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株価は長期金利と企業利益で決まる。

1:777 :

2022/08/19 (Fri) 11:59:47

株価は長期金利と企業利益で決まる。


米国株の今後の見通し: 企業利益激減で株価は再び暴落へ、空売り再開
2022年8月17日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/27199

年始の予想通り米国株はインフレと金利上昇懸念で一度暴落したが、その後株価は回復している。筆者は少しの間様子を見ていたが、そろそろ年末へ向けての株価予想を本格的に考えるべきだろう。

米国株の今年の推移

米国株については年始の記事で下落を予想した。以下の記事では株の空売りと、エネルギー資源や農作物などコモディティ銘柄の買いを推奨している。

2022年のスタグフレーションに投資する方法 (2022/1/20)
その理由は上記の記事でも書いた通りインフレの悪化(ものの値段が上がる)とその結果としての金利上昇(株価に悪影響となる)を予想したからである。

投資をしている読者には周知の通り、この投資戦略は売りと買いの両面で成功し、筆者に莫大な利益をもたらしてくれた。しかしその後、インフレに陰りが見え始めると、利益確定に動き始めた。以下の記事などに書いているが、6月末から7月初めのことである。

急速にデフレを織り込み始める金融市場 (2022/7/2)
このトレードは結果としては正解だった。何故ならば丁度その辺りのタイミングから米国株が反発を始めたからである。米国の主要な株価指数S&P 500のチャートは次のように推移している。


米国株は今後どう推移するか

さて、では米国株はこれからどうなるだろうか。

これまでの下落と反発は、純粋に長期金利に反応したものだと言えるだろう。アメリカの長期金利は次のように推移している。


綺麗に株価と反相関している。金利上昇は株価にマイナスであり、金利低下はプラスだからである。

だがここで筆者が思うことが1つある。市場参加者が金利に注意を払うのは良いが、株式市場に影響を及ぼすもう1つの重要なものを忘れていないか?

ここの読者であれば筆者が何を言いたいのか分かる人もいるかもしれない。それは企業利益である。

企業利益の推移予想

企業利益とは、当たり前だが企業の売上から費用を引いた利益のことである。それは企業の利益だが、要するに誰のものかと言えば、株主のものである。

だから企業利益とは株式投資で株主が得られる利益そのものであり、その上下は当然株価に影響を与える。株価のほとんどの部分は金利と利益で決まると言える。

そのアメリカの企業利益は、今のところ次のように推移している。(データは2022年第1四半期までのものである。)


注目すべきなのは、コロナ後に企業利益が大幅に増えていることである。これはコロナ後の株価回復の大きな原因となっている。

だから株高が続くかどうかというのは、企業利益が高いまま推移するかという質問に等しい。インフレが収まらない以上、長期金利の大幅な低下は見込めないからである。

コロナ後の企業利益上昇の原因

ここで考えてほしいことがある。コロナ後に企業利益が爆発的に上昇した理由は何かということである。

ここの読者には言うまでもないだろうが、それは現金給付を含む米国政府の大規模なコロナ対策である。それは企業利益を持ち上げ、そして物価高騰を引き起こした。

サマーズ氏: インフレは政府のコロナ対策が引き起こした
ここまでは良いだろう。だが市場参加者がほとんど誰も気付いていないことがある。もう一度企業利益のチャートを見てもらいたい。


この高水準の企業利益だが、そして誰も気付いていないのだが、これは何もしなくてもこの水準に留まるわけではない。

この高水準の企業利益を維持するためには、2020年と2021年に緊急手段として行われた莫大な財政支出を今後も続けて行かなければならない。そうでなければ企業利益は元の水準まで低下してしまうのである。

だが株式市場はこれをまったく織り込んでいないし、アナリストの予想は企業利益が勝手に引き続きこの水準で推移するという織り込みになっている。

だがアメリカの財政収支の方はどうなっているだろうか? チャートを見てみよう。(こちらは第2四半期までのデータが出ている。)


これは財政収支のチャートだから、下方向が赤字(現金給付などに使った分)ということになる。2020年と2021年に大きく支出をし、その後赤字は縮小して、最新の第2四半期の数字は久々の黒字になっていることが分かる。

つまり、2020年と2021年の莫大な支出の後、アメリカ政府は財布の紐を締めている。このまま行けば、2022年はコロナ前の水準より引き締まった財政状況になるだろう。そしてそうならざるを得ない。財政支出を行えば、ただでさえ8%を超えているインフレ率が更に悪化するからである。

さて、ここまで言えば読者にももうお分かりだろう。政府が一時的に注ぎ込んだ資金が企業利益を押し上げた。それが以下の状態である。


この高水準を維持するためには、財政赤字もまた突出した水準で維持されなければならない。

だが実際には財政赤字は、コロナ前よりも引き締まった状態に戻ろうとしている。そしてその分の莫大な資金流出を補うような資金源は、何処にもありそうにない。

よってこれが結論である。下向きに突き出した財政赤字が引っ込む場合、当然ながら上向きに突き出した企業利益も同じように引っ込まなければならない。

だが誰もこのことに気付いていないようだ。

株式の空売りを再開へ

ということで、米国株の空売りを再開する。S&P 500は以下のように推移している。


簡単に言えば、このチャートも企業利益の予想される動きと同じようにならなければならないということである。企業利益のチャートと比べてみれば動きがよく似ているのが分かる。


金利上昇に反応して一度急落した米国株は、企業利益の減少に反応してもう一度暴落するだろう。

2022年インフレ株価暴落は個人投資家が全員退場するまで続く
短期的な投資戦略

大雑把には上記の通りだが、最後にもう少し細かい投資戦略について書いておこう。

まず言えるのは、今がピンポイントで米国株の天井だということを言い当てることはできないということである。例えば筆者は年始に米国株の空売りを始めたが、実際には天井は年末だった。

2022年のスタグフレーションに投資する方法 (2022/1/20)
1ヶ月のずれがあったということである。

また、2018年の世界同時株安を的中させた時にも、空売り開始から天井まで同じくらいのラグがあった。

バブルの頂点で日経平均は上昇、空売りを淡々と継続 (2018/9/20)
だから恐らく今回も同じようなラグがあると想定するのが安全である。

一方で確かなことは何だろうか。財政支出による資金流入がなくなった分を穴埋めする何かがなければ、企業利益は降下して行かざるを得ないということである。

それは恐らく、今年の第4四半期の企業利益が決算で明らかになる来年2月頃か、どれだけ遅くとも来年の第1四半期の状況が判明する5月頃には完全に明らかになっているだろう。

つまり、米国株は今から秋頃にかけて天井をつけ、そして来年前半には企業利益のしかるべき水準に収束していなければならない。これに反論するためには、財政赤字以外の企業利益の出処を示す必要があるが、それが出来る株式の買い方は居ないだろう。(居たら教えてほしい。)

プットオプションの買い

この状況を考えると、安全な投資戦略の1つは、プットオプションの買いである。

プットオプションは株価が下落すれば利益が出る金融商品で、保有期間に応じて保険料を支払う代わりに、株価が上昇した時にも損失は(一般に)数パーセントに限定されるというものである。

この状況で何故プットオプションが良い戦略かと言えば、以下のように株価のボラティリティが下がっているからである。


このようにボラティリティ指数は投資家の楽観を反映してかなり低い水準まで下がっているが、もう一度米国株が暴落するとすればこれがもう一度跳ね上がることになる。

そしてそのような状況では保険の価値が跳ね上がるので、プットオプションの保有者は株価の下落とボラティリティの上昇の両方から利益を得られる可能性がある。

一方で現在の水準が仮に天井でなかった場合にも損失は限られる。ここから秋頃まで株価が上がり続ければ、保険料を支払った上で高い株価で再び空売りをするだろう。

結論

ということで、読者にはお待たせしたが年始の記事に続き、今年の株価の推移予想第2ラウンドである。

著名投資家らの相場観も同時に参考にしてもらいたい。

ドラッケンミラー氏: 株価が上昇したら空売りを再開する
世界最大のヘッジファンド: 40年続いた米国株強気相場が崩壊する
ポズサー氏: 米国株暴落でコロナ株安時の底値に逆戻りする可能性

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/27199

2:777 :

2022/08/19 (Fri) 12:02:38

40年続いた米国株強気相場が崩壊する、米国株は30年上がらない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14007513

アメリカの政策金利はこれから 5%以上に上がって世界恐慌を引き起こす
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14009793

エリオット波動でみると日経平均は2050年まで上昇 _ 宮田直彦 日本株はもうすぐ大暴騰する
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14031612

日銀が 2011年から500兆円も ばら撒いたので「超円安・輸入物価高の時代」に変わった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14010201

40年間続いた「円高の時代」は既に2011年10月に「円安の時代」へとパラダイム・シフトしていた
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14004475

日銀総裁はロスチャイルドの手先 _ 黒田東彦総裁は完全なバカだった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14009730

ロシアを滅ぼそうとしているジョージ・ソロスの正体
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14006933

中国に投資して儲かる可能性は完全にゼロ
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14017339

自称 数学者・経済学者の髙橋洋一は 完全なバカ か 詐欺師 のどちらかだった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14009765

三橋貴明には気をつけろ・・・「日本はこんなもんじゃない」という幻想」
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14003160

株式投資は企業への投資ではない _ 外資が儲けたらそれと同額だけ日本が損する
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14008776


株で儲ける方法教えてあげる(こっそり)
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14005993


3:777 :

2022/08/30 (Tue) 22:50:34

株式市場は金融緩和を続けられる限り長期的に上がり続ける

日本株のバブルが1989年に崩壊し、その後低迷したのは金利がゼロになってそれ以上下げられなくなったからであり、その後株価が上昇を再開したのはアベノミクスで量的緩和という新たな緩和手段を開始した後である。

米国株でも日本株でも、「金融緩和があれば株価は長期的に上がる」。そしてこれからの相場では物価高騰が天井知らずになってしまうので金融緩和は出来ない。 米国株はこれから 30年上がらない。


▲△▽▼


「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
2022年8月30日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/27644

世界的なインフレが実体経済と株式市場を襲っている。インフレについてはここでは2020年から警告し続けていたことであり、株安についても年始から予想していたことである。

しかしはっきり言うが、まだ何も始まってさえいない。ここからが物価高騰という地獄の本番である。

長期投資

そもそもインフレの何が恐ろしいのかということを復習しておきたい。前回の記事では現在のいわゆるつみたてNISAによる株式投資ブームが最悪のタイミングで始まったことを説明した。


株式投資ブームに乗った時点で個人投資家の損失はほぼ確定している
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/27593

だが金融庁にそそのかされた素人たちはこう言うかもしれない。仮にこれから株価が暴落しても、積み立て続けていれば長期的にはプラスになるのではないか? 特に米国株はこれまで40年、長期的には上がり続けたではないか。

先ず第一に、このつみたてNISA詐欺がよく出来ているのは、自分の保有する資産の価値がどれだけ下落しても、「でもまだ40年経っていないから」という理由で常に正当化できるということである。

期限を定めない投資は定義上絶対に失敗することがない。いくら失敗していてもそれは永遠に確定しない。

だがそれで誰かが幸せになることもない。いや、彼らは金融庁から投資信託という不必要に手数料の高いものを押し付けられているのだから、銀行や証券会社はあなたがたの手数料で幸せになるのだが。

米国株の長期上昇相場

しかしそれよりも考えなければならないのは、何故米国株は40年上がり続けてきたのかということである。一方で日本株は1989年のバブルの高値をいまだ超えられていないので、30年以上利益が出ていないことになる。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2022/08/2022-8-30-nikkei-225-long-term-chart.png


よって株式投資が長期的には常に利益を出すという幻想は単純に事実に反する。日本株でなくとも長期的に下がり続ける株式はいくらでも存在する。前回の記事でも言ったが、結局は投資はいくらで買うかということであり、買うタイミングを間違えれば損をして当然である。

株式投資ブームに乗った時点で個人投資家の損失はほぼ確定している
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/27593

一方で、米国株はここ40年長期的には上がり続けている。それが彼らの頼る根拠である。しかし致命的な問題がある。それは、彼らのほぼ全員が何故米国株が40年上がり続けてきたのかについてまったく知らないということである。

米国株が40年上がり続けた理由

統計的相関関係と因果関係を区別できない人は多いが、論理的に考えてもらいたい。「米国株は40年上がり続けたからこれからも上がる」と主張するためには、40年上がり続けた理由をまず発見し、それが今後も存在し続けることを証明しなければならない。

当たり前だろう。これが出来ていない時点でその人の投資は破綻しているのだが、誰もそれに気づいていない。

では米国株が40年上がり続けた理由は何か。そもそも何故筆者は10年や20年ではなく40年と言い続けているのか気になっている人も多いだろう。それは40年前に何かがあったからに他ならない。

それは厳密には1981年のことであり、1981年はアメリカで金融緩和が長期的に開始された年である。

金融緩和というのは、要するに金利を下げるということである。そこでアメリカの長期金利のチャートを見てみると、1981年を頂点にそこから40年下がり続けている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2022/08/2022-8-30-us-10-year-treasury-bond-yield-long-term-chart.png


何故ここが頂点になっているかというと、ここの読者には周知の事実だが、1970年代にアメリカでは物価高騰が起こり、金融引き締めを行なっていた。つまりは金利を上げ続けていたということである。

そしてインフレが1980年頃に収まったため、ようやく金利を下げることができるようになった。その後、アメリカの金利は上記のように下がり続けてきた。

金利低下と株価上昇

そしてそれが株価を40年間支え続けてきたのである。リーマンショックのような事態になっても長期的な株安にならなかったのは、即座に金融緩和を行なって株式市場をバブルにすることが出来たからである。それが長期的な経済停滞の原因になっているのだが、それはまた別の話である。

ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/7103

そしてようやくコロナ後のインフレの話になる。薬物と同じで金融緩和は何度も続けると効きが悪くなってくるので、回数を増すごとに過激にならざるを得ない。そしてコロナ後の現金給付は明らかにやり過ぎたのである。ついに物価高騰が起きてしまった。

サマーズ氏: インフレは政府のコロナ対策が引き起こした
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/25100


40年起こっていなかったインフレ相場の到来である。このような大きな相場の転換点にいるということを、投資家は意識しなければならない。そしてある程度知識のある投資家であれば、インフレが株価にとって非常に悪いということを知っている。

何故か。金融緩和ができなくなるからである。これまではデフレだったからいくらでも緩和をして株価を上げることが出来ていたものが、今や緩和を続けるとインフレが悪化してしまう。日本ではまだましだが、アメリカやヨーロッパでは物不足は悲惨な状況になっている。これは断じてロシアのせいではない。


スペイン、脱炭素による電力不足で冷房を27度未満にすることを禁止
EU、食料価格高騰の最中、代替食品としてトノサマバッタを推奨


40年続いた金融緩和を失った株式市場

これである程度の頭のある人なら誰でも分かるはずである。株式市場が長期的に上がるというのはまったく事実ではない。これを正確に言い直せば、「株式市場は金融緩和を続けられる限り長期的に上がり続ける」である。

事実、日本株のバブルが1989年に崩壊し、その後低迷したのは金利がゼロになってそれ以上下げられなくなったからであり、その後株価が上昇を再開したのはアベノミクスで量的緩和という新たな緩和手段を開始した後である。

このように米国株でも日本株でも、「金融緩和があれば株価は長期的に上がる」という命題は普遍的に正しいように観測できる。そしてこれからの相場に金融緩和があるかどうかと言えば、ない。物価高騰が天井知らずになってしまうので金融緩和は出来ない。むしろ金利は高い水準で長期間維持されるだろう。

そういう状況下で株式市場はどうなるか。米国株は40年上昇相場を続けてきたのだから、その40年間より前の期間は長期の下げ相場だったということである。以下の記事で解説したが、米国株が数十年もの間下げ相場だった期間は普通に存在する。

ドラッケンミラー氏: 米国株は30年上がらない可能性
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/25829


そしてこれから始まるのは、40年の緩和バブルの後に始まるのは、そういう期間なのである。

結論

ということで、「株式投資はインデックスに長期投資していればほぼ利益が出る」という最近囁かれ始めた奇妙な幻想は完全に間違っている。

上記のように事実と因果関係をきっちり調べれば誰でも分かることなのだが、それを考えようとする人は誰もいない。要するに皆、何の努力せずにお金が儲かっていてほしいだけなのである。そういう人がつみたてNISAに吸い込まれる。そして当然の結果を持ち帰る。

株式市場は欲しいものが手に入る夢のような場所である。相場は確かに、何も考えずにインデックスに投資をするだけで儲かるかもしれないという幻想を彼らに与えてくれるだろう。

