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降旗康男『駅 STATION』 1981年 東宝

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2022/06/27 (Mon) 15:09:20


降旗康男『駅 STATION』 1981年 東宝


脚本 倉本聰

監督 降旗康男


出演者

三上英次 : 高倉健

直子(英次の元・妻) : いしだあゆみ

冬子(英次の妹) : 古手川祐子

吉松すず子 : 烏丸せつこ

桐子 : 倍賞千恵子

動画
http://www.dailymotion.com/video/x1xwy76_m-station-1_shortfilms
http://www.dailymotion.com/video/x1xwzas_m-station-2_shortfilms
http://www.dailymotion.com/video/x1xwzur_m-station-3_shortfilms


『駅 STATION』は、1981年に製作された高倉健 主演の映画である。

北海道 ・増毛町 、雄冬岬 、札幌市 などを舞台に、様々な人間模様を描き出した名作である。

劇中に流れる八代亜紀 の代表曲「舟唄」も有名である。

北海道警察 本部捜査第一課の三上英次巡査部長 (高倉健 )は、オリンピック出場経験のある射撃選手 でもある。

刑事としては拳銃操法を見込まれて危険な現場に投入されることが多く、射撃選手としてはオリンピックのために、先輩・相馬(大滝秀治 )の射殺事件の捜査から外されるなど、刑事と射撃選手の二足のわらじを履く警察官人生は苦悩が多かった。
妻の直子(いしだあゆみ )とも若くして離婚している。

ある日、三上は帰郷中に立ち寄った居酒屋で桐子(倍賞千恵子 )に出会う。三上を刑事とは知らないまま、桐子は恋に落ちる。

ところが、相馬を射殺した犯人は桐子の昔の男だった。

駅STATION
http://blowinthewind.net/cinema/station.htm


1) --1967年1月 直子--

その日、警察官の英次(高倉健)は雪の降り続く銭函駅ホームで、妻の直子(いしだあゆみ)と、四歳になる息子義高に別れを告げる。離婚を承諾した直子は、動き出した汽車の中で、英次に笑って敬礼するが、その目には涙が溢れていた。

苛酷な仕事と、オリンピックの射撃選手に選ばれ合宿生活が続いていたことも原因であった。その頃、英次の上司、相馬(大滝秀治)が連続警察官射殺犯“指名22号"に射殺される。

この映画は、雪の銭函駅から始まる。
昭和6年(1931)建造のレトロな駅舎。

映画では名古屋章が扮する人物が銭函駅のホームで列車を待つ間、英次にさとすように話しかける。

やりなおせないのか。
あいつはもう十分苦しんだんだ。
たった1回の過ちじゃねえか、忘れてやる訳には行かねえのか。

英次は無言で、硬い表情をしている。

やがて、列車が入って来る。

当時の列車は電気機関車が引く客車列車で、動き出したデッキで泣き顔で敬礼する直子の姿が印象的だった。

2) --1976年6月 すず子--

英次の妹(古手川祐子)、冬子が、愛する義二(小松政夫)とではなく、伯父の勧めた見合の相手と結婚した。英次は、妹の心にとまどいを覚え、義二は結婚式の夜に荒れた。

その頃、英次は、赤いミニスカートの女だけを狙う通り魔を追っていた。増毛駅前の風侍食堂につとめる吉松すず子(烏丸せつこ)の兄、五郎(根津甚八)が犯人として浮かんだ。すず子はチンピラの雪夫(宇崎竜童)の子を堕すが、彼を好きだった。しかし、雪夫にとって、すず子は欲望のハケロでしかなく、英次が警察官と知ると協力を申し出た。

雪夫は結婚を口実にすず子を口説いた。すず子は、刑事たちの張り込みに気づいていながらも、愛する雪夫を兄に会わせたくて、隠れている町へ案内した。そして、英次の前に吉松が現れたとき、すず子の悲鳴がこだました。

