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2022/08/12 (Fri) 23:24:57
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倒産する企業はそのまま倒産させるのが正しい
ジム・ロジャーズ氏: 企業救済しない中国共産党はアメリカより資本主義的
2022年8月12日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/27054#more-27054
引き続きジム・ロジャーズ氏のインタビューより、今回は中国とアメリカの経済政策の違いについて語っている部分を紹介したい。
中国の不動産バブル崩壊
アメリカが物価高騰で苦しむ一方で、中国ではいまだに続くコロナによるロックダウンと不動産バブル崩壊が経済を墜落させている。
中国経済がロックダウンと不動産バブル崩壊で空中分解、鉄鉱石と銅は急落
日本でどれだけ報じられているか分からないが、中国の不動産バブル崩壊はすでに確定した事実であり、中国の不動産セクターは酷いことになっているが、リーマンショック時における米国政府とは違い、中国政府が個別企業の救済に乗り出しそうな気配はない。
中国恒大集団、デフォルト認定の取り消しを要求 (2021/12/18)
一見無慈悲に見える中国政府だが、このことについてロジャーズ氏は次のように述べている。
中国政府は倒産する企業をそのまま倒産させると言った。彼らが本気であれば良いと思う。米国政府も同様に倒産する企業をそのまま倒産させれば良いのだが。
何故か。赤字を垂れ流し続けるゾンビ企業を公的資金を使って延命させても、誰も欲しない製品を作り続けるだけだからである。
意図的に赤字を出している企業を除き、その企業が赤字なのはその企業の作るものを誰も欲しくないからである。
自由市場では、そういう企業は自動的に潰れる。だが量的緩和政策などで中央銀行が社債やジャンク債を買い入れるということは、誰も望まないものを作り続ける企業を融資により延命することに等しい。
その結果は何か? デフレである。何故か? 誰も望まない商品は値下げをしなければ売れないからである。
だから量的緩和政策こそがリーマンショック後のデフレの原因だった。ロジャーズ氏とジョージ・ソロス氏が立ち上げたクォンタム・ファンドを後に運用したスタンレー・ドラッケンミラー氏も過激にこの点を指摘していた。
ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶
デフレになればなるほど金融緩和が酷くなるので、経済に占めるゾンビ企業の割合はますます増えてゆき、経済成長率はますます低くなった。
そこにコロナ禍が起き、現金給付という禁じ手を使ったことでデフレは一気にインフレになった。
世界最大のヘッジファンド: インフレになって驚いているリフレ派は馬鹿じゃないのか
デフレとインフレはコインの両面で、容易に逆に移行する。
緩和すれば酷いインフレに、止めれば酷いデフレになる状況が起き、1970年代のアメリカのようにデフレとインフレを繰り返す不況の時代が来る。以下は当時のインフレ率のチャートである。
詳しくは以下の記事に譲ろう。
サマーズ氏: 現在のアメリカの物価高騰はインフレ第1波に過ぎない
共産主義的な緩和政策
何故緩和政策は酷い結果にしかならないのか? それは緩和政策が共産主義的だからである。
政府が救済したり緩和をしたりする場合、そこから利益を受けるゾンビ企業が必ず存在している。コロナ後はそれは露骨になり、「自粛」にともなう過剰な支援金でレストランの店主が小金持ちになったり、GO TOトラベルで自民党の票田である宿泊業界に金が入ったりする。
ここの読者にはもうお分かりだろうが、これは「どの企業が生き残るべきかを政府が決定する政策」であり、これはまさに共産主義の定義である。
つまり緩和政策は共産主義であり、だからこそ経済の低成長に繋がっている。中国とソ連が既に失敗したことをアメリカと日本が追いかけてやっている。このことはBridgewaterのレイ・ダリオ氏も指摘していた。
世界最大のヘッジファンド: 共産主義の悪夢が資本主義にのしかかる
一般市民がどう思っているかは分からないが、ダリオ氏、ドラッケンミラー氏、そしてロジャーズ氏などの金融のスペシャリストがみな緩和政策に反対しているのはそれが理由である。
別の道を行く中国
だが中国はその道を行かないようだ。この点についてロジャーズ氏は次のように皮肉っている。
皮肉なことに、中国共産党はわれわれアメリカ人より優れた資本主義者だ。アメリカでは企業を倒産させない。誰でも救済してしまう。
しかしそれは中国の不動産バブルはこのまま行くところまで行ってしまうことを意味する。不動産を老後のための資産運用の中心に置いている多くの中国人にとって、それは長期的な支出減になる。一時的な危機では済まないだろう。
この点についてロジャーズ氏は次のように述べている。
中国は倒産させると言っているし、彼らは本気であるように見える。
当然問題は起こるだろう。中国には巨大な不動産バブルがある。多くの負債が積み上げられた。
だがロジャーズ氏は、こういうことは米国経済の成長の途上でもあったと主張する。
アメリカは20世紀で一番成功した国だが、その途上では多くの問題に存在した。内戦や多くの不況や倒産が起き、議員の買収などもあった。
最後の点についてはロジャーズ氏は言い直す。
いや、議員は今でも買収できるが、昔は安かった。今1人買える価格で4人か5人は買えた。
そしてこう続ける。
アメリカにも問題はあったが、アメリカは非常に成功した。中国も多くの問題に直面するだろうが、次の世界的大国になる国は中国の他に思いつかない。ロシアでも他のどの国でもない。
人民元は国際的な通貨になるか
中国贔屓で知られるロジャーズ氏だが、1つ不満があるようだ。中国の通貨人民元について彼は次のように述べている。
まだ中国が人民元を国際通貨にしていないのは驚きだ。彼らは2005年から人民元を徐々に金融の世界でオープンにしているが、今はもう2022年だ。1922年ではなく2022年なのに、まだまだ全然人民元をオープンにしていない。
通貨と金融市場を閉鎖的にしたままで覇権国になることはできない。それらを開放するか、何処かで成長に陰りが見えるか、どちらかを選ばなければならない。
結論
今後、アメリカと中国の経済はどうなるだろうか。インフレで苦しむアメリカ、不動産バブル崩壊で苦しむ中国、自滅するヨーロッパも含めて、どの地域もまともな状況ではないように見える。
対ロシア制裁で死にゆくヨーロッパ経済と上昇するスイスフラン
世界経済は瓦礫の山になるだろう。だがそこからいち早く這い上がるのはどの国だろうか? それが中国かどうかは分からないが、ゾンビ企業を潔く潰していることが長期的に中国経済を支えることは経済学的に確かである。一方、アメリカはもう利上げを断念する懸念が出てきている。
アメリカが好きか、中国が好きかにかかわらず、投資家は客観的な決断を下さなければならない。筆者はまだ決めかねているが、読者はどうだろうか。以下の記事によれば、ロジャーズ氏はコロンビアを選ぶそうである。
ジム・ロジャーズ氏: 台湾をめぐって戦争になればどの国に逃げれば良いか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/27054#more-27054
▲△▽▼
金融緩和や財政出動をするとこういう結果になる
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/555.html
