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鈴木宣弘 農業消滅!? アメリカの国家戦略に食い荒らされる「日本の食」

1:777 :

2022/07/03 (Sun) 05:29:38


万一、日本がアメリカから独立しようとすれば、アメリカに有る資産は凍結され、食糧も供給されなくなる。 
こうした恫喝で世界を震え上がらせ、屈服させようとしている。
支配できない国は破壊して「石器時代」にするというのがアメリカ支配層の基本スタンスだ。


農業消滅!? アメリカの国家戦略に食い荒らされる「日本の食」 [三橋TV第470回]鈴木宣弘・三橋貴明・高家望愛 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=vFf1sdl4F7w

遺伝子組み換え・ゲノム編集という脅威から「我々の食」を護るために [三橋TV第471回]鈴木宣弘・三橋貴明・高家望愛 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=tW-4y4RiQyw

株式会社アメリカの食糧戦略…第二の占領政策の実態と売国奴たちの正体(鈴木宣弘X三橋貴明) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=k29dQD73OJQ


【Part1】経産省VS農水省 経済成長のために農業を生贄にするという詭弁(藤井聡×鈴木宣弘) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=LryCcOKVOYY

【Part2】保守思想と農業 カネ儲け主義が滅ぼす日本の食料安全保障(藤井聡×鈴木宣弘) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=G-sqdu53UmY

【Part3】TPP論争にみる偏向報道の闇 今取り戻すべき「農は国の本なり」という認識(藤井聡×鈴木宣弘) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=2oly-5aPteo


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鈴木宣弘 - YouTube動画
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『表現者クライテリオン』公式チャンネル - YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCE8qPb4i2vMjLlnRHJXmL1w/videos
2:777 :

2022/07/03 (Sun) 05:37:00

アメリカの食料戦略
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/433.html

今後 10年程度で日本の農業は消滅し農村人口はゼロになる
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/678.html

深刻な漁業の衰退 なぜ漁師が20年で6割も減少したのか
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1194.html

21世紀は昆虫食の時代になる
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/670.html

猿人間のジャップには毒入り牛肉でも食わせておけ
http://www.asyura2.com/09/gaikokujin01/msg/516.html

トヨタの為に毒塗オレンジを食べさせられている日本人 _ 日本を農業の無い国にして良いのか?
http://www.asyura2.com/09/gaikokujin01/msg/518.html

輸入レモンを使ってはいけない
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/971.html

アメリカ産のジャガイモは食べてはいけない
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1045.html

輸入小麦は食べてはいけない
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/318.html

輸入肉は食べてはいけない
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/319.html

米国産乳を使った加工乳・低脂肪乳を飲むとガンになる
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/726.html  

食と健康を脅かす遺伝子組み換えと農薬の弊害
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/932.html

遺伝子組み換え作物 予測のつかない危険性
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/338.html

モンサント社員が食べない遺伝子組み換え食品
http://www.asyura2.com/12/lunchbreak52/msg/840.html

オーガニック食品と一般食品、どちらを買うべき? 米研究『モンサント社の恐怖』
http://www.asyura2.com/09/health15/msg/564.html

モンサントに約2200億円の賠償命令、除草剤の発がん性めぐり3度目の敗訴 米加
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/490.html

トランプ大統領の圧力に屈し、安全が脅かされる日本の食卓
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/970.html

瑞穂の国の農業を壊滅させる種苗法改正
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/924.html

甘いバナナの苦い現実 _ フィリピンでは農業労働者が農薬の空中散布を浴び失明したうえに解雇された
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1186.html

コロナで各国が食糧輸出規制、日本は農政のつけで生産困難
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/773.html

国売り飛ばすTPP参加表明
http://www.asyura2.com/12/lunchbreak52/msg/679.html

亡国最終兵器 TPP の真実
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/429.html

中野剛志 TPP黒い条約
http://www.asyura2.com/12/lunchbreak52/msg/843.html

TPP賛歌 _ TPPに加入するとこんな甘美な世界が待っている。
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/204.html

日本の食料自給率は本当に世界最低なのか
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/677.html

補助金なしの価格では日本の農作物はアメリカや欧州より安く、日本の農業は欧米より効率的
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/528.html

農業補助金が収入の5割 アメリカ農業は競争社会ではない
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/793.html

地方から死んでいく日本。豪雨・台風・大地震…さらに少子高齢化が重なり土地ごと見捨てられていく
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1016.html

村が廃村になるのは地理的条件や自然条件ではなく、行政の違い
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1061.html

価値観の変換点 清里の廃墟から学ぼう
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1112.html

北海道は観光に行く所であって、人間が暮らせる所ではない
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/429.html

住んだら終わり...村八分にされる"昭和の集落"
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/744.html

現代の姥捨て山
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/434.html

これが地獄の世界。過酷なスラム街5選
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/759.html

日本に存在するカルト村を知っていますか?(ヤマギシ会)
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/746.html

ここにだけは住んではいけない
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/427.html
3:777 :

2022/09/09 (Fri) 17:13:34

誰もいわない「不都合な真実」。 気を付けて、その“肉”を食べたら癌になる!
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14043651
4:777 :

2022/10/18 (Tue) 16:12:36


「資本主義的食料システム」 とその歴史
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14055807
5:777 :

2022/11/09 (Wed) 20:45:48

鈴木宣弘 _ 迫る食料危機! 私たちの食と農を守るためにできること
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14062214
6:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/08 (Sun) 06:17:00

食料危機が突きつける農業再生の課題――正念場迎えた日本の食料生産 東京大学大学院教授・鈴木宣弘
2023年1月6日
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/25439

 現在、世界的な食料危機の要因となっている 「クワトロショック」(コロナ禍、中国など新興国による大量の食料輸入、異常気象、ウクライナ紛争)は、「食料は金を出して買えばよい」といって食料生産をないがしろにし、農産物の輸入自由化を進めてきた戦後日本の政策が、国民の命を守ることができないまでに国の土台を崩壊させてきた冷酷な現実を突きつけた。



 コロナ禍で起きた物流停止が回復せず、中国の食料輸入の激増による食料価格の高騰と日本の「買い負け」懸念が高まっていた矢先、昨年二月からウクライナ紛争が勃発し、日本がほぼ100%海外に依存する小麦をはじめとする穀物価格、原油価格、化学肥料の原料価格などの高騰が日ごとに増幅され、食料やその生産資材の調達が困難の度合いを強めている。



 突きつけられているのは、高くて買えないどころかものが入ってこないという現実だ。「自国で作るよりコストが安い」といって輸入に頼る短絡的な発想は、その前提が崩れたときに打つ手がない。そもそも飢餓が発生して命を失ってしまうこと以上のコストはないはずである。それが分かっているからこそ先進各国は、公費を投じて国内生産を守り、高い食料自給率を維持し続けている。自国での生産を放棄し、買うことを前提にした「経済安保」など無意味なのだ。



 日本の食料自給率は38%と先進国で最も低く、こんな状況で食料危機に耐えられるのかという議論が始まっているが、実質の自給率はもっと低いということを認識しなければならない。国産80%といわれる野菜も、その種の九割は外国の圃(ほ)場で種取したものであることを鑑みれば10%。リンやカリウムなどの化学肥料原料の自給率はほぼ0%だ。畜産に着目しても、鶏卵は国産率97%だが、飼料(トウモロコシは100%輸入)が止まれば自給率は12%、ヒナも100%近く輸入だ。これら生産資材の自給率の低さを考慮すると、実際の食料自給率は38%どころか10%あるかないかという惨状である。



 このままだと2035年までには、飼料の海外依存度まで含めて考慮すると牛肉、豚肉、鶏肉の自給率はそれぞれ2%、1%、2%。種の海外依存度を考慮すると野菜の自給率は四%と、信じがたい低水準に陥る可能性があり、命綱ともいえる国産97%のコメも野菜と同様になってしまう可能性も否定できない。



 このような状態を放置して、もし海外からの物流が止まれば、国民の生命を守ることはできない。いつ餓死者が出てもおかしくないような薄氷の上に生きていることが、今こそ認識されなければいけない。



