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「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由

1:777 :

2022/09/06 (Tue) 18:01:29

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
2022年8月30日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/27644

世界的なインフレが実体経済と株式市場を襲っている。インフレについてはここでは2020年から警告し続けていたことであり、株安についても年始から予想していたことである。

しかしはっきり言うが、まだ何も始まってさえいない。ここからが物価高騰という地獄の本番である。

長期投資

そもそもインフレの何が恐ろしいのかということを復習しておきたい。前回の記事では現在のいわゆるつみたてNISAによる株式投資ブームが最悪のタイミングで始まったことを説明した。

株式投資ブームに乗った時点で個人投資家の損失はほぼ確定している
だが金融庁にそそのかされた素人たちはこう言うかもしれない。仮にこれから株価が暴落しても、積み立て続けていれば長期的にはプラスになるのではないか? 特に米国株はこれまで40年、長期的には上がり続けたではないか。

先ず第一に、このつみたてNISA詐欺がよく出来ているのは、自分の保有する資産の価値がどれだけ下落しても、「でもまだ40年経っていないから」という理由で常に正当化できるということである。

期限を定めない投資は定義上絶対に失敗することがない。いくら失敗していてもそれは永遠に確定しない。

だがそれで誰かが幸せになることもない。いや、彼らは金融庁から投資信託という不必要に手数料の高いものを押し付けられているのだから、銀行や証券会社はあなたがたの手数料で幸せになるのだが。

米国株の長期上昇相場

しかしそれよりも考えなければならないのは、何故米国株は40年上がり続けてきたのかということである。一方で日本株は1989年のバブルの高値をいまだ超えられていないので、30年以上利益が出ていないことになる。


よって株式投資が長期的には常に利益を出すという幻想は単純に事実に反する。日本株でなくとも長期的に下がり続ける株式はいくらでも存在する。前回の記事でも言ったが、結局は投資はいくらで買うかということであり、買うタイミングを間違えれば損をして当然である。

株式投資ブームに乗った時点で個人投資家の損失はほぼ確定している
一方で、米国株はここ40年長期的には上がり続けている。それが彼らの頼る根拠である。しかし致命的な問題がある。それは、彼らのほぼ全員が何故米国株が40年上がり続けてきたのかについてまったく知らないということである。

米国株が40年上がり続けた理由

統計的相関関係と因果関係を区別できない人は多いが、論理的に考えてもらいたい。「米国株は40年上がり続けたからこれからも上がる」と主張するためには、40年上がり続けた理由をまず発見し、それが今後も存在し続けることを証明しなければならない。

当たり前だろう。これが出来ていない時点でその人の投資は破綻しているのだが、誰もそれに気づいていない。

では米国株が40年上がり続けた理由は何か。そもそも何故筆者は10年や20年ではなく40年と言い続けているのか気になっている人も多いだろう。それは40年前に何かがあったからに他ならない。

それは厳密には1981年のことであり、1981年はアメリカで金融緩和が長期的に開始された年である。

金融緩和というのは、要するに金利を下げるということである。そこでアメリカの長期金利のチャートを見てみると、1981年を頂点にそこから40年下がり続けている。


何故ここが頂点になっているかというと、ここの読者には周知の事実だが、1970年代にアメリカでは物価高騰が起こり、金融引き締めを行なっていた。つまりは金利を上げ続けていたということである。

そしてインフレが1980年頃に収まったため、ようやく金利を下げることができるようになった。その後、アメリカの金利は上記のように下がり続けてきた。

金利低下と株価上昇

そしてそれが株価を40年間支え続けてきたのである。リーマンショックのような事態になっても長期的な株安にならなかったのは、即座に金融緩和を行なって株式市場をバブルにすることが出来たからである。それが長期的な経済停滞の原因になっているのだが、それはまた別の話である。

ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶
そしてようやくコロナ後のインフレの話になる。薬物と同じで金融緩和は何度も続けると効きが悪くなってくるので、回数を増すごとに過激にならざるを得ない。そしてコロナ後の現金給付は明らかにやり過ぎたのである。ついに物価高騰が起きてしまった。

サマーズ氏: インフレは政府のコロナ対策が引き起こした
40年起こっていなかったインフレ相場の到来である。このような大きな相場の転換点にいるということを、投資家は意識しなければならない。そしてある程度知識のある投資家であれば、インフレが株価にとって非常に悪いということを知っている。

何故か。金融緩和ができなくなるからである。これまではデフレだったからいくらでも緩和をして株価を上げることが出来ていたものが、今や緩和を続けるとインフレが悪化してしまう。日本ではまだましだが、アメリカやヨーロッパでは物不足は悲惨な状況になっている。これは断じてロシアのせいではない。

スペイン、脱炭素による電力不足で冷房を27度未満にすることを禁止
EU、食料価格高騰の最中、代替食品としてトノサマバッタを推奨
40年続いた金融緩和を失った株式市場

これである程度の頭のある人なら誰でも分かるはずである。株式市場が長期的に上がるというのはまったく事実ではない。これを正確に言い直せば、「株式市場は金融緩和を続けられる限り長期的に上がり続ける」である。

事実、日本株のバブルが1989年に崩壊し、その後低迷したのは金利がゼロになってそれ以上下げられなくなったからであり、その後株価が上昇を再開したのはアベノミクスで量的緩和という新たな緩和手段を開始した後である。

このように米国株でも日本株でも、「金融緩和があれば株価は長期的に上がる」という命題は普遍的に正しいように観測できる。そしてこれからの相場に金融緩和があるかどうかと言えば、ない。物価高騰が天井知らずになってしまうので金融緩和は出来ない。むしろ金利は高い水準で長期間維持されるだろう。

そういう状況下で株式市場はどうなるか。米国株は40年上昇相場を続けてきたのだから、その40年間より前の期間は長期の下げ相場だったということである。以下の記事で解説したが、米国株が数十年もの間下げ相場だった期間は普通に存在する。

ドラッケンミラー氏: 米国株は30年上がらない可能性
そしてこれから始まるのは、40年の緩和バブルの後に始まるのは、そういう期間なのである。

結論

ということで、「株式投資はインデックスに長期投資していればほぼ利益が出る」という最近囁かれ始めた奇妙な幻想は完全に間違っている。

上記のように事実と因果関係をきっちり調べれば誰でも分かることなのだが、それを考えようとする人は誰もいない。要するに皆、何の努力せずにお金が儲かっていてほしいだけなのである。そういう人がつみたてNISAに吸い込まれる。そして当然の結果を持ち帰る。

株式市場は欲しいものが手に入る夢のような場所である。相場は確かに、何も考えずにインデックスに投資をするだけで儲かるかもしれないという幻想を彼らに与えてくれるだろう。

一方で株式市場は現実というおまけも彼らに与えるだろう。彼らは株価崩壊による多額の損失という対価を、その幻想のために支払うことになる。何事も手に入れるには対価が要るのであり、そして幻想は意外と高価であることを彼らは悟るだろう。

世界最大のヘッジファンド: 40年続いた米国株強気相場が崩壊する
米国株の今後の見通し: 企業利益激減で株価は再び暴落へ、空売り再開


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/27644
2:777 :

2022/09/06 (Tue) 18:04:37

株式投資ブームに乗った時点で個人投資家の損失はほぼ確定している
2022年8月29日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/27593

金融業界で働く人々には驚きではないだろうが、筆者はいまだに「投資を始めたいのですけど」という相談を受けることがある。筆者が「いまだに」という理由は、ここの読者には分かってもらえるだろう。

乱高下する2022年の株式市場

今年の株式市場は、年始から大きく下げ、7月以降それからある程度反発し、ここ10日ほどはやや下落している。


読者には周知の事実だが、今年は筆者にとって良い年である。年始の記事では下落を予想し、株価が下落すれば利益が出る株の空売り開始を宣言した。

2022年のスタグフレーションに投資する方法 (2022/1/20)
その後6月末から7月初めにかけて空売りを一旦手仕舞いし、10日ほど前から再び空売りを開始している。

米国株の今後の見通し: 企業利益激減で株価は再び暴落へ、空売り再開 (2022/8/17)
一方で多くの個人投資家の動きはどうだろうか。株価が大きく下げていた6月末までは絶望していた人々も、その後の反発でもう嵐は去ったかのような顔をしている。だが多くの個人投資家は年始から株価が下がった理由もよく分かっていなければ、その後反発した理由もよく分かっていないだろう。

バブルとは何か

そもそもこうした個人投資家の多くが何故株式市場に足を踏み入れてきたのかと言えば、金融庁が銀行業界の利益のために推進したつみたてNISAが原因である。そもそもこれが国民のためではなく銀行や証券会社のために設計された制度であることは金融業界の人間であれば誰でも知っているのだが、こうした個人投資家たちは何も知らずにその流れに乗っている。

こうした投資ブームはコロナ後に株価が上がったことが明らかな一因である。そこにメディアやYoutuberなどによる喧伝が加わったことで、これまで投資に触れたこともなかったような人々が株式市場に参入してきた。

だが上昇相場というものはもっと早くから形成されるものである。上昇相場は誰も気付いていない時に密かに始まり、そこから徐々に人が集まり始め、最後は熱狂とともにバブル崩壊で終わる。

バブルの形成と崩壊

バブルは崩壊する運命にあり、優秀な金融家であればその運命を最初から予測することもできる。

バブルが生まれつつあると彼らが認識したとき、彼らはどうするだろうか? それはバブルなので株を売るのだろうか?

恐らく世界でもっとも著名なファンドマネージャーであるジョージ・ソロス氏は、2009年に中央ヨーロッパ大学における講演で次のように述べている。

バブルが形成され始めているのを見ると、わたしはまず買いに走る。

それがバブルであり、後で崩壊すると知っていたとしても、それが一定期間続くのであれば、ファンドマネージャーはまず買いに走るだろう。

だがそれはバブルの最初期である。コロナ後に暴落したハイテク株を買い漁ったスタンレー・ドラッケンミラー氏のように、バブルの最初期に買い始められる人間は多くない。

投資を生業にしている人々の中でも慧眼を持った人々がまず最初に買いに入ることができる。そこから少しずつ株価は上がってゆき、次に平均的な市場参加者が上昇トレンドに注目し始める。

このようにして普段から投資を行なっている人々の大半が株を買い持ちにするようになる。多くの人が株を買えば株価は上がるので、その時点で株価はかなり上がっているはずである。

そこで株式市場の上昇がニュースなどで盛んに喧伝されるようになる。ここでようやく、投資に触ったことさえない人々が株式市場というものについて聞き始める。

新参投資家の参入

恐らくは、金融庁の人々も株式市場の上昇を見て「これはいける」と思い始めたのだろう。その動きは完全に素人の後追いだが、はっきり言って金融庁の人々は投資の素人である。

そうして金融庁はさかんにつみたてNISAを喧伝し始める。投資対象として奨められているのは手数料の安いETFよりも、投資家にはほとんどメリットが存在しないが銀行や証券会社には手数料が高いという大きなメリットのある投資信託なのだが、新しく参入してくる素人投資家がそこに疑念を持つことはない。

こうして株式市場の上昇相場にあらゆる人々が順番に参入してくる様子を描写してみたわけだが、問題が1つある。新参の個人投資家が株を買った後、誰が株を買って株価を上げてくれるのかということである。

株式投資が儲かるのは、基本的には自分が買ったものを他の人が後追いで買ってくれるからである。株は誰か買う人がいるから上がる。

元々投資をしている人のうち、まず最初にバブルに気付いた人が買う。そうして株価が上がってくると、元々市場にいる人々の大半が買うようになる。

彼らにとっても後追いの買い手が必要である。そこで参入してきたのが、これまで投資に手を出したことのない新たな個人投資家たちである。

ここで問題がある。元々投資に参加していた人々と、新しく投資を始めた人々が既に株式を買ってしまったのであれば、新規参入した素人投資家のために後追いで買ってくれる人とは誰なのだろうか?

