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ウェスタン・エレクトリック伝説 _ オーディオのパラレルワールド

1:777 :

2022/05/21 (Sat) 11:11:15

ウェスタン・エレクトリック伝説 _ オーディオのパラレルワールド


キット屋コラム「私のオーディオ人生」第28回 オーディオのパラレルワールド
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-028


 今回はオーディオのパラレルワールドになります。テレビで大人気であったドラマ「仁」の中で南方医師が江戸にタイムスリップして現代に戻って来た時にパラレルワールドと云うセリフが出てきました、パラレルワールドとは今の世界と平行したもう一つの世界をパラレルワールドと云います。

オーディオで云うならば皆さんが使っているアルテック、タンノイ、JBLや現代の代表的なスピーカーは一般的な(A)の世界の音ですが(B)の世界はこのようなスピーカーとは隔絶したもう一つの世界の音である。


 私が聴いた限り上手く鳴らされていたウェスタンエレクトリックのカールホーンを使ったホーンシステム、オイロダインやロンドンウェスタン及び直系の音こそ現代のサウンドとは異なる次元の違う(B)の世界と云えよう、

では私が体験したもう一つのパラレルワールドの音の世界をご紹介します。


 

ウェスタン13B 隣りにあるのはウェスタンの25Aホーンシステム
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ウェスタン15Bシステムと25Aホーンシステム
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正面に設置してあるのが有名なシーメンスオイロダインシステム、
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このサウンドもWEやロンドンウェスタンとは少し系統が違うが見事なサウンドを聴かせて頂いた、


三上先生宅のウェスタン15Bサウンド

 今迄沢山のウェスタンシステムを拝聴させて頂きましたがすべてウェスタンだから良い音とは云えない酷い音も沢山ありますが三上先生宅で聴くウェスタンのシステムは石川県小松市にお住まいの中さんと双璧のお見事としか云いようの無いパラレルワールドの音がしている。

勿論スピーカーだけでこのようなサウンドが出るのではない、15Bを鳴らすアンプはWE-300BPPウェスタンの86Bのオリジナルと昇圧トランスは618Bがこの音作りに寄与しているのは云うまでも無い、

 私は人様のシステムの音を褒めるタイプではないが三上先生宅で聴かせて頂いたチェロの響きと音色は実態感を伴った電気臭くなく木の香りが漂う素晴らしいの一言に尽きる、このサウンドをじっくり聴くと低域がどうだとか高域がどうだとか講釈を垂れる音ではない、また大型のホーンシステムなのに音像は大きくならずホーン臭さも無い、最近のテカテカした派手な喧しいサウンドとは違いこれぞ大人のサウンドと云える。多分低域用のユニットがエルタスの4181を使用しているからこそこのようなバランスの取れたサウンドになるのではないか、

 ウェスタンを上手く鳴らすにはやはり4181を使わないとその良さが出てこないのではないだろうか、このウェスタンを試聴すると現代のサウンドは電気臭い音が蔓延していて何となく人工サウンドに聞こえてくる。

 三上先生宅へは沢山のオーディオ評論家が訪れたり雑誌の取材で紹介されたりもしているがこの音作りこそ三上先生のご自身の「自分の音」と思うがただ高価な機器を接続しただけではこのような音にはならない、暗中模索で大変苦労をされたのではないだろうか、
 
 

正面に鎮座しているWE-15Bホーン
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で聴くチェロは現代のサウンドとは全く異なるこれこそパラレルワールドのサウンドであった、


ウェスタン25Aホーン+4181スピーカー

 二つ目のウェスタンは25Aホーンシステムで低域用は4181になります。先程の15Bとは多少音が異なるのがわかる。音は勿論ウェスタンサウンドであるが音の抜けを比較すると好みとしては15Bのが好きかも、このホーンシステムは福井県の万月氏や石川県小松市の中さん宅でいつも聴いていますからそれ程ビックリしないがパラレルワールドのAの世界の音しか知らないマニアが聴けばおそらく言葉が出なく度肝を抜かれびっくりするだろう、25Aホーンを聴くと大変浸透力のある心地よいサウンドだ、

 特に素晴らしかったのは女性ボーカルの歌声が目の前で歌っているような錯覚に捉われた、この25Aの音は小松の中さんと良い音での双璧であるがこのシステムも低域用の4181が寄与している、

 贅沢な注文であるが私の好みからすると後ほど聴かせて頂いたロンドンウェスタンが好みに合うのとこのようなシステムは一般家庭では置けないのが残念だがこの25Aのサウンドもパラレルワールドの音である。


 
タンノイブラック

 今迄沢山のタンノイシステムを聴いてきましたがこのモニターブラックこそ本来のタンノイサウンドと痛切に感じた、三上先生がおっしゃるにはタンノイはブラックとシルバーがタンノイの音であると云っていましたが私も同感です。シルバーは他で聴くことがありましたがブラックになるとまず聴くことも見ることもできない超が付くレアなユニットになる。

 最近のタンノイのサウンドはこのモニターブラックと比較するとドンシャリ傾向の音になっているのが多い、タンノイのブラック、シルバーのユニットは低域も高域も欲張らず中域から音作りをしているのではないだろうか、特にあの中域の厚みのある心地よい響きと特徴のある音色は最近のタンノイでは聴いたことがない特筆すべき音であった、タンノイブラックを試聴すると現代のタンノイは低域も高域も伸ばしたため中域の薄い(中抜け)不自然な音に感じるがこの音が好みだと云われれば返す言葉も無いが一度でもよいからブラックやシルバーを聴いてみれば私の云っていることが理解できると思う、

 又このモニターブラックも私が愛用しているロンドンウェスタン直系の音と非常に似通った音色が印象に残った、ボックスは多分オリジナルボックスのランカスターを流用されたと思うがユニットとボックスが大変マッチしているからこそ本来のタンノイの響きが出ているのではないだろうか、
 
 

手前に見えるのがタンノイのモニターブラック
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で後方のシステムは珍しいテレフンケンの085aモニタースピーカーでこのシステムは私も始めて見るシステムで音質、音色はカチッと締まった大変心地よいサウンドであった、
 

 

タンノイブラックのボックス内部の写真
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でユニット自体も大変状態の良いもので強力なアルニコマグネットを採用した初代ディアルコンセットリックスピーカーになる。タンノイファンなら一度は聴く価値はある。


 

家庭用のシステムに収めたロンドンウェスタン2080A、2090Aの2Wayシステム
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でこの音を聴くと米国ウェスタンとはベクトルが若干異なるが貴賓と渋さがプラスされた品位の高い音である。音質は一言で云うならば巷でよく耳にする枯れたサウンドとはこの音である。
 

 

ロンドンウェスタンの2080A、2090Aボックス内部の写真でスピーカーは強力なアルニコマグネットが使われている。ボックス内部と可愛いワンちゃんのツーショット写真
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ロンドンウェスタン2080A、2090A

 最後に拝聴させて頂いたのは幻のスピーカーシステムでロンドンウェスタンだ、私が持参したいつもリファレンスで聴いているビバルディのヴァイオリンソナタのレコードが果たして私のシステムの音とどう違うのか本家の音とはどのような音なのだろうか、不安と期待が入り混じっていたのは間違いない、

 自分のシステムと比較した場合まったく異質な音であれば私のユニットはニセモノになってしまうか上手く鳴らせない力量不足になってしまう、

 早速聴かせて頂くと先程聴いたウェスタンの音とは多少音色も異なるのとスケール感も違う、目を瞑ってビバルディのヴァイオリンソナタをじっくりと聴くと音質、音色が同じイメージに重なり自分の家で聴いているような錯覚を覚えた、このロンドンウェスタンの音は言葉では云えない一種独特のサウンドで現代の一般的なHiFiサウンドとは異なりこれこそパラレルワールドの音だ、

 ヴァイオリンの響きは電気臭くない木の香りすら漂ってくるのがわかる。オーディオを追求していくと最後はこの音に魅了されるのは私だけではないはず、

    このロンドンウェスタンのサウンドを聴くと現代のHiFiサウンドは申し訳ないが長く聴いていると時間の経過と共につまらなくなり飽きが来てしまうがロンドンウェスタン系はオーディオマニア、音楽マニアを引き付ける魅力たっぷりのスピーカーと云えよう、ただこのような音を出すには相当レベルの高いアンプと高度なテクニックと肥えた耳を持っていないと上手く鳴らないのではないか、
 

三上先生に想う

 今回はオーディオのパラレルワールドをご紹介しましたが現代のシステムは駄目とは云わないが(B)の世界の音を聴くとオーディオ観も音楽観も変わるような気がする。私もヴィンテージ愛好家ですから先生とは大変意気投合出来たのではと思う、

 三上先生はもうお亡くなりになりました伊藤喜多男先生や池田圭先生と長年交流があったと云われています。またステレオサウンド誌、管球王国などに先生のシステムが紹介されオーディオ評論家も先生宅へ訪問されている。

 三上先生は私より三つ年が上ですが大変(懐の深い)方で私はこの方こそオーディオの師匠、先生、教授と云える「器」を兼ね添えている方だと思う、

 よくネットなどを拝見すると達人とか師匠、教授、先生と呼び名がついているコラム、ブログを時々見ますがこの方たちは本当に音がわかってそのような呼び名でやり取りしているのだろうか疑問に思うこともある。オーディオに関してはレベルの高い方が沢山いますからそのような方が読まれたら馬鹿にされるか笑い者になるだけですからその辺を弁えないと恥ずかしい思いをするのではないだろうか、

 また真空管アンプ等は自由自在に設計製作が出来てオーディオのすべてを知り尽くしてその呼び名が付いているのなら納得する。

 私は小さな「器」しか持ち合わせていないマニアです。先生、師匠、達人、教授と云われている方達がどれ程の「器」なのか見せて頂きたいものである。
 


あとがき

 三上先生宅で特に良かったのは可愛い3匹のワンちゃんが私になつき傍で音楽を聴きながら居眠りをしていたのが音よりも印象に残りました、ワンちゃんも良い音はわかるんですね、

 今回はオーディオのパラレルワールドを題材にしましたが皆さんも是非このパラレルワールドのサウンドを体験されると面白い、

 ヴィンテージショップなどでウェスタンやその他ヴィンテージスピーカーを鳴らして店主は能書きばかりでまともに良い音で鳴っていないのが多いのとすべてヴィンテージスピーカーだからパラレルワールドのサウンドと思ったら大間違いである。やはりマニア宅で上手く鳴らされているのを聴くのがベスト、「百聞は一聴にしかず!」

 確かにオーディオは進歩しているが最終的に判断するのは聴く人の感性と鳴らし方ではなかろうか、またパラレルワールドのサウンドは装置を忘れてじっくりと音楽が聴ける。
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-028