 昨年8月、私たちの命がどれほど脆弱な「砂上の楼閣」に置かれているかを裏付ける衝撃的な試算を、米ラトガース大などの研究チームが科学誌『ネイチャー・フード』で発表した。米露戦争の核戦争が起きた場合、直接的な被爆による死者は世界で2700万人。さらに深刻なのは「核の冬」による食料生産の減少と物流停止によって、2年後には世界で2億5500万人の餓死者が出て、そのうち日本が3割を占め、人口の6割におよぶ7200万人が餓死するというものだ。非常にショッキングな試算だが、前述した日本の食料自給率の現状から考えれば当然の帰結と考えるべきだろう。



危機にやるべきことは減産ではなく増産




搾乳する酪農家(熊本県菊池市)

 その日本において今何が起こっているか。国内農業の生産コストは、一昨年に比べて肥料は2倍、飼料も2倍、燃料は3割高という暴騰に悩まされる一方、農産物価格はほとんど上がっていない。農家は赤字に苦しみ、酪農家はこの半年で9割が廃業してしまうかもしれないというほどの苦境にあり、米価暴落で赤字を膨らませているコメ農家も含めて廃業が激増し、物凄い勢いで国内農業が壊滅しかねない状況に追い込まれている。



 食料危機のリスクが高まっているときに国がやるべきことは、国内の農家を守り、国内生産を増強することであるにもかかわらず、この危機的状況下でも政治の動きは鈍く、むしろコロナ禍でコメや牛乳や砂糖が余っているから「減産しろ」と要請している始末だ。農家の意欲を減退させている場合ではない。政府が積極的に増産を促して買取り、コロナ禍で弱った国内の消費者を助け、飢餓人口が八億人に達する世界に向けて日本の生産力で作った食料を人道支援として届け、積極的に需要を作っていく――そのような「前向きな財政出動」こそ求められる。



 ところが「今だけ、カネだけ、自分だけ」(三だけ主義)で目先の自己利益を追求する巨大な日米のオトモダチ企業が政治を取り込み、彼らの利益のために農家や国民から収奪する政策ばかりが実行され、農家を支える政策が出てこない。



 「コメを作るな」「牛乳を搾るな、牛殺せ」と国内農家に減産を要請し、生産費も賄えないほどの低所得を押しつけておきながら、「ミニマム・アクセス」のコメ77万㌧、乳製品13・7万㌧の膨大な輸入だけは義務として履行する。ウルグアイラウンド(UR)合意で定められたミニマム・アクセスは「低関税適用」の枠にすぎず、輸入量を義務づけるものではない。それを日本だけが「最低輸入義務」といって入れ続けるのは、米国との密約を忠実に遵守しているからにほかならない。



 しかも、「安い」はずの輸入食料は、国際的な需給ひっ迫と円安効果によって国内の農産物より高くなっている。毎年33万㌧押しつけられている米国産のコメ価格は国内産の2倍であり、高くて使いものにならないからといってさらに税金を使って餌などに回すという信じがたい有様だ。



 日米2国間のサイドレターによる合意により、米国企業が日本にやってもらいたいことは規制改革推進会議を通じて実行する約束になっているため、この法的位置づけもない諮問機関から「これをやりなさい」といって流れてきたことには、政治も行政も関連組織もまったく反対できず、審議会すら機能していない。「与党の国会議員になるよりも規制改革推進会議メンバーに選んでもらった方が政策が決められる」と与党議員が嘆いているほどである。



 そのため世界的な食料危機や国内農家の苦しい状況があるにもかかわらず、現場から上がってくる要求を実現させるための政策決定プロセスが崩され、人々の命、環境、地域、国土を守る根幹である食料生産を支える政策がまったく出てこない。米国の経済界と密接に繋がった、利害が一致する仲間内だけで国を切り売りする――その一部の利益のために、日本の食と農、関連組織、所管官庁までもなし崩し的に息の根をとめられてしまうという方向性は、まさに「終わりの始まり」である。



農業守ることこそ国防の要



 このような時こそ、地方自治体を含めて、協同組合や市民組織などの共同体的な地域の力が奮起し、自分たちの地域、暮らし、そして命を自分たちの力で守る動きを強める必要がある。この状態を放置すれば、いざ物流が止まったときに国民の食べるものはなくなる。地域の農業が崩壊すれば、関連産業も農協も自治体行政も存続できない。



 消費者の皆さんも「安い、安い」と輸入品に飛びついてしまったら、自分の命も守れなくなる。必要不可欠な食料を狭い視野の経済効率だけで市場競争に任せることは、人の命や健康にかかわる安全性のためのコストが切り詰められてしまうという重大な危険をもたらす。



 安さには必ず理由がある。日本のように米国農産物に量的に依存する状態が続くと、たとえそれらの食料に健康上の危険性(禁止農薬や防カビ剤、成長促進剤、ホルモン剤使用による健康リスク)があったとしても文句もいえず、「もっと安全基準を緩めろ」といわれたら従わざるを得ない。量だけでなく質の面でも食の安全は崩され、食料自給率が一%台になればもう選ぶことすらできない。それを考えれば、少々高いように思えても地域で作られる「ホンモノ」の農産物をみんなで支えることこそ、自分の命を守ることでもある。



 多国籍企業の要請を受けて国は種子法を廃止し、公共のものとして守ってきた主要作物の種子まで民間企業に委ねる方向を決めてしまった。優良な種子を多国籍種子企業に握られてしまい、有事に物理的に種子が入ってこなくなれば飢餓が起きかねず、「種を止めるぞ」と脅されたら従わざるを得なくなる。それはもはや独立国とはいえない。



 私たちは生産者、消費者、業者も自治体も「運命共同体」であることを認識し、地域の伝統的な在来品種のタネをみんなで守り、農家を支え、生産されたものをみんなで消費して支えなければならない。そのうえでひとつの核になるのは学校給食であり、自治体が主導権を握って公共調達にし、地元の安心・安全な食材を届け、食料を作る農家の「出口」として支えるなど、地域循環型のネットワーク作りが今こそ必要だ。



 「お金を出せば食料が買える」という時代は終わろうとしている。不測の事態(有事)に国民の命を守るのが国防であるなら、国内の農業、地域の農業を守ることこそ国防の要である。現在、安全保障をめぐって、増税してでも防衛費を5年で43兆円にする、「敵基地攻撃能力」を持つなどの勇ましい議論がおこなわれているが、足元を見てよく考えるべきである。日本は世界で唯一、エネルギーも食料もほとんど自給できていない。そのうえ現在のように農業を消滅させるような政策を継続するなら、敵を攻撃しようにも逆に食料を止められ、戦う前に餓死である。



 このような情けない現実を直視し、私たちは今こそ国として食料にこそ数兆円規模の予算を投入し、地域で頑張っている食料生産を支えなければならない。全国の小中学校給食のベース部分を国が負担しても年間5000億円。コメ農家を支えるためにコメ1俵9000円の販売価格と生産コスト1万2000円との差額を主食米700万㌧すべてに補填しても3500億円。全酪農家に生乳1㌔当り10円補填しても750億円だ。



 「国防のため」と称して、F35戦闘機(147機)に6・6兆円、オスプレイ1機100億円、防衛費として兵器購入に5年で43兆円を注ぐというのならば、それは微々たる金額だ。武器は人を殺すものだが、食料は命を救うものであり、国民が飢えたとき戦闘機やミサイルをかじるわけにはいかないのだ。何度もくり返すが、食料こそ安全保障の要である。



 財務省はこの国難といえる事態において、大局的見地でどこにお金を使えばいいかが判断できなくなっている。「農水予算など2・3兆円以上増やせるわけがない」と一蹴するような従来の思考停止議論を突破し、数兆円規模の予算をまず食料を守るために使わなければ日本は持たない。



 そのためにも「食料安全保障推進法」を超党派の議員立法として成立させ、財務省の縛りをこえて数兆円規模の予算を食料生産に投じることができるようにすべきであり、同時に地域の在来品種の種を守り、循環型食料自給を進める「ローカルフード法」を早急に成立させなければならないと考えている。



 今日本はたいへんな岐路に立っている。「三だけ」市場原理主義に決別し、種から消費までの地域住民ネットワークを強化し、地域循環型の経済を確立するため、それぞれの立場から行動を起こすべき時がきている。皆さんの地域での粘り強いとりくみが、その流れを変える非常に重要なとりくみとなる。それを誇りにして、私もともに頑張りたい。
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/25439
7:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/08 (Sun) 06:21:56