一方で株式市場は現実というおまけも彼らに与えるだろう。彼らは株価崩壊による多額の損失という対価を、その幻想のために支払うことになる。何事も手に入れるには対価が要るのであり、そして幻想は意外と高価であることを彼らは悟るだろう。


世界最大のヘッジファンド: 40年続いた米国株強気相場が崩壊する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24577

米国株の今後の見通し: 企業利益激減で株価は再び暴落へ、空売り再開
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/27199

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/27644
4:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/10 (Tue) 09:44:44

米国株は 42年間上がり続けてきた。
しかし株式市場が上昇するのは、実際には「金利が低下している間」だけである。金利が上がり始めると株式市場のパフォーマンス、特にインフレを差し引いた実質のパフォーマンスは酷いことになる。それが歴史的事実である。


米国債利回り(10年物・全期間) 長期推移
https://www.kabutore.biz/keizaisihyo/us_kokusai10y.html

米国債利回り(2年物・全期間) 長期推移
https://www.kabutore.biz/keizaisihyo/us_kokusai2y.html


NYダウの推移(1896年からの長期チャート)
https://www.kabutore.biz/shisu/nydaw.html

ナスダックの推移(1971年からの長期チャート)
https://www.kabutore.biz/shisu/nasdaq.html

S&P500の推移(全期間・年足)
https://www.kabutore.biz/shisu/shisukikan?Submit=%E5%B9%B4%E8%B6%B3&kikan=10000&code=sp500&chart=year


10年物日本国債利回りと日経平均株価の長期推移(全期間) 
https://www.kabutore.biz/keizaisihyo/sihyo_kokusai10.html

2年物日本国債利回りと日経平均株価の長期推移(全期間)
https://www.kabutore.biz/keizaisihyo/sihyo_kokusai2.html


日経平均株価の推移(1949年からの長期チャート)
https://www.kabutore.biz/shisu/nikkeiheikin.html

ドルベースの日経平均株価の推移(超長期)
https://www.kabutore.biz/shisu/dollbase_top.html?Submit=%E5%85%A8%E6%9C%9F%E9%96%93&kikan=

ドル建て日経平均と円建て日経平均とのパフォーマンス比較(全期間)
https://www.kabutore.biz/shisu/dollbase_hikaku.html?Submit=%E5%85%A8%E6%9C%9F%E9%96%93&kikan=&sisu=dollnikkei&hikaku=nikkei

ドル建て日経平均とS&P500とのパフォーマンス比較(全期間)
https://www.kabutore.biz/shisu/dollbase_hikaku.html?Submit=%E5%85%A8%E6%9C%9F%E9%96%93&kikan=&sisu=dollnikkei&hikaku=sp500


▲△▽▼


サマーズ氏: 低金利の時代は終わった、2023年からは高金利の新時代へ
2023年1月9日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32594

引き続き、アメリカの元財務長官でマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏のBloombergによるインタビューである。

前回の記事では、サマーズ氏は2023年前半にアメリカ経済が景気後退入りする可能性について語っていた。

サマーズ氏: アメリカ景気後退の可能性は下がった


だが今回は数十年というより長期のスパンでアメリカ経済を見ている部分を紹介したい。

42年間続いた低金利の時代

話の中心は金利である。金利こそが株式市場を動かし、実体経済を動かす、投資家にとってもっとも重要な数字であり、それを気にせずに投資をするのは金融庁にそそのかされて投資を始めた人々くらいだろう。

「株式の長期投資はほぼ儲かる」という幻想は金融庁の「基礎から学べる金融ガイド」から来た


だが株式であれ債券であれ不動産であれ、投資の成否は実際には金利で決まる。長期投資ならば、金利の長期トレンドで決まる。

サマーズ氏はその金利について次のように語っている。

低金利は30年来のテーマだった。低金利の時代に入っているというのが話の中心だった。

厳密に言えば、1980年から2022年までの42年である。ここの読者ならば頭に焼き付いているチャートだろうが、アメリカの政策金利の長期チャートをもう一度引用したい。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2023/01/2023-1-9-federal-funds-rate-long-term-chart.png


1970年代は今のような物価高騰の時代であり、インフレが1980年に当時のFed(連邦準備制度)の議長ポール・ボルカー氏によって抑制されると、アメリカ経済は金利低下という長い長いトレンドに入っていった。

ポール・ボルカー氏、1980年のインフレ打倒がどれだけ厳しかったかを語る


そのため低金利は多くの投資家や経済学者にとってほとんど無意識の前提のように考えられている。サマーズ氏は次のように続けている。

間違いなくコロナ前までは、それがわたしが長期停滞論とともに支持してきた考え方だった。その考え方の上に膨大な経済学的思考が築かれていた。

もう遠い昔のように感じるが、コロナ前までサマーズ氏は長期停滞論の経済学者として知られていた。彼は経済成長率の長期停滞と低金利という長期トレンドを提唱し、コロナ前までの長期にわたってそれを的中させてきた。

経済の長期停滞と低金利は、様々な結果をもたらした。1つはゾンビ企業の量産である。本来、ゼロ金利でなければとっくに倒産しているような企業でも、政府によって人工的に醸成されたゼロ金利によって自由に借金をすることで延命され続けた。

レイ・ダリオ氏はこれを共産主義になぞらえて批判していた。

世界最大のヘッジファンド: 共産主義の悪夢が資本主義にのしかかる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10831


こうして大量に生産されたゾンビ企業は、借金を積み上げながら誰も買わないような製品を量産し続けた。それが先進国の長期デフレ・低成長の原因である。日本政府は「デフレスパイラル」という言葉をよく使うが、それは彼らが自分で引き起こしたことである。

ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶


だがゼロ金利は紙幣印刷に進化し、紙幣印刷は現金給付に進化した。そしてばら撒き過ぎた資金によってデフレはインフレに転換する。デフレとインフレはコインの両面であり、酷いデフレは酷いインフレに簡単に転換する。

インフレ率自体は問題ではなく、その振れ幅が激しいということ、それが政府の政策によってもたらされているということが、問題の本質なのである。

ガンドラック氏の景気後退予想: 現金給付のツケを払うことになる


そして42年の金利低下がもたらしたもう1つのトレンドが、株価の上昇である。米国株は確かに42年間上がり続けてきた。その事実に着目する人が多い一方で、何故上がり続けてきたのかという原因を探る人はほとんど居ない。彼らは宝くじでも買うつもりで株を買っているのだから、宝くじと同じような結果になるだろう。

株式投資ブームに乗った時点で個人投資家の損失はほぼ確定している


低金利の時代は続くか

しかし株式市場が上昇するのは、実際には「金利が低下している間」だけである。金利が上がり始めると株式市場のパフォーマンス、特にインフレを差し引いた実質のパフォーマンスは酷いことになる。それが歴史的事実である。

だから投資家にとってはこの金利が2023年以降どうなるかということが問題なのである。

現代最高のマクロ経済学者であるサマーズ氏はどう考えているか? 彼はこう述べている。

2023年以降、低金利の時代に戻るという考え方が、金融市場にメインシナリオとして根付いている。Fedは0.5%の実質金利を予想している。市場の予想インフレ率は2%前半だ。10年物国債の金利は3.7%程度で推移している。

そうなる可能性はある。人口動態、不平等、安価な設備といった長期停滞の力はすべて強い。

人口動態というのは少し懐かしい単語だ。コロナ前までのサマーズ氏の長期停滞論の中心に置かれていたのは、人口の減少と高齢化が先進国のGDPを減少させるというものだった。

1人あたりGDPが同じでも、人口が減れば全体のGDPは減ることになる。高齢化が進めば、労働人口の割合が少なくなり経済の生産性は落ちる。

それが経済の低成長と低金利を推進してきた。そのデフレ要素は今も存在している。短期的に見れば、アメリカのインフレ率は下落を始めている。

11月アメリカのインフレ率は急減速継続で7.1%、ドル安加速へ


このままデフレに逆戻りするのだろうか? サマーズ氏はこう予想している。

だがわたしの予想はこうだ。第2次世界大戦の時に、戦争が終われば経済は長期停滞と低金利・低成長の時代に戻ると予想した人々が間違っていたように、2023年以降も同じようになるだろう。

何故か。人口動態を強調してきたサマーズ氏でさえ認めざるを得ないように、結局はインフレは政府が一番の原因だからである。ウクライナ情勢ではなく現金給付がインフレの原因であったように、今後インフレになるかどうかは政府が資金をばら撒くかどうかにかかっている。

ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由


サマーズ氏は次のように続けている。

今は政府債務比率高騰の新時代だ。国防費などのために財政赤字は大きく拡大し、インフラ需要や世界中で起こっているグリーンエネルギーへの転換のために設備投資への需要が急増している。

インフレとは供給に対して需要が過剰であることである。ばら撒かれた現金で人々がものを買い漁ったことがインフレの原因だった。だがレイ・ダリオ氏は次のように言っていた。

世界最大のヘッジファンド: 共産主義の悪夢が資本主義にのしかかる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10831


われわれが消費をできるかどうかはわれわれが生産できるかどうかに掛かっているのであり、政府から送られてくる紙幣の量に掛かっているのではない。

紙幣は食べられない。

賭けてもいいのだが、人々は今後も生産せずに紙幣が上から降ってくるのを口を開けて待つような人生を続けるだろう。それこそがインフレの根本原因である。そして人は変わらない。


結論

2022年までの42年間はデフレ・金利低下・株価上昇の時代だった。人々はそれに慣れきっており、無意識的にそれを前提にしてものを考えている。

こうした資産バブルも、長くなれば「株式を長期保有していれば必ず儲かる」などという事実に反する幻想を持ち始める人々が出てくる。こういう人々は、低金利による長期の株価上昇トレンドが始まった42年前には決して株式を保有しようなどとは思わなかっただろう。彼らは株価が暴落するタイミングをわざわざ選んでいる。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由


だが株価の推移は金利次第である。

そしてサマーズ氏は次のように言う。

2023年は新たな金利動向の新たな金融時代に突入した年として記憶されるだろう。

もう一度政策金利のチャートを掲載しておこう。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2023/01/2023-1-9-federal-funds-rate-long-term-chart.png


ここから高金利の時代が始まるとすれば、株式市場の長期パフォーマンスは、過去の高金利相場において株式が長期的にどうなったかを参考に考えるべきだろう。

そして高金利下における株式の(特に実質)パフォーマンスは、実際に酷いものである。以下の記事に纏めてあるので参考にしてもらいたい。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/28426


42年間続いた低金利が高金利に転換するこの絶妙なタイミングで、 大人どころか高校生に対してまで株式投資を奨めた金融庁と自民党の天才的なタイミング能力を筆者も見習いたいものである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32594
5:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/10 (Fri) 22:08:13

米国の長短金利差-1%の意味

債券市場はアメリカ経済のハードランディングを予想
2023年3月10日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34448

2023年の株式市場の動向については様々な専門家が様々な見通しを示している。

ジョージ・ソロス氏や、彼が設立したクォンタム・ファンドを長年率いていたスタンレー・ドラッケンミラー氏は、米国株を買い増しているようだ。

ジョージ・ソロス氏、米国株を大幅買い増し、株高を予想か
ドラッケンミラー氏も米国株買い増し、Amazon.comは全株売却
一方、リーマンショックを予想したジョン・ポールソン氏や去年末のインフレ率急落を予想したジェフリー・ガンドラック氏らは株価に弱気のようだ。

ポールソン氏の2023年株価予想: 倒産が急増し株価は下落する
ガンドラック氏: 年末年始の株価上昇は幻想だった
だがもう1人、意見を聞いていない重要人物がいる。債券市場である。

債券市場の景気見通し

個人投資家の多くには馴染みの薄い債券市場だが、Fed(連邦準備制度)の利上げが2022年の株価を下落させたように金利の水準が株価にとって非常に重要であるだけでなく、1ヶ月物から30年物の国債の金利を眺めるだけでもそれは投資家に多くのことを語ってくれる。

例えば以下は2年物国債の金利である。2年物国債の金利は基本的に今後2年間の政策金利の水準を織り込んで推移する。


現在の政策金利はおよそ4.5%であり、今後5.5%まで上がることが予想されている。

2年物国債の金利はインフレ全体の数字が急落したことから一時下がっていたが、サービスのインフレが止まっていないという最近のデータを受けて再び上昇している。

基本的に金利が上昇すれば株式市場は下落しているが、パニックになっている様子はなく、金利がこれだけ上がってもまだ持ちこたえていると言って良いだろう。

債券市場のソフトランディングに対する意見

金利上昇は大した問題にならないのだろうか? ソフトランディングは可能なのだろうか。こうした問題に対して、債券市場はかなり雄弁に語ってくれる。

例えば2年物国債を、より期間の長い10年物国債の金利と比べてみよう。10年物国債の金利(いわゆる長期金利)は次のように推移している。


2つのチャートを比べてみると、10年物国債の金利は2年物国債の金利ほど上がっていないことが分かる。

長短金利逆転の拡大

これは何を意味しているか。10年物国債の金利から2年物国債の金利を引いたものを一般に長短金利差という。そして長短金利差は今後の景気見通しを占う上でよく用いられる指標である。

一般に長期金利が下がる場合、経済が弱まることを意味している。長期金利は理論的にはインフレ率と経済成長率を織り込んで推移する。経済が弱ければ一般に金利が低くなるからである。

だが一方で、今のように経済が弱くなってもインフレ退治のために金利を上げなければならない状況では、長期金利が高くても単に今後10年の金利が高くなることを意味しているかもしれない。

そこで用いられるのが長短金利差である。直近の政策金利が高くなることは2年物国債の金利に織り込まれる。だがその高金利によってより長期の経済が停滞する場合、10年物国債の金利は2年物国債の金利よりも低くなる。(つまり長短金利差がマイナスになる。)

2022年に大きな利益を出した筆者のトレードは、株価の下落を予想したことのほかに、この長短金利差がマイナスになることを予想した取引だった。

長短金利逆転を予測できた理由と今後の不況と株価暴落について
そしてその後長短金利差がどうなっているかと言えば、インフレ率急落も気にせず下がり続けている。


ほぼマイナス1%である。

長短金利差-1%の意味

長短金利差がここまで下がったことは40年前の物価高騰時代である1970年代以降例がない。

そして1970年代にはアメリカ経済はかなり厳しい景気後退に陥り、米国株はほとんど半値まで暴落している。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
当時の利上げによるインフレ退治の結果が大量の失業者を生んだことは、それを断行したポール・ボルカー議長が以下の記事で語っている。

ポール・ボルカー氏、1980年のインフレ打倒がどれだけ厳しかったかを語る
長短金利の逆転は、今のアメリカの利上げがそういう事態を生むことを予想しているのである。

結論

現在市場が懸念しているサービスのインフレ(そしてそのコストとなっている賃金のインフレ)が止まるかどうかは、当たり前だが結局のところ賃金が下がってアメリカの消費者が苦しむかどうかにかかっている。

だからインフレが落ち着くとすれば、ソフトランディングはほとんど定義上あり得ない。サービスのインフレが落ち着くためには、賃金が下がらなければならない。これはほとんど同語反復である。

サービスのインフレだけひとりで上がり続けるのか
現在の株式市場の水準はソフトランディングにならなければ維持できない。S&P 500のチャートは以下のように推移している。


長短金利差のチャートとこの米国株のチャート、どちらかが完全に間違っている。そして株式市場と債券市場の意見が異なる場合、正しいのは大体の場合より理性的な債券市場である。

金利は今のところ高止まりしているが、株価が大きく下がるならば、結局金利も下がってゆくだろう。そうなればドルも下がることになる。

それが結局のところ筆者の2023年の相場予想である。読者はどう考えるだろうか。

2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、 ソフトランディングは有り得ない


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34448
6:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/12 (Sun) 12:25:29