公共事業や量的緩和で経済は救えない _ 共産主義の悪夢が資本主義にのしかかる
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/892.html
政府が事業者を救済しても無数のゾンビ企業を作るだけで、いずれ経営破綻する
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/554.html
政府主導の事業は必ず失敗する
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1415.html
何故公共事業が長期的には失業を生むか
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1564.html
量的緩和はデフレの原因
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1128.html
デフレとインフレは簡単に入れ替わる
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1473.html
インフレで起きる事
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1559.html
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2022/08/12 (Fri) 23:29:33
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40年続いた米国株強気相場が崩壊する、米国株は30年上がらない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14007513
エリオット波動でみると日経平均は2050年まで上昇 _ 宮田直彦 日本株はもうすぐ大暴騰する
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14031612
40年間続いた「円高の時代」は既に2011年10月に「円安の時代」へとパラダイム・シフトしていた
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14004475
日銀が 2011年から500兆円も ばら撒いたので「超円安・輸入物価高の時代」に変わった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14010201
日銀総裁はロスチャイルドの手先 _ 黒田東彦総裁は完全なバカだった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14009730
ロシアを滅ぼそうとしているジョージ・ソロスの正体
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14006933
中国に投資して儲かる可能性は完全にゼロ
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14017339
自称 数学者・経済学者の髙橋洋一は 完全なバカ か 詐欺師 のどちらかだった
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14009765
三橋貴明には気をつけろ・・・「日本はこんなもんじゃない」という幻想」
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14003160
アメリカの政策金利はこれから 5%以上に上がって世界恐慌を引き起こす
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14009793
株式投資は企業への投資ではない _ 外資が儲けたらそれと同額だけ日本が損する
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14008776
株で儲ける方法教えてあげる(こっそり)
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14005993
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2022/08/12 (Fri) 23:41:44
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ケインズは間違っている _ 何故公共事業が長期的には失業を生むか
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1453.html
重商主義の世界
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1530.html
アダムスミス『国富論』の世界
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/917.html
リカード、マルサスの古典派経済学の世界
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/914.html
ハイエク、フリードマンのマネタリズムの世界
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/913.html
マルクスの貨幣論
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1119.html
マルクス経済学の世界
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/915.html
新古典派経済学の世界
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1531.html
信用貨幣論に基づく信用創造
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/919.html
商品貨幣論
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1751.html
信用貨幣論
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1750.html
現代貨幣理論(MMT)が採用している国定信用貨幣論
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1749.html
新自由主義の世界
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/916.html
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4:保守や右翼には馬鹿しかいない
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2023/01/23 (Mon) 11:20:39
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2023年01月22日
日本政府の『弱者企業救済』が日本をより貶めている
店閉めて協力金でベンツ買って喜んでる連中が日本に貢献するでしょうか?
