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2022/06/09 (Thu) 10:59:17
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新潟県 五頭連峰 2018年5月 親子遭難
新潟県五頭連峰における親子遭難について、現地で検証してみた。 - YouTube
2018/05/26
https://www.youtube.com/watch?v=RFZBw0NTnU0
2018年5月5日に、五頭連峰周辺に登山に出掛けた親子が行方不明になった。不可解に感じる行動も少なくない為、実際に現地で調査してみると、現実的な考え方に基づいて行動すると、不可解な行動につながる事が判った。
新潟県五頭連峰親子遭難 調査登山 魚止滝~山葵山~松平山~大雪渓手前まで往復 2018年5月21日実施 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=dDdD9bKV_G4&t=9s
新潟県五頭連峰親子遭難 調査登山 山の神~赤安山~五頭連峰~大雪渓手前まで往復 2018年5月22日実施 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=9n5ptmsnudI
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2022/06/09 (Thu) 11:03:00
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2018-05-29
五頭連山で遭難した新潟親子の遺体発見に思うこと。登山のリスクと怖さ
https://www.aohigetozan.com/entry/2018/05/29/163100
五頭連山(阿賀野市)で遭難した新潟親子の遺体を発見
新潟県の阿賀野市にある五頭連山に入山した親子が下山が出来ず行方不明になっておりましたが、5月29日の午後に松平山付近で、二人の遺体が発見されました。
まずは、お亡くなりになった二人のご冥福をお祈りすると共に、ご遺族に対してお悔やみを申し上げます。
2018年5月6日に五頭連山で道に迷い、その後消息をたった二人でしたが、遭難した当時は、色々な報道機関から最新のニュースが届いてましたよね。
なかなか二人を発見できず、日に日にニュースで取り上げられる事も少なくなってましたが、非常にインパクトがある山岳遭難事故でしたので、その後が気になっておりました。
多分、私みたいに遭難した新潟の親子の捜索活動の状況や、無事に発見されたのか!?、何か進展があったのか!?など、気にされていた方も多かったのではないでしょうか。
当初、「道に迷ってしまいビバーク(緊急野営)する。」と遭難した男性から連絡があったくらいですので、正直、直ぐに発見されるだろうと安易に考えておりました。
五頭連山は、標高も低い山ですし、携帯電話の電波が届く範囲なら、翌日には無事発見されたとニュースで報じられると思ってました。
しかしながら、遭難した家族からの捜索依頼に対し、警察の情報伝達の不手際もあったりと、初動捜査が遅れてしまい、予想よりもはるかに時間が掛かっての今回の遺体発見になってしまいました。
今回の五頭連山の遭難事故のその後が気になり、個人的に調べていたのですが、こちらの記事に時系列で書いてますので、良かったらご参考にしてみてください。
遭難した当時から、5月25日までの流れを書いております。
1週間経過するごとに地元(新潟)のニュースを調べた上で親子の捜索状況を加筆しております。
新潟で登山中に遭難した親子と思われる遺体発見に思うこと
無事に発見されれば良いな~と思っていたのですが、今回の遺体発見のニュースは、残念でなりません。
現在、遭難し行方不明になった親子の遺体かどうかは断定出来ておりませんが、見つかった場所や状況等から非常に濃厚だろうなと推測しております。
どのような経緯で遭難してしまったかは詳しく分かっておりませんが、登山中の遭難で多いのが「沢に下ってしまう」ことですので、今回もそれだったのではないかと思っております。
日本の山は急峻なもので、沢へ下ってしまうと、いずれ「滝」が出てきます。
その滝を下ろうとして滑落し、大怪我をして動けなくなるのが登山の遭難ではよくあるパターンになっております。
滝周辺の岩は濡れて滑りやすく、また、登るよりも下るほうが技術的に難しいです。
遭難事故に備えて重要な登山の知識とリスクについて
「たら」、「れば」を書いてはいけませんが、もし、ビバークを決意した場所で動かずに捜索隊を待っていれば、このような結果にはならなかったかも知れないなと思い、非常に残念でございます。
今回の新潟の五頭連山の遭難事故と時を同じくして、神室山(栗駒国定公園)で遭難した登山者が無事に発見されたニュースがやってました。
遭難した登山者は、携帯電話を紛失し、道に迷ってしまったのですが、道迷いを起こしてしまった時のセオリー通り「その場から離れずに助けを待つ」ことをしました。
その結果、無事に救助されたのですが、生死を分けたのは「登山の知識」であり「登山経験」なのかも知れませんよね。
色々気をつけていても、登山には突発的な事故やトラブルがありますので、リスク低減のためにも、最低限の知識は必要だよなと感じた出来事でした。
五頭連山の積雪状況と気温について
新潟の親子が遭難した当時の五頭連山には、山頂付近に2m弱ほど雪が積もっていたそうですが、この1ヶ月の間にだいぶ解けたと思われます。
遺体発見現場と思われる「松平山」の標高が954mと低山ですので、天候が良ければ山頂付近もだいぶ暖かったと思われます。
今回の遭難事故から暫くの間、五頭連山の天気と気温を観ていたのですが、ここ最近は20度前後の日が多かったです。
標高が100m上がると気温が0.6度下がりますので、松平山の標高が954mですと、だいたい山頂付近の気温は14度前後かと思います。
気温が14度もあれば、だいぶ雪解けが進みますよね。
今回の遺体発見に、雪解けが関係していたかは分かりませんが、捜索がしやすくなっていたのは間違いないかと思います。
新潟県阿賀野市の松平山(五頭連山)について
今回、遭難した親子と思われるご痛いが発見された新潟県阿賀野市にある松平山(五頭連山)ですが、こんな所にございます!
松平山(五頭連山周辺)の地図
https://www.google.com/maps?ll=37.819818,139.360593&z=14&t=m&hl=ja&gl=JP&mapclient=embed&q=%E6%9D%BE%E5%B9%B3%E5%B1%B1+%E3%80%92959-1923+%E6%96%B0%E6%BD%9F%E7%9C%8C%E9%98%BF%E8%B3%80%E9%87%8E%E5%B8%82%E5%8B%9D%E5%B1%8B
松平山周辺の地形図(国土地理院)を再度よく観てみたのですが、痩せ尾根箇所も多く、枝尾根や沢と思われる場所もあったりと、意外と複雑な地形をしてました。
遭難した当時は積雪がありましたので、低山とはいえ侮れない山だな~と思っておりました。
遭難した親子は山登りに慣れていないと報道でされてましたが、もしかすると、軽アイゼンなどの滑り止めを用意していなかったのかなと思ってしまいました。
松平山は、標高こそ低いですが、付近の登山道を外すと近くに急斜面がありますので、雪がある時期は特に滑落に注意が必要かなと、地形図を観て思いました。
山で遭難して発見されない場合は!?