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キット屋コラム「私のオーディオ人生」第27回 ロンドンウェスタンの試聴
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-027

 今回は幻のスピーカーと云われるロンドンウェスタンを題材に取り上げます。  


ロンドンウェスタン

 米国がウェスタンエレクトリックなら英国はロンドンウェストレックス、ドイツはクラングフィルムになります。

一口に云ってロンドンウェストレックス(ロンドンウェスタン)はアメリカのウェスタンエレクトリックとは多少異なります。

初期のロンドンウェスタンはアメリカ本国よりシステムを持ちこんでスタートでしたが英国の国策として海外からの輸入に制限を設けたためこのシアターシステムも対象になりロンドンウェスタンのシステムは自国での設計生産になったと思われる。
 

私が聴いた三上先生のロンドンウェスタンオリジナル
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ロンドンウェスタン直系スピーカー

 初期のロンドンウェスタンは多分米国ウェスタンの改良型を使用したシステムでしたが私の憶測と情報ではその後ウェスタンエレクトリックからのシステムの供給はやめてイギリス本国での製品開発が行われたと推測されます。英国はアメリカと違って大変保守的なお国柄で海外から輸入するよりも自国で開発して販売する方法を取っていた、

 日本や米国と違ってロンドンウェスタンの立ち上げに当たってイギリス国内のスピーカーメーカーの第一線級のエンジニアが集まってロンドンウェスタンをスタートさせたと思われる。当時のスピーカーメーカーと云えばシアター専門のヴァイタボックス、民生用のグッドマン、ローラ、タンノイ、パルメコ等メーカーのエンジニアが共同開発に当たったのではないだろうか、この辺が米国のメーカーや日本のメーカーとは事情が異なる。

 開発終了に伴い英国本土のすべてのシアターに供給するには生産量が問題になってくる。当時はヴァイタボックス社やタンノイ社では絶対数の生産ラインの供給システムがまだ確立されていなかった、

 当時のスピーカーメーカーではグッドマン社が大掛かりな生産ラインを有していたから多分ユニットはグッドマン社が中心となって製造していたのではないだろうか、

 当時の技術集団が開発した初期モデル(1950年代)のスピーカーユニットはすべてロンドンウェスタン直系のスピーカーになるので音質音色は同じである。またロンドンウェスタンのシステムには低域用にグッドマン、高域用はタンノイ、ケリー、ヴァイタボックスなどでの組み合わせによる混成システムが多かったのでは、

 実際ロンドンウェスタンの2080,2090Aのシステムとパルメコ、私が所有しているユニット等は音質や音色は良く似ており私が聴かさせて頂いた三上先生宅のロンドンウェスタンと瓜二つの音に安堵感を覚えた、

 また米国のウェスタンエレクトリックはすべて業務用でしか販売されなかったがロンドンウェスタンは家庭用のシステムも販売されていたがほとんど日本には入って来なかったからロンドンウェスタンを含めてロンドンウェスタン直系のスピーカーは幻のユニットと云える。

 ロンドンウェスタンのスピーカーのサウンドは皆さんご存知のアルテック、JBL、タンノイ等のスピーカーと比較してまったく異なる音質、音色を持っているのがロンドンウェスタンの特徴でもある。私も沢山の英国ヴィンテージユニットを聴いてきたが今回手に入れたロンドンウェスタン直系のユニットはこれらの音とは違っていた、

 ロンドンウェスタンのパルメコは初代BBC放送局のモニタースピーカーに採用されていたが有名なアルテックの604Eと外観的に非常によく似ているが音質音色は全く違う、パルメコはもっと浸透力があり音味は大変美味しいエレガントな音ですがアルテックの604Eは残念ながら上手く調教された音を一度も聴いた経験がありませんので比較するのは無理かも知れません。

 またアルテックやJBLなどアメリカのスピーカーはジャズ向きと云われているがスピーカー開発者にとってこれはジャズ向きこれはクラシック向きとして設計はしていないはずですからやはり鳴らし方に問題がありそう、私の個人的な意見としてジャズが鳴ればクラシックも必ず鳴るはず、クラシックが上手く鳴らないのならジャズも鳴らない、ジャズが本当に上手く鳴れば大人のジャズサウンドになるはずだ、
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-027


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情熱のオーディオ ウエスタンエレクトリック病棟
http://mikami.a.la9.jp/audio/western_electric.htm
http://mikami.a.la9.jp/audio/audio.htm    

晴耕雨聴
https://91683924.at.webry.info/
 
禁断のKRELL Western electricの記事(8件)
https://ameblo.jp/507576/theme-10107229909.html

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ウェスタン・エレクトリックのスピーカー
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/502.html

ウェスタンエレクトリック伝説
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/208.html

G.I.P Laboratory _ Western Electric スピーカーシステムのレプリカ製造・販売
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/964.html

G.I.P Laboratory _ Western Electric 20cm フィックスドエッジ・フィールド型フルレンジスピーカーユニット TA-4189
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/971.html

ALTEC と WE 755シリーズ について
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1190.html 

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電力増幅用直熱3極管 300B
http://www.asyura2.com/21/reki7/msg/546.html

ウェスタン・エレクトリック 300B を使ったアンプ
http://www.asyura2.com/18/revival4/msg/107.html

電力増幅用直熱3極管 VT-52
一番音が良いパワーアンプは VT-52 シングルアンプ?
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/440.html

電圧増幅用直熱三極管 WE101D
今 大人気の WE101D _ 出力0.6Wのシングル・アンプで鳴らせるスピーカーは?
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/445.html  

電力増幅用傍熱ビーム4極管 WE350B
WE350B _ ウエスタン・エレクトリックの真空管の中でも特に濃厚な音がするビーム管の最高傑作
http://www.asyura2.com/18/revival4/msg/132.html

Western electric 124 amplifier _ すべてのアンプの中で最も艶やかな音の WE350B プッシュプルアンプ
http://www.asyura2.com/18/revival4/msg/133.html

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スピーカケーブル ウェスタンエレクトリック WE 24GA (単線, 0.205 mm2, 高能率スピーカー用)
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/892.html

スピーカケーブル ウェスタンエレクトリック WE 24GA (メッキ, 単線, 0.205 mm2, 高能率スピーカー用
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/893.html

スピーカケーブル ウェスタンエレクトリック WE 22GA (撚線、 0.326 mm2)
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/894.html

スピーカケーブル ウェスタンエレクトリック WE 18GA (撚線、 0.823mm2)
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/882.html

スピーカケーブル ウェスタンエレクトリック WE 16GA (撚線, 1.309 mm2)
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/883.html

スピーカケーブル ウェスタンエレクトリック WE 14GA (撚線, 2.081 mm2)
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/884.html


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ロンドン・ウエスタンの世界
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1074.html

ブリティッシュサウンドとは HMV蓄音機とロンドンウェスタンの音の事
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/477.html

Club SUNVALLEY/私のオーディオ人生
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio

晴耕雨聴
https://91683924.at.webry.info/  
2:777 :

2022/05/21 (Sat) 13:45:39

原点が最高到達点
 
1920年代から30年代に設計された、WE555と594Aが、今日に繋がるオーディオ・スピーカーの原点であろうことは、誰もが承知する事実である。しかし今日100年の時を経てして、おそらくはこのスピーカーを凌ぐものは現れていないと云っても過言ではないだろう。ベル研究所では、音響に関する基礎研究は、すべてやりつくされていたと伝えられるが、ウエスタン・エレクトリックのスピーカー群は、まさに到達点にあったのだ。歴史が下り、量産のための技術は、飛躍的に進化したが、究極の性能をそして音楽を追求し再現するという技術は、ウエスタン・エレクトリックの時代に頂点を極めた。おそらくは、フレッチャーシステムが歴史の上での頂点に位置するのだろう。

実は、ウエスタンは、555迄の時代と、594A以降の時代で、世界が異なっている。555は、蓄音器からマグネチックを経た時代の集大成の作品であるのに対し、594Aは、新しい挑戦の時代の製品なのだ。594Aは、いわゆるハイファイの原点、開始点、そして実は到達点でもある。そう。到達点が555と594Aの二つあるのだ。どちらもがウエスタンの究極であるが、それぞれが時代の分水嶺になっている。そのようなわけで、ウエスタンを極めるためには、555だけ、594Aだけでは、すまされず、双方のシステムが必要となる。どちらが優れるということはない。歴史上の双璧がここに極まっているのだ。
http://mikami.a.la9.jp/audio/we555_r1/we555_r1.htm




ウエスタン・エレクトリックのシステムを構成する個々のコンポーネントを開発するために費やされているコストと時間は、尋常なものではない。しかも当時世界最高水準のベル研究所のスタッフがこれに従事していた訳だからなおさらである。人材、資金、時間が湯水の如く投入されている。ウエスタン・エレクトリックとベル研究所の音響システムの開発にかける姿は、さながら後年のNASAのプロジェクトに近いものがある。製品のどれ一つとってみても、当時の最高の素材が使用されており、技術は歴史的にも最高の水準にある。もし当時のベル研究所のスタッフが、今日の素材を手にしたら、どのような物が出来上がるのだろうかと想像すると戦慄が走る思いだ。

最高の音響システムを構築する一つの方法は、当時のウエスタン・エレクトリックのシステムを忠実に再現することであろう。理由は、その状態で完全なバランスがとられているからだ。しかしながら、バランスのとりかたには複数の解があるはずで、当時のシステム構築者が取りえなかった別の解があるはずで我々にはこれに挑戦することで、ウエスタンのコンポーネントからシステムとして別の魅力を引き出すことも可能ではないかと思う。ウエスタンのオリジナルのシステムを超えようとか冒涜する意図はもとよりない。もしウェンテが現代に生きていたら、どのようなシステムを開発しようとするだろうと、技術ロマンに心を躍らせる。

555コンプレッション・ドライバーを色々と聴いてみると、その完成度と技術水準の高さを超えたところに、造り手の意図を感じ取ることができるような気がする。このドライバーは、あきらかにホーンと一体で使用することを前提に設計されている。

そしてターゲットにしている音は、蓄音機が表現できる生の音楽のプレゼンスである。
蓄音機は、機械振動から直接音波を作りだしているので同じ系のなかで音を処理している。これに対し、スピーカーを使用すると機械振動、すなわち機械系から電気系に変換し、これを増幅して機械系に再変換を行っている。一般に、系の変換を行うと、何らかの情報が失われる可能性がある。私は、プレゼンスではないかと直感している。このプレゼンスこそ、生の音の肌触りであり、そこに演奏家がいるという佇まい感であり、さらには再生装置が消え、そして演奏家さえ意識させず、ただ音楽のなかに包まれる世界への到達がある。