結論

答えは明確である。誰もいない。そして株式市場のバブルは新たな買い手がいなくなった時点で終了する。誰も買わなければ、あとは株価は下落するのみである。

ポズサー氏: 米国株暴落でコロナ株安時の底値に逆戻りする可能性
だから株式投資ブームというものをそもそももう一度考えてみてもらいたい。ブームというのは、普段投資をしないような人々まで投資に手を出しているからブームなのである。ある程度の頭のある人なら分かるだろうが、それは定義上バブルの天井に他ならない。

以上の理屈により、筆者に「最近投資が流行っているらしいので自分もやってみようと思うのですが」と言ってくる人に対して筆者が言うことは決まっている。流行に乗って投資をしようとした時点であなたの損失はほぼ確定している。

一方で専門家の動きはどうなっているだろうか。コロナ後のハイテク株のバブルの初期を捉えたドラッケンミラー氏を含め、著名ファンドマネージャーらが今年どうしているかと言えば、株価の下落を予想して大儲けしている。悪いのは彼らではなく、素人をそそのかした金融庁である。

ドラッケンミラー氏、株式と債券を大量空売りに成功 株安は続く
世界最大のヘッジファンド、インフレ暴落相場で半年で32%の爆益

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/27593
3:777 :

2022/09/06 (Tue) 18:05:56

「株式の長期投資はほぼ儲かる」という幻想は金融庁の「基礎から学べる金融ガイド」から来た
2022年9月1日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/27807

さて、ここでは普段は比較的難しめの内容を扱っているが、ここのところ立て続けに投資初心者に向けた記事を書いた。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
インフレで株価が暴落する理由とタイミングを予想する方法
後者の方はいつもの読者向けでもあるだろうか。

これらの記事は普段ここの記事を読まない層にも広く読まれたようである。長い記事をいくつも書いたわけだが、しかしその内容を要約するとたった1文に収まる。「投資は必ずしも儲かるわけではない」ということである。それは長期投資でもまったく例外ではない。

それだけのことなのだが、それだけの事実を書いただけで多くの人が大騒ぎをしなければならないような状況が、現在の相場である。

いつもの読者にはそれを伝えておきたい。今の相場には大量の素人が流入しており、年始からの株価下落程度ではまだ全然振り落とされていない。そして彼らが振り落とされる暴落相場がこれから始まる。

2022年インフレ株価暴落は個人投資家が全員退場するまで続く
バブル崩壊時において「どれだけの素人がまだ残っているか」という情報は、バブル崩壊の度合いについて教えてくれる重要な指標である。

幻想が吹き込まれた理由

もう一度これまでの記事の結論について纏めておこう。株式投資は、長期でいつでも利益が出るのではなく、金融緩和を行える期間に限れば長期的に利益が出る。一方で、物価高騰などの理由で金融引き締めを行わなければならない期間においては、何十年も酷いパフォーマンスしか出ない結果になる。

だから1981年にアメリカで金利低下が始まってから40年は米国株は上がり続けた一方で、米国株の歴史には1966年から1981年の物価高騰期や、1929年から1954年のような世界恐慌に始まる株価停滞の時代も存在する。以下の記事に纏めてある。

ドラッケンミラー氏: 米国株は30年上がらない可能性
そしてコロナ後のインフレから始まるのは、株価が上がらない方の数十年である。

だが「株式投資は得をすることもあれば損をすることもある」という当たり前の事実を言われただけで何故多くの人が大騒ぎになるのか。この「異常事態」(これが異常だと分からないからバブルなのである)は何処から来たのか。中国では、少し前まで「不動産は長期的には永遠に上がり続ける」と言われていた。

中国経済がロックダウンと不動産バブル崩壊で空中分解、鉄鉱石と銅は急落
他人の幻想が崩壊するところを見て少し頭を冷やしてもらいたいものである。

幻想は何処から来たのか

冷静に考えればまったく正しくない幻想を彼らが信じるようになった理由は、彼らにそれをそそのかした人々が意図的にそれを教えなかったからである。

つみたてNISAなどを広めたのは金融庁と銀行・証券会社であり、その思想は金融庁の「基礎から学べる金融ガイド」(2021)に要約されている。

このガイドは高校生などを含む投資初心者に投資とは何かを教えるためのものなのだが、このガイドによると、金融庁にとって株式投資とは次のようなものである。


この画像は前にも掲載したが、「株価とはこういうものですよ」ということを説明するための箇所に、何の根拠もない右肩上がりの株価チャートが掲載されている。

「これだけのこと」と思うかもしれないが、株式について何も知らない人がこのチャートを見て株価とはどういうものだと思うかを真剣に考えてほしい。何の根拠もない長期右肩上がりチャートを載せないという誠実な選択肢もあったはずである。しかもこのガイドでは長期投資が高らかに推奨されているのである。

「長期投資はほぼ儲かる」幻想は明らかに金融庁から来ており、それは意図的に素人に埋め込まれた。以下のチャートは同じく金融庁のガイドから、国内投資と世界分散投資を比較したものである。


だがここまでの記事を読んだ読者であれば、何故こういう結果になったか理解できるだろう。

原則は「金融緩和が可能である限り株式は(債券もだが)長期的に上がり続ける」である。

まず米国株は1981年から2021年まで40年の金利低下トレンドにあった。他の国の株式も米国株にある程度連動する。

一方で国内の投資結果が2013年まで芳しくないのは、アベノミクス開始まで金融緩和が行われていなかったからである。

つまり、このチャートにおける投資パフォーマンスは金融緩和の有無に依存したものであって、長期投資の成果を表すものではまったくない。その証拠に、1966年や1929年から始まる長期停滞相場において何十年も株式市場が酷いパフォーマンスだったということは、以下の記事で説明した。

ドラッケンミラー氏: 米国株は30年上がらない可能性
そして2022年以降の相場がどうなるかと言えば、金融緩和のない期間なのである。

世界最大のヘッジファンド: 40年続いた米国株強気相場が崩壊する
分散投資は善か

もう1つおまけに金融庁のガイドが間違っている部分を指摘しておこう。分散投資を推奨した部分である。


ここには「いろいろなカゴに分けておけば、一度に全部の卵を失うことはありません」と書かれているが、これも完全に間違っている。

そもそも世界中ほとんどの株式はある程度米国株に連動している。米国株が下がれば他の国の株も下がる。

更に、投資の素人によく奨められるのが株式と債券の同時保有だが、これもまったく分散にはならない。金融緩和は株式と債券の両方を押し上げ、金融引き締めは両方にとってマイナスになるからである。

インフレと金融引き締めの時代には、株式も債券も同時に下がるということが実際に起こっている。こうした連動性は金融の実務家には初歩的な常識である。また、スタンレー・ドラッケンミラー氏が分散投資の危険性について以下の記事で語っているので、そちらも参考にしてもらいたい。

ドラッケンミラー氏、個人投資家の投資スタイルを酷評
幻想が生まれた理由

何故金融庁は初歩的な常識を知らないのか? 何故金融庁は、アメリカが金融緩和を続けられた期間だけを持ち出して、アメリカでの40年来の緩和バブルが終了する完璧なタイミングで日本の素人に海外投資を勧めたのか?

世界最大のヘッジファンド: 40年続いた米国株強気相場が崩壊する
1つには銀行と証券会社の利益のためである。つみたてNISAでは何故投資信託が推奨されているのか? ETFはプロでも買うが、投資信託を買うプロはいない。内容が同じなのに手数料が高いからである。

何故ならば、そもそもつみたてNISA自体が、投資について何も知らない(そして賢明にもそれゆえに投資に手を出していなかった)素人を銀行や証券会社の手数料ビジネスの養分にし、なおかつ株価の底上げに使って政権の支持率を上げるという、彼らにとっては一石二鳥の目的によって作られたからである。

そうでなければ、投資信託(そもそもETFがあればこの資産クラスは必要ではない)をゴリ推ししたり、NISA口座で損失が出た場合に税金分がそのまま損になるなどの致命的な欠陥をそのままにしたりはしないはずである。

どう考えてもこの制度は国民のために作られてはいないのだが、多くの人々はそこに気づかない。何も考えない人々だけがインデックス投資にハマるからである。

だがこの制度は意外と悪意だけではないかもしれない。例えば、何故金融庁は1966年や1929年以降の事例を挙げて、長期投資のリスクをきっちり人々に示さなかったのか?

それは単純に金融庁の人々が1970年代のインフレ相場に株価がどうなったかなど知らないからである。何度も言っているが、金融庁は投資の素人である。

彼らの多くが新卒から金融庁に入っているので、金融庁の人々のほとんどは資産運用を仕事として行なったことが一切ないはずだ。彼らは資産運用について何も知らないし、当然ながら過去の株式市場の研究などしたことがない。つまり、素人にリスクを警告するかしないか以前にその能力がないのである。

結論

良かったではないか。世の中悪意ばかりではない。誰かが問題を起こしたとき、その原因が悪意か無能力のどちらが原因かと言えば、結構無能力の方であることが多いものである。

許してあげようではないか。幸いにも、こういうスキームに引っかかったのは自分で考えることを放棄した人だけで、自分の頭で考えることの出来る人は引っかかっていないはずだ。そして恐らく、金融庁の人々自身も引っかかっているはずである。彼らもまた何も考えない人々の一部である。

皮肉にも、金融庁のホームページには以下のように書かれている。

悪質な投資・預金の勧誘等にご注意ください!

一方で、本当の投資のプロは金融庁とはまったく違ったことを言っているということだけは書いておきたい。参考にすべきはこういう意見である。

ドラッケンミラー氏、個人投資家の投資スタイルを酷評
ジム・ロジャーズ氏: 誰でも優れた投資家になれる方法
そろそろ普段の読者向けの記事に戻るべきだろう。筆者は金融庁とはまったく別の投資方法を行なったので今年は大いに儲かっている。これからどうなるかである。

米国株の今後の見通し: 企業利益激減で株価は再び暴落へ、空売り再開
長短金利逆転を予測できた理由と今後の不況と株価暴落について


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/27807
4:777 :

2022/09/06 (Tue) 18:11:53

株で儲ける方法教えてあげる(こっそり)
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14005993
5:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2022/12/30 (Fri) 12:33:20


2022年12月30日
経済アナリストというカルト教祖を信じると破産します

経済専門家の予想的中率は、ナマズが地震を予知する精度と同じくらいです


信じた人を破産させる教祖たち

ブログを書く為に経済アナリストとか評論家、専門家などが書いたニュース記事を見ることが多いですが、彼らの豹変ぶりにいつも驚かされています

今もはっきり覚えているのは2008年から2011年に円高が進んでいた時、ある有名な経済専門家が「1ドル50円は通過点で1ドル30円台になる」と断言していました

ところが2012年半ばから円安になり始めアベノミクスで円安が進むと、同じ人がその件には一切触れず円安予想をしていました


安倍政権が消費増税などで失敗すると「ハイパーインフレで1ドル1000円になるだろう」と予想し、日本は破産したジンバブエのようになるとも言っていました

最近は「円安で日本は破綻しフィリピンより貧しくなる」という理論を展開し、23年も円安で日本は衰退すると言っています

賭けても良いが彼は来年1ドル110円になったら自分が円安予想したのは棚に上げて、「俺様の予想通り円高になった」と自慢するでしょう


こんなのが日本を代表する経済メディアで人気がある経済専門家で、どのテレビのニュース解説者をみてもほぼ同じようなレベルの人が解説しています

彼らは輝くほどの実績や肩書を持っていて、東大やハーバード卒は当たり前で元大蔵省財務官とか超有名な欧米銀行の部長やチーフディレクターなど、土下座したくなるほどの経歴を持っている

そういう人たちが「間違いなく円安で日本は衰退する」と言い、円高になると「ほら私が言ったとおりだ」と平然とウソをつきます


投資系の掲示板やsnsで彼らは『逆神』と呼ばれ、9割以上の確率で彼らが明言したのとは反対方向に物事は進んでいきます

9割外れるのだが外れた事は黙っていて「私が予想した通りになった」と言い、また新しく予想を展開するのです

このカルト宗教の幹部のようなのが日本で最も信頼されているアナリストや経済専門家で、政府の審議会や委員に入ったりもします


輝かしい経歴にふさわしく理論を構築して他人を説得するのが得意で、悪い事に間違った理論を人々に信じさせてしまいます

日本経済が30年もダメなのは経済関連の人材はいないからかも知れません


投資や経済は運で決まる

東大やハーバード卒で栄光のキャリアを持つ人の予想は9割外れるのだが、それには理由がありあらゆる経済予想は古来から外れています

経済では分かり難いので日経平均やダウのような相場に置き換えると、予想するのはまず不可能でランダムな動きをする事が多い

先日サッカーw杯の各国代表がPKを外しまくったが、あれも結局入る入らないは運であって誰も予想などできません


株価や為替や相場の動きも運でしかないので、「当てよう」「うまく説明しよう」とすればするほど外れるようになっています

PKが入る入らないは誰が予想しても5割しか当たらないが、相場や経済も同じで素人が予想してもプロが予想しても的中率は5割になるでしょう

アナリストや専門家は単に「上がる、下がる」だけでなく長期的な複雑な予想もするので、そのすべてが予想通りになる事はないのです


PKで次のゴールが入る入らないだけなら誰でも5割当たりますが、何対何でどちらが勝つかという予想だと的中率は1割か2割になるようなものです

22年後半は米利上げによって 1ドル150円の超円安になったが、23年に利上げは止まると予想されていて、日本の利上げもありおそらく円高方向に動くでしょう

そう思われてはいるがそれも結局PKみたいなもので、予想通りになる確率自体が5割程度しかないのに輝かしい専門家は「間違いない」かのように言うのです


それを鵜呑みにして大金を投資して破産する人が毎年いるのも事実です
https://www.thutmosev.com/archives/89703130.html
6:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/10 (Tue) 09:45:00

米国株は 42年間上がり続けてきた。
しかし株式市場が上昇するのは、実際には「金利が低下している間」だけである。金利が上がり始めると株式市場のパフォーマンス、特にインフレを差し引いた実質のパフォーマンスは酷いことになる。それが歴史的事実である。


米国債利回り(10年物・全期間) 長期推移
https://www.kabutore.biz/keizaisihyo/us_kokusai10y.html

米国債利回り(2年物・全期間) 長期推移
https://www.kabutore.biz/keizaisihyo/us_kokusai2y.html


NYダウの推移(1896年からの長期チャート)
https://www.kabutore.biz/shisu/nydaw.html

ナスダックの推移(1971年からの長期チャート)
https://www.kabutore.biz/shisu/nasdaq.html

S&P500の推移(全期間・年足)
https://www.kabutore.biz/shisu/shisukikan?Submit=%E5%B9%B4%E8%B6%B3&kikan=10000&code=sp500&chart=year


10年物日本国債利回りと日経平均株価の長期推移(全期間) 
https://www.kabutore.biz/keizaisihyo/sihyo_kokusai10.html