今回、最悪な事態になってしまいましたが、もし、いつまでも山で遭難し発見されないと、ご家族にとっては非常に辛い状況になってしまいます。
まず、生死がわからず「行方不明」ですと、生命保険が下りません。
それ以外にも、色々と経済的な問題が発生してしまいます。
自分が山で遭難して発見されないと、どのようになるのか!?は、あまり考えた事がないかと思います。
山で遭難して発見されなかった場合について、こちらの記事
遭難して発見されなかった場合の経済的負担と捜索打ち切り 「失踪宣告」と「死亡届」
https://www.aohigetozan.com/entry/2017/06/01/220505
で書いてますので、良かったらご参考にしてみてください。
※5月31日加筆
今日現在、五頭連山で発見されたご遺体の身元は判明しておりません。
遺体の損傷が激しく、遭難した新潟の親子なのかどうかを特定するまでに時間が掛かるみたいです。
状況からすると、気温も結構高い日がありましたし、五頭連山も熊などの獣の生息域ですので・・・。
一日も早く、身元が特定されることを切に願っております。
5月31日PM加筆
先ほど、五頭連山で見つかった二人の遺体が、登山中に行方不明になった親子のものと断定されました。
ご遺体につきましては、沢沿いで親子が被さるような状態だったと報道がありました。
経緯は不明ですが、お父さんの上にお子さんが覆い被さっていたそうです。
もしかすると、お父さんがお子さんをおんぶしていた時に滑落してしまったのか、それとも先にお父さんが滑落し、それを見たお子さんが助けようとして滑落してしまったのか・・・。
寒い夜を一緒に過ごしていたならば、お子さんを暖めるようにお父さんが覆い被さるよう(後から抱きしめるような感じ)にするはずだよな~と、答えが出ませんが、色々と考えてしまいました。
ご遺体の状況から、もしかすると、遭難して間もない時期に、既に二人はお亡くなりになっていたのかもしれません。
二人とも生きてて欲しいと願っていただけに、最悪な結末になってしまい、残念でなりません。
まとめ
今年のGWの後半は、アチコチで山岳遭難事故が多発してしまいましたが、今回の新潟県の五頭連山のような標高の低い山でも「遭難のリスク」があることが、痛いほど分かりましたよね。
遭難してしまうと、どんな山でもなかなか発見してもらえず、最悪命を落としてしまいます。
今回の新潟の親子は「登山届け」を出していたかどうかは、報道でされてませんが、山登りのリスク低減においては重要な事ですよね。
登山届けを提出し、どんな装備を持っていて、どんなルートを歩くかを、予め分かるようにしておけば、緊急時に大いに役立ちます。
今回、とても残念な結果になってしまいましたが、これから迎える登山シーズンに向けて、今一度登山のリスクと怖さを再認識しないといけませんよね。
同じような遭難事故がおきない事を願いつつ、私も気を引き締めて山登りしたいと思います。
https://www.aohigetozan.com/entry/2018/05/29/163100
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2022/06/09 (Thu) 11:12:36
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2018.06.05
新潟親子遭難事故の原因と問題点を改めてよく考える。(1.入山前の準備)
https://www.mattsunnosuke.com/climb/736.html
先月GWに発生した新潟親子の遭難事件は、残念ながら最悪の結果となりました。
ぼくも子供を連れて登山をするものとして、身の引き締まる思いがしてますし、悲しさと悔しさでいっぱいです。
まずはこの場を借りて、ご冥福をお祈りいたします。
今回は親子ということもあり、大々的に報道があり、ネット上でもかなり話題が上がっていましたね。
最終的にコクラ沢という場所で遺体が見つかったことにより、道に迷った際に絶対にやってはいけないと言われている、「沢をくだった」ことが原因だという意見をたくさん目にしました。
迷ったら沢を下るな!尾根にでろ!をとことん掘り下げてみた。
もちろんそれが一つの判断ミスだったことは間違いないと思いますが、今回、親子が「遭難した原因」や「搜索が難航した要因」は、他にも多々ありそうです。
亡くなった親子の死を無駄にしないためにも、ぼくもこの記事を書きながら、改めてよく考えたいと思います。
各メディアの報道で公開されている情報をもとに、時系列で問題点や改善の余地を洗い直していきます。
もくじ [非表示]
山行自体を誰にも知らせていなかった
装備が著しく粗末だった
子供のシューズについて
残雪期の服装(装備)について
ヘッドランプ
登山届は記名のみだった
山行前の準備不足が最悪の結末を招くことに
山行自体を誰にも知らせていなかった
周囲の人間がその日に親子が登山をしていたことを最初に知ったのは、祖父への第一報(道に迷ったからビバークするという連絡)でした。
つまり、誰にも山に行くことを伝えてなかった。奥さんにさえも。
これ、実はぼくの周囲でも結構よく聞く話です。
ぼくは山に行くときは、必ず妻に事前に伝えておきます。
少なくとも「どこの山に行くのか」と「下山予定時刻」だけは。
そして、下山後は必ず「無事に下山した」と連絡します。
そうすることにより、予定時刻から一定の時間が過ぎても、下山の連絡がなかった場合に、トラブルがあったと推測がしやすく、警察にぼくがどこの山で遭難したかを伝えることができるからです。
しかし、驚くことに配偶者に山に行くことを伝えてないという人や、山に行くことだけで行き先は伝えていない。という人は結構います。。
これ、大問題です。
仮に、今回道に迷って父親が第一報の連絡をしようと思ったときに、
もし携帯の電波が入っていなかったら…
もし携帯の充電が切れていたら…
どうなっていたでしょうか。
家族は夜遅くなっても親子が帰宅しないので警察に捜索願いを出します。しかし、その時点ではどこにいるのか全く分からない失踪事件です。
おそらく有力な手がかりが手に入らない限りは、五頭連峰で捜索を開始するに至るまでにかなり時間を要したはずです。
仮に登山届が提出されていなかったら、長期に渡り、山岳遭難の事実が判明しないままだった可能性もあります。
山に入る際は、最低でも行き先と下山予定時刻を家族ないし、身近な人に事前に知らせておかなければなりません。
装備が著しく粗末だった
登山口から2kmほど離れた店舗で、防犯カメラに映った親子の姿がネットでも出回っていますが、恐ろしく薄着です。
発見時の具体的な装備については公表されていないので、ここからはあくまでもこの格好のまま入山したという前提で話します。(山中での目撃情報によると親子は軽装だった。)
子供のシューズについて
子供は運動靴だったという目撃情報があり、トレッキングシューズなど山行に適したシューズを履いていなかったようです。
6歳なら靴のサイズは17cm~18cmぐらいになるので、大手アウトドアメーカーでも販売されているサイズです。
子供用のトレッキングシューズを所有していたかは定かではありませんが、子供の靴はすぐにサイズアウトしてしまうので、購入に二の足を踏んで先延ばしにしてしまいがちです。
しかし、子供は不注意による転倒などが多いため、足首を保護したり、ソールが滑りづらくなっているなど、山行に適したトレッキングシューズは大人より必須装備と考えられます。