今年不況に陥る可能性は94%、米利上げで世界不況へ
2023.03.12
23年は世界的な不況になる可能性が高い


23年の世界経済は悪化する

日本経済研究センターは半年先の景気後退確率を毎月発表していますが、ずっと90%台の高い確率で張り付いています

米格付け大手S&Pは3月に日産自動車の格付けをジャンク級に引き下げたが理由は日産自身ではなく欧米の景気後退で自動車が売れなくなるからでした

中国はゼロコロナ政策の終了でV字回復が予想されているが23年2月の物価上昇率は前年比1%に過ぎず、L字回復になるかも知れません

日本企業の主要市場である日米欧中すべて不況が予想されているので、23年の日本の景気はかなり悪化すると予想されています

新興国や後進国の成長率は先進国よりは高いが彼らは経済規模が小さいので、ベトナムやフィリピンの成長率が高くても救いにはならない

世界的な不況の連鎖を引き起こしている始まりはアメリカの利上げと考えられ、米政策金利は23年に6%台になると予想されています

アメリカは22年に最大時のインフレ率が前年比10%になり、利上げによってインフレ率を下げようとしたが苦戦している

2月のCPI(消費者物価指数)は前年比6.4%、前月比0.5%上昇で先月の0.1%上昇より加速してしまい、またFRBがインフレに負けたのが分かった

22年の秋ごろだったかFRBの責任者は「政策金利をインフレ率と同じにする」と明言していて、その通りなら今米金利は6.4%でなくてはならない

だが利上げは景気後退をもたらすので政治的に反対する人が多く、FRBは「あるべき金利」にできず、23年3月は4,75%に留まっている

リーマンショックを始めとする世界的な経済危機は米国が利上げする過程で起きているが、6%は世界経済危機を引き起こすのに十分です

2010年にリーマンショックが終息してアメリカの超低金利で世界にお金が供給され、中国も新興国もアメリカが供給したお金で経済成長した


富裕層消費で米インフレ率が下がらない
利上げはお金を回収する事なので外貨による借金に依存している国は米利上げで緊急事態に陥るでしょう

2007年から2010年の世界経済危機で中国が最大の利益を得たが、今回は打撃を受ける側になるかも知れない

最近中国は日米欧など先進国と対立し経済制裁を受けているが、2008年頃は先進国から歓迎されて救世主のように崇められていた

新たな世界経済危機が発生しても先進国は中国への制裁を強化するので、2008年頃とは事情が違い中国は苦戦するかも知れない

2008年に中国がアメリカや欧州へ数兆円規模の投資を発表したら大歓迎されたが、今は安全保障懸念で拒否されます

FRBは利上げを鮮明にしているがインフレ率が下がったら「利下げ」をするとも言ってるので、今回は2008年時ほど深刻にならない可能性もあります

その場合多くの国は循環的な不況に陥り脆弱な国は経済破綻するが、 数か月で負の連鎖は止まり回復するでしょう

FRBを悩ませているのは皮肉にもアメリカが好景気な点で、富裕層の消費が止まらない為インフレ率が下がらず利上げを迫られている

資産100億円以上の人にとって金利がどうなろうと消費に影響を与えず、高級ブランドなどを毎日購入しています

中産階級以下のアメリカ人の生活は悪化し続けているのに数パーセントの富裕層の消費が衰えない為、インフレが収まりません
https://www.thutmosev.com/archives/2295638.html
7:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/23 (Tue) 23:44:15

ドラッケンミラー氏: 今後10年の株式市場はバイアンドホールドでは勝てない
2023年5月23日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37011

ジョージ・ソロス氏のクォンタムファンドを運用していたことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏が、Sohn Conferenceでのインタビューで、今後10年の株式市場について語っている。

今後10年の株式市場見通し

以前にも報じたが、ドラッケンミラー氏は今後の長期的な株式市場の見通しに弱気である。今回のインタビューでも彼は次のように語っている。

株価見通しを聞かれたとき、20倍になっている株価収益率や、民間投資の縮小などの財政要因を考えると、株式市場が10年後に今より高いことは考え難いと答えた。

ドラッケンミラー氏の言う理由は単純である。株価は以下の計算式で計算できる。

株価 = 1株当たり純利益 x 株価収益率
だから純利益と株価収益率を予想できれば、株価を予想することができる。

ドラッケンミラー氏の株価収益率の話に少し付け足すと、高金利は株価収益率を下げる。株価収益率が高い状態とは投資家がリスクを取っている状態だから、高金利でリスクが取れなくなれば株価収益率は下がる。

これからがインフレで高金利の時代だとすれば、それは株価収益率にマイナスに作用するのである。

また、ドラッケンミラー氏が民間投資に言及しているのは、純利益に影響するのがGDPの要素のうち消費ではなく投資だからである。マクロ経済学的な話だが、以下の記事で説明しているので興味のある人は参考にしてもらいたい。

ドラッケンミラー氏、2023年の株式市場見通しを語る
いずれにせよGDPのうち投資は急降下しており、それは純利益にとって大きなマイナスだということである。

ますます弱ってゆくアメリカGDP、2023年第1四半期は予想以上の減速
「失われた10年」の投資戦略

そもそも、米国株がこれまで40年上昇してきたのは、これまで40年間金利が下がり続けたからである。上述したのとは逆の理由で、金利が下がると株価収益率が上がる。それが米国株の長期上げ相場の正体である。以下の記事で説明している。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
だからインフレの発生によって低金利の時代が終わるのであれば、それは40年間米国株を支えてきた株高トレンドの終わりを意味する。ドラッケンミラー氏の言いたいことはそういうことである。

だがドラッケンミラー氏によれば、それでも投資家は諦める必要はない。彼は次のように述べている。

株式市場が今後10年間横ばいになるとわたしが言ったからといって、投資家にとって失われた10年になる訳ではない。

何故か。ドラッケンミラー氏は、アメリカで以前物価高騰が起こった1970年代の話を持ち出して次のように言っている。

1968年から1982年の間にも、正しいタイミングで株式市場を買い持ちにし、正しい銘柄を買い持ちにすることで、投資家は大いに儲けることが出来ただろう。

1968年から1982年は、米国株が14年間高値を更新しなかった期間である。その中には1974年の株価が半分近くまで下がった大暴落を含んでいる。


ちなみにこの期間、アメリカはインフレで物価が2倍になっているので、100ドルが14年後に100ドルになったとしても、100ドルの価値がその間で半分になっているので、株式投資家は実際には横ばいではなく大損になったということは付け足しておこう。

ドラッケンミラー氏は、インフレが再び生じたことで同じことが繰り返されると懸念しているのである。

横ばいでも儲けられる

しかしこの状況でも投資家は利益を出せる。何故ならば、別に株式を常に持ち続けなければならないというルールはないからである。

ドラッケンミラー氏は次のように言う。

1970年から72年までに大きな上げ相場があった。

前にも言ったが、この期間に原油株や化学株などの銘柄で大儲けすることが出来ただろう。

1975年から77年にも勿論大きな上げ相場があった。

例えば、確かに1974年には株価が高値から半分に暴落したが、その後の反発で株価は50%以上上がっている。

当たり前の話だが、最初から最後までで横ばいになるとしても、その乱高下に最初から最後まで付き合わなければならない理由はない。

ドラッケンミラー氏は常に投資を続ける投資家ではない。むしろ絶好の機会があるまで投資をせず、待つことを好む投資家である。彼は同じインタビューで次のように述べている。

ドラッケンミラー氏、誰でも30%以上の利益を出せる方法を語る
長期的に良いパフォーマンスを上げるためには、打てるボールが来た時には大振りすることだ。そして打てない玉は打たないことだ。

だから株価が高い時に手を出す必要はないし、大暴落が来れば明らかに安いのに誰も株に手を出さないような状況が来るのだから、その時に買えば良いというドラッケンミラー氏の判断なのである。

タイミングを考慮しない投資は有り得ない

こう言うと、「でも自分は投資のタイミングは分からない」という投資初心者の声が聞こえてきそうだ。投資では自分が何を分からないかを理解するのは大切である。

だがはっきり言うが、タイミングを考慮しない投資は有り得ない。どういう買い方をしても、例えそれが積み立てたものであっても、買った株には買値が存在する。

そしてどれだけ優良株であったとしても買値が高すぎればその投資は損を出す。それは短期投資か長期投資かということも関係がない。むしろ長期投資は1回失敗すれば終わりの後がない投資である。

だから結局、投資家は「タイミングを考慮せずに買える投資などない」という現実を直視すべきだ。そうすれば積み立ての呪縛から自由になれる。

「株式の長期投資はほぼ儲かる」という幻想は金融庁の「基礎から学べる金融ガイド」から来た
そうすれば、ドラッケンミラー氏の言うように、「打てるボールが来た時にだけバットを振る投資」が出来るはずだ。

ちなみにこの投資方針はクォンタムファンドの伝統でもあるのかもしれない。クォンタムファンドにおけるドラッケンミラー氏の先輩にあたるジム・ロジャーズ氏も、『マーケットの魔術師』に載っているインタビューで次のように述べている。

私は道ばたにカネが落ちているまで待っている。私はそこへ行って、拾い上げるだけだ。

「樽の中の魚を釣る」という格言のような状況を待っているんだ。

仮に今後数十年がインフレ高金利で株式市場にとって不毛の時期となろうとも、正しいタイミングが来るまで待つことが出来る投資家は、買いだけでも問題なく利益を上げることが出来るだろう。例えば今年、少なくともコモディティ市場にはそのチャンスがあると筆者は考えている。

2023年はコモディティ底値買いの年: 原油、天然ガス、農作物、金相場の推移予想
だが、特に根拠なく株式の長期投資にこだわる人々には、彼らにふさわしい未来が待っているだろう。ドラッケンミラー氏は次のように纏めている。

だから10年間全体で横ばいであったとしても、投資機会はある。

ただ、今後10年、バイアンドホールドで年率9%のリターンが得られると思ってほしくないだけだ。

より詳しいことについては以下の記事に載っているので、 そちらを参考にしてもらいたい。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37011
8:777 :

2023/06/02 (Fri) 07:00:20

金融引き締めはどのように株価を下げるのか
2023年5月31日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37164

シリコンバレー銀行の破綻に始まる銀行危機で金融市場は悲観的になってみたり、銀行の破綻が一定期間起こらなければ楽観的になってみたり、市場は忙しいものである。

現在は相場の踊り場のような状況だと思うので、ここで一度金融引き締めと株価という基本的なことを再確認してみよう。

株価と金融引き締めの関係

コロナ後の紙幣印刷と現金給付が世界的なインフレをもたらし、アメリカはそれを抑制するために金融引き締めを行っている。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
株価は次のように計算される。

株価 = 1株当たり純利益 x 株価収益率
だから、金融引き締めが株価に影響を与えるとすれば、企業利益と株価収益率のどちらか(あるいは両方)に影響を与えることによって行われることになる。

実際には金融引き締めはその両方に影響を与える。株価収益率に関しては簡単である。株価収益率は株式の実際の価値(つまり将来の純利益)に対してどれだけ高く(あるいは低く)評価されているかを示している。

金利が高くなれば、株式を保有するリスクを取らなくても金利収入が多くなるので貯金や国債の保有などに資金が流れる。逆に金利が低くなればお金を預けていても金利が得られないので株式にお金が流れる。

だから株価収益率は第一に(実質)金利に影響される。金利が高ければ株価収益率が低くなるので、株価も低くなる。アメリカの実質金利の推移を見れば、2022年に株価が下がった理由も、2023年に株価が横ばいになっている理由も分かるだろう。


株価収益率は他にも市場のセンチメントなどにも影響されるが、金利が基本になるので、予想がしやすい。ドル円に関する記事で書いたように、筆者はアメリカの実質金利がこの辺りで天井だと思っているので、今後の推移に関して言えば、実質金利は株価に不利な方向へは動かないと筆者は予想していることになる。

最近のドル高の理由とドル円の今後1年の推移予想
企業利益はどうなるか

あとは企業利益の問題である。こちらは予想が難しいのだが、企業利益に影響を与える要素はいくつかある。例えばGDPで言えば消費は企業利益には直接的には無関係であり、投資は企業利益に影響を与える。

このことについては以下の記事で説明しているので詳しくはそちらを参照してほしいが、重要なのは投資がどうなっているかである。

ドラッケンミラー氏、2023年の株式市場見通しを語る
アメリカのGDPの構成要素のうち投資は次のように推移している。


コロナ後の現金給付の影響で急上昇した後、その上昇分をすべて消しそうな勢いで急降下している。

その理由はアメリカの金融引き締めである。金利が上昇すれば企業は投資がしにくくなる。もっとマクロ的に言えば、借金がしにくくなって市中に存在する現金と預金の総量(マネーサプライ)が減少し、それが投資を行う金銭的余裕を失わせているのである。

だから投資がこのまま下降を続けるのかを予想するためには、マネーサプライがどうなるのかを考える必要がある。そしてマネーサプライは次のように推移している。


銀行危機を受けての銀行の貸し渋りなどもマネーサプライの減少に拍車をかけている。銀行危機も金融引き締めによって起こったことである。

世界最大のヘッジファンド: 銀行危機は悪化しインフレは止まらずスタグフレーションになる
そしてマネーサプライは、アメリカが政策金利を5%程度の水準に維持し続ける限り減少を続けるだろう。

結論

もちろん企業利益に影響を与えるのは投資だけではなく、米国株を考えるならば海外要因も考慮しなければならないわけだが、投資がこのような勢いで急降下を続けるのであれば、ここのところ既に下がっている1株当たり利益もやはり下落を継続すると見るべきだろう。

また、現在の米国株の水準は企業利益の減少と金利の上昇という要因を十分に織り込んでおらず、これらの要素を考えるとかなり割高な状態に位置している。米国株は以下のように推移している。


これら2つは米国株にとってマイナスの要因である。

だが一方で、実質金利の低下による株価の上昇の可能性は排除できない。だから株価の下落に賭ける投資家は、実質金利の低下をヘッジする必要がある。

筆者は基本的に金利低下に賭けているので、2年物米国債の買いとドル円の空売りが両方ともアメリカの金利低下に賭けた大きなポジションである。

最近のドル高の理由とドル円の今後1年の推移予想


ただ、1つだけ言えるのは、金利上昇と株価上昇が両方来るシナリオはないということである。それは以上の理屈を読めば理解できるだろう。それが起こっている限り、市場は本当の方向へは向かっていない。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37164
9:777 :

2023/06/23 (Fri) 06:58:30

ガンドラック氏: 米国株はバブルの様相、S&P 500は極めて割高
2023年6月21日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37635#more-37635

引き続き、DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏のCNBCによるインタビューである。

株価反発の理由

株式市場は反発している。米国株が今何処にいるかと言えば、2022年からの下げ幅の半分を超えたあたりである。


この動きについて、ガンドラック氏は一部の銘柄が大きく上昇したことが原因であると指摘している。

ガンドラック氏のいつもの表現だが、アメリカの株価指数S&P 500の上昇は実質的には資金が集中する7銘柄ほどの上昇であるとして、次のように言っている。

S&P 7はどう見てもバブルの動きだ。AI関連株は20%上がっている。そしてS&P 493は、最近少し上がったが、数週間前までは年始から変わらずだった。

残念ながらS&P 7のチャートもS&P 493のチャートもないのだが(そしてどの7銘柄なのかガンドラック氏が言及したわけでもないが)、アメリカに上場する株式のうち大型銘柄を除いた小型株指数であるRussell 2000のチャートをS&P 500と比べてみると状況が分かるだろう。

Russell 2000は次のように推移している。


こちらは上がっていないのである。

株式市場はバブルか?

この状況についてガンドラック氏は次のように述べている。

率直に言って、株式市場はバブルの様相を呈している。非常に限られたいくつかの銘柄が、指数全体を引っ張っている。結果としてS&P 500のバリュエーションは、Fedが利上げして長短金利が逆転していることを考えるとかなり恐ろしいことになっている。

長短金利の逆転とは、短期金利が長期金利よりも高くなっている状態のことで、歴史的にはその後かなりの確率で景気後退となる。詳しくは以下の記事を読んでもらいたい。

ガンドラック氏: アメリカはもう利上げしない、米国経済は悪化している
景気後退前にしてはバリュエーションが高過ぎるというわけである。具体的にはガンドラック氏は次のように言っている。

S&P 500の株価収益率は予想利益に基づいて19だ。だが経済が弱まり景気後退になるならば、予想利益自体がかなり楽観的な数字ということになる。

S&P 500は非常に割高だ。NVIDIAは年始から400%上がった。大きな上昇幅だ。そうした銘柄が指数を牽引している。

そして極めつけは以下のコメントである。

S&P500の動きは2022年1月4日までの雰囲気に非常に似ている。

現在の状況はバブル崩壊前に似ているか?