雄冬
英次は妹の結婚式に出席するため船で雄冬へ向かう。
雄冬航路は1日1往復、約2時間かかった。

国道が雄冬まで開通したのが1981年11月、同年12月に雄冬岬トンネルで崩落事故が発生し、1984年5月まで不通となった。

国道が開通しても冬場は雪に閉ざされ、通年供用可能となったのは1992年で、この年に雄冬航路は廃止された。今は増毛から雄冬まで車で約20分。

増毛
この映画の舞台の中心になるのが増毛駅前。

英次やすず子が乗り降りする増毛駅、張り込みに使われる日通増毛支店を使った増毛ホテル、多田商店を使った風待食堂。

留萌本線増毛駅。無人の終着駅で、ひっそりとしていた。

地図
http://ameblo.jp/jinjingtr/image-11578145341-12619167448.html
http://ameblo.jp/jinjingtr/image-11578145341-12619167445.html
http://maps.loco.yahoo.co.jp/maps?bbox=141.06345478259968%2C43.34427337958328%2C142.51365009509968%2C43.47396757553046&id=7d2e02105a6b35967bd4a708df761283dbc6bd4c&cond=p%3A%E9%81%93%E3%81%AE%E9%A7%85%E3%80%80%E6%9C%89%E6%98%8E%3Blat%3A32.5054983%3Blon%3A130.3056560%3Bei%3AUTF-8%3Bdatum%3Awgs%3Bv%3A2%3Bsc%3A3%3Buid%3A7d2e02105a6b35967bd4a708df761283dbc6bd4c%3Bfa%3Aids%3Bz%3A18%3Bs%3A1375707739debc6ee2ef619050009b3933d430f408%3Blayer%3Aplocal%3Bspotnote%3Aon%3Bid%3A7d2e02105a6b35967bd4a708df761283dbc6bd4c%3B&p=%E9%81%93%E3%81%AE%E9%A7%85%E3%80%80%E6%9C%89%E6%98%8E&zoom=10&lat=43.44406279492837&lon=141.41501728259993&z=10&mode=map&active=true&layer=&home=on&hlat=43.4030308890768&hlon=141.43059054019162&ei=utf8&v=3


増毛駅の近くにある風待食堂

「駅 STATION」(1981年)では「風待食堂」として使用されたが、もともとは雑貨屋。現在は、観光案内所となっている。

通り魔事件の犯人の妹、すず子(烏丸せつこさん)が働いていた、増毛駅近くの「風待食堂」です。今でも外観は変わらず当時のまま保存されています。
http://4travel.jp/travelogue/10275601
http://guide.travel.co.jp/article/10314/

3) --1979年12月 桐子--

英次は故郷の雄冬に帰ろうと、連絡船の出る増毛駅に降りた。風待食堂では相変らず、すず子が働いていた。雪夫は結婚したらしく、妻と子を連れてすず子の前を通り過ぎて行く。

船の欠航で所在ない英次は、赤提灯「桐子」に入った。女手一つで切り盛りする桐子(倍賞千恵子)の店だが、客は誰もいない。自分と同じく孤独の影を背負う桐子に、いつしか惹かれる英次。大晦日、二人は留萌で映画を観た。肩を寄せ合って歩く二人が結ばれるのに時間はかからなかった。

英次は、初詣の道陰で桐子を見つめる一人の男(室田日出男)に気づく。

やがて、“指名22号"のタレ込みがあり、英次は増毛に戻る。手配写真と、桐子を見つめていた男の顔が英次の頭の中でダブル。そして、桐子のアパートで22号は、英次に撃たれる。警察に通報しながら22号をかくまっていた桐子。

札幌に戻る前、英次は桐子を訪ねる。英次に背を向け「舟唄」を聞き入る彼女の顔に涙が流れている。

映画撮影時はまだ国道231号線が開通していない時で、山道で車も走れず、雄冬は陸の孤島とも言われる町でした。増毛港から出る連絡船が唯一の交通手段だったのです。増毛駅から港に出ると、雄冬行きの船着場がありますが、天候に左右され波が荒れていれば船は欠航となるのです。