ちなみに6歳の子供は20kgぐらいあるので、もし怪我をして動けなくなった場合は、父親がおぶって山でまともに行動することはできません。
残雪期の服装(装備)について
↓5/12に撮影された松平山の写真。
見たままですが、この時期の五頭連峰は明らかに残雪期です。
残雪期の積雪期のコンディションとは違いますが、踏み固まった雪が日中に溶けて夜に冷え固まり非常に滑りやすくなり、歩くコンディションとしては非常に悪いと言えます。
軽アイゼンかチェーンスパイクなどの滑り止めのギアがなければ、雪国で暮らす人でも転倒や滑落は防ぎきれません。服装などから推察すれば、おそらく持ち合わせていなかったでしょう。
また、死因は低体温症なので、親子には防寒装備や雨具がなかったと思われます。
残雪期は一見それほど寒くなさそうに思いますが、朝晩はまだまだ冷え込むから雪が残るわけです。
仮に朝晩の気温がそれほど低くなかったとしても、体を濡らしたことによって、体温を奪われたということも考えられます。
今回は日帰りの予定だったと思いますが、日中の休憩時を考えても、陽が当たらず、風が抜けるような場所であれば冷えます。
日帰りであってもダウンなど保温用のアウターが必要です。
ダウンなどは濡れてしまうと保温機能がなくなりますので、雨具と防寒というものは別物として考えなければいけません。(濡れても保温力を失わないインサレーションもあります)
ちなみに厳冬期や積雪期なら日中でも気温が低く雨ではなく雪が降るので、雨具はあまり必要なく、どちらかというと防風対策の方が重要です。
しかし、残雪期は防寒と雨具の両方が必要なため、初心者は装備に不備が出やすく、落とし穴の多い時期かもしれません。
ヘッドランプ
防寒が万全ではない親子がもしヘッドランプを持っていたら、冷え込むことが容易に想像できる環境でビバークを選択したでしょうか。
ヘッドランプは持っていかなったのでしょう。
ここ数年はSNSなどの影響もあってか、ご来光登山をする人が増えているようなので、ヘッドランプを常備している一般登山者も増えています。
しかし、日中しか山に入らない人たちだけとって見れば、非常用としてヘッドランプを携行している人は多くないのが現状です。
ちなみにヘッドランプがあるからと言って、日没を迎えても必ずしもそのまま下山できるわけではありません。
初めての登山道や、夜行になれてない人が無理に下山しようとすれば、深みにハマって自体を悪化させるだけになりまので、本来は早めにビバークして、朝を迎えてから行動するのがベストです。
しかし、夜間にビバーク地の周囲で用を足すことなどになれば、暗がりの中ではヘッドランプがなければそれだけでも大変ですし、用を足す際に滑落して命を落としたりするケースは多いです。
今回を例にしても、親子またはどちらかが夜間に滑落し、それが致命傷になった可能性も充分に考えられます。
雨具などと同様にヘッドランプは登山の必携装備です。
[二回も失敗した]ぼくが登山用ヘッドライトの選び方とオススメを語ります♪
登山届は記名のみだった
本人が登山口で提出したものは記名のみだったとのこと。
登山届は「私たちは登山します。」と宣言するものではありません。
登山届は別名を「登山計画書」と言い、最低でも、どの道を通ってどこへ行き、どの道を通って戻ってきます。という登山計画を、もしもの場合に備えて予め提出するものです。
今回のように計画の記載が一切なければ、遭難者がその登山口からどこに向かったのかすらわからず、
「ここに向かったであろう」
「ここを通過したであろう」
という推測の域でしか、捜索活動を行うことができません。
そうなれば、推測が正しくなかった場合は、正しかった場合に比べて、著しく捜索活動が難航するのは言うまでもありません。
逆に、細かい山行計画が記された登山届けなら、遭難者が意図的に大幅な予定変更などをしていなければ、それを基にした捜索活動ができます。
また、その山行計画の内容が細かければ細かいほど(経由地および予定時刻を細かく記載するなど)、捜索活動はスムーズかつ効率のよいものになり、早い段階で救助(発見)できる確率が上がります。
以前も書きましたが、登山届の提出率は10~30%と非常に低く、提出している人はそうでない人に比べて意識が高いと言えます。
しかし、今回の件をその提出事例の一つと考えた場合には、意識が高いと言えるレベルとは到底言えるものではなく、いかに登山届の意義が理解されていないかが浮き彫りになりました。
山行前の準備不足が最悪の結末を招くことに
ここまでで「山行の周知」「装備」「登山届」について書きましたが、これらは全て山行前の準備段階で行わなければならないことです。
そして、遭難しないために役立つことではなく、遭難してしまった場合に少しでも早く救助されることや、発見まで時間をそれなりに時間を要した場合に、少しでも長く生存しているための準備といえるものがほとんどです。
もちろん遭難しないことに越したことはありませんが、道迷いにしろ、滑落にしろ、絶対に起こらないということはありません。特に登山は自然を相手にするので尚更です。
今回のようにこれだけ大々的にニュースになるほど取り上げられると、「低山でも道迷いは発生しやすい。」「沢を下ってはいけない。」などと、なぜ遭難が起きたのか?ということが話題になりがちです。
しかし、それと同じように重要であるはずなのに、「なぜ救助が間に合わずに死に至ってしまったのか?」「事前の準備がもっとされていれば、最悪の結果は免れたのではないか?」そういったことが話題にあまり上がらないこと自体も、こういった悲しい事件が減らない要因の一つではないかと感じました。
「絶対」はありません。もしもの備えを事前に準備することが命を救います。
次回は入山後の行動について考えていきたいと思います。
https://www.mattsunnosuke.com/climb/736.html
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2022/06/09 (Thu) 11:14:38
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新潟親子遭難事故の原因と問題点を改めてよく考える。(2.入山後の行動と対応)
https://www.mattsunnosuke.com/climb/761.html
前回、新潟親子遭難について、メディアで把握している情報をもとに、準備段階で問題があったと思われることをピックアップしながら、ぼくなりに改善の余地などを書いてみました。
新潟親子遭難事故の原因と問題点を改めてよく考える。
今回は入山後の問題点や対策などを考えていきたいと思います。
登山口を出発した時刻が遅すぎた
出発した時間がメディアによって13時と14時と異なっていて、どちらが事実か不明ですが、13時だったとしても遅すぎる出発です。
松平コースは山葵山を経由して松平山に向かう尾根沿いのルートで、一般的なコースタイムで登りは2.5時間ほどかかるようです。
下りは少なめに見積もっても1.5時間は必要になると思いますので、往復で4時間の行動時間、加えて山頂での休憩時間をいれれば、合計して下山まで5時間程度のはかかることになります。
単純計算すると13時出発での下山予定時刻は18時です。
新潟県の当時の日没時刻は18時40分です。平地なら一般的には日没時刻はまださほど暗くはなりません。
しかし、山の場合は特に下山中は樹林帯を歩いている可能性が高いので、平地より暗くなりはじめるのがぐんと早くなります。
