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2022/05/26 (Thu) 15:42:05
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ルキノ・ヴィスコンティ『白夜 Le notti bianche』1957年
監督 ルキノ・ヴィスコンティ
脚本 ルキノ・ヴィスコンティ スーゾ・チェッキ・ダミーコ
原作 ドストエフスキー
音楽 ニーノ・ロータ
撮影 ジュゼッペ・ロトゥンノ
公開 1957年9月6日
動画
https://www.youtube.com/watch?v=PKM4XE1S5ac
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『白夜』(イタリア語: Le notti bianche / フランス語: Nuits blanches)は、1957年公開のイタリア・フランス合作映画である。監督はルキノ・ヴィスコンティ。モノクロ、ビスタサイズ(1.66:1)、102分。
原作はドストエフスキーによる同名の短篇小説。ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した。
ストーリー
イタリアのある港町の夜更け。転勤して間もないマリオ(マルチェロ・マストロヤンニ)が歩いていると、橋の上で泣いている若い女(マリア・シェル)を見かける。警戒する彼女に声をかけて半ば強引に家まで送り届けると、翌晩おなじ場所で会う約束をとりつけた。次の晩、彼女はマリオを見かけると逃げ出してしまう。気分を害したマリオに、彼女は訳を話し始めた。
彼女はスラブ系で名をナタリアといい、用心深い盲目の祖母と暮らしていた。ある日、家にやってきた若くはないがハンサムな下宿人(ジャン・マレー)と恋に落ちる。しかし男は1年後に戻ると言って出て行ってしまう。それから1年たち、橋の上で彼の帰りを待っていたのだが、既に戻っているはずの男が現れることはなかった。
ナタリアはマリオに手紙を渡し、彼に届けてくれるように頼むが、マリオはその手紙を破り捨ててしまった。次の日、ナタリアを避けながら町を歩いていたマリオだったが、彼女に見つかってしまう。手紙が渡されたものと思い込んでいたナタリアは終始浮かれ調子で、マリオとダンスをして楽しんだが、10時になると約束の場所へ駆け出してしまった。
絶望したナタリアにマリオは自分の気持ちを打ち明け、2人の間には愛が芽生えつつあったが、明け方、橋の上には男の姿があり、ナタリアは「自分の気持ちを欺けない」と言って駆け出してしまう。マリオは束の間だったが幸福な夢を見せてくれた彼女に感謝して立ち去った。
キャスト
※括弧内は日本語吹替(初回放送1964年10月26日『テレビ名画座』)
マリオ:マルチェロ・マストロヤンニ(村越伊知郎)
ナタリア:マリア・シェル(五月女道子)
下宿人:ジャン・マレー
娼婦:クララ・カラマイ
踊る男:ディック・サンダース
下宿の女将:マルチェラ・ロヴェーナ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E5%A4%9C_(1957%E5%B9%B4%E3%81%AE%E6%98%A0%E7%94%BB)
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2022/08/22 (Mon) 15:24:11
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「映画の中のクラシック音楽」
配信日 03年11月4日
取り上げた映画 白夜
制作 57年 イタリア&フランス
監督 ルキノ・ヴィスコンティ
原作 ドストエフスキー
使われた音楽 ロッシーニ オペラ「セビリアの理髪師」
使われた意図 拘束の象徴
https://geolog.mydns.jp/movie.geocities.jp/capelladelcardinale/old/03-11/03-11-04.html
人間は誰だって若い頃がありますよね。
この私だって、あったくらいだし・・・
勿論、あのヴィスコンティもありますよね。若い頃が・・・
後年になって、あれほど凝った音楽の使い方をしている彼も、やっぱり若い頃は素直な使い方をしているわけです。
後年の彼の音楽の使い方を知っている現在の我々としては、「なんて素直な使い方だ!」「おお!当時は彼も若いなぁ・・・」と苦笑いすることになる。
ということでヴィスコンティ監督の比較的初期の作品(と言っても50歳の頃かな?)「白夜」における音楽の使い方を考えてみましょう。
と言っても考えるほどではないんです。誰だってスグに「言わんとするところは分かる。」くらいなんですから・・・
この「白夜」という映画ですが、原作はあのドストエフスキーです。私はこの原作について書くほど知識がないので、今回は映画の「白夜」のみで考えてみます。
この映画の「白夜」は運河街(ヴェニスかな?)で繰り広げられる若い男女の物語です。
基本的には登場人物は3人です。
若い純真な女性ナタリア、そのマリアに恋してしまう若い男性マリオ、マリアが恋している訳ありの男、ロジャー。この3人です。