2年物日本国債利回りと日経平均株価の長期推移(全期間)
https://www.kabutore.biz/keizaisihyo/sihyo_kokusai2.html


日経平均株価の推移(1949年からの長期チャート)
https://www.kabutore.biz/shisu/nikkeiheikin.html

ドルベースの日経平均株価の推移(超長期)
https://www.kabutore.biz/shisu/dollbase_top.html?Submit=%E5%85%A8%E6%9C%9F%E9%96%93&kikan=

ドル建て日経平均と円建て日経平均とのパフォーマンス比較(全期間)
https://www.kabutore.biz/shisu/dollbase_hikaku.html?Submit=%E5%85%A8%E6%9C%9F%E9%96%93&kikan=&sisu=dollnikkei&hikaku=nikkei

ドル建て日経平均とS&P500とのパフォーマンス比較(全期間)
https://www.kabutore.biz/shisu/dollbase_hikaku.html?Submit=%E5%85%A8%E6%9C%9F%E9%96%93&kikan=&sisu=dollnikkei&hikaku=sp500


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サマーズ氏: 低金利の時代は終わった、2023年からは高金利の新時代へ
2023年1月9日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32594

引き続き、アメリカの元財務長官でマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏のBloombergによるインタビューである。

前回の記事では、サマーズ氏は2023年前半にアメリカ経済が景気後退入りする可能性について語っていた。

サマーズ氏: アメリカ景気後退の可能性は下がった


だが今回は数十年というより長期のスパンでアメリカ経済を見ている部分を紹介したい。

42年間続いた低金利の時代

話の中心は金利である。金利こそが株式市場を動かし、実体経済を動かす、投資家にとってもっとも重要な数字であり、それを気にせずに投資をするのは金融庁にそそのかされて投資を始めた人々くらいだろう。

「株式の長期投資はほぼ儲かる」という幻想は金融庁の「基礎から学べる金融ガイド」から来た


だが株式であれ債券であれ不動産であれ、投資の成否は実際には金利で決まる。長期投資ならば、金利の長期トレンドで決まる。

サマーズ氏はその金利について次のように語っている。

低金利は30年来のテーマだった。低金利の時代に入っているというのが話の中心だった。

厳密に言えば、1980年から2022年までの42年である。ここの読者ならば頭に焼き付いているチャートだろうが、アメリカの政策金利の長期チャートをもう一度引用したい。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2023/01/2023-1-9-federal-funds-rate-long-term-chart.png


1970年代は今のような物価高騰の時代であり、インフレが1980年に当時のFed(連邦準備制度)の議長ポール・ボルカー氏によって抑制されると、アメリカ経済は金利低下という長い長いトレンドに入っていった。

ポール・ボルカー氏、1980年のインフレ打倒がどれだけ厳しかったかを語る


そのため低金利は多くの投資家や経済学者にとってほとんど無意識の前提のように考えられている。サマーズ氏は次のように続けている。

間違いなくコロナ前までは、それがわたしが長期停滞論とともに支持してきた考え方だった。その考え方の上に膨大な経済学的思考が築かれていた。

もう遠い昔のように感じるが、コロナ前までサマーズ氏は長期停滞論の経済学者として知られていた。彼は経済成長率の長期停滞と低金利という長期トレンドを提唱し、コロナ前までの長期にわたってそれを的中させてきた。

経済の長期停滞と低金利は、様々な結果をもたらした。1つはゾンビ企業の量産である。本来、ゼロ金利でなければとっくに倒産しているような企業でも、政府によって人工的に醸成されたゼロ金利によって自由に借金をすることで延命され続けた。

レイ・ダリオ氏はこれを共産主義になぞらえて批判していた。

世界最大のヘッジファンド: 共産主義の悪夢が資本主義にのしかかる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10831


こうして大量に生産されたゾンビ企業は、借金を積み上げながら誰も買わないような製品を量産し続けた。それが先進国の長期デフレ・低成長の原因である。日本政府は「デフレスパイラル」という言葉をよく使うが、それは彼らが自分で引き起こしたことである。

ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶


だがゼロ金利は紙幣印刷に進化し、紙幣印刷は現金給付に進化した。そしてばら撒き過ぎた資金によってデフレはインフレに転換する。デフレとインフレはコインの両面であり、酷いデフレは酷いインフレに簡単に転換する。

インフレ率自体は問題ではなく、その振れ幅が激しいということ、それが政府の政策によってもたらされているということが、問題の本質なのである。

ガンドラック氏の景気後退予想: 現金給付のツケを払うことになる


そして42年の金利低下がもたらしたもう1つのトレンドが、株価の上昇である。米国株は確かに42年間上がり続けてきた。その事実に着目する人が多い一方で、何故上がり続けてきたのかという原因を探る人はほとんど居ない。彼らは宝くじでも買うつもりで株を買っているのだから、宝くじと同じような結果になるだろう。

株式投資ブームに乗った時点で個人投資家の損失はほぼ確定している


低金利の時代は続くか

しかし株式市場が上昇するのは、実際には「金利が低下している間」だけである。金利が上がり始めると株式市場のパフォーマンス、特にインフレを差し引いた実質のパフォーマンスは酷いことになる。それが歴史的事実である。

だから投資家にとってはこの金利が2023年以降どうなるかということが問題なのである。

現代最高のマクロ経済学者であるサマーズ氏はどう考えているか? 彼はこう述べている。

2023年以降、低金利の時代に戻るという考え方が、金融市場にメインシナリオとして根付いている。Fedは0.5%の実質金利を予想している。市場の予想インフレ率は2%前半だ。10年物国債の金利は3.7%程度で推移している。

そうなる可能性はある。人口動態、不平等、安価な設備といった長期停滞の力はすべて強い。

人口動態というのは少し懐かしい単語だ。コロナ前までのサマーズ氏の長期停滞論の中心に置かれていたのは、人口の減少と高齢化が先進国のGDPを減少させるというものだった。

1人あたりGDPが同じでも、人口が減れば全体のGDPは減ることになる。高齢化が進めば、労働人口の割合が少なくなり経済の生産性は落ちる。

それが経済の低成長と低金利を推進してきた。そのデフレ要素は今も存在している。短期的に見れば、アメリカのインフレ率は下落を始めている。

11月アメリカのインフレ率は急減速継続で7.1%、ドル安加速へ


このままデフレに逆戻りするのだろうか? サマーズ氏はこう予想している。

だがわたしの予想はこうだ。第2次世界大戦の時に、戦争が終われば経済は長期停滞と低金利・低成長の時代に戻ると予想した人々が間違っていたように、2023年以降も同じようになるだろう。

何故か。人口動態を強調してきたサマーズ氏でさえ認めざるを得ないように、結局はインフレは政府が一番の原因だからである。ウクライナ情勢ではなく現金給付がインフレの原因であったように、今後インフレになるかどうかは政府が資金をばら撒くかどうかにかかっている。

ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由


サマーズ氏は次のように続けている。

今は政府債務比率高騰の新時代だ。国防費などのために財政赤字は大きく拡大し、インフラ需要や世界中で起こっているグリーンエネルギーへの転換のために設備投資への需要が急増している。

インフレとは供給に対して需要が過剰であることである。ばら撒かれた現金で人々がものを買い漁ったことがインフレの原因だった。だがレイ・ダリオ氏は次のように言っていた。

世界最大のヘッジファンド: 共産主義の悪夢が資本主義にのしかかる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10831


われわれが消費をできるかどうかはわれわれが生産できるかどうかに掛かっているのであり、政府から送られてくる紙幣の量に掛かっているのではない。

紙幣は食べられない。

賭けてもいいのだが、人々は今後も生産せずに紙幣が上から降ってくるのを口を開けて待つような人生を続けるだろう。それこそがインフレの根本原因である。そして人は変わらない。


結論

2022年までの42年間はデフレ・金利低下・株価上昇の時代だった。人々はそれに慣れきっており、無意識的にそれを前提にしてものを考えている。

こうした資産バブルも、長くなれば「株式を長期保有していれば必ず儲かる」などという事実に反する幻想を持ち始める人々が出てくる。こういう人々は、低金利による長期の株価上昇トレンドが始まった42年前には決して株式を保有しようなどとは思わなかっただろう。彼らは株価が暴落するタイミングをわざわざ選んでいる。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由


だが株価の推移は金利次第である。

そしてサマーズ氏は次のように言う。

2023年は新たな金利動向の新たな金融時代に突入した年として記憶されるだろう。

もう一度政策金利のチャートを掲載しておこう。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2023/01/2023-1-9-federal-funds-rate-long-term-chart.png


ここから高金利の時代が始まるとすれば、株式市場の長期パフォーマンスは、過去の高金利相場において株式が長期的にどうなったかを参考に考えるべきだろう。

そして高金利下における株式の(特に実質)パフォーマンスは、実際に酷いものである。以下の記事に纏めてあるので参考にしてもらいたい。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/28426


42年間続いた低金利が高金利に転換するこの絶妙なタイミングで、大人どころか高校生に対してまで株式投資を奨めた金融庁と自民党の天才的なタイミング能力を筆者も見習いたいものである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32594
7:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/23 (Tue) 23:43:33

ドラッケンミラー氏: 今後10年の株式市場はバイアンドホールドでは勝てない
2023年5月23日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37011

ジョージ・ソロス氏のクォンタムファンドを運用していたことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏が、Sohn Conferenceでのインタビューで、今後10年の株式市場について語っている。

今後10年の株式市場見通し

以前にも報じたが、ドラッケンミラー氏は今後の長期的な株式市場の見通しに弱気である。今回のインタビューでも彼は次のように語っている。

株価見通しを聞かれたとき、20倍になっている株価収益率や、民間投資の縮小などの財政要因を考えると、株式市場が10年後に今より高いことは考え難いと答えた。

ドラッケンミラー氏の言う理由は単純である。株価は以下の計算式で計算できる。

株価 = 1株当たり純利益 x 株価収益率
だから純利益と株価収益率を予想できれば、株価を予想することができる。

ドラッケンミラー氏の株価収益率の話に少し付け足すと、高金利は株価収益率を下げる。株価収益率が高い状態とは投資家がリスクを取っている状態だから、高金利でリスクが取れなくなれば株価収益率は下がる。

これからがインフレで高金利の時代だとすれば、それは株価収益率にマイナスに作用するのである。

また、ドラッケンミラー氏が民間投資に言及しているのは、純利益に影響するのがGDPの要素のうち消費ではなく投資だからである。マクロ経済学的な話だが、以下の記事で説明しているので興味のある人は参考にしてもらいたい。

ドラッケンミラー氏、2023年の株式市場見通しを語る
いずれにせよGDPのうち投資は急降下しており、それは純利益にとって大きなマイナスだということである。

ますます弱ってゆくアメリカGDP、2023年第1四半期は予想以上の減速
「失われた10年」の投資戦略

そもそも、米国株がこれまで40年上昇してきたのは、これまで40年間金利が下がり続けたからである。上述したのとは逆の理由で、金利が下がると株価収益率が上がる。それが米国株の長期上げ相場の正体である。以下の記事で説明している。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
だからインフレの発生によって低金利の時代が終わるのであれば、それは40年間米国株を支えてきた株高トレンドの終わりを意味する。ドラッケンミラー氏の言いたいことはそういうことである。

だがドラッケンミラー氏によれば、それでも投資家は諦める必要はない。彼は次のように述べている。

株式市場が今後10年間横ばいになるとわたしが言ったからといって、投資家にとって失われた10年になる訳ではない。

何故か。ドラッケンミラー氏は、アメリカで以前物価高騰が起こった1970年代の話を持ち出して次のように言っている。

1968年から1982年の間にも、正しいタイミングで株式市場を買い持ちにし、正しい銘柄を買い持ちにすることで、投資家は大いに儲けることが出来ただろう。

1968年から1982年は、米国株が14年間高値を更新しなかった期間である。その中には1974年の株価が半分近くまで下がった大暴落を含んでいる。


ちなみにこの期間、アメリカはインフレで物価が2倍になっているので、100ドルが14年後に100ドルになったとしても、100ドルの価値がその間で半分になっているので、株式投資家は実際には横ばいではなく大損になったということは付け足しておこう。

ドラッケンミラー氏は、インフレが再び生じたことで同じことが繰り返されると懸念しているのである。

横ばいでも儲けられる

しかしこの状況でも投資家は利益を出せる。何故ならば、別に株式を常に持ち続けなければならないというルールはないからである。

ドラッケンミラー氏は次のように言う。

1970年から72年までに大きな上げ相場があった。

前にも言ったが、この期間に原油株や化学株などの銘柄で大儲けすることが出来ただろう。

1975年から77年にも勿論大きな上げ相場があった。

例えば、確かに1974年には株価が高値から半分に暴落したが、その後の反発で株価は50%以上上がっている。

当たり前の話だが、最初から最後までで横ばいになるとしても、その乱高下に最初から最後まで付き合わなければならない理由はない。

ドラッケンミラー氏は常に投資を続ける投資家ではない。むしろ絶好の機会があるまで投資をせず、待つことを好む投資家である。彼は同じインタビューで次のように述べている。

ドラッケンミラー氏、誰でも30%以上の利益を出せる方法を語る
長期的に良いパフォーマンスを上げるためには、打てるボールが来た時には大振りすることだ。そして打てない玉は打たないことだ。

だから株価が高い時に手を出す必要はないし、大暴落が来れば明らかに安いのに誰も株に手を出さないような状況が来るのだから、その時に買えば良いというドラッケンミラー氏の判断なのである。