2004年1月15日から21日までの7日間は、忘れることができない。追い込み途中で、すごい音の世界が出現してしたのである。RCA1444のエージングとフィールド電源の調整がどツボにはまった。調整途中で、まだ音は濁っており、分解能も出ていない、コーラスの分離が悪い。しかし只ひとつ、今までのどこでも体験したことのないプレゼンスが現出したのである。

二階で再生しているのだが、我が家は三階建てなのだが、どの部屋で聴いても同じ音量で、音楽が壁を貫通して浸透していくのである。まるでニュートリノのようである。レコードに入っている音と実在の音との識別がつかない。だれかがそこにいるのかと回りを見回すと、実はそれがライブ録音の聴衆の囁き声だったり、物音がしたと思うとそれがレコードに入っていた音であったり、何より凄まじいのは、スピーカーを隣室から聴くと、もうそこにホロヴィッツが、ビル・エバンスが、パハマンが、マルが居て、ピアノを弾いているのである。もう倒錯の世界である。1月19日は、仕事もせずに朝から晩まで聴きとおした。友人にメイルしたら、浜松から飛んできた。当人もたいへんな識者で経験も豊富な音響の専門家だが、絶賛ものだった。すべてのジャンルにわたって、ヴォーカルも弦もすばらしいが、特にピアノは空前絶後であった。空気感が出ている。人の気配があり、そこに佇んでいるのである。

しかし良いことは続かない。運命の日はやってきた。2004年1月22日夕方、いいかげんな仮組み状態のRCA1444のフィールド電源をまともに作り直したとたん、プレゼンスが消失してしまった。あの音が再現しないのである。はじめのうちは、軽く考えて、また明日やってみようとその日は休んだ。しかしその後まる一ヶ月格闘したのだが、ついにその世界は帰ってこなかった。元のとおりにしても再現しないのである。1444のエージング過程のある状態とフィールド電源、あらゆうる状況が、偶然にバランスしたのだろう。WE555と1444の速さが合った瞬間、15Aホーンの世界にワープしたのだろうか。

私の友人もこのような状態に出遭うことがあり、そのときは、周囲のオーディオ・ファイルを呼び集める。いつ再現するか知れない世界だからだ。オーロラか流星群かはたまた蜃気楼か、科学と芸術と夢幻の世界が精妙に交錯するオーディオの世界の魅力である。
http://mikami.a.la9.jp/audio/expr2023/expr2023.htm




Western Electric 755A
WE755A についてのさまざまなお話 

プロローグ  

私の書斎にWestern Electric 755Aがやってきた日のことは、忘れられない。東京都内の文人宅から、そろそろと自家用車で、品川の自宅まで運んだ。システムに繋いで、そろそろと音出しをしてみる。

  聴きなれたレコードを何枚かかけてみると、愕然としてしまった。当然のことではあるが、愛聴盤というものは、どこにどんな音が入っているかを暗記しているものであるが、このスピーカーで聴くそれは、まったく別物であった。今迄聴こえていなかった音が、豪華絢爛に再現されてくるのであった。  

それはあたかも、澱んだ東京の空に浮かぶ見慣れた星空から、一転して空気の澄み切った山の頂きから仰ぎ観る天空の星星の情景そのままに、天空一面、星、星、星のショーの大星夜を目の当たりにしたようなものだった。

  星星が煌く音となり、その微粒子が壮大な音楽を構築しているかのようであった。今迄、自分は一体、何を聴いてきたのだろうという悔しさと、まだレコードにもCDにもいくらでも秘められた音が入っているのだという嬉しさが頭の中を過ぎった。  
     
  755シリーズの伝説

管球王国の特集などで、さまざまな755シリーズのスピーカーが紹介されて以来、WE755Aは、多くの人の知るところとなった。WE755Aを入手後も、KS-14703、ALTEC 755A,755Cと結構な数の755シリーズのスピーカーを聴きまくった。その結果は、尋常なものではなかった。755シリーズのスピーカーは、一本一本音がちがうのだ。一般には、WE755A,KS-14703,ALTEC 755A,755Cの順で音が良いと信じられており、値段もその順番になっている。しかしその実態は、シリーズの差よりも固体差のほうが大きいのだ。特定個体の比較でWE755Aよりも音の良いKS-14703個体もあった。755Aは、製造後50年を経ており、オリジナルでも経年変化が多く、さらにはこの高名さの故に修復の加えられたものもかなりある。修復の程度も製造後20年目で一度、さらに40年目で二度目といった複数の修復が加えられたものもある。私が入手したユニットは、外見はかなりみすぼらしかったが、偶然にもまったくのオリジナルで、音質的にも優れたものだった。


     
 
755Aの音について

 

Western Electric 755Aは、非常に高い分解能と忠実な再現力を目指して設計されたスピーカーで、高音域には、このスピーカーに特徴的な独特の音色が色づけされている。スピーカーでは、高い分解能や描写力を追求すると、音楽再生上のバランスが崩れたり、過度に妖艶な音を発したり、はたまたピュアすぎても蒸留水のような味気ない音になることがあるが、WE755Aの場合は、非常に高い分解能と忠実な再現力に、たぐいまれなバランスと音楽性を実現している。高音域の音色も音楽性を高めることはあっても、いささか品格を貶めるものではない。おそらくは、マグネット型フルレンジコーン型のスピーカーの最高傑作のひとつにまちがいないだろう。


     
  どのように鳴らすか  

専門誌の特集などに、WE755Aは、鳴らすのが難しいと書かれてある。これはこのスピーカーが、非常に繊細かつ敏感に、そのシステムの音を実に忠実に出してしまうからだと思う。だからシステムの悪いところはより悪く、よいところはよりよく再現してしまうのではないかと思う。うまく鳴らないのは、途中の問題個所を直せばよろしいということだ。システム全体を高度にバランスさせれば、驚くほど素晴らしい音で鳴る。反面、これはとても興味深いことだが、このスピーカーの固有の魅力的な高音域の音色は、これらの一切に関係なく美しく歌う。かなりいい加減なシステムでも、このスピーカーを繋ぐと、おやっと思わず振り返るような音が聴かれる。


     
  755Aのペア組み  

もともとWE755Aは、個体差が非常に大きく、製造時の歩留まりも非常に悪かったものと思われる。またすでに製造後50年以上も経過しているので、使用状況による経年変化も大きく、個別のユニットの音色の相違は、非常に著しく、音色的にペアをとるのは至難の業と言える。ショップの話では、20から30本くらいでやっと何本かのペア取りができるとのこと。私としては、モノラルで追い込んで使用するか、音の違う2本をステレオの左右の音を聴き比べて、相性のあうほうに繋げば、それでよいと思う。しかし、これではステレオ再生時にうまく定位させるのが難しい。

     
  低音が出ない  

JBLの075というツイーターは、すばらしい音がする。この音そのままで低いほう迄、全部カバーしてくれないかという欲求にかられることがあった。WE755Aの場合もこのバランスのままもう少し低音が出てくれないものかと泣きたくなる思いをしている人も多いのではと思う。低音に関して云えば、ユニットの個体差によって、高音は若干弱いが低音が少しは出るというものがある。これは初期に製造されたものなどで、アルニコ磁石の減磁がすすんだことによるものだろう。またエッジに塗られているビスコロイドは硬化が進む。一般に755Aは、低音が出ないといわれているが、これは、50年以上かけてエッジのビスコロイドが硬化して、f0(最低共振周波数)が高くなり、低音でにくくなるためだ。この意味で現存する755Aは、製造時の状態とはまったく違った音になっていると思われる。どうしても低音という場合には、箱で出すか、音色的に合うユニットで低音を補うことになるが、どちらも試練が待ち構えている。私の場合は、魔法箱と称する箱を使用して楽器として鳴らしている。あとは平面バッフルがよいだろう。

     
  追い込みと試練  

とても高い分解能と高度な再現力のあるスピーカーだから、鳴らすために追い込むときには、覚悟と注意が必要になる。私の場合、モノラルレコードで追い込んでいく段階で、困った経験をした。たとえばクラシックの二重奏や四重層を聴くと、個別の演奏パートの楽器の音がはっきり分離して聴こえてくる。バイオリンの演奏も指の動きが見えるような錯覚すら覚える。演奏家の呼吸のスーハー音も当然ごとく聴こえ、レコーディングの音の色づけまでもわかる。こうなってくると、ピアノのミスタッチや演奏のテンポの乱れや伴奏が合わずに必死で追いかけたり、はたまた追いつくのを待っていたりが手にとるように分かるようになってしまう。今まで、とても気にいっていた愛聴盤の演奏が実はあまりに下手糞だったというのが分かってしまうと、もう騙されていたような気分になって、この盤から遠ざかることになってしまう。このようにして、再び聴けなくなった"過去の愛聴盤"がたくさん出来上がってしまった。


反面、今までわけのわからなかったように聴こえるような演奏が、理解できるようになり、名演の名演とされる所以が分かってくる。また、今までに聴こえてこなかった音が聴こえてくるため、レコード・ライブラリのもう一度聴きなおすことになり、これはまた、今までにない発見になる。

 

 
  15ミリ厚のベイ松合板製のWE指定箱がひとつと、研究中の共振タイコ原理箱(通称魔法箱)がひとつ、そしてカラ松合板の900X900ミリの平面バッフル、ラワンかまぼこ状態反りの900X900ミリの平面バッフル、20x30ミリのバッフル(壁面共振用)などなど。


5/9/2003(3/4/2005 写真追加)

http://mikami.a.la9.jp/audio/we755a/we755a.htm




孤高のドライバー Western Electric 594A

1933年4月27日に行なわれた、ワシントン・フィラディルフィア間141マイルの電話回線を使用したオーケストラの立体音響伝送実験(オーディトリ-・パースペクティブ)は、ベル研究所が当時の最高水準の技術を結集したエクスペリメントとして歴史に残る。このためのシステムは、膨大なコストと人員が投入された。当時の技術水準と貨幣価値を今日に比較換算するならば、NASA的なプロジェクトと考えてもよいだろう。

このときの再生用のシステムが、幻のフレッチャー・システムであり、おそらくは人類史上最高のシステムと評価できるものだ。すべては、このエクスペリメントのために研究開発された。

このスピーカー・システムは、低音部に20インチの巨大な金属振動版を持った折り曲げ低音ホーンと大口径4インチ振動版を持つ中高音用のホーンドライバーで構成されている。中高音ドライバーは、マルチセルラホーンである。このシステムは、当時の映画産業界から劇場用としてのリリースの声が大きかったが、低音ホーンのエコー現象もあり、実際に業務用の装置としては量産されることはなかった。製造された数は、10本に満たないと思われる。

