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40年続いた米国株強気相場が崩壊する、米国株は30年上がらない

1:777 :

2022/06/01 (Wed) 08:41:58

40年続いた米国株強気相場が崩壊する、米国株は30年上がらない


ドラッケンミラー氏: 米国株は30年上がらない可能性
2022年6月27日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/25829

引き続き、ジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを率いたことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏のSohn Conferenceにおけるインタビューである。

今回はアメリカ屈指のファンドマネージャーが米国株の長期見通しについて語っている部分を紹介しよう。

金融引き締めと株価暴落

アメリカの物価高騰で中央銀行が強力な金融引き締めを行ない、結果として株価が下落している。

5月FOMC結果、2018年世界同時株安時の2倍の規模の量的引き締め開始

筆者を含め、ファンドマネージャーらはこれを事前に予想し空売りを行なって利益を上げた。ドラッケンミラー氏もその1人である。

ドラッケンミラー氏、株式と債券を大量空売りに成功 株安は続く
十分な利益を上げたため、彼は今空売りを一旦休止しているが、あくまでこれは下落相場の踊り場に過ぎない。筆者は天井から大底まで付き合うつもりだが、ドラッケンミラー氏は美味しいところだけを取るつもりらしい。

ドラッケンミラー氏: 株価が上昇したら空売りを再開する

これは好みの問題である。投資家は自分が取れる部分だけを市場から取って行けば良い。

巨大緩和バブル崩壊の結果

しかし筆者もドラッケンミラー氏も、1980年に始まった金融緩和がインフレによって終わりを告げ、40年来の巨大緩和バブルが崩壊する今の状況が、この程度の株安で終わるとはまったく思っていない。

世界最大のヘッジファンド: 40年続いた米国株強気相場が崩壊する


ドラッケンミラー氏は次のように述べている。

風船から多くの空気が抜けたとはいえ、このバブルは大きすぎる。だからバブルの崩壊がどういう結果をもたらすかついてはあらゆる可能性を考慮しなければならない。

あらゆる結果が考えられる。株価の崩壊が景気後退とデフレをもたらし、中央銀行は再び緩和するのか? あるいは株価が下落してもインフレは収まらないのだろうか。

過去の大暴落

ドラッケンミラー氏は次のように語る。

この後どうなるだろうか? 中央銀行がまた紙幣を印刷するだろうか? 酷いスタグフレーションになるのだろうか? あるいはデフレになるのだろうか?

筆者がこれまでメインシナリオとして語ってきたのは、株価暴落で景気後退に陥り、中央銀行が緩和を再開することで今より酷いインフレ第2波へ突入してゆくというシナリオである。

サマーズ氏: 現在のアメリカの物価高騰はインフレ第1波に過ぎない


だがドラッケンミラー氏はもっと視野を広げるべきだと言う。彼は次のように続ける。

デフレとはどういうことかと人々に聞かれる。これまで金利がゼロ以下にならなかったためにインフレにはならなかった。

だがすべてのデフレは資産バブルの後に発生している。そして、今、中央銀行は最大の資産バブルを作り上げた。

彼が指摘するのは、インフレ第2波に至らず、一発でデフレから抜け出せなくなるほどの大恐慌に陥る可能性である。

それは過去に事例がある。彼は次のように述べる。

そうなると言っているわけではないが、資産バブルが崩壊した後の1930年代のことを考えてみるといい。消費者の購買力は完全に破壊された。

1930年代とは、1929年の世界恐慌に続く経済停滞の時代である。

1929年は恐らくここ100年で最大の世界的なバブル崩壊だろう。その後経済と金融市場は長らく回復しなかった。この頃のダウ平均のチャートを掲載しよう。


1929年の下落幅は80%である。筆者の想定しているインフレ第2波シナリオであれば想定されるのは1974年のような50%下落だが、一発でデフレまで行く1929年のモデルの場合、下落幅はもっと酷くなる可能性がある。

ポズサー氏: 米国株暴落でコロナ株安時の底値に逆戻りする可能性


1929年に400ドル近くの大天井を付けたダウ平均は40ドル近辺まで80%ほど暴落し、1954年までその高値を再び奪還することはなかった。つまりは米国株はこの25年間含み損を出し続けたということになる。

しかもこの期間は第2次世界大戦のインフレ期を含んでおり、つまり物価上昇を考慮した実質ベースで考えると、米国株保有者は25年経っても損をしたままだったということになる。

米国株が上昇しない時代は普通に存在する

これまで100年ほどの金融の歴史を真面目に勉強すれば分かることだが(勉強したくないからインデックスに投資している人々は誰も勉強しないだろうが)、米国株を含む株式が何十年も赤字になったままになる期間は、普通に存在する。

ドラッケンミラー氏は他にも例を挙げる。

ここ100年のあいだで酷かったのは1920年代のアメリカと、1989年の日本だ。日本などは今でも苦しんでいる。

そして100年の金融史を真面目に勉強すれば見えてくるのは、日本経済の失われた30年は日本特有の現象ではなく、緩和バブル崩壊後、緩和を行わないか、あるいは行えない場合に普通に起こる現象だということである。

日経平均の長期チャートを見てみると、1989年以来株価は下がり続け、アベノミクスで緩和が始まった2012年から上昇を再開していることが分かる。


無論、人々が忘れているのは、緩和バブルがなければそもそも30年は失われていないということである。そして歴史は繰り返す。

こうした事例は1929年以外にもアメリカに存在する。ドラッケンミラー氏は別の例を挙げる。

今回のバブル崩壊の結果はどうなるだろうか。1966年から1982年のような、15年から20年ほど株価が低迷する時代か、あるいは日本のようなもっと酷い状態か。

1966年から1982年は、まさに現在のような物価高騰がアメリカを襲った時期である。

そしてその時期のS&P 500はこうなっている。


このチャートには筆者が2022年のメインシナリオと見なしている1974年の50%暴落が含まれている。

そして更に重要なのは、このチャートにはインフレによる、年率15%にも及ぶ実質的なドル紙幣の価値暴落が考慮されていないということである。チャートは横ばいだが米国株保有者の保有する価値はまったく横ばいではない。むしろ暴落している。

株式はインフレに弱いのである。

世界最大のヘッジファンド: 現金はゴミ、株式はもっとゴミ


結局、それを考慮すれば1974年の50%暴落も、1929年の80%暴落も、結果は変わらなかったということが言える。実質ベースでは結局それだけの下落を受け入れなければならない。ツケは支払わなければならないのである。

ガンドラック氏の景気後退予想: 現金給付のツケを払うことになる
結論

それが金融緩和の結果であり、リフレ政策の当然の帰結である。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信


1980年から40年間、米国株は上がり続けてきた。それは1980年にようやく物価高騰がピークを付け、低金利政策を始められるようになったからである。

その低金利政策は40年続き、株価を支え続けてきた。アメリカの政策金利は以下のように推移してきた。


そしてそれはもう終わったのだ。これからはドラッケンミラー氏が指摘しているような別の期間に入る。

5月FOMC結果、2018年世界同時株安時の2倍の規模の量的引き締め開始


だから、ここ40年の米国株のチャートを見て、米国株が上がり続けると思っている人を見ると何とも言えない気持ちになる。彼らは自分が何を見ているのかさえ分かっていない。

だがどうしようもない。金融市場では誰でも自分の選択に責任を持たなければならない。

この大天井で素人に投資を奨め始めた金融庁に直接文句を言うべきだろう。彼らのウェブサイトにはこう書いてある。

悪質な投資・預金の勧誘等にご注意ください!

2022年インフレ株価暴落は個人投資家が全員退場するまで続く


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/25829


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40年続いた米国株強気相場が崩壊する

サマーズ氏: 経済へのダメージなしでインフレ抑制はできない
2022年5月28日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24778

アメリカの元財務長官でマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏が、Bloombergのインタビューでアメリカのインフレと実体経済について語っている。

株安と金融政策

米国株は年始から下落が続いているが、それはインフレ対策でFed(連邦準備制度)が行なっている利上げと量的引き締めが原因である。


5月FOMC結果、2018年世界同時株安時の2倍の規模の量的引き締め開始
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24032


低金利政策と量的緩和の逆をやっているのだから、これまで金融緩和で市場と経済に注ぎ込まれた資金が流出するのは当たり前の帰結である。


世界最大のヘッジファンド: 40年続いた米国株強気相場が崩壊する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24577


それが大まかな構図だが、具体的にはどうなっているだろうか。Fedはこれまで2回利上げを行い、1回目は0.25%、2回目は0.5%だったので、現在政策金利は0.75%まで上がっている。

今後、Fedは6月と7月のFOMC会合でそれぞれ0.5%の利上げをすると言っている。そしてその後ある程度手を緩めて様子を見ると言っている会合参加者も出てきている。

サマーズ氏はこの状況について次のように述べている。

Fedが柔軟に対応すると言っているのは良いことだ。長年習慣となっていた(訳注:今後の見通しをはっきり示す)フォーワードガイダンスの強調よりよほど良いだろう。

金融政策に関して謙虚さは正しい姿勢だ。

パウエル議長はそもそも長らく「インフレを短期的」と言い張り、物価が高騰する中で量的緩和を続けてきた。(※5/28誤記を修正しました)


ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14522


長らく中央銀行を観察している人間にとって、中央銀行がほぼ常に間違っているというのは経験的事実であり、したがってFedが自分の間違った見通しにそって利上げ方針を示すより、状況によって対応を変えると表明する方が危険が少ない。

一方で、「状況によって対応を変える」というのは要するに2年物国債の金利に織り込まれた市場の金利予想に従って利上げを決めるということである。だが、それならばそもそも政策金利を市場に任せて自由変動させれば良いのであり、結局は以下のジェフリー・ガンドラック氏の主張に帰着する。


ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18701


はっきり言ってFedがある意味が分からない。Fedは2年物国債の金利で代替可能なのではないか?

景気見通し

だが利上げ動向自体は一番本質的な問題ではない。結局すべてはインフレ率と経済成長率に左右されて決まるからである。

そしてそれら2つの重要指標についてはサマーズ氏は次のように述べる。

ある程度の規模の経済への逆風がなければインフレは落ち着かないというのがわたしの意見だ。例えば失業率は上がらなければならない。

アメリカのインフレの大きな原因の1つが、賃金の高騰である。だからインフレが抑制されるには賃金が抑制されなければならない。

賃金が抑制されれば消費が減るだろう。消費が経ればGDPも企業利益も減り、株価は下がらざるを得ない。

痛みなしにインフレは解決しないという当たり前の論理である。以下の記事で書いたように、それはパウエル議長も暗に認めている。


ガンドラック氏: アメリカ金融引き締めでソフトランディングは無理
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24193


結論

メディアの完全に間違った妄想に慣れてしまった人がどう思っているかは知らないが、そもそも現在の物価高騰の原因は現金給付と量的緩和と脱炭素政策なのだから、今の経済では人災しか起きていない。


サマーズ氏: エネルギー価格を高騰させる脱炭素政策は健全ではない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/16442


したがって大抵の問題は中央銀行家と政治家を首にするだけで解決することになる。


世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10473


だがこうした理屈に頭では同意しながら、選挙日には12歳児よりも頭が足りない政治家に投票に行く馬鹿たちのお陰で経済はもう駄目だろう。

サマーズ氏は次のように纏める。

引き続きソフトランディングは想定しづらい未来だというのがわたしの意見だ。ソフトランディングを可能だと考えている人には根拠がない。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24778
2:777 :

2022/06/01 (Wed) 09:10:42

世界最大のヘッジファンド: 現金はゴミ、株式はもっとゴミ
2022年5月29日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24809

世界経済フォーラム(通称ダボス会議)で著名人の発言が相次いでいるなか、世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がまたまた面白い発言をしている。

「現金はゴミ」

ダリオ氏はここ数年、「現金はゴミ」発言で金融ニュースを席巻してきた。思い返せば最初にその発言をしたのも今回と同じダボスだった。

そしてその後、実際にインフレになり、本当に現金はゴミになりつつある。

このタイミングで司会に「今でもそう思うか」と聞かれ、ダリオ氏はこう答えている。

もちろん現金は依然としてゴミだ。現金の購買力がどれだけ目減りしているかを考えてみてもらいたい。

現在、アメリカの物価は年8%以上上昇している。それはすべての預金の価値がそれだけ減ったことを意味する。


アメリカの4月のインフレ率、予想上回る 株価は下落
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24257


だが株価はそれよりも速い速度で下落している。司会は「物価高騰は毎日感じているが、株式保有者はもっと酷い目に遭っている」と食い下がる。

それに対し、ダリオ氏は簡潔にこう答える。

なら株式はもっとゴミだということだ。

2022年株価暴落相場

ダリオ氏だけではなく、著名投資家らはほとんど全員が株価の見通しに悲観的である。


ジョージ・ソロス氏、インフレ株価暴落で米国株空売りを大幅拡大
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24390

ドラッケンミラー氏もインフレ株価暴落で米国株の空売り開始
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24415

ポズサー氏: 米国株暴落でコロナ株安時の底値に逆戻りする可能性
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24609


何故このような状況になってしまったのか? 勿論直接的な原因は物価が高騰し金融引き締めを余儀なくされたからだが、もっと根本的な原因についてダリオ氏は語っている。

誰もが資産価格上昇に賭けている。株式などだ。誰もが何もかもの価格に上がってほしいと思っている。中央銀行もそう思っている。

だから中央銀行は資金と信用を創造した。大量にだ。それが価格を釣り上げた。

この状況でいまだに紙幣印刷と現金給付というリフレ政策を続けようとしている、泥舟から降り遅れることについては世界随一の日本国民は言うに及ばず、あらゆる国の国民が紙幣印刷による株高を望んだ。

だがダリオ氏はコロナ初期から既に次のように警告していた。


世界最大のヘッジファンド: 共産主義の悪夢が資本主義にのしかかる (2020/5/17)
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10831


われわれが消費をできるかどうかはわれわれが生産できるかどうかに掛かっているのであり、政府から送られてくる紙幣の量に掛かっているではない。

紙幣は食べられない。

だが誰もがこの当たり前の警告を無視した。

インフレでパーティ終了

何故ならば、これまでは紙幣をばら撒いてもインフレにならなかったからだ。だが金融市場において、「これまでそうだったからこれからもそうなる」という考え方ほど危ないものはない。ある程度の経験と頭のある投資家であれば誰でも知っている。

しかし現在バブルの頂点に載せられているのは、そうした経験のない人々である。紙幣印刷に問題がないように見えるのは、インフレが表面化しない限りという条件が付いていた。だが40年の低金利政策の結果、その条件はついに消え去った。

ダリオ氏は次のように続ける。

結果、世界中の人々が大量の金融資産を保有している。だがそれは無理だ。

何故ならば、紙幣も株式も債券も食べられないからである。

だが値上がりを期待して金融商品を保有している人は、それを使えば将来ものが買えると思っていただろう。

だが紙幣をいくら増やしてもものは増えない。大量に紙幣が存在している一方で、ものは限られている。

だから人々はものを買い漁っている。ものの取り合いになっている。それが物価高騰である。

上げ相場の終わり

これからは金融資産を持っていることの意味がなくなり、エネルギー資源や貴金属などの現物資産を持っていることの意味を人々はもう一度思い出すだろう。


世界最大のヘッジファンド: 金融資産から現物資産への怒涛の資金逃避が起こる可能性
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18576


そして金融資産は投げ売りされる。そんなものを持っていても何の意味もないからである。ダリオ氏はこう続ける。

だからこれからはそれらの資産の実質リターンがマイナスになる環境が続く。

この状況で投資家が生き残るためにはどうすれば良いか?

ダリオ氏はもうほとんどあからさまに株式の空売りを薦めるようになっている。

こうした状況ではポートフォリオを多様化するか、あるいはこれらの資産を空売りするかだ。

結論

この状況は筆者が年始から予想してきたことである。以下の記事では株式の空売りとエネルギー資源や農作物などのコモディティの買いを推奨している。


2022年のスタグフレーションに投資する方法 (2022/1/20)
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18949


こうした市場の急変動を何度も経験してきた投資家にとって、今年の相場はむしろ簡単なものだった。

だがこの感覚は市場にあふれている多くの個人投資家とは共有できていないようだ。

彼らは「米国株はこれまでずっと上がってきた」という、未来の株価予想には何の根拠にもならない金融庁の口車に乗せられて米国株を買ってきた。

誰もこのように聞かなかったのだろうか? 「これまで株価が上がっているとして、これからも上がるという根拠はあるのですか?」だが誰もそれだけの知性を持ち合わせてはいなかった。

何十年も相場を経験してきた、アメリカで最高のヘッジファンドマネージャーであるダリオ氏はこう語っている。

すべての資産がずっと上昇し続けるなどということは有り得ない。金融市場はそのようには出来ていない。


世界最大のヘッジファンド: 40年続いた米国株強気相場が崩壊する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24577


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24809
3:777 :

2022/06/05 (Sun) 03:21:53


ソロスファンド: 皆が口にする投資アイデアには大して根拠がない
2022年6月2日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24987

ジョージ・ソロス氏のSoros Fund ManagementのCEOをやっているドーン・フィッツパトリック女史が、Bloombergのインタビューで投資について語っている。

ジョージ・ソロス氏とソロスファンド

投資の業界では知らない人のいないソロス氏だが、現在は特にウクライナ情勢もあり投資よりは政治活動の方に時間を割いており、ソロスファンドを実際に運用しているのはフィッツパトリック氏である。

彼女は今回のインタビューで、ソロスファンドの内幕について語っている。彼女は次のように述べる。

ジョージは時間の大半を(オープンソサエティ)財団のために費やしているが、彼は今でも金融市場を見ており、興味を惹かれたことがあれば電話で共有してくれる。そういう電話は有難く、彼の話を聴けることは貴重だと思っている。

フィッツパトリック氏が言うには、ソロス氏はやはりウクライナで忙しいらしい。ソロス氏は最近ダボスでウクライナについて語っている。


ソロス氏: ウクライナはわたしたちの戦いを戦っている
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24847


ソロスファンドの意思決定

その間、フィッツパトリック氏が運用を任されているわけだが、ソロスファンドには他にも多数の金融家が雇われている。

多くのメンバーを抱えるソロスファンドではどのように投資決定を行なっているのか? フィッツパトリック氏は次のように説明する。

ソロスファンドでは、トップダウンの資産配分を行なっている。まず世界中の株式や債券にいくら賭けるかという全体的な決定がある。

一方で、投資チームには100人以上のメンバーがいて、それぞれ任されている領分があり、彼らの仕事の結果がわたしのところに来る。だから彼らは自分に任された裁量の内での自由がある。

ただ、彼らが好んだ投資アイデアの中で、例えば1億ドルではなく5億ドル賭けたいと言ってくることはよくある。そういう時には、増額をするべきかどうか一緒に話し合う。

普段はそれぞれのメンバーが扱える資金の量に制限があるが、問題になるのは自分の投資アイデアにもっとお金をかけるべきだと考えた時だろう。

ソロス流の一点賭け

そして有名なのは、以前ソロスファンドを率いていたスタンレー・ドラッケンミラー氏がポンド危機においてポンドの空売りをしていたとき、ソロス氏がやってきて「それでポジションのつもりか」と言い放った一幕である。

ドラッケンミラー氏はそれでポジションを大幅に増額した。そしてそれは当たった。凡庸なポジションと優れたポジションに同額賭けるか、優れたポジションにだけ倍賭けるかでは、後者の方がリターンが良いのは当たり前の話だろう。

だがフィッツパトリック氏が来る前のソロスファンドでは、そういうカルチャーは失われていたようだ。彼女は次のように述べている。

5年前わたしがソロスファンドに来たときには、ジョージは既に日々のトレードには関わってなかった。そしてわたしが受け継いだポートフォリオは、過度に分散投資されていた。

だが過度に分散されたポートフォリオは、平凡であることが保証されているようなものだ。

それは良いアイデアにも平凡なアイデアにも同額が賭けられているからである。

好機にだけ賭けること

また、フィッツパトリック氏は良い投資機会のある時にのみ大金を賭けることを勧めている。

投資の利益に目標を定めることは少々危険だと思う。何故ならば、投資機会はいつも均等ではないからだ。

決まったリターンの目標値を定めると、最高の投資機会があるときに少しのリスクしか取らなかったり、投資機会が最悪の時に多くのリスクを取ったりする危険がある。だからリターンは上下するものだと考える方が良い。

これが出来る人はプロにも少ない。多くの人は賭けないということが出来ない。だが量的緩和が行われ始めたアベノミクスの頃と、強力な金融引き締めが行われている2022年で、株式に同額を賭けていればそれはどう考えてもおかしいのである。

ここで思い出されるのは、金融庁が吹聴した「米国株長期投資」である。それはデフレだったために金融緩和が続けられた1980年以来40年成功した投資法であって、インフレで金融引き締めが避けられない今年からの相場ではまったく違う結果をもたらすだろう。


世界最大のヘッジファンド: 40年続いた米国株強気相場が崩壊する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24577


だが多くの人は正反対の状況でも同じ投資法を続けることを躊躇しない。

恐らくそれは、集団心理の問題なのである。フィッツパトリック氏は次のように語る。

この業界では同業者とは違う情報源を持っていることは重要だ。集団心理には陥りたくはないだろう。

誰もが同じ人の話を聞き、そうした考えがコンセンサスになるが、そうした考えには本来あるべきほどの根拠がないということは投資ではよくあることだ。

金融緩和が行われていた40年間で成功した投資法が、強力な金融引き締め下でも同じパフォーマンスになるという夢物語にはまったく根拠がないのだが、何故誰も疑問を持たないのだろうか。

大体、皆が同じものに資金を傾けていれば、それはそれ自体がバブルの定義なのである。


2022年インフレ株価暴落は個人投資家が全員退場するまで続く
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24460


この状況でフィッツパトリック氏の率いるソロスファンドはどうしているか。それについては既に報じている。

ジョージ・ソロス氏、インフレ株価暴落で米国株空売りを大幅拡大
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24390


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24987



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ソロスファンド: 景気後退はまだ来ない
2022年6月4日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/25042

引き続き、ジョージ・ソロス氏のSoros Fund ManagementのCEOを務めるドーン・フィッツパトリック女史のBloombergによるインタビューである。今回はインフレと景気後退について彼女が興味深いことを語っている部分を取り上げたい。

インフレと景気後退

物価高騰がアメリカを襲い、アメリカの消費者は同じ金額で少しのものしか買えなくなっている。中央銀行はインフレを抑えるために強力な金融引き締め政策を行なっており、それが株価と実体経済を蝕むという予想が出ている。


5月FOMC結果、2018年世界同時株安時の2倍の規模の量的引き締め開始
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24032

ガンドラック氏: アメリカ金融引き締めでソフトランディングは無理
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24193


そして驚くべきは、2022年1-3月期のアメリカGDPが前期比年率でマイナス成長となったことである。


現金給付の弾切れで急減速するアメリカ経済、2022年第1四半期GDP
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/23590


これが2回続くと定義上景気後退となる。しかもインフレ率が8%を超える中での景気後退、すなわちスタグフレーションである。


急速にスタグフレーションを織り込む金融市場
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/19606


フィッツパトリック氏はこの問題について次のように述べている。

景気後退が来るということが議論の的になっている。最低限言えることは、景気後退は避けられないということだ。それは単に時間の問題だ。

この点において筆者や著名投資家らは全員一致している。


世界最大のヘッジファンド、アメリカ経済がもう手遅れであることを認める
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/22771


しかし株価下落や景気後退のタイミングについては多少意見が分かれている。

フィッツパトリック氏の見解

伝説的なマクロヘッジファンドの運用を任されているフィッツパトリック氏はどう考えているだろうか。彼女は次のように述べている。

だが市場は景気後退がかなり早く来ると織り込んでいる。どの資産クラスの織り込みを根拠にするかにもよるが、市場の織り込みは来年となっている。

わたしは、市場は間違っているかもしれないと思っている。理由は、消費者の財務状況が極めて良いからだ。

彼女は理由を次のように付け加える。

決算シーズンが終わったが、クレジットカード会社の発表したカード利用者の支払い遅延はコロナ前の水準よりもかなり低い。

消費者はクレジットカードの残高をコロナ前より速い速度で切り崩している。それは消費者の財務状況がかなり良いことを意味している。

アメリカではクレジットカードの信用残高を使う人が多い。日本人には考えられないが、特に必要もないのにリボ払いを使っているような人もいる。

だからクレジットカードによる借金の利用状況はアメリカの消費者の状況をよく表している。

一方で、フィッツパトリック氏はインフレが消費者にのしかかっていることも認める。

賃金がインフレを差し引くとマイナス成長であることは確かだ。つまり、賃金上昇は物価上昇に追いついていない。

だがそれでも消費者の財務状況は整理されていっていると感じるし、彼らの財務は良い状態だ。

アメリカの家計

だから景気後退は市場の思っているほどは早く来ないのではないかというのがフィッツパトリック氏の意見である。

だがどうだろうか。確かにアメリカの家計の状況はインフレを除けば悪くない。しかし筆者は、アメリカ経済にとってそれは悪いことであるどころか、それ自体が現在の問題の根源であると考えている。

何故ならば、アメリカの消費者がクレジットカードの残高を減らせたのは、現金給付が行われたことが理由だからである。

人々はこのばら撒かれたお金を自由に使った。ある人はクレジットカードの残高を減らし、ある人は娯楽に使い、ある人は株式市場に投げ入れ、ある人はインフレに備えて長持ちする商品を買い占めた。

そしてそれこそが今の物価高騰と株価バブルの根源である。一方で、その限界も見えつつある。フィッツパトリック氏が見落としている1つの指標は貯蓄率である。

貯蓄率は可処分所得の内、消費に回されずに残った部分の割合である。その部分が貯蓄や投資、借金返済などに回される。

そして前にも言及したが、アメリカの消費者が貯蓄を削って消費を行なっている様子が貯蓄率のチャートには表れている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2022/06/2022-apr-us-personal-saving-rate-chart.png


貯蓄率は急降下し、コロナ前の水準も下回り、そしてもはや貯蓄を削る余地はあまりない。

そして更に重要なことに、これまで貯蓄を削って買ってきた分は、インフレを懸念して将来買わなくて良いように買ってきたものであるから、今の消費増は将来の消費減に繋がるのである。この点についてはジェフリー・ガンドラック氏が詳しく説明してくれている。


ガンドラック氏の景気後退予想: 現金給付のツケを払うことになる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24345


結論

だから結局、インフレは解決するだろう。しかしそれは、物価の高騰と貯蓄率低下の限界が来ることにより消費者が消費できなくなり、経済が沈没するという形で解決されることになる。


サマーズ氏: 経済へのダメージなしでインフレ抑制はできない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24778


これがリフレ政策の末路である。


世界最大のヘッジファンド: インフレになって驚いているリフレ派は馬鹿じゃないのか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/19942


しかしタイミングについては様々な見解を考慮に入れることは重要だろう。今後も貯蓄率など様々な指標を紹介してゆきたい。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/25042
4:777 :

2022/06/08 (Wed) 02:45:35

あげ3
5:777 :

2022/06/08 (Wed) 12:31:20

あげ66
6:777 :

2022/06/11 (Sat) 15:04:32

あげ10
7:777 :

2022/06/11 (Sat) 15:13:46


この円安は50年も下げ続けた「英国ポンド」と瓜二つ。本当は利上げしたくても“できない”黒田日銀=吉田繁治
2022年6月11日
https://www.mag2.com/p/money/1198464


黒田日銀総裁は「物価上昇は一時的なもの」として、金融緩和の継続を表明しています。しかし、これは「言い訳」に過ぎません。現在の円安は50年続いた英国のポンド安に酷似しており「利上げしたくてもできない」というのが本音です。『ビジネス知識源プレミアム』吉田繁治)


金利を「上げられない」日銀の事情

日銀の黒田総裁が、5月になっても「2%を超える物価上昇は一時的」というスタンスを崩さないのは、市場から要請されている「利上げ」をしないための理由づけのためです。

日常用語では「言い訳」です。それに2023年には、1%の上昇率に下がるとしています。

本当でしょうか?

日銀は、長期金利を0.25%以上に上げないよう、金額は無制限の指し値オペ(10年債を、市場の実勢より高く指定して買うこと)をし、政府・日銀の目標だった2%を超えるインフレになっても、金融緩和を続けています(筆者注:普通は2%を超えるインフレなら、長期金利は1%程度でなければならない。0.25%の金利は異常に低いのです)。


日銀介入で起きた1ドル134円の円安

理論的にはインフレ率を追うはずの金利が、日銀の介入によって上がらない。このため、長期金利が3%台に上がった米国債との金利差(スプレッド)は、2.75%に拡大しました。

米国の金利との差で測るスプレッドが拡大したので、日本と海外から「円売り/ドル買い」が起こり、1ドル134円の円安になりました。

マイナス金利の円を借り、預金でも金利がつくドル、3%台の金利にがったドル10年債を買えば確実な利益が出ます(円キャリートレード)。円キャリートレードは円売りなるので、更に円安になっていくのです。円安は、ドル高です。

しかしこれはドルが強いのではない。円が弱い。



世界の主要通貨では、円が一番下がっています。

以降では、日本のインフレの中での低金利と、量的緩和(日銀による国債買い)がなぜ行われるのか、その理由を示します。

現在の130円台の円安は歴史的ボンド安に類似
戦後の英国の、50年の長きに渡るポンド安として起こったことに、類似しています。

英国では、戦後は、GDPの200%の戦費国債(=チャーチルが使ったドイツとの戦費)を抱えていました(筆者注:日本の国債残はGDP比230%と世界1大きい:米国はGDP比100%です)。



この国債ため、英国は戦後インフレの中でも金利を上げることができなかった。大英銀行は経済理論ではあり得ない「インフレの中の低金利」を敷き、「金融抑圧」を行ったのです。金利0.25%以下を目標にしている現在の日銀と「瓜二つ」です。

インフレの中では上がるべき金利を、人為的に抑えられたポンドは、1945年には1,000円と高かった。戦後は大きく売られ、まず800円に下がり(-20%)ました。20%下落は、今の円に似ています。

1年平均4%~5%。長期的に下がっていったポンドの預金をもち、ポンドの給料を得る英国人の生活(所得と社会福祉は世界1高度でした)は、輸入が多く、価格が上がり続ける食糧の買いに躊躇するくらい、貧しくなっていったのです。

大英銀行が金融抑圧を続け限り、ポンド安には「出口」がありませんでした。



英国ポンドは、20年、30年、40年、50年間も下げ続けました。

現在は1ポンド164円です。1945年の1,000円に対して、1995年までの50年、下がり続けが結果が、この164円です。

50年間で84%のポンドの下落は、1年間平均では-3.6%ですから、なるほどと思える下落率です。奇異なことは50年下がり続けたことでしょう。

ケインズが1946年に亡くなった後でもあったので、深くは分析されず、インフレの中で通貨が下がり英国人の所得が減っていくこことは、「英国病」と言われたのです。英国経済は、没落しました。

(英国ポンド:1980年 500円 → 1995年 169円)
https://www.mag2.com/p/money/1198464/2


日銀が国債を買い、通貨価値は希薄化した


GDPの成長率より大きく通貨を増やす「量的緩和と低金利」は、通貨価値を希薄化させます(濃度を薄めること)。

量的緩和は、ウィスキーのモルト(原酒)に水を入れ、見かけの通貨の量を増やすことと同じです。通貨1単位の価値を下げます(筆者注:MMT[現代貨幣理論]を有効とするリフレ派にはない視点です)。

英国が戦後インフレの中で、低金利を続けた原因
大英銀行は、国債のデフォルトを避けるため、金利を下げる金融意抑圧を70年前から50年間も、行い続けました。日本の円も、とめどなくポンドが下がった戦後の英国を追っているように見えます。

英国政府・中央銀行は他国に例がない、以下の2点を行いました。



(1)金融抑圧(低金利への、中央銀行の介入)
(2)コンソル債(償還のない永久債の発行)

目的は、ポンドの通貨価値を下げて、金利は抑え、財政を破産させないことだったのです。

通貨が下がるときは、金利を上げる(市場の金利は上がる)ことが普通です。

ところが、英国にはGDPの200%の国債残が残っていた。金利が上がると既発国債価格が大きく下がって、「銀行危機→政府の財政危機」になるので、金利を上げることができなかった。



この英国ポンドの下落は、金融ビッグバンにより金融課税を下げて、世界のマネーを呼び寄せ、ロンドンのシティが金融のハブになって行った1995年まで、50年間続きました。

現在、世界の金融のハブは、ウォール街、ロンドン、フランクフルト、シンガポール、香港、最下位が、円の力が衰微してきた、極東の東京です。1990年の、世界1だった日本経済と円のプレゼンスは、激しく低下しました。

これからの円はどうなるのか
円が約20%下がった1ドル130円台は、英国の約60年遅れの「日本病」への入り口になる感じもしますが、ポンドよりは、ずいぶんマシでしょう。

これから3年の期間でいえば、米国の経済力の過大評価から現在は高い米ドルが、今後予想されるバブル株価の崩壊から下がる可能性が高い。

このときはドルが暴落するので「ドル/円」のレートは、むしろ「円高」に向かうことも考えられるからです(筆者注:2022年冬、または2023年の、日本と米国の「同時株価暴落」の可能性は、高い。このときは、「ドル/円」のレートは大きくは動きません)。

ドルと円、両方が下がる可能性も
スイスフランに対しては、ドルと円のレートの両方が、大きく下がるでしょう。

・スイスフランは、両国の通貨に対して金のように上がるでしょう。
・ドルの実効レートが暴落すれば、金価格は、逆に2倍、3倍に向かって暴騰するでしょう。

金は、投資家からはドルの反通貨と認識されているからです。

ドルの実効レートは、現在は山を登っている最中です。しかし頂上(変曲点)まで来ると下がる道しかないのです。これが3年内のドルでしょう。
8:777 :

2022/06/13 (Mon) 06:49:12


サマーズ氏: インフレは全然ピークではない、金利は上がり続ける
2022年6月12日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/25290

アメリカの元財務長官でマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏がBloombergによるインタビューで、アメリカにおける物価高騰と、株安を引き起こしている金融政策の行方について語っている。

止まらないアメリカのインフレ

6月10日に発表されたアメリカのCPI(消費者物価指数)統計は、予想を上回るものだった。


5月の米インフレ率が予想以上の加速、株価急落
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/25259


前回の記事でも述べたが、今年の4月から6月はインフレ鈍化が予想される月だった。しかし実際には5月の数字は8.5%に加速した。

この数字についてサマーズ氏は次のように述べている。

CPIの数字はほとんどの人々を驚かせた。

また、同じくこれまでインフレを警告してきた債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏は、インフレはこの辺りがピークだとしてきたが、サマーズ氏はそれに反対しているようだ。

インフレがピークだという主張、インフレが一時的だという主張が間違っているというのはかなり明らかだ。

理由としてサマーズ氏はセクターごとの数字を上げている。

CPIのほとんどの要素が顕著にインフレになった。そしていくつかの主要な要素のインフレはこれから数ヶ月で更に加速してゆくと予想している。

年末には建物のインフレは年率8%になっていると思う。民間の発表する数字を見れば、それよりも急速なインフレになっているのだが。

ガンドラック氏らも指摘していたことだが、不動産インフレはCPI統計において過小に評価されている。

一方で住宅価格指数では20%近いインフレとなっている。


アメリカの住宅価格が2月に19.8%上昇、再上昇開始
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/23546


住宅価格は、住宅ローン金利に影響する長期金利がインフレ率よりも低い限り上がり続けるだろう。住宅が年率20%近く値上がりするなか、長期金利のチャートは3%近辺で推移している。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2022/06/2022-6-12-us-10-year-treasury-yield-chart.png


金利が上がったとはいえ、住宅ローン金利の支払いは住宅の値上がりで元が採れてしまうのである。

一方で住宅を買わずに賃貸し続けると、家賃は上がってゆく。この状況で住宅を買わない選択肢はないだろう。

また、サマーズ氏は医療セクターについても次のように言っている。

医療セクターのインフレはまだ低いままのようだが、これが何を意味しているのかは分からない。医療関係者の誰と話しても看護師不足が深刻だと言っている。

医療セクターの数字も結局は上がらざるを得ないだろう。

アメリカではコロナ後、手厚すぎる失業保険が問題となり、一部では働くより失業保険を貰うほうが儲かったため、人が仕事に行かなくなった。

そしてそのうちの多くは結局職場に帰ってこなかった。あらゆる意味でインフレは政治家による人災なのである。


サマーズ氏: インフレは政府のコロナ対策が引き起こした
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/25100

迫りくるスタグフレーション

サマーズ氏はこのように続ける。

われわれはスタグフレーション的な状況を自分で作り上げた。もう何ヶ月も言い続けているが、ソフトランディングは容易ではない。

インフレはどうなるだろうか。Fed(連邦準備制度)の金融引き締めが株式市場を下落させ続けているが、インフレが止まらない限り引き締めも止まらない。そして株安も止まらない。

サマーズ氏はインフレ見通しについて次のように述べている。

Fedはインフレが年末には2%台まで戻るという予想を3月に発表した。それは当時既に幻想だったが、今では更に馬鹿馬鹿しく見える。

だから利上げは止まらないだろう。だが今の利上げペースでインフレが収まるのかという別の問題もある。サマーズ氏は次のように述べている。

これから数ヶ月は0.25%か0.5%の利上げという見通しになっているが、もっと効果を出すためには0.5%から0.75%の利上げにするべきだろう。

政策金利を今の水準より大幅に上がげることなしに物価高騰から逃れられるとは誰も思わないはずだ。金利を先延ばしにするこのとメリットが分からない。一方で、金融政策が実体経済に効くまでのタイムラグを考えると、デメリットの方は本物だ。

幸か不幸か、Fedのメンバーに0.75%の利上げを考えている人物は多くない。


9月に利上げ停止か加速かで割れるアメリカの中央銀行
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/25146


だがそれは幸いなことだろうか。利上げがゆるく、物価高騰が止まらなければ後でより強力な金融引き締めが求められることになる。

一方、急激な利上げが行われれば株式市場はより急激に下落してゆくだろう。

年始からずっと言い続けているが、リフレ派のお陰で経済も株価も両方詰んでいるのである。


世界最大のヘッジファンド: 40年続いた米国株強気相場が崩壊する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24577

ポズサー氏: 米国株暴落でコロナ株安時の底値に逆戻りする可能性
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24609


株安はいつまで続くだろうか。それについては以下の記事で説明している。

2022年インフレ株価暴落はいつまで続くか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24209
9:777 :

2022/06/13 (Mon) 09:15:02

サマーズ氏: アメリカはドットコムバブル崩壊後のような長引く景気後退に
2022年7月18日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/26414

引き続き、アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏のBloombergによるインタビューである。最近、2000年のドットコムバブル崩壊を持ち出す人が増えてきたが、サマーズ氏もそれに加わったようである。

中央銀行の経済予想

前回の記事では、アメリカの中央銀行であるFed(連邦準備制度)が2021年の間ずっとインフレを無視し続けていた様子を紹介した。

サマーズ氏: 物価高騰は中央銀行が環境問題にかまけてインフレ抑制を怠ったせい
市場参加者にとっては中央銀行の経済予想が外れるのは普通のことなのだが、サマーズ氏によればその状態は彼らが緩和から引き締めに転じた今も続いているという。彼は次のように述べている。

彼らの経済予想が立て続けに外れているために、以前までのような彼らへの信頼は失われ、しかもそれは今でも完全に回復されたとは言い難いと言わざるを得ない。

何故か。それは、彼らの今の経済予想を見れば分かる。まずは現在のアメリカ経済の実際の数字を並べてみよう。

実質GDP成長率: 3.5%
インフレ率: 9.0%
失業率: 3.6%
GDPは高いが、この数字は第1四半期のものであるため、去年4月前後の現金給付によるブースト効果を含んだ数字である。その後アメリカ経済は急減速しており、2022年前半はマイナス成長となる可能性が騒がれている。

現金給付の弾切れで急減速するアメリカ経済、2022年第1四半期GDP
一方で、インフレ率は6月の数字であるため、去年4月の現金給付のブースト効果を含んでおらず、それでも9%台となっている。

6月のアメリカのインフレ率、遂に9.0%に
そしてFOMCメンバーの経済予想を公表するドットプロットによれば、彼らはこれら数字が来年にはこうなると考えている。

実質GDP成長率: 1.7%
インフレ率: 2.6%
失業率: 3.9%
GDPは現金給付のブーストが消えれば自然にそれくらいに落ち着くだろう。あるいはむしろマイナス成長になるのではないか。

一方で何故かインフレ率が9%台から2%台に急降下している。

これは何なのだろう? インフレ率が7%も急落するような異常事態なのに、GDP成長率は自然落下する程度にしか落ちていない。ありえない数字である。

経済の専門家でなくとも、ここの読者ならばこの予想が完全におかしいことはすぐに分かるはずである。何故彼らは税金から高い給料をもらい、このような子供騙しの数字を堂々と公表していられるのだろう。

ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない
1年前のジェフリー・ガンドラック氏の言葉は、どうやら今でも意味を持ってしまうようである。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ (2021/7/18)
サマーズ氏の失業率予想

しかしサマーズ氏がこの数字の中で一番注目するのは失業率である。彼は次のように説明している。

ドットプロットはインフレが完全に落ち着くと予想しながら、失業率が(2024年に)4.1%までしか上がらないとしている。非常に理にかなっていない予想に見える。

そして19人のFOMC参加者のうち一番悲観的なメンバーでさえ失業率が4.5%までしか悪化しないと考えているのは、かなり酷い集団的思考の問題があることを示しているようだ。

彼が着目するのはサービスのインフレである。サービス業においてインフレが悪化していることは以下の記事でも説明しておいた。

6月のアメリカのインフレ率、遂に9.0%に
サービスは人件費が主なコストになっているから、人件費が下がらなければインフレは収まらない。

そして人件費が下がるということは、労働者が減給されたり解雇されたりするということである。

そうなれば消費は減速し、アメリカ経済は確実に景気後退に陥る。しかしサービス業のインフレを考えると、そうならなければインフレは収まらないのである。

サマーズ氏: 経済へのダメージなしでインフレ抑制はできない
実際のアメリカ経済の展望

ここまで考えると中央銀行の経済予想が完全にお花畑であることが分かる。

しかし、ではアメリカ経済はこれからどうなるのだろうか。サマーズ氏は次のように続けている。

2022年が景気後退になるリスクは現実のものである。そして来年がそうなるリスクは更に高い。

1982年やリーマンショック時のような景気後退になると考える理由があるとは思わないが、公園で散歩をするような楽な道のりにもならないだろう。2000年のドットコムバブル崩壊後に起こったことが、これからの経済のためのモデルになるのではないか。

1982年というのは、1970年代の物価高騰の総決算として起こった大きな景気後退である。

当時はインフレは3回の波になって押し寄せたが、1982年の景気後退は3回の波の後に訪れた。現在のインフレは第1波に過ぎないので、1982年のようにならないというサマーズ氏の論には一理あるかもしれない。

サマーズ氏: 現在のアメリカの物価高騰はインフレ第1波に過ぎない
一方で、サマーズ氏が2000年のドットコムバブル崩壊を持ち出したのは非常に興味深いことである。何故ならば、現在の状況が当時に似ていると主張する人物が他にもいるからである。

ドラッケンミラー氏: 今の相場はドットコムバブル崩壊前に似ている
結論

これまでの記事で論じてきた通り、2000年のドットコムバブル崩壊の特徴は、まず利下げ開始後も株価下落が止まらなかったこと、そして下げ相場は2年続いたということである。

ドットコムバブル崩壊は利下げ後も止まらなかった
そして本当の問題は下落相場が2年続いたことではなかった。多くの人は気付いていないが、その後米国株は13年間上がっていないのである。


それが緩和によって高くなり過ぎた株価の行く末である。だから結局、いくらで買うのかという概念を省いて投資を行うことは出来ない。買値は重要であり、買値を無視して行う投資は投資ではなくギャンブルである。

以下の記事では米国株が30年間上がらなかった時代がこれまで普通にあったことを紹介したが、13年程度なら比較的最近にも起こっているということである。

ドラッケンミラー氏: 米国株は30年上がらない可能性
そして何度も言うが、現在のバブル崩壊はアメリカで最後に物価高騰が収まった1980年から40年間続けてきた緩和政策がインフレによって続けられなくなり、40年分の巨大緩和バブルが崩壊する、そういう局面なのである。

世界最大のヘッジファンド: 40年続いた米国株強気相場が崩壊する
13年程度で済むと思っている人がいれば、根拠を挙げてほしいものである。だがまともな根拠を筆者はこれまで誰からも聞いたことがない。

2022年インフレ株価暴落は個人投資家が全員退場するまで続く


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/26414
10:777 :

2022/06/28 (Tue) 08:15:20

あげ3
11:777 :

2022/07/19 (Tue) 07:13:16

2022-07-19 中国のCPIも上昇中! 中国の物価高は単なる経済問題ではない - YouTube
妙佛 DEEP MAX
https://www.youtube.com/watch?v=fOjUOk_-E00
12:777 :

2022/08/09 (Tue) 03:45:55

あげ023
13:777 :

2022/08/09 (Tue) 03:48:27

ポジャール氏: 政策金利は5%以上に上がって景気後退ではなく恐慌を引き起こす
2022年8月8日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/26936

金融市場ではアメリカの利上げが何処で止まるのかということが議論になっているが、クレディ・スイスの短期金利ストラテジスト、ゾルタン・ポジャール氏(※ハンガリー語の発音に従い「ポズサー」氏から訂正しました)は利上げがまだ半分も終わっていないと考えているようだ。

戦争とインフレ

ポジャール氏の論理はいつも明快で分かりやすい。彼は今の状況を次のように説明する。

戦争はインフレ的だ。この経済戦争を、消費を主体とした西側と生産を主体とした東側の戦いと考えてみると良い。西側では需要が最大化され、東側では西側の需要に応えるために供給が最大化されている。

そしてこの状態から供給がいきなり姿を消した。

よって今のインフレは一時的なものではなく、構造的な問題だ。供給不足はロシアと中国の変化、そして移民規制による労働力不足やコロナ蔓延による移動の不自由などの起因している。

労働力不足はサービスの値上げの原因だとして経済学者のラリー・サマーズ氏も重視している。

サマーズ氏: 利上げをやり抜かなければ酷いスタグフレーションに
だが、その原因に移民規制を挙げているところはアメリカで働くハンガリー人であるポジャール氏らしい。アメリカ人であるサマーズ氏はアメリカ国内の事情を見がちである。

しかしサマーズ氏もポジャール氏と同じくインフレはまだまだ止まらないと考える側である。一方、債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏は既に金利は中立水準に達したとして、これ以上の利上げはむしろ景気後退とその後の緩和政策によるハイパーインフレを引き起こすとしている。

ガンドラック氏: 利上げが行き過ぎると逆にハイパーインフレになる
ポジャール氏の議論に話を戻そう。インフレが構造的な問題であるならば、アメリカの利上げはどうなるだろうか? それこそが投資家にとっての問題である。アメリカの株式市場は年始から急落していたが、経済減速による利上げ頓挫が囁かれ始めると反発している。


だがポジャール氏の予想が正しければ、株価の先行きは明るくなさそうだ。彼は利上げについて次のように語っている。

いまやジェローム・パウエル議長率いるFedは政策金利を5%か6%まで上げ、その水準にとどめることで総需要を大規模かつ継続的に減らし、供給不足の状況に合わせなければならないリスクを抱えている。

現在の政策金利は2.25%だから、5%以上となれば利上げはまだ道半ばにも達していないことになる。

経済は景気後退ではなく恐慌へ

5%の政策金利というのは現代の経済にとって未知の領域である。2%までの利上げでこれだけ株式市場が同様しているのに、金利がそこまで上がれば市場経済はどうなってしまうのだろうか。

ポジャール氏は次のように予想する。

金利は一定期間高く保たれることになるかもしれない。利下げが経済のリバウンドを起こさない(つまり、V字ではなくL字になる)ようにするためだ。だがそれはインフレの第2ラウンドを引き起こすだろう。

ここの読者には聞き慣れた表現が出てきただろう。ポジャール氏が注目しているのは、金利が何処まで高くなるかだけではなく、どれだけ長く高水準に保たれるかである。

高い金利水準を長く維持しなければならないならば、経済は景気後退ではなく何年にもわたって続く経済恐慌となる。

また、そうなれば結局金融緩和が必要となり、それは経済成長よりも物価の方を押し上げてしまう。インフレ第2波というわけである。

サマーズ氏: 現在のアメリカの物価高騰はインフレ第1波に過ぎない
このインフレ第2波シナリオは筆者が去年から提唱し、サマーズ氏が5月に追従し、先月ガンドラック氏が同じことを言い、そして今月ポジャール氏も加わった。

ガンドラック氏: 利上げが行き過ぎると逆にハイパーインフレになる
筆者は今年、株価急落とスタグフレーションの織り込みを的中させているが、個人的に一番手応えを感じているのはこのインフレ第2波シナリオをサマーズ氏らよりも半年ほど先に提唱したことである。ここでは常に世界最高の頭脳の経済予想を事前に報じてゆく。

長短金利逆転を予測できた理由と今後の不況と株価暴落について
株価はどうなるか

さて、ポジャール氏の予想するのは経済「恐慌」とその後の更なる物価高騰である。

その場合株価はどうなるのか? 彼の株価の底値予想については以下の記事で報じている。

ポズサー氏: 米国株暴落でコロナ株安時の底値に逆戻りする可能性
彼は米国株がほぼ半値まで下落することを予想していた。

だが以前経済恐慌が起こったとき株価はどうなったか? それは1929年の世界恐慌における株価暴落である。そしてこれから同じような状況になることを予想していたファンドマネージャーがいる。スタンレー・ドラッケンミラー氏である。

ドラッケンミラー氏: 米国株は30年上がらない可能性
彼が示唆した1929年の世界恐慌において、株価は80%下落している。ポジャール氏は「控え目」にも半値落ちを予想したが、今回の論考を聞くかぎりドラッケンミラー氏のシナリオが近づいてきたのではないか。

そろそろ株の空売りを再開すべきだろうか。

ドラッケンミラー氏: 株価が上昇したら空売りを再開する

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/26936
14:777 :

2022/08/30 (Tue) 22:50:09

株式市場は金融緩和を続けられる限り長期的に上がり続ける

日本株のバブルが1989年に崩壊し、その後低迷したのは金利がゼロになってそれ以上下げられなくなったからであり、その後株価が上昇を再開したのはアベノミクスで量的緩和という新たな緩和手段を開始した後である。

米国株でも日本株でも、 「金融緩和があれば株価は長期的に上がる」。そしてこれからの相場では物価高騰が天井知らずになってしまうので金融緩和は出来ない。 米国株はこれから 30年上がらない。


▲△▽▼


「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
2022年8月30日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/27644

世界的なインフレが実体経済と株式市場を襲っている。インフレについてはここでは2020年から警告し続けていたことであり、株安についても年始から予想していたことである。

しかしはっきり言うが、まだ何も始まってさえいない。ここからが物価高騰という地獄の本番である。

長期投資

そもそもインフレの何が恐ろしいのかということを復習しておきたい。前回の記事では現在のいわゆるつみたてNISAによる株式投資ブームが最悪のタイミングで始まったことを説明した。


株式投資ブームに乗った時点で個人投資家の損失はほぼ確定している
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/27593

だが金融庁にそそのかされた素人たちはこう言うかもしれない。仮にこれから株価が暴落しても、積み立て続けていれば長期的にはプラスになるのではないか? 特に米国株はこれまで40年、長期的には上がり続けたではないか。

先ず第一に、このつみたてNISA詐欺がよく出来ているのは、自分の保有する資産の価値がどれだけ下落しても、「でもまだ40年経っていないから」という理由で常に正当化できるということである。

期限を定めない投資は定義上絶対に失敗することがない。いくら失敗していてもそれは永遠に確定しない。

だがそれで誰かが幸せになることもない。いや、彼らは金融庁から投資信託という不必要に手数料の高いものを押し付けられているのだから、銀行や証券会社はあなたがたの手数料で幸せになるのだが。

米国株の長期上昇相場

しかしそれよりも考えなければならないのは、何故米国株は40年上がり続けてきたのかということである。一方で日本株は1989年のバブルの高値をいまだ超えられていないので、30年以上利益が出ていないことになる。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2022/08/2022-8-30-nikkei-225-long-term-chart.png


よって株式投資が長期的には常に利益を出すという幻想は単純に事実に反する。日本株でなくとも長期的に下がり続ける株式はいくらでも存在する。前回の記事でも言ったが、結局は投資はいくらで買うかということであり、買うタイミングを間違えれば損をして当然である。

株式投資ブームに乗った時点で個人投資家の損失はほぼ確定している
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/27593

一方で、米国株はここ40年長期的には上がり続けている。それが彼らの頼る根拠である。しかし致命的な問題がある。それは、彼らのほぼ全員が何故米国株が40年上がり続けてきたのかについてまったく知らないということである。

米国株が40年上がり続けた理由

統計的相関関係と因果関係を区別できない人は多いが、論理的に考えてもらいたい。「米国株は40年上がり続けたからこれからも上がる」と主張するためには、40年上がり続けた理由をまず発見し、それが今後も存在し続けることを証明しなければならない。

当たり前だろう。これが出来ていない時点でその人の投資は破綻しているのだが、誰もそれに気づいていない。

では米国株が40年上がり続けた理由は何か。そもそも何故筆者は10年や20年ではなく40年と言い続けているのか気になっている人も多いだろう。それは40年前に何かがあったからに他ならない。

それは厳密には1981年のことであり、1981年はアメリカで金融緩和が長期的に開始された年である。

金融緩和というのは、要するに金利を下げるということである。そこでアメリカの長期金利のチャートを見てみると、1981年を頂点にそこから40年下がり続けている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2022/08/2022-8-30-us-10-year-treasury-bond-yield-long-term-chart.png


何故ここが頂点になっているかというと、ここの読者には周知の事実だが、1970年代にアメリカでは物価高騰が起こり、金融引き締めを行なっていた。つまりは金利を上げ続けていたということである。

そしてインフレが1980年頃に収まったため、ようやく金利を下げることができるようになった。その後、アメリカの金利は上記のように下がり続けてきた。

金利低下と株価上昇

そしてそれが株価を40年間支え続けてきたのである。リーマンショックのような事態になっても長期的な株安にならなかったのは、即座に金融緩和を行なって株式市場をバブルにすることが出来たからである。それが長期的な経済停滞の原因になっているのだが、それはまた別の話である。

ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/7103

そしてようやくコロナ後のインフレの話になる。薬物と同じで金融緩和は何度も続けると効きが悪くなってくるので、回数を増すごとに過激にならざるを得ない。そしてコロナ後の現金給付は明らかにやり過ぎたのである。ついに物価高騰が起きてしまった。

サマーズ氏: インフレは政府のコロナ対策が引き起こした
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/25100


40年起こっていなかったインフレ相場の到来である。このような大きな相場の転換点にいるということを、投資家は意識しなければならない。そしてある程度知識のある投資家であれば、インフレが株価にとって非常に悪いということを知っている。

何故か。金融緩和ができなくなるからである。これまではデフレだったからいくらでも緩和をして株価を上げることが出来ていたものが、今や緩和を続けるとインフレが悪化してしまう。日本ではまだましだが、アメリカやヨーロッパでは物不足は悲惨な状況になっている。これは断じてロシアのせいではない。


スペイン、脱炭素による電力不足で冷房を27度未満にすることを禁止
EU、食料価格高騰の最中、代替食品としてトノサマバッタを推奨


40年続いた金融緩和を失った株式市場

これである程度の頭のある人なら誰でも分かるはずである。株式市場が長期的に上がるというのはまったく事実ではない。これを正確に言い直せば、「株式市場は金融緩和を続けられる限り長期的に上がり続ける」である。

事実、日本株のバブルが1989年に崩壊し、その後低迷したのは金利がゼロになってそれ以上下げられなくなったからであり、その後株価が上昇を再開したのはアベノミクスで量的緩和という新たな緩和手段を開始した後である。

このように米国株でも日本株でも、「金融緩和があれば株価は長期的に上がる」という命題は普遍的に正しいように観測できる。そしてこれからの相場に金融緩和があるかどうかと言えば、ない。物価高騰が天井知らずになってしまうので金融緩和は出来ない。むしろ金利は高い水準で長期間維持されるだろう。

そういう状況下で株式市場はどうなるか。米国株は40年上昇相場を続けてきたのだから、その40年間より前の期間は長期の下げ相場だったということである。以下の記事で解説したが、米国株が数十年もの間下げ相場だった期間は普通に存在する。

ドラッケンミラー氏: 米国株は30年上がらない可能性
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/25829


そしてこれから始まるのは、40年の緩和バブルの後に始まるのは、そういう期間なのである。

結論

ということで、「株式投資はインデックスに長期投資していればほぼ利益が出る」という最近囁かれ始めた奇妙な幻想は完全に間違っている。

上記のように事実と因果関係をきっちり調べれば誰でも分かることなのだが、それを考えようとする人は誰もいない。要するに皆、何の努力せずにお金が儲かっていてほしいだけなのである。そういう人がつみたてNISAに吸い込まれる。そして当然の結果を持ち帰る。

株式市場は欲しいものが手に入る夢のような場所である。相場は確かに、何も考えずにインデックスに投資をするだけで儲かるかもしれないという幻想を彼らに与えてくれるだろう。

一方で株式市場は現実というおまけも彼らに与えるだろう。彼らは株価崩壊による多額の損失という対価を、その幻想のために支払うことになる。何事も手に入れるには対価が要るのであり、そして幻想は意外と高価であることを彼らは悟るだろう。


世界最大のヘッジファンド: 40年続いた米国株強気相場が崩壊する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24577

米国株の今後の見通し: 企業利益激減で株価は再び暴落へ、空売り再開
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/27199

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/27644
15:777 :

2022/09/24 (Sat) 09:27:45

2022-09-24
誤解している人が少なくないでしょうから、最初に指摘しておきますが、現在の日本円の為替レートは「円安」ではなく、「ドル高」です。

 実は、ドルは対ユーロ、対英国ポンドでも、対日本円と同様に上昇しています。

 というわけで、こういう時に役立つのが、stooq.com。何気に、stooq.comには、すでに十五年位お世話になっております。
 日本円、ユーロ、英国ポンドについて、対ドルの推移をグラフ化しました。2022年4月23日が「1」ですね。

【日本円、ユーロ、英国ポンドの対アメリカドル相場(グラフ上が円・ユーロ・ポンド安)】
http://mtdata.jp/data_81.html#daller

 ドルは対日本円で12%、対ユーロで10%、対英国ポンドで17%の上昇。

 ちなみに、レンジを一年に広げると、ドルは対日本円で30%、対英国ポンドで27%、対ユーロで21%の上昇となります。確かに、過去一年間で見ると、日本円の対ドルレートの下落が最も大きいのですが、全体的には「ドル高」が起きていることを理解してください。(直近だと、英国ポンドの対ドル下落が三か国・地域ではトップ)

 なぜ、一方的なドル高になっているのかといえば、それはまあ、FRBがひたすら利上げを繰り返しているためです。

『米FRB、またも大幅利上げ決定 14年ぶりに3%台へ
 アメリカの中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)は21日、0.75%の大幅利上げを発表した。これにより、同国の政策金利の誘導目標は過去15年で最高水準の3~3.25%となった。
 FRBは5回連続で利上げに踏み切っている。政策金利が3%を超えるのは2008年初頭以来。インフレ抑制と引き換えに厳しい経済低迷が見込まれるとの懸念が高まる中での決定となった。
 併せてFRBが発表した見通しでは、 政策金利は年末までに4.4%に達し、来年も上がり続けるとしている。(後略)』

 ちなみに、直近の対ドル安が著しいイギリスでは、ポンドがドルに対して等価(パリティー)割れの水準に下落するのではないかと言われています。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12765920725.html
16:777 :

2022/09/26 (Mon) 09:26:31

サマーズ氏: ドル高がアメリカのインフレを世界のインフレにした
2022年9月25日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/28600

引き続きBloombergによるアメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏のインタビューである。前回は為替介入についての部分を紹介したが、今回はドル高とその影響についてである。

高金利でドル上昇

アメリカの金融引き締めでドルの金利が上がっており、高金利に引き寄せられた資金がドルに集中している。

ドル円が高騰しているのは日本の読者ならば知っているだろうが、状況は他の通貨に対しても多かれ少なかれ同じである。

ドル円のチャートは前回掲載したので、今回はユーロドルのチャート(下方向がユーロ安ドル高)を掲載してみよう。


一貫した下落トレンドである。そして今や1ユーロは1ドルより安いのである。この節目に特に意味があるわけではないが、このチャートは自殺的な対ロシア制裁などで没落してゆくヨーロッパの終わりを象徴しているようにも見える。

EU、食料価格高騰の最中、代替食品としてトノサマバッタを推奨
ドイツの政治家、カーボンニュートラルのために風呂に入らないことを推奨
世界経済におけるドル高の意味

話をドルに戻そう。サマーズ氏はドル高について次のように述べている。

強いドルがアメリカの輸入物価を低くしているお陰で、アメリカのインフレは本来よりも低い水準に抑えられている。

アメリカのインフレ率は現在8%を超えている。

アメリカの8月インフレ率は8.2%、発表後に株価下落の理由
だがサマーズ氏の言う通り、自国通貨が高ければ他国の商品を安く買えるはずなので、これでもドル高がインフレ率を抑えている状態なのである。つまり、ドル高がなければアメリカのインフレ率はもっと高かったことになる。

だがそれは逆に弱い通貨の国は通貨安によるインフレを享受しているということになる。サマーズ氏は次のように続けている。

だが一方で強いドルはインフレを他の国に押し付けている。ドルが国際貿易で使われる通貨であるために、強いドルは貿易に摩擦を引き起こしている。

そもそもアメリカで行われたコロナ後の現金給付が原因で起こったインフレが、何故世界に波及したのか? それは原油や貴金属、農作物などのコモディティ銘柄がドル建てで取引されているからに他ならない。

米国政府がばら撒いた莫大な量のドル紙幣はコモディティ市場に流れ込み、原油などのドル建て価格を押し上げた。筆者は2020年秋の時点でそれを記事にし、その後のインフレを警告している。(誰も聞かずに誰もが現金給付を喜んでいたが。)

金融市場にインフレの兆し: 金、原油、穀物価格が高騰 (2020/10/14)
だが問題は、ドル建てで原油などの価格が上がった後、ドルが下落していないことである。ドル紙幣のばら撒きでドルの価値が下落したならば、原油などの価格が上がると同時に為替レートもドル安に動くはずである。

ドル安にならない理由

だがそうはなっていない。その理由は、ドルが基軸通貨だからである。基軸通貨であるドルはアメリカ国内の他にも原油などの売買で使われているため、常にアメリカ国外での需要がある。