タイミングを考慮しない投資は有り得ない

こう言うと、「でも自分は投資のタイミングは分からない」という投資初心者の声が聞こえてきそうだ。投資では自分が何を分からないかを理解するのは大切である。

だがはっきり言うが、タイミングを考慮しない投資は有り得ない。どういう買い方をしても、例えそれが積み立てたものであっても、買った株には買値が存在する。

そしてどれだけ優良株であったとしても買値が高すぎればその投資は損を出す。それは短期投資か長期投資かということも関係がない。むしろ長期投資は1回失敗すれば終わりの後がない投資である。

だから結局、投資家は「タイミングを考慮せずに買える投資などない」という現実を直視すべきだ。そうすれば積み立ての呪縛から自由になれる。

「株式の長期投資はほぼ儲かる」という幻想は金融庁の「基礎から学べる金融ガイド」から来た
そうすれば、ドラッケンミラー氏の言うように、「打てるボールが来た時にだけバットを振る投資」が出来るはずだ。

ちなみにこの投資方針はクォンタムファンドの伝統でもあるのかもしれない。クォンタムファンドにおけるドラッケンミラー氏の先輩にあたるジム・ロジャーズ氏も、『マーケットの魔術師』に載っているインタビューで次のように述べている。

私は道ばたにカネが落ちているまで待っている。私はそこへ行って、拾い上げるだけだ。

「樽の中の魚を釣る」という格言のような状況を待っているんだ。

仮に今後数十年がインフレ高金利で株式市場にとって不毛の時期となろうとも、正しいタイミングが来るまで待つことが出来る投資家は、買いだけでも問題なく利益を上げることが出来るだろう。例えば今年、少なくともコモディティ市場にはそのチャンスがあると筆者は考えている。

2023年はコモディティ底値買いの年: 原油、天然ガス、農作物、金相場の推移予想
だが、特に根拠なく株式の長期投資にこだわる人々には、彼らにふさわしい未来が待っているだろう。ドラッケンミラー氏は次のように纏めている。

だから10年間全体で横ばいであったとしても、投資機会はある。

ただ、今後10年、バイアンドホールドで年率9%のリターンが得られると思ってほしくないだけだ。

より詳しいことについては以下の記事に載っているので、そちらを参考にしてもらいたい。

ドラッケンミラー氏 : 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37011
8:777 :

2023/05/29 (Mon) 05:24:40

ジム・ロジャーズ氏の語る投資の始め方
2023年5月28日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37097

引き続き、ジョージ・ソロス氏とともにクォンタムファンドを創業したことで有名なジム・ロジャーズ氏のWorld Scholars Academyによるインタビューである。今回は投資初心者が投資を始める方法について語っている部分を紹介する。

投資の始め方

投資を始めるというのは難しい決断だ。正確に言うならば、それが難しいと知っている人間には難しい決断だ。世の中には難しいことを難しいと知らず、自分が何に首を突っ込んでいるのかさえ分からないまま何かに首を突っ込む人間が多数いる。

投資を始めるのが難しいのは、初心者は当然投資について何も知らないが、何も知らないとほぼ間違いなく投資に失敗する一方で、実際にやってみて経験を得なければ、何もしらなくない人にはなれないからだ。

虎穴に入らずんば虎子を得ずという。しかし世の中には虎穴に入らずに虎子を得たい人が大量にいる。そういう人は虎穴の外で虎穴を探すので、当たり前だが虎子ではない別のものを掴むことになる。ここの読者にはお分かりだろうが、株式への長期投資を盲目的に信仰している人のことを言っているのである。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
何も知らないまま投資をすると失敗するが、投資をしなければ経験は永遠に得られない。このジレンマをどうするべきか。ロジャーズ氏は次のように語っている。

投資対象について何か理解するまでは投資を待った方が良いと思う。

投資する対象が自動車産業であれば、自動車産業について知っているべきだ。IT業界であればIT業界について知っているべきだ。

インデックス投資が何も知らなくても出来る投資だというのは素人の完全な幻想である。例えばS&P 500に投資をする時には、1株当たり利益と株価収益率が今後どのように推移するかを知っていなければ投資は出来ない。半年投資するなら今後半年の、50年投資するなら今後50年の予想が出来ていなければ、それはギャンブルになってしまう。

それを予想するためには民間総投資や輸出入の成長率、中央銀行の金融政策、インフレ率などについて知っている必要がある。インデックス投資のために必要な情報とはそういうものである。そういうものを知る必要があるとプロが思っているのに、素人がそれを省略できる理由があるだろうか? 素人はプロよりも凄いのか?

だからインデックス投資はむしろプロ向きの投資先である。一方で、自動車やITについて知っている人は、投資をしたことがない人でもいるだろう。

投資の学び方

ということで、投資を始める上では少なくとも多少なりとも投資先について知っている必要がある。自動車か、ITか、マクロ経済統計か、好きなものを選べば良いだろう。

だが1つ難しいのは、何処まで勉強すれば「自分は知っている」と言えるのかどうかだ。この点についてロジャーズ氏は次のように言う。

「わたしはこの投資対象について知っている」と思うかもしれない。その通りだ、人は自分が何かを理解していると考える、実際に理解するよりも大分前に。そして失敗することになる。

だが失敗に落ち込みすぎないことだ。そして失敗から学ぶことだけは忘れてはならない。わたしも過去に失敗したが、幸いにもそこから学ぶことができた。

この意味では、投資は絶対に失敗しないものだと言うことができる。上手く行けば利益を得られる。失敗すればそこから学び、より優れた投資家になることが出来る。どちらでも良いではないか。そしてより優れた投資家になることが出来れば将来は儲かるので、やはり損することがない。

一方で長期投資を盲信する人々の投資法は、今後数十年絶対に失敗することのない投資だと言うことができる。何故ならば数十年経たなければ結果が出ないからである。

そして結果が出なければ失敗から学ぶことがない。彼らは死んでも失敗から学びたくないのだなと思う。それは死んでも勉強したくない人の投資法である。そして彼らを待ち受けているのは、数十年後に失敗してもう一度やり直す時間は残されていないという取り返しの付かない未来である。

長期投資への盲信は失敗の先送りであり、その意味で紙幣印刷政策に似ている。明日小さな失敗をしたくない人は、数十年後に取り返しの付かない失敗をする羽目になる。世の中は本当によく出来ている。

ガンドラック氏、日銀の量的緩和を皮肉る
「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37097
9:777 :

2023/06/02 (Fri) 07:02:31

金融引き締めはどのように株価を下げるのか
2023年5月31日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37164

シリコンバレー銀行の破綻に始まる銀行危機で金融市場は悲観的になってみたり、銀行の破綻が一定期間起こらなければ楽観的になってみたり、市場は忙しいものである。

現在は相場の踊り場のような状況だと思うので、ここで一度金融引き締めと株価という基本的なことを再確認してみよう。

株価と金融引き締めの関係

コロナ後の紙幣印刷と現金給付が世界的なインフレをもたらし、アメリカはそれを抑制するために金融引き締めを行っている。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
株価は次のように計算される。

株価 = 1株当たり純利益 x 株価収益率
だから、金融引き締めが株価に影響を与えるとすれば、企業利益と株価収益率のどちらか(あるいは両方)に影響を与えることによって行われることになる。

実際には金融引き締めはその両方に影響を与える。株価収益率に関しては簡単である。株価収益率は株式の実際の価値(つまり将来の純利益)に対してどれだけ高く(あるいは低く)評価されているかを示している。

金利が高くなれば、株式を保有するリスクを取らなくても金利収入が多くなるので貯金や国債の保有などに資金が流れる。逆に金利が低くなればお金を預けていても金利が得られないので株式にお金が流れる。

だから株価収益率は第一に(実質)金利に影響される。金利が高ければ株価収益率が低くなるので、株価も低くなる。アメリカの実質金利の推移を見れば、2022年に株価が下がった理由も、2023年に株価が横ばいになっている理由も分かるだろう。


株価収益率は他にも市場のセンチメントなどにも影響されるが、金利が基本になるので、予想がしやすい。ドル円に関する記事で書いたように、筆者はアメリカの実質金利がこの辺りで天井だと思っているので、今後の推移に関して言えば、実質金利は株価に不利な方向へは動かないと筆者は予想していることになる。

最近のドル高の理由とドル円の今後1年の推移予想
企業利益はどうなるか

あとは企業利益の問題である。こちらは予想が難しいのだが、企業利益に影響を与える要素はいくつかある。例えばGDPで言えば消費は企業利益には直接的には無関係であり、投資は企業利益に影響を与える。

このことについては以下の記事で説明しているので詳しくはそちらを参照してほしいが、重要なのは投資がどうなっているかである。

ドラッケンミラー氏、2023年の株式市場見通しを語る
アメリカのGDPの構成要素のうち投資は次のように推移している。


コロナ後の現金給付の影響で急上昇した後、その上昇分をすべて消しそうな勢いで急降下している。

その理由はアメリカの金融引き締めである。金利が上昇すれば企業は投資がしにくくなる。もっとマクロ的に言えば、借金がしにくくなって市中に存在する現金と預金の総量(マネーサプライ)が減少し、それが投資を行う金銭的余裕を失わせているのである。

だから投資がこのまま下降を続けるのかを予想するためには、マネーサプライがどうなるのかを考える必要がある。そしてマネーサプライは次のように推移している。


銀行危機を受けての銀行の貸し渋りなどもマネーサプライの減少に拍車をかけている。銀行危機も金融引き締めによって起こったことである。

世界最大のヘッジファンド: 銀行危機は悪化しインフレは止まらずスタグフレーションになる
そしてマネーサプライは、アメリカが政策金利を5%程度の水準に維持し続ける限り減少を続けるだろう。

結論

もちろん企業利益に影響を与えるのは投資だけではなく、米国株を考えるならば海外要因も考慮しなければならないわけだが、投資がこのような勢いで急降下を続けるのであれば、ここのところ既に下がっている1株当たり利益もやはり下落を継続すると見るべきだろう。

また、現在の米国株の水準は企業利益の減少と金利の上昇という要因を十分に織り込んでおらず、これらの要素を考えるとかなり割高な状態に位置している。米国株は以下のように推移している。


これら2つは米国株にとって マイナスの要因である。

だが一方で、実質金利の低下による株価の上昇の可能性は排除できない。だから株価の下落に賭ける投資家は、実質金利の低下をヘッジする必要がある。

筆者は基本的に金利低下に賭けているので、2年物米国債の買いとドル円の空売りが両方ともアメリカの金利低下に賭けた大きなポジションである。

最近のドル高の理由とドル円の今後1年の推移予想


ただ、1つだけ言えるのは、金利上昇と株価上昇が両方来るシナリオはないということである。それは以上の理屈を読めば理解できるだろう。それが起こっている限り、市場は本当の方向へは向かっていない。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37164
10:777 :

2023/06/05 (Mon) 15:08:56

米国が没落し日本が繁栄する「転換期」  5大総合商社をまとめ買い、バフェット氏が示した日本の可能性 国際投資アナリスト大原浩氏が緊急寄稿1/2ページ
2023.6/5
大原浩
https://www.zakzak.co.jp/article/20230605-47RH2AV3EBJU5LYAJFBTH577NE/

市場が混乱を懸念した米国の「債務上限問題」は回避されたが、米国が抱えている問題はそれだけではないと指摘するのは国際投資アナリストの大原浩氏だ。緊急寄稿で大原氏は、米国が「没落」していくのと対照的に、日本は「繁栄」に向かう転換点が来ているとの見方を示す。

米国では大統領選以来続く政治的混乱、インフレに対抗するための急速な利上げの副作用、金融機関の経営不安問題などがめじろ押しだが、本質的原因は、1971年のニクソン・ショック(金・ドル交換停止)にさかのぼる。金やその他の資産の裏付けがない、いわゆる「ペーパーマネー」を野放図に刷ってきた結果、ドルの価値が大幅に下落したのだ。

また、「借金をして自社株買い」をしたり、「(事業活動という中身がない)箱だけの会社」(SPAC=特別買収目的会社)が上場し、まだ何も活動をしていないのに巨額の資金を集めてきた。

これも、ぺーパーマネーがいくらでも刷れることから、「過大な金融緩和」が行われた結果だ。


その結果として生じたインフレに対抗するために米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が大胆かつ急速な利上げを行った。それでもインフレの脅威は収まっておらず、「景気崖落ち」のリスクを背負いながらも、現状維持あるいは引き上げを行わざるを得ない状況である。


投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット氏は、米国の将来に対して「万年強気」であることで有名だ。だが、そのバフェット氏が「シリコンバレー銀行をはじめとする金融機関の経営」を憂慮し、「米国経済の『信じられないような時期』が終わりつつある」との趣旨の発言をした。

バフェット氏の海外への本格的な投資は2003年の中国・ペトロチャイナが初めてだが、国際的な石油大手の中の一社として割安であるから購入した。電気自動車やバッテリーを製造するBYDも、創業経営者をバフェット氏や相棒のチャーリー・マンガー氏が高く評価したから購入したのであり、決して中国への投資ではない。台湾の半導体メーカーTSMCは有望な企業だが、いわゆる「地政学リスク」の問題から購入直後に売却したと明言している。

それに対して、 日本の5大総合商社の株式の購入は、明らかに「日本そのもの」を購入した事例だ。総合商社は日本の産業の川上から川下までを網羅しており、日本の将来に自信を持てなければ到底購入に踏み切れないからである。5大総合商社を「まとめ買い」したことも日本の将来に対する信頼の表れであろう。