しかしながら、このシステムの中高音用のドライバーは改良を経て、世に出されることとなる。これがWE594A Loud Speaking Telephone 、すなわち今日我々が目にすることのできる、あのWE594Aドライバーである。その生まれからしてただならぬ血統のスピーカーである。このドライバーの性能は隔絶したものである。自動車に例えるならば、F-1レーサーのようなものだ。

WE594Aは、WE555とは異なり、2Wayのシステムとして、あくまで低音用のスピーカーと併用することを前提に作られている。しかし皮肉なことに、このドライバーとつなげられる相棒は、かのフレッチャーシステムの巨大金属振動版低音ホーン・ドライバーだけなのである。これ以外の紙の振動版のウーファーでは、やすやすとはつながらない。

WE594Aは、その生まれから、まさに孤高の存在であった。究極の理想を求めて設計され、卓越した性能を発揮するが、それとバランスできるウーファーがないのである。

最近は、いろいろなところで594Aが鳴っている。しかしその多くは、我々に忍耐を強いるようなサウンドを轟かせている。オーナーは、これがウエスタンのすばらしい音なのだから、この良さが分からない者は、オーディオを語る資格がないといわんばかりの情熱を傾注する。聴衆も自分の耳に自信がないからか、恐れ入って敬意を持って、いい音だと絶賛する。裸の王様の世界そのままである。正直な人は、私はこの音を好きになれませんとかウエスタンの音というものはこの程度のものかと思ってしまうかも知れない。

このような悲劇は誰のせいでもない。そもそも本来のウエスタンの音を聴いたことがある人がいないのだ。それはもう70年以上前にこの空間から発して、そして消えてしまい、人々に語り伝えられた、伝説の音なのである。今日に生きる人々は、当時のシステムを可能な限り再現し、失われた音を復活させようとしているのだ。私は、その情熱に心から協調する。しかし再現された音が、はたしてその本来のウエスタンの音であるかどうかの検証は、とても難しい。

この"孤高の"594Aドライバーは、そもそも鳴らすのが至難の代物なのだ。よって、やかましい音で鳴っている594Aに出会っても、達観しようではないか。趣味でF-1レーザーを所有しているようなものだと思えばよろしい。そしていつの日にか鳴らしきることを生きがいとすれば、これはすばらしいライフワークとなる。
http://mikami.a.la9.jp/audio/we594a/we594a.htm?.tok=bcwjY6SBu.hmxIxe&.dir=/594A&.src=ph



  594A Driver + 24A Horn
 
音響分野の技術研究が最高水準にあった時代、ベル研究所が惜しみなく研究開発費と人材を投入して完成させた、歴史上の頂点に立つドライバー・ユニットWE594A型

 このドライバーは追い込めば追い込むほどにその能力を発揮していくという、レーシング・マシン的な色彩を放つ。このドライバーを理想状態で鳴らし、これに低音をマッチングできれば、ウエスタンの一つの峰の頂上に到達できるのではないかと思う。しかしまだ、555という謎の峰も霧の中に見え隠れする。

 594Aに接したときには、そのストイックさの中に啓示を見る思いだ。くたびれたときには、一休みしてWE555の世界に安堵を見出そう。
http://mikami.a.la9.jp/audio/24a594a/24a594a.htm


  Western Electric 551 Driver  


マグネチック方式最後のドライバー トーン・ポリシーは555に引き継がれている

551のトーンは、蓄音器のもつ絶妙のプレゼンスを彷彿させる。この551以降ウエスタンのドライバーは、有名な555に引き継がれるが、555ドライバーの音はこの551のトーン・ポリシーを受け継いでいる。すなわち血脈の音である。


生、原音のプレゼンスを求めた蓄音器、

それを目指した551、

その血を受け継ぐ555ドライバー

と世代が変わってもその求めるところは変わらない。技術革新という意味では、この551と555の間には飛躍的なものがある。そして近代ハイファイの原点であり到達点となるの594Aドライバーに引き継がれる。

555と594Aの世界は全く異なるが、いずれもが到達点であり双璧である。蓄音器、551、555、594Aと聴いてみると人類の音楽芸術と音響技術の歴史的変遷と融合を理解できる。

  551は、約500オームのインピーダンスとして扱い、真空管式の500オームの二次インピーダンスのトランスがついたアンプで鳴らさなければいけない。低い周波数をカットするために0.1u程度の品質のよいキャパシターを直列につないで使用する。魂に浸透するような音の世界が現出する。

マヘリア・ジャクソンやバッハのパルティータを深夜に静かに鳴らす。こうなると蓄音器に近い世界で、555も594Aもタジタジである。もうHMV203を持ち出すしかない。SPの復刻をこのドライバーで架けるとそこらの蓄音器ではとても追いつかないものがある。
http://mikami.a.la9.jp/audio/551/551.htm

3:777 :

2022/05/21 (Sat) 13:51:45

個々の機器は小さな原子核反応炉のようなものであり、それが相互に結びつくと、大きな反応体として動作していると想像してみてください。 私自身の体験からいって、反応炉どうしが反応し合わなければ、いかに大型フロアスピーカーでも、ラジカセ並みの音しか出ません。 
デッカアーク型スピーカーを例に挙げてみましょう。 キャビネットに組み込まれているグッドマン社製20cmフルレンジユニットのマグネットは、500円硬貨より少し大きい位で一見非力なスピーカー。 それに極めて小さな出力(1Wそこそこ)のパイ社製ブラックボックスアンプリファイアーを接続すると、50畳あまりのオフィスいっぱいに良質な再生音で満たされるます。 それを一度聴いていただければ、たちどころに反応力というものを理解していただけます。 現代の数百ワット出力アンプリファイアーを使用して低能率スピーカーを駆動するのとは、まったく異なったスタイルで動作しているとしか考えられません。 

ここに電気信号再生の本質的な問題の根源があります。 ヴィンテージオーディオの時代、電気信号の伝達に使われる電流の量は、質的なものを伝える為だけ有れば十分でした。 電気信号という船を浮かべ進めるだけの水量があれば、それ以上必要はなく、それ以上あると、かえって反応力を損なってしまうのでした。 それゆえにむやみな大出力アンプは製造されませんでしたし、必要もなく、当時のスピーカーに接続しても良い成果は決して得られません。 例をあげてみましょう。 今日のヴィンテージオーディオファンであればどなたでも御存じである、WEのトーキー用スピーカーで説明してみます。

WEシアターサプライスピーカーは、基本的に低域、高域にホーンロードをかけています。 そのため巨大なものになり、初期の555レシーバーをフルレンジに使ったシステムでも長大なホーンロードと開口部が必要です。 のちのTA4181Aと594A型ユニットを搭載したミラフォニックシステムは、さらに巨大な仕掛けのものになります。
 
スピーカーは大きいのに、アンプリファイアーの出力はとりわけ大きなものではなく、555レシーバー専用アンプリファイアーであった41、42、43アンプリファイアーでも、今日のトランシスターアンプ出力から考えれば、特別大きな出力ではありません。 そうした比較的小出力で劇場での使用に耐え、なおかつ効果的な広告が可能です。
 
WEのトーキーシステムの中で働いている、電気信号自体の性質が、現代のオーディオとは全く別の力を保持しているのです。 それこそが核反応的な連鎖であり圧縮、拡張と言うやり取りの後に、再生結果として提示されるのです。 ただアンプリファイアーが連結して圧縮、拡張を行っていっても、そのままでは核反応を発生させることは出来ません。 問題は電気信号の圧縮と拡張が、何のために行われているかです。 

今日のオーディオでは、この圧縮と拡張は利得を得る為であるとか、アンプリファイアーの出力の増大として解釈されていますが、この時代のシアターシステムはそうではありません。 それは電気信号の加工に使われたのです。 加工され、可変された電気信号は、アンプリファイアーの出力という船に乗って、スピーカーに送り届けられ確実に爆発します。 しかしこれだけでは核反応爆発力を長続きさせることは難しい。 確実に誘爆させ、それを連続的爆発に導くには、スピーカーを臨界に保ち、いったん電気信号が入ったらそのまま臨界点に達する様にしなければなりません。 

そこでコンシューマーユースホームオーディオとは、全く別の仕掛けを持った機材が必要になってきます。 WEのアンプリファイアーがその大きさの割に出力が小さいのは、ここに仕掛けが施されているからです。 出力より反応力の方に重きを置いたアンプリファイアーだったのです。 アンプリファイアーに限らず、光学式サウンドトラックフィルムの入力から、終段のスピーカーシステムに到るまで、あらゆる個所に反応する仕掛けが仕込んであります。 つまりWEのトーキーシステム全体が反応体の固まりであり、そのシステムブロックの一個一個が原子核反応炉みたいなものです。 こうした仕掛けがあるからこそ、小さな出力であっても大規模な拡声が可能です。 逆にいえばWEのスピーカーシステムの優秀さの証しでもあります。 

およそWEのトーキーシステム全体を見渡し、その反応力の値を考えた場合、もっとも強力な力を示すのはスピーカーです。 WEに関わらずRCAやヴァイタヴォックス、BTH、アルティック等のシアターシステムのスピーカー能率は大変高く、標準的には1W入力あたり105~110 dbほどになります。 これはコンシューマーユースのものと比べればかなりの高能率であり、音圧も出るのですが、それはあくまで1W入力時の話です。 劇場で使用する際は、もちろん1Wで済むはずがありません。 当然もっと多くの入力信号を送ることになりますが、さて、ここで能率と音圧の秘密をお話ししなければなりません。

WEのトーキースピーカーは、入力信号の上昇に対してリニアに追従して働きます。 入った分だけ音圧が大きくなるのです。 なんだそれは当り前ではないかと思われるかもしれませんが、失礼ですがそう思う方は真のトーキー用スピーカーの何たるかを知らず、ちゃんと聴いたことが無い方です。 何故ならWEだけでなく真のトーキー用システムが、圧縮、拡張、反応力の三つの力を総動員して、核反応力を発生させたなら、人間はそのすさまじい音圧にリスニングルームに座っていることすら不可能です。 トーキーシステムとはその様なものです。

 スピーカー自体の入力信号に対する変換効率、能率がコンシューマーユースのものとはまったく別物であることを意味しています。 WEトーキーシステムにとってスピーカーの能率とは、再生音における最低保証値であり、1W入力-105/110dbという値は、アイドリング時のエンジン回転数と同じ状態にあるのです。 

ところがこの値はコンシューマーユースにあってはこの値はむしろ、最大音圧レベルに近いものであり、これを考えると両者のIW入力-105-110dbという値は業務用の場合は最低値を示し、コンシューマーユースは最高値であると言うことになります。 そして反応力という立場からみると、両者の能率、音圧レベル特性値とは、1W入力に対する反応力の値であるということに思い当たります。 これがマジックです。 