だから他の通貨とは違い、多少無理をして紙幣印刷しても通貨が直ちに下落するわけではないのである。アメリカに限らず、歴代の覇権国家はこの地位を好きに乱用してきた。

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨
結果として、原油などの価格がドル建てで上がったにもかかわらず、為替レートは変わらないどころかむしろドル高になったため、他の通貨から見た原油などの価格は非常に大きく上がっている。

ドル高は永遠に続くのか

ではドルはどれだけ紙幣印刷しても下落しない通貨なのか? サマーズ氏はドル高について次のように述べている。

この問題は一定期間続くだろう。その間他国は非常に強いドルに慣れる必要がある。

これはドル高が一定期間続くという意味だろう。それは正しいかもしれないが、一定期間がどれくらいかということには様々議論があるはずだ。

現金給付からインフレまで時間差があったように、ドルの下落にも時間差がある。そして筆者の見込みではそのタイミングは、現在の利上げプロセスが終わり、アメリカが金融緩和に転じなければならなくなる瞬間である。

以下の記事ではアメリカの実質金利チャートを用いてドル円の上限を予想しているので、参考にしてほしい。

世界最大のヘッジファンドによる長期金利の大幅上昇予想とドル円の天井
ドル安への転換のタイミングも実質金利のチャートが重要になってくるはずである。スタンレー・ドラッケンミラー氏も今頃タイミングを図っているだろうか。

ドラッケンミラー氏: 今後6ヶ月でドル空売りへ


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/28600
17:777 :

2022/09/26 (Mon) 09:55:36

世界最大のヘッジファンドによる長期金利の大幅上昇予想とドル円の天井
2022年9月19日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/28396

引き続き世界最大のヘッジファンドBridgewaterを運用するレイ・ダリオ氏のLinkedInのブログである。2022年の相場では金利上昇が株価下落の原因となっているが、ダリオ氏によれば金利はここからまだまだ上がるらしい。

アメリカの金利

前回の記事ではダリオ氏は今後のインフレ率を予想していた。ダリオ氏はアメリカのインフレ率が長期的には4.5%から5%程度になると予想している。

世界最大のヘッジファンドによる今後のインフレ率の予想
しかし株式市場にとってより重要なのは金利である。ダリオ氏は次のように言う。

インフレ差し引き後の金利がいくらになるかを予想する必要がある。現在、市場は今後10年間で金利は1%になると織り込んでいる。

これは長期的に見れば比較的低い実質金利であり、短期的にはやや高い水準である。

ダリオ氏の言っているのは、名目の金利からインフレ率を引いた実質金利のことである。トルコなどの国でそうであるように、仮に金利が15%でもインフレ率が20%であれば引き締め的とは言えないので、金利がインフレ率に対していくらに設定されているかということが重要なのである。

債券市場にはインフレヘッジ付きの国債があり、この国債の金利が市場の実質金利予想ということになる。アメリカの10年物のインフレヘッジ国債の金利は次のように推移している。


過去に市場の実質金利予想が1%を超えたのは、2018年の世界同時株安の時である。金利が上がり、それによってインフレが押さえつけられると予想される時には、差し引きである実質金利は上がるので、同じことが起きる。以下は当時の記事である。

世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)
この水準についてダリオ氏はどう言っているか。彼は次のように続けている。

負債や債務の量、そして債務者にとってのコストと債権者にとっての実質リターンなどを考えれば、実質金利は0%から1%の間になるだろうと予想している。その水準なら債務者にとって比較的高いが許容可能であり、債権者にとって比較的低いが許容可能だからである。

つまりダリオ氏は実質金利はこの辺りが上限だと予想しているようだ。

長期金利の推移

さて、これでダリオ氏のインフレ率の予想と実質金利の予想が揃った。そして彼は次のように言う。

インフレ率の予想と実質金利の予想を合わせれば、今後の国債の金利水準が得られる。

何故ならば、それを足したものが10年物国債の名目金利だからだ。

だがダリオ氏のインフレ率と実質金利の予想を足し合わせて名目金利を計算した読者は驚いただろう。彼は次のように続ける。

インフレ率と実質金利の予想を考慮すると、わたしの予想は長期金利と短期金利の両方で4.5%から6%という計算になった。

金利の考察に慣れているここの読者ならばこう思ったはずだ。そうなれば株式市場は死んでしまう。

長期的には4.5%から6%という水準はどういうものなのだろうか。長期金利の長期チャートを掲載してみよう。


4.5%と言えば2008年のリーマンショックより前の水準、6%と言えば2000年のドットコムバブルの頃の水準であり、多くの市場参加者にとって完全に未体験の領域だろう。ドットコムバブルの話についてはスタンレー・ドラッケンミラー氏の記事を置いておこう。

ドラッケンミラー氏、ドットコムバブル崩壊で大損してクォンタム・ファンドを辞める羽目になった時のことを語る
ダリオ氏も6%はやり過ぎだと考えているらしい。彼は次のように付け足している。

しかしながら、6%は債務者と市場と実体経済にとって耐えられない水準だろうから、中央銀行はそれよりも緩和的になると予想している(だが4.5%は恐らく緩和的過ぎる)。

だがチャートを見ても分かる通り、4.5%でも相当に高い水準である。その時株価はどうなってしまうのか? ダリオ氏の株価予想については、既に記事にしておいた。

世界最大のヘッジファンドの相場予想: 利上げ継続で株価は年末までに30%下落へ
結論

ダリオ氏の長期金利予想には戸惑った人も多いのではないか。だがダリオ氏とゾルタン・ポジャール氏という2つの優れた頭脳が同じような水準を見ているらしい。

ポジャール氏: 政策金利は5%以上に上がって景気後退ではなく恐慌を引き起こす
また、実質金利の上昇はこれまでドル上昇のドライバーとなってきた。ドルと市場の実質金利予想を並べると次のようなチャートになる。


だから実質金利の天井が1%だというダリオ氏の予想が正しければ、ドルもこの辺りで天井ということになる。

それが当たるかどうかは分からないが、このチャートを見ると上がっても1ドル150円近辺だろうということは読み取れる。実質金利がそれ以上に上がるとアメリカ経済が死んでしまう。

ドル下落の時が近いのかもしれない。

世界最大のヘッジファンド : ドルが下落したらアメリカは終わり
ドラッケンミラー氏: 今後6ヶ月でドル空売りへ

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/28396
18:777 :

2022/09/27 (Tue) 06:11:14

サマーズ氏: イギリス新政権のインフレ対策で暴落したポンドは更に下落へ
2022年9月26日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/28630

イギリスにトラス首相率いる新政権が誕生し、 発表されたインフレ対策のお陰でイギリスの通貨ポンドが暴落している。この件についてアメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏がBloombergのインタビューでコメントしているので取り上げたい。

火に油を注ぐインフレ対策

まずは背景を説明しよう。コロナ対策としてアメリカで行われた現金給付と、化石燃料の生産を強制的に減らす脱炭素政策によって生じた世界的なインフレの最中、各国政府は競うように馬鹿げた経済政策を打ち出している。

サマーズ氏: ドル高がアメリカのインフレを世界のインフレにした
レイ・ダリオ氏、環境サミットで脱炭素に警鐘、原油業者を賛美
その筆頭は、政府によるばら撒きで生じたインフレに対して現金給付や補助金という更なるばら撒きで対応するという、まさに火に油を注ぐやり方を率先して行なっていたフランス政府や日本政府のように思えた。

フランス、インフレ対策で現金給付へ
フランスのスーパー、物価高騰を受け政府の圧力で日用品の価格凍結
サマーズ氏: ガソリンの価格高騰対策でインフレ悪化へ 現金給付の悪夢を人はもう忘れている
だがイギリスにその先を行く政権が誕生してしまった。EU離脱を先導したボリス・ジョンソン前首相の後に首相に就任したリズ・トラス氏による新政権である。

アメリカのコロナ対策並みのばら撒き

トラス氏、そして財務相に就任したクワシ・クワーテング氏が何をやらかしたか。日本やフランスを凌ぐインフレ対策のばら撒きである。

彼らの緩和政策は多岐にわたっているのでどれから挙げれば良いのかという感じだが、一番重要なのは間違いなく家計の光熱費に年間2,500ポンド程度の上限を設ける「インフレ対策」である。

その光熱費補填の規模は半年間で600億ポンドに及ぶとクワーテング氏は主張している。600億ポンドと聞いてどれくらいの規模か想像できた読者はよく勉強している人だと思うが、イギリスのGDPが約2兆3,000億ポンドなので、GDPの3%弱の規模の金を半年でばら撒くことになる。

この政策は今後2年間の光熱費に適用されると彼らは言っているので、それを真に受ければ2年でGDPの10%以上のばら撒きということになり、正気の沙汰とは思えないのだが、トラス新政権の経済政策はそれでは終わらない。

彼らはその他に法人税や所得税の減税を主張しており、しかもクワーテング氏は25日に「まだ追加がある」と言っている。これを真に受けるとすれば、GDP比で考えると世界的なインフレを引き起こした2020年以降のアメリカの歴史的な財政緩和に匹敵する財政緩和になりかねない。

ガンドラック氏の景気後退予想: 現金給付のツケを払うことになる
ポンド暴落

トラス新政権の政策発表を受け、まずイギリスの金利が高騰した。第一の理由は既に10%近くで推移しているインフレ率が悪化するという見通しであり、そして第二には、市場はイギリスの財政を危ぶんでいるのだろう。

単に金利が上がっているだけならば、債券市場はインフレを客観的に織り込んだだけだと言うことも出来る。しかし市場は明らかにイギリスという国の財政健全性を疑っている。

何故ならばイギリスの通貨ポンドが急落しているからである。以下はポンドドルのチャートである。


ポンドドルは一時1.03まで下落した。金利上昇にもかかわらず通貨が下落したのだから、インフレと金利上昇で高騰しているドルとは対照的な動きということになる。

インフレ対策でばら撒きを行おうとしているイギリス新政権に対してサマーズ氏はどうコメントしているか。彼は淡々と次のように述べている。

これを言うのは大変申し訳ないのだが、イギリスは没落してゆく途上国のように振る舞っているように見える。イギリス市場の反応から伝わってくるのは、新政策への信頼ではなく恐怖だ。

筆者が思い出すのは、大英帝国の時代に基軸通貨だったポンドがその価値を失っていった過程のことである。

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
何故ドルはインフレと金利上昇で高騰しているのに、ポンドは同じ要因で急落するのか。

それはポンドが基軸通貨ではないからである。ドルは基軸通貨なのでばら撒きが直ちにはドル安に繋がらない。その辺りの詳細は以下の記事で説明している。

サマーズ氏: ドル高がアメリカのインフレを世界のインフレにした
だが同じことを基軸通貨を持たないイギリスや日本がやった場合の結末は通貨暴落か金利高騰、あるいはその両方である。日本には前者が降りかかり、イギリスには両方が降り掛かっているようである。

トラス首相は愚かなことをしてしまったようだ。光熱費が高騰している場合にどうすれば良いか、ドイツの政治家はより素晴らしい解決策を知っている。参考にしてみてはどうか。

ドイツの政治家、カーボンニュートラルのために風呂に入らないことを推奨
没落してゆくヨーロッパ

控え目に言って、ヨーロッパは没落しているように見える。脱炭素と現金給付と対ロシア戦争の行き着く先は、風呂に入らずトノサマバッタを食べる生活である。

EU、食料価格高騰の最中、代替食品としてトノサマバッタを推奨
筆者が繰り返し表明している見解によれば、これは大航海時代から始まった西洋の覇権が衰える最終局面なのである。

移民危機からウクライナまで: 西洋文明は自殺しようとしている
それが新型コロナの流行によって決定的になったと筆者は長らく主張してきた。そのメイントレードはスイスフランに対するユーロの空売りなのだが、トラス政権によってイギリスもその仲間入りを果たしたようだ。

対ロシア制裁で死にゆくヨーロッパ経済と上昇するスイスフラン
トラス氏は前任のジョンソン氏が失脚した後、有権者の投票を受けることなく保守党内部での選出によって首相となった。このプロセスについてロシアのプーチン大統領が次のように述べていた。

この政権交代のプロセスにイギリス国民は参加していない。支配層のエリートが好きなように利害調整した結果だ。

その結果、国民投票でEUの馬鹿げた移民政策から逃れるためにEU離脱を決定したイギリス国民の意志は反映されず、政治家の利害調整の結果馬鹿げた政策を取る政治家がイギリスの政権を握った。トラス氏が選ばれた時から嫌な予感はしていたが案の定である。

国民投票でEU離脱を選んだイギリス人の凄まじい精神力
ポンドは更に下落へ

ポンドはどうなるか。ポンドの先行きについてもサマーズ氏に聞くのが良いだろう。サマーズ氏は為替介入後のドル円の動きを正しく予想している。

サマーズ氏: 為替介入でドル円が急落したらドル円は買い場
サマーズ氏は「没落してゆく途上国」の通貨ポンドについて次のように述べている。

現在の政策の方向性が維持されるなら、ポンドの為替レートは1ドル以下になっても不思議ではない。

もう一度ポンドドルのチャートを載せておこう。


ポンドもユーロの後を追って没落の仲間入りをするのだろうか。クワーテング財務相は次のように述べている。

国民の所得こそがイギリス経済の原動力だ。

税収を増やし、国民から多くのお金を取り上げることが経済成長の加速に繋がるはずがない。

だそうだ。まあ頑張ってほしい。

それにしてもインフレ発生後、大経済学者ハイエク氏の議論がここまで正確に当たってるのは本当に残念なことである。政治家には馬鹿しかいない。

インフレが制御不能になれば政府は価格統制を始める

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/28630
19:777 :

2022/10/09 (Sun) 02:28:26

ポジャール氏: 中央銀行は金利高騰か通貨下落かを選ぶことになる
2022年10月7日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29314

クレディ・スイスの短期金利戦略のグローバル責任者であるゾルタン・ポジャール氏がBloombergのポッドキャストで、世界中の国々がイールドカーブコントロールを採用すること予想している。

インフレは長期トレンドか

アメリカで行われた莫大な現金給付が発端で起こった世界的な物価高騰を受け、世界中の投資家がアメリカのインフレがいつ収まるのかに注目している。

一般に報じられていることとは違い、インフレは2020年に始まり、2021年には既にかなりのインフレになっていた。

金融市場にインフレの兆し: 金、原油、穀物価格が高騰 (2020/10/14)
そしてFed(連邦準備制度)は今年、インフレが手遅れになってから物価抑制のための金融引き締めを始めた。

その金融引き締めから半年以上が経ち、原油などを含むコモディティ価格は下落している。以下は原油価格のチャートである。


2020年からのコモディティ価格の上昇が2022年のインフレをもたらしたように、原油などの価格下落は時間差でデフレをもたらすはずである。

したがってここまで怒涛の勢いで続いてきた利上げもそろそろ落ち着くのではないかという見方が金融市場に出ている。

ガンドラック氏: 米国経済は風前の灯、金融引き締めをスローダウンすべき
ポジャール氏の見るインフレ要因

だがトレーダーではなくアナリストであるポジャール氏の見つめる先はあくまで長期のインフレである。そしてポジャール氏は、インフレの原因として財政支出よりもウクライナ情勢によって生じた脱グローバル化を重視している。

ロシアによるウクライナ侵攻後、日本を含む西側諸国はロシアからエネルギー資源を買わないと決めた。

だがロシアは気にせず中国やインドやブラジルやハンガリーなど、NATOの対ロシア戦争に参加したくない国々に原油などを売っている。

結果としてどうなったか? ロシアは問題なくエネルギーを販売できている一方で、西側諸国はインフレを食らっている。自分で自分のエネルギー調達元を制限したのだから当たり前である。

ロシア、西側の制裁でルーブルが上がりすぎて困り始める
制裁で安くなったロシア産原油、欧米に転売される
ポジャール氏が言っているのは、こうした西側と東側の対立を原因とするインフレは長期トレンドであって、ウクライナ情勢はその始まりに過ぎないということだ。

ポジャール氏は次のように言う。

Fedが単に金利を上げるだけで物価は安定に向かうのか? それとも安い商品や安いエネルギー、労働力などの不足という圧力が実体経済に存在するのか?

西側諸国はこれから別のエネルギー資源の調達方法を考えなければならない一方で、アメリカが対ロシア経済制裁に賛同しない国を制裁で脅し始めたため、中立の国々はドルを中心としたアメリカの支配する経済圏から逃れようとしている。

こうした状況は、それぞれの側にこれまで敵国から調達していたものを自前で製造する必要性を生み出す。エネルギー資源、金融システム、半導体、ソフトウェア、様々なものを輸入するのではなく自分で作る必要に迫られる。

脱グローバル化とインフレと金利

それはつまり、2016年のイギリスEU離脱から始まっていた脱グローバル化の加速であり、投資家はグローバル化がこれまで物価の抑制に大いに貢献してきたことを考えなければならない。

パソコンが安価に手に入るのは、これまで中国や東南アジアの安価な労働力を使って作られてきたからである。それは自由貿易を前提としたグローバルな経済である。

よって脱グローバル化はインフレを意味する。しかし問題はそれだけではない。ポジャール氏が今回言いたいのは、脱グローバル化には大量の設備投資が必要になるということである。

そもそもそれはインフレの問題点でもある。インフレとはものが不足して価格が高騰することだが、価格を抑えるためには金利を上げて、住宅ローンや自動車ローンなどを借りにくくする必要がある一方で、金利が上がれば借金で設備投資をしようとする企業にとっても妨げになってしまうのである。

ポジャール氏は次のように述べる。

再軍備、国内回帰、再備蓄、そしてエネルギー改革。すべてが大量の資本を必要とする。それらの資金を賄うためには、高すぎない金利が必要だ。

ここに既に矛盾が存在している。需要を抑えるためには金利を上げなければならないが、金利が上がると設備投資を行なって生産を増やすことが難しくなる。

インフレと不況が同時に起こるスタグフレーションの難しさが分かってきただろう。だから紙幣をばら撒いてインフレにしてはならなかったのだが、考える頭のない有権者はそうした選択肢しか選べない。彼らには「お金が降ってきて嬉しい」程度の知能しかない。

ドラッケンミラー氏: インフレを引き起こした政府の間違いは長期にわたって貧困層を苦しめる
世界最大のヘッジファンド: インフレになって驚いているリフレ派は馬鹿じゃないのか
イールドカーブコントロール

インフレという出口のない袋小路は最終的に何処に行くのか? ポジャール氏の予想は、中央銀行が長期金利を直接操作するイールドカーブコントロールである。彼はこう述べている。

こうした背景から、イールドカーブコントロールが中央銀行の選択肢に入ってくるだろう。

イールドカーブコントロールは、日銀が既に採用している政策で、日銀は長期金利をほぼゼロに固定することで金融緩和を続けている。

だが、金融緩和というもの自体がデフレがあったからこそ可能な贅沢品だったということを世界は既に思い知ったはずである。

ポジャール氏の言うイールドカーブコントロールは、日銀がまだやれているような贅沢品のことではない。彼はこう続ける。

だが、イールドカーブコントロールと言っても金利を1%で固定し資産価格を暴騰させるようなものではなく、金利が天井を突き抜けないようにするものである。

つまり、ポジャール氏はこれから金利の高騰が止まらなくなることによって、それを抑えるために中央銀行はイールドカーブコントロールを余儀なくされると言っているのである。

ポンドは始まりに過ぎない

何処かで聞いた話ではないか。9月末に、イギリスで誕生した新政権がインフレ下にばら撒きを行うと発表してポンドの暴落と金利の高騰を招いた。

サマーズ氏: イギリス新政権のインフレ対策で暴落したポンドは更に下落へ
その後イングランド銀行は金利抑制のために短期的に債券を買い支える措置を発表せざるを得なくなった。

ポジャール氏に脱帽せざるを得ないのは、このインタビューがイングランド銀行の買い支え発表の2週間前のものだということである。そしてポジャール氏によれば、こうした状況は今後長期トレンドになる。

彼は次のように続ける。

第2次世界大戦で、中央銀行は戦争に勝つために短期金利と長期金利を固定し、イールドカーブを決めた。

第3次世界大戦になれば当然同じようになる。幸い今回のは経済戦争になっているが、それでも中央銀行は債券市場に介入し、イールドカーブを高い水準で制御することになる。

インフレが起こっている最中にイールドカーブコントロールが普通の政策になるなど、今の市場参加者にはなかなか信じがたいのではないか。そんなものは戦時中の政策ではないか。

しかし去年の記事では誰も信じていなかった価格統制は、今年のインフレで世界的に普通の政策となってしまった。(ポンドはそれで暴落した。)

インフレが制御不能になれば政府は価格統制を始める (2021/1/22)
通貨暴落へ

前から述べているように、ポジャール氏は世界中の人々がドルから離れてゆくと予想している。

だがポジャール氏は同時に他の国々の通貨も(ポンドがインタビュー後にそうなったように)苦境に陥ると見ているらしい。彼はこう述べている。

日本やヨーロッパ、イギリスなどでは通貨危機が起こっている。

世界にはただ1つの金融政策があって、それはアメリカの金融政策であり、その方向に行かない国は通貨安に見舞われることになる。

アメリカが利上げを始めたにもかかわらず、他の国が利上げしない場合、その国は通貨安に見舞われる。今の日本の状況である。

サマーズ氏: 為替介入でドル円が急落したらドル円は買い場
通貨安の一番の問題は、海外の商品が高くなることである。ポジャール氏はこう続ける。

ヨーロッパなどコモディティを自給自足できない国々は、物資を輸入できるように為替レートをまともな水準に保つよう金融政策を妥協しなければならなくなる。

つまりは通貨安を止めるために金融引き締めを行うということである。しかしそうすれば債券が暴落し金利が高騰することになるだろう。

結論

要するに、これから先進国は通貨安と金利高騰のジレンマに襲われることになる。ドルの下落を待っている投資家は多いが、他の通貨も信頼できなければ何に対してドルを売れば良いのか。

ドラッケンミラー氏: 今後6ヶ月でドル空売りへ
だから筆者は、ドル円が円高に振れることよりも、ドル建てで金価格が上昇することに賭けた。それはどちらもドル安を意味する。

ゴールドの買い開始、スタグフレーショントレード再開
やはり世界的なインフレと通貨安で賭けるべきところはコモディティだろう。ハイパーインフレシナリオが本当に近づいてきたのかもしれない。

世界最大のヘッジファンド: 金融資産から現物資産への怒涛の資金逃避が起こる可能性
ジョン・ポールソン氏、インフレ第2波で金価格高騰を予想

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29314
20:777 :

2022/10/09 (Sun) 02:29:16

米雇用統計ショック、9月分公表で株価が急落した理由とインフレ見通し
2022年10月8日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29389

株価も毎日忙しい値動きをする。米国時間10月8日、9月分のアメリカ雇用統計が発表され、Fed(連邦準備制度)のインフレ抑制努力にもかかわらず、失業率は3.5%に下がった。これを受けて米国株は下落している。

止まらない失業率低下

まずはコロナ後の失業率のチャートから掲載しよう。


9月の数字は3.5%となったが、これは予想の3.7%より低く、市場にはややサプライズとなった。

本来、失業者が減るのは良いことなのだが、物価高騰が続く現状では中央銀行は頭を痛めているだろう。経済学者のラリー・サマーズ氏は、失業率が高騰するまでインフレが収まることはないと言っている。

サマーズ氏: 利上げをやり抜かなければ酷いスタグフレーションに
何故か? 労働市場の過熱がインフレの原因だからである。賃金の上昇がサービスの価格を押し上げる。だから多くの人が職を失い、賃金が下がらなければインフレは収まらない。

それが多くの著名投資家が景気後退を不可避と考える理由である。インフレが起こってしまった以上、もうどうにもならない。

ドラッケンミラー氏: インフレを引き起こした政府の間違いは長期にわたって貧困層を苦しめる
金融市場の動向

さて、この雇用統計に市場はどう反応したか? まずは米国株だが、最初に言ったように急落した。


金曜は-2.8%の下落となった。ここ1週間ほどの反発が台無しである。そろそろインフレが収まり、Fedの金融引き締めもピーク超えをするかと期待していた市場はまた失望した形となる。

だが期待インフレ率の方はどうか? ここ半年の間、期待インフレ率は下落してきた。Fedの金融引き締めがインフレを抑えるとの予想からである。逆説的だが、インフレ的な経済統計が出るたびに、強力な引き締めが長期的には経済を殺してしまうとの見方から期待インフレが下がってきたのである。

しかし今回はどうか? 興味深いことに雇用統計を受けて期待インフレ率はやや上がった。


これはこれまでとは違う動きである。

その理由は何か? 恐らくは市場参加者は今や2つのことを理解しているのではないか。

1つは、インフレの中で賃金インフレが一番粘着質なインフレであるということである。例えば2020年から真っ先に上がった原油価格は、ここ半年で下落している。


金融市場で取引される原油などのコモディティは、金融引き締めの影響を一番早く受けるからである。

最近はOPECによるバイデン大統領への嫌がらせで短期的に反発しているが、長期的にはこの下落(少なくとも横ばい)はインフレ率に織り込まれてゆく。

一方で、この状況で失業率が更に下がったという今回の統計は、金融引き締めでは簡単に抑制できない労働市場の過熱が根強いことを示している。

結論

これらの動きは筆者がここ数ヶ月で述べてきたことである。これまでは一直線のインフレ加速だったが、これからは金融市場由来のインフレは収まり、住宅市場の過熱もそろそろピークを迎え、しかし労働市場の過熱は最後まで残る。

そして市場はこれまで織り込んでいた「インフレ加速か引き締め過ぎでデフレか」の2極ではなく、インフレの長期化を受け入れてゆく。

これは金融市場にどういう変化をもたらすか? まず、株式市場にとって、短期間の急激な引き締めシナリオから高金利が長期間続くシナリオに移行することは大した違いがない。両方とも株価にはマイナスである。

一方で、市場が2%という不合理なインフレ期待(これは無理だろう)を捨て、長期のインフレを受け入れることは、ゴールドなどのコモディティにとってプラスとなる。だから筆者は現在、株式の空売りとゴールドの買いの両建てを行なっている。

ゴールドの買い開始、スタグフレーショントレード再開
あとは来週発表のCPI(消費者物価指数)がそれほどのインフレ加速でなければ、労働市場が過熱を続け他のインフレはピークになるという筆者のシナリオが完成することになる。そうでなければ、物価全体のインフレが筆者の考えるよりも根強いということになる。

いずれにしても来週の発表を待つほかない。またその時にアップデートしたい。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29389
21:777 :

2022/10/12 (Wed) 05:55:12

サマーズ氏: 金融危機が起こっても利上げを継続せよ
2022年10月11日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29503

世界的なインフレがまだまだ収まらず、Fed(連邦準備制度)の強力な金融引き締めで株価が暴落する中、利上げ賛成派と反対派の議論がヒートアップしている。

世界的なインフレ

現在のインフレを2021年から予想し、インフレは根強く、利上げを継続するよう訴えてきたマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏は、Bloombergによるインタビューで利上げ支持をヒートアップし、仮に金融危機が起こっても利上げを継続するよう主張している。

サマーズ氏はまず、先週公表された雇用統計で、Fedが労働市場の過熱を抑えようとしている最中に失業率がむしろ3.5%まで下がり、更なる過熱を示したことについて次のようにコメントした。

雇用統計にはインフレが制御下に置かれる兆候など何もなかった。

経済は過熱しており、物価が下がるような状態にはない。過熱は持続している。

そしてサマーズ氏はインフレがそろそろピークを迎え、下落に転じるという見方にも次のように釘をさした。

いまだにインフレが一時的だと思っている人々は、インフレ期待が長期的にはなっていないと言っている。

いまだにインフレが一時的だと思っている人がいるのか? だがFedの公式発表ではインフレ率は来年の末には2%台にまで落ちつくことになっており、驚くべきことに金融市場の5年インフレ期待も2%台となっている。

このことは債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏も不合理だとして次のように言っていた。

ガンドラック氏: 中央銀行のインフレ率予想は人間が想像可能な中で一番馬鹿げた経済予想
インフレ率が9%が2%まで極めて急速に下落するならば、下方向に行き過ぎると考えない理由が何かあるだろうか?

何故2%で止まるのか? そこに何か魔法でもあるのか?

Fedのインフレ予想が間違っているのはいつものことだが、市場予想の方はどう解釈すべきか。サマーズ氏は次のように続ける。

だが事実はこうだ。高いインフレ率にもかかわらず、インフレ期待が落ち着いている。ならばインフレ期待が長期化しないように今積極的に動くことがより重要ではないか。

恐らくは、市場がインフレの長期化というほぼ避けようのない未来から目をそらしていることは、アメリカのインフレ(つまりドル紙幣の減価)にもかかわらずドルが「まだ」暴落していないことと関係している。

世界最大のヘッジファンド: ドルが下落したらアメリカは終わり
ドラッケンミラー氏: 今後6ヶ月でドル空売りへ
だから市場が長期のインフレを受け入れ始めるとき、ドルは暴落し、あらゆるものが壊れ始める。

そうならないようにサマーズ氏は次のように警告している。

まだ人々が低いインフレ率を予想しているのなら、そのアドバンテージがある間にインフレを抑制してしまうべきなのだ。

だがサマーズ氏は、そもそも物価が高騰しないように去年の内に警告していたのだが。

サマーズ氏: インフレは今や広範囲に燃え広がっている (2021/10/17)
今回、彼の声は聞かれるのだろうか。

金融危機で緩和転換すべきか

また、最近イギリスのトラス首相によるインフレ対策でのばら撒き(火事に放火するようなものである)を受けてポンドと英国債が暴落したことを受けて、専門家の間で同じようなことが他の国でも次々に起き始めると予想する意見が増えている。

筆頭は債券投資家のスコット・マイナード氏であり、彼は以下の記事で1998年のLTCM(巨大ヘッジファンド)の破綻によってFedが緩和を余儀なくされた例などを挙げ、そういう状況が近づいていると言っている。

マイナード氏: アメリカは利上げを撤回するのではなく、撤回せざるを得なくなる
サマーズ氏は今回のインタビューでこうした可能性についても意見を述べている。恐らくはサマーズ氏はマイナード氏の議論を聞いているのだろう。マクロ経済学者の中で相場と経済をまともに予想できるのは彼だけだから、議論の相手はマイナード氏のような資産運用の実務家しかいないのである。

だがサマーズ氏は、LTCM破綻のような金融危機が起きるから緩和に逆戻りすべきだという主張には同意しない。むしろ彼は、そうした状況における緩和への逆戻りがバブルを引き起こし、状況を悪化させたと主張する。

コロナ後の緩和がインフレを引き起こした

彼はこう説明している。

過去を振り返ってみれば、われわれはコロナ後の金融システムを支えるために金利を切り下げ過ぎ、低く保ち過ぎた。

金利だけではなく、やり過ぎたのは明らかに現金給付である。アメリカの可処分個人所得とインフレ率のチャートを並べてみれば、インフレの原因が何であるかが一目で分かる。


インフレが加速したのは2021年の序盤からであり、それは明らかに現金給付によって所得が爆発的に増大したことが原因となっている。(ロシアのウクライナ侵攻がインフレの…何だったか? もうこういう馬鹿げた議論は聞き飽きたのである。)

大体、2021年にはアメリカ経済はコロナ禍から回復しまともな状態に戻っていたにもかかわらず、何故このような現金給付が必要だったのか? 何故その責任を誰も問わないのか? そして何より、何故政治家はいまだにばら撒きを続けてインフレに放火し続けているのか?

LTCMの破綻

もはや筆者には理解不能なのだが、サマーズ氏の議論に話を戻そう。政府がばら撒きをやり過ぎたのはこれが初めてではない。サマーズ氏は、マイナード氏が言及したLTCMの事例にも言及している。

過去を振り返ってみれば、アジア通貨危機とLTCMの破綻の後、われわれは金利を低く保ち過ぎ、結果としてバブルを引き起こした。

1998年にLTCMが破綻した後、LTCMとそれに関連するポジションがあまりに巨大だったために、それらのファンドが破綻して保有証券をすべて売りに出さなければならなくなれば、世界経済が混乱することが目に見えていた。

それでFedは市場を救済するために利下げをした。だが1998年という年代を聞いてその後どうなったか、ここの読者ならすぐに思い浮かべることが出来るだろう。2000年のドットコムバブル崩壊である。

現在のNasdaqが金利の変化に敏感である通り、ドットコムバブルは明らかに低金利によって醸成されたバブルであり、1998年に利下げが行われたあとNasdaqがどうなったかと言えば、こうなった。政策金利のチャートも並べてみよう。


ブラックマンデー

更にサマーズ氏が例に出すのは、1987年のブラックマンデーである。こちらもマイナード氏が言及したもので、サマーズ氏は明らかにマイナード氏の言葉を聞いているようだ。

過去を振り返ってみれば、1987年の株価暴落(訳注:ブラックマンデー)の後にFedが緩和措置を行なった後、経済は驚くべき速度で成長した。

そしてこの時のバブルで一番華々しく破裂したのは日本経済の1989年バブル崩壊であることは言うまでもない。


結論

サマーズ氏は次のように纏めている。

金融市場の安定に関する懸念を口実に、インフレが長期化することを避けるために必要な金融政策を止めるよう主張するのは間違っている。

だがサマーズ氏のこれは予想ではない。むしろ緩和に逆戻りすればより酷いバブル崩壊が待っているというのが彼の予想なのだろうが、実際にはそうなる確率の方が高いのではないか。

しかしいずれにしても今年のインフレを予想的中させた専門家らの見通しが日増しに酷くなっている気がする。少し前までは「インフレが続く限り利上げを続けるべき」だったのが、今では「金融危機が起こっても利上げを続けるべき」かどうかに焦点が移っている。

だがそれが世界経済の現状であり、紙幣印刷の当然の結果である。来年は本当に酷い年になるのではないか。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29503
22:777 :

2022/10/12 (Wed) 06:36:31

マイナード氏: アメリカは利上げを撤回するのではなく、撤回せざるを得なくなる
2022年10月9日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29410

Guggenheim Partnersのスコット・マイナード氏がCNBCのインタビューで、Fed(連邦準備制度)の緩和への方向転換を予想している。Fedが強烈な勢いで金融引き締めを行なっている最中になかなか勇気のある予想だ。

金融引き締めの出口

マイナード氏はまず、以前からの主張を繰り返している。

様々なFedの連銀総裁たちと話す機会があって明らかだと思ったのは、Fedは何かが壊れるまで引き締めを強行するだろうということだ。

マイナード氏によれば、中央銀行は金融引き締めを行うが、適切なところで止めることが出来ない。金融政策の効果が実体経済に現れるまでにはタイムラグがあるので、何か悪い兆候が出た時にはもう手遅れだということである。

これは同じく債券投資家であるジェフリー・ガンドラック氏も主張していたことである。

ガンドラック氏: 金融引き締めは株価を暴落させるまで行き過ぎかどうか分からない
今、アメリカは金融引き締めをやり過ぎているのだろうか。インフレ率はいまだ8%台である。

アメリカの8月インフレ率は8.2%、発表後に株価下落の理由
そして雇用統計も強いままである。

米雇用統計ショック、9月分公表で株価が急落した理由とインフレ見通し
世界経済の亀裂

しかしマイナード氏によれば、悪い兆候は既に出ているという。彼は次のように述べている。

だが世界のあらゆるところで経済に亀裂が入っている。一番大きなものはもちろんイギリスで起こったことだ。イングランド銀行は国債市場に介入して国債を買い支えなければならなかった。そうしなければ金融危機が連鎖的に起こっていただろう。

トラス首相率いるイギリスの新政権が発表したインフレ下におけるばら撒き政策によって、ポンドと英国債が暴落した件である。

サマーズ氏: イギリス新政権のインフレ対策で暴落したポンドは更に下落へ
他にもアメリカの金融引き締めによってドル円が高騰しており、日本政府が為替介入する一幕もあった。

サマーズ氏: 為替介入でドル円が急落したらドル円は買い場
インフレと金融引き締めの二重苦で、世界経済はかなり傷んでいるというのがマイナード氏の見方である。

Fedは方向転換するのか

だが今のところ、アメリカの金融政策が変わりそうな気配はない。雇用統計が強かったことから、市場は11月の会合で0.75%利上げを織り込んでいる。

マイナード氏は次のように続ける。

中央銀行家の話に耳を傾ければ、彼らはインフレの話ばかりしている。金融市場の状況には誰も注意を払っていない。

だがわたしの考えでは、それは彼らが金融市場の状況に反応しないということを意味しない。彼らは恐らく反応せざるを得ない状況に追い込まれる可能性が高い。何故ならば、金融市場が中央銀行に方向転換を強いるだろうからだ。そしてそれまで数週間(原文:weeks)しか時間がないだろう。

数週間とはなかなか具体的な予想ではないか。

しかし米国株が25%暴落しても、アメリカ経済が景気後退に陥っても、金融引き締めは止まる気配がない。

ついに景気後退入りした第2四半期アメリカGDP、通年の景気後退もほぼ確定か
パウエル議長も一貫してそのように言っている。この状況でアメリカが緩和に転換すると言っても、信じられない投資家が多いはずだ。

忍び寄る金融危機

ではマイナード氏はどういうシナリオを想定しているのか? 彼は次のように続ける。

歴史的には、金融危機は中央銀行が引き締めを行なっている時に起きるものだ。そしてそれは金融市場の非常に暗い片隅から現れる。

1987年には中央銀行の金融引き締めのために株式市場が崩壊した。だがブラックマンデーのようなことが起こるとは誰も予想していなかった。

ポール・チューダー・ジョーンズ氏を除けばということだろう。

マイナード氏は以下のように続ける。

同じことが(訳注:カリフォルニアの)オレンジ郡の突然の財政破綻にも言える。誰もそれを予想していなかった。

カリフォルニアのオレンジ郡は地方政府でありながら1994年に何とデリバティブ取引で多額の損失を出し財政破綻した。

マイナード氏は更に例を挙げる。

そしてもちろん1998年のLTCM(訳注:破綻したヘッジファンド)だ。当時もFedは利上げをしていた。

このヘッジファンドはオプションなどレバレッジのかかった巨額の取引をしていて、損失のためにすべてを売らなければならなくなった。最終的には中央銀行介入し、金利を下げることで市場を救済した。

LTCMは金融工学でもっとも重要な方程式であるブラックショールズ方程式を考案したノーベル賞受賞者などを擁したヘッジファンドで、市場全体に影響を及ぼすほどの巨額の資金を運用していた。

つまり、マイナード氏がFedは方向転換せざるを得ないと言う時、彼が想定しているのは経済成長率の低下や失業率の上昇ではない。予想できない何らかのショックが突然現れ、インフレ率がその時何処にあろうが中央銀行が緩和を再開しなければならなくなるということだ。

マイナード氏は次のように言う。

われわれはそうした状況に近づいていると思う。

結論

事実、イングランド銀行はそういう状況に追い込まれた。国債の暴落が止まらなくなったのでインフレ率が何処にあろうが国債の買い入れを余儀なくされた。

イギリスだけの問題であれば世界経済には影響を与えないかもしれない。だがイギリスが直面した問題に他の国も直面するようになるということをゾルタン・ポジャール氏も言っていた。(彼はそうなることをイングランド銀行の件よりも前に予想していた。)

ポジャール氏: 中央銀行は金利高騰か通貨下落かを選ぶことになる
投資家は「インフレが続く限り金融引き締めは続く」という前提を見直す必要があるかもしれない。マイナード氏は次のように締めくくる。

今の環境は金融危機にとって適切なものとなっている。 恐らくFedはそうするだろうが、タカ派の主張を続ける限り、いずれ金融市場で何かが崩壊するだろう。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29410
23:777 :

2022/10/18 (Tue) 08:25:32

チューダー・ジョーンズ氏: インフレ株安相場から株価が反発するタイミングを予想する方法
2022年10月17日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29877#more-29877

2022年に入り、世界的なインフレと金融引き締め政策によって株価が暴落している。

この下落相場はいつ終わるのか、そう考えている投資家には朗報である。1987年のブラックマンデーを予想したことで有名なポール・チューダー・ジョーンズ氏がCNBCのインタビューに答え、株価反発の前兆となる現象について語っている。

暴落相場の底値はいつか

まずは米国株のチャートから掲載するが、株式市場は下落が続いている。


この下落はいつ止まるのか。株式市場の天井や底値のタイミングを当てるのはいつも容易ではないが、ブラックマンデーを言い当てたジョーンズ氏によれば、株価が反発するよりも前に起こる現象があるという。

ジョーンズ氏は次のように語っている。

最初に起こるのは、短期金利の上昇が止まることだ。そして株式市場が反発するよりも前に短期金利は下がり始める。

短期金利、例えば2年物国債の金利は、主に今後2年の政策金利の市場予想を織り込んで推移する。

つまり短期金利が下がり始めるというのは、これまでひたすら利上げを織り込んできた金融市場がそれ以上の利上げを予想しなくなるということだが、ジョーンズ氏によればそれは常に株価の反発より先に起こるという。

過去の暴落相場では実際にそうなっているだろうか? チャートを順に見てゆきたい。

2018年の世界同時株安

まずは現在と状況が似ている2018年の世界同時株安から見てゆこう。2018年にはFed(連邦準備制度)の金融引き締めによって世界同時株安が発生した。

世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)
その時の米国株と2年物国債金利を並べてみると次のようになっている。


まず株価が下落を開始し、その次に金利がピークを迎え、その後に株価が反発しているのが分かる。

現在の相場も金融引き締めで下落しているので、2018年の例が一番現在と似ているが、他の例でも短期金利の下落は株価反発より早い。

2020年コロナショック

例えばコロナ初期である2020年前半に起きたコロナショックである。

2020年のコロナショックは2018年の世界同時株安でFedが利上げを諦めた後に起こったので、2年物国債の金利は元々下落トレンドにあったが、株安を受けて金利も急落トレンドに移行し、その後に株価の反発ということになっている。


当時の反発タイミングについてはリアルタイムの記事で解説している。

新型コロナ株安動向予想: 流行減速で株式市場は上昇する (2020/3/24)
だが重要なのは、短期金利低下が株価反発より先だという点である。

そして2018年との相違点は、上記の記事を読めば分かるが、利下げが株安を止められなかったということだろうか。2018年はパウエル議長が利上げ撤回を示唆したところが底値だったが、コロナショックでは利下げ後も株安は止まらなかった。

2008年リーマンショック

アメリカの住宅バブル崩壊に端を発した2008年のリーマンショックでも、短期金利低下は株価反発よりも早いという法則は守られている。

データの都合で株価はNasdaqになっているが、チャートは次のようになっている。


リーマンショックでは短期金利の下落が株価のピークよりも早い。住宅バブルが崩壊しても株価にはあまり影響がないという幻想が当時支配的だったためだろう。

このケースでも利下げは株価下落を止められなかった。その理由については以下の記事で解説してある。

リーマンショック時における米国株、政策金利、住宅価格の推移
利下げは株価反発をもたらすか

ということで、下落相場において株価の反発よりも短期金利の下落が始まるのが先だということが明らかになった。更に遡って2000年のドットコムバブル崩壊でもこの法則は守られている。

ところで、2018年の世界同時株安では政策金利の転換が株価の反発をもたらした一方で、2020年のコロナショックや2008年のリーマンショックでは利下げが株価の反発の直接の原因となった様子はない。

この違いは何処から生まれるのか? 投資家は株価に影響を与える2つの要因を考えるべきだろう。1つは金利であり、もう1つは企業利益である。

金利が下がったにもかかわらず株価が下がり続けたとすれば、その原因は多くの場合企業利益の減少である。コロナショックでもリーマンショックでも企業利益が大きく減少し、それが利下げによるプラス要因を上回ったのである。

一方で、2018年のケースは純粋に金融政策が問題であったために、それが企業利益に影響を与える前に金融政策が撤回されると株価は回復していったのである。

2022年の株価動向予想

さて、ではこの考察を踏まえて現在の状況を考えるとどうなるか? まず、株価が反発するより先に、2年物国債の金利が下落を始めなければならないということになる。

その2年物国債の金利は現在どうなっているのか? 株価反発の条件を満たしているのか? チャートはこうなっている。


ということで、株価反発はまだ望めないようだ。

結論

だが問題はそれよりも、金利低下が始まれば株価は反発するのかということだ。

現在の状況は2018年のケースだろうか。それともコロナショックやリーマンショックのケースだろうか。

金融引き締めがトリガーを引いた株価暴落という意味では今の状況は2018年と同じである。だが大きな相違点が1つある。インフレが起こっていることである。

2018年にはインフレは起こっていなかった。だから直ちに金融引き締めを止めることが出来た。

だが今は世界的なインフレが起こっている。そしてインフレが収まるまで金利は下がらないだろう。

だがインフレが収まるということは、インフレが収まるくらい人々の消費が減退し、賃金が下落する(つまり消費者の収入が減少する)ことが必要条件となる。

この必要条件が企業利益の減少を引き起こすかと言えば、間違いなく引き起こすだろう。これが筆者が8月に米国株の空売りを再開した理由である。

米国株の今後の見通し: 企業利益激減で株価は再び暴落へ、空売り再開 (2022/8/17)
ということで、筆者は現在のインフレ株価暴落が2018年のケースではなく、金利低下後も長期下落相場が続くリーマンショックのケースに近いと考えている。

今後の進展次第ではその見通しを撤回する可能性もなくはないが、今のところはこの考察に基づいて投資を進めて問題ないだろう。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
ポジャール氏: 政策金利は5%以上に上がって景気後退ではなく恐慌を引き起こす

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29877#more-29877
24:777 :

2022/10/19 (Wed) 03:58:06

チューダー・ジョーンズ氏: 利上げ停止でインフレ相場再開、ビットコイン暴騰へ
2022年10月18日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29915

引き続きCNBCによるポール・チューダー・ジョーンズ氏のインタビューである。

利上げ相場の終わり

1987年のブラックマンデーを予想したことで有名なジョーンズ氏だが、前回の記事では株価の反発よりも前に2年物国債の金利が下がり始めるということを指摘していた。

チューダー・ジョーンズ氏: インフレ株安相場から株価が反発するタイミングを予想する方法

2年物国債の金利は市場の今後の利上げ予想を織り込んで推移する。インフレはまだ止まっておらず、市場は次々に利上げを織り込んできたので、前回の記事で説明した通り2年物国債の金利はまだ上昇トレンドにある。

だがアメリカのインフレ率がもう半年も8%台で横ばいになっており、原油価格などの下落トレンドがこれからもCPI(消費者物価指数)に織り込まれてゆくと考えれば、利上げの天井は見えていると言える。

9月の米インフレ率は8.2%、今後の推移予想
そして2年物国債の金利が反転すれば、市場はこれまでの金融引き締め相場から次の段階へと一歩近づく。

これまでの引き締め相場では、あらゆるものが売られてきた。まず第一に金利が上がり(金利上昇は債券価格低下を意味している)、それに伴って株価が下落し、ここ2年間インフレに先立って上昇し続けてきたエネルギー資源や農作物などのコモディティ銘柄が下落してきた。

急速にデフレを織り込み始める金融市場 (2022/7/2)
だがこの下落相場は金利の上昇を前提とした動きである。2年物国債の金利がピークを迎えれば、それは新しい段階への入り口となるだろう。

短期金利が下がるとき

短期金利が下がるまでは株価は上がらないと指摘したジョーンズ氏だが、では短期金利が実際に下がり始めると相場では何が起こるのか。ジョーンズ氏は次のように述べている。

景気後退が始まれば、そしてFedが利上げを止めれば、恐らくこれまで大きく叩き売られたインフレトレードが広範囲に上昇することになるだろう。そしてそれは暗号通貨を含む。

インフレトレードと言われて真っ先に思い浮かぶのはゴールドだろう。筆者は最近ゴールドの買いを再開したが、金価格はこれほどのインフレにもかかわらず、現在コロナ前の水準まで売り込まれている。

ゴールドの買い開始、スタグフレーショントレード再開 (2022/10/4)

そしてジョーンズ氏は暗号通貨にも言及している。

暗号通貨、特にビットコインやイーサリアムのように数量が限られているものはいつかのタイミングで価値を持つことになる。

これまで行われていた莫大な紙幣印刷で暴騰してきた暗号通貨だが、金融引き締めで市場から資金が引き揚げられ始めると株式やゴールドと同じように暴落している。ビットコインのチャートは次のようになっている。


だがジョーンズ氏によれば、利上げ相場が終われば暗号通貨も大幅な上昇相場に入るという。

インフレ相場再開はいつか

インフレ相場再開はいつか。ジョーンズ氏は景気後退のタイミングがそれを示唆すると述べている。彼は次のように言っている。

景気後退が今始まったのか、2ヶ月前に始まったのか、それは分からない。景気後退の開始がいつかということについてはいつも後から驚かされることになる。

失業率の低さを考えれば、まだ始まっていない可能性も高い。

アメリカの失業率は3.5%という低い水準にある。

米雇用統計ショック、9月分公表で株価が急落した理由とインフレ見通し
賃金高騰はインフレの大きな原因となっており、経済学者のラリー・サマーズ氏は失業率が大幅上昇しなければインフレは収まらないと言っている。

サマーズ氏: 経済へのダメージなしでインフレ抑制はできない
ジョーンズ氏はこう続ける。

恐らく現在から1ヶ月あるいは2ヶ月以内の時点に景気後退が始まったということが後になって宣言されるだろう。失業率の低さを考えるとそれより早くなることは考えがたい。

その頃にはインフレ率がピークを迎えていることも明らかになっているだろうから、2年物国債の金利も下がり始めるということである。

結論

ちなみにジョーンズ氏は「インフレトレード」に株式が含まれるかどうかを明言していない。筆者の考えは前回の記事で述べておいたが、どうなるだろうか。

チューダー・ジョーンズ氏: インフレ株安相場から株価が反発するタイミングを予想する方法
いずれにせよ筆者の今のポジションは株式の空売りとゴールドの買いの組み合わせである。

ゴールドの買い開始、スタグフレーショントレード再開
また、インフレトレードについてはリーマンショックを予想したジョン・ポールソン氏も最近同じようなことを言っていた。

ジョン・ポールソン氏、インフレ第2波で金価格高騰を予想
中央銀行が最後まで金利を上げ、実体経済が沈み、そして利上げが終わるとき、金相場はそれに対して反応することになるだろう。そして中央銀行がインフレをコントロール出来ないということが明らかになる。

筆者も含め、そろそろ皆同じようなことを考え始めているということである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29915
25:777 :

2022/10/19 (Wed) 20:53:25

ジム・ロジャーズ氏: 景気後退で紙幣印刷再開、インフレ第2波へ
2022年10月19日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29942

ジョージ・ソロス氏とクォンタム・ファンドを立ち上げたことで有名な投資家のジム・ロジャーズ氏がThe Meb Faber Showのインタビューで、インフレが一度落ち着いた後のシナリオについて語っている。

インフレは一度沈静化する

世界的な物価高騰が続いている。一方、アメリカではもう半年ほどインフレ率が8%台で横ばいとなっており、ピークが近いのではないかと言われている。

9月の米インフレ率は8.2%、今後の推移予想
インフレ率は今後どうなるのだろうか。ロジャーズ氏は次のように語っている。

一直線に上昇するものも一直線に下落するものも存在しない。調整を交えながら上げと下げを繰り返すのが普通だ。そしてインフレにも同じことが言える。

だから物価は上昇した後、下落してゆくのだろうか? ロジャーズ氏の意見はそうではない。彼はこれからインフレ率が下がったとしても再び上昇する可能性が高いと見ている。

彼は次のように述べている。

原油の価格が高騰し、その後落ち着く。人々は「インフレが収まった」と考える。だが多くの場合一時的なものだ。

特にインフレはロシアのウクライナ侵攻のせいだという大手メディアのデマを信じている人はそう思いがちだ。ウクライナ情勢が短期的なものであれば、インフレも短期的なもののはずではないか。

だがロジャーズ氏はこう続ける。

戦争があれば穀物を植えたり農作物を収穫したりするのが難しくなる。だがもっと重要なのはインフレはウクライナ前から存在したということだ。

アメリカのインフレ率のチャートを掲載しよう。そしてインフレがウクライナ侵攻の始まった2022年2月末から始まったのかどうか確認してみるといい。


実際にはインフレはコロナ後の現金給付などのばら撒きが引き起こしたのである。

世界最大のヘッジファンド: インフレになって驚いているリフレ派は馬鹿じゃないのか
インフレは続くのか

だから今後インフレ率が原油価格の落ち着きなどを反映して下落した後、インフレはまたぶり返すのかどうかを考えるためには、「ウクライナ情勢はいつまで続くのか」を考えるのではなく、「このばら撒きを好む人々は存在し続けるのか」を考える必要がある。そして答えはイエスである。

ロジャーズ氏は次のように予想する。

何か本当に劇的なことでも起こらなければ、インフレは続くだろう。景気が世界的に後退すれば、中央銀行は紙幣印刷を続けるだろうからだ。

ロジャーズ氏は戦争とインフレを好むアメリカ政府を嫌ってシンガポールに移住しているのだから、彼の中央銀行家に対する見方は非常に明確である。

ジム・ロジャーズ氏: 米国のウクライナ支援はロシアが米国直下のメキシコの反米を煽るようなもの
ロジャーズ氏は次のように続ける。

中央銀行は人々のことなど考えていない。彼らが考えているのは自分の職のことだけだ。

日本円が暴落しているのに、日銀は何故緩和をして円を暴落させ続けるのだろうか。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
日銀の黒田総裁は何故自分の政策が失敗どころか危機の原因であることを認めないのか? 認めたら任期終了を待たずに辞めざるを得ないからである。このロジャーズ氏の発言はほとんどの中央銀行の行動原理を表している。そしてそれゆえに投資家にとって非常に重要である。

パウエル議長は緩和に逆戻りするか

日銀の黒田氏は言及する価値すらないが、アメリカが深刻な景気後退に陥った時にFed(連邦準備制度)のパウエル議長が緩和に逆戻りするかどうかは投資家にとって議論する価値のある問題である。

ロジャーズ氏の考えでは、パウエル氏は緩和に逆戻りする。筆者もこの件についてロジャーズ氏と同じように考えている。

何故か? それを予想するためには、パウエル氏の行動原理が何であるかを考えてみるといい。

パウエル氏は何故2018年に自分の金融引き締めが世界同時株安を引き起こしたとき、引き締めを撤回して緩和に逆戻りしたのだろうか?

世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)
逆戻りしなければ世間に批判されて自分の立場が危うくなったからである。

ではパウエル氏は何故2021年に、アメリカのインフレ率は既にかなり高かったにもかかわらず、「インフレは一時的」とマントラのように唱え続け、金融引き締めをやらなかったのだろうか?

