777投稿集 2571301


トーシャ・ザイデル (1899年11月17日 - 1962年11月15日)ヴァイオリニスト

1:777 :

2022/07/21 (Thu) 10:08:50

トーシャ・ザイデル (Toscha Seidel,1899年11月17日 - 1962年11月15日)ヴァイオリニスト

Toscha Seidel - Brahms Violin Sonata No. 1 in G major Op. 78
http://www.youtube.com/watch?v=o7jQhgugrxk


Toscha Seidel - Brahms Sonata for Violin and Piano No.2
http://www.youtube.com/watch?v=RLW2CPaaZog
http://www.youtube.com/watch?v=Maj0uPfnCwU

Toscha Seidel - Brahms Hungarian Dance No 1
http://www.youtube.com/watch?v=bPC6tMoXcMI
http://www.youtube.com/watch?v=OEaTf3LHd48
http://www.youtube.com/watch?v=46udyPpFP8g
http://www.youtube.com/watch?v=dD6miHPisVM


ロシアのオデッサに生まれたザイデルは、レオポルト・アウアーの愛弟子の一人で、アウアーが1918年にアメリカに亡命してきた時、アウアーが一緒に連れてきたのは、このザイデルでした。
アウアーが亡命してくる前年に、同門のハイフェッツがカーネギー・ホールでデビューしており、ハイフェッツを「ヴァイオリンの天使」になぞらえる人は、ザイデルを「悪魔」にたとえていたのだとか。
ハイフェッツの好敵手としてアメリカのキャリアをスタートさせ、1920年代から1930年代にかけて、ザイデルは、ヴァイオリンの大スターへの道をひた走りに走っていました。

本CDに収録されているヨハネス・ブラームス(Johannes Brahms, 1833-1897)とエドヴァルド・グリーグ(Edvard Grieg, 1843-1907)のヴァイオリン・ソナタの録音からも、ザイデルが名ヴァイオリニストしての活動を期待されていたのが分かります。

伴奏を受け持つのは、アメリカ人ピアニストのアーサー・レッサー(Arthur Loesser, 1894-1969)で、ニューヨークの音楽芸術研究所(現:ジュリアード音楽院)でパーシー・ゲチウスとシギスムント・ストヨフスキの薫陶を受けた人。モード・パウエルやミッシャ・エルマンなど、当時の売れっ子ヴァイオリニストの伴奏者を務め、ドイツの名歌手だったエルネスティーネ・シューマン=ハインクからアメリカ演奏旅行での伴奏者として指名されるほどの人でした。

本CDに収録されている演目は、ブラームスのヴァイオリン・ソナタの第1番と第2番、そしてグリーグのヴァイオリン・ソナタの第3番という組み合わせです。
おそらく、ブラームスの第3番のソナタも録音の予定に入っていたのでしょうが、結局実現しなかったようです。
ブラームスの第1番のヴァイオリン・ソナタは1853年に手がけられた作品で、自分の歌曲のメロディを織り込んだ作品。そのため、その織り込んだ歌のタイトルをとって「雨の歌」という副題をつけられることがあります。
ここで演奏される第2番のヴァイオリン・ソナタ(1886年作)も、ブラームスの自作の歌曲が織り込まれており、ヴァイオリンの歌謡性がしっかりと試されています。

ザイデルの演奏は、ライバルだったハイフェッツのスタイルとは違い、共演者との対話を大事にしています。第1番のソナタの第1楽章など、ヴァイオリンの音がクローズ・アップされ気味な録音バランスの不自然さを差し引いても、自分から目立とうという所作が感じられません。
微妙なニュアンスをつけて、レッサーのピアノと積極的に絡み合い、レッサーもヴァイオリンの絶妙な表情付けが引き立つよう、陰影に富んだ表現を聴かせています。
それぞれのソナタの第2楽章では、ザイデルのヴァイオリンのたおやかな音色が曲想とよくマッチしていて、しっとりとした抒情を味わわせてくれます。
ザイデルの演奏は、技巧的な華麗さよりはしっとりとした歌いくちを重視したスタイルですが、決して技巧的な弱さはありません。グリーグのソナタでは、レッサーのピアノと激しく拮抗し、スリルのある演奏に仕上がっています。



トッシャ・ザイデル&アーサー・レッサー ブラームスのソナタ2番

トッシャ・ザイデルはアウアー門下のロシアの提琴弾きである。その昔、ザイデルといえばブラームスと言われた時代があった。フィードラーとはまた違った質の、佳き時代のブラームスに触れる喜びがある。ブラームスの切ないメロディーをこのうえなく切なく歌いあげるのが僕は好きだ。音色も、それに合った控えめだが品のよい柔らかさがあって心地よい。

ピアノはアーサー・レッサーで、どちらかというとピアノが勝っているやうな録音になっている。しかし、僕としては、レッサーのピアノにも大いに興味があって、これでいいと思って聴いている。

ダイナミックスをはっきりとさせ、弱音は貧しい録音からもさぞや美しい音色だったろうと想像させるに十分だ。2回目には、是非、ピアノに耳を傾けてほしい。提琴とピアノのためのソナタだということに気づくはずだ。間違っても「伴奏」ではないのだ。控えめな提琴と豪快なピアノのコラボレーションが楽しい。コルトオやホロヴィッツの「詩人の恋」を思い起こさせる。

  • 名前: E-mail(省略可):

Copyright © 1999- FC2, inc All Rights Reserved.