2022年1月と言えば、アメリカの金融引き締めが株価を下落させ始めた頃である。S&P 500のチャートをもう一度掲載しよう。


しかしガンドラック氏の指摘で筆者が思い出したのは、むしろ2018年である。現在と同じくアメリカの金融引き締めで株価が下落した2018年には、まず年始に株価が下落した後、一度大きく反発してから年末にかけてもう一度大きな下落があった。


当時からの読者は覚えているだろうが、2018年に一度下落してからの反発が本物の反発でなかったことを示す証拠は、S&P 500などの主要指数以外の指数、例えば新興国株式などが下落したままだったことである。

当時の記事にこう書いてある。

世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)
しかしここで指摘し続けた通り、世界の株式市場の中でまだ上昇相場を保っていたのは、アメリカや日本の株式市場の内、株価指数に採用されている少数の銘柄だけだったのである。

今の相場においてどうなっているかを考えてみる必要がありそうだ。ガンドラック氏の指摘はいつも示唆に富んでいる。

また、NVIDIAについてはバブルではないというスタンレー・ドラッケンミラー氏の指摘もあるので参考にしてもらいたい。

ドラッケンミラー氏のNVIDIAの株価予想: 暗号通貨と違ってAIは本物

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37635#more-37635
10:777 :

2023/07/02 (Sun) 10:27:48

海外投資家は 「これ」を見て日本株を買っている
つばめ投資顧問の長期投資大学
2023/06/15
https://www.youtube.com/watch?v=t9VQUazP2Gs
11:777 :

2023/07/07 (Fri) 19:08:20

アメリカの深い景気後退をなおも予想する金融市場
2023年7月5日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38060

アメリカでは利上げによる景気後退が不可避のものとされ、数ヶ月前には銀行の破綻も騒がれた一方、株式投資家は数ヶ月前の話を覚えておく記憶力がないので、市場にはアメリカ経済には何の問題もないかのような雰囲気が漂いつつある。

景気後退を予想し続ける債券市場

だがそれは株式市場に限った話である。もう1つの重要な市場である債券市場はまったく別のシグナルを発し続けている。

それが何かと言えば、10年物国債の金利から2年物国債の金利を引いた長短金利差である。

金利は通常、期間が長いほど高くなる。一般的にはお金を1週間貸すよりは10年貸す方が、期間内に倒産する可能性が上がると考えられるからである。

だがこの長短金利差が逆転する場合がある。例えば今のように、インフレでFed(連邦準備制度)が利上げを強いられ、政策金利の影響を受けやすい短期金利は鋭く上がる一方で、今の利上げによって将来の景気見通しが悪化し、長期金利が下がるか、短期金利ほど上がらない場合である。

長短金利が逆転するとき、歴史的にはほぼ確実に景気後退が起きている。だが今の状況はと言えば、以下のチャートのように長短金利差は単に逆転するだけではなくそのまま-1%まで行っている。


注目したいのは、3月に一度跳ね上がった長短金利差が再び下落して下値を更新していることである。

長短金利差の再下落

3月に跳ね上がったのは、シリコンバレー銀行の破綻に始まる銀行危機でFedが利下げするのではないかとの観測が強まり、短期金利が下がったからである。

世界最大のヘッジファンド: シリコンバレー銀行破綻はドミノ倒しのように伝染する
だがその後、住宅価格の上昇などで更なる利上げが必要なのではないかとの観測から、短期金利は再び上がり、しかし長期金利はそれほど上がらず、長短金利差は下落していったということである。

アメリカの4月住宅価格が再び上昇、インフレ継続で利上げ再開か
長短金利差が下落している以上、債券市場は現在の利上げによって将来景気が落ち込むとの見方を崩していない。むしろ、長短金利差が下値を更新したということは、今後の景気後退が更に深くなることを予想している。

これは一見してS&P 500などの主要株価指数の動きと矛盾している。S&P 500のチャートは以下のように推移している。


長短金利差は少数派ではない

だがここで思い出してほしいのが、先進国の主要株価指数が反発している一方で、各国の小型株指数や新興国株、ジャンク債など、よりリスクが高いと考えられている資産クラスは2022年の価格下落から回復していないという事実である。以下の記事で説明している。

米国株はいまだにダウントレンドの中にある
例えば上海総合指数のチャートの長期下落トレンドは、むしろアメリカの長短金利差のグラフに近いと言って良いだろう。


また、同じアメリカでも小型株指数Russell 2000は下落から回復していない。


むしろ2022年の下落から反発している先進国の主要指数は世界の金融市場で少数派であり、そこだけが生き残っている姿は2018年の世界同時株安を彷彿させる。

2023年の米国株は2018年世界同時株安のダブルトップに似ている
長短金利差は筆者のこの見方に同意しているようである。

結論

ちなみに2018年においても、先進国の主要株価指数は一時的に反発する一方で、新興国株式などと同様に長短金利差は下がり続けていた。以下は2018年の長短金利差のグラフである。


ただ、長短金利差は底値を打って反発を始めてからが本番であり、景気後退はその後に来る。ガンドラック氏が以下ように指摘していたことを思い出したい。

ガンドラック氏: シリコンバレー銀行破綻でアメリカの景気後退が近づいた
過去何十年にわたるすべての景気後退では、長短金利差の逆転が縮小してから数ヶ月で経済は景気後退に陥っている。

逆に言えば、長短金利差が下落を続けている限り景気後退はまだだということである。

筆者は来年前半だと予想しているが、どうなるだろうか。

世界最大のヘッジファンド : アメリカ経済は結局強いのか弱いのか?


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38060
12:777 :

2023/07/23 (Sun) 16:04:34

市場が“非常に貪欲”な時こそ注意せよ!
つばめ投資 顧問の長期投資大学
2023/07/22
https://www.youtube.com/watch?v=L21GCw1XLDI

ダウ平均株価は7/21までに10連騰。Fear&Greed指数は「Extremely Greed」を示しています。インフレ率が鈍化し、明るい話も少なくないのですが、そのようなときこそ注意が必要です。
13:777 :

2023/08/17 (Thu) 17:02:43

米国株下落の原因: 米国債から資金流出の兆候
2023年8月16日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38954

アメリカで金利が上昇している。小売店売上高の数字が予想よりも強く、インフレが長引くことが懸念されてのことだという解説がされているが、事実ではない。インフレを警戒しての金利高ではなく、米国債から資金が流出しているのである。

アメリカの長期金利上昇

ここのところアメリカの長期金利は上昇している。


特に最近の上昇は根強いインフレを懸念してのことだと言われるが、市場の期待インフレ率は7月半ばの急上昇のあとむしろ下向いている。


事実、インフレ率は一部指標が加速の兆候を示すものの、全体としては低下トレンドを続けている。

7月の米国インフレ率はほぼ横ばい、サービスと住宅のインフレが加速
期待インフレ率が下がっているにもかかわらず、金利が上がっている。それは何を意味するか。

金利上昇と株価水準

それは何を意味するのか。株式市場の動きも重ねて考えたい。S&P 500のチャートは次のように推移している。


ここのところ株価は上がっていた。去年の株安に繋がった去年の高金利水準まで長期金利が再び上がってきているにもかかわらず、株価は最高値付近まで戻していたことから、株価は史上稀に見る水準まで割高になっていることは最近何度も指摘しておいた。

だがいつも言うように限界に近い高金利と株高は両立しない。金利が上がって株価が下がるか、金利が下がって株価が上がるか、どちらかである。金利低下による株高シナリオについては排除しないと以前にも書いてあるが、金利上昇と株高の両立は有り得ない。

それで株価が下がってきているのである。しかし何故金利は上がっているのか。

金利上昇の原因

金利は以下の計算式によって求められる。

金利 = 期待インフレ率 + 実質金利
この式から、仮に期待インフレ率が上がっていれば、上の計算式から金利はその分だけ自動的に上昇することが分かる。

だが期待インフレ率は下がっている。金利から期待インフレ率を引いた残りの分、つまり実質金利の分は、主に2つの要因で決まる。中央銀行の金融政策と、あとは米国債自体の魅力である。

中央銀行が長らく実質金利を高く保つと市場が予想するなら、長期金利のうち実質金利の分が上がることもあるだろう。実際、1970年代のインフレ退治のためにポール・ボルカー氏がやったのがそれである。

ポール・ボルカー氏、1980年のインフレ打倒がどれだけ厳しかったかを語る
だが直近の動きで見れば、政策金利の今後の動きを反映する2年物国債は、7月以降横ばいである。


つまり、市場は中央銀行の金融政策がよりタカ派になることを予想しているわけでもない。

だとすれば、直近の長期金利上昇の理由は1つである。投資家が米国債から逃避している。

米国債からの逃避

筆者としてはそれをこんなに短期のタイミングで予想していたわけでもないが、以上のようにデータを見て考えるとそう結論するほかないようだ。

Bridgewaterのレイ・ダリオ氏は、ここ最近米国債の需給の問題を指摘していた。発行量がますます増える米国債に対して、買い手が足りなくなるという予想である。

世界最大のヘッジファンド: アメリカの債務危機は終わっていない
債務上限問題解決後の米国債の大量発行が国債市場の需給を歪めるという声もある。

いずれにしても、期待インフレ率低下の状況下で金利が上がっているのだから、実際に米国債から資金が流出していると考えるほかない。

有り得ないシナリオの崩壊

そうした状況になって株価が下がり始めたのは、金利が上がっても株価は上がり続けるという有り得ない夢が破れかかっていることと同時に、市場の見ているもう1つの有り得ない夢に一石を投じる動きである。

もう1つの有り得ない夢とは何か。以前の記事に以下のように書いたことを思い出したい。

今のところアメリカのソフトランディングを織り込む金融市場
現在の市場が織り込むシナリオはハッピーエンドである。Fed(連邦準備制度)は現在の金利水準をほぼ維持する(2年物国債金利の高止まりがそれを示唆している)が、経済はそのまま回復してゆく(期待インフレ率と長期金利の上昇)。

このシナリオはまず期待インフレ率の低下という形で一角が崩壊した。だがそれでもこのまま長期金利が上がり続けるのであれば株価は更に下落し、長期金利も結局はリスクオフで低下に向かうだろう。

有り得ないシナリオは結局1つ1つ崩壊してゆく。債券にとって金利上昇は価格下落を意味するので、現状は国債も株価も下落しているという不吉な組み合わせである。

市場が矛盾を解消するために次の一手をどう打つのかを厳密に予測することはできない。 だが株価の上下および金利の上下などの組み合わせは、徐々に有り得ないシナリオから有り得るシナリオへと絞られてゆく。その変化から利益を得られるようにポートフォリオを組むのが、ファンドマネージャーの仕事である。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38954
14:777 :

2023/09/07 (Thu) 23:09:31

米国株が完全に割高である理由と株価の推移予想
2023年9月7日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39671

アメリカで長期金利が上がっている。誰も大して気にしていないことだが、前回の記事でも言ったように、高金利こそが今年前半の銀行危機を引き起こしたのである。

アメリカ銀行危機の次の危機が株価を下落させる
それは銀行危機の継続を意味しているのに、誰も気にしていない。だが今回の記事では株式のファンダメンタルズについて話してみよう。

米国株の動向

米国株は2022年に下落し、その後上昇に転じた。S&P 500のチャートは次のようになっている。


下落の原因は前回の記事で説明したように長期金利の上昇である。


株安の原因となった長期金利が2022年の高値近辺にあるのに、株価が回復しているところに注目したい。

前回の記事で説明したように、これだけ見れば2022年の高金利で下落した株価が、今長期金利が同じ水準まで戻っているのに高値で推移していることは不合理に見える。

企業利益の推移

だが、株価に影響するもう1つの主な要因がある。企業利益である。こちらも考えなければ株価の動向は見えてこない。

そこで、S&P 500の1株当たり純利益を並べてみると次のようになっている。

2022年3月: 197.91ドル
2022年6月: 192.26ドル
2022年9月: 187.08ドル
2022年12月: 172.75ドル
2023年3月: 175.17ドル
2023年6月: 181.17ドル(予想値含む)
2023年9月: 187.59ドル(予想値)
2023年12月: 200.52ドル(予想値)
これは未来の数字を含んでいるので、当然予想値が含まれている。筆者の感覚では、直近2023年9月の数字はそれほど大きな誤差はなく大体当たるが、数ヶ月後の12月の数字はそれほどはあてにはならない。

だが最近の株価上昇は、金利は上昇しているのだから、1株当たり純利益の予想値が回復していること(及び株式投資家の楽観)に起因している。

企業利益の動向予想

だが企業利益はそれほど都合よく回復するだろうか。そもそも2022年から2023年にかけてS&P 500の企業利益が下落した理由は何だっただろうか。

企業利益が下落した原因は、これもまた高金利である。マクロ経済学的には、GDPの構成要素のうち企業利益に直結するのは投資と純輸出であって、例えば消費は企業利益と直接の関係性はない。

つまり、直感に反するかもしれないが、消費が増えてもそれだけでは企業利益は増えないのである。

また、投資と純輸出を比べると、規模で言えば投資の方が圧倒的に大きいので、基本的に投資が企業利益を決めるということになる。

そして例えば企業が設備投資を行なう場合、多くのケースではお金を借りて投資を行なうことになる。よって金利が高いか低いかが企業の投資意欲を大きく左右する。だから投資は金利で決まる。そして企業利益は投資で決まるので、高金利こそがそもそも企業利益が2022年に減少を始めた理由である。

上で数字を挙げたように、企業利益は回復の兆しを見せている。だがそれは、最近減速の気配を見せた住宅価格と同じではないのか。

米国の住宅価格が再び上昇、インフレは止まらないのか?
住宅価格も金利上昇によって下落に転じた後、一度金利が下がったことで再上昇したが、最新のデータでは最近の高金利によって減速している。

それは金利の推移に沿った動きである。金利はまた以前の水準まで上がっている。


だから、足元の企業利益の回復が、金利が一時的に低下したことによる回復なのだとしたら、金利はまた上がっているのだから、住宅価格のようにまた減速に転じると考えるのが妥当だろう。

また、米国企業の海外の売上や資産についても、金利上昇によるドル高にマイナスの影響を受けるはずである。

結論

だから、金利上昇は株価にとって2つの意味で重荷となる。1つには、安全資産とされる10年物国債の金利が4%を超える中、リスク資産である米国株はそれを超えるリターンを10年間出し続けなければ投資家にとって魅力を失う。

そしてもう1つが、今回の記事で説明した高金利の企業利益への影響である。こちらについても、金利は同じように上がっているのだから、企業利益もまた下がると考えるのが自然だろう。

だが仮にそうならないとしよう。アナリスト予想のようにS&P 500の1株当たり純利益は200ドルに向けて回復してゆくとしよう。その場合、株価の下落前と下落後における長期金利と1株当たり純利益はどうなっているか。


株価: 4,800ドル -> 4.500ドル(やや下落)
1株当たり純利益: 197.91ドル -> 200.52ドル(ほぼ変わらず)
長期金利: 1.5% -> 4.2%(大幅上昇)
おかしいではないか。誰も疑問に思わないのか? 誰がこの水準を妥当だと説明できるだろうか。そしてそもそも、上記の考察では1株当たり純利益が回復するという前提さえあやしいのである。だから実際には米国株は上記の数字で見て感じる以上に割高だということになる。

投資家は楽観を続けられるかもしれないが、今年の後半から来年の前半にかけて、アメリカ経済は減速を始める。失業率や住宅価格にその兆候が表れ始めている。

8月雇用統計は遂に失業率の上昇開始、インフレ後の大量失業の始まり
そして何より、銀行危機を引き起こした水準まで金利が再び上がっているのだから、その水準の高金利が来年前半まで続けば、高確率で銀行危機のような新たな危機が何処かのセクターで起きるだろう。

アメリカ銀行危機の次の危機が株価を下落させる
何度も言うが、米国株の長期上昇トレンドはもう終わった話である。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
ドラッケンミラー氏: 今後10年の株式市場はバイアンドホールドでは勝てない

米国株は今年の後半から来年の前半に2回目のピークを迎える。 それは先月の高値がピークであった可能性を排除しないが、アメリカ経済の減速は緩慢だから、また高値を更新する可能性もある。だが、結局重要なのは長期的見通しである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39671
15:777 :

2023/09/17 (Sun) 11:34:26

世界最大のヘッジファンド、米国債からの資金流出を警告
2023年9月16日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39898

世界最大のヘッジファンドBridgewaterの創業者レイ・ダリオ氏が、Milken Instituteの会議で金利と投資について語っているので紹介したい。

2023年の金融市場

2023年、金融市場は微妙な状況だ。株価は去年の下落から回復したものの上値を抑えられている。金利は株価と同じように下落して上昇した。

以下の記事で指摘したように、2022年の下落が金利上昇によるものだったのだから、金利が上昇して株価も上昇する状況はおかしいのだが、少なくとも今のところは誰も気にしていないようだ。