酪農家の窮地を国は救え! 放置すれば4割廃業の危機 血の通った財政出動を
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14066863

鈴木宣弘 _ 迫る食料危機! 私たちの食と農を守るためにできること
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14062214

鈴木宣弘 農業消滅!? アメリカの国家戦略に食い荒らされる「日本の食」
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14018404
8:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/01 (Wed) 12:34:47

この国から酪農の灯を消すな! 政治が放置すれば国産牛乳消滅も 院内集会での生産者や鈴木宣弘・東京大学教授の発言から
2023年2月28日
https://www.chosyu-journal.jp/shakai/25931

酪農家や消費者団体による院内集会(2月14日、参議院会館)

 飼料などの生産資材の価格高騰と、海外からの輸入維持政策のため需給バランスがひっ迫している酪農業界では、生産費を賄えない安い乳価で農家の9割が赤字経営を強いられているといわれ、全国で急速に離農が進んでいる。北海道では乳価のわずかな値上げと引きかえに生産抑制(減産)がおこなわれ、農家は搾った牛乳を毎日廃棄せざるを得ない事態にもなっている。東京永田町の参議院会館で2月14日、全国各地の酪農家や消費者など200人が集まり、「酪農・畜産の危機は、国民の“食”の危機――日本から畜産の灯を消すな!」と題して院内集会がおこなわれた(主催/食料安全保障推進財団、安心安全な国産牛乳を生産する会、農民連、食健連)。集会では、酪農・畜産の存亡の危機に対して、国に血の通った財政出動を求めるとともに、国内農業の苦境について消費者にも理解を求め、この窮地を乗り越えるために協力を呼びかけた。



食料を守るために政治は動け



 はじめに主催団体を代表して農民連の長谷川敏郎会長が挨拶した。
 「酪農をめぐる事態は日々刻々と深刻さを増している。国産牛乳が飲めなくなるかもしれない。まさに日本から畜産・酪農の灯が消えるかどうかという瀬戸際だ。とりわけ昨年8月以降、急激に事態が悪化し、この3月に大量の離農が生まれかねない。この危機を打開するために、酪農家や生産者だけでなく、消費者、生活協同組合、国会議員も参加し、国民の大運動として超党派でこの運動を広げなければいけない」とのべ、全国の酪農家からの要望を野村農水大臣に提出したさいの面談内容を報告した。



 「野村大臣はカレント・アクセス(毎年生乳換算13・7万㌧の低関税輸入枠)は“義務ではない”と認めたが、“それなら輸入をするな”というと“国家として約束を守らなければならない”といい逃れる。そして“そうしないと食料自給率の低い日本に外国は食料を輸出してくれなくなる”などと、食料自給率が低いことまで理由に挙げた。食料自給率を引き上げるためには、国内消費の6割にも及ぶ食料輸入を減らすべきであることを指摘したが、“議論する”というだけだった。今国会でも酪農や畜産にかかわる救済法案は一本もなく、酪農を見殺しにしようとしている。酪農・畜産を守るために国政の役割を果たさせなければいけない」と訴えた。



 続けて、食料安全保障推進財団理事長の鈴木宣弘氏(東京大学大学院農学生命科学研究科教授)、北海道や関東の酪農家たちが現場の生々しい実態を報告し、消費者団体の代表らも連帯のスピーチをおこなった。集会のなかから、鈴木教授の発言と生産者の主な声を紹介する。



■農家の危機は国民の食の危機。命を守るための運動を


東京大学教授 鈴木宣弘  



 今、酪農家は7重苦といえる苦境にある。生産資材が暴騰(一昨年に比べ肥料2倍、飼料2倍、燃料3割高)しているのに価格転嫁できずに農家の赤字がどんどん膨らんでいる。しかも子牛が売れず、副産物収入まで激減している。この危機において、“これ以上搾っても受け付けない”という強制的な減産要請で、4万頭もの乳牛の処分が求められ、北海道を中心に生乳廃棄に追い込まれ、さらに収入が減る状況になっている。



 しかも“脱脂粉乳の在庫が多いのだから、在庫処分の出口対策は農家が負担しなさい”ということで生乳1㌔当り2円以上、去年は北海道だけで100億円規模の負担金を酪農家に負わせている始末だ。



 なぜ乳製品在庫が多いのかといえば、本来は国際協定上の「低関税枠」でしかないものを、国が「最低輸入義務」といい張って莫大な乳製品(生乳換算13・7万㌧)の輸入を毎年続ける異常事態があるからだ。しかも他国のようにコストが高くなって国内農家が赤字になったときにおこなわれる最低限の補填制度もない。



 他の先進国ではどんどん農家に生産を促し、それを政府が受け付けてフードバンクや子ども食堂に届けたり、海外の飢餓救済のための人道援助に回すのだが、政府が需給の最終調整弁を果たすという仕組みを唯一やめてしまった国が日本だ。



 すでに98%の酪農家が赤字というデータが出ている。このまま放置すれば、子どもたちの成長に不可欠な牛乳を供給する産業が持続できなくなる。酪農家の収支データを見ると、この半年で急激に赤字が増え、昨年1~3月に牛乳1㌔当り15円程度だった赤字が、いまはもう30円をこえている。この状況では、10円程度値上げしたところで焼け石に水だ。



 政府は、「飼料価格高騰への補填などを合計すると生乳1㌔当り五円程度の補填に相当する」といい、これで十分であるかのようにいい張っているが、そもそも参考にしているデータが古い。1、2年前のデータを揃えて「もう十分だ。何が悪いのか」といっている。このような現場に寄りそわない政治・行政は失格といわざるを得ない。



 しかも3月からは、牛を殺せば1頭につき15万円支給するという。そもそもバターが足りないといって大騒ぎし、これまで農家に「増産せよ」といって、大規模化を促してきたのは政府自身だ。現在、世界の乳製品の需給はひっ迫しはじめており、もうすぐ乳製品が足りなくなるのは目に見えているのに、強化・増産しなければいけない生産力をみずから削いでいく「セルフ兵糧攻め」をやっているに等しい。



 近い将来、今度は牛乳が足りなくなるが、牛が生まれてから牛乳が搾れるようになるまで育てるには3年はかかるため、増産しようにも絶対に間に合わない。場当たり的な政策で過剰と不足をくり返し、そのしわ寄せを農家に被せる連鎖はもうやめなければならない。


 今やるべきは前向きな財政出動だ。農家にどんどん増産してもらい、国の責任で備蓄も増やし、生産物を国内外の食料援助に回すことだ。アメリカからの要求(密約)を丸呑みにして、保身のために農家と国民を見捨てるのなら、この国の食料危機は深刻化せざるを得ない。



 減産するのなら他の国のように輸入を止めればよく、国内の在庫を消費することが先決だ。なのに北海道だけで14万㌧もの減産を要請し、「牛を殺せ、牛乳を捨てろ」といいながら、同じく14万㌧近くの輸入乳製品を海外から無理矢理入れているのだ。今や乳製品もコメも海外産の方が4割も高い。国産に比べて粗悪な生産物を高く買い、それを誰も買わないから家畜のエサに回し、そこでまた税金を使っている。乳製品も国際価格の方が高くなり、落札されずに余っている状態だ。



 先日、NHK『クローズアップ現代+』で酪農危機が報道され、衝撃が大きかったため、政府は次の様に釈明している。


 ①なぜ乳製品を人道援助に使わないのか?――「要請がないから援助はできない」
 ②乳牛淘汰事業は後ろ向きではないか?――「乳牛淘汰は農家が選択したものだ」
 ③なぜ義務でない輸入を続けるのか?――「業界(メーカー)が求めるから輸入している」


 人道援助はみずからおこなうものだ。嘘がばれるとまた次々と違う理由を出してきていい訳しているが、農家が価格転嫁ができなくて困っているときに、国が責任転嫁をしている場合ではない。



 外国の顔色をうかがって農家や国民に負担を負わせる政治は限界が来ている。現場に寄りそう気持ちを忘れず、保身のためでなく日本のためにわが身を犠牲にする覚悟を持ったリーダーが必要だ。この事態を放置すれば、消費者も国民全体も自分の命さえも守れないことに気がつかなければならない。