また、尾根沿いではなく、谷を歩いている場合には、地形によっては信じられないほど早く暗くなる場合もあります。
そもそも登山にはトラブルがつきものです。
挙げればキリがありませんが、多くの人が経験する例でいえば、道に迷う、怪我をする、膝や腰にトラブルが生じる、足が攣る、その他にも途中で落し物や忘れ物をして引き返すこともよくあります。
ひとたびトラブルが発生すれば、1~2時間は簡単にロスします。
複合的にトラブルが発生した場合も考慮すれば、最低でも安全マージンは3~4時間は必要になってきます。
だから一般的には朝早く出て昼過ぎには下山するというのがセオリーになるわけです。
そう考えると、今回の13時出発というのは本当に問題外で、「もう今日は遅くなったからやめとくか。」とするか、そうでなくても「短い山(コース)に変えようか。」というのが、正しい判断だったのではないかと思います。
親子を目撃したという登山者がいたにも関わらず・・
今回は最終的には複数の目撃証言があり、目撃者は親子と登山道ですれ違っています。
また、目撃者は軽装だったことの証言もしていますし、山頂に向かうコースだったことを考えれば、すれ違った時に時間的に余裕がないことは傍から見ても明らかだったはずです。
残雪期の山に小さい子供を連れた軽装の親子が、通常では考えられない時間帯に歩いていたわけです。
なぜ、制止しなかったのでしょうか。。
山に慣れている人間なら、他の登山者に出会った時、服装や歩くペースなどを見て、自分より不慣れそうだとか、経験豊富そうだとかはある程度わかります。
もし出会った登山者が前者であり、
通常なら間違ったルートを進んでいる
時間的に下山が日没に間に合わないコースを歩いている
ルートやコンディションに対して装備不足である
ということに気づいた場合、相手に一声をかけるべきだと思います。
少なくともぼくは声をかけますし、声をかけてもらったこともあります。
よく登山は自己責任だと言いますし、今回も「山を甘く見たのが悪い。」と非難する声もありますが、もし、目の前で自殺をしようとしている人がいたら止めますよね。子供が一緒なら尚更です。
今回の親子の山行は自殺行為に近いレベルだと思います。
すれ違った登山者を責めるのは違うような気はしますが、そういった声掛けがなされなかったことについては残念でなりません。
無知だと責めるのは簡単ですが、誰も命を落としたくて遭難をしていません。
時に余計なお世話と責められることもあるでしょう。
それでも尊い命を守るために登山するもの同士で助け合いたいものです。
道迷いした結果、沢を下ってしまった。
発見場所は松平山(954メートル)と五頭山(912メートル)をつなぐ尾根沿いの登山道から西へ約1.5キロ離れた場所。尾根を縦走する際に道を誤るとたどり着きやすいという。同署は2人が沢づたいに下山しようとしたが、沢の先にある滝に行く手を阻まれ、力尽きた可能性があるとみている。
この沢を下った(沢に降りた)という行為が、親子が命を落としてしまった最大の誤りだった可能性は高いです。
「道に迷ったら沢を下るな!」という定説を、知っていたのかどうかはわかりませんが、知っていてもつい下ってしまいたくなる心理もあります。
この「沢を下るな!」については個人的に色々と思うところがあるのでこれについては別の記事で書いてます。
迷ったら沢を下るな!尾根にでろ!をとことん掘り下げてみた。
道に迷った場合は折り返して戻るのが基本です。
戻ったつもりでも元のルートに回帰できない場合も多々ありますので、その場合は尾根に出て別の登山道に出会うことを目指すか、それでも登山道が見つからない場合はピークを目指します。
また、道中で見晴らしのいい場所があれば、地図を開いて、地図上と一致すつ目印を探します。2つ以上見つかれば、地形と照らし合わせて現在地を特定することができます。
初動の遅れとその原因について
災害などの人命救助では、よく「72時間の壁」という言葉を聞きますが、被災者が飲まず食わずの状態で72時間を経過すると著しく生存率が下がるからです。
ちなみに水だけでも飲めれば20日前後は生き延びると言われてます。
これは、山で遭難した場合でも怪我による出血や寒さによる低体温症などがなければ、同じぐらいの日数を山中で生き延びることができると言えます。
しかし、捜索に時間を要した結果、遺体で発見されることも多く、1分でも早く発見されることが一つの鍵であり、そのためにも初動を早く行うことが重要なのは当然の話です。
今回、親子が入山したのは5/5で、搜索開始は5/7の早朝です。
5/5の20時には祖父に道迷ったことを告げる連絡をしているので、実質親子が遭難をしてから、1日半が経過しての初動です。
72時間の半分が既に経過してます。遅すぎますね。。
遭難者は遭難の自覚がない
遭難者は道に迷っても自分が元気に動ける状態であれば、遭難している自覚がなく、身内や関係者に連絡をしても、状況を報告するだけで救助の要請をしないことが意外に多いものです。
遭難した立場の心理を考えれば、自分はまだ元気な状態である限り、なるべく自力で解決したいと思ってしまうのは、ある意味で当然かもしれません。
しかし、実際には初動が遅くなることことにはデメリットしかありません。
遭難時は冷静な判断ができないので、深みにはまってしまったり、滑落をしてしまったり、取り返しのつかない事態に発展しやすくなります。
そう考えると、第一報を受けてすぐに警察に連絡しなかった祖父や、祖父から翌朝に相談を受けた警察がすぐに行動しなかったことにも問題があります。
実はぼくも過去に道迷いをして、救助をうけたことがあります。
簡単に状況を説明するとこうです。
小学6年生の息子を連れて山頂からの下山時に道迷い。
↓
山頂まで登り返すには日没に間に合わない。
↓
登り返さずに下山できるルートなどをアドバイスしてもらえないかと思い、
管轄する役場に電話連絡して相談する。
(もちろんこの時点で遭難したという自覚はありませんでした)
↓
「消防に連絡するのでそのまま動かず待機していてください。」と言われる。
↓
「あ、いや、道を聞きたいだけで、そこまでのことじゃ、、、」と軽く断る。
↓
「いいから、絶対にその場を動かず待機していてください」と制止される。
↓
消防の山岳救助隊に陸路で救助される
恥ずかしい話ですが、ぼくは当時登山初心者で知識も経験もほとんどありませんでした。
役場の方から一方的に遭難としての対応をされたときは、正直「うわー大ごとになっちゃうやん、困ったなー」という感じでした。
しかし、今思い返せば、あの時自力で解決しようとしていたら、大事故に発展した可能性は充分にあったと思います。
今となっては役場の方の対応に感謝しかありません。
身内、警察を問わず、当事者から連絡を受けた場合は、当事者が熟練のベテラン登山者でもない限り、本人の言うことを鵜呑みにせず、事態を重く受け止める必要があると思います。
安易な救助要請が昨今は問題となっていますが、救助要請をしなかった場合にどうなったかは誰にもわからないことです。
税金の使い道という意味での問題や、救助する側のリスク等を考えば、安易な救助要請を減らすことは大切だと思いますが、それ以上にそもそも救助を要請するような自体が起こらないように、登山者全体のレベルアップを図ることの方が重要だと思っています。
極論にはなってしまいますが、例えば、一定以上の山への入山は免許制にするとか。受講を義務付けるとか。この話はまた機会があれば書きたいと思います。
捜索隊に居場所を伝える努力はしていたのか?
