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ジャズの名曲

1:777 :

2022/05/20 (Fri) 19:06:41

ジャズの名曲

「音楽&オーディオ」の小部屋
読者に占めるジャズファンの割合
2019年10月08日
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/f47f9bf6a90a390ea19df54f4a002f60

ときどき、このブログの読者がどういうタイプかを想像してみることがある。

仮に1000人だとすると、クラシック愛好家は200人ぐらい、ジャズ愛好家が500人ぐらい、そして音楽なら何でも好きというタイプが300人といったところかな。つまり「2:5:3」というわけ。

もちろんあくまでも想像の域を出ないが、搭載しているブログの内容に応じたアクセス数から推し量ったものだから全然根拠が無いわけでもない。

また、これまで13年間にわたってときどきメールをいただいた方の傾向も加味している。

やはり、このブログのセールスポイントは「実践的なオーディオ実験」にあるとみている。もちろん、大した内容ではありませんよ(笑)。

ジャズファンはクラシックファンに比べて圧倒的にオーディオ愛好家が多いのでこの5割説の根拠にもなろうというものです。

そういうジャズファンの中で息が長い交流をさせていただいているのがメル友の「I」さん(東海地方)である。

折にふれ、コメントを引用させてもらいたいへん感謝しているが、このたびジャズのアーチストについて興味深い情報を得られたのでご了解のもとに掲載させてもらおう。

実を言うと、クラシック愛好家から見てジャズは芸術よりも娯楽に近いと思っていたが、これで認識を改めようと思った次第(笑)。

それでは以下のとおり。

「ジャズの話題に便乗して、好みのジャズ(奏者)について白状させてください。

学生運動最後の時代が自分の大学時代と重なり、その頃にジャズを聴き始めています。思想的にジャズが扱われる時代でしたが、そのようにジャズを聴いたことはありません。もっと個人的な芸術表現として聴いてきました。

娯楽でなく芸術として聴いていますので、ジャズ奏者に求めるものは、けっして偉そうに言うわけではないのですが「創造性・・探求性?」と「矜持」です。

好きな(リスペクトする)奏者

<ピアノ>

バド・パウエル(比類なきドライブ感)

セロニアス・モンク(笑みがこぼれます)

ウィントン・ケリー(最高のハードバップピアニスト)

ビル・エバンス(ジャズピアノの・・・何と言ったらいいかわかりません)

<トランペット>
マイルス・デイビス(ウエイン・ショーターが参加する前までが帝王)

ブッカー・リトル(夭折が本当に惜しい)

ウィントン・マルサリス(批判にめげず頑張ってほしい)


<アルトサックス>

エリック・ドルフィー(早死にが悔しい。少なくともあと数年だけでも生きていてほしかった)

オーネット・コールマン(1964年のヨーロッパ・ツアーまでが眩しい)


<テナーサックス>

スタン・ゲッツ(うまい!それだけで凄い)

アーチー・シェップ(70年以降もいい演奏をしている稀有な存在)

<ベース>

ポール・チェンバース(はずせない)

(以下3人は白人。表現力が尋常ではない)

スコット・ラファロ、ニールス・ヘニング、ウルステッド・ペデルセン ジョージ・ムラーツ


<ドラム>(ドラムには関心が薄いのですが、強いて言えば)

フィリー・ジョー・ジョーンズ(上質な縁の下の力持ち)

ジミー・コブ(上に同じ)

トニー・ウイリアムス(超人なのに縁の下の力持ち)

偏ってますねえ(笑)

時代は1950、60年代がほとんど。楽器はアコースティック。ジャズ史的にいうと、ハードバップ・モード・フリー・ウルトラモダンになります。

ジョン・コルトレーンとソニー・ロリンズが入っていないのが不思議に感じられると思いますが、この二人へのコメントは不遜になりますので差し控えます。

以上のとおりだが、「I」さんのジャズとオーディオへの熱意にはいつも感心する。

ところで、クラシックの場合は作曲家をはじめ指揮者や演奏家など好みの対象が広範囲に広がるが、ジャズともなると演奏家だけに収斂されていくのが特徴のようだ。

それだけ許容範囲が狭くなるというのか、ジャズファン同士の「口角泡を飛ばす」議論の要因にもなりそうな気がしている(笑)。

ちなみに、ときどき我が家ではコルトレーンを聴いてみるのだが、どうもサッパリで皆が言うほどピンとこない。

   

素人なりに、この疑問を率直に「I」さんにぶつけたところ次のような返信があった。

「コルトレーンについては私もそう思います。バップ、フリー等何を聴いてもピントきません。

とんでもなく尊大なことを言いますが、コルトレーンはジャズの勘所が判っていないのではないかと・・・私、死刑ですね(笑)

逆に勘所だらけで、それがくどくなっているのがロリンズかなと・・・2回目の死刑です。

コルトレーンはヴィレッジバンガードを良く聴きますが、実はドルフィーを聴くためです。

好きな演奏もあります。セルフレスネス(LP)のマイ・フェイヴァリット・シングスです。コルトレーンを聴いている人なら持っている1枚だと思いますので、機会がありましたら聴いてみてください。「おんなじヤー」かもしれませんが(笑)。」

以上、クラシックファンと比べるとジャズファンは音楽に対する入れ込みようが一段と「ヒート・アップ」しているような気がする(笑)。

https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/f47f9bf6a90a390ea19df54f4a002f60  


