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ジネット・ヌヴー(1919年8月11日 - 1949年10月28日)ヴァイオリニスト

1:777 :

2022/06/13 (Mon) 11:47:17


ジネット・ヌヴー(Ginette Neveu, 1919年8月11日 パリ - 1949年10月28日 大西洋アゾレス諸島)

Ginette Neveu -Sibelius Violin Concerto (1946) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=7Oy24SIvesg&index=1&list=PLjc8Jcsf6q4klYfH3uWs_45z6KbEXZ0sj
https://www.youtube.com/watch?v=qxDORUqwr7Q&list=PLjc8Jcsf6q4klYfH3uWs_45z6KbEXZ0sj&index=2
https://www.youtube.com/watch?v=YO_STEhcgow&list=PLjc8Jcsf6q4klYfH3uWs_45z6KbEXZ0sj&index=3

Sibelius Violin Concerto in D minor, op. 47

performed by Ginette Neveu (Vn) and the
Philharmonia Orchestra conducted by Walter Süsskind

Recorded at Studio No 1, Abbey Road, London 21 November 1946
2:777 :

2022/07/20 (Wed) 15:35:36

あげ3
3:777 :

2022/07/21 (Thu) 17:52:41

ジネット・ヌヴーは系譜から見るとフレッシュの弟子といふことになるが、藝風は完全に独立した個性的なものだ。

ヌヴーは型に嵌つた演奏を嫌ひ、様式と相容れまいが確信を持つて感じたままを表現した。

この傾向は幼少の時からのもので、ヌヴーの経歴を見ると殆ど独力で音楽を造つてゐるといふ驚くべき事実に突き当たる。

エネスクのアドヴァイスに対し

「自分が感じたやうにしか弾けません、、」

と言葉を返し、慧眼を持つフレッシュにヌヴーを矯正しようなどといふ気をおこさせなかつたほどの気性の激しさは、そのまま演奏に顕はれてゐる。そして、その信念の強さこそが聴く者を催眠にかけたヌヴーの凄みなのだ。

 ヌヴーの録音は衝撃的であつた。

ヴァイオリンが斯くも熱く燃え上がることが出来るのかとたぢろいだ。

こんなにも集中力を凝縮出来た奏者がゐたこと自体が驚きである。

しかも女流である。しかもと云つたのは演奏家は肉体を使役する故、性差は重要な要素であり、表現の幅を考へれば男性奏者の方が有利であるからだ。男を顔色なからしめる女流奏者はデュ=プレやアルゲリッチなどを筆頭に気性の激しさで音楽を表現する。

国際的な活動を開始しようとした矢先のヴェニャフスキ国際コンクールでヌヴーに完敗を喫したオイストラフは

「悪魔のやうだつた」

と評し、ティボーは

「ヴァイオリン界の至高の女司祭」

と讃へた。ヌヴーこそ男勝りの気性で彼らを凌ぐことが出来た筈の唯一のヴァイオリニストであつただけに、夭折が悔やまれてならない。

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 ヌヴーの録音を聴いてゐて気付くのは呼吸の激しさである。

演奏中にしばしば聴き取れる鼻で息を吸ふ音はその証である。

神秘的で静寂な楽想においてもヌヴーの息遣ひは激しく伝はる。

ヌヴーの演奏姿を記録した映像が僅か2分程度だが残つてゐる。ショーソンのポエムの終盤、玄妙なトリルが続きディミュヌエンドして行く瞑想的な箇所で、指揮者ミュンシュの棒を睨むかのやうに凝視するヌヴーの強い眼力には息苦しささえ感じる。音楽への集中度は過去の如何なる巨匠と雖もヌヴーの次元には迫れなかつた。

こんな演奏をしてゐては身がもたないだらう。

運弓は発火するやうな激しいアタックを用ゐながら、決して上滑りしない重厚なアーティキュレーションを維持してをり、擦れや潰れがない驚異的なボウイングを会得してゐる。スタッカート奏法の水際立つた鮮やかさは特に素晴らしい。

濃密で赤裸裸な感情を曝け出すヴィブラートは機械的な振動ではなく、生命を鼓動される天性の霊感によつて変化自在にかけられてゐる。ヌヴーは技巧面ではハイフェッツを意識した世代の奏者であるが、音楽への取り組みは楽器の制約を超えたところにある感性と知性の表象を純粋に追求してをり、その点でエネスク、ティボー、フレッシュ―マルシック三羽烏―の直系である。

独Electrola録音は18歳から19歳にかけての録音であるが、成熟した音楽には驚愕の念を禁じ得ない。中でもヌヴー畢生の名演と云へるショパンのノクターンが奇蹟的な出来だ。