捜索範囲が広く、地形や木々に視界を遮られる山の中では、遭難者の現在地を目視で発見するのはものすごく大変です。
また、人の声というのは遠くまで通りづらく、いくら叫んでも気づいてもらえなかったりします。
親子が遭難してからどのぐらい生存していたのかわかりませんが、現在地を知らせる努力をしていたのかも気になるところです。
一般的には以下のような方法があります。
ホイッスル
衰弱していく中で大声を出し続けるのは大変ですし、人の声ではヘリや風の音にかき消されてしまいます。
災害時なども含め、ホイッスルの有効性は確かなものです。
最近はチェストベルトにホイッスルが付属しているザックなどもありますが、荷物になるものではないので、いずれにしても必携装備ですね。
安価なものもあるので、お持ちでない方はこれを機にどうぞ。
エバニュー(EVERNEW) ホイッスル501 EBY541
https://www.amazon.co.jp/dp/B000BYUKEG?tag=mattsunnosu0e-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1
狼煙(のろし)
原始的な方法ですが、非常に有効な方法です。(山火事にならないよう注意が必要)
今回親子は山行前にコンビニでカップラーメンを購入しているので、山中に持っていたのであれば、火器をもっていた可能性が高いです。
だとすれば、狼煙を上げていればそれで発見してもらえる可能性もあったはずです。
そういった点でもバーナーなどの火器を持ち合わせていない場合でも、ライターやマッチなども必携装備と言えます。
ライターはガス切れなどもありますので、両方あるのがベストです。
SOS文字で知らせる
これも原始的な方法ですが、倒木、衣類、ロープなどを使用して、それなりに大きなサインを出しておくことができれば、上空からヘリに見つけてもらえる可能性はああります。
遭難信号
ホイッスルやヘッドランプなどを使う遭難信号というものがあります。
詳細は検索などすればたくさん出てくるので割愛しますが、いざという時のために覚えいておいて損はありません。
発見されないまま、搜索が打ち切りになった遭難事件などでも、おそらく救助隊が接近していたのに発見されてなかったというケースもあると思います。
捜索される方も発見されるために、できる限りの努力をしなければいけません。
当初の捜索範囲が間違っていた点について
当初、家族からの情報を元に赤安山を中心に捜索したとありますが、父親は第一報で「ナビ(GPS)を見たら松平山と五頭山の間付近」と言っています。
メディアの報道の情報によれば、祖父の言動は不可解な点も多く、警察でも情報が錯綜していたように見受けますが、なぜ赤安山と判断したのか。。
警察の判断ミスだと一概に決めつけることはできませんが、判断ミスがあったように思えてなりません。
ちなみに、Googleマップなどの地図アプリは現在地の座標は簡単に取得できます。
せめてそれを電話連絡があった時に祖父に伝達していれば、捜索範囲の判断を誤ることなく、もっと効率よく捜索できたことでしょう。
地図アプリでLINEなりSMSなりで座標を送るのは簡単ですし、SNSでも何でもいいのでGPS情報を第3者が後から確認できるようにしておけば、捜索の効率は一気に上がります。
それほど今のGPSは精度が高くなっています。
まとめ
ここまでで、ぼくなりに登山中の行動を中心に、あまり今回の事件に絡んで話題にあがっていない問題点や、その対策をまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?
前回の記事の分も含めて、ぼく自身も全てがきちんとできているわけではありません。
また、遭難が発生するときには、事故が起こる原因や注意すべきことを、わかっていてやらなかったというケースと、そもそも知らなかったというケースがあります。
この記事を見て、今後はちゃんとやろうと思っていただいたり、知らなかったことを一つでも知っていただけく機会になったのなら本望です。
今回の事故による親子の死を無駄にしないためにも、是非この記事をご友人や周りの方とシェアしてください。
近年は登山者数は減っているにも関わらず、遭難(届け)の件数は増えているそうです。
登山における悲しい事故が少しずつでも減りますように。
https://www.mattsunnosuke.com/climb/761.html
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2022/06/09 (Thu) 11:18:18
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山の危険 _ 迷っているときは沢に下りてはいけません(絶対に!)
山の危険
http://kihachin.net/qol/mountain001.html
たとえ低い山であっても遭難が発生すれば「死」の危険があります。「「日帰りのハイキングだから」」「「低い山だから」」といって油断するのは禁物です。
私の友人も低山で亡くなっています。彼は冬山単独行の経験も豊富なベテラン山男でしたが、無雪期の1200メートル級の山で遭難して帰らぬ人となりました。捜索には私も参加し、友人の遺体を担架で運び下ろすのを手伝いました。
日帰りの山歩きで遭難する人は少なくありません。各地の登山道で行方不明者の写真入りポスターをよく見かけます。最近はインターネットや電子メールで「「情報求む」」の呼びかけが行なわれることも多いようです。
私自身は「「ベテラン」」でも「「山男」」でもありませんが、日帰りまたは1~2泊程度で楽しむ山歩きにともなう危険について考えてみました。
(写真は私(喜八)です。友人が亡くなる約10ヵ月前に彼のテントのなかで撮ってもらったものです)
絶対に必要な道具
地図・コンパス(方位磁石)・ヘッドランプ(または懐中電灯)・雨具はどのような山歩きにおいても「絶対に」携帯しなければならない必需品です。けれども多くの人がもたずに済ませてしまうものでもあります。
「地図とコンパス(方位磁石)」
地図とコンパスなしで道に迷ってしまったら、その時点で「遭難発生」といってよいかもしれません。想像するだけでも恐ろしい事態です。
「「日帰りのハイキングだから」」「「決まったルートしか歩かないから」」と、この2つを用意しない人が多いようですが、大変に危険なことです。山の遭難例を調べると、地図はもっていてもコンパスはもっていないことが多いと聞きます。
地図は
国土地理院製作
http://www.gsi.go.jp/
のものがよいといわれます。
ただし一般ルート中心の尾根道歩きなら市販の「登山地図」でも大丈夫でしょう。国土地理院の2万5千分の1の地図は、航空写真を基に作製されており、国内ではもっとも信頼できるものとされています。
国土地理院のサイト
http://www.gsi.go.jp/
コンパス(方位磁石)は比較的安価なものでも使えると思います。腕時計のバンドに装着する簡便なタイプのものもあります。
ただし冬山など自然条件の厳しい登山、または沢登りや一般ルート以外をゆく登山であれば、登山用品店で本格的なコンパスを求めた方がよいでしょう。
「ヘッドランプ(または懐中電灯)」
ヘッドランプ(または懐中電灯)も必需品です。しかし、これも「日帰りだから」といって携行しない方も少なくないようです。
山道で日が落ちてしまい明かりがない場合、行動はほぼ不可能になります。暗いと道標やテーピング(色つきのテープなどを使った目印)を見逃しやすくなるので、道に迷う危険がさらに増します。「「日が暮れぬうちに下山しよう」」と慌てると、事故を起こす可能性も高まります。
「雨具」 日本の山は雨が降りやすいのです。平地ではかんかんと日が差しているとき山の上はどしゃぶり、ということは珍しくありません。したがって雨具は必携です。
現在、雨具は上下セパレート型の雨合羽が標準と考えられています。そして
ゴアテックス
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B4%E3%82%A2%E3%83%86%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9
などの防水透湿素材(水の浸入を防ぎ水蒸気を透過させるもの)が中心となっています。大変に便利なものだと思います。
あえて注文をつけるなら、雨合羽のフードは首が固定される感じになり肩の辺りの筋肉が疲れやすくなるように思います。気分も疲れます。
風がそれほど強くなく、また岩場などでないのなら、折りたたみ傘が意外と便利です。近年、軽くて丈夫な登山向けの製品も開発されています。
雨具のついでに「下着」についても書いておきます。寒い時期に雨やみぞれに打たれ下着まで濡れてしまうと、急速に体温を奪われるので危険です。
山で使用する下着や靴下は昔からウール製品がよいとされてきました。最近では乾式アクリル素材のものが多く使用されています。ウールや乾式アクリルは濡れた場合でも保温力がゼロにはなりません。綿100%製品は濡れてしまうと保温力を失います(凍死の原因にもなります)。
山で迷ったとき
山で迷うと気持ちがあせってしまい、速足で休まず行動しがちになります。このようなときは判断力が極度に低下します。一種のパニック状態に陥り、東西南北も分からなくなり、まったく逆の方向に行ってしまうことさえあります。
迷ったときはひとまず立ち止まって休むのがよいと思います。私の経験では水分補給をすると気持ちが落ち着くようです。お茶でも淹れて一服しましょう。
「登りでは迷い難い」「下りは迷いやすい」という法則があります。下山時には注意しましょう。また下りでの事故発生率は登りのときと比べて非常に高いという統計もあります。