▲△▽▼

ジョン・コルトレーン
My Favorite Things John Coltrane - YouTube
https://www.youtube.com/results?search_query=My+Favorite+Things++John+Coltrane


Coltrane Selflessness - YouTube
https://www.youtube.com/results?search_query=+Coltrane++Selflessness+




2:777 :

2022/05/20 (Fri) 19:09:29

「音楽&オーディオ」の小部屋
ジャズ「Somethin’ Else」を聴く
2019年10月11日
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/98c5264dd15390bd58d6ceb46249064c


先日搭載した「読者に占めるジャズファンの割合」で、このブログでは極めて珍しいジャズの話題を取り上げたところ、アクセスがぐ~んと好調でジャズファンの多さが実証できた。

さらに、別のジャズファン(仮に「K」さんとしておこう)からも新たなメールをいただいたのは大きな収穫だった。ありがたく、ご了解を得たので以下のとおり紹介させてもらおう。

「今回メールさせてもらったのは、貴ブログのJAZZファンのメールに共感を持ったからです。

そこで、私の知り合いのクラシックファンの方に、JAZZのCDを貸してあげた時、輸入盤だった為、解説書代わりにメモを添付しました。

よろしければ、その文書を一読して下さい。これは、私のJAZZの聴き方、感じ方を書いたものです。一笑に付されても構いません。」

さっそく拝読させていただいたところ、一笑に付すどころか、大いに感心の至りでしたよ!

全部で4枚のアルバムについてお見事な解説をいただいたが、そのうち紙数の都合で1枚だけ紹介させていただこう。

まずはじめに、個人的に名録音を選択した条件を挙げておくと、

・予め別個に録音したトラックを後で合成するデジタル録音ではなく、一発同時のアナログ録音であること。1950年代の録音にとどめを刺す。

・測定器による信号音の評価ではないから、必要条件として繰り返しに耐えうる名演でなくてはならない。

● Somethin’ Else

    

実質的にはマイルスがリーダーの、キャノンボール名義の1958年のアルバム。

麻薬禍で不遇時代のマイルスに、レコーディングの機会を与えてくれたのがブルーノートのアルフレッド・ライオンだった。マイルスの体調を診ながら年1回のペースで録音することにしていたのが、麻薬を断ち切って回復し大手のCBSと契約を交わしたのだ。

その後、配下のキャノンボール名義のアルバムにすることで、ライオンの恩義に応えてブルーノートに録音したと言われている。

白眉はシャンソンの「枯葉」で、ジャズマンに採りあげられる端緒となった。

ここでのマイルスは、鼓舞する他のメンバーの人選も良く、饒舌をそぎ落とした散文詩のようなミニマムのアドリブを展開し、知性を感じさせる不朽の演奏となった。

厳かな導入部のトランペットの短い高音のアクセントからして、マイルスのオリジナルな楽曲に聴こえてくる。この「枯葉」があまりに素晴らしいので、何回もこればかり聴いてしまい他の曲の印象が薄くなるのが欠点。

録音は、ルディ・ヴァン・ゲルダー。本来は検眼師なのだが、アマチュア録音が高じてブルーノート以外にもマイナーレーベルの録音を手がけた。

特徴は、いかにも黒人のエネルギッシュなガッツを感じさせる、東のニューヨークを代表するサウンドである。

マイクのセッティングは楽器に近づけるオン・マイクで、かつ各楽器を1本づつのマルチ・モノ・マイクで飽和レベルすれすれの音で収録。全体の空気感より、個別楽器のダイナミズムが優先されている。

唯一の欠点、問題はピアノの録音で、共鳴感がなくコロコロしていて残念でならない。直接音重視で、反響する間接音を排除している為か?

ビル・エヴァンスも、ヴァーブ時代にヴァンゲルダーの録音があるが嫌ったと言う。使用マイクは、ノイマンU-47、テープレコーダーはAMPEX 300で、本人共々ドイツ系。

以上のとおりで「K」さん、どうもありがとうございました。

この記事に大いに触発されて我が家でも「サムシン・エルス」を2系統のシステムで聴いてみた。

1 JBLの「D123+075」の2ウェイシステム(クロス8000ヘルツ)。

2 ウェストミンスター(改)の「ワーフェデールのスーパー12+JBLの175」の2ウェイシステム(クロス800ヘルツ)。

1はトランペットの音がまるで唾が飛んでくるみたいに迫力があった。頭がクラクラッときたが、やはりこういう音は075の独壇場だ!改めて底力に唸った。これが「ステンレス削り出しホーン付き」の075。

   

その点2はまるでネクタイを締めてかしこまって聴いているみたいだった。

1に比べるとベースの豊かな響きと、ピアノにコロコロした感じが無かったのは良しとするがトランペットについてはまったく物足りなかった。全体的にも生き生き、伸び伸び感が足りない。

総じてジャズらしいといえば1のシステムで、おそらく生粋のジャズファンは圧倒的に1を支持することだろう。

問題は2だ!

いくらクラシック用のシステムとはいえ、これでは絶対にダメ(笑)。

何とかしなければと「沈思黙考することしばし」だったが、「窮すれば通ず」で名案(?)を思い付いた!