弱者企業を救済してはならない
新型コロナ救済策として日米欧などの各国は経済支援や弱者救済として膨大な金を支出してきたが各国で内容は違っていた
先進国それぞれが「弱者救済」だと言ってアメリカは数百兆円、日本も名目で100兆円、欧州もかなり金額を注ぎ込んだ
トランプやバイデンがやった「弱者救済」は労働者の休業保障や支援金が柱で、次いで航空産業など『将来有望産業の支援』が柱だった
日本の菅総理や岸田総理がやった弱者救済は赤字に陥った零細企業への休業補償が柱で、労働者への直接給付は貸し付けを除けば少なかった
特例貸し付けは生活困窮者に最大100万円以上を融資するもので、非課税世帯は返済しなくていいので事実上の給付金だった
企業への支援は産業を育成するとか将来有望な企業に投資するのではなく、「赤字に陥ったダメ企業を政府の金で救済する」というものでした
どこかの経済学者が発言していましたが欧米政府の弱者救済は「労働者」を救済するのに対し、日本では倒産しかけたダメ企業を救済した
零細や個人事業でも少し骨のある所はコロナでも支援を受けずに存続していて、政府が大金を投入しないと倒産するな事業は支援しても結局ダメです
最近コラボという女性支援団体が政府補助金や募金を不正に使い込んでいると報道されていますが、政府の金や募金がないと活動できないような事業はロクな物じゃないです
こうした弱者企業や弱者団体は自分で金を稼げないので多くはブラック企業であり、労働者から見て政府が税金で犯罪企業を救っている事になります
放置すればブラック企業は淘汰されていた筈なのに、政府が弱者企業を救済するのでいつまでたっても日本はブラック企業がのさばっています
従業員に残業代も払えない、有給休暇も取らせない、妊婦はいじめて追い出す、追い出し部屋を作って自主退職に追い込むような企業を税金で国が救済しています
頑張った人を罰し怠けた人を救済する日本
また欧米を誉める事になってしまうが、アメリカ政府はこんな「くそ企業」を救済しないしそんなお金を使うなら「優良企業」を支援します
従業員に給料を払わないような会社を救済しても、どうせその会社はコロナ流行が終わってもブラック事業所であり続けるでしょう
日本では新型コロナで営業自粛した店舗に多額の補助金を出し、総額1兆円以上を支出し時短協力金で大儲けした大手チェーン店が複数存在した
普段営業していないような幽霊店舗でも一日6万円を支給したりして、「自粛でベンツの新車を買った」ようなニュースがネット上を賑わしていた
こうした協力金を受け取った店舗や会社がコロナ後に貰った分社会に貢献するかというと、金輪際ありえないと思います
コロナ下でもコンビニやマクドナルドは営業を続け協力金を受け取らず、反対に税金を納めていたが政府は彼らの事を支援しません
「頑張った人を支援せず税金を取り立てて、政府にたかって怠ける人を支援する」のが日本の弱者救済の特徴と言えます
名指ししてなんだが「すき家」のゼンショーは時短協力金で純利益6倍増、「ガスト」のすかいらーくも時短協力金で黒字化と報道されていました
それら大金を受け取った企業はコロナ後にその分日本や日本人に貢献するんでしょうか?
補助金を受けないと経営できないような事業がコロナが終わったら健全になるとは思えません。
https://www.thutmosev.com/archives/89861669.html
政府が救済する弱者と言うのは中小企業や零細経営者の事で、 その会社の労働者は救済しない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14056768
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5:保守や右翼には馬鹿しかいない
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2023/03/19 (Sun) 04:07:13
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ガンドラック氏、シリコンバレー銀行破綻でインフレ悪化予想
2023年3月18日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34751#more-34751
引き続きDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏のCNBCによるインタビューである。今回はFed(連邦準備制度)の金融政策について語っている部分を紹介したい。
中央銀行によるシリコンバレー銀行救済
シリコンバレー銀行の破綻はアメリカの歴史上2番目の規模の銀行破綻となった。
シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
上記の記事で説明したように、シリコンバレー銀行は端的に言えば預金者に預金を返せなくなったわけだが、バイデン大統領はほとんど躊躇なく預金者を救済すると決定した。
失くなった金はもうないのだが、中央銀行がどうにかするということである。
だがここで矛盾が生じる。これまでに何度も説明した通り、アメリカ経済はウクライナ情勢ではなくコロナ後の現金給付のお陰で物価が高騰している。
世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
だから今度はFedはばら撒かれた紙幣を回収するために去年から金融引き締め政策を行なってきた。それが去年からの株安を引き起こしている。
米国の量的引き締め、今月から2018年世界同時株安の時の2倍の規模に拡大 (2022/9/2)
しかし市場から資金を回収していたはずのFedが、シリコンバレー銀行の破綻でいつの間にか金を出す羽目になっているではないか。ガンドラック氏は次のように言っている。
インフレ政策が戻ってきている。Fedは資金の貸出制度を通じて銀行システムに資金を注入している。去年の8月か9月からのパウエル議長のインフレ打倒の決意はもう何処かへ行ってしまったようだ。
ちなみにFedは1週間で3,000億ドルを貸し出したようだ。その内1,430億ドルはシリコンバレー銀行とその後続いて破綻したシグニチャー銀行に行ったようだが、残りが何処に行ったのかFedは公開していない。だが他にも資金を必要とした銀行があった(しかも破綻した2行が必要とした金額より多い)ことは確からしい。