世間が物価高騰を騒ぎ始めるよりも前に引き締めで経済を冷やしてしまえば自分の立場が危うくなっただろうからである。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ (2021/7/18)
ではパウエル氏は何故2022年に株価が暴落しても金融引き締めを続けているのか? 引き締めを続けずに物価高騰が続けば世間から批判されて自分の立場が危うくなるだろうからである。

パウエル氏が考えている唯一のこと

ここまで考えればお分かりだろう。パウエル氏はこれまで一貫して1つのことしか考えていない。自分の立場が危うくなるかどうかである。

1970年代にアメリカで物価高騰が起こったとき、それを沈静化したのは当時の議長だったポール・ボルカー氏だった。

ポール・ボルカー氏、1980年のインフレ打倒がどれだけ厳しかったかを語る
彼は彼の引き締めが世間の批判を浴びても引き締めを続けた。そして彼と大統領はともに自分の席を失ったが、インフレは食い止めた。

パウエル氏とボルカー氏は同じだろうか? まったくの別人である。パウエル氏が信念で動いていないことはこれまで5年彼の行動を見てきた人間ならば誰でも分かる。彼はボルカー氏ではない。

だからパウエル氏は金融引き締めが実際に景気後退をもたらし、世間の引き締め政策への批判が高まり、自分の立場が危うくなれば、喜んで緩和に転換するだろう。

緩和再開でインフレ第2波へ

したがってロジャーズ氏の予想は明快である。これからインフレ率が下がり、それ以上に経済成長率が下がるとき、パウエル氏はどうするか? ロジャーズ氏は次のように言う。

日本では既に膨大な紙幣印刷をしている。アメリカも同じだ。経済が落ち込めばFedは紙幣印刷をするだろう。彼らは緩和に逆戻りする。

要するにパウエル氏も黒田氏と同じ道を辿るということである。それはドルの暴落を意味する。

ドラッケンミラー氏: 今後6ヶ月でドル空売りへ
だが何度も言うが、利上げさえ正常に行われれば、預金者は預金金利の上昇でインフレから身を守ることが出来るのである。

インフレ相場での最良の投資方法は株の空売りを除けば株式投資ではなく預金
だが中央銀行は緩和を続ける。そして預金者は金利も得られず、インフレはますます酷くなる。

結論

ロジャーズ氏はこのように纏めている。

勿論これは人々にとって良いことではない。だが彼らはそれが彼らにとって良いことだと考えている。

まったく黒田氏にふさわしいフレーズではないか。そしてパウエル氏も、これまでそうだったように、これからもそうなるだろう。ジョン・ポールソン氏やポール・チューダー・ジョーンズ氏など、他の著名投資家も同じように考えているようである。

ジョン・ポールソン氏、インフレ第2波で金価格高騰を予想
チューダー・ジョーンズ氏: 利上げ停止でインフレ相場再開、ビットコイン暴騰へ
ロジャーズ氏はこう言う。

もし自分が中央銀行のトップなら、中央銀行を廃止してから辞任するだろう。

ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ
世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29942


26:777 :

2022/10/25 (Tue) 07:38:59


ジム・ロジャーズ氏: インフレ対策でコモディティは買い、銀と銅と砂糖が安い
2022年10月23日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29972

ジョージ・ソロス氏とともにクォンタム・ファンドを立ち上げたことで有名な投資家のジム・ロジャーズ氏がThe Meb Faber Showのインタビューで、インフレ対策としての金属や農作物などのコモディティの買いと、ロジャーズ氏が薦める具体的な銘柄について語っている。

まだ割安な資産クラス

投資ブームというのは今も続いているのだろうか。それとも金融庁に米国株バブルのド天井を掴まされた素人たちはもう居なくなったのだろうか。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
いずれにしても、ロジャーズ氏はこれから投資すべき資産クラスについて次のように述べている。

わたしが毎日やっているように、すべての資産クラスを眺めてみよう。債券はまだまだバブルだ。これまで債券がこれほど高値になったことはない。

不動産も多くの国でバブルだ。ニュージーランドや韓国、そしてアメリカの多くの場所で不動産価格は歴史的に見て高い水準にある。

多くの株式は狂気的な水準に行ってしまった。Samsungは毎日上昇していた。Appleも毎日上昇していた。一部の株式は明らかにバブルだ。

わたしの知る中でバブルではない唯一の資産はコモディティだ。

超長期チャートで金属や農作物のチャートを見たことがある人ならば、ロジャーズ氏の言葉に同意するだろう。

長期的水準を考えれば、コモディティはバブルになっていない。しかも世界中がインフレになる中で、コモディティがバブルになっていないということが注目に値する。前回アメリカが物価高騰になった1970年代にはあらゆるコモディティ銘柄がバブルになったのである。

シルバー

だが今はどうか? ロジャーズ氏はこう語る。

銀は市場最高値より60%も低い。砂糖も同じだ。こうした価格はバブルの水準ではない。

銀価格の長期チャートを見てみると次のようになっている。


世界的なインフレになっているのに銀価格がこの水準というのは驚異的だ。

砂糖はどうか? 砂糖はチャートで見ると銀価格よりももう少し上がっている。


だが銀も砂糖もリーマンショック後の量的緩和で上がった水準ほどにも上がっていない。だがリーマンショック後にインフレにはならなかったが、今は世界的なインフレになっている。コモディティのこの水準はおかしいと言える。



コモディティはまだまだ安い。ロジャーズ氏は次のように言う。

今世界中で起こっていることは多くのコモディティにとって追い風だ。

それは世界的なインフレということだけではない。ロジャーズ氏はこう続ける。

電気自動車が増えるなら、電気自動車はガソリン車の4倍か5倍の量の銅を使う。しかし誰も銅鉱山を増やしたりしていない。

銅は銅線に使われるため電気製品には必須であり、いわゆるSDGs銘柄である。銅価格は次のように推移している。


また、コモディティは需要と供給で決まるため、銅を採掘できる鉱山が増えているかどうかも重要である。ロジャーズ氏は両面で見て有利だと言う。

ただ、銅に関しては中国が世界の輸入の半分近くを占めており、中国バブル崩壊の影響を受けるので筆者はお勧めしない。この点については以下の記事で既に説明してある。

恒大集団倒産と中国不動産バブル崩壊で空売りすべき銘柄リスト (2021/9/19)
小麦

ついでにロジャーズ氏は触れていないが他のコモディティ銘柄のチャートも見ておこう。

例えば小麦はロシアとウクライナがともに主要輸出国のためロシアのウクライナ侵攻後に高騰した。

ウクライナ危機でコモディティ価格高騰、小麦を一部利確してシルバー買い (2022/3/6)
筆者は当時インフレ対策で様々なコモディティを買っていて、その1つが小麦だった。良いタイミングで利益確定できたものである。

しかし小麦も今では価格は大分戻っている。


当時筆者が保有していた他の銘柄は、例えばとうもろこしである。


とうもろこしはそれほど安くはなっていない。とうもろこしはバイオエタノールの原料として使われるほか、畜産の飼料にもなるためだろうか。

ゴールド

そして最後に最近筆者が買い戻した金価格のチャートを載せておこう。


ゴールドは最近史上最高値を更新したが、それでも今の価格はリーマンショック後の水準と変わらない。

しかしゴールドは1970年代の物価高騰時代には20倍に上がった銘柄なのである。

ジョン・ポールソン氏、インフレ第2波で金価格高騰を予想
結論

筆者のゴールドの取引については詳しくは以下の記事を参照してもらいたい。

ゴールドの買い開始、スタグフレーショントレード再開
今はコモディティはゴールドしか持っていないが、シルバーの長期チャートを見ると正直惹かれてしまう。もう一度掲載しよう。


長期的に言えば、安いコモディティは何を持っていても悪くないだろうし、少なくともインフレの状況下で株式を長期保有するよりは賢明な選択肢のはずだ。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
今後10年のシナリオは2つ想定される。1つは来年から景気後退が深刻になり、中央銀行が緩和に逆戻りしてインフレ第2波に繋がってゆくシナリオである。

ジム・ロジャーズ氏: 景気後退で紙幣印刷再開、インフレ第2波へ
もう1つは、クォンタム・ファンドでのロジャーズ氏の後輩にあたるスタンレー・ドラッケンミラー氏がリスクシナリオとして挙げていた、株価が80%下落してインフレは二度と戻ってこないシナリオである。

ドラッケンミラー氏: 米国株は30年上がらない可能性
筆者は今のところ前者のシナリオになると想定しており、それが正しければコモディティ銘柄はどれも1970年代のような暴騰になるだろう。人々はまだインフレを舐めている。だがいずれ人々が長期的なインフレが不可避であることに気付く日が来る。

ただ、現状ではコモディティ価格はアメリカの金融引き締めによって頭を抑えられている。金利が上がる状況下では、金利が付かないコモディティは分が悪いからである。

だからここから半年ほどの値動きについては利上げの動向が重要になる。これまで書いてきている通りである。

サマーズ氏: 利上げの終わりが近づいている
そしてもう1つ考えるべきは暗号通貨かもしれない。しかしそちらのタイミングは更に難しいだろう。

チューダー・ジョーンズ氏: 利上げ停止でインフレ相場再開、ビットコイン暴騰へ
ガンドラック氏: アメリカが景気後退で緩和再開すればビットコインは買い

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29972
27:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2022/12/23 (Fri) 02:02:24

マイナード氏の米国株の推移予想: 利益と株価収益率の下落で2023年は暴落へ
2022年12月22日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32062

Guggenheim Partnersのスコット・マイナード氏がBloombergのインタビューで米国株の適正水準を計算している。そして彼の計算によれば、その結果は株式投資家にとって良いものではなさそうだ。

金融引き締めとアメリカ経済

アメリカではインフレ率は減速し、実体経済も景気後退入りが予想されているが、それでもFed(連邦準備制度)は利上げを止めようとしていない。

Fedの経済予想については以下の記事で説明した通りだが、Fedは来年までに5.1%まで利上げをして、それでも経済成長率は0.5%までしか落ちないと予想している。

マイナード氏、中央銀行の経済予想の矛盾を指摘

この予想についてマイナード氏はこう述べている。

わたしはいつもデータに基づいて話をする。

そしてここで持ち出すことのできる過去のデータの1つは、Fedの経済予想は常に間違ってきたということだ。

それは事実である。2018年にはパウエル議長は金融引き締めを行ない、それは株価には影響を与えないと主張した。そして株価は暴落した。

世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)


2021年にはパウエル氏はインフレは一時的だと主張した。そして物価は高騰した。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ (2021/7/18)


パウエル氏にせよ黒田氏にせよ、こういう連中の経済予想をいまだにまともに受け取っている人がいること自体筆者には驚きなのだが、人には信仰の自由がある。

日銀がYCC変更で長期金利の上昇を許容、日本も金利上昇による景気後退へ


だが投資家は現実に向き合う必要がある。実際にパウエル氏が言うように金利が5.1%まで上がれば経済はどうなるか? マイナード氏は次のように言う。

Fedが言う通り、本当に金利が5.1%まで上がるのであれば、実体経済はかなり厳しい景気後退に入るだろう。

マイナード氏の米国株予想

その時株価はどうなるのか。

株価の基本は1株当たり利益と株価収益率である。株価は以下の式で計算できる。

株価 = 1株当たり利益 x 株価収益率

つまり、1株当たり利益と株価収益率が分かれば株価の予想ができるということである。

まず1株当たり利益についてマイナード氏は次のように述べている。

インフレ圧力によって企業の費用が上がること、消費が落ち込むことを考えれば、S&P 500の1株当たり利益が10%下落することは簡単に考えられる。

そうなれば利益は220ドルから200ドルになる。これでも緩やかな下落だ。

筆者の推計では実際にはもっと下がるだろう。だがマイナード氏はあくまで甘く見積もり、最良のケースで株価がどうなるかを考えている。

1株当たり利益が出たならば、あとは株価収益率である。マイナード氏は次のように続ける。

そして景気後退時における平均的な株価収益率を考えよう。例えば15倍だ。そうなれば、S&P 500は3,000ドルになる。もっと甘く考えて16倍にしてもいいが、それでも現在の水準から遠く離れている。

株価収益率が16倍でも3,300ドルになるが、現在のS&P 500の水準は3,878ドルである。

3,000ドル、3,300ドルという水準を現在のS&P 500のチャートで見てみよう。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2022/12/2022-12-22-s-and-p-500-chart.png


結論

マイナード氏は次のように纏めている。

現在の季節的な上げ相場と、6週間前のFOMC会合から続いている安心感による上昇相場が終われば、株式市場はダウントレンドに戻るだろう。株価はまだ底値に達していない。

筆者の計算でも株価はまだ下がることになる。だが難しいのは株価収益率の計算である。株価収益率は長期金利とインフレ率、投資家のリスク選好度に影響される。

一方で政策金利の予想や、金利に直接影響されるドル円レートの予想は、株価の予想よりも理論的に決まる。

現状では筆者は2年物米国債の金利低下とドル円の空売りに賭ける方を好んでいるが、それぞれの戦略がどう出るだろうか。2023年を楽しみにしたい。

アメリカは2年以内に利下げする、2年物国債の買い開始
日銀の長期金利の実質利上げを受けてドル円の空売りを開始


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32062

28:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2022/12/23 (Fri) 02:25:21

マイナード氏、中央銀行の経済予想の矛盾を指摘
2022年12月21日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32035

日銀の決定が間に挟まったが、アメリカの金利に話を戻そう。Guggenheim Partnersのスコット・マイナード氏がBloombergのインタビューで来年以降のアメリカ経済と金融政策について語っている。

インフレ減速と利上げ

アメリカのインフレ率は急減速を始めているが、Fed(連邦準備制度)は利上げを強行するとの立場を崩していない。

11月アメリカのインフレ率は急減速継続で7.1%、ドル安加速へ
それが12月のFOMC会合の結果だった。

12月FOMC会合結果: ますます曖昧になるパウエル議長、金利はインフレ次第へ
そこまでは既に報じていることだが、今回はこの時に発表されたFedの2023年の経済予想について論じてゆきたい。

かなり無理のあるFedの経済予想

利上げを実行している(せざるを得なくなった)とはいえ、2021年に著名投資家がこぞってインフレの脅威を警告していたなか、「インフレは一時的」と言い続けたFedの予想には今でも変わらずかなりの無理が生じている。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ (2021/7/18)
例えばFedによる2023年のアメリカの実質GDP成長率予想である。マイナード氏は次のように述べている。

(Fedの予想している)0.5%の経済成長は多分過度な楽観だろう。

何故か。それはFedの予想している他の数値と一緒にこの予想を並べてみれば分かる。マイナード氏はこう続ける。

これから金融政策がどれだけ引き締め的になるかということについて彼らが言ったのは、政策金利が来年の末までに5.1%まで上がり、一方でインフレ率は3.1%になるということだ。

これは、何と言うか、かなり引き締め的だ。

現在7%台のインフレ率が3.1%まで下がると予想しながら、政策金利の方は5.1%まで上げると言っているのである。

少しでも経済の知識がある人が読めば、この時点でFedの予想は絶対に実現しないということが分かる。現在の政策金利は4.25%だが、それでも十分引き締め的だから今インフレ率が急落しているのである。

そこからインフレ率が3.1%まで下がった時に更に政策金利を上げるというのがFedが自分で発表している予想である。それは無理である。気の利いた記者がいて、パウエル議長に記者会見の場で聞いてみれば、流石の彼もそれを認めざるを得なくなるだろう。

2023年の経済予想

だから実際にはそれは起こらない。実際にどうなるかと言えば、インフレが収まらず政策金利が上がるか、インフレが収まって政策金利はむしろ下がるか、少なくともそのどちらかであり、インフレが収まって金利が上がるというシナリオはない。それは有り得ない。

ちなみに筆者はインフレ減速が継続し、Fedが政策金利の見通しを下方修正すると予想しており、今後の政策金利の見通しを織り込んで推移する2年物国債の金利低下に賭けている。(短期債のトレードは当然レバレッジを掛けている。)

アメリカは2年以内に利下げする、2年物国債の買い開始
マイナード氏はどうか? 彼もジェフリー・ガンドラック氏とともにインフレ減速前から経済に弱気だった論者の1人であり、実体経済については弱気予想を継続しているようだ。彼は次のように述べている。

われわれの推計によれば、インフレを抑制するためにどれだけの犠牲が必要かと言えば、失業率は恐らく今後2年ほどで2%上昇ほど上昇することになるだろう。

アメリカの失業率は現在3.7%である。これは意図的なインフレによって人工的に押し下げられた失業率なので、インフレが終わると必然的に上がってゆく(つまり人々が失業してゆく)ことになる。詳しくは経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏の議論を参考にしてもらいたい。

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
実際、1970年代の物価高騰では、当時のポール・ボルカー議長がインフレが本当に収まるまで引き締めを行なった結果、大量の失業者から悲鳴が上がった。

ポール・ボルカー氏、1980年のインフレ打倒がどれだけ厳しかったかを語る
愚かな政治家とその盲目の支持者たちが引き起こしたインフレの後始末とはそういうことである。

ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由
結論

ということで、2023年のアメリカ経済は酷いことになる。利上げが行われた日本も同じようになるだろう。

日銀がYCC変更で長期金利の上昇を許容、日本も金利上昇による景気後退へ
経済見通しがこれほど酷いにもかかわらず、パウエル議長がタカ派姿勢を崩さないのは何故か。筆者も以前説明したが、マイナード氏はこう言っている。

彼らがかなりタカ派的な姿勢を取らなければならなかったことは元々分かっていた。そうしなければならなかった理由は、直近6週間で金融市場の状況がかなり劇的に緩まったからだ。

株価はかなり上がり、金利は大きく下がった。Fedはそれに介入しなければならないと感じたのだろう。経済が勢いを取り戻しインフレの問題が再発するのを避けるためだ。

市場がインフレ減速と利下げを予想して長期金利が下がってしまえば、それ自体(低金利)がインフレ再発の原因となってしまう。

だからパウエル氏はそう言わざるを得ない。 だが2023年の政策金利は彼の言う通りにはならない。投資家は背景を読まなければならないのである。

アメリカは2年以内に利下げする、2年物国債の買い開始

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32035
29:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2022/12/29 (Thu) 15:49:13

2023年著名投資家の相場予想まとめ: 株式、ドル、金利、インフレ率
2022年12月28日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32284

12月21日に亡くなったスコット・マイナード氏の最後のインタビューを訳し終わってしまったので、2023年の著名投資家や専門家の金融市場予想について纏めておこうと思う。2022年は物価高騰やウクライナ情勢など激動の年だったが、2023年はどうなるだろうか。

2023年の金融政策

2022年の金融市場を一言で言い表わせば、インフレと金融引き締めの年ということになるだろうか。物価高騰を抑えるための利上げと量的引き締めで株式市場は下落した。

だがその効果が2022年の秋には実体経済に出始め、アメリカのインフレ率は急減速を開始している。

11月アメリカのインフレ率は急減速継続で7.1%、ドル安加速へ
まずはこのインフレ急減速を的中させた2人の2023年の相場観から紹介しよう。

2023年のインフレ率の推移予想

インフレ率の動向については専門家の予想が分かれていたが、急減速を予想し的中させたのは債券投資家の2人だった。

Guggenheim Partnersのスコット・マイナード氏とDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏は、債券市場が長期金利の低下などのデフレシグナルを発していたことなどを理由にインフレ減速を予想していた。

ガンドラック氏の2022年9月のコメントを掲載しよう。

ガンドラック氏: 米国経済は風前の灯、金融引き締めをスローダウンすべき (2021/9/9)


債券市場と経済学者のコンセンサスとが意見を違えるとき、債券市場の方が正しい。そして債券市場は金利は上限に達したと言っている。

そして実際にインフレ率は減速を始め、投資家は利上げの上限について議論を始めている。

インフレ率は今後どうなるのか。インフレ率の推移を予想的中させた2人の予想はこうである。ガンドラック氏はインフレ率は現状の7%(2022年のピーク時は9%)から2023年の半ばまでに4.1%まで下落すると予想し、マイナード氏は3.1%というFedの2023年末のインフレ率予想を高いと言っている。

ガンドラック氏: インフレ率は4.1%まで下がりアメリカは利上げ出来なくなる
マイナード氏: アメリカはあと半年で利下げを余儀なくされる
2人のインフレ率予想によれば、インフレ率は現在の状況から2023年末には目標値である2%付近まで急降下するということになる。

インフレは根強く利上げが必要と主張していた経済学者のラリー・サマーズ氏も、最近のインフレ率急落を受けてインフレ率下落シナリオを支持しているから、2023年のインフレ率下落は専門家のコンセンサスと言って良いだろう。

サマーズ氏: インフレ率は下落する
インフレ率が下がること自体は良いことだが、ガンドラック氏などはFedが利下げをしない限りインフレ率の急落は2%では止まらないと言っている。彼は都合よく丁度2%で止まると予想している中央銀行家などに対してこう言っていた。

ガンドラック氏: 中央銀行のインフレ率予想は人間が想像可能な中で一番馬鹿げた経済予想
インフレ率が9%が2%まで極めて急速に下落するならば、下方向に行き過ぎると考えない理由が何かあるだろうか?

何故2%で止まるのか? そこに何か魔法でもあるのか?

インフレ率がピークから7%以上急落すれば、経済成長率も少なくとも同じくらい下落するだろうから、ガンドラック氏とマイナード氏のシナリオはインフレと景気後退が同時に起きるスタグフレーションというよりは、純粋なデフレ不況ということになるだろう。

アメリカは2023年に利下げへ

インフレ率の急落を予想した後に考えるべきなのは、政策金利がどうなるのかということである。

Fedは現在、5%以上への利上げ継続を表明している。だがインフレ率が急落していることを踏まえ、ガンドラック氏はこう言う。

ガンドラック氏: インフレ率は4.1%まで下がりアメリカは利上げ出来なくなる
政策金利が5%以上に上がるとは思えない。

記事では引用しなかったがマイナード氏は次のように言っていた。

政策金利は5%以上になるかもしれないが、そこに長く留まるとは思えない。

そしてどちらにしてもマイナード氏はその後の利下げを予想している。彼は以下のように言っている。

マイナード氏: アメリカはあと半年で利下げを余儀なくされる
2023年後半にかけての何処かのタイミングで、Fedはインフレが自分の予想よりも早く減速していることに気付くことになる。そして利下げに傾いてゆく。

2023年のドル相場予想

利下げになれば真っ先に頭に浮かぶのは、2022年に話題になったドル高がどうなるかということである。

2022年、アメリカの利上げを受けてドルは全面高の状況となっていた。高金利に惹かれてドルを買いたがる投資家がドル相場に集まっていたからである。

だがドルの金利が下がるということであれば、話は変わる。

ドルについて思い出すべきは、2022年6月のスタンレー・ドラッケンミラー氏のコメントである。

ドラッケンミラー氏: 今後6ヶ月でドル空売りへ (2022/6/20)
為替市場は非常に興味深いと思う。為替相場ではまだ大したことはやっていないが、今後6ヶ月のいつかのタイミングで自分がドルを空売りしていなければ驚くだろう。

ここでは言うまでもないことだが、ドラッケンミラー氏はクォンタム・ファンド在籍時にポンド危機においてポンド空売りを成功させたことで有名である。為替取引は彼の十八番だろう。

そしてその後、ドル円は実際に6ヶ月以内にピークに達した。ドル円のチャートは次のようになっている。


アメリカで金利低下が継続するならば、ドル安トレンドも継続するということになるだろう。

そもそもインフレはアメリカで現金給付が原因で始まったことであり、インフレとはドル紙幣の価値下落のことなのだから、本来はドル安で作用すべき要因だった。何故それが2022年後半まで遅れたのかということについては、以下のサマーズ氏とレイ・ダリオ氏の論争が参考になるだろう。

ダリオ氏とサマーズ氏のドル下落に関する論争
2023年はインフレでドル紙幣が減価した分のドル安が一気に来る年になると筆者は予想している。

日銀の長期金利の実質利上げを受けてドル円の空売りを開始
2023年株式市場の推移予想

さて、利下げとドル安予想まで議論したので、次は株式市場の番だろうか。2022年の米国株は結局下落のまま終わった。


株安は継続するだろうか。マイナード氏は1株当たり利益と株価収益率の低下というシンプルな根拠で2023年の株価下落を予想していた。

マイナード氏の米国株の推移予想: 利益と株価収益率の下落で2023年は暴落へ
マイナード氏はこの予想で企業利益を10%の下落と見積もっており、その上で株価は10%から20%の下落になると言っている。だが実際には企業利益はもっと下がるのではないか。

マイナード氏は年末に株価が多少上がったことについて次のように述べていた。

現在の季節的な上げ相場と、6週間前のFOMC会合から続いている安心感による上昇相場が終われば、株式市場はダウントレンドに戻るだろう。株価はまだ底値に達していない。

また、長期の視点で言えば、ドラッケンミラー氏が次のことを根拠に米国株の40年間の長期上げ相場の終了を予想している。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
1982年から始まった金融市場の上げ相場は、特に直近の10年においてブーストされたが、それを生み出したすべての要因は、無くなっただけではなく、逆流している。

米国株は40年間上げ続けてきた。この事実に注目する人は多いが、にもかかわらず米国株が40年上がってきた原因について考える人はほとんどいない。

それは1982年から始まった低金利政策による長期株価上昇トレンドだったのである。

そしてそれはインフレの発生によって終焉を迎えた。短期的な利下げはあるだろうが、もはや長期的な金融緩和はできない。やってしまうとインフレが再発生し、その度に金融引き締めを行わなければならなくなる。その度に株価は下がるだろう。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
この事実は特に長期の株式投資家にとって重要である。また、米国株に投資する日本の投資家にとっては更に悪いことに、これからドルは下がる。

相場について何も知らない金融庁(彼らが何も知らないということさえ一般の投資家は理解していない)の言うことを聞くのか、ドラッケンミラー氏のような本当の専門家の言葉に耳を傾けるのか、2023年、投資家はもう一度考えてみるべきだろう。

「株式の長期投資はほぼ儲かる」という幻想は金融庁の「基礎から学べる金融ガイド」から来た
2023年、アメリカは緩和転換するのか?

さて、最後に議論するのは2023年に実体経済が大惨事になってからの話である。

残念ながら、インフレが減速した後に実体経済が大惨事になるということはマクロ経済学的に不可避である。20世紀最大のマクロ経済学フリードリヒ・フォン・ハイエク氏はこう言っていた。

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
失業はインフレが加速をやめたときに、過去の誤った政策の帰結として、非常に残念だが不可避の結果として出現せざるをえない。

コロナで沈んだ経済を現金給付で無理矢理浮揚させようとしたツケがこれから一気にやってくる。

ガンドラック氏の景気後退予想: 現金給付のツケを払うことになる
だから2023年はインフレ減速とともに大量失業と大不況の年になる。

問題は、実体経済がそこまで悪化した時に中央銀行がどうするかである。

ここで紹介している専門家たちの意見では、パウエル議長が金融引き締めをやり遂げるということに懐疑的な意見が多いようだ。ドラッケンミラー氏は次のように述べている。

ドラッケンミラー氏: 経済が強い時に引き締めを続けるのは簡単だが
労働市場が強い状態で中央銀行が正しい方向に行くことは簡単だ。ハードランディングになれば彼らはどうするか見てみよう。彼らが銃撃を止めなければ良いのだが。

サマーズ氏は、インフレ退治をやり切ると言いつつもハードランディングや失業率の大幅上昇などを予想しない(予想したくない)パウエル議長について次のような例えを使っていた。

サマーズ氏: パウエル議長のインフレ退治が本気かどうか疑う理由
例えばわたしがニューヨークでマンションを買うと言えばあなたは信じてくれるだろうが、50万ドルしか払う気がないと言えば、あなたはわたしが本気かどうか疑い始めるだろう。

インフレの本番はインフレ減速後に不況が起こってからである。それがインフレ政策の最大の弊害である。

ハイエク: 緩やかなインフレが有益であるという幻想
その時にFedが大規模な緩和に転換するならば、市場経済では何が起こるだろうか。

クォンタム・ファンドを創業したジム・ロジャーズ氏はFedがインフレ退治をやり切るということを信じておらず、インフレ第2波の発生をメインシナリオとしている。

ジム・ロジャーズ氏: 景気後退で紙幣印刷再開、インフレ第2波へ
そしてそうなれば金価格は高騰するだろう。リーマンショックを予想し巨額の利益を上げたジョン・ポールソン氏などは金価格高騰を予想している。

ジョン・ポールソン氏、インフレ第2波で金価格高騰を予想
結論

ということで、2023年の著名投資家らによる相場予想を纏めてみた。読んでの通り、この中で一番重要なのはマイナード氏の利下げ予想である。

マイナード氏: アメリカはあと半年で利下げを余儀なくされる
そのマイナード氏の声がもう聞けないというのはあまりに惜しい。

スコット・マイナード氏、心臓発作で死去 63歳


また、ここでは取り上げなかったが2023年はBridgewaterのレイ・ダリオ氏の復活を期待したいところである。

世界最大のヘッジファンド、インフレ減速を予想できず大損の模様


読者も自分のポートフォリオと彼らの意見を比較してみてほしい。 2023年が良い年になることを祈っている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32284
30:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/05 (Thu) 20:56:35

ドル円チャートに2018年世界同時株安やリーマンショック時と同じ株価暴落の兆候あり
2023年1月5日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32531

年始早々、ドル円の動きに非常に面白い兆候が表れているので紹介したい。やはり2023年の世界経済は酷い状態になりそうだ。

ドル円の異変

まずはドル円の動きを紹介しよう。読者も知っての通り、ドル円は2022年の大きな上げ相場の後、急落トレンドが続いている。ドル円のチャートは次のようになっている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2023/01/2023-1-5-usdjpy-chart.png


読者はこのドル円急落の理由を知っているだろうか?

これは実は難しい質問である。アメリカの金利が下がっているからだろうか? 2022年にはアメリカの金利上昇でドルが独歩高となっていたから、長期金利などが急落していることが逆にドル安を招いているのだろうか。

実は、そうではない。アメリカの金利は下がっていない。長期金利は下がっているのだが、為替相場に影響するのは厳密にはインフレを差し引いた実質金利(の市場予想)である。

そして実はこの期待実質金利は下がっていない。にもかかわらずドル円は下がっている。通常の場合なら実質金利が上がればドルも上がり、実質金利も下がればドルも下がるのだが、昨年終盤からは実質金利が上がっているにもかかわらずドルが下がっているという状況が生まれている。

ドル円のチャートと期待実質金利のチャートを並べると次のようになる。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2023/01/2023-1-5-us-10-year-treasury-inflation-indexed-bond-yield-and-usdjpy-chart.png


ずっと歩調を合わせてきたドル円と実質金利が、2022年終盤に乖離を始めている。

ドル円と実質金利の乖離

ここまで言えば、昔からの読者にはもう分かるのではないか。ドル円と実質金利の乖離は金融危機の兆候なのである。

まず最初に、何故この2つのチャートが今乖離しているのかを説明しよう。

ドル円は下がっているが、実質金利は上がっている。何故実質金利は上がっているのだろうか?

まず、実質金利は以下の式で計算される。

実質金利 = 名目金利 – インフレ率
景気後退が予想されると名目金利が下がる。だが実質金利とは名目金利からインフレ率を引いたものなので、市場が景気後退で長期金利の低下以上のインフレ率低下を予想するとき、実質金利は逆に上がることになる。

一方でドル円は投資家のリスクオフを反映して、実質金利が上昇しているにもかかわらず下がることになる。昔からの読者ならば知っているだろうが、これは金融危機特有の現象である。

例えばアメリカの金融引き締めが世界同時株安を引き起こした2018年には、ドル円と実質金利は以下のように推移している。

世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2023/01/2017-early-2018-us-10-year-treasury-inflation-indexed-bond-yield-and-usdjpy-chart.png


そしてリーマンショックのあった2008年にもこれらのチャートは同じように推移している。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2023/01/late-2007-2018-us-10-year-treasury-inflation-indexed-bond-yield-and-usdjpy-chart.png


結論

こうしたチャートは金融危機に特有の現象である。金融危機というよりは経済危機だった2020年のコロナショックでは、チャートはまた別の動きをしている。

したがってこのチャートはリーマンショック時のように、金融引き締めが実体経済に深刻なダメージを与え始めていることを示していると筆者は考えている。

少なくとも2008年にも2018年にもこの現象は株価の暴落を伴った。筆者は現在株式の空売りをしていないが、この現象が起きる時にはドル円が下落し、アメリカの(名目)金利は下がることになるので、筆者はドル円と短期金利の下落に賭けている。どちらにしてもリスクオフである。

アメリカは2年以内に利下げする、2年物国債の買い開始
日銀の長期金利の実質利上げを受けてドル円の空売りを開始
金融市場には様々なシグナルがあるが、ドル円と実質金利の乖離は筆者が一番危険視するシグナルである。株式市場の見通しについては、以下の記事を参考にしてもらいたい。

マイナード氏の米国株の推移予想 : 利益と株価収益率の下落で2023年は暴落へ
2023年の日経平均の推移予想: ドル円下落と金利上昇で二重苦に

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/32531
31:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/21 (Sat) 19:26:41


2023年01月21日
米巨大IT企業に解雇ラッシュ、世界経済危機に身構える

米巨大IT企業にもリストラの時代が来た

1年で金利を20倍上げたアメリカ

アメリカでは景気が良すぎてインフレになり中央銀行FRBが大幅利上げを繰り返し、景気後退つまり不況になると予測されている

その不況の程度が経済危機レベルなのか適温経済になるか議論されているが、間違いなく大不況になると予告する専門家は多い

歴史的に見てアメリカが金利を急上昇させると全世界が不況になる関連性があり、1929年NY発大恐慌からパターンが始まっていました


1929年株価大暴落前の米金利は3.74%で株価下落後は利下げして3.25%になったが、何を思ったのか1932年に4.26%に利上げし傷口を広げた

NY株価の下落は止まるかに見えたが大幅利上げで再度下落が始まり、全世界を大恐慌に陥れ日本とドイツも不況になり起死回生の世界大戦に打って出た

不況下では経済支援のために利下げをし、消費や経済活動を活発にするのがセオリーですが、米政府の信用不安で国債が売れなくなり国家破綻の危機になった


アメリカは国債を売るために利上げをしそれが全世界を大恐慌に巻き込んで第二次世界大戦を引き起こしたというのがスートーリーでした

戦後もアメリカが利上げするたびに世界は不況になるのを繰り返し、2007年に世界経済危機が始まった時もアメリカが利上げしている最中でした

米政策金利は22年2月まで0.25%だったが12月は4.5%になり、インフレ率が低下したとしても5.5%までは上げると予想されています


中央銀行FRBのパウエル議長は22年に「インフレ率と金利が同じになるまで利上げを続ける」とはっきり断言していました

アメリカのインフレ率(CPI)は22年12月に6.5%なので、今後低下したとしても金利と同じ数字になるのは23年半ばに5.5%程度でしょう

22年2月の0.25%とくらべて「20倍以上」の金利になり世界不況を作り出すには十分な数字だと思います


世界経済危機は起きるか?

政策金利は中央銀行が金融などにお金を貸し出す金利で、これを元手に銀行は住宅ローンや信販会社など下位の金融機関にお金を貸します

20倍にはならないものの政策金利が上昇すると住宅ローンや自動車ローンや国債金利やカードローン金利など全て上昇します

仮に給料が同じだとすると金利上昇で生活が苦しくなるので人々は消費しなくなり、商品が売れないので企業は投資を控えリストラを始めます


このリストラの波が米巨大IT企業におよんでいてマイクロソフトは1万人削減を発表し、メタ(フェイスブック)も1万1000人削減します

グーグルのアルファベットも1万人規模のリストラ準備が報じられ、アップルは採用を抑制しアマゾンも1万8000人のリストラを発表しました

世界最大の投資会社ゴールドマンサックスも3000人規模のリストラを発表したが、GSの社員は年収が数百億円だったりします


これらは常勝軍団だった米巨大IT企業が世界経済危機レベルの不況を予測し、先にコストカットし打撃を抑えようとしている

前回の世界経済危機で米IT業界は打撃を受けず、それどころか現実世界のビジネスを次々に横取りして急成長を遂げました

米IT業界は今度やってくる不況を好機とは考えていないようで、ある種のITバブル崩壊を見越しているようにも見えます
https://www.thutmosev.com/archives/89854000.html
32:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/10 (Fri) 22:08:54

米国の長短金利差-1%の意味

債券市場はアメリカ経済のハードランディングを予想
2023年3月10日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34448

2023年の株式市場の動向については様々な専門家が様々な見通しを示している。

ジョージ・ソロス氏や、彼が設立したクォンタム・ファンドを長年率いていたスタンレー・ドラッケンミラー氏は、米国株を買い増しているようだ。

ジョージ・ソロス氏、米国株を大幅買い増し、株高を予想か
ドラッケンミラー氏も米国株買い増し、Amazon.comは全株売却
一方、リーマンショックを予想したジョン・ポールソン氏や去年末のインフレ率急落を予想したジェフリー・ガンドラック氏らは株価に弱気のようだ。

ポールソン氏の2023年株価予想: 倒産が急増し株価は下落する
ガンドラック氏: 年末年始の株価上昇は幻想だった
だがもう1人、意見を聞いていない重要人物がいる。債券市場である。

債券市場の景気見通し

個人投資家の多くには馴染みの薄い債券市場だが、Fed(連邦準備制度)の利上げが2022年の株価を下落させたように金利の水準が株価にとって非常に重要であるだけでなく、1ヶ月物から30年物の国債の金利を眺めるだけでもそれは投資家に多くのことを語ってくれる。

例えば以下は2年物国債の金利である。2年物国債の金利は基本的に今後2年間の政策金利の水準を織り込んで推移する。


現在の政策金利はおよそ4.5%であり、今後5.5%まで上がることが予想されている。

2年物国債の金利はインフレ全体の数字が急落したことから一時下がっていたが、サービスのインフレが止まっていないという最近のデータを受けて再び上昇している。

基本的に金利が上昇すれば株式市場は下落しているが、パニックになっている様子はなく、金利がこれだけ上がってもまだ持ちこたえていると言って良いだろう。

債券市場のソフトランディングに対する意見

金利上昇は大した問題にならないのだろうか? ソフトランディングは可能なのだろうか。こうした問題に対して、債券市場はかなり雄弁に語ってくれる。

例えば2年物国債を、より期間の長い10年物国債の金利と比べてみよう。10年物国債の金利(いわゆる長期金利)は次のように推移している。


2つのチャートを比べてみると、10年物国債の金利は2年物国債の金利ほど上がっていないことが分かる。

長短金利逆転の拡大

これは何を意味しているか。10年物国債の金利から2年物国債の金利を引いたものを一般に長短金利差という。そして長短金利差は今後の景気見通しを占う上でよく用いられる指標である。

一般に長期金利が下がる場合、経済が弱まることを意味している。長期金利は理論的にはインフレ率と経済成長率を織り込んで推移する。経済が弱ければ一般に金利が低くなるからである。

だが一方で、今のように経済が弱くなってもインフレ退治のために金利を上げなければならない状況では、長期金利が高くても単に今後10年の金利が高くなることを意味しているかもしれない。

そこで用いられるのが長短金利差である。直近の政策金利が高くなることは2年物国債の金利に織り込まれる。だがその高金利によってより長期の経済が停滞する場合、10年物国債の金利は2年物国債の金利よりも低くなる。(つまり長短金利差がマイナスになる。)

2022年に大きな利益を出した筆者のトレードは、株価の下落を予想したことのほかに、この長短金利差がマイナスになることを予想した取引だった。

長短金利逆転を予測できた理由と今後の不況と株価暴落について
そしてその後長短金利差がどうなっているかと言えば、インフレ率急落も気にせず下がり続けている。


ほぼマイナス1%である。

長短金利差-1%の意味

長短金利差がここまで下がったことは40年前の物価高騰時代である1970年代以降例がない。

そして1970年代にはアメリカ経済はかなり厳しい景気後退に陥り、米国株はほとんど半値まで暴落している。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
当時の利上げによるインフレ退治の結果が大量の失業者を生んだことは、それを断行したポール・ボルカー議長が以下の記事で語っている。

ポール・ボルカー氏、1980年のインフレ打倒がどれだけ厳しかったかを語る
長短金利の逆転は、今のアメリカの利上げがそういう事態を生むことを予想しているのである。

結論

現在市場が懸念しているサービスのインフレ(そしてそのコストとなっている賃金のインフレ)が止まるかどうかは、当たり前だが結局のところ賃金が下がってアメリカの消費者が苦しむかどうかにかかっている。

だからインフレが落ち着くとすれば、ソフトランディングはほとんど定義上あり得ない。サービスのインフレが落ち着くためには、賃金が下がらなければならない。これはほとんど同語反復である。

サービスのインフレだけひとりで上がり続けるのか
現在の株式市場の水準はソフトランディングにならなければ維持できない。S&P 500のチャートは以下のように推移している。


長短金利差のチャートとこの米国株のチャート、どちらかが完全に間違っている。そして株式市場と債券市場の意見が異なる場合、正しいのは大体の場合より理性的な債券市場である。

金利は今のところ高止まりしているが、 株価が大きく下がるならば、結局金利も下がってゆくだろう。そうなればドルも下がることになる。

それが結局のところ筆者の2023年の相場予想である。読者はどう考えるだろうか。

2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34448
33:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/12 (Sun) 12:25:09


今年不況に陥る可能性は94%、米利上げで世界不況へ
2023.03.12
23年は世界的な不況になる可能性が高い


23年の世界経済は悪化する

日本経済研究センターは半年先の景気後退確率を毎月発表していますが、ずっと90%台の高い確率で張り付いています

米格付け大手S&Pは3月に日産自動車の格付けをジャンク級に引き下げたが理由は日産自身ではなく欧米の景気後退で自動車が売れなくなるからでした

中国はゼロコロナ政策の終了でV字回復が予想されているが23年2月の物価上昇率は前年比1%に過ぎず、L字回復になるかも知れません

日本企業の主要市場である日米欧中すべて不況が予想されているので、23年の日本の景気はかなり悪化すると予想されています

新興国や後進国の成長率は先進国よりは高いが彼らは経済規模が小さいので、ベトナムやフィリピンの成長率が高くても救いにはならない

世界的な不況の連鎖を引き起こしている始まりはアメリカの利上げと考えられ、米政策金利は23年に6%台になると予想されています

アメリカは22年に最大時のインフレ率が前年比10%になり、利上げによってインフレ率を下げようとしたが苦戦している

2月のCPI(消費者物価指数)は前年比6.4%、前月比0.5%上昇で先月の0.1%上昇より加速してしまい、またFRBがインフレに負けたのが分かった

22年の秋ごろだったかFRBの責任者は「政策金利をインフレ率と同じにする」と明言していて、その通りなら今米金利は6.4%でなくてはならない

だが利上げは景気後退をもたらすので政治的に反対する人が多く、FRBは「あるべき金利」にできず、23年3月は4,75%に留まっている

リーマンショックを始めとする世界的な経済危機は米国が利上げする過程で起きているが、6%は世界経済危機を引き起こすのに十分です

2010年にリーマンショックが終息してアメリカの超低金利で世界にお金が供給され、中国も新興国もアメリカが供給したお金で経済成長した


富裕層消費で米インフレ率が下がらない
利上げはお金を回収する事なので外貨による借金に依存している国は米利上げで緊急事態に陥るでしょう

2007年から2010年の世界経済危機で中国が最大の利益を得たが、今回は打撃を受ける側になるかも知れない

最近中国は日米欧など先進国と対立し経済制裁を受けているが、2008年頃は先進国から歓迎されて救世主のように崇められていた

新たな世界経済危機が発生しても先進国は中国への制裁を強化するので、2008年頃とは事情が違い中国は苦戦するかも知れない

2008年に中国がアメリカや欧州へ数兆円規模の投資を発表したら大歓迎されたが、今は安全保障懸念で拒否されます

FRBは利上げを鮮明にしているがインフレ率が下がったら「利下げ」をするとも言ってるので、今回は2008年時ほど深刻にならない可能性もあります

その場合多くの国は循環的な不況に陥り脆弱な国は経済破綻するが、数か月で負の連鎖は止まり回復するでしょう

FRBを悩ませているのは皮肉にもアメリカが好景気な点で、富裕層の消費が止まらない為インフレ率が下がらず利上げを迫られている

資産100億円以上の人にとって金利がどうなろうと消費に影響を与えず、 高級ブランドなどを毎日購入しています

中産階級以下のアメリカ人の生活は悪化し続けているのに数パーセントの富裕層の消費が衰えない為、インフレが収まりません
https://www.thutmosev.com/archives/2295638.html
34:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/15 (Wed) 12:04:44

米国の長短金利差-1%の意味
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14093815

ついに始まる世界金融恐慌
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14009793

アメリカの政策金利はこれから 5%以上に上がって世界恐慌を引き起こす
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14009793

40年続いた米国株強気相場が崩壊する、米国株は30年上がらない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14007513

これから起きる超円高によるバブル崩壊と預金封鎖
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14091470




エリオット波動分析では米国株も日本株も今年から大暴落して最高値の1/10まで下がりそうですね。 1929年の大恐慌に匹敵する下がり方ですね:

日経平均1年間のカウントの振り返りとナスダック100とS&P500の進行想定/有川和幸さん 2022/12/19 にライブ配信
https://www.youtube.com/watch?v=MGFhLQnPOf4


日本エリオット波動研究所の相場予測は凄い、宮田直彦のエリオット波動分析はデタラメ
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14081932
35:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/17 (Fri) 06:49:21

世界最大のヘッジファンド: シリコンバレー銀行破綻はドミノ倒しのように伝染する
2023年3月16日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34648

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が、自身のブログにおいてシリコンバレー銀行の破綻について不吉なことを語っているので紹介したい。

シリコンバレー銀行の破綻

主にアメリカのシリコンバレーで営業していたシリコンバレー銀行が破綻した。アメリカの歴史上第2位の規模の銀行破綻ということで話題になっている。

この銀行が何故、どのように破綻したのかについては、筆者が説明した記事を参照してほしい。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
ダリオ氏は主にこの破綻の意味とその後の経済全体への影響について語っている。

まず、ダリオ氏は筆者と同じくこのイベントを起こって当然のものと見なしているようだ。彼は次のように述べている。

これは通常7年(プラスマイナス3年程度)続く短期の債務サイクルにおける非常に典型的なバブル崩壊時に起こる非常に典型的なイベントだ。

彼の言う7年ほどの短期の債務サイクルとは何か。中央銀行や政府が緩和を行ない、最初にはそれで経済が活性化されたように見えるが、それで調子に乗った政府と有権者はますます緩和に入れ込み、そして経済が過熱し始める。そして政府と中央銀行は過熱を冷却するために引き締めを強いられ、バブルは崩壊する。

それまでに大体7年ほどかかる。2000年のドットコムバブル崩壊のあとに始まった低金利政策は、アメリカの不動産バブルを経て2008年のリーマンショックで崩壊した。その後に始まった量的緩和バブルは2018年の金融引き締めによる世界同時株安で終了した。

世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)
そして2020年に始まったコロナ緩和は、緩和の規模がこれまでのものより大きい分、派手に崩壊することになるだろう。

ガンドラック氏の景気後退予想: 現金給付のツケを払うことになる
繰り返されるバブル崩壊

そもそも緩和を止めておけば良いのに、政府と有権者は馬鹿げたバブルの生成と崩壊を繰り返し、その度に不必要に資産を失ってゆく。

世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で人々はリッチになったような気がする
インフレの人為的な醸成は、インフレを抑える段階において本来必要ではなかったはずのコストを経済にもたらす。以下の記事を熟読してみると良い。

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
だがバブルは繰り返す。人間の知性は7年では変わらないからである。しかしサイクルは毎回まったく同じわけではない。ダリオ氏は次のように説明している。

毎回のサイクルでバブルになるセクターは異なっている。例えば2008年のリーマンショックではバブルは住宅用不動産に偏っていた。

そして今はキャッシュフローがマイナスになっているようなベンチャー企業や非上場企業、そして商用不動産会社などの、高金利と金融引き締めが受け入れられないような企業だ。しかし自己強化的な債務縮小トレンドは同じである。

以下の記事で説明したように、シリコンバレー銀行の破綻は顧客であるシリコンバレーのスタートアップたちが金融引き締めで金欠になったことが原因である。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
シリコンバレーにはユーザはいるが収益は上がっていない自転車操業的な企業が大量にある。中央銀行が経済から資金を吸い上げるとき、そういう企業が真っ先に資金難に陥る。

そしてその窮状はその企業の取引先に波及する。シリコンバレー銀行はそうしたスタートアップが金に困り預金を引き出したことで潰れた。

ダリオ氏は次のように述べている。

この事態へのわたしの理解と、これまでの出来事に基づけば、今回のシリコンバレー銀行の破綻は炭鉱のカナリアであり、この初期のイベントはドミノ倒しになってベンチャー業界とその外にまで波紋を広げるだろう。

波及する金融引き締め

このように金融引き締めは波及してゆく。潰れた企業の取引先がまた潰れる。

そしてそれは何処まで続くのか? ダリオ氏は次のように予想する。

金融引き締めが信用の伸びを抑え、インフレは自己強化的な負債と信用の縮小に移行し、それはドミノ倒しのように伝染していって中央銀行が緩和に転じるまで続く。

それは去年から筆者が予想していたシナリオである。

アメリカは2年以内に利下げする、2年物国債の買い開始 (2022/12/17)
そして今回のシリコンバレー銀行の破綻によって市場はそれを織り込み始めた。

シリコンバレー銀行破綻で年内の利下げを予想し始めた金利先物市場
すべて予想通りである。そしてまだ何も終わっていない。まだ始まってさえいない。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
結論

もう何年も言い続けているが、金融引き締めを舐めてはならない。パウエル議長が前回金融引き締めを行なった2018年にも筆者は同じことを言ったのだが、今回も誰も学んでいないようだ。

世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)
今回の金融引き締めは2018年の2倍なのである。

米国の量的引き締め、 今月から2018年世界同時株安の時の2倍の規模に拡大 (2022/9/2)
そもそも張本人のパウエル議長自身が金融引き締めの威力を再び舐めているのだから、もうどうしようもない。政府や中央銀行は紙幣印刷が経済に何を及ぼすのかも理解していなければ、引き締めを行う時にも結果がどうなるのかを理解していない。

現金給付も金融引き締めも同じである。子供に核兵器のボタンを預けてはならない。政治家に経済を任せているとはそういうことなのだが、いまだに誰も理解しないようだ。

ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ
世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34648
36:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/17 (Fri) 08:15:08

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
2022年9月20日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/28426

ジョージ・ソロス氏のクォンタムファンドを率いたことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏が、Palantirによるインタビューでインフレと株価について語っている。

金融緩和のない世界

長らく低金利と紙幣印刷によって押し上げられてきた株式市場が窮地に立たされている。アメリカで行われたコロナ後の莫大な現金給付が遂に2021年からインフレを引き起こし、金融緩和が出来なくなったからである。

マイナード氏: 株価が暴落しても中央銀行はもう助けに来られない
だがこの金融緩和がいつから始まったか、知っている投資家が(もしそれを知らずに投資家と呼べるのであればだが)どれだけ居るだろうか。

ドラッケンミラー氏は次のように述べる。

1982年から始まった金融市場の上げ相場は、特に直近の10年においてブーストされたが、それを生み出したすべての要因は、無くなっただけではなく、逆流している。

2021年まで続いていた金融緩和の時代は、1982年に始まった。それから約40年間、緩和はアメリカの金利を下げ続け、米国株の上げ相場を支えてきた。アメリカの長期金利のチャートは次のようになっている。


リーマンショック以降は政策金利がゼロになってしまったので、紙幣印刷に移行して株価は更に押し上げられた。そしてコロナ後の現金給付がとどめとなり、物価が高騰し始めたのである。

世界最大のヘッジファンド: インフレになって驚いているリフレ派は馬鹿じゃないのか
ドラッケンミラー氏は次のように述べている。

リーマンショック後の低インフレに対応するために行われたゼロ金利と大量の紙幣印刷、つまり量的緩和政策は、ほとんどすべての資産価格をバブルにした。

インフレと金融引き締め

だがインフレが起これば40年間株価を支えてきた金融緩和はもはや出来なくなる。緩和を続ければインフレが更に酷くなるからである。

それどころか、中央銀行は今や利下げと量的緩和の逆をやっている。利上げと量的引き締めである。

米国の量的引き締め、今月から2018年世界同時株安の時の2倍の規模に拡大
中央銀行は緩和を止めただけではない。これまで下げてきた金利を上げ、ばら撒いてきた紙幣を吸収しているのである。

ドラッケンミラー氏は次のように言っている。

今や中央銀行は禁煙した喫煙者のようだ。ポルシェを時速300キロで運転していて、アクセルから足を離すだけではなく急ブレーキを踏んだらどうなるか。

わたしの意見では、1966年から82年のように、最高でも10年間横ばいになる可能性が高い。

「最高でも横ばい」というのは上がる見込みがまったく無いと言いたいのである。彼は今年、株価の下落に賭けて利益を得ている。

ドラッケンミラー氏、株式と債券を大量空売りに成功 株安は続く
1966年から82年の米国株がどうなったかと言えば、次のようになっている。


数字の上では米国株が長らくほぼ横ばいとなった16年間である。その中には株価がほぼ半値落ちとなった1974年の暴落を含んでいる。

横ばいと言うにはジェットコースターな株価の推移だが、実際にはこの期間、米国株は長期で見ても横ばいであったわけではない。

何故ならば、1970年代は物価高騰の時代であり、ドルの実質的価値が暴落した期間だからである。

途中で株価が半分になるような暴落に耐えた結果、最終的には投資した当初と同じ量のドルを何とか確保したとしても、1966年のドルと1982年のドルではまったく価値が違う。紙幣の価値が下がるのがインフレだからである。100ドルで買えたものが100ドルでは買えなくなっている。

では、ドルの価値はこの期間どうなったのか? CPI(消費者物価指数)を使って1966年1月のドルの価値を1とすると、その後のドルの価値は以下のように変化している。


1982年12月までにドルの価値は67%減価している。つまり、株価が横ばいでも実質的にはその価値は1/3になったということである。

現在のインフレは当時よりも酷い

だがアメリカ経済は1970年代の物価高騰からその後復活したではないかという主張もあるかもしれない。しかしドラッケンミラー氏によれば、当時のような幸運はもはやないかもしれない。彼は次のように言う。

当時幸運だったのは、そのような環境でも成功できた会社があったということだ。Apple Computerなども当時創業された。

1970年代のインフレの時代に続く1980年代と言えば、AppleやMicrosoftなどが新商品を出していったIT革命の初期であり、その後もアメリカはIT分野において革新を行ない続けた。

だが今はどうか。Appleを含むスマートフォンメーカーは、毎年バージョン番号だけは変わったが中身は大して変わっていない新商品を出し続けている。

そもそも何故アメリカ経済は紙幣印刷に頼らなければならなくなっているのか。少なくとも当時と同じような産業革命は起こりそうにない。

脱グローバル化による物価上昇

更に、ドラッケンミラー氏は物価を抑えてきたもう1つの要因を語る。

当時はグローバル化の初期段階だった。グローバル化はその後世界を1つにし、生産性を向上させ低インフレをもたらした。

Appleなどが栄えた1980年代は、グローバル化社会の黎明期でもあった。Appleなどは中国や台湾の工場で生産することで安価なスマートフォンを提供している。

経済学者ならば誰もが同意するだろうが、グローバル化は物価を押し下げた。先進国の高給な労働者が作っていた商品は途上国の安価な労働力で作られるようになり、パソコンや自動車など多くの製品の価格が下がった。

それは貿易が自由に出来たからだ。だが今や、ヨーロッパやアメリカや日本は無意味にロシアからの輸入を止めている。

制裁で安くなったロシア産原油、欧米に転売される
ロシア、西側の制裁でルーブルが上がりすぎて困り始める
それはグローバル化がもたらしてきた物価下落の逆回しを意味する。特にロシア産のエネルギー資源や食品に依存していたヨーロッパは日本人には想像できないようなエネルギー・食糧危機に見舞われている。

ドイツの政治家、カーボンニュートラルのために風呂に入らないことを推奨
EU、食料価格高騰の最中、代替食品としてトノサマバッタを推奨
「だがそれはロシアだけではないか」と人は言うかもしれない。だがレイ・ダリオ氏によれば、ウクライナ問題は東西対立の序章に過ぎないようだ。

世界最大のヘッジファンド: ウクライナは世界秩序をめぐる戦争の始まりに過ぎない
彼の見方が正しければ、脱グローバル化によるインフレはこれから加速することになる。そうなれば当然、インフレ率は上昇し、株価を押し下げている金融引き締めも更に強くなってゆく。これは40年前のインフレにはなかったことである。

結論

要するにこういうことである。1970年代と同じ規模の景気後退と株価暴落は不可避であり、他の条件を考慮すれば、恐らくそれよりも酷い状況がこれから長く続く。

資産運用を仕事にしたことさえない金融庁の話はよく聞くにもかかわらず、ドラッケンミラー氏のような資産運用業界で最高の頭脳の話は聞かない人々は、きっと素晴らしいリターンを市場から得るだろう。金融市場とは本当に素晴らしい場所であると筆者は心から考えている。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
ドラッケンミラー氏、 個人投資家の投資スタイルを酷評


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/28426

37:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/18 (Sat) 06:31:56

ガンドラック氏: シリコンバレー銀行破綻でアメリカの景気後退が近づいた
2023年3月17日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34713

筆者の他に金利低下を予想し続け、シリコンバレー銀行の破綻に伴う金利急落で利益を得た人物がいる。DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏である。

CNBCのインタビューからシリコンバレー銀行破綻に対する彼の反応を紹介しよう。

シリコンバレー銀行破綻

以下の記事で説明した通りだが、シリコンバレー銀行は顧客であったシリコンバレーのスタートアップたちがFed(連邦準備制度)の金融引き締めで窮地に追い込まれたことによって破綻した。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
それで少し前までソフトランディング期待まで出ていたアメリカ経済に途端に暗雲が立ち込めている。筆者やガンドラック氏は市場がどうなろうが景気後退に賭けてきたが、市場の方は喜んだり悲しんだり忙しそうである。

ガンドラック氏: 景気後退入りは保証されている
2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない
誰かが言っていたが、市場で勝つためには誰もが酔っ払っている時にしらふでいることである。

長短金利逆転が示唆する景気後退

さて、では実際アメリカ経済はどうなるのだろうか。シリコンバレー銀行破綻を経て見通しは何か変わっただろうか。

解説記事に書いたように、シリコンバレー銀行の破綻自体は、Fedによる未曾有の金融引き締めで既に経済に起こっていた大規模な損失の一部分に過ぎない。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
だがこのイベントを受けて金融市場では様々な動きがあった。そしてガンドラック氏はその中で長短金利差に注目している。

長短金利差とは、10年物国債の金利から2年物国債の金利を引いたものである。

通常は期間が長いほど金利が高いので長短金利差はプラスだが、2年物国債は今後2年の政策金利を織り込む一方、10年物国債は金利とより長期の経済動向に左右されるので、中央銀行が無理に利上げをしてそれが景気後退をもたらすと市場が予想する場合、2年物国債の金利が上がる一方で10年物国債の金利はそれほど上がらず、長短金利が逆転することがある。

そして長短金利が逆転するとき、つまり市場が利上げのやり過ぎを警告するとき、ここ数十年ではほぼ間違いなくアメリカ経済は景気後退に陥ってきた。

以下は長短金利差のチャートである。グレーの部分が景気後退であり、長短金利差がマイナスになってからグレーの部分が現れていることに注目したい。


2022年には筆者は物価高騰がこの状態を引き起こすことを予想し、長短金利の逆転に賭けるトレードを行なって利益を上げたことは読者も知っての通りである。

長短金利逆転を予測できた理由と今後の不況と株価暴落について (2022/4/4)
シリコンバレー銀行破綻で長短金利差に異変

その長短金利差はその後もマイナス幅の拡大を続けたが、シリコンバレー銀行の破綻を受けてこの動きが少し変わっている。

ガンドラック氏は次のように説明している。

長期国債は今、2年物国債よりも価格上昇が小さい。だからイールドカーブは大きく急勾配になったというか、逆イールドの度合いが大きく減った。これはまさに景気後退の最後の兆しで、景気後退が比較的早く来ることを意味している。

過去何十年にわたるすべての景気後退では、長短金利差の逆転が縮小してから数ヶ月で経済は景気後退に陥っている。

長短金利の逆転は、利上げが行き過ぎているというサインである。だが2年物国債の金利が高い水準にある限り、市場はその高い短期金利が持続可能だと考えているということになる。

それはいずれ景気後退をもたらすが、当面は金利は高くなることを意味している。

だが長短金利差のチャートの最近の部分を見ると次のようになっている。


シリコンバレー銀行の破綻を受けて長短金利逆転が急激に戻している。

長短金利逆転が解消するとき

これは何を意味するのだろうか。長短金利が大きく逆転していたときは、2年物国債の金利は政策金利が当面高く保たれることを意味していた。だがシリコンバレー銀行の破綻で2年物国債の金利が大きく下がり、長短金利の逆転は緩和された。

つまり、長短金利差のチャートは元々「政策金利がこれから高くなり過ぎるので長期的には経済が沈む」ことを予想していたが、今や「政策金利を高く保てないほど景気後退が差し迫っている」ことを予想していることになる。

したがってガンドラック氏はシリコンバレー銀行の破綻によって景気後退がいよいよ近くなったと言いたいのである。彼は次のように述べている。

長短金利逆転がピークに達していた先週には、4ヶ月から6ヶ月以内に景気後退が起こる可能性は低かった。

だが逆転が解消され始めている今、4ヶ月から6ヶ月以内の景気後退が妥当に思えてくる。

インフレ政策の結末もいよいよ大詰めである。少し前までソフトランディング期待が囁かれていたことを考えると急展開ではないか。だが経済危機における相場とはそういうものである。短期的な市場の動きに惑わされないよう頑張ってもらいたい。

ガンドラック氏の景気後退予想 : 現金給付のツケを払うことになる
ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34713
38:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/21 (Tue) 02:51:12

世界最大のヘッジファンド、銀行危機の株価暴落と金融緩和への発展を予想
2023年3月20日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34804

シリコンバレー銀行の破綻が世界的な銀行危機へと発展しているが、今日は世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏のブログから、株価と金融政策の予想を書いた部分を紹介したい。

世界的な銀行危機に

シリコンバレー銀行とシグニチャー銀行の破綻に続き、アメリカではファーストリパブリック銀行、ヨーロッパではクレディスイスの危機が話題になっている。

一気に金融危機の様相である。何故こうなったのか? 以下の記事でも説明したが、まず第一の理由は、インフレ対策の金融引き締めの目的そのものが世界に存在する預金の量を減らすことにあるからである。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
もう何度も説明したことだが、現在の物価高騰の本当の原因はコロナ後の現金給付であり、ウクライナ情勢ではない。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
お金をばら撒いてインフレになったのだから、それを解決するにはばら撒いたお金を金融引き締めで回収するしかない。だがそうすれば経済全体に存在する預金の総量(より正確にはマネーサプライ)が減ってゆく。そして銀行は資金不足に陥る。

債券暴落が銀行株暴落に繋がっている

だが銀行の問題はそれだけではない。彼らは預かった預金で債券などの資産を買っている。そして去年には金融引き締めで債券価格は大きく下がった。

ダリオ氏は次のように説明している。

銀行のような金融の仲介者たちは崩壊しつつある資産バブルに対してもっとも大きく信用買いしているので、現在の状況に特に影響されやすい。

信用買い、つまり人から借りたお金で資産を買っていることが問題となる。そしてそれは銀行のビジネスそのものである。

金融引き締めは資金の借り手に大きな影響を及ぼす。買っている資産が暴落する一方で、借りている借金には大きな金利が付いてしまうからである。こう書けば今銀行が危機に瀕している理由が分かるだろう。

だから筆者もずっと言い続けているように、アメリカの歴史上2番目の規模の銀行破綻となったシリコンバレー銀行の破綻は氷山の一角に過ぎない。ダリオ氏も次のように言っている。

現在はまだ経済縮小トレンドの序盤なので、世界中で信用買いされている資産の量を考えると、シリコンバレー銀行の破綻の後に多くの問題が続く可能性が高い。

まだ序盤なのである。問題は始まったばかりであり、何も終わっていないし、何もほとんど始まってすらいない。にもかかわらず巷では大騒ぎになっている。

暴落相場の始まり

これからどうなるか。財政不安に陥ったシリコンバレー銀行のような企業はどういう行動を強いられるか。彼らは保有資産を売って現金を確保することになる。実際、シリコンバレー銀行はそうしたが、現金は結局足りなかった。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
だがここで考えなければならないのは、こうした瀕死の企業が資産をどんどん売れば、資産価格は更に下落するということである。

この問題がどういう結末を迎えるについて、ダリオ氏はいくつか箇条書きにしている。彼は次のように続ける。

多くの経済主体が資産を非常に低い価格で売ることを強いられ、多くの損失が報告され、資金の貸し出しの更なる縮小に繋がる。

この意味で、この暴落トレンドは「自己強化的」なのである。資産価格が下落するほど銀行や企業が窮地に陥り、銀行や企業が窮地に陥るほど資産は更に売られてゆく。

そして株式投資家に重要なのは次の部分だろうか。

株価の価値低下。例えば株価が将来のキャッシュフローの現在価値を保守的に評価した価格よりもかなり低い値段で売られる。

米国株の動向

現在、米国株は次のように推移している。


筆者の計算では、この株価にはまだ現在の高金利どころかこれまでの低金利による底上げ分が乗ったままである。

リーマンショックから10年以上続いた低金利相場では、株価は「保守的な評価」からかなり底上げされた形で取引されてきた。だがダリオ氏は株価が今度は保守的な評価よりもかなり低い値段で売られると言っている。

他のファンドマネージャーの従来からの見方と同じである。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
中央銀行はどう動くか

こうした状況に対してFed(連邦準備制度)はどう動くだろうか。インフレ打倒のためにこれまで続けてきた金融引き締めはどうなるのか?