以下、続く。
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/98c5264dd15390bd58d6ceb46249064c


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Somethin’ Else - YouTube
https://www.youtube.com/results?search_query=Somethin%E2%80%99+Else


3:777 :

2022/05/20 (Fri) 19:12:31

「音楽&オーディオ」の小部屋
ジャズ「カインド・オブ・ブルー」を聴く
2019年10月17日
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/31fb160977615f048c9d1199ce7292bb

県内在住のKさんから頂いた4枚のアルバム(ジャズ)の解説について、その内からとりあえず「サムシン・エルス」を、つい先日搭載したのはご承知のとおりですよね。

このブログの読者はジャズ・ファンが多いとにらんだ通り、とても反響が多くて、メル友さんからも「サムシンエルス」の名解説に感心され、残りの3枚についてもぜひ紹介してほしいと強いご要望があったのでこれから折を見て一枚づつ紹介させていただこう。

今回は2枚目に当たる「カインド・オブ・ブルー」。

Kさん、おかげさまでこのブログに貴重な「彩」を添えていただき感謝しています。

  

この1959年に録音された歴史的モダンジャズの傑作は、ビル・エヴァンスの参加なくして誕生しなかった。

この頃、コード進行に従って即興演奏を行なうことに限界を感じていたマイルスは、モードによるアプローチを探索し、白羽の矢を立てたのがエヴァンスである。

実際には、半年余り前に正規メンバーとして活動していたものの、他のメンバーや演奏するクラブのオーナーらから黒人でないという理由の逆差別を受けていて退団を余儀なくされていた。

しかし、次回作のアルバム制作には是非ともエヴァンスのアイデア、スケッチが必要で、参加を要請したのだ。

そしてここからがマイルスの凄みと言えるが、録音当日に事前に知らされなかったピアニストが、2人鉢合わせとなる。

新しく正規メンバーとなったウィントン・ケリーには、何でビル・エヴァンスがここにいるのか理解できなかった。

しかも、ウォーミングアップのつもりの「フレディ・フリーローダー」の1曲のみ録音してケリーを帰してしまったのだ。

ケリーの心中を察するに、いかばかりかと思わざるを得ない。この軋轢、緊張感がスタジオ全体に漲り、張り詰めた空気が60年を隔てた今でも薄まることがない。

あたかも惑星直列のような磁場が働き、稀有な演奏者のパフォーマンスが録音されたのである。

さらに余談だが、録音されたコロンビア(CBS)のニューヨーク30丁目スタジオは、元ギリシャ正教会でホールの効果が絶妙なサウンドとして、クラシック、ジャズを問わず数々の名盤が制作された。

録音技師は名手フレッド・プラウト。建築を思わせるような安定した土台基礎部分の低音、ピアノのアコースティックな響きを最上のバランスで捉え、ホーンの咆哮の生々しさ、トップシンバルからは星屑が落ちてくるような質感で迫ってくる名録音である。

しかし、物語はこれでは終わらない。1992年になって、マスターのテープ録音機の不調で1/4ピッチ高めの音でリリースされ続けたことが判り、録音から33年経ってやっとセーフティのもう1台のテープから正確なピッチのCDが発売の運びとなった。

ビル・エヴァンスと言えばトリオ構成が一般的だが、いの一番にこのマイルスのアルバムを挙げたい。

クラシックの素養に裏打ちされた、ラベルやドビュッシーらの印象派の響きがJAZZに注がれた。ピアノの和声の響きを例えるなら、空気を描くことに腐心したモネの、色を混ぜ合わせる効果に近い。

マイルスに影響を与えた白人の音楽家、2人のエヴァンスのもう一人ギル・エヴァンス(アレンジャー)の手になる「ソー・ホワット」のピアノのイントロによく表れている。

エヴァンスに限れば、「ブルー・イン・グリーン」や、ピアノの羽ばたきのようなトレモロが印象的な「オール・ブルース」、スパニッシュモードの「フラメンコ・スケッチズ」が聴きものである。

まさに無人島に1枚だけ持って行くCDの最右翼である。

以上のとおりだが、熱い、実に熱い!

大いに刺激を受けて我が家でも耳を傾けてみました。

ジャズは門外漢だが、当時の超一流のメンバーたちの緊張感に溢れた熱気に完膚(かんぷ)なきまでに打ちのめされたことをご報告しておこう。
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/31fb160977615f048c9d1199ce7292bb  

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Miles Davis Kind Of Blue - YouTube
https://www.youtube.com/results?search_query=Miles+Davis++Kind+Of+Blue
4:777 :

2022/05/20 (Fri) 19:58:07

「音楽&オーディオ」の小部屋
ジャズ「Art Pepper meets The Rhythm Section]を聴く
2019年10月23日
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/dd0a7e296479b228c0df2d03b43564f0

県内在住の「K」さんから寄稿していただいた4曲のジャズ解説について既に「サムシン・エルス」「カインド・オブ・ブルー」を紹介させてもらったので、今回は第3弾目として「アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション」を取り上げてみよう。

周知のとおり「音楽の3要素」はメロディ(旋律)、ハーモニー(和声)、リズム(律動)だが、クラシック音楽にやや足りないものがあるとすればそれはリズムではないかと思っている。

ときどき無性にジャズが聴きたくなるのもそういう理由があるのかもしれない。

たしか「五味康介」さんの本だったと思うが、あの指揮者カラヤンが練習中のオーケストラのリズム感に飽き足らず、そういうときはこっそり脱け出してジャズを聴いていたという話が載ってた。

