ムーアは音楽について講義や執筆も行い、1962年に出版した『お耳ざわりですか―ある伴奏者の回想』は高く評価されている。この回想録は原題を Am I Too Loud?、すなわち「(私の演奏は)音が大きすぎますか?」 というもので、歌手に遠慮して控えめに弾くのではなく、音楽の要求に従い積極的に表に出た演奏をしている彼から歌手へのユーモア溢れるメッセージである。これらの文筆活動は引退後も続けられた。1955年にはピアノを弾きながら伴奏の極意を語るLP「The Anshamed Accompanist」をリリース。CD版のオマケではヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレスがピアノに回って彼が歌うシューマンという趣向で茶目っ気を披露している。