いかにも訳ありの過去を持つような男は、たまたまそのナタリアの家に下宿して2人は恋に落ちちゃったんですね。そして「1年後に君の元に帰って来るよ。」と約束して女性の下を後にした。
実は、その若い女性ナタリアは、おばあさんの厳しい監督の下、中々家から出ることができない。仕事もじゅうたんの修理というもので家の外に出ることができない。
その女性は血の繋がったおばあさんを好きなんだけど、外の世界も見てみたいなぁ・・・と、よくある心境だったわけです。
そこに訳ありの男が登場したんですね。いかにも外の世界を知っている風情の・・・
その男が女性とおばあさんをオペラに招待いたします。
演目はロッシーニの「セビリアの理髪師」・・・あまりに有名でいまさら言うまでもないくらい。
男が「セビリアの理髪師」に招待した理由は明白でしょう。
オペラではロジーナという若い娘が、バルトロという後見人に色々と束縛されて大変ですよね?ロジーナは家の外に出るのもままならない。
自分の孫の自由を制約して、束縛しているおばあさんに、「今あなたがやっていることは、このオペラでバルトロがやっていることと同じなんだよ!」と言いたいんでしょう。
ちょっとした皮肉というわけです。
そして、その「セビリアの理髪師」の別のシーンも映画で回想されることになります。
その若い女性が「もう1年たっているのに、彼が帰ってこない!」と涙ぐむと、彼女を好きになってしまった若い男マリオが「彼に手紙を書きなよ!」と勧めるわけです。
その若い男の勧めを受け入れた女性は、彼と相談しながら手紙の文面を完成させるわけですが、その女性「実はもう手紙は前々から書いてあったのよ!」と事前に出来上がっていた手紙を若い男に渡すことになります。
このようなシーンは「セビリアの理髪師」にありましたよね?
映画で歌われているのは、そのオペラで「さあ、勇気をだして手紙を書きなよ!」とフィガロがロジーナに呼びかけるシーンだと思うのですが・・・
後年のヴィスコンティでは決してやらないような、わかりやすい引用ですね。
人間は誰でもそんな時もあったというわけでしょう。
ちなみに、訳ありの男がおばあさんに、折角「セビリアの理髪師」を見せたんですが、おばあさんはその意図が理解できていなかったようです。表情一つ変わりませんもの。
「こんなミエミエの皮肉がわからんかぁ・・・」「ダメだ、こりゃ!」というのは現実では、よくありますよね。
映画「白夜」からは外れますが、「オイオイ!アンタこの作品の意味わかっているの?」と思うことがあったりします。
2002年に二期会が東京文化会館において上演したワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」というオペラを見ていた時のことでした。
二期会が上演したところに底知れぬというか、底割れの知性を感じました。
御存知のように「ニュルンベルクのマイスタージンガー」というオペラは、ワルターという一種異邦人が、狭いニュルンベルクの古臭い流儀に囚われずに新しい音楽を展開しようとするのを、マイスターという「抵抗勢力」がいじめて、いびって、妨害する・・・という内容ですね。
40年近く前に、このオペラのワルターのように小澤征爾さんが日本の音楽界に改革を志向したのを、いびりぬいて追放したのは抵抗勢力の権化の「二期会」というマイスターだったはず。(ちなみに私はその事件とは同時代人ではありませんが・・・)
よくまあ能天気に、よりにもよって「マイスタージンガー」なんて上演できたものだ・・・と感心?したものです。
「この東京文化会館は亜空間かしら?」と、オペラを見ながら驚いたものでした・・・
まあ、そんな思いを小澤さんもしたんでしょう。
だから小澤さんもバッハのマタイ受難曲なり、オネゲルの「火刑台上のジャンヌ・ダルク」を上演する気にもなるんでしょうね。
尊厳を持つものは、尊厳の無い人間につるし上げられる。
そのようなシーンは、歴史の上では頻繁に繰り返されてきていること。
しかし、知性の欠落こそが人間の幸福に通じるんでしょうね。
幸福とは何も考えなくても済む状態。
考えようとしてもその能力がなければ、結果的に幸福と言えるでしょう。
そのような意味で、ヴィスコンティは幸福とは無縁だったわけですね。
だからますます音楽の引用も凝ったものにならざるを得なかったわけですね。
(終了)
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発信後記
当初の予定では今回はアメリカの作品の予定だったのですが・・・
ちょっと調べなくてはならない事項が埋まらなかったので・・・
またまたヴィスコンティ作品。
前回はマリナ・ドゥ・ヴァンさんという貴族の名前の女性でしたが・・・
「映画の中のクラシック音楽」などというテーマなので、どうしても貴族出身者が多くなってしまうのかなぁ・・と思います。
ラース・フォン・トリアーも控えているし・・・
ということで、次回もヴィスコンティの予定です。
R.10/5/19
https://geolog.mydns.jp/movie.geocities.jp/capelladelcardinale/old/03-11/03-11-04.html