バフェット氏はさらなる「日本企業」への投資の可能性を示唆している。個別企業ではなく、「国単位」での投資の可能性に言及するのは、母国である米国以外では初めてのことだ。バフェット氏は現在92歳だが、20~30年単位で投資判断を行うのが基本だ。彼が120歳になるまで日本は成長を続けるとの自信があると思われる。

1990年頃のバブル崩壊後「日本は駄目だ」と繰り返し洗脳され日本人は自信を失っているが、約30年ぶりに日本と米国の立場が逆転し、米国が没落し、日本が繁栄へと向かう転換点がすでにやってきているのではないだろうか。

そもそも、日本の「失われた○○年」の原因は、直輸入の米国型経営を無理やり風土が違う日本に当てはめようとしたことにある。今後日本が発展していく中で日本型(経営)の「本当の価値」が脚光を浴びることになる。われわれも、この30年ぶりのトレンドの「大転換」に乗り遅れないようにしたいものだ。

11:777 :

2023/06/06 (Tue) 09:03:31

日経平均がバブル後高値なのに、あなたの株は なぜ上がらない?
つばめ投資顧問の長期投資大学
2023/06/05
https://www.youtube.com/watch?v=6sRsTAS-PTo&t=20s

日経平均株価がバブル後高値を更新しています。一方で、自分の株 だけ上がらないと感じている人は多いのではないでしょうか?その理由と今後の方針を考えます。
12:777 :

2023/06/17 (Sat) 10:20:31

海外投資家は「これ」を見て日本株を買っている
つばめ投資顧問の長期投資大学
2023/06/15
https://www.youtube.com/watch?v=t9VQUazP2Gs

日本株が連日高値を更新しています。 上昇を牽引しているのが外国人投資家ですが、彼らは何を考えて日本株を買っているのでしょうか?その頭の中を除いてみましょう。
13:777 :

2023/06/23 (Fri) 06:59:16

ガンドラック氏: 米国株はバブルの様相、S&P 500は極めて割高
2023年6月21日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37635#more-37635

引き続き、DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏のCNBCによるインタビューである。

株価反発の理由

株式市場は反発している。米国株が今何処にいるかと言えば、2022年からの下げ幅の半分を超えたあたりである。


この動きについて、ガンドラック氏は一部の銘柄が大きく上昇したことが原因であると指摘している。

ガンドラック氏のいつもの表現だが、アメリカの株価指数S&P 500の上昇は実質的には資金が集中する7銘柄ほどの上昇であるとして、次のように言っている。

S&P 7はどう見てもバブルの動きだ。AI関連株は20%上がっている。そしてS&P 493は、最近少し上がったが、数週間前までは年始から変わらずだった。

残念ながらS&P 7のチャートもS&P 493のチャートもないのだが(そしてどの7銘柄なのかガンドラック氏が言及したわけでもないが)、アメリカに上場する株式のうち大型銘柄を除いた小型株指数であるRussell 2000のチャートをS&P 500と比べてみると状況が分かるだろう。

Russell 2000は次のように推移している。


こちらは上がっていないのである。

株式市場はバブルか?

この状況についてガンドラック氏は次のように述べている。

率直に言って、株式市場はバブルの様相を呈している。非常に限られたいくつかの銘柄が、指数全体を引っ張っている。結果としてS&P 500のバリュエーションは、Fedが利上げして長短金利が逆転していることを考えるとかなり恐ろしいことになっている。

長短金利の逆転とは、短期金利が長期金利よりも高くなっている状態のことで、歴史的にはその後かなりの確率で景気後退となる。詳しくは以下の記事を読んでもらいたい。

ガンドラック氏: アメリカはもう利上げしない、米国経済は悪化している
景気後退前にしてはバリュエーションが高過ぎるというわけである。具体的にはガンドラック氏は次のように言っている。

S&P 500の株価収益率は予想利益に基づいて19だ。だが経済が弱まり景気後退になるならば、予想利益自体がかなり楽観的な数字ということになる。

S&P 500は非常に割高だ。NVIDIAは年始から400%上がった。大きな上昇幅だ。そうした銘柄が指数を牽引している。

そして極めつけは以下のコメントである。

S&P500の動きは2022年1月4日までの雰囲気に非常に似ている。

現在の状況はバブル崩壊前に似ているか?

2022年1月と言えば、アメリカの金融引き締めが株価を下落させ始めた頃である。S&P 500のチャートをもう一度掲載しよう。


しかしガンドラック氏の指摘で筆者が思い出したのは、むしろ2018年である。現在と同じくアメリカの金融引き締めで株価が下落した2018年には、まず年始に株価が下落した後、一度大きく反発してから年末にかけてもう一度大きな下落があった。


当時からの読者は覚えているだろうが、2018年に一度下落してからの反発が本物の反発でなかったことを示す証拠は、S&P 500などの主要指数以外の指数、例えば新興国株式などが下落したままだったことである。

当時の記事にこう書いてある。

世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)
しかしここで指摘し続けた通り、世界の株式市場の中でまだ上昇相場を保っていたのは、アメリカや日本の株式市場の内、株価指数に採用されている少数の銘柄だけだったのである。

今の相場においてどうなっているかを考えてみる必要がありそうだ。ガンドラック氏の指摘はいつも示唆に富んでいる。

また、NVIDIAについてはバブルではないというスタンレー・ドラッケンミラー氏の指摘もあるので参考にしてもらいたい。

ドラッケンミラー氏の NVIDIA の株価予想: 暗号通貨と違ってAIは本物

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37635#more-37635
14:777 :

2023/09/07 (Thu) 23:10:33

米国株が完全に割高である理由と株価の推移予想
2023年9月7日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39671

アメリカで長期金利が上がっている。誰も大して気にしていないことだが、前回の記事でも言ったように、高金利こそが今年前半の銀行危機を引き起こしたのである。

アメリカ銀行危機の次の危機が株価を下落させる
それは銀行危機の継続を意味しているのに、誰も気にしていない。だが今回の記事では株式のファンダメンタルズについて話してみよう。

米国株の動向

米国株は2022年に下落し、その後上昇に転じた。S&P 500のチャートは次のようになっている。


下落の原因は前回の記事で説明したように長期金利の上昇である。


株安の原因となった長期金利が2022年の高値近辺にあるのに、株価が回復しているところに注目したい。

前回の記事で説明したように、これだけ見れば2022年の高金利で下落した株価が、今長期金利が同じ水準まで戻っているのに高値で推移していることは不合理に見える。

企業利益の推移

だが、株価に影響するもう1つの主な要因がある。企業利益である。こちらも考えなければ株価の動向は見えてこない。

そこで、S&P 500の1株当たり純利益を並べてみると次のようになっている。

2022年3月: 197.91ドル
2022年6月: 192.26ドル
2022年9月: 187.08ドル
2022年12月: 172.75ドル
2023年3月: 175.17ドル
2023年6月: 181.17ドル(予想値含む)
2023年9月: 187.59ドル(予想値)
2023年12月: 200.52ドル(予想値)
これは未来の数字を含んでいるので、当然予想値が含まれている。筆者の感覚では、直近2023年9月の数字はそれほど大きな誤差はなく大体当たるが、数ヶ月後の12月の数字はそれほどはあてにはならない。

だが最近の株価上昇は、金利は上昇しているのだから、1株当たり純利益の予想値が回復していること(及び株式投資家の楽観)に起因している。

企業利益の動向予想

だが企業利益はそれほど都合よく回復するだろうか。そもそも2022年から2023年にかけてS&P 500の企業利益が下落した理由は何だっただろうか。

企業利益が下落した原因は、これもまた高金利である。マクロ経済学的には、GDPの構成要素のうち企業利益に直結するのは投資と純輸出であって、例えば消費は企業利益と直接の関係性はない。

つまり、直感に反するかもしれないが、消費が増えてもそれだけでは企業利益は増えないのである。

また、投資と純輸出を比べると、規模で言えば投資の方が圧倒的に大きいので、基本的に投資が企業利益を決めるということになる。

そして例えば企業が設備投資を行なう場合、多くのケースではお金を借りて投資を行なうことになる。よって金利が高いか低いかが企業の投資意欲を大きく左右する。だから投資は金利で決まる。そして企業利益は投資で決まるので、高金利こそがそもそも企業利益が2022年に減少を始めた理由である。

上で数字を挙げたように、企業利益は回復の兆しを見せている。だがそれは、最近減速の気配を見せた住宅価格と同じではないのか。

米国の住宅価格が再び上昇、インフレは止まらないのか?
住宅価格も金利上昇によって下落に転じた後、一度金利が下がったことで再上昇したが、最新のデータでは最近の高金利によって減速している。

それは金利の推移に沿った動きである。金利はまた以前の水準まで上がっている。


だから、足元の企業利益の回復が、金利が一時的に低下したことによる回復なのだとしたら、金利はまた上がっているのだから、住宅価格のようにまた減速に転じると考えるのが妥当だろう。

また、米国企業の海外の売上や資産についても、金利上昇によるドル高にマイナスの影響を受けるはずである。

結論

だから、金利上昇は株価にとって2つの意味で重荷となる。1つには、安全資産とされる10年物国債の金利が4%を超える中、リスク資産である米国株はそれを超えるリターンを10年間出し続けなければ投資家にとって魅力を失う。

そしてもう1つが、今回の記事で説明した高金利の企業利益への影響である。こちらについても、金利は同じように上がっているのだから、企業利益もまた下がると考えるのが自然だろう。

だが仮にそうならないとしよう。アナリスト予想のようにS&P 500の1株当たり純利益は200ドルに向けて回復してゆくとしよう。その場合、株価の下落前と下落後における長期金利と1株当たり純利益はどうなっているか。


株価: 4,800ドル -> 4.500ドル(やや下落)
1株当たり純利益: 197.91ドル -> 200.52ドル(ほぼ変わらず)
長期金利: 1.5% -> 4.2%(大幅上昇)
おかしいではないか。誰も疑問に思わないのか? 誰がこの水準を妥当だと説明できるだろうか。そしてそもそも、上記の考察では1株当たり純利益が回復するという前提さえあやしいのである。だから実際には米国株は上記の数字で見て感じる以上に割高だということになる。

投資家は楽観を続けられるかもしれないが、今年の後半から来年の前半にかけて、アメリカ経済は減速を始める。失業率や住宅価格にその兆候が表れ始めている。

8月雇用統計は遂に失業率の上昇開始、 インフレ後の大量失業の始まり
そして何より、銀行危機を引き起こした水準まで金利が再び上がっているのだから、その水準の高金利が来年前半まで続けば、高確率で銀行危機のような新たな危機が何処かのセクターで起きるだろう。

アメリカ銀行危機の次の危機が株価を下落させる
何度も言うが、米国株の長期上昇トレンドはもう終わった話である。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
ドラッケンミラー氏: 今後10年の株式市場はバイアンドホールドでは勝てない

米国株は今年の後半から来年の前半に2回目のピークを迎える。それは先月の高値がピークであった可能性を排除しないが、アメリカ経済の減速は緩慢だから、また高値を更新する可能性もある。だが、結局重要なのは長期的見通しである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39671
15:777 :

2023/09/09 (Sat) 17:04:06

2024年新NISAの準備はOK? 豊かな投資のために、今すべきこと
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14148221



つばめ投資顧問の長期投資大学
https://www.youtube.com/c/Tsubame1045/videos

株で儲ける方法教えてあげる(こっそり)
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株式投資で常時監視すべき情報
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/349.html

これから起きる超円高によるバブル崩壊と預金封鎖
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14091470

日本エリオット波動研究所 _ 日経平均は本格的な上昇相場に入ったのか?
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14116908

日経平均の大相場は、残念ながら始まっていない/実践!エリオット波動 有川和幸
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14131375

日本エリオット波動研究所の相場予測は凄い、 宮田直彦のエリオット波動分析はデタラメ
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14081932

ドル建て日経平均株価は米国株価と連動している
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14123570

40年続いた米国株強気相場が崩壊する、米国株は30年上がらない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14007513

ついに始まる世界金融恐慌
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14009793

株価は長期金利と企業利益で決まる。
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14035593

今後10年の株式市場はバイアンドホールドでは勝てない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14115542

過去数十年の上昇相場を前提に今後数十年の投資をしてはいけない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14091142

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14042637

鈴木傾城 _ アメリカ株で儲けるほど簡単な事は無い
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/895.html

株式投資の神様「ウォーレン・バフェット」の言葉を真に受けると悲惨な結果になる
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/886.html

アホ個人投資家に高配当株投資が大人気
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14124805

【超高配当株】権利落ちで7%超 JT株の今後は?
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14076684

【銀行株×高配当】ゆうちょ銀行の売出しに応じるべきか?
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14091808

日本郵政グループ株(日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)を買ったらこういう目に遭った
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/981.html
16:777 :

2023/09/18 (Mon) 06:15:21

ガンドラック氏: 株価の長期上昇を支えてきた過去40年の低金利はもうない
2023年9月17日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39962

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、CNBCのインタビューでアメリカにおける金利の長期トレンドと、それが株価やデフォルト率に与えてきた影響について語っている。

コロナ後の経済サイクル

ガンドラック氏はこのインタビューで様々な議題について話しているが、どの議題について話すにしても、重要なのはコロナ以降、金融市場の環境が一変したということである。

そこでガンドラック氏は次のように問いかける。

これからの経済サイクルで起こることと、われわれの常識はどう違うだろうか?