私達はこのことを知らずに来てしまった。 

確かに能率という面から見ればシアター用スピーカーは1Wでも鳴ります。 しかしそれは反応力がなければ、ただ鳴っているだけです。 シアタースピーカーシステムを鳴らすには、たとえ1Wでも確実に核反応を発生させるアンプリファイアーでなくては、シアタースピーカーの真の能力を示すことは出来ません。 しかしシアタースピーカーを家庭で使用する場合、そのほとんどが核反応力が殺されているのが現実です。 そうでなければ、すさまじい音圧レヴェルでレコードを鑑賞することになり、これは劇場かそれに準じるスペースを確保されている方にのみ許されることです。 

たとえ、そうした空間で映画を上演するならまだしも、レコードを再生するとなると、それは家庭で鑑賞するために制作されたレコード本来の音質とは程遠いものであるのは、ユーザーご自身が良くわかっていることでしょう。 それでは反応力で動くスピーカーが、他の様式で動作して生み出される再生音は、どうでしょうか。
 
シアターサプライ用システムを開発した会社は、家庭での音楽の繊細な表現に用いるためのコンシューマーユースも研究開発しました。 シアターシステムを家庭でそのままレコード再生に使用するとなると単なるPAにすぎなくなり、ホームユースオーディオシステム全体が難聴患者のための拡声機となってしまいます。 したがって転用するにあたって、シアター用とはまた異なる仕掛けが必要になってきます。 特にフォノイコライザーとその後のラインプリに重きを置き、多種多様な可変機能を付属させていきます。 それはレコードという音楽媒体に対して反応させるものです。 一時流行した入力信号を可変させないプリアンプが、大出力パワーアンプと組み合わされた時、拡声機的な再生音となることを思い出していただきたいのです。 

こうした拡声器的再生音は、ヴィンテージ時代のハイフィデリティではまずありえないものでした。 信号とは可変されるもの、というのがポリシーだったからです。 

それではここでシアターシステムスピーカーを汎用転用して、ホームユースとして製造されたモデルについて書いてみましょう。  これらの品は生まれはPAですが、ホームユース品として販売され、なおかつ評判も良いスピーカーシステムです。 米国JBL・ハーツフィールド、パラゴン、エレクトロヴォイス・パトリシアン、英国ヴァイタヴォックスコーナーホーン型等がざっと思い当たります。 アルテック、A7、A5を入れなかったのは、これらは完全なPAであるためです。 又独オイロダインもPAの部類に入るので書きません。 

上記のスピーカーシステム群における共通点は、クリップシュ型の変形コーナーホーンを採用していることです(パラゴンはフロントロードですが。 これらのスピーカーシステムは、一見1Wあたりの入力をコンパクトなボディで、シアターシステム並の音圧レベルを得る為のものにみえますが、実際にPAとして使うと問題が生じます。 PAにとって必要欠かさざる音の到達距離がより短いのです。 確かに家庭用としては他の形式のものより、格段に音は飛びます。 しかし、純粋なシアターPAと比べるとかなり落ちるのです。 

私はこれを試したことがあります。 アルテック1570Bアンプリファイアーで音圧レベルは小さな劇場並みで実験したのですが、10mまではヴァイタヴォックスコーナーホーンもロンドン・ウエストレックスホーンシステムも、音圧と浸透力いずれも変わりません。

 15mを過ぎると途端にヴァイタヴォックスの方が落ちてきて、20mを過ぎると完全にウエストレックスによる再生音が到達してきます。 これは1570Bの入力ボリューム目盛6くらいのポジションでのことで、ゲインをもっと開放するとその差はさらに広がります。 これがクリップッシュ型コーナーホーンの特性で、ハーツフィールド、EVパトリシアン、英ヴァイタヴォックス各社が、コーナー型クリップッシュホーンを用いたのは、業務用機のPA臭を取り除き、ホームユース用に仕立てる為、絶妙なる仕掛けを仕込んだからです。
 
これらはいずれもコーナー型である為、中高音用ホーンがリスナー正面に向くことはなく、中高域を反射させてきつくなるのを避けています。 それでもコンプレッションドライバーの再生音は、他のコンシューマーユースのモデルと比較すれば相当エネルギーは強いのです。 そこで製作者は、中高音ホーンをキャビネットでカバーしたのです。

 ヴァイタヴォックスコーナーホーンや、EVパトリシアンの中高音ホーンがキャビネットに内蔵されているのは、ただ全体としてのデザインを考慮しただけではなく、それなりの理由があります。 ヴァイタヴォックスコーナーホーンの中高音カバーを取り去ると、再生音は途端にPAくさくなります。 そして低音ホーン開口部面積と、中高音ホーンの開口面積比率にも念入りに計算された意味があります。 中高音ホーン開口面積に対し、低音ホーンの開口面積はかなり大きくなっており、それはとりもなおさず、ホームユース的に豊かな低音再生を狙ったがゆえなのです。
 
反応力という観点から見れば、反応力自体をコントロールしていることにもなります。

 それは事実であり必要なことでもあります。 ホームユースは最大音圧というものが限定されているからです。 それは慎重に製作者側の意図する所によって音響デザインされており、シアター用スピーカーをホームユースに使われる方がしばしば陥る音優先のシステムとは異なるのです。 なぜなら、これらのスピーカー群はレコード再生に必要な音色とゆたかな音楽性を備えています。 全ては有能なエンジニア達が音楽の為に考案製造したシステムであり、反応力の抑制は音楽の女神へ捧げられた供え物でもあったのです。
http://blog.livedoor.jp/thorens/archives/51748646.html
http://blog.livedoor.jp/thorens/archives/51749181.html
http://blog.livedoor.jp/thorens/archives/51749261.html
4:777 :

2022/05/21 (Sat) 13:52:59

ウエスタン・エレクトリックという迷路


欧米のハイエンド製品を手にしても満足が得られなかったユーザーは、次に禁断の世界に入り込みます。

ご承知の通り米国の頂点、ウエスタン・エレクトリック(WE)の扉を開くことになります。

この時、この道を歩む人は冷静さを失っていました。なぜならば、WEの機器を使用している環境や背景を全く考慮していなかったからです。

この時代の米国には優れた業務用の機材がたくさんあります。1920年以降米国の優れたエンジニアは通信や映画産業に関わりをもちます。その結果WEのみならずRCAやランシング、アルテック等がすばらしい製品を生み出しました。しかしこれらのポテンシャルが如何に優れていても映画館や大きいホールで発揮されるものです。

少なくとも50畳以上の部屋があればある程度本来の能力を発揮するとは思いますが、こうした恵まれたリスニングルームを所有できる人は例外中の例外ではないでしょうか?
私もかつては、音楽再生ではWE594Aを上回る最高級ドライバーといわれるランシングのドライバーに、ウーファーの最高傑作の一つであるRCAのユニットをダブルで使用しました(もちろんフィールド型ユニットです)。 ベートーベンのシンフォニーをかけると30m離れた隣地のテニスコートで、街の雑音に打ち消されることなく明確に聞こえ驚きました(駆動アンプは300Bシングルで最大出力は7Wです)。

なんと家の中よりはるか離れた外の方がしっかり聞こえるのです。ここにWEの業務用機器の本質があるのではないでしょうか?

多量の空気があって初めて素晴らしく聞こえるのです。

また、現存するこれらの機器で良品は少なく、その上相当高額です。家一軒分をつぎこんでも多くの人はオーディオのターミナル(終着駅)とは感じないようです。 日本人特有の舶来信奉とWEという究極のブランドがそうさせるのかも知れません。
http://www.rrltd.co.jp/rrplaza/episode/vol04.html



▲△▽▼

WE(ウエスタン・エレクトリック)体験 1999.10.2

通りがかりでは見つけられない場所に、その小さな協会の様な建物は在る。 そして、その入り口のガッチリとした扉に付いているドアノブの形を見るだけで、何かを期待させる。

重い木製の扉を開け、一歩その空間に入ると、目の前に、開口部が2mはあろうか思われる巨大な黒塗のホーンが 居座っているので、否応無く来る人の目を捕えるはずだ。 普段決して見ることの出来ない異様な形をしているので、オーディオマニアでない限り、 それがスピーカーだと気付かない人もいるかもしれない。その音を出す巨大なオブジェは、実際には、 部屋の中程の左右にあるのだが、その大きさゆえに目の前に迫ってくる。 コンクリート造りの切妻型の屋根の形のまま吹き抜けているこの建物は、 そのスピーカーシステムのために建てたのかとも、思えるほど、部屋とスピーカーが馴染んでいた。

その高い天井から間隔をおいて下げられている三つのアンティークガラスのランプは、奥から銀杏を 模したデザインの金具を持ったアールヌーボーのもの、真ん中はアールデコの様式の同じ作家の クリスタルガラスのもの、一番手前は、やはり、アールヌーボーの有名な作家のもの、と言う具合で、 好きな人が見れば、それが普通に使われ、白熱光が、美しいガラスを通し、光を放っているのを見ただけでも、 来た価値があるというものだ。

これは、Sさんに紹介されて、Aさんのお宅を訪問したときのことだ。ぼくと同じように大きなスピーカーを、 真空管アンプを作って鳴らしている友人がいるから紹介していただけるというので、 喜んでその好意に甘えたのだが、まさか、ウエスタンエレクトリックの15Aホーンを使っているとは!! いくら好きでも、そして、見たいと思っても、まずお目にかかれぬスピーカー。 見るだけでなく、その音を聴けるとは!全く予期せぬ幸運。

15Aホーンにつけるドライバーとなると、やはりWE555をおいて他には考えられない。この日はあえて、 型番は尋ねなかった。聞く余裕がなかったのかもしれない。「右のホーンは25才の時に手に入れたの だけど、左が大変だった。日本で見つからないので、しかたなくアメリカから取り寄せたんだ。 見て買えないから、 とりあえず買ってしまうわけ。着いて見たら、4ピース位にバラバラだったりして・・・ 結局このホーンを見つけるまでに、都合、4つ買ったんだよ。」という説明を傍で聞いていると、 大変だったというよりも、楽しそうな口調に聞こえてしまう。

ツイーターも写真で見たことのあるWEのもの。そのホーンの後方の高い位置に、やはりWEのものという セクトラルホーンが、こちらを覗いている。 よく見ると、そのホーンが乗っかっているのは、縦横2mを超える米松合板でできた平面バッフル。 後ろにまわると、補強桟がまるで文庫本の棚の様に細かく取り付けられていて、聞くと、これは自作で、 46cm励磁型のウーファーが取り付けられていた。どれもステレオペアで揃えられているので、相当な迫力だ。 そのウーファーの電源部という金属箱のなかには、電球の様に強烈な光を放つ真空管があり、 パンチングメタルのカバーの模様を、平面バッフルに浮かび上がらせていた。そして、 これらを駆動するアンプは、アルティックの業務用真空管式2台で、モスグリーンのフロントパネルが 美しい物である。こうして話していると、洗練された美しい部屋を想像するかもしれないが、実は、 気をつけて歩かないと、何かを蹴飛ばしそうな状態である。しかし、そこに雑然と置かれた物達は、それぞれ、 好きな人が見れば、天井のランプと同様に、とても価値のあるものである。そしてそれらの主は、まだ 40代の、よく日に焼けた、一言でいうと、“味のある男”だ。「あぁ、この日焼け?土方焼けさ。今、 大工さんと一緒に、家に茶室を作ってるんだ。」「・・・」