迷っているときに無闇に「下る」のは危険です。山で迷った人は「早く下山したい」という気持ちに駆られるため、とにかく下ってしまう傾向があります。その後、道が間違っていると気づいても、引き返す体力・気力が残されていません。そこで更に下っていってしまい勝ちです。最終的に誤りに気づいたときには手遅れになっています。
迷っているときは沢に下りてはいけません(絶対に!)。ただし適当に下ってゆくと沢に迷い込む可能性が高いのも事実です。もし沢に入ってしまったら、勇気をもって引き返しましょう。
「「川に沿って下れば里にでる」」というのは「理屈」です。しかし急峻な日本の山の沢にはかならずといってよいほど滝があります。ザイル(ロープ)などの登攀道具なしで素人がある程度以上の高さの滝を下ることはほぼ不可能です。
登山道が沢筋を通っているときも、ルートを失いやすいので気をつける必要があります。沢からでるときに道を間違いやすいのです。友人の遭難も下山時に沢で迷ったのが端緒でした。沢に入ったら「ここが切所(せっしょ)だ!」と緊張しましょう。
迷ったときは「登る」のが基本です。近くにある一番大きな尾根にとりついて登ります。そして正式な登山道を探すのです。
ただし適当な尾根を登ってゆくと、通過できないような岩場・ガケ(急斜面)・猛烈なヤブ・鹿除けの柵などにゆく手を阻まれることがあります。ガケに突き当たったときは登って(下りて)はいけません。途中で身動きがとれなくなる危険性があります。
ビバーク
本格的に迷っているときに日が落ちてしまったら、ビバーク(不時露営)をしなければならないかもしれません。昔から「夏の低山であってもウールのセーターは必携」とされてきました。これはビバークへの備えであると思われます。
俗に「「山で遭難したら眠ってはいけない」」といわれます。冬山で充分な装備もない場合ならそうかもしれません。しかしそれ以外の場合はちゃんと眠って体力を回復させる方がよいのです。
けれども実際にそのような場面になったとき眠りにつくのが難しいのも事実です。もっている服をすべて身につけて(雨具も含めて)、なるべく暖かくしてゆっくりと身体を休ませるだけでもよいと思います。
ビバーク時に雨やみぞれに打たれて体温を低下させると大変に危険です。薄いビニールシート1枚を用意しておいて頭からかぶるだけでも、かなりの違いが生じます。また薄い発泡スチロールのシートを用意しておけば、座ったときに尻の下に敷くことができます。これで体温が地面に吸収されることを防げます。
下着までずぶ濡れになってしまったときは、濡れた下着を脱いで素肌の上にウールのセーターを着るとよいといわれています。実際にこれで命拾いをした人もいます。
積雪時の山
積雪時には多くの山がまったく別の顔を見せます。雪のある山にうかつに踏み入るのは大変に危険です。いわゆる「「入門者向け」」とされるような山であっても、雪がつもると危険な個所は少なくありません。
とくに危険なのは谷の側が深く切れている斜面を横断(トラヴァース)するときです。無雪時には滑って転倒したとしても数メートル落ちるだけですむようなケースでも、雪がつもっている状態ではずっと下まで滑落してしまうかもしれません。そうして樹木や岩に激突したら、ただではすみません。
人間関係の危険
山行パーティーは気心の知れた人や信頼できる人と組むのが基本です。インターネットで知り合った人といきなり山にゆくというのは、ちょっと心配です。不測の事態が発生したときは各メンバー間の信頼関係がものをいうからです。
一般公募型の山行で各メンバーが当日初めて会ったというようなパーティーは遭難を起こしやすい傾向があります。引率者の責任をめぐって裁判になった例が複数あります。
「自称ベテラン」には注意しなければいけません。山の実力は外から見ただけでは分かりません。実力のない「「自称ベテラン」」が初心者を引率した場合、遭難の危険は急激に高まります。
誰かに頼って「「山に連れて行ってもらう」」と考えるのは危険です。「「自分のことは自分で」」と考えていた方がよいでしょう。
遭難時には常識外のことが連鎖的に発生しています。第三者の目でみると「「なんでこんな非常識なことを!」」と思えるようなことを次々としてしまいがちなのです。
しかし、これは誰しもが陥る可能性があることでしょう。「「自分たちは絶対大丈夫だ」」と考えない方がよいと思います。
ハンターの危険
狩猟日(シーズン)以外でも「害獣駆除」で銃をもったハンターが山に入っていることがあります。猟銃の誤射で人を殺しても、日本では「「罰金程度」」で済むことがほとんどだとか。
誤射対策としてはオレンジ色の服・帽子・バンダナなどを身につけるとよいといわれます。オレンジ色は人間にとっては目立つ色ですが、野生動物には自然な色に見えるそうです。間違って撃たれる危険性が減ります。これは知り合いのハンターに聞きました。
痴漢の危険
女性の場合は「痴漢」に遭う危険性があります。知人の女性は一人で林道を歩いているときに被害を受けたそうです。
私(喜八)は、山の中の人があまり行かないような場所で、女性の下着などが集められているのを発見したことがあります。思わずぞっとしました。山に入る人は善人ばかりではありません。
動物の危険
山ダニに刺されると、ぽつぽつと赤くなり、1週間以上も強い痒みが続きます。ヤブ山を好む人はよくやられます。治療にはアンモニア入りの軟膏が有効です(薬局で訊いてみてください)。
地域によってはヒルの危険もあります。気がつくと首筋や足で血を吸われています。無理にはがすと刺し傷から出血しますので、煙草の火を押しつけて落とすのがよいそうです。ヒルは酒の匂いが嫌いだという説もありますが、真偽は分かりません・・・。
北海道ではヒグマの危険があります。本州・四国のツキノワグマはそれほど危険ではありませんが、東北・関東・中部の山ではときどき事故が発生します。西日本にはツキノワグマの数が減少しています(九州では絶滅したとみられています)。ヒグマもツキノワグマも近い将来の絶滅が心配されています。
体調管理
たとえばメンバーの一人が足首の捻挫をしたとします。これだけでもパーティー全体に大きなリスクが生じます。平地と違って救急車は呼べないので、人力で下ろすかヘリコプターを呼ぶか、ということになります。
人を背負って山道をゆくことができるのは(下りであっても)相当な体力の持ち主だけです。普通の人にはまず不可能です。そしてそのような状態で雨が降ってきたら、さらに道に迷ったら・・・。このように一人の体調不良が(他パーティーを含めた)多くの人の危険となる可能性があるのです。
高所は紫外線が強いので、慣れない人が半そで半ズボンでいたりすると日焼けが大変です。山岳雑誌のモデルを安易に真似するのは危ないと思います。
高い山では気圧の影響のためか、普段の心理状態より「ハイ」になる傾向があるのではないでしょうか。飲酒も変な効果がでてしまうことがあるようです(悪酔いする。うつ状態になるなど)。
夏の尾根道歩きで水分を切らすと、熱中症になる可能性があり危険です。水はやや多めに確保しておいた方がよいでしょう。
山小屋
人気のある山域ではシーズン中、多くの小屋が大変に混雑します。このため「眠れない」という悩みを抱く人は多いようです。残念ながら根本的な対策はありません。「「入眠剤を使う」」という人の話を聞いたこともあります。
山小屋の食事で一般的にいえるのが、「野菜が足りない」ということです。食物繊維が足りないと便秘になりやすいのが困ります。ビタミン、ミネラルはサプリメントで摂るという手もありますが・・・。
食事を残す人は意外に多いので、野菜だけ人の分まで貰って食べるという方法もあります。しかしこれは見苦しいから自分で野菜や果物を用意してゆく方がよいかも(笑)。
トイレが混むのも問題です。トイレットペーパーが置いていないことも多いので、持参しなければなりません。トイレットペーパーは芯を抜いて全体を押しつぶして容積を減らします。濡れてしまうとダメになってしまいますから、2重3重のビニール袋に入れます。
登山届
「登山届」は所管の警察署の地域課に提出することとなっています。郵送する方が多いようです。群馬・山梨・静岡・岐阜・富山・鳥取大山などではインターネットでも受け付けています(素晴らしい!)。また登山道の入り口付近に専用ポストが設けられていることも多いようです。遭難が発生した場合は、登山届が提出されているかどうかが捜索作業に大きな影響を及ぼします。
登山届の他にメモをつくっておいて、在宅の家族や親しい友人に預けておいた方がよいでしょう。メモには全参加者の氏名と連絡先・行動予定などを書いておきます。
山岳保険
もし遭難が発生してしまった場合、捜索費用は多額になる可能性があります。ヘリコプターが出動した場合はそれだけで50~100万というお金がかかる可能性があります。総額では数百万の上からかかるかもしれません(そのときの状況により異なります)。
したがって現在では山岳保険はもはや「常識」だそうです。「山岳保険」というキーワードをインターネットの検索エンジンで調べることをお勧めします。
「もしも」のために、山岳保険 - All About
http://allabout.co.jp/gm/gc/80197/
最後に
脅かすようなことばかり書きまして申し訳なく思います。いうまでもなく山だけが危険なわけではありません。都会のまんなかで行動していても、交通事故・犯罪被害など様々なリスクは存在します。
山歩きは本当に奥が深く楽しいものです。「趣味の王様」だといえるかもしれません。近年、中高年の人たちを中心に山歩きのブームが続くなか、できるだけ多くの人が安全に山歩きを楽しむための一助になればと思い、この記事を書きました。
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2022/06/09 (Thu) 11:19:09
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山に登ろう!