米国インフレ率が下がれば下がるほど株価にはマイナス、株式の買い手は逃げるべき
ほとんどの株式投資家が金利と株価の関係をまともに考えないのはいつものことだが、明らかに金利上昇を気にしている人がいる。ダリオ氏である。

債券と金利

アメリカでは2021年から始まったインフレによって金利が大きく上がった。Fed(連邦準備制度)は政策金利をゼロから5.25%まで大幅上昇させた。

金利が上がったということは、お金を借りにくくなったということである。また、これまで既に借金していた人も、借り換えの時期が来れば高い金利を払わなければならなくなる。実際、シリコンバレー銀行の顧客はそれでお金がなくなり、預金が流出してシリコンバレー銀行は破綻した。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
お金の借り手が苦しい状況に置かれている。この状況は貸す側、つまり投資家にとってはどうなのか。ダリオ氏は次のようにコメントしている。

債務を保有したくない。債券などのことだ。

債券はいわばお金を貸した証明書である。国にお金を貸せば国債、会社にお金を貸せば社債となる。ダリオ氏は次のように続ける。

個人的には債券は長期的には良い投資ではないと考えている。

何故か。今の金融市場では、アメリカの長期金利が上がっていることが話題になっている。アメリカの長期金利は次のように推移している。


筆者は以下の記事で、この長期金利の上昇の原因が米国債からの資金流出であると指摘しておいた。

米国株下落の原因: 利下げ織り込みでも止まらない長期金利急騰
米国債の需給問題

この問題を事前に指摘していた人物がいる。それがダリオ氏である。

米国債には元々、米国政府による国債の大量発行という問題が指摘されていた。債務上限問題が解決されて以来、米国政府は債務上限のために発行できていなかった分の国債を大量発行する必要がある。

世界最大のヘッジファンド: アメリカの債務危機は終わっていない
国債が発行されれば、当然それを誰かが買う必要がある。そうならなければ、米国債は市場にあふれて、価格が下落する。

だがダリオ氏が指摘していた問題はそれだけではなかった。これまで量的緩和で国債を購入していたFedが量的引き締めで国債保有を減らしており、シリコンバレー銀行が長期国債の価格下落によって苦しめられたこともあり銀行も長期国債保有をためらっている。

そしてウクライナ情勢以後、ドルを使った経済制裁を恐れた中国などがドル資産の保有を減らしている。

サマーズ氏: BRICSの台頭はアメリカが失敗する兆候
もうほとんど誰も米国債を買える状況ではないのである。では米国債を誰が買うのかという問題を、ダリオ氏は長らく指摘してきた。そして最近の国債市場の動向を見ると、ダリオ氏の懸念が当たりつつあるように思える。

今後アメリカ経済がインフレ継続かデフレかという問題もあるが、それとは別に米国債自体が嫌われるリスクを考えなければならない状況になってきた。

米国債が嫌われれば、ドル建ての他の債券も当然その分下落する。ダリオ氏が債券を避けているのはそれが理由だろう。ダリオ氏はこう述べている。

債券の需給の問題は単に新規発行される債券の量の問題ではない。「あなたは債券を売りたいと思いますか?」という問題なのだ。

現金こそがインフレ回避の道

では何を保有すれば良いのか。ダリオ氏は次のように言っている。

現在一時的にだが、現金は良い投資だと思う。金利が良い。その金利が長続きするとは思わないが。

ダリオ氏は利上げが始まる前、インフレが来ていたにもかかわらず金利がゼロだった時に、「現金はゴミ」と発言して話題になった。

だが金利が上がるとダリオ氏は一転して現金を賞賛している。

金融について何も知らない金融庁が主導する愚かなNISAブームにおいてよく言われるのが、インフレを避けたければ株式を買えというフレーズである。

そもそも政府と日銀がインフレを引き起こしておいて、あたかもそれが空から降ってきたかのように言っているのもあまりに酷いところだが、そもそも金融の歴史を少しでも勉強していれば、こうした理屈は完全に馬鹿げていると分かる。

何故か。以下の記事で説明したように、アメリカが物価高騰に襲われた1970年代において、株式のリターンは酷いものだったからである。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
インフレで株式を買えというのは素人による酷い冗談だが、ではどうすれば良いのか。

インフレの時代に一般人にも可能な最高の投資は、皮肉でも預金であることを筆者は指摘しておいた。

インフレ相場での最良の投資方法は株の空売りを除けば株式投資ではなく預金
しかし条件が2つある。政策金利に近い金利を提供してくれるまともな銀行口座や証券口座を持つこと、そしてインフレ対策のために利上げをするまともな中央銀行を持つことである。

そうすればどうなるか。1970年代のアメリカにおいて、インフレ率と政策金利を並べればこうなる。


金利はインフレ率にほぼ沿っている。つまり、インフレのせいで現金の価値が目減りしても、中央銀行が利上げさえ行えば、国民は単に預金しているだけでインフレにおける預金の減価を利息という形で補填できるのである。

ちなみに日本人は日銀のせいでこの条件を満たすことができない。その理由については以下の記事を参考にしてほしい。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
多額の税金を日本政府に搾取されながら、長期的に株高になるデフレと金融緩和の時代に預金を積み上げ、株式のパフォーマンスが落ちるインフレの時代に政府に言われてそれを株式に転換するのだから、鴨とはまさに彼らのことである。

結論

だがアメリカでは中央銀行はもう少しまともである。 政策金利が5.25%に達している今、預金は有効だということをダリオ氏は指摘している。

しかしその状況が長続きしないと言っているところが今回のポイントではないか。ダリオ氏は政策金利が下がると考えているようである。恐らくその理由は、これから来るアメリカの景気後退だろう。

ガンドラック氏: コロナ後の緩和による好景気は終わり、米国経済はデフレと景気後退へ
そして今回、債券を保有したくないと言ったダリオ氏だったが、株式には言及しなかった。

だがダリオ氏は、最近の株価下落の前から株価に弱気だったことが報道されている。

世界最大のヘッジファンド、株価下落の直前から米国株に弱気
ダリオ氏に限らず、株式市場に弱気になるファンドマネージャーが増えてきている。

ソロスファンド、株高で米国株を空売り
金利上昇を舐めてはならない。2018年にもそう言っておいた。それだけ付け足しておく。

世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39898
16:777 :

2023/09/18 (Mon) 06:15:59

ガンドラック氏: 株価の長期上昇を支えてきた過去40年の低金利はもうない
2023年9月17日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39962

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、CNBCのインタビューでアメリカにおける金利の長期トレンドと、それが株価やデフォルト率に与えてきた影響について語っている。

コロナ後の経済サイクル

ガンドラック氏はこのインタビューで様々な議題について話しているが、どの議題について話すにしても、重要なのはコロナ以降、金融市場の環境が一変したということである。

そこでガンドラック氏は次のように問いかける。

これからの経済サイクルで起こることと、われわれの常識はどう違うだろうか?

「これからの経済サイクル」とは何か? ここの読者であれば言わなくとも分かるだろう。インフレによって金利が上がった後の経済サイクルという意味である。

金利低下時の金融市場と、金利上昇時の金融市場はまったく違う。ガンドラック氏はこう続けている。

われわれは金利がどう動くか知っていると思い込んでいる。マネーサプライの経済への影響について知っていると思い込んでいる。Fed(連邦準備制度)の金融政策について知っていると思い込んでいる。

だが1980年代前半から2020年代前半まで、われわれは低金利の環境下にあったのではなかったか? その期間金利はずっと下がっていなかったか? 勿論上がったり下がったりはしたが、長期的には金利は明らかに下がり続けた。

アメリカの政策金利は1980年にピークとなり、コロナ後の現金給付によってインフレが引き起こされるまで一貫した低下トレンドにあった。長期チャートを持ち出すと次のようになっている。


重要なのは、1980年から40年間金利は下がり続けたということである。そして投資家であれば誰でも知っているが、金利低下は株価にも経済にも大きな影響を及ぼす。

そして問題は、われわれのほとんどは金利低下の環境しか知らず、われわれの常識は金利低下の環境下における常識だということである。

だからガンドラック氏は次のように言う。

デフォルト率や企業が負債をどう扱うかについてのわれわれの常識は、時代錯誤の偏見ではないのか。

金利上昇と金利低下

ガンドラック氏は次のように言う。

金利上昇の環境は、金利低下の環境とは違う。

具体的にはどういうことか。例えば今のように金利が大幅に上がれば、お金を借りていた企業はどうなるか。

ガンドラック氏は次のように説明する。

米国企業は債務の期限を長期にして金利を非常に低く抑えた。だが期限が来て借り換えなければならなくなればどうなる? その時に金利が4%ではなく9%だったらどうなる?

小規模事業者にとって金利は現在その水準だ。3年前、小規模事業者にとって金利は4%だった。今では9%だ。Fedが更に利上げすれば更に高くなる。

Fedは2021年にインフレの脅威を無視した後、2022年に金利を急速に上げた。

経済に対する利上げの効果は強力である。だがその後、アメリカにはまだ景気後退は来ていない。だがその理由の1つは債務の乗り換えがまだ完了していないということだろう。

だが来年には多くの企業にとっての債務の期限が到来し、借金を借り換えなければならなくなる。その時に多くの企業が金利上昇の効果に直面することになる。

Fedのパウエル議長は金利を5%台の水準に長らく据え置くと表明している。だがそんなことが出来るだろうか。その馬鹿らしさについては以下の記事で既に指摘している。

米国インフレ率が下がれば下がるほど株価にはマイナス、株式の買い手は逃げるべき
だがパウエル氏にはそれが分からない。しかしガンドラック氏の上記の議論を読めば、それがどういう意味か分かるはずである。ガンドラック氏は次のように続けている。

Fedがこれから数年金利を5%か6%に保ったままにすれば、この国のすべてが倒産するだろう。

金利上昇と株式市場

そして金利低下が金利上昇になったことは、当然ながら株式市場にも影響を与える。ガンドラック氏は次のように述べている。

株式市場は1982年に底打ちし、2022年にピークを打ったように見える。この期間に金利が14%から0%になったことと関係があるだろう。

世の中にはインフレ対策で株式を買えという馬鹿げた議論もあるようだが、1970年代の物価高騰時代、米国株がどのような酷いことになったのかについては以下の記事で説明している。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
逆にその後の1980年から40年間の金利低下局面で米国株がどうなったかについても、多くの人が知っているだろう。

何故金利低下で株価が上がるのか。例えば米国債の金利が10%ならば、国債は無リスク資産と考えられているので、株式はそれを超えるパフォーマンスを出さなければ投資家を集めることが出来ない。逆に金利がゼロならば、投資家は少しでも値上がりを期待できそうな株式に殺到する。

だから他の条件が同じならば、金利低下はそのまま株高を意味し、金利上昇はそのまま株安を意味する。

株式市場はしばしばそれを無視する。2018年の金利上昇局面でも同じことが起きた。

バブルの頂点で日経平均は上昇、空売りを淡々と継続 (2018/9/20)
だがそれは長期的には続かない。長期的には、1980年から2020年まで金利低下によって米国株が上昇したこととまさに反対のことが、金利上昇局面においては起きるだろう。

結論

ガンドラック氏は次のように纏めている。

金利が上がれば株式にとって競争は激しくなる。 債券と株式のリスクプレミアムを比べれば、株式のバリュエーションは現在、われわれの生きている間で一番高くなっている。

これは2024年には問題となるだろう。

世の中では金融庁にそそのかされ、金利低下局面で株式を買わなかった人が金利上昇局面で株式を買い始めている。それがどういう面白い状況か、この記事を読んだ人ならば分かるだろう。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
また、金融庁の資料に過去20年の株式や債券のパフォーマンスが乗せられ、それを根拠に投資が推奨されていることがどれだけ可笑しいことであるかも、この記事を読んだ人には分かるはずである。

「株式の長期投資はほぼ儲かる」という幻想は金融庁の「基礎から学べる金融ガイド」から来た
だが誰も気にしていない。

何故なのか。短期的には金利上昇を誰も気にしていないこととまったく同じように、金融庁の職員の多くは投資を仕事にしたこともない資産運用の素人であり、NISAは銀行・証券業界に手数料を落とす目的で出来上がったのだが、ガンドラック氏ら専門家の見解の真逆を行く彼らの見解を鵜呑みにすることに誰も何の疑問も抱かない。そもそも金融庁職員は多くの資産への投資を禁じられているため、もしかすれば自分よりも投資経験がないかもしれない彼らの投資推奨を人々は有難く聞いている。

基本的に人々は何も気にせずに生きている。だが金融市場は彼らに相応の結果を与える。来年の前半にはすべては終わっているだろう。

米国インフレ率が下がれば下がるほど株価にはマイナス、株式の買い手は逃げるべき

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39962
17:777 :

2023/10/01 (Sun) 20:59:41

2024年の米国株予想: 株価は最大で50%下落する
2023年10月1日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40275

2024年、アメリカには景気後退が迫っている。コロナ後の現金給付の余韻が消え始め、インフレ後の金融引き締めが効き始めているからである。

ガンドラック氏: コロナ後の緩和による好景気は終わり、米国経済はデフレと景気後退へ
では、米国経済が景気後退に陥れば、米国株はどうなるのか? 今回の記事では株価の目標値を簡単に計算してみたい。

米国株の現状

まずは現在の米国株の問題を再び纏めてみよう。米国の主要株価指数S&P 500は以下のように推移している。


コロナ後に上昇した米国株は2022年に下落した後、やや反発している。

米国株が2022年に下落した原因は、2021年に始まったインフレとその後の利上げによる長期金利の上昇である。

金利が高くなれば、投資家は下落リスクのある株式ではなくリスクの少ない国債などを持とうとする。だから米国株は下落したのだが、その後株価はある程度回復している。

株価水準と金利

米国株が回復したのは、元々は2022年秋頃からアメリカでインフレ率が低下し、それに伴って長期金利も低下したからである。

株価は今も高い水準にあるので、長期金利はそのまま低下していっているはずだと論理的な人であれば考えるだろう。だがアメリカの長期金利はそうなってはいない。高いままである。むしろ株安のあった2022年より高くなっている。


株式市場にとっての問題が解決していないどころか悪化しているのに、株価は高値に戻っている。それが米国株の問題であり、金利と比べて現在の株価水準が歴史上稀に見るほどに割高であることは、何人かのファンドマネージャーらが指摘している。

ガンドラック氏: 米国株の株価は来年の景気後退を織り込んでいない
米国株の株価水準

現在の米国株の水準は、現在の1株当たり利益では正当化されない。だから将来利益が上がるという期待が株価を押し上げている。

だがもし本当に景気後退になれば、企業利益は上がるどころかむしろ下がるだろう。景気後退の直前まで株式投資家が楽観しているのは、バブル崩壊前夜においてはいつものことなのだが。

しかし米国株は利益に対する楽観を差し引いてもやはりかなり割高なのである。そこで、とりあえずこの企業利益に対する楽観をそのままにして、割高な株価水準を例えばコロナ前の2019年後半のバリュエーションにまで戻すと、筆者の計算ではそれだけでS&P 500の株価は3,300ドルにまで下落する。

現在の株価は4,326ドルなので、それだけで株価はほぼ25%下落することになる。株価チャートをもう一度掲載しよう。


それでほぼコロナ直前の株価水準に一致する。

だがそれでもまだ企業利益に対する楽観を修正できていない。では企業利益上がらず、現在の水準に留まると仮定するとどうなるか。株価は3,000ドルまで下落する。それで現在の水準から30%の下げ幅である。

しかし景気後退時には、実際には企業利益は横ばいにはならずむしろ大きく下落する。例えば景気後退が企業利益の見通しに10%の下方圧力を加えると仮定すれば、株価もそのまま10%下がるので、株価は2,700ドルということになる。

これでいよいよ2020年前半のコロナ危機における最安値に近づいてきた。最後に、景気後退時には投資家は悲観的になるので、株価のバリュエーションは企業利益の実際の減少よりも低くなる。現在は投資家の楽観が織り込まれているが、景気後退が明らかになった時には逆に悲観が織り込まれるわけである。

上では、株式投資家の楽観による株価上昇効果を25%と見積もった。なので悲観による下落効果を同じく25%と見積もれば、株価は2,700ドルから2,000ドル台に下落する。

結論

つまり、2024年に景気後退が完全なものとなれば、株価は理論的に2020年のコロナ危機における最安値を下回ることになる。

これはあくまで理論的な試算に過ぎない。上で計算した複数の株価下落要素のうち、何処までがどれだけ実現するかを厳密に予想することもできない。あくまで2,000ドルは最大の下落幅だった場合の株価である。