ましてや、一介の市井の音楽ファンであれば何もクラシックに固執することなく、ときどきはジャズも聴いて耳を肥やすことも必要だと思いますよ(笑)。

    

1957年マイルスが西海岸へ演奏旅行に来た折、コンテンポラリーのレスター・ケーニッヒがマイルスの許しを得て当時のマイルスのリズムセクションとアート・ペッパーを邂逅させたアルバム。

メンバーは、レッド・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)からなり最強と言われた。

不調のペッパーには極度の緊張を恐れて録音のことは直前まで知らされず、またマウスピースのコルクも傷んでいたのに、麻薬を打って臨んだというエピソードがある。にもかかわらず、この演奏は会心の出来栄えとなった。

著名な「You’d Be So Nice To Come Home To」のペッパーのアドリブを聴くと、その絶妙な音列配置の間隔が生み出す危うさ、刹那感がたまらなくクセになる。当代一流のリズムセクションをバックに、堂々と渉りあうプレイは神ってると言う他はない。

プロデューサーのレスター・ケーニッヒはハリウッドの映画産業に従事していたらしいが、マッカーサーの赤狩りで映画界を追われてJAZZレコードのレーベルを立ち上げた人物。

アメリカの西海岸の主要産業である映画産業は、トーキー時代に入ってオーディオを副産物として育てることになる。Westernを先駆けとして、Altec、JBL等の音響機器メーカーが誕生する。

まさに、映画がオーディオを育てたといっていい。そんな時代に誕生したキャピトルレコードでエンジニアとして、シナトラ、ナット・キング・コールらを録音していたロイ・デュナンを引き抜いた。

そして録音スタジオもない配送倉庫の片隅で、自作の録音アンプ、調整卓で奇跡としか言いようのないコンテンポラリーの名録音が生まれるのである。

ロイ・デュナンの録音は、カリフォルニアの空を思わせるような明るくクリアーで、どちらかと言うと響き、空気感を捉える録音が特徴。垢抜けた西海岸の白人JAZZにぴったりの音づくりだ。

バラックの倉庫の片隅で楽器間の音漏れを防ぐ立派な遮蔽板もなく、そこそこ漏れ入ってくる別のマイクに入った音がかえって臨場感を生み出したのかもしれない。

使用マイクは、ノイマンU-47、AKGのC-12、テープレコーダーはAMPEX 350で、ヴァンゲルダーと似ている。しかし全く正反対の音になっているのは感性の違いもあるが、リヴァーブを加えてカッティングの際にゲイン等を微妙に調整し、詳細なマスタリング・メモを残した。

このメモがなければ、オリジナルのテープを入手しても、ロイの作ったアルバムの音を再現することはできないという。

この解説を念頭に置きながら我が家でもじっくり聴いてみたが、「サムシン エルス」や「カインド オブ ブルー」に比べると随分穏やかなというか、プレイヤーが肩ひじを張ってなくて自分のような門外漢でも随分溶け込みやすい印象を受けた。

こういうジャズもありなんですね~。
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/dd0a7e296479b228c0df2d03b43564f0

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Art Pepper Meets the Rhythm Section - YouTube
https://www.youtube.com/results?search_query=Art+Pepper+Meets+the+Rhythm+Section


5:777 :

2022/05/20 (Fri) 20:15:07

「音楽&オーディオ」の小部屋
音楽談義~「意味がなければスイングはない」~
2010年04月26日
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/9ccb4456720a8ed015ee187ab1527528

大ベストセラー「ノルウェイの森」などで知られる村上春樹氏といえば、いまやノーベル文学賞候補にもちらほら名前が上がる大作家(2006年フランツ・カフカ賞受賞)に.。

最近作「1Q84」も.スゴイ人気で、おそらく文字で書かれた本では最後のベストセラーになるだろうなんて言われている。

その村上氏だが、実は知る人ぞ知るジャズ愛好家、オーディオ愛好家でもある。

なにしろ、作家になる前にはジャズ喫茶を経営していて、それこそ、朝から晩まで好きなジャズを聴いてじゅうぶん楽しんだとのこと。

オーディオにしてもJBLの愛好家で、お金はたんまりとある(想像だが)のに、費やす時間がもったいないという理由で旧型のユニットによる3ウェイシステムでアンプはたしかアキュフェーズだったと思う。

その村上氏が、音楽について書いた著作が「意味がなければスイングはない」(2005年11月25日、(株)文芸春秋)。これはオーディオ専門誌「ステレオサウンド」2003年春号~2005年夏号に連載していたものを、まとめたもの。

                       

タイトルの「意味がなければスイングはない」はもちろん、デューク・エリントンの名曲「スイングがなければ意味はない」のもじりである。しかし、ただの言葉遊びではなく、このフレーズはジャズの真髄を表わす名文句として巷間に流布している。

「スイング」とは、どんな音楽にも通じるうねりのようなもので、クラシック、ジャズ、ロックなどを問わず、優れた本物の音楽として成り立たせている「何か」のことであり、その何かを自分なりの言葉を使って追いつめてみた結果が本書になった。