 酪農が壊滅すれば、国民が飲む牛乳が消滅し、農協もメーカーも関連産業もみな消滅する。みんなが「運命共同体」であることを認識し、一人一人が今できることを一緒に行動しなければいけない。政治家はもとより、それなりの年齢になった方は、わが身を犠牲にしてアメリカとたたかってでも、国民を守った、農業を守ったという有終の美を飾る覚悟を決め、残りの人生を自分が盾になるくらいの気持ちで頑張らなければいけない時に来ている。




酪農家の搾乳作業(熊本県)

■98%の酪農家が赤字。国は早急な財政支援を


安心安全な国産牛乳を生産する会 加藤博昭 



 今の酪農の情勢は、酪農の歴史始まって以来のとても厳しい状況だ。日本全体の酪農家がすべて赤字といってもいい。安全安心な国産牛乳を生産する会が昨年12月におこなったアンケート調査では、98%の酪農家が赤字と答えた。



 昨年7、8月ごろから急激に赤字が増え12月段階で「乳代(牛乳の売上)でエサ代が払えない」という人が98%。「もう辞める」という人が11%だ。3月までこの状態が続けば辞めるという人が16%。あわせて27%が3月をメドにもう酪農は無理だといっている。とてつもない危機だ。



 この現場の状況に対して、政府も農水省も危機感がなく、報道にも流れず、消費者にも伝わらない。なぜこれほど温度差があるのか? 彼らが集めているデータは古く、昨年8月からの状況を調べていないのだ。酪農のエサ代は経費全体の5割を占めるが、それが乳代で払えないということは、残りの経費もすべて払えない。そんな産業は間違いなくつぶれる。



 酪農は経営母体を作り上げるまでにとんでもない経費がかかる。だから多くの酪農家がかなり大きな負債を抱えている。それが返すに返せず、辞めるに辞められない状況だ。前にも進めず、後ろにも行けない。農家は牛乳を売って生活しており、経費高騰分が乳代に反映されなければならないのだ。現場でどれだけの乳代が必要かといえば、私たちの調査では生乳1㌔当り30~35円上がらなければ酪農経営は不可能だ。



 だから「乳代に反映してほしい」と地元の関東生乳販連にくり返し要望した。だが今回、酪農組織の上部団体である関東生乳販連(関東生乳販売農業協同組合連合会)がメーカーにあげた値上げ要望は1㌔当り15円。15円の要望をあげて15円が返ってくるとは思えないが、そもそも15円でなんとかなるわけがない。同じことのくり返しが起きる。



 農水大臣は「酪農は乳価を自由に上げられる産業なんだから頑張ればいい」というが、やってもやっても乳価交渉ができない構図がある。力関係があまりに違う。とてもではないが自分たちの希望は通らない。それが今の現状だ。だから農家は貯金を全部崩し、返せるあてのない負債をまた借りている。借り入れもできなくなったら、廃業、倒産、下手をしたら命にかかわる状況が起きてもおかしくない。



 だから国に助けてもらわなければどうにもならない。先ほど、私たちは国に要望書を出してきた。
 一番目には、とにかく現金をどんな格好でもいいから農家に早く落としてほしい。時間がない。国の飼料価格高騰緊急特別対策事業では、前回は配合飼料1㌧当り6750円が出ているが、こんな金額ではとてもではないが足りない。1㌧当り2万円を継続的に出してもらいたい。それでも赤字だが、配合飼料の値上がり分だけでも補填できる。先が見える何かがあれば、次の対策がくるまで頑張れる。大臣は「お金なら国が出しますよ」といわれたが、早急に出していただきたい。消費者の皆さんにも、どうかご理解いただきたい。



■需要あるのになぜ乳価が上がらないのか


千葉県・酪農家 石橋祐行   



 今、日本の酪農が窮地に追い込まれている。そのうえで見直さなければならないのは、今の組織構造だ。酪農組織のなかには、各単協あるいはJA農協、それらを統括する県酪連、そして上部団体として生乳販連がある。この生乳販連がメーカーと乳価交渉をして適正な価格に持っていく立場にあるが、そこが機能していない。



 先日も関東乳販連の役員にも直接確認をとったが、彼らに私たちの収支データなどの現状報告を提出しても、受けとりはしたが見ようともしない。彼らが参考にするのは、2年前の農水の統計データのみだ。この古いデータをもとに“このくらいだろう”という予想を立てて乳価交渉に当たっているのが現実だ。彼らは、私たちが出した「最低1㌔当り30円不足している」という要望に対して「それはあり得ない」と否定する。その交渉はしないという。これが組織の現状だが、私たちは黙っているわけにはいかない。



 私たちは今は皆さんと一緒に訴えるしかない。一生産者の立場で訴えられることはこの程度だ。でも、この声が集まればもっと大きくなり、交渉にも反映され、消費者の皆さんにも届くことを願っている。



 そして乳価が上がらない理由の一つに「脱脂粉乳がだぶついている(在庫過剰)」というのが付いてくるが、本当にそうだろうか? 私はそうは思わない。現状、海外からの乳製品は毎年同程度の量が輸入されている。表に出てくるカレント・アクセス(13・7万㌧)だけではなく、その裏にある毎年460万㌧の乳製品輸入は減ることもなく、むしろ年々徐々に増え続けている。つまり需要はある。それでメーカーはもうけている。



 そもそも、私たちが搾った牛乳が余っているといわれるが、この在庫は生産者の手から離れ、買いとったメーカーの持ち物になっている。にもかかわらず、これを盾にして乳価が上げられない構造を作っている。「これだけのものが余っているんだから乳価は上げられない」という理屈だ。この不条理を理解してほしい。



 国が今回出しているリタイア奨励金(3月から乳牛1頭を処分すれば15万円支給)は、本来は継続する生産者に出すべきものではない。本当にリタイアした生産者がもらうべきものだと思う。継続農家がもらうことによって、継続生産者は(生産量が制限され)収入が落ち、さらに苦しむ。殺されもせず、生かされもしない。これが今の現実だ。
(安全安心の国産牛乳を生産する会)




生産抑制のため排水溝に廃棄される牛乳(2月、北海道)

■酪農大国・北海道を襲う未曾有の危機


北海道・十勝酪農法人会会長 小椋幸男  



 北海道と本州の酪農家では少し立場が異なるが、そもそも今の酪農・畜産の構造は、われわれ生産者が作った構造ではない。国が作り上げたものだ。そして今、「乳製品が余っている、余っている」といわれ続け、ホクレン(ホクレン農業協同組合連合会)は乳製品在庫の出口対策として農家に「カネを出せ」といい、3年間続けて生産者は出口対策負担金を拠出している。北海道の酪農家だけで200億円だ。新年度はさらに上乗せで生乳1㌔当り3円50銭を出さなければいけない。すると来年度だけで140億円になる。あわせて340億円もの拠出金を、われわれ北海道の酪農家が拠出している。



 かたや国は、海外から生乳換算で450万㌧の乳製品を輸入し、カレント・アクセス(13・7万㌧)も海外から入れる。こんな不合理をずっと続けている。



 先ほど農水大臣と面談させていただいたが、そのなかで大臣は「水田農家さんも同じようにたいへんだ。苦しいんですよ」ということをいわれる。国会でも同じ答弁だ。このたいへんな状況を作っているのは誰か? 国であり農政だ。それを他人事のように「水田農家もたいへんですよ」という。このような答弁をする大臣にはさっさと辞めてもらわなければいけない。冗談ではない。



 北海道で生産する牛乳は「加工向け乳価」ということで、飲用向けに比べるとかなり安い。昨年11月、メーカーとの交渉で飲用向け乳価は1㌔当り10円上がった。だが、関東生乳販連にはもっと頑張ってもらいたい。関東乳販連で飲用の価格が決まれば、全国一律その金額で決まるからだ。北海道の牛乳は、飲用向けが2割、加工向けが8割なので、プールにすれば2円の値上げにしかならない。期中改定はされないままだ。なぜか? 北海道にある大手3社は期中改定に合意しているにもかかわらず、最大手の乳業メーカーが「今の状況でなぜその要求に応じなければならないのか」ということで交渉のテーブルにも着かないからだ。