冒頭から想ひ詰めたやうな感情が溢れてをり聴き手の魂を奪ふ。

それは楽器の音を超えた人間の深い心の声で、跳躍に込められた神聖な火花は胸が苦しくなるほど切ない。

後半のソット・ヴォーチェでは喪失感漂ふ幽玄な世界へと誘ひ、忘れ難い印象を残す。


シベリウスは作曲家本人が謝辞を述べたほどの伝説的名演で、独奏部分に関すれば現在でも最高の演奏だ。

特に第1楽章が凄まじく、冒頭から切々とした情念がのたうち回つてゐる。

展開部での閃光のやうな跳躍は宛ら電撃を思はせ、コーダでの激情が持続する異様な興奮は憑物に捕はれたかのやうだ。繊細な神経が研ぎ澄まされた第2楽章や、上滑りしないテンポと雄々しいアタックで腰の据はつた第3楽章も見事。

ラヴェルのツィガーヌの気魄は唯事ではない。

特にラッサンが至高の名演で、重厚な奏法から濃密で妖気漂ふ音楽が火花を散らす。

恐ろしいほどの集中力で燃焼するファリャは、重いテンポで派手な煽りには頼らず、発火するやうなアーティキュレーションで奥底から燃え上がる稀代の名演だ。


ブラームスのソナタはヴァイオリンの研ぎ澄まされたアタックが暗く悲劇的な音楽を抉りだしてゐる。第3楽章と第4楽章は楽器の限界を超えて激情が溢れ出す恐ろしき昂揚を聴かせる。デ=ヴィート盤と並ぶ屈指の名演と云へよう。

ヌヴーの演奏に若さを認めない訳にはゐかない。エネスク、ティボー、クライスラー、ブッシュといつた奏者から得られる懐の深さ、聴く者への慰めはない。ヌヴーの音楽は克己し、常に闘争へと向ふ。強く深い故に短くなり勝ちな呼吸が災ひし、フレーズが短く切迫した印象を与へる。

古典作品、ベートーヴェン、ショーソンの演奏はヌヴーの青さを露呈してゐる。だが、20代の奏者が情熱に頼らず、老いさらばえた演奏などをしてゐては先がない。ヌヴーの弱点は若さに由来したものであり、だからこそ大成したはずの藝術家ヌヴーを永遠に失つた損失は量りしれないのだ。

 ヌヴーは激しい情熱、張り詰めた集中力、高度の技術、天性の直感力を持ち合はせた未完の大器であつた。
http://www.h6.dion.ne.jp/~socrates/neveu.html


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Ginette Neveu - YouTube
http://www.youtube.com/results?search_query=Ginette+Neveu&oq=Ginette+Neveu&gs_l=youtube.12..0l3.1687.1687.0.2888.1.1.0.0.0.0.262.262.2-1.1.0...0.0...1ac..11.youtube.BNBJGY_H5YY

ジネット・ヌヴー ‐ ニコニコ動画(原宿)
http://www.nicovideo.jp/tag/%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%8C%E3%83%B4%E3%83%BC?ref=tagconcerned


Ginette Neveu -Sibelius Violin Concerto (1946)
http://www.youtube.com/watch?v=7Oy24SIvesg
http://www.youtube.com/watch?v=qxDORUqwr7Q

ブラームス/ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
ジネット・ヌヴー(Vn)
ハンス・シュミット・イッセルシュテット指揮、北ドイツ放送交響楽団
1948年5月
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16016756
http://www.youtube.com/watch?v=n08w4-U5S3U&list=PLC47FF238D725C8F4

Ginette Neveu plays Gluck - Mélodie (from Orfeo ed Euridice)
http://www.youtube.com/watch?v=Icr0l8zJmfg&list=PLC47FF238D725C8F4&index=1

Ginette Neveu Plays Ravel Tzigane
http://www.youtube.com/watch?v=-ZdmEBHKBjA&list=PLC47FF238D725C8F4&index=3

Ginette Neveu - De Falla 'La vida breve'
http://www.youtube.com/watch?v=UgICAdFvx3I



ジネット・ヌヴー

Vnの教師であった母の手ほどきでVnを始める。父はアマチュアの弦楽器奏者であった。

5歳でパリ音楽大学のタリュエル夫人に師事。

タリュエル夫人はヌヴーが同じフレーズを50回もさらう事がよくあったので「もう充分よ 。」と言うと、ヌヴーは「でも、もっと美しく弾かなきゃならないもの。」と答えたという。