読んでみて、この本は実に分りやすくて面白かった。作家が書いた音楽評論はどうしてこんなに共感できるのだろうか。

たとえば五味康祐氏の「西方の音」を嚆矢(こうし)として、小林秀雄氏の「モーツァルト」、石田依良氏の「アイ・ラブ・モーツァルト」、そしてこの本である。

まず共通して感じることは、

1 語彙が豊富で表現力が的確

2 ストーリー並みの展開力がある

3 音楽体験の出発点と感じ方、語り口に同じ匂いを感じる

といったところだろうか。

しかも内容がジャズばかりと思ったら、10の項目のうちクラシックの評論が3項目あった。

Ⅰ シューベルト「ピアノ・ソナタ第17番ニ長調」 ソフトな今日の混沌性

Ⅱ 「ゼルキンとルービンシュタイン 二人のピアニスト」

Ⅲ 「日曜日の朝のフランシス・プーランク」

まず、Ⅰでは世評において目立たず、芳しくないシューベルトのピアノ・ソナタ群のうちでも最も地味なこのソナタがなぜか大好きとのことで、結局15名のピアニストのレコード盤、CD盤を収集したこと、そのうち、ユージン・イストミンというこれまたたいへんマイナーな名前のピアニストがお好きとのこと。

Ⅲの近代作曲家プーランクもお気に入りだそうだが、これもまたやはりマイナーと言わざるを得ない。

全体を通読して感じたことだが、村上氏はどうも既存の権威とか概念を否定しあるいはしばられない傾向がことさら強く、一方で目立たず、まったく評価されない、あるいは過小評価されている作曲家、演奏家、曲目に陽を当てるのが随分とお好み。

その流れで、著者独自のクラシック論が以下のとおり展開されている。(76頁~77頁)

「クラシック音楽を聴く喜びのひとつは、自分なりのいくつかの名曲を持ち、自分なりの何人かの名演奏家を持つことにあるのではないだろうか。それは、場合によっては世間の評価とは合致しないかもしれない。

でもそのような「自分だけの引き出し」を持つことによって、その人の音楽世界は独自の広がりを持ち、深みを持つようになっていくはずだ。

シューベルトのニ長調ソナタは、その一例として、僕の大事な「個人的引き出し」になっており、おかげで超一流ではないイストミンのようなピアニストたちが紡ぎだす優れた音楽世界にめぐり会えることができた。それはほかの誰の体験でもない、僕の個人的体験なのだ。

僕らは結局のところ、血肉ある個人的記憶を燃料として世界を生きているのだ。」

40年近く「音楽とオーディオ」に親しんできたものの、いまだ道遠しで随分と峰が高くて奥行きのある世界だと実感しているが、権威に振り回されず主体性を持つという面で十分考えさせられる話である。

最後にⅡでピアニスト、ルービンシュタインの自伝からの逸話が記載されていたので紹介しよう。ルービンシュタインといえばコルトー、リパッティと並ぶショパンの弾き手として一世を風靡した往年の大ピアニストである。

結局、この逸話も、著者流のナチュラルの流れに位置し、赤裸々な人間像に共鳴したエピソードなのだろう。

ルービンシュタインがガイドに勧められるままに、スペインで訪れたとある高級娼家での話である。

「ドライすぎるシェリーと、夏の暑さと、もわっとした空気と、言葉がうまく通じないせいで私の性欲はどうしても盛り上がらなかった。

しかし、私の生来の虚栄心は、こんなに若いのにインポテントだと女たちに思われる(かもしれない)ことに耐えられなかった。

彼女たちを感心させるには、ここはひとつ音楽を持ち出すしかない。私はそこにあったピアノの蓋を開け、即席のコンサートを開いた。

スペインの音楽、「カルメン」の中の曲、ウィンナ・ワルツ、なんでもかんでも手あたり次第にばりばり弾きまくった。それは目ざましい成功を収めた。黙示録的な大勝利と呼んでもいいような気がするくらいだ。

女たちはいたく興奮し、群がって私を抱きしめ、熱烈にキスの雨を降らせた。宿の主人は、私の飲み代はただにする、好きな女と寝てよろしいといった。私はその申し出をもちろん丁重にお断りした。

しかし、ピアノにサインをしてくれという申し出は断れなかった。

私はいくらかの自負とともに、そこにサインを残した。心愉しい夏の午後の証人として、まだ同じ場所にそのピアノが置いてあればいいのだが」(同書149頁)。

このサイン入りピアノの実在を是非確認したいものだが、場所が場所だけに未来永劫にわたって何方(どなた)かの「拝見した」というメッセージはとても期待できそうにない!

https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/9ccb4456720a8ed015ee187ab1527528


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Duke Ellington It don't mean a thing - YouTube
https://www.youtube.com/results?search_query=Duke+Ellington++It+don%27t+mean+a+thing

6:777 :

2022/05/20 (Fri) 20:25:49

チャーリー・パーカー の世界
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1026.html

ジョン・コルトレーン 名演集
http://www.asyura2.com/17/ban7/msg/260.html

カウント・ベイシー 名演集
http://www.asyura2.com/17/ban7/msg/261.html

現代最高のジャズピアニスト・・・ フレッド・ハーシュ
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14109153


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ヘレン・メリル 『You'd be so nice to come home to』
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/628.html

エラ・フィッツジェラルド & ルイ アームストロング
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1718.html

ジュリー・ロンドン 『いるかに乗った少年』
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/474.html

ジュリー・ロンドン 『酒と薔薇の日々』
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1653.html

