問題となっている。

ドイツの中央銀行、資金不足で政府の口座への利払い停止を決定
人々は紙幣を刷ることのできる中央銀行は破綻しないと思っているが、歴史的に見ればそうではないことをダリオ氏は以下の記事で説明していた。

世界最大のヘッジファンド: 中央銀行でもインフレで破綻する可能性
結論

国債の利払い増加と高金利の負のスパイラルは一度突入すると止まらなくなり、どんどん加速してゆく。

ダリオ氏はこう述べている。

今、経済はそういう加速に非常に近い状況にある。そうなれば状況は悪化してゆく。

アメリカでは実際に金利上昇によって政府債務の問題が大きく議論されるようになっている。

だが日本も似た立場にある。むしろ政府債務は日本の方が大きいので、日本の方が大きな問題なのである。

日本国債の空売りを開始、植田新総裁で長期金利上昇を予想 (2023/3/2)
ドラッケンミラー氏、日本のインフレで日本国債を空売り (2023/5/2)

筆者やスタンレー・ドラッケンミラー氏など、日本国債の下落トレンドに賭けている投資家のポジションは今のところ成功している。これからどうなるだろうか。楽しみに待ちたい。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/42178
38:777 :

2023/12/13 (Wed) 21:40:18

新アルゼンチン大統領のミレイ氏、経費削減のため閣僚の半分を削減する
2023年12月11日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/42388

インフレ率が140%を超えるアルゼンチンで大統領選挙に勝利したハビエル・ミレイ氏が12月10日にアルゼンチンの新大統領に就任した。

インフレ危機のアルゼンチン

アルゼンチンではコロナ禍における放漫財政の結果、インフレ率が140%を超える事態となっている。


当然ながら通貨も暴落しているのだが、緩和政策の生み出したこの無茶苦茶な状況を収拾すべく当選したのがオーストリア学派の経済学者ミレイ氏である。

オーストリア学派はここでもよく取り上げている20世紀最大の経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏の流れをくむ学派であり、ハイエク氏はもう何十年も前から人々の緩和政策への依存がいずれはインフレをもたらし、国家はインフレを抑制するために引き締め政策で経済を破壊しなければならなくなると予想していた。

ハイエク氏は著書『貨幣発行自由化論』において、政治家が国民から徴税し自分の裁量で特定の人々や団体に財政出動する政策を次のように批判している。

ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
特定の人々に自分で得たわけでも他人が放棄したわけでもないものを得る権利を与えることは、本当に窃盗と同じような犯罪である。

そしてその結果大多数の国民にもたらされるものはインフレである。

政治家の放漫財政

これは当たり前のことなのだが、政治家は税金を自分と自分の票田に費やすこと以外に興味はない。特にそれでも選挙に落ちない状況においては、それ以外のことをしても自分にメリットがないからである。

ミレイ氏はハイエク氏の流れをくむオーストリア学派の立場から、こうした政治家の無駄遣いを批判してきた。そして大統領に就任したミレイ氏はまず何を行なったか。閣僚の数を18人から9人に半減させた。

政治家が「政治家は不要だ」として政治家の数を減らしている姿はなかなか痛快である。自民党の政治家には逆立ちしても出来ない芸当だろう。

だがミレイ氏にはより本質的な問題が待ち構えている。 ハイエク氏が論じていたように、ばら撒きが可能になるそもそもの原因は中央銀行が自由に金利を操作できることで、国債に対する政府の利払いを恣意的に抑えられることにある。

ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ
ミレイ氏は自国通貨と中央銀行の廃止を公約に当選した。アルゼンチン人はインフレ率が140%に至る事態に陥ってようやく緩和政策への依存から離脱したのである。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
人間は本当に苦しまなければ現実を理解しない。しかしそのアルゼンチンにおいてもミレイ氏は困難に直面するだろう。何故ならば、彼は政治家から紙幣が無限に出てくる魔法の杖を取り上げる中央銀行の廃止という政策を、政治家の集まりである議会において通さなければならないからである。

ミレイ氏はまず政治家から仕事を取り上げた。だが彼は何処まで目的を果たせるだろうか。

そしてそれよりも疑問なのは、何処まで日本円の価値が劣化しインフレが悪化すれば日本人が同じことに気付くかである。日本経済は国民が状況を理解するまで永遠に沈んでゆく。楽しみに待っていたい。

レイ・ダリオ氏: 金利を上げた米国でも低金利を続ける日本でも債務危機は生じる
日本国債の空売りを開始、植田新総裁で長期金利上昇を予想


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/42388
39:777 :

2024/02/20 (Tue) 20:58:45

超円安の理由は日本政府が円安を歓迎しているから
2024.02.19
https://www.thutmosev.com/archives/75481156mmm.html