 昨年12月8日、ホクレン会長の発表で、新年度は加工向け乳価も10円上がることになったが、それは減産を条件に受け入れてもらったという。今年度5万㌧、来年度9万㌧、北海道だけで合計14万㌧の減産だ。



 消費者の皆さんにも考えてもらいたいのだが、加工向け乳価は4月にならなければ上がらない。にもかかわらず、すでに2月から大手の乳製品の店頭価格は上がっている。これはどういうことか? 要するにメーカーは思う存分にやっている。乳価交渉をすれば彼らは「価格を上げれば消費が落ち込むから上げられない」といって値上げを拒むが、そういいながらメーカーは再値上げ、再々値上げをくり返している。この状況をご理解いただき、どうか消費者の皆さんにも酪農現場の下支えをお願いしたい。(北海道農業法人協会副会長、同協会酪農部会会長、農業生産法人・有限会社ドリームヒル代表)



■奈落に落ちていく仲間を助けられない地獄


 千葉県・酪農家 金谷雅史    



 千葉県内で30頭の搾乳牛で酪農をしている。昨年11月30日に農水省前で声を上げさせてもらったが、依然として酪農の窮状に変化はない。あのとき言ったことが現実になる。スーパーの棚から牛乳がなくなってしまう未来はそう遠くないと感じている。



 今日伝えたいことは、酪農家の心のことだ。私は農家の窮状を訴えることと牛乳の消費拡大を求めて活動しているが、そのなかでいろいろな酪農家の方から声をいただく。「(農水省前での訴えを)見たよ。頑張ってな」とか「応援してるぞ」など、こちらも大変勇気づけられ、また頑張ろうと思う。だが、そうした声とは別に、少なくない酪農家が今思っていることは、「酪農家は減っていい」ということだ。



 現在、生産抑制している需給状況において、さらに生乳生産量を減らそうと酪農業界と農水省が力を合わせて、3月から早期淘汰(牛の処分)に補助金を出す。そんな状況だから、手っ取り早く減産するためには酪農家が離農し、乳牛の数が減ればいいという考えは確かに間違いない。「辞める奴は早く辞めればいい」と酪農家は思ってしまう。離農が加速していることがメディアで報じられているが、いまだに需給ギャップなるものは埋まらず、生産抑制の状況は変わっていない。そしてまた思ってしまう――「酪農家は減っていい」と。



 自分の足場もままならない状況のなかで、仲間がゆっくりと奈落の底へ落ちていく様を見ていて助けられない。それどころか自分はまだ酪農を続けられることに安堵する――この地獄はなんなのだろう? こんなに悲しいことがあるだろうか。



 同業者を蹴落として生き残ることに何の意味があるか。おそらく大きい牧場も小さい牧場もすべての酪農家が同じ気持ちかと思う。そして借入金を増やし、何としても生き残るために、また苦しい状況を作っている。ここにいる酪農家の皆さんが生乳を廃棄していることも知っているが、生産抑制による減産よりも離農による減産の方が多いのではないかと思う。そんな地獄のような状況で辞めていった方々のことを無視して、「抑制による効果で脱脂粉乳の在庫が減ってきた」などと報じられることもあるので、とても心苦しく思っている。



 酪農家は減っていいのだろうか? 酪農家は減ってはいけない。「食料安全保障強化政策大綱」などといって国がこれからの食料確保のために自給率を高めていく指針を決めたのは昨年末だった。その指針で「酪農家は減っていい」となっているのだろうか? そんなわけがない。食料自給率を高めるのなら、一軒でも多くの農家を残さなければいけないのは自明の理だ。そのなかで抜本的な対策を打たない国に対して、すでに信用というものは失墜しているといっても過言ではない。国に対しては引き続き緊急的な対策を求める。



 この地獄を終わらせたいと思っても、毎日大きな変化がないので、声を上げることが虚しくなるときがあるが、まだ頑張っている仲間、多くの酪農家が声を寄せてくださることに感謝し、これからも窮状を伝えること、消費拡大のために邁進していきたい。




酪農家の牛舎(山口県)

■毎日牛乳を棄てる酪農家の苦悩を知ってほしい


北海道士幌町・酪農家  川口太一  



 数年前のNHK朝ドラ「なつぞら」のロケ地になった場所から来た。その北海道で、今どんなことがおこなわれているのかを伝えたい。



 私の牧場では250頭ほど搾乳しているが、これまでの減産(生産抑制)に続き、10月からはさらに5万㌧減産ということで、減産の勢いがさらに強くなった。ある新聞の取材に応じて、私の牧場での生乳廃棄のシーンが報じられると、「お前は何をやっているのか」「なぜそんなことをするのか」とさんざんに叩かれた。でも私は「違うよ。この窮状は訴えないといけないよ」と答えている。消費者の皆さんにも訴えなければいけない。現場では、毎日1㌧ほどの牛乳を捨てている。約10万円分だ。それが今月、来月と続くわけだ。



 さらに子牛の値段がゴミのような価格になり、一時は缶コーヒーと同じ値段にまでなった。十勝は明日もマイナス20度。こんなに寒いなかでも、子牛が生まれると牛舎には湯気が濛々と立ち上がるなか、親牛が子牛をなめてやる。まさに命が誕生する瞬間だ。



 だが今現場では、その生まれてきた子牛を薬殺している。市場に出荷しても1頭500円、手数料を引けばマイナスだ。持って帰って少し大きくなるのを待てば、毎日エサ代が数千円かかり、調子が悪くなれば治療費が1万円。とても農家は持たない。だから薬殺がおこなわれている。生まれたばかりの子牛が1回も母牛のミルクを飲まされないで、親牛の前で、生産者の前で、たった5CCの消毒液(注射)によって安らかに眠る。これが今現実におこなわれているのが北海道だ。



 店頭では乳価が上がった。消費者の皆さんには高い負担で牛乳1本買っていただかなければならなくなった。35円、50円上がり、月にして1000円上がったかもしれない。だが今や“物価の優等生”になったのは牛乳だ。ご存じの通り、卵も納豆もすべて信じられないくらい値段が上がった。これだけはお伝えしたい。今日と同じように明日も一杯の牛乳を飲んでほしい。そうやって買い支えていただくことが酪農家を救う唯一の道かと思う。国は助けてくれない。



 本来、私はこんなところでしゃべる人間ではない。今日も来るのを迷ったが、なんとしても北海道の窮状、生産者の苦しみを訴えなければいけない。廃棄は罪だ。やってはいけない。農家はただ生産目標(減産)のためにやっているに過ぎないのだ。そして明日も、おそらく集荷もされずに現場で薬殺される子牛が後を絶たないだろうと思う。



 新年度はさらに減産だ。おそらくもっと厳しいと思う。すべてよくなる方向は見えない。どうか消費者の皆さんにご理解をいただき、今、灯が消えようとしている酪農家をなんとか支えていただきたい。(十勝酪農法人会)



■酪農地帯は町そのものが存亡の危機に


北海道別海町・酪農家  岩崎和雄  



 別海町は、酪農が基幹産業で畑作はほとんどない。酪農がダメになれば町自体が消滅していくことになる。それでなくても今次々に離農が続いているため、人口がどんどん減り始めている。たいへんな状況だ。



 別海町は町村単位では全国で一番大きな酪農地帯だと思うが、この酪農地帯でも後継者が少しずつ減り、だんだん酪農家が減る傾向にあったが、それに加えて今回の畜産危機では、エサ代が上がり、他の資材も本当に上がっている。それが酪農家を苦しめており、昨年度末はかなりの農家がセーフティネット資金を借りざるを得なくなった。農協もそれを推進した。



 この状態で推移すれば、今年度は酪農家の状況はもっと悪くなる。良くなる見通しがないということになれば、廃業があいつぐことになる。



 バター、脱脂粉乳、クリームなどは、北海道の生産量が多い。飲用乳の出荷はそれほどないが、どこのコンビニでも売っているスイーツなどで使われているクリームはなかなか輸入はできず、そういうものもどんどん減っていくだろう。