ヘイリー・ロレン 名唱集
http://www.asyura2.com/17/ban7/msg/267.html

ノーラ・ジョーンズ 名唱集
http://www.asyura2.com/17/ban7/msg/266.html

ダイアナ・クラール 名唱集
http://www.asyura2.com/17/ban7/msg/265.html


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哀愁のヨーロピアン・ジャズ

ヨーロピアン・ジャズ スイングル・シンガーズ
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/577.html


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クラシックの作曲家はアル中、 ジャズ・ロックのミュージシャンは全員麻薬中毒
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/917.html

まともな人間は音楽家になれない
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/177.html

アメリカ人には音楽は理解できない _ ジャズなんか音楽じゃない
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/440.html
7:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/05/01 (Mon) 19:49:05

最高の音を一番安く手に入れる方法
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14003094

クラシックに向くスピーカー、 ジャズに向くスピーカー
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14104540
8:777 :

2024/02/01 (Thu) 21:53:15

「音楽&オーディオ」の小部屋
「シドニー・ベシェ」のクラリネット
2024年02月01日
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/ef945dedf2880ba21d2f0047f46dcdbd

久しぶりに南スコットランド在住の「ウマさん」から長文のお便りが届きましたのでご紹介させていただこう。

昨夜、Spotifyで、久しぶりにシドニー・べシェのクラリネットを聴いた。
便利な時代になったもんです。様々なミュージックをネットで聴けるなんて、実に有難い事だよね。

1920年代から活躍した黒人ジャズ・クラリネット奏者シドニー・べシェは、トランペット」奏者の「サッチモ」ことルイ・アームストロング同様、かなりの人気ミュージシャンだった。

ヨーロッパにも呼ばれ、彼の地でも人気奏者となり、何度もヨーロッパで演奏機会を持つようになる。
そして、1949年、とうとうお気に入りのパリに移住することを決意した。51歳だった。

ヨーロッパでは、ジャズ・ミュージシャンは芸術家として尊敬される風土があり、アメリカのように酷い人種差別もなかったので、多くの黒人ミュージシャンがヨーロッパに移住し活動の場とした。シドニー・べシェもそんなミュージシャンの一人だった。

彼が吹くクラリネットの、細かく震える独特のビブラートを、パリの知的マジョリティーが愛したんやね。

そして、シドニー・べシェの人生で最大の出来事が起こった…

52歳になったべシェ、なんと、17歳のパリジェンヌに恋をしてしまったのでござるよ。
愛があれば年の差なんて…、ええ歳こいて…なんて言ってるばやいとちゃいまんねん。えらいこっちゃ!でっせ。

彼は、親子ほど年齢差のある彼女に対するその想いを、如何に伝えたのか?
そう、べシェは、その溢れんばかりの恋心を、クラリネットに託して表現したのでござるよ。で、誕生した曲が「Petite Fleur」プチ・フルール…小さな花…

愛する17歳の娘を「小さな花」に例えたんやね。べシェが心を込めて作曲したこの「小さな花」は、後年、日本でも鈴木章治や北村英治など、クラリネット奏者が好んで演奏することとなる。

そして「可愛い花」の題で、あの「ザ・ピーナッツ」のデヴュー曲ともなったので、皆さん、聞いたことあるんじゃないかな?
おのおの方も、べシェの「小さな花」を聴くと「ええ歳こいて…」なんて言えなくなると思うよ。素晴らしい曲です。

あとで、べシェ自身の演奏による「小さな花」と、僕のお気に入りのフランス娘ララ・ルイーズが唄う「小さな花」のYouTubeを、おのおの方に送るんで聴いてみてね。

YouTubeのララの写真を見てると、べシェが愛した若きパリジェンヌって、こんな娘じゃなかったやろか?との思いがする。
ザ・ピーナッツ「可愛い花」も懐かしいね。これもYouTubeでご覧ください。

僕はパソコン操作に疎く、この三つのYouTubeを全部一緒に送る技術を今のところ持ってないので、一つ一つ別々に送ります。送った順番に見てくださいね。

PS: 実はね、ここだけの話なんやけどさ、僕も、ええ歳こいて、今、可愛い小娘に恋してまんねん。女房も公認で、一緒に暮らしてるんやけど、もう、彼女なしの生活なんて考えられないのよ。めちゃシアワセ…ウフッ…

ところがや…

この娘な、午前9時から午後5時までの門限は守らんし夜遊びが過ぎる。ほんで、時々、ちっちゃなモグラの赤ちゃんをくわえて家に帰ってきよるのよ。ほんでな、モグラの赤ちゃんを僕の前に置いて「ウマ!これでイッパイやってね!」だと! 困ったもんや、いやはや。



私も猫が好きです。ずいぶん栄養状態が良さそうですね(笑)。小窓の上の「9~5!」(9時から5時)に思わずアハハ・・。

で、肝心の「シドニー・ベシェ」のクラリネットです。さっそく「You Tube」で聴いてみましたけど、独特のビブラートに痺れ上がりました。

ずっと昔、こんな素敵なクラリネット奏者がいたなんて・・。

最高で~す!
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/ef945dedf2880ba21d2f0047f46dcdbd



Petite Fleur (youtube.com)
https://www.youtube.com/watch?v=-uaYJO48Qu8

Sidney Bechet - YouTube
https://www.youtube.com/results?search_query=Sidney+Bechet