また、金利と株価を比べるにも色々な方法がある。ジェフリー・ガンドラック氏も同じことを考えているが、筆者とは計算方法が恐らく多少異なっている。

ガンドラック氏: 米国株の株価は来年の景気後退を織り込んでいない
そしてより大切なのは景気後退のタイミングである。それについてはマネーサプライや雇用統計などリアルタイムのデータを見ながら逐次アップデートしてゆくほかない。現状では景気後退は2024年前半だと考えているが、タイミングは逐次修正される。実際、景気後退はドーン・フィッツパトリック氏を除く多くのファンドマネージャーの推測よりも遅れている。

2022年のフィッツパトリック氏の経済予想が完全に当たっている
だが、この記事で言いたいのは、米国株がどういう水準にあるのかを考えてトレードする必要があるということである。

多くの株式投資家は、金利と株価水準を比べることさえしていない。今年の株価反発で米国株が2022年の高値を超えられずがっかりしている投資家もあるかもしれないが、米国株が上値を抑えられているのは当たり前である。

筆者の考えでは、結局米国株は2022年から始まった長期ダウントレンドの中にいる。ただ、コロナ後の莫大な現金給付とその後の大規模な金融引き締めというトレンドが大きすぎて緩やかにしか状況が進まないだけである。一喜一憂している人々は楽しそうだが、状況は2年前から何1つ変わっていない。

だが、 長期的には米国株は以下の記事で説明した1970年代のインフレ相場の繰り返しか、あるいはそれよりも悪くなるだろう。長期的トレンドからは逃れられないのである。状況はますます当時に似てきている。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40275
18:777 :

2023/10/03 (Tue) 20:42:52

世界最大のヘッジファンド: 株安の原因となっている長期金利上昇には大幅な上昇余地がある
2023年10月3日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40328

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が自身のブログでアメリカの長期金利について語っているので紹介したい。

長期金利上昇

アメリカでは長期金利が上昇している。それが株安の原因になってもいる。アメリカの長期金利は次のように推移している。


金利が上がれば上がるほど株式には不利になる。国債を買えば理論上無リスクで4%台の金利が得られるのだから、株式はそれ以上の魅力を提供しなければ買い手を集められない。

リーマンショック以後ゼロ金利に慣れてしまった金融市場には4%台の金利は高い。だがダリオ氏はそれでも低すぎると考えているようだ。彼は次のように述べている。

長期の国債については、インフレ率の見通しよりも1.5%から2%高い金利が欲しい。インフレ率見通しは、わたしはおよそ3.5%だと考えている。

市場の期待インフレ率は2.4%だから、ダリオ氏はそれよりも高いインフレ見通しを考えているようだ。

これらの数字を足し算すれば、ダリオ氏が要求する長期金利の水準が得られる。ダリオ氏はこう続ける。

だからそうした要因だけ考えれば、わたしが国債を保有したいと思えるためには5%台前半の金利が必要だ。だが残念ながら要因は他にもある。

更に上昇余地のある長期金利

インフレ率とそれを考慮した金利水準を考えれば、5%台前半の金利が必要だとダリオ氏は言う。

上記のチャートを見て分かる通り、それは株価下落の原因になっている現在の長期金利の水準よりもかなり高い。

だがダリオ氏はそれでも足りないと言う。彼は理由について次のように述べている。

政府の財政赤字が大きいために米国債の供給量の見通しは多く、一方で需要の見通しは低い。

ダリオ氏は長らく国債市場の需給問題に言及していた。莫大な(日本に比べれば少量の)借金を抱えたアメリカ政府が国債を大量発行しなければならない一方で、これまで買い手だった中央銀行は国債の保有量を減らす量的引き締め政策を行なっている。

では米国債を誰が買うのかという問題である。国債の価格下落は金利上昇を意味するので、十分な買い手がいなければ金利は上がってゆく。

ダリオ氏は次のように続ける。

海外の銀行や中央銀行やその他の買い手は米国債で酷い損失を抱えており、しかも彼らはアメリカで政治的、社会的、経済的に何が起こるのかを懸念している。

インフレで金利が上がったため、言い換えれば国債の価格は大幅に下がったのである。例えば国債を大量に抱えていたシリコンバレー銀行は、保有国債の価格下落が一因となって倒産した。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
だがそれはシリコンバレー銀行だけの話ではない。米国債を抱える世界中の銀行が同じ状況に陥っている。そしてそれは中央銀行でさえも例外ではない。ダリオ氏は金利上昇で中央銀行さえも破綻の可能性があるということを以下の記事で説明していた。

世界最大のヘッジファンド: 中央銀行でもインフレで破綻する可能性
米国債から逃避する海外勢

だが、国債の保有者が抱える含み損だけが、投資家を米国債から遠ざけている要因ではない。ダリオ氏はアメリカ国外の投資家や中央銀行が米国債を避けている政治的理由を指摘している。

一部の海外の米国債保有者は「制裁」されるのではないか、つまり米国債を彼らが使用できる別の通貨に両替できなくなるのではないかということを心配している。

何故か。ウクライナ情勢以降、米国がドルを使った経済制裁を武器として振り回し始めたからである。

制裁を受けたロシア自身がドル資産を避けるのは当たり前の話だが、問題は米国が対ロシア経済制裁に賛同しなかった中立国に制裁をちらつかせて対ロシア戦争に参加させようとしたことである。

中国やインドやブラジルやハンガリー、あるいはアフリカ諸国など、アメリカとは無関係の国々はウクライナを代理とした欧米とロシアの戦争になど関わりたくなかった。

日本人の多くはウクライナ戦争は2022年に突然始まったと思っている。だが戦争は突然始まるものではない。メディアの言うことを鵜呑みせず、そこで何かがおかしいと思わなければならない。

ウクライナの歴史を何も知らない日本人とは違い、これまでの経緯を知っている中立の国々にとっては、この問題は2014年にウクライナで欧米の支持した暴力デモ隊が当時の親露政権を追い出したことから始まっている。

ジム・ロジャーズ氏: 米国のウクライナ支援はロシアが米国直下のメキシコの反米を煽るようなもの
その後、ウクライナ政権はアメリカの補助金漬けとなった。

ロシアのウクライナ侵攻でバイデン大統領が犯した一番の間違い
だから無関係の国々は日本人のように、アメリカの補助金漬けとなって何年も反ロシアキャンペーンを行ないロシアとの無用な対立を引き起こした挙げ句、何の罪もないウクライナ国民をアメリカの都合で対ロシア用の尖兵として強制動員しているウクライナ政権が善だなどとは一切考えていない。

それはもはや欧米でも主流派となりつつある。近隣のポーランドの首相は最近「ウクライナに武器供与しない」と発言して西洋の政治界を騒がせた。ちなみにポーランドはウクライナにミサイルを落とされている。

ハンガリー、ポーランドにミサイルを落としてしらを切るウクライナを批判
スロバキアではウクライナへの軍事支援に反対する政党が支持率首位となっている。

それはウクライナの政治家の支援国に対する態度の結果でもある。何も気付かずにメディアの偏向報道を鵜呑みにしているのは日本人くらいである。

ウクライナ、ドイツ首相を「すねたレバーソーセージ」呼ばわりする
ここまで書けば、対ロシア戦争に協力しないならドル資産を凍結すると言われた時の中立国の対応は、もう言わなくとも分かるだろう。

結論

そうした事情が米国債の価格を下げ、 金利を上げている。

ダリオ氏と同じように、筆者も今回の米国債下落と長期金利上昇は根が深いものだと考えている。以下の記事では株価と関連して説明している。

米国株下落の原因: 利下げ織り込みでも止まらない長期金利急騰
そして金利上昇は株価を下落させるだろう。

2024年の米国株予想: 株価は最大で50%下落する
ちなみにダリオ氏が米国株をどうしているかと言えば、これについても既に報じているのでそちらを参考にしてもらいたい。しかしダリオ氏の言うように、長期金利が5%や6%になれば株価はどうなってしまうだろうか。

世界最大のヘッジファンド、株価下落の直前から米国株に弱気

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40328
19:777 :

2023/10/06 (Fri) 00:09:24

ガンドラック氏: 景気後退が急激に近づいたことを警告する長短金利差の急変化
2023年10月5日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40384

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が最近の金融市場の動向がアメリカ経済の景気後退の到来を示唆しているとTwitterで指摘している。

長短金利の逆転

ガンドラック氏は次のように言っている。

長短金利の逆転が急激に解消されつつある。

長短金利の逆転とは、アメリカで2年物国債の金利が10年物国債の金利よりも高くなっていることを指す。

通常、債券は期間が長いほど金利が高くなる。だから長期金利から短期金利を引いた長短金利差はプラスになっているのが普通である。

だが強すぎる利上げにより将来的に景気後退が来ると債券市場が織り込むと、政策金利に左右されやすい短期金利は高いままだが、将来の景気に左右されやすい長期の金利がそれよりも低くなる。そして長短金利差がマイナスになる。

長短金利の逆転は、歴史上ほとんど例外なく景気後退の前触れとなってきた。そして今どうなっているかと言えば、アメリカで長短金利は逆転している。ガンドラック氏は次のように述べている。

長短金利差は数ヶ月前まで-1.08%だった。今は-0.35%だ。

長短金利逆転の解消

ガンドラック氏が今指摘しているのは、長らくマイナスとなっていた長短金利差が上昇に転じていることである。長短金利差のチャートは次のようになっている。


長短金利差がマイナスになれば、その後ほぼ例外なく景気後退が起きる。だが実際には、過去の例では景気後退が起きるのは長短金利差がマイナスになり、そしてプラスに戻った後である。

例えば2008年のリーマンショックにおいては長短金利差のチャートは次のようになっている。灰色の期間が景気後退である。


以下は2001年のインターネットバブル崩壊時の長短金利差である。


両方とも長短金利差がマイナスである間は景気後退にならず、それが解消された後に景気後退になっている。

結論

ということで、長らくマイナスになっていた長短金利差がプラスに近付きつつあることは、景気後退が本当に近づいたサインなのである。ガンドラック氏は次のように述べている。

これは景気後退に気をつけ始めるシグナルどころか、景気後退に向けての直接的な警告だ。

もうすぐ雇用統計も発表される。遂に上昇トレンドに乗りつつある失業率について、ガンドラック氏は次のように述べている。

失業率があと0.2%か0.3%ほどでも上がれば、それも景気後退の警告だ。

シートベルトを締めておくことだ。

失業率のチャートは次のようになっている。


だが、長短金利差については筆者は最近、1970年代の物価高騰時代において長短金利差がマイナスのまま景気後退に突入していることが気にかかっている。

それは当時、景気後退に突入してもなおインフレ退治のために政策金利を高く保たなければならなかった(だから連動する短期金利が長期金利に比べて高いままとなった)ことを意味している。

そうなれば、最近下落している株式市場にとっては更に悪いニュースである。

2024年の米国株予想: 株価は最大で50%下落する
株式市場の方の予想はそれほど難しくない。だが債券市場の方はガンドラック氏が言うよりも複雑なことになるかもしれない。

インフレ政策が引き起こした40年来のインフレ相場であり、 中央銀行も破綻しかねない状況なのだから、より多くの可能性に備えておくべきだろう。

世界最大のヘッジファンド: 中央銀行でもインフレで破綻する可能性

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40384
20:777 :

2023/10/11 (Wed) 00:11:58

【保存版】 長期王道銘柄・5つのポイント
つばめ投資顧問の長期投資大学
2023/10/09
https://www.youtube.com/watch?v=mUp1IUl9Kko
21:777 :

2023/10/12 (Thu) 02:04:57

ガンドラック氏: 最近の株価下落の原因と景気後退時の米国株予想
2023年10月11日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40528

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏がFox Businessnのインタビューで最近の米国株の下落の理由と今後の見通しについて語っている。

近づく決算シーズン

9月が終わり、次第に第3四半期の決算が発表される時期となる。株式市場にとっては言うまでもなく重要な期間なのだが、それについてガンドラック氏は次のように述べている。

決算シーズンを通過するにつれて、市場のムードがどうなってゆくかを観察するのは有益だ。

いつものことだが、決算シーズンになると途端に皆が「金利が高いから」「エネルギー価格が高いから」と言い始める。

高金利の問題も原油価格上昇の問題も元々あったのだが、決算シーズンに悪い決算が出てくると、いきなり人々は元々あった悪材料に注目し始める。

だが悪材料は元々あったものだ。だから決算が悪いと、株価には二重で悪材料になる。1株当たり純利益が下がること自体が悪材料である上に、株式市場がこれまで平然と無視していた悪材料(例えば金利上昇)を何故かいきなり織り込み始めるからだ。

これは2021年にインフレの脅威を何の根拠もなく無視し続けたFed(連邦準備制度)のパウエル議長に似ている。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ (2021/7/18)
だがパウエル氏も株式投資家も知能の水準は同じようなものなのである。だから見ようと思えばずっと目の前にあったはずの脅威を無視し、危険が本当に差し迫って始めて騒ぎ始める。

2018年に金利が高騰した時の株式市場もまったく同じだったことは、ここでは何度も言及している。当時も株式市場は高金利の脅威を一定期間無視していた。

世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)
だから株式市場のムードを見ておくことは重要である。そしてガンドラック氏は現在の市場について次のように述べている。

人々のムードは落ち込みつつあるように感じる。そしてそれが空高く上がっている株式のバリュエーションとぶつかる。

株式市場が揺らいでいる理由

決算シーズンがまだだというのに、株式市場のムードは悪くなっている。

それは何故か。ガンドラック氏はまず、株価が何故現在の水準まで上がったのかを説明する。

だがバリュエーションが空高く上がることができたのは、金利がゼロだったからだ。だがゼロ金利はもうない。

今や企業はローンに対して3倍か4倍の金利を支払っている。あるいは銀行危機のせいでもはやローンを受けられない企業もある。クレジットカードの金利も上がっている。

株価は以下の計算式で計算される。

株価 = 1株当たり利益 x 株価収益率
低金利によって企業利益も底上げされることに加え、低金利の時代には株価収益率が上がる。低金利時代の株高はこの式によって肯定される。

だが、何度も言っているが、低金利はもうない。ジョージ・ソロス氏が著書『ソロスは警告する』でリーマンショック前に次のように書いたのと同じ状況である。

住宅価格が下がりはじめているにもかかわらず、ゲームの終了が読み取れない参加者が、まだ大勢残っている段階だ。

当時の言葉で言えば、住宅バブルは終わっていた。今の言葉で言えば、低金利バブルはもう終わっている。だが人々はまだ踊っている。

金利上昇が経済にもたらす影響

金利は実際、どのようにして実体経済に影響を及ぼすのか。

一番分かりやすいのは利払いの増加である。そして実体経済に一番大きな影響を及ぼすのは、発行残高が一番巨額な国債だろう。

だがそれは金利を5%台まで上げたからと言って、急に実体経済に影響を与えるわけではない。コロナ前の低金利の時代に発行された低金利の債券については、今でも低い金利を支払うだけだからである。

だが、借金にはいずれ期限が来る。そして借り手は今の高い金利で借り換えることになる。ガンドラック氏は次のように説明している。

3年物国債や5年物国債のように、3年以上前に行われた借り入れは、0.5%かそれよりも低いような金利のままいまだに存在している。それが借り換えの時には5.5%になる。5%の金利上昇だ。

高金利を十分に続ければ、33兆ドルの国債に対して利払いは1.7兆ドル増える。年間1.7兆ドルだ。これは物凄い数字だ。

アメリカのGDPは27兆ドルなので、1.7兆ドルはGDPの6%である。これは利払いの増加分だ。すべての国債が今の高金利で置き換えられれば、それだけでリーマンショックの倍ほどのダメージをアメリカ経済に与える。

半分でもリーマンショックと同じ規模である。それが5%台の金利の意味である。

そして利払いが消費を侵食してゆく。ガンドラック氏はこう続けている。

金利が今の水準に保たれ続ければ、利払いなど不可避の支払いの他にはもはや資金が何も残っていない状況にいずれなるだろう。

株価下落の理由

ただ、この借り換えは徐々に行われてゆく。 債券には3年物や5年物など様々な期間があり、期限が来たものから借り換えられてゆく。

ガンドラック氏は次のように補足している。

これには人々が思うよりも長い時間がかかる。だがもう金融引き締めが1年半続いており、もうすぐ2年になるが、Fedは6月や7月に見られたような株式市場の緩和転換期待には応えないという決意を何度も明確に表明している。それで株式市場はバリュエーションの見直しを迫られている。