ダリオ氏は次のように結論している。

問題がシステム全体を脅かし、Fedは緩和、銀行規制当局は資金と信用と保証を余儀なくされる。

これまでは金融緩和よりも金融引き締めが適切のように見えた。だがこれから問題が持ち上がり、Fedと銀行規制当局が救済に動かなければならなくなるまでそれほどかからない可能性がある。

ダリオ氏の結論は緩和である。シリコンバレー銀行の預金者の預金を保護したことが既に緩和になっているというジェフリー・ガンドラック氏の議論もある。

ガンドラック氏、シリコンバレー銀行破綻でインフレ悪化予想
Fedはこの件でGDP1%分の貸付を行なっており、それだけでも結構な額なのだが、それはまだ局所的な緩和である。

それは利下げと量的緩和という本格的な金融緩和に発展し、例えばジョン・ポールソン氏の言うような金価格高騰へと繋がってゆくのだろうか。

ポールソン氏: ドルからの離脱が今のトレンド、資金逃避で金価格上昇へ
ダリオ氏は次のように纏めている。

経済縮小の今の段階ではFedが緩和するには早いが、 システム全体への脅威と救済の副作用のトレードオフが難しくなるにつれて彼らがどうするかを注視しよう。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34804
39:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/04/08 (Sat) 20:37:11

アメリカ経済が縮小するという見方が強まっている
2023.04.08

アメリカには借金も不況も無いと言っているがあります


アメリカに迫る不況の包囲

アメリカ経済が今後失速しアメリカの景気も悪化するという見方が強まっていて、その影響で日本経済も悪化すると予想されています

政府やアナリスト、評論家や著名投資家は1年くらいの間「アメリカに不況は無い」などと否定してきたが、23年3月10日のシリコンバレー銀行破綻をきっかけに労働市場も悪化している

シリコンバレー銀行破綻時もFRBや米財務省は「問題なく対処でき危機に発展しない」と言い続けたが、彼らの説得力は弱まりつつある

銀行破綻をきっかけに金融不安が高まり貸し渋り懸念から投資が減少し、株価が下がり経済を下押しするという負の連鎖が懸念されている

例としてアメリカの住宅ローン金利は22年初めに3%だったが利上げとともに上昇し米銀破綻頃に7%に達し、3月末に6.5%程度になっています

住宅ローン金利は低所得者や中間層に打撃を与えるが資産100億円の人はキャッシュで買うので関係なく、景気悪化で値下がりして買いやすくなっている


同様に米景気悪化は中低所得者には大打撃だが富裕層には無関係なので、今日も高級車やブランド品を買い物価を押し上げています

こうしてアメリカは成長率が低下(23年は1.4%予想:IMF)しているのに物価が上昇し、2月のインフレ率は6.0%と依然として高い

中央銀行FRBは0.25%だった政策金利を22年4月から急激に上げ始め現在5.0%になっているが、銀行破綻などを受けてもう1、2回で利上げを終えるという見方が強い

インフレ率を下げるには利上げが必要だが、不況下で利上げすると日本のように超不況を招くので舵取りが非常に難しくなっている

FRBは次第に打つ手がなくなってきていて、2月雇用動態調査では求人件数が63万2000件減の990万件と2年ぶりの低水準になった

米雇用統計として知られる非農業部門雇用者数は平常時でプラス40万人程度ですが3月は31万人、4月は7日発表なのでもう結果が出ているが大幅に下振れすれば波乱要因になる


アメリカの借金がいくらか誰も知らない
銀行の貸し渋りが顕在化してくると、信用度の低い企業から設備投資を減らし、その影響が米経済全体に波及していく

中でも、これまでの米経済の高成長を支えてきたIT分野における新興企業の資金調達が困難になると、成長分野にブレーキがかかる

米株価のダウ平均は史上最高値だった3万6000ドルから少し下げて3万3000ドルですが、これが大きく下げ始めたら本格的な不況になります

ダウ平均は2020年3月に新型コロナで2万ドルの大台を割り込んだが、その後米政府の数百兆円におよぶ経済対策で息を吹き返し21年末に3万6000ドルをつけた

だがこの超特大経済対策のせいでインフレ率が上がり米国の債務も拡大し、いずれ経済の足を引っ張ると予測できます

21年頃は給付金のおかげで働くより自宅で待機しているほうが収入が多くなった人が大勢いたが、そのお金は全額アメリカの借金になります

アメリカは国全体の債務を公表するのは重大機密として禁じられていて、公表されているのは連邦債務だけ、それも将来支払う年金などを除外してあります

日本政府が言っている日本の借金は、将来支払うお金も政府が直接支払わないお金も、一切合切を政府の借金にひっくるめています

米政府が隠している政府債務のひとつに学生ローンがあり、多くの社会人が学生時代の借金を背負っているが返済困難になっている

学生ローン残高は1兆ドル(130兆円) を超えているがバイデン政権は年収1700万円未満の返済免除を打ち出し、これも結局米政府の借金に付け替えられます

問題は米公的債務の総額を誰も知らない点で、州や民間や証券化などの手法で付け替えられているのでおそらく大統領も把握していない

たとえばアメリカのどこかで新たな高速道路を建設しても、民間企業が建設した事にして公的債務ではない事にし、年金など社会保障でもこういう事をしています
https://www.thutmosev.com/archives/260384s.html
40:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/04/19 (Wed) 09:38:52

忍び寄る世界金融危機 米銀発危機の連鎖 焦点は「信用収縮」
4/18
https://news.yahoo.co.jp/articles/bf456cab7e0660da729ce2e1f2471f2d33ebd19e


米国商業銀行の商工業向け融資基準
https://news.yahoo.co.jp/articles/bf456cab7e0660da729ce2e1f2471f2d33ebd19e/images/000


「週末、ニューヨークと電話会議に追われた。彼らが注視しているのは、ゆうちょ銀行と農林中央金庫だ」

 東京都心のオフィスでそう語るのは米金融業界の関係者だ。3月10日、米シリコンバレー銀行(SVB)が経営破綻した直後から、ニューヨークの本部は邦銀への影響に関心を強めているという。

 同じ頃、『ウォール・ストリート・ジャーナル』やブルームバーグなど英語圏メディアも「SVBと邦銀」を結びつける記事を相次いで載せた。例えばロイターは「SVB事態で邦銀の債券保有が焦点、株価上昇は急停止」というタイトルの15日付記事で、「邦銀は債券を大量に保有する点でSVBと共通する。債券利回りが上がると価格は低下することから支払い能力のリスクを抱える」と伝えた。ブルームバーグは16日、「貸し出しより証券投資に重点を置く農林中央金庫、ゆうちょ銀行、信金中央金庫のような銀行にとって、金利感応度は非常に高い」と、米格付け会社の分析結果を報じた。

 ゆうちょの決算説明資料によれば、2022年末現在、運用資産の34.9%に当たる77兆円を外国債券と投資信託に投資しており、後者については「投資対象は主として外国債券。プライベートエクイティファンド等を含む」と脚注に記す。つまり、77兆円の多くは米国債を含む外国債券だ。農林中金の外国債券も同年9月末現在、24兆円に上る。

 SVBは米国債の多くを満期まで保有するつもりだったが、売却損が膨らんだ。3月上旬、ソーシャルメディアで信用不安が拡散し、顧客の「バンクラン」(取り付け騒ぎ)が破綻の引き金となった。

 ゆうちょは「当行は、SVBと異なり個人預金が大宗であり、一般的には(SVBのような)法人預金や市場性調達に比べて流動性の面で安定的」とした上で、流動性が高い日銀当座預金を中心とした預け金を60兆円超保有していることなどから、SVBとは状況が異なるとする。農林中金も「貯金者の多くは農漁協の組合員(出資者)でもあることから、金庫の預金の属性は(テック企業が多い)SVBと大きく異なり、粘着性も非常に高い」と説明。


米投資信託評価会社モーニングスターのシニア・エクイティ・アナリスト、マイケル・マクダッド氏は「日本でバンクランが起きるリスクは非常に低い」としつつ、こう話す。

「ゆうちょと農林中金は米国債の投資額が大きいため、投資活動に変化があれば、巨大な米国債市場にさえ影響を及ぼし得る。仮に新規投資をやめるようなことがあれば、 債券利回りが上がりかねない。だから米当局も米メディアも関心を持たざるを得ない」

 ◇米銀は融資厳格化

 SVBの破綻後、米地銀のシグネチャー銀行が破綻し、クレディ・スイスが経営危機に陥ってライバル行に救済買収された。信用不安の連鎖は米欧を駆け巡っている。

 三菱UFJ国際投信の荒武秀至チーフエコノミストは「米経済は今までインフレが焦点だったが、信用収縮がきっかけになって潮目が変わろうとしている」とみる。荒武氏が根拠とするのは、米連邦準備制度理事会(FRB)が調べた商業銀行の融資基準だ。最新の今年1月調査分では、大・中堅企業向け融資を「厳格化した」という回答は44.8%、中小企業向けでは43.8%に達した(図)。FRBが金融引き締めを始めてから銀行が融資基準を厳格化するまで1年ほどのタイムラグが見受けられる。次回調査はSVBなどの米銀が破綻した後の4月だ。翌5月発表の次回調査結果で、「融資基準のさらなる厳格化が明らかになるだろう」と荒武氏は見通す。

 FRBは5月、政策金利の上限を現行の5%から0.25%引き上げるという見方が多い。荒武氏は「政策金利を5%までに引き上げたことで名目成長率を超えたとみられる。過去の経験上、利上げ水準がオーバーキル(行き過ぎて景気に悪影響があること)となることが分かっている」と指摘する。

 FRBの利上げから1年。米国債価格の下落が銀行の破綻を誘発し、実体経済を冷やし込もうとしている。世界は再び金融危機に直面するのか。その火種が見え始めたことは確かだろう。
41:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/04/19 (Wed) 11:27:56

世界最大のヘッジファンド、銀行危機がどのように他の業界に波及するかを語る
2023年4月18日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35927

引き続き、Impact Theoryによる世界最大のヘッジファンドBridgewaterのレイ・ダリオ氏のインタビューである。

銀行危機と米国債の下落

前回の記事では、ダリオ氏はシリコンバレー銀行の破綻から始まる銀行危機が単に銀行だけの問題ではないということを説明していた。彼は次のように述べていた。

世界最大のヘッジファンド: 銀行危機は世界経済全体に波及して物価高騰か倒産危機で終わる
シリコンバレー銀行に起こったことは銀行に限らず世界中のあらゆる組織や人に起こったことだ。

問題の根源はFed(連邦準備制度)がインフレ対策で金融引き締めを行なっていることであり、その結果の1つとして、債券価格が世界的に下落している。

シリコンバレー銀行の破綻の一因は、シリコンバレー銀行が保有していた米国債の価格が下落したことだった。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
だが米国債を保有しているのは銀行だけではない。世界中の人々が下落した米国債を持っている。だから世界中で同じ問題が生じているはずである。ダリオ氏はこのことについて以下のように述べている。

彼らが保有している債券は大きく下落している。しかもそれらの資産は借金をして買われており、その資産に酷い損失が生じている。

その損失はどうなるか? ほとんどの場合、それらの資産価値は時価で計算されていない。損失は会計上考慮されず、認識されない。いわば損失は隠されている。

そして彼らは損失はいつか元に戻るだろうという希望的観測を持っているわけだが、それは結局問題を生む。

そして破綻のニュースがまた世界の何処かから聞こえてくるわけである。

世界最大のヘッジファンド: シリコンバレー銀行破綻はドミノ倒しのように伝染する
銀行危機は何処に波及するか

では具体的にどのような場所に影響が出るのか? ダリオ氏は次の破綻の舞台となる業界についていくつかあたりをつけている。

例えば商用不動産である。彼は次のように述べている。

債券価格の下落でダメージを受けている銀行は、更なるローンの組成を避けるだろう。だがこういうローンは例えば不動産、特に商用不動産向けのものだ。

コロナ後に商用不動産が使われなくなったことなど様々な要因もあり、商用不動産には問題が生じるだろう。

2008年のリーマンショックは住宅不動産の問題だったが、ダリオ氏によれば今回はオフィスや商業施設などの商用不動産に問題が生じるそうだ。

更に、ダリオ氏はスタートアップや非上場企業に投資するファンドにも次のように言及している。

更にこうした融資はベンチャーキャピタルやプライベートエクイティ(訳注:非上場企業に投資するファンド)などにも行っていたが、彼らもキャッシュフローの問題に直面するだろう。

こうした資金の流れはもはや以前と同じようには行かない。

資金の枯渇は労働市場に影響する

このように、銀行危機が様々な方面に波及すれば、それでダメージを受けた企業と関係している人々が更にダメージを受けることになる。まさにドミノ倒しである。

ダリオ氏は次のように続けている。

そうなれば彼らは様々な方法でコストカットを行うことになる。

だから労働市場には変化が起きている。ハイテク企業など資金の流れが細っている業界では雇用削減が行われている。そしておおよそ同じことが世界中で起こっている。

企業にお金がなくなれば、起こることは人員削減である。

だがそれも一度にすべての企業が行うわけではない。先に影響を受ける企業が先に雇用削減を行う。だからハイテク企業のリストラがニュースに大きく出る一方で、経済全体の状況を反映した雇用統計にはそれほど影響が表れていない。アメリカ失業率はまだ低い水準にある。

3月のアメリカ失業率低下はアメリカ経済終了のサイン
だがコストカットにしても人員削減は最後の手段である。一度切った人は戻って来ないから、企業はまず出来るだけ他の方法でコストを減らそうとする。それでもどうにもならなくなったら最後に人員削減を実行するのである。

結論

だから、ハイテク企業など高金利の影響を受けやすい企業だけが人員削減を行なっている間はまだ問題が表面化していないのである。

多くの企業が人員削減に取り組み始め、それが失業率に反映され、失業率が実際に上がってきた時にはアメリカ経済は既に手遅れの状況になっているだろう。

ちなみに商用不動産の債券については債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏が下落していて安いとして買い推奨をしていた。

債券王ガンドラック氏が奨める2023年の債券投資戦略 (2023/1/26)
ダリオ氏とどちらが正しいだろうか。楽しみに結果を待ちたい。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35927
42:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/04/20 (Thu) 09:16:27

世界最大のヘッジファンド: ドルが基軸通貨から滑り落ちる理由
2023年4月19日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35956#more-35956

引き続き、Impact Theoryによる世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏のインタビューである。

インフレとドル高

今回はダリオ氏がドルの長期見通しについて語っている部分を紹介したい。

コロナ後、アメリカの通貨ドルはインフレにもかかわらず大きく上がった。インフレ対策でFed(連邦準備制度)が大規模な金融引き締めを行なったからである。

だがここには矛盾がある。インフレとはそもそも紙幣の価値が下がることなのだから、インフレでドルの価値は下がらなければおかしい。

だが2022年にFedが金融引き締めを行なって以来、ドルはむしろ多くの通貨に対して上がった。

しかしインフレによる本質的な価値減少は存在している。だがそれがドルに襲いかかるまでには時間差がある。以下の記事で論じている。

ダリオ氏とサマーズ氏のドル下落に関する論争
基軸通貨としてのドル

だが今回ダリオ氏が話題にしているのはドルに関する金利やインフレ率以外の要因である。

第2次世界大戦以後、ドルは基軸通貨として使われてきた。基軸通貨とは、世界中で多くの国に決済や預金に使われる通貨のことである。一般に原油などの貿易は、アメリカとは関係のない2国間で行われる場合にも慣習としてドル決済されている。

それがドルの長期的上昇に繋がってきた。ドルの強さはアメリカがどれだけドルを刷っても続いてきた。アメリカがドルをばら撒いても、世界中で決済や預金のためにドルを買おうとする人々が居たからである。

だが多くの識者が指摘しているように、それがウクライナ情勢以後揺らいでいる。

ポジャール氏: 世界の資金がドルから逃避している
ポールソン氏: ドルからの離脱が今のトレンド、資金逃避で金価格上昇へ
1つの理由は、アメリカがロシアに対してドルを使って経済制裁を行なったからである。ダリオ氏は次のように述べている。

アメリカの最大の武器は、軍事力を除けば、経済制裁だ。経済制裁とは資産を凍結することだ。例えば債券だ。

ロシアにそれが起きた。そして中国のような他の国にも同じことが起きるリスクがある。

ロシア政府のみならず、一般のロシア人もドル資産を凍結されたり船などの資産を接収されたりした。

そしてアメリカは自分の対ロシア戦争に他の国をかかわらせるべく、制裁に加わらない無関係な国々を制裁をちらつかせて脅している。

ダリオ氏はこう続ける。

だから他の国々は考えている。アメリカの債券を保有していれば、同じことが自分にも起きるのではないか。そもそも自分は何故貿易を直接決済せずにドルという第三者の通貨で決済しているのか?

それはとても良い質問ではないか。そもそも何故ドルを使っていたのか。ダリオ氏は次のように言っている。

大量の米国債を保有している中国人がどう思うか考えてほしい。ロシアと同じように扱われるのではないかとわたしなら心配する。ドルは安全な資産として持っておきたいようなものではない。

当たり前の話である。だが西洋の人々は他国にバッタを食べることを強制して嫌がられないと思うくらいなのだから、ドルを押し付けたくらいでは物怖じするわけがない。

EU、食料価格高騰の最中、代替食品としてトノサマバッタを推奨
だが無関係の国々はそっと彼らから距離を置こうとする。

ダリオ氏はこう続ける。

2つの国、例えばサウジアラビアと中国が貿易をするとき、何故ドルで決済する必要があるのか? そもそもドルで決済すべき良い理由がない上に、今やドルを保有すれば制裁されるリスクがある。

だからこうした貿易はますます他の通貨で決済されるようになるだろう。

気づいてみればそれが普通だと分かる。大多数の人々が単なる紙切れに過ぎない紙幣に何らかの価値があると思いこんでいるように、誰も当たり前を疑わない。

だからサウジアラビアと中国の貿易に、何故かまったく無関係であるはずのアメリカの通貨が使われていることに誰も疑問を抱かなかった。

だが人々はそこに疑問を抱き始めている。こうしたものは、疑われない間は意外に長く持続するが、疑われ始めると意外にあっけないものである。

基軸通貨が没落してゆくとき

何故それがドルにとって危機的なのか。それは例えば中国が貿易においてドルを使いたくないと考えたとき、どれだけの規模の資金がドルから人民元に変わるかということを考えれば分かる。

ダリオ氏は次のように説明する。

歴史的には、基軸通貨を持つ国は世界の貿易とキャピタルフローで最大のシェアを持っていた。

アメリカ以外の国がドルを持つ一番直接的な機会は、アメリカとの貿易である。

だから他の国に自分の国の通貨を持たせるための一番の方法は、自分の貿易の規模を増やすことである。

だがダリオ氏は次のように続ける。

世界貿易に占めるアメリカのシェアは縮小し、中国のシェアは拡大してアメリカより大きくなった。

そうなればどうなるか? ダリオ氏はこう続ける。

富の貯蓄手段としてのドルの便利さも変わってゆく。

もし誰もが世界貿易でドルを使っていれば、ドルを使って消費できるのだから、ドルのまま持っておこうと思うだろう。

だが今や世界貿易におけるアメリカのシェアは下落している。中国が世界トップとなっている。

その中国が自分の貿易をすべて人民元で行おうとすれば、それはドルにどれだけの影響を及ぼすか。2022年の中国の輸出は3.6兆ドル、輸入は2.7兆ドルである。

結論

こうした動きは西側のバイアスがかかったメディアだけ見ている日本人を置き去りにしながら進んでいる。

ブラジルのルラ大統領は最近、BRICS諸国に自国通貨による決済を呼びかけた。更にこのルラ大統領はアメリカについて「戦争を扇動するのを止め、平和について話し始めなければならない」と発言して西側諸国を面食らわせた。

この発言はウクライナで2014年当時存在した親露政権を追い出した暴力デモを欧米諸国が支援し、その後の親米政権がアメリカの外交官ビクトリア・ヌーランド氏によって決められた(決めている音声をYoutubeに暴露された)こと、そしてその後もウクライナをロシアにぶつけるためにウクライナ政権に介入し続けたことを念頭に置いている。

ロシアのウクライナ侵攻でバイデン大統領が犯した一番の間違い
ゼレンスキー大統領はそれに乗って、アメリカのためにウクライナ国民を犠牲にしたのである。彼を支援する日本人は全員人殺しである。

真珠湾攻撃に言及したゼレンスキー大統領が広島の原爆には言及できない理由
こうした背景を知らなければブラジル大統領の発言は理解できない。アメリカ国家安全保障会議のカービー氏は「ブラジルは事実を完全に無視してロシアと中国のプロパガンダをオウム返しにしている」と言ったが、ブラジルの外相に「まったく同意しない」と切り捨てられている。

アメリカ人の経済学者ラリー・サマーズ氏が次のように述べていたことを思い出したい。

サマーズ氏 : 中国は新興国に空港を与え、アメリカは新興国に説教を垂れる
民主主義やロシアの侵攻への対抗という点でわれわれは歴史の正しい側にいる。間違いなく歴史の正しい側にいるのだが、こちら側は少し寂しく見える。

アメリカ人は自分の側が寂しく見える理由を自分の胸に聞いてみるべきだろう。

こういう背景をもとにドルの長期的凋落は進んでゆくことになる。他の専門家の見解も参考にしてもらいたい。

ポジャール氏: 世界の資金がドルから逃避している
世界最大のヘッジファンド: ドルが基軸通貨ではなくなる

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35956#more-35956
43:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/04/21 (Fri) 13:41:32

2025年にかけ商業用不動産ローンが危険 、金融市場が悲観的な理由とは
つばめ投資顧問の長期投資大学
2023/04/20
https://www.youtube.com/watch?v=hrzM7l8sl-Q

次の金融市場の不安要素として、商業用不動産ローンが挙げられます。 2025年にかけて1.5兆ドルの借り換えがある中で、オフィスの空室率は過去最高を記録しています。一方の融資を行う中小銀行は、シリコンバレー銀行の破綻に恐れをなし、手元資金を残そうとしています。金利の逆イールドが示すように、景気後退が訪れるのは時間の問題とも見られ、好調な株式市場もどこまで続くかわかりません。
44:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/04/26 (Wed) 08:45:46

世界最大のヘッジファンド: 豊かな国ほど借金まみれになる理由
2023年4月25日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36175#more-36175

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がImpact Theoryのインタビューで、先進国がほとんど例外なく多額の負債を抱えている状況について解説している。

先進国の膨張する債務

奇妙なことだが、先進国の政府債務残高は軒並み高い。日本もアメリカもそうである。世界的には裕福であるはずの先進国が、例えばそれよりも貧しいはずの東南アジアやアフリカの国々よりも借金が多いのはどういうことか。

ダリオ氏は次のように問題提起している。

人々や社会が裕福になればなるほど負債を増やすようになることは興味深いことだ。これは逆説的だ。

100%や200%というGDP比の政府債務に慣れてしまった現代人は疑問に思わないかもしれないが、よく考えてみればほとんどすべての先進国の政府債務が軒並み高くなっているのは偶然でも当たり前の減少でもなく、何か隠された共通の原因があるはずだ。

個人のレベルで考えてみれば、富裕層が貧困層から借金をするという状況は考えられない。だが政府のレベルでは逆のことが起きている。

ダリオ氏は次のように指摘する。

アメリカが中国からお金を借りるようになったとき、アメリカ人の個人所得は中国人の40倍だった。そしてアメリカは中国からお金を借り始めた。

何故このようなことが起きるのか本当に不思議に思う。

ダリオ氏の仮説

それは何故だろうか。ダリオ氏は次のように仮説を立てる。

これは心理学的なものだ。お金がない人がお金を手に入れるとお金を貯めたいと思う。そして貯金とは誰かにお金を貸すことを意味する。

そして皮肉にも、よりお金を持つようになればお金が借りやすくなり、その人や社会や政府はより多くの負債を抱えるようになる。

裕福な人間の方が借金をしやすいというのは事実だろう。実際、富裕層は借金を自由に利用して投資を行なったり、節税対策をしたりする。

だがそれでも富裕層には資産があり、資産の総額を超えるような借金をすることはない。だが先進国の政府は資産がほとんどないにもかかわらず、借金だけを増やし続ける。

つまり、裕福な国の政府と、裕福な人間では別の行動をしている。ダリオ氏の仮説ではこの違いを説明できない。

国の一生

人間には一生がある。生まれてきて、学校に通い始め、卒業して労働するようになり、やがて肉体や知性が衰えて引退し、死んでゆく。

このように国にも一生がある。それがダリオ氏の言うスーパーサイクルである。

最初は小国であったものが、技術革新や人口増加によって徐々に豊かになり、成熟してゆくにつれて経済成長率が落ち始める。日本で言えば高度経済成長からバブル崩壊後だろうか。

そしてその頃から徐々に借金と紙幣印刷に頼るようになる。力が落ちてゆくのでそうならざるを得ないのである。ダリオ氏によればそれはサイクルであり、ほとんどの国が例外なくそのようになる。

そして最後には人が死ぬように、借金と紙幣印刷により物価が高騰して滅んでゆく。

少なくともそれが大英帝国やオランダ海洋帝国など、かつての大国に起こったことである。

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の繁栄と衰退
世界最大のヘッジファンド: オランダ海洋帝国が繁栄した理由
そしてこのサイクルを見れば、アメリカは衰退のフェイズに足を踏み入れかけている。だからインフレが起こったのである。

世界最大のヘッジファンド: 銀行危機は世界経済全体に波及して物価高騰か倒産危機で終わる
国が借金を増やす理由

だがそもそも何故政府は借金を増やせるのか。人間であれば、資産がほとんどないのにGDPの200%以上の債務を積み上げることはできない。

何故それが政府には可能なのか。ダリオ氏の見解によれば、有権者がそれを許可するからである。ダリオ氏は次のように述べている。

選挙前には政治家には借金を増やして支出を増やす動機がある。有権者は誰も借金の方には注意を向けず、そのお金が何処から来るのかは気にもせず、支出の方にだけ注意を向けるからだ。

負債の上でパーティをやっているようなものだ。

だから毎年税金で数百万自分から奪ってゆく政府に10万円を給付されただけで彼らは嬉しくなってしまうのだ。だがそれは元々自分の金である。彼らは馬鹿なのだろうか。

政府を選ぶ有権者は定義上国民の過半数なのだから、国民の過半数が借金を許せば政府は借金をするだろう。政治家の仕事は国民から税金を徴収して自分の票田にばら撒くことなのだから、その被害者がそれを許してくれる状況でそれを拒む理由がない。

だが状況としてそれが可能になっても、経済的に可能になるわけではない。100%しか資産がないのに借金をして200%消費しようとすればどうなるか。単純にものの値段が2倍になるだけである。実際今それが起こっている。

日本政府の全国旅行支援で宿泊予約殺到してホテル代値上がり
借金によって消費を無理やり増やすことは、インフレを生じさせるだけでなく、長期的には増税を増やす。国の借金はいずれ税金という形で国民から徴収されるか、紙幣印刷によって返済されるしかないが、紙幣印刷はインフレを悪化させるので、緩和政策の出口は結局は増税か物価高騰しかない。それが多くのファンドマネージャーらが指摘していることである。

ポジャール氏: 中央銀行は金利高騰か通貨下落かを選ぶことになる
世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
だが政治家には関係ない。自分は票田とともに利益を得られる上に、国の借金は自分が引退した後に誰かが何とかするものである。彼らに遠慮をする理由があるだろうか。だから東京五輪でも全国旅行支援でも好きにやったではないか。

経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏が次のように言っていたことを思い出したい。

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
しかし、短期において支持を獲得することができれば、長期的な効果について気にかける政治家が果たしているだろうか。

日本にはいまだに国の借金には問題がないなどと言う人間がいることには驚かされるが、事実日本では増税とインフレが降り掛かっているではないか。インフレ政策の当たり前の帰結に気付くことの出来なかった自民党支持者の知性には本当にいつも驚嘆せざるを得ない。彼らの頭脳は最高である。

ハイエク: 緩やかなインフレが有益であるという幻想
結論

何故こうなるのか。ダリオ氏はこう説明している。

人々は近視的なのだ。子供を育てるときのマシュマロ・テストと同じだ。

小さい子供に今マシュマロを1つ受け取るか、15分後にマシュマロを2つ受け取るかを選ばせる。賢明な子は15分我慢して2つのマシュマロを手に入れる。

だが現代の多くの社会では人々は今それがほしいのだ。

大半の日本人は賢明な子供以下ということだろう。 あるいは人間とはそういうものではないか。賢明な子供ほどの頭脳のある大人などほとんど見たことがないではないか。

お金をばら撒けばインフレになるという子供でも分かるような理屈さえ分からず、インフレになった今でさえエネルギー購入支援や全国旅行支援というインフレ政策を行う政治家をのさばらせ、どれだけ年金を減らされ税金と社会保険が増えようとも政治家という略奪者を自分で当選させる馬鹿ばかりなのだから、日本の将来はどうしようもなく明るいだろう。

良かったではないか。自分の欲しかったものを手に入れた彼らの将来を祝福したい。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36175#more-36175
45:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/04/27 (Thu) 20:18:37

ファーストリパブリック銀行の株価、2日で6割暴落、銀行危機は悪化へ
2023年4月27日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36234

シリコンバレー銀行に続いてまた銀行の破綻危機である。

ファーストリパブリック銀行の株価が急落している。シリコンバレー銀行の取り付け騒ぎに続き、やはり預金が急速に流出しているらしい。

ファーストリパブリック銀行の株価暴落

銀行危機はやはり続いている。まずは株価を見てもらおう。ファーストリパブリック銀行の株価は次のように推移している。


そもそも3月のシリコンバレー銀行の危機の時に既にかなり落ちているので見づらいが、直近の2日で16.0ドルから5.69ドルまで64%下落しているのが分かるだろうか。

3月の暴落では不十分だったということだが、今週に何があったのかと言えば、決算発表である。

決算発表で株価暴落

4月24日に発表された決算の何が悪かったのか。例えば売上高と純利益は2023年1-3月と2022年1-3月で次のように変化している。

売上高: 10億ドル -> 16億ドル
純利益: 4億ドル -> 3億ドル
それほど悪くないではないか。売上高は急増しており、金利上昇による借り入れコストの増加などで純利益は下がっているが、別に赤字になっているわけでもない。

何故この決算で株価チャートが上記のようにならなければならないのか? それは資産と負債の部分を見れば分かる。特に預金の部分である。貸借対照表には以下の表な変化が書かれている。今度は年末から3月末までの変化を見てみよう。

預金: 1,764億ドル -> 1,045億ドル
短期借入金: 67億ドル -> 804億ドル
預金が3ヶ月で700億ドル減っている。ちなみに預金は大手銀行に緊急で預けてもらった300億ドルを含めても700億ドル減っているので、実際には1,000億ドル減っていることになる。

それをFed(連邦準備制度)から短期借入金として借りてカバーしたわけである。だから短期借入金が700億ドル増えている。

ほとんどなくなった預金

ちなみにファーストリパブリック銀行の総負債はこれらの緊急融資の結果大幅に膨らんでおり、しかも預金は急激に減ったので、他行からの預金を除く通常の顧客からの預金は、総負債2,150億ドルに対して446億ドルしかない。

つまり、普通は銀行業とは顧客から預かった預金を他に貸し出す商売であるはずであるのに対して、ファーストリパブリック銀行の資産・負債構成はその75%以上が大手銀行や中央銀行に借りたお金で出来上がっているということになる。

銀行は政府や他行にお金を貸してもらう商売ではない。もはや銀行としての体裁を保てていないのである。それで株価がこうなった。


銀行危機は何も終わっていない

以前のFOMC会合でFedは次のように言っていた。

3月FOMC会合結果、パウエル議長に2018年世界同時株安の影が見え始める
アメリカの銀行システムは健全で強靭だ。

リーマンショックやインフレの脅威を何の根拠もなく無視した政府や中央銀行の予想のでたらめさがまた明らかになったというだけのことである。

何故こうなるのかということについては、以下の記事で既に説明しておいたのでそちらを参考にしてほしい。銀行業という時代遅れの商売がそもそも間違っているのである。それがインフレ危機で露呈したに過ぎない。

銀行危機を引き起こした銀行という詐欺同然の仕組みを廃止すべき
だがもっと重要なのはこの状況がアメリカ経済全体について示唆することである。

銀行危機は何も終わっていない。シリコンバレー銀行はFedの利上げで破綻したのだから、金利が高止まりする限り同じような破綻は銀行に限らず何度でも起き続ける。これについては以下の記事などで既に何度も説明しておいた。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
世界最大のヘッジファンド: シリコンバレー銀行破綻はドミノ倒しのように伝染する
その状況がそのまま起こり続けている。

アメリカ経済は既に詰んでいる

その原因が金利高なのだから、金利が下がらない限り危機はこのまま悪化してゆくだろう。

そして金利がどうなるかと言えば、不動産価格が上昇し、高騰している家賃も下がらないということになれば、Fedは金利を高く保たなければならないだろう。それが前回の記事の意味である。

下落し続けていたアメリカの住宅価格が上昇に転じる、インフレ再燃か
不動産など一部の市場が過熱したままインフレに寄与し続ける一方で、銀行業や中小企業などの破綻は止まらない。過熱と不況が同時に来るのがインフレの後始末である。1970年代もそうだったではないか。

ポール・ボルカー氏、1980年のインフレ打倒がどれだけ厳しかったかを語る
そしてインフレが収まるまで株式市場も何度でも頭を叩かれ続ける。米国株は以下のように推移している。


長期見通しは年始に語った通りである。インフレの後始末をする限り、そうならざるを得ないのである。株価の見通しについては以下の記事を参考にしてもらいたい。

アイカーン氏: 株価はここから30%暴落する
ポールソン氏の2023年株価予想: 倒産が急増し株価は下落する
2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36234
46:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/02 (Tue) 04:57:32

サマーズ氏: スタグフレーションの危険あり、高確率で景気後退へ
2023年5月1日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36324

アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏がBloombergのインタビューで、終盤に差し掛かっているアメリカの利上げと実体経済の先行きについて語っている。

サマーズ氏の注目する経済指標

最近はGDPなど大きな経済データの発表もあり、サマーズ氏は今どの経済指標に注目しているかを聞かれている。

ますます弱ってゆくアメリカGDP、2023年第1四半期は予想以上の減速
だがサマーズ氏にとっての最重要指標はGDPではないようだ。彼は次のように述べている。

自分はECI(訳注:雇用費用指数)に注目してきた。理由は、労働市場がインフレの進行に関して鍵となっていること、四半期ごとにしか発表されないこと、そしてボーナスや労働力の構成の変化などの調整も考慮する、賃金インフレに関する最良の数字だからだ。

ECIの上昇率は4.8%程度で、年間の上昇も四半期の上昇もかなり強かった。賃金インフレが減速している証拠はあまりない。

ECIは前期比年率で4.7%となっている。グラフは次のようになっており、一度減速してからやや持ち直した形だ。


賃金はサービス業の主なコストになるので、インフレにとって重要である。だが少なくとも賃金は高止まりしていることは間違いない。

高止まりするインフレと悪化する銀行危機

だが一方で、アメリカ経済は全面的に強いわけではない。シリコンバレー銀行の破綻に始まる銀行危機は確実に悪化している。

数日前にここでも株価の暴落を報じたファーストリパブリック銀行は、預金流出を止めることができず、5月1日に正式に破綻した。残存資産はJPモルガンに売られることになる。

ファーストリパブリック銀行の株価、2日で6割暴落、銀行危機は悪化へ
アメリカ経済は現在かなりいびつである。GDPが消費の大幅な増加と投資の大幅な減少の結果減速となったこともそうだが、利上げでダメージを受けている部門と「まだ」ダメージを受けていない部門の差が大きい。

ますます弱ってゆくアメリカGDP、2023年第1四半期は予想以上の減速
だが不動産価格が上昇に転じている問題も含め、物価の部分が減速しないのであれば中央銀行は高金利を継続する必要がある。

下落し続けていたアメリカの住宅価格が上昇に転じる、インフレ再燃か
しかしそうすれば、地方銀行のように既にかなりダメージを受けている部門は更に深刻な危機に陥ることになる。

サマーズ氏は次のように述べている。

スタグフレーションの問題が多少持ち上がってきているようだ。

インフレは基本的に目標を大幅に超えており、1年半のあいだわたしが言い続けているように、それ相応の経済の減速がなければインフレ率は目標まで戻らない。

どれだけ経済が痛んでもインフレ率だけ高止まりする状況がインフレのもっとも恐ろしいところである。アメリカ経済はそれに近づいている。

スタグフレーションに突入へ

だが物価上昇と景気後退が同時に来るスタグフレーションなど、ここの読者にとってはニュースでも何でもない。それは去年の始めの段階で筆者が予想していたことである。

2022年のスタグフレーションに投資する方法 (2022/1/20)
そして債券市場は筆者の予想通りそれを去年の春から織り込み始め、今なお長短金利を逆転させ続けている。

長短金利逆転を予測できた理由と今後の不況と株価暴落について (2022/4/4)
通常長期金利が短期金利よりも高くなる債券市場で、今のように短期のほうが金利が高くなるのは、短期的な利上げによって長期的には経済が減速すると債券市場が予想するからである。

10年物国債の金利から2年物国債の金利を引いた長短金利差は以下のように推移している。


ちなみに歴史的には長短金利差の逆転が起こった後にはほとんど例外なく景気後退が起きている。

アメリカの金融政策見通し

この状況でFed(連邦準備制度)はどうするべきだろうか。米国時間で5月3日には金融政策決定会合であるFOMC会合を控えており、サマーズ氏は次のように言っている。

これはFedが経済の減速を目指すべきだということを意味するわけではない。だがFedがインフレ抑制のために必要なことをするならば、経済減速は起こりそうだ。

今後12ヶ月でそうなる可能性はかなり高い。恐らく70%ほどだろう。

また、3日のFOMC会合については次のように言っている。

Fedは5月には利上げをするべきだ。だが銀行の問題を考えれば6月にどうするかは議論があるだろう。

結論

このように、ほとんどの専門家がアメリカ経済について弱気な見方をしている。瀕死の銀行たちを引きずり回しながらも高金利を続けなければならないのだから当然である。

世界最大のヘッジファンド: 銀行危機は世界経済全体に波及して物価高騰か倒産危機で終わる
ガンドラック氏: 銀行危機後に中小企業はお金が借りられなくなっている
だが株式市場を短期的な動きだけ見れば、そのようなことは気にしていないように見える。


だが経験のある投資家であれば筆者の言いたいことがあるだろう。見飽きた映画ではないか。中央銀行がアグレッシブな利上げを行ない、何処かで何かが破綻して、明らかに経済は景気後退に向かっているが、株式市場はそれを無視している。

あまりにも見飽きた映画ではないか。直近では2018年がそうだった。だがそんなことは歴史上何度でも起きている。

2018年当時の記事が残っているので、株式市場がダンスを楽しんでいる間に当時の利上げによる世界同時株安のことを思い出しておくのも良いだろう。

バブルの頂点で日経平均は上昇、 空売りを淡々と継続 (2018/9/20)
世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36324
47:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/07 (Sun) 05:09:54

4月雇用統計はインフレ継続、銀行危機とのコラボでスタグフレーションへ
2023年5月6日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36530

インフレ相場における最重要指標の1つ、アメリカの雇用統計が発表された。4月分である。結論から言えばあまり良いデータとは言えない。

過熱の続く労働市場

つまりはインフレ的だったということだ。

まず失業率だが、3.4%となり3月の3.5%から低下した。グラフは次のようになっている。


本来ならば失業率低下は良いことだが、雇用の手が弱まらなければ賃金が上がり、賃金が上がるとサービス価格が上がる。

去年の秋から3.5%や3.4%を底として推移しているので、辛うじて底打ちしているようには見えるが、それでも労働市場の過熱はなかなか収まらず、よってサービスのインフレも根強く長く続くと考えなければならないだろう。

急上昇した時給

では平均時給の方はどうかと言えば、前月比年率(前月からの変化率が1年続けばどうなるかを示したもの)で5.9%の上昇となり、3月の3.3%から急上昇した。


どう見ても良くない数字である。違う年の同じ月同士を比べる前年同月比とは違い、前月比年率の数字は月の違いを打ち消すのを恣意的な季節調整に頼っているので、単月の数字が異常値になることはあるが、住宅価格の上昇と重ねて考えると、やはり利上げが足りていないのではないかと思う。

下落し続けていたアメリカの住宅価格が上昇に転じる、インフレ再燃か
板挟みになる中央銀行

さて、労働市場が堅調な一方で、アメリカでは銀行の方は着々と潰れていっている。

シリコンバレー銀行から始まり、最近ではファーストリパブリック銀行が潰れたが、今ではそれから1週間も経たないうちにパックウェスト・バンコープの破綻が懸念されている。レイ・ダリオ氏の予想した通りである。

世界最大のヘッジファンド: シリコンバレー銀行破綻はドミノ倒しのように伝染する
シリコンバレー銀行の破綻は高金利が原因なので、高金利が続く限り銀行は潰れ続ける。筆者も当時から言い続けているが当たり前である。

現在、アメリカの政策金利は5%である。この5%の金利は銀行にとっては致死量であるらしい。

一方で、労働市場や住宅市場は5%では死なないと言っている。

結論

さて、中央銀行は金利をどうするのか? インフレを抑制するために金利を更に上げるのか? それとも銀行や中小企業を救うために金利を下げるのか?

金利を上げれば、現在の金利水準で既に死んでいる銀行などのセクターは地獄絵図となるだろう。一方で金利を下げれば、恐らくアメリカのインフレ率は住宅価格やサービス価格を中心として再び上昇してゆく。

だからインフレを引き起こしてはならないと言ったではないか。何度も言うがインフレには物価上昇以外の意味はない。辞書を引いてほしい。それ以外のどんな妄想をこの片仮名4文字に見ていたのか。インフレとは物価上昇である。そして物価が上昇して喜ぶのは多額の借金が実質的にチャラになる政府とゾンビ企業だけである。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
ハイエク: 緩やかなインフレが有益であるという幻想
国民は何故そんなものを支持したのか。インフレを引き起こすと宣言し、インフレを引き起こした黒田氏は颯爽と逃げて行ったではないか。20世紀の大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏は『貨幣論集』においてインフレ政策について次のように言っていた。

短期において支持を 獲得することができれば、長期的な効果について気にかける政治家が果たしているだろうか。

だがはっきり言っておく。インフレの意味も知らずにインフレ政策を支持した国民が馬鹿なのである。そして日本にはいまだに状況を理解できない馬鹿が大量にいる。日本は終わりである。日本円で積み上げられた自分の預金が10年後に無事だとは思わない方が良いだろう。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36530
48:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/14 (Sun) 12:13:05

世界最大のヘッジファンド: 銀行危機は悪化しインフレは止まらずスタグフレーションになる
2023年5月12日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36793

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がModern Wisdomのインタビューでアメリカ経済の先行きについて語っている。

積み上がった債務とシリコンバレー銀行破綻

アメリカ経済はGDPで言えば減速はしているもののプラス成長を維持してはいる。

ますます弱ってゆくアメリカGDP、2023年第1四半期は予想以上の減速
だがアメリカ経済に不安があるのは何故か。シリコンバレー銀行などの地方銀行が次々に破綻しているからである。

アメリカ経済はいま非常にいびつである。全体としてはまだ減速してない一方で、地方銀行や中小企業などは悲鳴を上げている。

ダリオ氏はこの状況をどう見るだろうか。彼は次のように述べている。

大きな問題は大量の政府債務、そして企業の債務、それよりは少ないが家計の債務が積み上げられたことだ。

シリコンバレー銀行の問題は特定の銀行の問題ではなく世界規模の問題だ。

何故か? ダリオ氏がよく言っているように、誰かの負債は誰かの資産だからである。借金があるということは、誰かがお金を貸しているということである。お金を貸した人は貸したお金の代わりに債券を受け取る。政府にお金を貸せば国債を受け取る。そして貸し手は債券を当然ながら自分の資産だと思っている。

債券は金融市場で売買できるので、債券の保有者はそれを忘れがちだが、それは誰かの借金なのである。

膨大な借金が積み上げられたということは、世の中には大量の債券があり、それを多くの人が持っているということを意味する。そして問題は、それらの債券の価格が何十年もの低金利政策で人為的に押し上げられてきたということである。

特に2008年のリーマンショック以来、世界中の中央銀行が紙幣を印刷して買い入れ、債券価格を直接買い支えてきた。

それを買い支えられる間は良かったかもしれないが、インフレが起こると緩和政策はインフレを悪化させる。それでアメリカやヨーロッパは長年続いた緩和政策を撤回し、債券価格の人工的な買い支えを止めなければならなくなった。

インフレ退治と債券価格

それは債券価格の下落を意味する。債務が少なければその影響も少ないかもしれないが、残念ながら債務は世界中に大量に積み上がっている。

そしてそれは債券として誰かが保有している。それは世界中で資産価格が大きく下落していることを意味する。

破綻したシリコンバレー銀行も下落した米国債を持っていた。それが破綻の一因となった。だが米国債を持っているのはシリコンバレー銀行だけではない。アメリカの政府債務は31兆ドル積み上がっており、それは誰かの資産であり、しかもその大半は価格が大きく下落している。それが今の問題である。

ダリオ氏は次のように述べている。

同じことが何処でも起こっている。銀行だけではない。保険会社もそうだ。世界中で同じことが起こっている。ヨーロッパでも、そして日本でもドル建ての債券を持っている人は多い。

だがアメリカの中央銀行であるFed(連邦準備制度)次のように主張していた。

3月FOMC会合結果、パウエル議長に2018年世界同時株安の影が見え始める
シリコンバレー銀行の破綻は例外的な事例だ。銀行システム全体に広く存在する脆弱性ではない。

彼らはアメリカの中央銀行でありながら米国債の発行残高と価格推移を知らないらしい。日本の黒田なにがしを含め、中央銀行に期待できることは高々そのくらいである。

ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない
銀行危機は波及する

さて、銀行危機の問題はそれだけではない。シリコンバレー銀行が破綻したということは、それで損をした人がいるということである。シリコンバレー銀行の株主や債券保有者は当然だがシリコンバレー銀行破綻で大損した。それらの人々のうち何人かは、まだ表沙汰になっていない何処かで苦境に陥っているだろう。それが次のシリコンバレー銀行となり、その破綻が更に次のシリコンバレー銀行を作ってゆく。

ダリオ氏は次のように述べている。

金融引き締めがドミノを倒そうとしている。これから更に問題が生じることになる。

増えすぎた債務の帰結

結局のところ、債務の量が多すぎることが問題なのである。債券が多すぎるが、これまで買い支えていたFedはもう債券を買っていない。

ダリオ氏はこの問題の帰結についてこう述べている。

金利が上がるか中央銀行がまた紙幣印刷して買い支えるしかない。この問題は欧州中央銀行でも日本銀行でも同じだ。

一部のファンドマネージャーは後者を予想してゴールドを買っている。

ドラッケンミラー氏、ドルを空売りしてゴールドを買い
ポールソン氏: ドルからの離脱が今のトレンド、資金逃避で金価格上昇へ
だが問題は、どちらでも酷い問題が生じるということだ。ダリオ氏はこう続ける。

シナリオは2つある。1つは価値の落ちていない通貨で普通に債務が支払われること、もう1つは紙幣印刷で簡単に返すことだが、その場合には通貨の価値は落ちているだろう。

借金を真面目に返せばこれまでの借金漬けの優雅な生活はできなくなる。借金で優雅な生活をしていたのは国民ではなく政治家とその票田なのだが、彼らは増税とインフレを通して国民に支払いを依頼するそうだ。日本人は投票を通してそれにイエスと言っている。

いずれにせよ不況かインフレ、あるいはその両方しかない。ダリオ氏はこう纏めている。

多分スタグフレーションになると思う。

日本ではいまだに国の借金が増えただの、政府の借金は国民の借金ではないから大丈夫だのという話をしている。本当に馬鹿ではないのだろうかと思う。この状況をどう読み取ればそういうお花畑な結論になるのだろうか。

世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
マイナード氏: 日銀の持続不可能な緩和政策の破綻 は他国の教訓的前例になる

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36793
49:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/14 (Sun) 12:55:18

ドラッケンミラー氏: あと半年でハードランディング、米国経済に死体が積み上がる
2023年5月13日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36802

ジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを運用していたことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏がFed(連邦準備制度)の金融引き締めでハードランディングが起こるタイミングについて語っている。

史上最大の資産バブル

バブルが崩壊しようとしている。2008年のリーマンショック後に始まったゼロ金利と量的緩和という名の紙幣印刷政策は、中央銀行の緩和がある状態が当たり前だという意識をアメリカ経済に植え付けた。

更にはコロナ後に世界中で現金給付が行われ、特にアメリカ経済には未曾有の規模の資金が流れ込み、そして世界的な物価高騰が起こった。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした
インフレによって金融市場の状況は一変した。Fedはインフレ抑制のために大規模な緩和政策から一転して大規模な引き締め政策を強いられ、もはや緩和政策は出来なくなった。アメリカのインフレ率は2022年からの引き締めで下がってきてはいるが、緩和をするとインフレが再発するからである。

ドラッケンミラー氏はこの状況について次のように述べている。

今の状況はわたしが見た中、あるいは研究した中で最大かつもっとも広範囲な資産バブルで、それは10年か11年続き、フィナーレとしてコロナ後にアメリカ政府は5兆ドルを支出し、Fedはその60%を融通した。

そして今や大幅な利上げが行われている。これらの要素と、1950年以来数えるほどしかソフトランディングは起こっていないこと、そしてそれらはすべてFedが事前に対処した結果であったことを考えると、ソフトランディングがあり得ると考えることは困難だ。

Fedはもはや事前に対処できない。もしかすると事後にも対処できないかもしれない。金融引き締めでアメリカ経済が壊滅状態に陥ったとしても、そのときにインフレ率が下がっているとは限らない。もしインフレ率が下がっていなければ、Fedはインフレ抑制のために引き締めを続けて既に壊滅状態のアメリカ経済を更に壊滅的にするのか、あるいは経済成長率を救うために緩和をして既に起こっているインフレの火に油を注ぐのかの選択を強いられることになる。

それがインフレ政策を煽った政治家たちの口からは語られなかったインフレの本当の意味である。つみたてNISAもそうだが、詐欺師が事前にリスクを説明することはない。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
ハードランディングのタイミング

だからドラッケンミラー氏はハードランディングは不可避だと考えている。だがそれ自体は筆者が2021年にインフレが起こったときからずっと予想していることだ。筆者が不況前に起きるアメリカ国債の長短金利逆転を予想し、それを的中させたのはもう1年も前の話である。

長短金利逆転を予測できた理由と今後の不況と株価暴落について
だが巨大なバブルは徐々にしか崩壊しない。リーマンショックも住宅価格の下落という終わりの始まりから完全な崩壊まで2年かかった。経済危機の歴史を振り返ると、ショックと言っても一瞬で起こるわけではないのである。

ドラッケンミラー氏はハードランディングのタイミングについてどう考えているのだろうか? 彼は次のように述べている。

タイミングについては、それがハードランディングかソフトランディングかということよりも不確実になる。

すべての状況を考慮すると、タイミングは今年の第4四半期から来年の第1四半期だろう。

これから半年ほどといったところだろうか。

現在のアメリカ経済と今後の見通し

まだ時間がかかる理由は、金融引き締めの影響はアメリカ経済の一部には既に深刻な状態となっているが、影響を受けるまでにまだ時間がかかるセクターもあり、経済がいびつな状態になっていることである。

ドラッケンミラー氏は次のように説明している。

データは強弱入り混じっている。住宅市場は歴史的には経済全体の先行指標だが、それは十分に強い。レストランや旅行も十分に強い。だが例えばトラック輸送は6ヶ月から8ヶ月ほど早い先行指標としてわたしの会社の創業以来経済予想に役立ってきたが、それは極めて弱い。小売からは非常に悪いニュースが聞こえてくる。

そして銀行の問題だ。

一番悲鳴を上げているのは地方銀行だろう。シリコンバレー銀行の破綻に始まり、もういくつもの銀行が破綻している。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
最初がシリコンバレー銀行だったことには恐らく意味がある。シリコンバレーにはゼロ金利にあぐらをかいて利益を永遠に出す気がなかった赤字企業が大量にいて、借金で延命されていたが、金融引き締めで借金が出来なくなって死んだのである。そうした企業が預金を引き出したのでシリコンバレー銀行も死んだ。

それはリーマンショック以来積み上げられたゾンビ企業を大掃除する過程なのである。ドラッケンミラー氏は次のように述べている。

資金があふれかえると人々は馬鹿げたことをする。資金が11年もあふれかえると人々は本当に馬鹿げたことをする。

だから水面下ではそれが始まっている。地方銀行が良い例だ。

一部の人は 銀行危機がもう終わったと嘯いている。だがドラッケンミラー氏は不吉な予想を口にしている。彼は次のように言っている。

だが死体はもっと積み上がるだろう。

それは以前から分かっていた。だがそろそろタイミングを予想する時期が近づいている。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36802
50:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/15 (Mon) 06:33:11

ドラッケンミラー氏: リーマンショックより酷くなる可能性は否定できない
2023年5月14日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36808

引き続き、ジョージ・ソロス氏のクォンタムファンドを運用したことで知られるスタンレー・ドラッケンミラー氏のSohn Conferenceにおけるインタビューである。

ドラッケンミラー氏のインフレ率の推移予想

前回の記事ではドラッケンミラー氏がハードランディングまであと半年ほどだと予想している部分を取り上げた。

ドラッケンミラー氏: あと半年でハードランディング、米国経済に死体が積み上がる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36802

だが今回はこれまでの経済危機とは違い、インフレが起こっているという問題がある。

ハードランディングが起こった時、インフレ率は下がっているのか? 下がっていれば、普通の不況だ。下がっていなければ、不景気と物価高が両方来るスタグフレーションになる。

ドラッケンミラー氏は今後のインフレ率の推移について次のように語っている。

難しいのはマネーサプライをどう見るかだ。

エド・ハイマン氏はマネーサプライが史上最速の速さで縮小していることを指摘した。

だが話はそれほど簡単じゃない。マネーサプライは数年前と比べると30%後半から40%ほど拡大している。だから積み上がっているお金の量はそれでも極めて多いということだ。

マネーサプライとは市中に存在している現金や預金の総額である。コロナ後に現金給付によってばら撒かれた多額のお金は今どうなっているのか? 実質マネーサプライのグラフは次のようになっている。


Fed(連邦準備制度)の金融引き締めによってマネーサプライは急減している。だが絶対水準で言えばそれでもコロナ前よりもかなり多いのである。

そもそもコロナ後にマネーサプライが酷いことになったのがグラフから分かるだろう。それを押し上げたのは現金給付である。これでインフレにならないと言った馬鹿は今どうしているのか。ジェフリー・ガンドラック氏はそれくらいは12才児でも分かると述べていた。

ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない
ドラッケンミラー氏のインフレ率の推移予想

マネーサプライが急減しながらもまだ積み上がっていることは、恐らくアメリカに景気後退がまだ来ていないこと、特に消費がいまだに強いことの原因だろう。

以下の記事でGDPの内訳を分析しているが、それがなかったらアメリカ経済は既に景気後退しているはずだ。

ますます弱ってゆくアメリカGDP、2023年第1四半期は予想以上の減速
しかしそれでもマネーサプライは急減速している。

ドラッケンミラー氏は年末年始頃にアメリカ経済はハードランディングになると予想した。

ドラッケンミラー氏: あと半年でハードランディング、米国経済に死体が積み上がる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36802

ではその頃にはインフレ率はどうなっているのか? 彼は以上のことをすべて考慮に入れた上で次のように予想する。

インフレ率は今後6ヶ月から9ヶ月で恐らく3%から3.5%辺りまで下がるだろう。

現在アメリカのインフレ率は5.0%である。

サプライズなしの4月米国インフレ率発表でドル安に動いた理由

インフレ率の長期見通し

だが問題はその後である。ハードランディングに陥った時に中央銀行がどうするのかによってその後のシナリオが変わってくる。

ドラッケンミラー氏は次のように述べている。

そこからが難しい。Fedがどうするか予想しなければならないからだ。

Fedが緩和に逆戻りすればインフレ第2波になり、引き締めを続ければ経済恐慌になる。

前回の記事でも言っていたが、ドラッケンミラー氏は基本的にインフレ第2波をメインシナリオとしている。理由は歴史上緩和をやり過ぎて問題を引き起こしてきたFedの経歴である。彼は次のように述べる。

わたしは2000年や2021年から2022年前半までにおけるFedの対応に本当に驚いている。そして来年が大統領選挙の年であることを考慮すべきだ。

ドラッケンミラー氏はバイデン政権がパウエル議長に圧力を掛けることを想定しているのだろうか。

また、ドラッケンミラー氏は1970年代におけるFedの議長、ポール・ボルカー氏の前任者で緩和的な政策でインフレを悪化させたアーサー・バーンズ氏を持ち出して次のように述べている。

インフレ率が3%か3.5%まで下がった時に彼らがアーサー・バーンズ氏のように対応するならば、インフレが下がった時に即座に反応せず龍を殺しきらないならば、今後数年はインフレーションか、恐らくはスタグフレーションになるということを強調したい。

だが一方で、次のように現在の世界経済には巨大なデフレ圧力も存在することにも言及している。

あるいは現在の巨大な資産バブルが弾けた場合、もう経済はどうにもならないかもしれない。

結局はFedが物価高騰か経済恐慌かどちらを選ぶのかという問題に帰着する。だからドラッケンミラー氏は笑いながら次のように言っている。

先週社内で会議があったのだが、そこでわたしはこう言った。インフレ率は今後3年8%で推移するとも言えるし、デフレになるとも言える。

結論

だがインフレ第2波でも経済恐慌でも経済は酷いことになるだろう。それがインフレというパンドラの箱を開けてしまった紙幣ばら撒きの末路である。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした
それはどれくらい酷い結果になるのか。ドラッケンミラー氏は次のように続けている。

これは2007年や2008年とは違うということが繰り返し言われている。

だがそう言っている人々が2007年に危機を予想したという話を聞いたことがない。

わたしは2008年より悪い状況を予想しているわけではない。明日のニュースでわたしがそう言ったという見出しを付けてほしくはない。

だがこれだけの資産バブルの後であること、ゼロ金利のあとに史上もっとも急激な金利の上昇があったことを考えると、本当に酷いことが起きる可能性を除外するのは本当にナイーブだと思う。

一体どうなるだろうか。だがドラッケンミラー氏を含め、あと1年以内だと言い始めた専門家が多いのである。

世界最大のヘッジファンド : 経済クラッシュで量的緩和再開まであと1年以内


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36808
51:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/16 (Tue) 11:51:04

【Front Japan 桜】米債務上限問題と一連の銀行破綻 [桜R5/5/16]
キャスター:渡邉哲也
https://www.youtube.com/watch?v=1UAcSof_wMI
52:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/16 (Tue) 16:33:34

米国経済のハードランディングの衝撃はリーマンショックの2倍以上になる
2023年5月15日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36818

インフレ抑制のためのFed(連邦準備制度)の金融引き締めが銀行危機を引き起こす中、多くの専門家がアメリカ経済の景気後退を予想している。

ドラッケンミラー氏: あと半年でハードランディング、米国経済に死体が積み上がる
だがその規模はどの程度になるのか? 今回の記事ではそれを考えてみたい。

マネーサプライの増減

今回の考察のきっかけとなったのは、前回の記事でスタンレー・ドラッケンミラー氏がマネーサプライの動きに言及していたことである。

ドラッケンミラー氏: リーマンショックより酷くなる可能性は否定できない
マネーサプライとは市中に存在する現金や預金の総量である。アメリカではコロナ以後、3回の現金給付が行われたことでマネーサプライが増大した。マネーサプライのグラフは次のようになっている。


コロナ第1波のロックダウンの後、世界経済が数字上急回復したのは現金給付が原因である。アメリカのGDPはロックダウンで一度沈んだものの急回復し、あたかも何もなかったかのようにコロナ前のトレンドに戻っている。以下は実質GDPのチャートである。


しかし一方で現金給付による可処分所得の急激な増加はインフレをもたらした。アメリカの可処分所得とインフレ率を並べると次のようになる。


3回の現金給付が可処分所得の急増をもたらし、それが2021年にインフレ率を持ち上げたことが分かる。(ウクライナ情勢以後インフレ率はほとんど上がっていない。)

ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由
マネーサプライの回収

このように現金給付とマネーサプライの増加がコロナ後のアメリカ経済の動向を決定したことは明らかだ。一方で、アメリカは物価高騰に陥ったことでばら撒いた紙幣を回収せざるを得なくなっている。

それが現在の金融引き締めである。その結果、コロナ後に急増したマネーサプライは急減している。


ドラッケンミラー氏は直近1年ではマネーサプライは急減しているが、絶対的な水準としてはコロナ前を大きく上回っていることを指摘していた。

ドラッケンミラー氏: リーマンショックより酷くなる可能性は否定できない
恐らくはそれがアメリカのGDPが減速しながらもまだプラス成長を保っている理由である。積み上がったマネーサプライによる消費がGDPを支えている。

ますます弱ってゆくアメリカGDP、2023年第1四半期は予想以上の減速
だがマネーサプライは急速に減少している。ここまでの考察が正しければ、マネーサプライがこのまま減少を続け、コロナ前の水準まで戻るならば、今アメリカ経済を辛うじて支えているものがなくなることにならないだろうか?

マネーサプライの今後

ではマネーサプライは具体的にどのような速度で減少しているのだろうか。マネーサプライの変化率を前月比年率(直近1ヶ月の変化が1年続けばどうなるかを示したもの)で見ると次のようになる。


マネーサプライは最新3月の数字で年率-14.3%の速度で減少しており、しかも減少ペースは加速しているように見える。

年率-14.3%ということは、1年で14.3%減少するということである。減少ペースは加速しているが、仮に今と同じペースでマネーサプライが減少を続けるとどうなるだろうか?