可愛い花 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%AF%E6%84%9B%E3%81%84%E8%8A%B1

「可愛い花」(かわいいはな、Petite Fleur)は、1959年に発表されたザ・ピーナッツのデビュー曲。シドニー・ベシェ(アメリカ人)が作曲・録音したオリジナルをカバーした楽曲である。当時日本では斬新だったポップ・ミュージック系楽曲(日本では和製ポップスとも言われる)であり、音楽ジャンルにポップス、ロックが増加していった時期のヒット曲でもある。ザ・ピーナッツの他にクリス・バーバーズ・ジャズ・バンド、アッカー・ビルク、ピーナッツ・ハッコーらもカバーした。ピーナッツ・ハッコーのカバーは「小さな花」のタイトルになっている。


ザ・ピーナッツ 可愛い花 - YouTube
https://www.youtube.com/results?search_query=%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%83%94%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%83%E3%83%84+%E5%8F%AF%E6%84%9B%E3%81%84%E8%8A%B1
9:777 :

2024/04/11 (Thu) 17:45:36

Saxophone Colossus - YouTube
https://www.youtube.com/results?search_query=Saxophone+Colossus+


『サキソフォン・コロッサス』
ソニー・ロリンズ の スタジオ・アルバム
リリース 1956年
録音 1956年6月22日
ジャンル ジャズ


サキソフォン・コロッサス(Saxophone Colossus)は、ジャズ・サックス奏者ソニー・ロリンズが、1956年にプレスティッジ・レコードから発表したアルバム。発売直後から英米のメディアで絶賛され、ロリンズの名を一躍広めた。現在もロリンズの代表作に挙げられる。


解説
ロリンズの個性である、温かみのある演奏が存分に発揮された内容で、彼の最高傑作と名高い。

自作曲「セント・トーマス」は、カリプソに影響を受けた明るい曲で、タイトルの由来はセント・トーマス島。ロリンズの母方がヴァージン諸島出身ということもあって、ロリンズも幼い頃からカリプソに親しんできたという。その後長きに渡って、コンサートの重要なレパートリーとなり、2005年に行われた最後の日本公演でも演奏された。また、ケニー・ドリュー、ジム・ホール、寺井尚子等、多くのアーティストにカバーされている。ロリンズ自身も、1964年のスタジオ録音アルバム『ナウズ・ザ・タイム』でセルフカバーした。

「ストロード・ロード」は、1980年発表のアルバム『ラヴ・アット・ファースト・サイト』にも、アレンジを変えて収録。「モリタート」は、ミュージカル『三文オペラ』の挿入歌をアレンジしたもの。

収録曲
セント・トーマス - St. Thomas(Sonny Rollins)
ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ - You Don't Know What Love Is(Raye, DePaul)
ストロード・ロード - Strode Rode(S. Rollins)
モリタート - Moritat(Brecht, Weill)
ブルー・セヴン - Blue Seven(S. Rollins)

演奏メンバー
ソニー・ロリンズ - テナー・サックス
トミー・フラナガン - ピアノ
ダグ・ワトキンス - ベース
マックス・ローチ - ドラム
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%AD%E3%82%BD%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%B5%E3%82%B9


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「音楽&オーディオ」の小部屋
名盤「サキソフォン コロッサス」の呪縛
2024年04月11日
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/a389c606be5812214872bf7229c64708

昨日(10日)の記事「口径38cmのユニットを使わない理由」について、クラシックとジャズの楽しみ方の違いを手前勝手な御託で並べたわけだが、後になって「現実と矛盾したことを書いてしまったかもしれないなあ~」とちょっぴり後悔(笑)。

というのも、いまだにジャズの名盤「サキソフォン コロッサス」の呪縛から解き放たれていないのがその理由~。

その辺のいきさつを縷々述べてみましょうかね・・。

先日、いつも録画している「開運!何でも鑑定団」(骨董品の鑑定をしているテレビ番組)を観ていたら、「今は亡き夫の形見です」と、クラシック・ギターを出品されている中年のご婦人がいた。

運営しているダンス教室の経営の一助として活用できればという趣旨だったが、このギターは鑑定の結果、名品と分かって何と500万円の価値が付けられた。そして通常のギターと、この名品のギターの弾き比べをしていたが明らかに後者の方が響きが澄んでいてウットリと聞き惚れた。

それに、何といっても両者の決定的な違いは聴いているうちに、きわめて幼稚な表現になるが 胸が”キュン”となって切なくなる とでも言えばいいのだろうか、そういう感じがしてきた。

実はいつもそうで、(自分にとって)「いい音」を聴くと低音や高音がどうのこうのというよりも、いわく言い難いような ”微妙な感情の揺れ” が必ず訪れてくるのである。

たとえて言えば恋愛感情にも似たような情動性を感じるわけで、オーディオという趣味を飽きもせずずっと続けていられるのも、原点はそこにあるのかもしれない。

ある程度、酸いも甘いも噛み分けた「人生の古狸」になると、ありふれた日常生活の中で実際に 心を揺り動かしてくれる ものは実に貴重な存在なのである。そうだとは思いませんかね・・(笑)。

と、いうわけでちょっと寄り道をしたが、システム改変の仕上げはいつも好きな音楽を収録しているCD盤を聴いて、 胸がキュンと締め付けられるような思い をさせてくれるかどうかが決め手となっている。