様々なことに深い知識と洞察力を垣間見せるAさんは、ギリシャのパルテノン神殿と 法隆寺の柱の関係を、普通に言われるさらに先のことまで 語ってしまう。「あの神殿の石の柱の元の姿は、実は法隆寺の柱そのものなんだよ。」「?」 「石の柱になるさらに前は木の柱だったのさ。だから、あちらの建築家は法隆寺を見ると、自分たちの 文化の原形が見られると大喜びさ。ヨーロッパの家も元々は木で築かれていたんだよ。ところがね・・・」
話はどんどん進む。 ローマ時代の石畳の寸法と現代の石畳の寸法の違いをぼくは、偶然、工事中の場所で見る事ができたのだが、 Aさんは詳しくは話せない理由で知っていた。
この人の仕事は、大工でも建築士でもない。

彫刻、絵画、建築とひとしきり会話した後、おもむろにレコードをレコードプレイヤーの リンのLPー12に乗せ、針を落としてくれた。部屋に入った時から、すでにさりげなく 全ての電源は入っていた。

チェンバロが等身大で鳴り出す。
金属弦を引っかく音はまさに そのように、木製共鳴胴の鳴る音はそのようにと、音の質感がリアルにそのまま感じられる。

この音の響きは、今までに聞いた事がない。
「ウーム。」WEを好む人の気持ちがわかる。

「ナツメロだよ。」と言って“パフ”のライブ盤をかけてくれる。
ふっとスピーカーの向こう側に まで、空間が広がる。拍手の音がまたいい。

アルティックやJBLが出来るはるか昔、今から半世紀以上も前に 出来たスピーカーが、現代の物以上の可能性を見せて鳴っている。主の努力とセンスがそうさせているのだが、それは不思議な光景でもある。

人によっては名品。人によっては只の古い物。 古いと言われる物でも、それを持つ人の気持ちによっては、実際に、 最新のものを凌駕する。

しかし、このサイズの物を持つには、困難が付きまとう。
“現代の技術は物を小さくする事だけに注がれているのかも。”と余計なことまで考えてしまう。

「世の中の大半を占めるサラリーマンの人がいう趣味は、単なる息抜きの意味だけど。 本当の趣味の意味は・・・」

「!」それは、ぼくも思っている事だった。

外に出るとすでに、初秋の夕暮れになっていた。
http://meisendo.o.oo7.jp/aword120.htm


5:777 :

2022/05/21 (Sat) 13:56:50

- 記憶に残る人(重体患者からのメール)-

記憶に残る人を1名あげてくださいと言われれば、私は次のかたをあげます。

個性的なかたがオーディオには不思議と多く、印象に残っている人ばかりなのですが、このケースだけは、少し事情が違っていました。

あまりにも、おそろしい余韻が、今も残っています。

氏名も定かではありません。住所も、何も知りません。たった2通、舞い込んできたメールでした。私が全く知らないかただからこそ、書けることです。それはそれは、今思い出しても、おそろしい内容だったと思います。それ以上おそろしい状況に陥っていたかたは、他には知りません。

ある日、メールが来ました。次のようなメールでした。


「ウェスタンエレクトリック(WE)のフィールドスピーカーを鳴らしていますが、困った状態になってしまっていますので、アドバイスしてくださいますでしょうか。」


短いメールでした。私の返答は、下記の短い内容でした。


「ウェスタンエレクトリック(WE)のフィールドスピーカーを鳴らされているほどのかたでしたら、私のアドバイスなど必要ないでしょう。私のサイトをくまなく読まれて、もしヒントがあれば、それを生かしていただいて、あとは、ご自分でセッティングされていかれればいいのではないでしょうか。」


二週間ほどして、再度、短いメールが来ました。


「本当に困っているのです。オーディオで、良いと言われるものを、次から次へと買い集めた結果、どうにもならない状態になってしまったのです。どうしていいか、全く分かりません。お願いします。」


これで状況の全貌がつかめました。想像以上に、深い「オーディオ地獄」に陥っておられるかただということが、分かりました。ウェスタンエレクトリック(WE)のフィールドスピーカーは、尋常な価格ではありません。それだけでも相当の金額ですが、そのレベルと同等の金銭感覚で、良いというものを次々に買い漁ってきたとなると、およそ我々には想像できないほどの、大金が動いていたと思われます。

私はそのとき、純粋に、まったく「音」のことしか、考えていませんでした。

そして、次のようなメールを送ってしまったのです。


「了解しました。事情は分かりました。機材はあとでいいですから、まずは、今、持っておられるオーディオ屋で勧められて買われたケーブル、または、ご自分で買われた高額なケーブル類を、全部、ゴミ箱に捨ててください。または、売却されてください。とにかく一本残らず処分されてください。それからでしたら、本格的に、ご相談に乗ります。その後、再度メールください。」


でした。その後、二度とメールは来ませんでした。
私の書いたことの意味が、分からなかったのでしょうか。


今にして思うに、私はうかつだったのかもしれません。相手は、おそらく重症の患者だったのです。自分自身で身動きすら全く不可能なほどの、緊急の大手術が必要なほどの、救急車で搬送しなくてはならないほどの、重体の患者だったのです。


「一体全体、どれくらいの大金を、ゴミにつぎ込んだんだ!!」


今思い出しても、はらわたが煮えくり返るほどの、気持ちにかられます。


ウェスタンエレクトリック(WE)のフィールドスピーカーに、お金をつぎ込むほどのかたは、尋常ではありません。


どこでそんな大それたものの知識を得てきたのかも、定かではありません。

普通の中古オーディオ屋さんは、いくらなんでも、そこまでのものは、勧めないものです。

つぎ込んだお金の総額は、五千万円なのか、七千万円なのか、一億円なのか、家族は? 家庭は崩壊していないのか? その後、破産してはいないのか?


次から次へと、疑問が沸いてきます。


「ケーブルを全部ゴミ箱に捨てろ。」などではなく、もっと徐々に、正常な軌道に戻してあげることは、自分にあの時、出来なかったのだろうかと、今も、ふと思うことがあります。あまりにも短いメールでしたので、そのかたの状況、その奥の奥まで見通すことが、そのときには、出来なかったのです。

今にして思うと、このかたの声は「肥溜め」から発せられていた「救助」を求めるSOSの声だったのです。肥溜めに落ちてしまい、どうあがいても這い上がれず体中をウジ虫が這い回り、死を待つしかないという状況、あれこそは悲痛なる「うめき声」だったことが、今でこそ分かるのです。

■これを読まれるかたは、はっきりと、認識されておいてください。私は断言します。


ウェスタンエレクトリック(WE)のフィールドスピーカーなど、本物のF1マシンです。

クラウンD45の商品説明で記述している通りの、本当に、戦国時代の「妖刀」そのものです。


100万円の、ゴミケーブルごときレベルのもので、鳴らせるわけがありません。

500万円の、ゴミアンプごときレベルのもので、鳴らせるわけがありません。


スピーカーとアンプ、又は、ケーブルとの相性が合うだの合わないだの、低いレベルの話を、いつまでも言っていてはダメです。

F1のレベルは、「品質と技術の絶対的な高さ」だけです。ただそれだけです。徹頭徹尾、それが要求されています。F1レースの世界と全く同じです。

そして・・、

例えケーブル類が全て、第一級品のプロ用であって、健全なものだったとしても・・・、

アンプは? 

ウェスタンエレクトリック(WE)のフィールドスピーカーの設置角度、高さ、奥行き、場所は?、

一ミリ単位で、全てその音から逆算していって、本能的に計算できるでしょうか?、

部屋の音響処理は?、

そして、たった一個のプラグが音に与える影響まで、この箇所は金か銀か、全ての箇所を、一つも間違えずに、音から、一つの前後の狂いもなく、全プラグの正解を逆算できますでしょうか?


音響処理グッヅなど、さらに混乱を招いてしまうだけに終わり、ウェスタンエレクトリック(WE)のフィールドスピーカーの前では、害悪になるのみで、これもまたゴミに過ぎません。全く役にも立たないどころか、足を引っ張る程度のものばかりなのです。

自分の耳で、目で、肌で、部屋の中を徘徊している音の複雑なルート、それが全て明瞭に見えているだけの「能力」がなくてはなりません。同時に、周波数特性の計測装置より正確に、全てのケーブルと機材の特性が、耳で把握できなくてはなりません。

ウェスタンエレクトリック(WE)のフィールドスピーカーとは、それほどまでに恐ろしいものだと認識されてください。

そこまでは無理だと、誰でも思われるでしょう。そう思われるのであれば、「妖刀」には、絶対に近づいてはならないという「印」です。

それが、し・る・し、です。


又は、音の修行僧として、一生涯を送るかです。

選択は、二つに一つです。例外はあり得ません。


もう一種、同程度に恐ろしいものを書いておきます。アルテック612Aモニター(銀箱)のオリジナルです。別の箱に604ユニットが入ったものは、その限りではありません。612A(銀箱)オリジナルには、WE同様、絶対に近づかないでください。612A(銀箱)オリジナルも、上記の能力が全く同レベルで必要な「妖刀」、「化け物」です。鳴らしきれるはずがありません。


あのメールのかたが、ご家族のかたと、今も幸せに暮らしておられることを、心から祈っている次第です。
http://www.procable.jp/setting/17.html
6:777 :

2022/05/21 (Sat) 14:12:16

「俺の装置はウェスタンだぞ」

世のウェスタン所有者はとかく王様になるタイプが多い、「俺の装置はウェスタンだ、下々のマニアとは違う、」と見下げた感覚で簡単には聴かせてくれないウェスタンマニアが多い、このようなマニアこそ私に言わせれば「猫に小判、豚に真珠」と言いたい、ウェスタンマニアになるとケーブルからパーツ迄何でもウェスタンでないと気にいらない、(これは一種の病気としか思えない)このようなマニアこそ良い音を出す術を知らない、また音さえわからないから音作りは他人まかせ、ウェスタンだから良い音が出るだろうと思ったら考えが甘い!、確かに上手く鳴らせば素晴らしい音になるのだろうが、本当に良い音で鳴らされているウェスタンマニアは極少数だと思う、これだけの大がかりなシステムになれば至難のワザだと感じる、私はウェスタンサウンドが最高の音とは思っていない、ウェスタンの10分の1いや20分の1の費用でウェスタンと同等の音は出るはず、それがオーディオの面白さだ!