マネーサプライは5.9兆ドル付近まで下落し、丁度コロナ前の水準まで逆戻りすることになる。

実際にはマネーサプライの減少は加速しているから、コロナ後にばら撒かれた紙幣がすべて回収されるまでに恐らく1年かからないだろう。ハードランディングまで1年以内と予想しているドラッケンミラー氏やレイ・ダリオ氏の主張を裏付ける計算である。

ドラッケンミラー氏: あと半年でハードランディング、米国経済に死体が積み上がる
世界最大のヘッジファンド: 経済クラッシュで量的緩和再開まであと1年以内
マネーサプライとGDP

さて、ここで考えてほしいことがある。ここまで考えてきたように、2020年にロックダウンで数ヶ月も経済をほぼ完全に停止したにもかかわらず、GDPが何事もなかったかのようにコロナ前のトレンドに戻っているのは明らかに現金給付とその結果のマネーサプライの急増が原因である。


それが上で見たマネーサプライの急増がGDPにもたらした影響である。

しかし今、コロナ後に行われたマネーサプライの急増とちょうど同じ規模のマネーサプライ急減が起きようとしている。そして投資家はその影響を推定しなければならない。

それはそれほど難しくないのではないか? 大まかな推計ではあるが、コロナ後に起こったマネーサプライ急増と同じ規模のマネーサプライ急減の経済への悪影響の規模は、大雑把に言ってコロナ後のマネーサプライ急増の好影響とそれほど変わらないはずだ。

つまり、同じ規模のマネーサプライ急増がコロナ後にGDPを救済してあたかも何も起きなかったかのように元のトレンドに戻したとすれば、同じ規模のマネーサプライ減少はその救済をなかったことにするはずである。

コロナ危機の本来の規模

つまり現金給付によるコロナ後のGDP救済がなかったことになる。ロックダウンによるコロナ危機の本来の姿が2023年と2024年に現れるわけである。緩和政策による経済の救済とは、実際には借金による経済危機の延期であるから、当然のことである。

ということで、ドラッケンミラー氏の予想しているハードランディングの規模がどれくらいになるかということは、紙幣印刷による問題の先延ばしがなければコロナ危機がどのようなものになっていたのかを基準に考えられるということになる。

そこでコロナ危機がどのようなものだったかを振り返るためにアメリカの実質GDP成長率の長期チャートを見てみると、コロナ危機が2008年のリーマンショックよりもその他のどの経済危機よりも規模が大きかったことが分かる。


実際、コロナショックの景気後退のピークは-8.4%で、リーマンショック時のピークの-4.0%の倍以上である。コロナショックではその後現金給付により急回復しているが、当時ばら撒かれた紙幣がすべて回収されるならば、同じ規模の経済危機がもう一度来ることになるだろう。

結論

ということで、今後待ち受けているアメリカ経済のハードランディングの規模を大雑把にだが推計してみた。

ちなみにこの大雑把な推計には他に考えなければならないことが2つある。1つは、中央銀行が紙幣印刷によって経済危機をもう一度延期する可能性である。だがドラッケンミラー氏が述べている通り、その場合インフレ第2波は避けられない。

ドラッケンミラー氏: リーマンショックより酷くなる可能性は否定できない
そしてもう1つは、お金をまずばら撒いて同じ量のお金を後で回収した場合、厳密に言えばその影響は差し引きゼロではなくマイナスである。

何故ならば、ばら撒き政策は実体経済に歪みを引き起こすからである。例えば全国旅行支援で一時的に急増した需要にホテルが従業員を追加雇用して対応するならば、一時的な急増が終わった後にはホテルは過剰な数の従業員を抱えることになる。以下の記事で説明している。

日本政府の全国旅行支援で宿泊予約殺到してホテル代値上がり
ばら撒きとは長期的な経済の効率性を犠牲にして経済危機を先延ばしにすることなのである。日銀総裁の植田氏も、インフレ率はゼロから上に離れても下に離れても非効率性は増大すると述べていた。彼はインフレ政策の弊害を知っている。

踏み絵のように緩和支持を言わされる日銀の植田新総裁と新副総裁たち
そもそもこのことについては20世紀の大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏が何十年も前に説明していたではないか。彼は完全雇用を目指すインフレ政策について著書『貨幣論集』において次のように述べていた。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
完全雇用政策の支柱となっている理論はすべてここ数年の経験によって完全に否定されるに至っている。経済学者はその理論の致命的な知的欠陥を発見したが、それはそもそも以前から分かりきっていた。

しかしこの理論は今後も多くの問題を生むだろう。何故ならば、インフレ理論の他に何も学ばなかった失われた世代の経済学者が残されたからである。

このハイエク氏の記事を読めば緩和政策が何故非効率を引き起こすのかが分かる。

だがインフレ政策を実行した政治家にも それを支持した有権者 にもハイエク氏の著書から学ぶような知性はなかった。残念なことである。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36818
53:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/22 (Mon) 10:05:32

ドラッケンミラー氏: アメリカは基軸通貨ドルのお陰で致命傷を食らうまで緩和を続けられる
2023年5月21日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36946


引き続き、ジョージ・ソロス氏のクォンタムファンドを長年運用したことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏のSohn Conferenceにおけるインタビューである。

今回は基軸通貨ドルと「基軸通貨の呪い」について語っている部分を紹介したい。

資源の呪い

努力もしていないのに裕福だということは良いことでもあり、悪いことでもある。ドラッケンミラー氏は原油などの資源を持っている資源国を例に挙げている。

多くの人が資源の呪いという言葉を聞いたことがあるかもしれない。地面に原油や金属資源が埋まっている国では、人々は一生懸命働く必要がなく、イノベーションも生まれない。だから経済もそれほど発展せず劇的に成長もせず正しい方向にも行かない。

資源の呪いを説明するには、その真逆の例であるイスラエルを挙げるのが良いだろう。イスラエルにはまったく資源がないにもかかわらず、大量の資源を持っている他の中東の国々の経済を大きく上回っている。

これは裕福な国に生まれた人、そして裕福な家庭に生まれた人の問題にも似ている。出典は忘れたが、世界屈指のファンドマネージャー、ジョージ・ソロス氏の息子が次のようにぼやいていた。

世界有数の富豪の息子が、ホロコーストを生き延びてアメリカに渡りファンドマネージャーとして成り上がった人物ほどにハングリーにやれるわけがない。

裕福な親の呪いとでも言うべきものだろうか。

基軸通貨の呪い

そしてドラッケンミラー氏曰く、同じような呪いがもう1つある。自国通貨が世界中で使われる基軸通貨であることである。

ドラッケンミラー氏は次のように説明している。

基軸通貨であることは大きな特権だ。だがその特権は、その国がそうすることを選ぶならば、長期的なことを考えない非常に近視眼的な経済政策を許してしまう。

通常、大規模な金融緩和を行えば通貨は下落する。だがドルは基軸通貨であり、世界中の貿易がドルで行われ、世界中の中央銀行がドルで外貨準備を持っている間は、それを補うドル買い圧力が生まれ、ドルがなかなか下がらない。

例えばアメリカがコロナ後にやった、世界的なインフレをもたらした大規模な現金給付を、他の国がやろうとすればどうなるか。

それをやろうとした国が実際に存在する。イギリスである。

サマーズ氏: 景気後退で財政支出する国はイギリスの二の舞になる
イギリスでは当時首相だったトラス氏が2年間でGDPの10%におよぶばら撒き政策を発表したとき、イギリスの通貨ポンドと英国債が暴落して中央銀行が買い支えを余儀なくされた。トラス氏は結局辞任に追い込まれ、現在のスナク首相へと引き継がれている。

ドラッケンミラー氏は次のように述べている。

イギリスが向こう見ずな財政刺激をやろうとしたとき、金融市場は即座に彼らを叱り飛ばしてイギリスにもっとまともな政権を組織させた。

だがアメリカはそうした馬鹿げたばら撒きを実際にやっている。コロナ後の現金給付である。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
しかしドルは下がらなかった。少なくともまだ下がっていない。ドラッケンミラー氏は次のように述べている。

われわれアメリカにはこの市場の監視機能がない。放漫な経済政策のあと、2021年と2022年にドルは上がった。他の国だったら市場がそれを拒絶し、政策の撤回に追い込まれているだろう。

だがドルが基軸通貨であることがドルを支えている。ドラッケンミラー氏はこう続けている。

だが基軸通貨のお陰で、アメリカは死んで土に還るまで穴を彫り続け、自分の墓を完成させることができる。

それが良いのか悪いのか、アメリカ国民は考えるべきだろう。少なくともドルが基軸通貨から滑り落ちる瞬間は緩やかにだが近づいている。

世界最大のヘッジファンド: ドルが基軸通貨から滑り落ちる理由
サマーズ氏: ドルに代わって基軸通貨になれるものがあるか
結論

これは様々な別の問題にも言えることである。例えば先進国は経済の規模が大きいため負債を増やしてもすぐには破綻しない。あるいは紙幣印刷のお陰で永遠に破綻しないが、代わりに何十年もの時間をかけて増税と自国通貨の下落がその国を蝕んでゆくのである。

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の繁栄と衰退
ドラッケンミラー氏は不吉な未来を予想している。

それが出来る間は良いし楽しいだろう。だがその特権でどんどん大きな穴を掘ってゆくと、いつか結果が伴う。そして皮肉なことに十分に掘ってしまった後には元々の特権は多かれ少なかれ失われている。そして結果だけが残る。

日本はいまだにインフレ抑制のためにインフレ政策を行なっている。この自民党の会心のジョークはまだ誰にも理解されていないようだ。

日本政府の全国旅行支援で宿泊予約殺到してホテル代値上がり

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
筆者はもはや人々がこうした放火政策の馬鹿さ加減を理解するとは考えていない。馬鹿が自分の愚かさで滅んでゆくのを止められるだろうか。

投資家として出来ることは、インフレや年金など、馬鹿の生んだ結果から身を守ることを考えるだけだろう。

ドラッケンミラー氏、高齢者が若者から搾取する税制を痛烈批判

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36946
54:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/25 (Thu) 10:49:43

世界最大のヘッジファンド: アメリカはデフォルトするのか?
2023年5月24日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37042

世界最大のヘッジファンド、Bridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が、自身のブログでアメリカの債務上限問題について語っているので紹介したい。

何度でも浮上する債務上限問題

アメリカではまた債務上限が問題になっている。アメリカには政府債務の上限が設定されており、だが債務は増え続けているので、上限が来ると議会が上限の引き上げで合意をするということが何度も続けられている。

与野党の合意が必要となることが多いので、その度に野党は与党に何か注文をするのが恒例なのである。だが、今回は野党共和党に影響力を持つ前大統領のドナルド・トランプ氏を筆頭に、共和党の要求をすべて通さなければデフォルトも辞さないとする勢力があるため、本当にアメリカが債務を増やせずに債務不履行になるのではないかと巷では騒がれている。

これに対して、ダリオ氏はあまりにも冷静な意見を次のように述べている。

一番可能性が高いのは、民主党と共和党がデフォルトを許さず(あるいはデフォルトしても長くは続かず)、しかも重要な議題で大した合意を形成しないというものだ。彼らはむしろ実質よりも見た目のほうが良いような合意(例えば債務を将来減らすと約束してその時間が来れば実行しないとか)を何とかして作り上げるだろう。

政治家の底を見透かしたかのような意見である。

実際、債務上限の問題は何度も繰り返しこのようにして解決されてきた。アメリカのデフォルトの可能性という大きなテーマに対して金融市場がそれほど大騒ぎしていないのもそれが理由である。

実質的に存在しない債務上限

だからこの債務上限の問題の本当の問題は別にあるように感じる。債務上限が債務上限になっていないことである。

ダリオ氏は次のように述べている。

議会と歴代大統領が行ってきたような(そして今回も高確率でそうなるような)債務上限の引き上げは、実際には債務に上限などないことを意味している。そしてそれは最終的には悲惨な金融崩壊に繋がる。

何故か? 先進国であっても、基軸通貨国であっても、借金はいずれ払わなければならないからある。日本の人々が実際に起こっている増税に苦しみながら「政府の借金は国民の借金ではないから大丈夫」と言っているのは革新的な発想の転換である。彼らは本当に良く訓練された奴隷だと思う。

経済の規模がある程度大きくなれば、債務を多少増やしたところで即座に国債市場や為替市場に影響が出ることはない。基軸通貨国であれば、どれだけ無茶をしても世界中の人々がその通貨を買ってくれるので、例えば世界的なインフレを引き起こすほどの現金給付を行ってもドルが即座に暴落することはなかった。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
だがそれでも国債や通貨の下落という副作用(これも「副反応」と呼んでみようか)はなくなったのではなく、延期されただけである。これについてはスタンレー・ドラッケンミラー氏が以下の記事で説明している。

ドラッケンミラー氏: アメリカは基軸通貨ドルのお陰で致命傷を食らうまで緩和を続けられる
そもそも日本にはその副作用が来はじめているが、日本人は呑気に構えているようだ。しかしはっきり言っておくが、2023年は莫大な政府債務を抱えた日本経済の終わりの始まりである。債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏は次のように言っていた。

ガンドラック氏、日銀の量的緩和を皮肉る
日銀は賢明だ。80階の窓から飛び降りて、 70階分落下したところで「今のところは良い状態だ」と言っているようなものだ。

本当の債務上限

だが債務上限が本当に債務上限として機能してしまえばどうなるかについて、ダリオ氏は次のように書いている。

逆に債務上限を引き上げなければ、アメリカはデフォルトし、生活必需品の減少がそれに耐えられない人々に起き、金融市場の大混乱と社会的な大惨事が起こるだろう。

だがそうだろうか。アメリカのデフォルトと言えば大事件に聞こえる。だがそれは、このまま債務を増やし続け、最終的には債務が紙幣印刷以外で払えなくなり、今の日本のように(そしてこれから日本でもっと酷くなるように)増税と通貨安とインフレによって無尽蔵に膨らんだ債務を実質的に国民が支払うようになることよりも惨事なのだろうか?

筆者はむしろ債務上限が債務上限になってしまえば良いのではないかと思う。リーマンショック以来、アベノミクス以来増え続けた、人々が買わないような商品しか作らず利益を上げられないまま紙幣印刷によって延命されているゾンビ企業を一掃する必要がある。スタンレー・ドラッケンミラー氏が言うように、日本経済もアメリカ経済もそのようにして復活する必要がある。

ドラッケンミラー氏: ハードランディングで米国経済は復活する
今大惨事を受け入れなければ、これまで数十年のばら撒き政策で得をした高齢者が居なくなってから将来の世代がより悲惨な大惨事を受け入れる羽目になるだけである。有権者は本当にそれを望むのだろうか。

ドラッケンミラー氏、高齢者が若者から搾取する税制を痛烈批判


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37042
55:777 :

2023/06/02 (Fri) 07:00:51

金融引き締めはどのように株価を下げるのか
2023年5月31日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37164

シリコンバレー銀行の破綻に始まる銀行危機で金融市場は悲観的になってみたり、銀行の破綻が一定期間起こらなければ楽観的になってみたり、市場は忙しいものである。

現在は相場の踊り場のような状況だと思うので、ここで一度金融引き締めと株価という基本的なことを再確認してみよう。

株価と金融引き締めの関係

コロナ後の紙幣印刷と現金給付が世界的なインフレをもたらし、アメリカはそれを抑制するために金融引き締めを行っている。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
株価は次のように計算される。

株価 = 1株当たり純利益 x 株価収益率
だから、金融引き締めが株価に影響を与えるとすれば、企業利益と株価収益率のどちらか(あるいは両方)に影響を与えることによって行われることになる。

実際には金融引き締めはその両方に影響を与える。株価収益率に関しては簡単である。株価収益率は株式の実際の価値(つまり将来の純利益)に対してどれだけ高く(あるいは低く)評価されているかを示している。

金利が高くなれば、株式を保有するリスクを取らなくても金利収入が多くなるので貯金や国債の保有などに資金が流れる。逆に金利が低くなればお金を預けていても金利が得られないので株式にお金が流れる。

だから株価収益率は第一に(実質)金利に影響される。金利が高ければ株価収益率が低くなるので、株価も低くなる。アメリカの実質金利の推移を見れば、2022年に株価が下がった理由も、2023年に株価が横ばいになっている理由も分かるだろう。


株価収益率は他にも市場のセンチメントなどにも影響されるが、金利が基本になるので、予想がしやすい。ドル円に関する記事で書いたように、筆者はアメリカの実質金利がこの辺りで天井だと思っているので、今後の推移に関して言えば、実質金利は株価に不利な方向へは動かないと筆者は予想していることになる。

最近のドル高の理由とドル円の今後1年の推移予想
企業利益はどうなるか

あとは企業利益の問題である。こちらは予想が難しいのだが、企業利益に影響を与える要素はいくつかある。例えばGDPで言えば消費は企業利益には直接的には無関係であり、投資は企業利益に影響を与える。

このことについては以下の記事で説明しているので詳しくはそちらを参照してほしいが、重要なのは投資がどうなっているかである。

ドラッケンミラー氏、2023年の株式市場見通しを語る
アメリカのGDPの構成要素のうち投資は次のように推移している。


コロナ後の現金給付の影響で急上昇した後、その上昇分をすべて消しそうな勢いで急降下している。

その理由はアメリカの金融引き締めである。金利が上昇すれば企業は投資がしにくくなる。もっとマクロ的に言えば、借金がしにくくなって市中に存在する現金と預金の総量(マネーサプライ)が減少し、それが投資を行う金銭的余裕を失わせているのである。

だから投資がこのまま下降を続けるのかを予想するためには、マネーサプライがどうなるのかを考える必要がある。そしてマネーサプライは次のように推移している。


銀行危機を受けての銀行の貸し渋りなどもマネーサプライの減少に拍車をかけている。銀行危機も金融引き締めによって起こったことである。

世界最大のヘッジファンド: 銀行危機は悪化しインフレは止まらずスタグフレーションになる
そしてマネーサプライは、アメリカが政策金利を5%程度の水準に維持し続ける限り減少を続けるだろう。

結論

もちろん企業利益に影響を与えるのは投資だけではなく、米国株を考えるならば海外要因も考慮しなければならないわけだが、投資がこのような勢いで急降下を続けるのであれば、ここのところ既に下がっている1株当たり利益もやはり下落を継続すると見るべきだろう。

また、現在の米国株の水準は企業利益の減少と金利の上昇という要因を十分に織り込んでおらず、これらの要素を考えるとかなり割高な状態に位置している。米国株は以下のように推移している。


これら2つは米国株にとってマイナスの要因である。

だが一方で、実質金利の低下による株価の上昇の可能性は排除できない。だから株価の下落に賭ける投資家は、実質金利の低下をヘッジする必要がある。

筆者は基本的に金利低下に賭けているので、 2年物米国債の買いとドル円の空売りが両方ともアメリカの金利低下に賭けた大きなポジションである。

最近のドル高の理由とドル円の今後1年の推移予想


ただ、1つだけ言えるのは、金利上昇と株価上昇が両方来るシナリオはないということである。それは以上の理屈を読めば理解できるだろう。それが起こっている限り、市場は本当の方向へは向かっていない。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37164
56:777 :

2023/06/04 (Sun) 16:04:00

「ドル崩壊は始まっている」大西つねきのパイレーツラジオ 2.0(Live配信2023/05/31)
https://www.youtube.com/watch?v=a2Q4JJhKaJo

「アメリカは財政破綻するか?」大西つねきのパイレーツラジオ2.0(Live配信2023/05/15)
https://www.youtube.com/watch?v=OOlq6TLur70&t=1373s
57:777 :

2023/06/05 (Mon) 15:06:30

米国が没落し日本が繁栄する「転換期」 5大総合商社をまとめ買い、バフェット氏が示した日本の可能性 国際投資アナリスト大原浩氏が緊急寄稿1/2ページ
2023.6/5
大原浩
https://www.zakzak.co.jp/article/20230605-47RH2AV3EBJU5LYAJFBTH577NE/

市場が混乱を懸念した米国の「債務上限問題」は回避されたが、米国が抱えている問題はそれだけではないと指摘するのは国際投資アナリストの大原浩氏だ。緊急寄稿で大原氏は、米国が「没落」していくのと対照的に、日本は「繁栄」に向かう転換点が来ているとの見方を示す。

米国では大統領選以来続く政治的混乱、インフレに対抗するための急速な利上げの副作用、金融機関の経営不安問題などがめじろ押しだが、本質的原因は、1971年のニクソン・ショック(金・ドル交換停止)にさかのぼる。金やその他の資産の裏付けがない、いわゆる「ペーパーマネー」を野放図に刷ってきた結果、ドルの価値が大幅に下落したのだ。

また、「借金をして自社株買い」をしたり、「(事業活動という中身がない)箱だけの会社」(SPAC=特別買収目的会社)が上場し、まだ何も活動をしていないのに巨額の資金を集めてきた。

これも、ぺーパーマネーがいくらでも刷れることから、「過大な金融緩和」が行われた結果だ。


その結果として生じたインフレに対抗するために米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が大胆かつ急速な利上げを行った。それでもインフレの脅威は収まっておらず、「景気崖落ち」のリスクを背負いながらも、現状維持あるいは引き上げを行わざるを得ない状況である。


投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット氏は、米国の将来に対して「万年強気」であることで有名だ。だが、そのバフェット氏が「シリコンバレー銀行をはじめとする金融機関の経営」を憂慮し、「米国経済の『信じられないような時期』が終わりつつある」との趣旨の発言をした。

バフェット氏の海外への本格的な投資は2003年の中国・ペトロチャイナが初めてだが、国際的な石油大手の中の一社として割安であるから購入した。電気自動車やバッテリーを製造するBYDも、創業経営者をバフェット氏や相棒のチャーリー・マンガー氏が高く評価したから購入したのであり、決して中国への投資ではない。台湾の半導体メーカーTSMCは有望な企業だが、いわゆる「地政学リスク」の問題から購入直後に売却したと明言している。

それに対して、日本の5大総合商社の株式の購入は、明らかに「日本そのもの」を購入した事例だ。総合商社は日本の産業の川上から川下までを網羅しており、日本の将来に自信を持てなければ到底購入に踏み切れないからである。5大総合商社を「まとめ買い」したことも日本の将来に対する信頼の表れであろう。


バフェット氏はさらなる「日本企業」への投資の可能性を示唆している。個別企業ではなく、「国単位」での投資の可能性に言及するのは、母国である米国以外では初めてのことだ。バフェット氏は現在92歳だが、20~30年単位で投資判断を行うのが基本だ。彼が120歳になるまで日本は成長を続けるとの自信があると思われる。

1990年頃のバブル崩壊後 「日本は駄目だ」と繰り返し洗脳され日本人は自信を失っているが、約30年ぶりに日本と米国の立場が逆転し、米国が没落し、日本が繁栄へと向かう転換点がすでにやってきているのではないだろうか。

そもそも、日本の「失われた○○年」の原因は、直輸入の米国型経営を無理やり風土が違う日本に当てはめようとしたことにある。今後日本が発展していく中で日本型(経営)の「本当の価値」が脚光を浴びることになる。われわれも、この30年ぶりのトレンドの「大転換」に乗り遅れないようにしたいものだ。

58:777 :

2023/06/06 (Tue) 09:01:48

日経平均がバブル後高値なのに、あなたの株はなぜ上がらない?
つばめ投資顧問の長期投資大学
2023/06/05
https://www.youtube.com/watch?v=6sRsTAS-PTo&t=20s

日経平均株価がバブル後高値を更新しています。 一方で、 自分の株だけ上がらないと感じている人は多いのではないでしょうか?その理由と今後の方針を考えます。
59:777 :

2023/06/18 (Sun) 08:25:27

ガンドラック氏: アメリカはもう利上げしない、米国経済は悪化している
2023年6月17日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37538

引き続き、CNBCによる債券投資家ジェフリー・ガンドラック氏のインタビューである。またアメリカ経済に強気な向きが強まっている一方で、ガンドラック氏は弱気な見方を崩してはいないようだ。

アメリカ経済が弱いと考える理由

前回の記事では、ガンドラック氏は一般に強いと解釈されている労働市場が実際には弱いということを論じていた。

ガンドラック氏: パウエル議長は政策金利を予想できない
ガンドラック氏はそこから更にアメリカ経済が弱い証拠を突きつける。例えばマネーサプライ(市中に存在する現金と預金の総量)である。ガンドラック氏は次のように述べている。

M2(訳注:マネーサプライの1種)の下落率はもう何十年も見られなかった水準に達している。

マネーサプライは、下落率で見れば物凄い水準に達している。マネーサプライの変化率(前年同月比)のグラフを長期で見ると次のようになる。


現在のマネーサプライの減少スピードは、1970年代の物価高騰時代を終わらせた1980年のポール・ボルカー議長による金融引き締めよりも急激なのである。

ポール・ボルカー氏、1980年のインフレ打倒がどれだけ厳しかったかを語る
マネーサプライが重要だという意見には筆者も同意する。だが、個人的には変化率よりも絶対水準を見るべきだと思う。マネーサプライ(変化率ではない)のグラフは次のようになっている。


コロナ後に現金給付によって紙幣がばら撒かれ、マネーサプライが急増した。その紙幣が今回収されており、マネーサプライが縮小している。

ばら撒かれた紙幣によってアメリカ経済はコロナ危機を脱したが、紙幣回収によってばら撒きを無かったことにするならば、コロナ危機からの救済も無かったことになるだろう。

それが筆者の意見である。そして、現在の減少スピードで行っても、コロナ後にばら撒かれた紙幣がすべて回収され、マネーサプライが当時の水準に戻るまでに1年かかる。

ガンドラック氏の議論を聞いていると今すぐにでも利下げと景気後退が始まりそうな印象を受ける。だが筆者はまず利下げが始まりその後に景気後退が始まるまで、もう少し長い時間がかかると考えている。

長短金利差の現状

また、ガンドラック氏が景気後退が近いとする根拠に、10年物国債の金利から2年物国債の金利を引いた長短金利差を挙げている。彼はこう述べている。

長短金利差はもう長らくマイナスになっている。

通常、債券は期間が長いほど金利が高くなるが、債券市場が将来の景気後退を予想すると、長期の債券の方が短期の債券より金利が低くなる。

10年物国債と2年物国債の金利差が逆転することは一般に景気後退の前触れとして知られ、過去においてはほとんど例外なく景気後退になっている。

長短金利差の長期チャートは次のようになっている。


灰色の期間は景気後退なので、長短金利差がマイナスになった後に景気後退になっている様子は見ての通りだ。

だがマネーサプライのグラフと比べてこちらはどうだろう? 長短金利差のマイナスの深さは、1980年に比べるとまだまだだ。

筆者は長短金利差は、現在のインフレが収まるまでに少なくとも1度は当時の水準まで深く下がらなければならないと考えている。1970年台にはインフレは3度の波として来たので、今回の第1波である今、長短金利差がそこまで下がらなければならないわけではない。

だが、長短金利差は筆者には、ガンドラック氏の言うような経済の弱さよりもむしろ、状況がまだまだ悪くないことを示唆しているように見える。いや、十分悪いのだが、想定される最悪の状態にはまだ行っていないのである。

結論

ガンドラック氏は利上げが打ち止めだと考えている。

だが筆者は、金利がここから下がってゆくにせよ、必ずしも今が政策金利のピークであるとは断定しない。紙幣が回収されるまでにあと1年あるのである。勿論利上げがもうない可能性もあるが、あと1回や2回利上げがあっても別に驚かないだろう。

筆者にとって重要なのは、FOMC会合後の記事で書いた次のことである。

6月FOMC会合結果、利上げ継続を表明
銀行危機のような局所的な問題ではなく、経済全体が目に見えて悪くなるまでは、パウエル氏の強気の姿勢を疑う理由はない。

それまではまだ数ヶ月から半年前後はかかるだろう。

今後起きることの順番はこうだ。まず政策金利がピーク(それが今であれ、数ヶ月後であれ)となり、その後利下げに転じる。そして景気後退が来る。

この順番は決して変わらない。景気後退が来ない限りパウエル氏がハト派になることはないが、景気後退は利下げの後にしか来ない。だから、パウエル氏は少なくとも1度はインフレ打倒に成功する。

この意味では経済の強さをパウエル氏が気にしているのは意味がないのである。

彼がGDPや失業率をいくら気にしても、先行指標として経済の状況悪化を教えてくれるのはガンドラック氏の指摘するマネーサプライや長短金利差のような指標だけであって、パウエル氏が気にしているGDPや失業率のような遅行指標が実際に悪化してしまった時には、状況は既に手遅れになっているだろう。

いくらそれらの指標を見ていても、それが先に悪化してパウエル氏に事前に警告してくれることはない。GDPが悪化してからGDPの悪化に備えることはできない。彼は先行指標を見なければならないのだが、マクロ経済学の素人である彼はそれが理解できないのである。

この意味で、パウエル議長は2021年にインフレを無視し、インフレが実際に手遅れになってから金融引き締めを開始した過ちを繰り返していると言える。彼は絶対に状況が手遅れになってからでなければ動かなかった。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ (2021/7/12)
「インフレが悪化してから動く」それはインフレが悪化することを保証している。「景気後退になってから動く」だかそれは、景気後退になることを保証している。

ガンドラック氏は次のように述べている。

Fedが1年半前に犯したのと同じ失敗を、今度は逆の方向に犯そうとしているのは理解できない。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37538
60:777 :

2023/06/23 (Fri) 06:57:58

ガンドラック氏: 米国株はバブルの様相、S&P 500は極めて割高
2023年6月21日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37635#more-37635

引き続き、DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏のCNBCによるインタビューである。

株価反発の理由

株式市場は反発している。米国株が今何処にいるかと言えば、2022年からの下げ幅の半分を超えたあたりである。


この動きについて、ガンドラック氏は一部の銘柄が大きく上昇したことが原因であると指摘している。

ガンドラック氏のいつもの表現だが、アメリカの株価指数S&P 500の上昇は実質的には資金が集中する7銘柄ほどの上昇であるとして、次のように言っている。

S&P 7はどう見てもバブルの動きだ。AI関連株は20%上がっている。そしてS&P 493は、最近少し上がったが、数週間前までは年始から変わらずだった。

残念ながらS&P 7のチャートもS&P 493のチャートもないのだが(そしてどの7銘柄なのかガンドラック氏が言及したわけでもないが)、アメリカに上場する株式のうち大型銘柄を除いた小型株指数であるRussell 2000のチャートをS&P 500と比べてみると状況が分かるだろう。

Russell 2000は次のように推移している。


こちらは上がっていないのである。

株式市場はバブルか?

この状況についてガンドラック氏は次のように述べている。

率直に言って、株式市場はバブルの様相を呈している。非常に限られたいくつかの銘柄が、指数全体を引っ張っている。結果としてS&P 500のバリュエーションは、Fedが利上げして長短金利が逆転していることを考えるとかなり恐ろしいことになっている。

長短金利の逆転とは、短期金利が長期金利よりも高くなっている状態のことで、歴史的にはその後かなりの確率で景気後退となる。詳しくは以下の記事を読んでもらいたい。

ガンドラック氏: アメリカはもう利上げしない、米国経済は悪化している
景気後退前にしてはバリュエーションが高過ぎるというわけである。具体的にはガンドラック氏は次のように言っている。

S&P 500の株価収益率は予想利益に基づいて19だ。だが経済が弱まり景気後退になるならば、予想利益自体がかなり楽観的な数字ということになる。

S&P 500は非常に割高だ。NVIDIAは年始から400%上がった。大きな上昇幅だ。そうした銘柄が指数を牽引している。

そして極めつけは以下のコメントである。

S&P500の動きは2022年1月4日までの雰囲気に非常に似ている。

現在の状況はバブル崩壊前に似ているか?

2022年1月と言えば、アメリカの金融引き締めが株価を下落させ始めた頃である。S&P 500のチャートをもう一度掲載しよう。


しかしガンドラック氏の指摘で筆者が思い出したのは、むしろ2018年である。現在と同じくアメリカの金融引き締めで株価が下落した2018年には、まず年始に株価が下落した後、一度大きく反発してから年末にかけてもう一度大きな下落があった。


当時からの読者は覚えているだろうが、2018年に一度下落してからの反発が本物の反発でなかったことを示す証拠は、S&P 500などの主要指数以外の指数、例えば新興国株式などが下落したままだったことである。

当時の記事にこう書いてある。

世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)
しかしここで指摘し続けた通り、世界の株式市場の中でまだ上昇相場を保っていたのは、アメリカや日本の株式市場の内、株価指数に採用されている少数の銘柄だけだったのである。

今の相場においてどうなっているかを考えてみる必要がありそうだ。ガンドラック氏の指摘はいつも示唆に富んでいる。

また、 NVIDIAについてはバブルではないというスタンレー・ドラッケンミラー氏の指摘もあるので参考にしてもらいたい。

ドラッケンミラー氏のNVIDIAの株価予想: 暗号通貨と違ってAIは本物

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37635#more-37635
61:777 :

2023/06/27 (Tue) 20:18:27

2023年の米国株は2018年世界同時株安のダブルトップに似ている
2023年6月27日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37866

米国株は反発している。しかしその上昇が新たな上昇トレンドの始まりとなるためには、実体経済、金融政策、財政政策の少なくともどれかに上昇を正当化できる理由が必要である。

株価反発は本物か?

下落相場における反発が本物の上昇かどうかを見分ける方法はいくつかある。まず第一の方法は、その上昇に確かな根拠があるかどうかを調べることである。

そして残念ながら、実体経済、金融政策、財政政策のいずれにも上昇を正当化する要因は見当たらないということを前回の記事で説明しておいた。

米国株はいまだにダウントレンドの中にある
実体経済では資産価格の下落や財のインフレの落ち込みなどの先行指標の減速から、失業率の上昇やサービスのインフレの落ち込みなどの遅行指標に徐々にシフトしつつあり、銀行危機を引き起こした原因も何も解決されていないまままだ存在している。GDPもそろそろ減速してくる。

世界最大のヘッジファンド: 銀行危機は悪化しインフレは止まらずスタグフレーションになる
金融政策では、Fed(連邦準備制度)のパウエル議長は、実体経済が景気後退に陥るまでは金利を下げないだろう。パウエル氏は気づいていないだろうが、それはつまり、実体経済は必ず景気後退に陥ることを意味している。

ガンドラック氏: アメリカが本当にあと2回利上げすれば引き締めのやり過ぎに
そして財政政策では、今年のアメリカの財政赤字は去年と同じ水準になると予想されており、財政出動は株価を去年の水準以上に引き上げる根拠にはなり得ない。

景気後退の状況下においても株価が上がる場合はある。だがそれはコロナ後の株高のように、金融政策や財政政策のプラス効果が実体経済のマイナス効果に打ち勝つ場合である。そして現在の状況はそういう状況ではない。

2018年世界同時株安

この議論については前回の記事で詳しく語ったが、下落相場における反発が本物かどうかを見分ける方法は他にもある。

2018年の世界同時株安を思い出してほしい。現在と同じく、アメリカの金融引き締めが原因で引き起こされた株価の下落である。

2018年には株価の下落は2度起きた。つまり、1度目の下落のあと株価は反発した。当時の株価チャートは次のようになっている。


当時の読者は覚えているだろうが、筆者は1度目の下落を見送った。そしてその後の反発が偽物だと判断した上で夏に空売りを行なった。

世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/18)
何故この反発が新たな上昇相場の始まりではないと判断できたのか、読者は覚えているだろうか? この当時の記事には次のように書いてある。

リーマンショックの2008年にもそうだったように、バブル崩壊とはすべての銘柄が一斉に下落するものではない。ここでは去年から言い続けてきたように、バブル崩壊の過程では先ず、リスクの高い資産から売られ始めることになる。

下落には時間差がある。米国や日本、ヨーロッパなどの先進国の主要指数(例えばS&P 500)が上昇していても、よりリスクが高いとみなされる資産(例えば各国の小型株や新興国の株式)は下がっていることがある。

例えば2018年には米国株が1度反発する中で、中国株はダウントレンドを続けていた。以下の上海総合指数のチャートを上記のS&P 500のチャートと比べてみると良い。


こうした状況は、先進国の主要指数だけは何とか一時的に押し上げられているものの、金融市場全体を持ち上げるには資金が足りていないことを意味している。

2023年の株価反発は本物か?

では2023年の株価反発はどうなのか? まずはアメリカの主要指数であるS&P 500のチャートを掲載しよう。


確かに反発している。だが主要指数が上がる中で、よりリスクが高いとみなされているよりマイナーな資産クラスはどうなっているのか?

例えばアメリカの小型株指数Russell 2000である(チャートはETF)。


去年の下落からまったく復活していない。S&P 500との差は明らかである。

アメリカには他にもリスク資産はある。例えばジャンク債である。ジャンク債ETFのチャートは次のようになっている。


こちらもまったく回復していない。S&P 500などの主要指数だけが反発しているが、その反発は金融市場全体には及んでいないのである。

アメリカ以外の状況も見てみると、上海総合指数は次のようになっている。


こちらも回復しているとは言い難い。上海総合指数のここ最近の動きは、むしろ2018年にS&P 500に先駆けて下がり始めたRussell 2000の動きのようにも見える。2018年はそれが暴落再開の合図だった。

遂に米国株にも減速の兆し (2018/10/8)
最後にもう1つ挙げておこう。新興国通貨である。2018年においても新興国通貨は他の資産クラスに先駆けて下落した銘柄だった。

当時、トルコのエルドアン大統領は、トルコリラなどの新興国通貨が暴落する中、ドルだけが生き残っている状況を見て会心のギャグを飛ばした。

トルコのエルドアン大統領、通貨暴落で会心のギャグを飛ばす (2018/8/13)
あちらにダラー(ドル)があるなら、こちらにはアラー(神)がいる。

ちなみにトルコリラは今も下落しているのだが、トルコリラは例外的だから人民元の状況を確認してみよう。以下はドル元のチャートであり、上方向がドル高元安である。


株安を受けて下方向(元高)に持ち直したが、今はまた元安に転じている。

結論

ということで、前回の記事では実体経済、金融政策、財政政策のどれも株高を正当化するような状況ではないことを確認したが、現在の金融市場の状況はその筆者の考察を裏付けているように見える。市場全体を見れば、やはり資金は足りていないのである。

米国株はいまだにダウントレンドの中にある
そもそも、2018年の相場がダブルトップになったことにも、今の相場がそうなりそうであることにも、理由がある。金融引き締めが金融市場に効き始めるタイミングが第一の暴落、その後それが実体経済に効き始めるタイミングが第二の暴落である。

読者はどう考えるだろうか。他の投資家の意見も参考にしながら、現在の相場を乗り切ってほしい。

ガンドラック氏: 米国株はバブルの様相、S&P 500は極めて割高
世界最大のヘッジファンド: アメリカ経済は結局強いのか弱いのか?
ドラッケンミラー氏: 今後10年の株式市場はバイアンドホールドでは勝てない


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37866
62:777 :

2023/07/02 (Sun) 08:29:50

金利市場の天才ゾルタン・ポジャール氏、ドルの崩壊を予想するためのリサーチ企業を創業
2023年7月1日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37984

クレディ・スイスの短期金利戦略グローバル責任者として多くの優れたアナリストレポートを世に出していたことで知られるゾルタン・ポジャール氏が、クレディ・スイスを退社してEx Uno Pluresという自分の研究所を立ち上げたらしい。

金利市場の天才ポジャール氏

読者も知っての通り、ここでは本当に優れた世界的な専門家の意見しか取り上げていない。例えば同じマクロ経済学者でもラリー・サマーズ氏の意見は掲載するが、ポール・クルーグマン氏の意見は掲載しない。前者は本物の学者だが、後者は凡庸な政治屋だからである。

だからここで掲載する専門家の数は限られている。そして金利市場の第一人者であるポジャール氏はそこに入っている。彼の優れた予想はここではいくつも扱っているが、例えば彼は現在のアメリカの政策金利の水準を去年夏の段階で正確に予想している。

ポジャール氏: 政策金利は5%以上に上がって景気後退ではなく恐慌を引き起こす (2022/8/8)
ポジャール氏は時には奇抜な予想をすることでも知られ、例えば以下の金価格2倍予想などはそういう部類に属するだろう。

ポジャール氏: ゴールドが決済手段になり金価格は2倍へ
クレディ・スイス時代に発行していたアナリストレポートは金融業界の一部で熱狂的なファンを集めていたが、雇用主であるクレディ・スイスが破綻してUBSに買収された後、ある会議に「所属:未決定」のネームタグを付けて参加しているところが目撃されており、クレディ・スイスを辞めたらしいということがニュースになっていた。

ポジャール氏の新会社設立

しばらくの間不明となっていたポジャール氏の今後だが、Odd Lotsのポッドキャストで新会社設立を発表している。Ex Uno Pluresという名前のリサーチ企業で、経済分析の結果を顧客に提供するのだろう。公式サイトは以下のようだ。

https://www.exunoplures.hu/
ここには企業理念について以下のように書かれている。

ラテン語で「一から多へ」を意味するわれわれの会社名は、アメリカ合衆国の国章やドル紙幣に書かれている標語である「多から一へ」を逆にしたものである。

「多から一へ」は、アメリカが数多くの国の中からナンバーワンになること、ドルが世界一の基軸通貨になることを標榜しているのだろう。それは戦後にアメリカ主導で構築された国際通貨体制であるブレトン・ウッズ協定によって現実となった。

ポジャール氏は以下のように書いている。

アメリカのドルは世界に君臨し、「多から一へ」は国際的な経済圏を構築したドルを表すのにパーフェクトな標語となった。

だがポジャール氏の今の予想は、ウクライナ情勢後の世界においてドルが基軸通貨の地位を失うというものである。ポジャール氏の相場観については以下の記事などで解説している。

ポジャール氏: 世界の資金がドルから逃避している
だからポジャール氏の新会社の企業理念は次のように続けられている。

資金調達市場や金利市場においては、価格は額面価格かほとんど変わらない価格(「一」)で取引されるが、その状況はバランスシートの制約や準備金の不足やパニックによって価格が崩壊する(「多」になる)ことで瓦解する。

われわれの企業理念は顧客がそうした瓦解を予想できるように助けることだ。

つまり、ざっくり言えばドル市場の崩壊を予想するための企業だということである。

ポジャール氏の経済予想

ということで、ポジャール氏の新たな船出を報じておいた。正直言ってクレディ・スイスにはポジャール氏の才能はあまりに勿体ないと考えていたので、あるべき姿におさまったと筆者は考えている。筆者のように考えていた金融家は多いのではないか。

ガンドラック氏、無価値になったクレディスイス債券の保有者におむつ卒業を薦める
ポジャール氏の現在の予想を纏めておこう。アメリカの政策金利が5%まで上がることを去年の段階で予想していたポジャール氏だが、金利は今後どうなってゆくのか? ポジャール氏の予想は以下の記事に書いてある。

ポジャール氏: アメリカは利下げしない、原油価格は150ドルまで行く
ポジャール氏は金利はまだ下がらないと予想している。だが金利が上がったあと、ポジャール氏の予想ではアメリカ経済はそれに耐えられない。究極的には緩和を再開することになり、そしてドルは暴落する。

ポジャール氏: アメリカは量的緩和を再開しドルは暴落する


ポジャール氏の最新の相場観が述べられている Odd Lots のインタビューの内容についても報じたいと思っているので、楽しみにしていてもらいたい。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37984
63:777 :

2023/07/02 (Sun) 09:19:34

1ドル=144円でこれからどうなる?為替介入は?
つばめ投資顧問の長期投資大学
2023/07/01
https://www.youtube.com/watch?v=jvGtDAkz-EA

円安が進んでいます。 現在の円安の要因と政府・日銀の思惑を探ってみました。この動画を見れば、円高への転換点も見通せるかも知れません。
64:777 :

2023/07/02 (Sun) 10:28:04

海外投資家は「これ」を見て日本株を買っている
つばめ投資顧問の 長期投資大学
2023/06/15
https://www.youtube.com/watch?v=t9VQUazP2Gs
65:777 :

2023/07/03 (Mon) 21:58:46

ポジャール氏、人民元が基軸通貨になれるまでの道のりを説明する
2023年7月2日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38003

クレディ・スイスを退社してリサーチ会社Ex Uno Pluresを創業したゾルタン・ポジャール氏が、Odd Lotsのインタビューで、人民元の国際化について語っている。

ポジャール氏は中国が中継銀行という概念を不要にすることで人民元は国際化すると語っており、金融業界の人間にはそれだけでなかなか面白い話だと分かるだろう。

世界的なドル離れ

ロシアのウクライナ侵攻後、アメリカがドルを中心とした銀行システムを経済制裁の手段として使い、自身の対ロシア経済制裁に参加しない無関係の国々を脅して回っていることが原因で、中国やインドなどの国々がドルから離れることを模索している。

世界最大のヘッジファンド: ドルが基軸通貨から滑り落ちる理由
ポジャール氏: 世界の資金がドルから逃避している
これまで原油や天然ガスなどコモディティの取引は、アメリカ以外の国同士で行われる場合も慣習としてドル建てで行われてきたが、ブラジルなどの国々はドルではなく自国通貨で決済を行うように他国に呼びかけている。

日本人はウクライナ情勢へのアメリカの介入を正義だと思い込んでいるようだが、他の国はそう思っていないということである。

真珠湾攻撃に言及したゼレンスキー大統領が広島の原爆には言及できない理由
レイ・ダリオ氏など一部の専門家はドルに代わって人民元が基軸通貨になると考えている。だが娘に中国語を覚えさせるためにわざわざシンガポールに移住した投資家ジム・ロジャーズ氏は、閉鎖的な通貨である人民元は国際的な通貨にはなれないと主張するなど、何がドルの代わりになるのかについては意見が分かれている。

サマーズ氏: ドルに代わって基軸通貨になれるものがあるか
人民元は基軸通貨になれるか

ポジャール氏は、やはり人民元がドルに代わって基軸通貨になると考える1人である。だが国際的な決済や資金調達について金融業界で誰よりも詳しいポジャール氏は、人民元が基軸通貨になる上での障害についても理解している。

ポジャール氏は人民元の国際化の歩みについて次のように説明している。

中国は貿易の決済に使えるように人民元を国際化するようかなり努力してきた。それが始まったのは2015年頃だが、それは今では止まっている。

その理由は恐らく、ロンドンやニューヨークなどの西側の金融システムの中で、西側の銀行のバランスシートを通して人民元を国際化しても意味がないということに中国が気づいたからだ。それでは自分の通貨が流通しているシステムをコントロールできない。

「西側の銀行のバランスシートを通して」という部分に少し説明が必要だろう。多くの銀行は自行において国際的な送金ができない。そうした銀行が海外送金を請け負う場合、中継銀行と呼ばれる国際的な業務を行う銀行が送金を中継することになるが、中継銀行になれる国際的な銀行は、その多くが西側の銀行である。

ロシアが西側の経済制裁で国際的な決済網(SWIFT)から排除され、ロシアが逆にアメリカに対して同じことが出来ないのは、そこに理由がある。

人民元が基軸通貨になるために

ポジャール氏は次のように付け足す。

これはロシアがウクライナを併合し、金融業界で経済制裁が話題になっている中で起こっている。

中国がアメリカに脅されないようにするためには、中国は単にこのまま人民元を国際的な決済で使えるようにしても意味がない。

そこで出てくるのが、中央銀行の管理するデジタル通貨である。ポジャール氏は次のように続ける。

中国が人民元を本当の意味で国際化したいなら、一番最初から始め、自分でコントロールできる金融ネットワークを新たに構築する必要がある。

それと同時に中央銀行のデジタル通貨が話題に上がってきた。

デジタル通貨は、ビットコインのように銀行がなくとも決済が完了できるシステムである。金融業界では同じ仕組みを中央銀行が実装し、より利便性の高い決済システムに活かすという話が出ている。

ポジャール氏によれば、中国はそれを狙っている。西側の中継銀行ではなく、デジタル通貨の決済網を用いて決済できるようになれば、中国やインドやブラジルなどの国々は西側の決済システムから自由になる。

ポジャール氏は次のように主張している。

今から5年から10年先には、人民元は今よりも大幅に国際化されるが、人民元による国際的な決済は、中継銀行のネットワーク内ではなく、中央銀行のバランスシート内で起きることになる。

中継中央銀行のネットワークというものを想像すべきだ。今後の世界では、各国が独自の通貨を使った銀行システムを持っているが、2国間、例えばタイと中国が貿易をするとき、2つの中央銀行の取引によって為替が完了することになる。

このようなシステムを想像してみれば、国家間、中央銀行間のネットワークであって、西側の金融センターやドルとは完全に無関係になる。

結論

これまでは、アジアやアフリカや中東の地域間で貿易が行われるときも、ドルによる決済が行われてきた。それはドルの需要を爆発的に増加させ、アメリカが無尽蔵にドル紙幣を刷ってもドルが暴落しない状況を作り出した。

今もまだ居るのかは分からないが、少し前までは米国株のここ40年間の上げ相場に夢中になって、米国株は今後も永遠に同じ上げ相場を続けるのだと妄想している人が大量にいた。

筆者は直近40年の米国株の上げ相場について、1980年以来ずっと続いてきた金利低下トレンドが原因であり、コロナ後のインフレによってその長期トレンドはもはや完全に失われていることを指摘した。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
だがこれも基軸通貨ドルと関係している。アメリカが金融緩和を続けられたのは、ドルが基軸通貨であったために緩和をしてもドルが下がらなかったからである。

ドラッケンミラー氏: アメリカは基軸通貨ドルのお陰で致命傷を食らうまで緩和を続けられる
しかしポジャール氏によれば、ドルが基軸通貨から緩やかに退場してゆく土壌は整ったようだ。

それは大英帝国の通貨ポンドが基軸通貨ではなくなったのと同じ長期のプロセスになる。

世界最大のヘッジファンド : 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
だが今がそのプロセスの始まりだという見解は、恐らく正しいのかもしれない。ポジャール氏の新会社は、まさにそのために設立されている。

金利市場の天才ゾルタン・ポジャール氏、ドルの崩壊を予想するためのリサーチ企業を創業


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38003
66:777 :

2023/07/07 (Fri) 19:08:43

アメリカの深い景気後退をなおも予想する金融市場
2023年7月5日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38060

アメリカでは利上げによる景気後退が不可避のものとされ、数ヶ月前には銀行の破綻も騒がれた一方、株式投資家は数ヶ月前の話を覚えておく記憶力がないので、市場にはアメリカ経済には何の問題もないかのような雰囲気が漂いつつある。

景気後退を予想し続ける債券市場

だがそれは株式市場に限った話である。もう1つの重要な市場である債券市場はまったく別のシグナルを発し続けている。

それが何かと言えば、10年物国債の金利から2年物国債の金利を引いた長短金利差である。

金利は通常、期間が長いほど高くなる。一般的にはお金を1週間貸すよりは10年貸す方が、期間内に倒産する可能性が上がると考えられるからである。

だがこの長短金利差が逆転する場合がある。例えば今のように、インフレでFed(連邦準備制度)が利上げを強いられ、政策金利の影響を受けやすい短期金利は鋭く上がる一方で、今の利上げによって将来の景気見通しが悪化し、長期金利が下がるか、短期金利ほど上がらない場合である。

長短金利が逆転するとき、歴史的にはほぼ確実に景気後退が起きている。だが今の状況はと言えば、以下のチャートのように長短金利差は単に逆転するだけではなくそのまま-1%まで行っている。


注目したいのは、3月に一度跳ね上がった長短金利差が再び下落して下値を更新していることである。

長短金利差の再下落

3月に跳ね上がったのは、シリコンバレー銀行の破綻に始まる銀行危機でFedが利下げするのではないかとの観測が強まり、短期金利が下がったからである。

世界最大のヘッジファンド: シリコンバレー銀行破綻はドミノ倒しのように伝染する
だがその後、住宅価格の上昇などで更なる利上げが必要なのではないかとの観測から、短期金利は再び上がり、しかし長期金利はそれほど上がらず、長短金利差は下落していったということである。

アメリカの4月住宅価格が再び上昇、インフレ継続で利上げ再開か
長短金利差が下落している以上、債券市場は現在の利上げによって将来景気が落ち込むとの見方を崩していない。むしろ、長短金利差が下値を更新したということは、今後の景気後退が更に深くなることを予想している。

これは一見してS&P 500などの主要株価指数の動きと矛盾している。S&P 500のチャートは以下のように推移している。


長短金利差は少数派ではない

だがここで思い出してほしいのが、先進国の主要株価指数が反発している一方で、各国の小型株指数や新興国株、ジャンク債など、よりリスクが高いと考えられている資産クラスは2022年の価格下落から回復していないという事実である。以下の記事で説明している。

米国株はいまだにダウントレンドの中にある
例えば上海総合指数のチャートの長期下落トレンドは、むしろアメリカの長短金利差のグラフに近いと言って良いだろう。


また、同じアメリカでも小型株指数Russell 2000は下落から回復していない。


むしろ2022年の下落から反発している先進国の主要指数は世界の金融市場で少数派であり、そこだけが生き残っている姿は2018年の世界同時株安を彷彿させる。

2023年の米国株は2018年世界同時株安のダブルトップに似ている
長短金利差は筆者のこの見方に同意しているようである。

結論

ちなみに2018年においても、先進国の主要株価指数は一時的に反発する一方で、新興国株式などと同様に長短金利差は下がり続けていた。以下は2018年の長短金利差のグラフである。


ただ、長短金利差は底値を打って反発を始めてからが本番であり、景気後退はその後に来る。ガンドラック氏が以下ように指摘していたことを思い出したい。

ガンドラック氏: シリコンバレー銀行破綻でアメリカの景気後退が近づいた
過去何十年にわたるすべての景気後退では、長短金利差の逆転が縮小してから数ヶ月で経済は景気後退に陥っている。

逆に言えば、長短金利差が下落を続けている限り景気後退はまだだということである。

筆者は来年前半だと予想しているが、どうなるだろうか。

世界最大のヘッジファンド: アメリカ経済は結局強いのか弱いのか?


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38060
67:777 :

2023/07/07 (Fri) 19:56:56

相場シナリオ解説 ~ ベテラン投資家たちが上昇を予期するワケ
つばめ投資顧問の長期投資大学
2023/07/07
https://www.youtube.com/watch?v=z1acusU1DmU

日経平均株価が上昇を続けてなかなか下がりません。 下落待ちの人も多いと思いますが、果たして下がるのでしょうか。スタンダードな解説とベテラン投資家の直感から今後の見通しと長期投資の要諦を解説します。
68:777 :

2023/07/23 (Sun) 16:02:46

市場が“非常に貪欲”な時こそ注意せよ!
つばめ投資顧問の 長期投資大学
2023/07/22
https://www.youtube.com/watch?v=L21GCw1XLDI

ダウ平均株価は7/21までに10連騰。Fear&Greed指数は「Extremely Greed」を示しています。インフレ率が鈍化し、明るい話も少なくないのですが、そのようなときこそ注意が必要です。
69:777 :

2023/08/01 (Tue) 00:43:04

ガンドラック氏、アメリカの景気後退について語る
2023年7月31日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38522

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、CNBCのインタビューでアメリカ経済と景気後退について語っている。

景気後退と長短金利逆転

前回の記事ではガンドラック氏のインフレ率に関する予想を紹介した。

ガンドラック氏: インフレ率が下がり過ぎてデフレになる可能性
去年からのアメリカのインフレ率下落予想を的中させたガンドラック氏は、引き続きインフレ率を下落方向で予想している。

だが経済成長率はどうだろうか。債券市場のエキスパートであるガンドラック氏が注目するのは、やはり景気後退の前触れとされる長短金利差の逆転である。

長短金利差とは10年物国債の金利から2年物国債の金利を引いたものである。債券の金利は通常期間が長いものほど高くなるが、利上げの行き過ぎで景気後退に陥ると債券市場が予想する場合、短期金利は政策金利に釣られて高くなる一方で、長期金利は景気減速を織り込んで低くなる。

これが長期金利が短期金利を下回るところまで進んだ(つまり長短金利差がマイナスになった)場合、過去の相場ではほとんど確実に景気後退が起こっている。

アメリカでは2022年からの利上げによって長短金利差は既にマイナスになっているが、長短金利差についてガンドラック氏は次のように述べている。

長短金利はいまだに逆転したままだ。シリコンバレー銀行などの地方銀行危機のあと逆転は解消されかかった。逆転の解消は景気後退の兆候で、金融市場は懸念を表明していた。

長短金利差のチャートは次のようになっている。


長短金利の逆転は、今年一度戻りかけた。だがガンドラック氏はこの起こりかけた長短金利逆転の解消こそが景気後退のサインだと言っている。

何故ならば、歴史的には景気後退は長短金利がまず逆転し、その後それが解消に向かった後のタイミングで起こるからである。

逆に言えば、景気後退は長短金利逆転が解消されるまで来ない。

ガンドラック氏は次のように続けている。

だが銀行危機が落ち着くとそれは元に戻った。長短金利逆転の解消は注目しておくべきサインだが、それはまだ起きていない。

いまだ残っているコロナ後の現金給付

だが、それは何故なのか。ガンドラック氏はコロナ後に行われ、物価高騰を引き起こした現金給付の影響がまだ残っていると指摘する。彼はM2(市中に存在する現金と預金の総量、マネーサプライ)を取り上げて次のように言っている。

多くのエコノミストが正当にも言及しているが、M2が前年比でマイナスになっている。だからそれを見れば、インフレ率は大きく下落してくると考える。

だがもう1つ注意を払わなければならないのは、2020年と2021年の現金給付の影響がいまだに残っているということだ。

利上げと量的引き締めによってマネーサプライが下落してきていることは確かである。実質マネーサプライのグラフは次のようになっている。


コロナ後の現金給付によって急騰し、世界的なインフレを引き起こしたマネーサプライは同じ速さで急減少しているものの、コロナ前の水準と比べるとまだまだ多い。

スタンレー・ドラッケンミラー氏が次のように言っていたことを思い出したい。

ドラッケンミラー氏: それでも米国経済はハードランディングする
エド・ハイマン氏はマネーサプライが史上最速の速さで縮小していることを指摘した。

だが話はそれほど簡単じゃない。マネーサプライは数年前と比べると30%後半から40%ほど拡大している。だから積み上がっているお金の量はそれでも極めて多いということだ。

実は増加しているマネタリーベース

更に、ガンドラック氏が指摘するのは企業や個人の銀行口座にある預金の状況を現すマネーサプライではなく、銀行が中央銀行の口座に保有する預金の量を表すマネタリーベースである。

彼はこう述べている。

M2は前年比でマイナスだが、マネタリーベースはいまだに膨大だ。当時の緩和の資金はいまだに残っている。

アメリカのマネタリーベースのチャートは次のようになっている。


マネタリーベースは量的緩和や量的引き締めで操作される。アメリカは利上げとともに量的引き締めをやっているので、マネタリーベースは下がっているはずなのだが、今年の3月から上昇に転じている。

今年の3月に何があったか? シリコンバレー銀行の破綻に始まる銀行危機である。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
銀行を救うためにFed(連邦準備制度)が銀行に資金を注入したことから、量的引き締めの効果は打ち消されている。

パウエル議長は、銀行危機を受けて実質的に量的引き締めを撤回したわけである。

やはりこれは緩和再開によるインフレ第2波を示唆しているのではないか?

サマーズ氏: パウエル議長のインフレ退治が本気かどうか疑う理由
ポジャール氏: アメリカは量的緩和を再開しドルは暴落する


そしてドルはどうなるだろうか。ガンドラック氏はドルの動向にも言及しているので、そちらもまた新しい記事で取り上げたい。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38522
70:777 :

2023/08/17 (Thu) 17:02:13

米国株下落の原因: 米国債から資金流出の兆候
2023年8月16日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38954

アメリカで金利が上昇している。小売店売上高の数字が予想よりも強く、インフレが長引くことが懸念されてのことだという解説がされているが、事実ではない。インフレを警戒しての金利高ではなく、米国債から資金が流出しているのである。

アメリカの長期金利上昇

ここのところアメリカの長期金利は上昇している。


特に最近の上昇は根強いインフレを懸念してのことだと言われるが、市場の期待インフレ率は7月半ばの急上昇のあとむしろ下向いている。


事実、インフレ率は一部指標が加速の兆候を示すものの、全体としては低下トレンドを続けている。

7月の米国インフレ率はほぼ横ばい、サービスと住宅のインフレが加速
期待インフレ率が下がっているにもかかわらず、金利が上がっている。それは何を意味するか。

金利上昇と株価水準

それは何を意味するのか。株式市場の動きも重ねて考えたい。S&P 500のチャートは次のように推移している。


ここのところ株価は上がっていた。去年の株安に繋がった去年の高金利水準まで長期金利が再び上がってきているにもかかわらず、株価は最高値付近まで戻していたことから、株価は史上稀に見る水準まで割高になっていることは最近何度も指摘しておいた。

だがいつも言うように限界に近い高金利と株高は両立しない。金利が上がって株価が下がるか、金利が下がって株価が上がるか、どちらかである。金利低下による株高シナリオについては排除しないと以前にも書いてあるが、金利上昇と株高の両立は有り得ない。

それで株価が下がってきているのである。しかし何故金利は上がっているのか。

金利上昇の原因

金利は以下の計算式によって求められる。

金利 = 期待インフレ率 + 実質金利
この式から、仮に期待インフレ率が上がっていれば、上の計算式から金利はその分だけ自動的に上昇することが分かる。

だが期待インフレ率は下がっている。金利から期待インフレ率を引いた残りの分、つまり実質金利の分は、主に2つの要因で決まる。中央銀行の金融政策と、あとは米国債自体の魅力である。

中央銀行が長らく実質金利を高く保つと市場が予想するなら、長期金利のうち実質金利の分が上がることもあるだろう。実際、1970年代のインフレ退治のためにポール・ボルカー氏がやったのがそれである。

ポール・ボルカー氏、1980年のインフレ打倒がどれだけ厳しかったかを語る
だが直近の動きで見れば、政策金利の今後の動きを反映する2年物国債は、7月以降横ばいである。


つまり、市場は中央銀行の金融政策がよりタカ派になることを予想しているわけでもない。

だとすれば、直近の長期金利上昇の理由は1つである。投資家が米国債から逃避している。

米国債からの逃避

筆者としてはそれをこんなに短期のタイミングで予想していたわけでもないが、以上のようにデータを見て考えるとそう結論するほかないようだ。

Bridgewaterのレイ・ダリオ氏は、ここ最近米国債の需給の問題を指摘していた。発行量がますます増える米国債に対して、買い手が足りなくなるという予想である。

世界最大のヘッジファンド: アメリカの債務危機は終わっていない
債務上限問題解決後の米国債の大量発行が国債市場の需給を歪めるという声もある。

いずれにしても、期待インフレ率低下の状況下で金利が上がっているのだから、実際に米国債から資金が流出していると考えるほかない。

有り得ないシナリオの崩壊

そうした状況になって株価が下がり始めたのは、金利が上がっても株価は上がり続けるという有り得ない夢が破れかかっていることと同時に、市場の見ているもう1つの有り得ない夢に一石を投じる動きである。

もう1つの有り得ない夢とは何か。以前の記事に以下のように書いたことを思い出したい。

今のところアメリカのソフトランディングを織り込む金融市場
現在の市場が織り込むシナリオはハッピーエンドである。Fed(連邦準備制度)は現在の金利水準をほぼ維持する(2年物国債金利の高止まりがそれを示唆している)が、経済はそのまま回復してゆく(期待インフレ率と長期金利の上昇)。

このシナリオはまず期待インフレ率の低下という形で一角が崩壊した。だがそれでもこのまま長期金利が上がり続けるのであれば株価は更に下落し、長期金利も結局はリスクオフで低下に向かうだろう。

有り得ないシナリオは結局1つ1つ崩壊してゆく。債券にとって金利上昇は価格下落を意味するので、現状は国債も株価も下落しているという不吉な組み合わせである。

市場が矛盾を解消するために次の一手をどう打つのかを厳密に予測することはできない。だが株価の上下および金利の上下などの組み合わせは、徐々に有り得ないシナリオから有り得るシナリオへと絞られてゆく。その変化から利益を得られるようにポートフォリオを組むのが、ファンドマネージャーの仕事である。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38954
71:777 :

2023/08/21 (Mon) 19:07:55

バフェットも警鐘!米銀格下げの株式への影響と長期投資家へのアドバイス
つばめ投資顧問の 長期投資大学
2023/08/21
https://www.youtube.com/watch?v=07-GUk0bMuc
72:777 :

2023/08/22 (Tue) 13:24:41

米国株下落の原因: 利下げ織り込みでも止まらない長期金利急騰
2023年8月21日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39098

アメリカの長期金利上昇が原因で株式市場が下落し話題になっているが、その原因についてもう少し深堀りしてみよう。

株価水準と金利

金利上昇で株価が下落している背景には、国債の金利と株式が競合する事実がある。(理論的に)無リスク資産である10年物国債の金利が4%を超えているということは、株式は今後10年間それを十分に越えるリターンを約束できなければ、投資家にとって場合によっては何十パーセントの損失のリスクのある株式を持つ意味はない。

だから金利が上がれば上がるほど株価には不利になる。以前から言っているように米国株は元々金利と比較して市場稀に見る割高水準だったのだが、多少金利が上がり始めると金融市場は今それに気づいたかのように振る舞い始める。相場とはそういうものである。

さて、長期金利、つまり10年物国債の金利がどうなっているかと言えば、こうなっている。


8月に入って高値更新を続けている。それでS&P 500の方は次のようになっている。


長期金利の上昇に対応するかのような失速である。中国の不動産バブル崩壊の問題もあるだろうが。しかしこちらも2021年から分かっていたことであり、今更である。

今の中国経済のバブル崩壊は2年後の米国経済の姿を表している
長期金利上昇の原因

さて、では金利上昇の原因は何か。巷ではインフレが長引くことを想定してという何の根拠もない主張が横行しているが、市場の期待インフレ率はむしろ下がっているのでそれは間違いであるということを先日の記事で指摘しておいた。

米国株下落の原因: 米国債から資金流出の兆候
期待インフレ率が下がっているにもかかわらず金利が上がっているというのは良い兆候ではない。それでも経済が耐えられるなら良いが、株価の様子を見ると必ずしも金融市場はそうは思っていない。

国債にとって金利上昇は価格下落を意味するので、経済のファンダメンタルズと金利上昇が合わない場合、その金利上昇は国債からの資金流出を意味しているのである。

利下げを織り込む金利先物市場

さて、前の記事では期待インフレ率を根拠にそれを論じたが、今回はもう1つ別の根拠を挙げたい。2年物国債の金利である。それは以下のように推移している。


長期金利が上がっているにもかかわらず、2年物国債の金利は7月のピークよりも3月のピークよりも下がっていることに注目したい。

つまり短期金利を見るならば、金利は上がってなどいないのである。

むしろ金融市場は今後の利下げを織り込んでいる。金利先物市場によれば、現在5.25%である政策金利は、来年末には4.25%まで下がることがメインシナリオだという織り込みになっている。

結論

ここに現在の株安のもう1つの問題がある。期待インフレ率が下がっているにもかかわらず金利が上がっていることが1つの問題であれば、市場はこれから1%もの利下げがあると予想しているにもかかわらず長期金利が上がっているということももう1つ大きな問題なのである。

つまり、市場では経済動向や金融政策とは関係なく長期金利が上昇している。金利上昇は債券にとって価格下落を意味するので、それは実体経済と金融政策とは関係のない理由で米国債の価格が下落していることを意味する。

アメリカ経済はどうなるだろうか。機関投資家らの意見も割れている。筆者の予想についても近々もう一度記事にするつもりある。

世界最大のヘッジファンド、 米国経済のソフトランディングを予想
ドラッケンミラー氏: それでも米国経済はハードランディングする
ガンドラック氏: インフレ率が下がり過ぎてデフレになる可能性

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39098
73:777 :

2023/08/22 (Tue) 23:14:39

金利高騰による株価下落で米国経済ハードランディングの確率高まる
2023年8月22日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39134

アメリカでは長期金利が上昇し、それが原因で株価が下落している。だが問題はそれだけではなく、この動きがアメリカ経済のハードランディングが近づいていることを示しているということである。

コロナインフレ後の長期金利

コロナ後の現金給付によって発生した物価高騰により、Fed(連邦準備制度)は2022年から大幅な利上げを強いられてきた。だが政策金利がゼロから5.25%まで上がり、ようやく利上げ停止から利下げ観測も出てきたタイミングで、長期金利が再び上がり始めている。

ガンドラック氏: アメリカの利下げはいつあるか
アメリカの長期金利は次のように推移している。


だが長期金利、つまり10年物国債の金利は上がっているものの、2年物国債の金利は今後の利下げを織り込んでピークを下回っていることを指摘しておいた。

米国株下落の原因: 利下げ織り込みでも止まらない長期金利急騰
この状況で懸念すべきことは何か、ここの読者ならば分かるだろう。長短金利差の上昇である。

長短金利差の上昇

長短金利差とは、10年物国債の金利から2年物国債の金利を引いたものである。債券は通常、期間が長いほど金利が高くなるので、長短金利差はプラスになるのが普通である。

だが急激な利上げが行われ、経済がそれに耐えられないと市場が判断するとき、政策金利に影響される短期金利の方が将来の景気に影響される長期金利より高くなる。この時に長短金利は逆転し金利差はマイナスになるのだが、アメリカの長短金利差は去年からずっと逆転している。