「これからの経済サイクル」とは何か? ここの読者であれば言わなくとも分かるだろう。インフレによって金利が上がった後の経済サイクルという意味である。

金利低下時の金融市場と、金利上昇時の金融市場はまったく違う。ガンドラック氏はこう続けている。

われわれは金利がどう動くか知っていると思い込んでいる。マネーサプライの経済への影響について知っていると思い込んでいる。Fed(連邦準備制度)の金融政策について知っていると思い込んでいる。

だが1980年代前半から2020年代前半まで、われわれは低金利の環境下にあったのではなかったか? その期間金利はずっと下がっていなかったか? 勿論上がったり下がったりはしたが、長期的には金利は明らかに下がり続けた。

アメリカの政策金利は1980年にピークとなり、コロナ後の現金給付によってインフレが引き起こされるまで一貫した低下トレンドにあった。長期チャートを持ち出すと次のようになっている。


重要なのは、1980年から40年間金利は下がり続けたということである。そして投資家であれば誰でも知っているが、金利低下は株価にも経済にも大きな影響を及ぼす。

そして問題は、われわれのほとんどは金利低下の環境しか知らず、われわれの常識は金利低下の環境下における常識だということである。

だからガンドラック氏は次のように言う。

デフォルト率や企業が負債をどう扱うかについてのわれわれの常識は、時代錯誤の偏見ではないのか。

金利上昇と金利低下

ガンドラック氏は次のように言う。

金利上昇の環境は、金利低下の環境とは違う。

具体的にはどういうことか。例えば今のように金利が大幅に上がれば、お金を借りていた企業はどうなるか。

ガンドラック氏は次のように説明する。

米国企業は債務の期限を長期にして金利を非常に低く抑えた。だが期限が来て借り換えなければならなくなればどうなる? その時に金利が4%ではなく9%だったらどうなる?

小規模事業者にとって金利は現在その水準だ。3年前、小規模事業者にとって金利は4%だった。今では9%だ。Fedが更に利上げすれば更に高くなる。

Fedは2021年にインフレの脅威を無視した後、2022年に金利を急速に上げた。

経済に対する利上げの効果は強力である。だがその後、アメリカにはまだ景気後退は来ていない。だがその理由の1つは債務の乗り換えがまだ完了していないということだろう。

だが来年には多くの企業にとっての債務の期限が到来し、借金を借り換えなければならなくなる。その時に多くの企業が金利上昇の効果に直面することになる。

Fedのパウエル議長は金利を5%台の水準に長らく据え置くと表明している。だがそんなことが出来るだろうか。その馬鹿らしさについては以下の記事で既に指摘している。

米国インフレ率が下がれば下がるほど株価にはマイナス、株式の買い手は逃げるべき
だがパウエル氏にはそれが分からない。しかしガンドラック氏の上記の議論を読めば、それがどういう意味か分かるはずである。ガンドラック氏は次のように続けている。

Fedがこれから数年金利を5%か6%に保ったままにすれば、この国のすべてが倒産するだろう。

金利上昇と株式市場

そして金利低下が金利上昇になったことは、当然ながら株式市場にも影響を与える。ガンドラック氏は次のように述べている。

株式市場は1982年に底打ちし、2022年にピークを打ったように見える。この期間に金利が14%から0%になったことと関係があるだろう。

世の中にはインフレ対策で株式を買えという馬鹿げた議論もあるようだが、1970年代の物価高騰時代、米国株がどのような酷いことになったのかについては以下の記事で説明している。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
逆にその後の1980年から40年間の金利低下局面で米国株がどうなったかについても、多くの人が知っているだろう。

何故金利低下で株価が上がるのか。例えば米国債の金利が10%ならば、国債は無リスク資産と考えられているので、株式はそれを超えるパフォーマンスを出さなければ投資家を集めることが出来ない。逆に金利がゼロならば、投資家は少しでも値上がりを期待できそうな株式に殺到する。

だから他の条件が同じならば、金利低下はそのまま株高を意味し、金利上昇はそのまま株安を意味する。

株式市場はしばしばそれを無視する。2018年の金利上昇局面でも同じことが起きた。

バブルの頂点で日経平均は上昇、空売りを淡々と継続 (2018/9/20)
だがそれは長期的には続かない。長期的には、1980年から2020年まで金利低下によって米国株が上昇したこととまさに反対のことが、金利上昇局面においては起きるだろう。

結論

ガンドラック氏は次のように纏めている。

金利が上がれば株式にとって競争は激しくなる。債券と株式のリスクプレミアムを比べれば、株式のバリュエーションは現在、われわれの生きている間で一番高くなっている。

これは2024年には問題となるだろう。

世の中では金融庁にそそのかされ、金利低下局面で株式を買わなかった人が金利上昇局面で株式を買い始めている。それがどういう面白い状況か、この記事を読んだ人ならば分かるだろう。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
また、金融庁の資料に過去20年の株式や債券のパフォーマンスが乗せられ、それを根拠に投資が推奨されていることがどれだけ可笑しいことであるかも、この記事を読んだ人には分かるはずである。

「株式の長期投資はほぼ儲かる」という幻想は金融庁の「基礎から学べる金融ガイド」から来た
だが誰も気にしていない。

何故なのか。短期的には金利上昇を誰も気にしていないこととまったく同じように、金融庁の職員の多くは投資を仕事にしたこともない資産運用の素人であり、NISAは銀行・証券業界に手数料を落とす目的で出来上がったのだが、ガンドラック氏ら専門家の見解の真逆を行く彼らの見解を鵜呑みにすることに誰も何の疑問も抱かない。そもそも金融庁職員は多くの資産への投資を禁じられているため、もしかすれば自分よりも投資経験がないかもしれない彼らの投資推奨を人々は有難く聞いている。

基本的に人々は何も気にせずに生きている。だが金融市場は彼らに相応の結果を与える。来年の前半にはすべては終わっているだろう。

米国インフレ率が下がれば下がるほど株価にはマイナス、 株式の買い手は逃げるべき

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39962
17:777 :

2023/09/19 (Tue) 03:13:33

レイ・ダリオ氏、投資で最悪の間違いは何かを語る
2023年9月18日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40002

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が、Milken Institute主催の会議で投資における最悪の間違いについて語っている。

多くの投資家の最大の間違い

多くの投資家が犯す最大の間違いは何か。この会議でダリオ氏は様々な議題について語っているが、いくつか簡潔な質問を並べられた中にあった質問がこれである。

読者ならどういう間違いを思い浮かべるだろうか。例えばNISAブームにそそのかされて投資を始めることだろうか。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
ダリオ氏は次のように答えている。

これまで良いパフォーマンスを出している投資を、割高だと考えずに良い投資だと思いこむこと。

良いパフォーマンスを出しているということは、価格が上がっているということである。

恐らくそのデータの受け取り方は、素人とプロで違う。多くの人は、これまで価格が上がっているのだから良い投資なのだと考えるだろう。だが実際には、他の条件が同じならば、価格の上昇は資産としての魅力が下がったこと以外の何物でもない。

価格上昇の意味

これは確かウォーレン・バフェット氏が言っていたことだと思うが、多くの人々は1ドルのりんごが2ドルになれば割高になったと考えるが、1ドルの株式が2ドルになれば買いたいと思い始める。

この冗談には多くの真理が含まれている。投資家もスーパーで野菜や果物を買う人の心理で投資に向き合うべきなのである。投資とは同じものを安く買って高く売ることである。高いものを買っても良いことなどない。

1ドルのものが2ドルになったならば、他の条件が同じならば、それは単に割高になったのである。

だが多くの投資家はそのようには考えられない。その典型的な例が金融庁の職員である。金融庁が素人に投資を推奨している「基礎から学べる金融ガイド」には、次のようなチャートが掲載されている。


過去20年間のパフォーマンスが誇らしげに載せられている。

だが、ここには資産運用を仕事にする人間であれば誰でも知っている事実が見逃されている。過去のパフォーマンスは、将来のパフォーマンスを占う上で何の役にも立たないということである。過去のパフォーマンスを見て良い投資が見分けられるならば、誰でもファンドマネージャーである。だが資産運用業はそれほど甘くない。

過去のパフォーマンスを押し出して素人に将来のパフォーマンスを夢想させるというのは、例えば銀行が何も知らない老人たちに投資信託(プロは決して買わないが素人は良く買う)を買わせるためによくやる手だが、だから彼らは老人しか騙せないのであって、まあ金融庁にも似たような人材しか居ないからこういう理屈で投資を薦めるのだろう。

過去のパフォーマンスの意味するところ

だが過去40年の株式の上昇相場は、1980年に始まる金利の長期下落が原因だということはここでは何度も指摘しておいた。DoubleLine Capialのジェフリー・ガンドラック氏も指摘している通りである。

ガンドラック氏: 株価の長期上昇を支えてきた過去40年の低金利はもうない
そして低金利はもうない。インフレが始まり、金利を上げなければならなくなったからである。金利低下時における株式市場のパフォーマンスは、コロナ以後のインフレ・金利上昇時における株式市場のパフォーマンスとは何の関係もない。

そして1970年代の物価高騰時代における米国株のパフォーマンスは、以下の記事で説明した通り酷いものである。これがインフレ・金利上昇時における株式のパフォーマンスである。

ドラッケンミラー氏 : 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
だが、それでは過去のパフォーマンスは投資をする上で何の意味もないのだろうか。ファンドマネージャーは過去の株価チャートを見ないのだろうか?

当然過去のチャートを見る。だが、それが将来のパフォーマンスを決めるとは思っていない。では何のために見るのか? その資産がどういう時に上がり、どういう時に下がるのかを調べるためである。

その資産は1970年代のインフレ・金利高騰時代には上がったのか、下がったのか? その後の1980年から2021年までのデフレ・金融緩和時代にはどう動いたのか?

戦争があればどういう資産が上がり、どういう資産が下がるのか? パンデミックが起これば資産価格はどのように動くのか?

それを調べるための資料が過去の価格チャートである。そして例えば、これからインフレ・高金利の時代が来るならば、デフレ・金融緩和で上がった銘柄ではなく、インフレ・高金利の時代に上がった銘柄を買うべきなのである。

結論

ということで、過去の価格チャートはその資産がどういう性質を持っているのかを調べるためのもので、今後のパフォーマンスが良いか悪いかとは何も関係がない。

金融庁の投資推奨がどれだけ馬鹿げたものか、この記事を読めば誰でも分かるだろう。また、金融庁が推奨しているもう1つの方針である「分散投資」については、世界最高のファンドマネージャーの1人であるスタンレー・ドラッケンミラー氏が次のように言っている。

ドラッケンミラー氏、個人投資家の投資スタイルを酷評
彼らは分散投資をすれば、集中投資をするよりリスクが低くなると言う。それが正しいとはまったく思わない。

金融庁の投資指南は控え目に言っても天才的である。彼らは本物の資産運用家の逆を行くことに関して稀有な才能を発揮しているので、是非読んでみてもらいたい。

「株式の長期投資はほぼ儲かる」という幻想は金融庁の「基礎から学べる金融ガイド」から来た

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40002
18:777 :

2023/11/08 (Wed) 02:17:24

ドラッケンミラー氏: 米国株が長期的には常に上昇するという信仰は間違い
2023年11月7日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmaあcroresearch.org/jp/archives/41359

引き続き、ジョージ・ソロス氏のSoros Fund Managementを長年運用していたことで知られるスタンレー・ドラッケンミラー氏の、Robin Hoodにおけるインタビューである。

今回は株式市場の長期的な見通しについて語っている部分を紹介したい。

ドラッケンミラー氏の相場観

ドラッケンミラー氏はアメリカ経済はこれから景気後退入りすると予想している。株価は景気後退の半年ほど前に下落するので、そのタイミング予想は株価の下落タイミングの予想とも関連している。

ドラッケンミラー氏が予想するアメリカ景気後退のタイミング
ドラッケンミラー氏: 米国株は金利上昇の圧力で崩壊する
タイミングについては専門家の間でも割れている。だがより長期的な株価の見通しについては、専門家の予想に誤差が少なくなる。

ではドラッケンミラー氏は米国株が長期的にどうなると考えているのか。彼は次のように述べている。

より重要なのは長期的な展望で、アメリカでは株価は長期的には常に上昇するという信仰がある。

信仰(原文:belief)という言葉を使っている。それはその考えに根拠がないということを暗に言っているのである。

米国株の長期的な株価上昇

実際、その考えには根拠がない。米国株を買って寝ていれば長期的には儲かるという考えの人々の根拠は精々、ここ数十年米国株は長期的に上昇してきたという程度のものだ。だがその程度の考えで投資で儲かるならばファンドマネジャーは苦労しない。

本職のヘッジファンドマネージャーが投資で利益を出すために多くの優秀なアナリストを大金で雇い、毎日出社して経済を分析しなければ利益を出せないと考えているのに、素人は米国株の長期チャートを一度眺めただけで株式市場で儲けられると信じている。その時点で何かがおかしいことが分かりそうなものだが、多くの人がそれに気づけない。

何がおかしいのか。1980年からほぼ40年間米国株が長期的には上昇してきた理由は、1980年からコロナ後のインフレのあった2021年まで、長期的には一貫して金利が下がり続けてきたからである。