 豊かな食生活のためには、 酪農が日本に残り、農業で豊かな生活ができることが大切だと思う。消費者の皆さんにとっても、本当は乳価が上がっても買えるくらいの所得が保障されなければいけない。満足に買えないような所得で、乳価だけが上がって済む問題ではない。みんなで力を合わせて国産牛乳を守っていきたい。(北海道農民連釧根地区協議会議長)
https://www.chosyu-journal.jp/shakai/25931
9:777 :

2023/06/26 (Mon) 14:23:15

大東亜戦争敗北後、日本はアメリカの余剰穀物(当初は小麦)の「市場」とされました。


 小麦を食べる習慣がなかった日本を市場化するために、様々なマーケティングが「国家的」に推進された。


 子供たちの給食に、小麦と脱脂粉乳が「援助」され、小麦料理を教えるキッチンカーが全国を走り回り、慶応大学の林髞教授が、
「コメを食べるとバカになる」
 と主張する「頭脳―才能をひきだす処方箋 (1958年)」 を書き、30万部も売れるベストセラーになった。


 結果的に、日本の食料自給率はひたすら低下していくことになりますが、国民は真剣に「危機」としてとらえようとしなかった。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12809499324.html
10:777 :

2023/08/18 (Fri) 23:04:53

吉野敏明 _ 病気になる原因は小麦・植物油・ 牛乳
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14141482



サラダ油を使うと認知症になる
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/725.html

認知症と糖尿病の原因はサラダ油とパーム油だった
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/329.html

オリーブ油とゴマ油以外の油は使ってはいけない
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/320.html

ラーメンは絶対に食べてはいけない
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/523.html

長生きしたけりゃパンは食べるな
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/327.html

パンは食べてはいけない
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/524.html

輸入小麦は食べてはいけない
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/318.html

いつもの朝食が死亡原因?! 99%の人が知らないパンと牛乳の闇
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1313.html

鼻炎と蓄膿症を悪化させる食べ物 : 乳製品、砂糖、油
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1003.html

鼻炎と蓄膿症を治す方法
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14012554

終戦後、アメリカは わざと日本人を飢えさせた
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14139458

昭和時代の「食生活」_ 米国の食糧輸出戦略
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14036563

今では考えられない!大正時代の日常生活!!
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14035362

トヨタの為に毒塗オレンジを食べさせられている日本人 _ 日本を農業の無い国にして良いのか?
http://www.asyura2.com/09/gaikokujin01/msg/518.html

猿人間のジャップ には毒入り牛肉でも食わせておけ
http://www.asyura2.com/09/gaikokujin01/msg/516.html

米国ではNGなのに、なぜ日本輸出はOKなのか…「遺伝子組み換えジャガイモ」の流通危険性
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14068812

鈴木宣弘 農業消滅!? アメリカの国家戦略に食い荒らされる「日本の食」
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14018404

アメリカに逆らうと暗殺される? 農業政策から学ぶアメリカと日本の主従関係
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14091466

鈴木宣弘 _ 迫る食料危機! 私たちの食と農を守るためにできること
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14062214
11:777 :

2024/01/13 (Sat) 19:32:49

食料危機の深刻化に私たちはどう立ち向かうか――「お金出せば買える」が通用しない時代へ 東京大学大学院教授・鈴木宣弘
2024年1月13日
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/28766

 今、世界の食料情勢は「クワトロ(4つの)・ショック」と筆者が呼ぶ危機的状況にある。


 コロナ禍で物流途絶が現実味を帯び、中国の「爆買い」が勢いを増し、飼料穀物をはじめ多くの農畜産物が、日本などが買い付けに行っても残っていない。中国のトウモロコシ輸入量は2016年に246万4000㌧だったものが、22年には1800万㌧へと7・3倍になった。大豆の輸入量は年間1億㌧にのぼり、大豆消費量の94%を輸入に頼る日本の輸入量(年間300万㌧)はその端数にもならない。「買い負け」というよりも勝負になっていない。



 さらに「異常気象」が通常気象になり、干ばつや洪水の頻発による農作物の不作が続いている。2020に年2月からはロシアとウクライナの戦争が勃発し、小麦をはじめとする穀物、原油、化学肥料の価格が高騰した。その収束の目途も立たない中、今度はパレスチナでイスラエルのガザ侵攻が勃発し、これも泥沼化しそうな気配である。



 ロシアとウクライナは、世界の小麦輸出の3割を占め、トウモロコシの輸出シェアも大きい。ウクライナからの輸出に依存していたアフリカ諸国を中心に深刻な食料不足となり、中国も穀物の輸入先をウクライナから米国に切り替えたため、日本をも含む食料争奪戦が激化した。



 こうした状況下で最も危惧されるのは、インドのように世界1、2位のコメや小麦の生産・輸出国が「外に売っている場合ではない」と自国民の食料確保のために防衛的に輸出規制をする動きだ。そのような国は今や30カ国に広がった。世界のコメ輸出の4割を占めるインドは、2023年7月にコメの大部分を禁輸した。このため穀物の国際価格は下がる見込みが立たない。





 この食料争奪戦のなかで「お金を出せば食料を輸入できる」という考えは通用しなくなっているが、国内では、肥料、飼料、燃料などの暴騰にもかかわらず農産物の販売価格は上がらず、農家は赤字にあえぎ、廃業が激増している。



 日本の農家の平均年齢は、すでに68・4歳(2022年)。この状態を放置して5年後、10年後に果たしてどれだけの農家・農村が存続しているか。その崩壊のスピードが加速している。それは、いざというときに国民が必要とする食料が確保できなくなるということであり、農業の危機は、農家の問題をはるかにこえて国民全体の「命」の問題である。



 この状況下で、国内の食料生産を増強する抜本的な対策をとらず、コメを作るな、牛乳を搾るな、牛を処分しろ、さらには生乳廃棄までさせて、「セルフ兵糧攻め」のようなことをやっていては「農業消滅」は急速に進み、不測の事態に国民は餓死しかねない。不測の事態に命を守るのが「国防」なら、食料こそ、国防、安全保障の一丁目一番地である。



自給率の低下と米国の対日政策



 これまでも指摘してきたように、日本の食料自給率は38%というが、実質はもっと低い。たとえば野菜の自給率は80%でも、その種の9割は海外の畑で種採りされているので、種が止まれば自給率は8%である。さらに化学肥料原料もほぼすべてを輸入に頼っているので、肥料が止まれば収量は半減し、実質自給率は4%になる。同じくコメ・麦・大豆の種も海外から9割が輸入されるような最悪の事態を想定すると、食料の実質自給率は9・2%と計算される。





 日本の食料自給率がこのように劇的に低くなった背景には米国の政策がある。我が国は、米国の占領・洗脳政策のもと、米国からの市場開放要請をGATT(WTO)、FTAなどを通じて受け入れ続けてきた。



 米国は、国内では手厚い農業支援を温存しながら、相手国には徹底した規制緩和を要求する。米国は、自由貿易とか、level the playing field(対等な競争)としばしば言うが、米国が求める「自由貿易」とは「米国(発の企業)が自由に利益を得られる仕組み」であり、「関税を撤廃させた国の農業を補助金漬けの米国農産物で駆逐する仕組み」である。



 ヘレナ・ノーバーグ=ホッジさん(スウェーデン出身の女性言語学者)は、『いよいよローカルの時代~ヘレナさんの「幸せの経済学」』(ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ、辻信一、大月書店、2009年)の中で概略次のように述べている。
 「多国籍企業はすべての障害物を取り除いてビジネスを巨大化させていくために、それぞれの国の政府に向かって、ああしろ、こうしろと命令する。選挙の投票によって私たちが物事を決めているかのように見えるけれども、実際にはその選ばれた代表たちが大きなお金と利権によって動かされ、コントロールされている。しかも多国籍企業という大帝国は、新聞やテレビなどのメディアと科学や学問といった知の大元を握って私たちを洗脳している。」
 やや極端な言い回しではあるが、これはグローバル化や規制改革の「正体」をよく表している。



 米国発のグローバル企業の利益を追求する米国の戦略の凄さは、日本や途上国の若者をどんどん米国に呼び寄せ、「規制撤廃、貿易自由化を徹底すれば、皆が幸せになれる」と説く市場原理主義を徹底的に教え込んで帰国させ、彼らによって放っておいても米国(発の企業)が儲かるように自発的に動く社会を他国に作り出そうとする。