経験ある投資家なら知っていることだが、長短金利差の逆転は歴史上ほとんど例外なく景気後退の前触れである。

だがもう少し詳しく言えば、債券投資家ジェフリー・ガンドラック氏が指摘していたように、景気後退になるのは長短金利差が一度マイナスまで下落し、そこから再び上昇に向かっていった後のことである。

だから景気後退を警戒すべきタイミングは、長短金利差の再上昇があった後だということになる。

長短金利差の再上昇と景気後退

だが何故そうなるのか。長短金利差が再上昇するシナリオには大まかに言って2パターンがある。当たり前だが、短期金利が下落する場合と、長期金利が上昇する場合である。

それぞれの場合を考えたい。まず短期金利の下落によって長短金利差が再上昇してから景気後退が起こる場合だが、短期金利は今後の政策金利の市場予想を反映して動くので、経済状況の悪化によって市場が利下げを予想しなければならない状況になっているということである。

この場合は長期金利も下がるだろうが、それよりも短期金利の下落が速い場合、それほど急激に利下げをしなければならないほど経済の状況が悪いことを示している。だからその後に景気後退が起きるのである。

次に長期金利の上昇によって長短金利差が再上昇する場合だが、長短金利差が逆転した時点で金融引き締めがやり過ぎなのだから、その状況から更に金利が上がれば勿論経済は死ぬだろう。

これがまさに今の状況であり、だから以下の記事に書いたように、期待インフレ率低下(デフレの織り込み)と長期金利上昇が組み合わさっている現状が良くないのである。

米国株下落の原因: 米国債から資金流出の兆候
結論

ただ、長期金利が上がる後者の場合の方が実際に景気後退入りするまでの時間はかかるだろう。短期金利がそれほど下がっていない時点で、金融市場はまだ余裕をかましている。だがそこからいずれ短期金利も下落し、上記の2つのシナリオのうち前者にシフトする時が来る。だからこれから注目すべきは2年物国債の金利である。

更に実体経済側の指標で言えば、個人消費とGDPに注意すべきだろう。賃金が減速し、個人消費が減速して来るならば、個人消費に頼っているGDPがようやく減速してくる。

景気後退懸念のなか加速した第2四半期アメリカGDP成長率
だがやはり金融引き締めの影響が回り回って実体経済に来るまでにはまだ時間がかかっている。2021年の恒大集団のデフォルトの問題が2023年に佳境となっているのと同じことである。

サマーズ氏: 中国がアメリカを追い抜く話はバブル期の日本神話と同じ
巨大なバブルは崩壊に時間がかかる。中国の2021年からから2023年を見て、 アメリカの2023年から2025年を考えるべきである。

今の中国経済のバブル崩壊は2年後の米国経済の姿を表している

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39134
74:777 :

2023/08/23 (Wed) 21:48:08

世界最大のヘッジファンド、株価下落の直前から米国株に弱気
2023年8月23日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39167

レイ・ダリオ氏が創業した世界最大のヘッジファンドBridgewaterが、株価の下落が始まる直前の7月後半に米国株に弱気な見方を示していたとReutersが報じている。

米国株と米国債とドルに弱気

Bridgewaterは7月25日の投資家向けの会合で、旗艦ファンドであるPure Alphaファンドが米国株と米国債の両方に対して「程々に弱気」であると明かしたらしい。また、ReutersによればBridgewaterはドルに対しても弱気だったという。なかなかの米国売りではないか。

その後どうなったかと言えば、米国株については言うまでもないだろう。S&P 500のチャートは次のようになっている。


そして長期金利、つまり10年物国債の金利は上がっている。以下の通りである。


国債にとって金利上昇は価格下落を意味するので、アメリカでは株式と国債の両方がダリオ氏の相場観通り下がっていることになる。

ダリオ氏の相場観

ダリオ氏は今何を考えているだろうか。恐らく彼の考えの中心にあるのは米国債である。

ダリオ氏は少し前に、アメリカ経済の短期的なソフトランディングの可能性を指摘しながらも、米国債に買い手が見つからない可能性、そしてそうならなかった場合にはインフレと低成長が同居するスタグフレーションを予想していた。

ダリオ氏は次のように述べている。

世界最大のヘッジファンド、米国経済のソフトランディングを予想
短期的には、もし国債の供給が需要を圧倒的に上回るような需給問題が起こらなければ、許容できる範囲の低成長と許容できる範囲の高インフレ(つまりはマイルドなスタグフレーション)が起きるだろう。

だが国債に買い手が見つからず価格が下がるにしても、インフレになるにしても、どちらにしても金利が上がるシナリオである。

だから当然ダリオ氏は金利上昇(つまり国債価格下落)に賭けたのだろう。以下の記事で説明した通り、実際には期待インフレ率が低下しながらの金利上昇が起こったので、インフレ懸念ではなく国債の需要不足の方のシナリオが実現したわけである。

米国株下落の原因: 米国債から資金流出の兆候
長期金利上昇の影響

そこまで考えれば、ダリオ氏の株価への予想も想像がつく。金利上昇による株価下落である。そしてそれも実際にそうなっている。

何度も言っているが、金利に比べた株価水準はもともと市場稀に見るレベルで高かった。長期金利は2022年に株安を引き起こした水準まで上がっているのに、株価の方は市場最高値に近い。そしてそれを誰も気にしない。それがそもそもバブルなのである。個人投資家は金利と株価の比較さえやらないのだろうが。

そしてダリオ氏はドルに対しても弱気らしい。ドルは長期金利上昇の影響を受けてやや上がっている。だがアメリカの実質金利上昇の割にはドルは上がっていないと言える。実質金利とドル円を比べると次のようになる。


これは日銀の植田総裁の利上げ努力が効いているとも言えるが、ユーロドルで見てもドルはそれほど上がっていないので、実質金利の上昇の割にドル高の勢いが弱まりつつあるとも言える。

結論

それはもしかすれば、ゾルタン・ポジャール氏の言うような長期ドル安のトレンドが効き始めているのかもしれない。

金利市場の天才ゾルタン・ポジャール氏、ドルの崩壊を予想するためのリサーチ企業を創業
だが米国債の下落といい、日本円の下落といい、国家の凋落を象徴するようなトレンドがいくつも始まり始めているのは不気味である。

米国株下落の原因: 米国債から資金流出の兆候
アメリカのように利上げをすれば通貨の強さは維持できるが国債は下落する。日本のように緩和を続ければ国債は買い支えられるが通貨が下落しインフレが起こる。

結局、インフレのないまともな生活をしたければ、行なうべきは紙幣印刷のようなインフレ政策ではなく生産性の向上だということを、自分の頭で考えずにインフレ主義という出鱈目に騙された人々に対して金融市場は痛みをもって教えようとしている。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
人々は紙幣印刷と現金給付を好む。日本ではインフレに放火するようなガソリン補助金の継続を望むような声がいまだに存在している。

政府から紙幣が降ってきてそれで暮らせたら楽な生活ではないか。だが金融市場はインフレと金利上昇によって彼らに現実を呈示している。自民党におんぶにだっこされることを夢見ながら、実際にはエッフェル塔の下敷きにされている自民党支持者には、紙幣印刷で食べ物は作れないという簡単なことさえ恐らく永遠に分からないだろう。

その裏ではインフレで人々の貯金は目減りし、政府債務という名の自民党の借金は戦後のドイツの借金のように紙切れになってゆく。政治家にとって彼らは非常に優秀な家畜である。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
夢というのは意外に高価なのであって、 夢を見る人間は対価を払わなければならない。彼らを待つのは彼らにふさわしい未来であって、物価高騰か通貨下落か国債暴落か、あるいはそのすべてである。

世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39167
75:777 :

2023/08/28 (Mon) 21:20:43

サマーズ氏: アメリカ経済には更なる利上げが必要
2023年8月28日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39366

アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏がBloombergのインタビューで、2021年以来のタカ派の姿勢を続けている。

一貫してタカ派のサマーズ氏

2022年の現金給付が既にアメリカにインフレをもたらしていた2021年、専門家の誰もがタカ派だった。Fed(連邦準備制度)のパウエル議長が根拠なく「インフレは一時的」と主張していた一方で、サマーズ氏や筆者、債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏などがインフレの脅威を警告していた。

ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない
だが2022年の後半から彼らの意見は分かれ始める。先ず最初にガンドラック氏が債券市場の織り込みを根拠にインフレ減速を予想し、2022年の秋から実際にアメリカのインフレ率は減速を始めた。最新のインフレ統計は以下の記事で解説している。

7月の米国インフレ率はほぼ横ばい、サービスと住宅のインフレが加速
その時からガンドラック氏は一貫してデフレを予想している。1年足らずで9%から3%まで急降下したインフレ率がどうやって2%で都合よく止まってくれるのかというのが彼の議論である。

ガンドラック氏: インフレ率が下がり過ぎてデフレになる可能性
一方で、サマーズ氏は一貫してインフレが下がっても利上げ継続が必要だと主張してきた。インフレが下がる一方で政策金利はガンドラック氏の予想よりも高い位置まで上がってきたので、政策金利についてはサマーズ氏の予想の方が当たっていると言えるだろう。

サマーズ氏が利上げ継続を予想、アメリカの中央銀行はインフレを過小評価している
サマーズ氏の利上げ予想

結果として、アメリカの政策金利はゼロから5.25%まで上げられた。結果としてシリコンバレー銀行などの銀行がいくつか潰れた。

世界最大のヘッジファンド: 銀行危機は悪化しインフレは止まらずスタグフレーションになる
現在、Fedは利上げを停止している。だがパウエル議長はジャクソンホール会議で、必要があれば利上げを再開すると表明していた。

ジャクソンホールでのパウエル議長のコメント
政策金利を正しく当ててきたサマーズ氏は、利上げについてどう考えているか。彼は次のように述べている。

わたしの推測では、更なる利上げが必要になるのではないかと思う。

2021年からのインフレのトレンドが、1970年代の物価高騰時代のような長期インフレの時代の始まりなのか、あるいはインフレはこのまま収まってゆくのかということが議論になっている。

一部の人々は、現在と1970年代では状況が違うと主張している。それに対してサマーズ氏は次のように述べている。

ここ数年よりハト派の見解を維持してきた「インフレは一時的」派の人々は、正しくも1970年代は今とは違うと言い続けてきた。当時は大きな景気後退があり、今よりも規模の大きいオイルショックがあった。

それらの点について彼らは正しい。だが当時の教訓が何かと言えば、史上最も深刻な当時のインフレはインフレに対する早すぎる勝利宣言をした人々によって引き起こされたということだ。

1970年代にインフレが長期化したのは、インフレが収まりかけた時に油断して引き締めを早く解除してしまったためである。結果として当時インフレは3回の波となって来ている。当時のインフレ率と政策金利を並べると次のようになる。


政策金利を早く下げ過ぎたために次の波が起こり、新しい波は前の波よりも大きなものになっている。

当時の様子をサマーズ氏は次のように語る。

1960年代後半に、そして1970年代前半に、そしてカーター大統領が就任した時(訳注:1977年)、インフレの問題はまだ現実に存在したにもかかわらず、政治的議論は景気刺激のことばかり話していた。

補助金の話ばかりしている今の政治家と変わらないではないか。政治家とはそういうものである。国民から金を吸収し票田にばら撒くことが彼らの仕事だからである。

そして結局、3回目の波の時にポール・ボルカー氏がFedの議長となり、彼の断固たる金融引き締めによって大きな景気後退が起こり、大量の失業者が出ても引き締めをやり切ったことでインフレは収まったのである。

ポール・ボルカー氏、1980年のインフレ打倒がどれだけ厳しかったかを語る
早すぎる緩和転換

だから、サマーズ氏は1970年代と今は違うということを認めながらも、今の人々は当時の失敗から学ぶべきだと主張する。彼は次のように述べている。

その意味で、1970年代の物価高騰はわれわれが簡単に陥りやすい失敗に対する教訓だと言える。

インフレの脅威が目の前にあれば引き締めを躊躇わない人々も、少しでもインフレが収まれば緩和と紙幣印刷に頼りたがる。サマーズ氏はそうなってはいけないと警鐘を鳴らしている。だが筆者の見方は少し違う。筆者はサマーズ氏の警鐘を今後実際に起こるシナリオだと見なしている。

つまり、人々はインフレが打倒される前に緩和再開を求め、インフレの問題は1970年代のように行き着くところまで悪化してゆくだろう。

ドラッケンミラー氏、アメリカ経済のハードランディングとインフレ第2波を予想
結局、人々は政府から紙幣が降ってくることを望む。紙幣が降ってきてもインフレが起こるだけで生活は楽にならないのだが、彼らにはそれは分からない。日本では未だに補助金の話が横行している。日本人はそういう政治家を好き好んで選出している。

ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
本当にハイパーインフレになるまで彼らは何も理解しないだろう。それが筆者の予想である。だからサマーズ氏の警告は届かない。彼は次のように述べている。

誘惑に注意するのは常に良いことだ。人々はいつも安易な方に誘惑される。市場をより上昇させる方に、経済に追加で刺激を行なう方に流される。だが実際にはそれは前に進んでいるようで前に進んでいない。

サマーズ氏は誘惑に抗うように忠告している。だが筆者の予想では、 彼らは誘惑に負けるだろう。自民党にどれだけ足蹴にされても投票を続ける日本人に何を言っても無駄であるのと同じである。だがそういう人々のメンタリティこそが経済の問題の本質なのである。

世界最大のヘッジファンド: 無節操に支出し続けるメンタリティのお陰でスタグフレーションへ

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39366
76:777 :

2023/09/03 (Sun) 13:03:28

8月雇用統計は遂に失業率の上昇開始、インフレ後の大量失業の始まり
2023年9月2日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39464

世界中の投資家が注目しているアメリカの雇用統計が発表されたが、今回は重要なデータとなったのではないか。

インフレ後の大量失業の始まり

まずは失業率から始めよう。アメリカの8月の失業率は3.8%となり、前回の3.5%を上回った。


だがチャートを見れば、前回より高いだけではなく、失業率の上昇トレンドを決定付ける数字となっているのが分かるだろう。

統計データにおいて重要なのは、1回の数字が長期トレンドを表すものなのかどうかである。そのためには失業率が上がった今回のデータを見て、その原因が長期的なものかどうかを判断する必要がある。

ここの読者なら言わなくとも分かっただろうが、この失業率上昇は物価高騰が収まった後に必然的に起きる大量失業と不況の前触れである。

コロナ後の現金給付によって引き起こされた物価高騰は、アメリカの金融引き締めによってある程度収まったが、インフレ率だけを器用に抑えることは出来ない。

インフレ政策によって無理やり増やした雇用は、金融引き締めでインフレとともに消えて無くなる。20世紀の大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏の解説を以下の記事で紹介している。

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
今回の失業率のデータは、そのようなインフレ減速後の大量失業の前触れである。だからこの失業率上昇は長期的には継続すると考えるべきだろう。そして今回の雇用統計では悪い兆候はそれだけではない。

予想通り減速した平均時給

次は平均時給である。賃金については、コアインフレ率(特にその中でもサービス価格のインフレ)が減速している状況での賃金上昇が議論の的となっていた。

サービスの価格が減速していたにもかかわらず、平均時給は減速していなかったことについては何度か指摘しておいた。賃金はサービス業の主な原価なので、サービス(あるいはコアインフレ率)が減速しているにもかかわらず賃金が減速していないのは矛盾だとした上で、次のように結論したことを思い出したい。

米国の金利低下・ドル安トレンドが数ヶ月以内に確定する可能性 (2023/8/9)
この2つのデータに関する筆者の結論は、少なくともこの2つの指標ならばコアインフレ率が優先するというものである。

何故ならば、コアインフレ率の方が先行指標だからである。コアインフレ率の構成要素のうち特にサービスの価格に着目したいが、賃金はサービス業にとって主要なコストなので、サービスの価格がまず減速して、それに伴って事業者が雇用をためらい、賃金が減速するのが自然な順序である。

だからコアインフレ率が下落してから賃金が減速するまでにはタイムラグがあるはずである。コアインフレ率と賃金のデータが食い違うのであれば、賃金のデータが遅れているだけだと考えるべきだろう。

そして今回平均時給の上昇率はどうなったか。グラフは次のようになっている。


予想通り減速した。平均時給は2.9%の上昇となり、前回の5.1%から下がっている。

結論

ということで、やはり経済統計は1つのデータを個別に見るのではなく、全体の流れを見ることが重要である。先日のアメリカの住宅価格の減速についても高金利が効いている証拠だとしておいたが、今回の雇用統計でもそれが支持された形となる。

米国の住宅価格が再び上昇、インフレは止まらないのか?
アメリカ経済は減速している。筆者は景気後退を来年と予想してきたが、そろそろ経済統計には減速の兆候が見られている。GDP統計も第3四半期か第4四半期には少しずつ弱ってくるだろう。

ドラッケンミラー氏: それでも米国経済はハードランディングする
ここでも書いたように、夏の間はそれほど明確な減速のデータは出ないと考えてきた。その結果として景気に左右されやすい原油価格は上がっている。


エネルギー関連として推奨したウラン関連株も上がっているのだが、ここから半年ほどは景気後退の織り込みを徐々に警戒していったほうが良いだろう。既に歴史的な高値水準にある米国株全体についても、言うまでもないことである。

今後は徐々に利下げも織り込まれてゆくだろう。政策金利の先行きを織り込む2年物国債の金利も徐々に下がってゆくはずである。

ガンドラック氏: アメリカの利下げはいつあるか

纏まりのなかった各種経済統計がようやくデフレ側に足並みをそろえつつある。 アメリカ経済はここから減速してゆくだろう。

金利高騰による株価下落で米国経済ハードランディングの確率高まる

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39464
77:777 :

2023/09/06 (Wed) 22:39:21

アメリカ銀行危機の次の危機が株価を下落させる
2023年9月6日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39630

2023年3月のシリコンバレー銀行破綻からほぼ半年が過ぎ、市場は平静を取り戻した。だが市場が平静を取り戻したことは必ずしも良いことばかりではない。

米国のマネタリーベース

筆者がそう思ったのは、アメリカのマネタリーベースのチャートを眺めた時である。アメリカのマネタリーベースのチャートは次のようになっている。


リーマンショック以後、そして近年ではコロナショック以後の量的緩和によって膨らんだアメリカのマネタリーベースは、2021年以降のインフレを受けて縮小されていた。

だがマネタリーベースは2023年3月に再び上昇に転じているのが分かる。シリコンバレー銀行などの破綻を受け、Fed(連邦準備制度)が紙幣印刷によって破綻した銀行の債務を買い取ったからである。だがそれが最新7月のデータでは再び下落に転じているのがお分かりだろうか。

マネタリーベースの下落再開

債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏などは、銀行危機後の一時的な紙幣印刷によってインフレ再発を懸念していた。銀行危機に対するFedの措置は事実上の量的緩和だからである。ガンドラック氏はこう述べていた。

ガンドラック氏、シリコンバレー銀行破綻でインフレ悪化予想
インフレ政策が戻ってきている。Fedは資金の貸出制度を通じて銀行システムに資金を注入している。去年の8月か9月からのパウエル議長のインフレ打倒の決意はもう何処かへ行ってしまったようだ。

実際、それはアメリカの金利を一定期間押さえつけていたのかもしれない。最近の長期金利の上昇は、3月以降の金利下落が元に戻っただけだと言うことも出来るからである。


銀行危機は落ち着いたかのように見える。そして金利は元に戻り、インフレ抑制のために行われている量的引き締め(つまりマネタリーベースの減少政策)が再開され、マネタリーベースも下落を再開し始めた。

銀行危機の原因

ここでそもそも何故シリコンバレー銀行などの銀行が破綻したのか、その原因をもう一度思い出してほしい。

銀行危機の原因は利上げと量的引き締めによる金利高騰である。金利高騰によってシリコンバレー銀行の主な顧客であったシリコンバレーの赤字企業はお金が借りられなくなり、シリコンバレー銀行の保有していた長期国債の価格が下落した。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
そして今や銀行危機は解決されたと誰もが思っている。もう一度長期金利のチャートを見てみよう。


一体何が解決したのだろうか。原因はまだそのまま残っている。

結論

市場の楽観は債券市場の状況を引き締める。金利は上がり、中央銀行の支援策は終わる。マネタリーベースと長期金利のチャートはそれを示している。

危機を通り抜けた結果、長期金利は変わっていないが、変わったものが1つある。人々の楽観である。

元々高金利に怯えていた人々が、実際には何も解決していないにもかかわらず、もう問題がないと思い始める。そしてより高い金利、より強い引き締めを受け入れるようになる。

そしていずれはマネタリーベースの減少が引き起こした2018年の世界同時株安の天井のような状況が訪れる。

バブルの頂点で日経平均は上昇、空売りを淡々と継続 (2018/9/20)
危機は徐々に大きくなってゆく。2008年のリーマンショックでは、ベアスターンズが破綻した後、リーマンブラザーズが破綻した。

何故危機は大きくなるのか。何故ベアスターンズが破綻した時に問題を根本的に解決できなかったのか。その原因は、危機の原因が継続しているにもかかわらず、危機を通り抜けるたびに人々の楽観が強くなるからである。何故か原因の継続には誰も注意を払わない。

米国株はなかなか天井を超えられない。それも当たり前である。 米国株の長期上昇トレンドは終わったのだ。


米国株の長期上昇トレンドは1980年から2020年までの40年にわたる金利低下トレンドに支えられていた。だからそれはインフレで金利を上げなければならなくなった2022年に終わったのである。だが人々はそれを無視している。誰も原因と結果を考えない。

ドラッケンミラー氏: 今後10年の株式市場はバイアンドホールドでは勝てない
稀代のファンドマネージャー、ジョージ・ソロス氏は著書『ソロスの錬金術』で次のように言っていた。

強気相場は小爆発にときおり見舞われながら続いていく。そうしているうちに、だれも小爆発を恐れなくなる。このときこそ、大暴落の条件が整ったときなのである。

銀行危機を引き起こした高金利が帰ってきている。誰もそれを気にしていない。だがすぐに気にせざるを得なくなるだろう。原因が存在し続ける限り、危機も起こり続けるからである。

この楽観は誰もが本当に悲観しなければならないような状況が起こるまで止まらないだろう。歴史上いつもそうなのである。

金利高騰による株価下落で米国経済ハードランディングの確率高まる

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39630
78:777 :

2023/09/07 (Thu) 23:08:07

米国株が完全に割高である理由と株価の推移予想
2023年9月7日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39671

アメリカで長期金利が上がっている。誰も大して気にしていないことだが、前回の記事でも言ったように、高金利こそが今年前半の銀行危機を引き起こしたのである。

アメリカ銀行危機の次の危機が株価を下落させる
それは銀行危機の継続を意味しているのに、誰も気にしていない。だが今回の記事では株式のファンダメンタルズについて話してみよう。

米国株の動向

米国株は2022年に下落し、その後上昇に転じた。S&P 500のチャートは次のようになっている。


下落の原因は前回の記事で説明したように長期金利の上昇である。


株安の原因となった長期金利が2022年の高値近辺にあるのに、株価が回復しているところに注目したい。

前回の記事で説明したように、これだけ見れば2022年の高金利で下落した株価が、今長期金利が同じ水準まで戻っているのに高値で推移していることは不合理に見える。

企業利益の推移

だが、株価に影響するもう1つの主な要因がある。企業利益である。こちらも考えなければ株価の動向は見えてこない。

そこで、S&P 500の1株当たり純利益を並べてみると次のようになっている。

2022年3月: 197.91ドル
2022年6月: 192.26ドル
2022年9月: 187.08ドル
2022年12月: 172.75ドル
2023年3月: 175.17ドル
2023年6月: 181.17ドル(予想値含む)
2023年9月: 187.59ドル(予想値)
2023年12月: 200.52ドル(予想値)
これは未来の数字を含んでいるので、当然予想値が含まれている。筆者の感覚では、直近2023年9月の数字はそれほど大きな誤差はなく大体当たるが、数ヶ月後の12月の数字はそれほどはあてにはならない。

だが最近の株価上昇は、金利は上昇しているのだから、1株当たり純利益の予想値が回復していること(及び株式投資家の楽観)に起因している。

企業利益の動向予想

だが企業利益はそれほど都合よく回復するだろうか。そもそも2022年から2023年にかけてS&P 500の企業利益が下落した理由は何だっただろうか。

企業利益が下落した原因は、これもまた高金利である。マクロ経済学的には、GDPの構成要素のうち企業利益に直結するのは投資と純輸出であって、例えば消費は企業利益と直接の関係性はない。

つまり、直感に反するかもしれないが、消費が増えてもそれだけでは企業利益は増えないのである。

また、投資と純輸出を比べると、規模で言えば投資の方が圧倒的に大きいので、基本的に投資が企業利益を決めるということになる。

そして例えば企業が設備投資を行なう場合、多くのケースではお金を借りて投資を行なうことになる。よって金利が高いか低いかが企業の投資意欲を大きく左右する。だから投資は金利で決まる。そして企業利益は投資で決まるので、高金利こそがそもそも企業利益が2022年に減少を始めた理由である。

上で数字を挙げたように、企業利益は回復の兆しを見せている。だがそれは、最近減速の気配を見せた住宅価格と同じではないのか。

米国の住宅価格が再び上昇、インフレは止まらないのか?
住宅価格も金利上昇によって下落に転じた後、一度金利が下がったことで再上昇したが、最新のデータでは最近の高金利によって減速している。

それは金利の推移に沿った動きである。金利はまた以前の水準まで上がっている。


だから、足元の企業利益の回復が、金利が一時的に低下したことによる回復なのだとしたら、金利はまた上がっているのだから、住宅価格のようにまた減速に転じると考えるのが妥当だろう。

また、米国企業の海外の売上や資産についても、金利上昇によるドル高にマイナスの影響を受けるはずである。

結論

だから、金利上昇は株価にとって2つの意味で重荷となる。1つには、安全資産とされる10年物国債の金利が4%を超える中、リスク資産である米国株はそれを超えるリターンを10年間出し続けなければ投資家にとって魅力を失う。

そしてもう1つが、今回の記事で説明した高金利の企業利益への影響である。こちらについても、金利は同じように上がっているのだから、企業利益もまた下がると考えるのが自然だろう。

だが仮にそうならないとしよう。アナリスト予想のようにS&P 500の1株当たり純利益は200ドルに向けて回復してゆくとしよう。その場合、株価の下落前と下落後における長期金利と1株当たり純利益はどうなっているか。


株価: 4,800ドル -> 4.500ドル(やや下落)
1株当たり純利益: 197.91ドル -> 200.52ドル(ほぼ変わらず)
長期金利: 1.5% -> 4.2%(大幅上昇)
おかしいではないか。誰も疑問に思わないのか? 誰がこの水準を妥当だと説明できるだろうか。そしてそもそも、上記の考察では1株当たり純利益が回復するという前提さえあやしいのである。だから実際には米国株は上記の数字で見て感じる以上に割高だということになる。

投資家は楽観を続けられるかもしれないが、今年の後半から来年の前半にかけて、アメリカ経済は減速を始める。失業率や住宅価格にその兆候が表れ始めている。

8月雇用統計は遂に失業率の上昇開始、インフレ後の大量失業の始まり
そして何より、銀行危機を引き起こした水準まで金利が再び上がっているのだから、その水準の高金利が来年前半まで続けば、高確率で銀行危機のような新たな危機が何処かのセクターで起きるだろう。

アメリカ銀行危機の次の危機が株価を下落させる
何度も言うが、米国株の長期上昇トレンドはもう終わった話である。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
ドラッケンミラー氏: 今後10年の株式市場はバイアンドホールドでは勝てない

米国株は今年の後半から来年の前半に2回目のピークを迎える。それは先月の高値がピークであった可能性を排除しないが、アメリカ経済の減速は緩慢だから、また高値を更新する可能性もある。だが、結局重要なのは長期的見通しである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39671
79:777 :

2023/09/11 (Mon) 15:10:26

ガンドラック氏: コロナ後の緩和による好景気はそろそろ終わり、米国経済は減速する
2023年9月10日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39733

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏がFOX Businessのインタビューで、アメリカ経済の現状と今後の見通しについて語っている。

銀行危機後の米国経済

前にも書いたが、アメリカ経済はFed(連邦準備制度)の利上げによく耐えている。今年の前半には高金利が原因でシリコンバレー銀行などの地方銀行がいくつか破綻したが、Fedが急遽紙幣印刷をして救済措置を行なったことで、その後もう何ヶ月も銀行破綻は起きていない。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
そのことについてガンドラック氏は次のように述べている。

更なる銀行破綻があるのではないかと思ったが、2ヶ月の混乱のあと、問題はかなり落ち着いたようだ。

そうなった理由はと言えば、上に書いた紙幣印刷である。Fedは元々インフレ打倒のために量的緩和で膨らんだマネタリーベースを縮小する量的引き締めを行なっていたが、預金者救済のために大量の紙幣印刷を同時に行なったため、マネタリーベースは一時増加に転じていた。

マネタリーベースの増加は即ち量的緩和である。Fedは銀行救済のために実質的に量的緩和を行わなければならなくなった。それが恐らく、ここ数ヶ月の株高の理由でもあったかもしれない。当時、ガンドラック氏は次のように述べていた。

ガンドラック氏、シリコンバレー銀行破綻でインフレ悪化予想 (2023/3/18)
これはインフレ政策だ。そしてそれはもしかすると短期的にリスク資産にプラスかもしれない。リスク資産はインフレ政策と中央銀行のバランスシート拡大が大好きだからだ。後者はもう長い間選択肢になかったものだ。

そして実際、米国株は上がっている。この時のガンドラック氏の指摘は正しかったのだろう。


だが米国株にとって悪い知らせは、マネタリーベースの増加は銀行危機の収束によって終了し、最新データでは再び減少に転じているということである。


終了する緩和マネー

ガンドラック氏は次のように言う。

アメリカ経済は転換期に来ていると思う。

何故か。ガンドラック氏は、アメリカ経済が利上げにもかかわらずここまでもった理由に言及する。それは市中に存在する預金と現金の総量であるマネーサプライである。マネーサプライ(M2)は次のように推移している。


ガンドラック氏はこのチャートについて次のようにコメントしている。

M2は1年前に比べると減少している。多くのマネタリストたちはそれを理由に今年の第2四半期までには景気後退しているはずだと考えた。だがM2は1年前よりも減少しているが、2、3年前と比較すると大きく増加している。

これは元々クォンタム・ファンド出身のスタンレー・ドラッケンミラー氏が以下の記事で指摘していたことである。

ドラッケンミラー氏: リーマンショックより酷くなる可能性は否定できない (2023/5/14)
だがこのマネーサプライも来年前半にかけてコロナ前の水準まで戻ってゆく。資金は引き揚げられて行っているのである。

余剰貯蓄

また、ガンドラック氏は他の指標にも言及する。

1月前半に「余剰貯蓄」のことを笑いの種にした。人々は「余剰貯蓄」はまだ多く残っていると言っていたが、「余剰貯蓄」とは何だ? 貯蓄とは何が違う?

余剰貯蓄というのは、コロナ禍の現金給付などの政策によって積み上げられた家計の貯蓄のことである。Fedなどがそれを分析するレポートを発表している。

アメリカ経済が利上げにもかかわらずここまでもったのは、マネーサプライなどでも分かるように現金給付などによる政府の資金供給が、2023年になった今でもまだ経済のなかに残っているからである。

だがガンドラック氏によれば、そのお金も消え去りつつある。彼はこう続けている。

だが経済統計は大きく変化した。多くのデータがここ数ヶ月で急速に変化している。「余剰貯蓄」も遂にマイナスになろうとしている。だからコロナ後の緩和はもう完全になくなろうとしているということだ。

コロナ後に経済に注入された馬鹿げた金はもう消え去っている。

出来上がったのは危険なカクテルだ。

危険なカクテルとは、政府による資金注入によって甘やかされた消費者の振る舞いと、緩和マネーが消え去りつつあるという事実の組み合わせである。ドラッケンミラー氏がリーマンショック以来の金融緩和を振り返って次のように述べていたことを思い出したい。

ドラッケンミラー氏: あと半年でハードランディング、米国経済に死体が積み上がる
資金があふれかえると人々は馬鹿げたことをする。資金が11年もあふれかえると人々は本当に馬鹿げたことをする。

ガンドラック氏はこう説明する。

コロナ後、人々は「賃料を払う必要はない」「奨学金を返済する必要はない」「政府からお金が受け取れる」と言われた。そして生活習慣をその状況に適応させた。

そして今、政府から供給されていた資金は底を尽きた。だから今度は彼らは借金を増やしている。

クレジットカード経由の借金はここ数ヶ月でかなり増えている。

アメリカ人はクレジットカードの支払い残高をためるのが大好きである。筆者は何の理由もなくクレジットカードをリボ払いにしていたアメリカ人を知っている。彼女曰く、「今払わなくても良いならその方が良いじゃない」だそうである。

コロナ禍における政府の緩和や支払い猶予がなくなっても、クレジットカードが馬鹿騒ぎを延長した。そして今や祭りが終わろうとしている。

ガンドラック氏はこう続ける。

家賃を支払わなくて良かった期間、彼らは恐らく浮いたお金を生活水準をアップグレードするために使った。

そして政府から来た資金が尽きた時、彼らは家賃を払わなければならなくなるが、自分が大量に借金していることにも気付くことになる。

そして家賃の支払いだけではなく、クレジットカードの支払いに金利を乗せなければならなくなる。

税金の支払いも再開される。わたしの住むカリフォルニア州では2022年の税金をまだ払わなくて良いことになっているが、その期限が10月15日に来る。

ニューヨーク州などの他の州では2022年の税金を収める期限が最近来た。

人々は突然お金がないことに気付くだろう。

結論

馬鹿騒ぎもそろそろ終わりである。筆者はマネーサプライの推移から、景気後退は来年前半にかけてだと予想し続けている。ガンドラック氏も同じくらいのタイムフレームを考えているらしい。彼はこう述べている。

アメリカ経済はここから6ヶ月から8ヶ月ほどで壁にぶつかるだろう。そして各種金利の支払いのために消費者の活動が止まる。

米国株はどうなるか? 株価の推移については以下の記事で既に解説しているので、 そちらを参考にしてもらいたい。

アメリカ銀行危機の次の危機が株価を下落させる
米国株が完全に割高である理由と株価の推移予想

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39733
80:777 :

2023/09/12 (Tue) 02:58:42

ガンドラック氏: コロナ後の緩和による好景気は終わり、米国経済はデフレと景気後退へ
2023年9月11日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39722

引き続き、DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏のFOX Businessによるインタビューである。

下落したインフレ率

前回の記事ではコロナ後に現金給付などによりアメリカ経済にばら撒かれた資金がそろそろ底を尽きかけているとガンドラック氏は説明した。

ガンドラック氏: コロナ後の緩和による好景気はそろそろ終わり、米国経済は減速する
ではそれに伴い金融政策はどうなってゆくのだろうか? それが今回の話題である。

まずはインフレ率だが、Fed(連邦準備制度)の金融引き締めによって、CPI(消費者物価指数)のインフレ率は9%から3%ほどにまで下がった。

7月の米国インフレ率はほぼ横ばい、サービスと住宅のインフレが加速
それは良いことにように思える。日銀の植田総裁が言ったように、経済にとってもっとも効率の良いインフレ率はゼロである。誰かが2%だと言い、誰もがその出鱈目を無批判に信じたのだが、その件については以下の記事における白川元総裁の見解が参考になるだろう。

日銀の白川元総裁が経済学者サマーズ氏の講演で非常に興味深い質問をしていた
だがガンドラック氏にとっては、Fedがインフレ率を更に下げたいことがむしろ問題なのである。彼は次のように言う。

ジャクソンホール会議でパウエル氏はややタカ派だったように見えた。過去12ヶ月、インフレを2%まで下げるという彼の決心は堅いままだ。

CPIが2.98%に下がったところまでは良かったが、彼らはインフレ率を更に下げたいようだ。

何故それが問題なのだろうか。1つの疑問は、彼らはインフレ率が実際に2%になってから引き締めを止めるつもりだろうかということである。

だが金融政策が実体経済に届くまでには時差がある。2022年初頭に開始された金融引き締めによって、インフレ率は2022年秋にようやく下落を開始した。

であれば、インフレ率が2%の時に引き締めを止めれば、その政策変更が実際にインフレ率の下落を止められる時には、インフレ率は何処まで下がっているだろうかということである。ガンドラック氏は以前次のように言っていた。

ガンドラック氏: 中央銀行のインフレ率予想は人間が想像可能な中で一番馬鹿げた経済予想
インフレ率が9%が2%まで極めて急速に下落するならば、下方向に行き過ぎると考えない理由が何かあるだろうか?

何故2%で止まるのか? そこに何か魔法でもあるのか?

Fedは恐らくやり過ぎる

去年からのインフレ率下落を的確に予想したガンドラック氏は、インフレ率の下落がこのまま底を突き破ってしまうと言う。

インフレ率を2%に向けて下げることに熱心なFedは、恐らくやり過ぎてしまうだろう。2021年や2022年前半にインフレ率を2%以上に、わたしの推測では4%以上にしようとしていたFedは、インフレ率を4%どころか9%まで上げてしまった。

インフレ率は今や9%から3%まで下がっている。CPIはそこから少し再上昇しているが、それはFedの決意を強めるかもしれない。

だが、前回の記事でガンドラック氏が言っていたのは、コロナ後にばら撒かれた現金給付の残金や、家賃や奨学金返済、税金などの支払い猶予がなくなろうとしているということである。

ガンドラック氏: コロナ後の緩和による好景気はそろそろ終わり、米国経済は減速する
ガンドラック氏はこう続ける。

しかし税金や賃料、奨学金の支払いや、クレジットカードの支払いの増加などが重なり、わたしの予想通り経済が減速すれば、インフレは最終的には2%に下がるだろうが、そのまま一時的にデフレまで行ってしまうだろう。そしてそれが極めてインフレ的なFedの対応を引き起こす。

ガンドラック氏は筆者と同じ予想をしているらしい。つまり、Fedは一度インフレ打倒に成功し、インフレ率は目標水準まで下がるが、インフレ率を下落させた金融引き締めは経済成長率をも下落させるだろう。

そしてハイエク氏の言うように、インフレ政策で無理矢理雇用を生み出した後にお決まりの大量失業が発生し、Fedは慌てて緩和を再開する。

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
そして現在より酷いインフレ第2波に繋がってゆくのである。インフレ第2波は今や多くの識者が予想しているが、コロナ後にこれを予想したのは筆者の知る限り以下の筆者の記事が最初である。

現在のアメリカの物価高騰はインフレ第1波に過ぎない (2021/12/6)
次の緩和では金利が高騰する

さて、ここから面白いのはガンドラック氏が次の金融緩和によって金利上昇を予想していることである。

最近、金融市場では金利が再び上がっている。厳密に言えば長期金利が上がっている。アメリカの長期金利は次のように推移している。


これは米国債からの長期的な資金流出の始まりだという意見もある。

米国株下落の原因: 利下げ織り込みでも止まらない長期金利急騰
だが、ガンドラック氏はやや違う見方をしているらしい。彼はむしろ、本格的な金利上昇が始まるのはこれから始まる景気後退の後だと言う。彼はこう述べている。

債券市場の長期下落相場は次に起こることではないかもしれない。だが景気後退が起こった後の経済政策は非常にインフレ的なものになり、その結果として債券の長期下落相場は起こるかもしれない。

次の景気後退では、景気後退が深まるにつれて、過剰な紙幣印刷と金融緩和によってむしろ債券の金利が上がるというややこしい状況になるだろう。

景気後退で金利が下がる。恐らくその段階では、市場予想より大きくなる景気後退の方に投資家の注意と悲観は行っているだろう。

だがそこから回復するにつれ、政府と中央銀行がまたしても緩和をやり過ぎたということに市場は気付くだろう。そうしてインフレと金利高騰の第2波が始まる。

ドラッケンミラー氏、アメリカ経済のハードランディングとインフレ第2波を予想
だがまずは来年の景気後退である。それもそろそろだろう。 ヘッジファンドの空売りも始まっている。

世界最大のヘッジファンド、株価下落の直前から米国株に弱気
ソロスファンド、株高で米国株を空売り

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39722
81:777 :

2023/09/13 (Wed) 09:03:27

アメリカ株指数の反発は 「もはや、これまで」という可能性アリ/実践!エリオット波動 有川和幸さん
収録日:2023年9月11日
https://www.youtube.com/watch?v=V6XlbsPtzHA
82:777 :

2023/09/14 (Thu) 03:18:22

米国インフレ率が下がれば下がるほど株価にはマイナス、株式の買い手は逃げるべき
2023年9月13日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39797

アメリカではインフレ率が9%から3%まで下落している一方で、米国株は前年の高値を超えられずに足踏みしている。今回の記事ではその理由について考えたい。

米国株と金利

米国株は2022年にFed(連邦準備制度)によるインフレ対策の利上げと量的引き締めによって下落したが、その後2022年秋にアメリカのインフレ率が9%の高みから下落を始めると、S&P 500は下落前の天井近くまで反発している。


だが去年の下落前の高値は超えられないまま足踏みしている。

それは何故か。何が米国株の上値を押さえつけているのか。それは金利である。アメリカでは去年の秋以来、インフレ率低下によって金利が一度下がったが、その後また高値水準まで再上昇している。アメリカの長期金利は次のように推移している。


実質金利とインフレ率

だが株価にとって(そして実体経済にとっても)より重要なのは、金利から期待インフレ率を差し引いた期待実質金利である。そのチャートは次のようになっている。


実質金利の上昇の勾配は長期金利よりも急である。何故か? 期待インフレ率が下がっているからである。期待インフレ率のチャートは次のようになっている。


実質金利の計算式は以下の通りである。

実質金利 = 金利 – インフレ率
株安と金利上昇があった2022年の半ばに比べ、引き締め政策の結果期待インフレ率が下がっているので、式を見て分かる通り、その分実質金利が上がるというわけである。

継続する高金利政策

よって、金利が変わらなくとも期待インフレ率の低下によって実質金利はどんどん上がってゆく。

Fedのパウエル議長は利上げを停止し政策金利を5%台に据え置くことで引き締め水準を維持しているつもりだろうが、実際にはインフレ率が下がっているにもかかわらず名目金利を据え置いていることで、実質金利の継続的上昇に貢献しているのである。

パウエル議長は1970年代の物価高騰時代を終わらせたポール・ボルカー議長(当時)に憧れているようだ。

ポール・ボルカー氏、1980年のインフレ打倒がどれだけ厳しかったかを語る
だがパウエル氏が勘違いしていることが1つある。強力な引き締めを続けたボルカー氏でさえ、政策金利を高い水準で停止させるような強烈過ぎる引き締めはやったことがないということである。当時のインフレ率と政策金利と並べると次のようになる。


当時、インフレは3回の波となってやってきた。第3波を抑制したのがボルカー氏だが、彼の時代においてさえ、インフレ率の低下にともなって政策金利は下落している。

このグラフを見れば分かるように、ボルカー氏がやったのは、政策金利とインフレ率の差である実質金利を高い水準で維持したということである。上のグラフでは第3波においてのみ、政策金利がインフレ率を大きく上回ったまま推移している。

だがパウエル氏はこれを、政策金利を高い水準で維持することだと勘違いしている。彼は2021年において何の根拠もなく「インフレは一時的」と主張したマクロ経済学の素人なのだから、それぐらいの間違いはあって当たり前だが、投資家までそれに乗って踊る必要はない。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ (2021/7/18)
ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない (2022/1/14)
結論

だが株式市場は実質金利が去年の水準より高く跳ね上がっているにもかかわらず、株価を去年の高値水準にまで上げている。


去年、株価は金利上昇によって下がったはずである。金利は名目値で見ても去年の高値水準にあり、より重要な実質値で見れば去年の高値水準を大幅に超えている。

だが誰も気にしない。面白い状況ではないか。ウォーレン・バフェット氏の言う、「波が引いて始めて、誰が裸で泳いでいたのかが分かる」という言葉にふさわしい状況がそこにはある。

「だが株価にはもう1つの決定要因がある」「1株当たり利益は来年にかけて上昇する、株価はそれを織り込んでいる」という声があるかもしれない。

筆者はそうは思わない。理由については以下の記事で説明してある。

米国株が完全に割高である理由と株価の推移予想
筆者は、米国株は今年の後半から来年の始めにかけて第2天井を迎える(あるいは既に迎えている)と予想している。

株式の買い方は、 自分がいまどういう状況で株を買っているのかを考えた方が良いだろう。あるいはそんなことは誰も考えないのだろうが。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39797
83:777 :

2023/09/17 (Sun) 11:34:02

世界最大のヘッジファンド、米国債からの資金流出を警告
2023年9月16日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39898

世界最大のヘッジファンドBridgewaterの創業者レイ・ダリオ氏が、Milken Instituteの会議で金利と投資について語っているので紹介したい。

2023年の金融市場

2023年、金融市場は微妙な状況だ。株価は去年の下落から回復したものの上値を抑えられている。金利は株価と同じように下落して上昇した。

以下の記事で指摘したように、2022年の下落が金利上昇によるものだったのだから、金利が上昇して株価も上昇する状況はおかしいのだが、少なくとも今のところは誰も気にしていないようだ。

米国インフレ率が下がれば下がるほど株価にはマイナス、株式の買い手は逃げるべき
ほとんどの株式投資家が金利と株価の関係をまともに考えないのはいつものことだが、明らかに金利上昇を気にしている人がいる。ダリオ氏である。

債券と金利

アメリカでは2021年から始まったインフレによって金利が大きく上がった。Fed(連邦準備制度)は政策金利をゼロから5.25%まで大幅上昇させた。

金利が上がったということは、お金を借りにくくなったということである。また、これまで既に借金していた人も、借り換えの時期が来れば高い金利を払わなければならなくなる。実際、シリコンバレー銀行の顧客はそれでお金がなくなり、預金が流出してシリコンバレー銀行は破綻した。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
お金の借り手が苦しい状況に置かれている。この状況は貸す側、つまり投資家にとってはどうなのか。ダリオ氏は次のようにコメントしている。

債務を保有したくない。債券などのことだ。

債券はいわばお金を貸した証明書である。国にお金を貸せば国債、会社にお金を貸せば社債となる。ダリオ氏は次のように続ける。

個人的には債券は長期的には良い投資ではないと考えている。

何故か。今の金融市場では、アメリカの長期金利が上がっていることが話題になっている。アメリカの長期金利は次のように推移している。


筆者は以下の記事で、この長期金利の上昇の原因が米国債からの資金流出であると指摘しておいた。

米国株下落の原因: 利下げ織り込みでも止まらない長期金利急騰
米国債の需給問題

この問題を事前に指摘していた人物がいる。それがダリオ氏である。

米国債には元々、米国政府による国債の大量発行という問題が指摘されていた。債務上限問題が解決されて以来、米国政府は債務上限のために発行できていなかった分の国債を大量発行する必要がある。

世界最大のヘッジファンド: アメリカの債務危機は終わっていない
国債が発行されれば、当然それを誰かが買う必要がある。そうならなければ、米国債は市場にあふれて、価格が下落する。

だがダリオ氏が指摘していた問題はそれだけではなかった。これまで量的緩和で国債を購入していたFedが量的引き締めで国債保有を減らしており、シリコンバレー銀行が長期国債の価格下落によって苦しめられたこともあり銀行も長期国債保有をためらっている。

そしてウクライナ情勢以後、ドルを使った経済制裁を恐れた中国などがドル資産の保有を減らしている。

サマーズ氏: BRICSの台頭はアメリカが失敗する兆候
もうほとんど誰も米国債を買える状況ではないのである。では米国債を誰が買うのかという問題を、ダリオ氏は長らく指摘してきた。そして最近の国債市場の動向を見ると、ダリオ氏の懸念が当たりつつあるように思える。

今後アメリカ経済がインフレ継続かデフレかという問題もあるが、それとは別に米国債自体が嫌われるリスクを考えなければならない状況になってきた。

米国債が嫌われれば、ドル建ての他の債券も当然その分下落する。ダリオ氏が債券を避けているのはそれが理由だろう。ダリオ氏はこう述べている。

債券の需給の問題は単に新規発行される債券の量の問題ではない。「あなたは債券を売りたいと思いますか?」という問題なのだ。

現金こそがインフレ回避の道

では何を保有すれば良いのか。ダリオ氏は次のように言っている。

現在一時的にだが、現金は良い投資だと思う。金利が良い。その金利が長続きするとは思わないが。

ダリオ氏は利上げが始まる前、インフレが来ていたにもかかわらず金利がゼロだった時に、「現金はゴミ」と発言して話題になった。

だが金利が上がるとダリオ氏は一転して現金を賞賛している。

金融について何も知らない金融庁が主導する愚かなNISAブームにおいてよく言われるのが、インフレを避けたければ株式を買えというフレーズである。

そもそも政府と日銀がインフレを引き起こしておいて、あたかもそれが空から降ってきたかのように言っているのもあまりに酷いところだが、そもそも金融の歴史を少しでも勉強していれば、こうした理屈は完全に馬鹿げていると分かる。

何故か。以下の記事で説明したように、アメリカが物価高騰に襲われた1970年代において、株式のリターンは酷いものだったからである。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
インフレで株式を買えというのは素人による酷い冗談だが、ではどうすれば良いのか。

インフレの時代に一般人にも可能な最高の投資は、皮肉でも預金であることを筆者は指摘しておいた。

インフレ相場での最良の投資方法は株の空売りを除けば株式投資ではなく預金
しかし条件が2つある。政策金利に近い金利を提供してくれるまともな銀行口座や証券口座を持つこと、そしてインフレ対策のために利上げをするまともな中央銀行を持つことである。

そうすればどうなるか。1970年代のアメリカにおいて、インフレ率と政策金利を並べればこうなる。


金利はインフレ率にほぼ沿っている。つまり、インフレのせいで現金の価値が目減りしても、中央銀行が利上げさえ行えば、国民は単に預金しているだけでインフレにおける預金の減価を利息という形で補填できるのである。

ちなみに日本人は日銀のせいでこの条件を満たすことができない。その理由については以下の記事を参考にしてほしい。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
多額の税金を日本政府に搾取されながら、長期的に株高になるデフレと金融緩和の時代に預金を積み上げ、株式のパフォーマンスが落ちるインフレの時代に政府に言われてそれを株式に転換するのだから、鴨とはまさに彼らのことである。

結論

だがアメリカでは中央銀行はもう少しまともである。政策金利が5.25%に達している今、預金は有効だということをダリオ氏は指摘している。

しかしその状況が長続きしないと言っているところが今回のポイントではないか。ダリオ氏は政策金利が下がると考えているようである。恐らくその理由は、これから来るアメリカの景気後退だろう。

ガンドラック氏: コロナ後の緩和による好景気は終わり、米国経済はデフレと景気後退へ
そして今回、債券を保有したくないと言ったダリオ氏だったが、 株式には言及しなかった。

だがダリオ氏は、最近の株価下落の前から株価に弱気だったことが報道されている。

世界最大のヘッジファンド、株価下落の直前から米国株に弱気
ダリオ氏に限らず、株式市場に弱気になるファンドマネージャーが増えてきている。

ソロスファンド、株高で米国株を空売り
金利上昇を舐めてはならない。2018年にもそう言っておいた。それだけ付け足しておく。

世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39898
84:777 :

2023/09/18 (Mon) 06:16:26

ガンドラック氏: 株価の長期上昇を支えてきた過去40年の低金利はもうない
2023年9月17日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39962

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、CNBCのインタビューでアメリカにおける金利の長期トレンドと、それが株価やデフォルト率に与えてきた影響について語っている。

コロナ後の経済サイクル

ガンドラック氏はこのインタビューで様々な議題について話しているが、どの議題について話すにしても、重要なのはコロナ以降、金融市場の環境が一変したということである。

そこでガンドラック氏は次のように問いかける。

これからの経済サイクルで起こることと、われわれの常識はどう違うだろうか?

「これからの経済サイクル」とは何か? ここの読者であれば言わなくとも分かるだろう。インフレによって金利が上がった後の経済サイクルという意味である。

金利低下時の金融市場と、金利上昇時の金融市場はまったく違う。ガンドラック氏はこう続けている。

われわれは金利がどう動くか知っていると思い込んでいる。マネーサプライの経済への影響について知っていると思い込んでいる。Fed(連邦準備制度)の金融政策について知っていると思い込んでいる。

だが1980年代前半から2020年代前半まで、われわれは低金利の環境下にあったのではなかったか? その期間金利はずっと下がっていなかったか? 勿論上がったり下がったりはしたが、長期的には金利は明らかに下がり続けた。

アメリカの政策金利は1980年にピークとなり、コロナ後の現金給付によってインフレが引き起こされるまで一貫した低下トレンドにあった。長期チャートを持ち出すと次のようになっている。


重要なのは、1980年から40年間金利は下がり続けたということである。そして投資家であれば誰でも知っているが、金利低下は株価にも経済にも大きな影響を及ぼす。

そして問題は、われわれのほとんどは金利低下の環境しか知らず、われわれの常識は金利低下の環境下における常識だということである。

だからガンドラック氏は次のように言う。

デフォルト率や企業が負債をどう扱うかについてのわれわれの常識は、時代錯誤の偏見ではないのか。

金利上昇と金利低下

ガンドラック氏は次のように言う。

金利上昇の環境は、金利低下の環境とは違う。

具体的にはどういうことか。例えば今のように金利が大幅に上がれば、お金を借りていた企業はどうなるか。

ガンドラック氏は次のように説明する。

米国企業は債務の期限を長期にして金利を非常に低く抑えた。だが期限が来て借り換えなければならなくなればどうなる? その時に金利が4%ではなく9%だったらどうなる?

小規模事業者にとって金利は現在その水準だ。3年前、小規模事業者にとって金利は4%だった。今では9%だ。Fedが更に利上げすれば更に高くなる。

Fedは2021年にインフレの脅威を無視した後、2022年に金利を急速に上げた。

経済に対する利上げの効果は強力である。だがその後、アメリカにはまだ景気後退は来ていない。だがその理由の1つは債務の乗り換えがまだ完了していないということだろう。

だが来年には多くの企業にとっての債務の期限が到来し、借金を借り換えなければならなくなる。その時に多くの企業が金利上昇の効果に直面することになる。

Fedのパウエル議長は金利を5%台の水準に長らく据え置くと表明している。だがそんなことが出来るだろうか。その馬鹿らしさについては以下の記事で既に指摘している。

米国インフレ率が下がれば下がるほど株価にはマイナス、株式の買い手は逃げるべき
だがパウエル氏にはそれが分からない。しかしガンドラック氏の上記の議論を読めば、それがどういう意味か分かるはずである。ガンドラック氏は次のように続けている。

Fedがこれから数年金利を5%か6%に保ったままにすれば、この国のすべてが倒産するだろう。

金利上昇と株式市場

そして金利低下が金利上昇になったことは、当然ながら株式市場にも影響を与える。ガンドラック氏は次のように述べている。

株式市場は1982年に底打ちし、2022年にピークを打ったように見える。この期間に金利が14%から0%になったことと関係があるだろう。

世の中にはインフレ対策で株式を買えという馬鹿げた議論もあるようだが、1970年代の物価高騰時代、米国株がどのような酷いことになったのかについては以下の記事で説明している。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
逆にその後の1980年から40年間の金利低下局面で米国株がどうなったかについても、多くの人が知っているだろう。

何故金利低下で株価が上がるのか。例えば米国債の金利が10%ならば、国債は無リスク資産と考えられているので、株式はそれを超えるパフォーマンスを出さなければ投資家を集めることが出来ない。逆に金利がゼロならば、投資家は少しでも値上がりを期待できそうな株式に殺到する。

だから他の条件が同じならば、金利低下はそのまま株高を意味し、金利上昇はそのまま株安を意味する。

株式市場はしばしばそれを無視する。2018年の金利上昇局面でも同じことが起きた。

バブルの頂点で日経平均は上昇、空売りを淡々と継続 (2018/9/20)
だがそれは長期的には続かない。長期的には、1980年から2020年まで金利低下によって米国株が上昇したこととまさに反対のことが、金利上昇局面においては起きるだろう。

結論

ガンドラック氏は次のように纏めている。

金利が上がれば株式にとって競争は激しくなる。債券と株式のリスクプレミアムを比べれば、株式のバリュエーションは現在、われわれの生きている間で一番高くなっている。

これは2024年には問題となるだろう。

世の中では金融庁にそそのかされ、金利低下局面で株式を買わなかった人が金利上昇局面で株式を買い始めている。それがどういう面白い状況か、この記事を読んだ人ならば分かるだろう。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
また、金融庁の資料に過去20年の株式や債券のパフォーマンスが乗せられ、それを根拠に投資が推奨されていることがどれだけ可笑しいことであるかも、この記事を読んだ人には分かるはずである。

「株式の長期投資はほぼ儲かる」 という幻想は金融庁の「基礎から学べる金融ガイド」から来た
だが誰も気にしていない。

何故なのか。短期的には金利上昇を誰も気にしていないこととまったく同じように、金融庁の職員の多くは投資を仕事にしたこともない資産運用の素人であり、NISAは銀行・証券業界に手数料を落とす目的で出来上がったのだが、ガンドラック氏ら専門家の見解の真逆を行く彼らの見解を鵜呑みにすることに誰も何の疑問も抱かない。そもそも金融庁職員は多くの資産への投資を禁じられているため、もしかすれば自分よりも投資経験がないかもしれない彼らの投資推奨を人々は有難く聞いている。

基本的に人々は何も気にせずに生きている。だが金融市場は彼らに相応の結果を与える。来年の前半にはすべては終わっているだろう。

米国インフレ率が下がれば下がるほど株価にはマイナス、株式の買い手は逃げるべき

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39962
85:777 :

2023/09/19 (Tue) 03:10:22

レイ・ダリオ氏、投資で最悪の間違いは何かを語る
2023年9月18日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40002

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が、Milken Institute主催の会議で投資における最悪の間違いについて語っている。

多くの投資家の最大の間違い

多くの投資家が犯す最大の間違いは何か。この会議でダリオ氏は様々な議題について語っているが、いくつか簡潔な質問を並べられた中にあった質問がこれである。

読者ならどういう間違いを思い浮かべるだろうか。例えばNISAブームにそそのかされて投資を始めることだろうか。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
ダリオ氏は次のように答えている。

これまで良いパフォーマンスを出している投資を、割高だと考えずに良い投資だと思いこむこと。

良いパフォーマンスを出しているということは、価格が上がっているということである。

恐らくそのデータの受け取り方は、素人とプロで違う。多くの人は、これまで価格が上がっているのだから良い投資なのだと考えるだろう。だが実際には、他の条件が同じならば、価格の上昇は資産としての魅力が下がったこと以外の何物でもない。

価格上昇の意味

これは確かウォーレン・バフェット氏が言っていたことだと思うが、多くの人々は1ドルのりんごが2ドルになれば割高になったと考えるが、1ドルの株式が2ドルになれば買いたいと思い始める。

この冗談には多くの真理が含まれている。投資家もスーパーで野菜や果物を買う人の心理で投資に向き合うべきなのである。投資とは同じものを安く買って高く売ることである。高いものを買っても良いことなどない。

1ドルのものが2ドルになったならば、他の条件が同じならば、それは単に割高になったのである。

だが多くの投資家はそのようには考えられない。その典型的な例が金融庁の職員である。金融庁が素人に投資を推奨している「基礎から学べる金融ガイド」には、次のようなチャートが掲載されている。


過去20年間のパフォーマンスが誇らしげに載せられている。

だが、ここには資産運用を仕事にする人間であれば誰でも知っている事実が見逃されている。過去のパフォーマンスは、将来のパフォーマンスを占う上で何の役にも立たないということである。過去のパフォーマンスを見て良い投資が見分けられるならば、誰でもファンドマネージャーである。だが資産運用業はそれほど甘くない。

過去のパフォーマンスを押し出して素人に将来のパフォーマンスを夢想させるというのは、例えば銀行が何も知らない老人たちに投資信託(プロは決して買わないが素人は良く買う)を買わせるためによくやる手だが、だから彼らは老人しか騙せないのであって、まあ金融庁にも似たような人材しか居ないからこういう理屈で投資を薦めるのだろう。

過去のパフォーマンスの意味するところ

だが過去40年の株式の上昇相場は、1980年に始まる金利の長期下落が原因だということはここでは何度も指摘しておいた。DoubleLine Capialのジェフリー・ガンドラック氏も指摘している通りである。

ガンドラック氏: 株価の長期上昇を支えてきた過去40年の低金利はもうない
そして低金利はもうない。インフレが始まり、金利を上げなければならなくなったからである。金利低下時における株式市場のパフォーマンスは、コロナ以後のインフレ・金利上昇時における株式市場のパフォーマンスとは何の関係もない。

そして1970年代の物価高騰時代における米国株のパフォーマンスは、以下の記事で説明した通り酷いものである。これがインフレ・金利上昇時における株式のパフォーマンスである。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
だが、それでは過去のパフォーマンスは投資をする上で何の意味もないのだろうか。ファンドマネージャーは過去の株価チャートを見ないのだろうか?

当然過去のチャートを見る。だが、それが将来のパフォーマンスを決めるとは思っていない。では何のために見るのか? その資産がどういう時に上がり、どういう時に下がるのかを調べるためである。

その資産は1970年代のインフレ・金利高騰時代には上がったのか、下がったのか? その後の1980年から2021年までのデフレ・金融緩和時代にはどう動いたのか?

戦争があればどういう資産が上がり、どういう資産が下がるのか? パンデミックが起これば資産価格はどのように動くのか?