ガンドラック氏によれば、それが最近の株価下落の理由だということだ。米国株は次のように推移している。


米国株は今後どうなるか。株価の計算式をもう一度掲載しよう。

株価 = 1株当たり利益 x 株価収益率
ガンドラック氏は次のように予想する。

景気後退になれば、現在のような株価収益率を保つことは極めて難しくなるだろうし、利益も恐らく下がるだろう。

利益と株価収益率が下がれば株価はどうなるか。もう少し具体的な計算については以下の記事で行なっているので、そちらも参考にしてもらいたい。

2024年の米国株予想: 株価は最大で50%下落する

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40528
22:777 :

2023/10/14 (Sat) 20:35:24

チューダー・ジョーンズ氏: 今は米国株に投資をするのが非常に困難
2023年10月14日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40597

引き続き、CNBCによるポール・チューダー・ジョーンズ氏のインタビューである。今回は米国株について述べている部分を紹介する。

米国株の2つの問題

ジョーンズ氏は米国株について次のように言う。

今は米国株に投資するのが本当に難しい時期だ。本当に難しい。

何故か? まず地政学リスクだが、これはある程度我慢できる。だがすべての状況が、突発的な事態に発展する潜在性を持っている。

だが同じくらい問題なのが、政府の財政問題だ。

地政学リスクについては以下の記事で解説している。

チューダー・ジョーンズ氏: 金融市場はイスラエルリスクを過小評価している
ハマスとイスラエルの対立にイラクが参戦すれば世界大戦になりかねない。それだけでもリスクだが、ジョーンズ氏はアメリカの財政問題は米国株にとってそれと同じくらい大きなリスクだと言う。

アメリカの政府債務

アメリカの政府債務はGDPの100%を超え、しかもインフレ対策の利上げによって国債の金利が高騰しているため、利払いが急増している。ジョーンズ氏は次のように説明している。

利払い費用がかさむにつれて、負のスパイラルが発生する。

高金利が借金するための費用を増加させ、それが借金を増加させる。国債を更に発行することになり、国債の供給が増える。それが金利を更に上げることになり、そのスパイラルがアメリカをどうしようもない財政状況へと追い込む。

米国政府のGDP比の利払い費用は次のように推移している。


ジョーンズ氏は次のように続ける。

利払い費用はもうすぐ防衛費を上回ることになる。あと数年だ。

ところで、利上げは5%台で今のところ止まっているのだが、利払い費用の方は上のように増え続けている。

何故か? 金利が上がる前に発行された国債については、利払いは少ないままだからである。新しく発行された国債については、高い金利を払わなければならない。

だがアメリカ政府が赤字を垂れ流し続ける限り、発行済みの国債はいずれ満期が来て借り換えが起こる。国債には様々な期間のものがあり、期限の来たものから順に借り換えになるので、少しずつ高金利の国債に変わってゆく。

だから利上げが止まっても高金利が維持される限り利払いは増え続け、経済にはマイナスなのである。

株式市場への影響

ジョーンズ氏はこう続ける。

何とかしなければ、あなたたちの税金の恐らく20%近くが政府の利払い費用で消えることになる。

彼はこの状況がイスラエルの問題と同じくらい株式市場にとって問題だと言った。何故か? これまで株式市場を支えてきた要因の1つが、政府の財政支出だからである。世界的なインフレを引き起こした現金給付も、政府による支出である。

だが利払い費用がこのまま膨らめば、政府は支出する分の資金を利払いに取られてゆく。これまでリーマンショックでもコロナ危機でも財政支出に頼ってきたのに、その財政支出が出来なくなる。

インフレと株価

そうでなくとも、単にインフレと高金利だというだけで株式にとっては大きなマイナスなのである。

以下の記事で説明したように、1970年代の物価高騰時代には、米国株の価値は実質3分の1まで下落した。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
その理由は、デフレの時代に株価を支えていた低金利が、インフレの時代にはなくなるからである。

ガンドラック氏: 株価の長期上昇を支えてきた過去40年の低金利はもうない
金利については今も状況は同じである。だから米国株は長期的には基本的に1970年代と似たパフォーマンスになると筆者は考えている。

だが当時と今とでは違う点もある。当時のアメリカの負債は今よりも大幅に少なかった。今回の金利上昇は、莫大な規模に膨らんだ政府債務との組み合わせでアメリカ経済に襲いかかることになる。ジェフリー・ガンドラック氏は年間の利払い費用が最大でリーマンショックの2倍の規模まで膨らむ可能性があると指摘している。

ガンドラック氏: 最近の株価下落の原因と景気後退時の米国株予想
結論

ジョーンズ氏はそれを心配しているのだろう。最近になって政府の利払いの増加と、その結果としての負のスパイラルを警告する声が大きくなっている。レイ・ダリオ氏などはその結果中央銀行でも破綻する可能性があると言っている。

世界最大のヘッジファンド: 中央銀行でもインフレで破綻する可能性
とても面白い状況になってきた。政府赤字を平気で増やし、インフレをわざわざ引き起こそうとしたインフレ政策の当然の結果が米国株に襲いかかろうとしている。

インフレ政策の結果はインフレである。 何故分からなかったのか。その結果株価がどうなるかくらいは、分かってほしいものである。

2024年の米国株予想: 株価は最大で50%下落する

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40597
23:777 :

2023/10/21 (Sat) 12:23:11

ガンドラック氏: この状況で米国株を買う理由は一切ない
2023年10月20日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40781

引き続き、Fox BusinessによるDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏のインタビューである。今回はリスク資産としての米国株の魅力について語っている部分を取り上げたい。

金利高騰と株価水準

コロナ後の現金給付によって引き起こされたインフレにより、アメリカでは金融緩和を撤回し金融引き締めを行わなければならなくなった。

ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由
アメリカでは利上げは今のところ停止されているが、量的緩和で買い入れた国債保有を減らす量的引き締めはまだ行われており、これまで中央銀行が買っていた米国債に買い手がいなくなったことで長期金利の高騰が起きている。

チューダー・ジョーンズ氏: 米国債の大量発行で金利はまだまだ上がる
国債の金利が上がったということは、投資家は無リスク資産とされる国債を買っていれば高い金利を得られるということである。

それは米国株にとって脅威である。株式には下落リスクがある。だが国債はデフォルトしない限り想定された金利と元本がきっちり返ってくる。

ここで投資家にとっての問題は、下落リスクを取ってまで株式を買う魅力が株式に存在するだろうかということである。

ガンドラック氏は次のように述べている。

量的引き締めと現在の金利水準を考慮すれば、株式の代わりになる資産はいくらでもある。

株価収益率が23倍のS&P 500から何が得られるだろうか? 長期リターンはどうなるだろうか?

株価収益率が23倍ということは、1株当たり利益と株価が変わらなければ、その株式が投資額と同じ金額の利益を積み重ねるまで23年かかるということである。

だが、例えば長期債の金利が5%ならば、20年で元本と同じ金利が得られる。(現在、20年物米国債の金利はまさに5%に近い。)

それはつまり、現状のファンダメンタルズでは米国株を買う意味は皆無だということになる。国債よりもリターンが悪いリスク資産を誰が買うだろうか?

企業利益の見通し

だから株式を買う理由があるとすれば、市場は1株当たり利益の上昇を見込んでいるからだと言うほかない。だが企業利益の見通しについてガンドラック氏は次のように言っている。

来年の1株当たり利益をどう予想する? コンセンサス予想は11%の上昇だ。それは自分には非常に楽観的に見える。

2024年には景気後退が控えている。2022年の時点でSoros Fund Managementのドーン・フィッツパトリック氏が予想していた通りである。

2022年のフィッツパトリック氏の経済予想が完全に当たっている
景気後退が来て企業利益が増加するという見通しはかなり無理があるだろう。景気後退が来ないか、企業利益のコンセンサス予想が間違っているかどちらかである。そして筆者の意見では、コンセンサス予想が間違っているのである。

企業利益が上がらない理由については以下の記事で詳しく説明しているので、そちらを参考にしてもらいたい。

米国株が完全に割高である理由と株価の推移予想
株式は債券に勝てるか

米国株は米国債に対してかなり分の悪い勝負をしているが、米国株の競争相手は国債だけではない。債券市場には国債よりもリスクはあるが金利も高い債券が数多く存在している。

債券の専門家であるガンドラック氏は次のように述べている。

株価収益率はいまだ20倍を超えている。より安全でボラティリティの低い資産を保有して8%や9%の金利を得る方がよほど良い。債券市場では大きなリスクを取らずにそれが出来る。大きなリスクなしで8%だ。

ガンドラック氏は住宅価格上昇で財政状況の良い家主の住宅ローンなど、金利はかなり高いがデフォルトリスクが少ないとガンドラック氏が考える債券を推奨している。景気後退になればデフォルトリスクは上がるが、その中から良い債券を選ぶのは債券投資家の本領だろう。

あるいはガンドラック氏は更にリスクの少ない債券投資を挙げる。

わたしの会社には保有債券の100%がAAA格付けの債券ファンドで平均残存期間が1年、変動金利が7.5%のものがある。それで何の問題がある?

これから当面の間、株式市場から8%以上の年率リターンを得ることは難しいだろう。7.5%の金利が得られることを知っていながら、サイコロを振って祈る理由があるだろうか。

米国株にとっての問題は、こうした選択肢が存在する中で投資家の資金を引きつけ続けることができるのかという問題である。

まあ無理だろう。これから起きることはこうである。景気後退が明らかになるにつれ、企業利益が来年大きく上昇するという株式市場の幻想が徐々に剥がれてゆく。そして景気後退になれば、企業利益だけではなく株価収益率も下がってゆく。

その結果、 株価がどのような水準になるのかということについては、以下の記事で試算している。参考にしてもらいたい。

2024年の米国株予想: 株価は最大で50%下落する

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40781
24:777 :

2023/10/27 (Fri) 12:29:13

理論株価の計算方法― 本格的な方法から簡易版まで
つばめ投資顧問の長期投資大学
2023/10/26
https://www.youtube.com/watch?v=msigRDdYzuo
25:777 :

2023/11/04 (Sat) 06:46:47

ドラッケンミラー氏: 米国株は金利上昇の圧力で崩壊する
2023年11月3日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/41312

ジョージ・ソロス氏のSoros Fund Managementを長年運用していたことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏がRobin Hood財団主催のインタビューで米国株の見通しについて語っている。

インフレと金利高騰

ドラッケンミラー氏は2021年から物価高騰を警告し、その後の金利高騰による株式市場と実体経済への悪影響を予想し続けてきた著名投資家の1人である。

そしてアメリカの長期金利は、Fedがもう数ヶ月も利上げを停止しているにもかかわらず、構わず上昇してきた。


それが米国株の重しとなっている。米国株は次のように推移している。


何故株価が下落しているのか? 長期金利が上昇すれば、投資家はリスクを取って株式を保有しなくとも単に長期国債を保有すれば十分な金利が得られるからである。

ドラッケンミラー氏の個別株戦略

さて、ドラッケンミラー氏はこの状況で米国株をどう見ているか。

バイデン政権の行なっている景気刺激は的が非常に絞られている。ほとんどはグリーンエネルギー向けだ。

それが株式市場で投資機会を生むかもしれない。

いわゆる「国策に売りなし」である。政府が国民から徴収した税金を特定の企業にばら撒くとき、その企業の株価は上がる。

ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
また、ドラッケンミラー氏は以前から推してきたAI銘柄にも焦点を当てている。彼は次のように述べている。

AI業界では大きなことが起こっている。そこに投資機会があるかもしれない。

ドラッケンミラー氏は以前よりNVIDIAやMicrosoftなどのAI関連銘柄を推している。

ドラッケンミラー氏、AI関連の米国株を怒涛の買い増し
ドラッケンミラー氏はアメリカ経済の景気後退入りを予想しているが、それでも優れた銘柄はそれほど影響を受けないのではないかと踏んでいる。

NVIDIAについては以下の記事でも取り上げている。

米国の景気後退の遅れから利益を得るトレードを紹介する NVIDIA株を例に
ドラッケンミラー氏の米国株見通し

ここまでがドラッケンミラー氏の個別株に対する見方である。では米国株全体に関してはどうか。

ドラッケンミラー氏は米国株について次のように言っている。

可能性は低いかもしれないが、世界大戦が起こる危険もあり、株価収益率が20倍から30倍もの米国株に喜んで投資をするような状況ではない。

ここから半年はどうなるだろうか? 少なくとも最近の下落で高いバリュエーションのいくらかは吐き出された。

米国株の現在の問題は金利上昇である。金利が高ければ株式市場から金利の高い国債に資金が流出する。

そして金利が上がっている原因は、大量に発行された米国債に十分な買い手がいないことである。

チューダー・ジョーンズ氏: 米国債の大量発行で金利はまだまだ上がる
そして一部の企業が恩恵を受ける景気刺激はこの問題を悪化させる。何故ならば、借金だらけの米国政府が景気刺激をするには、買い手のいない米国債を更に発行して投資家に買ってもらわなければならないからである。

そうすれば金利は更に上がることになる。ドラッケンミラー氏は次のように言っている。

だがまさにその景気刺激が金利の上昇圧力を与え、株式市場における他のすべてのものを崩壊させる。

金利と株価の問題は非常に単純である。国債の金利が5%前後で推移している時に、 誰が下落のリスクを負って株式を買うだろうか?

多くの著名投資家が同じように考えている。

ガンドラック氏: この状況で米国株を買う理由は一切ない
チューダー・ジョーンズ氏: 今は米国株に投資をするのが非常に困難
ちなみにチューダー・ジョーンズ氏はこのインタビューで司会をやっており、ドラッケンミラー氏の聞き手に回っている。何とも贅沢なジョーンズ氏の使い方である。

筆者の意見は以下の記事を参考にしてもらいたい。金利と株価の関係について論理的な反論があれば聞いてみたいものである。

2024年の米国株予想: 株価は最大で50%下落する

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/41312
26:777 :

2023/11/08 (Wed) 02:18:24

ドラッケンミラー氏: 米国株が長期的には常に上昇するという信仰は間違い
2023年11月7日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmaあcroresearch.org/jp/archives/41359

引き続き、ジョージ・ソロス氏のSoros Fund Managementを長年運用していたことで知られるスタンレー・ドラッケンミラー氏の、Robin Hoodにおけるインタビューである。

今回は株式市場の長期的な見通しについて語っている部分を紹介したい。

ドラッケンミラー氏の相場観

ドラッケンミラー氏はアメリカ経済はこれから景気後退入りすると予想している。 株価は景気後退の半年ほど前に下落するので、そのタイミング予想は株価の下落タイミングの予想とも関連している。

ドラッケンミラー氏が予想するアメリカ景気後退のタイミング
ドラッケンミラー氏: 米国株は金利上昇の圧力で崩壊する
タイミングについては専門家の間でも割れている。だがより長期的な株価の見通しについては、専門家の予想に誤差が少なくなる。

ではドラッケンミラー氏は米国株が長期的にどうなると考えているのか。彼は次のように述べている。

より重要なのは長期的な展望で、アメリカでは株価は長期的には常に上昇するという信仰がある。

信仰(原文:belief)という言葉を使っている。それはその考えに根拠がないということを暗に言っているのである。

米国株の長期的な株価上昇

実際、その考えには根拠がない。米国株を買って寝ていれば長期的には儲かるという考えの人々の根拠は精々、ここ数十年米国株は長期的に上昇してきたという程度のものだ。だがその程度の考えで投資で儲かるならばファンドマネジャーは苦労しない。

本職のヘッジファンドマネージャーが投資で利益を出すために多くの優秀なアナリストを大金で雇い、毎日出社して経済を分析しなければ利益を出せないと考えているのに、素人は米国株の長期チャートを一度眺めただけで株式市場で儲けられると信じている。その時点で何かがおかしいことが分かりそうなものだが、多くの人がそれに気づけない。

何がおかしいのか。1980年からほぼ40年間米国株が長期的には上昇してきた理由は、1980年からコロナ後のインフレのあった2021年まで、長期的には一貫して金利が下がり続けてきたからである。

アメリカの政策金利は次のようになっている。


金利が高い間は投資家は株式ではなく国債などを買って金利収入を得ることを好む。逆に金利が下がると国債の魅力が下がるので、リスクを取ってでも株式に賭けようとする人が増え、金利が下がるたびに株式市場に資金が流れるのである。

利下げと量的緩和で40年間金利を下げ続けて、金利が下がるたびに株式市場を持ち上げてきた。だがもう金利はこれ以上下がらなくなり、コロナ後の現金給付によってインフレが起きた。

ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由
そして今ではインフレを抑制するために金利を上げなければならなくなっている。それが今の株式市場の問題である。