経常黒字と円高は今すぐにではなく、長期的な円高要因になる

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引用:会社四季報オンラインhttps://toyokeizai.net/mwimgs/5/6/1040/img_560b660ff3aa48e667693d940135215c346274.jpg
通貨の価値が上がるのは良くない

為替相場は再び1ドル150円の超円安になっていて、財務省や円安を防止する「ふり」をしているもののどう見ても意図的に円安を仕組んでいる

というのも円安は今の日本に好都合だからで、円安によって株価は史上最高値を伺うところに来たし円安によってインフレ率が上がり企業収益も過去最高になった

これらは円高の時には日本という商品の値段が高すぎたので商品価値に見合っておらず、外資の日本売りにつながり企業収益も株価も低迷していた

円高とは「日本という商品が値上げする事」なので外国人は高くなった日本を買わず、もちろん現実の日本製商品も割高なので買いませんでした

円安とは逆に「日本という商品の値下げ」なので外国人は「これはお買い得だ」と言ってどんどん買っていき、株価は上がるし企業収益も爆上げになった

これと同じ事が終戦直後にも起きていて1941年開戦時のドル円レートは1ドル4円、1945年終戦直後のドル円実効レートは1ドル15円前後だったとされている

戦時中日米には国交も貿易も無かったが両国とも自国通貨を金と交換することができ、実際には中立国スイスで金を介してドルと円の交換レートも存在していた

戦争に負けて円の価値は1/4程度になったが日本の産業は壊滅したのでこれでも円の価値が高すぎ、日本側の要請によって1949年(昭和24年)から1ドル360円の固定相場になった

これは日本の産業を再生するために円安が必要だったからで、日本の値段をほとんど1/10に値下げした事で日本製品は競争力を持ち高度成長へとつながっていきました

戦後もし1ドル360円にせず1ドル4円や1ドル15円のままだったら、日本は長く不況のままで再生できず史実のような先進国にはなれなかった可能性が高い

為替レートとはこのように流動的なものなのでアホの評論家が言うように「円高は日本の価値が高まった」「円安で日本が落ちぶれた」のような簡単な事では無い

日本は1990年バブル崩壊後1ドル70円台の超円高を2度経験したが、これは「日本が偉くなった」訳ではなく、超円高は日本の産業に打撃を与え衰退を加速した

円高は起きるべくして起きる
円高に成るか円安になるか、政府はそれをを防止するべきかがいつも議論されますが、円安や円高になるのは予め決まっています

為替相場には「国際収支黒字(経常黒字)の通貨は値上がりする」「金利の低い通貨ほど値上がりする」という法則があります

経常黒字は簡単にいうと「貿易などで儲けた」ことなので、日本企業がアメリカで500万円の車を1台売ったら、何割かがドルから円に交換されて円高になる筈です

中国人が日本旅行で10万円使ったら10万円分円高になり、アメリカのダイソーで150円の商品が売れたら、150円分円高になります。(実際は経常黒字分だけが交換される)

実際にはアメリカで得た利益は当分の間アメリカで再投資され、中国で稼いだ分は中国で再投資されるのですぐに円高にはならない

だがいつかは必ず日本が経常黒字で儲けた金額分だけ、ドルから円に交換され円高になる日が来るので、それが1995年や2011年の超円高でした

日本の国際収支は毎年平均10兆円から20兆円ほど稼いでいるが毎年10兆円以上が円に換金されるのではなく、突発的な事態が起きるまでは換金されない

巨大地震やリーマンショックのような世界恐慌になると日本本社は資金を外国に引き上げるので一気に円高に成り、これにヘッジファンドが加勢し超円高になる

日本本社の業績悪化やパニック的な動きで一斉にドルから円に交換されるので、10年周期くらいに超円高が発生しています

一見突発的に見えるが真の原因は日本の経常黒字そのものなので、介入や政府の政策は円高を先送りにするだけで、円高そのものを防ぐことはできません

では最近なぜ超円安の 1ドル150円になっているのかですが、これもアホ評論家が言うような「日本が弱くなった」のとは関係なく政府が意図的に円安にしています

アメリカの高金利と日本の低金利、金融緩和、インフレ率の差など色々な理由はあるものの結局は日本政府が円安を歓迎していてわざと円安になるように仕向けているという事です
https://www.thutmosev.com/archives/75481156mmm.html
40:777 :

2024/04/27 (Sat) 02:14:59

円安進行 で日銀方針転換!量的緩和終了!?【一般ライブ】4/26 (金) 17:00~17:30【渡邉哲也show】渡邉哲也×西村幸祐×小野寺まさる
https://www.youtube.com/watch?v=YmI8pwhIu0o

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