それを調べるための資料が過去の価格チャートである。そして例えば、これからインフレ・高金利の時代が来るならば、デフレ・金融緩和で上がった銘柄ではなく、インフレ・高金利の時代に上がった銘柄を買うべきなのである。

結論

ということで、過去の価格チャートはその資産がどういう性質を持っているのかを調べるためのもので、今後のパフォーマンスが良いか悪いかとは何も関係がない。

金融庁の投資推奨がどれだけ馬鹿げたものか、この記事を読めば誰でも分かるだろう。また、金融庁が推奨しているもう1つの方針である「分散投資」については、世界最高のファンドマネージャーの1人であるスタンレー・ドラッケンミラー氏が次のように言っている。

ドラッケンミラー氏、個人投資家の投資スタイルを酷評
彼らは分散投資をすれば、集中投資をするよりリスクが低くなると言う。それが正しいとはまったく思わない。

金融庁の投資指南は控え目に言っても天才的である。彼らは本物の資産運用家の逆を行くことに関して稀有な才能を発揮しているので、是非読んでみてもらいたい。

「株式の長期投資はほぼ儲かる」という幻想は金融庁の 「基礎から学べる金融ガイド」から来た

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40002
86:777 :

2023/09/22 (Fri) 04:50:31

暴落に備える5つのポイントと 1つの禁止事項
つばめ投資顧問の長期投資大学
2023/09/21
https://www.youtube.com/watch?v=oihofeIlydE
87:777 :

2023/09/22 (Fri) 10:33:13

9月FOMC会合結果はタカ派、引き締めを止めるべきタイミングを理解していないパウエル議長
2023年9月21日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40115

米国時間9月20日、アメリカの中央銀行Fed(連邦準備制度)は金融政策決定会合であるFOMC会合の結果を発表し、政策金利の維持を決定した。

金利の維持は市場の予想通りであり、今回より重要なのはドットプロットとパウエル議長の記者会見だろう。

9月のFOMC会合結果

会合の後に毎回公表される声明文については、ほとんど言うべきことがない。前回の会合のものをほとんどそのまま載せただけで、ほとんど変わっていないからである。

注目されるのはパウエル議長の記者会見だが、しかし彼はいつも同じことを繰り返すだけで、インフレ統計を後追いしているだけの彼の言葉にどれだけ意味があるかは怪しい。

だから、彼の言葉をそのまま受け取るのではなく、彼の言葉から今後の金融政策を予想することが必要だろう。

パウエル議長の記者会見

会合参加者の利上げ見通しをプロットしたドットプロットによれば、Fedは今年あと1回の利上げを想定している。つまり、Fedはまだ利上げを止めたわけではない(少なくとも自分ではそう主張している)ということである。

また、ドットプロットによれば来年の利下げ回数も、前回の4回から2回に引き下げられた。今回の会合はタカ派だったと言えるだろう。

これを説明する記者会見におけるパウエル議長のコメントは次の通りである。

インフレが適切な水準になったという本当に説得力のある証拠が欲しい。それに向けて進展していることは喜ばしいことだ。だが結論に達するまでには更なる進展が必要となる。

ではインフレ率はどうなっているか。アメリカのインフレ率が長らく下落トレンドにあることは周知の事実なので、ここでは最近になってようやく下がり始めたコアインフレ率のチャートを掲載しておこう。

加速した8月の米国インフレ率、原油価格上昇で物価上昇リスク

物価が上昇するにも順序があったように、インフレが収まるにも順序がある。まず金融市場で原油などのコモディティ価格が下がり始め、次にインフレ率が下がり、次にコアインフレ率が下がり、そして最後に金融引き締めの影響を一番受けにくい労働市場が減速して、失業率が上がり始める。

だがパウエル氏は何処で引き締めを止めるのか。インフレ目標が2%ならば、2%になったら止めるのか。だがジェフリー・ガンドラック氏は次のように言っていた。

ガンドラック氏: 中央銀行のインフレ率予想は人間が想像可能な中で一番馬鹿げた経済予想
インフレ率が9%が2%まで極めて急速に下落するならば、下方向に行き過ぎると考えない理由が何かあるだろうか?

何故2%で止まるのか? そこに何か魔法でもあるのか?

引き締めを何処で止めるのか

だからインフレ目標が目標に達してから利上げを止め、金利を下げるのでは明らかに遅すぎる。では何処で引き締めを止めるのか? パウエル氏の問題点は何処で引き締めを止めるのかをはっきりさせていないこと、もっと言えば、彼自身何処で引き締めを止めれば良いのかを分かっていないことである。

パウエル氏は引き締めを止めるのが早すぎて、インフレが帰ってくるリスクを警告する。彼は次のように述べている。

最悪の結果は物価の安定を取り戻せないことだ。歴史を見ればそれは明らかだ。物価の安定が戻らなければ、インフレが帰ってくる。

そうすれば経済が非常に不安定な状況が長期間続き、経済成長など様々なことに影響する。

だが、では何処で引き締めを止めるのか。パウエル氏は失業率について次のように述べている。

失業率が上昇しないまま、労働市場の状況が再編されていっているのは良いことだ。

だが、では失業率が上がれば利下げに転換するのか?

マクロ経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏が説明しているように、インフレ政策で引き起こされたインフレが抑制された後に多くの失業が出ることは避けられない。

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
だから失業率はこれから上がる。先月のデータは明らかにその兆候である。

8月雇用統計は遂に失業率の上昇開始、インフレ後の大量失業の始まり
しかしパウエル氏は失業率が上がってから利下げを始めるつもりなのか? だが失業率の上昇は、上で述べた通りインフレ率低下のサイクルの中で一番最後に起こるイベントである。

つまり、失業率が上がり、アメリカ経済が失業者であふれるようになった段階では、すでに金融引き締めの効果はアメリカ経済全体に行き渡っており、そこから利下げに転じても手遅れである。そしてガンドラック氏が予想している状況が発生する。

ガンドラック氏、米国の急速な利下げとドルの下落を予想
Fedは階段を使って利上げをし、エレベーターを使って利下げをする

結論

インフレ発生の過程では、2020年にコロナ後の緩和によってコモディティ市場でインフレの萌芽が発生し、2021年にアメリカで物価が高騰した。

金融市場にインフレの兆し: 金、原油、穀物価格が高騰 (2020/10/14)
ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ (2021/7/18)
つまり、緩和がインフレを引き起こすには1年かかった。よってFedが2024年に利下げ転換するならば、2025年にはそれも実体経済に効くだろうが、2024年のアメリカ経済は酷いことになるだろう。

パウエル議長は結局何が起これば利下げ転換するつもりなのか?  それだけが今回の会合から読み取るべき情報である。そしてそれが分かれば、アメリカ経済がこれからどうなるかが分かるだろう。

ガンドラック氏: コロナ後の緩和による好景気は終わり、米国経済はデフレと景気後退へ

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40115
88:777 :

2023/09/25 (Mon) 21:50:40

サマーズ氏: インフレはもう収まったと言っている人間は何も理解していない
2023年9月25日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40172

アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏が、All-in Summitでアメリカのインフレについて語っている。

再婚とソフトランディング

サマーズ氏は珍しくも話を大喜利から始めている。彼は次のように言っている。

ソフトランディング期待については、サミュエル・ジョンソンが再婚について言ったことと同じことが言える。両方とも希望的観測が経験に押し勝っている。

ほとんどブラックジョークだが、人々は希望にすがりたがるものである。だがサマーズ氏は以下に紹介したBloombergのインタビューで、景気後退の前には「ソフトランディング」の文字が入った記事が急増し、しかも景気後退は避けられた試しがないというデータを掲載していた。

サマーズ氏、米国のスタグフレーションの可能性を示唆
何故そう言えるのか。サマーズ氏は次のように説明している。

インフレ率が4%より高く、失業率が4%より低い状態で、米国経済が景気後退にならなかったことはない。

インフレは失業率より先に推移する。インフレが高く、失業率が低い状態から金融引き締めでインフレを下げようと思えば、経済を弱めて失業率を上げるしかないのである。この点についてはフリードリヒ・フォン・ハイエク氏が説明している。

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
ソフトランディングはあるか

だが、「しかし実際にインフレ率は下がって経済はそれほど減速していないではないか」と人々は言うだろう。

しかしそういう人々に対してサマーズ氏はこう言う。

「もう大丈夫だ、インフレはもう心配する必要がない、インフレ率は9%だった、今は3%半ばだ、インフレは制御できた、無事解決だ」と言う人々は、自分が何を喋っているのかさえ理解していない。

何故そう言えるのか。サマーズ氏の目から見れば、インフレはそもそも大して変わっていないのである。サマーズ氏はこう説明している。

インフレ率は元々、変動の大きい要素を除けば8%や9%になったことなどなかった。元々5%程度だった。中古車や航空券やガソリンなどの変動の激しい要素によって一時的に押し上げられただけだ。

そうした要素が急速に値上がりして、インフレは基調としては5%程度だったが全体では8%になった。そしてそれらの要素の価格が下落して、基調は4%か5%に留まる一方で今全体のインフレ率はそれよりも低くなっている。

現在、アメリカのインフレ率は3.7%である。

加速した8月の米国インフレ率、原油価格上昇で物価上昇リスク

結論

だから、サマーズ氏によればインフレ率はまだ大して下がっていない。原油や中古車などの価格などが上がって下がったことが趨勢に大きく影響している。そしてより悪いことに、原油価格が上がっている。


サマーズ氏によれば、まだインフレ退治は何も終わっていない。サマーズ氏はこう述べている。

インフレの基調が実際どうなっているかを計ると、基調としては多少、0.5%か1%ほどは下がったかもしれない。それはわたしの予想よりも大きい下落幅で、間違いなく良いニュースだ。だがここからソフトランディングまでは長い距離がある。

筆者はサマーズ氏とは多少異なる見方をしているが、結論は同じである。インフレは収まりつつあるが、景気後退が始まるのはインフレが終わってからである。ハイエク氏の説明している通りである。

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
また、原油価格の上昇は現在ほぼ唯一のインフレ的要素だが、ヘッジ可能である。

ガンドラック氏: 原油価格上昇はインフレを押し上げる
原油価格については追加で記事を書くべきことがあるだろう。

また、最初の大喜利についても付け足しておく情報がある。サマーズ氏は再婚している。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40172
89:777 :

2023/09/29 (Fri) 04:10:19

ガンドラック氏も米国のスタグフレーションを予想
2023年9月28日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40227

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が自社のウェブキャストでインフレと景気後退が同時に起こるスタグフレーションの可能性について語っている。

パウエル議長のインフレ退治

ガンドラック氏は2024年前半にアメリカ経済が景気後退入りすると予想している。コロナ後の緩和効果による好景気が終わり始める兆候が見られているからである。

ガンドラック氏: コロナ後の緩和による好景気はそろそろ終わり、米国経済は減速する
問題は、次に景気後退が起こった時、Fed(連邦準備制度)のパウエル議長がどうするかである。

パウエル氏自身は、インフレ退治をやり切ると主張している。だが、一部の専門家はパウエル氏の決意を疑っている。

ドラッケンミラー氏: 経済が強い時に引き締めを続けるのは簡単だが
サマーズ氏: パウエル議長のインフレ退治が本気かどうか疑う理由
インフレ退治には痛みを伴う。そして痛みを伴うのはインフレが収まった後である。それが2024年に訪れようとしている。

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
景気後退と金利予想

現在既にアメリカの失業率は上がり始めているが、問題は失業率が更に上がった後のパウエル氏の対応である。

8月雇用統計は遂に失業率の上昇開始、インフレ後の大量失業の始まり
景気後退の前後に金利はどうなるのか。ガンドラック氏は次のように述べている。

景気後退が起これば、通常債券の金利は下がると予想する。

実際、これから景気後退になれば金利はまず下がると予想しているが、景気後退に対する政府の対応が、ここ数十年の景気後退でそう有り続けているように過激なものになるのではないかと考えている。そしてそれがインフレを引き起こす。景気後退と同時にインフレになる。

それはスタグフレーションである。サマーズ氏に続き、ガンドラック氏も同じ予想をしている。

サマーズ氏、米国のスタグフレーションの可能性を示唆
スタグフレーションにおける金融政策

中央銀行はこれから難しい舵取りを強いられる。2024年に景気後退が待ち受けている中、原油価格が上がっている。


インフレ率はそれほど下がらないが失業率が急増する場合、中央銀行は引き締めを続けてインフレ退治を継続するのか、それとも緩和をして失業率を押し下げるのか? しかし緩和をするとインフレは酷くなる。

ガンドラック氏は次のように述べる。

インフレが戻ってくるリスクが間違いなくある。 わたしが予想するように債券が上昇(訳注:金利は低下)した後、景気後退が始まる頃に、インフレと景気後退が同時に起こり、金利が上昇するという見慣れない状況を見ることになるかもしれない。政府の政策のお陰だ。

リーマンショック以後の緩和が2018年の金融引き締めで弾けかけたために、アメリカは金融正常化が出来なかった。バブルは継続し、その土壌の上でコロナ後の現金給付を行なったためについに物価が高騰した。

ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした
ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由
政府の緩和のお陰で状況は段階的に悪くなっている。それでも人々は政府から現金が降ってくることを願う。

もうどうしようもないのである。行き着く所まで行く以外に結末は有り得ない。最終的に紙幣ではものは買えなくなり、為替レートは下がって自国民には厳しいが外国人観光客には優しい国の出来上がりである。

世界最大のヘッジファンド: 無節操に支出し続けるメンタリティのお陰でスタグフレーションへ
日本もそうなりつつある。日本国民が自分で当選させた政治家のもたらした結末である。

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40227
90:777 :

2023/09/29 (Fri) 21:05:47

世界最大のヘッジファンド: 米国の消費の落ち込みは止まらない
2023年9月29日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40247

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が、自社の動画配信でアメリカ経済の見通しと金利との関係について語っているので紹介したい。

最近の債券安

アメリカでは金利が上がっている。アメリカの長期金利は次のように推移している。


国債の金利が上がっているということは価格が下がっているということであり、ダリオ氏も多くの債券(国や企業の借金)が出回っている一方で、買い手が十分にいない可能性を以前より危惧していた。

最近の金利上昇(債券価格下落)は、ダリオ氏の予想が的中していると言える。それが株式市場にも影響を与えている。

ガンドラック氏: 株価の長期上昇を支えてきた過去40年の低金利はもうない
金利上昇と実体経済

ダリオ氏によれば、債券の需給バランスが壊れ、債券が下落し続ける(金利が上がり続ける)のが経済サイクル末期の症状である。

それはアメリカの実体経済にどのような影響をもたらすのか。ダリオ氏は次のように説明している。

まず債務の支払いが消費を侵食し始める。債務が収入に比べて大きくなり、金利が上がれば、債務の支払いが増加する。そして消費が鈍り始める。そしてある時点からそれは自己強化的に加速し始める。

これは消費者にも政府にも言えることである。金利が上がったことにより、政府の利払いも急増している。米国政府のGDP比の利払いのグラフは次のようになっている。


世の中に存在する膨大な国債の金利が軒並み上がっているのだから当たり前である。

一方で、消費者は政府よりもより良い状態にあった。現金給付で消費者の借金を政府が肩代わりしたのだから当然だろう。この点についてはSoros Fund ManagementのCEOドーン・フィッツパトリック氏が去年から指摘していた。

2022年のフィッツパトリック氏の経済予想が完全に当たっている
だが、失業率が上がり始めれば話は別である。

8月雇用統計は遂に失業率の上昇開始、インフレ後の大量失業の始まり
2022年に始まった金融引き締めで先ずダメージを受けたのは消費者ではなかった。ローンとは関係の薄い消費はあまり減速せず、借金を利用することの多い企業の設備投資は大きく減速した。

だが企業が苦しめば結局は労働者も苦しむことになる。失業率の上昇は、次は消費者が苦しむ番であることを示している。

債務不履行のスパイラル

経済学者ラリー・サマーズ氏も以下の記事で、クレジットカードなどのローンの滞納率が増加していることを指摘していた。

サマーズ氏、米国のスタグフレーションの可能性を示唆
これまでコロナ後の現金給付の余韻で羽振りがよかったアメリカの消費者に限界が見え始めている。

ダリオ氏はこれから消費が減速することを予想し、しかもその減速は自己強化的であると言っている。

何故か。滞納や債務不履行が増えれば、金利が上がる。しかし金利が上がれば消費者はますますローンを返せなくなる。

ダリオ氏は次のように続ける。

本当の問題が起きるのはそれからだ。より大きな問題は、債務の保有者がこの問題に気付き、中央銀行が紙幣印刷で収拾を付けなければ大きな損失となる。そして債券の保有者が債券を売り始める。

2008年以降、債務があまりに増えすぎたので中央銀行が紙幣印刷で債券を買い始めた。それが量的緩和である。

だがコロナ後の現金給付によってインフレが起こり、中央銀行は債券の保有量を増やすのではなく減らさなければならなくなった。それが量的引き締めである。

中央銀行が買わず、銀行もシリコンバレー銀行の破綻に見られるように、コロナ後に下落した債券の大量保有で既にかなり傷ついている。では誰が米国債を買うのかとダリオ氏は以前から言っているのである。

それで債券価格は下落している。 債券が下落すると金利が上がるので、それで株価も落ちる。金利と株価の関係については、以下の記事で説明している通りである。

米国株が完全に割高である理由と株価の推移予想

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40247
91:777 :

2023/10/01 (Sun) 20:58:55

2024年の米国株予想: 株価は最大で50%下落する
2023年10月1日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40275

2024年、アメリカには景気後退が迫っている。コロナ後の現金給付の余韻が消え始め、インフレ後の金融引き締めが効き始めているからである。

ガンドラック氏: コロナ後の緩和による好景気は終わり、米国経済はデフレと景気後退へ
では、米国経済が景気後退に陥れば、米国株はどうなるのか? 今回の記事では株価の目標値を簡単に計算してみたい。

米国株の現状

まずは現在の米国株の問題を再び纏めてみよう。米国の主要株価指数S&P 500は以下のように推移している。


コロナ後に上昇した米国株は2022年に下落した後、やや反発している。

米国株が2022年に下落した原因は、2021年に始まったインフレとその後の利上げによる長期金利の上昇である。

金利が高くなれば、投資家は下落リスクのある株式ではなくリスクの少ない国債などを持とうとする。だから米国株は下落したのだが、その後株価はある程度回復している。

株価水準と金利

米国株が回復したのは、元々は2022年秋頃からアメリカでインフレ率が低下し、それに伴って長期金利も低下したからである。

株価は今も高い水準にあるので、長期金利はそのまま低下していっているはずだと論理的な人であれば考えるだろう。だがアメリカの長期金利はそうなってはいない。高いままである。むしろ株安のあった2022年より高くなっている。


株式市場にとっての問題が解決していないどころか悪化しているのに、株価は高値に戻っている。それが米国株の問題であり、金利と比べて現在の株価水準が歴史上稀に見るほどに割高であることは、何人かのファンドマネージャーらが指摘している。

ガンドラック氏: 米国株の株価は来年の景気後退を織り込んでいない
米国株の株価水準

現在の米国株の水準は、現在の1株当たり利益では正当化されない。だから将来利益が上がるという期待が株価を押し上げている。

だがもし本当に景気後退になれば、企業利益は上がるどころかむしろ下がるだろう。景気後退の直前まで株式投資家が楽観しているのは、バブル崩壊前夜においてはいつものことなのだが。

しかし米国株は利益に対する楽観を差し引いてもやはりかなり割高なのである。そこで、とりあえずこの企業利益に対する楽観をそのままにして、割高な株価水準を例えばコロナ前の2019年後半のバリュエーションにまで戻すと、筆者の計算ではそれだけでS&P 500の株価は3,300ドルにまで下落する。

現在の株価は4,326ドルなので、それだけで株価はほぼ25%下落することになる。株価チャートをもう一度掲載しよう。


それでほぼコロナ直前の株価水準に一致する。

だがそれでもまだ企業利益に対する楽観を修正できていない。では企業利益上がらず、現在の水準に留まると仮定するとどうなるか。株価は3,000ドルまで下落する。それで現在の水準から30%の下げ幅である。

しかし景気後退時には、実際には企業利益は横ばいにはならずむしろ大きく下落する。例えば景気後退が企業利益の見通しに10%の下方圧力を加えると仮定すれば、株価もそのまま10%下がるので、株価は2,700ドルということになる。

これでいよいよ2020年前半のコロナ危機における最安値に近づいてきた。最後に、景気後退時には投資家は悲観的になるので、株価のバリュエーションは企業利益の実際の減少よりも低くなる。現在は投資家の楽観が織り込まれているが、景気後退が明らかになった時には逆に悲観が織り込まれるわけである。

上では、株式投資家の楽観による株価上昇効果を25%と見積もった。なので悲観による下落効果を同じく25%と見積もれば、株価は2,700ドルから2,000ドル台に下落する。

結論

つまり、2024年に景気後退が完全なものとなれば、株価は理論的に2020年のコロナ危機における最安値を下回ることになる。

これはあくまで理論的な試算に過ぎない。上で計算した複数の株価下落要素のうち、何処までがどれだけ実現するかを厳密に予想することもできない。あくまで2,000ドルは最大の下落幅だった場合の株価である。

また、金利と株価を比べるにも色々な方法がある。ジェフリー・ガンドラック氏も同じことを考えているが、筆者とは計算方法が恐らく多少異なっている。

ガンドラック氏: 米国株の株価は来年の景気後退を織り込んでいない
そしてより大切なのは景気後退のタイミングである。それについてはマネーサプライや雇用統計などリアルタイムのデータを見ながら逐次アップデートしてゆくほかない。現状では景気後退は2024年前半だと考えているが、タイミングは逐次修正される。実際、景気後退はドーン・フィッツパトリック氏を除く多くのファンドマネージャーの推測よりも遅れている。

2022年のフィッツパトリック氏の経済予想が完全に当たっている
だが、この記事で言いたいのは、米国株がどういう水準にあるのかを考えてトレードする必要があるということである。

多くの株式投資家は、金利と株価水準を比べることさえしていない。今年の株価反発で米国株が2022年の高値を超えられずがっかりしている投資家もあるかもしれないが、米国株が上値を抑えられているのは当たり前である。

筆者の考えでは、結局米国株は2022年から始まった長期ダウントレンドの中にいる。ただ、コロナ後の莫大な現金給付とその後の大規模な金融引き締めというトレンドが大きすぎて緩やかにしか状況が進まないだけである。一喜一憂している人々は楽しそうだが、状況は2年前から何1つ変わっていない。

だが、長期的には米国株は以下の記事で説明した1970年代のインフレ相場の繰り返しか、 あるいはそれよりも悪くなるだろう。長期的トレンドからは逃れられないのである。状況はますます当時に似てきている。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40275
92:777 :

2023/10/03 (Tue) 10:13:41

2023年の米国経済がインフレ減速と経済成長の年だった分だけ、2024年はインフレ再燃と景気後退の年になる
2023年10月2日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40302

2023年のアメリカ経済は好調である。ここで取り上げている経済指標にも出ている通り、もちろん減速の兆候は出ているのだが、政策金利を5%も上げてまだ経済成長を確保できているのだから、上出来だと評するほかない。

だが重要なのはその理由である。そして2023年が好調だった原因を詳細に考えれば考えるほど、2024年の米国経済が違った姿に見えてくる。

アメリカ経済の現状

現状のアメリカ経済の実質経済成長率は修正後の数字で2.4%である。

景気後退懸念のなか加速した第2四半期アメリカGDP成長率
この数字は上出来である。コロナ後の現金給付のお陰で2021年に発生した物価高騰に対処するため、アメリカでは政策金利がゼロから5%台まで大幅に上げられたが、高金利にも負けず、アメリカ経済は十分な成長を確保している。

ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由
2008年のリーマンショック以来、低金利に依存してきたアメリカ経済は5%もの高金利には耐えられないとの声が専門家から上がっていたし、今でも上がっている。

だがアメリカ経済はまだ強い。アメリカ経済はこのまま何の問題もなく高金利を乗り越えてゆくのか? だがポンド危機におけるポンド空売りで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏は次のように述べていた。

ドラッケンミラー氏: それでも米国経済はハードランディングする
景気後退がまだ始まっていないという事実が、ハードランディングかソフトランディングかという確率を変えることはない。

むしろ、景気後退が来るまでにこれほど時間がかかってしまったために、政策金利はより高く上がることになり、インフレは経済に馴染むことになってしまった。それはハードランディングの確率を上げることはあっても、下げることはない。

アメリカ経済とインフレ

実際にはどうなのか。インフレ政策で遂にインフレになってしまった今、重要なのはインフレの推移である。

まずはそもそもインフレになった経緯について考えてみたい。物価高騰を2022年のウクライナ情勢のせいだと考えている人もいまだに居るのかもしれないが、コロナ後のインフレについてここで一番最初に言及したのは2020年の以下の記事である。

金融市場にインフレの兆し: 金、原油、穀物価格が高騰 (2020/10/14)
アメリカではコロナ後に日本の何倍もの規模で行われた現金給付によって、莫大な資金量が世界経済に流れ込んだ。

だが流れ込んだ資金は実体経済のあらゆる部分に均等に流れ込んでゆくわけではない。

資金の流れ方には順序がある。資金はまず金融市場に流れ込んでゆく。2020年にばら撒かれた資金は、まず金融市場で取引されている原油や貴金属、農作物のようなコモディティ銘柄に流れ込んだ。

その時点では実体経済にはほとんど影響を与えていない。だが筆者が2020年に懸念したように、金融市場で生じたエネルギー資源や農作物の価格高騰は時間差で実体経済に波及し、2021年にはアメリカで物価高騰が始まった。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ
金融引き締めと実体経済

中央銀行は2021年の内はインフレを無視していたが、2022年になって慌てて金融引き締めを行ない始めた。

緩和がまず金融市場に効いたように、引き締めもまず金融市場に効く。原油価格は2022年には下がり始め、同じように時間差で2023年には実体経済のインフレ率も下がっていった。原油価格は次のように推移している。


アメリカのインフレ率は次のように推移している。


だがこの時間差が問題である。2023年には、実体経済において金利上昇の影響を受けやすい所ではインフレが収まっていたものの、例えば賃金のように金利が上がったからすぐに影響を受けるわけではない品目については、インフレが収まっていなかった。

実体経済の中でも金融政策の波及には時間差があるのである。

それは2023年におけるアメリカの好景気にも繋がっている。賃金上昇の抑制が遅れていたことが、当然ながら消費の好調に繋がっている。それが「インフレは収まったがGDPは減速しない2023年のアメリカ経済」を生み出した。Soros Fund Managementのドーン・フィッツパトリック氏はそれを予想していた。

2022年のフィッツパトリック氏の経済予想が完全に当たっている
2024年における経済サイクル

これを踏まえて2024年がどういう経済サイクルになるかを考える必要がある。まず金融引き締めの効果が遂に労働市場にも波及しつつある。失業率が上がり始めている。それは遂に賃金が減速する経済サイクルの局面が来ていることを意味している。

8月雇用統計は遂に失業率の上昇開始、インフレ後の大量失業の始まり
一方で、2022年には既に下落を開始していた原油価格が次にどういうサイクルになるのかを考える必要がある。原油価格のチャートをもう一度掲載しよう。


2022年に下がっていた原油価格が下落サイクルを終えている。

簡単に言えば、2023年は原油価格下落によるインフレ抑制と賃金上昇の年だったとすれば、まさにそのために2024年はインフレ再燃と賃金減速の年になる。

賃金減速による消費の減速により2024年が景気後退の年になれば、原油価格も短期的な下落を免れないと筆者は予想しているが、市場がインフレ再燃を懸念すれば、1970年代に短期的な下落を含みながらも長期的には20倍になった金価格のように、原油価格は通常の景気後退時ほどは短期的にも下がらないか、下がってもすぐに急上昇を開始する可能性がある。

結論

2023年はサイクルの巡り合わせが良かった。全体のインフレ率が下がったものの、減速は賃金にまで波及せず、結果として消費は堅調で、経済成長率も保たれた。

しかし、良い要素を2023年に詰め込んでしまったが故に、2024年はサイクル的には最悪である。現在の原油価格の反発は2024年のインフレ率に悪影響を与えるだろう。一方で賃金の減速が始まっているために、消費は否応なしに減速してくる。

実体経済は弱まってくるがインフレはそれほど落ち込まない、それはまさにスタグフレーションである。

サマーズ氏、米国のスタグフレーションの可能性を示唆
ガンドラック氏も米国のスタグフレーションを予想
それを踏まえた上で前回の記事を読んでもらいたい。 どういう投資判断をするかは読者の自由である。鵜呑みせず自分の頭で考えてもらいたい。

2024年の米国株予想: 株価は最大で50%下落する

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40302
93:777 :

2023/10/03 (Tue) 20:42:37

世界最大のヘッジファンド: 株安の原因となっている長期金利上昇には大幅な上昇余地がある
2023年10月3日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40328

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が自身のブログでアメリカの長期金利について語っているので紹介したい。

長期金利上昇

アメリカでは長期金利が上昇している。それが株安の原因になってもいる。アメリカの長期金利は次のように推移している。


金利が上がれば上がるほど株式には不利になる。国債を買えば理論上無リスクで4%台の金利が得られるのだから、株式はそれ以上の魅力を提供しなければ買い手を集められない。

リーマンショック以後ゼロ金利に慣れてしまった金融市場には4%台の金利は高い。だがダリオ氏はそれでも低すぎると考えているようだ。彼は次のように述べている。

長期の国債については、インフレ率の見通しよりも1.5%から2%高い金利が欲しい。インフレ率見通しは、わたしはおよそ3.5%だと考えている。

市場の期待インフレ率は2.4%だから、ダリオ氏はそれよりも高いインフレ見通しを考えているようだ。

これらの数字を足し算すれば、ダリオ氏が要求する長期金利の水準が得られる。ダリオ氏はこう続ける。

だからそうした要因だけ考えれば、わたしが国債を保有したいと思えるためには5%台前半の金利が必要だ。だが残念ながら要因は他にもある。

更に上昇余地のある長期金利

インフレ率とそれを考慮した金利水準を考えれば、5%台前半の金利が必要だとダリオ氏は言う。

上記のチャートを見て分かる通り、それは株価下落の原因になっている現在の長期金利の水準よりもかなり高い。

だがダリオ氏はそれでも足りないと言う。彼は理由について次のように述べている。

政府の財政赤字が大きいために米国債の供給量の見通しは多く、一方で需要の見通しは低い。

ダリオ氏は長らく国債市場の需給問題に言及していた。莫大な(日本に比べれば少量の)借金を抱えたアメリカ政府が国債を大量発行しなければならない一方で、これまで買い手だった中央銀行は国債の保有量を減らす量的引き締め政策を行なっている。

では米国債を誰が買うのかという問題である。国債の価格下落は金利上昇を意味するので、十分な買い手がいなければ金利は上がってゆく。

ダリオ氏は次のように続ける。

海外の銀行や中央銀行やその他の買い手は米国債で酷い損失を抱えており、しかも彼らはアメリカで政治的、社会的、経済的に何が起こるのかを懸念している。

インフレで金利が上がったため、言い換えれば国債の価格は大幅に下がったのである。例えば国債を大量に抱えていたシリコンバレー銀行は、保有国債の価格下落が一因となって倒産した。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
だがそれはシリコンバレー銀行だけの話ではない。米国債を抱える世界中の銀行が同じ状況に陥っている。そしてそれは中央銀行でさえも例外ではない。ダリオ氏は金利上昇で中央銀行さえも破綻の可能性があるということを以下の記事で説明していた。

世界最大のヘッジファンド: 中央銀行でもインフレで破綻する可能性
米国債から逃避する海外勢

だが、国債の保有者が抱える含み損だけが、投資家を米国債から遠ざけている要因ではない。ダリオ氏はアメリカ国外の投資家や中央銀行が米国債を避けている政治的理由を指摘している。

一部の海外の米国債保有者は「制裁」されるのではないか、つまり米国債を彼らが使用できる別の通貨に両替できなくなるのではないかということを心配している。

何故か。ウクライナ情勢以降、米国がドルを使った経済制裁を武器として振り回し始めたからである。

制裁を受けたロシア自身がドル資産を避けるのは当たり前の話だが、問題は米国が対ロシア経済制裁に賛同しなかった中立国に制裁をちらつかせて対ロシア戦争に参加させようとしたことである。

中国やインドやブラジルやハンガリー、あるいはアフリカ諸国など、アメリカとは無関係の国々はウクライナを代理とした欧米とロシアの戦争になど関わりたくなかった。

日本人の多くはウクライナ戦争は2022年に突然始まったと思っている。だが戦争は突然始まるものではない。メディアの言うことを鵜呑みせず、そこで何かがおかしいと思わなければならない。

ウクライナの歴史を何も知らない日本人とは違い、これまでの経緯を知っている中立の国々にとっては、この問題は2014年にウクライナで欧米の支持した暴力デモ隊が当時の親露政権を追い出したことから始まっている。

ジム・ロジャーズ氏: 米国のウクライナ支援はロシアが米国直下のメキシコの反米を煽るようなもの
その後、ウクライナ政権はアメリカの補助金漬けとなった。

ロシアのウクライナ侵攻でバイデン大統領が犯した一番の間違い
だから無関係の国々は日本人のように、アメリカの補助金漬けとなって何年も反ロシアキャンペーンを行ないロシアとの無用な対立を引き起こした挙げ句、何の罪もないウクライナ国民をアメリカの都合で対ロシア用の尖兵として強制動員しているウクライナ政権が善だなどとは一切考えていない。

それはもはや欧米でも主流派となりつつある。近隣のポーランドの首相は最近「ウクライナに武器供与しない」と発言して西洋の政治界を騒がせた。ちなみにポーランドはウクライナにミサイルを落とされている。

ハンガリー、ポーランドにミサイルを落としてしらを切るウクライナを批判
スロバキアではウクライナへの軍事支援に反対する政党が支持率首位となっている。

それはウクライナの政治家の支援国に対する態度の結果でもある。何も気付かずにメディアの偏向報道を鵜呑みにしているのは日本人くらいである。

ウクライナ、ドイツ首相を「すねたレバーソーセージ」呼ばわりする
ここまで書けば、対ロシア戦争に協力しないならドル資産を凍結すると言われた時の中立国の対応は、もう言わなくとも分かるだろう。

結論

そうした事情が米国債の価格を下げ、金利を上げている。

ダリオ氏と同じように、筆者も今回の米国債下落と長期金利上昇は根が深いものだと考えている。以下の記事では株価と関連して説明している。

米国株下落の原因: 利下げ織り込みでも止まらない長期金利急騰
そして金利上昇は株価を下落させるだろう。

2024年の米国株予想: 株価は最大で50%下落する
ちなみにダリオ氏が米国株をどうしているかと言えば、 これについても既に報じているのでそちらを参考にしてもらいたい。しかしダリオ氏の言うように、長期金利が5%や6%になれば株価はどうなってしまうだろうか。

世界最大のヘッジファンド、株価下落の直前から米国株に弱気

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40328
94:777 :

2023/10/06 (Fri) 00:09:46

ガンドラック氏: 景気後退が急激に近づいたことを警告する長短金利差の急変化
2023年10月5日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40384

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が最近の金融市場の動向がアメリカ経済の景気後退の到来を示唆しているとTwitterで指摘している。

長短金利の逆転

ガンドラック氏は次のように言っている。

長短金利の逆転が急激に解消されつつある。

長短金利の逆転とは、アメリカで2年物国債の金利が10年物国債の金利よりも高くなっていることを指す。

通常、債券は期間が長いほど金利が高くなる。だから長期金利から短期金利を引いた長短金利差はプラスになっているのが普通である。

だが強すぎる利上げにより将来的に景気後退が来ると債券市場が織り込むと、政策金利に左右されやすい短期金利は高いままだが、将来の景気に左右されやすい長期の金利がそれよりも低くなる。そして長短金利差がマイナスになる。

長短金利の逆転は、歴史上ほとんど例外なく景気後退の前触れとなってきた。そして今どうなっているかと言えば、アメリカで長短金利は逆転している。ガンドラック氏は次のように述べている。

長短金利差は数ヶ月前まで-1.08%だった。今は-0.35%だ。

長短金利逆転の解消

ガンドラック氏が今指摘しているのは、長らくマイナスとなっていた長短金利差が上昇に転じていることである。長短金利差のチャートは次のようになっている。


長短金利差がマイナスになれば、その後ほぼ例外なく景気後退が起きる。だが実際には、過去の例では景気後退が起きるのは長短金利差がマイナスになり、そしてプラスに戻った後である。

例えば2008年のリーマンショックにおいては長短金利差のチャートは次のようになっている。灰色の期間が景気後退である。


以下は2001年のインターネットバブル崩壊時の長短金利差である。


両方とも長短金利差がマイナスである間は景気後退にならず、それが解消された後に景気後退になっている。

結論

ということで、長らくマイナスになっていた長短金利差がプラスに近付きつつあることは、景気後退が本当に近づいたサインなのである。ガンドラック氏は次のように述べている。

これは景気後退に気をつけ始めるシグナルどころか、景気後退に向けての直接的な警告だ。

もうすぐ雇用統計も発表される。遂に上昇トレンドに乗りつつある失業率について、ガンドラック氏は次のように述べている。

失業率があと0.2%か0.3%ほどでも上がれば、それも景気後退の警告だ。

シートベルトを締めておくことだ。

失業率のチャートは次のようになっている。


だが、長短金利差については筆者は最近、 1970年代の物価高騰時代において長短金利差がマイナスのまま景気後退に突入していることが気にかかっている。

それは当時、景気後退に突入してもなおインフレ退治のために政策金利を高く保たなければならなかった(だから連動する短期金利が長期金利に比べて高いままとなった)ことを意味している。

そうなれば、最近下落している株式市場にとっては更に悪いニュースである。

2024年の米国株予想: 株価は最大で50%下落する
株式市場の方の予想はそれほど難しくない。だが債券市場の方はガンドラック氏が言うよりも複雑なことになるかもしれない。

インフレ政策が引き起こした40年来のインフレ相場であり、中央銀行も破綻しかねない状況なのだから、より多くの可能性に備えておくべきだろう。

世界最大のヘッジファンド: 中央銀行でもインフレで破綻する可能性

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40384
95:777 :

2023/10/08 (Sun) 11:24:19

9月雇用統計は賃金減速、移民流入を消化しきれていないアメリカ経済
2023年10月7日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40447#more-40447

さて、インフレが起こって以来最重要指標とも言える最新9月のアメリカ雇用統計が発表された。順番に数字を紹介していこう。

底打ちする失業率

まず失業率は3.8%で、前月と同じだった。


緩やかにだが、底打ちして徐々に上方向に上がっていっているのが分かる。

ジェフリー・ガンドラック氏によれば、コロナ後にばら撒かれた資金が徐々に目減りしてきていることによって、経済の減速が始まっている。

ガンドラック氏: コロナ後の緩和による好景気は終わり、米国経済はデフレと景気後退へ
ばら撒かれた資金が金融引き締めによって回収され、インフレ政策によって無理矢理押し下げられた失業率が本来の水準に戻ろうとしている。失業率は、アメリカ経済の実体を今一番よく表している数字だと言える。

賃金減速

次は賃金だが、平均時給は前月比年率(以下同じ)で2.5%となり、前月の2.9%から更に減速した。


賃金はサービス業にとって直接の費用となるので、インフレを予測する上では失業率よりもこちらの方が重要である。

その賃金は減速を続けている。明らかにデフレを示唆する数字である。

さて、物価に影響するのは1人当たりの1時間の賃金である平均時給だが、労働市場に費やされた資金全体はどうなったのか。平均時給に平均労働時間と全労働者数を掛ければ、全労働者に支払われた賃金の総額がおおよそ得られる。

賃金総額の成長率は次のようになっている。


労働市場全体に支払われた金額もやや減速している。

この賃金総額は移民によって労働者の数が増えている影響で、平均時給よりは減速していない。だがそれは逆に言えば、移民によって労働者の供給が増えていることで労働の価格(つまり賃金)が減速しているとも言える。

アメリカ経済を占う上では人口は非常に重要な要素なので、移民についてもう少し述べてみたい。

移民による労働者増加

平均時給が減速する一方で、労働者数は今回特に増えた。その原因はそもそも生産年齢人口(15歳から64歳)が増えていることであり、生産年齢人口のグラフは次のようになっている。


2020年までのトランプ政権とコロナ後のロックダウンが抑えていた移民流入数がバイデン氏の政策によって激増している様子が分かる。

アメリカでは国境付近のテキサスやフロリダで移民が溢れかえり、移民に反対する国境付近の州が移民政策に賛成する与党民主党が強いニューヨークや首都ワシントンなどに移民を送りつけるなどの騒ぎになっている。

バイデン氏は移民問題で責められたことで、トランプ政権時代に予算が割り当てられた通称「トランプの壁」の建設を再開することになった。

移民の多くはアメリカに来て仕事を探すことになるので、それが労働者増加に寄与しているのである。

結論

そうして労働者が増えたことで全体の時給が下がっている。金融市場は労働者の増加を経済が強い証拠と見て株高で反応したが、もし経済が強かったならば、平均時給は減速しなかっただろう。

アメリカ経済は移民流入を消化できていない。むしろ、元々居たアメリカ人と移民との間で職の奪い合いが発生している。

労働者の増加は確かに株価にはプラスである。平均時給が抑えられれば、時給を受け取る国民にはマイナスだが支払う方の企業にはプラスである。ユニクロの柳井氏などが移民賛成派である理由がそこにある。

だが時給は減速している。そうすれば消費もいずれ減速し、回り回って企業は更に増加する労働者をすべて雇うことが難しくなる。そうして失業率が上がってゆく。経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏の予想した状況が実現しつつある。

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
今回の雇用統計は明らかにデフレ寄りである。だが移民の流入が時給を押し下げていることには政治的な意味もある。

来年の大統領選挙はこのまま行けばトランプ氏とバイデン氏になりそうだが、 雇用統計は移民流入を抑えようとしたトランプ氏的な政策が人気を得る土壌が出来上がっていることを示している。

そろそろ来年の大統領選挙がどうなるかも考えて動かなければならない時期が近づいている。タイムライン的に、選挙のある11月には景気後退が既に起こっているだろうと推測している。

2023年の米国経済がインフレ減速と経済成長の年だった分だけ、2024年はインフレ再燃と景気後退の年になる
その景気後退にどう対応するのかが大統領選挙で決まることになりそうである。

ドラッケンミラー氏、アメリカ経済のハードランディングとインフレ第2波を予想

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40447#more-40447

96:777 :

2023/10/12 (Thu) 02:04:45

ガンドラック氏: 最近の株価下落の原因と景気後退時の米国株予想
2023年10月11日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40528

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏がFox Businessnのインタビューで最近の米国株の下落の理由と今後の見通しについて語っている。

近づく決算シーズン

9月が終わり、次第に第3四半期の決算が発表される時期となる。株式市場にとっては言うまでもなく重要な期間なのだが、それについてガンドラック氏は次のように述べている。

決算シーズンを通過するにつれて、市場のムードがどうなってゆくかを観察するのは有益だ。

いつものことだが、決算シーズンになると途端に皆が「金利が高いから」「エネルギー価格が高いから」と言い始める。

高金利の問題も原油価格上昇の問題も元々あったのだが、決算シーズンに悪い決算が出てくると、いきなり人々は元々あった悪材料に注目し始める。

だが悪材料は元々あったものだ。だから決算が悪いと、株価には二重で悪材料になる。1株当たり純利益が下がること自体が悪材料である上に、株式市場がこれまで平然と無視していた悪材料(例えば金利上昇)を何故かいきなり織り込み始めるからだ。

これは2021年にインフレの脅威を何の根拠もなく無視し続けたFed(連邦準備制度)のパウエル議長に似ている。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ (2021/7/18)
だがパウエル氏も株式投資家も知能の水準は同じようなものなのである。だから見ようと思えばずっと目の前にあったはずの脅威を無視し、危険が本当に差し迫って始めて騒ぎ始める。

2018年に金利が高騰した時の株式市場もまったく同じだったことは、ここでは何度も言及している。当時も株式市場は高金利の脅威を一定期間無視していた。

世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)
だから株式市場のムードを見ておくことは重要である。そしてガンドラック氏は現在の市場について次のように述べている。

人々のムードは落ち込みつつあるように感じる。そしてそれが空高く上がっている株式のバリュエーションとぶつかる。

株式市場が揺らいでいる理由

決算シーズンがまだだというのに、株式市場のムードは悪くなっている。

それは何故か。ガンドラック氏はまず、株価が何故現在の水準まで上がったのかを説明する。

だがバリュエーションが空高く上がることができたのは、金利がゼロだったからだ。だがゼロ金利はもうない。

今や企業はローンに対して3倍か4倍の金利を支払っている。あるいは銀行危機のせいでもはやローンを受けられない企業もある。クレジットカードの金利も上がっている。

株価は以下の計算式で計算される。

株価 = 1株当たり利益 x 株価収益率
低金利によって企業利益も底上げされることに加え、低金利の時代には株価収益率が上がる。低金利時代の株高はこの式によって肯定される。

だが、何度も言っているが、低金利はもうない。ジョージ・ソロス氏が著書『ソロスは警告する』でリーマンショック前に次のように書いたのと同じ状況である。

住宅価格が下がりはじめているにもかかわらず、ゲームの終了が読み取れない参加者が、まだ大勢残っている段階だ。

当時の言葉で言えば、住宅バブルは終わっていた。今の言葉で言えば、低金利バブルはもう終わっている。だが人々はまだ踊っている。

金利上昇が経済にもたらす影響

金利は実際、どのようにして実体経済に影響を及ぼすのか。

一番分かりやすいのは利払いの増加である。そして実体経済に一番大きな影響を及ぼすのは、発行残高が一番巨額な国債だろう。

だがそれは金利を5%台まで上げたからと言って、急に実体経済に影響を与えるわけではない。コロナ前の低金利の時代に発行された低金利の債券については、今でも低い金利を支払うだけだからである。

だが、借金にはいずれ期限が来る。そして借り手は今の高い金利で借り換えることになる。ガンドラック氏は次のように説明している。

3年物国債や5年物国債のように、3年以上前に行われた借り入れは、0.5%かそれよりも低いような金利のままいまだに存在している。それが借り換えの時には5.5%になる。5%の金利上昇だ。

高金利を十分に続ければ、33兆ドルの国債に対して利払いは1.7兆ドル増える。年間1.7兆ドルだ。これは物凄い数字だ。

アメリカのGDPは27兆ドルなので、1.7兆ドルはGDPの6%である。これは利払いの増加分だ。すべての国債が今の高金利で置き換えられれば、それだけでリーマンショックの倍ほどのダメージをアメリカ経済に与える。

半分でもリーマンショックと同じ規模である。それが5%台の金利の意味である。

そして利払いが消費を侵食してゆく。ガンドラック氏はこう続けている。

金利が今の水準に保たれ続ければ、利払いなど不可避の支払いの他にはもはや資金が何も残っていない状況にいずれなるだろう。

株価下落の理由

ただ、この借り換えは徐々に行われてゆく。債券には3年物や5年物など様々な期間があり、期限が来たものから借り換えられてゆく。

ガンドラック氏は次のように補足している。

これには人々が思うよりも長い時間がかかる。だがもう金融引き締めが1年半続いており、もうすぐ2年になるが、Fedは6月や7月に見られたような株式市場の緩和転換期待には応えないという決意を何度も明確に表明している。それで株式市場はバリュエーションの見直しを迫られている。

ガンドラック氏によれば、それが最近の株価下落の理由だということだ。米国株は次のように推移している。


米国株は今後どうなるか。株価の計算式をもう一度掲載しよう。

株価 = 1株当たり利益 x 株価収益率
ガンドラック氏は次のように予想する。

景気後退になれば、現在のような株価収益率を保つことは極めて難しくなるだろうし、利益も恐らく下がるだろう。

利益と株価収益率が下がれば株価はどうなるか。もう少し具体的な計算については以下の記事で行なっているので、そちらも参考にしてもらいたい。

2024年の米国株予想 : 株価は最大で50%下落する

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40528
97:777 :

2023/10/14 (Sat) 20:35:38

チューダー・ジョーンズ氏: 今は米国株に投資をするのが非常に困難
2023年10月14日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40597

引き続き、CNBCによるポール・チューダー・ジョーンズ氏のインタビューである。今回は米国株について述べている部分を紹介する。

米国株の2つの問題

ジョーンズ氏は米国株について次のように言う。

今は米国株に投資するのが本当に難しい時期だ。本当に難しい。

何故か? まず地政学リスクだが、これはある程度我慢できる。だがすべての状況が、突発的な事態に発展する潜在性を持っている。

だが同じくらい問題なのが、政府の財政問題だ。

地政学リスクについては以下の記事で解説している。

チューダー・ジョーンズ氏: 金融市場はイスラエルリスクを過小評価している
ハマスとイスラエルの対立にイラクが参戦すれば世界大戦になりかねない。それだけでもリスクだが、ジョーンズ氏はアメリカの財政問題は米国株にとってそれと同じくらい大きなリスクだと言う。

アメリカの政府債務

アメリカの政府債務はGDPの100%を超え、しかもインフレ対策の利上げによって国債の金利が高騰しているため、利払いが急増している。ジョーンズ氏は次のように説明している。

利払い費用がかさむにつれて、負のスパイラルが発生する。

高金利が借金するための費用を増加させ、それが借金を増加させる。国債を更に発行することになり、国債の供給が増える。それが金利を更に上げることになり、そのスパイラルがアメリカをどうしようもない財政状況へと追い込む。

米国政府のGDP比の利払い費用は次のように推移している。


ジョーンズ氏は次のように続ける。

利払い費用はもうすぐ防衛費を上回ることになる。あと数年だ。

ところで、利上げは5%台で今のところ止まっているのだが、利払い費用の方は上のように増え続けている。

何故か? 金利が上がる前に発行された国債については、利払いは少ないままだからである。新しく発行された国債については、高い金利を払わなければならない。

だがアメリカ政府が赤字を垂れ流し続ける限り、発行済みの国債はいずれ満期が来て借り換えが起こる。国債には様々な期間のものがあり、期限の来たものから順に借り換えになるので、少しずつ高金利の国債に変わってゆく。

だから利上げが止まっても高金利が維持される限り利払いは増え続け、経済にはマイナスなのである。

株式市場への影響

ジョーンズ氏はこう続ける。

何とかしなければ、あなたたちの税金の恐らく20%近くが政府の利払い費用で消えることになる。

彼はこの状況がイスラエルの問題と同じくらい株式市場にとって問題だと言った。何故か? これまで株式市場を支えてきた要因の1つが、政府の財政支出だからである。世界的なインフレを引き起こした現金給付も、政府による支出である。

だが利払い費用がこのまま膨らめば、政府は支出する分の資金を利払いに取られてゆく。これまでリーマンショックでもコロナ危機でも財政支出に頼ってきたのに、その財政支出が出来なくなる。

インフレと株価

そうでなくとも、単にインフレと高金利だというだけで株式にとっては大きなマイナスなのである。

以下の記事で説明したように、1970年代の物価高騰時代には、米国株の価値は実質3分の1まで下落した。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
その理由は、デフレの時代に株価を支えていた低金利が、インフレの時代にはなくなるからである。

ガンドラック氏: 株価の長期上昇を支えてきた過去40年の低金利はもうない
金利については今も状況は同じである。だから米国株は長期的には基本的に1970年代と似たパフォーマンスになると筆者は考えている。

だが当時と今とでは違う点もある。当時のアメリカの負債は今よりも大幅に少なかった。今回の金利上昇は、莫大な規模に膨らんだ政府債務との組み合わせでアメリカ経済に襲いかかることになる。ジェフリー・ガンドラック氏は年間の利払い費用が最大でリーマンショックの2倍の規模まで膨らむ可能性があると指摘している。

ガンドラック氏: 最近の株価下落の原因と景気後退時の米国株予想
結論

ジョーンズ氏はそれを心配しているのだろう。最近になって政府の利払いの増加と、その結果としての負のスパイラルを警告する声が大きくなっている。レイ・ダリオ氏などはその結果中央銀行でも破綻する可能性があると言っている。

世界最大のヘッジファンド: 中央銀行でもインフレで破綻する可能性
とても面白い状況になってきた。政府赤字を平気で増やし、インフレをわざわざ引き起こそうとしたインフレ政策の当然の結果が米国株に襲いかかろうとしている。

インフレ政策の結果はインフレである。何故分からなかったのか。 その結果株価がどうなるかくらいは、分かってほしいものである。

2024年の米国株予想: 株価は最大で50%下落する

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40597
98:777 :

2023/10/16 (Mon) 11:18:01

チューダー・ジョーンズ氏: 大統領選挙のアメリカ経済への影響
2023年10月15日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40639

引き続き、CNBCによるポール・チューダー・ジョーンズ氏のインタビューである。今回は来年のアメリカ大統領選挙と米国株およびインフレについて語っている部分を紹介したい。

米国株と政府債務

前回の記事では、ジョーンズ氏は今米国株に投資するのは難しいと語った。その理由は、莫大な国債の発行残高に対する利払いが金利上昇によって急増しており、その支払いのためにこれまで株価を支えてきた財政支出が不可能になるからである。

チューダー・ジョーンズ氏: 今は米国株に投資をするのが非常に困難
ジョーンズ氏はこう語っていた。

このままでは、あなたたちが支払う税金の恐らく20%近くがただ国債の利払いのために消えてしまうだろう。

GDPの100%を超える政府債務に対する金利が、ほとんどゼロに近かった状態から5%まで上がろうというのだから、それがどれだけの利払い増加になるのかはすぐに想像できる。

それがジョーンズ氏が米国株に弱気な理由である。そしてだからこそ彼はこう続ける。

だから政府債務は来年の大統領選挙の主な論点になるべきだ。

大統領選挙と政府債務

しかし来年の大統領選挙と、政府債務の問題について少し考えてほしい。筆者の言いたいことが、分かった人はもう分かったのではないか。大統領選挙の結果にはどういう可能性があり、その結果政府債務はどうなるだろうか。

ジョーンズ氏は半笑いで次のように言う。

だが、問題なのは、大統領としてわれわれが選ぶ選択肢が、まさにわれわれをこの状況に追い込んだ張本人2人だということだ。

債券市場は予備選挙が近づくほどにそれを織り込んでゆくと思う。

高金利はインフレ抑制のための措置であり、ではインフレを引き起こしたのが誰かといえば、まさにバイデン大統領とトランプ前大統領である。

彼らの行った莫大な現金給付がインフレを引き起こした。2022年のウクライナ情勢が2021年から始まっていたインフレの原因であるというマスコミによる完全なデマを信じている人でも、現金給付によって急増した可処分所得のグラフをインフレ率と並べて表示すれば、誰がインフレを引き起こしたのか一目で分かるだろう。


2020年初頭の所得急増と、2020年末の比較的小幅な所得増加がトランプ政権によるもの、その真横の2021年初頭の大幅な所得増加がバイデン政権によるものである。

結論

だからジョーンズ氏はこう述べる。

アインシュタインはこう言った。問題を生み出した人物は、 それを解決する人物ではない。

だがこのまま行くと、バイデン氏とトランプ氏が両党の候補者になりそうだ。

それは金融市場にとってどういう意味を持つのか。大方の予想通り2024年に景気後退になれば、中央銀行のトップであるパウエル議長がどう対応するかについては複数の専門家が予想を出している。

サマーズ氏: パウエル議長のインフレ退治が本気かどうか疑う理由
ドラッケンミラー氏: 経済が強い時に引き締めを続けるのは簡単だが
だが投資家が考えなければならないことがもう1つある。来年の大統領選挙の結果、財政政策がどうなるかである。

そしてそれは、景気後退後のパウエル氏の対応よりもむしろ読みやすいのではないか。

ドラッケンミラー氏、アメリカ経済のハードランディングとインフレ第2波を予想
景気後退になれば様々なものが下落するだろうが、その後の財政・金融政策がどうなるかによって、その時に底値買いすべきものが決まる。楽しみに待ちたいものである。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40639
99:777 :

2023/10/17 (Tue) 23:50:16

チューダー・ジョーンズ氏: 米国債の大量発行で金利はまだまだ上がる
2023年10月17日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40679

1987年のブラックマンデーを予想したことで有名なポール・チューダー・ジョーンズ氏が、CNBCのインタビューで米国債の発行量と金利の見通しについて語っている。

長期金利の上昇

アメリカでは長期金利が上昇している。そしてそれが実体経済と米国株の両方にとって重しになっている。

ジョーンズ氏は次のように述べている。

恐らくだが、アメリカ経済は来年の第1四半期に景気後退に陥るだろう。債券市場の需要と供給の問題だけを考えても金利は上がるからだ。

債券市場、特に米国債の需給問題を気にする投資家が増えている。Bridgewaterのレイ・ダリオ氏などは、かなり前から米国債の供給量が多過ぎる一方で、買い手が見つからないと指摘していた。

世界最大のヘッジファンド、米国債からの資金流出を警告
コロナ以後、アメリカでは財政赤字が拡大したことから国債の発行量が増えており、しかもこれまで量的緩和で国債の買い手となっていたFed(連邦準備制度)は量的引き締めによって国債の保有量を減らしている。

だから銀行など民間部門の買い手が市場にあふれる米国債を引き受けることになる。

だが多くの銀行は利上げによる保有国債の価格下落で満身創痍である。いくらかの銀行は今年の前半に潰れた。

世界最大のヘッジファンド: 銀行危機は悪化しインフレは止まらずスタグフレーションになる
だから銀行もそれほど多くの国債を買い支えられるわけではない。

米国債の下落

ではどうなったか? 債券市場に国債が大量にあふれており、しかも十分に買い手がいない場合、導き出される結果は1つしかない。価格の下落である。

債券にとって価格下落は金利上昇を意味するので、長期金利は上がったのである。アメリカの長期金利は次のように推移している。


ジョーンズ氏はこう説明している。

債券市場はこう言っている。今年、民間部門は2.3兆ドルの資金を供給しなければならなかった。それは1%の金利上昇をもたらした。

2024年にアメリカの民間部門が供給しなければならない資金は2.7兆ドルになる。2.7兆ドルだ。

結論

だから、ジョーンズ氏は仮にFedがこのまま利上げを停止したとしても、金利が上がり続けると予想しているのである。

そしてそれは実体経済と株価の両方にとって重しになる。以下の記事における株価の推定は金利が変化しない前提で書いているが、金利が更に上がる場合、株式市場は筆者の推定よりも更に酷い状況になることになる。

2024年の米国株予想: 株価は最大で50%下落する
インフレ政策でインフレが起こった後のクライマックスがようやく見えてきた。読者にはポートフォリオを万全にして楽しみにしてもらいたい。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40679
100:777 :

2023/10/19 (Thu) 20:42:57

ガンドラック氏: アメリカの景気後退でドルは暴落する
2023年10月19日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40751

引き続き、Fox BusinessによるDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏のインタビューである。今回はドルについて語っている部分を紹介する。

まだ強いドル

ドルの先行きには様々な議論があるが、今のところドルは高値水準で推移していると言って良いだろう。ガンドラック氏は次のように述べている。

ドル指数は、対ユーロの影響は強いが、115から100まで下がったものの、再び上昇している。ドルはまだ弱くない。

ユーロドルのチャートを掲載してみよう。下方向がドル高ユーロ安である。


2022年にはFed(連邦準備制度)の利上げによってドル高になった。だが2022年秋頃にアメリカのインフレ減速が明らかになると、ドルは下落(ユーロドル上昇)に転じたが、最近ではまたドル高になりつつある。

ドル高の原因

ドル高の理由は何だろうか。ガンドラック氏はこう語っている。

大部分はFedが理由だ。Fedは世界でもっともタカ派の中央銀行となっている。

ドル高の原因の1つは、FedがECB(欧州中央銀行)や日銀よりもタカ派であることである。日銀は徐々に実質利上げを行なっているが、それでもFedの利上げ幅には及ばない。

日本国債の空売りを開始、植田新総裁で長期金利上昇を予想 (2023/3/2)
ECBも同様である。

だが、最近のドル安に関してはそれだけが原因ではない。何故ならば、Fedは現在利上げを停止しているにもかかわらず、アメリカの長期金利は上がっているからである。


政策金利は上がっていないのに長期金利だけが上がっている。それが最近のドル高の原因となっている。

その理由は米国債の量が多過ぎるからである。Fedが国債の買い入れを止めているにもかかわらず、アメリカ政府は大量の国債を発行しているので、買い手がおらず米国債が暴落している。

債券にとって価格下落は金利上昇を意味するので、それで10年物国債の金利である長期金利が上がっているのである。ポール・チューダー・ジョーンズ氏などは長期金利はまだまだ上がると言っている。

チューダー・ジョーンズ氏: 米国債の大量発行で金利はまだまだ上がる
ドル相場の今後の見通し

ではドルはこのまま上がってゆくのか。ガンドラック氏は次のように述べている。

だが景気後退が来ればドルは下落することになる。最安値を更新することになるだろう。

国債の買い手不足という問題はあるが、それでも景気後退になれば投資家は株式などのリスク資産を捨てて国債を買おうとするだろう。そうすれば金利が下がり、ドルは下落することになる。

ドルはこれまでかなりの無茶を通してきた。コロナ後の現金給付によってアメリカは10%近いインフレになった。インフレとはドル紙幣の価値が下がり、ドルでものが買えなくなる状況のことである。

にもかかわらず、為替相場ではドルはむしろ上がった。それはドルが基軸通貨だからである。ドルをどれだけばら撒いても、そのドルを欲しがる人が世界中にいる。イギリスが同じようなばら撒きをしようとしたが、ポンドと英国債が急落して撤回を余儀なくされた。

サマーズ氏: 景気後退で財政支出する国はイギリスの二の舞になる
ドルはいくら印刷されてばら撒かれても価値が落ちないのか? この問題はファンドマネージャーのレイ・ダリオ氏と経済学者のラリー・サマーズ氏が討論していた問題である。

ダリオ氏とサマーズ氏のドル下落に関する論争
結論を言えば、紙幣印刷によるドルの下落は起きなかったのではなく、延期されただけである。景気後退と同じである。

ドラッケンミラー氏: それでも米国経済はハードランディングする
だからタイミングが問題となる。ガンドラック氏もドルの下落を待っている。彼は景気後退を来年前半と予想しているから、ドル下落もそれくらいかその前ということだろう。

ドルの下落については2018年の世界同時株安の事例が恐らく参考になる。 またそれについても記事を書くべきだろう。

ドル円、予想通り急落 (2018/12/21)

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40751
101:777 :

2023/10/19 (Thu) 20:48:47

日本のGDPや収入は現在の2倍の価値がある
2023.10.18
https://www.thutmosev.com/archives/303633d.html

為替は循環するものなので、こういうのを比較しても本質は見えてこない


https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1078808 1人当たりGDP 日本20位 21年 0.5%減少 _ 沖縄タイムス+プラス
日本は安い国になったか?