 その洗脳教育の結果、日本では、畳みかけるような農産物関税削減・撤廃と国内農業保護の削減が進行し、食生活は「改善」の名目で「改変」させられ、米国の余剰農産物の処分場として、グローバル穀物メジャーなどが利益を得るレールの上に乗せられ、食料自給率を低下させてきた。



 米国の利害にしっかり応えるように農産物の関税撤廃を「いけにえ」として米国に差し出し、その代わりに自動車などの輸出で利益を得る。そうすれば経産省は自分たちの天下り先も得られるからだ。さらに財務省は、米国の要請に呼応して信じられないほどに農水予算を減らし、「食料など金を出せば買えるのだ。それが食料安全保障だ」という流れを日本の経済政策の主流にしてしまった。この戦後政策の誤りが、今日の食料危機の根幹にある。



「貧困緩和」を名目にした途上国収奪のメカニズム



 食料危機を引き起こす多くの要因は、米国政府などの背後で「今だけ、金だけ、自分だけ」の飽くなき利益追求に邁進してきたグローバル企業などが作り出してきたと言っていい。



 「緑の革命」(1960~70年代にかけて途上国でおこなわれた大規模な農業技術革新)は、化学肥料・農薬の大量投入と、それに対応した品種(タネ)のセットで世界の穀物生産を増大させ、人類を飢餓と食料危機から救うかに思われた。



 しかし、化学肥料の多投で作物の根と土壌菌との共生が弱まり、微生物が豊かでCO2貯留にも役立っていた土壌の劣化による表土の流出、それに伴う水使用の増加による水の枯渇などを招いた。作物が本来持つ力の弱まりがさらなる農薬の多投にもつながった。



 また、単一品種の大規模生産が進み、それを米国などが担い、穀物生産の少数国への集中が進んだ。今や世界の食料輸出の約8割を約20カ国が占め、トウモロコシでは輸出の75%が5カ国(米国、ブラジル、アルゼンチン、ロシア、ウクライナ)に集中している。



 米国が牛耳るIMFや世界銀行は、「貧困削減」の名目で途上国への援助や融資を主導するが、その見返りに貿易自由化の徹底を求める。それによって米国などの穀物に依存させ、途上国の農民を家族経営的な穀物生産から追い出し、グローバル企業が運営するコーヒーやバナナなど商品作物の大規模プランテーションで収奪的に働かせるため、農地を追われた農民の伐採による森林破壊も進行した。土壌劣化や森林破壊は、地球温暖化に「貢献」した。



 それがもっとも徹底されたのが、サブサハラ(サハラ以南)のアフリカだ。「緑の革命」後、この地域の食料自給率は向上するどころか、劇的に低下した。世界の飢餓・貧困人口はこの地域に圧倒的に集中し、今回も飢餓に陥りやすくなっている。



 ハイチでは、IMF(国際通貨基金)の融資条件として、1995年に米国からコメ関税の3%までの引き下げを約束させられ、コメ生産が大幅に減少し、輸入に頼る構造になったところにコメ輸出規制(2008年)が襲い、死者まで出た。フィリピンでも死者が出た。米国の勝手な都合で、世界の人々の命が振り回されたのである。



 米国は「安く売ってあげるから非効率な農業はやめたほうがよい」と言って世界の農産物貿易自由化を進める。だが、それによって基礎食料の生産国が減り、米国等の少数国に依存する市場構造になったため、需給にショックが生じると価格が上がりやすくなる。それを見て高値期待から投機マネーが入りやすくなり、不安心理から輸出規制が起きやすくなる。そのように価格高騰が増幅されやすくなったことが、2008年や今回の食料危機を増幅し、高くて買えないどころか、「お金を出しても買えない」リスクを高めている。



 「規制撤廃こそが、食料自給率低下、食料危機、貧困増幅の原因だ」と指摘すると、IMFや世銀は「まだ規制撤廃が足りないのだ」と反論する。まさに「ショック・ドクトリン」だ。



 さらに、米国には、トウモロコシなどの穀物農家の手取りを確保しつつ世界に安く輸出するための手厚い差額補てん制度がある。それによって穀物の米国への依存を進め、価格高騰が増幅されやすい市場構造を作り出しておきながら、財政負担が苦しくなってきたので、何か他に穀物価格高騰につなげられるキッカケはないかと材料を探していた。



 そうしたなか、国際的なテロ事件や原油高騰が相次いだのを受けて、「原油の中東依存を低めてエネルギー自給率を向上させる」、「環境に優しいエネルギーが重要である」との大義名分を掲げ、トウモロコシをはじめとするバイオ燃料の推進政策を開始した。その結果、見事に穀物価格の吊り上げへとつなげた。



 トウモロコシ価格の高騰で、日本の畜産も非常に苦しい状況に追い込まれたが、トウモロコシを主食とするメキシコなどでは暴動が起こる非常事態になった。メキシコでは、NAFTA(北米自由貿易協定)によってトウモロコシ関税を撤廃したので、米国からの輸入が増大し、国内生産が激減してしまっていたところに、価格暴騰が起きて買うこともできなくなってしまった。まさに米国戦略による「人災」だ。



 貧困緩和を名目にして途上国農村からの収奪を正当化するのは、この歪んだ屁理屈なのである。そもそも貧困緩和ではなく、大企業の利益を最大化することが目的であり、「援助」の対象となった国々の危機は当然の帰結である。



食料・農業危機の解決策が武器とコオロギなのか




人参を収穫する農家(山口県)

 米国農産物輸入の増大と食生活誘導により、日本人は米国の食料への「依存症」になった。このように量的な安全保障を握られると、たとえ米国農産物の安全性に懸念があったとしても、それを拒否できないという形で、質的な安全保障さえも握られることになる。



 昨今の食料危機の深刻化のなかで、ついに日本政府は24年ぶりに農政の憲法にあたる「食料・農業・農村基本法」の見直しに着手した。その目的は当然にも、世界的な食料需給情勢の悪化を踏まえ、不測の事態にも国民の命を守れるように国内生産への支援を早急に強化し、食料自給率を高める抜本的政策を打ち出すためだと思われた。



 しかし、新基本法では食料自給率という言葉は消え、「指標の一つ」と位置づけを後退させた。背景に「食料安全保障を自給率という一つの指標で議論するのは、守るべき国益に対して十分な目配りがますますできなくなる可能性がある」という意見もある。



 さらに、「平時」と「有事」の食料安全保障という分け方を強調し、平時はこれまで通り輸入に頼るが、有事になれば大変だから、有事立法を制定し、「有事には花農家も命令に従って一斉にサツマイモ栽培に切り替えて食料を供出しなさい」といった強制的な増産命令法をつくるという。



 しかし、不測の事態でも国民の食料が確保できるように、普段から食料自給率を維持することが食料安全保障の基本である。今苦しんでいる生産者を支える政策が見えないままで、いざというときだけ命令に従って増産しろ、という制度にどんな意味があるのか、まったく理解できない。



 また、「自給率向上を目標に掲げると非効率な経営まで残ってしまう」というピントのずれた視点もある。そのため2020年「基本計画」では示されていた「半農半X」(半自給的な農業とやりたい仕事を両立させる生き方)を含む「多様な農業経営体」の重視が今回の基本法の答申では消え、「経営所得安定対策」の対象になるのは「効率的かつ安定的な農業経営」のみとするニュアンスへと逆戻りしている。



 コロナ禍は、この方向性=「地域での暮らしを非効率として放棄し、東京や拠点都市に人口を集中させる」のが効率的な社会のあり方として推進することが間違っていたことを改めて認識させたはずだった。コロナ禍が一段落したかに見える今、2020年基本計画でも一度反省され、コロナ禍でも反省したはずの教訓を投げ捨て、再び「目先の効率性があるものだけが残れば農村コミュニティは崩壊してもよい」と判断するかのような議論が復活している。今必要なことは、それとは逆に「多様な農業者」で地域農業を盛り上げていくことである。



 一方、国政では、増税してでも防衛費を5年で43兆円に増やし、経済制裁の強化とともに、敵基地攻撃能力を強化して敵国に攻めていくかのような議論が勇ましくおこなわれている。欧米諸国と違って食料自給率が極端に低い日本が「経済制裁強化だ」と叫んだ途端に、みずからを兵糧攻めにさらすことになり、戦う前に飢え死にさせられてしまうことは目に見えている。戦ってはならないが、戦うことすらできないのである。