必ず持っていくもの
品名 備考 チェック
登山靴
底が厚くてゴツゴツしてグリップが良いもの。ビブラムソールが○。
ハイカットのものが良い。ゴアテックスならなお良し。スニーカー禁止。
かといってあまりゴツイ登山靴は、富士山ぐらいだとつらいです。ほどほどのものを選びましょう。
カッパ
上下セパレート式が必須。ポンチョやコンビニのビニールのやつはダメ。
ゴアテックスのものが理想的だが無ければ別のもので良い。
晴れてても突然雨が降ってくる場合があるので、必ず携帯しましょう。
シャツ
化繊のもの。綿は絶対だめ。死にます。
なければサッカーのユニフォームみたいなやつでもOK。
半そででも良いと思いますが、日焼け対策は自己責任で。
中間着
フリースなど。無ければジャージの上着で良いと思います。
アウター ウィンドブレーカーのようなもの。カッパの上着で代用可。
ズボン
化繊のもの。ジーンズやチノパンはだめ。
無ければジャージのズボンで代用すれば良いと思います。
下着
できれば化繊のものが良いです。無ければちょっと寒くなります。
靴下
厚手のもの。化繊やウールのものが良いです。
手袋
軍手で良いと思います。
サングラス
紫外線が強いので。
帽子
化繊のもので。綿のものは臭くなってなかなか乾きません。
タオル
普通のタオルで良いでしょう。
地図
富士山といえども地図は必携です。ガイドブック的なものと、2万5千分の1地形図があるのが理想です。
日焼け止め
あまり匂いがしないやつが良いと思います。
行動食
甘いもの(ブドウ糖など)と塩気があるもの(おしゃぶり昆布など)があると良いと思います。チョコレートは溶けてしまいます。
体拭くやつ
ウェットティッシュのようなやつがあると便利です。
顔を拭くやつ
ウェットティッシュのようなやつがあると便利です。
ヘッドランプ
遭難したときを考慮して持っていくべきです。
ザック
20~30リットルぐらい。装備が入る大きさで。
ウェストのベルトがあるやつが楽です。
水筒
500ミリのペットボトル×2ぐらいで、後は途中で購入すれば良いと思いますが、歩きながらでも飲めるようにしておきましょう。
ゴミ袋
ゴミは持ち帰りましょう。
保険証
ヘリで病院に直行するかもしれませんので。
金
山小屋でカードは使えません。
薬など
頭痛薬、正露丸など基本的なものは持っていきましょう
あると便利なもの
品名 備考 チェック
マスク
富士山は埃っぽいので、あると便利だそうです。
追加で上着
寒がりな人は、薄手のダウンジャケットや追加でフリースを持ってくると良いと思います。(富士山は真冬の平地ぐらいの気温のようです)
絆創膏
靴擦れになったときにあると便利です。
歯ブラシ
歯磨き粉は要りません
着替え
シャツなど着替えがあると良いです。
ティッシュ
寒いと鼻水が出ます。
耳栓
山小屋で寝るときに便利です。
カメラ
思い出を思い出せない人はあると便利です。
ザックカバー
濡れても良い人は不要です。
あると便利だがおまかせします。
品名 備考 チェック
おつまみ
山小屋で一杯やるときに便利です。(現地で買うと高いです)
缶ビール
山小屋で一杯やるときに便利です。(現地で買うと高いです)
文庫本
山小屋で暇な時にあると便利です。
シーツ
山小屋の布団が臭いときに便利です。山道具屋に売っています。(5,000円ぐらい)
山岳保険
自腹で払える人は不要ですが、本当は入っておいた方が良いです。
ストック
ヒザが弱い人はあると助かります。
サンダル
たぶん山小屋にあると思います。(山小屋に泊まる人)
高機能タイツ
普段ジョギングなどをしている人は、ついでに買うと良いと思います。こんなやつ↓
http://www.cw-x.jp/
http://eskins.ocnk.net/
テント
もしもの時にシェルターになります
http://www.blog-surugabank.jp/surugabank/mtfuji/motimono.html
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2022/06/09 (Thu) 11:21:00
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立山 剱岳 滑落事故 登山ガイドが伝えたい5つの遭難防止策 2019-09-12
https://y-hey.com/mountain-disaster-tateyama2019/
この記事を書いている人 - WRITER - 上田洋平(y-hey)
日本山岳ガイド協会認定登山ガイド。 写真も撮れる登山ガイドとして 登山、アウトドア等の記事を発信し、読者の方に ”人生を120%楽しんでもらいたい”と考えています。 2児の父ですが単独で南米最高峰アコンカグアや アフリカ最高峰キリマンジャロをフルサイズ一眼レフカメラを抱えて登ったり(普段は自称イクメンです)空手もやってる多趣味な男です。 ブログは2005年から書いています。(当サイトは2015年からです) 2017年11月にテレビ出演し、2018年5月には10万PV突破しました!
北アルプスの剱岳(つるぎだけ)一帯で2019年9月8日から行方不明となっていた19歳の女性が9月12日に遺体で発見されました。
原因は登山道からの滑落だったようです。
このような悲しい事故を防止するためには登山者はどのようなことに注意しておけば良いのでしょうか?