ちなみにアメリカのGDPは26兆ドルなので、3,000億ドルは1%強にあたる。GDPの1%以上の資金が1週間で注ぎ込まれたわけである。
ガンドラック氏はバイデン政権のこの対応について次のように述べている。
これはインフレ政策だ。そしてそれはもしかすると短期的にリスク資産にプラスかもしれない。リスク資産はインフレ政策と中央銀行のバランスシート拡大が大好きだからだ。後者はもう長い間選択肢になかったものだ。
インフレ政策がもう帰ってきた
バイデン氏が預金者を保護すると躊躇なく言った時、嫌な予感がしたのは筆者だけではないはずだ。
何故ならば、政治家と中央銀行家が本当にインフレ退治をやるのかということがずっと筆者や著名投資家の疑問として残っていたからだ。経済学者ラリー・サマーズ氏や投資家のスタンレー・ドラッケンミラー氏はそれを疑っていた。
ドラッケンミラー氏: 経済が強い時に引き締めを続けるのは簡単だが
サマーズ氏: パウエル議長のインフレ退治が本気かどうか疑う理由
インフレ退治は対価を伴う。1970年代の物価高騰では、当時のボルカー議長がインフレ退治のために高金利を徹底して継続した結果、経済は落ち込み巷には失業者が溢れた。
ポール・ボルカー氏、1980年のインフレ打倒がどれだけ厳しかったかを語る
それこそがインフレを引き起こしてはならない理由である。紙幣ばら撒きで一時的に利益を得たような気分になることに対して後で払う代償が大きすぎる。その代償とは物価高騰と大量失業である。
パウエル議長は言葉の上では「どんな代償を払ってもインフレ退治をやる」と繰り返してきた。だが銀行が1つ潰れただけでFedの行動は既に彼の言葉の反対に行っている。
しかし以下の記事で解説したように、シリコンバレー銀行は氷山の一角に過ぎない。
シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
世界最大のヘッジファンド: シリコンバレー銀行破綻はドミノ倒しのように伝染する
これから同じようなことがいくらでも起きるが、パウエル氏はどうするのか。
Fedは緩和に転じるのか
この状況は、あわよくば利上げをしてもソフトランディングになるのではないかと希望的観測をしてきたパウエル議長に打撃となっているはずだ。ガンドラック氏は次のように言う。
この状況はパウエル議長の計画をかなり狂わせている。インフレ打倒は一時停止となっている。
何度も言うように、金融引き締めを舐めてはならない。インフレを退治して経済を殺すか、退治せずに物価が青天井を突き抜けるか、どちらかである。
2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない
だからシリコンバレー銀行の破綻くらいで一々救済しなければならないようでは、完全に先が思いやられる。以下の記事で説明した通り、2023年の倒産の連鎖は始まったばかりだからである。
ポールソン氏の2023年株価予想: 倒産が急増し株価は下落する
結論
少し前まで投資家は、経済が弱まってもパウエル氏がインフレ退治をやり切るのか疑問に思っていた。だが今回の件で半ば答えは出たのではないか。ガンドラック氏は次のように言っている。
景気後退に逆らって緩和をしたいが金がない場合、インフレ政策を行うしかない。
何も倒産させないインフレ政策は政治的に一番簡単な解決策だ。
だがリーマンショック以降、経済救済のために必要な金はどんどん増えており、しかも紙幣印刷の副作用は増え続けている。遂にインフレが起こった。次はどうなるのか。
ガンドラック氏は次のように続ける。
これまで景気後退の度にあらゆる救済を行なってきた。2008年には銀行システム全体を救済する必要があった。今回は中央銀行を救済する必要があるかもしれない。
2023年のアメリカ経済は景気後退に陥る。そうして政府と中央銀行はまた金をばら撒くのだろうか。だが金をばら撒いたから今のインフレ危機が起きているのではないのか。
ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした
こうして問題は経済危機を経る度に雪だるま式に肥大化し、人々は最初から分かりきっているインフレの地獄に自分から入ってゆく。
よほど居心地が良いのだろう。 入りたい人は入って行けば良い。インフレを願う人にはインフレが降ってくるのである。良かったではないか。
ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34751#more-34751
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6:保守や右翼には馬鹿しかいない
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2023/03/23 (Thu) 10:49:21
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保守系インフルエンサーがインボイスに賛成するのは「ルサンチマン」故である ~ラッシュ『エリートの反逆』が明らかにした“強者”の弱者に対する怨嗟~
2023年3月23日
From 藤井聡@京都大学大学院教授
https://38news.jp/economy/24206
こんにちは。表現者クライテリオン、編集長の藤井聡です。
みなさん、こんにちは。表現者クライテリオン編集長、京都大学の藤井聡です。
「インボイス」について、ここ半年ほどあれこれ情報配信してきましたが、なかなかその真実が国民に知られていない、という残念な状況があります。ようやく、この度地上波TV(正義のミカタ)でも一部取り上げられたのですが、メインで解説した方(森永康平さん)とは違う見解をお持ちの出演者がおられたということで、番組内容が混乱してしまい、視聴者にはあまりしっかり分かり易く情報が提供されなかったようです。
ついては当方の個人メルマガ『表現者クライテリオン編集長日記』で、その様子を解説すると共に、なぜそんなヘンテコリンな言説が特に保守論客系の方々からあるのかについて、社会科学的に解説しました(https://foomii.com/00178/20230320171958106917)。
如何にご紹介差し上げますので、是非、ご一読下さい!