自分の経験ではピアノ曲の再生が一番クセ者で、これをウットリと聞き惚れることができればシステムの改変は半ば目的を達成したことになる。

ほかにも、ヴァイオリンが音響空間を漂うような感じで艶ややかに鳴ってくれれば万全だし、ボーカルでは郷愁を感じさせてくれるように切なく歌ってくれればもう峠を半分以上越したようなもの。いずれも判定者は自分固有の「耳=脳」である。

そして・・、いよいよ最後の関門となるのがジャズの「サキソフォン コロッサス」(以下「サキコロ」)。

             

もう、はるか昔から我が家のテスト盤として君臨しているのがこの盤。録音の違う盤をいくつか持っているが特別録音の「XRCD」盤がいちばん出番が多い。

で、1曲目の「セント・トーマス」の冒頭のシンバルの響きがきれいに抜けているかどうか、やせ細っていないか、そしてサックスとドラムが力強く鳴ってくれるかどうかがハイライト。そして5曲目の「ブルーセブン」のベースの重量感・・・。

もちろんクラシック用のシステムだから「十全」は望みようがないが、どの辺まで到達しているか・・、大いに参考になる。

実はこれまで「サキコロ」の再生には散々苦しめられてきた。何せ録音の感度が非常に低い。たとえばプリアンプのボリュームが通常のCDであれば9時の位置であれば十分なのに、このサキコロに限っては12時程度に上げてやらないと十分な音量にならない。こういう録音は手持ちのCDの中でも2~3枚程度。

したがって「サキコロ」の再生に照準を合わせると、他の曲目とのバランスがいろいろと取れにくくなることもずいぶん経験してきた。

自分が日常聴いているのは圧倒的にクラシックなので、何も「サキコロ」に振り回されなくてもあっさり諦めれば八方うまく納まりがつくわけだが、このジャズの名盤中の名盤は簡単にそれを許してくれそうもない。

クラシックなどからは味わえない「リズム感とノリ」が ”もの凄い” のである。この躍動感だけはまったく別格の存在。

そろそろ「サキソフォン・コロッサスの呪縛(じゅばく)」から解き放されたいのは山々なのだが、もう無理かもねえ・・・(笑)。

最後に、ずっと昔のブログで愛聴盤としてこの「サキコロ」を紹介したことがあるので再度紹介させてもらおう。(抜粋)

題  名

「サキソフォン・コロッサス」(コロッサスには巨像、巨人という意味がある)(収録:1956年)

演奏者

テナーサックス   ソニー・ロリンズ
ピアノ       トミー・フラナガン
ベース       ダグ・ワトキンス
ドラム       マックス・ローチ

今更申し上げるまでもなくジャズ史に燦然と輝く名盤である。ジャズという音楽は体質的に受け付けないけれども、この盤だけは別格。まるっきり素人の自分でさえ即興性の楽しさと体が自然に反応するリズムの「乗り」が感じ取れる。

また、オーディオ試聴用としても貴重な盤になっている。システムの一部を入れ換えたときには必ずテスト用として聴くのがこの盤である。

1のセント・トーマスの冒頭のシンバルの一撃(開始後37秒)はツィーター(高域専用のユニット)のレベル測定には欠かせない。極論すればシンバルの音をきれいに聴くためにJBLの075ツウィーターを外せないといっても過言ではない。

5曲のうちで好きなのは1の「セント・トーマス」と5の「ブルーセヴン」。複雑な処理をしたこのXRCD盤の録音の良さには十分満足しているが、何せ録音の感度が低いのが難点。

内容の解説については自分のような門外漢の拙い解説よりも、この盤の制作に携わった当事者と関係者の貴重なコメントが的確に表現していると思うのでかいつまんで紹介しておこう。

≪当事者≫

トミー・フラナガン(ピアノ)
あっという間にレコーディングが終了した。リハーサルもなし。簡単な打ち合わせをしただけでテープが回された。録り直しもなかった。やっているときからこのレコーディングは素晴らしいものになると確信していた。

マックス・ローチ(ドラム)
ソニーは何も注文を出さなかった。妙な小細工を一切せずにそのときの気持ちを素直に表現しただけだ。豪快で大胆、ソニーの持ち味がこれほど理想的な形で聴ける作品はほかにない。

≪関係者≫

トム・スコット(テナー・サックス)

セント・トーマスのリズミックなフレーズこそ彼ならではのものだ。普通のスウィング感とは違う。それでいて、ありきたりのダンサブルでもない。ジャズ特有の乗りの中で、独特のビートを感じさせる。これぞ典型的なロリンズ節だ。

ブランフォード・マルサリス(テナー・サックス)

ロリンズのアルバムの中で一番好きなのがサキソフォン・コロッサス。ここではいつにもまして構成なんかまったく考えていない。出たとこ勝負みたいなところがある。それで終わってみれば、構成力に富んだ内容になっている。これってすごい。うらやましい才能だ。この盤は不思議な作用があって、何かに悩んだときに聴くと、必ず解決策が浮かんでくる。お守りのような作品だ。全てのテナー奏者が聴くべき作品だし教科書でもある。

というわけです。

「サキコロ」はクラシックやジャズの範疇を超えた作品といっていいかもしれませんね。

しめた・・、この言葉を「免罪符」とさせてもらおうかな~(笑)。

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