登山ガイドとして5つの遭難防止策をお伝えします。
1.入念な下調べをする
登山をする前に必ず必要なのは入念な下調べです。
下調べの目的は、登る山のルートがどれくらいの体力が必要でどれくらいの技術が必要なのかを把握することです。
最低でも以下の内容については、登山をする前にしっかりと下調べしてから登って下さい。
登山ルート概要(国土地理院地図や山と高原地図で確認)
登山ルートの難易度(登山ガイドブック等で確認)
登山ルートの所要時間(登山ガイドブック等で確認)
同時期の登山道の状況(積雪や危険箇所があるかどうか等をヤマレコ(登山記録共有サイト)等で確認)
登山口までのアクセス方法(登山ガイドブック等で確認)
登山当日の天気予報(山の天気等、ネットや予想天気図で確認)
必要装備(登山道の状況や所要時間に合わせた装備を準備)
登山の必要装備については別記事に書いていますので参考にして下さい。
▶登山の持ち物リスト付き解説記事はコチラ
【初心者必見】登山の持ち物を徹底解説 2018-02-07
https://y-hey.com/mountain-equipment-beginner/
登山ルートの難易度について調べる時、ネットだとこのルートは簡単!なんて書いてある場合もありますが、あくまでその文を書いた方の主観で書かれていますので、ガイドブック等で多角的に情報を収集しましょう。
計画8割、実行2割のつもりでいて下さい。
それくらい登山前の下調べは重要です。
2.自分の実力にあった山に登る
下調べをしっかりとしたならば、どれくらいの難易度の山かは、おのずと分かってきます。
今回事故のあった立山の剱岳は富山県にあるため「信州山のグレーディング」には掲載されてはいないものの、
技術的な難易度で最も難しいEランクに相当する鎖場の「カニの縦ばい」「カニの横ばい」を通る、上級者が登る山です。
Eランクがどれほど難しいルートかというと、
登山道の状況
緊張を強いられる厳しい岩稜の登下降が続き、転落・滑落の危険箇所が連続する。
深い藪漕ぎを必要とする箇所が連続する場合がある。
必要な技術・能力
地図読み能力、岩場、雪渓を安定して通過できるバランス能力や技術が必要
ルートファインディングの技術、高度な判断力が必要
登山者によってはロープを使わないと危険な場所もある
出典:信州山のグレーディング
https://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/sangyo/kanko/documents/yamanogure-dexingu_matrix-20190314.pdf
同じ3000m級の山でも入門者向けでハイキング気分でサクッと登れる乗鞍岳と、熟練者向けで滑落したら死に直結するような剱岳では難易度が全く異なります。
以前から剱岳は滑落事故の多い山です。
このような難しい山へ行く場合は十分に下調べをした上で岩稜地帯での十分な経験、ロッククライミング等で登り方・下り方を練習し、装備もしっかりと整えて行く必要があります。
また、危険個所の鎖場ではヘルメット着用に加え、ハーネスにロープ、カラビナを使って滑落しないように自己確保したほうが良い箇所もあります。
このような難易度の高い山に登る時は自分の実力を過信せず、初心者は他の山でしっかりと訓練をしてから登るようにし、
経験者でも初めて登る場合は熟練者やガイドと一緒に行くと良いでしょう。
3.登山計画書を必ず作成・提出する
今回のケースのように「富山で登山してくる」と家族に伝えるだけで単独で登山に行ってしまった場合、
予定通り下山しない場合、いったいどこに登山者はいるのか? 残された家族や友人は知るすべがありません。
となると、捜索願いを出しても、救助隊の捜索活動は広範囲に及び、発見までに多くの時間を要することになります。
(その分救助活動にかかる費用も膨大になります)
そのためどの山域のどのルートを通ってどの山にいつ登頂し、下山するのか?
を明確に書面で残す登山届(登山計画書)を作成し、家族や友人に渡しておく必要があります。
登山届(登山計画書)を作成する手順は別記事で解説していますので参考にして下さい。
登山届(登山計画書)とは?書き方や記入例、エクセルのフォーマットも紹介 2018-02-22
https://y-hey.com/climbing-notification/
剱岳 事故
出典:富山テレビ放送
登山計画を立てる時、下山もしくは山小屋到着は遅くとも15時までに着くように計画をしましょう。
今回は下山道である「カニの横ばい」を通過されていたのが16時頃と、遅い時間でした。
9月になると日没が早くなるため、登山道が明瞭に見えづらく、事故につながりやすいです。
日没後は街のように明かりがあるわけでは無いため、ヘッドライトが無いと身動きが取れなくなり
ビバーク装備(ツェルトや防寒着)が無いと低体温症の危険があります。
【登山初心者必読】 日帰り登山でも絶対必要なあなたの命を守る持ち物とは? 2016-10-29
https://y-hey.com/dayhike-items/
無理のない計画を立て、安全登山を楽しんで下さい。
※以下山の先輩からアドバイスがあったため加筆しました。
4.初心者の単独行は避ける
単独で山に登ること自体、リスクが高まります。
万が一、周りに人がいない場所で滑落した場合、どうなるでしょうか?
グループで来ていれば、他のメンバーの方が携帯電話で救助要請してくれたり、近くの山小屋まで助けを求めにいってくれるでしょう。
単独行の場合だとそうはいかず、救助要請することすら難しい状況でしょう。
もし、道迷いになったら?
初心者のあなたは一人で地図やコンパス、GPSで現在地を把握して
冷静な判断をし、正しいルートに復帰する自信がありますか?
フィールド&マウンテン代表 山田 淳 氏がブログで単独行のリスクについて指摘されています。
➡また一つ起こってしまった悲しい事故を減らすために、我々は何ができるのか
https://atsushiyama.com/blog-entry-accident-in-mountain.html
じゃあ初心者は山へ行ってはダメなの?
そういうわけでは無く、熟練者の方や登山ガイドをつけて登れば遭難のリスクはグッと減るでしょう。
そのために我々のようなガイドがいるわけですから。
5.撤退する勇気を持つ
きちんと下調べをしたけど、実際に山へ行ってみたら
途中まで登ったけど山頂、下山まで体力が持つかあやしい
想定より技術的に難易度が高そうな道が目の前に広がっている
思ったより時間がかかってしまい、このまま進んだら日没になってしまう・・・
雨が降ってきて登山道が濡れて滑りやすくなってしまった・・・
このような状況になったら、迷わず撤退して下さい。
また別の機会を作って登れば良いのです。
山は常にそこに有り続けます。
生きていれば、またレベルアップして挑戦できるのです。
でも亡くなってしまっては、もう山に登れません。
もう、登れないんです。もう、二度と・・・
だから「生きて帰る」ために勇気ある撤退をして下さい。
まとめ
登山でのこのような事故を防止するため、5つの遭難防止策を今回はお伝えしました。
初心者の方は特に、今回紹介したような下調べを入念に行い、自分の体力・技術レベルに合った山を登るようにしましょう。
また、単独行は避け、状況によっては勇気ある撤退も大事と肝に銘じて下さい。
この記事を読んであなたの安全登山にお役に立てれば幸いです。
最後までお読み頂き本当にありがとうございました。
遭難で最も多いのは道迷いです。
道迷い遭難の対策について↓の記事で書いています。
新潟 五頭連山で遭難した親子の結末を見て思うこと。道に迷ったら絶対に○○してはいけない! 2018-05-30
https://y-hey.com/mountain-disaster-niigata/
https://y-hey.com/mountain-disaster-tateyama2019/
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2022/06/25 (Sat) 21:05:16
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あげ44
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2022/10/02 (Sun) 18:05:51
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【ゆっくり解説】遭難不可避。絶対に迷う分かれ道で6歳の子供に起きた悲劇【新潟親子遭難事故】
2022/10/01
https://www.youtube.com/watch?v=kV1n-lBQGsA