……
インボイス制度については賛否入り交じって色んな意見がネット界でも飛び交っていますが、煎じ詰めて簡単に言うと、次の様なものです。
「インボイス制度が今年の10月に導入されると、今まで消費税を納める必要が無かった売り上げ1000万円以下の零細事業者・個人事業者達も、(事実上)消費税を納めなければならなくなる」
つまりインボイス制度の本質は、「免税業者からも税を取り立てるようにする制度変更」なのです。
そうなると、デザイナーだとか声優だとか一人親方や個人タクシードライバーとかも、今まで払って無かった税金を払わないと行けなくなります。
例えば、800万円の売り上げがあったタレントさんは、インボイスが入れば(かつ値上げしなければ)約73万円もの大増税になるのです!(一同、当面は納税軽減措置が執られるようですが、結局はこうなります)
ちなみにここで重要なのは、その業者が今までお客さんから「消費税は頂きません!」というスタンスで商売をしていたとしても、それとは無関係に、(インボイス制度になれば、先の例で言えば)約73万円を納税すべきだという事になります。
その結果、多くの事業主の貧困化が一気に進行する他、廃業に追い込まれるケースも多発する事になります。実際、声優業界は、インボイスが入れば3割弱が廃業を検討すると表明しているそうです。
そんなこんなで、全国の零細事業者、個人事業者はインボイスに大反対している、という次第です。
(なお、それだけの増税に耐えかねた事業主は、何とか生き延びようと、「値上げ」を試みます。そうなると、発注業者も我々消費者も皆、値段が上がる、という不利益を被る事になります。つまり先の73万円を、タレントさん(下請け)、TV局(元請け)、あるいは、視聴者’(消費者)の三者が分担しながら負担する事になるわけですから、結局皆にとって不利益が生ずるのです)。
……ということで、テレビ番組「正義のミカタ」で先週の土曜にインボイスが取り上げられたのですが、そこで大変奇妙な現象が起こったのです。
番組内でも、番組後のネットでも、
「インボイスの何が悪いんだ!」
「今まで、零細・個人事業主は消費税を納めてなかったのがズルいのだから、払うのが当たり前だ!」
という声が多数湧き上がったのです。
そしてそうした声の中には、あからさまに「インボイス反対論者に対する嫌悪の念」の表明も含まれていました。例えば、高橋洋一さんは、
「番組で出てきた反対団体を見たら、ゾッとしますよ」
https://twitter.com/YoichiTakahashi/status/1637061370553458688
とツイートされています。
これはもう、インボイスの中身に対する批判というよりも、インボイスに反対する人達に対する嫌悪というべきものですね。
これは「大阪都構想」の時に生じたのとよく似た現象です。
大阪都構想は、大阪市民を守る共同体である「大阪市」を廃止するという話で、それに対して反対運動が起こったわけですが、その反対運動に維新や高橋さん等の保守派の人達は激しい嫌悪、憎悪を表明されたのです。
このインボイスについても、「1000万円以下の事業者の免税制度」を廃止するという話だから、それに対して反対運動が起こっているわけで、それに対して、保守の論客達が嫌悪、ないしは憎悪を感じておられるわけです。
ですからこの両者は、「弱者保護を廃止する事に対する弱者からの反対」に嫌悪・憎悪する、という意味で全く同じ構図なのです。つまり「インボイス導入」も「大阪都構想」も、「社会的弱者を保護する制度の廃止」を意味するもので、それに対して、一部の保守論客や維新らが推進しようとし、それに反対する勢力を「ぞっとする」という嫌悪や憎悪の念を差し向けているわけです。
しかしながら、高橋さんの態度に象徴されるこうした「弱者保護への怒り」は決して異常な反応というものではなく極めて一般的、かつ、凡庸な反応だということが政治社会学的に知られています。これは、政治社会学の世界では、1990年代から西側諸国で起こった新しいタイプの「ルサンチマン」だと言われています。
その点を指摘した代表的論客がアメリカの社会批評家で歴史学者のクリストファー・ラッシュです。
ラッシュは『エリートの反逆』の中で1990年頃から、民主主義国家におけるエリート達が、「弱者が享受する社会的保護や公共サービス」を攻撃し、彼らが支援する政治的勢力による差別的な政策を支援する、という奇妙な現象が起こっていると指摘します。そしてこれこそ、現代民主主義の深刻な病理だと論じたのです。
日本で言うならそれは、弱者を切り捨てる新自由主義や構造改革やグローバル化を自民党や維新が推進し、それを「エリート知識人達」が支援するという現象に対応します。
先日、成田祐輔氏が「働けない高齢者は集団自殺しろ」と発言し、それをホリエモン達が支持するという現象もそれと同様の話です。
彼ら「エリート達」は、弱者保護(低所得者矢高齢者に対する保護)に対して、激しい不公平感を抱いているのです。
この理由について、ラッシュは、『彼らは自らが稼いだカネの何十%、場合によっては、半分以上ものカネを、税金として納めている一方、貧困者や高齢者達は、全然働かず、彼らが納めた税金で保護されて生きている、という事について激しい不満を感じているからだ』というものだと論じています。
現代民主社会では、そうした弱者保護が当然だということになっており、それによって「強者達」は不利益を被っているわけですが、彼らにはその現状を変えられないわけです。
こうした不満があるのに、その状況を変えられない……と言うときに生ずるのが「ルサンチマン」(弱者の怨嗟・怨恨)なのです。
長い間、このルサンチマンは弱者から強者に対して抱くものだったのですが、先進諸国が法的に弱者保護を制度化したものだから、今度は強者から弱者に対する恨みつらみが生まれ、これがルサンチマンと化したのです。
こう考えると、当方がインボイス導入に対する反対論を展開した途端、保守の論客達が一斉に筆者を批判し出すのは、強者・エリート達が抱く典型的なルサンチマン故なのだ、という実態が見えてきます。
で、財務省は兎に角、カネをたくさん吸い上げる制度をつくることを自己目的化しているので、
「消費税で、弱小業者が利益を得る益税があるのです!」
なぞという説明を繰り返し、そういう強者側のルサンチマンを煽って、弱者達から搾取しようとしているわけです。
ホンットに、おぞましい話ですが、現代人は、このコンクリートジャングルの中の、単なる野蛮人と化しつつあるのである。
ホント、ぞっとしますね (‘-‘*)。
https://38news.jp/economy/24206
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7:保守や右翼には馬鹿しかいない
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2023/03/23 (Thu) 10:57:59
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エリートは弱者保護(低所得者矢高齢者に対する保護) に激しい不公平感を抱いている