7歳の時、コンセール・コロンヌ管弦楽団と共演して、ブルッフのVn協奏曲でパリ・デビューした。


10歳の時にジョルジェ・エネスコにレッスンを受けたことがある。

シャコンヌのあるパッセージにきたとき、エネスコはヌヴーに

「私ならそうは弾かないよ。」

と言ったところ、ヌヴーは

「私はこの曲を私の理解した通りに弾くわ。ピンと来ない弾き方では弾けないもの。」

と答えたという。エネスコは微笑みながら黙って次を続けさせたらしい。


11歳でパリ音楽院に入学、名教師プシューリに師事、作曲をナディア・ブーランジェについて学ぶが、僅か8ヶ月でパリ音楽院の最優秀賞を得て卒業した。

13歳の時ウイーンの国際コンクールに出場するが、4位にとどまった。
しかし、この時カール・フレッシュは彼女の才能を見抜き、ヌヴーはベルリンに留学して4年間カール・フレッシュに師事した。フレッシュは

「ヌヴーはすでに完成された芸術家であり、自分はいくつかの技術上のアドヴァイス以外にすることはなかった。」

と述懐している。
http://blogs.yahoo.co.jp/senninnehan/27415751.html
4:777 :

2023/09/02 (Sat) 05:50:27

生誕100年ジネット・ヌヴーのセッション録音全集が最新リマスターで復活!(4枚組)
ジネット。ヌヴー・ワーナー録音全集
https://tower.jp/article/feature_item/2019/04/19/1111

生誕100年、没70年記念

ジネット・ヌヴー(1919-1949)は、15歳の時にヴィエニャフスキ国際コンクールで、ダヴィッド・オイストラフをおさえて優勝し大きな注目を集めました。優勝後は、世界的な活躍をすることとなり、各地で絶賛をもって迎えられますが、そうした忙しいツアー生活のさなか、アメリカに向かうために飛行機に乗り込んだヌヴーは、ポルトガルで乗客乗員全員死亡という凄惨な事故にあい、30歳の若さでなくなってしまいました。2019年の生誕100年、没70年を記念して、ワーナー(旧EMI)・アーカイブに残されている最も状態の良い貴重なマスターより、パリ、Art&Son Studio Annecyにてリマスターをおこない、最善の状態で再発売いたします。天才だけが成し得る技だけでなく、ここに示された作品にのめり込むような濃密な情念はヌヴー若き日ならではの、微塵も感じさせない力強さに溢れたものです。
(ワーナーミュージック・ジャパン)

【曲目】
《CD1》
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調Op.47
[共演]
ワルター・ジュスキント(指揮)
フィルハーモニア管弦楽団
[録音]
1945年11月21日、ロンドン、アビイ・ロード・スタジオ

《CD2》
1-3) ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.77
4) ショーソン:詩曲 Op.25
[共演]
イサイ・ドブロウェン(指揮)
フィルハーモニア管弦楽団
[録音]
1946年8月16-18日、ロンドン、アビイ・ロード・スタジオ

《CD3》
1) ラヴェル:ツィガーヌ
2) ラヴェル:ハバネラ形式の小品
3) スカルラテスク:バガテル
4) ファリャ(クライスラー編):歌劇『はかなき人生』~スペイン舞曲
5) ショパン(ロディオノフ編):夜想曲第20番嬰ハ短調
6) ディニーク(ハイフェッツ編):ホラ・スタッカート
7-10) スーク:4つの小品Op.17
11-13) ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ ト短調
[共演]
ジャン・ヌヴー(ピアノ)
[録音]
1946年3月26日&8月13日(1)、1946年3月12日(2, 3, 4)、
1946年8月13日(5, 6)、1946年8月14日(7-10),
1948年3月18日(11-13)、
ロンドン、アビイ・ロード・スタジオ

《CD4》
1) クライスラー:W.F.バッハの様式によるグラーヴェ ハ短調
2) スーク:4つの小品 Op.17~第3曲「ウン・ポコ・トリステ」
3) スーク:4つの小品 Op.17~第2曲「アパッショナータ」
4) ショパン(ロディオノフ編):夜想曲第20番嬰ハ短調
5) グルック(クライスラー編):『オルフェオとエウリディーチェ』~メロディー
6) パラディス(ドゥシキン編):シチリア舞曲
7) タルティーニ(クライスラー編):コレッリの主題による変奏曲
8) R.シュトラウス:ヴァイオリン・ソナタ変ホ長調 Op.18
[共演]
ブルーノ・ザイドラー=ヴィンクラー(ピアノ:1-6)
グスタフ・ベック(ピアノ:7-8)
[録音]
1938年4月13日(1-6)、1939年(7-8)、ベルリン

【演奏】
ジネット・ヌヴー(ヴァイオリン)
https://tower.jp/article/feature_item/2019/04/19/1111

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