インフレの時代における株価の推移

ドラッケンミラー氏は次のように言っている。

量的緩和によるバブルの期間が10年続いたのだから、ファンダメンタル的にも株価水準的にもその分の調整が来なければならない。

何度も言うように、40年間株価が上がってきたのは、40年間金利を下げ続けてその度に株価を押し上げてきたからである。

ドラッケンミラー氏はこう続ける。

量的緩和が起こる前の世界では、株価収益率は15倍だった。今では20倍だ。

株価の計算式を持ち出そう。株価は次の式によって計算できる。

株価 = 1株当たり利益 x 株価収益率
ドラッケンミラー氏は、量的緩和が1株当たり利益と株価収益率の両方を押し上げたことを指摘しているのである。

量的緩和で金利が下がったことで、実体経済では多くの人がお金を借りてものを買った。それと同時に、上述したように金利低下で株式の魅力は増す。それは株価収益率が上がるという意味である。

だが40年続いた金利低下によるこれらの押し上げ効果はもうなくなった。それどころか金利はインフレで上がっている。

それでも米国株は企業利益が増え続けることを前提に推移している。だがそのアナリスト予想に対してドラッケンミラー氏は次のように言う。

それは1株当たり利益に関するわれわれの今年の見通しとは一致しているが、来年も増益になるとは思えない。良くて横ばいだ。

金利上昇がようやく失業率上昇に表れてきたように、企業利益にも表れざるを得ない。高金利がついにアメリカ経済に忍び寄っている。

米国の10月雇用統計、来年の景気後退に向け経済急降下
だがドラッケンミラー氏が言いたいのは今から次の景気後退までの中期的な話ではない。過去40年がデフレの時代であったならば、これからはインフレの期間となる。

デフレと金融緩和の期間においては株式は長期的に上昇する。それは事実である。だが、インフレと高金利の時代には逆のことが起きる。

実際にインフレの時代に株価はどうなったか? 1970年代の物価高騰時代の米国株のパフォーマンスについては以下の記事で説明している。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
1970年代の前後15年ほどの間、米国株は長期的には横ばいだった。その中にはインフレと高金利で株価が半値にまで暴落した1974年の出来事も含まれているのだが、ともかく期間の最初と最後の株価を見れば、米国株はほぼ横ばいだった。

そして今もインフレの時代となった。ドラッケンミラー氏は当時の再現を予想している。だから彼は次のように言う。

数年前に、米国株は10年後にも同じ水準で推移しているかもしれないと話したが、今でもそれを信じている。当時S&P 500は4,500ドル付近で、今も大体同じ水準だ。

インフレ時代における米国株

長期的に横ばいになり、かつその間に半値にまで暴落することもある資産を保有する意味があるのかどうかは定かではない。

だが株式投資家の悲劇はそれだけではない。この「横ばい」とは、インフレによって価値が大幅に下落したドルで考えて「横ばい」なのである。

だから実質的には米国株の価値はインフレ分下落している。 そしてインフレ分の下落がどれくらいかと言えば、過去のインフレ時代におけるドルの価値を消費者物価指数をもとに計算すれば、次のようになる。


これがインフレ時代における米国株の実質的なパフォーマンスである。ほぼ3分の1になっている。その間、預金をしていた人はインフレでドルの価値は目減りしたものの、高金利によって大きな金利収入を得ている。

インフレ相場での最良の投資方法は株の空売りを除けば株式投資ではなく預金
結論

ということで、米国株の数十年分の株価チャートを眺めるだけで米国株の長期見通しを予想でき、株式市場で利益を得られるなどという有り得ない考え方は今すぐ捨てるべきである。

多くの人は金融庁の妄言を信じたのだろうが、金融庁の職員の多くは新卒入社でずっと金融庁で働いており、しかも彼らは規定で一部を除く株取引を禁止されているので、資産運用を仕事にしたことがないどころか、個人で投資した経験ももしかしたらあなたより少ないかもしれないド素人である。

「株式の長期投資はほぼ儲かる」という幻想は金融庁の「基礎から学べる金融ガイド」から来た
いつも言っているが、他人の意見を鵜呑みにする人はその考え方の価値に応じた報酬を受け取ることになる。金融市場では常に自分に相応しい報酬が返ってくる。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/41359
27:777 :

2024/01/28 (Sun) 18:38:42

ガンドラック氏: インド株は30年前の中国株と同じ状況、買って放置しておけ
2024年1月27日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/43749

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、自社主催の座談会で新興国株式、特にインド株について語っている。

米国株の長期上昇トレンド

米国株は過去40年間素晴らしいリターンを上げてきた。それは長期の上げ相場だった。

その上げ相場は1980年に始まった。何故ならば、1970年代のインフレ相場の後、長期的に上昇していた金利が1980年に遂にピークに達し、金利はそこから下落したからである。

その後40年に渡ってアメリカの金利は長期的に下がり続け、米国株を支え続けた。一方で日本ではバブル崩壊後に金利がゼロに達し、それ以上金利低下が得られなかったために株式市場は30年近く停滞した。

このように、金利の上下は株式市場に大きな影響を持っている。そして問題は、インフレによってアメリカでも金利の低下が終わり、むしろ金利を上げなければならなくなったことである。

そのような状況にある米国株について、ガンドラック氏は次のように述べている。

米国株は長らく他の国の株式、特に新興国株式よりも良いパフォーマンスを発揮してきた。それは長いトレンドだった。だがそのトレンドは壊れたようだ。

スタンレー・ドラッケンミラー氏も金利を理由に米国株の長期上昇トレンドは終わったと判断している。

ドラッケンミラー氏: 米国株が長期的には常に上昇するという信仰は間違い
逆に言えば、幸いなのはインフレがそれほど酷くなかったためにアメリカほどの利上げが必要ではなかった国々である。

アメリカでは莫大な現金給付によってインフレ率は2%程度から9%まで上がった。だがそれほどのばら撒きを行わなかったためにインフレがそれほど酷くない国もある。

また、アメリカでは金利上昇は莫大な政府債務への利払いが増加することを意味するが、政府債務が少ない国では利上げの悪影響も小さい。

何処の国に投資するべきか

だからガンドラック氏はアメリカ以外の国の株式を推している。だが具体的にどの国が良いのか。ガンドラック氏は次のように続けている。

これは毎年言っていることだが、現在はこれまで以上に確信している。

孫の大学の教育費のような長期的の話ならば、インド株式ETFを買ってただ放置しておけ。

最近、著名投資家の中でインド株が話題である。Bridgewaterのレイ・ダリオ氏もインド株を推奨していた。

レイ・ダリオ氏: インドにもっと投資できれば良いのだが
何故か。ガンドラック氏は次のように説明している。

インド株は上がる。10倍になる。インドは30年、35年前の中国とまったく同じ状況にある。

30年前、中国は地方から都市部への人口流入によって労働力が急増し、それに対応するために変化が起こらなければならなかった。それが今のインドの状況だ。

結論

多くの個人投資家が、ただ買って放置しておけば儲かると思って米国株をつみたてNISAに詰め込んでいる。だがプロの視点から見れば、現在は米国株を証券口座に詰め込むタイミングとしては最悪である。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
だがガンドラック氏から彼らに朗報がある。ガンドラック氏は次のように言っている。

インド株だけがわたしの今のお気に入りだ。株価の動きを見ることさえない。何ヶ月も気にしていない。これは長期のシナリオだからだ。

ガンドラック氏によれば、インド株はただ買って何十年も放置できる銘柄だそうだ。

金利を理由に米国株に見切りをつけている著名投資家は多く、彼らは米国株の代わりを探している。ジョン・ポールソン氏はギリシャ株を推していた。

ポールソン氏: 奇跡の復活を遂げたギリシャ株はまだまだ上がり続ける
だがここに個人投資家にとっての問題がある。 過去40年の米国株のようなパフォーマンスが欲しければ、過去40年の金利低下によって株価が上がったがその株高の原因がもはやなくなっている米国株を選ぶのではなく、過去40年の米国株と同じようなパフォーマンスに今後40年なるような国を自分で選ばなければならないということである。

結局、将来を予想できなければ投資で利益を得ることはできない。それだけの話なのである。それだけの話が分かる人間だけが利益を得、そうでない人間は損をするだろう。簡単な話ではないか。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/43749
28:777 :

2024/03/21 (Thu) 22:58:52

ドラッケンミラー氏 : 今利益の出ている会社の株を買うな
2024年3月19日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/46187

ジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを長年運用したことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏が、投資を行なうべきタイミングについてHow Leaders Leadのインタビューで語っている。

何にいつ投資すべきか

ドラッケンミラー氏のインタビューを引き続き紹介しているが、今回の話題は売買のタイミングである。

ドラッケンミラー氏は化学株を例に出して次のように語っている。

化学株を買うべきタイミングはいつか? ウォール街の常識ではその企業が大きな利益を出している時に買うべきだということになる。

だがそれは化学株を買うべきタイミングではない。何故ならば、大きな利益が出ている時には化学企業は資本を使って生産能力を拡大し、3年か4年後には供給が過剰になって損失を出しているからだ。

多くの産業にはサイクルがある。好景気の中には後の不景気に繋がる種があり、不景気の中には後の好景気に繋がる種がある。

例えば半導体などもそうだが、化学産業は非常に経済サイクルに左右されやすい産業である。景気によって需要が大きく左右される産業では、生産能力の調整が問題となる。何故ならば、需要が急に減ったり増えたりしても、生産能力は需要ほど急激には増減させられないからだ。

急に需要が増えたからと言って、設備投資は数日で済ませられるものではない。逆に急に需要が減っても作ってしまった設備は何年も使えるものなので、需要が減っている中で市場に製品があふれ価格が下がるということになってしまう。

サイクルがあることは化学企業にも分かっているのだが、サイクルを読むことは容易ではない。だから基本的には企業は好景気の時に設備投資を増やし、不景気の時に設備投資を減らす。

結果的に好景気は設備投資を呼んでその後の供給過剰の原因となってしまう。特に、それがたまたま景気後退と重なってしまった時は悲惨である。

ドラッケンミラー氏が言っているのはそういうことである。彼は数年後の供給過剰が予想される好景気に化学株を買うべきではないと言っている。

だが彼はこう続けている。

では化学企業が損失を出している時はどうか? 企業は生産能力を拡大するのを止めるので、3年か4年後には供給が落ち込んで利益率が大きく上がっているだろう。

結論

ドラッケンミラー氏が言っているのは、単に利益を出ている株を避けよということではない。「今利益が出ている」ことを理由に投資してはいけないということである。

ドラッケンミラー氏はこう纏めている。

投資家は常に18ヶ月から24ヶ月後に世界が今と比べてどうなっているかを想像しなければならない。

あらゆる投資にはサイクルがある。化学株には数年のサイクルがあり、株式市場全体には9年の上げ相場と1年の下げ相場という10年程度のサイクル(ドットコムバブル、リーマンショック、コロナショック)があり、更に金融市場全体には40年から50年のインフレとデフレのサイクルがある。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
どのような方法で投資をしても、投資家はサイクルから逃げられない。短期投資すれば短期のサイクルに、長期投資すれば長期のサイクルに左右される。どれほど長期で投資をしてもそこにはサイクルが存在するからである。

だから自分の投資をしているタイムフレームと、そのタイムフレームに合ったサイクルを考え、自分の投資のタイムフレームと、そのサイクルにおけるタイミングが果たして合っているのかを考える必要があるのである。

インフレ相場での最良の投資方法は株の空売りを除けば株式投資ではなく預金
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/46187
29:777 :

2024/03/31 (Sun) 22:08:30

景気後退になれば株価は必ず下落するのか?
2024年3月31日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/46732

ここでは景気の良い時も景気の悪い時もGDP統計やインフレ統計や雇用統計などの経済データを紹介し、実体経済の先行きがどうなるかを考察している。

それは株価と景気が密接な関係にあるからだが、今日はその話をしたい。

景気後退ならば必ず株価下落か?

筆者はほとんど常に景気後退を気にしている。GDPが好調な時でも小売店売上やクレジットカードの返済遅延率に景気減速の兆候があれば、それがより主要な指標に広がり経済全体が景気後退に陥るかどうかを考える。

それは景気後退が株価に影響を及ぼすからである。だが景気後退になれば株価は必ず下落するのだろうか? それを考えるには過去の景気後退の時期における株価の推移を考えてみれば良いだろう。

ということで、米国株の歴史を遡りながら景気後退の時期を順に辿ってゆきたい。

2020年コロナショック

米国経済が最近景気後退に陥ったのは2020年のコロナショックである。以下は米国株(S&P 500は古いチャートが載せられなかったので今回はNASDAQで代用している)のチャートで、灰色部分が景気後退である。


コロナショックは株価の下落速度も、状況が起こってから景気後退になるまでの速度も極めて早い相場だったと言える。

だが当時の相場をトレードしていた感覚では、世界中に広がりつつあったコロナを株式市場はなかなか織り込まなかった。世界各国に感染者が確認されてから2週間ほどは株高が続いていた。筆者は航空株など明らかに影響を受ける銘柄を空売りしていたが、結局は株式市場全体が下落することとなった。

2008年リーマンショック

逆に景気後退よりも早く株価が下落を開始したのが2008年のリーマンショックである。


株価の天井は2007年11月である。景気後退は2008年第1四半期だが、第1四半期のGDPデータは4月末に公開されるので、減速がはっきりする半年前には下落が始まったということになる。

だがジョージ・ソロス氏は2007年春にはリーマンショックを予想していたようだ。リーマンショック前に書かれた著書『ソロスは警告する』でソロス氏は次のように書いている。

2007年春、ついに終わりのはじまりがやって来る。住宅ローン大手のニュー・センチュリー・ファイナンシャル社が、サブプライム問題が原因で倒産したのだ。

そこから先は、私のバブルのモデルでいう「黄昏の期間」である。住宅価格が下がりはじめているにもかかわらず、ゲームの終了が読み取れない参加者が、まだ大勢残っている段階だ。

そもそもソロス氏は2006年には住宅バブルの危険性を指摘していた。バブル崩壊が近づいたと感じたのが2007年春ということになるが、株価はそこから半年上がり続けた。

そして株価のピークから更に半年経って経済の様子がはっきりしてきたということになる。

2000年ドットコムバブル崩壊

次は2000年のドットコムバブル崩壊である。

この例ではリーマンショックとは違い、実体経済の不調を予期して株価が下がったというよりは、株式市場の下落が実体経済に影響を与えた。


この暴落は2000年前半頃までは上昇相場における一時的な調整だと考えられていた節がある。以下の記事でスタンレー・ドラッケンミラー氏が、当時下落したと思った株価が再び反発していた驚いた様子を伝えている。

ドラッケンミラー氏、ドットコムバブル崩壊で大損してクォンタム・ファンドを辞める羽目になった時のことを語る
だから人々が慌て始めたのは2000年後半からであり、中央銀行は年末に利下げを開始しているが、結局は2001年前半に景気後退となっている。

1990年オイルショック

景気後退は見事にほぼ10年間隔で起きているが、次は1990年のイラクによるクウェート侵攻を発端とするオイルショックである。

シェールオイル技術の発展によって今でこそ米国は世界有数の産油国だが、当時の原油相場はOPECに支配されていた。

中東危機によって原油価格は高騰し、アメリカなどの当時の原油輸入国はエネルギー価格高騰の影響を受けたわけである。


株式市場の下落開始はイラクのサダム・フセイン大統領がクウェートを非難した1990年7月17日である。クウェート侵攻は8月2日だった。

景気後退の開始は1990年第3四半期と株価の下落と同期間なので、このケースもコロナショックと同様の急展開である。当時の原油価格の急騰を見れば、状況が素早く発展していったことが分かる。


この辺りにしておこう。更に続けて過去50年分遡ってみたが、アメリカ経済が景気後退になって米国株が大きな下落を伴っていない期間はない。

景気後退と株価下落の前後関係については様々である。コロナショックや1990年オイルショックのように株価と経済がほぼ同時で沈んだケースもあれば、リーマンショックのように株式市場が景気後退を半年ほど先読みしたケースもあれば、ドットコムバブルのように株価の下落が景気後退の原因となったケースもある。

だが景気後退になって株価が下落しなかった事例は存在しなかった。

結論

景気後退は滅多に来るものではない。10年に1回か2回程度のものである。

だがそれが来る時には株価も大きく下落するので、常に経済に目を向け、クレジットカード返済遅延率などGDPよりも先に下落する先行指標を監視することで景気後退が近づいているかどうかを考えておく必要があるのである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/46732

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