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14097937
“独立”する富裕層 政府による所得再分配は努力して金持ちになった人の金を盗む行為だから許せない
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/701.html
藤巻健史 _ 年収30億円富裕税で日本は平等に貧乏な国になる
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14084052
政府が救済する弱者と言うのは中小企業や零細経営者の事で、 その会社の労働者は救済しない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14056768
大企業が破綻すると、 一般社員は直ちに失業者となるが、経営陣は優雅な余生を過ごす。
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14096504
欧米政府は「労働者」を救済するのに対し、日本では倒産しかけたダメ企業を救済
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14082503
倒産する企業はそのまま倒産させるのが正しい
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14033162
日本国民は政府のATM。給料の半分近くを税金と社会保険料で毟り取られる
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14083040
「日本人は生産性が低い」という都市伝説に騙されるな _ 生産性が低いというのは賃金が安いというだけの事
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/198.html
藤井聡先生は 「日本人は生産性が低い」というデマを撒き散らしているデービッド・アトキンソンが完全なバカだと言い切ってくれました
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/694.html
生産性の高い社会のゆくすえ - 内田樹の研究室
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14089041
アメリカの富裕層の税負担が貧困層より低い理由
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1093.html
国家を亡ぼす「狂った税制」
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/730.html
アメリカの闇 政治を金で買う超富裕層
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/634.html
アメリカのロビイストは政治家に「この法案を成立させたら何億ドル差し上げますよ」と働きかける
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/530.html
日本人は何時から羊より大人しくなったのか?
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14088062
日本人の出生率を増やすのは簡単だが、 絶対に人口を増やしてはいけない理由
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14097253
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8:保守や右翼には馬鹿しかいない
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2023/05/16 (Tue) 16:32:17
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米国経済のハードランディングの衝撃はリーマンショックの2倍以上になる
2023年5月15日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36818
インフレ抑制のためのFed(連邦準備制度)の金融引き締めが銀行危機を引き起こす中、多くの専門家がアメリカ経済の景気後退を予想している。
ドラッケンミラー氏: あと半年でハードランディング、米国経済に死体が積み上がる
だがその規模はどの程度になるのか? 今回の記事ではそれを考えてみたい。
マネーサプライの増減
今回の考察のきっかけとなったのは、前回の記事でスタンレー・ドラッケンミラー氏がマネーサプライの動きに言及していたことである。
ドラッケンミラー氏: リーマンショックより酷くなる可能性は否定できない
マネーサプライとは市中に存在する現金や預金の総量である。アメリカではコロナ以後、3回の現金給付が行われたことでマネーサプライが増大した。マネーサプライのグラフは次のようになっている。
コロナ第1波のロックダウンの後、世界経済が数字上急回復したのは現金給付が原因である。アメリカのGDPはロックダウンで一度沈んだものの急回復し、あたかも何もなかったかのようにコロナ前のトレンドに戻っている。以下は実質GDPのチャートである。
しかし一方で現金給付による可処分所得の急激な増加はインフレをもたらした。アメリカの可処分所得とインフレ率を並べると次のようになる。
3回の現金給付が可処分所得の急増をもたらし、それが2021年にインフレ率を持ち上げたことが分かる。(ウクライナ情勢以後インフレ率はほとんど上がっていない。)
ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由
マネーサプライの回収
このように現金給付とマネーサプライの増加がコロナ後のアメリカ経済の動向を決定したことは明らかだ。一方で、アメリカは物価高騰に陥ったことでばら撒いた紙幣を回収せざるを得なくなっている。
それが現在の金融引き締めである。その結果、コロナ後に急増したマネーサプライは急減している。
ドラッケンミラー氏は直近1年ではマネーサプライは急減しているが、絶対的な水準としてはコロナ前を大きく上回っていることを指摘していた。
ドラッケンミラー氏: リーマンショックより酷くなる可能性は否定できない
恐らくはそれがアメリカのGDPが減速しながらもまだプラス成長を保っている理由である。積み上がったマネーサプライによる消費がGDPを支えている。
ますます弱ってゆくアメリカGDP、2023年第1四半期は予想以上の減速
だがマネーサプライは急速に減少している。ここまでの考察が正しければ、マネーサプライがこのまま減少を続け、コロナ前の水準まで戻るならば、今アメリカ経済を辛うじて支えているものがなくなることにならないだろうか?