アメリカの政策金利は次のようになっている。


金利が高い間は投資家は株式ではなく国債などを買って金利収入を得ることを好む。逆に金利が下がると国債の魅力が下がるので、リスクを取ってでも株式に賭けようとする人が増え、金利が下がるたびに株式市場に資金が流れるのである。

利下げと量的緩和で40年間金利を下げ続けて、金利が下がるたびに株式市場を持ち上げてきた。だがもう金利はこれ以上下がらなくなり、コロナ後の現金給付によってインフレが起きた。

ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由
そして今ではインフレを抑制するために金利を上げなければならなくなっている。それが今の株式市場の問題である。

インフレの時代における株価の推移

ドラッケンミラー氏は次のように言っている。

量的緩和によるバブルの期間が10年続いたのだから、ファンダメンタル的にも株価水準的にもその分の調整が来なければならない。

何度も言うように、40年間株価が上がってきたのは、40年間金利を下げ続けてその度に株価を押し上げてきたからである。

ドラッケンミラー氏はこう続ける。

量的緩和が起こる前の世界では、株価収益率は15倍だった。今では20倍だ。

株価の計算式を持ち出そう。株価は次の式によって計算できる。

株価 = 1株当たり利益 x 株価収益率
ドラッケンミラー氏は、量的緩和が1株当たり利益と株価収益率の両方を押し上げたことを指摘しているのである。

量的緩和で金利が下がったことで、実体経済では多くの人がお金を借りてものを買った。それと同時に、上述したように金利低下で株式の魅力は増す。それは株価収益率が上がるという意味である。

だが40年続いた金利低下によるこれらの押し上げ効果はもうなくなった。それどころか金利はインフレで上がっている。

それでも米国株は企業利益が増え続けることを前提に推移している。だがそのアナリスト予想に対してドラッケンミラー氏は次のように言う。

それは1株当たり利益に関するわれわれの今年の見通しとは一致しているが、来年も増益になるとは思えない。良くて横ばいだ。

金利上昇がようやく失業率上昇に表れてきたように、企業利益にも表れざるを得ない。高金利がついにアメリカ経済に忍び寄っている。

米国の10月雇用統計、来年の景気後退に向け経済急降下
だがドラッケンミラー氏が言いたいのは今から次の景気後退までの中期的な話ではない。過去40年がデフレの時代であったならば、これからはインフレの期間となる。

デフレと金融緩和の期間においては株式は長期的に上昇する。それは事実である。だが、インフレと高金利の時代には逆のことが起きる。

実際にインフレの時代に株価はどうなったか? 1970年代の物価高騰時代の米国株のパフォーマンスについては以下の記事で説明している。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
1970年代の前後15年ほどの間、米国株は長期的には横ばいだった。その中にはインフレと高金利で株価が半値にまで暴落した1974年の出来事も含まれているのだが、ともかく期間の最初と最後の株価を見れば、米国株はほぼ横ばいだった。

そして今もインフレの時代となった。ドラッケンミラー氏は当時の再現を予想している。だから彼は次のように言う。

数年前に、米国株は10年後にも同じ水準で推移しているかもしれないと話したが、今でもそれを信じている。当時S&P 500は4,500ドル付近で、今も大体同じ水準だ。

インフレ時代における米国株

長期的に横ばいになり、かつその間に半値にまで暴落することもある資産を保有する意味があるのかどうかは定かではない。

だが株式投資家の悲劇はそれだけではない。この「横ばい」とは、インフレによって価値が大幅に下落したドルで考えて「横ばい」なのである。

だから実質的には米国株の価値はインフレ分下落している。そしてインフレ分の下落がどれくらいかと言えば、過去のインフレ時代におけるドルの価値を消費者物価指数をもとに計算すれば、次のようになる。


これがインフレ時代における米国株の実質的なパフォーマンスである。ほぼ3分の1になっている。その間、預金をしていた人はインフレでドルの価値は目減りしたものの、高金利によって大きな金利収入を得ている。

インフレ相場での最良の投資方法は株の空売りを除けば株式投資ではなく預金
結論

ということで、米国株の数十年分の株価チャートを眺めるだけで米国株の長期見通しを予想でき、株式市場で利益を得られるなどという有り得ない考え方は今すぐ捨てるべきである。

多くの人は金融庁の妄言を信じたのだろうが、金融庁の職員の多くは新卒入社でずっと金融庁で働いており、しかも彼らは規定で一部を除く株取引を禁止されているので、資産運用を仕事にしたことがないどころか、個人で投資した経験ももしかしたらあなたより少ないかもしれないド素人である。

「株式の長期投資はほぼ儲かる」という幻想は金融庁の「基礎から学べる金融ガイド」から来た
いつも言っているが、他人の意見を鵜呑みにする人はその考え方の価値に応じた報酬を受け取ることになる。金融市場では常に自分に相応しい報酬が返ってくる。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/41359
19:777 :

2023/12/22 (Fri) 21:47:18

レイ・ダリオ氏、投資にグローバルマクロ戦略が必要な理由を語る
2023年12月22日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/42723

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がFinimizeのインタビューで、普通の株式投資家からグローバルマクロ戦略のヘッジファンドマネージャーとなった理由と経緯について語っている。

グローバルマクロ戦略

ダリオ氏は世界中の株式、債券、為替、コモディティなどあらゆる銘柄に投資し、レバレッジをかけ買いも空売りもやるというグローバルマクロ戦略のファンドマネージャーとして現役もっとも有名な人物である。

このグローバルマクロ戦略はジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドが始めたものである。ソロス氏は自著『ソロスの錬金術』でその戦略について丁寧に説明している。

だがダリオ氏は最初からグローバルマクロの投資家だったわけではない。あらゆる資産クラスに関する知識が求められるグローバルマクロ戦略を最初から出来る人などいない。

だから誰でも何らかの資産クラスから始めなければならない。ダリオ氏が最初に投資したのは株式だったそうだ。彼は最初の投資経験について次のように述べている。

12歳の時だった。

ゴルフのキャディーをして、バッグ1つにつき6ドルを得た。バッグを2つ持って12ドルで、50ドル貯まる度に株式市場に投資した。

最初に買った株は当時わたしが知っていた唯一の銘柄で、株価は5ドルより低かった。たくさん買って値上がりすれば大儲けできると思った。

勿論それは馬鹿げた戦略なのだが、当時のわたしはそれを理解していなかった。

誰でも何も知らないところから始める。12歳のダリオ氏はその後大学に行き、そしてウォール街で働き始めた。最初のキャリアではコモディティを担当していたらしい。その辺りのことは以下の記事で報じている。

レイ・ダリオ氏、上司を殴って会社を辞めた時のことを語る



株式の買い持ちだけでは勝てない時

様々な資産クラスを見るなかで、ダリオ氏は株式市場を予想するためにも他の市場の知識が必要だということに気付くようになる。

多くの個人投資家は単に株式を買い持ちにするだけだろうが、例えばそれは株式全体が長期的に下がる相場では長期的に損失を出すトレードとなってしまう。

例えばダリオ氏は次のように言っている。

1966年から1984年まで米国株の実質リターンはマイナスだった。

1966年(の下げ相場)が1970年の景気後退を引き起こし、それによってアメリカ政府がドル紙幣とゴールドの交換の約束を反故にしなければならなくなった。通貨の減価だ。

それが1970年代の経済状況の原因となった。資産価格は下がり、1973年から1974年の下落相場やオイルショックなどが起こった。

これは1966年から始まり、1970年から1980年にかけてピークを迎えたアメリカのインフレ相場のことである。詳しくは以下の記事で説明しているが、物価の高騰と厳しい利上げによって米国株は実質的にほとんど3分の1の価値になった。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
株価を動かすマクロ要因

当たり前だが物価高騰には原油価格の上昇など様々な要因が絡んでいた。株式会社の業績だけではなく、コモディティなど様々な市場や為替要因、インフレ率やGDPなどマクロ経済の状況を考えなければ当時のインフレ相場を生き抜くことは出来なかった。

ソロス氏とともにクォンタム・ファンドを創業したジム・ロジャーズ氏は、著名投資家のインタビュー集『マーケットの魔術師』のなかで次のように言っている。

インドネシアのパーム油がどうなっているかを知らずにアメリカの製鉄株にどうやって投資できるだろうか?

ダリオ氏はこう続けている。

そのときわたしは株価にとってマクロが非常に大きな意味を持つことに気づいた。マクロ要因を理解することが必要だった。

それで株をいつでも買い持ちにするのではなく、空売りもする必要があると学んだ。それがマクロの投資家になった理由だ。マクロの要因がすべてを動かすからだ。

個人投資家には空売りを危険だと思う人が多いかもしれない。だがグローバルマクロの投資家から言わせれば、空売りをしない方が危険である。下げ相場でも勝てる投資家にとっては、買いオンリーという下げ相場でほぼ確実に負ける戦略を取ることは考えられない。長期の下落相場を買い持ちにすることはほとんど死を意味する。

ダリオ氏が言っているのはそういうことである。そして今の投資家にとっての問題は、1970年代の米国株の推移が実証したように、インフレ相場での株式のパフォーマンスは非常に悪いということである。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/27644

NISA界隈の人々が株式はインフレに強い と言っているのを目にするが事実に反する完全な出鱈目である。1970年代の相場も勉強したことがないのだろう。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/28426

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/42723
20:777 :

2024/01/09 (Tue) 06:43:55

ロジャーズ氏: バブルの頂点で買い始めるのは個人投資家だけではない
2024年1月8日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/43232

ジョージ・ソロス氏と共にクォンタム・ファンドを設立したことで有名なジム・ロジャーズ氏が、バブル崩壊前の株式市場の特性について語っている。

ロジャーズ氏の米国株相場観

現在、米国株のバリュエーションは歴史的な割高水準にある。それについては以下の記事で説明している。

2024年の米国株の推移予想
ロジャーズ氏も株価水準は割高だと思っている。そしてその上で次のように指摘している。

わたしはまだ株を空売りしていない。だがバブルの兆候は現れ始めている。

株式市場では一部の銘柄だけが上がり続けている。それらの銘柄は毎日上がる。株式市場には経験の浅い新たな参加者が流入してきている。彼らは「株式市場は楽しい」「投資は簡単だ」と言っている。

日本では、まさに米国株が天井となった数年前頃からつみたてNISAとかいうものが流行り始めたことが挙げられるだろうか。彼らは「長期分散投資をすれば株式投資は安全」を合言葉に、実際に存在するリスクをガン無視して株式投資に励んでいる。

「株式の長期投資はほぼ儲かる」という幻想は金融庁の「基礎から学べる金融ガイド」から来た
盲目的に株式を買うだけで儲かるならば投資は簡単ではないか。ロジャーズ氏は次のように言っている。

投資が簡単だということはわたしのキャリアで一度もなかったのだが。それが誰かにとって簡単だと誰かが言っているなら、それは多分何か良からぬことを意味している。

向こう見ずな投資家

そうしたリスクをガン無視した素人は、確かに個人投資家に多い。だが金融業界にいる人間ならば誰もが知っているだろうが、そうした人々は個人投資家だけではない。

司会者が「あなたは個人投資家の動きを心配していましたね。個人投資家はいつもパーティーに遅れてやってきて、それがバブルの天井のサインとなる」とロジャーズ氏に言うと、ロジャーズ氏は次のように返している。

個人投資家だけではない。誰でも同じ状況になりうる。もし本当に個人投資家だけがミスを犯す投資家なら良かっただろうが、実際にはわたしたちの誰もがミスを犯す。

最初のやり取りで注目して欲しいのは、ロジャーズ氏は一度も「個人投資家」とは言っていないことだ。

金融業界にもパーティーに遅れてやって来るトレーダーはごまんと居る。例えばロジャーズ氏は以前、金融業界に居た「26歳の若者」について語っている。

ジム・ロジャーズ氏: 26歳の若者は最高だ
また、本当に優れた投資家であってもパーティーの天井にやって来て大損することもある。

例えばクォンタム・ファンドにおけるロジャーズ氏の後輩で、マーケットタイミングに関して世界屈指の嗅覚を誇るスタンレー・ドラッケンミラー氏のキャリア最大の失敗は、恐らく2000年のドットコムバブルでバブル崩壊を予想しながら天井を掴んでしまったことだろう。

ドラッケンミラー氏、ドットコムバブル崩壊で大損してクォンタム・ファンドを辞める羽目になった時のことを語る
結論

確かに個人投資家の多くは、何も考えずに多くの人が行なっている投資をリスクの少ない投資だと無根拠に誤認している。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
だが優れた投資家も長いキャリアの中には同じ状況に陥ることもある。

プロと素人の違いは何か。まず少なくともプロはパーティーに遅れてやって来てしまうことの無いように細心の注意を払っている。素人のほとんどはそもそもパーティーに遅れてやってくるという概念自体を知らない。彼らは何も考えていない。

だがそれを避けるように細心の注意を払っているプロであってもたまにはそこに嵌ってしまうわけである。であれば、何も考えてない素人が何故それを避けられると思えるのだろうか?