ウェスタンエレクトリックを知らなければオーディオを語るなかれ

 この文句はすべてのオーディオマニアについて言える言葉であるがウェスタンマニアやウェスタンを扱うビンテージショップ等は(ウェスタン以外はオーディオではない!)とウェスタン以外のオーディオを(小バカ)にしていますが、本当にウェスタンサウンドは別世界の音なのか、

 オーディオ雑誌の管球王国やMJ誌には必ずと言ってよいぐらい記事で取り上げられている、特に管球王国は諸先生方のウェスタン試聴記が載せられて誌面を楽しませてくれていますが、SUNVALLEY AUDIOの皆さんも実際にウェスタンサウンドを聴かれた方は少ないと思います。

 雑誌などの記事での文章だけでは音はわからないし自分のアンプを使用してなら比較対照できます。このような試聴ならある程度の音がつかめますが、一度も見たことも無い、聴いたことも無いビンテージアンプを接続しての試聴記事では残念ながら想像力すら沸いてきません、その答えを出すため今回は私が愛用していますサンバレーのSV-91Bとマランツ#7とでウェスタンアンプを比較すればその違いと全貌があきらかにはっきりと結論が出ます。ただし音の優劣を競うのではなくウェスタンアンプとSV-91Bアンプの違いがどの程度なのかSUNVALLEY AUDIOさんの皆さんも私も興味がそそるものがあります。

今回は「泣く子も黙る」ウェスタンサウンドの真髄と魅力をコラムをお借りして迫りたいと思います。


オーディオの源流

 ウェスタンと言えばスピーカー、真空管の300Bが巷では最高峰と言われていますが、オーディオシステムの中でスピーカーシステムは自分の個性が特に主張されます、

高いスピーカーは良い、安いスピーカーは悪い、とは誰も断言は出来ません。自分の好みに合えばそのスピーカーこそが最良の友であり伴侶でもあります。

ウェスタンサウンドを考えるとそれ以前のサウンドは蓄音機のサウンドであり、かの有名なビクトローラ・クレデンザがウェスタンの原点ではなかろうか、実際クレデンザのホーン構造を見ますとウェスタンの12A、15A、のカールホーンに良く似た構造をしています。(蓄音機の音等は良い音ではない)と思われがちですが、本当に良い音とは電気臭くない音ではないだろうか、生の音を良く聴きますと電気の音はしません、(エレキギター、シンセサイザーは別物)

生の音こそ自然な音です。音はすべてに生が基準になります。

 クレデンザのサウンドボックスを外してウェスタンの555ドライバーを実装して試聴した経験から不思議とクレデンザの音に非常に近い音になります。その時の印象ではアコースティクな響で現代の音とはかけ離れた音に脅威を感じました、これこそ電気臭くない自然な音なのかも知れません。

 アルテック、JBLはウェスタンから分かれた会社ですが、ウェスタンサウンドを聴きますと両者ともあきらかに音の違いが認められます。永い間アルテックやJBLでオーディオを楽しんでこられた方は最終的にはウェスタンに(はまる)方が沢山お見えでそれだけの魅力があるのがウェスタンかも、

過去のビンテージスピーカーでアルテック、JBLに限らずタンノイ、グッドマン、ヴァイタボックス、などの初期型のスピーカーはウェスタンの音色と音作りに一脈通じる気がします。皆さんもタンノイのスピーカーをお持ちの方が沢山お見えですがこのスピーカーも原点はウェスタンになります。タンノイでもモニターシルバー実装のオートグラフを私の友人宅で聴きますとウェスタンの香りが漂ってきます。このように書きますとウェスタンこそがオーディオの源流かも知れません。 
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-006


ウェスタン・エレクトリックは味のない食パンを食べているようなサウンド

 今まで沢山のウェスタンサウンドを聴いてきましたがどのサウンドも一つの共通点がありました、

ウェスタンの音は一言で云うなら音にコクと味が少なくしかも奥に展開するサウンドにはならない、

聴いていると味のない食パンを食べているようなサウンドだ、

また劇場用のサウンドは観客席に攻めてくるサウンドが特徴ですが、以前有名な方がウェスタンの594を持ち込んで試聴会を開いたことがありましたが、ウェスタン特有の音の浸透力に乏しくこのサウンドには魅力を感じなかったのが残念であったが人の声だけは良かった、

 ウェスタンのシステムを採用した劇場を調べますとピンク映画館が多いのがわかった、

なぜならピンク映画館の女性の声は生々しく聞こえないとしらけますね、

特に人気のあった日活ロマンポルノあれは良かった!

 ウェスタンで聴かされる大事な場面での彼女達の声に色気があった、

今思うとウェスタンサウンドは人の声は素晴らしい!
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-036




Vitavox CN-191を 新藤ラボラトリー RA147 4 と 124Dで鳴らし、プレイヤーは Garrard 301のセンタスピンドルを改良してでかいターンテーブルを乗せ、アームにOrtofon RF297に厳選したSPU-Aをチューンアップした眼も眩むようなカートリッジ, という組み合わせが出来上がった。

それから35年僕はこのシステムで音楽を聴いた。オーディオには幾つか頂点があるが、このシステムも一つの頂点だったと思っている。

当然、これ以上の音が存在することを僕は知っているが、果たして家庭に持ち込むに相応しいかどうか聴いてみて疑問を感じたことがあった。


ウェスタンの15Aホーン である。

某所で聴いたがこれは凄かった。
ピアノがピアノよりピアノらしかった。もう桁違いで比較対象の問題ではなかった。

15Aホーンは御承知の通り劇場や映画館用であり、客席は20~50メートル以上離れたところにあり、且つ天井はビルの数階分の高さがあることを想定して、観客に如何に心地よくしかも巨大なスケール感を味あわせるかという事がコンセプトだったろうから桁違いは寧ろ当然の性能と云ってよいが、それをこの時は距離約4メートル程、天井高2.5メートル程の所で聴いたのだから、それは腰も抜けよう凄まじさだった。

この時ハスキルは正しく男だった。「げー」と僕はのけ反った。僕の大好きなハスキルが。

家に帰っていそいそと僕は同じレコードをVitavox CN-191で聴いた。
紛れもなくハスキル はエレガントな女流ピアニストだった。

ハスキルのモーツアルト、これ程無心で典雅な音楽は無い。Vitavox CN-191ならずともこれがちゃんと聴けるなら、スピーカーは何だっていい。

新藤ラボの音造りは要するにハスキルのピアノをハスキルのピアノで聴かせてくれるのである。

この人に出会わなかったら、僕は未だに迷い続けていただろう。
http://audio-file.jugem.jp/?eid=5


要するに、ウェスタン・エレクトリックも JBL もマッキントッシュも
40畳、50畳の大空間で、耳を劈く超大音量で聴かないと、良さが全く出ないのです。

家庭の 6畳 乃至 20畳のリスニングルームで普通の音量で聴くのなら、ヨーロッパの 25cm ウーハーの小型スピーカーに絶対に敵わないのです。



7:777 :

2022/05/21 (Sat) 14:18:18

日本でウェスタン・エレクトリックの調整・修理ができるのはこの人だけです:

Vintage audio restoration
OM laboratory

〒321−0966 栃木県宇都宮市今泉1−3−10
青木 英男

E-mail warungwayan@ybb.ne.jp


OMラボラトリーでは、ウエスタンエレクトリック等のヴィンテージ機器の修復とヴィンテージパーツを使用したオリジナル機器を制作しています
http://www.facebook.com/pages/OM-Laboratory/265550180183171


青木 英男
ハードウェア・エンジニア

東洋大学工学部電気科電子コース卒。81年OMラボラトリーを設立、電子機器設計製作に従事。84年より中近東文化センターや早稲田大学古代エジプト調査室による遺跡調査のための機材開発に参加。95年宇都宮市大谷地区地下廃抗観測装置の企画設計製作。その他無人自動操縦ヘリコプター等の特殊機器・機材の開発に取り組む。
8:777 :

2022/05/22 (Sun) 08:33:28

上げ 18
9:777 :

2023/08/17 (Thu) 18:47:26

直熱三極管 300B 真空管 聴き比べ | 禁断のKRELL
2023年08月06日
https://ameblo.jp/507576/entry-12815112534.html

直熱三極管 300B 真空管 聴き比べ


ELECTRO-HARMONIX 300B ロシア連邦 ¥30,025 (ペア)
エレクトロハーモニクス300Bはポップスなどに好適とされる。

ハーモニーはすっきりとクリアにまとめる。低域のアタックも

タイトに感じる。透明で綺麗な出音。甘みのあるスゥイートな音ではないが、

全然悪くない球である。ボトムエンドはスマートにまとまり、

少し音が細身で華奢な感じであるが、エレハモはこの球ならではといえるような

アピールポイントが足りない。



JJ ELECTRONIC 300B スロバキア共和国 ¥46,980 (ペア)
JJは明晰で音の輪郭線をきれいに浮かび上がらせる。音像に骨格があり、
しっかりした太い音だ。低音のパワー感もある。それに大きな球で驚く。
ガラス管部分も相当な厚みがあり、造りが高剛性である。
高音~低音までしっかりした質量感のある音で、音場表現が広く感じられる、

物理特性が優秀な球といえる。音色には色付けが少なく、ニュートラルでクセがない音。

立派な音だが、音楽の表情がやや無表情に感じられて、少しつまらない。

エレハモ300Bは実測で一本110g。JJ 300Bは128gと重さが違う。



PSVANE 300B 中華人民共和国 ¥21,000 (ペア)
近頃「音が良い!」と評判の中国 PSVANE 300B、

ペア21,000円の低価格な球だがダイナミクスやハリがあり、
女性ボーカルの輝きや余韻に満ちた魅惑的な表情が素晴らしい。
クオリティも必要十分なものがあり、大変にお勧めの球である。
特性重視に作ってあるアンプなら1988年の最終生産の本物のWE300Bや
Setron 300Bよりも、この球がお勧めである。製造後数十年経った

ヴィンテージ球が真新しい白シャツに付いた汗染みを見るような、
くすんだ音に感じられるくらい、新鮮でフレッシュな音がするのである。
一方で無帰還回路でパーツ点数も少ないシンプルな回路のアンプは
球の素性(本来の音であり個性)をよく聴かせてくれるので、SUN AUDIO SV-300BEなど