マネーサプライの今後
ではマネーサプライは具体的にどのような速度で減少しているのだろうか。マネーサプライの変化率を前月比年率(直近1ヶ月の変化が1年続けばどうなるかを示したもの)で見ると次のようになる。
マネーサプライは最新3月の数字で年率-14.3%の速度で減少しており、しかも減少ペースは加速しているように見える。
年率-14.3%ということは、1年で14.3%減少するということである。減少ペースは加速しているが、仮に今と同じペースでマネーサプライが減少を続けるとどうなるだろうか?
マネーサプライは5.9兆ドル付近まで下落し、丁度コロナ前の水準まで逆戻りすることになる。
実際にはマネーサプライの減少は加速しているから、コロナ後にばら撒かれた紙幣がすべて回収されるまでに恐らく1年かからないだろう。ハードランディングまで1年以内と予想しているドラッケンミラー氏やレイ・ダリオ氏の主張を裏付ける計算である。
ドラッケンミラー氏: あと半年でハードランディング、米国経済に死体が積み上がる
世界最大のヘッジファンド: 経済クラッシュで量的緩和再開まであと1年以内
マネーサプライとGDP
さて、ここで考えてほしいことがある。ここまで考えてきたように、2020年にロックダウンで数ヶ月も経済をほぼ完全に停止したにもかかわらず、GDPが何事もなかったかのようにコロナ前のトレンドに戻っているのは明らかに現金給付とその結果のマネーサプライの急増が原因である。
それが上で見たマネーサプライの急増がGDPにもたらした影響である。
しかし今、コロナ後に行われたマネーサプライの急増とちょうど同じ規模のマネーサプライ急減が起きようとしている。そして投資家はその影響を推定しなければならない。
それはそれほど難しくないのではないか? 大まかな推計ではあるが、コロナ後に起こったマネーサプライ急増と同じ規模のマネーサプライ急減の経済への悪影響の規模は、大雑把に言ってコロナ後のマネーサプライ急増の好影響とそれほど変わらないはずだ。
つまり、同じ規模のマネーサプライ急増がコロナ後にGDPを救済してあたかも何も起きなかったかのように元のトレンドに戻したとすれば、同じ規模のマネーサプライ減少はその救済をなかったことにするはずである。
コロナ危機の本来の規模
つまり現金給付によるコロナ後のGDP救済がなかったことになる。ロックダウンによるコロナ危機の本来の姿が2023年と2024年に現れるわけである。緩和政策による経済の救済とは、実際には借金による経済危機の延期であるから、当然のことである。
ということで、ドラッケンミラー氏の予想しているハードランディングの規模がどれくらいになるかということは、紙幣印刷による問題の先延ばしがなければコロナ危機がどのようなものになっていたのかを基準に考えられるということになる。
そこでコロナ危機がどのようなものだったかを振り返るためにアメリカの実質GDP成長率の長期チャートを見てみると、コロナ危機が2008年のリーマンショックよりもその他のどの経済危機よりも規模が大きかったことが分かる。
実際、コロナショックの景気後退のピークは-8.4%で、リーマンショック時のピークの-4.0%の倍以上である。コロナショックではその後現金給付により急回復しているが、当時ばら撒かれた紙幣がすべて回収されるならば、同じ規模の経済危機がもう一度来ることになるだろう。
結論
ということで、今後待ち受けているアメリカ経済のハードランディングの規模を大雑把にだが推計してみた。
ちなみにこの大雑把な推計には他に考えなければならないことが2つある。1つは、中央銀行が紙幣印刷によって経済危機をもう一度延期する可能性である。だがドラッケンミラー氏が述べている通り、その場合インフレ第2波は避けられない。
ドラッケンミラー氏: リーマンショックより酷くなる可能性は否定できない
そしてもう1つは、お金をまずばら撒いて同じ量のお金を後で回収した場合、厳密に言えばその影響は差し引きゼロではなくマイナスである。
何故ならば、ばら撒き政策は実体経済に歪みを引き起こすからである。例えば全国旅行支援で一時的に急増した需要にホテルが従業員を追加雇用して対応するならば、一時的な急増が終わった後にはホテルは過剰な数の従業員を抱えることになる。以下の記事で説明している。
日本政府の全国旅行支援で宿泊予約殺到してホテル代値上がり
ばら撒きとは長期的な経済の効率性を犠牲にして経済危機を先延ばしにすることなのである。日銀総裁の植田氏も、インフレ率はゼロから上に離れても下に離れても非効率性は増大すると述べていた。彼はインフレ政策の弊害を知っている。
踏み絵のように緩和支持を言わされる日銀の植田新総裁と新副総裁たち
そもそもこのことについては20世紀の大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏が何十年も前に説明していたではないか。彼は完全雇用を目指すインフレ政策について著書『貨幣論集』において次のように述べていた。
ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
完全雇用政策の支柱となっている理論はすべてここ数年の経験によって完全に否定されるに至っている。経済学者はその理論の致命的な知的欠陥を発見したが、それはそもそも以前から分かりきっていた。
しかしこの理論は今後も多くの問題を生むだろう。何故ならば、インフレ理論の他に何も学ばなかった失われた世代の経済学者が残されたからである。
このハイエク氏の記事を読めば緩和政策が何故非効率を引き起こすのかが分かる。
だがインフレ政策を実行した政治家にも それを支持した有権者にもハイエク氏の著書から学ぶような知性はなかった。残念なことである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36818
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9:保守や右翼には馬鹿しかいない
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2023/05/25 (Thu) 10:45:56
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世界最大のヘッジファンド: アメリカはデフォルトするのか?