 さらには SDGsを「悪用」して、水田のメタンや牛のゲップが地球温暖化の「主犯」とされ、食料生産現場の苦境は放置したまま、昆虫食(コオロギ)や培養肉、人工卵の機運までもが醸成されつつある。まともな食料生産振興の支援予算は長年減らされ、コメを減産し、乳牛を処分し、牛乳を廃棄しながら、トマホークの大量購入と昆虫食を推進することが何の「安全保障」だろうか? 不測の事態に、ミサイルとコオロギをかじって生き延びることができるのか。私たちは、真剣に考えなくてはならない。



グローバル企業の次なる企てと「フードテック」



 グローバル種子農薬企業やIT大手企業が目論むもう一つの農業モデルは、今いる農家を追い出して、ドローンとセンサーを張り巡らせた自動制御による「儲かる農業」である。新たなビジネスモデルをつくって投資家に売るのだという見方もある。



 実際、ビル・ゲイツ氏は米国の農場を買い占め、米国一の農場主になっている。2022年の世界食料サミットを、このような農業を広めていくためのキックオフの場にしようとしたという事実もあり、絵空事ではない。



 そのために日本が国策として推進しようとしている「フードテック」というものの中身を見ると愕然とする。その論理は、温室効果ガスの排出を減らす必要があるカーボンニュートラル(脱炭素)の目標達成に向けて、今の農業・食料産業が最大の排出源(全体の31%)なので、遺伝子操作技術なども駆使した代替的食料生産が必要というもので、それは人工肉、培養肉、昆虫食、陸上養殖、植物工場、無人農場(AIが搭載された機械で無人でできる農場経営)などと例示されている。



 温室効果ガス排出の量から各たんぱく質を評価すると、最も多い牛に比べて豚は3分の1、鶏は約5分の1、昆虫食では鶏よりもさらに少量だとの解説もある。



 今の農業・畜産の経営方式が温室効果ガスを排出しやすいというのであれば、まず、環境に優しく、自然の摂理に従った生産方法を取り入れていくことを目標とするというならわかるが、それをすっ飛ばして、さらに問題を悪化させるようなコオロギや無人農場に話をつなげている誤謬に気づく必要がある。



 日本ではフードテック投資が世界に大幅な遅れをとっているので、国を挙げた取り組みの必要性が力説されている。「今だけ、金だけ、自分だけ」の企業の次のビジネスの視点だけで、地域コミュニティも伝統文化も崩壊し、食の安全性も食料安全保障もないがしろになる。陰謀論だと言う人がいるが、フードテックの解説には、その通りに書いてある。陰謀論でなく、陰謀そのものなのだ。



 こんなことを続けて、IT大手企業らが構想しているような無人の巨大な「デジタル農業」がポツリと残ったとしても、日本も世界も、多くの農漁村地域が原野に戻り、地域社会と文化も消え、食料自給率はさらに低下し、不測の事態には、超過密化した東京などの拠点都市で、餓死者が出て、疫病が蔓延するような歪(いびつ)な国になることは必定である。



 命や環境を顧みないグローバル企業の目先の自己利益追求が、世界の食料・農業危機につながったが、その解決策として提示されているフードテックが、環境への配慮を隠れ蓑に、さらに命や環境を蝕んで、次の企業利益追求に邁進していないか。これで日本と世界の農と食と市民の命は守れるのか。早急な検証が必要である。



地域から始める農業再興と広がる成功事例




野菜の産直朝市(下関市)

 以上にみてきたように、食料・農業危機の背景には、米国発のグローバル企業などの「今だけ、金だけ、自分だけ」の自己利益追求がある。人間は自然を操作し、変えようとしてきた。その「しっぺ返し」が来ているときに、さらに不自然な技術の追求が解決策になるだろうか。それとは逆に、水と土と空気、環境が健全であれば、植物や動物の能力が最大限に発揮され、すべてが健康に持続できるはずである。



 化学肥料が発揮してきた効果を否定するわけではないが、化学肥料の多投などで短期的に儲けを増やそうとすれば、土壌微生物との共生が破壊され、人間にとっての栄養も足りなくなる。土壌に暮らす微生物が、食べ物とともに腸内に移住したものが腸内細菌の起源である。土壌微生物のおかげで、人間の健康も保たれる。植物工場に根本的な無理があるのも、土との関係が絶たれるから、人間に必要なミネラルなどの微量栄養素が野菜に含まれなくなることが大きい。



 新技術開発を否定するわけではないが、自然の摂理を大切にし、生態系の力を最大限に発揮できるように、基本に帰ることが、今こそ求められているのではないだろうか。本当に持続できるのは、人にも生き物にも環境にも優しい、無理しない農業、自然の摂理に最大限に従い、生態系の力を最大限に活用する農業(アグロエコロジー)ではないだろうか。経営効率が低いかのようにいわれるのは間違いである。最大の能力は、酷使でなく、優しさが引き出す。人、生きもの、環境・生態系に優しい農業は、長期的・社会的・総合的に経営効率が最も高いのである。



 今こそ、地域からの取り組みが重要になっている。「今だけ、金だけ、自分だけ」(三だけ主義)の日米のオトモダチ企業がこの国の政治を取り込み、農家や国民を収奪しようとするのを放置すれば、物流が止まった途端に国民の食料はなくなる。農業が崩壊すれば、関連産業も農協・生協も、地域の行政、社会、経済も存続することはできない。今こそ協同組合、市民組織など共同体的な力が、自治体の政治・行政と連携して地域で奮起し、地域のうねりを国政が受け止めて国全体のうねりにする必要がある。



 そのうえでは、地域の種を守り、生産から消費まで「運命共同体」として地域循環的に農と食を支える「ローカル自給圏」のようなネットワーク、システムづくりが有効である。一つの核は、学校給食での地場産農産物の公共調達である。すでに全国で取り組みが始まっている。先日、筆者が話をさせていただいたセミナーでは、市長さんが有機米給食のため「(地域で生産される有機米を)1俵4万8000円で買い取ります」と宣言し、会場から歓声が上がった。こうした取り組みが広がれば、流れは加速され、地域に好循環が生まれる。



 農家と住民が一体となり、耕作放棄地を皆で分担して耕す仕組みも重要である。母親グループが中心となって親子連れを募集して、楽しく種蒔き、草取りして耕作放棄地で有機・自然栽培で小麦づくりをし、学校給食を輸入小麦から地元産小麦に置き換えていった実践事例もある。「生産者」と「消費者」の区別のない「一体化」で共に作り、共に食べる仕組みづくりが各地で拡大している。



 直売所やマルシェも全国的に増加し、地元農家が作る安全・安心な自慢の農産物が適正な価格で評価される役割を果たしている。大手流通規格の制約を受けないので、見栄えをよくするために使っていた無駄な農薬を減らした農産物生産にもつながる。直売所間の転送システムを充実することによって直売所販売による農家収入の飛躍的増加に成功した事例もある。

 今、農家は、コストに見合う価格が形成できずに、経営を継続し、次世代に引き継ぐことが難しい状態が続いている。買い叩きビジネスをやめることは不可欠だ。流通・小売り業界は、買い叩いて一時的にもうかっても、農家が激減したらビジネスができなくなることを認識すべきである。自分で価格設定できる販売ルート確立のためにも直売所販売の拡大にも期待したい。

 現下の農業危機に早急に対処すると同時に、世界的な土壌の劣化、水や資源の枯渇、環境の破壊に加え、輸入途絶リスクの高まりと、消費者の減化学肥料・減化学農薬を求める世界的潮流からも有機・自然栽培の方向性を視野に入れた国内資源循環的な農業の展開に向けた取り組みを急ぐことが求められている。

 耕地の99・4%を占める慣行農家と、0・6%の有機・自然栽培農家は、対立構造ではない。安全でおいしい食料生産への想いはみな同じである。生産資材の暴騰下でも踏ん張ってくれている農家全体を支援し、かつ国内資源を最大限に活用し、自然の摂理に従った循環農業の方向性を取り入れた安全保障政策の再構築が今こそ求められている。
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/28766

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