ではSetron 300Bや1988年までのWE300Bの方が好ましい音で鳴ってくれる。




PSVANE Acme 300B 中華人民共和国 ¥119,990 (ペア)
世界初の3D設計管構造、サンドブラストアルミニウムカバー付きテフロンベースなど、

PSVANE の最高級グレードという格付けの球で期待も大きかったのだが、
大きな落胆を味わいました。超S/N比 超低歪みでPSVANE 300Bと比較すると
クオリティはかなり上がりますが、ニュートラルでクセのない音になって、
ダイナミクスやハリが大きく減少、女性ボーカルの輝きや
余韻に満ちた魅惑的な表情がすっかり消失してしまった。
確かにAcme300Bのあと一番安いPSVANE 300Bに戻すと、
安物に感じられるくらい、本質の高さは凄いのですが。この話を代理店の方にすると

『PSVANから取ってくれと頼まれたが、私も音が好きではないので取らなかった』

というご回答を頂きました。



PSVANE WE300B 中華人民共和国 ¥104,000 (ペア)
「PSVANE 300Bと比べるとレンジも広がり、評判が良いですね」

との代理店の方からの話でしたが、この球はエージングマシンによる

100時間エージングのあとに聴いたが、本当にひじょうに硬質な音で

聴くのが辛くなるほどでした。NOSの真空管は硬質な音がするが、

それにしても音が論外に硬いのだ。立体感のある空間表現を持っており、

S/N比が高く高解像度なハイファイサウンドである。カチッとした

透明で精確な音なのだが、音楽の表情も生硬で300Bの魅力を感じない、

PSVANE は下位モデルの出来が抜群に良かったので、

またしても落胆を味わうことになった。あるメーカーの関係者の方に話すと

「弊社でも試しましたが、みんなで聴いてこの球はダメだね....ってなりました」

「そのあと、しばらく仕舞っていたのですが、また後日試してみたところ、

実働100時間を超えたところで音が良くなったんですよ!」
『私も100時間エージングしたのですが...』「エージングマシンではなく、
アンプで音楽を100時間鳴らすとガラッと音が変わり、本当に良い音になりました」

『本当ですか?』「ええ、本当です」「なので、私どもでは高槻300B、

Western electric 300B PSVANE WE300B をお勧めしています 」
私は新品で買って少し聴いただけで手放してしまったので、

また機会があれば試してみたいと思っています。




Setron 300B アメリカ合衆国 ¥100,000 (ペア)
砂糖菓子のような甘美な美音、輝かしく煌びやかでゴージャスなWEトーン。
キラキラした金色の輝きがある。王道のアメリカンサウンド。
艶やかで芳醇。原音を夢のような理想的な世界に再創造する。
音に推進力があってダイナミックで溌剌としたハリ出しや力強さに目を見張る。
音の勢いはエモーショナルな感情の高まりをよく表現し魂を揺さぶるような

強い感動を与える。肉感的で豊麗で図太く力強い。躍動感に溢れる音、
ただし、特性重視に作ってある現代的な設計の有帰還アンプだと
キラキラした輝きが鳴りを潜めてしまい、WEの甘美な音色だけが感じ取れる。
1988年のWE300Bの生産完了に伴い、WEが仕様書を作って正式に業務委託した
リチャードソン・エレクトロニクスによる生産で、WEの製造設備も譲り受けている。
1988年製のWEと同等か、それ以上の本家WEサウンドだが、
1940年代のWE300Bはまた別格でとてつもない音がする。


TAKATSUKI 高槻電器工業 TA-300B 日本 ¥209,000(ペア)
正統派ハイファイサウンド、ハイエンドサウンドを狙うならこの球しかない。
サウンドクオリティはテストした300B中でナンバーワン。
高解像度で音楽性も高く、魅力的な音で決して無機的にならない。
低価格の球では飛び抜けた高音質でお勧めのPSVANE 300Bと比べでも
あきらかに解像度や情報量で差を付ける。高価だがお勧めの球。
とても高価なので音質が価格に見合うと感じるかは人により意見が分かれるだろう。
特性重視に作ってある300Bアンプにはこの球が一番のお勧めで、
新品の時から良い音で鳴ってくれる。高槻のあとにPSVANE 300Bに戻すと、

分解能が落ち、音が雑になる。空間に浮かぶ音像も
どこか希薄になる。両者を手に取って見比べると、造りはどちらも良くて、

構造に違いはあれど、製品の精度にそんなに違いはない。
差が出るのかな?と聴く前には思うが、確かに差が出る。
Setron 300Bと比べると現代の高級品だけあり、造りがあきらかに洗練されており、
ガラス管も厚く、ハウジングもしっかりしているのが
手に取るように分かる。寿命は2万時間とのメーカー回答である。
現代設計の球なので高圧が掛けられた現代の300Bアンプでも安心して使用できる。


ベテランの方々と話していると、揃ってチャイナの真空管やパーツへの評価がすこぶる悪い。

現在の真空管は品質が良くなっているが、 古い中国の出力管などはトランスを破壊する
不良品が多いので使用は絶対避けた方がよい。



大阪のオーディオショップである識者と偶然会いまして、300Bについて色々と話を聞きました。Full Music と ELROG の300Bは音がよくないらしい。
カナダのディーラーの方に聞いた話しでは、KR AUDIO 842VHDは音が良いらしい。
日本では入手困難な球なので聴く機会は当分なさそうである。
https://ameblo.jp/507576/entry-12815112534.html
10:777 :

2023/09/01 (Fri) 10:37:42

Mr.トレイルのオーディオ回り道
CDラインにWEの大型ライントランスを・・・
2023年08月31日
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/e0ff89023bb911b709d2179bc634133a


CDPの音は「平面的」に出る傾向に有る。これが「アナログプレーヤー」では奥行き方向も出て立体的な表現になる。それで「アナログプレーヤの方が良い」と世間一般では言われている。CDラインにもこのWEの大型ライントランスを通してやると、「奥行」方向の再現が出来て来る。



WEのライントランスは、50年以上にわたって作られているので種種の型番が有る。最初の写真は#91A。上の写真は93F。



写真は#111cと云う型番でこれが比較的新しいパーマロイコアのもの。この型番なら今でも比較的に入手しやすい。



他にも15Aや50A、60A、60c等古いトランスもある。これらのトランスの音質比較をして行った結果、「古いモノ程音質や質感が高い」と云う結果になった。現在、15Aと50Aのライントランスを使っている。音質確保の為には外せないパーツです。15Aや50Aは「鉄芯コア」で複雑な巻き方をされており、現在では復元される事は無いだろう。ちなみに、15Aの音を聴いたら111cの音は「バタ臭く」感じる。それでも111cの音は他社のトランスの上を行く音質である。



実際にはこの様な特注箱を作成し、その中に収めてXLR端子で入出力をしている。



出来上がりはこの様なスタイルになる。しっかりした木箱に入れる事により、しっかりしたサウンドになる。アナログプレーヤーの音に引けを取らない立体的なサウンドになる。
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/e0ff89023bb911b709d2179bc634133a
11:777 :

2024/09/24 (Tue) 08:49:53

Date: 9月 22nd, 2024
野口晴哉記念音楽室中秋会
http://audiosharing.com/blog/?p=41744

10月20日、野口晴哉記念音楽室で、中秋会が開催される。
5月の音楽鑑賞会のスピーカーは、シーメンスのオイロダインだったが、
今回の中秋会では、ウェスターン・エレクトリックの594Aを中心としたシステムとなる。

昨年5月とほぼ同じシステムだが、アンプがメンテナンスされている。
アナログプレーヤーも一部違うので、音も違ってくる。

「回想の野口晴哉 ─朴歯の下駄」に、こう記してある。
     *
 先生が亡くなる年の正月のこと……。
 夜、一人の見知らぬ男の人が訪ねて来た。
「スピーカーを買ってくれないか」ということだった。
 全く不思議なのは、そのスピーカーこそ、ウェスタン・エレクトリック594と、ランシングの先代が作ったという戦前のもの──先生が長い長い間、欲しくて手に入らなかったものだった。
「これで欲しいものが全部揃った。もう何も欲しいものがない」
 そういって、先生は微笑(みしょう)した。
 それは三十年間共に暮らして、一度も見たことのない微笑だった。
     *
野口晴哉氏にとって、ウェスターン・エレクトリックの594Aは、
ずっと憧れの存在だったのかもしれない。
野口晴哉氏は、594Aは、すでに所有されていたが、
残念なことに一本だけだった。
モノーラル再生でのみ、その音を聴かれていた。
おそらく、その音の浸透力は他のスピーカーのどれも敵わないものだったはずだ。

モノーラルでは聴ける。素晴らしい音で聴ける。
ならば594Aをペアで揃えてステレオて聴いたならば──。
オーディオマニアならば誰もそう思うはずだし、
野口晴哉氏もそうだったはずだ。
けれど594Aに限らずウェスターン・エレクトリックの製品は、お金があっても買えなかった
。映画館をはじめとする劇場へのレンタルのみだったからだ。
1980年代に入り、商売になるとみた業者が増えたので、
お金を積めば買える時代が、一時期あったけれど、
野口晴哉氏の時代はそうではなかったからこそ、
《微笑(みしょう)》されたのだろう。

昨年の音楽鑑賞会で鳴っていたのは、594Aを中心としたシステムだったが、本領発揮とはいえなかった。
理由はいくつもあるが、一つ挙げると電源の問題がある。
594Aは、永久磁石ではなく電磁石によって動作する。
そのための電源を必要とするわけだが、
この電源のクォリティによって594Aの音は大きく変化する。

野口晴哉氏はセレン整流器による電源を使われていた。
モノーラルで鳴らされていた時のモノのはず。
だからすでに作られてから五十年以上経っている。

去年の音を聴いた時から、電源の出力電圧が低下しているのでは……、
そんなふうに感じていた。
先日、電源電圧をチェックしたところ、
25V必要なのに14.5Vと、四割も低い値だった。
だからといってセレン整流器の電源を修理することは、
今の時代、ほぼ無理といえる。

新しい電源、594Aに相応しい電源を用意しなければならないが、
容易くはない。時間もかかる。

今回はスイッチング電源を使う。
594Aにそんな電源を、言われるだろうが、
まずは594Aを規定の電圧で鳴らす。ここから始めていく。
野口晴哉氏が描かれていたであろう594Aの音を実現する。今回は、その一歩目の音である。

上記リンクをクリックすれば詳細が表示される。
今回、私は裏方で、594Aの音を去年よりも良く鳴らしたい、
そのことだけをやる。

とは言え、まだ594Aをスイチッング電源での音は聴いていない。

野口晴哉氏は1976年6月に亡くなられている。
だから没後五十年の2026年までには、納得のいく音に仕上げたいと考えている。
その意味での、「一歩目の音」だ。

http://audiosharing.com/blog/?p=41744

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