2023年5月24日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37042
世界最大のヘッジファンド、Bridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が、自身のブログでアメリカの債務上限問題について語っているので紹介したい。
何度でも浮上する債務上限問題
アメリカではまた債務上限が問題になっている。アメリカには政府債務の上限が設定されており、だが債務は増え続けているので、上限が来ると議会が上限の引き上げで合意をするということが何度も続けられている。
与野党の合意が必要となることが多いので、その度に野党は与党に何か注文をするのが恒例なのである。だが、今回は野党共和党に影響力を持つ前大統領のドナルド・トランプ氏を筆頭に、共和党の要求をすべて通さなければデフォルトも辞さないとする勢力があるため、本当にアメリカが債務を増やせずに債務不履行になるのではないかと巷では騒がれている。
これに対して、ダリオ氏はあまりにも冷静な意見を次のように述べている。
一番可能性が高いのは、民主党と共和党がデフォルトを許さず(あるいはデフォルトしても長くは続かず)、しかも重要な議題で大した合意を形成しないというものだ。彼らはむしろ実質よりも見た目のほうが良いような合意(例えば債務を将来減らすと約束してその時間が来れば実行しないとか)を何とかして作り上げるだろう。
政治家の底を見透かしたかのような意見である。
実際、債務上限の問題は何度も繰り返しこのようにして解決されてきた。アメリカのデフォルトの可能性という大きなテーマに対して金融市場がそれほど大騒ぎしていないのもそれが理由である。
実質的に存在しない債務上限
だからこの債務上限の問題の本当の問題は別にあるように感じる。債務上限が債務上限になっていないことである。
ダリオ氏は次のように述べている。
議会と歴代大統領が行ってきたような(そして今回も高確率でそうなるような)債務上限の引き上げは、実際には債務に上限などないことを意味している。そしてそれは最終的には悲惨な金融崩壊に繋がる。
何故か? 先進国であっても、基軸通貨国であっても、借金はいずれ払わなければならないからある。日本の人々が実際に起こっている増税に苦しみながら「政府の借金は国民の借金ではないから大丈夫」と言っているのは革新的な発想の転換である。彼らは本当に良く訓練された奴隷だと思う。
経済の規模がある程度大きくなれば、債務を多少増やしたところで即座に国債市場や為替市場に影響が出ることはない。基軸通貨国であれば、どれだけ無茶をしても世界中の人々がその通貨を買ってくれるので、例えば世界的なインフレを引き起こすほどの現金給付を行ってもドルが即座に暴落することはなかった。
世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
だがそれでも国債や通貨の下落という副作用(これも「副反応」と呼んでみようか)はなくなったのではなく、延期されただけである。これについてはスタンレー・ドラッケンミラー氏が以下の記事で説明している。
ドラッケンミラー氏: アメリカは基軸通貨ドルのお陰で致命傷を食らうまで緩和を続けられる
そもそも日本にはその副作用が来はじめているが、日本人は呑気に構えているようだ。しかしはっきり言っておくが、2023年は莫大な政府債務を抱えた日本経済の終わりの始まりである。債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏は次のように言っていた。
ガンドラック氏、日銀の量的緩和を皮肉る
日銀は賢明だ。80階の窓から飛び降りて、70階分落下したところで「今のところは良い状態だ」と言っているようなものだ。
本当の債務上限
だが債務上限が本当に債務上限として機能してしまえばどうなるかについて、ダリオ氏は次のように書いている。
逆に債務上限を引き上げなければ、アメリカはデフォルトし、生活必需品の減少がそれに耐えられない人々に起き、金融市場の大混乱と社会的な大惨事が起こるだろう。
だがそうだろうか。アメリカのデフォルトと言えば大事件に聞こえる。だがそれは、このまま債務を増やし続け、最終的には債務が紙幣印刷以外で払えなくなり、今の日本のように(そしてこれから日本でもっと酷くなるように)増税と通貨安とインフレによって無尽蔵に膨らんだ債務を実質的に国民が支払うようになることよりも惨事なのだろうか?
筆者はむしろ債務上限が債務上限になってしまえば良いのではないかと思う。リーマンショック以来、アベノミクス以来増え続けた、人々が買わないような商品しか作らず利益を上げられないまま紙幣印刷によって延命されているゾンビ企業を一掃する必要がある。スタンレー・ドラッケンミラー氏が言うように、日本経済もアメリカ経済もそのようにして復活する必要がある。
ドラッケンミラー氏: ハードランディングで米国経済は復活する
今大惨事を受け入れなければ、これまで数十年のばら撒き政策で得をした高齢者が居なくなってから将来の世代がより悲惨な大惨事を受け入れる羽目になるだけである。有権者は本当にそれを望むのだろうか。
ドラッケンミラー氏、高齢者が若者から搾取する税制を痛烈批判
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37042