また、ドラッケンミラー氏のように自分の投資能力に自信のある人間は自分の失敗体験を気にしていない。投資家はすべてのトレードで勝たなければならないのではなく、平均で勝てば良いということを理解しているからである。実際、彼はドットコムバブル崩壊で大損した2000年をプラスのリターンで終えている。

ドラッケンミラー氏、ドットコムバブル崩壊で大損してクォンタム・ファンドを辞める羽目になった時のことを語る
ドラッケンミラー氏は上司だったジョージ・ソロス氏について、著名投資家のインタビュー集である『新マーケットの魔術師』で次のように述べている。

ソロスはトレードで失敗することもわたしがこれまで会ったトレーダーの中で一番上手い。

彼は1つのトレードにおける勝ち負けなど気にしない。1つのトレードが上手く行かなくても他のトレードで自分が勝てるという自信があるからだ。

著名投資家の言葉と経験には知恵が満ちている。個人投資家のつみたてNISA口座には何が満ちているのだろうか。


新マーケットの魔術師
https://www.amazon.co.jp/%E6%96%B0%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AE%E9%AD%94%E8%A1%93%E5%B8%AB%E2%80%95%E7%B1%B3%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%BC%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%8C%E8%AA%9E%E3%82%8B%E6%88%90%E5%8A%9F%E3%81%AE%E7%A7%98%E5%AF%86-%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA-%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BBD-%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%AF%E3%83%83%E3%82%AC%E3%83%BC/dp/493910334X?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&keywords=%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AE%E9%AD%94%E8%A1%93%E5%B8%AB&qid=1683609665&sr=8-8&linkCode=sl1&tag=globalmacrore-22&linkId=e669f358017199c2a82f91341e23943e&language=ja_JP&ref_=as_li_ss_tl

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/43232
21:777 :

2024/01/09 (Tue) 19:37:54

2024年、株式市場が嵐に見舞われる可能性/ 実践!エリオット波動 有川和幸さん
収録日:2024年1月8日
https://www.youtube.com/watch?v=kk4vI5Bt3jA
22:777 :

2024/01/20 (Sat) 07:09:07

レイ・ダリオ氏: 2024年の金融市場で投資家はどうすべきか
2024年1月17日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/43492

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が、世界経済フォーラム(通称ダボス会議)においてCNBCのインタビューに答え、2024年において投資家はどのようなポートフォリオを持てば良いかについて語っている。

2024年の戦争リスク

ダボス会議におけるインタビューということもあり、やはり話題が行くのは地政学リスクである。ウクライナとパレスチナで戦争が起こっている。

こうした要因は金融市場にどういう影響を及ぼすのか? ダリオ氏はこう語っている。

地政学要因について考えると、地政学リスクは資産価格に反映されていない。市場参加者にとって地政学リスクを考えるのは難しいからだ。

史上最高値付近で推移する米国株が戦争を気にしていないのは明白だが、同時に下落している国債の金利水準も原油価格高騰によるインフレリスクをまったく織り込んでいないと言えるだろう。ポール・チューダー・ジョーンズ氏も同じことを言っていた。

チューダー・ジョーンズ氏: 金融市場はイスラエルリスクを過小評価している
資産価格の水準

だが全体的に見れば、ダリオ氏は資産価格の水準を高過ぎるとは思っていないようだ。彼は次のように述べている。

政治的要因を除けば、資産価格は現在非常に魅力的でもなければ、非常に魅力がないわけでもない。

これはダリオ氏にとって債券にも株価にも当てはまるようだ。ジェフリー・ガンドラック氏とは違った見方である。

ガンドラック氏の米国株予想: S&P 500はダブルトップを形成して下落する
ダリオ氏の相場観によれば、金融市場に買うべきものも空売りするべきものもないということになる。では投資家はどうするのか? ダリオ氏はこう続けている。

問題は、中立的なポジションがどういうものかということだ。わたしは今中立的なポートフォリオを保有している。

それは現金を多く持つということだろうか? ダリオ氏はそれを次のように否定する。

現金は中立なポートフォリオではない。多くの人は中立と言えば現金を思い浮かべるが、それは正しくない。現金は長期的にはゴミ同然の投資対象だからだ。

金本位制でなければ、政治家による紙幣印刷によって現金は長期的にはインフレで駄目になってゆく。それは歴史的事実である。「インフレになるから株式を買え」と政治家に言われて素直に従っている馬鹿たちは、誰がインフレを引き起こしているのかを理解していない。

世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな
ダリオ氏はこう纏めている。

だから中立なポートフォリオとは何かということを良く理解していなければならない。

中立的なポートフォリオ

ダリオ氏が個人投資家によく奨めるのが、どんな状況でも安定したリターンを生めるようなバランスの取れたポートフォリオを持てというものである。

世界最大のヘッジファンドが個人投資家に助言する
それは勿論株式を長期保有しろということではない。それでは長期の安定リターンを生むことはできない。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
バランスの取れたポートフォリオとは、株価が上がる局面でも下がる局面でも相場と無関係に利益を生むポートフォリオである。

本物の分散投資

だが個人投資家にそれを奨めるダリオ氏は、それが実際には資産運用において一番難しいことだということを見落としている。相場の上がり下がりとは無関係に利益を生むポートフォリオは、すべてのヘッジファンドマネージャーの夢だろう。

それは本物の分散投資である。だが本物の分散投資とは、例えば世界中の株式を保有することではない。それはむしろ偏っている。本物の分散投資とは、例えば株式を買い持ちにした場合には、株価が下がった場合に利益を生むようなポジションを同時に形成することである。

ヘッジファンドの始祖とも言えるジョージ・ソロス氏は著書『ソロスの錬金術』で、一見相反するポジションをポートフォリオに追加することについて次のように言っている。

1つの仮説にすべてを賭けるというのは、私にはめずらしい行為である。普通は、少なくとも部分的に矛盾する仮説に従って行動している。

原則として、妥当性を持つ仮説に基いてつくったポジションは手放さないことにしている。そして新しい仮説に基いて反対方向のポジションを追加する。その結果、調整する必要のある微妙なバランスを適宜調整できるようになる。

そしてすべてのポジションが互いにリスクを軽減し合うように計算された、理想的で分散されたポートフォリオが出来上がってゆく。

それは「長期分散投資」を単にインデックス投資だと思っている金融庁のド素人たちや、自分の頭で考えずに他人の個々のポジションを真似して儲けようと思っている馬鹿たちには理解できない、資産運用の分野における本物のアートである。


「株式の長期投資はほぼ儲かる」 という幻想は金融庁の「基礎から学べる金融ガイド」から来た
ジム・ロジャーズ氏: 他人の意見で投資をするとほぼ間違いなく失敗する

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/43492
23:777 :

2024/01/28 (Sun) 18:39:18

ガンドラック氏: インド株は30年前の中国株と同じ状況、買って放置しておけ
2024年1月27日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/43749

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、自社主催の座談会で新興国株式、特にインド株について語っている。

米国株の長期上昇トレンド

米国株は過去40年間素晴らしいリターンを上げてきた。それは長期の上げ相場だった。

その上げ相場は1980年に始まった。何故ならば、1970年代のインフレ相場の後、長期的に上昇していた金利が1980年に遂にピークに達し、金利はそこから下落したからである。

その後40年に渡ってアメリカの金利は長期的に下がり続け、米国株を支え続けた。一方で日本ではバブル崩壊後に金利がゼロに達し、それ以上金利低下が得られなかったために株式市場は30年近く停滞した。

このように、金利の上下は株式市場に大きな影響を持っている。そして問題は、インフレによってアメリカでも金利の低下が終わり、むしろ金利を上げなければならなくなったことである。

そのような状況にある米国株について、ガンドラック氏は次のように述べている。

米国株は長らく他の国の株式、特に新興国株式よりも良いパフォーマンスを発揮してきた。それは長いトレンドだった。だがそのトレンドは壊れたようだ。

スタンレー・ドラッケンミラー氏も金利を理由に米国株の長期上昇トレンドは終わったと判断している。

ドラッケンミラー氏: 米国株が長期的には常に上昇するという信仰は間違い
逆に言えば、幸いなのはインフレがそれほど酷くなかったためにアメリカほどの利上げが必要ではなかった国々である。

アメリカでは莫大な現金給付によってインフレ率は2%程度から9%まで上がった。だがそれほどのばら撒きを行わなかったためにインフレがそれほど酷くない国もある。

また、アメリカでは金利上昇は莫大な政府債務への利払いが増加することを意味するが、政府債務が少ない国では利上げの悪影響も小さい。

何処の国に投資するべきか

だからガンドラック氏はアメリカ以外の国の株式を推している。だが具体的にどの国が良いのか。ガンドラック氏は次のように続けている。

これは毎年言っていることだが、現在はこれまで以上に確信している。

孫の大学の教育費のような長期的の話ならば、インド株式ETFを買ってただ放置しておけ。

最近、著名投資家の中でインド株が話題である。Bridgewaterのレイ・ダリオ氏もインド株を推奨していた。

レイ・ダリオ氏: インドにもっと投資できれば良いのだが
何故か。ガンドラック氏は次のように説明している。

インド株は上がる。10倍になる。 インドは30年、35年前の中国とまったく同じ状況にある。

30年前、中国は地方から都市部への人口流入によって労働力が急増し、それに対応するために変化が起こらなければならなかった。それが今のインドの状況だ。

結論

多くの個人投資家が、ただ買って放置しておけば儲かると思って米国株をつみたてNISAに詰め込んでいる。だがプロの視点から見れば、現在は米国株を証券口座に詰め込むタイミングとしては最悪である。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
だがガンドラック氏から彼らに朗報がある。ガンドラック氏は次のように言っている。

インド株だけがわたしの今のお気に入りだ。株価の動きを見ることさえない。何ヶ月も気にしていない。これは長期のシナリオだからだ。

ガンドラック氏によれば、インド株はただ買って何十年も放置できる銘柄だそうだ。

金利を理由に米国株に見切りをつけている著名投資家は多く、彼らは米国株の代わりを探している。ジョン・ポールソン氏はギリシャ株を推していた。

ポールソン氏: 奇跡の復活を遂げたギリシャ株はまだまだ上がり続ける
だがここに個人投資家にとっての問題がある。過去40年の米国株のようなパフォーマンスが欲しければ、過去40年の金利低下によって株価が上がったがその株高の原因がもはやなくなっている米国株を選ぶのではなく、過去40年の米国株と同じようなパフォーマンスに今後40年なるような国を自分で選ばなければならないということである。

結局、将来を予想できなければ投資で利益を得ることはできない。それだけの話なのである。それだけの話が分かる人間だけが利益を得、そうでない人間は損をするだろう。簡単な話ではないか。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/43749
24:777 :

2024/03/21 (Thu) 22:58:24

ドラッケンミラー氏: 今利益の出ている会社の株を買うな
2024年3月19日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/46187

ジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを長年運用したことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏が、投資を行なうべきタイミングについてHow Leaders Leadのインタビューで語っている。

何にいつ投資すべきか

ドラッケンミラー氏のインタビューを引き続き紹介しているが、今回の話題は売買のタイミングである。

ドラッケンミラー氏は化学株を例に出して次のように語っている。

化学株を買うべきタイミングはいつか? ウォール街の常識ではその企業が大きな利益を出している時に買うべきだということになる。

だがそれは化学株を買うべきタイミングではない。何故ならば、大きな利益が出ている時には化学企業は資本を使って生産能力を拡大し、3年か4年後には供給が過剰になって損失を出しているからだ。

多くの産業にはサイクルがある。好景気の中には後の不景気に繋がる種があり、不景気の中には後の好景気に繋がる種がある。

例えば半導体などもそうだが、化学産業は非常に経済サイクルに左右されやすい産業である。景気によって需要が大きく左右される産業では、生産能力の調整が問題となる。何故ならば、需要が急に減ったり増えたりしても、生産能力は需要ほど急激には増減させられないからだ。

急に需要が増えたからと言って、設備投資は数日で済ませられるものではない。逆に急に需要が減っても作ってしまった設備は何年も使えるものなので、需要が減っている中で市場に製品があふれ価格が下がるということになってしまう。

サイクルがあることは化学企業にも分かっているのだが、サイクルを読むことは容易ではない。だから基本的には企業は好景気の時に設備投資を増やし、不景気の時に設備投資を減らす。

結果的に好景気は設備投資を呼んでその後の供給過剰の原因となってしまう。特に、それがたまたま景気後退と重なってしまった時は悲惨である。

ドラッケンミラー氏が言っているのはそういうことである。彼は数年後の供給過剰が予想される好景気に化学株を買うべきではないと言っている。

だが彼はこう続けている。

では化学企業が損失を出している時はどうか? 企業は生産能力を拡大するのを止めるので、3年か4年後には供給が落ち込んで利益率が大きく上がっているだろう。

結論

ドラッケンミラー氏が言っているのは、単に利益を出ている株を避けよということではない。「今利益が出ている」ことを理由に投資してはいけないということである。

ドラッケンミラー氏はこう纏めている。

投資家は常に18ヶ月から24ヶ月後に世界が今と比べてどうなっているかを想像しなければならない。

あらゆる投資にはサイクルがある。化学株には数年のサイクルがあり、株式市場全体には9年の上げ相場と1年の下げ相場という10年程度のサイクル(ドットコムバブル、リーマンショック、コロナショック)があり、更に金融市場全体には40年から50年のインフレとデフレのサイクルがある。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
どのような方法で投資をしても、投資家はサイクルから逃げられない。短期投資すれば短期のサイクルに、長期投資すれば長期のサイクルに左右される。どれほど長期で投資をしてもそこにはサイクルが存在するからである。

だから自分の投資をしているタイムフレームと、そのタイムフレームに合ったサイクルを考え、自分の投資のタイムフレームと、そのサイクルにおけるタイミングが果たして合っているのかを考える必要があるのである。

インフレ相場での最良の投資方法は株の空売りを除けば株式投資ではなく預金
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/46187

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