英次がお正月に帰省した時、海は大荒れでたまたま居酒屋に立ち寄ったお店が、増毛駅で偶然出会った桐子の経営している居酒屋でした。
http://guide.travel.co.jp/article/10314/
http://blowinthewind.net/cinema/station.htm

映画の撮影が行われた頃は留萠本線や上砂川支線もにぎわっていた

オープニングは銭函駅の俯瞰撮影で、DD51が引く黒い貨物列車が通り過ぎる。
次の場面、三上の妻子はED76が引くオハ35系客車で旅立つ。

こんな場面から始まれば、物語も、鉄道の場面も期待してしまう。その期待通りの美しい映像で、鉄道も描かれる。


物語の主軸となる路線は留萠本線だ。

旅客列車は新品でぴかぴかのキハ40形と、郵便荷物車のキユニ21形の2両編成。
どの時間も車内は混んでいる。

増毛~留萠間の気動車列車は短いが、貨物列車は長かった。

留萠駅からは羽幌線(1987年廃止)が分岐し、羽幌炭鉱からの貨物列車が留萠駅に集積した。

炭鉱といえば、劇中では函館本線上砂川支線(1994年廃止)も登場する。
石炭輸送でにぎやかな上砂川駅の映像は、資料としての価値も高い。

羽幌炭鉱が稼働していた頃の留萌はにぎわっていたようだ。

映画館があり、車の往来も多い。炭鉱で景気が良いのか、2ドアクーペタイプも目立つ。

本作撮影当時の留萌市の人口は約3万5,000人。現在は約2万4,000人という。

増毛町も映画撮影当時は約8,000人の人口があり、繁華街もにぎわっている。

同作品では、元旦未明の増毛神社の様子が描かれていて、留萠本線に初詣列車が走っている。現在の増毛町は約5,000人とのこと。

その意味でも、この作品は国鉄時代のローカル線の活気も見せる映画といえそうだ。

鉄道に対する人々の期待、ありがたみが、車内の混雑した情景に表れている。
留萠駅の構内放送「るもいるもい、るもーい」も軽やかだ。増毛駅には駅員が常駐しており、台車にはチッキ便の荷物が山積みになっていた。

留萌本線の終点、増毛駅。現在は1面1線の無人駅に

筆者は最近、留萌本線を訪れた。留萌駅の構内放送は自動で控えめ。
増毛駅は無人駅であった。

タクシーの運転手に聞くと、炭鉱の閉鎖とニシンの不漁で人口が減り、かつてのにぎわいはないという。

『駅 STATION』の撮影が行われた当時の北海道の国鉄は、客車列車が淘汰され、気動車や電車に置き換わっていく時期だった。

劇中で約12年を描くため、序盤に旧型客車、中盤以降に気動車が登場する。
札幌近郊の事件現場付近には711系電車が登場。
この電車の存在だけで、そこが札幌だと示している。
http://news.mynavi.jp/series/railmovie/017/


留萌本線の終点、増毛駅。現在は1面1線の無人駅に


筆者は最近、留萌本線を訪れた。留萌駅の構内放送は自動で控えめ。増毛駅は無人駅であった。タクシーの運転手に聞くと、炭鉱の閉鎖とニシンの不漁で人口が減り、かつてのにぎわいはないという。

『駅 STATION』の撮影が行われた当時の北海道の国鉄は、客車列車が淘汰され、気動車や電車に置き換わっていく時期だった。劇中で約12年を描くため、序盤に旧型客車、中盤以降に気動車が登場する。札幌近郊の事件現場付近には711系電車が登場。この電車の存在だけで、そこが札幌だと示している。このように、鉄道を使って時系列や場所を示す手法は、高倉健主演、降旗康男監督の最新作『あなたへ』でも効果的に使われている。
http://news.mynavi.jp/series/railmovie/017/


『駅 STATION』 ロケ地
http://ameblo.jp/jinjingtr/entry-11578145341.html
http://guide.travel.co.jp/article/10314/
http://4travel.jp/travelogue/10275601
http://akkamui212.blog86.fc2.com/blog-entry-1122.html

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