空前の円安と日本以外でインフレが進んでいる影響で日本の物価は外国より安く日本人の時給や給料はスイスやアメリカの半額、地価や家賃もおよそ半額にまでなっています

これを悲観的に考えて日本は落ちぶれてしまった、日本はもうだめだ終わったという人が多い気がするがこの手の事は循環的なものでやがて解消します

2011年の日本は1ドル75円の超円高で苦しんでいてハイパーデフレ不況に陥って、安倍首相は金融緩和(つまり円安)を公約に華々しく復帰した

金融緩和は日銀がお金の量を増やす事なので、円が増えてドルが同じなら1ドルに対して増えた円は円安へと推移していきます

今も日銀は「まだインフレが足りない」と言って金融緩和を続けているので、続けている限り円安は続き円は安くなり続けるでしょう

でもこれには終わりがあり永遠に金融緩和を続ければハイパーインフレになり1ドルは1万円にもなり日本はジンバブエのようになります

日銀は「インフレ率2%に達したら金融緩和を辞める」と言っているので、このペースだと今年いっぱいとか来年前半にも方向転換します

日銀が金融緩和を続ける理由はデフレ脱却と経済成長で、安倍首相と黒田総裁が言っていた2%成長と2%インフレ目標がそれでした

2つの目標を達成し金融緩和を修正すると今度はドル安円高に動き始め、過去の法則からは10年から15年かけて「1ドル100円以下」になっています

こういう場合快適水温で止まる事は絶対になく、円安でも円高でも死人が大勢出るまでは絶対に為替の動きは止まりません

自分の予想では10年から15年後に1ドル75円を割り込み、もしかしたら1ドル60円台への突入もあり得ると考えます

その時日本のGDPは今の為替レートの2倍に膨らむわけで軽く10兆ドル以上、という驚くべき数字になっています


1995年は阪神大震災で幕を開け1ドル79円まで円高が進んだ「円高のターン」だった。こういう時は何をしても円高になります
https://www.youtube.com/watch?v=rTqH75f1d30


今は円安のターン
円がドルに対して2倍になると東京都NYの地価や家賃は同額程度になり、日本とアメリカの給与水準もハンバーガーの値段も同じくらいになります

まさにバブル再来というわけで日本人はまたゴッホの絵を買ったりマンハッタンの一等地を購入するのかも知れません

荒唐無稽に思えても為替相場は高くなったり安くなったりするもので、 ドル円の場合は2倍程度幅で高い安いを15年以内の周期で繰り返しています

日本はずっと経常黒字でアメリカはずっと経常赤字なので、長期的にはお金は「アメリカから日本」に移動しドルが安く円が高くなります

だが貿易などでドルを得たトヨタなどの日本企業はアメリカや中国や新興国に投資するので、日本円に交換せず日本に戻っては来ません

だが2008年世界経済危機や巨大地震で本社の経営がひっ迫すると、日本企業が一斉にドルから円に資金移動するので円高になります

もう一つの要因は日本は他の世界より常に低金利なので、日本で金を借りて外国に投資する「円キャリー」と呼ぶお金の流れがあります

円キャリーは円安ドル高の圧力ですが世界経済危機が起きると投資機関は投資を解消して借金を返済し、ドルから円に一斉に交換します

なので巨大地震や世界経済危機が発生すると円安だった為替相場は一気に円高に振れ、円の価値が短期間に2倍にもなる事が多い

次にそうなるのがいつか分かったら大金持ちですが、世界大戦か金融危機か中国の消滅か新型ウイルスかも知れません

今は円安の時代なので日本のあらゆる価値は「本来の半額」になっているが、円高時代になればあらゆる日本の価値が2倍になります

なので現在の日本人の給料がアメリカの半額でも悲観する必要はなく、そういうターンが来ていて10年ごとにターンが入れ替わると考えれば良いです
https://www.thutmosev.com/archives/303633d.html
102:777 :

2023/10/21 (Sat) 12:22:43

ガンドラック氏: この状況で米国株を買う理由は一切ない
2023年10月20日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40781

引き続き、Fox BusinessによるDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏のインタビューである。今回はリスク資産としての米国株の魅力について語っている部分を取り上げたい。

金利高騰と株価水準

コロナ後の現金給付によって引き起こされたインフレにより、アメリカでは金融緩和を撤回し金融引き締めを行わなければならなくなった。

ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由
アメリカでは利上げは今のところ停止されているが、量的緩和で買い入れた国債保有を減らす量的引き締めはまだ行われており、これまで中央銀行が買っていた米国債に買い手がいなくなったことで長期金利の高騰が起きている。

チューダー・ジョーンズ氏: 米国債の大量発行で金利はまだまだ上がる
国債の金利が上がったということは、投資家は無リスク資産とされる国債を買っていれば高い金利を得られるということである。

それは米国株にとって脅威である。株式には下落リスクがある。だが国債はデフォルトしない限り想定された金利と元本がきっちり返ってくる。

ここで投資家にとっての問題は、下落リスクを取ってまで株式を買う魅力が株式に存在するだろうかということである。

ガンドラック氏は次のように述べている。

量的引き締めと現在の金利水準を考慮すれば、株式の代わりになる資産はいくらでもある。

株価収益率が23倍のS&P 500から何が得られるだろうか? 長期リターンはどうなるだろうか?

株価収益率が23倍ということは、1株当たり利益と株価が変わらなければ、その株式が投資額と同じ金額の利益を積み重ねるまで23年かかるということである。

だが、例えば長期債の金利が5%ならば、20年で元本と同じ金利が得られる。(現在、20年物米国債の金利はまさに5%に近い。)

それはつまり、現状のファンダメンタルズでは米国株を買う意味は皆無だということになる。国債よりもリターンが悪いリスク資産を誰が買うだろうか?

企業利益の見通し

だから株式を買う理由があるとすれば、市場は1株当たり利益の上昇を見込んでいるからだと言うほかない。だが企業利益の見通しについてガンドラック氏は次のように言っている。

来年の1株当たり利益をどう予想する? コンセンサス予想は11%の上昇だ。それは自分には非常に楽観的に見える。

2024年には景気後退が控えている。2022年の時点でSoros Fund Managementのドーン・フィッツパトリック氏が予想していた通りである。

2022年のフィッツパトリック氏の経済予想が完全に当たっている
景気後退が来て企業利益が増加するという見通しはかなり無理があるだろう。景気後退が来ないか、企業利益のコンセンサス予想が間違っているかどちらかである。そして筆者の意見では、コンセンサス予想が間違っているのである。

企業利益が上がらない理由については以下の記事で詳しく説明しているので、そちらを参考にしてもらいたい。

米国株が完全に割高である理由と株価の推移予想
株式は債券に勝てるか

米国株は米国債に対してかなり分の悪い勝負をしているが、米国株の競争相手は国債だけではない。債券市場には国債よりもリスクはあるが金利も高い債券が数多く存在している。

債券の専門家であるガンドラック氏は次のように述べている。

株価収益率はいまだ20倍を超えている。より安全でボラティリティの低い資産を保有して8%や9%の金利を得る方がよほど良い。債券市場では大きなリスクを取らずにそれが出来る。大きなリスクなしで8%だ。

ガンドラック氏は住宅価格上昇で財政状況の良い家主の住宅ローンなど、金利はかなり高いがデフォルトリスクが少ないとガンドラック氏が考える債券を推奨している。景気後退になればデフォルトリスクは上がるが、その中から良い債券を選ぶのは債券投資家の本領だろう。

あるいはガンドラック氏は更にリスクの少ない債券投資を挙げる。

わたしの会社には保有債券の100%がAAA格付けの債券ファンドで平均残存期間が1年、変動金利が7.5%のものがある。それで何の問題がある?

これから当面の間、株式市場から8%以上の年率リターンを得ることは難しいだろう。7.5%の金利が得られることを知っていながら、サイコロを振って祈る理由があるだろうか。

米国株にとっての問題は、こうした選択肢が存在する中で投資家の資金を引きつけ続けることができるのかという問題である。

まあ無理だろう。これから起きることはこうである。景気後退が明らかになるにつれ、企業利益が来年大きく上昇するという株式市場の幻想が徐々に剥がれてゆく。そして景気後退になれば、企業利益だけではなく株価収益率も下がってゆく。

その結果、株価がどのような水準になるのかということについては、 以下の記事で試算している。参考にしてもらいたい。

2024年の米国株予想: 株価は最大で50%下落する

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40781
103:777 :

2023/10/26 (Thu) 04:54:01

2024年の米国株下落と景気後退: コロナ後の緩和資金が尽きるのはいつか
2023年10月25日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40997

2022年から行われてきたアメリカの金融引き締めの悪影響が様々な経済統計にようやく出始めているが、アメリカ経済が景気後退になるのはいつだろうか。

2024年の景気後退

コロナ後の現金給付による物価高騰で、アメリカは金利上昇を余儀なくされた。政策金利はゼロから5%台まで上がり、リーマンショック以降ゼロ金利に慣れきった実体経済が5%の金利に耐えられないことは明らかだった。

だからアメリカ経済には早くから景気後退の予想が出ていた。しかしその時期を的確に予想できていたのは、Soros Fund Managementのドーン・フィッツパトリック氏くらいだろう。

2022年のフィッツパトリック氏の経済予想が完全に当たっている
フィッツパトリック氏は去年の段階でアメリカの景気後退が2023年には起こらず、2024年までずれ込むことを予想していた。それは多くの専門家の予想よりも遅かった。景気後退が延期された理由は、コロナ後にばら撒かれた現金給付の資金が実体経済の中にまだ残っているからである。

アメリカでは日本よりも多額の現金給付が複数回行われた。その資金は一部は消費に回され、一部は借金返済に使われ、一部は預金に回っただろうが、使われようとも貯蓄されようとも経済の何処かには資金は残っている。

アメリカのマネーサプライ

現金給付によって資金がどれだけ増加し、今どれだけ残っているのかを考えるためには、やはり市中の現金と預金の総量であるマネーサプライのグラフを見なければならないだろう。アメリカの実質マネーサプライのグラフは次のようになっている。


マネーサプライのグラフはここではお馴染みだが、最新の9月の数字が出たので、それを共有しておきたかったのである。

マネーサプライは現金給付で急増し、その後インフレ対策の金融引き締めで下落に転じているが、グラフをよく見るとマネーサプライは最近半年ほどやや停滞した後、ここ1、2ヶ月で下落トレンドを再開していることが分かる。

何が起こったかと言えば、恐らくは今年3月に始まった銀行危機で、預金者救済のために中央銀行が資金供給を行なったことが原因ではないか。ジェフリー・ガンドラック氏はこれをインフレ政策と呼び、短期的にはリスク資産にプラスとしていた。

ガンドラック氏、シリコンバレー銀行破綻でインフレ悪化予想 (2023/3/18)
それは恐らく正しかっただろう。この資金注入は金利を押し下げ、株価の一時的な上昇をもたらした。

恐らくはそれがマネーサプライにも出ているのではないか。だが銀行危機は忘れ去られ、マネーサプライも下落が再開している。

緩和資金がなくなるのはいつか

現金給付で急増したマネーサプライがコロナ前の水準まで戻った時が、緩和資金が経済から完全に消え去る時である。

もう一度マネーサプライのグラフを掲載してみよう。


下落再開後のマネーサプライは1ヶ月でおよそ500億ドルのペースで減少している。現在のマネーサプライはおよそ6兆8,000億ドルであり、コロナ前の水準はおよそ6兆ドルなので、マネーサプライがコロナ前の水準まで下落するにはおよそ1年4ヶ月かかることになる。

結論

はっきり言ってこの数字は銀行危機後の預金者救済で延長された数字であると言える。それが原因でマネーサプライは半年近く足踏みしていたので、その分下落は止まり、結果としてアメリカの景気後退も先延ばしにされた。

銀行危機のようなプチクラッシュが再び起きてマネーサプライの減少がまた延期されるような可能性も考えられるが、仮に現在のペースで行くとマネーサプライがコロナ前の水準まで下がるのは2025年の初めということになる。

勿論、マネーサプライがそこまで吸い取られている頃には景気後退はほぼ確実であり、実際にはそれより前に景気後退となる確率が高い。

だが、マネーサプライの推移を考えると、景気後退はもしかしたら2024年第3四半期かもしれない。勿論第2四半期かもしれないが、第3四半期である場合、それが発表されるのは第4四半期となるため、景気後退が確定するのはかなり先ということになる。

株価の下落はもちろん景気後退よりも先である。

2024年の米国株予想: 株価は最大で50%下落する
だが、景気後退がいつかをタイムフレームに入れた上で、株価下落のタイミングを考える必要があるかもしれない。米国株は次のように推移している。


長期的見通しはいずれにしても変わらないのだが、 投資家は景気後退の延期から利益を得られるようなトレードをすべきだろう。それについてもまた記事を書きたいと思っている。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40997
104:777 :

2023/10/27 (Fri) 21:19:30

レイ・ダリオ氏: 金利を上げた米国でも低金利を続ける日本でも債務危機は生じる
2023年10月27日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/41082

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が、サウジアラビアで行われたFuture Investment Initiativeで高金利と世界経済について語っている。

買い手のいない米国債

アメリカで米国債の買い手不足が問題となっている。

アメリカではコロナ後に債務が膨らみ、しかも金利が上がったことで国債に対する利払いも増えたので、アメリカ政府は資金調達のため大量の国債を発行している。

だが買い手が見当たらない。これまで国債を買い支えていたFed(連邦準備制度)は量的引き締めで国債の保有量を減らしている。銀行も国債の価格下落で苦しんでいる状態で、国債を買い支える余裕がない。

ダリオ氏は次のように述べている。

債務が大きくなるとき、債券を売らなければならないが、誰が買ってくれるのかを理解しておかなければならない。買い手が十分に集まらないとき、買い手は思った値段で買ってくれず債券を投げ売りしなければならなくなる。

債券にとって価格下落は金利上昇を意味するので、それで長期金利が急騰している。それが米国株の下落の原因となっている。

世界最大のヘッジファンド: 株安の原因となっている長期金利上昇には大幅な上昇余地がある
巨額の債務がついに金利上昇という形で問題となっている。政府債務の増加は問題ないと言っていた馬鹿は誰だったか。

ユーロ圏の債務問題

だがそれはアメリカに限った問題ではない。ダリオ氏はヨーロッパについてもコメントする。

ヨーロッパで起きていることを例に取ってみよう。

利上げをしなければならないとき、イタリアの債務の利払いには何が起こるだろうか?

ユーロ圏でもインフレと利上げが起こっているが、ユーロ圏はそれに加えて独自の問題を抱えている。

共通通貨ユーロを持つユーロ圏では、各国が独自の金融政策を取ることができない。政策金利はECB(欧州中央銀行)によって一律で決められる。

しかしユーロ圏の国々のインフレ率はまったく異なっている。例えばオーストリアではインフレ率は7.4%と高いが、オランダでは0.2%とほとんどデフレに落ちかかっている。

この状況で、オーストリアにもオランダにも適切な政策金利など存在しない。低インフレ国に金利を合わせれば高インフレ国には低すぎ、高インフレ国に金利を合わせれば低インフレ国には高過ぎる。

この状況は無茶苦茶である。ユーロ圏はインフレとその後の景気後退でほとんど空中分解するだろう。

ここまでは筆者がこれまで指摘してきたユーロ圏の問題だが、ダリオ氏はイタリアの利払いに言及している。利上げの影響が各国の債務残高によって違うことに言及したいのだと思う。

例えば、政府債務がGDPの50%の国で金利が1%上がれば、年間の利払いは50%の1%なのでGDPの0.5%分だけ金利の支払いが増えることになるが、政府債務がGDPの100%の国で金利が1%上がれば利払いの増加はGDPの1%分である。

具体的に言えば、ドイツの政府債務はGDPの67%だが、イタリアの政府債務は145%である。ちなみにギリシャは177%である。債務残高の多い国ほど利払いの増加に苦しむことになる。

ユーロ加盟国の経済格差はインフレと利上げによってますます深刻化するだろう。このトレンドに賭けるため、筆者は超長期でユーロスイスフランを空売りしている。これは筆者のポジションの中でもっとも長期のものである。


日本の債務問題

一方で、インフレに対して金利をほとんど上げていない国がある。日本である。

ダリオ氏は次のように述べている。

日本の金融政策はどうなっているだろうか。完全に異なる金融政策だ。しかしそれもトレードオフだ。

人々が長年望んできたインフレは起きた。不思議な話だが、それで人々は慌てている。インフレに良いも悪いも存在しない。インフレと経済成長は無関係である。金本位制でゼロインフレでも産業革命は起こったではないか。当たり前の話なのだが誰も気付かない。

ハイエク: コストプッシュ型インフレは政府の責任回避の言い訳に過ぎない
だがどちらにしてもインフレは起きた。アメリカのように利上げで対応する国もあれば、日本のような国もある。自由にすれば良い。ダリオ氏によれば、どちらもトレードオフなのだから。

何故トレードオフなのか。利上げを行なった国では金利高騰と景気後退が起きる。行わなかった国では通貨が暴落する。

ダリオ氏は国債保有者の観点から次のように述べている。

それは国債自体の価格下落で国債の価値がなくなるのか、通貨の下落によって国債の価値がなくなるのかの問題だ。だが、どちらにしても価値は下がらなければならない。

海外の投資家の観点から考えてもらいたい。アメリカのように利上げで国債の価格が下落しても、日本のように国債の価格下落を抑える代わりに日本円の価値が暴落しても、日本国債を保有する海外の投資家にとっては同じことである。

結論

ほとんどの日本人は円建てでしかものを考えることが出来ないので、日本円で価値が下落していなければ価値が下落していないと思いこむ。

だが現実は迫ってくる。IMFの見通しでは日本のGDPは円安で減価したことによってドイツに抜かれ世界4位になるという。個人的には更なる凋落は近いと考えている。

もっと身近な話で言えば、インフレで日本人がものを買えなくなる中、円安で日本は安い国だと感じる外国人旅行客が自由に日本のものを買い漁っている。日本人が東南アジアの国々を安い国だと思っていたのと同じである。日本はそういう国になりつつある。

一方で日本人は日本円を持っていても海外からものを買うことができない。自国民に厳しく、外国人に優しいのが円安政策である。通貨安政策は完全な自殺行為だということを以下の記事で分かりやすく説明したにもかかわらず、日本人の大半は未だに理解していない。

日銀がYCC変更で長期金利の上昇を許容、日本も金利上昇による景気後退へ
アメリカのように利上げで国債が暴落しようが、日本のように低金利で通貨が暴落しようが、同じことである。

元々の元凶であるインフレ政策を行なってしまった時点で、対価を支払うことは決まっている。自分の選択の結果なのだから、好きな方の結果を受け入れれば良いだろう。

世界最大のヘッジファンド: 無節操に支出し続けるメンタリティのお陰でスタグフレーションへ
ポールソン氏: 成功は紙幣印刷ではなく教育と勤勉さから生まれる

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/41082
105:777 :

2023/10/30 (Mon) 00:41:50

レイ・ダリオ氏、来年の世界経済に悲観的
2023年10月29日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/41176

引き続き、Bridgewater創業者のレイ・ダリオ氏のFuture Investment Initiativeにおけるインタビューである。今回はダリオ氏が来年の世界経済について語っている部分を紹介する。

来年の世界経済の見通し

来年の世界経済はどうなるだろうか。株式市場の意見を聞いてみるならば、米国株は最近下落しているとはいえまだまだ高い水準で推移している。


楽観のなかに不安が生じ始めているといったところだろうか。

だがダリオ氏は異なる意見を持っているようだ。ダリオ氏は来年の世界経済について楽観的か悲観的かと聞かれ、次のように答えた。

悲観的だ。

ダリオ氏は理由について以下のように説明している。

現在の環境には政治の問題があり、金融政策の問題があり、紛争の問題がある。

政治の問題は、アメリカで言えば来年には大統領選挙が控えている。そしてポール・チューダー・ジョーンズ氏は以下の記事で、民主党と共和党、どちらが勝ってもアメリカ経済は詰んでいると分析していた。

チューダー・ジョーンズ氏: 大統領選挙のアメリカ経済への影響
そして一番重要なのは金融政策の問題である。ジェフリー・ガンドラック氏は、2021年にアメリカのインフレ率が既に高騰していた中でFed(連邦準備制度)が緩和をやり過ぎたように、現在では実体経済は既に沈んでいるのに引き締めをやり過ぎていると主張している。

ガンドラック氏: コロナ後の緩和による好景気は終わり、米国経済はデフレと景気後退へ
ただでさえ金利は高過ぎるが、更なる問題は大量に発行されている米国債に買い手がいないことである。

チューダー・ジョーンズ氏: 米国債の大量発行で金利はまだまだ上がる
Fed自体はしばらく利上げをしていないのだが、アメリカの長期金利は国債の買い手不足で急上昇している。


国債の金利が上がれば投資家はリスクのある株式よりも安全な国債を選ぼうとするので、金利上昇は株安の原因となる。最近の株価下落はそれが原因である。

金利は常に金融市場にとって最重要事項である。だから高い長期金利はそれだけで来年の経済に悲観的になる十分な理由になる。

だがそれに加えてハマス・イスラエル戦争がどのように転ぶか分からない。

レイ・ダリオ氏: ハマスとイスラエルの戦争が他の国を巻き込まない可能性は低い
もしこの戦争がイランを巻き込めば、この戦争は実質的にアメリカ(イスラエル)とイラン(ハマス)の代理戦争に発展する。ウクライナも考えれば、アメリカは間接的にロシアとイランの両方を相手にすることになる。

ただ、それでもアメリカ本土が戦場とならない限り、戦争が株価に直接及ぼす影響は限定的だろう。だが原油価格が上がる可能性はある。

そしてタイミングが最悪である。高金利で既にアメリカ経済が景気後退に向かっており、来年には利下げで対応しなければならない可能性が高いのに、その状況で原油価格が上昇しインフレになれば、インフレ対策で金利が下げられなくなる。そうなればアメリカ経済はインフレと景気後退が同時に来るスタグフレーションに陥るだろう。

サマーズ氏、米国のスタグフレーションの可能性を示唆
ガンドラック氏も米国のスタグフレーションを予想
結論

ダリオ氏は、将来に向けて楽観的な要素も挙げ、次のように述べている。だがそれも2024年の世界経済を救うには十分ではないという。

一方で、ここで議論されたような素晴らしい技術革新もある。それにはリスクもあるが、素晴らしいものを作り出す潜在力がある。

だがこれからの時系列を考えれば、これからの金融政策などが世界経済により大きな影響を及ぼすだろう。

来年について楽観的になるのは難しい。

ダリオ氏のポジションが実際にどうなっているのかと言えば、筆者の知っている最新の情報では、ダリオ氏は最近の株価下落の前に株式に対して弱気だったという。

世界最大のヘッジファンド、株価下落の直前から米国株に弱気 (2023/8/23)

ダリオ氏の株価への見通し自体は、以下の記事で取り上げている。

世界最大のヘッジファンド: 米国株と米国債は両方とも更に大幅下落する
来月半ばには機関投資家のポジションを開示するForm 13Fも発表される。ダリオ氏のポートフォリオがどうなっているだろうか。そちらも報じるつもりなので、楽しみにしていてもらいたい。

レイ・ダリオ氏: 世界経済のドミノ倒しはもう始まっている、最初に飛ぶのはジャンク債

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/41176
106:777 :

2023/11/04 (Sat) 06:46:07

ドラッケンミラー氏: 米国株は金利上昇の圧力で崩壊する
2023年11月3日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/41312

ジョージ・ソロス氏のSoros Fund Managementを長年運用していたことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏がRobin Hood財団主催のインタビューで米国株の見通しについて語っている。

インフレと金利高騰

ドラッケンミラー氏は2021年から物価高騰を警告し、その後の金利高騰による株式市場と実体経済への悪影響を予想し続けてきた著名投資家の1人である。

そしてアメリカの長期金利は、Fedがもう数ヶ月も利上げを停止しているにもかかわらず、構わず上昇してきた。


それが米国株の重しとなっている。米国株は次のように推移している。


何故株価が下落しているのか? 長期金利が上昇すれば、投資家はリスクを取って株式を保有しなくとも単に長期国債を保有すれば十分な金利が得られるからである。

ドラッケンミラー氏の個別株戦略

さて、ドラッケンミラー氏はこの状況で米国株をどう見ているか。

バイデン政権の行なっている景気刺激は的が非常に絞られている。ほとんどはグリーンエネルギー向けだ。

それが株式市場で投資機会を生むかもしれない。

いわゆる「国策に売りなし」である。政府が国民から徴収した税金を特定の企業にばら撒くとき、その企業の株価は上がる。

ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
また、ドラッケンミラー氏は以前から推してきたAI銘柄にも焦点を当てている。彼は次のように述べている。

AI業界では大きなことが起こっている。そこに投資機会があるかもしれない。

ドラッケンミラー氏は以前よりNVIDIAやMicrosoftなどのAI関連銘柄を推している。

ドラッケンミラー氏、AI関連の米国株を怒涛の買い増し
ドラッケンミラー氏はアメリカ経済の景気後退入りを予想しているが、それでも優れた銘柄はそれほど影響を受けないのではないかと踏んでいる。

NVIDIAについては以下の記事でも取り上げている。

米国の景気後退の遅れから利益を得るトレードを紹介する NVIDIA株を例に
ドラッケンミラー氏の米国株見通し

ここまでがドラッケンミラー氏の個別株に対する見方である。では米国株全体に関してはどうか。

ドラッケンミラー氏は米国株について次のように言っている。

可能性は低いかもしれないが、世界大戦が起こる危険もあり、株価収益率が20倍から30倍もの米国株に喜んで投資をするような状況ではない。

ここから半年はどうなるだろうか? 少なくとも最近の下落で高いバリュエーションのいくらかは吐き出された。

米国株の現在の問題は金利上昇である。金利が高ければ株式市場から金利の高い国債に資金が流出する。

そして金利が上がっている原因は、大量に発行された米国債に十分な買い手がいないことである。

チューダー・ジョーンズ氏: 米国債の大量発行で金利はまだまだ上がる
そして一部の企業が恩恵を受ける景気刺激はこの問題を悪化させる。何故ならば、借金だらけの米国政府が景気刺激をするには、買い手のいない米国債を更に発行して投資家に買ってもらわなければならないからである。

そうすれば金利は更に上がることになる。ドラッケンミラー氏は次のように言っている。

だがまさにその景気刺激が金利の上昇圧力を与え、株式市場における他のすべてのものを崩壊させる。

金利と株価の問題は非常に単純である。国債の金利が5%前後で推移している時に、誰が下落のリスクを負って株式を買うだろうか?

多くの著名投資家が同じように考えている。

ガンドラック氏: この状況で米国株を買う理由は一切ない
チューダー・ジョーンズ氏: 今は米国株に投資をするのが非常に困難
ちなみにチューダー・ジョーンズ氏はこのインタビューで司会をやっており、ドラッケンミラー氏の聞き手に回っている。何とも贅沢なジョーンズ氏の使い方である。

筆者の意見は以下の記事を参考にしてもらいたい。金利と株価の関係について論理的な反論があれば聞いてみたいものである。

2024年の米国株予想: 株価は最大で50%下落する

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/41312
107:777 :

2023/11/05 (Sun) 07:32:10

米国の10月雇用統計、来年の景気後退に向け経済急降下
2023年11月4日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/41335

さて、インフレの見通しを示し、来年のアメリカの景気後退へのカウントダウンとなるべき最新10月分の米国雇用統計が発表された。結論から言えば、筆者が予想する来年の景気後退に向けてまっしぐらの数字だったと言える。

遂に上昇始めた失業率

まず失業率だが、10月の失業率は3.9%となり、前月の3.8%から上昇した。グラフを見れば失業率がついに離陸しつつあることが分かる。


最近のこの上昇トレンドが長期的なものであることは、アメリカ経済の状態を見れば分かる。アメリカは物価高騰を利上げで抑え込んだが、インフレ率が下落した一方で実体経済へのダメージはまだ軽微である。

しかし20世紀の大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏が指摘したように、インフレを利上げで抑え込んだ後の失業増加は避けられない。

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
だからその大量失業がそろそろ来始めているのである。そしてそれは平均時給の数字にも表れている。

失速する平均時給

10月の平均時給の上昇率は前月比年率(以下同じ)で2.5%となり、前月の4.0%から失速した。


遂に失業率は上がり、平均時給は失速してゆく。多くの著名投資家が来年の景気後退を予想している。

ガンドラック氏: アメリカの景気後退でドルは暴落する
レイ・ダリオ氏: 世界経済のドミノ倒しはもう始まっている、最初に飛ぶのはジャンク債
同じく失速する労働市場

さて、この平均時給に週当たりの平均労働時間と全労働者数を掛けることで、労働者全員に支払われた金額の総額をおおむね知ることができる。

時給はいわば単価なので、人件費が主なコストとなるサービス業の物価などの先行きを知るには有用だが、アメリカ経済全体を見るには労働市場で支払われた総額を考えるべきだろう。

そしてその賃金総額の10月の上昇率は0.1%となり、前月の6.4%から大きく減速した。


ほとんどゼロ成長である。つまり、アメリカの労働市場は拡大をほとんど止めている。

結論

今回のアメリカ雇用統計は筆者が色々解説するまでもなく悪く、来年の景気後退に向けての着実な一歩となっている。

何故アメリカ経済は減速しているのか? 原因は金利上昇だが、金利上昇がアメリカ経済から資金を徐々に吸い上げている様子を見たい人は以下の記事を参考にすると良いだろう。

2024年の米国株下落と景気後退: コロナ後の緩和資金が尽きるのはいつか
この状況で米国の株式市場は来年の企業利益増加を前提に推移している。 それは無理筋だろう。その幻想が壊れるときが米国株の終わりである。

2024年の米国株予想: 株価は最大で50%下落する

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/41335
108:777 :

2023/11/07 (Tue) 16:19:37

オニールとエリオットが教えるナスダック100 空売りの好機/実践!エリオット波動 有川和幸さん
https://www.youtube.com/watch?v=GhJaBk7144c

<チャプター>
00:00 オニールとエリオットが教えるナスダック100 空売りの好機
00:20 ナスダック100と日経平均は似た動きをする
01:07 リーマンショック後安値以降のナスダック100 (1)(週足)
01:52 リーマンショック後安値以降のナスダック100 (2)(週足)
02:35 リーマンショック後安値以降のナスダック100 (3)(週足)
04:00 (B)以降のカウント詳細(2時間足)
05:26 7月19日からのダイアゴナル完成か?(日足)
12:36 免責事項
109:777 :

2023/11/08 (Wed) 02:17:42

ドラッケンミラー氏: 米国株が長期的には常に上昇するという信仰は間違い
2023年11月7日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmaあcroresearch.org/jp/archives/41359

引き続き、ジョージ・ソロス氏のSoros Fund Managementを長年運用していたことで知られるスタンレー・ドラッケンミラー氏の、Robin Hoodにおけるインタビューである。

今回は株式市場の長期的な見通しについて語っている部分を紹介したい。

ドラッケンミラー氏の相場観

ドラッケンミラー氏はアメリカ経済はこれから景気後退入りすると予想している。株価は景気後退の半年ほど前に下落するので、そのタイミング予想は株価の下落タイミングの予想とも関連している。

ドラッケンミラー氏が予想するアメリカ景気後退のタイミング
ドラッケンミラー氏: 米国株は金利上昇の圧力で崩壊する
タイミングについては専門家の間でも割れている。だがより長期的な株価の見通しについては、専門家の予想に誤差が少なくなる。

ではドラッケンミラー氏は米国株が長期的にどうなると考えているのか。彼は次のように述べている。

より重要なのは長期的な展望で、アメリカでは株価は長期的には常に上昇するという信仰がある。

信仰(原文:belief)という言葉を使っている。それはその考えに根拠がないということを暗に言っているのである。

米国株の長期的な株価上昇

実際、その考えには根拠がない。米国株を買って寝ていれば長期的には儲かるという考えの人々の根拠は精々、ここ数十年米国株は長期的に上昇してきたという程度のものだ。だがその程度の考えで投資で儲かるならばファンドマネジャーは苦労しない。

本職のヘッジファンドマネージャーが投資で利益を出すために多くの優秀なアナリストを大金で雇い、毎日出社して経済を分析しなければ利益を出せないと考えているのに、素人は米国株の長期チャートを一度眺めただけで株式市場で儲けられると信じている。その時点で何かがおかしいことが分かりそうなものだが、多くの人がそれに気づけない。

何がおかしいのか。1980年からほぼ40年間米国株が長期的には上昇してきた理由は、1980年からコロナ後のインフレのあった2021年まで、長期的には一貫して金利が下がり続けてきたからである。

アメリカの政策金利は次のようになっている。


金利が高い間は投資家は株式ではなく国債などを買って金利収入を得ることを好む。逆に金利が下がると国債の魅力が下がるので、リスクを取ってでも株式に賭けようとする人が増え、金利が下がるたびに株式市場に資金が流れるのである。

利下げと量的緩和で40年間金利を下げ続けて、金利が下がるたびに株式市場を持ち上げてきた。だがもう金利はこれ以上下がらなくなり、コロナ後の現金給付によってインフレが起きた。

ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由
そして今ではインフレを抑制するために金利を上げなければならなくなっている。それが今の株式市場の問題である。

インフレの時代における株価の推移

ドラッケンミラー氏は次のように言っている。

量的緩和によるバブルの期間が10年続いたのだから、ファンダメンタル的にも株価水準的にもその分の調整が来なければならない。

何度も言うように、40年間株価が上がってきたのは、40年間金利を下げ続けてその度に株価を押し上げてきたからである。

ドラッケンミラー氏はこう続ける。

量的緩和が起こる前の世界では、株価収益率は15倍だった。今では20倍だ。

株価の計算式を持ち出そう。株価は次の式によって計算できる。

株価 = 1株当たり利益 x 株価収益率
ドラッケンミラー氏は、量的緩和が1株当たり利益と株価収益率の両方を押し上げたことを指摘しているのである。

量的緩和で金利が下がったことで、実体経済では多くの人がお金を借りてものを買った。それと同時に、上述したように金利低下で株式の魅力は増す。それは株価収益率が上がるという意味である。

だが40年続いた金利低下によるこれらの押し上げ効果はもうなくなった。それどころか金利はインフレで上がっている。

それでも米国株は企業利益が増え続けることを前提に推移している。だがそのアナリスト予想に対してドラッケンミラー氏は次のように言う。

それは1株当たり利益に関するわれわれの今年の見通しとは一致しているが、来年も増益になるとは思えない。良くて横ばいだ。

金利上昇がようやく失業率上昇に表れてきたように、企業利益にも表れざるを得ない。高金利がついにアメリカ経済に忍び寄っている。

米国の10月雇用統計、来年の景気後退に向け経済急降下
だがドラッケンミラー氏が言いたいのは今から次の景気後退までの中期的な話ではない。過去40年がデフレの時代であったならば、これからはインフレの期間となる。

デフレと金融緩和の期間においては株式は長期的に上昇する。それは事実である。だが、インフレと高金利の時代には逆のことが起きる。

実際にインフレの時代に株価はどうなったか? 1970年代の物価高騰時代の米国株のパフォーマンスについては以下の記事で説明している。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
1970年代の前後15年ほどの間、米国株は長期的には横ばいだった。その中にはインフレと高金利で株価が半値にまで暴落した1974年の出来事も含まれているのだが、ともかく期間の最初と最後の株価を見れば、米国株はほぼ横ばいだった。

そして今もインフレの時代となった。ドラッケンミラー氏は当時の再現を予想している。だから彼は次のように言う。

数年前に、米国株は10年後にも同じ水準で推移しているかもしれないと話したが、今でもそれを信じている。当時S&P 500は4,500ドル付近で、今も大体同じ水準だ。

インフレ時代における米国株

長期的に横ばいになり、かつその間に半値にまで暴落することもある資産を保有する意味があるのかどうかは定かではない。

だが株式投資家の悲劇はそれだけではない。この「横ばい」とは、インフレによって価値が大幅に下落したドルで考えて「横ばい」なのである。

だから実質的には米国株の価値はインフレ分下落している。そしてインフレ分の下落がどれくらいかと言えば、過去のインフレ時代におけるドルの価値を消費者物価指数をもとに計算すれば、次のようになる。


これがインフレ時代における米国株の実質的なパフォーマンスである。ほぼ3分の1になっている。その間、預金をしていた人はインフレでドルの価値は目減りしたものの、高金利によって大きな金利収入を得ている。

インフレ相場での最良の投資方法は株の空売りを除けば株式投資ではなく預金
結論

ということで、米国株の数十年分の株価チャートを眺めるだけで米国株の長期見通しを予想でき、株式市場で利益を得られるなどという有り得ない考え方は今すぐ捨てるべきである。

多くの人は金融庁の妄言を信じたのだろうが、 金融庁の職員の多くは新卒入社でずっと金融庁で働いており、しかも彼らは規定で一部を除く株取引を禁止されているので、資産運用を仕事にしたことがないどころか、個人で投資した経験ももしかしたらあなたより少ないかもしれないド素人である。

「株式の長期投資はほぼ儲かる」という幻想は金融庁の「基礎から学べる金融ガイド」から来た
いつも言っているが、他人の意見を鵜呑みにする人はその考え方の価値に応じた報酬を受け取ることになる。金融市場では常に自分に相応しい報酬が返ってくる。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/41359
110:777 :

2023/12/14 (Thu) 11:48:56

ペトロダラーの仕組み
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16829944



ペトロダラーシステム
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/822.html

ドルが基軸通貨ではなくなる
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14087403

人民元決済が拡大!中国が目論む米ドル基軸体制打破
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14111332

米ドル凋落の始まりか。ユーロが首位 10月の国際決済通貨シェア 2020年12月7日
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1213.html

ドルが下落したらアメリカは終わり
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1074.html

40年続いた米国株強気相場が崩壊する、米国株は30年上がらない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14007513

ついに始まる世界金融恐慌
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14009793



世界最大のヘッジファンド: オランダ海洋帝国が繁栄した理由 2020年5月22日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10891

世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨 2020年5月23日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10903

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の繁栄と衰退 2020年5月25日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10922

世界最大のヘッジファンド : 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10953

世界最大のヘッジファンド: 豊かな国ほど借金まみれになる理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36175#more-36175

南海泡沫事件: バブル経済の語源となった近世イギリスの株式バブルを振り返る
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/3199
111:777 :

2023/12/21 (Thu) 18:42:10

円高は、いつまで続き、 いくらになるのか?エリオット波動原理の視点/実践!エリオット波動 有川和幸さん
https://www.youtube.com/watch?v=B410mp3CBsM

<チャプター>
00:00 2011年ボトムからのジグザグが完成したか?
01:30 エリオット波動ではジグザグ完成後の動きは確定できない
02:59 8月15日の動画ではダイアゴナル進行中と説明
03:52 ダイアゴナル完成後に起きる急反転の動きを警告
04:29 12月5日の動画ではダイアゴナル完成の可能性ありと説明
05:20 コロナ安値以降、ドル円は日米の金利差に相関
09:19 日本の長期金利はコロナ安値以降、上昇中
10:30 日本の長期金利(コロナ安値以降、日足)
11:04 米国の長期金利はコロナ安値からインパルスが進行中か
12:20 それともジグザグが完成か?
13:58 下向きのジグザグ複合形か?
14:58 ダブルジグザグでの進行想定例
15:45 下向きのインパルスか?
https://www.youtube.com/watch?v=B410mp3CBsM
112:777 :

2023/12/22 (Fri) 21:48:07

レイ・ダリオ氏、投資にグローバルマクロ戦略が必要な理由を語る
2023年12月22日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/42723

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がFinimizeのインタビューで、普通の株式投資家からグローバルマクロ戦略のヘッジファンドマネージャーとなった理由と経緯について語っている。

グローバルマクロ戦略

ダリオ氏は世界中の株式、債券、為替、コモディティなどあらゆる銘柄に投資し、レバレッジをかけ買いも空売りもやるというグローバルマクロ戦略のファンドマネージャーとして現役もっとも有名な人物である。

このグローバルマクロ戦略はジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドが始めたものである。ソロス氏は自著『ソロスの錬金術』でその戦略について丁寧に説明している。

だがダリオ氏は最初からグローバルマクロの投資家だったわけではない。あらゆる資産クラスに関する知識が求められるグローバルマクロ戦略を最初から出来る人などいない。

だから誰でも何らかの資産クラスから始めなければならない。ダリオ氏が最初に投資したのは株式だったそうだ。彼は最初の投資経験について次のように述べている。

12歳の時だった。

ゴルフのキャディーをして、バッグ1つにつき6ドルを得た。バッグを2つ持って12ドルで、50ドル貯まる度に株式市場に投資した。

最初に買った株は当時わたしが知っていた唯一の銘柄で、株価は5ドルより低かった。たくさん買って値上がりすれば大儲けできると思った。

勿論それは馬鹿げた戦略なのだが、当時のわたしはそれを理解していなかった。

誰でも何も知らないところから始める。12歳のダリオ氏はその後大学に行き、そしてウォール街で働き始めた。最初のキャリアではコモディティを担当していたらしい。その辺りのことは以下の記事で報じている。

レイ・ダリオ氏、上司を殴って会社を辞めた時のことを語る



株式の買い持ちだけでは勝てない時

様々な資産クラスを見るなかで、ダリオ氏は株式市場を予想するためにも他の市場の知識が必要だということに気付くようになる。

多くの個人投資家は単に株式を買い持ちにするだけだろうが、例えばそれは株式全体が長期的に下がる相場では長期的に損失を出すトレードとなってしまう。

例えばダリオ氏は次のように言っている。

1966年から1984年まで米国株の実質リターンはマイナスだった。

1966年(の下げ相場)が1970年の景気後退を引き起こし、それによってアメリカ政府がドル紙幣とゴールドの交換の約束を反故にしなければならなくなった。通貨の減価だ。

それが1970年代の経済状況の原因となった。資産価格は下がり、1973年から1974年の下落相場やオイルショックなどが起こった。

これは1966年から始まり、1970年から1980年にかけてピークを迎えたアメリカのインフレ相場のことである。詳しくは以下の記事で説明しているが、物価の高騰と厳しい利上げによって米国株は実質的にほとんど3分の1の価値になった。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
株価を動かすマクロ要因

当たり前だが物価高騰には原油価格の上昇など様々な要因が絡んでいた。株式会社の業績だけではなく、コモディティなど様々な市場や為替要因、インフレ率やGDPなどマクロ経済の状況を考えなければ当時のインフレ相場を生き抜くことは出来なかった。

ソロス氏とともにクォンタム・ファンドを創業したジム・ロジャーズ氏は、著名投資家のインタビュー集『マーケットの魔術師』のなかで次のように言っている。

インドネシアのパーム油がどうなっているかを知らずに アメリカの製鉄株にどうやって投資できるだろうか?

ダリオ氏はこう続けている。

そのときわたしは株価にとってマクロが非常に大きな意味を持つことに気づいた。マクロ要因を理解することが必要だった。

それで株をいつでも買い持ちにするのではなく、空売りもする必要があると学んだ。それがマクロの投資家になった理由だ。マクロの要因がすべてを動かすからだ。

個人投資家には空売りを危険だと思う人が多いかもしれない。だがグローバルマクロの投資家から言わせれば、空売りをしない方が危険である。下げ相場でも勝てる投資家にとっては、買いオンリーという下げ相場でほぼ確実に負ける戦略を取ることは考えられない。長期の下落相場を買い持ちにすることはほとんど死を意味する。

ダリオ氏が言っているのはそういうことである。そして今の投資家にとっての問題は、1970年代の米国株の推移が実証したように、インフレ相場での株式のパフォーマンスは非常に悪いということである。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/27644

NISA界隈の人々が株式はインフレに強いと言っているのを目にするが事実に反する完全な出鱈目である。1970年代の相場も勉強したことがないのだろう。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/28426

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/42723
113:777 :

2023/12/23 (Sat) 22:38:30

米国株相場予想、株価が長期的に上がり続けることは有り得ない
2023年12月23日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/42784

米国株は最近調子が良い。株価はFed(連邦準備制度)の利下げを織り込みながら再上昇している。しかしこういう時だからこそ、米国株の長期的見通しについて再確認しておくことが必要だろう。

米国株の長期展望

アメリカの主要株価指数S&P 500は、高金利による株安から反発し、史上最高値付近で推移している。


だがより長期の視点で見てみれば、ここ2年間米国株は何処にも行っていない。上に行くのか下に行くのか結論を出せていない。

そして結論から言えば、この状態がこれから少なくとも10年間続くだろう米国株の長期トレンドなのである。

低金利から高金利へ

これが新たな米国株のトレンドである。1980年からの40年、米国株は長期の上昇トレンドにあった。その理由は長期的な金利低下である。アメリカの政策金利は次のように推移している。


1980年まではインフレと高金利の時代だった。それを当時のポール・ボルカー議長が強烈な金融引き締めで終わらせ、そこから2020年まではデフレと低金利の時代となった。

ポール・ボルカー氏、1980年のインフレ打倒がどれだけ厳しかったかを語る
金利低下は基本的にそのまま株価にとって押し上げ要因となる。金利が下がり続ければ、当然それは株価を押し上げ続ける。

上のチャートを見れば分かるように、それが40年続いたのである。それが米国株は無条件で上がり続けると主張する人が言及しない、米国株が過去40年間長期的な上げ相場だった理由である。

インフレと高金利における米国株

だが米国株はインフレと高金利の時代にも同じように推移するわけではない。長期的な金利低下が長期的に株価の押し上げ要因になるならば、インフレの期間における長期的な金利上昇は長期的な株価の押し下げ要因になるはずだからである。

前回の記事でレイ・ダリオ氏が次のように言っていたことを思い出そう。

レイ・ダリオ氏、投資にグローバルマクロ戦略が必要な理由を語る
1966年から1984年まで米国株の実質リターンはマイナスだった。

この時期のS&P 500のチャートを見ると、長期的な横ばいを続けている。


だが実際にはこのチャートは横ばいではない。何故ならば、1970年代の物価高騰の時代にはドルの価値が激減しているからである。

以下の記事で検証したように、この時期にドルの価値はインフレによって3分の1になっている。だからこの時期に米国株の保有者は実際には大損しており、同じ期間に元本に加えて高金利を受け取った預金者に対してもリターンで大きく負けているのである。

インフレ相場での最良の投資方法は株の空売りを除けば株式投資ではなく預金
コロナ後の米国株

ここで現在の米国株に話を戻そう。何が言いたいかと言えば、インフレによって金利が上がった2020年以降の米国株は、まさに上記のインフレ相場における米国株の値動きに移行しているということである。もう一度現在のチャートを見てもらおう。


だから金利が上がった2022年以降米国株が頭を押さえつけられているのは当然なのである。米国株は長期的に1970年代のチャートになってゆく。

筆者が言いたいのは、既に実際にそのようになっているということである。スタンレー・ドラッケンミラー氏がそれを去年の段階で予想していた。

ドラッケンミラー氏: 米国株は30年上がらない可能性 (2022/6/27)
結論

来年の米国株がどうなるかと言えば、ダブルトップを形成して落ちてゆくことになるだろう。

2023年の米国株は2018年世界同時株安のダブルトップに似ている
現在は上のチャートにおける2回目のトップを形成している最中である。

ここの記事ではマネーサプライの推移などを利用して2回目のトップのタイミングを出来る限り予想しようとしている。

2024年の米国株下落と景気後退: コロナ後の緩和資金が尽きるのはいつか
だがはっきり言ってタイミング予想は水ものである。そしてファンドマネージャーが気にするような、2回目のトップは1回目より高いのか低いのか、来年の前半にあるのか後半にあるのかなどということは、多くの個人投資家にとって重要ではないはずだ。

だからこの記事ではもう一度米国株の長期見通しを確認しておいた。デフレと低金利の時代がインフレと高金利の時代になった以上、米国株を待っているのは1970年代のチャートである。

「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
そしてそこにはドルの大幅な減価が襲いかかる。

投資家はどうすれば良いのか?  世界屈指のファンドマネージャーであるドラッケンミラー氏が名案を出してくれているので、そちらを掲載しておこう。

ドラッケンミラー氏、誰でも30%以上の利益を出せる方法を語る

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/42784
114:777 :

2024/01/09 (Tue) 19:34:06

みんなが楽観的なときほど気を引き締めよ! リスクを洗い出し
つばめ投資顧問の長期投資大学
2024/01/09
https://www.youtube.com/watch?v=Sepv5xQ8PAA&t=81s
115:777 :

2024/01/09 (Tue) 19:38:06

2024年、株式市場が嵐に見舞われる可能性 /実践!エリオット波動 有川和幸さん
収録日:2024年1月8日
https://www.youtube.com/watch?v=kk4vI5Bt3jA
116:777 :

2024/01/16 (Tue) 20:56:24

石原順チャンネル - YouTube
https://www.youtube.com/@ishihara-jun/videos
https://www.youtube.com/@ishihara-jun/playlists


大規模なリセットがやってくる!?【前編】/石原順さん
2024/01/09
https://www.youtube.com/watch?v=KIz9y6vHu_w

<チャプター>
00:00 大規模なリセットがやってくる!?【前編】
01:42 トップリスク2024
02:15 ユーラシアグループの2024年予測
07:15 米国政府債務急増し34兆ドルに
08:52 偽旗の世界
12:00 今の疑問は、投資家が2024年に何を期待できるかだ。
12:33 ポンド/ドル(週足)
17:40 世界の通貨供給量
19:00 ゴールドマンサックスの来年のS&P500予想
19:55 歴史は「ピボット」が本当の暴落の引き金になることを示している



米国株は利下げで-50%の暴落へ!?(2024.01.09収録)【後編】
2024/01/09
https://www.youtube.com/watch?v=zuCigrBvQa0

<チャプター>
00:00 米国株は利下げで-50%の暴落へ!?【後編】
00:19 景気後退期には株価が大きく下落する
02:44 ねずみ講経済の終焉
07:25 今の世の中は4thターニング
08:29 4thターニング理論とは?
09:57 レイ・ダリオのビッグサイクル
11:17 エリートの生産過剰、 大衆の貧困、国家財政の危機が社会政治の不安定性を招く
13:09 S&P実質価格(黒)とサイコロジカル・サイクル(赤)1980~現在
15:10 現在のS&P500のバブルとシンメトリー(死の舞踏!?)



日経平均大暴騰!バブル最高値更新後に急落の可能性も?【前編】/石原順さん
https://www.youtube.com/watch?v=ckiPpdr4mgE

<チャプター>
00:00 日経平均が大暴騰!【前編】
00:50 世界の政策金利とインフレ率
02:06 日本10年国債金利(日足)
05:22 ドル/円(日足)
05:50 日経平均CFD(日足)
08:50 日経平均CFD(週足)
10:34 日経平均(週足)と国家管理相場


日経平均上昇に死角はないか!?最悪のシナリオとは【後編】
https://www.youtube.com/watch?v=mV_aAfaWGdY

<チャプター>
00:00 日経平均上昇に死角はないか!?最悪のシナリオとは【後編】
00:34 日経平均(月足)最高値更新か!?
13:48 マグニフィセント・セブンの時価総額は、米国を除くどの国の株式市場全体よりも大きい
25:20 ナスダック100CFD(日足)
26:16 S&P500CFD(日足)
28:25 米国株のCTAロングポジション
29:17 利下げは株式市場にとって強気ではない!
45:03 日本株がバブルして資産インフレが起きれば、日銀は利上げに追い込まれる。
117:777 :

2024/01/17 (Wed) 05:39:17

2024年の相場は激変か!?【前編】/石原順さん
2023/12/26
https://www.youtube.com/watch?v=sazlLPFB-AA&t=0s

<チャプター>
00:00 2024年の相場は激変か!?【前編】
01:18 ドル/円(日足)
06:05 ドル/円(週足)
07:24 ユーロ/ドル(日足)
08:55 ユーロ/ドル(週足)
11:53 ポンド/ドル(日足)
12:33 ポンド/ドル(週足)
14:15 S&P500CFD(日足)
14:58 S&P500CFD(週足)
16:44 ナスダック100CFD(日足)
17:03 ナスダック100CFD(週足)
17:42 NYダウCFD(日足)
18:45 NYダウCFD(週足)
19:38 日経平均CFD(日足)
20:33 日経平均CFD(週足)
21:37 米10年国債金利(月足)(緑:金利上昇シグナル・赤:金利低下シグナル)



利下げが暴落の引き金を引く!?(2023.12.26収録)【後編】
2023/12/26
https://www.youtube.com/watch?v=5laDek-GLgw

<チャプター>
00:00 利下げが暴落の引き金を引く!?
00:18 ゴールドマンサックスの来年のS&P500予想
03:57 米10年国債金利(週足)(青:金利上昇トレンド・赤:金利低下トレンド)
08:12 利下げまでの米国株の上昇は「死の舞踏」か!?
09:16 政策金利の上限値と平坦域 (利上げ停止期間)
11:17 FRBのインフレファイトと景気後退
12:35 S&P実質価格(黒)とサイコロジカル・サイクル(赤)1980~現在
14:25 WeWorkの興亡
15:15 NYダウ(月足)と1966年から1982年の横ばい相場
118:777 :

2024/01/28 (Sun) 18:38:18

ガンドラック氏: インド株は30年前の中国株と同じ状況、買って放置しておけ
2024年1月27日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/43749

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、自社主催の座談会で新興国株式、特にインド株について語っている。

米国株の長期上昇トレンド

米国株は過去40年間素晴らしいリターンを上げてきた。それは長期の上げ相場だった。

その上げ相場は1980年に始まった。何故ならば、1970年代のインフレ相場の後、長期的に上昇していた金利が1980年に遂にピークに達し、金利はそこから下落したからである。

その後40年に渡ってアメリカの金利は長期的に下がり続け、米国株を支え続けた。一方で日本ではバブル崩壊後に金利がゼロに達し、それ以上金利低下が得られなかったために株式市場は30年近く停滞した。

このように、金利の上下は株式市場に大きな影響を持っている。そして問題は、インフレによってアメリカでも金利の低下が終わり、むしろ金利を上げなければならなくなったことである。

そのような状況にある米国株について、ガンドラック氏は次のように述べている。

米国株は長らく他の国の株式、特に新興国株式よりも良いパフォーマンスを発揮してきた。それは長いトレンドだった。だがそのトレンドは壊れたようだ。

スタンレー・ドラッケンミラー氏も金利を理由に米国株の長期上昇トレンドは終わったと判断している。

ドラッケンミラー氏: 米国株が長期的には常に上昇するという信仰は間違い
逆に言えば、幸いなのはインフレがそれほど酷くなかったためにアメリカほどの利上げが必要ではなかった国々である。

アメリカでは莫大な現金給付によってインフレ率は2%程度から9%まで上がった。だがそれほどのばら撒きを行わなかったためにインフレがそれほど酷くない国もある。

また、アメリカでは金利上昇は莫大な政府債務への利払いが増加することを意味するが、政府債務が少ない国では利上げの悪影響も小さい。

何処の国に投資するべきか

だからガンドラック氏はアメリカ以外の国の株式を推している。だが具体的にどの国が良いのか。ガンドラック氏は次のように続けている。

これは毎年言っていることだが、現在はこれまで以上に確信している。

孫の大学の教育費のような長期的の話ならば、インド株式ETFを買ってただ放置しておけ。

最近、著名投資家の中でインド株が話題である。Bridgewaterのレイ・ダリオ氏もインド株を推奨していた。

レイ・ダリオ氏: インドにもっと投資できれば良いのだが
何故か。ガンドラック氏は次のように説明している。

インド株は上がる。10倍になる。インドは30年、35年前の中国とまったく同じ状況にある。

30年前、中国は地方から都市部への人口流入によって労働力が急増し、それに対応するために変化が起こらなければならなかった。それが今のインドの状況だ。

結論

多くの個人投資家が、ただ買って放置しておけば儲かると思って米国株をつみたてNISAに詰め込んでいる。だがプロの視点から見れば、現在は米国株を証券口座に詰め込むタイミングとしては最悪である。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
だがガンドラック氏から彼らに朗報がある。ガンドラック氏は次のように言っている。

インド株だけがわたしの今のお気に入りだ。株価の動きを見ることさえない。何ヶ月も気にしていない。これは長期のシナリオだからだ。

ガンドラック氏によれば、インド株はただ買って何十年も放置できる銘柄だそうだ。

金利を理由に米国株に見切りをつけている著名投資家は多く、彼らは米国株の代わりを探している。ジョン・ポールソン氏はギリシャ株を推していた。

ポールソン氏: 奇跡の復活を遂げたギリシャ株はまだまだ上がり続ける
だがここに個人投資家にとっての問題がある。 過去40年の米国株のようなパフォーマンスが欲しければ、過去40年の金利低下によって株価が上がったがその株高の原因がもはやなくなっている米国株を選ぶのではなく、過去40年の米国株と同じようなパフォーマンスに今後40年なるような国を自分で選ばなければならないということである。

結局、将来を予想できなければ投資で利益を得ることはできない。それだけの話なのである。それだけの話が分かる人間だけが利益を得、そうでない人間は損をするだろう。簡単な話ではないか。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/43749
119:777 :

2024/01/29 (Mon) 21:35:43

ローゼンバーグ氏: 今のソフトランディング期待はリーマンショック前のソフトランディング期待と同じ
2024年1月29日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/43803

さて、前回までジェフリー・ガンドラック氏のDoubleLine Capital主催の座談会の内容を報じてきたが、今回はその座談会に出席しているRosenberg Researchのデイビッド・ローゼンバーグ氏の発言が興味深かったのでそちらを紹介しよう。

アメリカの景気後退

コロナ後にアメリカで行われた莫大な現金給付が物価高騰を引き起こし、アメリカはそれを大幅な利上げで抑え込もうとしている。

結果、インフレ率は3%台まで何とか下がり、一方でアメリカ経済はそれほどの高金利にもかかわらず大きな減速とはなっていない。

インフレ加速を示唆する12月米インフレ率
だから多くのエコノミストが景気後退について喋らなくなった。景気後退の可能性は消えたのか? だがローゼンバーグ氏は次のように言っている。

景気後退は遅れている。だがなくなったわけではない。

ウォール街のエコノミストはいまや皆、景気後退の可能性を除外している。景気後退がまだ来ていないことが理由だ。

だが景気後退がまだ起こっていないからこれからも起こらないと主張するのは、トロント在住のわたしが「12月に雪が降らなかったから冬はもう来ない」と主張するようなものだ。

誰がそんなことを言うだろうか? こういう主張は馬鹿げている。

ソフトランディング期待の根拠

議論においていつも重要なのは主張の根拠である。そして景気後退が来ないと言う人々の根拠は、今景気後退が来ていないということだけである。だが問題は、景気後退がまだ来ていなければ、定義上経済状況は悪くない。それは同語反復なのである。

もう少し細かく考えてみよう。インフレ率はかなり下がっている。だがGDP成長率はそれほど下がっていない。しかしそれは、インフレ統計が先行指標でGDPが遅行指標だからだ。

そしてガンドラック氏もよく言っているが、先行指標はすべて悪化している。例えばクレジットカードなどの返済遅延率は以下の記事で取り上げたが悪化が始まっている。消費者は借金を返せなくなっている。

サマーズ氏、米国経済にハードランディングが起こっていない理由について語る
だから景気後退は近づいて来ている。問題はその速度なのであって、景気後退が除外された兆候は先行指標には一切現れていない。

だが景気後退を除外する人々はこの現実をすべて無視する。何故か。彼らにとって、過去に起こったことだけがこれから起こることの根拠だからである。

景気後退は来ない。何故ならば、まだ来ていないからだ。米国株は今後40年上がり続ける。何故ならば、過去40年上がり続けたからだ。

しかし彼らは景気後退がまだ来ていない理由も、米国株が1980年から40年上がり続けた理由も理解しないし、理解しようともしない。

ガンドラック氏: 株価の長期上昇を支えてきた過去40年の低金利はもうない
ドル預金は良いものだ。何故ならば、過去3年ドル高になっているからだ。人間の理性とはその程度のものなのである。

景気後退前のソフトランディング期待

景気後退前にはいつも同じことが起きる。ソフトランディングへの期待である。

先行指標が悪化し、だが遅行指標が悪化していない状況のことを人々はソフトランディングと呼ぶ。だがローゼンバーグ氏は景気後退前に起こるこの現象のことを次のように解説している。

ソフトランディングとは景気拡大期から景気縮小期への橋渡し、移行期のことだ。

1979年はソフトランディングだった。1980年は景気後退だ。1989年はソフトランディングだった。1990年は景気後退だ。2000年はソフトランディングだった。2001年は景気後退だ。2007年はソフトランディングだった。2008年は景気後退だ。

経済とはこういうサイクルなのだ。

リーマンショックの事例

だから景気後退が遅れるという予想と、景気後退が来ないという予想はまったく違う。スタンレー・ドラッケンミラー氏も次のように言っていた。

ドラッケンミラー氏: それでも米国経済はハードランディングする
景気後退がまだ始まっていないという事実が、ハードランディングかソフトランディングかという確率を変えることはない。

だがそのドラッケンミラー氏も年内の景気後退はメインシナリオとはしていない。

ドラッケンミラー氏が予想するアメリカ景気後退のタイミング
ローゼンバーグ氏は次のように述べている。

景気後退の遅れは長くなっている。メリル・リンチに居た頃に、2006年から2007年までわたしが愚かな道化と思われてたのと同じだ。「景気後退はまだなのか?」だが2008年には皆が悲鳴を上げた。

リーマンショックの時も一部の著名投資家が金融危機を警告する中で、大多数の人々がそれを無視する期間が2年ほど続いた。

ジョージ・ソロス氏が著書『ソロスは警告する』に書いている、リーマンショックの1年半前の以下の警告が思い出される。

2007年春、ついに終わりのはじまりがやって来る。住宅ローン大手のニュー・センチュリー・ファイナンシャル社が、サブプライム問題が原因で倒産したのだ。

そこから先は、私のバブルのモデルでいう「黄昏の期間」である。住宅価格が下がりはじめているにもかかわらず、ゲームの終了が読み取れない参加者が、まだ大勢残っている段階だ。

そしてリーマンショックは2008年9月だった。

結論

ソロス氏や筆者のように、マクロの投資家は常に弱気予想をしていると言われるが、それは経済の横に崖が存在していることを認識しているからである。

経済の横に崖があることと、経済がすぐ崖に落ちることはイコールではない。景気後退のタイミングと株価の下落開始のタイミングも別ものである。

だが存在する崖を認識していないことを良しとするのか、崖を認識した上で経済が崖から落ちるタイミングを測り続けるのか、読者は好きな方を選べば良いだろう。

何故ならば、経済が崖から落ちれば株式市場には都合の悪いことが起きるからである。ローゼンバーグ氏は次のように述べている。

景気後退時には1株当たり利益は20%か30%下落する。今のアナリスト予想は11%の増益だ。

これは景気後退になれば、企業利益の修正だけを考えても株価が31%から41%下落することを意味している。

それが遠からず起きるということは、今米国株を買うことは、景気後退までに株価がそれ以上上がらなければ割に合わないということである。さて投資家はどうするべきだろうか。

レイ・ダリオ氏: 2024年の金融市場で投資家はどうすべきか

ソロスは警告する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/43803
120:777 :

2024/02/06 (Tue) 10:59:06

まずは中規模の下落があった後、本当の暴落は2030年以降に訪れると考える理由/実践!エリオット波動 有川和幸さん
https://www.youtube.com/watch?v=1VKpjo9ThQE

隔週でエリオット波動原理による進行想定をお伝えします♪

収録日:2024年2月5日
出演者:一般社団法人日本エリオット波動研究所 代表理事 有川和幸さん
121:777 :

2024/02/09 (Fri) 12:10:59

中国の縮小と入れ替わるようにアメリカの株価は過去最高を更新しているが、日経によると中国衰退から資金を避難させた投資家が米株に投資する流れが起きていた

世界企業のドル換算時価総額で、米国企業合計は51兆ドル(約7600兆円)となり、 世界全体時価総額の48.1%を占め20年ぶりの高さとなった

中国から日本への資本移動も起きていて、これが最近の日経平均株価上昇につながりバブル最高値まであと2000円ほどに迫っている

トランプ前大統領が2月初め、当選すれば中国製品に対し60%以上の関税を適用すべきと発言し恐らく政治アピールだと思うがバイデン批判に利用する

前回の選挙時にトランプは「バイデンは中国のスパイで便宜を図っている」と言っていたので、今回もバイデンが中国を「のさばらせている」のように訴えるでしょう

するとバイデンは有権者にアピールするため中国にはより一層強硬策をとるようになり、中国には不利に働くと思われます

実際に中国を制裁するほど資本家はアメリカに資金を移しているので、制裁強化するほどアメリカは利益を得た事になり制裁を後押しする
https://www.thutmosev.com/archives/33111.html

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